JP2013249094A - 容器 - Google Patents

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一郎 柿原
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Abstract

【課題】クリーン性とバリアー性に優れる容器を提供することを目的とする。
【解決手段】密度が945kg/cm以上である高密度ポリエチレンと、有機核剤50ppm〜2000ppmとを含む、ポリエチレン樹脂組成物からなり、
エタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分の含有量が100ppm以下であり、
Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が40ppm以下である、
容器。
【選択図】なし

Description

本発明は、容器に関する。
半導体製造工程で使用される高純度な溶剤系レジストや希釈剤、及び殺菌や消毒等の医薬用に使用される高純度な溶剤は、不純物の混入を嫌い、その貯蔵・搬送にあたっては、一定レベルの純度が要求される。こうした高純度薬品を貯蔵・搬送するための容器としては、従来から、ポリエチレン、ポリプロピレン等の材料が用いられている。しかしながら、チーグラー系触媒から製造されるポリエチレン等の樹脂中には、低分子の有機成分と共に、触媒残渣由来の金属成分、或いは残留塩素が含まれている。また、残留塩素の中和剤であるステアリン酸カルシウム等の添加剤も多量に含まれているため、内容物である溶剤を容器中に長期間貯蔵している間に、容器を形成している樹脂から溶剤中に不純物が浸出する問題が生じる。
低分子の有機成分と金属成分が少ない容器材料として、例えば、特許文献1、特許文献2には、メタロセン系触媒から製造されるポリエチレンが提案されている。メタロセン系触媒から製造されるポリエチレン容器は、高純度薬品類を長期間保存しても不純物が進出し難く、クリーン性が高いため好適に使用することができる。
一方、貯蔵している高純度薬品類を高純度のまま保存するためにはバリアー性を有していることも必要である。高純度薬品類を入れた容器を長期間保存する場合、あるいは温度、気圧の変化を生じ易い搬送時に、溶剤が容器から揮発することで、内容物が容器内で固化するなどの問題が生じる。このため薬品の製造から消費されるまでの間、変質を防止して品質を一定に保つために、薬品を貯蔵する容器にはバリアー性を有していることも望まれている。
バリアー性を改善するために種々の無機核剤を添加することが知られている。例えば、特許文献3には透明性を有する熱可塑性樹脂100質量部に対して薄片上のマイカ微粉末50〜300質量部を添加した樹脂組成物を主成分とするガスバリアー性が向上されたフィルムが開示されている。しかしながら、この様な無機核剤含有フィルムは、無機核剤が大量に添加され、浸出する金属成分量が増加するためにクリーン性が低下するため好ましくない。
特開平6−53362号公報 特公平8−2578号公報 特開昭62−148532号公報
以上のように、クリーン性が高く、バリアー性にも優れたポリエチレン製容器に対するニーズが高いにもかかわらず、満足できる性能を発揮する高純度薬品用等のポリエチレン製容器は未だ得られていないのが現状である。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、クリーン性とバリアー性に優れる容器を提供することを目的とする。
本発明者らは、これらの問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、高密度ポリエチレンに、適切な量の有機核剤を添加したポリエチレン樹脂組成物を用いることで、クリーン性とバリアー性に優れる容器が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は、以下のものに関する。
〔1〕
密度が945kg/cm以上である高密度ポリエチレンと、有機核剤50ppm〜2000ppmとを含む、ポリエチレン樹脂組成物からなり、
エタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分の含有量が100ppm以下であり、
Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が40ppm以下である、
容器。
〔2〕
前記高密度ポリエチレンの分子量分布が、3.0〜5.0である、前項〔1〕に記載の容器。
〔3〕
前記高密度ポリエチレンの密度が、945〜975kg/cmである、前項〔1〕又は〔2〕に記載の容器。
〔4〕
前記高密度ポリエチレンの残留塩素が、5ppm以下である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の容器。
〔5〕
前記高密度ポリエチレンの1000炭素中の二重結合量が、0.1個以下である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の容器。
〔6〕
前記高密度ポリエチレンが、担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いてスラリー重合法により製造された、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の容器。
〔7〕
前記有機核剤が、ジカルボン酸塩である、前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の容器。
〔8〕
前記ジカルボン酸塩が、環状ジカルボン酸塩である、前項〔7〕に記載の容器。
〔9〕
前記環状ジカルボン酸塩が、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩である、前項〔8〕に記載の容器。
〔10〕
前記ポリエチレン樹脂組成物に含有される前記高密度ポリエチレン及び前記有機核剤以外の、各添加剤の含有量が、100ppm以下である、前項〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の容器。
〔11〕
射出成形法により成形された、前項〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の容器。
〔12〕
高純度薬品の貯蔵・搬送用である、前項〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の容器。
本発明によれば、クリーン性に優れ、バリアー性を有した容器を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔容器〕
本実施形態の容器は、密度が945kg/cm以上である高密度ポリエチレンと、有機核剤50ppm〜2000ppmとを含む、ポリエチレン樹脂組成物からなり、
エタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分の含有量が100ppm以下であり、
Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が40ppm以下である。
<高密度ポリエチレン>
本実施形態の密度が945kg/cm以上である高密度ポリエチレンとしては、特に限定されないが、具体的には、エチレン単独重合体、又はエチレンと、他のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素数3〜20のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等が挙げられる。さらに、ビニルシクロヘキサンあるいはスチレン及びその誘導体等のビニル化合物も使用できる。特に1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。必要に応じて1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ポリエンを少量含有する3元ランダム重合体であってもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらα−オレフィンは、エチレン共重合体の密度が945kg/cm以上980kg/cm以下の範囲となる量で挿入することができる。
本実施形態の高密度ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(分子量分布Mw/Mn)は、2.0以上6.0以下が好ましい。Mw/Mn値が2.0以上であれば、流動性に優れたブロー成形、及び射出成形が容易な高密度ポリエチレンとなる。一方、6.0以下であれば、低分子量成分が減少し、クリーン性が向上するだけでなく、耐衝撃性も向上する。高密度ポリエチレンのMw/Mn値は2.5以上5.5以下がより好ましく、さらに好ましくは3.0以上5.0以下である。高密度ポリエチレンのMw/Mnの測定方法は後述の実施例において詳細に説明される。
高密度ポリエチレンの密度は、945kg/cm以上であり、945kg/cm以上980kg/cm以下が好ましい。高密度ポリエチレンの密度が945kg/m以上であれば、成形体の剛性が向上し、バリアー性も向上する。高密度ポリエチレンの密度は、945kg/cm以上977kg/cm以下がより好ましく、さらに好ましくは945kg/cm以上975kg/cm以下である。高密度ポリエチレンの密度の測定方法は後述の実施例において詳細に説明される。
高密度ポリエチレン中に含有される残留塩素の量は、樹脂に対して20ppm以下であることが好ましい。塩素量が20ppm以下であれば、容器から塩素が内溶液へ溶出することが抑制され、内溶液の汚染及び変質を防ぎ、塩素による成形機の腐食を防ぎ、成形体の変色も防ぐことができる。また、塩素を補足する中和剤が不要になり、使用した中和剤に由来する不純物が低減される。残留塩素の量は、10ppm以下がより好ましく、さらに好ましくは5ppm以下である。高密度ポリエチレンの塩素残渣の測定方法は後述の実施例において詳細に説明される。このような残留塩素の量は、触媒に使用する無機担体等に由来するため、ポリエチレン製造触媒の種類を変えることにより制御することができる。具体的には、メタロセン系、チーグラーナッタ系、クロム系の3種類のうち、塩素含有化合物を触媒中に含まないメタロセン系とクロム系触媒を用いた場合には、残留塩素量を5ppm以下に制御することが可能となる。また、チーグラー系触媒では、無機担体としてMgClを使用するため残留塩素量が多くなる。この中でも、触媒中に塩素がないメタロセン系触媒を用いて、残留塩素の量を少なくすることが好ましい。
前記高密度ポリエチレンの1000炭素中の二重結合の量は、0.2個以下であることが好ましい。二重結合の量が0.2個以下であれば、熱による劣化を受けにくく、流動性が向上する。そのため、高温での成形が容易になるだけでなく、リワークができるため経済的にも好ましい。通常、熱劣化を抑制するためには、酸化防止剤等を添加することが必要になるが、使用した酸化防止剤が不純物の原因となり、クリーン性が低下してしまう。しかしながら、二重結合の量が0.2個以下であれば、このようなクリーン性の低下も防ぐことができる。二重結合の量は、0.15個以下がより好ましく、さらに好ましくは0.1個以下である。高密度ポリエチレンの二重結合量の測定方法は後述の実施例において詳細に説明される。高密度ポリエチレンの1000炭素中の二重結合の量の測定方法は後述の実施例において詳細に説明される。なお、二重結合の量は、使用する触媒により変化するため、後述する触媒等を適宜使い分けることにより制御することができる。
前記高密度ポリエチレンは、担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いてスラリー重合法により製造されることが好ましい。担持型幾何拘束型メタロセン触媒により製造されるポリエチレンは、触媒残渣量、残留塩素量、或いは二重結合量が少なく、添加剤を導入しない状態で、成形でき、或いは成形された容器を使用できるため好ましい。一方、チーグラー系触媒により製造されるポリエチレンは、触媒残渣量、残留塩素量、或いは二重結合量が多く、添加剤を添加した状態での成形及び使用が望まれる。また、クロム系触媒により製造されるポリエチレンは、二重結合量が多くなる。そのため、前記高密度ポリエチレンは、チーグラー系触媒とクロム系触媒よりも、担持型幾何拘束型メタロセン触媒により製造されることが好ましい。
(高密度ポリエチレンの製造方法)
次に、本実施形態で使用される高密度ポリエチレンの製造方法、具体的にはポリエチレン単独重合体、又はエチレンとα−オレフィン共重合体の製造方法について述べる。
(重合触媒)
高密度ポリエチレン単独重合体、又は共重合体は、例えば少なくとも(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム化合物、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤、から調製された担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いて、エチレンを単独重合して、又はエチレンと炭素数3〜20のαーオレフィンとを共重合して得ることができる。
(ア)担体物質としては、有機担体、無機担体のいずれであつてもよい。有機担体としては、特に限定されないが、具体的には、炭素数2〜10のα−オレフィンの(共)重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ジビニルベンゼン共重合体;芳香族不飽和炭化水素重合体、例えば、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体;及び極性基含有重合体、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート等が挙げられる。
無機担体としては、特に限定されないが、具体的には、無機酸化物、例えば、SiO、Al、MgO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、SiO−MgO、SiO−Al、SiO−V等;無機ハロゲン化合物、例えば、MgCl、AlCl、MnCl等;無機の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、例えば、NaCO、KCO、CaCO、MgCO、Al(SO、BaSO、KNO、Mg(NO等;水酸化物、例えば、Mg(OH)、Al(OH)、Ca(OH)等が例示される。より好ましい担体物質はSiOである。担体の粒子径は任意であるが一般的には1〜3000μm、好ましくは5〜2000μm、より好ましくは10〜1000μmの範囲である。
上記(ア)担体物質は必要に応じて(イ)有機アルミニウム化合物で処理される。好ましい(イ)有機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、及びトリデシルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムハイドライド、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムメトキシド、及びジメチルアルミニウムフェノキシド等のアルミニウムアルコキシド;メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、及びメチルイソブチルアルモキサン等のアルモキサン等が挙げられる。これらのうちでトリアルキルアルミニウム、及びアルミニウムアルコキシド等が好ましい。より好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
本実施形態の担持型幾何拘束型メタロセン触媒は、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物(以下、単に「遷移金属化合物」と称することがある。)を含むことができる。本実施形態の遷移金属化合物は、特に限定されないが、具体的には、以下の式(1)で表すことができる。
MXX’‥‥(1)
式(1)中において、Mは、1つ以上の配位子Lとη結合をしている、酸化数+2、+3、又は+4の周期律表第4族遷移金属である。
また、式(1)中において、Lは、環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立に、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、又はオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8個の置換基を任意に有していてもよく、さらには2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、シラジイル、ハロシラジイル、アミノシラン等の2価の置換基により結合されていてもよい。
式(1)中において、Xは、各々独立に、60個までの非水素性原子を有する1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、又はM及びLに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である。X’は各々独立に、炭素数4〜40からなる、フォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。また、lは1又は2の整数である。pは0、1、又は2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子又はM及びLに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるとき、pはMの形式酸化数よりl以上少ない整数であり、またXがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるとき、pはMの形式酸化数よりl+1以上少ない整数である。また、qは0、1、又は2である。遷移金属化合物としては、上記式(1)でl=1の場合が好ましい。
例えば、遷移金属化合物の好適な例は、以下の式(2)で表される。
式(2)式中において、Mは形式酸化数+2、+3、又は+4の、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムである。また、式(2)中において、Rは各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができ、また近接するR同士が相俟ってヒドロカルバジイル、シラジイル、又はゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
式(2)中において、X”は各々独立にハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、又はシリル基であり、各々20個までの非水素原子を有しており、また2つのX”が炭素数5〜30の中性の共役ジエン若しくは2価の誘導体を形成してもよい。Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−であり、ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR 2、又はGeR であり、ここでRは各々独立に炭素数1〜12のアルキル基、又はアリール基である。また、nは1〜3の整数である。
さらに、遷移金属化合物としてより好適な例は、以下の式(3)及び(4)で表される。
式中、式(3)及び(4)中において、Rは各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。また、Mは、チタニウム、ジルコニウム、又はハフニウムである。Z、Y、X及びX’は前出の定義と同じである。
式(3)及び(4)中において、pは0、1、又は2であり、またqは0、又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり且つXはハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカビルアミド基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基、又はこれらの複合基あり、20個までの非水素原子を有している。
また、式(3)及び(4)中において、pが1でqが0のとき、Mの酸化数が+3であり且つXがアリル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基、若しくは2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配位子であるか;Mの酸化数が+4であり且つXが2価の共役ジエンの誘導体であるか;又はMとXが共にメタロシクロペンテン基を形成している。
また、式(3)及び(4)中において、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX’は中性の共役あるいは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素基で置換されていてもよく、また該X’は40個までの炭素原子を含み得ることができ、Mとπ型錯体を形成している。
さらに、本実施形態において、遷移金属化合物として最も好適な例は、以下の式(5)及び(6)で表される。
式(5)及び(6)中において、Rは各々独立に、水素、又は炭素数1〜6のアルキル基である。また、Mはチタニウムであり、Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−である。ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR 、又はGeR であり、Rは各々独立に水素、或いは、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、又はこれらの複合基であり、該Rは20個までの非水素原子を有することができ、また必要に応じてZ中の2つのR同志、又はZ中のRとY中のRとが相俟って環状となっていてもよい。
式(5)及び(6)中において、pは0、1、又は2であり、qは0、又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり且つXは各々独立にメチル基、又はベンジル基である。また、pが1、qが0のとき、Mの酸化数が+3であり且つXが2−(N,N−ジメチル)アミノベンジルであるか、又はMの酸化数が+4であり且つXが2−ブテン−1,4−ジイルである。また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり且つX’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、又は1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
また、本実施形態のメタロセン系触媒は、(エ)遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤(以下、単に「活性化剤」と称することがある。)を含む。通常、メタロセン系触媒に於いては、遷移金属化合物と上記活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。本実施形態において、活性化剤としては、特に限定されないが、具体的には、以下の式(7)で定義される化合物が挙げられる。
[L−H]d+[Md− ‥‥(7)
但し、式中[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
また、式中[Md−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族〜第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。また、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは1〜7の整数であり、p−m=dである。
本実施形態で、活性化剤のより好ましい例は以下の式(8)で定義される化合物である。
[L−H]d+[M(G(T−H)d− ‥‥(8)
但し、式中[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、式中[M(G(T−H)d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族〜第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。また、GはM及びTと結合するr+1の価数を持つ多価炭化水素基であり、TはO、S、NR、又はPRであり、ここでRはヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、若しくは水素である。また、mは1〜7の整数であり、nは0〜7の整数であり、qは0又は1の整数であり、rは1〜3の整数であり、zは1〜8の整数であり、dは1〜7の整数であり、n+z−m=dである。
活性化剤のさらに好ましい例は、以下の式(9)で表される。
[L−H][BQ ‥‥(9)
但し、式中[L−H]はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、式中[BQは相溶性の非配位性アニオンであり、Bは硼素元素を表し、Qはペンタフルオロフェニル基であり、Qは置換基としてOH基を1つ有する炭素数6〜20の置換アリール基である。
本実施形態の相溶性の非配位性アニオンとしては、特に限定されないが、具体的には、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオリメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−(4´−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレート等が挙げられ、好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートが挙げられる。
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンとしては、特に限定されないが、具体的には、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHR基で置き換えられたボレートが挙げられる。ここで、Rは好ましくは、メチル基、エチル基、又はtert−ブチル基である。
また、プロトン付与性のブレンステッド酸としては、特に限定されないが、具体的には、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n−オクチル)アンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチルアンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイコシルメチルアンモニウム、及びビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム等のようなトリアルキル基置換型アンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、及びN,N−ジメチルベンジルアニリニウム等のようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ−(i−プロピル)アンモニウム、及びジシクロヘキシルアンモニウム等のようなジアルキルアンモニウムカチオン;トリフェニルフォスフォニウム、トリ(メチルフェニル)フォスフォニウム、及びトリ(ジメチルフェニル)フォスフォニウム等のようなトリアリールフォスフォニウムカチオン;ジメチルスルフォニウム、ジエチルフルフォニウム、及びジフェニルスルフォニウム等;トリフェニルカルボニウムイオン、ジフェニルカルボニウムイオン、シクロヘプタトリニウム、及びインデニウム等が好適である。
また、本実施形態において、活性化剤として次の式(10)で表されるユニットを有する有機金属オキシ化合物も用いることができる。

ただし、式(10)中において、Mは周期律表第13族〜第15族の金属、又はメタロイドであり、Rは各々独立に炭素数1〜12の炭化水素基又は置換炭化水素基であり、nは金属Mの価数であり、mは2以上の整数である。
本実施形態の活性化剤の好ましい例は、例えば次式(11)で示されるユニットを含む有機アルミニウムオキシ化合物である。

但し、式(11)中において、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、mは2〜60の整数である。
本実施形態の活性化剤のより好ましい例は、例えば次式(12)で示されるユニットを含むメチルアルモキサンである。

但し、式(12)中において、mは2〜60の整数である。
また、本実施形態では、上記(ア)〜(エ)触媒成分の他に、必要に応じて有機アルミニウム化合物を触媒成分として用いることもできる。本実施形態の有機アルミニウム化合物とは、特に限定されないが、具体的には、次式(13)で表される化合物が挙げられる。
AlR3−n ‥‥(13)
但し、式(13)中において、Rは炭素数1〜12の、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、Xはハロゲン、水素、又はアルコキシル基であり、nは1〜3の整数である。本実施形態の有機アルミニウム化合物は、上記式(13)で表される化合物の混合物であっても構わない。
本実施形態で用いる触媒は、成分(ア)に、成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)を担持させることにより得ることができる。成分(イ)〜成分(エ)を担持させる方法は特に限定されないが、一般的には成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)をそれぞれが溶解可能な不活性溶媒中に溶解させ、成分(ア)と混合した後、溶媒を留去する方法;成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)を不活性溶媒に溶解後、固体が析出しない範囲でないでこれを濃縮して、次に濃縮液の全量を粒子内に保持できる量の成分(ア)を加える方法;成分(ア)に成分(イ)、及び成分(エ)をまず担持させ、ついで成分(ウ)を担持させる方法;成分(ア)に成分(イ)及び成分(エ)、及び成分(ウ)を逐次に担持させる方法等が例示される。本実施形態の成分(ウ)、及び成分(エ)は一般的には液体又は固体である。本実施形態では成分(イ)、成分(ウ)、成分(エ)は、担持の際、不活性溶媒に希釈して使用する場合がある。
この目的に使用する不活性溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロルメタン等のハロゲン化炭化水素;或いはこれらの混合物等を挙げることができる。かかる不活性溶媒は、乾燥剤、吸着剤等を用いて、水、酸素、硫黄分等の不純物を除去して用いることが望ましい。
成分(ア)1gに対し、成分(イ)はAl原子換算で1×10−5〜1×10−1モルが好ましく、より好ましくは1×10−4〜5×10−2モル、成分(ウ)は1×10−7〜1×10−3モルが好ましく、より好ましくは5×10−7〜5×10−4モル、成分(エ)は1×10−7〜1×10−3モルが好ましく、より好ましくは5×10−7〜5×10−4モルの範囲である。各成分の使用量及び担持方法は、活性、経済性、パウダー特性、及び反応器内のスケール等により決定される。得られた担持型幾何拘束型メタロセン触媒は、担体に担持されていない有機アルミニウム化合物、ボレート化合物、チタン化合物を除去することを目的に、不活性溶媒を用いでデカンテーション或いは濾過等の方法により洗浄することもできる。本実施形態の容器で使用される高密度ポリエチレンを製造する場合には、クリーン性を向上させるために、デカンテーション或いは濾過を3回以上実施することが望ましい。
上記一連の溶解、接触、洗浄等の操作は、その単位操作毎に選択される−30℃以上150℃以下範囲の温度で行うことが推奨される。そのような温度のより好ましい範囲は、0℃以上100℃以下である。担持型幾何拘束型メタロセン触媒を得る一連の操作は、乾燥した不活性雰囲気下で行うことが好ましい。本実施形態で用いる担持型幾何拘束型メタロセン触媒は、不活性溶媒中に分散したスラリー状態で保存することも、或いは乾燥して固体状態で保存することもできる。
また、本実施形態で用いる担持型幾何拘束型メタロセン触媒はそれのみでエチレンの単独重合、又はエチレンとαーオレフィンの共重合が可能であるが、溶媒や反応系の被毒の防止のため、付加成分として有機アルミニウム化合物を共存させて使用することも可能である。好ましい有機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、及びトリデシルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムハイドライド、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニュウトリメチルシロキシド、ジメチルアルミニウムフェノキシド等のアルミニウムアルコキシド;メチルアルモキサン、エチルアルミキサン、イソブチルアルミキサン、及びメチルイソブチルアルモキサン等のアルモキサンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアルミニウム、アルミニウムアルコキシドが好ましい。より好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
(重合方法)
エチレン単独重合体、又はエチレンとαーオレフィンとの共重合体の重合方法は、特に限定されないが、具体的には、スラリー重合法、気相重合法、又は公知の重合方法を用いることができる。本実施形態に於いて重合を行う場合、一般的には重合圧力は1〜100気圧が好ましく、より好ましくは3〜30気圧である。また、重合温度は20℃〜115℃が好ましく、より好ましくは50℃〜90℃である。よりクリーン性に優れ、バリアー性を有した容器を提供するためには、スラリー重合法が好適である。本実施形態でスラリー重合法を用いる場合、温度の上限は生成するエチレン単独重合体又は共重合体が実質的にスラリー状態を維持し得る温度とすることが好ましい。この値以下であれば、エチレン単独又は共重合体の分子量分布が3以上となる。スラリー重合法に用いる溶媒としては、本実施形態で先に記載した不活性溶媒が好適であり、特に、イソブタン、イソペンタン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン等が好適である。
(コモノマー)
本実施形態で用いることができるコモノマーは、特に限定されないが、具体的には、次の式で表されるαーオレフィンが挙げられる。
C=CHR
(式中、Rは炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、アルキル基は直鎖状、分岐状、又は環状である。)
このようなコモノマーとしては、特に限定されないが、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン、スチレン、及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる化合物;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及び2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンよりなる群から選ばれる炭素数3〜20の環状オレフィン;1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、及びシクロヘキサジエンよりなる群から選ばれる炭素数4〜20の直鎖状、分岐状、又は環状ジエンが挙げられる。本実施形態に於いては、特に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が好適である。
スラリー重合法で得られたポリエチレン粒子は、遠心分離、濾過等の方法で、溶媒から分離される。本実施形態の容器で使用される高密度ポリエチレンを製造する場合には、低分子量成分がある程度、溶媒と共に除去されるため、スラリー重合法が望ましい。
<有機核剤>
核剤とは、本明細書で使用される場合、当業者にとって従来の意味、つまりポリマー溶融物が冷却される過程で、ポリマーの結晶化挙動を変化させる添加剤を表す。
有機核剤としては、特に限定されないが、具体的には、ジカルボン酸塩であることが好ましく、環状ジカルボン酸塩であることがより好ましい。このような有機核剤としては、ジベンジリデンソルビトールやジメチルベンジリデンソルビトール等のソルビトール系誘導体;リン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、ビシクロ[2,2,1]ヘプテンジカルボン酸ジナトリウム、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム等の環状脂肪族金属塩等が挙げられる。上記有機核剤の内、好ましくは環状脂肪族金属塩、さらに好ましくは、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩である。
有機核剤の含有量は、50ppm以上2000ppm以下である。有機核剤が50ppm以上であれば十分なバリアー性を発現することができ、一方、2000ppm以下であれば容器のクリーン度が十分となり、耐衝撃性も向上する。有機核剤の含有量は、70ppm以上1700ppm以下が好ましく、より好ましくは100ppm以上1500ppm以下である。
有機核剤は、樹脂材料と直接ドライブレンドすることもできるが、有機核剤の樹脂中への分散性の観点からは、予め樹脂に高濃度に充填したもの(マスターバッチ)を用いることが好ましい。例えば、有機核剤の濃度として5〜80質量%を含有するマスターバッチを用いることができるが、これに限定されるものではない。
このマスターバッチの作製方法は、一軸又は二軸混練押出機の連続式であっても、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー等を用いるバッチ式であっても、特に限定されず、ゲレーションによる方法等の公知の方法を用いることができる。
有機核剤の高い分散性を確保するには、マスターバッチの段階で十分な分散性を確保しておくことが好ましい。有機核剤の粒径は、特に限定されないが、微細であればあるほど分散性に優れる。
また、核剤には「無機核剤」と「有機核剤」が存在する。無機核剤としては、ポリプロピレン添加剤として広範に使用されている市販の核剤、例えば、タルク、マイカ、シリカ、ドロマイト粉、ケイ酸塩、石英粉、珪藻土、アルミナ等が挙げられる。本実施形態では、必要に応じてこのような無機核剤を用いることもできる。
<エタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分の含有量>
容器のエタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分量は、100ppm以下である。炭素数18及び20の炭化水素成分量が100ppm以下であれば、低分子量で溶出しやすい成分である炭素数18及び20の炭化水素成分が、高純度薬品類等へ混入することを抑制できる。容器のエタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分量は、80ppm以下が好ましく、より好ましくは50ppm以下である。なお、炭素数18及び20の炭化水素成分量はポリエチレンに由来し、ポリエチレンの製造に用いる触媒により制御することができる。例えば、上述したメタロセン触媒でポリエチレンを製造すると分子量分布が狭く、低分子量成分が少ないポリエチレンを得ることが可能である。また、触媒製造工程で、担体物質に担持されていない幾何拘束型メタロセン触媒をデカンテーションにより除去することで、低分子量成分が少ないポリエチレンを得ることができる。このように、触媒を適宜使い分けることで、容器のエタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分量を制御することが可能である。
<Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量>
容器中のAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が40ppm以下である。40ppm以下であれば、容器のクリーン度の低下、容器の着色、加工時の劣化を抑制できるため好ましい。容器のAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量は、30ppm以下が好ましく、より好ましくは20ppm以下である。なお、Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量はポリエチレンに由来し、ポリエチレンの製造に用いる触媒により制御することができる。例えば、上述したメタロセン触媒でポリエチレンを製造するとAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が少ないポリエチレンを得ることが可能である。このように、触媒を適宜使い分けることで、容器のAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量を制御することが可能である。
<添加剤>
さらに、本実施形態にかかるポリエチレン組成物は、上記高密度ポリエチレン及び有機核剤以外の、中和剤、酸化防止剤、及び耐光安定剤等の添加剤のそれぞれの含有量が100ppm以下である場合が好適である。本実施形態では容器のクリーン性を高めるために、これらの添加剤を配合せずに用いるのがより好ましいが、必要に応じて使用することも可能である。しかしながら、中和剤、酸化防止剤、及び耐光安定剤は容器から薬液中に浸出する原因となるので添加量を制御することが望ましい。
中和剤はポリエチレン中に含まれる塩素キャッチャー、或いは有機核剤の分散助剤として使用される。中和剤としては、特に限定されないが、具体的には、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のステアリン酸塩が挙げられる。中和剤の含有量が100ppm以下であれば、容器のクリーン度が低下しないので好ましい。尚、本実施形態にかかわる担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いてスラリー重合法により得られるポリエチレンは、触媒構成成分中からハロゲン成分を除外することも可能であり、この場合には中和剤は不要である。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤が挙げられる。前記中和剤と同様に酸化防止剤の含有量が100ppm以下であれば、容器のクリーン度が低下しないので好ましい。尚、本実施形態にかかわる担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いてスラリー重合法により得られるポリエチレンは、熱による劣化を受けやすいポリエチレンの二重結合量を極めて少なくすることが可能であり、この場合には酸化防止剤は不要である。
耐光安定剤としては、特に限定されないが、具体的には、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系耐光安定剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系耐光安定剤が挙げられる。前記中和剤及び酸化防止剤と同様に耐光安定剤の含有量が100ppm以下であれば、容器のクリーン度が低下しないので好ましい。尚、前述と同様に、本実施形態にかかわる担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いてスラリー重合法により得られるポリエチレンは、光による劣化を受けやすいポリエチレンの二重結合量を極めて少なくすることが可能であり、この場合には耐光安定剤は不要である。
ポリエチレン中に含まれる添加剤の含有量は、容器素材であるポリエチレンをテトラヒドロフラン(THF)を用いてソックスレー抽出により6時間抽出し、抽出液を液体クロマトグラフィーにより分離、定量することにより求めることができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の他の樹脂をブレンドして使用することもできる。
〔容器の製造方法〕
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を含む容器の製造方法については、特に限定されないが、射出成形、ブロー成形、押出成形、回転成形等既知の成形方法により、ポリエチレン樹脂組成物を容器状に成形することにより、製造できる。特に、射出成形法により成形された容器が好ましく、このような容器であれば高純度薬品等への低溶出性、表面光沢性、さらに機械強度、耐落下衝撃性に優れる。
〔用途〕
本実施形態における「容器」は、高純度薬品容器として好適に用いることができ、たとえば、化学薬品、農薬、ガソリン、オイル等の工業薬品用容器;医薬品用容器;食品用容器;洗剤や化粧品等のトイレタリー用品用容器;レジストインキ、接着剤、塗料、印刷インキ等の高純度薬品を入れる容器等に使用することができるが、クリーン性とバリアー性を特に要求する工業薬品容器として好適であり、その中でも半導体製造用薬液等の純度の要求される化学薬品の貯蔵搬送用容器として好適である。特に、本実施形態の容器は、高純度薬品の貯蔵、搬送用であることが好ましい。
容器の形状は特に限定されないが、例えば、ビン、タンク、ドラム、アンプル、カップ、袋、その他の容器の形状に成形して製造される。なお、用語「高純度」とは、その目的に応じて、不純物を可能な限り少なくしたという意味で、純度は特に限定されるものでは無い。
<バリアー性の評価>
バリアー性は、高密度ポリエチレン、有機核剤、や必要に応じて添加剤を添加したポリエチレン樹脂組成物を含む容器に、トルエン溶剤を導入して、23℃で60日間放置した時のトルエンの減少量を測定することで評価した。密度965kg/mの無添加のポリエチレンを含む、容器を使用した時のトルエンの減少量を100%としたとき、トルエンの減少量は95%以下になることが好ましい。95%以下であれば、有機核剤を導入することによりバリアー性が改善され、クリーン性が向上する。トルエンの減少量は、90%以下がより好ましく、さらに好ましくは80%以下である。バリアー性の評価方法は後述の実施例において詳細に説明する。
以下に本発明をより具体的に説明した実施例を例示する。ただし、本発明はその要旨を超えない限りにおいて以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における物性の評価は以下の手順で行った。
<評価方法>
(1)密度
JIS K6760に準拠し、密度勾配管法により測定した。
(2)MFR
ASTM−D−1238に従い、190℃、荷重2.16kgで測定した値である。
(3)分子量測定
ポリエチレン20mgにo−ジクロロベンゼン15mLを導入して、150℃で1時間撹拌することで調製したサンプル溶液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行った。測定結果から、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
・装置:Waters社製150−C ALC/GPC
・検出器:RI検出器
・移動相:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・流量:1.00mL/分
・カラム:Shodex製AT−807Sを1本と東ソー製TSK−gelGMH−H6を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:140℃
(4)エタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分量の測定方法
容器を細断(1cm×1cm×厚み1.5mm)した試料10g、エタノール60mLを密閉されたテフロン(登録商標)製容器中に保持し、50℃、5日間抽出する。和光純薬工業社製特級n−オクタデカン(炭素数18の標準物質)及び和光純薬工業社製特級n−エイコサン(炭素数20の標準物質)のクロロホルム溶液を標準試薬として用いた。上記抽出液は、島津製作所社製ガスクロマトグラフGC−14B、及び内径3.2mm、有効長1.1m、島津製作所社製SiliconeOV−17を充填したカラムを用い、インジェクション温度250℃、カラム温度160℃の条件下で測定された。上記標準試薬のピークエリアとの比から炭素数18及び20の炭化水素成分量を算出し、50ppm以下を◎、50〜100ppmを○、100〜200ppmを△、200ppm以上を×で評価した。
(5)Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量の測定方法
容器を細断した試料約0.2gをテフロン(登録商標)製分解容器に秤取り、高純度硝酸を加えてマイルストーンゼネラル社製マイクロウェーブ分解装置ETHOS−TCにて加圧分解後、日本ミリポア社製超純水製造装置で精製した純水で全量を50mLとしたものを検液として使用した。上記検液に対し、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)Xシリーズ2を使用して、内標準法でAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの定量を行った。
(6)塩素残渣量の測定方法
高密度ポリエチレン約0.05gを石英製ボートに入れて、三菱アナリティカル社製自動燃焼装置中AQF−100で燃焼させた。発生した燃焼ガスをあらかじめ酒石酸を添加した吸収液に吸収させて、ダイオネクス社製イオンクロマトグラフ分析装置ICS−1500で酒石酸を内標準物質として内標準法で定量を行った。
(7)1000炭素中の二重結合量の測定方法
高密度ポリエチレンの二重結合量の測定は、日本分光社製JASCO FTIR4200を使用して測定した。測定用シートはJISK6922−2に準拠して、高密度ポリエチレンペレットを0.5mm厚の型枠を入れたプレス用金型板上に必要量載せ、200℃、1MPaで加圧しながら3分間予熱した。続いて2分間かけて1MPaで加圧、除圧を7回繰り返し、続いて10MPaで加圧、除圧を4回繰り返した。最後に10MPaで2分間加圧した後、15℃/minの平均冷却速度で、12分間冷却することで0.5mm厚の測定用シートを作製した。
高密度ポリエチレンの二重結合量は、日本分析化学会高分子ハンドブックのポリエチレンの異種結合の定量法に準拠して測定した。二重結合量(個/1000C)は、963cm−1のトランス(個/1000C)、910cm−1の末端ビニル(個/1000C)、888cm−1のビニリデン(個/1000C)の吸光度Aを測定することで求めた。計算式を下記に示す。
二重結合量=0.083A963/(ρ×t)+0.114A910/(ρ×t)+0.109A888/(ρ×t)
尚、Aは吸光度、ρは密度(g/cm)、tは厚み(mm)を表す。
(8)熱劣化による流動性低下率
高密度ポリエチレンの熱劣化による流動性低下率は、上述の(2)の方法で測定したMFRと、同じ方法で3回繰り返し測定した後のMFRを比較することで求めた。計算式を下記に示す。
流動性低下率(%)={(1回目のMFR)−(3回目のMFR)}/{1回目のMFR}×100
(9)バリアー性試験(重量変化率の測定)
バリアー性試験に使用した容器と蓋は、住友重機械工業社製の射出成形機SE130DUZ/C360を使用して、220℃で成形した。容器は、外径99.2mm、内径96.2mm、高さ118mm、厚み1.5mmの有底筒状になるように作製し、上部20mm内にネジ部を設けた。内蓋は容器上部に接する部分の外径97.5mm、容器内部に接する部分の外径96.2mm、高さ12.3mm、厚み1.0mmの有底筒状になるように作製し、容器に内蓋をした。内蓋を締め付ける外蓋は、外径104.4mm、高さ17.8mm、厚み1.5mmでネジ部を設け、有底筒状になるように作製し、容器上部のネジ部に締めこむことで使用した。
前述の方法で作製した容器にトルエン500mL(433.5g)を導入して内蓋、外蓋で密封し、23℃で60日間放置した後の重量変化を測定した。重量変化率は、密度965kg/m、MFR12g/10min、Mw/Mn3.5の無添加のポリエチレン(旭化成ケミカルズ社製のクレオレックスT701A)の重量減少量33.7gを100%として計算した。
重量変化率は、下記式より求めた。
重量変化率(%)=「60日後のトルエンの減少重量」/「33.7」×100
<成分>
(1)有機核剤
有機核剤は、ミリケン社製の1,2シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩(CAS登録番号491589−22−1、実施例においては「HPN−20」と称される)を使用した。
(2)無機核剤
無機核剤は、BASF社製の焼成カオリンであるSATINTON−W/WHITETEX(CAS登録番号92704−41−1、比較例においては「カオリン」と称される)を使用した。
(3)中和剤
中和剤としては、日本油脂社製のステアリン酸カルシウム(CAS登録番号1592−23−0、実施例においては「StCa」と称される)を使用した。
[実施例1]
<重合方法>
[担持型幾何拘束型メタロセン触媒[I]の調製]
シリカQ−6[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、SiO1gあたり1.85mmol/gであった。容量1.8Lのオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)を80mL加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー880mLを得た。
一方、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」と記載する。)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1000mLに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した式AlMg(C(n−C12の1mol/Lヘキサン溶液を20mL加え、さらにヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/Lに調製し、成分[V]を得た。
また、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と記載する。)5.7gをトルエン50mLに添加して溶解し、ボレートの100mmol/Lトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/Lヘキサン溶液5mLを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/Lとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46mLを、上記で得られた成分[IV]のスラリー800mLに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上記で得られた成分[V]のうち32mLを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されている担持型幾何拘束型メタロセン触媒[I]を得た。
その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。
[液体助触媒成分[II]の調製]
有機マグネシウム化合物[III−1]として、AlMg(C(n−C12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[III−2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200mLのフラスコにヘキサン40mLとAlMg(C(n−C12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mLを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
[高密度ポリエチレンであるエチレン単独重合体の調製]
(A−1)上記により得られた担持型幾何拘束型メタロセン触媒[I]と液体助触媒成分[II]は、触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてノルマルヘキサン、モノマーとしてエチレンを用いた。反応温度は78℃としてエチレン、水素の混合ガスを全圧が0.8MPaで、高密度ポリエチレンであるエチレン単独重合体を重合により調製した。
重合は、エチレン、水素混合ガスを脱圧して、窒素ガスで加圧、脱圧を3回繰り返した後、メタノールを溶媒であるノルマルヘキサンの1/200質量%導入することで停止した。その後、エチレン単独重合体を300メッシュの金網で濾過し、95℃の熱風乾燥器で3時間乾燥した。
得られた高密度ポリエチレン重合体のパウダーは、中和剤や酸化防止剤等の添加剤を使用せずに、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35。L:重合反応機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)。以下、同じ。)の二軸押出成形機を利用し、220℃の温度で溶融混錬して造粒した。該高密度ポリエチレンの密度、MFR、分子量分布、残留塩素量、二重結合量の評価結果を表1に示す。
ポリエチレン樹脂組成物は、高密度ポリエチレン重合体のパウダーに、有機核剤HPN−20が1000ppmになるように添加し、中和剤や酸化防止剤等の添加剤を使用せずに、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成形機を利用し、220℃の温度で溶融混錬して造粒した。該ポリエチレン樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
[実施例2]
有機核剤HPN−20が500ppmになるように添加した以外は、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[実施例3]
有機核剤HPN−20が250ppmになるように添加した以外は、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[実施例4]
有機核剤HPN−20が100ppmになるように添加した以外は、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[実施例5]
有機核剤HPN−20が250ppm、ステアリン酸カルシウムが100ppmになるように添加した以外は、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[実施例6]
ガス組成を、水素、エチレン、及び1−ブテンに変更し、有機核剤HPN−20が500ppmになるように添加した以外は、実施例1に準じて評価した。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[比較例1]
ガス組成を、水素、エチレン、及び1−ブテンに変更し、1-ブテン量を密度941kg/cmになるよう導入した以外は、実施例1に準じて評価した。密度が945kg/m以下になると樹脂自身のバリアー性が低下するため、容器のバリアー性も低下した。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[比較例2]
有機核剤も添加剤も添加しない以外は、実施例1に準じて評価した。バリアー性試験を実施したところ、トルエン433.5g(500mL)から33.7g減少した。このように、有機核剤を添加しない場合は、十分なバリアー性が発現しなかった。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[比較例3]
有機核剤は添加せず、ステアリン酸カルシウムが1000ppmになるように添加した以外は、実施例1に準じて評価した。ステアリン酸カルシウムのみではバリアー性は発現されなかった。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[比較例4]
有機核剤HPN−20が30ppmになるように添加した以外は、実施例1に準じて評価した。30ppmでは十分なバリアー性が発現しなかった。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[比較例5]
有機核剤は添加せず、無機核剤のカオリンが1000ppmになるように添加した以外は、実施例1に準じて評価した。カオリンの添加では、十分なバリアー性が発現しなかった。また、含有金属成分量も増加し、熱劣化による流動性の低下率も大きくなった。評価結果を表1と表2に併せて示した。
[比較例6]
[チーグラーナッタ触媒を用いたエチレン単独重合体の製法]
(1)固体触媒成分[A]の調製
充分に窒素置換された200mLのステンレス製オートクレーブに式AlMg(C12(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液40mL(アルミニウムとマグネシウムの総量として37.8mmol相当)を仕込み、25℃で攪拌しながらメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mLを30分かけて滴下した。滴下後、80℃に昇温し、3時間攪拌しながら反応させることにより、チタン化合物と接触させる有機マグネシウム化合物を得た。
充分に窒素置換された8Lのステンレス製オートクレーブにヘキサン2400mLを仕込み、−5℃で攪拌しながら、式AlMg(C12(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1300mL(マグネシウム521mmol相当)と0.5mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液1300mLとを、2時間かけて同時に滴下した。滴下後、さらに10℃で1時間攪拌しながら熟成させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン3000mLでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A](チーグラーナッタ触媒)を調製した。
(2)重合反応
容積230Lの重合器で重合反応をおこなった。重合温度は86℃、重合圧力は0.98MPaとした。この重合器に合成したチーグラーナッタ触媒を0.3g/hrの速度で、トリイソブチルアルミニウムを24mmol/hr、ノルマルヘキサンは48L/hrの速度で導入した。これにエチレン、水素の混合ガスを導入して重合した。
重合は、エチレン、水素混合ガスを脱圧して、窒素ガスで加圧、脱圧を3回繰り返した後、メタノールを溶媒であるノルマルヘキサンの1/200質量%導入することで停止した。その後、エチレン単独重合体を300メッシュの金網で濾過し、95℃の熱風乾燥器で3時間乾燥した。
得られた高密度ポリエチレン重合体のパウダーは、中和剤や酸化防止剤等の添加剤を使用せずに、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成形機を利用し、220℃の温度で溶融混錬して造粒した。該高密度ポリエチレンの密度、MFR、二重結合量の評価結果を表1に示す。
ポリエチレン樹脂組成物は、高密度ポリエチレン重合体のパウダーに、有機核剤HPN−20が1000ppmになるように添加し、中和剤や酸化防止剤等の添加剤を使用せずに、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成形機を利用し、220℃の温度で溶融混錬して造粒した。該ポリエチレン樹脂組成物の評価結果を表2に示す。チーグラー系触媒により製造された高密度ポリエチレン樹脂組成物は、エタノール抽出によるC18及びC20の炭化水素成分量が多く、金属成分量、残留塩素量も増加した。また、二重結合量が多く、熱劣化による流動性の低下が顕著に表れた。
本発明の容器は、半導体装置産業分野、精密工業部品分野、医薬品分野、シャンプーや化粧品容器等のサニタリー分野等に使用され、特に高純度薬品容器として好適である。

Claims (12)

  1. 密度が945kg/cm以上である高密度ポリエチレンと、有機核剤50ppm〜2000ppmとを含む、ポリエチレン樹脂組成物からなり、
    エタノールで抽出される炭素数18及び20の炭化水素成分の含有量が100ppm以下であり、
    Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が40ppm以下である、
    容器。
  2. 前記高密度ポリエチレンの分子量分布が、3.0〜5.0である、請求項1に記載の容器。
  3. 前記高密度ポリエチレンの密度が、945〜975kg/cmである、請求項1又は2に記載の容器。
  4. 前記高密度ポリエチレンの残留塩素が、5ppm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器。
  5. 前記高密度ポリエチレンの1000炭素中の二重結合量が、0.1個以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器。
  6. 前記高密度ポリエチレンが、担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いてスラリー重合法により製造された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器。
  7. 前記有機核剤が、ジカルボン酸塩である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器。
  8. 前記ジカルボン酸塩が、環状ジカルボン酸塩である、請求項7に記載の容器。
  9. 前記環状ジカルボン酸塩が、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩である、請求項8に記載の容器。
  10. 前記ポリエチレン樹脂組成物に含有される前記高密度ポリエチレン及び前記有機核剤以外の、各添加剤の含有量が、100ppm以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の容器。
  11. 射出成形法により成形された、請求項1〜10のいずれか1項に記載の容器。
  12. 高純度薬品の貯蔵・搬送用である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の容器。
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