JP2017066332A - エチレン−α−オレフィン共重合体及び樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】架橋パイプの製造時の目ヤニ発生を低減することができ、架橋後のゲル分率が高く、外観に優れ、低臭気の架橋パイプを製造することが可能なエチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれを含む樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明は、密度が930kg/m3以上960kg/m3以下であり、190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが0.5g/10min以上15g/10min以下であり、ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が100重量ppm以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−α−オレフィン共重合体及び樹脂組成物に関する。
近年、従来の金属材料に比べて耐腐食性や施工性に優れたプラスチックが、給水・給湯用の配管材料として用いられている。この中でも、特に耐圧強度や高温度領域での耐クリープ性に優れているシラン架橋ポリエチレンを用いることが主流となっている。
シラン架橋ポリエチレンを成形して得られるパイプ(以下、「架橋パイプ」、又は「パイプ」ともいう)は、主に以下に示す一段法又は二段法によって製造される。
一段法とは、ポリエチレン、有機不飽和シラン化合物、有機過酸化物及びシラノール縮合触媒を混合し、成形して得られるパイプを、水分の存在下で架橋する方法である。
二段法とは、予めポリエチレン、有機不飽和シラン化合物及び有機過酸化物を混合し、シラングラフト変性した変性ポリエチレンを製造する。次いで、該変性ポリエチレンにシラノール縮合触媒を混合した樹脂組成物を成形してパイプを製造し、水分の存在下で架橋する方法である。
これらの方法において、樹脂組成物中に低分子量成分が含まれると異臭の原因となることがあり、成形時の作業環境に影響を与える可能性が指摘されている。また、架橋パイプ中に残存した低分子量成分等が特有の刺激臭の原因となることがあり、給水給湯管として利用した場合、水に臭いがつき使用者に不快感を与える可能性が指摘されている。
このような臭いの低減対策として、これまで種々の試みがなされている(例えば特許文献1、2)。
また、樹脂組成物中に低分子量成分が含まれると、成形時において、押出機の出口に低分子量成分に由来する付着物が発生し、製品の外観及び性能が低下することがある。また、金型の内壁面に付着物が発生し、これが製品においてスジとなり、外観及び性能が低下すること等の問題が発生することがある。
このような押出機出口及び金型の内壁面に発生する付着物は、通称「目ヤニ」と呼ばれている。これはシラングラフト変性ポリエチレンを含有する混合物中に発生した、低分子量成分とシランとの反応物(揮発シラン)に起因する縮合体により形成されており、架橋反応には関与しないことが知られている。目ヤニ抑制のためには、シラン架橋反応を十分に進行させつつ有機不飽和シラン化合物の使用量を低減する、即ちシラングラフト変性効率を高める必要がある。また、有機不飽和シラン化合物自体が高価であり、経済的な理由からもその使用量の低減が必要とされている。
少量の有機不飽和シラン化合物で十分に架橋することが可能なエチレン−α−オレフィン共重合体を得るため、従来、シングルサイト触媒を使用して、コモノマー量及びコモノマー分布を制御することにより、ポリエチレンの架橋後のゲル分率(架橋反応の効率を表す指標)を上げる検討がなされている(例えば特許文献3)。
特開2008−163327号公報 特開平6−248089号公報 特開2011−12208号公報
しかしながら、特許文献1に記載の架橋ポリエチレン管及び特許文献2に記載の給水給湯用パイプは、臭いの低減が未だ不十分である。また、特許文献3に記載のシラン架橋パイプ用ポリエチレンは、有機不飽和シラン化合物の使用量の低減が未だ不十分であり、目ヤニ発生を抑制するためにさらなる改善が求められている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、架橋パイプの製造時の目ヤニ発生を低減することができ、架橋後のゲル分率が高く、外観に優れ、低臭気の架橋パイプを製造することが可能なエチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれを含む樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、特定のメルトフローレート及び密度を有し、かつヘキサンで抽出される所定の炭化水素成分の合計含有量が特定の範囲であるエチレン−α−オレフィン共重合体が、上記の課題を解決することができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
1. 以下の(1)〜(3)の要件を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体。
(1)密度が930kg/m3以上960kg/m3以下、
(2)190℃、2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.5g/10min以上15g/10min以下、
(3)ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が、100重量ppm以下。
2. 1000炭素中の二重結合量が0.1個以下である、上記1に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体。
3. ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(Mw/Mn)(Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量を表す)が3.0以上5.5以下である、上記1又は2に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体。
4. Al、Mg、Ti、Zr及びHfの合計含有量が20重量ppm以下である、上記1〜3のいずれかに記載のエチレン−α−オレフィン共重合体。
5. 上記1〜4のいずれかに記載のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂組成物。
6. 前記エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対し、有機過酸化物0.05〜1重量部及び有機不飽和シラン化合物0.1〜2.0重量部を含む、上記5に記載の樹脂組成物。
7. 酸化防止剤の含有量が100重量ppm以下である、上記5又は6に記載の樹脂組成物。
8. 架橋パイプに用いられる、上記5〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
10. 上記5〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる架橋パイプ。
担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いることを含む、上記1〜4のいずれかに記載のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
11. エチレンとα−オレフィンとを溶媒の存在下で共重合させて、エチレン−α−オレフィン共重合体と溶媒とを含むスラリーを得る工程と、
前記スラリーを60℃〜100℃の温度で貯留する工程と、
前記60℃〜100℃の温度で貯留したスラリーから溶媒を分離してエチレン−α−オレフィン共重合体を得る工程と、
を含む、エチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
本発明によれば、架橋パイプの製造時の目ヤニ発生を低減することができ、架橋後のゲル分率が高く、外観に優れ、低臭気の架橋パイプを製造することが可能なエチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれを含む樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔エチレン−α−オレフィン共重合体〕
本実施形態のエチレン−α−オレフィン共重合体は、密度が930〜960kg/m3であり、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.5g/10min以上15g/10min以下であり、ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が100重量ppm以下である。以下、上記要件について詳細に説明する。
〔密度〕
本実施形態におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、930kg/m3以上960kg/m3以下であり、好ましくは932kg/m3以上955kg/m3以下であり、より好ましくは935kg/m3以上950kg/m3以下である。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、主にエチレンと共重合する他のα−オレフィン(コモノマーともいう)の導入量等によって調整することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が930kg/m3以上であると、パイプの耐圧性が向上する。また、低分子量成分が減少するという観点からも好ましい。一方、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が960kg/m3以下であると、架橋後のゲル分率が低下することを抑えることができるとともに、剛性と柔軟性のバランスを取ることができ、配管施工性にも優れる。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔メルトフローレート〕
本実施形態におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)は、0.5g/10min以上15g/10min以下であり、好ましくは1.0g/10min以上10g/10min以下であり、より好ましくは2.0g/10min以上8g/10min以下である。
エチレン−α−オレフィン共重合体の190℃、2.16kgのメルトフローレートは、主に分子量により調整することができ、重合時に水素を存在させる等によって調節することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の190℃、2.16kgのメルトフローレートが0.5g/10min以上であると、溶融成形時の樹脂圧及びシェアを低減することができるため、メルトフラクチャー(成形品の表面が波立つ現象)が発生しにくく、押出成型加工性に優れる。一方、エチレン−α−オレフィン共重合体の190℃、2.16kgのメルトフローレートが15g/10min以下であると、得られた架橋パイプの機械強度が向上する。更に、目ヤニの原因となる低分子量成分を低減するという観点からも好ましい。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体の190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートは実施例に記載の方法により測定することができる。
〔ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計量〕
本実施形態において、エチレン−α−オレフィン共重合体からヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計量は100重量ppm以下(0重量ppmを含む)である。好ましくは70重量ppm以下であり、より好ましくは50重量ppm以下である。炭素数12以上34以下の炭化水素成分は、シラングラフト変性反応及びシラン架橋反応が進行してもゲル分率の向上には寄与せず、目ヤニの原因となる低分子量のシラン変性物が生成する原因となる。
エチレン−α−オレフィン共重合体から抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計量は、例えば、後述する重合触媒を使用して、重合条件等を適宜調整することで制御することができる。具体的には、(1)エチレンガス、溶媒、重合触媒等を連続的に重合装置内に供給し、生成したエチレン−α−オレフィン共重合体を連続的に排出する連続式スラリー重合にすること、(2)重合触媒を予め水素と接触させた後に重合装置内に添加すること、(3)触媒導入ライン出口を、エチレン導入ラインの出口から可能な範囲で離れた位置にすること等により急な重合を抑制することで、炭素数12以上34以下の炭化水素成分の生成を抑制することができる。
また、炭素数6以上8以下の炭化水素溶媒を重合時に使用することによって炭素数12以上34以下の炭化水素成分の生成を低減することができる。このとき、重合後にスラリーから遠心分離法によってエチレン−α−オレフィン共重合体と溶媒を分離することが好ましく、その際に遠心分離器へのフィード温度を上げることが好ましい。さらに、溶融混練時の樹脂温度を190℃以下の低温にすることで炭素数12以上34以下の炭化水素成分の生成を抑制することもできる。
これらの中でも、重合後のスラリーを遠心分離器へフィードする際の温度を上げることが特に有効である。スラリーを遠心分離器へフィードする際にも重合触媒は活性を保っているため、温度が高いと異常重合を起こす可能性が高くなる。そのためフィード時の温度は低く抑えるのが通常であった。しかし、例えば後述する重合触媒を用いると、異常重合を起こしにくくなり、フィード時の温度を高くしても低分子量成分の生成を抑えやすくなるという新たな知見が得られた。さらに、フィード時の温度を高くすることによって、炭素数12以上34以下の炭化水素成分が溶媒側に溶出しやすくなり、エチレン−α−オレフィン共重合体中の炭素数12以上34以下の炭化水素成分をさらに低減できる。
重合後のスラリーを遠心分離器へフィードする際の温度は60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、75℃以上がさらに好ましく、80℃以上が特に好ましい。また上限は100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。また、スラリーを遠心分離器へフィードする際に一時的にフラッシュタンク等に貯留することが好ましく、このフラッシュタンク内の温度を上記温度範囲に調整することが好ましい。
なお、特開2013−249094号公報にはエタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分についての記載がある。しかし、エタノールで抽出される成分は極性成分であり、本実施形態における炭素数12以上34以下の炭化水素成分とは異なるものである。
〔1000炭素中の二重結合の量〕
本実施形態のエチレン−α−オレフィン共重合体の1000炭素中の二重結合の量は、0.1個以下(0個を含む)であることが好ましい。より好ましくは0.07個以下であり、さらに好ましくは0.05個以下である。二重結合の量を0.1個以下とすることによって、シラングラフト変性時に副反応として起こるエチレン−α−オレフィン共重合体の分解反応を抑制することができる。これにより、炭素数12以上34以下の炭化水素成分の生成を低減することができる。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体の1000炭素中の二重結合の量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体中の二重結合の量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の製造時において、重合触媒や重合温度により制御することができる。具体的には、後述する担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いること、又は重合温度を80℃以下にすること等が挙げられる。
〔分子量分布(Mw/Mn)〕
本実施形態のエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.0以上5.5以下であり、より好ましくは3.4以上5.3以下であり、よりさらに好ましくは3.4以上5.0以下である。分子量分布(Mw/Mn)を3.0以上とすることにより、押出成形時の樹脂圧及びシェアを低減することができるため、架橋パイプの外観が向上する。一方、分子量分布(Mw/Mn)を5.5以下とすることにより、低分子量成分(炭素数12以上34以下の炭化水素成分も含む)が少なくなり、臭いや目ヤニ等の問題が発生することを防ぐことができる。
分子量分布を上記範囲内とする方法として、後述する重合触媒を使用し、かつ連続式スラリー重合において平均滞留時間を1.5〜3.1時間とすることが挙げられる。
本実施形態のエチレン−α−オレフィン共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、オルトジクロロベンゼンを溶媒としたゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)で測定することができる。算出にあたっては、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて求めることができる。
本実施形態のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンと他のα−オレフィン(コモノマー)との共重合体である。本実施形態で用いることができるコモノマーは、特に限定されないが、具体的には、次の式で表されるα−オレフィンが挙げられる。
2C=CHR2
(式中、R2は炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、アルキル基は直鎖状、分岐状、又は環状である。)
このようなコモノマーとしては、特に限定されないが、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる化合物が挙げられる。
また、他のα−オレフィンとして、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン及びシクロヘキサジエンよりなる群から選ばれる炭素数4〜20の直鎖状、分岐状又は環状ジエンが挙げられる。
さらに、他のα−オレフィンとして、特に限定されないが、例えば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン及び2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンよりなる群から選ばれる炭素数3〜20の環状オレフィンも挙げられる。
エチレンと共重合する他のα−オレフィンは一種を単独で含んでも二種以上を含んでもよい。
本実施形態においては、エチレンと共重合するα−オレフィンとして、経済性及び取扱いの容易さの観点から、特に、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等が好適である。
本実施形態において、上記共重合体中に占めるエチレンのモル比としては、密度を調整するという観点から、80%以上100%未満であることが好ましく、より好ましくは85%以上100%未満であり、さらに好ましくは90%以上100%未満である。
特に本実施形態においては、エチレン−α−オレフィン共重合体の中でも長鎖分岐を実質的に有していないエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。分子中に長鎖分岐を有しているエチレン−α−オレフィン共重合体には、長鎖分岐中に3級炭素が多く含まれる。これにより、後述のグラフト変性反応において、エチレン−α−オレフィン共重合体中のラジカル濃度が上がり、分解反応やエチレン−α−オレフィン共重合体同士の架橋反応等、副反応が進行してしまい、これによりシラングラフト変性効率が低下する傾向がある。なお、「実質的に長鎖分岐を有していない」ということは、公知の13C−核磁気共鳴法により長鎖分岐が確認できないことを意味する。
〔エチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法〕
次に、本実施形態におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法について述べる。
(重合触媒)
本実施形態におけるエチレン−α−オレフィン共重合体は、限定されるものでは無いが、重合触媒を用いて、エチレンとその他のα−オレフィンとを共重合することにより製造されることが好ましく、重合触媒として、少なくとも(ア)担体、(イ)有機アルミニウム化合物、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤、から調製された担持型幾何拘束型メタロセン触媒(以下、単に「担持型幾何拘束型メタロセン触媒」又は「メタロセン触媒」とも記載する)を用いることが好ましい。なお、本明細書において、上記メタロセン触媒の製造に用いられる各成分を、「成分(ア)」、「成分(イ)」、「成分(ウ)」及び「成分(エ)」と記載することもある。メタロセン触媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
メタロセン触媒の製造に用いられる各成分について以下説明する。
<成分(ア)>
(ア)担体としては、有機担体、無機担体のいずれであってもよい。
有機担体としては、特に限定されないが、具体的には、炭素数2〜10のα−オレフィンの(共)重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ジビニルベンゼン共重合体;芳香族不飽和炭化水素重合体、例えば、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体;及び極性基含有重合体、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート等が挙げられる。
上記無機担体としては、特に限定されないが、具体的には、無機酸化物、例えば、SiO2、Al23、MgO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−V25等;無機ハロゲン化合物、例えば、MgCl2、AlCl3、MnCl2等;無機の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、例えば、Na2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO32等;水酸化物、例えば、Mg(OH)2、Al(OH)3、Ca(OH)2等が例示される。より好ましい担体はSiO2である。担体の粒子径としては、任意の値をとることができるが、一般的には1〜3000μm、好ましくは3〜2000μm、より好ましくは5〜1000μmの範囲である。
<成分(イ)>
上記(ア)担体は、必要に応じて(イ)有機アルミニウム化合物で処理される。好ましい(イ)有機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、及びトリオクチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライド、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムメトキシド等のアルミニウムアルコキシド;メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、及びメチルイソブチルアルモキサン等のアルモキサン等が挙げられる。
これらの中でもトリアルキルアルミニウム、及びアルミニウムアルコキシド等が好ましく、より好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
<成分(ウ)>
担持型幾何拘束型メタロセン触媒は、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物(以下、単に「遷移金属化合物」と称することがある。)を含むことができる。遷移金属化合物は、特に限定されないが、例えば、以下の式(1)で表す化合物を挙げることができる。
lMXpX’q‥‥(1)
式(1)中、Mは、1つ以上の配位子Lとη5結合をしている、酸化数+2、+3又は+4の周期律表第4族に属する遷移金属である。
また、式(1)中、Lは、環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立に、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基又はオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8個の置換基を任意に有していてもよく、2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、シラジイル、ハロシラジイル、アミノシラン等の2価の置換基により結合されていてもよい。
式(1)中、Xは、各々独立に、60個までの非水素性原子を有する1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、又はM及びLに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である。X’は各々独立に、炭素数4〜40からなる、フォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン及び共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。また、lは1又は2の整数である。pは0、1又は2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子又は、M及びLに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるとき、pはMの形式酸化数よりl以上少ない整数であり、また、XがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるとき、pはMの形式酸化数よりl+1以上少ない整数である。式(1)中、qは0、1又は2である。
遷移金属化合物としては、上記式(1)でl=1である化合物が好ましい。
例えば、遷移金属化合物の好適な例としては、以下の式(2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017066332
式(2)中、Mは形式酸化数+2、+3又は+4の、チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムである。式(2)中、R1は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができ、また近接するR1同士が結合してヒドロカルバジイル、シラジイル、ゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
式(2)中、X”は各々独立にハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基又はシリル基であり、各々20個までの非水素原子を有しており、また2つのX”が炭素数5〜30の中性の共役ジエン又は2価の誘導体を形成してもよい。Yは−O−、−S−、−NR3−又は−PR3−であり、ZはSiR3 2、CR3 2、SiR3 2SiR3 2、CR3 2CR3 2、CR3=CR3、CR3 2SiR3 2又はGeR3 2であり、ここでY及びZ中の、R3は各々独立に、炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基である。また、nは1〜3の整数である。
さらに、遷移金属化合物のより好適な例としては、以下の式(3)又は(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017066332
Figure 2017066332
式(3)及び(4)中、R1は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。また、Mは、チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムである。Z、Y、X及びX’は前記式(1)及び(2)中の定義と同じである。
式(3)及び(4)中、pは0、1又は2であり、またqは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり且つXはハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカビルアミド基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基、又はこれらの複合基あり、20個までの非水素原子を有している。
式(3)及び(4)中、pが1でqが0のとき、Mの酸化数が+3であり且つXがアリル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基及び2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配位子であるか;Mの酸化数が+4であり且つXが2価の共役ジエンの誘導体であるか;又はMとXが共にメタロシクロペンテン基を形成している。
式(3)及び(4)中、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX’は中性の共役あるいは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素基で置換されていてもよく、また該X’は40個までの炭素原子を含むことができ、Mとπ型錯体を形成している。
さらに、本実施形態において、遷移金属化合物の特に好適な例としては、以下の式(5)又は(6)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017066332
Figure 2017066332
式(5)及び(6)中、R1は各々独立に、水素、又は炭素数1〜6のアルキル基である。また、Mはチタニウムであり、Yは−O−、−S−、−NR3−、−PR3−である。ZはSiR3 2、CR3 2、SiR3 2SiR3 2、CR3 2CR3 2、CR3=CR3、CR3 2SiR3 2、又はGeR3 2であり、R3は各々独立に水素、あるいは、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、又はこれらの複合基であり、該R3は20個までの非水素原子を有することができ、また必要に応じてZ中の2つのR3同志、又はZ中のR3とY中のR3とが相俟って環状となっていてもよい。
式(5)及び(6)中、pは0、1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり且つXは各々独立にメチル基又はベンジル基である。また、pが1、qが0のとき、Mの酸化数が+3であり且つXが2−(N,N−ジメチル)アミノベンジルであるか、又はMの酸化数が+4であり且つXが2−ブテン−1,4−ジイルである。また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり且つX’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン又は1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
<成分(エ)>
メタロセン触媒は、(エ)遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤(以下、単に「活性化剤」と称することがある。)を含む。通常、メタロセン触媒においては、上記遷移金属化合物と活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。本実施形態において、活性化剤としては、特に限定されないが、具体的には、以下の式(7)で定義される化合物が挙げられる。
[L−H]d+[Mmpd- ‥‥(7)
式(7)中、[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、式(7)中、[Mmpd-は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族〜第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。また、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは1〜7の整数であり、p−m=dである。
本実施形態で、活性化剤のより好ましい例は以下の式(8)で定義される化合物である。
[L−H]d+[Mmn(Gq(T−H)rzd- ‥‥(8)
式(8)中、[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、式(8)中、[Mmn(Gq(T−H)rzd-は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族〜第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立に、ヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、ただし、ハライドであるQは1個以下である。また、GはM及びTと結合するr+1の価数を持つ多価炭化水素基であり、TはO、S、NR、又はPRである。ここで、Rはヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基又は水素である。また、mは1〜7の整数であり、nは0〜7の整数であり、qは0又は1の整数であり、rは1〜3の整数であり、zは1〜8の整数であり、dは1〜7の整数であり、n+z−m=dである。
上記活性化剤のさらに好ましい例は、以下の式(9)で表される化合物が挙げられる。
[L−H]+[BQ31- ‥‥(9)
式(9)中、[L−H]+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、式中[BQ31-は相溶性の非配位性アニオンであり、Bは硼素元素を表し、Qはペンタフルオロフェニル基であり、Q1は置換基としてOH基を1つ有する炭素数6〜20の置換アリール基である。
本実施形態の相溶性の非配位性アニオンとしては、特に限定されないが、具体的には、
トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、
ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、
トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、
トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、
トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、
トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、
トリス(3,5−ジ−トリフルオリメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、
トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレート等が挙げられる。これらを「ボレート化合物」ともいう。
本実施形態において、重合触媒活性の観点、並びにエチレン−α−オレフィン共重合体中のAl、Mg、Ti、Zr及びHfの合計含有量を低減する観点から、担持型幾何拘束型メタロセン触媒の活性化剤が、ボレート化合物であることが好ましい。特に好ましいボレート化合物の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートが挙げられる。
また、式(7)、(8)及び(9)中、プロトン付与性のブレンステッド酸としては、特に限定されないが、具体的には、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n−オクチル)アンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチルアンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイコシルメチルアンモニウム、及びビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム等のようなトリアルキル基置換型アンモニウムカチオン、
N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、及びN,N−ジメチルベンジルアニリニウム等のようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、トリフェニルカルボニウムカチオン等が好適である。
また、本実施形態における活性化剤として、次の式(10)で表されるユニットを有する有機金属オキシ化合物も用いることができる。
Figure 2017066332
(式(10)中、M2は周期律表第13族〜第15族の金属、又はメタロイドであり、Rは各々独立に炭素数1〜12の炭化水素基又は置換炭化水素基であり、nは金属M2の価数であり、mは2以上の整数である。)
有機金属オキシ化合物の好ましい例は、例えば次式(11)で示されるユニットを含む有機アルミニウムオキシ化合物である。
Figure 2017066332
(式(11)中において、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、mは2〜60の整数である。)
本実施形態の活性化剤のより好ましい例は、例えば次式(12)で示されるユニットを含むメチルアルモキサンである。
Figure 2017066332
(式(12)中、mは2〜60の整数である。)
また、本実施形態では、上記成分(ア)〜(エ)から調製される触媒成分の他に、必要に応じて有機アルミニウム化合物を触媒成分として用いることもできる。有機アルミニウム化合物は、特に限定されないが、具体的には、次式(13)で表される化合物が挙げられる。
AlRn3-n ‥‥(13)
上記式(13)中において、Rは炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、Xはハロゲン、水素又はアルコキシル基であり、nは1〜3の整数である。複数存在する場合のR及びXは、それぞれ独立である。本実施形態の有機アルミニウム化合物は、上記式(13)で表される化合物の混合物であっても構わない。
メタロセン触媒は、成分(ア)に、成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)を担持させることにより得ることができる。成分(イ)〜成分(エ)を担持させる方法は特に限定されないが、一般的には成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)をそれぞれが溶解可能な不活性溶媒中に溶解させ、成分(ア)と混合した後、溶媒を留去する方法;成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)を不活性溶媒に溶解後、固体が析出しない範囲でないでこれを濃縮して、次に濃縮液の全量を粒子内に保持できる量の成分(ア)を加える方法;成分(ア)に成分(イ)、及び成分(エ)をまず担持させ、ついで成分(ウ)を担持させる方法;成分(ア)に成分(イ)及び成分(エ)、及び成分(ウ)を逐次に担持させる方法等が例示される。本実施形態の成分(ウ)、及び成分(エ)は一般的には液体又は固体である。
本実施形態では、成分(イ)、成分(ウ)、成分(エ)は、担持の際、不活性溶媒に希釈して使用する場合がある。この目的に使用する不活性溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、あるいはこれらの混合物等を挙げることができる。かかる不活性溶媒は、乾燥剤、吸着剤等を用いて、水、酸素、硫黄分等の不純物を除去して用いることが望ましい。
本実施形態において、各成分の好ましい使用量は、成分(ア)1gに対し、成分(イ)はAl原子換算で1×10-5〜1×10-1モルが好ましく、1×10-4〜5×10-2モルがより好ましく、成分(ウ)は1×10-7〜1×10-3モルが好ましく、より好ましくは5×10-7〜5×10-4モル、成分(エ)は1×10-7〜1×10-3モルが好ましく、5×10-7〜5×10-4モルの範囲がより好ましい。各成分の使用量及び担持方法は、活性、経済性、パウダー特性、及び反応器内のスケール等により決定される。得られた担持型幾何拘束型メタロセン触媒は、担体に担持されていない有機アルミニウム化合物、ボレート化合物、チタン化合物を除去することを目的に、不活性溶媒を用いでデカンテーションあるいは濾過等の方法により洗浄することもできる。
上記メタロセン触媒の製造における一連の溶解、接触、洗浄等の操作は、例えば、その単位操作毎に選択される−30℃以上150℃以下の範囲の温度で行うことが好ましく、0℃以上100℃以下がより好ましい。担持型幾何拘束型メタロセン触媒を得る一連の操作は、乾燥した不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
また、本実施形態で用いる担持型幾何拘束型メタロセン触媒は、それのみでエチレンの単独重合、又はエチレンとα−オレフィンの共重合に用いることが可能であるが、溶媒や反応の被毒の防止のため、付加成分として有機アルミニウム化合物を共存させて使用することもできる。好ましい有機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムハイドライド、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド、
ジエチルアルミニウムエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、
メチルアルモキサン、イソブチルアルミキサン、及びメチルイソブチルアルモキサン等のアルモキサンが挙げられる。
これらの中でも、トリアルキルアルミニウム、アルミニウムアルコキシドが好ましい。より好ましくはトリイソブチルアルミニウムである。
(重合方法)
本実施形態におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法は、特に限定されないが、具体的には、スラリー重合法、気相重合法、又は公知の重合方法を用いることができる。これらのうち、より低分子量成分が少なく、架橋パイプ製造時の目ヤニ発生が少ない樹脂組成物得ることができ、架橋後のゲル分率が高く外観に優れ、臭いが低減された架橋パイプを製造することが可能であるという点から、スラリー重合法が好適である。
スラリー重合法を用いる場合、重合温度の上限は、生成するエチレン−α−オレフィン共重合体が実質的にスラリー状態を維持し得る温度とすることが好ましい。また温度の下限は、低分子量成分が溶媒に溶出しやすいという観点から20℃以上にすることが好ましい。具体的には重合温度は20℃〜115℃が好ましく、より好ましくは50℃〜85℃である。また重合圧力は0.1〜10MPaGが好ましく、より好ましくは0.3〜3.0MPaGである。
スラリー重合法に用いる溶媒としては、不活性溶媒が好適である。不活性炭化水素溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素又はこれらの混合物等を挙げることができる。
本実施形態のエチレン−α−オレフィン共重合体の重合方法は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができるが、連続式で重合することが好ましい。エチレンガス、溶媒、触媒等を連続的に重合装置内に供給し、生成したエチレン−α−オレフィン共重合体と共に連続的に排出することで、急激なエチレンの反応による部分的な高温状態を抑制することが可能となり、重合装置内がより安定化する。重合装置内が均一な状態でエチレンが反応すると、低分子量成分の生成、二重結合等の生成が抑制される。更に、エチレン−α−オレフィン共重合体の分解や架橋による低分子量成分や超高分子量体の生成が抑制される。
本実施形態における樹脂組成物及びエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレートの調整は、西独国特許出願公開第3127133号明細書に記載されているように、重合系に水素を存在させるか、又は重合温度を変化させること等によって調節することができる。この中でも、重合装置内に連鎖移動剤として水素を添加することが、エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量を調整しやすいという観点から好ましい。重合装置内へ水素を添加する場合、水素のモル分率は、0mol%以上30mol%以下であることが好ましく、0mol%以上25mol%以下であることがより好ましく、0mol%以上20mol%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態において、更に、水素は予め重合触媒と接触させた後、触媒導入ラインから重合装置内に添加することが好ましい。触媒を重合装置内に導入した直後は、導入ライン出口付近の触媒濃度が高く、エチレンやα−オレフィンが急激に反応することによって部分的な高温状態になる可能性が高まる。しかし、水素と触媒を重合装置内に導入する前に接触させることで、触媒の初期活性を抑制することが可能となり、部分的な高温状態が生ずるのを抑制することができる。これにより、低分子量成分の生成等も効果的に抑制できる傾向にある。
(後処理方法)
上記スラリー重合法において、重合後にエチレン−α−オレフィン共重合体から溶媒を分離する方法は、デカンテーション法、遠心分離法、フィルター濾過法等が挙げられる。この中でも分離効率が良い遠心分離法が好ましい。溶媒を分離した後にエチレン−α−オレフィン共重合体に含まれる溶媒の量としては、特に限定されないが、好ましくはエチレン−α−オレフィン共重合体の重量に対して70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。エチレン−α−オレフィン共重合体に含まれる溶媒が上記分離により少なくなった状態で、溶媒をさらに乾燥除去することにより、溶媒中に含まれる金属成分や炭素数12以上34以下の炭化水素成分等が低減する傾向にある。これらの成分を低減することにより、製造時に目ヤニの発生を抑制し、外観に優れ、臭いが低減された架橋パイプを製造することができる。また、上述のとおり、重合後に遠心分離法によりエチレン−α−オレフィン共重合体と溶媒とを分離する場合、フィード温度等を制御することにより、エチレン−α−オレフィン共重合体中の炭素数12以上34以下の炭化水素成分の含有量を低減することができる。
本実施形態において、重合触媒の失活方法は特に限定されないが、エチレン−α−オレフィン共重合体と溶媒を分離した後に実施することが好ましい。溶媒と分離した後に触媒を失活させるための化合物を導入することで、溶媒中に含まれる低分子量成分や触媒成分等の析出を低減することができる。その結果、溶媒に含まれる金属成分や低分子量成分等をエチレン−α−オレフィン共重合体から効率よく分離できる傾向にある。
重合触媒を失活させる化合物としては、酸素、水、アルコール類、グリコール類、フェノール類、一酸化炭素、二酸化炭素、エーテル類、カルボニル化合物、アルキン類等を挙げることができる。
本実施形態において、エチレン−α−オレフィン共重合体の乾燥は、窒素やアルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。また、乾燥温度としては、通常50℃以上150℃以下であり、好ましくは50℃以上140℃以下であり、より好ましくは50℃以上130℃以下である。乾燥温度を50℃以上とすることにより、効率的な乾燥が可能である。一方、乾燥温度を150℃以下とすることにより、エチレン−α−オレフィン共重合体の分解反応や架橋反応を抑制することが可能である。
本実施形態のエチレン−α−オレフィン共重合体は、上記のような各成分以外にも、エチレン−α−オレフィン共重合体の製造に有用な他の公知の成分を含むことができる。
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は上記エチレン−α−オレフィン共重合体を含む。樹脂組成物は、上記エチレン−α−オレフィン共重合体に加え、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物、及び必要に応じてシラノール縮合触媒や酸化防止剤等を含むことが好ましい。
(有機過酸化物)
本実施形態で樹脂組成物に添加される有機過酸化物は、パイプ成形時の押出工程でラジカルに分解し、有機不飽和シラン化合物をエチレン−α−オレフィン共重合体にグラフトさせる。有機過酸化物の添加量は、エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、好ましくは0.005〜5重量部、より好ましくは0.007〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部である。0.005重量部以上とすることで、エチレン−α−オレフィン共重合体と有機不飽和シラン化合物とのグラフト変性反応が効率的に進行する。また5重量部以下とすることで、該樹脂組成物から得られる架橋パイプの通水中に有機過酸化物が移行して臭気の原因となることを防ぐことができる。
有機過酸化物としては、特に限定されないが、例えば、公知のジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチル−オキシ)−ヘキシン−3、1,3−ビス−(t−ブチル−オキシ−イソプロピル)−ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、4,4, −ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレリツク酸−ブチルエステル、1,1−ジ−(tーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンキシン−3、ベンゾイルパーオキシド、ジシクロベンゾパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等が挙げられ、特にジクミルパーオキサイドが経済的であり好ましい。
(有機不飽和シラン化合物)
本実施形態の樹脂組成物は有機不飽和シラン化合物を含んでもよい。樹脂組成物中の有機不飽和シラン化合物の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部である。有機不飽和シラン化合物の含有量を0.1重量部以上とすることで、架橋パイプのシラン架橋が十分に進行する。また有機不飽和シラン化合物の含有量を10重量部以下とすることで、目ヤニ及びパイプ押し出し時の負荷の上昇等が発生して、パイプの押出成形性が不良となることや、成形時に臭気が発生することを抑制することができる。また、有機不飽和シラン化合物は高価であるため、経済的にも好ましい。
有機不飽和シラン化合物は、有機過酸化物の作用により発生したエチレン−α−オレフィン共重合体中のラジカルと反応し、該エチレン−α−オレフィン共重合体へグラフト反応する。有機不飽和シラン化合物は、このような反応が進行し、かつ後述のシラン架橋が進行するものであれば限定されないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。
(酸化防止剤)
本実施形態の樹脂組成物は酸化防止剤を含んでもよく、酸化防止剤は、酸素分子、オゾン又は酸素ラジカルを補足する機能を有する物質であれば、特に限定されない。酸化防止剤の含有量は、エチレン−α―オレフィン共重合体の重量に対して好ましくは100重量ppm以下であり、より好ましくは70重量ppm以下であり、さらに好ましくは50重量ppm以下であり、0重量ppmであってもよい。酸化防止剤の含有量が多すぎると、酸化防止剤と有機過酸化物が反応することでラジカルが失活してしまうため、シラングラフト変性反応時に多量の有機過酸化物が必要となり、臭いの問題が発生する場合がある。また、有機過酸化物が過多に存在することで、エチレン−α−オレフィン共重合体の分解または架橋反応等の副反応が発生し、シラングラフト変性効率が低下してしまう場合がある。したがって、シラングラフト変性時の副反応を防止する観点からは酸化防止剤は無添加であることが特に好ましい。
酸化防止剤の具体例としては、特に限定されないが、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
なお、本実施形態における樹脂組成物中に含まれる添加剤の含有量は、樹脂組成物中の添加剤を、テトラヒドロフラン(THF)を用いてソックスレー抽出により6時間抽出し、抽出液を液体クロマトグラフィーにより分離、定量することにより求めることができる。
〔Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量〕
本実施形態のエチレン−α―オレフィン共重合体中のAl、Mg、Ti、Zr及びHfの合計含有量は、好ましくは20重量ppm以下(0重量ppmを含む)であり、より好ましくは17重量ppm以下であり、更に好ましくは15重量ppm以下であり、少ないほど好ましい。Al、Mg、Ti、Zr及びHfは残留触媒灰分に主として含まれることから、これらの合計含有量が上記範囲であることにより、触媒作用によるエチレン−α−オレフィン共重合体の熱分解とそれに伴う炭素数12以上34以下の炭化水素成分の生成を抑制することができ、耐熱性に優れ、さらに着色も少なくなる傾向にある。
エチレン−α―オレフィン共重合体中のAl、Mg、Ti、Zr及びHfの合計含有量を制御する方法としては、後述するAlの少ない助触媒を使用する、触媒活性を上げてエチレン−α−オレフィン共重合体中の残留触媒灰分を減らす、具体的には、重合温度を70℃以上とし、重合圧力を0.8MPa以上とする、又は遠心分離法によってエチレン−α−オレフィン共重合体と溶媒を分離し、その際遠心分離器へのフィード温度を上げることで、触媒活性の低い低分子量成分(炭素数12以上34以下の炭化水素成分も含む)を減らすこと、等が挙げられる。
〔架橋パイプ〕
本実施形態の架橋パイプは、上記樹脂組成物を含む。架橋パイプは、上記樹脂組成物を成形して得ることが好ましく、具体的な製造方法は下記のとおりである。本実施形態における架橋パイプの製造方法は、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物を含む樹脂組成物にシラノール縮合触媒を添加し、押出機で溶融混合し、その後パイプを成形し、得られたパイプを温水又は水蒸気は存在下でシラン基を架橋させる方法;エチレン−α−オレフィン共重合体、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物を含む樹脂組成物を一度押し出し、得られた樹脂組成物にシラノール縮合触媒を添加してパイプを成形し、得られたパイプを温水又は水蒸気は存在下でシラン基を架橋させる方法;エチレン−α−オレフィン共重合体、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物を含む樹脂組成物からパイプを成形し、シラノール縮合触媒を含む温水又は水蒸気の存在下にパイプを曝しシラン基を架橋させる方法等がある。
(シラノール縮合触媒)
本実施形態で樹脂組成物に添加されるシラノール縮合触媒は、エチレン−α−オレフィン共重合体にグラフトした有機不飽和シラン化合物を、水の存在下で架橋させる作用を有する。シラノール縮合触媒としては、特に限定されないが、例えば、公知のジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジアセテート、酢酸第一スズ、カプリル酸第一スズ、ナフテン酸スズ、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトラブチルエステル、エチルアミン、ジブチルアミン、ジブチルオクテートが挙げられ、特にジブチルスズジラウリレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルオクテートが好ましい。これらシラノール縮合触媒の使用方法は特に限定されない。
特に樹脂組成物、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物を含む樹脂組成物にシラノール縮合触媒を添加する場合は、該樹脂組成物100重量部に対して0.001〜5重量部が好ましい。0.001重量部以上とすることで、シラン架橋を短時間で行うことができる。一方5重量部以下とすることで、シラン架橋パイプに通水した場合に、水中にシラノール縮合触媒が溶出することを抑えることができる。
上記シラン架橋パイプの製造においては、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物、及びシラノール縮合触媒は、それぞれ単独で加えてもよいし、エチレン−α−オレフィン共重合体と、有機過酸化物、有機不飽和シラン化合物、及びシラノール縮合触媒からなる群から選ばれる少なくとも一種とのマスターバッチとして用いてもよい。
本発明のシラン架橋パイプはゲル分率が65%以上であることが好ましい。このゲル分率は、エチレン−α−オレフィン共重合体のシラングラフト変性反応により有機不飽和シラン化合物が均一にグラフトされ、さらにシラノール縮合触媒により、均一に架橋した場合に高い値となる。一般にゲル分率が高いシラン架橋パイプは、短期及び長期の熱間内圧クリープ等の機械強度に優れることが知られているが、従来のエチレン−α−オレフィン共重合体において、高いゲル分率を得るためには、多量の有機不飽和シラン化合物を用いる必要がある。一方、本実施形態のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂組成物は少量の有機不飽和シラン化合物添加量でも高いゲル分率が得られる。なお、ゲル分率は実施例に記載の方法により測定することができる。
次に実施例及び比較例により本実施形態を詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものでない。
〔各種特性及び物性の測定方法〕
実施例及び比較例における各種測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
(1)密度
JIS K6760に準拠し、密度勾配管法により測定した。
(2)MFR(メルトフローレート)
ASTM−D−1238に従い、190℃、荷重2.16kgで測定した。
(3)ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分量の測定方法
各実施例、比較例で得られたペレット10g、和光純薬工業(株)製PCB試験用ヘキサン40mLを180mL容積のSUS製容器中に入れて密閉した。このSUS製容器全体を70℃の湯浴に浸し、速度50min-1で振とうしながら2時間抽出した後、20℃の水に浸し急冷した。上澄み液を、0.2μmフィルター(PTFE製)を取り付けたガラスシリンジで濾過し、試料とした。炭素数12と14の標準物質は、和光純薬工業(株)製特級n−ドデカンとn−テトラデカン、炭素数16から炭素数34の標準物質は、シグマアルドリッチ社製ASTM D5442 C16−C44 Qualitative Retention Time Mixを和光純薬工業(株)製PCB試験用ヘキサンに溶解して標準物質として用いた。
上記試料について、(株)島津製作所製ガスクロマトグラフGC−2014AFを用いて測定した。カラムは、信和化工(株)SiliconeOV−1(3%)/CW80−100mesh/AW−DMCS処理を充填した、ガラス製3mmφx1.5mのカラムを用いた。温度は、インジェクション温度350℃、検出温度350℃で、初期温度100℃で2分間保持した後、10℃/minで昇温、330℃で20分間保持する条件とした。上記標準試薬の検出ピークのピーク面積(C12〜20は各6重量ppm、C22〜C34は各8.3重量ppm)に対し、試料から得られた同じ保持時間の検出ピークのピーク面積との相対比から、炭素数12以上34以下の炭化水素成分量を算出した。
(4)1000炭素中の二重結合量の測定方法
各実施例、比較例におけるエチレン−α−オレフィン共重合体中の二重結合量の測定は、日本分光(株)製JASCO FTIR4200を使用して測定した。測定用シートは次のように作製した。JISK6922−2に準拠して、各実施例、比較例のペレットを0.5mm厚の型枠を入れたプレス用金型板上に必要量載せ、200℃、1MPaで加圧しながら3分間予熱した。続いて2分間かけて1MPaで加圧、除圧を7回繰り返し、続いて10MPaで加圧、除圧を4回繰り返した。最後に10MPaで2分間加圧した後、15℃/minの平均冷却速度で、12分間冷却することで0.5mm厚の測定用シートを作製した。
高密度ポリエチレンの二重結合量は、高分子ハンドブック((公社)日本分析化学会)に記載されたポリエチレンの異種結合の定量法に準拠して測定した。二重結合量(個/1000C)は、963cm-1のトランス(個/1000C)、910cm-1の末端ビニル(個/1000C)、888cm-1のビニリデン(個/1000C)の吸光度A(それぞれA963、A910、A888)を測定することで求めた。吸光度Aは日本分光(株)製のFT/IR−5300で測定した。計算式を下記に示す。
二重結合量(個/1000C)=0.083×A963/(ρ×t)+0.114×A910/(ρ×t)+0.109×A888/(ρ×t)
(なお、Aは吸光度、ρは密度(g/cm3)、tは厚み(mm)を表す。)
(5)Al、Mg、Ti、Zr、Hfの合計含有量
各実施例、比較例において得られたエチレン-α-オレフィン共重合体の試料0.2gをテフロン(登録商標)製分解容器に量り取り、高純度硝酸を加えてマイルストーンゼネラル(株)製マイクロウェーブ分解装置ETHOS−TCにて加圧分解後、日本ミリポア(株)製超純水製造装置で精製した純水で全量を50mLとしたものを検液として使用した。上記検液に対し、サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)Xシリーズ2を使用して、内標準法でAl、Mg、Ti、Zr、Hfの定量を行った。
(6)エチレン-α-オレフィン共重合体のMw/Mn
各実施例、比較例において得られたエチレン-α-オレフィン共重合体20mgにo−ジクロロベンゼン15mLを導入して、150℃で1時間撹拌することで調製した試料溶液について、下記の条件によりゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の測定を行った。測定結果から、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定に用いた装置及び条件は、以下のとおりとした。
・装置:Waters社製150−C ALC/GPC
・検出器:RI検出器
・移動相:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・流量:1.0mL/分
・カラム:昭和電工(株)製AT−807Sを1本と東ソー(株)製TSK−gelGMH−H6を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:140℃
(7)目ヤニの評価
下記記載の方法で架橋パイプを製造する際に出る目ヤニの量を評価した。評価基準は以下の通りとした。
○:押出機(金型)出口に揮発シランからなる付着物が認められなかった。
△:押出機(金型)出口に揮発シランからなる付着物が少量付着した。
×:押出機(金型)出口に揮発シランからなる付着物が多量に付着した。
(8)外観の評価
下記記載の方法で製造した架橋パイプの外観を評価した。
○:表面に傷がなく、かつ内面に規則的な縞模様がなく、かつ平滑であった。
△:表面に傷があるか、または内面に規則的な縞模様が存在する、若しくは内面が平滑でなかった。
×:表面に傷があり、かつ内面に規則的な縞模様が存在し、かつ平滑でなかった。
(9)臭いの評価
下記記載の方法で製造した架橋パイプを50℃の温水中に24時間浸漬した後の水の臭いを3点比較フラスコ法で行った。3点比較フラスコ法とは、3個のフラスコのうち、任意の1個にのみ管内滞留水を入れ、臭いから管内滞留水を当てる方法である。パネラーは50人で行った。評価基準は以下の通りとした。
○:正解率が20%未満。つまりシラン化合物特有の臭気がほとんど確認されなかった。
△:正解率が20%以上60%未満。つまりシラン化合物特有の臭気が一部確認された。
×:正解率が60%以上。つまりシラン化合物特有の臭気が多くの場合確認された。
(10)ゲル分率
下記記載の方法で製造した架橋パイプ10gを切削し、キシレン溶媒を用いてソックスレー抽出器で10時間抽出し、抽出残量を測定し以下の式により求めた。
ゲル分率(%)=抽出残量(g)/10(g)×100
[触媒合成]
〔担持型幾何拘束型メタロセン触媒[I]の調製〕
[メタロセン触媒(I−a)]
充分に水洗し乾燥された触媒担体用シリカを、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は1.85mmol/gであった。容量1.8Lのオートクレーブ中にて、この脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながら、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)を80mL加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、シリカの表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[a]のヘキサンスラリー880mLを得た。
一方、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル(以下、「チタニウム錯体」と記載する。)200mmolをアイソパーE(登録商標)[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1000mLに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成したAlMg6(C253(n−C4912の1mol/Lヘキサン溶液を20mL加え、さらにヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/Lに調製し、成分[b]を得た。
また、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と記載する。)5.7gをトルエン50mLに添加して溶解し、ボレートの100mmol/Lトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/Lヘキサン溶液5mLを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/Lとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46mLと上記で得られた成分[b]のうち32mLを上記で得られた成分[a]のスラリー800mLに20〜25℃で攪拌しながら加え、さらに3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応・析出させ、シリカに物理吸着させた。その後、得られた反応混合物中の未反応のボレート・チタニウム錯体を含む上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、触媒活性種が該シリカ上に形成されている担持型幾何拘束型メタロセン触媒[I−a]を得た。
同様の方法で、下記[I−b]〜[I−c]の担持型幾何拘束型メタロセン触媒を調製した。
[メタロセン触媒[I−b]]
チタニウム錯体を[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエンにした以外は、メタロセン触媒[I−a]に準じてメタロセン触媒[I−b]を合成した。
[メタロセン触媒[I−c]]
チタニウム錯体を[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジクロライドにした以外は、メタロセン触媒[I−a]に準じてメタロセン触媒[I−c]を合成した。
[液体助触媒成分[II]の調製]
200mLのフラスコにヘキサン40mLとAlMg6(C253(n−C4912(MgとAlの総量として37.8mmol)を攪拌しながら添加し、続いて25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mLを攪拌しながら添加した。その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
〔チーグラー・ナッタ触媒[III]の調製〕
[チーグラー・ナッタ触媒[III]]
(1)担体の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに2mol/Lのトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で攪拌しながらAlMg5(C4911(OC492で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2,550mL(マグネシウム2.68mol相当)を4時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄した。この固体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは8.31mmolであった。
(2)固体触媒成分[III]の調製
上記担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液110mLと1mol/LのAlMg5(C4911(OSiH)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液110mLとを同時に1時間かけて添加した。添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1100mL除去し、ヘキサン1100mLで2回洗浄することにより、固体触媒成分であるチーグラー・ナッタ触媒[III]を調製した。
[エチレン−α−オレフィン共重合体及び架橋パイプの製造方法]
[実施例1]
前記メタロセン触媒[I−a]を用いて、以下に示す連続式スラリー重合法により樹脂組成物を得た。
攪拌装置を備えたベッセル型340L重合反応器を用い、重合温度80℃、重合圧力0.94MPa、平均滞留時間1.6時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン90L/時間、触媒として上記の担持型メタロセン触媒[I−a]をTi原子換算で1.4mmol/時間、液体助触媒成分[II]をAl原子換算で20mmol/時間で供給した。また、分子量調整のための水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.44mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.18mol%になるように供給することで、エチレン及び1−ブテンを共重合させた。尚、脱水ノルマルヘキサンは重合器の底部より供給し、水素は予め触媒と接触させるために触媒導入ラインから触媒と共に重合器の液面と底部の中間から供給し、エチレンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.05MPa、温度80℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1−ブテン、水素を分離した。次に、連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等を分離した。分離された高密度ポリエチレンパウダーは、85℃で窒素ブローしながら乾燥した。
得られた高密度ポリエチレンパウダーは、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を40重量ppmとなるように、(株)日本製鋼所製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35。L:重合反応機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)。以下、同じ。)の二軸押出成形機を利用し、190℃の樹脂温度で溶融混錬して造粒しペレットとした。該エチレン−α−オレフィン共重合体の密度、MFR、分子量分布、ヘキサン抽出量(C12〜20成分)、1000炭素中の二重結合数、Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量の測定結果を表1に示す。
得られたエチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対し表1に示す量のジクミルパーオキサイド、ビニルトリメトキシシラン、ジオクチルスズジラウリレートを配合し、押出機により呼び径13のパイプを成形した。このパイプを90℃の温水に9時間浸漬して架橋し、架橋パイプを得た。架橋パイプの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
重合圧力0.95MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−a]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.29mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.28mol%、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を150重量ppmとなるようにした以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
重合圧力0.92MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−a]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.36mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.22mol%、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を70重量ppmとなるようにした以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
重合圧力0.97MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.19mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.25mol%とし、酸化防止剤を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
重合圧力0.98MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.25mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.37mol%、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を10重量ppmとなるようにした以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
重合圧力0.98MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.31mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.30mol%、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を20重量ppmとなるようにした以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
重合圧力0.98MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.18mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.84mol%とし、酸化防止剤を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
重合圧力0.90MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−c]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.31mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.32mol%、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を50重量ppmとなるようにした以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例9]
重合圧力0.80MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−c]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.15mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.78mol%とし、酸化防止剤を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例10]
重合圧力0.85MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−c]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.39mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.12mol%、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を30重量ppmとなるようにした以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表2に示す。
[実施例11]
重合温度を90℃とした以外は、実施例6と同様の操作により樹脂組成物及び架橋パイプを得た。重合温度を上げたことで、エチレン−α−オレフィン共重合体に二重結合がやや多く存在し、また触媒活性が低下したために金属含有量がやや増加した。目ヤニが少し発生し、パイプ外観も若干劣るが、ゲル分率は高く使用可能であった。評価結果を表2に示す。
[実施例12]
ジクミルパーオキサイド量を0.25重量部から0.04重量部に減少させた以外は実施例2と同様の操作により樹脂組成物及び架橋パイプを得た。ジクミルパーオキサイド量を減少させたことで、樹脂組成物中に含まれる酸化防止剤と反応してラジカルが消費されたため、シラングラフト変性が効率的に進行せず、目ヤニが少し発生し、パイプ外観、臭いも若干劣るが、ゲル分率は高く使用可能であった。評価結果を表2に示す。
[実施例13]
ビニルトリメトキシシラン量を0.2重量部から2.1重量部に増加させた以外は実施例4と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。ビニルトリメトキシシラン量を増加させたことで、未反応のシラン化合物により目ヤニが少し発生し、臭いも若干劣るが、ゲル分率は高く使用可能であった。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
重合圧力0.95MPaの条件で、上記のチーグラー・ナッタ触媒[III]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して28.09mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して14.12mol%、酸化防止剤を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。チーグラー・ナッタ触媒により製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体は、ヘキサン抽出分が多くなった。また、二重結合が多く、シラングラフト変性が効率的に進行せず、目ヤニ発生が多く、パイプ外観・臭いも悪かった。評価結果を表3に示す。
[比較例2]
重合圧力0.80MPaの条件で、上記のチーグラー・ナッタ触媒[III]を使用して、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して38.28mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して4.16mol%、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を300重量ppmとなるようにした以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。チーグラー・ナッタ触媒により製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体は、ヘキサン抽出分が多くなった。また、二重結合が多く、シラングラフト変性が効率的に進行せず、目ヤニ発生が多く、臭いも悪く、ゲル分率も低かった。評価結果を表3に示す。
[比較例3]
重合圧力0.98MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.41mol%、1−ブテンはフィードせず、酸化防止剤を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物及び架橋パイプを得た。評価結果を表3に示す。α−オレフィンを含有していないポリエチレン単独重合体であるため、密度が高くなった。このためシラングラフト変性が効率的に進行せず、ゲル分率が低くなった。
[比較例4]
重合圧力0.98MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.53mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.17mol%、酸化防止剤を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物を得たが、MFRが高すぎるため架橋パイプは成形できなかった。またヘキサン抽出分も多くなった。評価結果を表3に示す。
[比較例5]
重合圧力0.90MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−c]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.09mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.27mol%、酸化防止剤としてペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を150重量ppmとなるようにした以外は、実施例1と同様の操作により、樹脂組成物を得たが、MFRが低すぎるため架橋パイプは成形できなかった。評価結果を表3に示す。
[比較例6]
フラッシュタンクの温度を50℃とした以外は、実施例5と同様の操作により樹脂組成物及び架橋パイプを得た。低温のフラッシュタンクを用いたことで、連続的に遠心分離機に送られる際の温度が低くなり、溶媒側へ溶出するはずの低分子量成分がエチレン−α−オレフィン共重合体中に過剰に残存してしまい、ヘキサン抽出分が多くなった。また、目ヤニ発生が多く、パイプ外観、臭いも悪く、ゲル分率も低かった。評価結果を表3に示す。
Figure 2017066332
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本発明の樹脂組成物は、低分子量成分がきわめて少ないことで、架橋パイプに特有の刺激臭に起因する給水給湯管使用時の水の臭いを低減することができる。さらに、有機不飽和シラン化合物の使用量を低減することができ、また製造時の目ヤニ発生を抑制できる。

Claims (11)

  1. 以下の(1)〜(3)の要件を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体。
    (1)密度が930kg/m3以上960kg/m3以下、
    (2)190℃、2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.5g/10min以上15g/10min以下、
    (3)ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が、100重量ppm以下。
  2. 1000炭素中の二重結合量が0.1個以下である、請求項1に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体。
  3. ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(Mw/Mn)(Mnは数平均分子量、Mwは重量平均分子量を表す)が3.0以上5.5以下である、請求項1又は2に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体。
  4. Al、Mg、Ti、Zr及びHfの合計含有量が20重量ppm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂組成物。
  6. 前記エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対し、有機過酸化物0.05〜1重量部及び有機不飽和シラン化合物0.1〜2.0重量部を含む、請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 酸化防止剤の含有量が100重量ppm以下である、請求項5又は6に記載の樹脂組成物。
  8. 架橋パイプに用いられる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 請求項5〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる架橋パイプ。
  10. 担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いることを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
  11. エチレンとα−オレフィンとを溶媒の存在下で共重合させて、エチレン−α−オレフィン共重合体と溶媒とを含むスラリーを得る工程と、
    前記スラリーを60℃〜100℃の温度で貯留する工程と、
    前記60℃〜100℃の温度で貯留したスラリーから溶媒を分離してエチレン−α−オレフィン共重合体を得る工程と、
    を含む、エチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法。
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