JP7483464B2 - エチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、エチレン系重合体の製造方法に関する。
近年、組成分布を制御しやすいシングルサイト触媒またはシングルサイト触媒を担体に担持した触媒を用いて、分子量が相対的に小さいエチレン単独重合体またはエチレン・α-オレフィン共重合体と、分子量が相対的に大きいエチレン単独重合体またはエチレン・α-オレフィン共重合体とを含むエチレン系重合体を連続重合法によって製造する方法がいくつか開示されている(例えば、特許文献1~3参照)。
国際公開第2004/083265号 国際公開第2006/019147号 国際公開第2008/087945号
本発明者らの検討によれば、エチレン系重合体を、例えば、連続多段重合でスラリー重合法により製造した場合、得られるエチレン系重合体から形成される成形体は外観が不良である場合があることが判明した。
本発明は、シングルサイト触媒を用いて連続多段重合でスラリー重合法によりエチレン系重合体を製造する場合に、外観が良好な成形体を容易に形成することができるエチレン系重合体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、製品外観の不良が、連続多段重合におけるそれぞれの段階で重合されるエチレン系重合体の分子量、特に、高分子量成分の重合におけるエチレン系重合体の分子量に関連があることを見出した。そして、特定の連続多段重合において、特定の遷移金属化合物を含むオレフィン重合用触媒を用いることで、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]~[5]に関する。
[1] エチレン系重合体(E)を連続的に製造する方法であり、
式(I)で表される遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下、スラリー重合法により、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~1.5dl/gの範囲にあるエチレン系重合体(e1)を、最終的に得られるエチレン系重合体(E)の20~80質量%製造する工程(1)と、
工程(1)で得られたエチレン系重合体(e1)の存在下、スラリー重合法により、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が3.0~10.0dl/gの範囲にあるエチレン系重合体(e2)を、最終的に得られるエチレン系重合体(E)の20~80質量%製造する工程(2)と、
を含み、
工程(1)で得られた、エチレン系重合体(e1)およびオレフィン重合用触媒を含むスラリーを、工程(2)に連続的に供給する、
エチレン系重合体(E)の製造方法。
MLx ・・・(I)
[式(I)中、
Mは、ハフニウム原子であり、
Lは独立に、ハフニウム原子に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lは、炭素数1~10の炭化水素基である置換基R1と、炭素数2~10の炭化水素基である置換基R2(ここでR1とR2とは異なる)とを有するシクロペンタジエニル基であり、シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素数1~12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子であり、
Xは、ハフニウム原子Mの原子価である。]
[2] 前記エチレン系重合体(E)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0~6.0dl/gである、[1]に記載のエチレン系重合体(E)の製造方法。
[3] 前記エチレン系重合体(E)の、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.01~5.0g/10分である、[1]または[2]に記載のエチレン系重合体(E)の製造方法。
[4] 前記エチレン系重合体(E)の密度が950~975kg/m3である、[1]~[3]のいずれかに記載のエチレン系重合体(E)の製造方法。
[5] 前記エチレン系重合体(e2)の分子量200万における分岐指数(g’)が0.90~1.0である、[1]~[4]のいずれかに記載のエチレン系重合体(E)の製造方法。
本発明によれば、シングルサイト触媒を用いて連続多段重合でスラリー重合法によりエチレン系重合体を製造する場合に、外観が良好な成形体を容易に形成することができるエチレン系重合体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本明細書において、「重合体」という語は単独重合体および共重合体を包含する意味で用いる。従って、例えばエチレン系重合体(E)は、エチレン単独重合体であってもよく、エチレン共重合体であってもよい。同様に「重合」という語は単独重合および共重合を包含する意味で用いる。
以下の説明における各物性の測定方法の詳細は、実施例の欄に記載する。
≪エチレン系重合体(E)の製造方法≫
本発明に係るエチレン系重合体(E)の製造方法(以下「本方法」ともいう。)は、
エチレン系重合体(E)を連続的に製造する方法であり、
後述する式(I)で表される遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下、スラリー重合法により、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~1.5dl/gの範囲にあるエチレン系重合体(e1)を、最終的に得られるエチレン系重合体(E)の20~80質量%製造する工程(1)と、
工程(1)で得られたエチレン系重合体(e1)の存在下、スラリー重合法により、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が3.0~10.0dl/gの範囲にあるエチレン系重合体(e2)を、最終的に得られるエチレン系重合体(E)の20~80質量%製造する工程(2)と、
を含む。
本方法では、工程(1)で得られた、エチレン系重合体(e1)およびオレフィン重合用触媒を含むスラリー、具体的には、工程(1)で得られた、エチレン系重合体(e1)およびオレフィン重合用触媒を含有する、重合体粒子を含むスラリーを、工程(2)に連続的に供給する。このような本方法は、少なくとも1種のポリマー成分の存在下で、さらなるポリマー成分を製造するための重合を連続的に行う、連続多段重合に該当する重合方法である。
本方法によれば、外観が良好な成形体を容易に形成することができるエチレン系重合体(E)を製造することができる。本発明者らは、この理由を以下のように推測している。
オレフィン重合用触媒を用いて、いわゆる連続多段重合/スラリー重合法によりエチレン系重合体を製造する場合、バッチ式と異なり、各重合槽において様々な滞留時間の重合体粒子が存在する。このため、上流側の重合槽において、オレフィン重合用触媒周りで重合体が充分に合成されないうちに下流側の重合槽に移送される触媒成分、すなわち重合履歴が不充分な触媒を含む成分(以下「ショートパス成分」ともいう)が存在する。
例えば、上流側で製造される重合体の分子量を小さくし、下流側で製造される重合体の分子量を大きくするという設計の場合、下流側での重合条件は高分子量化が進行するよう設計されている。ショートパス成分中のオレフィン重合用触媒は、重合履歴が不充分であるため、下流側の重合槽において過大な重合活性を発現しやすく、従って、想定よりも高分子量成分を多く含む大粒径の重合体粒子が製造されると考えられる。このような大粒径の重合体粒子は、成形体中での分散性が低く、成形体の外観不良を引き起こす。
また、オレフィン重合触媒が、長鎖分岐を有するエチレン系重合体を生成する場合、ショートパス成分によって重合される重合体粒子にも長鎖分岐が生成し、該長鎖分岐の複雑な絡み合いによって重合体粒子の分散性が低下し、成形体の外観不良を引き起こすと考えられる。
本方法では、長鎖分岐を有するエチレン系重合体を生成しにくいオレフィン重合触媒を使用することで、下流側でショートパス成分が重合する際の長鎖分岐の生成を抑制し、外観が良好な成形体を容易に得ることができると考えられる。
なお、以上の説明は推測であって、本発明を何ら限定するものではない。
<工程(1)>
工程(1)で得られるエチレン系重合体(e1)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、0.5~1.5dl/gであり、好ましくは0.7~1.3dl/gである。例えば、重合槽への水素分子、エチレン、α-オレフィンの供給量比を変更したり、重合温度を変更したりすることにより、前記[η]を調整することができる。
エチレン系重合体(e1)において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、通常は80.0モル%以上、好ましくは85.0モル%以上、さらに好ましくは90.0モル%以上、特に好ましくは95.0モル%以上、とりわけ好ましくは98.0モル%以上である。工程(1)でのエチレン供給量は、一実施態様では、好ましくは2~20kg/hr、より好ましくは4~15kg/hrである。
エチレン系重合体(e1)は、例えば、炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位を有していてもよい。炭素数3~20、好ましくは炭素数3~10のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンが挙げられる。
エチレン系重合体(e1)において、炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有割合は、通常は20.0モル%以下、好ましくは15.0モル%以下、さらに好ましくは10.0モル%以下、特に好ましくは5.0モル%以下、とりわけ好ましくは2.0モル%以下である。
エチレン系重合体(e1)は、炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位を有する場合、当該構成単位を1種のみ有してもよく、2種以上有してもよい。
工程(1)では、エチレン系重合体(e1)を含むスラリーが得られる。スラリー濃度、すなわちエチレン系重合体(e1)(粒子)の濃度は、通常は10~600g/L、好ましくは50~500g/Lである。スラリー濃度は、例えば、濾過時の温度:室温(25℃)、濾過方法:桐山ろ紙(目開き1μm)を用いてヘキサンで洗浄しながらスラリーの濾過を行うことで、算出することができる。
工程(1)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~1.5dl/gの範囲にあるエチレン系重合体(e1)が得られる限り、複数の工程に分けて実施してもよい。
工程(1)での重合温度は、通常は25~100℃、好ましくは50~90℃、より好ましくは70~85℃である。
工程(1)での反応圧力は、通常は常圧~10MPaG、好ましくは常圧~5MPaGである。
本方法では、工程(1)は連続的に実施される。具体的には、本方法の一実施態様では、エチレンを含むモノマー成分、水素分子、オレフィン重合用触媒および重合溶媒等を連続的に重合槽に供給して工程(1)を実施し、工程(1)で得られたエチレン系重合体(e1)を含むスラリーを、前記重合槽から連続的に抜き出す、例えば、前記重合槽内の液レベルが一定になるように前記重合槽から連続的に抜き出す。工程(1)で使用される重合槽は1つであっても複数であってもよく、一実施態様では1つである。
工程(1)において、得られたスラリーは連続的に重合槽から抜き出される。重合槽におけるスラリーの平均滞留時間は、通常は0.5~8.0時間、好ましくは1.5~6.0時間である。なお、工程(1)を複数の重合槽を用いて行う場合、各重合槽におけるスラリーの平均滞留時間が前記範囲にあることが好ましい。
工程(1)での水素分子の供給量は、エチレンを含むモノマー成分1モルあたり、好ましくは0.10モル以下、より好ましくは0.05モル以下である。水素分子を用いることで、各工程で得られるエチレン系重合体の極限粘度[η]を調整することができる。
重合溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒が挙げられ、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。重合溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本方法ではスラリー重合を採用するが、「スラリー重合」とは、重合により生じる重合体(エチレン系重合体)が、例えば微粒子として前記重合溶媒等の媒体中に分散した形で存在することを特徴とする重合のことをいう。
工程(1)で使用される重合槽としては、通常、原料成分であるエチレンを含むモノマー成分、水素分子、オレフィン重合用触媒および重合溶媒等を連続的に供給できる供給手段と、重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を重合槽から連続的に抜き出すことができる抜き出し手段とを有する重合槽が用いられる。
前記重合槽から連続的に抜き出された、エチレン系重合体(e1)を含むスラリー等の内容物から、工程(2)での反応条件を制御するため、未反応のエチレンおよび水素分子を除去することが好ましい。前記除去には、例えば、フラッシュドラムを用いる。前記除去工程は、例えば、減圧条件下、所定の温度で行うことができ、該減圧条件としては、内圧が、通常0.2MPaG以下、好ましくは0.1MPaG以下であり、該温度としては、通常は20~80℃、好ましくは30~75℃である。
工程(1)では、最終的に得られるエチレン系重合体(E)の20~80質量%の範囲で、好ましくは30~78質量%、より好ましくは40~75質量%の範囲で、エチレン系重合体(e1)を製造する。
エチレン系重合体(E)に含まれるエチレン系重合体(e1)および(e2)の質量比は、例えば、エチレン系重合体(E)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により得られた分子量曲線から、エチレン系重合体(e1)および(e2)それぞれに由来するピーク曲線を分離し、それぞれのピーク曲線から算出することができる。
<工程(2)>
工程(2)では、工程(1)で得られたエチレン系重合体(e1)およびオレフィン重合用触媒を含むスラリーは、連続的に工程(2)に供給され、前記エチレン系重合体(e1)の存在下、スラリー重合法により、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が3.0~10.0dl/gの範囲にあるエチレン系重合体(e2)を製造する。好ましくは、工程(2)では、工程(1)から連続的に移送されてきた前記スラリーと、エチレンを含むモノマー成分と、必要に応じて水素分子および/または重合溶媒とを連続的に工程(2)の重合槽に供給し、重合反応を行う。
工程(2)で得られるエチレン系重合体(e2)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、3.0~10.0dl/gであり、好ましくは4.0~8.0dl/gである。
工程(2)で得られるエチレン系重合体(e2)は、分子量200万における分岐指数(g’)が、好ましくは0.90~1.0である。
分岐指数(g’)が前記範囲にあると、下流側で長鎖分岐を有するエチレン系重合体の生成が抑制され、外観が良好な成形体を容易に得ることができる。
長鎖分岐は高分子量領域ほど生成しやすいため、本発明では、エチレン系重合体(e2)の高分子量領域として、分子量200万を採用した。
工程(2)で得られるエチレン系重合体(e2)の分岐指数(g’)は、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により得られる極限粘度([η]branch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度([η]lin)との比([η]branch/[η]lin)として算出される。GPC-粘度検出器法の詳細は、下記実施例に記載の通りである。
重合体が長鎖分岐を有すると、同じ分子量の線形ポリマーに対して、慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると、極限粘度も小さくなることから、長鎖分岐を有すると、分岐指数(g’=[η]branch/[η]lin)は1より小さくなる。従って、重合体(e2)の分岐指数(g’)が1より小さいことは、重合体(e2)が長鎖分岐を有することを意味し、その値が小さいほど長鎖分岐の数が多いことを意味する。
エチレン系重合体(e2)において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、通常は80.0モル%以上、好ましくは85.0モル%以上、さらに好ましくは90.0モル%以上である。工程(2)でのエチレン供給量は、一実施態様において、好ましくは1~10kg/hr、より好ましくは2~8kg/hrである。
エチレン系重合体(e2)は、例えば、炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位を有していてもよい。炭素数3~20、好ましくは炭素数3~10のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンが挙げられる。
エチレン系重合体(e2)において、炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有割合は、通常は20.0モル%以下、好ましくは15.0モル%以下、さらに好ましくは10.0モル%以下である。
エチレン系重合体(e2)は、炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位を有する場合、当該構成単位を1種のみ有してもよく、2種以上有してもよい。
工程(2)では、エチレン系重合体(e1)および(e2)を含有するエチレン系重合体(E)を含むスラリーが得られる。スラリー濃度、すなわちエチレン系重合体(E)(粒子)の濃度は、通常は10~600g/L、好ましくは50~500g/Lである。
工程(2)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が3.0~10.0dl/gの範囲にあるエチレン系重合体(e2)が得られる限り、複数の工程に分けて実施してもよい。
工程(2)での重合温度は、通常は25~100℃、好ましくは50~90℃、より好ましくは65~85℃である。反応圧力は、通常は常圧~10MPaG、好ましくは常圧~5MPaGである。
本方法では、工程(2)は連続的に実施される。具体的には、本方法の一実施態様では、工程(1)から移送されたエチレン系重合体(e1)およびオレフィン重合用触媒を含むスラリー、エチレンを含むモノマー成分、必要に応じて水素分子、重合溶媒等を連続的に重合槽に供給して工程(2)を実施し、工程(2)で得られたエチレン系重合体(E)を含むスラリーを前記重合槽から連続的に抜き出す、例えば、前記重合槽内の液レベルが一定になるように前記重合槽から連続的に抜き出す。工程(2)で使用される重合槽は1つであっても複数であってもよく、一実施態様では1つである。
工程(2)において、得られたスラリーは連続的に重合槽から抜き出される。重合槽におけるスラリーの平均滞留時間は、通常は0.3~5.0時間、好ましくは0.9~3.7時間である。なお、工程(2)を複数の重合槽を用いて行う場合、各重合槽におけるスラリーの平均滞留時間が前記範囲にあることが好ましい。
工程(2)での水素分子の供給量は、エチレンを含むモノマー成分1モルあたり、好ましくは0.01モル以下、より好ましくは0.005モル以下である。
重合溶媒としては、例えば、工程(1)で例示した炭化水素系溶媒が挙げられる。工程(2)の重合溶媒は、工程(1)の重合溶媒と同一であっても異なっていてもよい。重合溶媒は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
工程(2)で使用される重合槽としては、通常、工程(1)の重合槽から連続的に抜き出されたスラリーと、原料成分であるエチレンを含むモノマー成分と、必要に応じて水素分子、重合溶媒等を連続的に供給できる供給手段と、重合槽内の液レベルが一定になるように重合槽内容物を重合槽から連続的に抜き出すことができる抜き出し手段とを有する重合槽が用いられる。
工程(2)では、最終的に得られるエチレン系重合体(E)の20~80質量%の範囲で、好ましくは22~70質量%、より好ましくは25~60質量%の範囲で、エチレン系重合体(e2)を製造する。一実施態様では、エチレン系重合体(e1)とエチレン系重合体(e2)との合計をエチレン系重合体(E)100質量%とする。
一実施態様において、エチレン系重合体(E)は、GPC法におけるその分子量曲線が多峰性であることが好ましく、二峰性であることがより好ましい。
エチレン系重合体(E)を例えば2段階で製造する場合、第1重合槽で[η]が0.5~1.5dl/gのエチレン系重合体(e1)を全体量の20~80質量%製造し、第2重合槽で[η]が3.0~10.0dl/gのエチレン系重合体(e2)を全体量の20~80質量%製造する。
<後処理工程>
本方法で得られたエチレン系重合体(E)に対しては、必要に応じて、公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行うことができる。
例えば、重合槽内容物を重合槽から抜き出すと同時にまたは可及的速やかに、溶媒分離装置を用いて重合体と重合溶媒、未反応モノマー成分等とを分離する方法;前記内容物に窒素などの不活性ガスを加えて、重合溶媒、未反応モノマー成分等を強制的に系外へ排出する方法;前記内容物にかかる圧力を制御して、重合溶媒、未反応モノマー成分等を強制的に系外へ排出する方法;前記内容物に多量の重合溶媒を添加して実質的に重合が起こらないと考えられる濃度まで未反応モノマー成分を希釈する方法;重合用触媒を失活させる、メタノール等の物質を添加する方法;実質的に重合が起こらないと考えられる温度まで前記内容物を冷却する方法が挙げられる。
これらの方法は単独で実施してもよいし、いくつかを組み合わせて実施してもよい。
<エチレン系重合体(E)>
エチレン系重合体(E)において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、通常は80.0モル%以上、好ましくは85.0モル%以上、さらに好ましくは90.0モル%以上である。
また、エチレン系重合体(E)において、炭素数3~20のα-オレフィン由来の構成単位の含有割合は、通常は20.0モル%以下、好ましくは15.0モル%以下、さらに好ましくは10.0モル%以下である。
エチレン系重合体(E)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常は1.0~6.0dl/gであり、好ましくは1.3~5.0dl/g、より好ましくは1.5~4.0dl/gである。
エチレン系重合体(E)は、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が、通常は0.01~5.0g/10分、好ましくは0.1~4.0g/10分、より好ましくは0.2~3.0g/10分である。
MFRが前記範囲にあると、成形時の流動性の点で好ましい。なお、用途に応じて好ましいMFR範囲に調整することが望ましい。
エチレン系重合体(E)は、密度が、通常は950~975kg/m3、好ましくは952~973kg/m3、より好ましくは955~970kg/m3である。
密度が前記範囲にあると、剛性の点で好ましい。通常、密度が高いほど剛性が高いので、用途に応じて適切な密度に調整することが望ましい。
エチレン系重合体(E)には、本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤および/または顔料等の他の成分を配合することができる。添加剤としては、例えば、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤が挙げられる。顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、チタンイエロー、フタロシアニン化合物、イソインドリノン化合物、キナクリドン化合物、縮合アゾ化合物、群青、コバルトブルーが挙げられる。
エチレン系重合体(E)を用いることにより、外観が良好で、剛性および強度にバランスよく優れる成形体を容易に得ることができる。
本方法で得られたエチレン系重合体(E)は、ペレット化してもよい。ペレット化の方法としては、例えば、以下の方法(1)および(2)が挙げられる。
(1)エチレン系重合体(E)および所望により添加される前記他の成分を、押出機、ニーダー等を用いてブレンドして、所定の大きさにカットする方法。
(2)エチレン系重合体(E)および所望により添加される前記他の成分を適当な良溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒)に溶解し、次いで該溶媒を除去し、その後に押出機、ニーダー等を用いてブレンドして、所定の大きさにカットする方法。
エチレン系重合体(E)または当該重合体(E)を含む組成物は、ブロー成形体、インフレーション成形体、キャスト成形体、押出ラミ成形体、パイプや異形などの押出成形体、発泡成形体、射出成形体、プレス成形体などに成形することができ、また、繊維、モノフィラメント、不織布などに使用することもできる。これらの成形体には、エチレン系重合体(E)または当該重合体(E)を含む組成物から形成された部分と、他の樹脂から形成された部分とを有する成形体(例:積層体)が含まれる。また、エチレン系重合体(E)は、成形過程で架橋されていてもよい。
[オレフィン重合用触媒]
本方法で用いるオレフィン重合用触媒について説明する。
オレフィン重合用触媒は、式(I)で表される遷移金属化合物(A)を含む。オレフィン重合用触媒は、共触媒(B)をさらに含むことが好ましい。オレフィン重合用触媒は、スラリー重合を行うという観点から、遷移金属化合物(A)を担持する担体(C)をさらに含むことが好ましい。
<式(I)で表される遷移金属化合物(A)>
遷移金属化合物(A)は、式(I)で表される。
オレフィン重合用触媒は、1種または2種以上の遷移金属化合物(A)を含むことができる。
MLx ・・・(I)
[式(I)中、
Mは、ハフニウム原子であり、
Lは独立に、ハフニウム原子に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lは、炭素数1~10の炭化水素基である置換基R1と、炭素数2~10の炭化水素基である置換基R2(ここでR1とR2とは異なる)とを有するシクロペンタジエニル基であり、シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素数1~12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子であり、
Xは、ハフニウム原子Mの原子価である。]
前記R1の具体例としては、炭化水素基、特に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基を例示することができる。
前記R2の具体例としては、前記R1と同様の炭化水素基(但し、メチル基を除く。)が挙げられる。
前記炭化水素基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基等の基で置換されていてもよい。
1およびR2を有するシクロペンタジエニル基(以下「置換シクロペンタジエニル基」ともいう。)としては、例えば、該置換基R1とR2とが、シクロペンタジエニル基を形成している炭素原子に、1,2-位、または1,3-位で結合している置換シクロペンタジエニル基が挙げられる。このような置換シクロペンタジエニル基としては、具体的には、下記式で表される基等が挙げられる。なお、下記式では、便宜上、R1の置換位置を1位として表したが、R2の置換位置を1位としてもよい。
Figure 0007483464000001
置換シクロペンタジエニル基としては、例えば、メチルエチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基、エチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルシクロヘキシルシクロペンタジエニル基、エチルヘキシルシクロペンタジエニル基が挙げられる。
1とR2とでは、その炭素数が2以上異なっていることが好ましく、さらにR1およびR2のいずれか一方がメチル基であることが特に好ましい。
置換シクロペンタジエニル基以外の配位子Lにおける、炭素数1~12の炭化水素基の具体例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が挙げられ、より具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基を例示することができる。
置換シクロペンタジエニル基以外の配位子Lにおける、アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、オクトキシ基が挙げられる。
置換シクロペンタジエニル基以外の配位子Lにおける、アリーロキシ基の具体例としては、フェノキシ基が挙げられる。
置換シクロペンタジエニル基以外の配位子Lにおける、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換シクロペンタジエニル基以外の配位子Lにおける、トリアルキルシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基が挙げられる。
遷移金属化合物(A)は、ハフニウムの原子価が4である場合には、より具体的には、下記式(II)で表すことができる。
3 a4 b5 c6 dM ・・・(II)
式(II)中、
Mはハフニウム原子であり、
3は前記置換シクロペンタジエニル基であり、
aは1以上の整数であり、a+b+c+d=4である。
4、R5およびR6はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、水素原子またはR3と同様の置換シクロペンタジエニル基である。
遷移金属化合物(A)の好適例としては、前記式(II)においてR3、R4、R5およびR6のうち少なくとも2個、すなわちR3とR4とが置換シクロペンタジエニル基である化合物が挙げられる。この2個の置換シクロペンタジエニル基は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基、ジメチルシリレン、ジフェニルシリレンなどの置換シリレン基などを介して結合されていないことが好ましい。
具体的な遷移金属化合物(A)としては、例えば、ビス(1-メチル-3-エチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(1-メチル-3-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムメチルクロリド、ビス(1-メチル-3-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムメチルクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムエトキシクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメトキシド、ビス(1-エチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-ベンジル-3-メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ヘキシルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-シクロヘキシルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-エチル-3-ヘキシルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-2-エチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-2-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(1-メチル-2-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムメチルクロリド、ビス(1-メチル-2-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-2-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ビス(1-メチル-2-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムメチルクロリド、ビス(1-メチル-2-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-2-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムエトキシクロリド、ビス(1-メチル-2-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメトキシド、ビス(1-エチル-2-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-ベンジル-2-メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-2-ヘキシルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-2-シクロヘキシルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-エチル-2-ヘキシルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドが挙げられる。
なお、これらの例示化合物において、前述したようにシクロペンタジエニル基の1,3-位に結合しているそれぞれの置換基を交換して記載することもできる。例えば、1-メチル-3-エチルシクロペンタジエニルを、1-エチル-3-メチルシクロペンタジエニルとして例示することもできる。1,2-位に結合した置換基についても同様である。
遷移金属化合物(A)としては、これらのうち、特に、ビス(1-メチル-3-プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ヘキシルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリドが好ましい。
<共触媒(B)>
オレフィン重合用触媒は、有機金属化合物(B-1)、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)、および遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(共触媒(B))をさらに含むことが好ましい。
有機金属化合物(B-1)(ただし、有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)を除く)としては、例えば、有機アルミニウム化合物が挙げられ、具体的には、式Ra mAl(ORbnpq(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロヘキシルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また、特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。具体的には、メチルアルミノキサンが挙げられる。
アルミノキサンとしては、固体状アルミノキサンも好適に用いられ、例えば、国際公開第2010/055652号、国際公開第2013/146337号、国際公開第2014-123212号で開示される固体状アルミノキサンが特に好適に用いられる。
「固体状」とは、固体状アルミノキサンが用いられる反応環境下において、当該アルミノキサンが実質的に固体状態を維持することを意味する。より具体的には、例えばオレフィン重合用触媒を構成する各成分を接触させてオレフィン重合用固体触媒成分を調製する際、反応に用いられるヘキサンやトルエン等の不活性炭化水素媒体中、特定の温度・圧力環境下において前記アルミノキサンが固体状態であることを表す。
固体状アルミノキサンとしては、式(1)で表される構成単位および式(2)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を有するアルミノキサンが好ましく、式(1)で表される構成単位を有するアルミノキサンがより好ましく、式(1)で表される構成単位のみからなるポリメチルアルミノキサンがさらに好ましい。
Figure 0007483464000002
式(1)中、Meはメチル基である。
式(2)中、R1は炭素数2~20の炭化水素基、好ましくは炭素数2~15の炭化水素基、より好ましくは炭素数2~10の炭化水素基である。炭化水素基としては、例えば、エチル、プロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、2-エチルヘキシル等のアルキル基;シクロヘキシル、シクロオクチル等のシクロアルキル基;フェニル、トリル等のアリール基が挙げられる。
固体状アルミノキサンの構造は必ずしも明らかにされておらず、通常は、式(1)および/または式(2)で表される構成単位が2~50程度繰り返されている構成を有すると推定されるが、当該構成に限定されない。また、その構成単位の結合態様は、例えば、線状、環状またはクラスター状と種々であり、アルミノキサンは、通常、これらのうちの1種からなるか、または、これらの混合物であると推定される。また、アルミノキサンは、式(1)または式(2)で表される構成単位のみからなってもよい。
固体状アルミノキサンとしては、固体状ポリメチルアルミノキサンが好ましく、式(1)で表される構成単位のみからなる固体状ポリメチルアルミノキサンがより好ましい。
固体状アルミノキサンは、通常は粒子状であり、体積統計値でのD50が好ましくは1~500μm、より好ましくは2~200μm、さらに好ましくは5~50μmである。体積統計値でのD50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。
固体状アルミノキサンは、比表面積が好ましくは100~1000m2/g、より好ましくは300~800m2/gである。比表面積は、BET吸着等温式を用い、固体表面におけるガスの吸着および脱着現象を利用して求めることができる。
固体状アルミノキサンは、担体(C)としても機能する。このため、固体状アルミノキサンを用いる場合、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウム等の固体状無機担体、またはポリスチレンビーズ等の固体状有機担体を用いなくともよい。
固体状アルミノキサンは、例えば、国際公開第2010/055652号、国際公開第2014/123212号に記載された方法により調製することができる。
遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)としては、例えば、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、US5321106号公報などに記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
<担体(C)>
担体(C)は、好ましくは粒子状であり、その表面および/または内部に遷移金属化合物(A)を固定化させることで、前記オレフィン重合用触媒を形成することも好ましい。
担体(C)は、通常、無機または有機の化合物からなる。固体状無機担体としては、例えば、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物等の無機化合物からなる担体が挙げられる。固体状有機担体としては、例えば、ポリスチレンビーズ等の担体が挙げられる。また、担体(C)としては、前述した固体状アルミノキサンも挙げられる。
多孔質酸化物としては、例えば、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等の酸化物、またはこれらを含む複合物もしくは混合物が挙げられる。例えば、天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOも挙げられる。
無機ハロゲン化物としては、例えば、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミル等により粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
粘土は、通常は粘土鉱物を主成分として構成される。イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能である。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物としては、例えば、粘土、粘土鉱物、または六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物が挙げられる。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理等、何れも使用できる。化学処理としては、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
担体(C)の体積統計値でのD50は、好ましくは1~500μm、より好ましくは2~200μm、さらに好ましくは5~50μmである。体積統計値でのD50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。
<有機化合物成分(D)>
オレフィン重合用触媒は、さらに必要に応じて、有機化合物成分(D)を含有することもできる。有機化合物成分(D)は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩が挙げられる。
<各成分の使用法および添加順序>
オレフィン重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、遷移金属化合物(A)、共触媒(B)、担体(C)および有機化合物成分(D)を、それぞれ「成分(A)~(D)」ともいう。
(i)成分(A)~(C)を任意の順序で重合槽に添加する方法。
(ii)成分(A)~(B)を成分(C)に担持した触媒成分を重合槽に添加する方法。
前記(i)~(ii)の各方法においては、任意の段階でさらに成分(D)を添加してもよい。また、各触媒成分の少なくとも2つは予め接触されていてもよい。
本発明ではスラリー重合を実施することから、少なくとも成分(A)および成分(C)を不活性炭化水素媒体中で接触させることにより固体触媒成分を得て、前記固体触媒成分を重合槽に供給することが好ましい。
また、重合を円滑に進行させる目的で、帯電防止剤やアンチファウリング剤などを使用することができる。
工程(1)および(2)において、オレフィン重合用触媒を用いてエチレン等のモノマーの重合を行うに際して、前記触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。以下、遷移金属化合物(A)、共触媒(B)欄で例示した(B-1)~(B-3)を、それぞれ成分(A)、成分(B-1)~(B-3)ともいう。
成分(A)は、成分(A)中の遷移金属原子(M、すなわちハフニウム原子)に換算して、通常は0.010~10.00mmol/hr、好ましくは0.05~5.0mmol/hr、より好ましくは0.10~2.50mmol/hrとなる量で、工程(1)に供給することができる。
成分(B-1)は、成分(B-1)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(B-1)/M]が、通常は10~10000、好ましくは30~2000、より好ましくは50~1000となるような量で用いることができる。
成分(B-2)は、成分(B-2)中のアルミニウム原子(Al)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比[Al/M]が、通常は10~10000、好ましくは30~2000、より好ましくは50~1000となるような量で用いることができる。
成分(B-3)は、成分(B-3)と、成分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(B-3)/M]が、通常は1~10000、好ましくは2~2000、より好ましくは10~500となるような量で用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されない。
下記実施例における各物性を、以下のようにして測定、評価した。
<極限粘度[η]>
下記第1重合槽からの抜き出した内容物中のエチレン系重合体、および、最終的に得られたエチレン系重合体の極限粘度[η]を、デカリンを用いて135℃で測定した。
具体的には、これらの試料約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリンを5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η]として求めた(下記式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<エチレン系重合体(e1)とエチレン系重合体(e2)との重合量比>
最終的に得られたエチレン系重合体(E)の分子量曲線から、下記第1重合槽で重合されたエチレン系重合体(e1)および下記第2重合槽で重合されたエチレン系重合体(e2)それぞれに由来するピーク曲線を分離し、それぞれのピーク曲線から、エチレン系重合体(e1)と(e2)との重合量比(質量比)を算出した。具体的には、以下のように算出した。
ウォーターズ社製GPC-150Cを用いて、最終的に得られたエチレン系重合体(E)の分子量曲線を以下のようにして測定した。
分離カラムとして、TSKgel GMH6-HTおよびTSKgel GMH6-HTL(カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ600mm)を用い、カラム温度を140℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼン(富士フィルム和光純薬(株)製)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品工業(株)製)0.025質量%を用い、移動相を1.0ml/minで移動させ、試料濃度を0.1質量%とし、試料注入量を500μlとし、検出器として示差屈折計を用いた。また、標準ポリスチレンとして、分子量がMw<1,000およびMw>4×106の場合には、東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用い、分子量が1,000≦Mw≦4×106の場合には、プレッシャーケミカル社製の標準ポリスチレンを用いた。分子量の計算は、ユニバーサル校正して、ポリエチレンに換算して求めた。
最終的に得られたエチレン系重合体(E)の分子量曲線から、エチレン系重合体(e1)および(e2)それぞれに由来するピーク曲線を分離した。ピーク曲線の分離は、マイクロソフト社製のエクセルのビジュアルベーシックを用いて作成したプログラムに基づき行った。分離する2つのピーク曲線は対数正規分布として、収束計算により分子量分布曲線を分子量が異なる2つのピーク曲線に分離した。分離した2つのピーク曲線を再合成した曲線とGPC法で実測した分子量曲線とを比較して、両者がほぼ一致するように初期値を変更しながら計算を実行した。計算はLog(分子量)を0.02間隔に分割し、実測した分子量曲線の面積と分離した2つのピーク曲線を再合成した曲線の面積とが1になるように強度を規格化して行った。
<エチレン系重合体(e2)の極限粘度[η]>
前記のようにして測定した、下記第1重合槽で重合されたエチレン系重合体(e1)および最終的に得られたエチレン系重合体(E)の極限粘度[η]の値と、前記のようにして求めたエチレン系重合体(e1)とエチレン系重合体(e2)との質量比とから、エチレン系重合体(e2)の極限粘度[η]を算出した。
具体的には、エチレン系重合体(e1)および(e2)、エチレン系重合体(E)の[η]をそれぞれ[η]1、[η]2および[η]tとし、エチレン系重合体(e1)および(e2)の質量割合をそれぞれw1およびw2(但し、w1+w2=1)とすると、エチレン系重合体(e2)の極限粘度[η]は、下記式で算出できる。
[η]2=([η]t-w1・[η]1)/w2
<MFR>
下記評価用試料を用い、ASTM D-1238-89に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件でMFRを測定した。
<密度>
第1重合槽からの抜き出した内容物中のエチレン系重合体、および、最終的に得られたエチレン系重合体の密度を測定した。具体的には、各重合体を、120℃で1時間熱処理し、1時間かけて直線的に室温まで徐冷した後、JIS K 7112に準拠し、密度勾配管で密度を測定した。
<エチレン系重合体(e2)の密度>
前記のようにして測定した、第1重合槽で重合されたエチレン系重合体(e1)および最終的に得られたエチレン系重合体(E)の密度の値と、前記のようにして求めたエチレン系重合体(e1)とエチレン系重合体(e2)との質量比とから、エチレン系重合体(e2)の密度を算出した。
具体的には、エチレン系重合体(e1)および(e2)、エチレン系重合体(E)の密度をそれぞれD1、D2およびDtとし、エチレン系重合体(e1)および(e2)の質量割合をそれぞれw1およびw2(但し、w1+w2=1)とすると、エチレン系重合体(e2)の密度は、下記式で算出できる。
2=(Dt-w1・D1)/w2
<分岐指数(g’)>
下記参考実験で得られたエチレン系重合体の分子量200万における分岐指数(g’)は、Agilent社製のPL-GPC220を用い、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)に基づき、以下のように測定した。
分析カラムにはAgilent PLgel Olexisを2本用い、検出器には示差屈折計およびキャピラリー粘度計を用い、カラム温度は145℃とし、移動相としてはo-ジクロロベンゼンを用い、流速を1.0ml/分とし、試料濃度は0.1質量%とした。標準ポリスチレンとしては、東ソー(株)製のポリスチレンを用いた。分子量の計算は、ユニバーサル校正して、ポリエチレンに換算して求めた。また、分岐指数(g’)を算出する際の線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standard & Technology製)を用いた。
下記参考実験で得られたエチレン系重合体の極限粘度([η]branch)と、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475aの極限粘度([η]lin)との比([η]branch/[η]lin)を算出し、該比を分岐指数(g’)とした。
<プレスシート物性>
・プレスシートの作製
190℃に設定した(株)神藤金属工業所製の油圧式熱プレス機を用い、下記評価用試料を、100kg/cm2の圧力でプレスすることで、4mm厚のシートを成形し、得られたシートを、20℃に設定した別の(株)神藤金属工業所製の油圧式熱プレス機を用い、100kg/cm2の圧力でプレスすることで冷却し、プレスシートを作製した。
<プレスシートの曲げ弾性率>
JIS K 6922-2の表3「一般的性質及びその試験条件」における、曲げ弾性率の項の記載に従い、前記プレスシートを用いて、JIS K 7171に記載の曲げ特性の求め方に準じて曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示す。
<プレスシートの引張衝撃強さ>
JIS K6922-2の表3「一般的性質及びその試験条件」における、引張衝撃強さノッチ付きの項の記載に従い、前記プレスシートを用いて、JIS K 7160(ISO 8256)の試験方法に準じて引張衝撃強さを測定した。結果を表1に示す。
<ボトル評価>
下記評価用試料を用い、下記成形条件でブロー成形を行い、内容量1.0L、質量50gの円筒ボトルを作製した。
成形機:MSE-50((株)タハラ製)
シリンダー設定温度:180℃
ダイ設定温度:180℃
金型温度:25℃
押出速度:9kg/h
ダイ径/コア径:27mm/25mm
作製したボトルの肌(ボトルの内面肌)について、(株)東京精密製の表面粗さ形状測定機サーフコム1400Dを用いて平均表面粗さRaを測定した。測定長さは4.0mm、測定速度は0.6mm/sとし、3回の平均値を表1に示す。
[調製例1]固体触媒成分(γ1)の調製
特開2017-25160号公報の[合成例1][固体状担体(X-1)の調製]に従って、固体状担体含有スラリーを得た。充分に窒素置換した室温(20~25℃)の反応器中に、トルエン2.00Lを投入し、前記固体状担体含有スラリーをアルミニウム原子換算で25.61mol(28.51L)入れ、その懸濁液を10分間攪拌した。
次に、下記式(A-1)で表される化合物88.3mmolをトルエン溶液2.00Lに溶解させ、反応器に加えた後、60分間撹拌することで、固体触媒成分(γ1)含有スラリーを得た。
Figure 0007483464000003
[調製例2]固体触媒成分(γ2)の調製
充分に窒素置換した室温(20~25℃)の反応器中に、トルエン53.0Lを投入し、前記固体状担体含有スラリーをアルミニウム原子換算で4.94mol(5.50L)入れ、その懸濁液を10分間攪拌した。
次に、前記式(cA-1)で表される化合物29.0mmolをトルエン溶液2.00Lに溶解させ、反応器に加えた後、60分間撹拌することで、固体触媒成分(γ2)含有スラリーを得た。
Figure 0007483464000004
[実施例1]
・工程(1)
第1重合槽に、ヘキサンを54.0L/hr、前記固体触媒成分(γ1)含有スラリーをハフニウム原子に換算して0.50mmol/hr、トリイソブチルアルミニウムを11.9mmol/hr、エチレンを7.60kg/hr、水素分子を25.0NL/hr、アデカプルロニックL-71((株)ADEKA製、以下「L-71」という)を0.600g/hr連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように、重合槽内容物を連続的に抜き出しながら、重合温度79.9℃、反応圧力0.71MPaG、平均滞留時間2.60hrの条件で重合を行い、エチレン系重合体を得た。
内圧0.030MPaG、40.0℃に保たれたフラッシュドラム中で、第1重合槽から連続的に抜き出した内容物中の未反応のエチレンおよび水素分子を、実質的に除去した。
・工程(2)
前記未反応のエチレンおよび水素分子が実質的に除去された内容物73.0L/hrを、ヘキサン31.0L/hr、エチレン3.30kg/hr、水素分子6.0NL/hr、L-71 0.25g/hr、1-ヘキセン100g/hrとともに第2重合槽へ連続的に供給し、重合温度75.1℃、反応圧力0.28MPaG、平均滞留時間1.6hrの条件で引き続き重合を行った。
第2重合槽においても重合槽内の液レベルが一定になるように、重合槽内容物を連続的に抜き出した。意図しない重合を防止するために、第2重合槽から抜き出した内容物にメタノールを2.50L/hrで供給し、固体触媒成分を失活させた。その後、該固体触媒成分を失活させた内容物中のヘキサンおよび未反応モノマーを溶媒分離装置で除去し、乾燥することで、エチレン系重合体(E-1)を得た。
<評価用試料の作製>
得られたエチレン系重合体(E-1)100質量部に対して、耐熱安定剤としてIrgafos168(BASFジャパン(株)製、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル))を1500ppm、Irganox3114(BASFジャパン(株)製、イソシアヌル酸トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル))を1000ppm、帯電防止剤としてエレクトロストリッパー(花王(株)製、ラウリルジエタノールアミン)を1300ppm、ステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)製)を500ppm配合した。その後、プラコー社製単軸押出機(スクリュー径65mm、L/D=28、スクリーンメッシュ40/60/500×3/60/40)を用い、設定温度200℃、樹脂押出量30kg/hrの条件で溶融混練した後、ストランド状に押し出したものをカットすることでペレット(評価用試料)を作製した。
[比較例1]
・工程(1)
第1重合槽に、ヘキサンを54.0L/hr、前記固体触媒成分(γ2)含有スラリーをジルコニウム原子に換算して0.052mmol/hr、トリイソブチルアルミニウムを11.9mmol/hr、エチレンを8.00kg/hr、水素分子を62.1NL/hr、L-71を0.600g/hr連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように、重合槽内容物を連続的に抜き出しながら、重合温度80.1℃、反応圧力0.73MPaG、平均滞留時間2.60hrの条件で重合を行い、エチレン系重合体を得た。
内圧0.030MPaG、40.0℃に保たれたフラッシュドラム中で、第1重合槽から連続的に抜き出した内容物中の未反応のエチレンおよび水素分子を、実質的に除去した。
・工程(2)
前記未反応のエチレンおよび水素分子が実質的に除去された内容物71.8L/hrを、ヘキサン31.0L/hr、エチレン3.40kg/hr、水素分子2.30NL/hr、L-71 0.30g/hr、1-ヘキセン105g/hrとともに第2重合槽へ連続的に供給し、重合温度74.4℃、反応圧力0.26MPaG、平均滞留時間1.6hrの条件で引き続き重合を行った。
第2重合槽においても重合槽内の液レベルが一定になるように、重合槽内容物を連続的に抜き出した。1-ヘキセンを多量に含む重合体の生成など、意図しない重合を防止するために、第2重合槽から抜き出した内容物にメタノールを2.50L/hrで供給し、固体触媒成分を失活させた。その後、該固体触媒成分を失活させた内容物中のヘキサンおよび未反応モノマーを溶媒分離装置で除去し、乾燥することで、エチレン系重合体(cE-1)を得た。
得られたエチレン系重合体(cE-1)を用い、実施例1と同様にして評価用試料を作製した。
[比較例2]
・工程(1)
第1重合槽に、ヘキサンを54.0L/hr、前記固体触媒成分(γ2)含有スラリーをジルコニウム原子に換算して0.052mmol/hr、トリイソブチルアルミニウムを11.7mmol/hr、エチレンを8.00kg/hr、水素分子を52.5NL/hr、L-71を0.600g/hr連続的に供給し、かつ重合槽内の液レベルが一定になるように、重合槽内容物を連続的に抜き出しながら、重合温度80.0℃、反応圧力0.72MPaG、平均滞留時間2.60hrの条件で重合を行い、エチレン系重合体を得た。
内圧0.030MPaG、40.0℃に保たれたフラッシュドラム中で、第1重合槽から連続的に抜き出した内容物中の未反応のエチレンおよび水素分子を、実質的に除去した。
・工程(2)
前記未反応のエチレンおよび水素分子が実質的に除去された内容物73.0L/hrを、ヘキサン31.0L/hr、エチレン3.40kg/hr、水素分子1.6NL/hr、L-71 0.25g/hr、1-ヘキセン85g/hrとともに第2重合槽へ連続的に供給し、重合温度74.4℃、反応圧力0.26MPaG、平均滞留時間1.6hrの条件で引き続き重合を行った。
第2重合槽においても重合槽内の液レベルが一定になるように、重合槽内容物を連続的に抜き出した。1-ヘキセンを多量に含む重合体の生成など、意図しない重合を防止するために、第2重合槽から抜き出した内容物にメタノールを2.50L/hrで供給し、固体触媒成分を失活させた。その後、該固体触媒成分を失活させた内容物中のヘキサンおよび未反応モノマーを溶媒分離装置で除去し、乾燥することで、エチレン系重合体(cE-2)を得た。
得られたエチレン系重合体(cE-2)を用い、実施例1と同様にして評価用試料を作製した。
[参考例1]
(株)プライムポリマー製のハイゼックス 6008Bを用い、実施例1と同様にして評価用試料を作製した。
Figure 0007483464000005
表1に示すように、実施例1で得られたボトルは、比較例1および2で得られたボトルに対して、平均表面粗さRaが小さく、外観が良好な成形体であることが分かった。
[参照データ]
以下、本発明の効果を説明するために、参照データを示す。工程(2)のみを重合したときの長鎖分岐度を測定した。
[参考実験1]
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに、精製ヘプタン500mLを入れ、エチレン/水素分子混合ガス(水素分子濃度:0.010mol%)を流通し、液相および気相をエチレン/水素分子で飽和させた。ここに、前記固体触媒成分(γ1)含有スラリーを、固体成分換算で5.0mg装入した後、75℃に昇温して、0.65MPaGとなるようにエチレン/水素分子混合ガス(水素分子濃度:0.10mol%)を連続的に供給したと同時に1-ヘキセン3.0mLを挿入し、96分間重合を行った。
オートクレーブを冷却し、残留ガスをパージして重合を停止した。得られたエチレン系重合体のスラリーを、桐山ロート(φ95mm、ろ紙No.4)を用いてろ過した。ろ紙のつまりはなかった。得られたろ物を、80℃で10時間減圧乾燥することで、20.19gのエチレン系重合体を得た。得られたエチレン系重合体の極限粘度[η]を測定したところ5.1dl/gであり、分子量200万における分岐指数(g')は0.93であった。
[参考実験2]
充分に窒素置換した内容積1リットルのSUS製オートクレーブに、精製ヘプタン500mLを入れ、エチレン/水素分子混合ガス(水素分子濃度:0.10mol%)を流通し、液相および気相をエチレン/水素分子で飽和させた。ここに、前記固体触媒成分(γ2)含有スラリーを、固体成分換算で1.2mg装入した後、75℃に昇温して、0.65MPaGとなるようにエチレン/水素分子混合ガス(水素分子濃度:0.10mol%)を連続的に供給したと同時に1-ヘキセン3.0mLを挿入し、96分間重合を行った。
オートクレーブを冷却し、残留ガスをパージして重合を停止した。得られたエチレン系重合体のスラリーを、桐山ロート(φ95mm、ろ紙No.4)を用いてろ過した。ろ紙のつまりはなかった。得られたろ物を、80℃で10時間減圧乾燥することで、52.00gのエチレン系重合体を得た。得られたエチレン系重合体の極限粘度[η]を測定したところ4.7dl/gであり、分子量200万における分岐指数(g')は0.86であった。

Claims (5)

  1. エチレン系重合体(E)を連続的に製造する方法であり、
    式(I)で表される遷移金属化合物(A)を含むオレフィン重合用触媒の存在下、スラリー重合法により、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5~1.5dl/gの範囲にあるエチレン系重合体(e1)を、最終的に得られるエチレン系重合体(E)の20~80質量%製造する工程(1)と、
    工程(1)で得られたエチレン系重合体(e1)の存在下、スラリー重合法により、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が3.0~10.0dl/gの範囲にあるエチレン系重合体(e2)を、最終的に得られるエチレン系重合体(E)の20~80質量%製造する工程(2)と、
    を含み、
    工程(1)で得られた、エチレン系重合体(e1)およびオレフィン重合用触媒を含むスラリーを、工程(2)に連続的に供給する、
    エチレン系重合体(E)の製造方法。
    [式(I)中、
    Mは、ハフニウム原子であり、
    Lは独立に、ハフニウム原子に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも個の配位子Lは、炭素数1~10の炭化水素基である置換基Rと、炭素数2~10の炭化水素基である置換基R(ここでRとRとは異なる)とを有するシクロペンタジエニル基であり、シクロペンタジエニル基以外の配位子Lは、炭素数1~12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基または水素原子であり、
    Xは、ハフニウム原子Mの原子価である。]
  2. 前記エチレン系重合体(E)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0~6.0dl/gである、請求項1に記載のエチレン系重合体(E)の製造方法。
  3. 前記エチレン系重合体(E)の、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.01~5.0g/10分である、請求項1または2に記載のエチレン系重合体(E)の製造方法。
  4. 前記エチレン系重合体(E)の密度が950~975kg/mである、請求項1~3のいずれか1項に記載のエチレン系重合体(E)の製造方法。
  5. 前記エチレン系重合体(e2)の分子量200万における分岐指数(g’)が0.90~1.0である、請求項1~4のいずれか1項に記載のエチレン系重合体(E)の製造方法。
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