JP6294639B2 - ポリエチレン樹脂組成物及び高純度薬品用容器 - Google Patents
ポリエチレン樹脂組成物及び高純度薬品用容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6294639B2 JP6294639B2 JP2013244240A JP2013244240A JP6294639B2 JP 6294639 B2 JP6294639 B2 JP 6294639B2 JP 2013244240 A JP2013244240 A JP 2013244240A JP 2013244240 A JP2013244240 A JP 2013244240A JP 6294639 B2 JP6294639 B2 JP 6294639B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin composition
- polyethylene resin
- less
- ethylene
- polymerization
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
〔1〕
以下の(1)〜(5)を満たす、ポリエチレン樹脂組成物:
(1)密度が950kg/cm3以上965kg/cm3以下である;
(2)190℃、2.16kgのメルトフローレート(MFR)が0.01g/10min以上5g/10min以下である;
(3)分子量分布(Mw/Mn)が5以上15以下である;
(4)含有塩素量がポリエチレンに対して3ppm以下である;
(5)クロス分別クロマトグラフィー(CFC)で測定した89℃以上94℃未満の積分溶出量が、全溶出量の0.01質量%以上10質量%以下である。
〔2〕
Al、Mg、Ti、Zr及びHfの合計含有量が20ppm以下である、〔1〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔3〕
ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が、200ppm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔4〕
1000炭素中の二重結合量が、0.1個以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔5〕
CFCで測定した94℃以上110℃未満の積分溶出量が、全溶出量の80%以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔6〕
ビカット軟化温度が125℃以上135℃以下である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔7〕
シャルピー衝撃強度が20KJ/cm2以上である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔8〕
少なくともエチレン重合体Aとエチレン重合体Bとの2成分を含む、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔9〕
前記エチレン重合体Aの前記ポリエチレン樹脂組成物に対する重合生成量比が、40質量%以上95質量%以下である、〔8〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔10〕
前記エチレン重合体Aがエチレン単独重合体であり、かつ、前記MFRが1g/10min以上100g/10min以下であり、かつ、前記Mw/Mnが2.5以上4.5以下である、〔8〕又は〔9〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔11〕
前記エチレン重合体Bが、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である、〔8〕〜〔10〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔12〕
前記エチレン重合体A及びBが共に、担持型幾何拘束型メタロセン触媒により製造される、〔8〕〜〔11〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔13〕
前記担持型幾何拘束型メタロセン触媒の塩素含有量が0.1質量%以下である、〔12〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔14〕
前記担持型幾何拘束型メタロセン触媒の活性化剤が、ボレート系化合物である、〔12〕又は〔13〕に記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔15〕
複数の重合器を直列につないで重合を行う多段式スラリー重合法を用いて、前段で前記エチレン重合体Aを、後段で前記エチレン重合体Bを重合する、〔8〕〜〔14〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物。
〔16〕
〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物を含む、成形体。
〔17〕
〔1〕〜〔15〕のいずれかに記載のポリエチレン樹脂組成物を含む、高純度薬品用容器。
本実施形態におけるポリエチレン樹脂組成物の密度は、950kg/cm3以上965kg/cm3以下であり、好ましくは952kg/cm3以上963kg/cm3以下であり、より好ましくは954kg/cm3以上961kg/cm3以下である。ポリエチレン樹脂組成物の密度は、エチレンと共重合する他のコモノマーの導入量等によって調整することができる。ポリエチレン樹脂組成物の密度が950kg/m3以上であれば、容器の耐熱性、及び剛性が向上する。更に、溶出成分になり易い低分子量成分にα−オレフィンが挿入される割合が低下し、融点の低下を抑えられるため溶出量を抑制することもできる。一方、ポリエチレン樹脂組成物の密度が965kg/m3以下であれば、耐環境応力性(ESCR)を向上させることができる。
本実施形態におけるポリエチレン樹脂組成物の190℃、2.16kgのメルトフローレートは、0.01g/10min以上5g/10min以下であり、好ましくは0.05g/10min以上4g/10min以下であり、より好ましくは0.1g/10min以上3g/10min以下である。ポリエチレン樹脂組成物の190℃、2.16kgのメルトフローレートは、主に分子量により調整することができ、重合系に水素を存在させる等によって調節することができる。ポリエチレン樹脂組成物の190℃、2.16kgのメルトフローレートが0.01g/10min以上であれば、成形性に優れ、表面が平滑な容器を形成することができる。また、溶融成形時の樹脂圧、及びシェアを低減することができるため成形機の錆等に含まれる金属成分を取り込みにくくなる。一方、ポリエチレン樹脂組成物の190℃、2.16kgのメルトフローレートが5g/10min以下であれば、溶出成分である低分子量成分の生成を低減することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の分子量分布(Mw/Mn)は、5以上15以下であり、好ましくは6以上14以下であり、より好ましくは7以上13以下である。後述する本実施形態所望の触媒を使用するか、後述するエチレン重合体Aとエチレン重合体Bの分子量差を小さくすることで分子量分布は小さくすることができる。一方、エチレン重合体Aとエチレン重合体Bの分子量差を大きくすることで、分子量分布を大きくすることができる。分子量分布(Mw/Mn)が5以上であれば、ブロー成形、及び射出成形、フィルム成形が容易で、ゲル量が少なく平滑性に優れた成形体が得られる。一方、15以下であれば、優れた成形性を保持したまま低分子量成分の発生を抑制することが可能で、クリーン性、耐衝撃性、耐熱特性が向上する。本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、ポリエチレン樹脂組成物を溶解したオルトジクロロベンゼン溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)で測定し、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて求めることができる。
ポリエチレン樹脂組成物の含有塩素量は、ポリエチレン樹脂組成物に対して3ppm以下であり、好ましくは2ppm以下、より好ましくは1ppm以下である。ポリエチレン樹脂組成物の含有塩素量は、後述する触媒を使用して、重合条件等を適宜調整することで目的の塩素量を達成することができる。具体的には、塩素含有量が0.01質量%以下の触媒担体を使用して調整された、塩素含有量が1質量%以下の触媒を使用すること等によって含有塩素量を調節することができる。ポリエチレン樹脂組成物の含有塩素量がポリエチレン樹脂組成物に対して3ppm以下であれば、成形機等の腐食が抑制されてポリマーに含有される金属成分量を低減することができ、更に、塩素及び塩酸に影響を受けやすい内容物を入れる容器として好適に使用することができる。
ポリエチレン樹脂組成物のクロス分別クロマトグラフィー(CFC)で測定した89℃以上94℃未満の積分溶出量は、全溶出量の0.01質量%以上10質量%以下であり、好ましくは0.01質量%以上8質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上6質量%以下である。ポリエチレン樹脂組成物のCFCで測定した89℃以上94℃未満の積分溶出量が、全溶出量の0.01質量%以上10質量%以下であることにより、低結晶性成分の溶出を抑制することが可能であり、ビカット軟化点等の耐熱性も向上する。そのため、滅菌処理が必要な容器、あるいは貯蔵、搬送中に高温になる容器等に使用することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のAl、Mg、Ti、Zr及びHfの合計含有量は、好ましくは20ppm以下であり、より好ましくは17ppm以下であり、更に好ましくは15ppm以下であり、少ないほど好ましい。Al、Mg、Ti、Zr及びHfは残留触媒灰分に主として含まれることから、これらの合計含有量が上記範囲であることにより、金属溶出成分を低減できるだけでなく、耐熱性に優れ、さらに着色も少なくなる傾向にある。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計量は、クリーン性の観点から、好ましくは200ppm以下であり、より好ましくは180ppm以下であり、さらに好ましくは160ppm以下である。ポリエチレン樹脂組成物の炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計量とは、常温で容器から内容物に溶出しやすい成分を意味する。ポリエチレン樹脂組成物の炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計量は、後述する触媒を使用して、重合条件等を適宜調整することで制御することができる。具体的には、(1)エチレンガス、溶媒、触媒等を連続的に重合系内に供給し、生成したエチレン重合体と共に連続的に排出する連続式重合にすること、(2)触媒は予め水素と接触させた後、重合系内に添加すること、(3)触媒導入ライン出口を、エチレン導入ラインの出口から可能な範囲で離れた位置にすること等により急重合を抑制し、更に、エチレン重合体Aを後述する本実施形態の範囲に調整すること、(4)溶融混練時の温度を低くして分解成分の生成を抑制すること等で、その生成を抑制することができる。また、スラリー重合法で炭素数6〜12の炭化水素溶媒を使用すること、遠心分離法によってエチレン重合体と溶媒を分離し、乾燥前のエチレン重合体に含まれる溶媒量をエチレン重合体の重量に対して70質量%以下にすること、触媒の失活は、遠心分離法によって溶媒を可能な限り分離した後に実施すること等で炭素数12以上34以下の炭化水素成分を可能な限りポリエチレン樹脂組成物から除去することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の1000炭素中の二重結合の量は、0.1個以下であることが好ましく、より好ましくは0.09個以下であり、さらに好ましくは0.08個以下である。二重結合の量が0.1個以下であれば、熱による劣化を受けにくく、流動性が向上し、低分子量成分、金属成分、ゲル等を低減することができる傾向にある。通常、熱劣化を抑制するためには、酸化防止剤等を添加することが必要になるが、使用した酸化防止剤が溶出成分の原因となり、クリーン性が低下してしまう。しかしながら、二重結合の量が0.1個以下であれば、このようなクリーン性の低下も防止できる傾向にある。なお、二重結合の量は、使用する触媒により変化するため、後述する触媒等を適宜使い分けることにより制御することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のビカット軟化温度は、好ましくは125℃以上135℃以下であり、より好ましくは126℃以上134℃であり、さらに好ましくは127℃以上133℃以下である。ポリエチレン樹脂組成物のビカット軟化温度は、後述する触媒を使用して、重合条件等を適宜調整することで制御することができる。具体的には、上述したヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計量を制御する手法を用いること等が挙げられる。ポリエチレン樹脂組成物のビカット軟化温度が125℃以上であれば、高温下でも容器が溶融変形することなく、更にスチームによる滅菌作業等も行い易くなる傾向にある。一方、ポリエチレン樹脂組成物のビカット軟化温度が135℃以下であれば、表面肌荒れの無い成形体を得られる傾向にある。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、好ましくは20KJ/cm2以上であり、より好ましくは25KJ/cm2以上であり、さらに好ましくは30KJ/cm2以上である。ポリエチレン樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、上述した要領で、エチレン重合体Aとエチレン重合体Bの重合生成量比、ポリマーの密度、MFR、分子量分布Mw/Mnを本実施形態の所望の範囲内に調整すること等により調整することができる。ポリエチレン樹脂組成物のシャルピー衝撃強度が20KJ/cm2以上であれば、割れにくい容器となり、更には容器肉厚を薄くすることもできる傾向にある。
本実施形態におけるエチレン重合体Aのポリエチレン樹脂組成物に対する重合生成量比は、好ましくは40質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは50質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以上85質量%以下である。エチレン重合体Aのポリエチレン樹脂組成物に対する重合生成量比が40質量%以上であれば、成形性に優れ、肌荒れの無い成形体を形成することができる傾向にある。一方、95質量%以下であれば、低分子量成分の増加を抑制した状態で、成形体の剛性、耐熱特性、衝撃強度等を高めることができる傾向にある。エチレン重合体Aのポリエチレン樹脂組成物に対する重合生成量比は、1段目の重合生成量と2段目以降の重合生成量を調整することで制御することができる。上記の重合生成量比は、…により求めることができる。
H2C=CHR2
(式中、R2は炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、アルキル基は直鎖状、分岐状、又は環状である。)
次に、本実施形態で使用されるポリエチレン樹脂組成物の製造方法、具体的にはエチレン単独重合体、又はエチレンと他のコモノマーとの共重合体の製造方法について述べる。
本実施形態におけるエチレン重合体Aとエチレン重合体Bは、限定されるものでは無いが、少なくとも(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム化合物、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤、から調製された担持型幾何拘束型メタロセン触媒を用いて、エチレンを単独重合して、又はエチレンと他のコモノマーとを共重合して得ることができる。
LlMXpX’q‥‥(1)
[L−H]d+[MmQp]d− ‥‥(7)
[L−H]d+[MmQn(Gq(T−H)r)z]d− ‥‥(8)
[L−H]+[BQ3Q*]− ‥‥(9)
AlRnX3−n ‥‥(13)
本実施形態におけるエチレン単独重合体、又はエチレンと他のコモノマーとの共重合体の重合方法は、特に限定されないが、具体的には、スラリー重合法、気相重合法、又は公知の重合方法を用いることができる。本実施形態において重合を行う場合、一般的には重合圧力は1〜100気圧が好ましく、より好ましくは3〜30気圧である。また、重合温度は20℃〜115℃が好ましく、より好ましくは50℃〜90℃である。よりクリーン性に優れ、バリアー性を有した容器を提供するためには、スラリー重合法が好適である。本実施形態でスラリー重合法を用いる場合、温度の上限は生成するエチレン単独重合体又は共重合体が実質的にスラリー状態を維持し得る温度とすることが好ましい。この値以下であれば、エチレン単独又は共重合体の分子量分布が3以上となる。一方、温度の下限は低分子量成分が溶媒に溶出し易い20℃以上にすることが好ましい。
本実施形態におけるポリエチレン樹脂組成物の製造方法における溶媒分離方法は、デカンテーション法、遠心分離法、フィルター濾過法等によって行うことができるが、ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との分離効率が良い遠心分離法がより好ましい。溶媒分離後にポリエチレン樹脂組成物に含まれる溶媒の量としては、特に限定されないが、好ましくはポリエチレン樹脂組成物の重量に対して70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。ポリエチレン樹脂組成物に含まれる溶媒が少量の状態で溶媒を乾燥除去することにより、溶媒中に含まれる金属成分や低分子量成分等がエチレン重合体に残存しにくい傾向にある。これらの成分が残存しないことにより、ポリエチレン樹脂組成物の溶出成分が減少し、耐熱劣化性と耐熱変形性が向上し、更に、表面の肌荒れ等も減少するため、高純度薬品容器として好適に利用することが出来る。よって、ポリエチレン樹脂組成物と溶媒との分離効率が良い遠心分離法がより好ましい。また、溶媒と分離されたポリエチレン樹脂組成物を、不純物を含まない精製ヘキサン等で洗浄することで、溶出成分を除去することもできる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の添加剤の含有量としては通常100ppm以下であり、好ましくは50ppm以下であり、より好ましくは10ppm以下であり、溶出成分を低減する観点から無添加であることが特に好ましい。添加剤の種類としては、中和剤、酸化防止剤及び耐光安定剤等が挙げられる。
(成形体)
本実施形態の成形体は、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を含む。そのため、本実施形態の成形体は、クリーン性が高く、強度及び内面平滑性に優れる。本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を含む成形体の製造方法については、特に限定されないが、射出成形、ブロー成形、押出成形、回転成形等既知の成形方法により、製造できる。特に、射出成形法、ブロー成形法により形成された成形体が好ましい。成形体の形状は特に限定されないが、例えば、ビン、タンク、ドラム、アンプル、カップ、袋、その他の容器の形状、フィルム等に成形して製造される。
本実施形態の高純度薬品容器は、本実施形態のポリエチレン樹脂組成物を含む。そのため、本実施形態の高純度薬品容器は、クリーン性が高く、強度及び内面平滑性に優れる。本実施形態の高純度薬品容器としては、特に限定されないが、例えば、化学薬品、農薬、ガソリン、オイル等の工業薬品用容器;医薬品用容器;飲食品用容器;洗剤や化粧品等のトイレタリー用品用容器;レジストインキ、接着剤、塗料、印刷インキ等の高純度薬品を入れる容器等を挙げることができる。本実施形態の高純度薬品容器は、特に、ハイクリーン性が要求される工業薬品容器やガラス代替容器として好ましく適用される。なお、用語「高純度」とは、その目的に応じて、不純物を可能な限り少なくしたという意味で、純度は特に限定されるものではない。典型的には、高純度とは、99%以上の水準を意味する。
(1)密度
JIS K6760に準拠し、密度勾配管法により測定した。
ASTM−D−1238に従い、190℃、荷重2.16kgで測定した。
各例において得られた樹脂組成物の試料0.2gをテフロン(登録商標)製分解容器に秤取り、高純度硝酸を加えてマイルストーンゼネラル社製マイクロウェーブ分解装置ETHOS−TCにて加圧分解後、日本ミリポア社製超純水製造装置で精製した純水で全量を50mLとしたものを検液として使用した。上記検液に対し、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)Xシリーズ2を使用して、内標準法でAl、Mg、Ti、Zr、Cr及びClの定量を行った。
各例において得られた樹脂組成物約0.05gを石英製ボートに入れて、三菱アナリティカル社製自動燃焼装置中AQF−100で燃焼させた。発生した燃焼ガスをあらかじめ酒石酸を添加した吸収液に吸収させて、ダイオネクス社製イオンクロマトグラフ分析装置ICS−1500で酒石酸を内標準物質として内標準法で定量を行った。
各例の樹脂組成物から得られた直径約3.0mm×長さ約3.0mmの円柱状ペレット10g、和光純薬社製PCB試験用ヘキサン40mLを180mL容積のSUS製容器中に入れて密閉した。このSUS製容器全体を70℃の湯浴に浸し、50min−1速度で振とうしながら2時間抽出した後、20℃の水に浸し急冷した。上澄み液を、0.2μmフィルター(PTFE製)を取り付けたガラスシリンジで濾過し、サンプルとした。炭素数12と14の標準物質は、和光純薬工業社製特級n−ドデカンとn−テトラデカン、炭素数16から炭素数34の標準物質は、シグマアルドリッチ社製ASTM D5442 C16−C44 Qualitative Retention Time Mixを和光純薬社製PCB試験用ヘキサンヘキサンに溶解して標準物質として用いた。
実施例及び比較例で製造したエチレン重合体について、昇温溶離分別(TREF)による溶出温度−溶出量曲線を以下のように測定し、各温度での溶出量、溶出積分量、及び高温側溶出ピークの最高溶出量になる温度での重量平均分子量(Mw)を求めた。まず、充填剤を含有したカラムを140℃に昇温し、エチレン重合体をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液を導入して120分間保持した。次に、カラムの温度を、降温速度0.5℃/分で40℃まで降温した後、20分間保持した。この工程で試料が充填剤表面に析出した。
・装置:Polymer ChAR社製Automated 3D analyzer CFC−2
・カラム:ステンレススチールマイクロボールカラム(3/8”o.d x 150mm)
・溶離液:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・試料溶液濃度:試料(エチレン重合体)20mg/o−ジクロロベンゼン20mL
・注入量:0.5mL
・ポンプ流量:1.0mL/分
・検出器:Polymer Char社製赤外分光光度計IR4
・検出波数:3.42μm
・試料溶解条件:140℃×120min溶解
各例におけるポリエチレン樹脂組成物の二重結合量の測定は、日本分光社製JASCO FTIR4200を使用して測定した。測定用シートはJISK6922−2に準拠して、各例のペレット(高密度ポリエチレン)を0.5mm厚の型枠を入れたプレス用金型板上に必要量載せ、200℃、1MPaで加圧しながら3分間予熱した。続いて2分間かけて1MPaで加圧、除圧を7回繰り返し、続いて10MPaで加圧、除圧を4回繰り返した。最後に10MPaで2分間加圧した後、15℃/minの平均冷却速度で、12分間冷却することで0.5mm厚の測定用シートを作製した。
二重結合量=0.083A963/(ρ×t)+0.114A910/(ρ×t)+0.109A888/(ρ×t)
(なお、Aは吸光度、ρは密度(g/cm3)、tは厚み(mm)を表す。)
各例において得られた樹脂組成物20mgにo−ジクロロベンゼン15mLを導入して、150℃で1時間撹拌することで調製したサンプル溶液について、下記の条件によりゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定を行った。測定結果から、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定に用いた材料ないし条件は、より詳細には以下のとおりとした。
・装置:Waters社製150−C ALC/GPC
・検出器:RI検出器
・移動相:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
・流量:1.0mL/分
・カラム:Shodex製AT−807Sを1本と東ソー製TSK−gelGMH−H6を2本連結したものを用いた。
・カラム温度:140℃
各例において得られた樹脂組成物を50m/m、L/D=22(D:スクリュー直径、L:スクリュー有効長)の押出機の中で185℃に溶融し、筒状のパリソンに押出した。押出されたパリソンを金型で挟んで、ブローピンより6kg/cm2の圧縮空気を吹き込み、20℃に冷却された金型で冷却し、容量1000mL、重量100gの丸型容器を成形した。次に、成形した容器のクリーン度を次の要領で測定した。
クリーン度;水中の微粒子数(個/mL)={(カウント数(個))×(超純水の量100(mL))}/{サンプリング量5(mL)×容器容量200(mL)}
・クリーン度が30個/mL以下の時、判定を◎とした。
・クリーン度が30個/mLより多く60個以下の時、判定を○とした。
・クリーン度が60個/mLより多い時、判定を×とした。
塩基点を有する無機固体による塩化物イオン吸着の効果を測定する、鉄板腐食試験を行った。中和剤がない状態では樹脂に含まれる遊離塩化物イオンにより高温高湿下金属が腐食して錆が発生するが、塩化物イオンが塩基点を有する無機固体に吸収されることにより錆が生じなくなるか否かを判別した。
・試験後鉄板の光沢に変化が見られなかった時、判定を〇とした。
・試験後鉄板に錆が発生した時、判定を×とした。
山口製作所製Tダイ(スクリュー径30mm、ダイ300mm幅)を用い、シリンダー温度200℃、ダイ温度230℃、押出し量5kg/時間、引き取り速度10m/分で各例において得られた樹脂組成物を成形し、幅30cm、厚さ35μmのポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。上記フィルムサンプルの厚みをJIS K7130に準じて測定した。上記フィルムを、Tダイのフィルム引き取り機に取り付けた、株式会社ヒューテック社製フィッシュアイカウンター(検出能力横:0.04mm/bit、検出能力縦:0.015mm/scan、投光距離:200mm、受光距離:440mm、検査幅:50mm)を用いて、検査面積4000cm2 、直径0.1m以上1mm未満のゲル数をカウントした。上記の測定結果を基に、以下の式を用いて35μmのフィルム1cm2当たりのゲル数を算出した。
N=n×(35/δ)
(ここで、Nは厚さ35μmのフィルム4000cm2当たりのゲル数、nはフィッシュアイカウンターにより観察されたゲルの個数、δは観察に用いたフィルムサンプルの厚み(μm)である。)
各例のポリエチレン樹脂組成物の熱劣化による流動性低下率は、上述の(2)の方法で測定したMFRと、同じ方法で3回繰り返し測定した後のMFRを比較することで求めた。計算式及び評価基準を下記に示す。
流動性保持率(%)={(1回目のMFR)−(3回目のMFR)}/{1回目のMFR}×100
・流動性保持率が20%以下の時、判定を○とした。
・流動性保持率が20%より大きい時、判定を×とした。
JIS K7206:1999に準拠して測定した。
JIS K7111:2004に準拠して測定した。
ビカット軟化温度が125℃以上135℃以下で、シャルピー衝撃強度が20KJ/cm2以上であり、クリーン度、鉄板腐食試験、ゲル量、及び流動性保持率の評価で一つも×がつかないものを総合評価○と判定し、それ以外を×と判定した。
〔担持型幾何拘束型メタロセン触媒[I]の調製〕
[メタロセン触媒(I−a)]
充分に水洗し、乾燥された触媒担体用シリカを、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1gのSiO2あたり1.85mmol/gであり、塩素含有量は50ppm質量%であった。容量1.8Lのオートクレーブに、この脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)を80mL加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[a]を得た。得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー880mLを得た。
チタニウム錯体を[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエンにした以外は、メタロセン触媒[I−a]に準じて合成した。
チタニウム錯体を[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジクロライドにした以外は、メタロセン触媒[I−a]に準じて合成した。
ボレートの代わりにメチルアルミノキサンを使用した以外は、メタロセン触媒[I−c]に準じて合成した。
塩素含有量が50ppm質量%の触媒担体用シリカの代わりに、塩素含有量が6200ppmの触媒担体用シリカを使用した以外は、メタロセン触媒[I−c]に準じて合成した。
200mLのフラスコにヘキサン40mLとAlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12(MgとAlの総量として37.8mmol)を攪拌しながら添加し、続いて25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mLを攪拌しながら添加した。その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
[チーグラー・ナッタ触媒[III−a]]
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブにヘキサン1,600mLを添加した。10℃で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液800mLと1mol/LのAlMg5(C4H9)11(OSiH)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液800mLとを4時間かけて同時に添加した。添加後、ゆっくりと昇温し、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1600mL除去し、ヘキサン1,600mLで5回洗浄することにより、固体触媒成分[A]を調製した。
(1)担体の合成
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに2mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、65℃で攪拌しながらAlMg5(C4H9)11(OC4H9)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液2,550mL(マグネシウム2.68mol相当)を4時間かけて滴下し、さらに65℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄した。この固体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムが8.31mmolであった。
上記担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに10℃で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液110mLと1mol/LのAlMg5(C4H9)11(OSiH)2で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液110mLとを同時に1時間かけて添加した。添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1100mL除去し、ヘキサン1100mLで2回洗浄することにより、固体触媒成分[III−b]を調製した。
[実施例1]
触媒の調製例に記載したメタロセン触媒を用いて、以下に示すスラリー二段重合法によりポリエチレン樹脂組成物を得た。
一段目の重合として、重合圧力0.65MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.20mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.85MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.26mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.6MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.20mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.86MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.22mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.55MPaの条件で、水素をエチレンの気相濃度に対して0.20mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.87MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.04mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.30mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.7MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.10mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.90MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.02mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.30mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.6MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−c]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.25mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.80MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.27mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.6MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用し、水素をエチレンの気相濃度に対して0.20mol%になるように供給して、二段目の重合として、重合圧力0.86MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.43mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。ポリエチレン樹脂組成物の密度が低く、低分子量成分、及び低結晶成分が増加することで、クリーン度が大幅に低下した。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.5MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.63mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.80MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.37mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。エチレン重合体AのMFRが大きく、低分子量成分、及び低結晶成分が増加することで、クリーン度が大幅に低下した。また、分子量分布が大きくエチレン重合体Aとエチレン重合体Bの分子量差が大きくなったことで、ゲル量が増加した。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.55MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.22mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.87MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.04mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.28mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。ポリエチレン樹脂組成物の分子量分布が狭く、フィルムが肌荒れしたため正確なゲル量の測定ができなかった。またボトル内面も肌荒れが激しく、クリーン度が低下した。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.45MPaの条件で、水素をエチレンの気相濃度に対して0.45mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.75MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.1mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.30mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。ポリエチレン樹脂組成物のMFRが大きく、低分子量成分、及び低結晶成分が増加することで、ビカット軟化温度、シャルピー衝撃強度、及びクリーン度が大幅に低下した。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.60MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−d]、液体助触媒成分[II]はボレートの代わりにメチルアルミノキサン(以下、MAOと言う。)200molを使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.22mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.86MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.23mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。MAOを使用したことで、Al成分、及び塩素の量が増加して、鉄板腐食試験において鉄板が腐食した。また、ポリエチレン樹脂組成物の熱劣化が促進された。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.5MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−e]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.60mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.86MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.24mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。塩素含有量の多い担持型メタロセン触媒[I−a]を使用したことによって、ポリエチレン樹脂組成物の塩素含有量が増加して、板腐食試験において鉄板が腐食した。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.6MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.20mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.86MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.24mol%にした。続いて、得られたスラリーを濾過することによって、ポリエチレンのパウダーと溶媒を分離した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。濾過後のポリマーに対する溶媒等の含有量は250%であった。ポリマーに対する溶媒等の含有量が多いことによって低分子量成分が増加してクリーン度が低下した。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.5MPaの条件で、上記の担持型メタロセン触媒[I−a]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.27mol%になるように供給した。尚、ヘキサン供給ライン、水素供給ライン、エチレン供給ライン、及び触媒供給ラインの出口は各々隣接していて、重合器の底部より連続的に供給した。二段目の重合として、重合圧力0.8MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.06mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.23mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。触媒を予め水素と接触させずに重合系内に添加したこと、触媒導入ライン出口とエチレン導入ライン出口が隣接していることで、急重合反応が起こり、低分子量成分及び低結晶性成分が増加した。評価結果を表1と表2に示す。
触媒の調製例に記載したチーグラー・ナッタ触媒を用いて、次に示すスラリー二段重合法によりポリエチレン樹脂組成物を得た。一段目の重合として、重合圧力0.7MPaの条件で、上記のチーグラー・ナッタ触媒[III−a]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.22mol%になるように供給し、二段目の重合として、重合圧力0.80MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.28mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。チーグラー・ナッタ触媒により合成されたことによってポリエチレン樹脂組成物中の塩素量が多く、板腐食試験において鉄板が腐食した。また二重結合数が多く、ポリエチレン樹脂組成物の熱劣化が促進され、エチレン重合体Aの分子量分布が大きいことによって低分子量成分、及び低結晶性成分が増加することでクリーン度が低下した。更に、ポリエチレン樹脂組成物のMFRが小さく成形性も低下した。評価結果を表1と表2に示す。
一段目の重合として、重合圧力0.7MPaの条件で、上記のチーグラー・ナッタ触媒[III−b]を使用して、水素をエチレンの気相濃度に対して0.22mol%になるように供給して、二段目の重合として、重合圧力0.67MPa、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.03mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.28mol%にした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂組成物を得た。チーグラー・ナッタ触媒により合成されたことによってポリエチレン樹脂組成物中の塩素量が多く、板腐食試験において鉄板が腐食した。また二重結合数が多く、ポリエチレン樹脂組成物の熱劣化が促進され、エチレン重合体Aの分子量分布が大きいことによって低分子量成分、及び低結晶性成分が増加することでクリーン度が低下した。更に、ポリエチレン樹脂組成物のMFRが小さく成形性も低下した。評価結果を表1と表2に示す。評価結果を表1と表2に示す。
Claims (17)
- 以下の(1)〜(5)を満たす、ポリエチレン樹脂組成物:
(1)密度が950kg/cm3以上965kg/cm3以下である;
(2)190℃、2.16kgのメルトフローレート(MFR)が0.01g/10min以上5g/10min以下である;
(3)分子量分布(Mw/Mn)が7以上15以下である;
(4)含有塩素量がポリエチレンに対して3ppm以下である;
(5)クロス分別クロマトグラフィー(CFC)で測定した89℃以上94℃未満の積分溶出量が、全溶出量の0.01質量%以上10質量%以下である。 - Al、Mg、Ti、Zr及びHfの合計含有量が20ppm以下である、請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が、200ppm以下である、請求項1又は2に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 1000炭素中の二重結合量が、0.1個以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- CFCで測定した94℃以上110℃未満の積分溶出量が、全溶出量の80%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- ビカット軟化温度が125℃以上135℃以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- シャルピー衝撃強度が20KJ/cm2以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 少なくともエチレン重合体Aとエチレン重合体Bとの2成分を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 前記エチレン重合体Aの前記ポリエチレン樹脂組成物に対する重合生成量比が、40質量%以上95質量%以下である、請求項8に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 前記エチレン重合体Aがエチレン単独重合体であり、かつ、前記MFRが1g/10min以上100g/10min以下であり、かつ、前記Mw/Mnが2.5以上4.5以下である、請求項8又は9に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 前記エチレン重合体Bが、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である、請求項8〜10のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物。
- 請求項8〜11のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法であって、
前記エチレン重合体A及びBが共に、担持型幾何拘束型メタロセン触媒により製造される、ポリエチレン樹脂組成物の製造方法。 - 前記担持型幾何拘束型メタロセン触媒の塩素含有量が0.1質量%以下である、請求項12に記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
- 前記担持型幾何拘束型メタロセン触媒の活性化剤が、ボレート系化合物である、請求項12又は13に記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
- 複数の重合器を直列につないで重合を行う多段式スラリー重合法を用いて、前段で前記エチレン重合体Aを、後段で前記エチレン重合体Bを重合する、請求項12〜14のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物を含む、成形体。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物を含む、高純度薬品用容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013244240A JP6294639B2 (ja) | 2013-11-26 | 2013-11-26 | ポリエチレン樹脂組成物及び高純度薬品用容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013244240A JP6294639B2 (ja) | 2013-11-26 | 2013-11-26 | ポリエチレン樹脂組成物及び高純度薬品用容器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015101680A JP2015101680A (ja) | 2015-06-04 |
JP6294639B2 true JP6294639B2 (ja) | 2018-03-14 |
Family
ID=53377672
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013244240A Active JP6294639B2 (ja) | 2013-11-26 | 2013-11-26 | ポリエチレン樹脂組成物及び高純度薬品用容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6294639B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6073980B2 (ja) * | 2015-06-29 | 2017-02-01 | コダマ樹脂工業株式会社 | 内容物の視認性に優れた超高純度薬品用吹込み成形積層容器 |
JP6694258B2 (ja) * | 2015-10-02 | 2020-05-13 | 旭化成株式会社 | エチレン−α−オレフィン共重合体及び樹脂組成物 |
JP6778480B2 (ja) * | 2015-11-11 | 2020-11-04 | 旭化成株式会社 | ポリエチレン系重合体及びその製造方法、組成物、並びに架橋パイプ |
JP6705157B2 (ja) * | 2015-11-26 | 2020-06-03 | 東ソー株式会社 | 超高純度薬品容器用ポリエチレン樹脂及びそれよりなる高純度薬品容器 |
JP6843660B2 (ja) * | 2017-03-22 | 2021-03-17 | 旭化成株式会社 | エチレン系重合体パウダー及びその成形体 |
KR102455268B1 (ko) * | 2017-07-18 | 2022-10-17 | 후지필름 가부시키가이샤 | 용기, 용기의 제조 방법, 및 약액 수용체 |
CN110892016B (zh) * | 2017-07-28 | 2023-05-23 | 旭化成株式会社 | 聚乙烯组合物 |
JP7243223B2 (ja) * | 2019-01-28 | 2023-03-22 | 東ソー株式会社 | 高純度薬品容器の製造方法 |
JP7429803B2 (ja) | 2020-11-17 | 2024-02-08 | 旭化成株式会社 | ポリエチレンパウダー及び成形体 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11106574A (ja) * | 1997-10-07 | 1999-04-20 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 剛性−escr−耐衝撃性のバランスに優れた高密度エチレン系重合体組成物 |
JP4023897B2 (ja) * | 1998-03-04 | 2007-12-19 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | クリーン性に優れたポリエチレン製容器 |
-
2013
- 2013-11-26 JP JP2013244240A patent/JP6294639B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2015101680A (ja) | 2015-06-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6294639B2 (ja) | ポリエチレン樹脂組成物及び高純度薬品用容器 | |
JP6243195B2 (ja) | 表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物及びフィルム | |
JP5055805B2 (ja) | エチレン−α−オレフィン共重合体、樹脂組成物およびフィルム | |
EP2797966B1 (en) | Lldpe film | |
JP5583130B2 (ja) | コポリマーおよびそのフィルム | |
JP6702731B2 (ja) | エチレン−α−オレフィン共重合体 | |
JP6892737B2 (ja) | ポリエチレン系パウダー及びその製造方法 | |
JPWO2007034920A1 (ja) | エチレン系重合体、該重合体を含む熱可塑性樹脂組成物及び成形体 | |
US10676550B2 (en) | Copolymers and films thereof | |
JP5763964B2 (ja) | 成形性、長期特性に優れた、ボトルキャップに適したポリエチレン樹脂組成物およびボトルキャップ | |
JP5787769B2 (ja) | 3置換c4−10アルケンとのポリオレフィン気相重合 | |
EP2596031B1 (en) | Polymer composition | |
JP5653366B2 (ja) | フィルム | |
JP2009001779A (ja) | エチレン系重合体組成物およびフィルム | |
CN113045694A (zh) | 聚乙烯树脂组合物 | |
JP2013249094A (ja) | 容器 | |
JP2000129044A (ja) | 高純度薬品用ポリエチレン容器 | |
JP4023897B2 (ja) | クリーン性に優れたポリエチレン製容器 | |
JP5593202B2 (ja) | 容器蓋用ポリエチレン | |
JPH11292933A (ja) | 高純度薬品用容器 | |
JP2000129045A (ja) | ポリエチレン製クリーン容器 | |
JPH11138618A (ja) | ブロー成形体 | |
CN108707266B (zh) | 聚乙烯树脂组合物 | |
CN110892016B (zh) | 聚乙烯组合物 | |
JP6694258B2 (ja) | エチレン−α−オレフィン共重合体及び樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20160401 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20160523 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20160906 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20170630 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170721 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20170919 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180206 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180216 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6294639 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |