JP2006314490A - 医療用容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブロー成形や水冷インフレーション成形時の加工性に優れ、樹脂劣化や低分子量成分の生成、臭気や微粒子の発生が低減された医療用容器を得る。
【解決手段】下記(A)〜(F)の要件を満たすポリエチレン系樹脂を成形する。(A)密度が890kg/m3以上980kg/m3以下であり、(B)炭素数6以上の長鎖分岐数が、1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下であり、(C)式(1)と式(2)を共に満たし、 MS190>22×MFR−0.88 (1) MS160>110−110×log(MFR) (2)(D)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つであり、(E)50℃でのn−ヘプタン可溶分が0.20重量%以下であり、(F)強熱残分が0.10重量%以下である
【選択図】なし
【解決手段】下記(A)〜(F)の要件を満たすポリエチレン系樹脂を成形する。(A)密度が890kg/m3以上980kg/m3以下であり、(B)炭素数6以上の長鎖分岐数が、1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下であり、(C)式(1)と式(2)を共に満たし、 MS190>22×MFR−0.88 (1) MS160>110−110×log(MFR) (2)(D)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つであり、(E)50℃でのn−ヘプタン可溶分が0.20重量%以下であり、(F)強熱残分が0.10重量%以下である
【選択図】なし
Description
本発明は、成形時の加工性に優れ、微粒子などの溶出が少なく、衛生性に優れたポリエチレン系樹脂からなる医療用容器に関するものである。
従来、輸液等を入れる医療用容器としては、硬質のガラス製容器や軟質の塩化ビニル樹脂製容器やエチレン・酢酸ビニル共重合体製容器が使用されてきたが、硬質のガラス製容器は、輸送や廃棄物の問題および容器の破損等の安全性の問題があり、近年、軟質の容器に急速に移行する傾向にある。また、軟質容器においては、血液などの一部の容器を除いては、溶出性の問題から塩化ビニル樹脂製容器は年々減少する傾向にある。また、エチレン・酢酸ビニル共重合体製容器についても残留コモノマーの溶出や臭気の問題があり、年々減少する傾向にある。これらの軟質容器に替わって近年、衛生性や安全性の観点より高圧法低密度ポリエチレン製容器やエチレン・α−オレフィン共重合体製容器が急速に増加している。しかしながら、高圧法低密度ポリエチレンは、溶融張力が高く加工性に優れるが耐熱性に問題があり、滅菌温度を上げることができないという問題点があり、現在の輸液等を収納する医療用容器の材料としては、エチレン・α−オレフィン共重合体が主流となってきている。また、エチレン・α−オレフィン共重合体は、密度を高めることによって耐熱性を高めることは可能であるが、その結果として透明性が悪化して医療用容器としての使用が困難になったり、その分子構造から溶融張力が低く流動性が悪いため、加工性に劣るという問題があった。これらの問題点に対して、いわゆるメタロセン触媒による組成分布が均一で分子量分布の狭いエチレン・α−オレフィン共重合体に高圧法低密度ポリエチレン等をブレンドすることによる物性の改良が開示されているが、高圧法低密度ポリエチレン等をブレンドするため、メタロセン触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体本来の衛生性や機械強度といった物性面での特長を犠牲にせざるをえない状況にあった(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、高圧法低密度ポリエチレンをブレンドすることなく、医療用容器の製造が可能なポリエチレン系樹脂を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のポリエチレン系樹脂が優れた流動性を有し、且つ得られた成形体が優れた物性であることを見い出した。
すなわち本発明は、下記(A)〜(F)の要件を満たすポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする医療用容器に関するものである。
(A)密度が890kg/m3以上980kg/m3以下であり、
(B)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下であり、
(C)190℃で測定した溶融張力(MS190)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(1)
MS190>22×MFR−0.88 (1)
を満たすと共に160℃で測定した溶融張力(MS160)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(2)を満たし、
MS160>110−110×log(MFR) (2)
(D)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つであり、
(E)50℃でのn−ヘプタン可溶分が0.20重量%以下であり、
(F)強熱残分が0.10重量%以下である
以下、本発明について詳細に説明する。
(A)密度が890kg/m3以上980kg/m3以下であり、
(B)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下であり、
(C)190℃で測定した溶融張力(MS190)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(1)
MS190>22×MFR−0.88 (1)
を満たすと共に160℃で測定した溶融張力(MS160)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(2)を満たし、
MS160>110−110×log(MFR) (2)
(D)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つであり、
(E)50℃でのn−ヘプタン可溶分が0.20重量%以下であり、
(F)強熱残分が0.10重量%以下である
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるポリエチレン系樹脂の密度は、JIS K6922−1(1997)に準拠して密度勾配管法で測定した値として、890kg/m3以上980kg/m3以下である。密度が890kg/m3未満の場合、得られる容器の剛性が不足する。また、密度が高くなると容器の衝撃強度が低下するので、密度の上限としては980kg/m3が好ましい。さらには、920kg/m3以上980kg/m3以下とすることが望ましい。
本発明で用いるポリエチレン系樹脂の直鎖状ポリエチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上1,000,000以下であり、好ましくは20,000以上700,000以下であり、さらに好ましくは25,000以上300,000以下である。Mwが10,000未満では得られる容器の衝撃強度が低下したり、成形時に低分子量ポリエチレンによる発煙を引き起こしたり、成形機のロール汚染やダイス汚染を引き起こし、連続成形が困難となる。また、1,000,000を越えると押出機内での樹脂圧力や電流値が上昇し、成形性が低下する恐れがある。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂の190℃、2.16kg荷重におけるMFRは、0.05g/10分以上200g/10分以下、好ましくは0.05g/10分以上100g/10分以下、さらに好ましくは0.05g/10分以上50g/10分以下である。0.05g/10分未満である場合は押出負荷が大きくなるため容器の成形を行うことが困難となり、200g/10分を超えると実用に耐えない強度となってしまう。
本発明で用いるポリエチレン系樹脂の長鎖分岐数は1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下である。0.01個未満では流動性が悪く、良好な成形体を得られない恐れがある。また、3個を超えると力学的性質に劣る成形体となる恐れがある。なお、長鎖分岐数とは13C−NMR測定で検出されるヘキシル基以上(炭素数6以上)の分岐の数である。
本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂の190℃で測定した溶融張力(MS190)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)は、
MS190>22×MFR−0.88 (1)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(1)’
MS190>30×MFR−0.88 (1)’
で示される関係にあり、さらに好ましくは下記式(1)”
MS190>5+30×MFR−0.88 (1)”
で示される関係にある。(1)式を満たさない場合、流動性が乏しく、良好な容器を得られない恐れがある。
MS190>22×MFR−0.88 (1)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(1)’
MS190>30×MFR−0.88 (1)’
で示される関係にあり、さらに好ましくは下記式(1)”
MS190>5+30×MFR−0.88 (1)”
で示される関係にある。(1)式を満たさない場合、流動性が乏しく、良好な容器を得られない恐れがある。
また、本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂の160℃で測定した溶融張力(MS160)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)は、
MS160>110−110×log(MFR) (2)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(2)’
MS160>130−110×log(MFR) (2)’
で示される関係にあり、さらに好ましくは下記式(2)”
MS160>150−110×log(MFR) (2)”
で示される関係にある。(2)式を満たさない場合、流動性が悪く、薄肉の容器を得られない恐れがある。
MS160>110−110×log(MFR) (2)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(2)’
MS160>130−110×log(MFR) (2)’
で示される関係にあり、さらに好ましくは下記式(2)”
MS160>150−110×log(MFR) (2)”
で示される関係にある。(2)式を満たさない場合、流動性が悪く、薄肉の容器を得られない恐れがある。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂は、示差走査型熱量計(DSC)による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つであることを特徴とする。これによって得られる容器は弾性率の温度依存性が小さく、かつ、流動性に優れる。吸熱曲線は、アルミニウム製のパンに5〜10mgのサンプルを挿填し、DSCにて昇温することによって得られる。なお、昇温測定は、予め230℃で3分間放置した後、10℃/分で−10℃まで降温し、その後、10℃/分の昇温速度で150℃まで昇温することにより行われる。
本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂の50℃でのn−ヘプタン可溶分は0.20重量%以下である。0.20重量%を超える場合には、内容物中に低分子量成分などが溶出して微粒子数が増加する恐れがある。
本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂は、強熱残分が0.10重量%以下である。0.10重量%を超える場合には、衛生性が悪化して安全性に問題を生ずる恐れがある。
本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)/固有粘度計によって評価した収縮因子(g’値)が0.1以上0.9未満、さらには0.1以上0.7以下であることが好ましく、これによってポリエチレン系樹脂をブロー成形する際の溶融パリソンのスウェルが大きくなったり、ドローダウンが小さくなるため、成形性が向上し、得られる容器の歩留まりが向上する。
本発明における収縮因子(g’値)とは、長鎖分岐の程度を表すパラメータであり、重量平均分子量(Mw)の3倍の絶対分子量における本ポリエチレンと、分岐が全くない高密度ポリエチレン(HDPE)の同じ分子量における固有粘度との比である。また、このg’値とGPC/光散乱計によって評価した収縮因子(g値)との間には、好ましくは式(3)、さらに好ましくは式(3)’で示される関係があり、これによって成形品の歩留まりはさらに向上する。なお、g値はMwの3倍の絶対分子量における本ポリエチレン系樹脂の慣性半径の二乗平均と、分岐が全くないHDPEの同じ分子量における慣性半径の二乗平均との比である。
0.2<log(g’)/log(g)<1.3 (3)
0.5<log(g’)/log(g)<1.0 (3)’
さらに、Mwの3倍の絶対分子量におけるg値(g3M)とMwの1倍の絶対分子量におけるg値(gM)の間には、式(4)、好ましくは式(4)’、さらに好ましくは式(4)”で示される関係があることが医療用容器の収縮率低減のために望ましい。
0.5<log(g’)/log(g)<1.0 (3)’
さらに、Mwの3倍の絶対分子量におけるg値(g3M)とMwの1倍の絶対分子量におけるg値(gM)の間には、式(4)、好ましくは式(4)’、さらに好ましくは式(4)”で示される関係があることが医療用容器の収縮率低減のために望ましい。
0<g3M/gM≦1 (4)
0<g3M/gM≦0.9 (4)’
0<g3M/gM≦0.8 (4)”
本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂は、エチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、
(G)Mnが2,000以上であり、
(H)Mw/Mnが2以上5以下である
マクロモノマーの存在下に、エチレンおよび任意に炭素数3以上のオレフィンを重合することによって得られたものであることが望ましい。マクロモノマーとは、末端にビニル基を有するオレフィン重合体であり、好ましくはエチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、さらに好ましくは炭素数3以上のオレフィンに由来する分岐以外の分岐の内、長鎖分岐(すなわち、13C−NMR測定で検出されるヘキシル基以上の分岐)が、主鎖メチレン炭素1,000個当たり0.01個未満である、末端にビニル基を有する直鎖状エチレン重合体または直鎖状エチレン共重合体である。
0<g3M/gM≦0.9 (4)’
0<g3M/gM≦0.8 (4)”
本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂は、エチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、
(G)Mnが2,000以上であり、
(H)Mw/Mnが2以上5以下である
マクロモノマーの存在下に、エチレンおよび任意に炭素数3以上のオレフィンを重合することによって得られたものであることが望ましい。マクロモノマーとは、末端にビニル基を有するオレフィン重合体であり、好ましくはエチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、さらに好ましくは炭素数3以上のオレフィンに由来する分岐以外の分岐の内、長鎖分岐(すなわち、13C−NMR測定で検出されるヘキシル基以上の分岐)が、主鎖メチレン炭素1,000個当たり0.01個未満である、末端にビニル基を有する直鎖状エチレン重合体または直鎖状エチレン共重合体である。
炭素数3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテンもしくはビニルシクロアルカン等のα−オレフィン、ノルボルネンもしくはノルボルナジエン等の環状オレフィン、ブタジエンもしくは1,4−ヘキサジエン等のジエンまたはスチレンを例示することができる。また、これらのオレフィンを2種類以上混合して用いることもできる。
マクロモノマーとして末端にビニル基を有するエチレン重合体または末端にビニル基を有するエチレン共重合体を用いる場合、その直鎖状ポリエチレン換算の数平均分子量(Mn)は、2,000以上であり、好ましくは5,000以上であり、さらに好ましくは10,000以上である。直鎖状ポリエチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、4,000以上であり、好ましくは10,000以上であり、さらに好ましくは15,000より大きい。また、重量平均分子量(Mw)とMnの比(Mw/Mn)は、2以上5以下であり、好ましくは2以上4以下であり、さらに好ましくは2以上3.5以下である。下記一般式(5)
Z=[X/(X+Y)]×2 (5)
(ここで、Xはマクロモノマーの主鎖メチレン炭素1,000個当たりのビニル末端数であり、Yはマクロモノマーの主鎖メチレン炭素1,000個当たりの飽和末端数である。)
で表されるビニル末端数と飽和末端数の比(Z)は0.25以上1以下であり、好ましくは0.50以上1以下である。XおよびYは、1H−NMR、13C−NMRまたはFT−IR等で求められる。例えば、13C−NMRにおいて、ビニル末端は114ppm、139ppm、飽和末端は32.3ppm、22.9ppm、14.1ppmのピークにより、その存在および量が確認できる。
Z=[X/(X+Y)]×2 (5)
(ここで、Xはマクロモノマーの主鎖メチレン炭素1,000個当たりのビニル末端数であり、Yはマクロモノマーの主鎖メチレン炭素1,000個当たりの飽和末端数である。)
で表されるビニル末端数と飽和末端数の比(Z)は0.25以上1以下であり、好ましくは0.50以上1以下である。XおよびYは、1H−NMR、13C−NMRまたはFT−IR等で求められる。例えば、13C−NMRにおいて、ビニル末端は114ppm、139ppm、飽和末端は32.3ppm、22.9ppm、14.1ppmのピークにより、その存在および量が確認できる。
本発明におけるマクロモノマーの製造方法に関して特に限定はないが、マクロモノマーとして末端にビニル基を有するエチレン重合体または末端にビニル基を有するエチレン共重合体を製造する場合は、例えば、周期表第3族、第4族、第5族および第6族から選ばれる遷移金属を含有するメタロセン化合物を主成分として含む触媒を用いてエチレンを重合する方法を用いることができる。助触媒としては、有機アルミニウム化合物、プロトン酸塩、ルイス酸塩、金属塩、ルイス酸および粘土鉱物等が挙げられる。
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂は、例えば、周期表第3族、第4族、第5族および第6族から選ばれる遷移金属を含有するメタロセン化合物を主成分として含む触媒を用いて、マクロモノマーの存在下に、エチレンおよび任意に炭素数3以上のオレフィンを重合することによって得られる。また、マクロモノマーの製造と同様に、助触媒を用いることができる。重合温度は、−70〜300℃、好ましくは0〜250℃、さらに好ましくは20〜150℃の範囲である。エチレン分圧は、0.001〜300MPa、好ましくは0.005〜50MPa、さらに好ましくは0.01〜10MPaの範囲である。また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。
本発明において、マクロモノマーの存在下に、エチレンと炭素数3以上のオレフィンを重合する場合、エチレン/炭素数3以上のオレフィン(モル比)は、1〜200、好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50の供給割合を用いることができる。
医療用容器を製造する方法は特に制限はなく、ブロー成形、インジェクションブロー成形、同時充填ブロー成形、空冷インフレーション成形、水冷インフレーション成形、キャスト成形、回転成形などの成形方法を例示することができる。
さらに、本発明の特徴を活かして、本発明のポリエチレン系樹脂を内容物と接する側に用いた医療用容器として用いることも可能である。
内容物と接しない側の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、高密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体等のオレフィン系重合体、ビニルアルコール重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート、メタクリル樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂との積層による容器としてもよい。また、シリカや酸化アルミニウムなどの酸化物あるいは無機物を蒸着したフィルム等を用いることもでき、これらのフィルムは無延伸であってもよいし、一軸または二軸方向に延伸されたフィルムであってもよい。
積層する方法は特に制限はなく、多層ブロー成形、多層インジェクションブロー成形、多層同時充填ブロー成形、多層空冷インフレーション成形、多層水冷インフレーション成形、多層キャスト成形等の共押出し法、また、医療用容器としての性能を損なわない範囲において、押出ラミネーション法、サンドイッチラミネーション法、ドライラミネーション法等を例示することができる。
本発明のポリエチレン系樹脂からなる医療用容器は、紫外可視吸光度法によって測定した波長450nmの透過率が55%以上である。55%未満の場合には、内容物を容易に確認することが困難となる可能性があり、日本薬局方において55%以上であることが定められている。
本発明のポリエチレン系樹脂からなる医療用容器の厚みは、特に制限はないが、経済性や加工性等の点から100〜2000μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは100〜1000μmの範囲が好ましい。
本発明のポリエチレン系樹脂からなる医療用容器は、容器に薬剤を充填した後、滅菌処理を行って使用されることが好ましい。滅菌方法としては、高圧蒸気滅菌、放射線照射滅菌、高周波照射滅菌、ガス滅菌、ろ過法などを例示することができ、一般的には、安全かつ操作が容易であることから高圧蒸気滅菌が用いられており、適当な温度および圧力の飽和水蒸気中で加熱することによって、微生物を殺滅する方法であり、110℃以上の温度で実施することが好ましく、より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは121℃以上の温度で実施することが好ましい。
本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂には、医療用容器としての性能を損なわない範囲において、必要に応じて、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、有機過酸化物、界面活性剤、酸素吸収剤、ガスバリア剤、防曇剤、流滴剤、造核剤、顔料、染料、シリカ、タルク、マイカ、カーボン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属ステアレート、木粉、コルク粉末、セルロースパウダー等の無機あるいは有機の添加剤、充填剤を添加してもよい。
これらの添加剤、充填剤等は、公知な種々の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練し、造粒あるいは粉砕する方法、事前に溶融混練せずにドライブレンドまたはオートフィーダーによるブレンド方法等を用いることができる。
本発明のポリエチレン系樹脂からなる医療用容器の用途としては、輸液バッグ、輸液ボトル、血液バッグ、血液輸送バッグ、血液凍結バッグ、血小板バッグ、細胞培養バッグ、プラスチックアンプル、人工透析液用バッグ、人工透析缶、廃液バッグ、排尿バッグ、シリンジ、プレフィルドシリンジ等の医療用液体容器、錠剤容器、粉末薬剤容器、各種栄養飲料、医療器具容器および医療器具包装袋などを例示することができる。
本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂は、溶融張力が極めて高いため、ドローダウン(ダイスから出た樹脂の垂れ下がり)が小さく、また、流動性が極めて優れることよりメルトフラクチャーの発生が少ないため、ブロー成形や水冷インフレーション成形時の加工性に優れ、成形時の負荷が低くなるため、所定の温度よりもさらに10〜20℃温度を下げても成形が可能となる。そのため、樹脂劣化や低分子量成分の生成を低減することができ、臭気や微粒子の発生を低減することが可能となり、輸液バッグ、輸液ボトル、血液バッグ、血液輸送バッグ、血液凍結バッグ、血小板バッグ、細胞培養バッグ、プラスチックアンプル、人工透析液用バッグ、人工透析缶、廃液バッグ、排尿バッグ、シリンジ、プレフィルドシリンジ、錠剤容器、粉末薬剤容器、各種栄養飲料容器、医療器具容器および医療器具包装袋などの各種医療用容器に好適に利用することができる。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
変性ヘクトライトの調製、マクロモノマー製造用触媒の調製、マクロモノマーの製造、ポリエチレンの製造および溶媒精製は、全て不活性ガス雰囲気下で行った。変性ヘクトライトの調製、マクロモノマー製造用触媒の調製、マクロモノマーの製造、ポリエチレンの製造に用いた溶媒等は、全て予め公知の方法で精製、乾燥、脱酸素を行ったものを用いた。ジフェニルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドは公知の方法により合成、同定したものを用いた。トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)は東ソー・ファインケム(株)製を用いた。
〜分子量および分子量分布〜
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正されている。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正されている。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
〜収縮因子(g’値)〜
収縮因子(g’値)は、GPCによって分別したポリエチレン系樹脂の[η]を測定する手法で求めたMwの3倍の絶対分子量における[η]を、分岐が全くないHDPEの同一分子量における[η]で除した値である。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を145℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は2.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。粘度計は、Viscotek社製 キャピラリー差圧粘度計210R+を用いた。
収縮因子(g’値)は、GPCによって分別したポリエチレン系樹脂の[η]を測定する手法で求めたMwの3倍の絶対分子量における[η]を、分岐が全くないHDPEの同一分子量における[η]で除した値である。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を145℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は2.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。粘度計は、Viscotek社製 キャピラリー差圧粘度計210R+を用いた。
〜収縮因子(g値)〜
収縮因子(g値)は、GPCによって分別したポリエチレン系樹脂を、光散乱によって慣性半径を測定する手法で求めた。本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂のMwの3倍の絶対分子量における慣性半径の二乗平均を、分岐が全くないHDPEの同一分子量における慣性半径の二乗平均で除した値である。光散乱検出器としては、Wyatt Technology社製 多角度光散乱検出器DAWV EOSを用い、690nmの波長で、29.5°、33.3°、39.0°、44.8°、50.7°、57.5°、64.4°、72.3°、81.1°、90.0°、98.9°、107.7°、116.6°、125.4°、133.2°、140.0°、145.8°の検出角度で測定した。
収縮因子(g値)は、GPCによって分別したポリエチレン系樹脂を、光散乱によって慣性半径を測定する手法で求めた。本発明の医療用容器に用いるポリエチレン系樹脂のMwの3倍の絶対分子量における慣性半径の二乗平均を、分岐が全くないHDPEの同一分子量における慣性半径の二乗平均で除した値である。光散乱検出器としては、Wyatt Technology社製 多角度光散乱検出器DAWV EOSを用い、690nmの波長で、29.5°、33.3°、39.0°、44.8°、50.7°、57.5°、64.4°、72.3°、81.1°、90.0°、98.9°、107.7°、116.6°、125.4°、133.2°、140.0°、145.8°の検出角度で測定した。
〜Z値〜
ビニル末端、飽和末端などのマクロモノマーの末端構造は、日本電子(株)製 JNM−ECA400型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって測定した。溶媒はテトラクロロエタン−d2である。ビニル末端数は、主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1,000個当たりの個数として114ppm、139ppmのピークの平均値から求めた。また、飽和末端数は、同様に32.3ppm、22.9ppm、14.1ppmのピークの平均値から求めた。このビニル末端数(X)と飽和末端数(Y)から、Z=[X/(X+Y)]×2を求めた。
ビニル末端、飽和末端などのマクロモノマーの末端構造は、日本電子(株)製 JNM−ECA400型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって測定した。溶媒はテトラクロロエタン−d2である。ビニル末端数は、主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1,000個当たりの個数として114ppm、139ppmのピークの平均値から求めた。また、飽和末端数は、同様に32.3ppm、22.9ppm、14.1ppmのピークの平均値から求めた。このビニル末端数(X)と飽和末端数(Y)から、Z=[X/(X+Y)]×2を求めた。
〜密度〜
密度は、JIS K6922−1(1997)に準拠して密度勾配管法で測定した。
密度は、JIS K6922−1(1997)に準拠して密度勾配管法で測定した。
〜MFR〜
MFRは、JIS K6922−1(1997)に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定した。
MFRは、JIS K6922−1(1997)に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定した。
〜長鎖分岐数〜
ポリエチレン系樹脂の長鎖分岐数は、日本電子(株)製 JNM−GSX270型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって測定した。
ポリエチレン系樹脂の長鎖分岐数は、日本電子(株)製 JNM−GSX270型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって測定した。
〜溶融張力(MS)〜
溶融張力(MS)の測定に用いたポリエチレン系樹脂は、予め耐熱安定剤としてイルガノックス1010TM(チバスペシャリティケミカルズ社製)1,500ppm、イルガフォス168TM(チバスペシャリティケミカルズ社製)1,500ppmを添加し、インターナルミキサー(東洋精機製作所製、商品名:ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで3分間混練したものを用いた。溶融張力(MS)は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、長さ(L)が8mm、直径(D)が2.095mm、流入角が90°のダイを装着し測定した。MSは、温度を160℃または190℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)をMSとした。
溶融張力(MS)の測定に用いたポリエチレン系樹脂は、予め耐熱安定剤としてイルガノックス1010TM(チバスペシャリティケミカルズ社製)1,500ppm、イルガフォス168TM(チバスペシャリティケミカルズ社製)1,500ppmを添加し、インターナルミキサー(東洋精機製作所製、商品名:ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで3分間混練したものを用いた。溶融張力(MS)は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、長さ(L)が8mm、直径(D)が2.095mm、流入角が90°のダイを装着し測定した。MSは、温度を160℃または190℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)をMSとした。
〜吸熱ピークの数〜
DSC(パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7)を用いて測定を行なった。5〜10mgのポリエチレン系樹脂をアルミニウムパンに挿填し、DSCに設置した後、80℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で3分間放置する。その後、10℃/分の降温速度で−10℃まで冷却し、再度10℃/分の昇温速度で−10℃から150℃まで昇温する手順で昇温/降温操作を行い、2回目の昇温時に観測される吸熱曲線のピーク数を評価した。
DSC(パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7)を用いて測定を行なった。5〜10mgのポリエチレン系樹脂をアルミニウムパンに挿填し、DSCに設置した後、80℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で3分間放置する。その後、10℃/分の降温速度で−10℃まで冷却し、再度10℃/分の昇温速度で−10℃から150℃まで昇温する手順で昇温/降温操作を行い、2回目の昇温時に観測される吸熱曲線のピーク数を評価した。
〜50℃におけるn−ヘプタン抽出量〜
200メッシュパスの粉砕試料約10gを精秤し、400mLのn−ヘプタンを加えて50℃で2時間抽出を行い、抽出液からn−ヘプタンを蒸発させて、乾燥固化させて得た抽出物の重量の初期重量に対する割合を求めることにより算出した。
200メッシュパスの粉砕試料約10gを精秤し、400mLのn−ヘプタンを加えて50℃で2時間抽出を行い、抽出液からn−ヘプタンを蒸発させて、乾燥固化させて得た抽出物の重量の初期重量に対する割合を求めることにより算出した。
〜強熱残分〜
日本薬局方に規定の強熱残分試験法に準拠し、試料50gを精秤した後、白金皿に入れてガスバーナーにより燃焼させ、さらに電気炉で650℃で1時間の条件で完全灰化させたときの残留物の初期重量に対する割合を求めることによって算出した。
日本薬局方に規定の強熱残分試験法に準拠し、試料50gを精秤した後、白金皿に入れてガスバーナーにより燃焼させ、さらに電気炉で650℃で1時間の条件で完全灰化させたときの残留物の初期重量に対する割合を求めることによって算出した。
[医療用容器の成形]
[ブロー成形]
(株)プラコー製 ブロー成形機(押出機スクリュー径50φ、クロムメッキダイス、ダイリップ0.5mm)により、設定温度170℃、金型温度20℃にて、内容量500mL、胴部の平均肉厚が100μmのボトルを成形した。
[ブロー成形]
(株)プラコー製 ブロー成形機(押出機スクリュー径50φ、クロムメッキダイス、ダイリップ0.5mm)により、設定温度170℃、金型温度20℃にて、内容量500mL、胴部の平均肉厚が100μmのボトルを成形した。
〜ドローダウン〜
ブロー成形機のダイスより直下に溶融樹脂を垂れ流して、ダイス直下からの距離が30cmの地点に落下するまでの時間を計測し、時間が長いほどドローダウン性が良好であると判断した。
ブロー成形機のダイスより直下に溶融樹脂を垂れ流して、ダイス直下からの距離が30cmの地点に落下するまでの時間を計測し、時間が長いほどドローダウン性が良好であると判断した。
〜メルトフラクチャー(肌荒れ状態)〜
ブロー成形中のダイスから出た溶融樹脂(パリソン)の外観を以下の基準で評価した。
○:メルトフラクチャーが見らず、パリソンの外観が良好なもの
△:細かいさざ波状の肌荒れが認められ、パリソンの外観がやや劣るもの
×:激しい波状の肌荒れが認められ、パリソンの外観が劣るもの
〜押出負荷〜
ブロー成形中の押出機の電流値および樹脂圧力を測定し、数値が低いほど押出負荷が小さく、加工性が良好であると判断した。
ブロー成形中のダイスから出た溶融樹脂(パリソン)の外観を以下の基準で評価した。
○:メルトフラクチャーが見らず、パリソンの外観が良好なもの
△:細かいさざ波状の肌荒れが認められ、パリソンの外観がやや劣るもの
×:激しい波状の肌荒れが認められ、パリソンの外観が劣るもの
〜押出負荷〜
ブロー成形中の押出機の電流値および樹脂圧力を測定し、数値が低いほど押出負荷が小さく、加工性が良好であると判断した。
〜微粒子数〜
1μm以上の微粒子数が1個以下/10mLであることが確認された純水を用いて容器に200mLの純水、クリーンエアー50mLを封入した後、高温高圧調理殺菌機((株)日阪製作所製)内にセットして121℃で20分間高圧蒸気滅菌処理を実施し、室温まで冷却し、1日間静置後、微粒子カウンター(HIAC−ROYCO社製 商品名:M−3000・4100・HR−60HA)を用いて1μm以上の微粒子数を測定した。これらの操作は、すべてクラス1000のクリーンルーム中で行った。
1μm以上の微粒子数が1個以下/10mLであることが確認された純水を用いて容器に200mLの純水、クリーンエアー50mLを封入した後、高温高圧調理殺菌機((株)日阪製作所製)内にセットして121℃で20分間高圧蒸気滅菌処理を実施し、室温まで冷却し、1日間静置後、微粒子カウンター(HIAC−ROYCO社製 商品名:M−3000・4100・HR−60HA)を用いて1μm以上の微粒子数を測定した。これらの操作は、すべてクラス1000のクリーンルーム中で行った。
〜透過率〜
微粒子評価が終了した容器の胴部から、幅9.5mm×長さ50mmの大きさに切断したサンプルを5個作り、それぞれ純水を満たした紫外線吸収スペクトル測定用セルに浸し、純水だけを満たしたセルを対照として、紫外可視分光光度計((株)日立製作所製 商品名:220A)を用いて波長450nmの透過率を測定した。
微粒子評価が終了した容器の胴部から、幅9.5mm×長さ50mmの大きさに切断したサンプルを5個作り、それぞれ純水を満たした紫外線吸収スペクトル測定用セルに浸し、純水だけを満たしたセルを対照として、紫外可視分光光度計((株)日立製作所製 商品名:220A)を用いて波長450nmの透過率を測定した。
〜変形〜
滅菌後の容器の変形状態を以下の基準で目視観察した。
○:容器の波打ちが少なく、変形が少ない
△:容器に若干の波打ちが見られるが、大きな変形がない
×:容器の波打ちが大きく、変形が大きい
実施例1
[変性ヘクトライトの調製]
水60mLにエタノール60mLと37%濃塩酸2.0mLを加えた後、得られた溶液にN,N−ジメチルオクタデシルアミン 6.55g(0.022mol)を添加し、60℃に加熱することによって、N,N−ジメチルオクタデシルアミン塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト20gを加えた。この懸濁液を60℃で3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水1Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径5.2μmの変性ヘクトライトを得た。元素分析の結果、変性ヘクトライト1g当たりのイオン量は0.85mmolであった。
滅菌後の容器の変形状態を以下の基準で目視観察した。
○:容器の波打ちが少なく、変形が少ない
△:容器に若干の波打ちが見られるが、大きな変形がない
×:容器の波打ちが大きく、変形が大きい
実施例1
[変性ヘクトライトの調製]
水60mLにエタノール60mLと37%濃塩酸2.0mLを加えた後、得られた溶液にN,N−ジメチルオクタデシルアミン 6.55g(0.022mol)を添加し、60℃に加熱することによって、N,N−ジメチルオクタデシルアミン塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト20gを加えた。この懸濁液を60℃で3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水1Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径5.2μmの変性ヘクトライトを得た。元素分析の結果、変性ヘクトライト1g当たりのイオン量は0.85mmolであった。
[マクロモノマー製造用触媒の調製]
上記変性ヘクトライト8.0gをヘキサン29mLに懸濁させ、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)46mLを添加し、室温で1時間攪拌することにより、変性ヘクトライトとトリイソブチルアルミニウムの接触生成物を得た。一方、ジフェニルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド151mg(320μmol)をトルエンに溶解させたものを添加し、室温で一晩攪拌することにより、触媒スラリー(100g/L)を得た。
上記変性ヘクトライト8.0gをヘキサン29mLに懸濁させ、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)46mLを添加し、室温で1時間攪拌することにより、変性ヘクトライトとトリイソブチルアルミニウムの接触生成物を得た。一方、ジフェニルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド151mg(320μmol)をトルエンに溶解させたものを添加し、室温で一晩攪拌することにより、触媒スラリー(100g/L)を得た。
[マクロモノマーの製造]
10Lオートクレーブに、ヘキサン6,000mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)5.0mLを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。このオートクレーブに、上記触媒スラリー0.88mLを添加し、エチレンを分圧が1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が1.2MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始90分後に、内温を50℃まで降温してオートクレーブの内圧を0.1MPaまで脱圧した後、オートクレーブに窒素を0.6MPaになるまで導入して脱圧、窒素置換した。この操作を5回繰り返した。このオートクレーブから抜き出したマクロモノマーのMnは14,400、Mw/Mnは3.02であり、13C−NMRによりマクロモノマーの末端構造を解析したところ、ビニル末端数と飽和末端数の比(Z)はZ=0.65であった。また、13C−NMRにおいてメチル分岐が1,000炭素原子当たり0.41個、エチル分岐が1,000炭素原子当たり0.96個検出された。さらに、13C−NMRにおいて長鎖分岐は検出されなかった。
10Lオートクレーブに、ヘキサン6,000mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)5.0mLを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。このオートクレーブに、上記触媒スラリー0.88mLを添加し、エチレンを分圧が1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が1.2MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始90分後に、内温を50℃まで降温してオートクレーブの内圧を0.1MPaまで脱圧した後、オートクレーブに窒素を0.6MPaになるまで導入して脱圧、窒素置換した。この操作を5回繰り返した。このオートクレーブから抜き出したマクロモノマーのMnは14,400、Mw/Mnは3.02であり、13C−NMRによりマクロモノマーの末端構造を解析したところ、ビニル末端数と飽和末端数の比(Z)はZ=0.65であった。また、13C−NMRにおいてメチル分岐が1,000炭素原子当たり0.41個、エチル分岐が1,000炭素原子当たり0.96個検出された。さらに、13C−NMRにおいて長鎖分岐は検出されなかった。
[ポリエチレンの製造]
上記で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)1.4mLとジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 7μmolを導入し、オートクレーブの内温を60℃に昇温後、30分間攪拌した。続いてオートクレーブの内温を90℃に昇温後、エチレン/水素混合ガス(水素2,000ppm)を分圧が0.3MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.3MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始173分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、865gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは4.3g/10分、密度は960kg/m3、Mwは9.6×104、Mw/Mnは6.6、長鎖分岐数は0.03個/1,000炭素、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークは1つであり、50℃でのn−ヘプタン可溶分は0.07重量%であった。
上記で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)1.4mLとジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 7μmolを導入し、オートクレーブの内温を60℃に昇温後、30分間攪拌した。続いてオートクレーブの内温を90℃に昇温後、エチレン/水素混合ガス(水素2,000ppm)を分圧が0.3MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.3MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始173分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、865gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは4.3g/10分、密度は960kg/m3、Mwは9.6×104、Mw/Mnは6.6、長鎖分岐数は0.03個/1,000炭素、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークは1つであり、50℃でのn−ヘプタン可溶分は0.07重量%であった。
引き続いて、得られたポリマー100重量部、酸化防止剤(旭電化工業(株)製 AO−50RG)0.03重量部をヘンシェルミキサー((株)三井三池製作所製 型番FM75C)により820rpmで1分間混合した。その後に50mmφ単軸押出機((株)プラコー製 型番PDA−50)を用い、設定温度200℃、回転数100rpmで混練してペレット状にした。得られたペレットを用いてブロー成形を行い、ボトルを製造して耐熱性の評価を行った。その結果、成形性は良好であり、透過率は67.2%で透明性は良好であり、微粒子数が52個/mLであり、衛生性にも優れていた。また、容器の波打ちが少なく、内面融着強度が0.75kg/15mm幅であり、耐熱性は良好であった。その他の結果を表4に示した。
実施例2
[ポリエチレンの製造]
実施例1で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)1.4mLとジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 7μmolを導入し、オートクレーブの内温を90℃に昇温後、エチレン/水素混合ガス(水素2,500ppm)を分圧が0.3MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.3MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始126分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、665gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは8.0g/10分、密度は972kg/m3、Mwは8.6×104、Mw/Mnは6.4、長鎖分岐数は0.03個/1000炭素、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークは1つであり、50℃でのn−ヘプタン可溶分は0.06重量%であった。
[ポリエチレンの製造]
実施例1で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)1.4mLとジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 7μmolを導入し、オートクレーブの内温を90℃に昇温後、エチレン/水素混合ガス(水素2,500ppm)を分圧が0.3MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.3MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始126分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、665gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは8.0g/10分、密度は972kg/m3、Mwは8.6×104、Mw/Mnは6.4、長鎖分岐数は0.03個/1000炭素、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークは1つであり、50℃でのn−ヘプタン可溶分は0.06重量%であった。
得られたポリエチレンは良好な流動性を有し、且つ射出成形体も優れた物性を有するものであった。
引き続いて、得られたポリマー100重量部、酸化防止剤(旭電化工業(株)製 AO−50RG)0.03重量部をヘンシェルミキサー((株)三井三池製作所製 型番FM75C)により820rpmで1分間混合した。その後に50mmφ単軸押出機((株)プラコー製 型番PDA−50)を用い、設定温度200℃、回転数100rpmで混練してペレット状にした。得られたペレットを用いてブロー成形を行い、ボトルを製造して耐熱性の評価を行った。その結果、成形性は良好であり、透過率は68.8%で透明性は良好であり、微粒子数が43個/mLであり、衛生性にも優れていた。また、容器の波打ちが少なく、内面融着強度が0.80kg/15mm幅であり、耐熱性は良好であった。その他の結果を表4に示した。
比較例1
示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つである、市販の直鎖状低密度ポリエチレン(ユメリット4540F、宇部興産(株)製、MFR=3.9g/10分、密度=944kg/m3)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果、成形性がやや不安定であり、透過率は42.5%で透明性が劣っており、微粒子数が455個/mLであり、衛生性も劣っていた。また、容器の波打ちが大きく、内面融着強度が2.75kg/15mm幅であり、耐熱性も劣っていた。その他の結果を表4に示した。
示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つである、市販の直鎖状低密度ポリエチレン(ユメリット4540F、宇部興産(株)製、MFR=3.9g/10分、密度=944kg/m3)を用いた以外は実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果、成形性がやや不安定であり、透過率は42.5%で透明性が劣っており、微粒子数が455個/mLであり、衛生性も劣っていた。また、容器の波打ちが大きく、内面融着強度が2.75kg/15mm幅であり、耐熱性も劣っていた。その他の結果を表4に示した。
比較例2
示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つである、市販の高密度ポリエチレン(ニポロンハード2500、東ソー(株)製、MFR=8.0g/10分、密度=961kg/m3)を用いた以外は実施例2と同様の方法で評価を行った。その結果、成形性がやや不安定であり、透過率は44.8%で透明性が劣っており、微粒子数が323個/mLであり、衛生性も劣っていた。また、容器の波打ちが大きく、内面融着強度が3.05kg/15mm幅であり、耐熱性も劣っていた。その他の結果を表4に示した。
示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つである、市販の高密度ポリエチレン(ニポロンハード2500、東ソー(株)製、MFR=8.0g/10分、密度=961kg/m3)を用いた以外は実施例2と同様の方法で評価を行った。その結果、成形性がやや不安定であり、透過率は44.8%で透明性が劣っており、微粒子数が323個/mLであり、衛生性も劣っていた。また、容器の波打ちが大きく、内面融着強度が3.05kg/15mm幅であり、耐熱性も劣っていた。その他の結果を表4に示した。
[マクロモノマー製造用触媒の調製]
実施例1の[変性ヘクトライトの調製]で調製した変性ヘクトライト8.0gをヘキサン29mLに懸濁させ、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)46mLを添加し、室温で1時間攪拌することにより、変性ヘクトライトとトリイソブチルアルミニウムの接触生成物を得た。一方、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド111.5mg(320μmol)をトルエンに溶解させたものを添加し、室温で一晩攪拌することにより、触媒スラリー(100g/L)を得た。
[マクロモノマーの製造]
10Lオートクレーブに、ヘキサン6,000mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)12mLを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。このオートクレーブに、上記触媒スラリー3mLを添加し、エチレンを分圧が1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が1.2MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始53分後に、内温を50℃まで降温してオートクレーブの内圧を0.1MPaまで脱圧した後、オートクレーブに窒素を0.6MPaになるまで導入して脱圧した。この操作を5回繰り返した。このオートクレーブから抜き出したマクロモノマーのMnは9,600、Mw/Mnは2.30であり、13C−NMRによりマクロモノマーの末端構造を解析したところ、ビニル末端数と飽和末端数の比(Z)はZ=0.57であった。また、13C−NMRにおいてメチル分岐が1,000炭素原子当たり0.52個、エチル分岐が1,000炭素原子当たり1.22個検出された。さらに、13C−NMRにおいて長鎖分岐は検出されなかった。
10Lオートクレーブに、ヘキサン6,000mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)12mLを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。このオートクレーブに、上記触媒スラリー3mLを添加し、エチレンを分圧が1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が1.2MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始53分後に、内温を50℃まで降温してオートクレーブの内圧を0.1MPaまで脱圧した後、オートクレーブに窒素を0.6MPaになるまで導入して脱圧した。この操作を5回繰り返した。このオートクレーブから抜き出したマクロモノマーのMnは9,600、Mw/Mnは2.30であり、13C−NMRによりマクロモノマーの末端構造を解析したところ、ビニル末端数と飽和末端数の比(Z)はZ=0.57であった。また、13C−NMRにおいてメチル分岐が1,000炭素原子当たり0.52個、エチル分岐が1,000炭素原子当たり1.22個検出された。さらに、13C−NMRにおいて長鎖分岐は検出されなかった。
[ポリエチレンの製造]
上記で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)1.4mLとジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 7μmolを導入し、オートクレーブの内温を60℃に昇温後、30分間攪拌した。続いてオートクレーブの内温を90℃に昇温後、エチレン/水素混合ガス(水素1,500ppm)を分圧が0.3MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.3MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始220分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、1,017gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは2.2g/10分、密度は960kg/m3、Mwは10.0×104、Mw/Mnは7.6、長鎖分岐数は0.03個/1,000炭素、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークは1つであり、50℃でのn−ヘプタン可溶分は0.06重量%であった。
上記で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)1.4mLとジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 7μmolを導入し、オートクレーブの内温を60℃に昇温後、30分間攪拌した。続いてオートクレーブの内温を90℃に昇温後、エチレン/水素混合ガス(水素1,500ppm)を分圧が0.3MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.3MPaに保たれるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始220分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、1,017gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは2.2g/10分、密度は960kg/m3、Mwは10.0×104、Mw/Mnは7.6、長鎖分岐数は0.03個/1,000炭素、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークは1つであり、50℃でのn−ヘプタン可溶分は0.06重量%であった。
引き続いて、得られたポリマー100重量部、酸化防止剤(旭電化工業(株)製 AO−50RG)0.03重量部をヘンシェルミキサー((株)三井三池製作所製 型番FM75C)により820rpmで1分間混合した。その後に50mmφ単軸押出機((株)プラコー製 型番PDA−50)を用い、設定温度200℃、回転数100rpmで混練してペレット状にした。
引き続いて、(株)プラコー製 3層ブロー成形機(押出機スクリュー径が内層50mmφ、中間層50mmΦ、外層65mmΦ、クロムメッキダイス、ダイリップ1.0mm)により、上記のMFRが2.2g/10分、密度が960kg/m3、Mwが10.0×104、Mw/Mnが7.6、長鎖分岐数が0.03個/1,000炭素のポリエチレンのペレットを使用し、中間層に市販の接着性樹脂(アドマーNF518、三井化学(株)製)を使用し、外層に市販のナイロン樹脂(UBEナイロン5033B、宇部興産(株)製)を使用して、設定温度が内層170℃、中間層200℃、外層245℃、金型温度50℃にて、層構成比が内層/中間層/外層=8/1/1で、内容量500mL、胴部の平均肉厚が100μmのボトルを成形した。その結果、成形性は良好であり、透過率は72.1%で透明性は良好であり、微粒子数が112個/mLであり、衛生性にも優れていた。また、容器の波打ちが少なく、内面融着強度が0.65kg/15mm幅であり、耐熱性は良好であった。その他の結果を表8に示した。
比較例3
示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つである、市販の直鎖状低密度ポリエチレン(ニポロンZ ZF260、東ソー(株)製、MFR=2.0g/10分、密度=936kg/m3)を内層樹脂に用いた以外は実施例3と同様の方法で評価を行った。その結果、成形性がやや不安定であり、透過率は44.0%で透明性が劣っており、微粒子数が645個/mLであり、衛生性も劣っていた。また、容器の波打ちが大きく、内面融着強度が3.20kg/15mm幅であり、耐熱性も劣っていた。その他の結果を表8に示した。
示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つである、市販の直鎖状低密度ポリエチレン(ニポロンZ ZF260、東ソー(株)製、MFR=2.0g/10分、密度=936kg/m3)を内層樹脂に用いた以外は実施例3と同様の方法で評価を行った。その結果、成形性がやや不安定であり、透過率は44.0%で透明性が劣っており、微粒子数が645個/mLであり、衛生性も劣っていた。また、容器の波打ちが大きく、内面融着強度が3.20kg/15mm幅であり、耐熱性も劣っていた。その他の結果を表8に示した。
Claims (6)
- 下記(A)〜(F)の特性を満足するポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする医療用容器。
(A)密度が890kg/m3以上0.980kg/m3以下であり、
(B)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下であり、
(C)190℃で測定した溶融張力(MS190)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(1)
MS190>22×MFR−0.88 (1)
を満たすと共に160℃で測定した溶融張力(MS160)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(2)を満たし、
MS160>110−110×log(MFR) (2)
(D)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが1つであり、
(E)50℃でのn−ヘプタン可溶分が0.20重量%以下であり、
(F)強熱残分が0.10重量%以下である - エチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、
(G)Mnが2,000以上であり、
(H)Mw/Mnが2以上5以下である
マクロモノマーの存在下に、エチレンおよび任意に炭素数3以上のオレフィンを重合することによって得られるポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の医療用容器。 - (A)’密度が920kg/m3以上980kg/m3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用容器。
- (I)190℃における2.16kg荷重でのMFRが0.05以上50以下(g/10分)であるポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3に記載の医療用容器。
- 紫外可視吸光度法によって測定した波長450nmの透過率が55%以上であるポリエチレン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜4に記載の医療用容器。
- 請求項1〜5に記載のポリエチレン系樹脂を内容物と接する側に用いることを特徴とする医療用容器。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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