JP2015089937A - 表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物及びフィルム - Google Patents

表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物及びフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】被保護材に対して、低分子量成分のブリードアウトによる汚染が極めて少なく、FEによる微小な変形も抑制することができ、高度なクリーン性を有する表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物及び該表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物を用いたフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】高密度ポリエチレン樹脂(A)40〜70質量%と、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)30〜60質量%と、を含み、密度が930kg/m以上であり、190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが1〜20g/10分であり、ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が200ppm以下であり、Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が20ppm以下である、表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物及びフィルムに関する。
一般に表面保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフテタレート等の熱可塑性樹脂単体あるいはこれらを混合してなる樹脂組成物からなる1層または多層の基材層と、粘着層と、からなる。このような表面保護フィルムは、加工時、輸送時、保管時に外部から受ける傷や汚れ発生を防止することを目的として、金属板、樹脂板、木製化粧板、銘板、液晶部材、電気電子部品、建築資材、自動車部品などに貼って使用されている。
このなかでも、偏光板や導光板等の液晶部材や電子部品の保護フィルムとしては、耐熱性、フィルムのコシの強さ、粉が少ないクリーン性、及びフィッシュアイ(以下、「FE」ともいう。)が少ないといった観点からポリエチレン樹脂が主に使用されている。
しかしながら、スマートフォンや4Kテレビ等の表示機器の高解像度化に伴い、表面保護フィルムに残存する低分子量成分のブリードアウトにより被保護材が汚染される等の問題がより深刻化している。
保護フィルムに存在するFEによって被保護材が変形するという問題があるため、表示機器等の高解像度化に伴い、より小さいFEがより少ないことが求められる。具体的には、従来、直径0.2mm以上のFEが問題であったものが、直径0.1mm以上のFEが2個/m以下と厳しい品質が要求されるようになっている。さらに、最近では40μm以下レベルの微小なFEが問題となり40μm以下の微小FEが20個/m以下とさらに厳しい品質が要求されている。
そのため、ブリードアウトする低分子量成分の量及び微小FE量を共に低減した、よりクリーンな表面保護フィルム用のポリエチレン樹脂が望まれる。
これに対し、例えば、特許文献1には、ポリエチレンの重合後の造粒工程において、押出し機出口へ微細なスクリーンパックを取り付ける操作により、FEを取り除く手法が開示されている。
また、特許文献2には、表面層、中間層、粘着層からなる表面保護フィルムにおいて、0.1mm〜0.2mmと0.01mm〜0.1mmのFEに関する開示がされている。
さらに、特許文献3と4には、高密度ポリエチレンと高圧法低密度ポリエチレンとの混合物において、炭化水素成分量が少なく、酸化防止剤や中和剤の添加量を制限したクリーンなフィルムが開示されている。
特開2004−99875号公報 特開2009−184216号公報 特開2007−269839号公報 特開2010−242082号公報
しかしながら、特許文献1では、除去対象となるFEが大きく、微小なFEを取り除くには不十分である。また、特許文献2では、FEが大きく、ブリードアウトに関する記載もない。さらに、特許文献3と4では、クリーン度に対する対策が不十分であり表面保護フィルムとして未完成である上、FEが大きい。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、被保護材に対して、低分子量成分のブリードアウトによる汚染が極めて少なく、FEによる微小な変形も抑制することができ、高度なクリーン性を有する表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物及び該表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物を用いたフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、所定の物性条件を満たした表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物が、上記の課題を解決することができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
高密度ポリエチレン樹脂(A)40〜70質量%と、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)30〜60質量%と、を含み、
密度が930kg/m以上であり、
190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが1〜20g/10分であり、
ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が200ppm以下であり、
Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が20ppm以下である、
表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
〔2〕
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したMw/Mnが、3.5〜16である、前項〔1〕に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
〔3〕
塩素含有量が5ppm以下である、前項〔1〕又は〔2〕に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
〔4〕
前記高密度ポリエチレン樹脂(A)の密度が940kg/m以上であり、190℃、2.16kgのメルトフローレートが1〜70g/10分であり、分子量分布が2〜6である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
〔5〕
前記高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の密度が910〜930kg/m以下であり、190℃、2.16kgのメルトフローレートが1〜20g/10分であり、分子量分布が2〜30である、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
〔6〕
前記高密度ポリエチレン樹脂(A)が、担体物質、有機アルミニウム化合物、環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から少なくとも調製された担持型メタロセン触媒[A]と、液体助触媒成分[B]と、を用いて重合することにより製造されたものである、前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
〔7〕
前項〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物を含む、フィルム。
本発明によれば、低分子量成分のブリードアウトによる被保護材の汚染が極めて少なく、FEによる被保護材の微小な変形も抑制することができ、高度なクリーン性を有する表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物及び該表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物を用いたフィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物〕
本実施形態の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物(以下、単に「ポリエチレン樹脂組成物」ともいう。)は、高密度ポリエチレン樹脂(A)40〜70質量%と、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)30〜60質量%と、を含み、密度が930kg/m以上であり、190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが1〜20g/10分であり、ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が200ppm以下であり、Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が20ppm以下である。以下、上記要件について説明する。
[組成比]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物中の高密度ポリエチレン樹脂(A)の含有量は、40〜70質量%であり、好ましくは40〜65質量%であり、より好ましくは40〜60質量%である。また、ポリエチレン樹脂組成物中の高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の含有量は、30〜60質量%であり、好ましくは35〜60質量%であり、より好ましくは40〜60質量%である。高密度ポリエチレン樹脂(A)及び高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の含有量が上記組成範囲内にあると、FEの発生が抑制され、成形加工性も良好となる。
[密度]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の密度(JIS K7112)は、930kg/m以上であり、好ましくは933kg/m以上であり、より好ましくは935kg/m以上である。密度が930kg/m以上であることにより、耐熱性が高く、コシのあるフィルムが得られる。また、ポリエチレン樹脂組成物の密度の上限は、特に限定されないが、965kg/m以下が好ましい。ポリエチレン樹脂組成物の密度は、高密度ポリエチレン樹脂(A)と、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の各々の密度と、これらの組成比によって調整することができる。ポリエチレン樹脂組成物の密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[メルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。)]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の190℃、2.16kgにおけるメルトフローレート(JIS K7210)は、1〜20g/10分であり、好ましくは2〜18g/10分であり、より好ましくは3〜16g/10分である。メルトフローレートが1g/10分以上であることにより、ドローダウン性やFE抑制性がより向上する。また、ポリエチレン樹脂組成物のMFRが20g/10分以下であることにより、Tダイ成形時におけるネックイン、サージング、又は溶融樹脂のゆれによる厚み変動がより抑制できる傾向にある。ポリエチレン樹脂組成物のメルトフローレートは、高密度ポリエチレン樹脂(A)と、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の各々のメルトフローレートと組成比によって調整することができる。ポリエチレン樹脂組成物のMFRは、実施例に記載の方法により測定することができる。
[炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量(以下、「炭化水素成分量」ともいう。)は、200ppm以下であり、好ましくは180ppm以下であり、より好ましくは160ppm以下である。ポリエチレン樹脂組成物の炭素数12以上34以下の炭化水素成分量が上記範囲内であることにより、ブリードアウトがより抑制される。なお、ポリエチレン樹脂組成物の炭素数12以上34以下の炭化水素成分量の下限は、特に限定されず、低いほど好ましい。ポリエチレン樹脂組成物の炭素数12以上34以下の炭化水素成分とは、ブリードアウトしやすく、被保護材を汚染する低分子量成分を主に意味する。
ポリエチレン樹脂組成物の炭素数12以上34以下の炭化水素成分量は、高密度ポリエチレン樹脂(A)を製造する際に生成する低分子量成分の量を抑制することで、上記範囲に制御することができる。具体的には、エチレンガス、溶媒、触媒等を連続的に重合系内に供給し、生成したエチレン重合体と共に連続的に排出する連続式重合にすること、触媒は予め水素と接触させた後、重合系内に添加すること、触媒導入ライン出口を、エチレン導入ラインの出口から可能な範囲で離れた位置にすること等により急重合により生成する低分子量成分を抑制することができる。更に、高密度ポリエチレン樹脂(A)の物性を後述する本実施形態の好ましい範囲に調整すること、溶融混練時の温度を低くして分解成分の生成を抑制すること等で、その生成を抑制することもできる。また、スラリー重合法で炭素数6〜12の炭化水素溶媒を使用すること、遠心分離法によってエチレン重合体と溶媒を分離し、乾燥前のエチレン重合体に含まれる溶媒量をエチレン重合体の重量に対して70質量%以下にすること、触媒の失活は、遠心分離法によって溶媒を可能な限り分離した後に実施すること、脱揮押出し機を使用して真空下で乾燥、及び造粒すること等の方法で炭素数12以上34以下の低分子量成分を可能な限りポリエチレン樹脂組成物から除去することができる。ポリエチレン樹脂組成物の炭素数12以上34以下の炭化水素成分量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量は20ppm以下であり、好ましくは15ppm以下であり、より好ましくは10ppm以下である。また、ポリエチレン樹脂組成物のAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量の下限は、特に限定されず少ないほど好ましい。Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が上記範囲であることにより、ポリエチレン樹脂の熱劣化によるFEの発生が抑制され、熱劣化により生成する低分子量成分も少なくなり、フィルムの着色も少なくなる。更に、酸化アルミニウム等の変性物からなるFEを低減することもできる。Al、Mg、Ti、Zr、及びHfは、主に高密度ポリエチレン樹脂(A)に含有される残留触媒灰分に由来する。
ポリエチレン樹脂組成物のAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量を制御する方法としては、後述する高活性であってAlの少ない助触媒を使用すること、塩素含有量が少ない触媒を使用して成形機等の腐食を抑制すること、又は遠心分離法によってエチレン重合体と溶媒を分離し、乾燥前のエチレン重合体に含まれる溶媒量をエチレン重合体の重量に対して70質量%以下にすること、触媒の失活は、遠心分離法によって溶媒を可能な限り分離した後に実施すること等が挙げられる。ポリエチレン樹脂組成物のAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[分子量分布(Mw/Mn)]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した分子量分布Mw/Mnは、好ましくは3.5〜16であり、より好ましくは4〜15.5であり、さらに好ましくは4.5〜15である。分子量分布(Mw/Mn)が3.5以上であることにより、成形加工時の高せん断速度下での樹脂にかかるせん断応力が小さくなり、押出負荷が小さくなるなど成形加工がより容易となる傾向にある。また、分子量分布(Mw/Mn)が16以下であることにより、ドローダウン性、FE抑制性がより向上し、フィルム成形時における発煙や、フィルム成形後の低分子量成分のブリードアウトがより抑制される傾向にある。ポリエチレン樹脂組成物の分子量分布Mw/Mnは、高密度ポリエチレン樹脂(A)と、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の各々の分子量分布Mw/Mnと組成比によって調整することができる。
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物の分子量分布(Mw/Mn)は、ポリエチレン樹脂組成物を溶解したオルトジクロロベンゼン溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)で測定し、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線に基づいて求めることができる。より具体的には、実施例に記載の方法により測定することができる。
[塩素含有量]
ポリエチレン樹脂組成物の塩素含有量は、ポリエチレン樹脂組成物に対して、好ましくは5ppm以下であり、より好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。ポリエチレン樹脂組成物の塩素含有量がポリエチレン樹脂組成物に対して5ppm以下であることにより、成形機等の腐食が抑制でき、ポリマーに含有される金属成分量を低減することができ、更に、塩素及び塩酸に影響を受けやすい金属等の被保護材の表面保護フィルムとして使用した場合であっても、被保護材の錆等を抑制することができる傾向にある。ポリエチレン樹脂組成物の塩素含有量は、後述する触媒を使用して、重合条件等を適宜調整することで制御することができる。また、ポリエチレン樹脂組成物の塩素含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[高密度ポリエチレン樹脂(A)]
高密度ポリエチレン樹脂(A)としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン単独重合体、又はエチレンとα−オレフィン共重合体が挙げられる。高密度ポリエチレン樹脂(A)は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本実施形態の高密度ポリエチレン樹脂(A)の密度(JIS K7112)は、好ましくは940kg/m以上であり、より好ましくは942kg/m以上であり、さらに好ましくは945kg/m以上である。高密度ポリエチレン樹脂(A)の密度が940kg/m以上であることにより、耐熱性がより高く、よりコシのあるフィルムが得られる傾向にある。更には、重合中に生成する低分子量成分の融点が高くなることにより、ブリードアウトが抑制されるため好ましい。高密度ポリエチレン樹脂(A)の密度の上限は特に限定されないが、970kg/m以下が好ましい。高密度ポリエチレン樹脂(A)の密度は高密度ポリエチレン樹脂中のα−オレフィンの含有量により制御することができる。その製造条件により制御することができる。また、高密度ポリエチレン樹脂(A)の密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の高密度ポリエチレン樹脂(A)の190℃、2.16kgのメルトフローレート(JIS K7210)は、好ましくは1〜70g/10分であり、より好ましくは8〜50g/10分、さらに好ましくは12〜40g/10分である。高密度ポリエチレン樹脂(A)のMFRが1g/10分以上であることにより、ドローダウン性やFE抑制性がより向上する傾向にある。また、70g/10分以下であることにより、ネックインがより防止される傾向にある。高密度ポリエチレン樹脂(A)のメルトフローレートは、重合温度を変更したり、連鎖移動剤としての水素を用いることによって調節することができる。高密度ポリエチレン樹脂(A)のメルトフローレートは、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の高密度ポリエチレン樹脂(A)の分子量分布Mw/Mnは、好ましくは2〜6であり、より好ましくは2.5〜5.5であり、さらに好ましくは3〜5である。高密度ポリエチレン樹脂(A)の分子量分布Mw/Mnが2〜6であることにより、ドローダウン性及びFE抑制性がより向上し、フィルム成形時における発煙や、フィルム成形後の低分子量成分のブリードアウトがより抑制される傾向にある。高密度ポリエチレン樹脂(A)の分子量分布Mw/Mnはその製造条件により制御することができる。また、高密度ポリエチレン樹脂(A)の分子量分布Mw/Mnは、実施例に記載の方法により測定することができる。
[高密度ポリエチレン樹脂(A)の製造方法]
次に、本実施形態で使用される高密度ポリエチレン樹脂(A)の製造方法について述べる。
(重合触媒)
本実施形態の高密度ポリエチレン樹脂(A)の製造に使用される触媒は特に限定されず、メタロセン触媒、チーグラー・ナッタ触媒、フィリップス触媒等を使用することが可能である。なかでも、ブリードアウトしやすい低分子量成分を少なくすることのできるメタロセン触媒が好適に使用される。
ここではメタロセン触媒について説明する。
高密度ポリエチレン単独重合体又は共重合体は、例えば少なくとも(ア)担体物質(以下、「成分(ア)」ともいう。)、(イ)有機アルミニウム化合物(以下、「成分(イ)」ともいう。)、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物(以下、「成分(ウ)」ともいう。)、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤(以下、「成分(エ)」ともいう。)、から調製された担持型メタロセン触媒を用いて、エチレンを単独重合して、又はエチレンと炭素数3〜20のαーオレフィンとを共重合して得ることができる。
(ア)担体物質としては、有機担体、無機担体のいずれであってもよい。有機担体としては、特に限定されないが、具体的には、炭素数2〜10のα−オレフィンの(共)重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ジビニルベンゼン共重合体;芳香族不飽和炭化水素重合体、例えば、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体;及び極性基含有重合体、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート等が挙げられる。
無機担体としては、特に限定されないが、具体的には、無機酸化物、例えば、SiO、Al、MgO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、SiO−MgO、SiO−Al、SiO−V等;無機ハロゲン化合物、例えば、MgCl、AlCl、MnCl等;無機の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、例えば、NaCO、KCO、CaCO、MgCO、Al(SO、BaSO、KNO、Mg(NO等;水酸化物、例えば、Mg(OH)、Al(OH)、Ca(OH)等が例示される。このなかでも、得られるポリエチレン樹脂の塩素含有量が少なくなる観点からSiOがより好ましい。
担体の粒子径は任意であるが一般的には1〜400μm、好ましくは2〜300μm、より好ましくは3〜200μmの範囲である。平均粒径が1μm以上であることにより、得られる重合体粒子の飛散や付着がより抑制される傾向にある。また、平均粒径が400μm以下であることにより、重合体粒子が大きくなりすぎて生じる重合系内での沈降や、重合体粒子の後処理工程でのラインの閉塞等の問題の発生をより抑制できる傾向にある。
担体の粒子内細孔容積は、好ましくは1.3mL/g以上3.0mL/g以下であり、より好ましくは1.4mL/g以上2.8mL/g以下であり、さらに好ましくは1.5mL/g以上2.6mL/g以下である。粒子内細孔容積が1.3mL/g以上であることにより、触媒活性成分が十分に担持できるため高活性となる傾向にある。また担体としての強度が低いため重合時に担体が破砕し易く、担体からなる微小なFEを低減することもできる。また粒子内細孔容積が3.0mL/g以下であることにより、触媒調整時の物理的衝撃で触媒粒子が破砕し難く、微小の重合体粒子の生成を抑制することができる傾向にある。
上記(ア)担体物質は必要に応じて(イ)有機アルミニウム化合物で処理される。好ましい(イ)有機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、及びトリデシルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムハイドライド、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムメトキシド、及びジメチルアルミニウムフェノキシド等のアルミニウムアルコキシド;メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、及びメチルイソブチルアルモキサン等のアルモキサン等が挙げられる。これらのうちでトリアルキルアルミニウム、及びアルミニウムアルコキシド等が好ましい。より好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
本実施形態の担持型幾何拘束型メタロセン触媒は、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物(以下、単に「遷移金属化合物」と称することがある。)を含むことができる。本実施形態の遷移金属化合物は、特に限定されないが、具体的には、以下の式(1)で表される化合物が挙げられる。
MXX’‥‥(1)
式(1)中において、Mは、1つ以上の配位子Lとη5結合をしている、酸化数+2、+3、又は+4の周期律表第4族遷移金属である。
また、式(1)中において、Lは、環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立に、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、又はオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8個の置換基を任意に有していてもよい。Lを分子内に2以上有する場合には、2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、シラジイル、ハロシラジイル、アミノシラン等の2価の置換基により結合されていてもよい。
式(1)中において、Xは、各々独立に、60個までの非水素性原子を有する1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、又はM及びLに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である。
式(1)中において、X’は各々独立に、炭素数4〜40からなる、フォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。
また、式(1)中において、lは1又は2の整数である。pは0、1、又は2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子又はM及びLに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるとき、pはMの形式酸化数よりl以上少ない整数であり、またXがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるとき、pはMの形式酸化数よりl+1以上少ない整数である。また、qは0、1、又は2である。遷移金属化合物としては、上記式(1)でl=1の場合が好ましい。
例えば、遷移金属化合物の好適な例は、以下の式(2)で表される。
式(2)式中において、Mは形式酸化数+2、+3、又は+4の、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムである。また、式(2)中において、Rは各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができ、また近接するR同士が相俟ってヒドロカルバジイル、シラジイル、又はゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
式(2)中において、X”は各々独立にハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、又はシリル基であり、各々20個までの非水素原子を有しており、また2つのX”が炭素数5〜30の中性の共役ジエン若しくは2価の誘導体を形成してもよい。Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−であり、ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR 、又はGeR であり、ここでRは各々独立に炭素数1〜12のアルキル基、又はアリール基である。また、nは1〜3の整数である。
さらに、遷移金属化合物としてより好適な例は、以下の式(3)及び(4)で表される。
式中、式(3)及び(4)中において、Rは各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。また、Mは、チタニウム、ジルコニウム、又はハフニウムである。Z、Y、X及びX’は前出の定義と同じである。
式(3)及び(4)中において、pは0、1、又は2であり、またqは0、又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり且つXはハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカビルアミド基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基、又はこれらの複合基あり、20個までの非水素原子を有している。
また、式(3)及び(4)中において、pが1でqが0のとき、Mの酸化数が+3であり、且つXがアリル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基、若しくは2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配位子であるか;Mの酸化数が+4であり且つXが2価の共役ジエンの誘導体であるか;又はMとXが共にメタロシクロペンテン基を形成していてもよい。
また、式(3)及び(4)中において、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX’は中性の共役あるいは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素基で置換されていてもよく、また該X’は40個までの炭素原子を含み得ることができ、Mとπ型錯体を形成していてもよい。
さらに、本実施形態において、遷移金属化合物として最も好適な例は、以下の式(5)及び(6)で表される。
式(5)及び(6)中において、Rは各々独立に、水素、又は炭素数1〜6のアルキル基である。また、Mはチタニウムであり、Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−である。ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR 、又はGeR であり、Rは各々独立に水素、或いは、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、又はこれらの複合基であり、該R*は20個までの非水素原子を有することができ、また必要に応じてZ中の2つのR同士、又はZ中のRとY中のRとが相俟って環状となっていてもよい。
式(5)及び(6)中において、pは0、1、又は2であり、qは0、又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXは各々独立にメチル基、又はベンジル基である。また、pが1、qが0のとき、Mの酸化数が+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)アミノベンジルであるか、又はMの酸化数が+4であり且つXが2−ブテン−1,4−ジイルである。また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり且つX’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、又は1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
また、本実施形態のメタロセン系触媒は、(エ)遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤(以下、単に「活性化剤」と称することがある。)を含む。通常、メタロセン系触媒に於いては、遷移金属化合物と上記活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。本実施形態において、活性化剤としては、特に限定されないが、具体的には、以下の式(7)で定義される化合物が挙げられる。
[L−H]d+[Md− ‥‥(7)
式中[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
また、式中[Md−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族〜第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。また、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは1〜7の整数であり、p−m=dである。
本実施形態で、活性化剤のより好ましい例は以下の式(8)で定義される化合物である。
[L−H]d+[M(G(T−H)d− ‥‥(8)
式中[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、式中[M(G(T−H)d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族〜第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。また、GはM及びTと結合するr+1の価数を持つ多価炭化水素基であり、TはO、S、NR、又はPRであり、ここでRはヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、若しくは水素である。また、mは1〜7の整数であり、nは0〜7の整数であり、qは0又は1の整数であり、rは1〜3の整数であり、zは1〜8の整数であり、dは1〜7の整数であり、n+z−m=dである。
活性化剤のさらに好ましい例は、以下の式(9)で表される。
[L−H][BQ ‥‥(9)
式中[L−H]はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、式中[BQは相溶性の非配位性アニオンであり、Bは硼素元素を表し、Qはペンタフルオロフェニル基であり、Qは置換基としてOH基を1つ有する炭素数6〜20の置換アリール基である。
本実施形態の相溶性の非配位性アニオンとしては、特に限定されないが、具体的には、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオリメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−(4´−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレート等が挙げられ、好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートが挙げられる。
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンとしては、特に限定されないが、具体的には、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHR基で置き換えられたボレートが挙げられる。ここで、Rは好ましくは、メチル基、エチル基、又はtert−ブチル基である。
また、プロトン付与性のブレンステッド酸としては、特に限定されないが、具体的には、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n−オクチル)アンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチルアンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイコシルメチルアンモニウム、及びビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム等のようなトリアルキル基置換型アンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、及びN,N−ジメチルベンジルアニリニウム等のようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ−(i−プロピル)アンモニウム、及びジシクロヘキシルアンモニウム等のようなジアルキルアンモニウムカチオン;トリフェニルフォスフォニウム、トリ(メチルフェニル)フォスフォニウム、及びトリ(ジメチルフェニル)フォスフォニウム等のようなトリアリールフォスフォニウムカチオン;ジメチルスルフォニウム、ジエチルフルフォニウム、及びジフェニルスルフォニウム等;トリフェニルカルボニウムイオン、ジフェニルカルボニウムイオン、シクロヘプタトリニウム、及びインデニウム等が好適である。
また、本実施形態において、活性化剤として次の式(10)で表されるユニットを有す
る有機金属オキシ化合物も用いることができる。
式(10)中において、Mは周期律表第13族〜第15族の金属、又はメタロイドであり、Rは各々独立に炭素数1〜12の炭化水素基又は置換炭化水素基であり、nは金属Mの価数であり、mは2以上の整数である。
本実施形態の活性化剤の好ましい例は、例えば次式(11)で示されるユニットを含む有機アルミニウムオキシ化合物である。
式(11)中において、Rは炭素数1〜8のアルキル基であり、mは2〜60の整数である。
本実施形態の活性化剤のより好ましい例は、例えば次式(12)で示されるユニットを含むメチルアルモキサンである。
式(12)中において、mは2〜60の整数である。
また、本実施形態では、上記(ア)〜(エ)触媒成分の他に、必要に応じて有機アルミニウム化合物を触媒成分として用いることもできる。本実施形態の有機アルミニウム化合物とは、特に限定されないが、具体的には、次式(13)で表される化合物が挙げられる。
3−n ‥‥(13)
式(13)中において、Rは炭素数1〜12の、直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、Xはハロゲン、水素、又はアルコキシル基であり、nは1〜3の整数である。本実施形態の有機アルミニウム化合物は、上記式(13)で表される化合物の混合物であっても構わない。
本実施形態で用いる触媒は、成分(ア)に、成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)を担持させることにより得ることができる。成分(イ)〜成分(エ)を担持させる方法は特に限定されないが、一般的には成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)をそれぞれが溶解可能な不活性溶媒中に溶解させ、成分(ア)と混合した後、溶媒を留去する方法;成分(イ)、成分(ウ)及び成分(エ)を不活性溶媒に溶解後、固体が析出しない範囲内でこれを濃縮して、次に濃縮液の全量を粒子内に保持できる量の成分(ア)を加える方法;成分(ア)に成分(イ)、及び成分(エ)をまず担持させ、ついで成分(ウ)を担持させる方法;成分(ア)に成分(イ)及び成分(エ)、及び成分(ウ)を逐次に担持させる方法等が例示される。本実施形態の成分(ウ)、及び成分(エ)は一般的には液体又は固体である。本実施形態では成分(イ)、成分(ウ)、成分(エ)は、担持の際、不活性溶媒に希釈して使用する場合がある。
この目的に使用する不活性溶媒としては、特に限定されないが、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロルメタン等のハロゲン化炭化水素;或いはこれらの混合物等を挙げることができる。かかる不活性溶媒は、乾燥剤、吸着剤等を用いて、水、酸素、硫黄分等の不純物を除去して用いることが好ましい。
成分(ア)1gに対し、成分(イ)はAl原子換算で1×10−5〜1×10−1モルが好ましく、より好ましくは1×10−4〜5×10−2モル、成分(ウ)は1×10−7〜1×10−3モルが好ましく、より好ましくは5×10−7〜5×10−4モル、成分(エ)は1×10−7〜1×10−3モルが好ましく、より好ましくは5×10−7〜5×10−4モルの範囲である。各成分の使用量及び担持方法は、活性、経済性、パウダー特性、及び反応器内のスケール等により決定される。得られた担持型幾何拘束型メタロセン触媒は、担体に担持されていない有機アルミニウム化合物、ボレート化合物、チタン化合物を除去することを目的に、不活性溶媒を用いでデカンテーション或いは濾過等の方法により洗浄することもできる。本実施形態の容器で使用される高密度ポリエチレンを製造する場合には、クリーン性を向上させるために、デカンテーション或いは濾過を3回以上実施することが好ましい。
上記一連の溶解、接触、洗浄等の操作は、その単位操作毎に選択される−30℃以上150℃以下範囲の温度で行うことが推奨される。そのような温度のより好ましい範囲は、0℃以上100℃以下である。担持型幾何拘束型メタロセン触媒を得る一連の操作は、乾燥した不活性雰囲気下で行うことが好ましい。本実施形態で用いる担持型幾何拘束型メタロセン触媒は、不活性溶媒中に分散したスラリー状態で保存することも、或いは乾燥して固体状態で保存することもできる。
また、本実施形態で用いる担持型メタロセン触媒はそれのみでエチレンの単独重合、又はエチレンとαーオレフィンの共重合が可能であるが、溶媒や反応系の被毒の防止のため、付加成分として有機アルミニウム化合物を共存させて使用することも可能である。好ましい有機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、及びトリデシルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロリド、ジエチルアルミニウムハイドライド、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド;ジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニュウトリメチルシロキシド、ジメチルアルミニウムフェノキシド等のアルミニウムアルコキシド;メチルアルモキサン、エチルアルミキサン、イソブチルアルミキサン、及びメチルイソブチルアルモキサン等のアルモキサンが挙げられる。これらの中でも、トリアルキルアルミニウム、アルミニウムアルコキシドが好ましい。より好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
(重合方法)
次に、本実施形態で使用される高密度ポリエチレン樹脂(A)、具体的にはポリエチレン単独重合体、又はエチレンとα−オレフィン(コモノマー)共重合体の製造方法について述べる。
本実施形態で用いることができるコモノマーは、特に限定されないが、具体的には、次の式で表されるαーオレフィンが挙げられる。
C=CHR
(式中、R2は炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、アルキル基は直鎖状、分岐状、又は環状である。)
このようなコモノマーとしては、特に限定されないが、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン、スチレン、及びこれらの誘導体よりなる群から選ばれる化合物;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及び2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンよりなる群から選ばれる炭素数3〜20の環状オレフィン;1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、及びシクロヘキサジエンよりなる群から選ばれる炭素数4〜20の直鎖状、分岐状、又は環状ジエンが挙げられる。本実施形態に於いては、特に、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセン等が好適である。
本実施形態のエチレン重合体の製造方法における重合法は、懸濁重合法或いは気相重合法により、エチレン、又はエチレンを含む単量体を(共)重合させる方法が挙げられる。このなかでも、重合熱を効率的に除熱できる懸濁重合法が好ましい。懸濁重合法においては、媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上記不活性炭化水素媒体としては、特に限定されないが、具体的には、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素又はこれらの混合物等を挙げることができる。
本実施形態のエチレン重合体の製造方法における重合温度は、通常、30℃以上100℃以下が好ましく、35℃以上90℃以下がより好ましく、40℃以上80℃以下がさらに好ましい。重合温度が30℃以上であることにより、工業的により効率的な製造が可能である。一方、重合温度が100℃以下であることにより、連続的により安定な運転が可能である。
本実施形態のエチレン重合体の製造方法における重合圧力は、通常、常圧以上2MPa以下が好ましく、より好ましくは0.1MPa以上1.5MPa以下であり、さらに好ましくは0.1MPa以上1.0MPa以下である。
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法において行なうことができるが、連続式で重合することが好ましい。エチレンガス、溶媒、触媒等を連続的に重合系内に供給し、生成したエチレン重合体と共に連続的に排出することで、急激なエチレンの反応による部分的な高温状態を抑制することが可能となり、重合系内がより安定化する。系内が均一な状態でエチレンが反応すると、ポリマー鎖中に分岐や二重結合等が生成されることが抑制される、又はエチレン重合体の分解や架橋によって低分子量成分や、超高分子量体が生成されることが抑制され、低分子量成分とFEの生成を抑制することができる。よって、重合系内がより均一となる連続式が好ましい。重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行なうことも可能である。
エチレン重合体の分子量の調整は、西独国特許出願公開第3127133号明細書に記載されているように、重合系に水素を存在させるか、又は重合温度を変化させること等によって調節することができる。重合系内に連鎖移動剤として水素を添加することにより、分子量を適切な範囲で制御することが可能である。
さらに、水素は予め触媒と接触させた後、触媒導入ラインから重合系内に添加することが好ましい。触媒を重合系内に導入した直後は、導入ライン出口付近の触媒濃度が高く、エチレンが急激に反応することによって部分的な高温状態になる可能性が高まるが、水素と触媒を重合系内に導入する前に接触させることで、触媒の初期活性を抑制することが可能となり、急重合により生成する低分子量成分や触媒失活により生成する担体シリカの塊等を抑制することが可能となる。よって、水素を触媒と接触させた状態で重合系内に導入することが好ましい。
同様の理由から、重合系内の触媒導入ラインの出口は、エチレン導入ラインの出口から可能な範囲で離れた位置にすることが好ましい。具体的には、エチレンは重合液の底部から導入し、触媒は重合液の液面と底部の中間から導入する等の方法が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体の製造方法における溶媒分離方法は、デカンテーション法、遠心分離法、フィルター濾過法等によって行えるが、エチレン重合体と溶媒との分離効率が良い遠心分離法がより好ましい。溶媒分離後にエチレン重合体に含まれる溶媒の量は、特に限定されないが、エチレン重合体の重量に対して70質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。エチレン重合体に含まれる溶媒が少量の状態で溶媒を乾燥除去することにより、溶媒中に含まれる金属成分や低分子量成分等がエチレン重合体に残存しにくい傾向にある。これらの成分が残存しないことにより、低分子量成分の残留とFEの生成を抑制することができる。よって、遠心分離法でエチレン重合体と溶媒を分離することが好ましい。
本実施形態のエチレン重合体を合成するために使用した触媒の失活方法は、特に限定されないが、エチレン重合体と溶媒を分離した後に実施することが好ましい。溶媒と分離した後に触媒を失活させるための薬剤を導入することで、溶媒中に含まれる低分子量成分や触媒成分等の析出を低減することができる。
触媒系を失活させる薬剤としては、特に限定されないが、例えば、酸素、水、アルコール類、グリコール類、フェノール類、一酸化炭素、二酸化炭素、エーテル類、カルボニル化合物、アルキン類等が挙げられる。
本実施形態の高密度ポリエチレン樹脂(A)の製造方法における乾燥温度は、通常50℃以上150℃以下が好ましく、50℃以上140℃以下がより好ましく、50℃以上130℃以下がさらに好ましい。乾燥温度が50℃以上であることにより、より効率的に乾燥できる傾向にある。一方、乾燥温度が150℃以下であることにより、エチレン重合体の分解や架橋を抑制した状態で乾燥することが可能で、FEをより低減することができる傾向にある。なお、本実施形態では、上記のような各成分以外にもエチレン重合体の製造に有用な他の公知の成分を含むことができる。
[高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)]
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の密度(JIS K7112)は、好ましくは910〜930kg/mであり、より好ましくは912〜927kg/mであり、さらに好ましくは915〜925kg/mある。高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の密度が910kg/m 以上であることにより、フィルム成形後の低分子量成分のブリードアウトがより抑制できる傾向にある。また、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の密度が930kg/m以下であることにより、成形加工性、フィルムの透明性がより向上する傾向にある。高圧法低密度ポリエチレン(B)の密度は、重合反応ピーク温度を上げると下がる傾向にあり、重合圧力を上げると上がる傾向にある。また、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の190℃、2.16kgのメルトフローレート(JIS K7210)は、好ましくは1〜20g/10分であり、より好ましくは1.5〜15g/10分であり、さらに好ましくは2〜10g/10分である。高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)のMFRが1g/10分以上であることにより、Tダイ成形時におけるドローダウンやFEがより抑制できる傾向にある。また、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)のMFRが20g/10分以下であることにより、Tダイ成形時におけるネックインがより抑制できる傾向にある。高圧法低密度ポリエチレン(B)のMFRは、重合反応ピーク温度を上げると上がる傾向にあり、重合圧力を上げると下がる傾向にある。なお、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)のメルトフローレートは、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の分子量分布Mw/Mnは、好ましくは2〜30であり、より好ましくは3〜25であり、さらに好ましくは5〜20である。高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の分子量分布Mw/Mnが2〜30であることにより、ドローダウン性及びFE抑制性がより向上し、フィルム成形時における発煙や、フィルム成形後の低分子量成分のブリードアウトがより防止抑制できる傾向にある。高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の分子量分布Mw/Mnはその製造条件により制御することができる。また、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の分子量分布Mw/Mnは、実施例に記載の方法により測定することができる。
[高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の製造方法]
本実施形態の高圧法低密度ポリエチレン(B)は、オートクレーブタイプ、あるいはチューブラータイプのリアクターでエチレンをラジカル重合して得ることができる。どちらのタイプであっても構わないが、オートクレーブタイプのリアクターを採用する場合には、重合条件は過酸化物存在下で、200〜300℃の温度、100〜250MPaの重合圧力に設定すればよく、一方、チューブラータイプのリアクターを採用する場合には、重合条件は過酸化物及び連鎖移動剤の存在下で180〜400℃の重合反応ピーク温度、100〜400MPaの重合圧力に設定すればよく、200〜350℃の重合反応ピーク温度、150〜350MPaの重合圧力にすることが好ましい。
過酸化物としては、特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、パーオキシケタール類(具体的には1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等)、ハイドロパーオキサイド類(具体的には、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等)、ジアルキルパーオキサイド類(具体的には、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3等)、ジアシルパーオキサイド(具体的には、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、パーオキシジカーボネート類(具体的には、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等)、パーオキシエステル類(具体的には、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,6−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等)、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート等が挙げられる。また、高圧法低密度ポリエチレン(B)は、高圧法低密度ポリエチレン(B)同士を2種類以上、任意の比率でドライブレンド、あるいはメルトブレンドしたものであってもよい。
[ポリエチレン樹脂組成物]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物は、高密度ポリエチレン樹脂(A)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)とをドライブレンドしたものであっても、メルトブレンドしたものであってもよいが、好ましくはメルトブレンドである。メルトブレンドによりポリエチレン樹脂組成物を調製する場合は、高密度ポリエチレン樹脂(A)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)とを、押出機の比エネルギーが0.05〜0.25kW・Hr/kgの範囲で溶融混練することにより、ポリエチレン樹脂組成物を得ることができる。ここでいう比エネルギーとは、溶融混練物の単位重量当りに要した混練エネルギーを示すものであり、押出機の消費電力から算出することができる。例えば、押出機ホッパーにポリエチレン樹脂組成物を入れて押出機の定常運転を行い、1時間当りの消費電力(kW)及び押出量(kg/Hr)を測定する。これらの値から、押出機の比エネルギー(kW・Hr/kg)が求められる。
この比エネルギーは、押出機のスクリュー構成、スクリュー回転数、原料樹脂の供給速度、シリンダー設定温度、さらには、原料樹脂の分子量、配合組成比、混練組成物の溶融粘度等の因子に影響される。例えば、スクリュー回転数の増加、スクリーンパックのメッシュの増加、原料樹脂の供給量の低下などによって、比エネルギーの量は増加させることができる。また、スクリューの形状によっても変化し、更にスクリューの溝の深さが浅いものを使用すると比エネルギーは増加する。溶融混練時においては、溶融粘度が高いと混練に要する比エネルギーは大きくなり、溶融粘度が低いと混練に要する比エネルギーは小さくなる。従って、混練組成物の物性や混練温度を調整することにより、比エネルギーを上記範囲内に設定することは理論的には可能である。
押出機については、1軸あるいは2軸の押出機等を例示することができるが、局所的なせん断発熱によって発生する熱架橋を抑制する観点から、1軸押出機を用いるのが好ましい。押出機の比エネルギーは、好ましくは0.05〜0.25kW・Hr/kgであり、より好ましくは0.10〜0.22kW・Hr/kgであり、さらに好ましくは0.15〜0.20kW・Hr/kgである。押出機の比エネルギーを0.05kW・Hr/kg以上にすることにより、熱架橋によるFEの発生や溶融混練不足によるFEの生成等の外観不良の発生をより抑制することができる傾向にある。一方、比エネルギーを0.25kW・Hr/kg以下にすることにより、溶融混練時に滞留劣化物等が混入することによるFEの増加をより抑制することができる傾向にある。
[フィルム]
本実施形態のフィルムは、上記表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物を含む。本実施形態の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物を含むフィルムの成形方法としては、特に限定されず、公知のフィルム成形方法を採用することができる。たとえば、インフレーション法(空冷法、水冷法)、Tダイ法等何れのフィルム成形方法が使用でき、場合により一軸延伸、二軸延伸処理等の延伸処理を加えることもできる。フィルム成形における成形温度、引取り速度は特に限定されないが、一般には成形温度140〜270℃、引取り速度5〜100m/min程度が好適である。フィルム厚みは特に限定されるものではないが、好ましくは3〜150μmである。また、ポリエチレン樹脂からなるフィルムは単層もしくは積層体であってもよい。
また、FEレベルが極めて良好な本実施形態の表面保護フィルムは、ポリエチレン樹脂組成物を熱溶融後に10μm以下の細かな開口のポリマーフィルタを使用して異物、ゲルなどを濾過することにより、より効率よく製造することも可能である。
[5μm以上40μm未満のFE]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物からなるフィルム中の5μm以上40μm未満のFEの個数は、好ましくは20個/cm以下であり、より好ましくは15個/cm以下であり、さらに好ましくは10個/cm以下である。フィルム中の5μm以上40μm未満のFEの個数の下限は、特に限定されず、少ないほど好ましい。フィルム中の5μm以上40μm未満のFEの個数が20個/cm以下であることにより、被保護材に転写される微小打痕(凹み)の発生を抑制することができる傾向にある。
ここでいう5μm以上40μm未満のFEとは、フィルム透過光から観察される光学的不均一領域を意味するものであり、具体的には、フィルム内に存在する小球状の異物や欠陥構造であって、最大長が5μm以上40μm未満のものを意味する。5μm以上40μm未満の微小FEが発生する原因は様々ではあり、シリカや塩化マグネシウム等の触媒担体、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、有機アルミニウム等の触媒成分、或いはその変性物からなる塊、中和剤、核剤、酸化防止剤等の添加剤の塊があること等によって発生する。更に、ベースの樹脂との溶融混合が不十分なために発生するものや、ゲル成分、酸化劣化樹脂、異樹脂、包材の破片(紙、糸、繊維等)、塵埃等が原料樹脂製造工程、袋詰め・輸送工程、フィルム成形工程の何れかで混入すること等によっても発生する。
[40μm以上0.1mm未満のFE]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物からなるフィルム中の40μm以上0.1mm未満のFEの個数は、好ましくは2個/cm以下であり、より好ましくは1.5個/cm2以下であり、さらに好ましくは1個/cm以下である。フィルム中の40μm以上0.1mm未満のFEの個数の下限は、特に限定されず、少ないほど好ましい。フィルム中の40μm以上0.1mm未満のFEが2個/cm以下であることにより、フィルムがより平滑になり、貼合の際に被保護材の表面に傷つきや凹みが形成されるのを抑制することができる傾向にある。さらに、粘着層の粘着性低下を抑制することができる傾向にある。
ここでいう40μm以上0.1mm未満のFEとは、フィルム透過光から観察される光学的不均一領域を意味するものであり、具体的には、フィルム内に存在する小球状の異物や欠陥構造であり、最大長が40μm以上1mm未満のものを意味する。40μm以上0.1mm未満のFEが発生する原因は様々ではあり、シリカや塩化マグネシウム等の触媒担体、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、有機アルミニウム等の触媒成分、或いはその変性物からなる塊、中和剤、核剤、酸化防止剤等の添加剤の塊があること等によって発生する。更に、ベースの樹脂との溶融混合が不十分なために発生するものや、ゲル成分、酸化劣化樹脂、異樹脂、包材の破片(紙、糸、繊維等)、塵埃等が原料樹脂製造工程、袋詰め・輸送工程、フィルム成形工程の何れかで混入すること等によっても発生する。
[添加剤]
本実施形態のポリエチレン樹脂組成物には、必要に応じて、スリップ剤、中和剤、酸化防止剤、耐光安定剤、帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
スリップ剤又は中和剤としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、アルコールの脂肪酸エステル、ワックス、高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン等が挙げられる。スリップ剤又は中和剤の含有量は、特に限定されないが、2000ppm以下であり、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下である。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒサロキシハイドロシンナメート))メタン等のフェノール系酸化防止剤、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−t−ブチルフェニルフォスファイト)等のリン系酸化防止剤、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等のフェノールリン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、2000ppm以下であり、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下である。
耐光安定剤としては、特に限定されないが、具体的には、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系耐光安定剤;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系耐光安定剤が挙げられる。耐光安定剤の含有量は、特に限定されないが、2000ppm以下であり、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下である。
帯電防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アルミノケイ酸塩、カオリン、クレー、天然シリカ、合成シリカ、シリケート類、タルク、珪藻土等や、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
ポリエチレン樹脂組成物からなるフィルムに含まれる有機系添加剤の含有量は、テトラヒドロフラン(THF)を用いてソックスレー抽出により6時間抽出し、抽出液を液体クロマトグラフィーにより分離、定量することにより求めることができる。また、無機系添加剤の含有量は、電気炉でポリエチレン樹脂を燃焼させ、その灰分重量より定量することができる。
[用途]
上記により得られるポリエチレン樹脂組成物からなるフィルムは、ブリードアウト成分が少なく、通常FEと微小FEが極めて少ない高度なクリーン性を有することから、高解像度が要求される表示機器部材の表面保護フィルムや微細加工性が要求されるフォトレジストフィルムの支持体等として用いることができる。特に偏光板や位相差板などの液晶部材の表面保護用として好適に用いることができる。更には、金属板用、樹脂板用、木製化粧板用、銘板用、建築資材用、自動車部品用などにも好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
[評価方法]
物性測定方法、評価方法は以下の通りである。
(1)密度測定
高密度ポリエチレン樹脂(A)、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)、及び表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物の密度は、JIS K7112:1999、密度勾配管法(23℃)により測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)測定
高密度ポリエチレン樹脂(A)、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)、及び表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物のMFRは、JIS K7210 コードD:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)により測定した。
(3)分子量分布測定
GPCから、高密度ポリエチレン樹脂(A)、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)、及び表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを測定し、その比(Mw/Mn)を分子量分布とした。GPC測定は、ウォーターズ社製GPCV2000を用い、カラムは昭和電工(株)製UT−807(1本)と東ソー(株)製GMHHR−H(S)HT(2本)を直列に接続して使用し、移動相トリクロロベンゼン(TCB)、カラム温度140℃、流量1.0mL/分、試料濃度20mg/15mL(TCB)、試料溶解温度140℃、試料溶解時間2時間の条件で行った。分子量の校正は、東ソー(株)製標準ポリスチレンのMwが1050〜206万の範囲の12点で行い、それぞれの標準ポリスチレンのMwに係数0.43を乗じてポリエチレン換算分子量とし、溶出時間とポリエチレン換算分子量のプロットから一次校正直線を作成し、分子量を決定した。
(4)ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分量の測定方法
直径約3.0mm×長さ約3.0mmの、表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物の円柱状ペレット10gと、和光純薬社製PCB試験用ヘキサン40mLと、を180mL容積のSUS製容器中に入れて密閉した。このSUS製容器全体を70℃の湯浴に浸し、50min−1速度で振とうしながら2時間抽出した後、20℃の水に浸し急冷した。上澄み液を、0.2μmフィルター(PTFE製)を取り付けたガラスシリンジで濾過し、サンプルとした。なお、炭素数12と14の標準物質は、和光純薬工業社製特級n−ドデカンとn−テトラデカンとし、炭素数16から炭素数34の標準物質は、シグマアルドリッチ社製ASTM D5442 C16−C44 Qualitative Retention Time Mixとした。それぞれの標準物質を和光純薬社製PCB試験用ヘキサンに溶解して用いた。
島津製作所社製ガスクロマトグラフGC−2014AF、及び信和化工製SiliconeOV−1(3%)/CW80−100mesh/AW−DMCS処理を充填した、ガラス製3mmφx1.5mのカラムを用いて、上記サンプルを測定した。インジェクション温度は300℃とし、検出温度は290℃とし、初期温度100℃で2分間保持した後、10℃/minで昇温、280℃で10分間保持する条件で測定した。上記標準物質のピークエリアとの比から炭素数12以上34以下の炭化水素成分量を算出した。
(5)Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量の測定方法
ペレット約0.2gをテフロン(登録商標)製分解容器に秤取り、高純度硝酸を加えてマイルストーンゼネラル社製マイクロウェーブ分解装置ETHOS−TCにて加圧分解後、日本ミリポア社製超純水製造装置で精製した純水で全量を50mLとしたものを検液として使用した。上記検液に対し、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)Xシリーズ2を使用して、内標準法でAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの定量を行った。
(6)ポリエチレン樹脂組成物中の塩素含有量
ポリエチレン樹脂組成物約0.05gを石英製ボートに入れて、三菱アナリティカル社製自動燃焼装置中AQF−100で燃焼させた。発生した燃焼ガスをあらかじめ酒石酸を添加した吸収液に吸収させて、ダイオネクス社製イオンクロマトグラフ分析装置ICS−1500で酒石酸を内標準物質として内標準法で塩素含有量の定量を行った。
(7)5μm以上40μm未満のフィッシュアイ(FE)測定
下記実施例に記載の方法にて成形した、幅30cm、厚さ35μmのポリエチレン樹脂組成物から形成されたフィルムサンプルから、フィルムの中央部の25cmを切り出し、フィルム厚みをJIS K7130に準じて測定した。オリンパス株式会社製システム生物顕微鏡(BX51)を用い、10×対物レンズを用いて5.79mmの範囲に亘りフィルムサンプルの観察を行い、最大長が5μm以上40μm未満の異物の個数をFEとして測定した。測定結果を基に、以下の式を用いて35μmのフィルム1cm当たりのFE数を算出した。
N=n×(10/5.79)×(35/δ)
ここでNは厚さ35μmのフィルム1cm当たりのFE数、nはFE観察により観察されたFEの個数、δは観察に用いたフィルムサンプルの厚み(μm)である。
(8)40μm以上0.1mm以下のフィッシュアイ(FE)測定
上記Tダイを用いて、押出し量5kg/時間で3時間成形した後、押出し量5kg/時間、引き取り速度10m/分で、ポリエチレン樹脂組成物からフィルムを1時間成形し、幅30cm、厚さ35μmのポリエチレン樹脂組成物から形成されたフィルムを得た。
上記フィルムサンプルの厚みをJIS K7130に準じて測定した。上記フィルムフィルムを、Tダイのフィルム引き取り機に取り付けた、株式会社ヒューテック社製フィッシュアイカウンター(検出能力横:0.04mm/bit、検出能力縦:0.015mm/scan、投光距離:200mm、受光距離:440mm、検査幅:50mm)を用いて、検査面積5m 、直径40μm以上100μm未満のFEをカウントした。測定結果を基に、以下の式を用いて35μmのフィルム1cm当たりのFE数を算出した。
N=n×(10−4/5)×(35/δ)
ここでNは厚さ35μmのフィルム1cm当たりのFE数、nはFE観察により観察されたFEの個数、δは観察に用いたフィルムサンプルの厚み(μm)である。
(9)被保護材耐汚染性
60℃に予熱したアクリル樹脂製の基材の上に下記実施例に記載の方法にて成形したフィルムを、線圧=3.6kg/cmのピンチロールで貼付する。その後、60℃のエアーオーブン内で24時間加熱した後、室温まで冷却した。引張速度300mm/分にてフィルムを剥離し、アクリル樹脂製の基材表面を目視で観察して、以下の方法で判定した。
○:汚れ無し
×:汚れ有り
[参考例]触媒合成
[担持型メタロセン触媒[I−a]の調製]
平均粒子径が15μm、表面積が700m/g、粒子内細孔容積が1.8mL/gの球状シリカを、窒素雰囲気下、500℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、SiO1gあたり1.85mmol/gであった。窒素雰囲気下、容量1.8Lのオートクレーブ内で、この脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)を80mL加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー880mLを得た。
一方、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」と記載する。)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1000mLに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した式AlMg(C(n−C)yの1mol/Lヘキサン溶液を20mL加え、さらにヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/Lに調製し、成分[V]を得た。
また、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と記載する。)5.7gをトルエン50mLに添加して溶解し、ボレートの100mmol/Lトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/Lヘキサン溶液5mLを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/Lとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46mLを、上記で得られた成分[IV]のスラリー800mLに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートをシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上記で得られた成分[V]のうち32mLを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン触媒[I]を得た。
その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。
[担持型メタロセン触媒[I−b]の調製]
平均粒子径が3μm、表面積が800m/g、粒子内細孔容積が1.0mL/gの球状シリカを使用した以外は、担持型メタロセン触媒[I−a]の調製と同様の操作により、調整した。
[担持型メタロセン触媒[I−c]の調製]
平均粒子径が20μm、表面積が400m/g、粒子内細孔容積が0.7mL/gの球状シリカを使用した以外は、担持型メタロセン触媒[I−a]の調製と同様の操作により、調整した。
[液体助触媒成分[II]の調製]
200mLのフラスコにヘキサン40mLと有機マグネシウム化合物であるAlMg(C(n−C12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mLを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
[高密度ポリエチレン(A−1)の製造方法]
攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器を用い、重合温度75℃、重合圧力0.8MPa、平均滞留時間1.6時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン40L/時間、触媒として上記の担持型メタロセン触媒[I−a]をTi原子換算で1.4mmol/時間、液体助触媒成分[II]をAl原子換算で20mmol/時間で供給した。分子量調整のための水素はエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.21mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.27mol%になるように供給することで、エチレン及び1−ブテンを重合させた。尚、脱水ノルマルヘキサンは重合器の底部より供給し、水素は予め触媒と接触させるために触媒導入ラインから触媒と共に、重合器の液面と底部の中間から供給し、エチレンは重合器の底部から供給した。重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.08MPa、温度75℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、1−ブテン、水素を分離した。
次に、重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等を分離した。その時のポリマーに対する溶媒等の含有量は45%であった。
分離された高密度ポリエチレンパウダーは、85℃で窒素ブローしながら乾燥した。なお、この乾燥工程で、重合後のパウダーに対し、スチームを噴霧して、触媒及び助触媒の失活を実施した。
得られた高密度ポリエチレンパウダーは、中和剤や酸化防止剤等の添加剤を使用せずに、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35。L:重合反応機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)。以下、同じ。)の二軸押出成形機を利用し、200℃の温度で溶融混錬して造粒した。該高密度ポリエチレン(A−1)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高密度ポリエチレン(A−2)の製造方法]
重合工程において、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.12mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.011mol%になるように供給した以外は、高密度ポリエチレン(A−1)の製造方法と同様の操作により、高密度ポリエチレン(A−2)を得た。得られた高密度ポリエチレン(A−2)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高密度ポリエチレン(A−3)の製造方法]
攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器を用い、重合温度70℃、重合圧力0.6MPa、平均滞留時間1.2時間の条件で連続重合を行った。溶媒として脱水ノルマルヘキサン100L/時間、触媒として上記の担持型メタロセン触媒[I−a]をTi原子換算で1.4mmol/時間、液体助触媒成分[II]をAl原子換算で20mmol/時間で供給した。分子量調整のための水素はエチレンの気相濃度に対して0.35mol%になるように供給することで、エチレンを重合させた。尚、脱水ノルマルヘキサンは重合器の底部より供給し、水素は予め触媒と接触させるために触媒導入ラインから触媒と共に、重合器の液面と底部の中間から供給し、エチレンは重合器の底部から供給した。
重合反応器内の重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように圧力0.08MPa、温度75℃のフラッシュタンクに導き、未反応のエチレン、水素を分離した。続いて、フラッシュタンクの重合体を含むヘキサンスラリーは、内容積250Lの別の重合反応器に導入した。この重合反応器に追加のヘキサンを110L/ 時間供給しながら、分子量調整のための水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.01mol%、1−ブテンをエチレンの気相濃度に対して0.10mol%になるように供給し、80℃、重合圧力0.6MPa、平均滞留時間を0.7時間の条件下にて第2段目の重合を行った。
第2段重合器からの排出物はフラッシュタンクにて未反応の水素、エチレン、1−ブテンを除去した。その後は、高密度ポリエチレン(A−1)の製造方法と同様の操作により、高密度ポリエチレン(A−3)を得た。得られた高密度ポリエチレン(A−3)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高密度ポリエチレン(A−4)の製造方法]
触媒として上記の担持型メタロセン触媒[I−b]を使用した以外は、高密度ポリエチレン(A−2)の製造方法と同様の操作により、高密度ポリエチレン(A−4)を得た。得られた高密度ポリエチレン(A−4)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高密度ポリエチレン(A−5)の製造方法]
重合工程において、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して0.21mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.88mol%になるように供給した以外は、高密度ポリエチレン(A−1)の製造方法と同様の操作により、高密度ポリエチレン(A−5)を得た。得られた高密度ポリエチレン(A−5)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高密度ポリエチレン(A−6)の製造方法]
(1)固体触媒成分[A]の調製
充分に窒素置換された200mLのステンレス製オートクレーブに組成式AlMg(C12(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液40mL(アルミニウムとマグネシウムの総量として37.8mmol相当)を仕込み、25℃で攪拌しながらメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mLを30分かけて滴下した。滴下後、80℃に昇温し、3時間攪拌しながら反応させることにより、チタン化合物と接触させる有機マグネシウム化合物を得た。
充分に窒素置換された8Lのステンレス製オートクレーブにヘキサン2400mLを仕込み、−5℃で攪拌しながら、組成式AlMg(C12(OCで表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1300mL(マグネシウム521mmol相当)と0.5mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液1300mLとを、2時間かけて同時に滴下した。滴下後、さらに10℃で1時間攪拌しながら熟成させた後、上澄み液を除去し、ヘキサン3000mLでの洗浄を4回行うことにより、固体触媒成分[A](チーグラー・ナッタ触媒)を調製した。
(2)重合反応
重合工程において、固体触媒成分[A]を0.4g/時間、水素をエチレンと1−ブテンの気相濃度に対して54.6mol%、1−ブテンはエチレンの気相濃度に対して0.36mol%になるように供給した以外は、高密度ポリエチレン(A−1)の製造方法と同様の操作により、高密度ポリエチレン(A−6)を得た。得られた高密度ポリエチレン(A−6)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高密度ポリエチレン(A−7)の製造方法]
触媒として上記の担持型メタロセン触媒[I−c]を使用した以外は、高密度ポリエチレン(A−2)の製造方法と同様の操作により、高密度ポリエチレン(A−7)を得た。得られた高密度ポリエチレン(A−7)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高密度ポリエチレン(A−8)の製造方法]
重合工程において、液体助触媒成分[II]を使用せず、ボレートの代わりにメチルアルミノキサン(以下、MAOと言う。)10molを使用して調整した担持型メタロセン触媒を使用した以外は、高密度ポリエチレン(A−2)と同様の操作により、高密度ポリエチレン(A−8)を得た。得られた高密度ポリエチレン(A−8)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高密度ポリエチレン(A−9)の製造方法]
重合工程において、ヘキサン供給ライン、水素供給ライン、エチレン供給ライン、及び触媒供給ラインの出口は各々隣接していて、重合器の底部より連続的に供給した。
続いて、得られた重合体スラリーを濾過することによって、高密度ポリエチレンパウダーと溶媒を分離した以外は、高密度ポリエチレン(A−2)と同様の操作により、高密度ポリエチレン(A−9)を得た。尚、濾過後のポリマーに対する溶媒等の含有量は250%であった。得られた高密度ポリエチレン(A−9)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高圧法低密度ポリエチレン(B−1)の製造方法]
オートクレーブリアクターにて、重合平均温度245℃、重合圧力170MPa、開始剤としてt−ブチルパーオキシアセテートを用い、エチレンを重合させて造粒した高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)を得た。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[高圧法低密度ポリエチレン(B−2)の製造方法]
重合工程において、重合圧力125MPa、開始剤としてt−ブチルパーオキシアセテートを用いた以外は、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)の製造方法と同様の操作により、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−2)を得た。得られた高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−2)の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
[実施例1]
<ポリエチレン樹脂組成物の調製>
高密度ポリエチレン樹脂(A−1)及び高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)を、日本製鋼(株)社製1軸押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、高密度ポリエチレン樹脂(A−1)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ70質量%、30質量%となるように200℃で溶融混練を行い、ポリエチレン樹脂組成物を得た。得られたポリエチレン樹脂組成物の密度、MFR、分子量分布の評価結果を表1に示す。
<ポリエチレン樹脂組成物からなるフィルムの調製>
上記により得られた高密度ポリエチレン樹脂(A−1)と、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)からなるポリエチレン樹脂組成物は、山口製作所製Tダイ(スクリュー径30mm、ダイ300mm幅)を用い、シリンダー温度200℃、ダイ温度230℃、押出し量5kg/時間、引き取り速度10m/分で成形し、幅30cm、厚さ35μmのポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[実施例2]
高密度ポリエチレン樹脂(A−1)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ40質量%、60質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[実施例3]
高密度ポリエチレン樹脂(A−2)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ60質量%、40質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[実施例4]
高密度ポリエチレン樹脂(A−2)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ50質量%、50質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[実施例5]
高密度ポリエチレン樹脂(A−2)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−2)がそれぞれ50質量%、50質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[実施例6]
高密度ポリエチレン樹脂(A−2)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−2)がそれぞれ40質量%、60質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[実施例7]
高密度ポリエチレン樹脂(A−3)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−2)がそれぞれ50質量%、50質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[実施例8]
高密度ポリエチレン樹脂(A−4)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ50質量%、50質量%とし、脱揮押出し機を用いて200℃、真空下で溶融混練した以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[比較例1]
高密度ポリエチレン樹脂(A−5)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ40質量%、60質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。高密度ポリエチレン樹脂(A−5)の密度が小さく、低分子量成分量が増加し、クリーン性が低下した。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[比較例2]
高密度ポリエチレン樹脂(A−1)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ80質量%、20質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。高密度ポリエチレン樹脂(A−1)の割合が多く、Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が増加し、クリーン性が低下した。
得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[比較例3]
高密度ポリエチレン樹脂(A−6)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ50質量%、50質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。高密度ポリエチレン樹脂(A−6)の分子量分布が広く、塩素及び金属残分の多い触媒を使用したことで、低分子量成分、及びAl、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が増加し、クリーン性が低下した。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[比較例4]
高密度ポリエチレン樹脂(A−8)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ60質量%、40質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。高密度ポリエチレン樹脂(A−8)の合成にMAOを使用したことで、Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量、及び塩素含有量が増加し、クリーン性が低下した。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
[比較例5]
高密度ポリエチレン樹脂(A−9)と高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B−1)がそれぞれ50質量%、50質量%とした以外は、実施例1と同様の操作により、ポリエチレン樹脂からなるフィルムを得た。急重合の抑制や処理工程での不純物の除去等が不十分で、クリーン性が低下した。得られたポリエチレン樹脂からなるフィルムの5μm以上40μm未満、及び40μm以上0.1mm未満のFE数と被保護材耐汚染性試験結果を表1に示す。
本発明の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物は、保護フィルムとして使用した場合に、被保護材に対して、低分子量成分のブリードアウトによる汚染が極めて少なく、FEによる微小な変形も抑制することができる。そのため、高解像度が求められる表示機器部材の表面保護フィルムや、微細加工が必要なフォトレジスト等に対応できるクリーン性表面保護フィルム等において産業上の利用可能性を有する。

Claims (7)

  1. 高密度ポリエチレン樹脂(A)40〜70質量%と、高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)30〜60質量%と、を含み、
    密度が930kg/m以上であり、
    190℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが1〜20g/10分であり、
    ヘキサンで抽出される炭素数12以上34以下の炭化水素成分の合計含有量が200ppm以下であり、
    Al、Mg、Ti、Zr、及びHfの合計含有量が20ppm以下である、
    表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
  2. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したMw/Mnが、3.5〜16である、請求項1に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
  3. 塩素含有量が5ppm以下である、請求項1又は2に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
  4. 前記高密度ポリエチレン樹脂(A)の密度が940kg/m以上であり、190℃、2.16kgのメルトフローレートが1〜70g/10分であり、分子量分布が2〜6である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
  5. 前記高圧法低密度ポリエチレン樹脂(B)の密度が910〜930kg/m以下であり、190℃、2.16kgのメルトフローレートが1〜20g/10分であり、分子量分布が2〜30である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
  6. 前記高密度ポリエチレン樹脂(A)が、担体物質、有機アルミニウム化合物、環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から少なくとも調製された担持型メタロセン触媒[A]と、液体助触媒成分[B]と、を用いて重合することにより製造されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面保護フィルム用ポリエチレン樹脂組成物を含む、フィルム。
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