JP2011011497A - ポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法 - Google Patents

ポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性、外観、押出し成型性に優れる給水給湯パイプに適したポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法を提供。
【解決手段】特定の要件を満たすポリエチレンをベース樹脂として用い、下記の工程を含むポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法であって、
(1)該ベース樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部の有機不飽和シラン化合物、0.01〜5重量部の有機過酸化物、0.005〜10重量部のシラノール縮合触媒との混合物を押出機内で加熱しながら溶融・混練・反応させ、パイプ状に押出す工程、
(2)その後押出されたパイプ状物を加熱して、シラノール縮合反応によりシラン架橋させる工程、
押出機中で、
1)有機過酸化物の1分間半減期温度より10℃以上低い温度で混合物をシラングラフト反応ゾーン前まで送り、
2)混合物の溶融・混練・シラングラフト反応を同時にシラングラフト反応ゾーンで行う、ことを特徴とするポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐久性、外観、押出し成型性に優れる給水給湯パイプに適したポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法に関する。
近年、鋼パイプに代えて架橋ポリエチレンパイプが、給湯システムや暖房システムの給湯パイプとして用いられている。その架橋ポリエチレンパイプには、施工者の負担を軽くするための常温時の柔軟性、給湯時に必要な高温時の強度(耐圧性,耐久性等)などが求められている。
架橋ポリエチレンパイプの上記の性能を向上させるためには、原料ポリエチレン系樹脂の平均密度(結晶化度)を増大させる必要がある。しかし、原料ポリエチレン系樹脂の平均密度を増大させると、同時に弾性率も増大することとなり、これに伴い可撓性が損なわれてしまうという問題が生じる。
そこで、この問題を解決する方法として、シングルサイト触媒によって重合されたポリエチレン系樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物のシラン架橋体からなる架橋ポリエチレンパイプに関する提案(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3 参照)がある。
特開平11−248046号公報 特開2000−9265号公報 特開2003−74753号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐久性、外観、押出し成型性に優れる給水給湯パイプに適したポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記に示す特定の性状を有するポリエチレンを使用して特定の条件で製造することにより、その目的に適合しうることを見いだし、本発明をなすに至った。
即ち、ポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法に係る発明は以下の通りである。
[1] 下記(a−1)〜(a−6)の要件を満たすポリエチレンをベース樹脂として用い、下記の工程を含むポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法であって、
(1)該ベース樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部の有機不飽和シラン化合物、0.01〜5重量部の有機過酸化物、0.005〜10重量部のシラノール縮合触媒との混合物を押出機内で加熱しながら溶融・混練・反応させ、パイプ状に押出す工程、
(2)その後押出されたパイプ状物を加熱して、シラノール縮合反応によりシラン架橋させる工程、
押出機中で、
1)有機過酸化物の1分間半減期温度より10℃以上低い温度で混合物をシラングラフト反応ゾーン前まで送り、
2)混合物の溶融・混練・シラングラフト反応を同時にシラングラフト反応ゾーンで行う、ことを特徴とするポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法。
(a−1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である、
(a−2)密度が935〜960kg/mである、
(a−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である、
(a−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定において、Mw/Mnが3.5〜5.5である(Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量であり、Mw/Mnは分子量分布である。)、
(a−5)ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合わせた測定において、logMwが3.5〜5.5のときの短鎖分岐数:n(n/1000C)が3〜25である、
(a−6)温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置を用いた測定における、
(1)ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の微分表示において、
1)最大溶出量を示す極大点温度TWmaxが81℃〜105℃の範囲内にある、
2)最大溶出量を示す極大点温度TWmaxより30℃低い温度(TWmax−30)℃とTWmaxより15℃低い温度(TWmax−15)℃との間に溶出される総溶出量の分子量分布の微分表示において1個の極大点を有する、
3)極大溶出量を示す極大点温度TWが81℃〜105℃の範囲内に少なくとも2個存在する、
4)81℃〜105℃の範囲内に少なくとも2個存在する極大点温度TWの内、最も小さい極大点温度TW1と最も大きい極大点温度TW2の温度差が10℃以内である、
(2)ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の積分表示において、
5)前記極大点温度TW1に昇温するまでに溶出される量が総溶出量の30wt%以上である。
[2] さらに、ポリエチレンが下記の特徴を有する[1]に記載のシラン架橋パイプ用ポリエチレンの製造方法。
(a−6)温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置を用いた測定における、
(3)50℃から前記極大点温度TW1との間に溶出される溶出分の分子量分布の積分表示において、
6)分子量Mの成分の重量の全体の重量に対する割合をwとすると、logM=4以上のときのwが30%を超える。
[3] ポリエチレンが、メタロセン担持触媒[I]を予め水素と接触させた後、液体助触媒成分[II]と共に用いて重合してなるポリエチレンである[1]又は[2]に記載のシラン架橋パイプ用ポリエチレンの製造方法。
本発明のシラン架橋パイプ用ポリエチレンの製造方法を採用することにより、耐久性、外観、押出し成型性に優れたシラン架橋パイプを得ることができる。
実施例1において、分子量と短鎖分岐数n:(n/1000C)との関係を示す図。 実施例1の分子量分布を温度および分子量で三次元に表現した立体図。 実施例1のポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の微分表示において、50℃から最も小さい極大点温度TW1との間に溶出される溶出分の分子量分布の微分表示および積分表示図。 2軸押出機の縦断面図。
以下、本願発明について具体的に説明する。
先ず本発明のシラン架橋パイプ用ポリエチレンについて説明する。
本発明におけるシラン架橋パイプ用ポリエチレンは、下記(a−1)〜(a−6)の要件を満たすものである。
(a−1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である、
(a−2)密度が935〜960kg/mである、
(a−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である、
(a−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定において、Mw/Mnが3.5〜5.5である(Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量であり、Mw/Mnは分子量分布である。)、
(a−5)ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合わせた測定において、logMwが3.5〜5.5のときの短鎖分岐数:n(n/1000C)が3〜25である、
(a−6)温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置を用いた測定における、
(1)ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の微分表示において、
1)最大溶出量を示す極大点温度TWmaxが81℃〜105℃の範囲内にある、
2)最大溶出量を示す極大点温度TWmaxより30℃低い温度(TWmax−30)℃とTWmaxより15℃低い温度(TWmax−15)℃との間に溶出される総溶出量の分子量分布の微分表示において1個の極大点を有する、
3)極大溶出量を示す極大点温度TWが81℃〜105℃の範囲内に少なくとも2個存在する、
4)81℃〜105℃の範囲内に少なくとも2個存在する極大点温度TWの内、最も小さい極大点温度TW1と最も大きい極大点温度TW2の温度差が10℃以内である、
(2)ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の積分表示において、
5)前記極大点温度TW1に昇温するまでに溶出される量が総溶出量の30wt%以上である。
さらに、好ましくは、温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置を用いた測定における、
(3)50℃から前記極大点温度TW1との間に溶出される溶出分の分子量分布の積分表示において、
6)分子量Mの成分の重量の全体の重量に対する割合をwとすると、logM=4以上のときのwが30%を超える。
(シラン架橋パイプ用ポリエチレン)
シラン架橋パイプ用ポリエチレンは、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。
エチレンと共重合させる炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、6−メチル−1−ヘプテンなどが挙げられる。α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、特に1−ブテンが好ましい。
共重合体としては、エチレンと1種類のα−オレフィンとの共重合体であってもよく、エチレンと2種類以上を組合わせたα−オレフィンとの共重合体であってもよい。シラン架橋パイプ用ポリエチレンとしては、エチレンとα−オレフィンの共重合体とエチレンと別のα−オレフィンとの共重合体を任意の比率で混合した共重合体であってもよい。
シラン架橋パイプ用ポリエチレンの密度は、935〜960kg/mである。好ましくは938〜955kg/mであり、より好ましくは940〜950kg/mである。
シラン架橋パイプ用ポリエチレンの密度が935kg/m 以上であれば、パイプの耐圧・耐久性能が低下する懸念が解消される。一方、960kg/m 以下であれば、パイプの剛性が増大して柔軟性が低下し配管施工性が損なわれるという懸念が解消される。よって、耐圧・耐久性能と配管施工性とを両立させるためには上記の密度範囲が好ましい。
シラン架橋パイプ用ポリエチレンのメルトフローレート(以下、MFRと略す。)は架橋前において0.1〜10g/10分であり、好ましくは1.0〜8g/10分である。さらに好ましくは2.0〜5.0g/10分である。MFRが0.1g/10分以上であれば、メルトフラクチャーが発生しにくく押出し成型加工性も優れる。一方、10g/10分以下であれば、ポリエチレンのベース樹脂の分子量が低下することもなく、本発明における耐圧・耐久性能が達成できる。
シラン架橋パイプ用ポリエチレンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定において、分子量分布:Mw/Mnが3.5〜5.5であり、好ましくは4.0〜5.0の範囲である。(ただし、Mn:数平均分子量、Mw:重量平均分子量)
シラン架橋パイプ用ポリエチレンの分子量分布が、上記範囲内にあれば、分子量の均一性に起因して、結晶構造が均一となるため、結晶と結晶とを結ぶタイ分子が増大し、高温時の強度(耐圧性,耐久性等)が従来の架橋ポリエチレンパイプよりも向上する。
本発明のシラン架橋パイプ用ポリエチレンは、ポリエチレン主鎖中にエチレン以外の共重合しているα−オレフィンが分子量に因らず均一に分布した構造を有していることが望ましい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合わせた測定において、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C:1000個のカーボン単位における短鎖分岐数n個を示す。)は3〜25であり、好ましくは5〜10の範囲である。短鎖分岐数:nが3以上の場合は、パイプのゲル分率が高く、高温下での耐圧・耐久性能に優れる。短鎖分岐数:nが25以下であれば、シラン架橋パイプ用ポリエチレンの密度が低下することもなく、パイプの耐圧・耐久性能に優れる。logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C)が分子量によらず同等であるものが望ましい。
従来のチーグラーナッター触媒を用いて重合されたエチレンとα−オレフィンの共重合体の場合は、α−オレフィンが低分子量成分に多く含有されており、この為にパイプの耐圧・耐久性能は十分なものではない。
ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定は、具体的には、Waters社製150−C ALC/GPC装置、カラムとしてはShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、溶媒に10ppmのイルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製酸化防止剤)を含むトリクロロベンゼンを用いて、140℃で分子量分布を測定することができる。さらにFT−IRは、検出器パーキンエルマー(株)社製FT−IR17600Xを設置してα−オレフィンに帰属されるメチル基の吸光度(吸収波数:2960cm−1)を測定して「高分子分析ハンドブック(朝倉書店発行)」に記載の方法で換算して短鎖分岐数n (n/1000C)を求めた。図1は、実施例1で使用するシラン架橋パイプ用ポリエチレンにおける分子量と短鎖分岐数n:(n/1000C)との関係を示す。シラン架橋パイプ用ポリエチレンに関して、温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置を用いた測定は、市販の装置を用いて、次のように行われる。すなわち、J.Appl.Polym.Sci.,26,4217(1981)に記載されている原理に基づき、まず対象とするポリエチレンを140℃で溶媒に完全に溶解し、140℃から0℃まで−1℃/分で冷却後、0℃で30分間保持した後測定を行う。測定は、段階的に昇温して、各温度において溶出した成分を分取していき、各温度毎の溶出成分について個別にゲルパーミエーションクロマトグラフの測定を行い、溶出温度毎の分子量分布プロファイルを得る。得られた溶出温度毎の分子量分布プロファイルを全て加算することで、そのポリエチレン全体の分子量分布プロファイルを得ることができる。そのデータより、ポリエチレン全体のMn(数平均分子量)およびMw(重量平均分子量)が求められる。前記溶出温度毎のあるいはポリエチレン全体の分子量分布を表す場合、一般にlogM(Mは分子量)とw(分子量Mの成分の重量の全体の重量に対する割合をw)との関係として表した積分表示、およびその曲線を微分した微分表示という形で表される。また同様に、溶出温度をある範囲に限定し、その温度範囲内における溶出分についても同様に表示することができる。
本発明を実施例1によって説明する。図2は実施例1の各溶出温度における溶出成分についての分子量分布を三次元的に表示したものである。また最大溶出量を示す温度TWmaxは、総溶出分を温度ごとにプロットした図3において、最大溶出量を示す温度である。本発明においてはこの温度が81〜105℃の温度範囲にあることが必要である。最大溶出量を示す温度TWmaxより30℃低い温度(TWmax−30)℃とTWmaxより15℃低い温度(TWmax−15)℃との間に溶出される総溶出分の分子量分布を求めることができる。
その分子量分布の微分表示において1個の極大点を有していることが必要である。
さらに、図2において、極大溶出量を示す極大点温度TWが81℃〜105℃の範囲内に少なくとも2個存在すること、81℃〜105℃の範囲内に少なくとも2個存在する極大点温度TWの内、最も小さい極大点温度TW1と最も大きい極大点温度TW2の温度差が10℃以内であることが必要である。このようなシラン架橋パイプは耐圧・耐久性能に優れており、給水給湯パイプに好適に使用できる。
ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の積分表示において、前記極大点温度TW1までに溶出される量が総溶出量の30wt%以上であることことが必要である。
さらに、好ましくは、50℃から前記極大点温度TW1との間に溶出される溶出分の分子量分布の積分表示において、分子量Mの成分の重量の全体の重量に対する割合をwとすると、logM=4以上のときのwが30%を超えることが必要である。このようなシラン架橋パイプは耐圧・耐久性能に優れており、給水給湯パイプに特に好適に使用できる。
上記の特定のシラン架橋パイプ用ポリエチレンは、従来のチーグラーナッター触媒を用いて製造することは困難である。特定のメタロセン触媒を用い、かつ特殊な製造方法を採用することにより製造することができるものである。
本発明のシラン架橋パイプ用ポリエチレンの製造方法としては、メタロセン担持触媒[I]を予め水素と接触させた後、液体助触媒成分[II]と共に重合反応器へ導入し、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合を行う方法が挙げられる。
重合法は公知の各種方法を使用でき、例えば、不活性ガス中での流動床式気相重合または撹拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などが挙げられる。重合法としては、低分子重合体の樹脂への取り込みを制限するために不活性溶媒中でのスラリー重合が最も好ましい。
不活性溶媒としては、好ましくは炭素数が6以上かつ10以下の不活性溶媒、例えば、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタンなどが挙げられる。
(メタロセン担持触媒[1])
メタロセン担持触媒[I]としては、(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、および(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤、から調製されたメタロセン担持触媒を用いることが好ましい。
(ア)担体物質としては、有機担体、無機担体のいずれでもよい。
有機担体としては、好ましくは、炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体、芳香族不飽和炭化水素重合体、および極性基含有重合体などが挙げられる。
炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体としては、例えば、エチレン樹脂、プロピレン樹脂、1−ブテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−1−ヘキセン共重合体樹脂、プロピレン−1−ブテン共重合体樹脂、およびエチレン−1−ヘキセン共重合体などが挙げられる。
芳香族不飽和炭化水素重合体としては、例えば、スチレン樹脂およびスチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂などが挙げられる。
極性基含有重合体としては、例えば、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、およびカーボネート樹脂などが挙げられる。
無機担体としては、好ましくは、無機酸化物、無機ハロゲン化物、無機の炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩、ならびに水酸化物などが挙げられる。
無機酸化物としては、例えば、SiO、Al、MgO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO,SiO−MgO、SiO−Al、SiO−MgO、およびSiO−Vなどが挙げられる。
無機ハロゲン化合物としては、例えば、MgCl、AlCl、およびMnClなどが挙げられる。
無機の炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩としては、例えば、NaCO、KCO、CaCO、MgCO、Al(SO、BaSO、KNO、Mg(NOなどが挙げられる。
水酸化物としては、例えば、Mg(OH)、Al(OH)、Ca(OH)などが挙げられる。
(ア)担体物質としては、SiOであることが好ましい。
担体の粒子径は任意であるが、粒子径分布としては、1〜3000μmであることが好ましく、粒子の分散性の見地から、粒子径分布は好ましくは10〜1000μmの範囲内である。
担体物質は必要に応じて(イ)有機アルミニウムで処理される。
(イ)有機アルミニウムとしては、一般式:(−Al(R)O−)(式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子および/またはRO基で置換されていてもよい。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。)で示される直鎖状または環状重合体などが挙げられる。
有機アルミニウムとしては、例えば、Rがメチル基、エチル基、イソブチルエチル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、およびイソブチルエチルアルモキサンなどが挙げられる。
有機アルミニウムとしては、上記以外にも、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウム、アルメニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアルミニウム、およびセスキアルキルハイドロアルミニウムなどが挙げられる。
トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、およびトリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。
ジアルキルハロゲノアルミニウムとしては、例えば、ジメチルアルミニウムクロライドおよびジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルハロゲノアルミニウムなどが挙げられる。
セスキアルキルハロゲノアルミニウムとしては、例えば、セスキメチルアルミニウムクロライドおよびセスキエチルアルミニウムクロライドなどが挙げられる。
その他、(イ)有機アルミニウムとしては、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、およびセスキエチルアルミニウムハイドライドなどを挙げることもできる。
有機アルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、およびジイソブチルアルミニウムハイドライドであることが好ましい。
(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物としては、下記式(1)で示される化合物が挙げられる。

上記式(1)中、Mは1つ以上の配位子Lとη結合をしている酸化数+2、+3、+4の長周期型周期律表第4族の遷移金属であり、遷移金属は、チタニウムが好ましい。Lは環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立にシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、またはオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基およびハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8の置換基を任意に有していてもよく、2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、ジラジイル、ハロシラジイル、アミノシランなどの2価の置換基により結合されていてもよい。
Xは各々独立に、60個までの非水素原子を有する、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、またはMおよびLに各々l個ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である。
X’は各々独立に、炭素数4〜40からなるホスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、および/または共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。lは1または2の整数である。
pは0〜2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子であるか、MおよびLに各々1個ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数よりもl以上少なく、XがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数よりもl+1以上少ない。
qは0、1または2の整数である。
環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物としては、上記式(1)でl=1である化合物が好ましい。
環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物の好適な化合物としては、下記式(2)で示される化合物が挙げられる。

上記式(2)中、Mは形式酸化数+2、+3または+4のチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、チタニウムであることが好ましい。
は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、またはこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。また、近接するR同士がヒドロカルバジイル、ジラジイル、またはゲルマジイルなどの2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
X”は各々独立に、ハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、またはシリル基であり、各々20個までの非水素原子を有しており、また2つのX”が炭素数5〜30の中性共役ジエンまたは2価の誘導体を形成してもよい。
Yは、O、S、NR、またはPRである。
ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR 、またはGeR である。
は各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基である。
nは1〜3の整数である。
環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物のより好適な化合物としては、下記式(3)または下記式(4)で示される化合物が挙げられる。


上記式(3)および式(4)中、Mはチタニウム、ジルコニウム、またはハフニウムであり、チタニウムであることが好ましい。
は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、またはこれらの複合基であり、各々20までの非水素原子を有することができる。
Z、Y、XおよびX’は、は前出のとおりである。
pは0〜2の整数であり、qは0または1の整数である。
但し、pが2でqが0の場合、Mの酸化数は+4であり、かつXはハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基またはこれらの複合基であり、20個までの非水素原子を有している。また、pが1でqが0の場合、Mの酸化数は+3であり、かつXはアリル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基、または2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配位子であるか、またはMの酸化数が+4であり、かつXが2価の共役ジエンの誘導体であるか、またはMとXが共にメタロシクロペンテン基を形成している。さらに、pが0でqが1の場合、Mの酸化数は+2であり、かつX’は中性の共役または非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素で置換されていてもよく、X’は40までの炭素原子を含み得るものであり、Mとπ型錯体を形成している。
環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物のさらに好適な化合物としては、下記式(5)または下記式(6)で示される化合物が挙げられる。


上記式(5)および式(6)中、Mはチタニウムである。
は各々独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基である。
Yは、O、S、NR、またはPRであり、Zは、SiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR、またはGeR である。
は各々独立に、水素、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基またはこれらの複合基であり、Rは20個までの非水素原子を有することができ、必要に応じてZ中の2つのR同士またはZ中のRとY中のRが環状となっていてもよい。
pは0〜2の整数であり、qは0または1の整数である。
但し、pが2でqが0の場合、Mの酸化数は+4であり、かつXは各々独立に、メチル基またはヒドロベンジル基である。また、pが1でqが0の場合、Mの酸化数は+3であり、かつXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、またはMの酸化数が+4であり、かつXが2−ブテン−1,4−ジイルである。さらに、pが0でqが1の場合、Mの酸化数は+2であり、かつX’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。
前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤(以下、単に「(エ)活性剤」と記載する場合がある。)としては、例えば、下記式(7)で示される化合物が挙げられる。
メタロセン担持触媒[I]においては、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と上記(エ)活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。

上記式(7)中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
[Md−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属またはメタロイドであり、Qは各々独立に、ヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、または炭素数20個までの置換炭化水素基である。但し、ハライドであるQは1個以下である。
mは1〜7の整数であり、tは2〜14の整数であり、dは1〜7の整数であり、t−m=dである。
活性化剤の好適な化合物としては、下記式(8)で示される化合物が挙げられる。

上記式(8)中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
[M(G(T−H)d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属またはメタロイドであり、Qは各々独立に、ヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、または炭素数20個までの置換炭化水素基である。但し、ハライドであるQは1個以下である。
GはMおよびTと結合するr+1の価数を持つ多価炭化水素基であり、TはO、S、NRまたはPRであり、Rはヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、もしくは水素である。
mは1〜7の整数であり、wは0〜7の整数であり、uは0または1の整数であり、rは1〜3の整数であり、zは1〜8の整数であり、w+z−m=dである。
活性化剤のより好適な化合物としては、下記式(9)で示される化合物が挙げられる。

上記式(9)中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
[BQは相溶性の非配位性アニオンであり、Bはホウ素原子、Qはペンタフルオロフェニル基であり、Qは置換基としてOH基を1つ有する炭素数6〜20の置換アリール基である。
本実施の形態において、相溶性の非配位性アニオンとしては、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)フェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオロメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレートなどが挙げられ、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートであることが好ましい。
相溶性の非配位性アニオンとしては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHRで置き換えられたボレートを挙げることができる。ここでRは、メチル基、エチル基またはt−ブチル基であることが好ましい。
本実施の形態において、プロトン付与のブレンステッド酸としては、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n−オクチル)アンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチルアンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイコシルメチルアンモニウム、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウムなどのようなトリアルキル基置換型アンモニウムカチオンが挙げられ、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルベンジルアニリニウムなどのようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンなども挙げられる。
(液体助触媒成分[II])
本実施の形態において、液体助触媒成分[II]は下記式(10)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物[III−1](以下、単に「有機マグネシウム化合物[III−1]」と記載する場合がある。)とアミン、アルコール、シロキサン化合物から選ばれる化合物[III−2](以下、単に「化合物[III−2]」と記載する場合がある。)との反応によって合成される、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。

上記式(10)中、Mは周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、RおよびRは炭素数2〜20の炭化水素基であり、a、b、c、dは次の関係を満たす実数である。
0≦a、0<b、0≦c、0≦d、c+d>0、かつe×a+2b=c+d(eはMの原子価である。)
有機マグネシウム化合物[III−1]と化合物[III−2]との反応には特に制限はないが、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素および/またはベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などの不活性反応媒体中、室温〜150℃の間で反応させることが好ましい。
液体助触媒成分を製造する反応において添加する順序については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物[III−1]中に化合物[III−2]を添加する方法、化合物[III−2]に有機マグネシウム化合物[III−1]を添加する方法、または両者を同時に添加する方法のいずれの方法を用いてもよい。
有機マグネシウム化合物[III−1]と化合物[III−2]との反応比率については特に制限はないが、反応により合成される液体助触媒成分[II]に含まれる全金属原子に対する化合物[III−2]のモル比が0.01〜2であるように化合物[III−2]を添加することが好ましく、0.1〜1であることがより好ましい。
本実施の形態において、液体助触媒成分[II]は不純物のスカベンジャーとして用いられる。液体助触媒成分[II]は、高濃度であっても重合活性を低下させることが少なく、したがって広い濃度範囲で高い重合活性を発現させることができる。このため液体助触媒成分[II]を含むオレフィン重合用触媒は、重合活性の制御が容易である。
液体助触媒成分[II]は1種で使用してもよいし二種類以上混合して使用してもよい。
重合に使用する際の液体助触媒成分[II]の濃度については特に制限はないが、液体助触媒成分[II]に含まれる全金属原子のモル濃度が0.001mmol/リットル以上10mmol/リットル以下であることが好ましく、0.01mmol/リットル以上5mmol/リットル以下であることがより好ましい。
該モル濃度が0.001mmol/リットル以上であれば、不純物のスカベンジャーとしての作用を十分に発揮することができ、10mmol/リットル以下であれば、重合活性を十分に発揮させることができる。
有機マグネシウム化合物[III−1]は上記式(10)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。
上記式(10)として、有機マグネシウム化合物[III−1]は、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、(RMgおよびこれらと他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号a、b、c、dの関係式e×a+2b=c+dは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
上記式(10)中、RおよびRの炭素数2〜20の炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基であり、アルキル基であることが好ましく、一級アルキル基であることがより好ましい。
a>0の場合、金属原子Mとしては、周期律表第1〜3族からなる群に属する金属元素が使用でき、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどが挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。
金属原子Mに対するマグネシウムのモル比b/aには特に制限はないが、0.1以上50以下の範囲が好ましく、0.5以上10以下の範囲がより好ましい。
a=0の場合、有機マグネシウム化合物[III−1]が炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物であることが好ましく、上記式(10)のRおよびRが次に示す三つの群(i)、(ii)、(iii)のいずれか一つであることがさらに好ましい。
(i)RおよびRの少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であり、好ましくはRおよびRが共に炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基である。
(ii)RおよびRが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であり、好ましくはRが炭素原子数2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数4以上のアルキル基である。
(iii)RおよびRの少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であり、好ましくはRおよびRが共に炭素原子数6以上のアルキル基である。
(i)において炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−エチルプロピル基などが挙げられ、1−メチルプロピル基が好ましい。
(ii)において炭素原子数2または3のアルキル基としては、エチル基、プロピル基が挙げられ、エチル基が好ましい。また、炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられ、ブチル基、ヘキシル基が好ましい。
(iii)において炭素原子数6以上の炭化水素基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基などが挙げられ、アルキル基である方が好ましく、ヘキシル基であることがより好ましい。
有機マグネシウム化合物[III−1]として、一般にアルキル基の炭素原子数を増やすと炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘性が高くなる傾向であり、必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。有機マグネシウム化合物[III−1]は炭化水素溶液として用いられるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミンなどのコンプレックス化剤をわずかに含有してもよく、また、該溶液中に該コンプレックス化剤が残存していても差し支えなく用いることができる。
化合物[III−2]は、アミン、アルコール、シロキサン化合物からなる群に属する化合物である。
アミン化合物としては、特に制限はないが、脂肪族、脂環式または芳香族アミンが挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、
エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジンなどが挙げられる。
アルコール化合物としては、特に制限はないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−メチルペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−エチル−4−メチル−1−ペンタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−エチル−5−メチル−1−オクタノール、1−オクタノール、1−デカノール、シクロヘキサノール、フェノールが挙げられ、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノールおよび2−エチル−1−ヘキサノールが好ましい。
シロキサン化合物としては、特に制限はないが、下記式(11)で示される構成単位を有するシロキサン化合物が挙げられる。
シロキサン化合物は1種類または2種類以上の構成単位から成る2量体以上の鎖状または環状の化合物の形で用いることができる。

上記式(11)中、RおよびRは、水素、炭素原子数1〜30の炭化水素基または炭素原子数1〜40の置換された炭化水素基なる群より選ばれる基である。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、特に制限はないが、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基、ビニル基が挙げられる。炭素原子数1〜40の置換された炭化水素基としては、特に制限はないが、トリフルオロプロピル基が挙げられる。
シロキサン化合物として、対称ジヒドロテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、ペンタメチルトリヒドロトリシロキサン、環状メチルヒドロテトラシロキサン、環状メチルヒドロペンタシロキサン、環状ジメチルテトラシロキサン、環状メチルトリフルオロプロピルテトラシロキサン、環状メチルフェニルテトラシロキサン、環状ジフェニルテトラシロキサン、(末端メチル封塞)メチルヒドロポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、(末端メチル封塞)フェニルヒドロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが好ましい。
有機不飽和シラン化合物としては、従来公知のシラン架橋し得るものであれば何でもよく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等があげられる。特にビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好ましい。
有機不飽和シラン化合物は、ポリエチレン製シラン架橋パイプ成形用のポリエチレン100重量部に対して、0.5〜10重量部、好ましくは0.8〜5重量部、さらに好ましくは1.0〜3重量部である。0.5重量部以上であれば、シラン架橋パイプのゲル分率が高く、パイプの高温下での耐圧・耐久性能に優れ、10重量部以下であれば、シラン架橋パイプのゲル分率が適度かつ多量の目やにの発生を抑えてパイプの外観、光沢が良好であり、パイプ押出し時の負荷の上昇等の発生もなく、パイプの押出し成型加工性が良好となる。
有機過酸化物としては、既に公知のジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−オキシ)−ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチル−オキシ−イソプロピル)−ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、4,4,−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレリツク酸−ブチルエステル、1,1−ジ−(tーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、ジシクロベンゾパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、分子中に2重結合基とパーオキサイド基を有する化合物等があげられ、特にジクミルパーオキサイドと2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−オキシ)−ヘキシン−3が好ましい。
有機過酸化物は、ポリエチレン製シラン架橋パイプ成形用のポリエチレン100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.03〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。0.01重量部以上であれば、有機不飽和シラン化合物のグラフト反応が進行し、5重量部以下であれば、有機過酸化物によりエチレン重合体中に生成の恐れがあるラジカルが再結合することなく、不均一架橋が進行せず、パイプの押出し成型加工性が著しく低下することもない。又有機過酸化物を多量に使用した場合、シラン架橋パイプの通水中に有機過酸化物の臭気がする。
シラノール縮合触媒は、温水又は水蒸気の存在下でエチレン重合体にグラフトした有機不飽和シラン化合物を架橋させる。シラノール縮合触媒としては、既に公知のジブチルスズジラウリレート、酢酸第一スズ、カプリル酸第一スズ、ナフテン酸スズ、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトラブチルエステル、エチルアミン、ジブチルアミン、特にジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルオクテートが挙げられる。
これらシラノール縮合触媒の使用方法は特に限定されない。
特にポリエチレン製シラン架橋パイプ成形用のポリエチレン、有機不飽和シラン化合物、有機過酸化物の組成物にシラノール縮合触媒を添加する場合は、該ポリエチレンベース樹脂100重量部に対して0.005〜10重量部、好ましくは0.008〜1重量部、さらに好ましくは0.01〜0.1重量部である。0.005重量部以上では、シラン架橋に長時間を要すことなく十分なゲル分率が得られるため高温下でのパイプの耐圧・耐久性能に優れる。一方10重量部以下であれば、ポリエチレン製シラン架橋パイプに通水した場合に、水中にシラノール縮合触媒が溶出するという問題も起き難い。
本発明のポリエチレン製シラン架橋パイプは、ポリエチレンをベース樹脂として用い、該ベース樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部の有機不飽和シラン化合物と、0.01〜5重量部の有機過酸化物、シラノール縮合触媒が0.005〜10重量部との混合物を押出機内で加熱しながら溶融・混練・反応させ、パイプ状に押出した後に加熱して、さらにシラノール縮合反応によりシラン架橋させながら反応させて得られる。
次に本発明のポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法について説明する。
本発明におけるポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法とは、反応が可能な連続式の押出機等を用い、押出し機の供給口にポリエチレンをベース樹脂に有機不飽和シラン化合物、有機過酸化物、シラノール縮合触媒、また、必要に応じて酸化防止剤などの添加剤を配合した混合物を投入し、押出機等の反応機内で加熱しながら溶融、混練、シラングラフト反応といった工程を経て、パイプ状に押出し、例えば85〜95℃の温水中にてシラノール縮合反応を促進させる架橋処理を施すことでポリエチレン製シラン架橋パイプを得る事が出来る方法である。このような方法をポリエチレン製シラン架橋パイプの一段製造法と呼んでいる。
詳細には、上記混合物を供給口より投入する際、有機過酸化物の1分間半減期温度より10℃以上低い温度で混合物をシラングラフト反応ゾーンの前まで加温しながら送ることである。好ましくは、供給部・圧縮部で樹脂送りする温度が、(「有機過酸化物の1分間半減期温度」−10℃)〜(「有機過酸化物の1分間半減期温度」−30℃)であることが好ましい。(「有機過酸化物の1分間半減期温度」−10℃)の温度以下であれば、シラングラフト反応が不均一に起こることもなく、この条件で作成したシラン変性ポリエチレン組成物を用いたポリエチレン製シラン架橋パイプの外観も良好である。また、(「有機過酸化物の1分間半減期温度」−30℃)の温度以上であれば、ニーディングディスク部で混合物を均一に溶解でき、押出負荷も高くなる懸念も解消され、押出し成型加工性が良好となる。
使用する押出機は、単軸押出機が好ましく、供給部、圧縮部、計量部の3つのゾーンから構成されている。押出機内においてシラングラフト反応が起こるのは、計量部のゾーンであり、この計量部のゾーンにおいて混合物の溶融・混練・シラングラフト反応を短時間で同時に行うことである。混合物が計量部に送られてきたと同時に、せん断発熱により混合物が溶融・混練し、有機過酸化物の1分間半減期温度を超えて、シラングラフト反応が起こる。この一連の混合物の溶融・混練・シラングラフト反応は、極めて短時間(数分の1秒〜数秒)であるため、シラングラフト反応が均一に起こり、この条件で作成したポリエチレン製シラン架橋パイプの外観が良好である。
このポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法において、融点の低い直鎖状低密度ポリエチレンはもちろん、融点の高い直鎖状高密度ポリエチレンにおいても適用でき、有機過酸化物の1分間半減期温度と直鎖状高密度ポリエチレンの融点との温度差が非常に小さいにも関わらず、ポリエチレン製シラン架橋パイプの外観が良好である。
また別の製造方法として、ポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法は第一工程にて該ポリエチレンベース樹脂に有機不飽和シラン化合物、有機過酸化物、シラノール縮合触媒と必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を配合し、押出機内で加熱しながら溶融、混練の工程を経て、ストランド状に押出し、これを冷却、カッティングすることで、一旦ペレット状のシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物を得る。さらに第二工程にて、シラン変性ポリエチレン系樹脂組成物をパイプ状に押出し、例えば85〜95℃の温水中にてシラノール縮合反応を促進させる架橋処理を施すことでポリエチレン製シラン架橋パイプを得ることもできる。
ここでシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物とは、特定のポリエチレンをベース樹脂として用い、該ベース樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部の有機不飽和シラン化合物と、0.01〜5重量部の有機過酸化物、シラノール縮合触媒が0.005〜10重量部を含有されたペレット状で得られたものである。
シラン変性ポリエチレン系樹脂組成物の製造方法とは、反応が可能な連続式の押出機等を用い、押出し機の供給口にポリエチレンをベース樹脂に有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物、シラノール縮合触媒、また、必要に応じて酸化防止剤などの添加剤を配合し、押出機等の反応機内で加熱しながら溶融、混練、シラングラフト反応といった工程を経て、ストランド状に押出し、これを冷却、カッティングすることで、ペレット状のシラン変性ポリエチレン系樹脂組成物を得る事が出来る方法である。詳細な方法は、ポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法と同等である。
本発明の架橋処理を施したポリエチレン製シラン架橋パイプはゲル分率が65%以上であることが好ましい。このゲル分率は、重合体中の有機不飽和シラン化合物が均一にグラフトされ、さらにそのシラン基がシラノール縮合触媒により、均一に架橋した場合に高い値となる。経験的にゲル分率が高いシラン架橋パイプは短期および長期の熱間内圧クリープ等の機械強度に優れ、パイプの耐圧・耐久性能が優れることが知られているが、従来のエチレン重合体において、高いゲル分率を得るためには、多量の有機不飽和シラン化合物を用いる必要がある。しかも従来、エチレン重合体を用いたシラン架橋パイプにおいて高いゲル分率を達成してもパイプの耐圧・耐久性能が満足のいくものではない。
一方、本発明で用いる特定のポリエチレンは有機不飽和シラン化合物の少量の添加量でも高いゲル分率が得られ、充分なゲル分率を有するためパイプの耐圧・耐久性に優れる。
以下にシラン架橋体ならびにポリエチレン製シラン架橋パイプのゲル分率の測定方法について説明する。
ポリエチレン製シラン架橋体またはポリエチレン製シラン架橋パイプ10g切削し、キシレン溶媒を用いてソックスレー抽出器で10時間抽出し、抽出残量を測定し、以下の式により求める。
本実施の形態のポリエチレン製シラン架橋パイプは、フェノール系安定剤及び/又は有機ホスファイト系安定剤、及び/又は有機チオエーテル系安定剤及び/又は高級脂肪酸の金属塩などの安定剤、顔料、染料、核剤、潤滑剤、カーボンブラック、タルク、ガラス繊維等の無機充填材あるいは補強材、難燃剤、中性子遮断剤等のポリオレフィンに添加される配合剤を本発明の目的をそこなわない範囲で添加する事ができる。またシラン架橋パイプからの未反応有機不飽和シラン化合物、シラノール縮合触媒、有機化酸化物の溶出を抑えるために、活性炭などの吸着剤を添加しても良い。
フェノール系安定剤としては2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−シクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジイソプロピル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−2−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート)メタン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、1,3,5−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)メタン、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニール)プロピオネート)メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルフェノール)プロピオン酸アルキルエステル、2,2−オキザミドビス(エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(2,4−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシル)プロピオネート)、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオノ−1,3,5−トリアジン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール)、ビス(3,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシド)グリコールエステル、4,4−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート、1,3,5−トリス((3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニールオキシエチル)イソシアヌレート、2−オクチルチオ−4,6−ジ(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,4−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)等が挙げられる。
有機ホスファイト系安定剤としてはトリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル−ジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ又はジノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイド、ビス(オクチルフェニル)ビス(4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール))1,6−ヘキサンオールジホスファイド、フェニル−4,4−イソプロピリデンジフェノールペンタエリスリトールジホスファイド、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイド、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイド、トリス((4,4、−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール))ホスファイド、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイド、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)ジ(ノニルフェニル)ホスファイド、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンジホスファイド等が挙げられる。
有機チオエーテル系安定剤としてはジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−などのジアルキルチオプロピオネート及びブチル−、オクチル−、ラウリル−、ステアリル−、等のアルキルチオプロピオン酸の多価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート)のエステル、(例えば、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート)が挙げられる。
さらに具体的にはジラウリルチオプロピオネート、ジミリスチルチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート等が挙げられる。
高級脂肪酸の金属塩としての安定剤は、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、カプリル酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、などの高級脂肪酸のマグネシウム、カルシウム、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが用いられる。
具体的な化合物を挙げると、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムオレイン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどである。
本発明のポリエチレン製シラン架橋パイプは、該ポリエチレンをベース樹脂として各種の添加剤を公知の方法を利用して混合することが出来る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、加熱ロール練り機等で溶融混合することにより得られる。
次に、実施例および参考例によって本発明を説明する。
以下、本実施の形態を実施例および比較例によって更に詳細に説明するが、本実施の形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる測定方法および評価方法は以下のとおりである。
(1)密度
JIS−K−7112:1999に準じて測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS−K−7210:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準じて測定した。
(3)分子量分布
Waters社製150−C ALC/GPCを用い、カラムとしてShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定を行った。溶媒に10ppmのイルガノックス1010を含むトリクロロベンゼンを用いて、140℃で測定する分子量分布測定装置で分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(4)短鎖分岐数(n)
ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合わせた測定を行った。
Waters社製150−C ALC/GPCを用いた。カラムとしてはShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、溶媒に10ppmのイルガノクス1010を含むトリクロロベンゼンをもちいて、140℃で測定する分子量分布測定装置に検出器パーキンエルマー(株)社製FT−IR17600Xを設置してα−オレフィンに帰属されるメチル基の吸光度(吸収波数:2960cm−1)を測定して「高分子分析ハンドブック(朝倉書店発行)1985年版」に記載の方法で換算して短鎖分岐数nを求めた。
(5)クロス分別法
温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置は三菱化学製クロス分別クロマトグラフCFCT105Aを用いて、各温度での溶出成分の分子量分布を測定した。測定条件は以下の通りである。
(測定条件)
カラム構成:Shodex AD−806M/S(昭和電工(株))
GPC測定温度:140℃
溶媒:オルト−ジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
試料濃度:0.4g/100ml(酸化防止剤のBHTを0.1%含む)
注入量:0.5ml検出器:赤外検出(3.42μ)
溶出温度:29フラクション
0,10,20,30,40,50,60,70,80,85,88,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99,100,110,120,130,140℃
コーティング:プレカラムへのコーティング条件は次のとおり
140℃から0℃へ、140分かけて冷却(−1℃/分)
分子量の換算 汎用較正曲線を使用し、ポリエチレンとして分子量に換算した。
(6)ゲル分率
ポリエチレン製シラン架橋パイプ10g切削し、キシレン溶媒をもちいてソックスレー抽出器で10時間抽出し、抽出残量を測定し以下の式により求める。

(7)耐圧性・耐久性
引張クリープ試験、JIS−K−7151法に準拠して5mmの厚みのプレスシートを成型し、そのシートから試験片(110mm*6mm)を切削加工し、この試験片に約0.5mm深さのノッチを全周に入れる。
上記ノッチ入り試験片を、80℃の温水中に浸漬し、サンプルに応じて引張応力が5〜8MPaとなるように、荷重を印加する。
○:破壊時間が1,000時間以上で引張応力が5MPa以上の場合。
×:破壊時間が1,000時間未満の場合もしくは1,000時間以上で引張応力が5MPa未満の場合
(8)パイプ外観
Reifenhauser社製単軸押出し機 RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)とパイプ状ダイを組合せた機器を利用パイプ状に押し出し真空成型、冷却を経て、外径約18mm、肉厚約2.5mmのパイプを得た。
○:パイプの肉厚に凹凸がなく、パイプ表面外観が目視にて良好な場合。
×:パイプが柔らかく蛇行した場合、パイプの肉厚に凹凸が生じパイプ表面外観が目視にて不良な場合。
(9)パイプの光沢
蛍光灯がついている部屋で、蛍光灯が上からパイプ表面に写りこむ(反射する)ようにし、表示部分を斜めから見て蛍光灯の像がゆがむ個所で反射光の強さを目視で観察して、以下の評価基準で評価した。
◎(最良好):反射光が明るく像がはっきりしている。
○(良好) :反射光が明るい。
△(不良) :反射光が暗い。
*パイプの光沢は実用上必須とは言えないが、ユーザーへの品質信頼度向上の目安となる。
(10)配管施工性
ポリエチレン製シラン架橋パイプ(外径約18mm、肉厚約2.5mm)の先端を地面に水平に固定し、もう一方の先端にバネ秤を付けて、曲げ半径150mm、曲げ角度90°まで地面から垂直に曲げる時の荷重を測定した。目標値は0.80MPa以下、好ましくは0.60MPa以下である。
[実施例1]
<樹脂サンプル作製>
[メタロセン担持触媒[I]の調製]
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiOであった。容量1.8リットルのオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800cc中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/リットル)を60cc加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800ccを得た。
一方、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」と記載する。)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1000ccに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した組成式AlMg(C(n−C12の1mol/リットルヘキサン溶液を20cc加え、更にヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/リットルに調整し、成分[V]を得た。
また、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と記載する。)5.7gをトルエン50ccに添加して溶解し、ボレートの100mmol/リットルトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/リットルヘキサン溶液5ccを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/リットルとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46ccを、上記で得られた成分[IV]のスラリー800ccに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上記で得られた成分[V]のうち32ccを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン担持触媒[I]を得た。
[液体助触媒成分[II]の調製]
有機マグネシウム化合物[III−1]として、AlMg(C(n−C12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[III−2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200ccのフラスコにヘキサン40ccとAlMg(C(n−C12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40ccを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
[ポリエチレン製シラン架橋パイプ成形用のポリエチレンであるエチレンとα−オレフィンとの共重合体の調製]
上記により得られたメタロセン担持触媒[I]と液体助触媒成分[II]は触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてヘキサン、モノマーとしてエチレン及びブテン−1を用いた。反応温度は70℃としてエチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.36、水素とエチレン+水素のモル比が0.0025を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaで、ポリエチレンであるエチレンとα−オレフィンとの共重合体を重合した。得られたポリエチレンであるエチレン−ブテン−1共重合体は密度が941kg/m、MFRが2.5g/10分であった。得られたポリエチレンであるエチレン−ブテン−1共重合体は密度が941kg/m、MFRが2.5g/10分、ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定による分子量分布:Mw/Mnが4.2、短鎖分岐数が5〜7であった。
温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置を用いた測定における、ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の微分表示において、最大溶出量を示す極大点温度TWmaxが90℃であることから81℃〜105℃の範囲内にあり、前記最大溶出量を示す温度TWmax:90℃より30℃低い温度(TWmax−30)℃:60℃と前記TWmaxより15℃低い温度(TWmax−15)℃:75℃との間に溶出される総溶出量の分子量分布の微分表示において1個の極大点を有している。
さらに温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置を用いた測定における、ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の微分表示において、極大溶出量を示す極大点温度TWが90℃と92℃であることから81℃〜105℃の範囲内にあり、少なくとも2個の極大点を有し、前記極大点温度における最も小さい極大点温度TW1:90℃と極大点温度における最も大きい極大点温度TW2:92℃の温度差が2℃であることから温度差が10℃以内であり、ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の積分表示において、前記極大点温度TW1:90℃までに溶出される量が36.6wt%であることから30wt%以上であり、50℃から前記極大点温度TW1:90℃との間に溶出される溶出分の分子量分布の積分表示において、logM=4以上のときのwが54.1%であることから30%を超える。
[架橋ポリエチレンパイプの作製]
上記エチレン−ブテン−1共重合体であるポリエチレン100重量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.0重量部、有機過酸化物としてパーヘキサ25B(日本油脂社製)0.1重量部、ジオクチルスズジラウリレート0.05重量部、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト〕メタンを0.2重量部、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンを0.25重量部、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.25重量部、リン系熱安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイトを0.05重量部、ステアリン酸カルシウムを0.15重量部をそれぞれ配合、ヘンシエルで混合し、Reifenhauser社製単軸押出し機RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)とパイプ状ダイを組合わせてポリエチレン系樹脂組成物をパイプ状に押し出し真空成型、冷却を経て、外径約18mm、肉厚約2.5mmのパイプを得た。その後、95℃の温水で加熱してシラノール縮合反応によりシラン架橋されたポリエチレン製シラン架橋パイプを得た。
パイプの押出し成型加工性は良好であり、パイプの特性は、ゲル分率が77.1%、引張クリープ試験が良いため耐圧・耐久性能は良好、外観は良好、光沢は最良好、配管施工性は引張り弾性率が0.53MPaで良好であった。
本発明は、耐圧性、耐久性、外観、光沢、押出し成型性および配管施工性に優れる給水給湯パイプ向けのポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法として好適である。

Claims (3)

  1. 下記(a−1)〜(a−6)の要件を満たすポリエチレンをベース樹脂として用い、
    下記の工程を含むポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法であって、
    (1)該ベース樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部の有機不飽和シラン化合物、0.01〜5重量部の有機過酸化物、0.005〜10重量部のシラノール縮合触媒との混合物を押出機内で加熱しながら溶融・混練・反応させ、パイプ状に押出す工程、
    (2)その後押出されたパイプ状物を加熱して、シラノール縮合反応によりシラン架橋させる工程、
    押出機中で、
    1)有機過酸化物の1分間半減期温度より10℃以上低い温度で混合物をシラングラフト反応ゾーン前まで送り、
    2)混合物の溶融・混練・シラングラフト反応を同時にシラングラフト反応ゾーンで行う、
    ことを特徴とするポリエチレン製シラン架橋パイプの製造方法。
    (a−1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である、
    (a−2)密度が935〜960kg/mである、
    (a−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である、
    (a−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定において、Mw/Mnが3.5〜5.5である(Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量であり、Mw/Mnは分子量分布である。)、
    (a−5)ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合わせた測定において、logMwが3.5〜5.5のときの短鎖分岐数:n(n/1000C)が3〜25である、
    (a−6)温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置を用いた測定における、
    (1)ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の微分表示において、
    1)最大溶出量を示す極大点温度TWmaxが81℃〜105℃の範囲内にある、
    2)最大溶出量を示す極大点温度TWmaxより30℃低い温度(TWmax−30)℃とTWmaxより15℃低い温度(TWmax−15)℃との間に溶出される総溶出量の分子量分布の微分表示において1個の極大点を有する、
    3)極大溶出量を示す極大点温度TWが81℃〜105℃の範囲内に少なくとも2個存在する、
    4)81℃〜105℃の範囲内に少なくとも2個存在する極大点温度TWの内、最も小さい極大点温度TW1と最も大きい極大点温度TW2の温度差が10℃以内である、
    (2)ポリエチレン総溶出量の溶解温度曲線の積分表示において、
    5)前記極大点温度TW1に昇温するまでに溶出される量が総溶出量の30wt%以上である。
  2. さらに、ポリエチレンが下記の特徴を有する請求項1に記載のシラン架橋パイプ用ポリエチレンの製造方法。
    (a−6)温度上昇溶離分別とゲルパーミエーションクロマトグラフを組合わせたクロス分別装置を用いた測定における、
    (3)50℃から前記極大点温度TW1との間に溶出される溶出分の分子量分布の積分表示において、
    6)分子量Mの成分の重量の全体の重量に対する割合をwとすると、logM=4以上のときのwが30%を超える。
  3. ポリエチレンが、メタロセン担持触媒[I]を予め水素と接触させた後、液体助触媒成分[II]と共に用いて重合してなるポリエチレンである請求項1又は2に記載のシラン架橋パイプ用ポリエチレンの製造方法。
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