JP2021161131A - スマートデバイス用カバー - Google Patents

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彰宏 浅野
Akihiro Asano
泰弘 金野
Yasuhiro Konno
巧 黒岩
Takumi Kuroiwa
浩明 田子
Hiroaki Tago
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Abstract

【課題】本発明は、透明性および耐染色性に優れるスマートデバイス用カバーを提供することを目的とする。【解決手段】本発明のスマートデバイス用カバーは、4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を含み、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が、下記要件(X−a)〜(X−d)を満たすことが好ましい。(X−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の量が20.0〜100モル%であり、オレフィンから導かれる構成単位の量が80.0〜0モル%である。(X−b)極限粘度[η]が1.0〜8.0dL/gである。(X−c)融点が、180〜260℃である。(X−d)密度が820〜880kg/m3である。【選択図】なし

Description

本発明は、スマートデバイス用カバーに関する。
4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン共重合体等の4−メチル−1−ペンテン重合体は、その優れた物性から、近年各種用途に広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、4−メチル−1−ペンテン重合体は、ポリプロピレン等の他のポリオレフィン樹脂と比較して耐熱性、透明性、離型性に優れた特性を示す。加えて、4−メチル−1−ペンテン重合体は、ポリオレフィンであることから、ポリエチレンテレフタレートなど極性基を持つ樹脂と比較して耐薬品性に優れる。そのため、4−メチル−1−ペンテン重合体は、フレキシブル基板用離型フィルム、合皮離型紙、各種成形体など様々な用途に応用されている。
近年、スマートフォン、タブレットコンピュータ(タブレットPC)、スレートコンピュータ(スレートPC)等のスマートデバイスが、広く普及し使用されている。スマートデバイスは、カバーを付けた状態で使用されることが多く、ポリウレタン樹脂を用いたものなど、様々なものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第2014/050817号 国際公開第2019/069802号
本発明は透明性および耐染色性に優れるスマートデバイス用カバーを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、4−メチル−1−ペンテン重合体を用いることにより、透明性および耐染色性に優れるスマートデバイス用カバーを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]〜[4]に関する。
[1]
4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を含む、スマートデバイス用カバー。
[2]
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が、4−メチル−1−ペンテン単独重合体(A)並びに、4−メチル−1−ペンテンと、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとの共重合体(B)から選択される少なくとも1種の重合体である、[1]に記載のスマートデバイス用カバー。
[3]
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が、下記要件(X−a)〜(X−d)を満たす、[1]または[2]に記載のスマートデバイス用カバー。
(X−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の量が20.0〜100モル%であり、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる構成単位の量が80.0〜0モル%である。
(X−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜8.0dL/gである。
(X−c)DSCで測定した融点(Tm)が、180〜260℃である。
(X−d)JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定された密度が820〜880kg/m3である。
[4]
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)のJIS K7361に準拠する方法にて測定した全光線透過率(1mm厚シート)が92%以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載のスマートデバイス用カバー。
本発明によって、透明性および耐染色性に優れるスマートデバイス用カバーを提供することが可能となる。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明のスマートデバイス用カバーは、4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を含む。
[4−メチル−1−ペンテン重合体(X)]
本発明のスマートデバイス用カバーは、前述のように4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を含む。4−メチル−1−ペンテン重合体(X)とは、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位を有する重合体であればよく、特に制限はない。4−メチル−1−ペンテン重合体(X)は、4−メチル−1−ペンテン単独重合体(A)であってもよく、4−メチル−1−ペンテン共重合体であってもよい。4−メチル−1−ペンテン共重合体としては、後述の共重合体(B)が好ましいが、それ以外の共重合体であってもよい。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が、4−メチル−1−ペンテン単独重合体(A)並びに、4−メチル−1−ペンテンと、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとの共重合体(B)から選択される少なくとも1種の重合体であることが好ましい。なお、本発明では、「4−メチル−1−ペンテン重合体(X)」を、「重合体(X)」とも記し、「4−メチル−1−ペンテン単独重合体(A)」を、「重合体(A)」とも記し、「4−メチル−1−ペンテンと、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとの共重合体(B)」を、「共重合体(B)」とも記し、「エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィン」を、「オレフィン」とも記す。
重合体(X)としては、少なくとも一部が共重合体(B)であることが好ましい。例えば重合体(X)としては、共重合体(B)であるか、重合体(A)および共重合体(B)であることが好ましい。
重合体(X)が、重合体(A)および共重合体(B)である場合には、重合体(X)中の重合体(A)および共重合体(B)の含有量としては、重合体(A)の含有量が、通常は90〜5質量部、好ましくは90〜15質量部、より好ましくは85〜20質量部であり;共重合体(B)の含有量が、通常は10〜95質量部、好ましくは10〜85質量部、より好ましくは15〜80質量部である。ただし、重合体(A)および(B)の合計を100質量部とする。
前記オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンが挙げられる。前記オレフィンとしては、例えば、適度な弾性率と、優れた柔軟性、可とう性および延伸加工性とを付与するという観点から、炭素数8〜18のα−オレフィンが好ましく、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセンおよび1−オクタデセンから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。オレフィンの炭素数が上記範囲にあると、重合体または重合体を含む原料の延伸加工性がより良好になり、その結果、成形時にロールや金型からの離型の際にクラックや端部の割れによる外観不良が生じにくくなる傾向にある。
また、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が下記要件(X−a)〜(X−d)を満たすことが、耐染色性、成形性、耐熱性、軽量性の観点から好ましい。4−メチル−1−ペンテン重合体(X)としては、一種の重合体を用いても、二種以上の重合体を用いてもよいが、二種以上の重合体を用いる場合には、それぞれの重合体が、下記要件(X−a)〜(X−d)を満たし、かつ重合体全体として下記要件(X−a)〜(X−d)を満たす場合が好ましい一実施態様であり、重合体の少なくとも一種が下記要件(X−a)〜(X−d)の少なくとも一つを満たさないが、重合体全体として下記要件(X−a)〜(X−d)を満たす場合も好ましい一実施態様である。
<要件(X−a)>
(X−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の量が20.0〜100モル%であり、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる構成単位の量が80.0〜0モル%である。
ただし、前記4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の量および前記エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる構成単位の量は、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を構成する全構成単位を100モル%とした際の量を意味する。すなわち、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が、前記4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位および前記オレフィンから導かれる構成単位以外の構成単位(以下「その他の構成単位」ともいう)を有する場合には、その他の構成単位を含めた、全構成単位を100モル%とした際の量を意味する。
4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは40.0〜99.5モル%、より好ましくは50.0〜99.0モル%、さらに好ましくは、70.0〜98.0モル%、特に好ましくは75.0〜97.5モル%である。また、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは0.5〜60.0モル%、より好ましくは1.0〜50.0モル%、さらに好ましくは、2.0〜30.0モル%、特に好ましくは2.5〜25.0モル%モル%である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記その他の構成単位を有してもよい。その他の構成単位の量は、通常は10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。その他の構成単位の量は、前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を構成する全構成単位を100モル%とした際の量を意味する。
その他の構成単位を導くモノマーとしては、例えば、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィンが挙げられる。環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能ビニル化合物、水酸基含有オレフィンおよびハロゲン化オレフィンとしては、例えば、特開2013−169685号公報の段落[0035]〜[0041]に記載の化合物を用いることができる。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)がその他の構成単位を有する場合、その他の構成単位は、1種のみ含まれていてもよく、また、2種以上含まれていてもよい。
<要件(X−b)>
(X−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜8.0dL/gである。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)の極限粘度[η]は、好ましくは1.2〜7.0dL/g、より好ましくは1.4〜5.0dL/g、さらに好ましくは1.6〜4.0dL/gである。
極限粘度[η]は、例えば4−メチル−1−ペンテン重合体(X)の分子量、重合系の水素濃度および圧力等を適宜選択することにより上記範囲内に調整されうる。また、4−メチル−1−ペンテン重合体(X)として、二種以上の重合体を用いる場合には、各重合体の極限粘度[η]の値および含有量によっても調整されうる。
<要件(X−c)>
(X−c)DSCで測定した融点(Tm)が、180〜260℃である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)は、DSC、すなわち示差走査熱量計により測定した融点(Tm)が、好ましくは185〜255℃、より好ましくは195〜250℃、さらに好ましくは200〜245℃である。
融点(Tm)が、前記範囲にあると4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が耐熱性に優れ、結果として本発明のスマートデバイス用カバーも耐熱性に優れるため好ましい。
融点(Tm)は、例えば4−メチル−1−ペンテン重合体(X)の分子量、コモノマー(4−メチル−1−ペンテン以外のモノマー)の種類および構成単位の含有量によって調整されうる。
<要件(X−d)>
(X−d)JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定された密度が820〜880kg/m3である。
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定された密度が、好ましくは820〜870kg/m3、より好ましくは820〜860kg/m3、さらに好ましくは820〜850kg/m3である。
密度が、前記範囲にあると4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が軽量性に優れ、結果として本発明のスマートデバイス用カバーも軽量性に優れるため好ましい。
<全光線透過率>
前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)のJIS K7361に準拠する方法にて測定した全光線透過率(1mm厚シート)が92%以上であると透過性が高く、スマートデバイスのデザインを損なわないため好ましい。
全光線透過率が、前記範囲にあると4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が透明性に優れ、結果として本発明のスマートデバイス用カバーも透明性に優れるため好ましい。
なお、4−メチル−1−ペンテン重合体(X)に関する各要件、物性の測定条件の詳細は、実施例欄に記載する。
[4−メチル−1−ペンテン重合体(X)の製造方法]
4−メチル−1−ペンテン重合体(X)の製造方法としては、特に制限はない。
4−メチル−1−ペンテン重合体(X)の製造方法としては、例えば4−メチル−1−ペンテン重合体(X)として一種類の重合体を用いる場合には、4−メチル−1−ペンテンと、4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が共重合体の場合に用いられる、前記オレフィン等の他のモノマーとを、好ましくはメタロセン触媒を用いて、スラリー重合等の重合方法によって重合することにより、4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を製造する方法が挙げられる。
重合体(X)として、二種以上の重合体を用いる場合、例えば重合体(A)および共重合体(B)を用いる場合には、重合体(X)の製造方法としては、例えば、重合体(A)および共重合体(B)を別々に製造した後、混合する方法や、重合体(A)および共重合体(B)を多段重合法により製造する方法が挙げられる。なお、多段重合を行う場合には、重合体(A)を重合した後に共重合体(B)を重合してもよく、共重合体(B)を重合した後に重合体(A)を重合してもよいが、後述のように重合体(A)を先に重合することが好ましい。
《重合条件》
重合条件としては、前述の4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を製造できればよく、特に制限はないが、一例を以下に記載する。
重合溶媒として、例えば、炭化水素系媒体が挙げられ、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;またはこれらから選ばれる2種以上の混合物が挙げられる。また、4−メチル−1−ペンテン、それ以外のα−オレフィン等のオレフィン自体を重合溶媒として用いることもできる。このように本発明では、炭化水素系媒体中において、および/または重合に用いるオレフィン自体を媒体として、オレフィン重合を行うことができる。
4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を製造する際の好適態様としては、スラリー重合を採用するが、「スラリー重合」とは、重合により生じる重合体が、重合時に用いた上記媒体に実質的に溶解することなく、例えば微粒子として上記媒体に分散した形で存在することを特徴とする重合をいう。
重合温度は、通常は0〜100℃、好ましくは20〜70℃であり;重合圧力は、通常は常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。多段重合を行う場合にはこれらの条件は同一でも異なってもよい。
重合を水素存在下で行うことは好ましい態様の一つである。水素は、オレフィン重合で用いる触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物であるといえる。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001〜100NL程度が適当である。系内の水素濃度は、水素の供給量を調整する以外にも、水素を生成または消費する反応を系内で行う方法や、膜を利用して水素を分離する方法、水素を含む一部のガスを系外に放出することによっても調整することができる。
得られる重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、後述の担体(B)の違いや重合溶媒中の4−メチル−1−ペンテン濃度の調整により調節することもできる。
スラリー重合体により4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を製造する場合には、得られるスラリーにおける重合体の溶媒可溶部(SP)量を、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下に調節する。SP量が上記範囲にあると固液分離性に優れる。適切なメタロセン触媒(例えば後述のメタロセン触媒)を用いることでSP量を上記範囲に調整することが出来る。例えば後述する好ましいメタロセン化合物(一般式[A1]、さらに好ましくは一般式[A2])を含むメタロセン触媒を用いることで、溶媒可溶部(SP)の発生が抑制され、SP量を上述の好ましい範囲に調整しやすい。
また、4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を重合する際には、メタロセン触媒以外の触媒を用いることもできる。メタロセン触媒以外の触媒としては例えば、国際公開第2006/054613号に開示されたオレフィン重合用触媒(国際公開第2006/054613号の比較例に開示された触媒を含む)が挙げられる。
《メタロセン触媒》
4−メチル−1−ペンテン重合体(X)は、メタロセン触媒を用いて製造することが好ましい。チーグラー触媒を用いる場合に比べて、メタロセン触媒を用いることで、得られる重合体の溶媒可溶部量が減りスラリー性状が向上し、例えばコモノマーから導かれる構成単位の含有量が多い場合にもスラリー性状が良好となる。したがって、スラリーから目的とする溶媒不溶性の粒子を効率良く分離回収することができる。
メタロセン触媒は、後述のメタロセン化合物(A)を含むことが好ましい。
メタロセン触媒は、担体(B)をさらに含むことができる。
メタロセン触媒は、好ましくは、体積統計値でのD50が1〜500μmの範囲にある粒子状触媒であり、D50はより好ましくは2〜200μm、さらに好ましくは5〜50μmの範囲にある。体積統計値でのD50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。メタロセン触媒のD50は、通常、後述する担体(B)のD50と同等、すなわち、担体(B)のD50の通常は0.90〜1.10倍の範囲、好ましくは0.95〜1.05倍の範囲、より好ましくは1.0〜1.03倍の範囲にある。
〈メタロセン化合物(A)〉
メタロセン化合物(A)としては、例えば、国際公開第2005/121192号、国際公開第2014/050817号、国際公開第2014/123212号、国際公開第2017/150265号等で開示の化合物が例示される。国際公開第2014/050817号、国際公開第2017/150265号等で開示の架橋メタロセン化合物が好適に挙げられるが、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
メタロセン化合物(A)は、一般式[A1]で表される化合物が好ましい。
Figure 2021161131
式[A1]中、R1は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2〜R10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一のまたは異なる組合せで選ばれ、jは1〜4の整数である。
特に好ましいメタロセン化合物(A)として、重合活性の低下が少なく、高立体規則性重合が可能であり、コモノマーの共重合性能に優れ、かつ高分子量の共重合体が得られる錯体化合物が好適に用いられる。高立体規則性重合が可能であることにより、スラリー重合中での溶出ポリマー成分が抑制され、かつ、重合体の融点を高い範囲に調整することができ、得られる重合体の耐熱性を高く調節することができる。また、コモノマー共重合性能に優れることは、重合体の共重合組成を自在に変えることを可能とし、重合体の用途に応じた柔軟性を適切に設定することができる。また、高分子量の共重合体が得られることは、すなわち重合体の分子量を高く調整することを可能とし、得られる重合体の強度や靭性を高いものにすることができるために好ましい。
このような観点から、一般式[A1]で表される化合物の中でも、国際公開第2014/050817号などに記載の、一般式[A2]で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2021161131
式[A2]中、R1bは炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2b〜R12bは水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、nは1〜3の整数であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一のまたは異なる組合せで選ばれ、jは1〜4の整数である。
(R1からR10、R1bからR12b
1からR10およびR1bからR12bにおける炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
1からR10およびR1bからR12bにおけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式−SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1からR10およびR1bからR12bにおけるハロゲン含有炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の、上記炭化水素基が有する1または2以上の水素原子をハロゲン原子に置換してなる基が挙げられる。
2からR10およびR2bからR12bにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
2からR10およびR2bからR12bまでの置換基のうち、2つの置換基(例:R2bとR3b、R3bとR4b、R5bとR6b、R6bとR7b、R8bとR9b、R9bとR10b、R10bとR11b、R11bとR12b)が互いに結合して環を形成していてもよく、前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本発明において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(スピロ環、付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環、シクロペンテン環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環、ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
1bは、立体規則性の観点から、炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜20の炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
1bとしては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である置換基であり、特に好ましくはtert−ブチル基、1−アダマンチル基である。
一般式[A2]において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されないが、R4bおよびR5bは、立体規則性、分子量の観点から、好ましくは水素原子である。
2b、R3b、R6bおよびR7bは、好ましくは水素原子または炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基である。また、R2bとR3bが互いに結合して環を形成し、かつR6bとR7bが互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基である。
8bは水素原子であることが好ましい。
9bは炭化水素基であることがより好ましく、R9bは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等の炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、R9bは炭素数2以上のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、合成上の観点からは、R10bおよびR11bは水素原子であることも好ましい。
あるいは、n=1である場合、R9bおよびR10bが互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。この場合、R11bは水素原子であることが好ましい。
12bは、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。
(M、Q、nおよびjについて)
Mは周期表第4族遷移金属であり、例えばTi、ZrまたはHfであり、好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示す。
Qでのハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qにおける炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基が例示され;炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基が例示される。炭化水素基の炭素数は、5以下であることがより好ましい。
炭素数10以下の中性の共役または非共役ジエンとしては、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンが例示される。
アニオン配位子としては、メトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基が例示される。
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が例示される。
Qの好ましい態様は、ハロゲン原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
nは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。nが上記値であることにより、生成する重合体を効率的に得る観点から好ましい。
jは1〜4の整数であり、好ましくは2である。
以上、一般式[A1]または[A2]で表される化合物の構成、すなわちR1〜R10、R1b〜R12b、M、n、Qおよびjについて、好ましい態様を説明した。本発明では、それぞれの好適態様の任意の組合せも好ましい態様である。このような架橋メタロセン化合物は、上記物性を有する重合体を得るために好適に使用することができる。
一般式[A2]で表される化合物としては、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドまたは(8-(2,3,6,7-テトラメチルフルオレン)-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドが特に好ましい。ここで、上記オクタメチルフルオレンとは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレンのことである。
〈担体(B)〉
担体(B)は、好ましくは粒子状であり、その表面および内部にメタロセン化合物(A)を固定化させることで、前記メタロセン触媒が形成される。このような形態の触媒は一般にメタロセン担持触媒と呼ばれる。
担体(B)は、有機アルミニウム化合物(B-1)、有機ホウ素化合物(B-2)、もしくは無機化合物(B-3)、またはこれらから選ばれる2種以上の複合体を主成分とする。
有機アルミニウム化合物(B-1)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロアルキルアルミニウムや、アルミノキサンに代表される有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。また、有機アルミニウム化合物(B-1)としては、例えば、ホウ素原子を含む有機アルミニウムオキシ化合物や、国際公開第2005/066191号、国際公開第2007/131010号に例示されているようなハロゲンを含むアルミノキサン、国際公開第2003/082879号に例示されているようなイオン性アルミノキサンを挙げることもできる。
有機ホウ素化合物(B-2)としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
無機化合物(B-3)としては、例えば、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物、またはイオン交換性層状化合物が挙げられる。
多孔質酸化物としては、例えば、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等の酸化物、またはこれらを含む複合物もしくは混合物が挙げられる。例えば、天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2、SiO2-V2O5、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgOなどを例示することができる。
無機ハロゲン化物としては、例えば、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
粘土は、通常は粘土鉱物を主成分として構成される。イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能である。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物としては、粘土、粘土鉱物、または六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物を例示することができる。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理等、何れも使用できる。化学処理としては、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
本発明に用いる担体(B)として、高活性かつ溶媒可溶部量をさらに抑制する観点から、アルミニウム原子を含有する担体が好ましい。担体(B)中のアルミニウム原子の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは20〜60質量%、さらに好ましくは30〜50質量%、特に好ましくは35〜47質量%である。
また、担体(B)の体積統計値でのD50は、好ましくは1〜500μm、より好ましくは2〜200μm、さらに好ましくは5〜50μmである。体積統計値でのD50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。
このような担体(B)としては、固体状アルミノキサンが好適に用いられ、例えば、国際公開第2010/055652号、国際公開第2013/146337号、あるいは、国際公開第2014/123212号で開示される固体状アルミノキサンが特に好適に用いられる。
「固体状」とは、固体状アルミノキサンが用いられる反応環境下において、当該アルミノキサンが実質的に固体状態を維持することを意味する。より具体的には、例えばオレフィン重合触媒を構成する各成分を接触させてオレフィン重合固体触媒成分を調製する際、反応に用いられるヘキサンやトルエン等の不活性炭化水素媒体中、特定の温度・圧力環境下において前記アルミノキサンが固体状態であることを表す。
固体状アルミノキサンは、好ましくは式(1)で表される構成単位および式(2)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を有するアルミノキサンを含有し、より好ましくは式(1)で表される構成単位を有するアルミノキサンを含有し、さらに好ましくは式(1)で表される構成単位のみからなるポリメチルアルミノキサンを含有する。
Figure 2021161131
式(1)中、Meはメチル基である。
式(2)中、R1は炭素数2〜20の炭化水素基、好ましくは炭素数2〜15の炭化水素基、より好ましくは炭素数2〜10の炭化水素基である。炭化水素基としては、例えば、エチル、プロピル、n−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル等のアルキル基;シクロヘキシル、シクロオクチル等のシクロアルキル基;フェニル、トリル等のアリール基が挙げられる。
固体状アルミノキサンの構造は必ずしも明らかにされておらず、通常は、式(1)および/または式(2)で表される構成単位が2〜50程度繰り返されている構成を有すると推定されるが、当該構成に限定されない。また、その構成単位の結合態様は、例えば、線状、環状またはクラスター状と種々であり、アルミノキサンは、通常、これらのうちの1種からなるか、または、これらの混合物であると推定される。また、アルミノキサンは、式(1)または式(2)で表される構成単位のみからなってもよい。
固体状アルミノキサンとしては、固体状ポリメチルアルミノキサンが好ましく、式(1)で表される構成単位のみからなる固体状ポリメチルアルミノキサンがより好ましい。
固体状アルミノキサンは、通常は粒子状であり、体積統計値でのD50が好ましくは1〜500μm、より好ましくは2〜200μm、さらに好ましくは5〜50μmである。体積統計値でのD50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。
固体状アルミノキサンは、比表面積が好ましくは100〜1000m2/g、より好ましくは300〜800m2/gである。比表面積は、BET吸着等温式を用い、固体表面におけるガスの吸着および脱着現象を利用して求めることができる。
固体状アルミノキサンは、触媒担体として機能する。このため、固体状アルミノキサンの他に、触媒担体として、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウム等の固体状無機担体、またはポリスチレンビーズ等の固体状有機担体を用いなくともよい。
固体状アルミノキサンは、例えば、国際公開第2010/055652号および国際公開第2014/123212号に記載された方法により調製することができる。
〈有機化合物成分(C)〉
メタロセン触媒は、さらに必要に応じて、有機化合物成分(C)を含有することもできる。有機化合物成分(C)は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(C)としては、前述の有機アルミニウム化合物(B-1)を用いうる。その他に例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩が挙げられる。
〈各成分の使用法および添加順序〉
オレフィン重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、メタロセン化合物(A)、担体(B)および有機化合物成分(C)を、それぞれ「成分(A)〜(C)」ともいう。
(i)成分(A)と成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(ii)成分(A)を成分(B)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(i)〜(ii)の各方法においては、任意の段階でさらに成分(C)が添加されてもよい。また、各触媒成分の少なくとも2つは予め接触されていてもよい。
また、成分(B)に成分(A)が担持された固体触媒成分においては、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等のオレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
本発明では、メタロセン化合物(A)と担体(B)と任意に他の成分とからメタロセン触媒を調製し、この触媒の存在下で4−メチル−1−ペンテンを含むモノマーを重合することが好ましい。「メタロセン触媒の存在下で4−メチル−1−ペンテンを含むモノマーを重合する」は、上記各方法のように、任意の方法でメタロセン触媒を構成する各成分を重合器に添加してモノマーを重合する態様を包含する。
メタロセン触媒を用いて4−メチル−1−ペンテンを含むモノマーの重合を行うに際して、メタロセン触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。また、メタロセン触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに調節することができる。
成分(A)は、反応容積1リットル当り、通常は10-10〜10-2モル、好ましくは10-8〜10-3モルとなるような量で用いられる。成分(B-1)は、成分(B-1)中のアルミニウム原子と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が通常は10〜10000、好ましくは30〜2000、特に好ましくは150〜500となるような量で用いることができる。成分(B-2)は、成分(B-2)と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-2)/M〕が通常は10〜10000、好ましくは30〜2000、さらに好ましくは150〜500となるような量で用いることができる。成分(B-3)は、成分(B-3)と成分(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/M〕が通常は10〜10000、好ましくは30〜2000、さらに好ましくは150〜500となるような量で用いることができる。
成分(C)を用いる場合は、成分(B)が成分(B-1)の場合には、成分(B-1)中のアルミニウム原子と成分(C)のモル比〔Al/(C)〕が通常は0.002〜500、好ましくは0.01〜60となるような量で、成分(B)が成分(B-2)の場合には、成分(B-2)と成分(C)のモル比〔(B-2)/(C)〕が通常は0.002〜500、好ましくは0.01〜60となるような量で、成分(B)が成分(B-3)の場合は、成分(B-3)と成分(C)のモル比〔(B-3)/(C)〕が通常は0.002〜500、好ましくは0.01〜60となるような量で用いることができる。
《多段重合法》
重合体(X)として、二種以上の重合体を用いる場合、前述のように多段重合法により重合することが可能であるが、多段重合法の一例として、重合体(A)および共重合体(B)を、この順で重合する場合を説明する。
重合体(A)および共重合体(B)を、この順で重合する場合には例えば、重合体(A)を好ましくはスラリー重合により製造する工程(1)と、工程(1)で得られた重合体(A)の存在下で、共重合体(B)を好ましくはスラリー重合により製造する工程(2)とを有する多段重合法により、重合体(X)を製造することができる。
前記多段重合法は、重合条件の異なる工程(1)と工程(2)とを有するが、工程(1)および(2)の二段式重合でもよく、工程(1)および(2)に加えて他の工程をさらに含む三段式以上の重合であってもよい。
《工程(1)》
工程(1)では、重合体(A)を好ましくはスラリー重合により製造する。
工程(1)では、重合体(A)を含むスラリーが得られる。スラリー濃度、すなわち重合体(A)粒子濃度は、通常は0.015〜45質量%、好ましくは0.03〜35質量%である。
《工程(2)》
工程(2)では、工程(1)で得られた重合体(A)の存在下で、共重合体(B)を好ましくはスラリー重合により製造する。工程(2)において、4−メチル−1−ペンテンおよびエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンの供給量比は、それぞれから導かれる構成単位の量が上述した範囲にあるように設定される。
工程(2)では、工程(1)で得られた重合体(A)および工程(2)で得られる共重合体(B)の合計量を100質量部とした場合に、重合体(A)の量が通常は5〜90質量部となる範囲で、重合体(A)を製造する。
工程(2)の一実施態様では、重合体(A)を含むスラリーに、4−メチル−1−ペンテンおよびエチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンを添加し、これらモノマーのスラリー重合を行うことができる。
工程(2)では、重合体(A)および共重合体(B)を含有する粒子を含むスラリーが得られる。スラリー濃度、すなわち粒子濃度は、通常は3〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。
上記多段重合法では通常はスラリー重合を採用するが、「スラリー重合」とは、重合により生じる重合体が、重合時に用いた上記媒体に実質的に溶解することなく、例えば微粒子として上記媒体に分散した形で存在することを特徴とする重合をいう。
《固液分離工程》
工程(2)で得られた、重合体(A)および共重合体(B)からなる重合体(X)の粒子を含むスラリーを、固液分離する、例えば濾過することにより、前記粒子を分離回収することができる。
《後処理工程》
上記多段重合法で得られた重合体(X)の粒子、例えば上記固液分離工程で得られた粒子に対しては、上記方法で製造した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
以上のようにして、重合体(A)および(B)からなる重合体(X)を得ることができる。
[スマートデバイス用カバー]
本発明のスマートデバイス用カバーは、前述の4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を含む。
前記スマートデバイス用カバーは、好ましくは少なくとも4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を含む原料から得られるカバーである。
前記原料には、前述の4−メチル−1−ペンテン重合体(X)以外の成分を用いてもよい。4−メチル−1−ペンテン重合体(X)以外の成分としては、例えば、重合体(X)以外の重合体(以下、「その他の重合体」ともいう)を用いることが出来る。その他の重合体としては、例えば後述するα−オレフィン重合体(C)や、これら以外のエラストマーが挙げられる。
また、重合体(X)以外の成分としては、各種添加剤を用いることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、塩酸吸収剤が挙げられる。添加剤の使用量は特に制限されないが、原料100質量%中に占める、重合体(X)以外の成分の量は、通常は50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。原料100質量%中に占める、重合体(X)以外の成分の量の下限としては0質量%である。
本発明のスマートデバイス用カバーは、前述の4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を含むため、耐染色性に優れる。耐染色性は、例えば実施例に記載の方法で評価することが可能である。
なお、スマートデバイスとは、多機能型の情報処理端末であり、例えばスマートフォン、タブレットコンピュータ(タブレットPC)、スレートコンピュータ(スレートPC)等が挙げられる。スマートデバイスは、多くの場合樹脂(重合体)製のカバーが装着された状態で使用され、スマートデバイス用カバーは、通常スマートデバイスから着脱可能となるように形成される。
スマートデバイス用カバーの形状およびサイズは、スマートデバイスの形状およびサイズによって適宜決めることができる。スマートデバイス用カバーの厚さとしては、特に制限はないが、例えば1〜20mmである。
<その他の重合体>
前記原料としては、前述のようにその他の重合体をさらに用いることができる。その他の重合体としては、例えば、α−オレフィン重合体(C)(但し、4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を除く)や、これら以外のエラストマーが挙げられる。
α−オレフィン重合体(C)は、例えば、炭素数2〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)の重合体であり、炭素数2〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)の単独重合体または共重合体が挙げられる。
炭素数2〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の直鎖状α−オレフィン;イソブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン等の分岐状α−オレフィンが挙げられる。これらの中でも、炭素数15以下のα−オレフィンが好ましく、炭素数10以下のα−オレフィンがより好ましい。
α−オレフィン重合体(C)としては、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1−オクテンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン・エチリデンノルボルネンランダム共重合体、エチレン・1−ブテン・1−オクテンランダム共重合体等のエチレン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・1−オクテンランダム共重合体等のプロピレン共重合体、1−ブテン単独重合体、1−ブテン・1−ヘキセンランダム共重合体、1−ブテン・1−オクテンランダム共重合体等のブテン共重合体が挙げられる。
α−オレフィン重合体(C)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]Cは、通常は0.1〜10dL/g、好ましくは0.5〜5dL/gである。
原料として、1種または2種以上のα−オレフィン重合体(C)を用いてもよい。
原料としてα−オレフィン重合体(C)を用いる場合には、重合体(X)を100質量部とした際に、α−オレフィン重合体(C)が、通常は40質量部以下、好ましくは30質量部以下である。
[スマートデバイス用カバーの製造方法]
本発明のスマートデバイス用カバーを製造する方法としては特に制限はなく、前述の原料を適宜成形することにより、スマートデバイス用カバーを製造することが可能である。
成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、真空成形、ブロー成形、プレス成形、圧空成形等の公知の熱成形方法を用いることができる。熱成形の温度は、成形方法、4−メチル−1−ペンテン重合体(X)の融点(Tm)等に応じて適宜設定することが可能である。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の記載において、特に言及しない限り「部」は「質量部」を表す。
[製造例]
[遷移金属錯体の合成]
国際公開第2014/050817号の合成例4に従い、(8−オクタメチルフルオレン−12'−イル−(2−(アダマンタン−1−イル)−8−メチル−3,3b,4,5,6,7,7a,8−オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド(触媒(A))を合成した。
[固体触媒成分の調製]
30℃下、充分に窒素置換した100mLの攪拌機を付けた三つ口フラスコ中に、窒素気流下で精製デカン32mLおよび固体状ポリメチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製)をアルミニウム原子換算で14.65mmol装入し、懸濁液とした。その懸濁液に、先に合成した触媒(A)50mg(ジルコニウム原子換算で0.059mmol)を4.6mmol/Lのトルエン溶液とし、この溶液12.75mLを撹拌しながら加えた。1.5時間後攪拌を止め、得られた触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄し、デカンに懸濁させてスラリー液(B)50mLを得た。この触媒成分においてZr担持率は100%であった。
[予備重合触媒成分の調製]
上記で調製したスラリー液(B)に、窒素気流下、トリエチルアルミニウムのデカン溶液(アルミニウム原子換算で0.2mmol/mL)を0.4mL、さらに3−メチル−1−ペンテンを7.5mL(5.0g)装入した。1.5時間後攪拌を止め、得られた予備重合触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄した。この予備重合触媒成分をデカンに懸濁させて、デカンスラリー(C)(予備重合触媒成分のデカンスラリー)50mLを得た。デカンスラリー(C)における予備重合触媒成分の濃度は20g/L、1.05mmol−Zr/Lであり、Zr回収率は90%であった。
[製造例1]
室温(25℃)、窒素気流下で、内容積6Lの攪拌機を付けたSUS製重合器に、精製デカンを1300mL、トリエチルアルミニウム溶液(アルミニウム原子換算で1.0mmol/mL)を1.2mL(アルミニウム原子換算で0.4mmol)装入した。次いで、先に調製した予備重合触媒成分のデカンスラリーをジルコニウム原子換算で0.0042mmol加え、40℃まで昇温した。40℃到達後、水素を9NL装入し、次いで、4−メチル−1−ペンテン81kgを28分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。この装入開始時点を重合開始とし、45℃で2時間保持した。45℃にて系内を脱圧、残存水素を系外に排出するため、窒素(0.5MPa)による加圧・脱圧を3回行った。その後、45℃、窒素気流下で、水素を19NL装入し、次いで、4−メチル−1−ペンテン139kgと1−デセン29kgとの混合溶液を48分かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。この装入開始時点を重合開始とし、45℃で3時間保持した。重合開始から3時間経過後、室温まで降温し、脱圧した後、ただちに白色固体を含む重合液(スラリー)を濾過して固体状物質を得た。この固体状物質を減圧下、80℃で8時間乾燥し、重合体(X−1)を得た。
[製造例2]
国際公開2017/150265号の[0159]段落および[0183]段落、表1に記載の比較例3の方法に準じ、重合体(X―2)を得た。
前記重合体(X−1)および重合体(X−2)の物性を以下の方法で測定した。
(測定条件)
[構成単位の含量]
重合体(X−1)および重合体(X−2)中のエチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンに由来の構成単位(コモノマー)の含量は、以下の装置および条件により、13C−NMRスペクトルより算出した。
ブルカー・バイオスピン製AVANCE III cryo−500型核磁気共鳴装置を用いて、溶媒はo−ジクロロベンゼン/ベンゼン−d6(4/1v/v)混合溶媒、試料濃度は55mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間は5.5秒、積算回数は64回とし、ベンゼン−d6の128ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。主鎖メチンシグナルの積分値を用い、下記式によってコモノマー由来の構成単位の含量を算出した。
コモノマー由来の構成単位の含量(%)=[P/(P+M)]×100
ここで、Pはコモノマー主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示し、Mは4−メチル−1−ペンテン主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示す。
[メルトフローレート(MFR)]
メルトフローレート(MFR)はASTM D1238に準拠して260℃、5kg荷重の条件で測定した。
[極限粘度[η]]
離合社製自動動粘度測定装置VMR−053PCおよび改良ウベローデ型毛細管粘度計を用い、デカリン、135℃での比粘度ηspを求め、下記式より極限粘度([η])を算出した。
[η]=ηsp/{c(1+K・ηsp)}
(c:溶液濃度[g/dl]、K:定数)
なお、工程(1)で生成した重合体の極限粘度[η]は、工程(1)の重合終了時に抜き出した重合体スラリーから得た重合体を用いて求め、工程(2)で生成した重合体の極限粘度[η]は、工程(1)で得られた重合体の極限粘度[η]、最終重合体(工程(1)+工程(2))の極限粘度[η]、およびそれぞれの工程で生成した重合体の割合を用いて求めた。具体的には、工程(1)、(2)で生成した重合体、最終重合体の[η]をそれぞれ[η]1、[η]2および[η]fとし、工程(1)、(2)で生成した重合体の割合をそれぞれw1およびw2とすると、[η]2=([η]f−w1・[η]1)/w2である。
[融点(Tm)]
エスアイアイナノテクノロジ一社製EXSTAR DSC6220を用い、窒素雰囲気下(30ml/min)、約4mgの試料を30℃から280℃まで昇温した。280℃で5分間保持した後、10℃/minで−50℃まで冷却した。−50℃で5分間保持した後、10℃/minで280℃まで昇温させた。2回目の昇温時に観測された結晶溶融ピークの頂点温度を融点(Tm)とした。各段階で生成した重合体についてピークが複数検出された場合は、温度が最大のものを融点(Tm)とした。
[密度]
JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して密度を求めた。
重合体(X−1)および重合体(X−2)の組成、物性等を表1に示す。
Figure 2021161131
[実施例1]
<ペレット作製>
重合体(X−1)100部に対して、耐熱安定剤としてn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピネートを0.1部、塩酸吸収剤としてステアリン酸カルシウムを0.1部配合した。次いで、得られた配合物を、(株)プラスチック工学研究所社製二軸押出機BT−30(スクリュー系30mmφ、L/D=46)を用い、設定温度270℃、重合体押出量60g/minおよび200rpmの条件で造粒し、ペレットを得た。
<プレート作製>
得られたペレットを用いて、名機製作所(株)製、70トン射出成形機(M70B)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度60℃の射出条件で2mm厚みのプレートを作製した。
[実施例2]
<ペレット作製>
重合体(X−2)100部に対して、耐熱安定剤としてn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネートを各0.7部、塩酸吸収剤としてステアリン酸カルシウムを0.7部配合した。次いで、得られた配合物を、(株)プラスチック工学研究所社製二軸押出機BT−30(スクリュー系30mmφ、L/D=46)を用い、設定温度270℃、重合体押出量60g/minおよび200rpmの条件で造粒し、ペレットを得た。
<プレート作製>
得られたペレットを用いて、名機製作所(株)製、70トン射出成形機(M70B)を用い、シリンダー温度280℃、金型温度60℃の射出条件で2mm厚みのプレートを作製した。
[比較例1]
ポリカーボネートの1mm厚のスマートフォンカバー(商品名「wn−0682331−wy」、ホワイトナッツ社製)を用いて評価を行った。
[比較例2]
<ポリウレタンの合成>
国際公開第2019/069802号の比較例12に準じ、[0183]〜「0193」段落および[0223]段落、表7に記載の処方に従い、ポリウレタン樹脂のペレットを得た。
<ポリウレタンシートの成形方法>
得られたポリウレタン樹脂のペレットを、予め真空減圧下、80℃で12時間乾燥させ、射出成型機(型式:NEX−140、日精樹脂工業社製)を使用して、スクリュー回転数80rpm、バレル温度200〜270℃の設定にて、金型温度20℃、射出時間10秒、射出速度60mm/s、保圧50MPaおよび冷却時間20〜60秒の条件で、表面状態の良好なシートを得るように、射出成形した。
得られた1mm厚みのシートを、80℃のオーブン中で24時間アニール処理をした後、室温23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下にて、7日間養生し、ポリウレタンシートを得た。
実施例1、2で得られたプレート、比較例1のスマートフォンカバーおよび、比較例2で得られたポリウレタンシートについて、以下の物性を評価した。
[耐染色性]
<水性インク染色試験>
下記条件でサンプルに前処理、浸漬、後処理を行い評価した。評価は、外観を目視で観察することにより行った。
インク :ライオン事務器 スタンプインキ 赤 280−40
サンプル :プレート(実施例1、2)、スマートフォンカバー(比較例1)および、ポリウレタンシート(比較例2)
前処理 :キムタオルで乾拭き
浸漬:23℃20h、60℃2h インクを充填した瓶の中で密閉、空気雰囲気
後処理 :水道水で洗浄
後処理後、外観を目視で観察した。
AA:着色なし
BB:やや着色
CC:着色
<油性インク染色試験>
下記条件でサンプルに浸漬、後処理を行い評価した。評価は、外観を目視で観察することにより行った。
インク :寺西化学工業 magicINK補充液 赤インク No.500
サンプル :プレート(実施例1、2)、スマートフォンカバー(比較例1)および、ポリウレタンシート(比較例2)
浸漬:23℃1h インクを充填した瓶の中で密閉、空気雰囲気
後処理 :イソプロパノールをつけたキムタオルで拭き取り
後処理後、外観を目視で観察した。
AA:着色なし
BB:やや着色
CC:着色
<全光線透過率、ヘイズ>
プレート(実施例1、2)、スマートフォンカバー(比較例1)および、ポリウレタンシート(比較例2)について、JIS K7361に準拠する方法にて、全光線透過率、ヘイズを測定した。
実施例1、2のプレートは厚さが2mmであるが、全光線透過率が92%を超えていた。全光線透過率は、一般に厚さと負の相関があるため、この測定結果から、実施例1、2で用いた重合体(X−1)および重合体(X−2)を用いて1mm厚シートを得た場合には、全光線透過率は当然に92%以上になると評価した。
<耐UV変色性>
プレート(実施例1、2)、スマートフォンカバー(比較例1)および、ポリウレタンシート(比較例2)から20×60mmのサイズの試験片を切り出して、紫外線蛍光灯が取り付けられたQUVウェザリングテスター(スガ試験機社製、紫外線蛍光灯ウェザーメーターFUV)を使用して、60℃、相対湿度10%、紫外線(波長270〜720nm)の照射強度28W/m2の条件および50℃、相対湿度95%、紫外線照射なしの条件を4時間ごとに、96時間にわたり、12サイクル繰り返した。
サイクル試験前後におけるシートのb値を色差計(東京電色社製、カラーエースMODEL TC−1)を用いて測定し、前後のb値の変化量をΔbとした。
実施例、比較例の評価結果を表2に示す。
Figure 2021161131

Claims (4)

  1. 4−メチル−1−ペンテン重合体(X)を含む、スマートデバイス用カバー。
  2. 前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が、4−メチル−1−ペンテン単独重合体(A)並びに、4−メチル−1−ペンテンと、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとの共重合体(B)から選択される少なくとも1種の重合体である、請求項1に記載のスマートデバイス用カバー。
  3. 前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)が、下記要件(X−a)〜(X−d)を満たす、請求項1または2に記載のスマートデバイス用カバー。
    (X−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の量が20.0〜100モル%であり、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン(但し、4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる構成単位の量が80.0〜0モル%である。
    (X−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が1.0〜8.0dL/gである。
    (X−c)DSCで測定した融点(Tm)が、180〜260℃である。
    (X−d)JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して測定された密度が820〜880kg/m3である。
  4. 前記4−メチル−1−ペンテン重合体(X)のJIS K7361に準拠する方法にて測定した全光線透過率(1mm厚シート)が92%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスマートデバイス用カバー。
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