JP6840950B2 - ポリエチレン樹脂組成物及び容器 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエチレン樹脂組成物、及び食品や医療薬液を充填する容器に関するものである。更に詳細には、特定の要件を満足するポリエチレンの樹脂組成物及びそれよりなる透明性と耐熱性に優れる容器に関するものである。
ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を溶融成形することにより、食品や医療薬液等を充填する容器が生産されている。これらの容器に内容物を充填した製品には、加熱滅菌処理が行われることが一般的である。特に、直接血液中に投与される輸液製剤などは、無菌状態に保つことが厳しく求められるため、近年、121℃での高温滅菌がグローバルスタンダードとなりつつある。
また、医療薬液用の容器には、薬液の視認性が確保できる程度の透明性が求められ、日本薬局方にて規定された透明性の水準を超えることが義務づけられている。上述の透明性と耐熱性を満足する容器の原料としてポリプロピレンが広く用いられているが、ポリプロピレンは三級炭素が繰り返し存在し、本質的に酸化劣化しやすいため、酸化防止剤の添加が必須となっている。近年、安全性への要求が高まっていることから、特に医療薬液用の容器では、添加剤無添加のクリーンな材料が好まれるようになりつつある。そのため、ポリプロピレンに代わる添加剤無添加材料を使用した透明性と耐熱性を併せ持つ新たな医療用容器の出現が望まれている。
一般的に、ポリエチレンは、ポリプロピレンと比較して、本質的に酸化劣化しにくいことが良く知られており、高耐熱性を要求されない医療薬液容器には、無添加のポリエチレン系樹脂が好適に使用されている。また、ポリエチレンは、結晶化度が高い、すなわち高密度なポリエチレンほど高耐熱であることも一般的に知られている。高密度ポリエチレンは融点が130℃程度あり、耐熱性は高いが、光を散乱する球晶と呼ばれる高次構造が大きく発達してしまうため、不透明になることが公知である(光の散乱は、球晶体積の2乗に比例)。反対に、低密度ポリエチレンは、球晶サイズが小さいため、透明性は良好であるものの、融点が110℃程度であるため、高温加熱滅菌には対応できない。
ここで、ポリエチレンは、溶融状態から急冷することにより球晶が微細になることが知られているため、透明性を向上させる方法として、水冷インフレーション成形などの急冷プロセスを有する成形法が確立されている。しかし、ポリエチレンの球晶成長速度は非常に速いため、高密度ポリエチレン製容器を冷却条件の最適化で透明化することは難しい。また同様の理由から、ブロー成形など冷却が遅い成形方法でポリエチレンの透明性を向上させることも困難とされている。すなわち、既存のポリエチレンは、透明性と耐熱性が相反する性質となるため、高温加熱滅菌を必要とする容器の原料には使用できなかった。
このような状況下で、透明性と耐熱性を両立するポリエチレン容器を生産するために、ポリエチレンを主成分とした樹脂組成物や多層容器、さらには特定の物性を有するポリエチレン系樹脂などの種々提案がなされている(例えば特許文献1、2、3、4参照)。更に、本発明者らは、特定の物性を有するポリエチレン系樹脂を特定量配合したポリエチレン樹脂組成物を使用することにより、透明性、耐熱性、クリーン性に優れる医療用容器を提供し得ることを見出している(例えば、特許文献5参照)。
特開2002−265705号公報 特開2005−7888号公報 特開2015−42557号公報 特開2008−18063号公報 特開2015−74744号公報
しかしながら、上記特許文献1、2、3で提案されている方法においては、透明性と耐熱性のバランス向上に更なる改良が求められていた。また、上記特許文献4で提案されている方法においては、製造にコストがかかる環状ポリオレフィンを積層するために、安価に製造可能なポリエチレンのみを使用する場合よりも材料コストが高くなることからコスト低減が求められている。さらに、上記特許文献5で提案されている方法においては、特定のポリエチレン樹脂組成物の透明性と耐熱性が良好である理由が必ずしも明確にはなっておらず、透明性と耐熱性を両立するための要件が不明確であった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定のポリエチレン樹脂組成物の球晶が大きく発達しないにもかかわらず、結晶化度が高いため、透明性と耐熱性のバランスに優れる容器が得られることを見出し、本発明を完成させるに到った。すなわち、本発明は、下記(イ)、(ロ)の要件を満足することを特徴とするポリエチレン樹脂組成物、およびそれよりなる容器に関するものである。
(イ)JIS K7151に準拠し、成形温度180℃、冷却温度30℃、予熱圧力0.1MPa、予熱時間5分、加圧10MPa、加圧時間5分にて圧縮成形した、厚み100μmの圧縮成形試験片がHv光散乱測定にて得られる方位角45度での散乱強度分布曲線において、散乱強度の極大値が現れない
(ロ)JIS K6922−2に準拠し測定して得られるDSC(示差走査型熱量計)吸熱曲線より求めた121℃での残存結晶化度が20%以上
ここで、(イ)方位角45度での散乱強度分布曲線とは、JIS K7151に準拠し作製したポリエチレン樹脂組成物の圧縮成形試験片を、クロスニコル偏光条件にてHv光散乱測定して得られる光散乱像より得られる方位角45度の散乱強度の散乱角度依存性を示す曲線である。(参考文献:高分子実験学、第17巻、高分子の固体構造II、54頁(共立出版))
図1:Hv光散乱の原理図
図2:Hv光散乱像の例
図3:方位角45度での散乱強度分布の例
(ロ)残存結晶化度とは、JIS K6922−2に準拠し測定して得られるポリエチレン樹脂組成物のDSC(示差走査型熱量計)吸熱曲線より求まる121℃以上の融解熱量(Q121℃)を使用し、次式により算出した値である。
残存結晶化度(%)=Q121℃/Qall×100
ここで、Q121℃:実測により求まる121℃以上の融解熱量(J/g)、Qall:ポリエチレンの完全結晶の融解熱量(288.7(J/g))である。
図4:Q121℃の求め方
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、(イ)JIS K7151に準拠し、成形温度180℃、冷却温度30℃、予熱圧力0.1MPa、予熱時間5分、加圧10MPa、加圧時間5分にて圧縮成形した、厚み100μmの圧縮成形試験片がHv光散乱測定にて得られる方位角45度での散乱強度分布曲線において、散乱強度の極大値が現れず、(ロ)JIS K6922−2に準拠し測定して得られるDSC(示差走査型熱量計)吸熱曲線より求めた121℃での残存結晶化度が20%以上を有するポリエチレン樹脂組成物であることが好ましい。Hv光散乱測定にて得られる方位角45度での散乱強度分布曲線において、散乱強度の極大値が現れる場合は、極大値を与えるθmaxの値を次式に代入して求められるサイズの球晶が存在することを意味し、容器とし、滅菌した後の透明性が日本薬局方に規定される水準を下回る。ここで、θmaxとは、散乱強度分布曲線を一次微分した値の符号が正から負となる散乱角のことである。また、残存結晶化度が20%未満では、121℃の滅菌処理により容器が実用上問題になるレベルまで変形してしまい、耐熱性が悪くなる。
Figure 0006840950
ここで、λ:測定波長(nm)、Ro:球晶半径(nm)、θmax:方位角45度での散乱強度曲線において散乱強度が極大値を示す散乱角(°)
以下に、本発明に関わるポリエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂組成物、それよりなる容器について説明する。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、ポリエチレン樹脂から構成され、上述の(イ)、(ロ)の要件を満足する範疇であれば如何なるものでもよく、如何なる方法により得られたものであってもよい。
例えば、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、下記特性(a)〜(b)を満足する高密度ポリエチレン(A)、下記特性(c)〜(d)を満足する直鎖状低密度ポリエチレン(B)および下記特性(e)〜(h)を満足するエチレン系重合体(C)を含むものを用いることができる。
(a)JIS K6922−1に準拠した密度(以下、密度という)が945〜970kg/mである。
(b)JIS K6922−1に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(以下、MFRという)が0.1〜10g/10分である。
(c)密度が890〜915kg/mである。
(d)MFRが0.1〜10g/10分である。
(e)密度が930〜960kg/mである。
(f)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定により得られた分子量分布曲線において、ピークトップの分子量(Mp)が100,000〜1,000,000である。
(g)長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有する。
この場合の高密度ポリエチレン(A)、直鎖状低密度ポリエチレン(B)およびエチレン系重合体(C)の配合割合は、高密度ポリエチレン(A)が10〜40重量部、好ましくは15〜35重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(B)が40〜70重量部、好ましくは45〜65重量部、エチレン系重合体(C)が5〜25重量部、好ましくは10〜20重量部である。ここで、高密度ポリエチレン(A)、直鎖状低密度ポリエチレン(B)およびエチレン系重合体(C)の配合量の合計は100重量部とする。
高密度ポリエチレン(A)が10〜40重量部であれば耐熱性が良好となるため好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン(B)が40〜70重量部以上であれば、透明性が良好となるため好ましい。エチレン系重合体(C)が5〜25重量部以上であれば、成形法を選ばずに透明性が良好となるため好ましい。エチレン系重合体(C)を前記範囲内で配合した場合は、エチレン系重合体(C)を配合しない場合に比べて、滅菌前後ともに高いレベルの透明性を維持することが可能となる。このような効果が発現する理由は、該エチレン系重合体(C)が、成形過程の球晶成長を阻害するためである。特に、エチレン系重合体(C)を前記範囲内で配合することが、溶融樹脂が冷却されにくいブロー成形においても良好な透明性が得られる要因となっていると推定される。
上記高密度ポリエチレン(A)は、エチレン単独重合体、またはエチレンとα−オレフィンの共重合体であり、MFRが、好ましくは0.1〜10.0g/10分、更に好ましくは1.0〜5.0g/10分である。MFRが0.1〜10.0g/10分の範囲であれば、成形加工時の溶融樹脂が適切な粘度となり、成形体の表面荒れや顕著な肉厚ムラが発生しないため好ましい。また、密度が、好ましくは945〜970kg/m、更に好ましくは950〜965kg/mである。密度が945〜970kg/mの範囲であれば、121℃滅菌処理により容器の変形が生じるなど耐熱性が不足することなく、良好な透明性が得られるため好ましい。
高密度ポリエチレン(A)は、例えばスラリー法、溶液法、気相法等の製造法により製造することが可能である。該高密度ポリエチレン(A)を製造する際には、一般的にマグネシウムとチタンを含有する固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び/又は有機金属化合物からなるメタロセン触媒、バナジウム系触媒等を用いることができ、該触媒によりエチレンを単独重合またはエチレンとα−オレフィンを共重合することにより製造可能である。
前記特性を有する高密度ポリエチレン(A)は、後述する直鎖状低密度ポリエチレン(B)およびエチレン系重合体(C)と配合することで、得られた医療容器の透明性向上効果および滅菌処理後の透明性維持効果が発現するが、高密度ポリエチレン(A)が下記(i)〜(j)の特性を有する場合は、本発明の医療容器のクリーン性(低微粒子性)および滅菌処理後の透明性がさらに向上するため、特に好ましい。このような(i)〜(j)の特性を有する高密度ポリエチレン(A)は、前記メタロセン触媒を用いることで製造することができる。
(i)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0以下。
(j)日本薬局方に規定の強熱残分試験法による残分が0.02重量%以下。
本発明に用いる高密度ポリエチレン(A)は、市販品として入手したものであってもよく、例えば、東ソー(株)製(商品名)ニポロンハード 5700、東ソー(株)製(商品名)ニポロンハード 8500、東ソー(株)製(商品名)ニポロンハード 8022等を挙げることができる。
また、本発明に関わる高密度ポリエチレン(A)は以下の方法により製造することができる。例えば、特開2009−275059号公報、特開2013−81494号公報等に記載の方法により、スラリー法、溶液法、気相法等の製造法を用いて、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び/又は有機金属化合物からなるメタロセン触媒によりエチレンを単独重合またはエチレンとα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。α−オレフィンとしては、一般にα−オレフィンと称されているものでよく、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3〜12のα−オレフィンであることが好ましい。エチレンとα−オレフィンの共重合体としては、例えばエチレン・ヘキセン−1共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・オクテン−1共重合体等が挙げられる。
上記直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、エチレンとα−オレフィンの共重合体であり、MFRが、好ましくは0.1〜10.0g/10分、更に好ましくは1.0〜5.0g/10分である。MFRが0.1〜10.0g/10分の範囲であれば、成形加工時の溶融樹脂が適切な粘度となり、成形体の表面荒れや顕著な肉厚ムラが発生しないため好ましい。また、密度が好ましくは890〜915kg/mの範囲であれば、121℃滅菌処理により容器の変形が生じるなど耐熱性が不足することなく、良好な透明性が得られるため好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、例えば高圧法、溶液法、気相法等の製造法により製造することが可能である。該直鎖状低密度ポリエチレン(B1)を製造する際には、一般的にマグネシウムとチタンを含有する固体触媒成分及び有機アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び/又は有機金属化合物からなるメタロセン触媒、バナジウム系触媒等を用いることができ、該触媒によりエチレンとα−オレフィンを共重合することにより製造可能である。
前記特性を有する直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、前述の高密度ポリエチレン(A)および後述するエチレン系重合体(C)と配合することで、得られた医療容器の透明性向上効果および滅菌処理後の透明性維持効果が発現するが、直鎖状低密度ポリエチレン(B)が下記(k)〜(l)の特性を有する場合は、本発明の医療容器のクリーン性(低微粒子性)および滅菌処理後の透明性がさらに向上するため特に好ましい。このような(k)〜(l)の特性を有する直鎖状低密度ポリエチレン(B)は前記メタロセン触媒を用いることで製造することができる。
(k)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3.0以下。
(l)50℃におけるn−ヘプタン抽出量が1.5wt%以下。
直鎖状低密度ポリエチレン(B)としては、市販品として入手したものであってもよく、例えば、東ソー(株)製(商品名)ニポロン−Z HF212R、東ソー(株)製(商品名)ニポロン−Z HF210K、東ソー(株)製(商品名)ニポロン−Z ZF220等を挙げることができる。
また、本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、以下の方法により製造することができる。例えば、特開2009−275059号公報、特開2013−81494号公報等に記載の方法により、高圧法、溶液法、気相法等の製造法を用いて、シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物と、これと反応してイオン性の錯体を形成する化合物及び/又は有機金属化合物からなるメタロセン触媒によりエチレンとα−オレフィンを共重合する方法を用いることができる。
α−オレフィンとしては、一般にα−オレフィンと称されているものでよく、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3〜12のα−オレフィンであることが好ましい。エチレンとα−オレフィンの共重合体としては、例えばエチレン・ヘキセン−1共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・オクテン−1共重合体等が挙げられる。
上記エチレン系重合体(C)は、密度が好ましくは930〜960kg/mの範囲であり、更に好ましくは935〜955kg/mの範囲である。密度が930〜960kg/mの範囲であれば、耐熱性を損なうことなく、成形法を選ばずに透明性が良好となるため好ましい。
エチレン系重合体(C)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPCという。)により実測されて得られた分子量分布曲線において、ピークトップの分子量(Mp)が好ましくは100,000〜1,000,000、更に好ましくは150,000〜5,000,000である。Mpが100,000〜1,000,000の範囲であれば、成形過程の球晶成長を著しく阻害するため、成形方法を選ばずに透明性が高い容器が得られる。また、適度な溶融粘度が得られるため、膜揺れやドローダウンなどの成形不良の発生がなく、安定した成形が可能となる。
エチレン系重合体(C)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が好ましくは2.0〜7.0、更に好ましくは2.5〜6.5、特に好ましくは3.0〜6.0である。Mw/Mnが2.0〜7.0の場合は、得られる容器の外観(表面肌)が良好となるため、好ましい。
エチレン系重合体(C)は、長鎖分岐数が主鎖1000炭素数あたり0.15個以上であることが好ましい。長鎖分岐数が主鎖1000炭素数あたり0.15個以上である場合、顕著な透明性改良効果や、滅菌処理後の透明性維持効果が得られる。
エチレン系重合体(C)は、メタロセン触媒を用いて製造される。用いるメタロセン触媒は、メタロセン錯体、活性化助触媒、および必要に応じて有機アルミニウム化合物を構成成分として有し、マクロモノマーの合成と同時に、マクロモノマーとエチレンと炭素数3〜6のオレフィンの共重合を行うことが好ましい。
マクロモノマーとは、末端にビニル基を有するオレフィン重合体であり、エチレンと炭素数3〜6のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体である。マクロモノマーの合成と、マクロモノマーとエチレンと炭素数3〜6のオレフィンの共重合をするメタロセン触媒のメタロセン錯体として、非架橋型ビス(インデニル)ジルコニウム錯体、非架橋型ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム錯体、架橋型ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム錯体、架橋型ビス(インデニル)ジルコニウム錯体、架橋型(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウム錯体、架橋型(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体もしくは架橋型(インデニル)(フルオレニル)ジルコニウム錯体を用いた触媒であることが好ましい。メタロセン錯体の具体例としては、例えばビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド等のジクロライドおよび上記遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体を例示することができる。また上記遷移金属化合物のジルコニウム原子をチタン原子またはハフニウム原子に置換した化合物も例示することもできるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、1種または複数種を用いてもよい。
メタロセン触媒の構成成分として用いる活性化助触媒は、メタロセン錯体、またはメタロセン錯体と有機アルミニウム化合物の反応物を、オレフィンの重合が可能な活性種に変換する役割を果たす化合物を示し、メタロセン錯体からカチオン性化合物を生成させる化合物であることが好ましく、生成したカチオン性化合物は、オレフィンを重合することが可能な重合活性種として作用する。活性化助触媒は、重合活性種を形成した後、生成したカチオン性化合物に対して弱く配位または相互作用するものの、該活性種と直接反応しない化合物を提供する化合物である。
活性化助触媒の具体的な例として、メチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサン、シリカゲル担持アルキルアルミノキサン、トリス(ペンタフルオエオフェニル)ホウ素などのトリス(フッ素化アリール)ホウ素、N,N−ジメチルアンモニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などのテトラキス(フッ素化アリール)ホウ素塩などのホウ素化合物、これらのシリカゲル担持物、および粘土鉱物、有機化合物で処理した粘土鉱物などを挙げることができるが、これら活性化助触媒の中で有機化合物にて処理した粘土鉱物を用いることが好ましい。
活性化助触媒として、有機化合物で処理した粘土鉱物を用いる場合、用いる粘土鉱物は、スメクタイト群に属する粘土鉱物が好ましく、具体例としてモンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライトなどを挙げることができる。また、これら粘土鉱物を複数混合して用いることも可能である。
なお、有機化合物処理とは、粘土鉱物層間に有機イオンを導入し、イオン複合体を形成することを示す。有機化合物処理で用いられる有機化合物としては、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−エイコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−ドコシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルオレイルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−オクタデシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ビス(n−エイコシル)アミン塩酸塩、N−メチル−ジオレイルアミン塩酸塩、N−メチル−ジベヘニルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルアニリン塩酸塩などのアルキルアンモニウム塩を例示することができる。
メタロセン触媒は、メタロセン錯体を活性化助触媒と反応させる方法等のメタロセン触媒の調製方法に特に制限はない。
なお、メタロセン触媒は、触媒の調製時、メタロセン錯体の活性化や溶媒中の不純物の除去など、必要に応じてトリエチルアルミニウムやトリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムを用いてもよい。
エチレン系重合体(C)を製造する際には、重合温度−100〜120℃で行うことが好ましく、特に生産性を考慮すると20〜120℃が好ましく、さらには60〜120℃の範囲で行うことが好ましい。また、重合時間は10秒〜20時間の範囲が好ましく、重合圧力は常圧〜300MPaの範囲で行うことが好ましい。重合性単量体としては、エチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンであり、エチレンと炭素数3〜6のα−オレフィンの供給割合として、エチレン/炭素数3〜6のα−オレフィン(モル比)が、1〜200、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50の供給割合を用いることができる。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段階以上に分けて行うことも可能である。また、エチレン・α−オレフィン共重合体は、重合終了後に従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
重合はスラリー状態、溶液状態または気相状態で実施することができ、特に、重合をスラリー状態で行う場合にはパウダー粒子形状の整ったポリエチレンを効率よく、安定的に生産することができる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、前述の高密度ポリエチレン(A)、直鎖状低密度ポリエチレン(B)およびエチレン系重合体(C)を、従来公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいはこのような方法で得られた混合物をさらに一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練した後、造粒することによって得ることができる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、通常用いられる公知の添加剤、例えば酸化防止剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、有機系あるいは無機系の顔料、紫外線吸収剤、分散剤等を適宜必要に応じて配合することができる。本発明に用いる樹脂組成物に前記の添加剤を配合する方法は特に制限されるものではないが、例えば、重合後のペレット造粒工程で直接添加する方法、また、予め高濃度のマスターバッチを作製し、これを成形時にドライブレンドする方法等が挙げられる。
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない程度の範囲内で、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ポリ−1−ブテン、等の他の熱可塑性樹脂を配合して用いることもできる。
本発明の容器は、薬液を収容する収容部を備えた医療容器であって、例えば、収容部が高密度ポリエチレン(A)、直鎖状低密度ポリエチレン(B)およびエチレン系重合体(C)を含む樹脂組成物からなるものである。
本発明の容器の厚みは、0.1〜2.0mmが好ましく、更に好ましくは0.2〜1.0mm、更には0.3〜0.8mmが最も好ましい。容器の厚みが0.1〜2.0mmであれば、容器として実用上問題ない機械物性が得られ、透明性も良好となるため、好ましい。
本発明の容器は、製品の滅菌処理が必要な場合に、特に限定されないが、高圧蒸気滅菌法を使用できる。本高圧蒸気滅菌法とは、加圧して温度を高めた飽和水蒸気を使用して、一定時間加熱して滅菌する方法であり、この方法は、日本薬局方において、105℃で45分間、115℃で30分間または121℃で15分間の条件が定められており、製品の材質や滅菌後の製品の安全性等によって処理条件が決定され、血液バッグや輸液剤等の薬剤入り容器の滅菌に、一般的に用いられる方法である。特に限定されないが、安全性の観点から本発明の容器の滅菌温度は121℃が好ましい。また、滅菌後の容器の透明性については、水を対照として測定した時の450nmの光線透過率が55%以上であれば、容器の内容物の確認が十分にでき、日本薬局方基準を達成できる。また、121℃での滅菌処理後に、変形がないものが好ましい。ここで、変形とは、滅菌処理後の容器形状と滅菌前の容器形状の目視観察結果の差であり、変形がない場合は、滅菌前とほぼ同様の容器形状を保っているため、内容物を充填した製品として問題なく使用可能と判断される。
本発明の容器の製造方法としては、本発明に用いるポリエチレン樹脂組成物を、水冷式インフレーション成形、空冷式インフレーション成形、キャスト成形等によりフィルム状に成形する場合は、得られたフィルムを2枚重ね合わせて、周辺部をヒートシールすることで、袋状の収容部を成形することができる。これらは単層または多層で用いられる。また、得られたフィルムを真空成形、圧空成形などの熱板成形により、収容部となる凹部を成形した後、凹部同士が対向するように重ね合わせて、周辺部をヒートシールすることで収容部を成形することもできる。この際、薬液の注出入口となるポート部は、前記収容部の成形時に同時にヒートシールして形成させてもよいし、収容部の形成とポート部の形成を別工程で行なうことも可能である。
本発明の容器の製造方法としては、本発明に用いるポリエチレン樹脂組成物を、ブロー成形等によりボトル状に成形して、収容部を形成させることも可能である。これらは単層または多層で用いられる。ブロー成形では、前記樹脂組成物からなるパリソンを押出し、金型でパリソンを挟み込んだ後、パリソン中に清浄エアーを吹き込むこと収容部を形成させることができる。また、ポート部の形成は、収容部との一体成形用金型を使用する方法、ポート部を収容部にヒートシールする方法、インサートブロー成形により収容部の成形と同時に一体化する方法等が挙げられる。また、本発明の透明容器は、押出機およびブロー成形用ダイスを有するブロー・フィル・シール機を使用して製造することもできる。具体的には、筒状の溶融したパリソンを、ブロー成形用ダイスを設置した押出機を用いて成形する。次に、この筒状のパリソンを容器本体部成形用の割型で挟んで、内部に空気を圧入すると同時に、金型面に設置された真空孔よりパリソンを吸引することで容器本体部を成形し、当該容器本体部に、所定および所定量の薬液を充填する。さらに、当該容器の口部を割り型で挟んで、当該口部を封止する融着部と、融着部に連結して設置される捻じ切り部とを成形することによって、本発明の透明容器を製造することができる。
本発明の容器の製造方法としては、本発明の透明容器が得られる範疇であれば、如何なる製造方法を適用してもよい。具体的には、シート成形、回転成形、射出(2軸延伸)ブロー成形、射出成形、チューブ成形、ドライラミネーション成形、押出ラミネーション成形等の成形法が用いられ、これらは単層または多層で用いられる。
本発明の容器の用途としては、医療用容器、食品用容器、化粧品用容器等が挙げられる。医療用容器としては、輸液製剤容器、アンプル製剤容器、キット製剤容器、点眼薬容器、等が挙げられる。食品用容器としては、各種飲料容器、濃縮飲料容器、調味料容器、惣菜容器、ドレッシング容器、マヨネーズ・ケチャップ容器、各種レトルト食品容器、哺乳瓶等が挙げられる。化粧品用容器としては、整髪料、毛髪料、香水、毛染剤、アイシャドー、マニキュア、ローション、クリーム、乳液、化粧水、パーマ液等の容器が挙げられる。
本発明によって得られる容器は、透明性、耐熱性、クリーン性に優れ、医療用容器、食品用容器および化粧品用容器等に好適なものである。
また、本発明によって得られる容器は、日本薬局方に適合し、製品外観、透明性に優れ、121℃での滅菌処理にも耐え、クリーン性にも優れることから、注射用容器、点眼容器、点鼻容器、内服液容器等の医薬容器用に好適に利用される。121℃での滅菌処理後も透明性を維持できるため、高い透明性が求められる医療用の輸液輸液製剤容器、アンプル製剤容器、キット製剤容器、点眼薬容器のような医療容器に好適に用いることができる。
Hv光散乱の原理を示した図である。 ポリエチレンのHv光散乱像の例を示した図である。 ポリエチレンの方位角45度での散乱強度分布の例を示した図である。 Q121℃の求め方を示した図である。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
〜ポリエチレン樹脂組成物〜
<要件イ>散乱強度分布曲線における極大値の有無
ポリエチエレン樹脂組成物を、JIS K7151に準拠し、成形温度180℃、冷却温度30℃、予熱圧力0.1MPa、予熱時間5分、加圧10MPa、加圧時間5分にて圧縮成形して、厚み100μmの圧縮成形試験片を得た。この試験片を、光散乱測定装置を使用し、波長632.8nm、出力15mWのレーザー光、及びクロスニコル偏光条件にてHv光散乱測定して得られる方位角45度の散乱強度の散乱角度依存性を示す曲線から、極大値の有無を確認した。極大値を示さないポリエチレン樹脂組成物は、下記実施例、比較例の方法にて成形した容器の透明性が良好であった。
<要件ロ>残存結晶化度
JIS K6922−2に準拠し測定して得られるポリエチレン樹脂組成物のDSC(示差走査型熱量計)吸熱曲線より求まる全融解熱量と121℃以上の融解熱量を使用し、次式により算出した。残存結晶化度が20%以上のポリエチレン樹脂組成物は、下記実施例、比較例の方法にて成形した容器の耐熱性が良好であった。
W(%)=Q121℃/Qall×100
ここで、Q121℃:実測により求まる121℃以上の融解熱量(J/g)、Qall:ポリエチレンの完全結晶の融解熱量(288.7(J/g))である。
〜樹脂〜
実施例、比較例に用いた樹脂の諸性質は下記の方法により評価した。
<MFR>
MFR(メルトフローレート)は、JIS K6922−1に準拠して測定を行った。
<密度>
密度は、JIS K6922−1に準拠して密度勾配管法で測定した。
<分子量、分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)およびピークトップ分子量(Mp)は、GPCによって測定した。GPC装置(東ソー(株)製(商品名)HLC−8121GPC/HT)およびカラム(東ソー(株)製(商品名)TSKgel GMHhr−H(20)HT)を用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正した。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
<分子量分別>
分子量分別は、カラムとしてガラスビーズ充填カラム(直径:21mm、長さ:60cm)を用い、カラム温度を130℃に設定して、サンプル1gをキシレン30mLに溶解させたものを注入する。次に、キシレン/2−エトキシエタノールの比率が5/5のものを展開溶媒として用い、留出物を除去する。その後、キシレンを展開溶媒として用い、カラム中に残った成分を留出させ、ポリマー溶液を得る。得られたポリマー溶液に5倍量のメタノールを添加しポリマー分を沈殿させ、ろ過および乾燥することにより、Mnが10万以上である成分を回収した。
<強熱残分>
日本薬局方に規定の強熱残分試験法に準拠し、試料50gを精秤した後、白金皿に入れてガスバーナーにより燃焼させ、さらに電気炉で650℃、1時間の条件で完全灰化させたときの残留物の重量を秤量し、初期重量に対する百分率を求めることによって算出した。
<n−ヘプタン抽出量>
200メッシュパスの粉砕試料約10gを精秤し、400mlのn−ヘプタンを加えて50℃で2時間抽出を行い、抽出液から溶媒を蒸発させて、乾燥固化させて得た抽出物の重量の初期重量に対する百分率を求めることによって算出した。
<長鎖分岐>
長鎖分岐数は、日本電子(株)製JNM−GSX400型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによってヘキシル基以上の分岐数を測定した。溶媒はベンゼン−d6/オルトジクロロベンゼン(体積比30/70)である。主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1,000個当たりの個数として、α−炭素(34.6ppm)およびβ−炭素(27.3ppm)のピークの平均値から求めた。
実施例、比較例では、下記の製造例記載の方法により製造した樹脂および市販品を用いた。
製造例
(1)高密度ポリエチレン
(A)−1
[変性粘土の調製]
脱イオン水4.8L、エタノール3.2Lの混合溶媒に、ジメチルベヘニルアミン;(C2245)(CHN 354gと37%塩酸83.3mLを加え、ジメチルベヘニルアミン塩酸塩溶液を調製した。この溶液に合成ヘクトライト1,000gを加え終夜撹拌し、得られた反応液をろ過した後、固体分を水で十分洗浄した。固体分を乾燥させたところ、1,180gの有機変性粘土化合物を得た。赤外線水分計で測定した含液量は0.8%であった。次に、この有機変性粘土化合物を粉砕し、平均粒径を6.0μmに調製した。
[重合触媒の調製]
5Lのフラスコに、[変性粘土化合物の調製]の項で得た有機変性粘土化合物450g、ヘキサン1.4kgを加え、その後トリイソブチルアルミニウムのヘキサン20重量%溶液1.78kg(1.8モル)、ビス(n−ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド7.32g(18ミリモル)を加え、60℃に加熱して1時間撹拌した。反応溶液を45℃に冷却し、2時間静置した後に傾斜法で上澄液を除去した。次に、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン1重量%溶液1.78kg(0.09モル)を添加し、45℃で30分間反応させた。反応溶液を45℃で2時間静置した後に傾斜法で上澄液を除去し、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン20重量%溶液0.45kg(0.45モル)を加え、ヘキサンで再希釈して全量を4.5Lとし重合触媒を調製した。
[(A)−1の製造]
内容量300Lの重合器に、ヘキサンを135kg/時、エチレンを20.0kg/時、ブテン−1を0.3kg/時、水素5NL/時および[重合触媒の調製]の項で得られた重合触媒を連続的に供給した。また、助触媒として液中のトリイソブチルアルミニウムの濃度を0.93ミリモル/kgヘキサンとなるように、それぞれ連続的に供給した。重合温度は85℃に制御した。得られた高密度ポリエチレン((A)−1)はMFR1.0g/10分、密度952kg/mであった。
(A)−2
[変性粘土の調製]
(A)−1と同様の方法により変性粘土化合物を調製した。
[重合触媒の調製]
(A)−1と同様の方法により重合触媒を調製した。
[(A)−2の製造]
内容量300Lの重合器に、ヘキサンを135kg/時、エチレンを20.0kg/時、ブテン−1を0.4kg/時、水素8NL/時および[重合触媒の調製]の項で得られた重合触媒を連続的に供給した。また、助触媒として液中のトリイソブチルアルミニウムの濃度を0.93ミリモル/kgヘキサンとなるように、それぞれ連続的に供給した。重合温度は85℃に制御した。得られた高密度ポリエチレン((A)−2)はMFR3.0g/10分、密度945kg/mであった。
(A)−3:下記市販品を用いた。
東ソー(株)製、(商品名)ニポロンハード 5700(MFR1.0g/10分、密度954kg/m
(2)直鎖状低密度ポリエチレン
(B)−1
[変性粘土の調製]
1,500mlに37%塩酸30mlおよびN,N−ジメチル−ベヘニルアミンを106g加え、N,N−ジメチル−ベヘニルアンモニウム塩酸塩水溶液を調製した。平均粒径7.8μmのモンモリロナイト300g(クニミネ工業製、商品名クニピアFをジェット粉砕機で粉砕することによって調製した)を上記塩酸塩水溶液に加え、6時間反応させた。反応終了後、反応溶液を濾過し、得られたケーキを6時間減圧乾燥し、変性粘土化合物370gを得た。
[重合触媒の調製]
窒素雰囲気下の20Lステンレス容器にヘプタン3.3L、トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(20重量%希釈品)をアルミニウム原子当たり1.13mol(0.9L)および上記で得られた変性粘土化合物50gを加えて1時間撹拌した。そこへジフェニルメチレン(4−フェニル−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子当たり1.25mmol加えて12時間撹拌した.得られた懸濁系に脂肪族系飽和炭化水素溶媒(出光石油化学製、商品名IPソルベント2835)5.8Lを加えることにより、触媒を調製した。(ジルコニウム濃度0.125mmol/L)
[(B)−1の製造]
高温高圧重合用に装備された槽型反応器を用い、エチレンおよび1−ヘキセンを連続的に反応器に圧入して、全圧を90MPa、1−ヘキセン濃度を18mol%、水素濃度を7mol%になるように設定した。そして反応器を1,500rpmで撹拌し、上記により得られた重合触媒を反応器の供給口より連続的に供給し、平均温度を200℃に保ち重合反応をいった。得られた直鎖状低密度ポリエチレン((B)−1)はMFR3.5g/10分、密度910kg/mであった。
(B)−2
[変性粘土の調製]
(B)−1と同様の方法により変性粘土化合物を調製した。
[重合触媒の調製]
(B)−1と同様の方法により重合触媒を調製した。
[(B)−2の製造]
高温高圧重合用に装備された槽型反応器を用い、エチレンおよび1−ヘキセンを連続的に反応器に圧入して、全圧を90MPa、1−ヘキセン濃度を18mol%、水素濃度を5mol%になるように設定した。そして反応器を1,500rpmで撹拌し、上記により得られた重合触媒を反応器の供給口より連続的に供給し、平均温度を200℃に保ち重合反応をいった。得られた直鎖状低密度ポリエチレン((B)−2)はMFR2.0g/10分、密度907kg/mであった。
(B)−3
[変性粘土の調製]
(B)−1と同様の方法により変性粘土化合物を調製した。
[重合触媒の調製]
(B)−1と同様の方法により重合触媒を調製した。
[(B)−3の製造]
高温高圧重合用に装備された槽型反応器を用い、エチレンおよび1−ヘキセンを連続的に反応器に圧入して、全圧を90MPa、1−ヘキセン濃度を23mol%、水素濃度を1mol%になるように設定した。そして反応器を1,500rpmで撹拌し、上記により得られた重合触媒を反応器の供給口より連続的に供給し、平均温度を200℃に保ち重合反応をいった。得られた直鎖状低密度ポリエチレン((B)−3)はMFR0.8g/10分、密度900kg/mであった。
(B)−4
[変性粘土の調製]
(B)−1と同様の方法により変性粘土化合物を調製した。
[重合触媒の調製]
(B)−1と同様の方法により重合触媒を調製した。
[(B)−4の製造]
高温高圧重合用に装備された槽型反応器を用い、エチレンおよび1−ヘキセンを連続的に反応器に圧入して、全圧を90MPa、1−ヘキセン濃度を20mol%、水素濃度を15mol%になるように設定した。そして反応器を1,500rpmで撹拌し、上記により得られた重合触媒を反応器の供給口より連続的に供給し、平均温度を200℃に保ち重合反応をいった。得られた直鎖状低密度ポリエチレン((B)−5)はMFR=12.0g/10分、密度907kg/mであった。
(B)−5:下記市販品を用いた。東ソー(株)製、(商品名)ニポロン−Z ZF220(MFR2.0g/10分、密度913kg/m
(B)−6
[変性粘土の調製]
(B)−1と同様の方法により変性粘土化合物を調製した。
[重合触媒の調製]
窒素雰囲気下の20Lステンレス容器にヘプタン2.5L、トリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(20重量%希釈品)をアルミニウム原子当たり4.5mol(3.6L)および上記で得られた変性粘土化合物300gを加えて1時間撹拌した。そこへジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドをジルコニウム原子当たり10mmol加えて12時間撹拌した.得られた懸濁系に脂肪族系飽和炭化水素溶媒(出光石油化学製、商品名IPソルベント2835)8.7Lを加えることにより、触媒を調製した。(ジルコニウム濃度0.67mmol/L)。
[(B)−6の製造]
高温高圧重合用に装備された槽型反応器を用い、エチレンおよび1−ヘキセンを連続的に反応器に圧入して、全圧を90MPa、1−ヘキセン濃度を20mol%、水素濃度を4mol%になるように設定した。そして反応器を1,500rpmで撹拌し、上記により得られた重合触媒を反応器の供給口より連続的に供給し、平均温度を200℃に保ち重合反応を行なった。得られた直鎖状低密度ポリエチレン((B)−4)はMFR2.5g/10分、密度921kg/mであった。
(3)エチレン系重合体
(C)−1
[変性粘土の調製]
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸17.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)49.4g(140mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより132gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
[重合触媒の調製]
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に[変性粘土の調製]で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4406g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.4重量%)。
[(C)−1の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、[重合触媒の調製]で得られた触媒懸濁液を52mg(固形分6.4mg相当)加え、70℃に昇温後、1−ブテンを17.6g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:590ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで61.8gのポリマーを得た。得られたポリマーの密度は930kg/mであった。また、数平均分子量は52,300、重量平均分子量は235,400であり、ピークトップの分子量(Mp)は、155,500であった。また、長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.40個であった。
(C)−2
[変性粘土の調製]
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸18.8g及びジメチルヘキサコシルアミン(MeN(C2653)、常法によって合成)49.1g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより140gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を14μmとした。
[重合触媒の調製]
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に[変性粘土の調製]で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2、4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4406g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.0重量%)
[(C)−2の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、[重合触媒の調製]で得られた触媒懸濁液を75mg(固形分9.0mg相当)加え、80℃に昇温後、1−ブテンを8.3g加え、分圧が0.85MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:850ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで58.5gのポリマーを得た。得られたポリマーの密度は941kg/mであった。また、数平均分子量は62,500、重量平均分子量は268,800であり、ピークトップの分子量(Mp)は、223,300であった。また、長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.30個であった。
(C)−3
[変性粘土の調製]
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸18.8g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)53.0g(150mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより135gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
[重合触媒の調製]
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.3485g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:10.7wt%)。
[(C)−3の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を75mg(固形分8.0mg相当)加え、85℃に昇温後、分圧が1.20MPaになるようにエチレンガスを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで63.2gのポリマーを得た(活性:7,900g/g触媒)。得られたポリマーの密度は954kg/mであった。また、数平均分子量は63,200、重量平均分子量は233,800であり、ピークトップの分子量(Mp)は、212,400であった。また、長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.30個であった。
(D)−1
[変性粘土の調製]
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸17.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)49.4g(140mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより132gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
[重合触媒の調製]
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に[変性粘土の調製]で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4406g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.4重量%)。
[(D)−1の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、[重合触媒の調製]で得られた触媒懸濁液を52mg(固形分6.4mg相当)加え、70℃に昇温後、1−ブテンを17.6g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:590ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで61.8gのポリマーを得た。得られたポリマーのMFRは1.6g/10分、密度は930kg/mであった。また、数平均分子量は17,600、重量平均分子量は86,700であり、分子量30,500に主ピークおよび155,300の位置に小さいピークが観測された。よって、ピークトップ分子量(Mp)は、30,500であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.27個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの20.1重量%であった。
(D)−2
[変性粘土の調製]
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸15.0g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)42.4g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより122gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
[重合触媒の調製]
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に[変性粘土の調製]で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4406g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た。(固形重量分:11.5wt%)
[(D)−2の製造]
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、[重合触媒の調製]で得られた触媒懸濁液を70mg(固形分8.4mg相当)加え、80℃に昇温後、1−ブテンを2.4g加え、分圧が0.90MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:720ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで63.0gのポリマーを得た。得られたポリマーのMFRは11.5g/10分、密度は954kg/mであった。また、数平均分子量は16,200、重量平均分子量は58,400であり、分子量28,200に主ピークおよび181,000の位置に小さいピークが観測された。よって、ピークトップ分子量(Mp)は、28,200であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.16個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの6.8wt%であった。
〜加工および容器評価〜
以下に、実施例および比較例で用いた加工性及び容器の評価方法を示す。
〜加工性の評価〜
〜表面光沢性の評価〜
500ml角型ボトル用金型、及び50mmφの押出スクリューを備えたブロー成形機(タハラ社製)を用いて、成形温度180℃、吐出量7kg/h、ダイギャップ1.4mmの条件で評価樹脂の500ml角型ボトルを成形した。得られたボトルの表面の光沢性を目視観察し、評価した。
○:表面が平滑であり、光沢性良好
△:表面が平滑であるが、光沢性がない
×:表面が梨地であり、光沢性がない
〜耐ドローダウン性の評価〜
前記ブロー成形機(タハラ社製)を用いて、成形温度180℃、吐出量7kg/hで評価樹脂のパリソンを押し出した。パリソンがリップから250mm垂下するまでにかかる時間を垂下時間として評価した。
○:垂下時間15秒以上
△:垂下時間10秒以上15秒未満
×:垂下時間10秒未満
〜容器の評価〜
〜透明性の評価〜
実施例に記載の方法で製造した容器、及び121℃の温度で20分間滅菌処理した後の容器から厚さ400μm、幅9.5mm、長さ50mmのサンプル片を切り出し、日立製作所製「紫外可視分光光度計220A」を用いて、純水中で波長450nmの透過率を測定し、滅菌前後の透明性を評価した、尚、滅菌処理後に55%以上の光線透過率を維持した場合を透明性が良好と判断する。
〜耐熱性の評価〜
実施例に記載の方法で製造した容器に純水400mlを充填し、容器をヒートシールにて密閉し、オートクレーブ内にセットした。日本薬局方に準拠し、高圧蒸気滅菌法により、121℃の温度で20分間滅菌処理した後、容器を取り出し、容器の外観を以下の項目について観察して評価した。
変形:容器の波打ち状態を観察した。
○:容器形状がほとんど変わらないもの。
△:容器形状に変形が見られたもの。
×:容器形状が大きく変形したもの。
〜クリーン性(微粒子数)〜
1μm以上の微粒子数が0個/10mlであることが確認された超純水を、実施例に記載の方法で製造した容器に充填密封した後、121℃で20分間の熱水滅菌処理を実施し、1日放置後、HIAC/ROYCO社製微粒子カウンター「M−3000・4100・HR−60HA」を用いて1μm以上の微粒子数を測定した。尚、これらの操作は、すべてクラス1000のクリーンルーム中で行った。微粒子数が10個/ml以下である場合をクリーン性が良好な医療容器の目安とした。
実施例1
(1)樹脂組成物の製造
製造例で得られた高密度ポリエチレン(A−1)と直鎖状低密度ポリエチレン(B−1)とエチレン系重合体(C−1)を30:60:10(重量部)の比率でドライブレンドし、これをプラコー社製50mm径単軸押出機にてストランド状に溶融押出し、ペレタイザーを用いてペレット状に造粒を行った。バレルの温度はC1;180℃、C2;200℃、C3;220℃、ダイヘッド;220℃とした。
(2)容器の製造
500ml角型ボトル用金型、及び50mmφの押出スクリューを備えたブロー成形機(タハラ社製)を用いて、成形温度180℃、吐出量7.0kg/h、ダイギャップ1.4mmの条件で評価樹脂の500ml角型ボトルを成形した。このボトルの胴部の肉厚は400μμmであった。
結果を表1に示す。
実施例2〜11
高密度ポリエチレン(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)とエチレン系重合体(C)の種類及びブレンド比率を表1のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 0006840950
比較例1〜10
高密度ポリエチレン(A)と直鎖状低密度ポリエチレン(B)とエチレン系重合体(C)またはエチレン系重合体(D)の種類及びブレンド比率を表2のように変えた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 0006840950

Claims (11)

  1. 下記(イ)、(ロ)の要件を満足することを特徴とするポリエチレン樹脂組成物。
    (イ)JIS K7151に準拠し、成形温度180℃、冷却温度30℃、予熱圧力0.1MPa、予熱時間5分、加圧10MPa、加圧時間5分にて圧縮成形した、厚み100μmの圧縮成形試験片がHv光散乱測定にて得られる方位角45度での散乱強度分布曲線において、散乱強度の極大値が現れない
    (ロ)JIS K6922−2に準拠し測定して得られるDSC(示差走査型熱量計)吸熱曲線より求めた121℃での残存結晶化度が20%以上
  2. ポリエチレン樹脂組成物が、下記特性(a)〜(b)を満足する高密度ポリエチレン(A)10〜40重量部、下記特性(c)〜(d)を満足する直鎖状低密度ポリエチレン(B)40〜70重量部および下記特性(e)〜(g)を満足するエチレン系重合体(C)5〜25重量部((A)、(B)及び(C)の合計は100重量部)を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
    (a)JIS K6922−1に準拠した密度(以下、密度という)が945〜970kg/mである。
    (b)JIS K6922−1に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(以下、MFRという)が0.1〜10g/10分である。
    (c)密度が890〜915kg/mである。
    (d)MFRが0.1〜10g/10分である。
    (e)密度が930〜960kg/mである。
    (f)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定により得られた分子量分布曲線において、ピークトップの分子量(Mp)が100,000〜1,000,000である。
    (g)長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有する。
  3. 請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂組成物からなることを特徴とする容器。
  4. 121℃での滅菌処理後に、変形がなく、かつ純水中、波長450nmで測定した光線透過率が55%以上となることを特徴とする請求項3に記載の容器。
  5. 容器が、少なくとも薬液を収容する収容部を備えた医療容器であることを特徴とする請求項3又は4に記載の容器。
  6. 容器が輸液製剤容器であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の容器。
  7. 容器がアンプル製剤容器であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の容器。
  8. 容器がキット製剤容器であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の容器。
  9. 容器が点眼薬容器であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の容器。
  10. フィルム状成形体を熱板成形により袋状に成形することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の容器の製造方法。
  11. ブロー成形によりボトル状に成形することを特徴とする請求項3〜9のいずれかに記載の容器の製造方法。
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