JP7433108B2 - フィルム - Google Patents

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Description

本発明はフィルムに関する。
4-メチル-1-ペンテン重合体は、ポリエチレンやポリプロピレンに比べて、耐熱性および電気特性等の特性に優れ、各種用途に広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、4-メチル-1-ペンテン共重合体からなるコンデンサ用フィルムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
近年、省エネルギー化および高効率化の観点から、高耐電圧で低損失の電気特性を有する金属化フィルムコンデンサが注目されている。従来の金属化フィルムコンデンサでは、誘電体用フィルムは一般的にポリプロピレン(PP)フィルムが用いられていた。PPフィルムは耐熱温度が約110℃程度と低く、耐熱性向上を図った検討により融点は170℃程度まで改善したが、該融点が改善されたPPフィルムであっても、自動車用として要求される耐熱温度130℃での連続使用という過酷な条件下では満足に使用することができなかった(特許文献2等参照)。また、耐熱性を上げるためにフィルムの剛性を高めると、柔軟性とのトレードオフにより裂け易くなる課題があった。これは製品の歩留まりを低下することに繋がる。
国際公開第2014/050817号 特開2014-11182号公報
本発明の課題は、過酷な高温雰囲気の環境で使用されても充分な品質を維持できる様に、高温での高い絶縁破壊強さと、高温での低い収縮率を備えており、かつスリットなどフィルムの加工工程やコンデンサ製造工程でフィルム裂けが生じにくいフィルムを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下に記載のフィルムであれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]~[8]に関する。
[1]
下記要件(A-a)~(A-d)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)90~5質量部と、下記要件(B-a)~(B-d)および(B-a1)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)10~95質量部(ただし共重合体(A)および共重合体(B)の合計を100質量部とする)とを含むフィルム(α)を二軸延伸させて得られる、MD(machine direction)の引張破断強度とTD(transverse direction)の引張破断強度との比(MDの引張破断強度/TDの引張破断強度)が0.5~3.0の範囲であるフィルム(β)。
(A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の量(U3)が20.0~98.0モル%であり、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数5~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(U4)が80.0~2.0モル%である。(ただし、前記U3および前記U4の合計を100モル%とする)。
(A-b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]Aが1.7~8.0dL/gである。
(A-c)検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で前記共重合体(A)を測定した場合に、0℃以上100℃未満の範囲に溶出成分量のピークが少なくとも1つ存在する。
(A-d)検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で前記共重合体(A)を測定した場合に、0℃以上100℃未満の範囲の溶出成分における重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、1.0~7.0である。
(B-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の量(U5)が80.0~99.9モル%であり、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(U6)が20.0~0.1モル%である。(ただし、前記U5および前記U6の合計を100モル%とする)。
(B-b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]Bが0.5~5.0dL/gである。
(B-c)検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で前記共重合体(B)を測定した場合に、100℃以上140℃未満の範囲に溶出成分量のピークが少なくとも1つ存在する。
(B-d)検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で前記共重合体(B)を測定した場合に、100℃以上140℃未満の範囲の溶出成分における重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、1.0~3.5である。
(B-a1)前記要件(A-a)に記載のU4(モル%)と、前記要件(B-a)に記載のU6(モル%)との比(U4/U6)が、1.0を超えて50.0未満である。
[2]
前記フィルム(β)が、前記フィルム(α)を逐次二軸延伸させて得られるフィルムである、[1]に記載のフィルム(β)。
[3]
前記共重合体(B)におけるα-オレフィンが、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数5~20のα-オレフィンである、[1]または[2]に記載のフィルム(β)。
[4]
前記共重合体(A)および共重合体(B)におけるα-オレフィンが、それぞれ独立に炭素数10~20のα-オレフィンである、[1]~[3]のいずれかに記載のフィルム(β)。
[5]
前記二軸延伸における延伸倍率が面積換算で1.1~100倍である、[1]~[4]のいずれかに記載のフィルム(β)。
[6]
厚さが1~100μmである、[1]~[5]のいずれかに記載のフィルム(β)。
[7]
コンデンサ用フィルムである、[1]~[6]のいずれかに記載のフィルム(β)。
[8]
フィルムコンデンサの誘電体用フィルムである、[1]~[7]のいずれかに記載のフィルム(β)。
本発明によれば、二軸延伸により得られるフィルムであって、高温環境下で使用されても品質を維持できる高い耐熱性を備え、かつ、フィルム裂けが生じ難いフィルムを提供することができる。
次に本発明について具体的に説明する。
本明細書において、数値範囲n1~n2は、n1<n2の場合はn1以上n2以下の数値範囲を意味し、n1>n2の場合はn2以上n1以下の数値範囲を意味する。
本明細書において、用語「キャパシタ」は、コンデンサと同じ意味で用いる。
なお、以下の説明において各種物性を記載するが、前記各種物性の測定条件の詳細は実施例欄に記載する。
[フィルム(β)]
本発明のフィルム(β)は、以下に説明する4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)を特定量含むフィルム(α)を二軸延伸させて得られる。
本発明において、「フィルム」とは平面上の成形物の総称であり、シート、膜(メンブレン)、テープなども含む概念である。
本発明のフィルム(β)の用途としては、特に制限はないが、フィルムコンデンサの誘電体用フィルム等のコンデンサ用フィルムであることが好ましい。フィルム(α)は、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)を含むためフィルム延伸性に優れる。また、本発明のフィルム(β)は高温環境下で使用されても品質を維持できる高い耐熱性を備えている。本発明のフィルム(β)がコンデンサ用フィルムであると、高温環境下で使用されても絶縁破壊電圧の低下が小さく、品質を維持できる高い耐熱性を備え、高温における誘電損失特性が良好であるため、長期寿命の観点から優れた電気特性を有する。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)>
前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位を有する共重合体であり、下記要件(A-a)~(A-d)を満たす。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)は、下記要件(A-a)~(A-d)を満たす1種の4-メチル-1-ペンテン共重合体であってもよく、下記要件(A-a)~(A-d)を満たす2種以上の4-メチル-1-ペンテン共重合体であってもよい。
《要件(A-a)》
共重合体(A)において、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の量(U3)は20.0~98.0モル%であり、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数5~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(U4)は80.0~2.0モル%である。U3は、好ましくは20.0~97.0モル%、より好ましくは25.0~97.0モル%である。U4は、好ましくは80.0~3.0モル%、より好ましくは75.0~3.0モル%である。ただし、前記U3および前記U4の合計を100モル%とする。なお、この100モル%とは、前記U3および前記U4の合計を意味するのであって、共重合体(A)を構成する全構成単位100モル%を意味するものではない。
各構成単位量が上記範囲にあると、フィルム(α)の延伸性が良好となり、その結果、フィルム(β)の耐電圧特性が向上する傾向にあり、例えば高温環境下で絶縁破壊電圧の低下が小さくなる傾向にある。
コモノマーとして炭素数5~20のα-オレフィンを用いると、フィルム(α)の延伸性およびフィルム(β)の耐電圧特性に優れる傾向にある。炭素数5~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンが挙げられる。これらの中でも、フィルム(α)がより延伸性に優れるという観点から、炭素数6~20のα-オレフィンが好ましく、炭素数10~20のα-オレフィンがより好ましく、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンがさらに好ましい。
共重合体(A)は、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数5~20のα-オレフィンから導かれる構成単位を1種のみ有してもよく、2種以上有してもよい。
共重合体(A)は、本発明の目的を損なわない範囲で、他の重合性化合物から導かれる構成単位をさらに有することができる。他の重合性化合物としては、例えば、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル;無水マレイン酸等の不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン等の共役ジエン;1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等の非共役ポリエンが挙げられる。
共重合体(A)において、他の重合性化合物から導かれる構成単位の含有割合は、前記(A)を構成する全構成単位100モル%中、通常は10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。
《要件(A-b)》
共重合体(A)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]Aは、1.7~8.0dL/gである。前記[η]Aは、好ましくは2.0~7.7dL/g、より好ましくは2.5~7.5dL/g、さらに好ましくは2.7~7.3dL/g、特に好ましくは2.9~7.0dL/gである。
[η]Aが上記範囲にある共重合体(A)は、成形時において良好な流動性を示し、また、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)と組み合わせた場合に延伸性の向上に寄与すると考えられる。
《要件(A-c)》
検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で共重合体(A)を測定した場合に、0℃以上100℃未満の範囲に溶出成分量のピークが少なくとも1つ存在する。前記溶出成分量のピークは、好ましくは0~80℃の範囲に存在する。なお、前記溶出成分量のピークの位置は、ピークトップの位置にて判断する。
共重合体(A)は、一実施態様において、100℃以上140℃未満の範囲に溶出成分量のピークが無いことが好ましい。すなわち、前記溶出成分量のピークトップが100℃以上140℃未満の範囲に無いことが好ましい。
要件(A-c)を満たす共重合体(A)は、後述する共重合体(B)と比較して結晶性が低い成分を含み、得られるフィルム(β)は高い柔軟性を示す傾向にある。
《要件(A-d)》
検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で共重合体(A)を測定した場合に、0℃以上100℃未満の範囲の溶出成分における、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~7.0である。前記Mw/Mnは、好ましくは1.0~6.5、より好ましくは1.2~6.0である。前記各平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定され、ポリスチレン換算の値である。
Mw/Mnが上記範囲にある共重合体(A)を用いることにより、フィルム(α)の延伸性が良好となり、その結果フィルム(β)の耐電圧特性が向上する傾向にあり、例えば高温環境下で絶縁破壊電圧の低下が小さくなる傾向にあり、コンデンサ用フィルムに求められる安定した電気特性が発現しやすくなる。
Mw/Mnが上記範囲にある共重合体(A)は、例えば、後述するメタロセン触媒を用いて得ることができる。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)>
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位を有する共重合体であり、下記要件(B-a)~(B-d)および(B-a1)を満たす。
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、下記要件(B-a)~(B-d)および(B-a1)を満たす1種の4-メチル-1-ペンテン共重合体であってもよく、下記要件(B-a)~(B-d)および(B-a1)を満たす2種以上の4-メチル-1-ペンテン共重合体であってもよい。
《要件(B-a)》
共重合体(B)において、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の量(U5)は80.0~99.9モル%であり、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(U6)は20.0~0.1モル%である。U5は、好ましくは85.0~99.9モル%、より好ましくは90.0~99.9モル%である。U6は、好ましくは15.0~0.1モル%、より好ましくは10.0~0.1モル%である。ただし、前記U5および前記U6の合計を100モル%とする。なお、この100モル%とは、前記U5および前記U6の合計を意味するのであって、共重合体(B)を構成する全構成単位100モル%を意味するものではない。
各構成単位量が上記範囲にあると、フィルム(β)の結晶化度が高くなりフィルムの弾性率が大きくなり、その結果、フィルム(β)の耐電圧特性が向上する傾向にあり、例えば高温環境下で絶縁破壊電圧の低下が小さくなる傾向にある。
炭素数2~20のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンが挙げられる。本明細書において、エチレンはα-オレフィンに包含されるものとする。これらの中でも、フィルム(α)の延伸性およびフィルム(β)の耐電圧特性に優れるという観点から、炭素数5~20のα-オレフィンが好ましく、炭素数6~20のα-オレフィンがより好ましく、炭素数10~20のα-オレフィンがさらに好ましく、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンが特に好ましい。
共重合体(B)は、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位を1種のみ有してもよく、2種以上有してもよい。
共重合体(B)は、本発明の目的を損なわない範囲で、4-メチル-1-ペンテンおよび炭素数2~20のα-オレフィン以外の他の重合性化合物から導かれる構成単位をさらに有することができる。他の重合性化合物の具体例は、共重合体(A)の説明において記載した。
共重合体(B)において、他の重合性化合物から導かれる構成単位の含有割合は、前記(B)を構成する全構成単位100モル%中、通常は10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。
《要件(B-b)》
共重合体(B)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]Bは、0.5~5.0dL/gである。前記[η]Bは、好ましくは0.5~4.5dL/g、より好ましくは0.5~4.0dL/gである。
[η]Bが上記範囲にある共重合体(B)は、後述の原料(α)の調製時や成形時において良好な流動性を示し、また、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)と組み合わせた場合に延伸性の向上に寄与すると考えられる。その結果、フィルム(β)の耐電圧特性が向上する傾向にある。
《要件(B-c)》
検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で共重合体(B)を測定した場合に、100℃以上140℃未満の範囲に溶出成分量のピークが少なくとも1つ存在する。前記溶出成分量のピークは、好ましくは100~135℃の範囲に存在する。なお、前記溶出成分量のピークの位置は、ピークトップの位置にて判断する。
共重合体(B)は、一実施態様において、0℃以上100℃未満の範囲に溶出成分量のピークが無いことが好ましい。すなわち、前記溶出成分量のピークトップが0℃以上100℃未満の範囲に無いことが好ましい。
要件(B-c)を満たす共重合体(B)は、結晶性が高い成分を含み、得られるフィルム(β)は高い耐熱性を示す傾向にある。
《要件(B-d)》
検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で共重合体(B)を測定した場合に、100℃以上140℃未満の範囲の溶出成分における、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~3.5である。前記Mw/Mnは、好ましくは1.0~3.0、より好ましくは1.5~2.8である。前記各平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定され、ポリスチレン換算の値である。
Mw/Mnが上記範囲にある共重合体(B)を用いることにより、フィルム(α)の延伸性が良好となり、その結果フィルム(β)の耐電圧特性が向上する傾向にあり、例えば高温環境下で絶縁破壊電圧の低下が小さくなる傾向にあり、コンデンサ用フィルムに求められる安定した電気特性が発現しやすくなる。
Mw/Mnが上記範囲にある共重合体(B)は、例えば、後述するメタロセン触媒を用いて得ることができる。
《要件(B-a1)》
前記要件(A-a)に記載のU4(モル%)と、前記要件(B-a)に記載のU6(モル%)との比(U4/U6)は、1.0を超えて50.0未満である。前記比(U4/U6)は、好ましくは2.0~40.0、より好ましくは3.0~35.0である。
U4は、前記(A-a)に記載のU3およびU4の合計を100モル%としたときの、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数5~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(モル%)である。U6は、前記(B-a)に記載のU5およびU6の合計を100モル%としたときの、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(モル%)である。
要件(B-a1)は、共重合体(A)の方が、共重合体(B)よりも、4-メチル-1-ペンテンに対するコモノマーである前記α-オレフィンから導かれる構成単位の含有割合が多いことを意味する。要件(B-a1)を満たす共重合体(A)および共重合体(B)を用いることで、フィルム(α)の延伸性の向上、フィルム(β)の高温環境下での絶縁破壊電圧の低下が小さく耐熱性の向上という効果が得られる傾向にある。
《要件(B-b1)》
共重合体(B)は、さらに要件(B-b1)を満たすことが好ましい。
要件(B-b1)前記要件(A-b)に記載の[η]Aと、前記要件(B-b)に記載の[η]Bとの比([η]A/[η]B)は、1.0を超えて6.0以下である。
[η]A/[η]B)は、より好ましくは1.0を超えて5.0以下、さらに好ましくは1.1~4.0である。
これらの共重合体(A)および共重合体(B)を含有するフィルム(α)は、4-メチル-1-ペンテン共重合体に由来する耐熱性を維持しつつ、延伸性に優れる。したがって、共重合体(A)および共重合体(B)は、耐熱性および延伸性が要求されるコンデンサ用フィルムの製造に適している。共重合体(B)は、一実施態様において、共重合体(A)に対して相対的に極限粘度[η]が低く、また硬質の成分である。
<共重合体(A)および共重合体(B)の量比>
フィルム(α)における共重合体(A)の含有量は、90~5質量部、好ましくは90~15質量部、より好ましくは85~20質量部であり;共重合体(B)の含有量は、10~95質量部、好ましくは10~85質量部、より好ましくは15~80質量部である。ただし、共重合体(A)および共重合体(B)の合計を100質量部とする。このような態様であると、フィルム(α)の延伸性が良好となり、その結果、フィルム(β)の耐電圧特性が向上する傾向にある。
共重合体(A)と共重合体(B)とは相溶性がよいと考えられる。前記相溶性が良いことに由来し、得られるフィルム(α)は剛性と伸び性とのバランスが良い傾向にある。
フィルム(α)は、1種または2種以上の共重合体(A)を含有することができる。また、フィルム(α)は、1種または2種以上の共重合体(B)を含有することができる。
フィルム(α)は、共重合体(A)と共重合体(B)とを含むが、共重合体(A)および共重合体(B)以外の成分を含む原料から製造されていてもよい。フィルム(α)の原料100質量%中に占める共重合体(A)および共重合体(B)の合計量は、通常は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。なおフィルム(α)の原料を、以下、「原料(α)」ともいう。原料(α)100質量%中に占める、共重合体(A)および共重合体(B)の合計量の上限としては、100質量%である。すなわち、フィルム(α)は共重合体(A)および共重合体(B)のみから形成されていてもよい。
<他の成分>
フィルム(α)の原料としては、前述の共重合体(A)および共重合体(B)以外の成分を用いてもよい。共重合体(A)および共重合体(B)以外の成分としては、例えば、共重合体(A)および共重合体(B)以外の重合体(以下、「その他の重合体」ともいう)を用いることが出来る。その他の重合体としては、例えば後述するα-オレフィン重合体(C)や、これら以外のエラストマーが挙げられる。
また、共重合体(A)および共重合体(B)以外の成分としては、各種添加剤を用いることができる。添加剤としては、例えば、二次抗酸化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、塩酸吸収剤が挙げられる。添加剤の使用量は特に制限されないが、原料(α)100質量%中に占める、共重合体(A)および共重合体(B)以外の成分の量は、通常は50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。原料(α)100質量%中に占める、共重合体(A)および共重合体(B)以外の成分の量の下限としては0質量%である。
<共重合体(A)および共重合体(B)の製造方法>
共重合体(A)および共重合体(B)の製造方法としては特に限定はない。共重合体(A)および共重合体(B)は、混合物として得ることが好ましい態様の一つである。共重合体(A)および共重合体(B)の製造方法としては、例えば、共重合体(A)および共重合体(B)を別々に製造した後、混合する方法や、共重合体(A)および共重合体(B)を多段重合法により製造する方法が挙げられる。なお、多段重合を行う場合には、共重合体(A)を重合した後に共重合体(B)を重合してもよく、共重合体(B)を重合した後に共重合体(A)を重合してもよいが、後述のように共重合体(B)を先に重合することが好ましい。
共重合体(A)および共重合体(B)は、それぞれ、例えば、4-メチル-1-ペンテンと、前述したα-オレフィンと、必要に応じて前記他の重合性化合物とを重合することにより得ることができる。前記重合をメタロセン触媒の存在下で行うことにより、前述した各要件を満たす共重合体(A)および共重合体(B)を好適に得ることができる。
前記メタロセン触媒としては、例えば、国際公開第01/53369号、国際公開第01/27124号、特開平3-193796号公報、特開平02-41303号公報、国際公開第06/025540号、国際公開第2013/099876号および国際公開第2014/050817号中に記載のメタロセン触媒が挙げられる。
《メタロセン化合物(a)》
メタロセン触媒は、好ましくはメタロセン化合物(a)を含む。
メタロセン化合物(a)は、例えば、一般式(1)または(2)で表される。
Figure 0007433108000001
一般式(1)または(2)中の各記号の意味は以下のとおりである。
1~R14は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基またはケイ素含有基である。R1からR4までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。R5からR12までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、炭素原子またはケイ素原子である。
Aは、不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素数2~20の2価の炭化水素基である。Aは、Yと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよい。
Mは、周期表第4族から選ばれる遷移金属であり、例えば、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
Qは、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。jが2以上であるときは、各々のQは同一でも異なってもよい。
jは、1~4の整数、好ましくは2である。
1~R14における炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20の炭化水素基が挙げられ、具体的には、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数7~20のアリールアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアルキルアリール基が挙げられる。
1~R14における置換炭化水素基(ただし、ケイ素含有基は除く)は、前記炭化水素基に含まれる水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、水酸基およびアミノ基等の官能基で置換された基である。
1~R14におけるケイ素含有基としては、例えば、ケイ素原子数1~4かつ炭素原子数3~20のアルキルシリル基またはアリールシリル基が挙げられ、その具体例としては、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルが挙げられる。
フルオレン環上のR5からR12までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。そのような置換フルオレニル基として、例えば、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、オクタヒドロジベンゾフルオレニル、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルが挙げられる。
フルオレン環上のR5からR12の置換基は、合成上の容易さから左右対称、すなわちR5=R12、R6=R11、R7=R10、R8=R9であることが好ましい。フルオレン環部分は、無置換フルオレン、3,6-二置換フルオレン、2,7-二置換フルオレンまたは2,3,6,7-四置換フルオレンが好ましい。フルオレン環上の3位、6位、2位、7位は、それぞれR7、R10、R6、R11に対応する。
13およびR14は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基または置換炭化水素基であることが好ましい。
一般式(1)の場合、R13およびR14はYと結合し、架橋部として置換メチレン基または置換シリレン基を構成する。置換メチレン基および置換シリレン基の具体例としては、例えば、ジアルキルメチレン、ジシクロアルキルメチレン、アルキルシクロアルキルメチレン、アルキルアリールメチレン、ジアリールメチレン、ジアルキルシリレン、ジシクロアルキルシリレン、アルキルシクロアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、ジアリールシリレン、これらがハロゲン化された基が挙げられる。
一般式(2)の場合、Yは前記2価の炭化水素基Aと結合し、シクロアルキリデン基またはシクロメチレンシリレン基等を構成する。シクロアルキリデン基およびシクロメチレンシリレン基の具体例としては、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレンが挙げられる。
Qにおいて、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ;炭素数1~20の炭化水素基としては、R1~R14の炭化水素基と同様の基が挙げられ;アニオン配位子としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、カルボキシレート基、スルホネート基等が挙げられ;孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類等が挙げられる。Qの少なくとも一つは、ハロゲン原子または炭素数1~20のアルキル基であることが好ましい。
メタロセン化合物(a)の具体例として、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開第2006/025540号または国際公開第2007/308607号中に例示される化合物が挙げられる。
メタロセン化合物(a)は、国際公開第2014/050817号などに記載の、一般式[A2]で表される化合物が特に好ましい。
Figure 0007433108000002
式[A2]中、R1bは炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2b~R12bは水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、nは1~3の整数であり、Qは前記一般式(1)または(2)中のQと同義であり、jは1~4の整数である。
1bからR12bにおける炭化水素基としては、例えば、直鎖状アルキル基、直鎖状アルケニル基等の直鎖状炭化水素基;分岐状アルキル基等の分岐状炭化水素基;シクロアルキル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の環状飽和炭化水素基;アリール基、シクロアルケニル基等の環状不飽和炭化水素基;アラルキル基等の、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~10である。
1bからR12bにおけるケイ素含有基としては、例えば、式-SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1bからR12bにおけるハロゲン含有炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の、上記炭化水素基が有する1または2以上の水素原子をハロゲン原子に置換してなる基が挙げられる。
2bからR12bにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
式[A2]において2つの置換基が互いに結合して形成された環(スピロ環、付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環、シクロペンテン環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環、ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
1bは、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。R1bとしては、具体的には、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基である。
フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されないが、R4bおよびR5bは、分子量の観点から、好ましくは水素原子である。
2b、R3b、R6bおよびR7bは、好ましくは炭素数1~20の炭化水素基である。また、R2bとR3bが互いに結合して環を形成し、かつR6bとR7bが互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられる。
8bは水素原子であることが好ましい。R9bは炭素数2以上のアルキル基であることが好ましい。また、合成上の観点からは、R10bおよびR11bは水素原子であることも好ましい。
あるいは、n=1である場合、R9bおよびR10bが互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。この場合、R11bは水素原子であることが好ましい。
12bは、アルキル基であることが好ましい。
Mは周期表第4族遷移金属であり、例えばTi、ZrまたはHfであり、好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
nは1~3の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。nが上記値であることにより、生成する重合体を効率的に得る観点から好ましい。
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。
一般式[A2]で表される化合物としては、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドまたは(8-(2,3,6,7-テトラメチルフルオレン)-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドが特に好ましい。ここで、上記オクタメチルフルオレンとは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレンのことである。
<助触媒(b)>
メタロセン触媒は、有機金属化合物(b-1)、有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)、およびメタロセン化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物(助触媒(b))をさらに含むことが好ましい。
有機金属化合物(b-1)(ただし、有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)を除く)としては、例えば、有機アルミニウム化合物が挙げられ、具体的には、一般式Ra mAl(ORbnpq(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロヘキシルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウムが挙げられる。
有機アルミニウムオキシ化合物(b-2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また、特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。具体的には、メチルアルミノキサンが挙げられる。また、ホウ素原子を含む有機アルミニウムオキシ化合物や、国際公開第2005/066191号、国際公開第2007/131010号に例示されているようなハロゲンを含むアルミノキサン、国際公開第2003/082879号に例示されているようなイオン性アルミノキサンも挙げられる。
アルミノキサンとしては、固体状アルミノキサンも好適に用いられ、例えば、国際公開第2010/055652号、国際公開第2013/146337号、あるいは、国際公開第2014/123212号で開示される固体状アルミノキサンが特に好適に用いられる。
「固体状」とは、固体状アルミノキサンが用いられる反応環境下において、当該アルミノキサンが実質的に固体状態を維持することを意味する。より具体的には、例えばメタロセン触媒を構成する各成分を接触させて固体触媒成分を調製する際、反応に用いられるヘキサンやトルエン等の不活性炭化水素媒体中、特定の温度・圧力環境下において前記アルミノキサンが固体状態であることを表す。
固体状アルミノキサンは、好ましくは式(1)で表される構成単位および式(2)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を有するアルミノキサンを含有し、より好ましくは式(1)で表される構成単位を有するアルミノキサンを含有し、さらに好ましくは式(1)で表される構成単位のみからなるポリメチルアルミノキサンを含有する。
Figure 0007433108000003
式(1)中、Meはメチル基である。
式(2)中、R1は炭素数2~20の炭化水素基、好ましくは炭素数2~15の炭化水素基、より好ましくは炭素数2~10の炭化水素基である。炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられる。
固体状アルミノキサンの構造は必ずしも明らかにされておらず、通常は、式(1)および/または式(2)で表される構成単位が2~50程度繰り返されている構成を有すると推定されるが、当該構成に限定されない。また、その構成単位の結合態様は、例えば、線状、環状またはクラスター状と種々であり、アルミノキサンは、通常、これらのうちの1種からなるか、または、これらの混合物であると推定される。また、アルミノキサンは、式(1)または式(2)で表される構成単位のみからなってもよい。
固体状アルミノキサンとしては、固体状ポリメチルアルミノキサンが好ましく、式(1)で表される構成単位のみからなる固体状ポリメチルアルミノキサンがより好ましい。
固体状アルミノキサンは、通常は粒子状であり、体積統計値でのD50が好ましくは1~500μm、より好ましくは2~200μm、さらに好ましくは5~50μmである。体積統計値でのD50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。
固体状アルミノキサンは、比表面積が好ましくは100~1000m2/g、より好ましくは300~800m2/gである。比表面積は、BET吸着等温式を用い、固体表面におけるガスの吸着および脱着現象を利用して求めることができる。
固体状アルミノキサンは、担体(c)としても機能する。このため、固体状アルミノキサンを用いる場合、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウム等の固体状無機担体、またはポリスチレンビーズ等の固体状有機担体を用いなくともよい。
固体状アルミノキサンは、例えば、国際公開第2010/055652号および国際公開第2014/123212号に記載された方法により調製することができる。
メタロセン化合物(a)と反応してイオン対を形成する化合物(b-3)としては、例えば、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、US5321106号公報などに記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。例えば、トリアルキルアンモニウムテトラアリールボレート、トリアルキルアンモニウムテトラ(ハロゲン化アリール)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラアリールボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラ(ハロゲン化アリール)ボレート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラアリールボレート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラ(ハロゲン化アリール)ボレートなどの有機ホウ素化合物が挙げられる。
<担体(c)>
メタロセン触媒は、担体(c)をさらに含むことが好ましい。
担体(c)は、好ましくは粒子状であり、例えばその表面および/または内部にメタロセン化合物(a)を固定化させることで、前記メタロセン触媒が形成される。
担体(c)は、通常、無機または有機の化合物からなる。固体状無機担体としては、例えば、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物等の無機化合物からなる担体が挙げられる。固体状有機担体としては、例えば、ポリスチレンビーズ等の担体が挙げられる。
また、担体(c)としては、前述した固体状アルミノキサンも挙げられる。担体(c)として、高活性かつ溶媒可溶部量をさらに抑制する観点から、アルミニウム原子を含有する担体が好ましい。担体(c)中のアルミニウム原子の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは20~60質量%、さらに好ましくは30~50質量%、特に好ましくは35~47質量%である。
多孔質酸化物としては、例えば、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等の酸化物、またはこれらを含む複合物もしくは混合物が挙げられる。例えば、天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOが挙げられる。
無機ハロゲン化物としては、例えば、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
粘土は、通常は粘土鉱物を主成分として構成される。イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能である。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物としては、例えば、粘土、粘土鉱物、または六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物が挙げられる。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理等、何れも使用できる。化学処理としては、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
担体(c)の体積統計値でのD50は、好ましくは1~500μm、より好ましくは2~200μm、さらに好ましくは5~50μmである。体積統計値でのD50は、例えば、Microtrac社製のMT3300EX IIを利用し、レーザー回折・散乱法により求めることができる。
<有機化合物成分(d)>
メタロセン触媒は、さらに必要に応じて、有機化合物成分(d)を含有することもできる。有機化合物成分(d)は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(d)としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩が挙げられる。
《重合条件》
共重合体(A)および共重合体(B)を得るための4-メチル-1-ペンテンとα-オレフィンとの重合は、溶解重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
液相重合法においては、不活性炭化水素溶媒を用いることができ、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;これらから選ばれる2種以上の混合溶媒が挙げられる。また、4-メチル-1-ペンテンを含むオレフィン自身を重合溶媒として用いることができる。
オレフィン重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、メタロセン化合物(a)、助触媒(b)、担体(c)および有機化合物成分(d)を、それぞれ「成分(a)~(d)」ともいう。
(i)成分(a)~(c)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(ii)成分(a)~(b)を成分(c)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(i)~(ii)の各方法においては、任意の段階でさらに成分(d)が添加されてもよい。また、各触媒成分の少なくとも2つは予め接触されていてもよい。
また、成分(c)に成分(a)が担持された固体触媒成分においては、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン等のオレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
また、重合を円滑に進行させる目的で、帯電防止剤やアンチファウリング剤などを使用することができる。
メタロセン触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、メタロセン触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。以下、メタロセン化合物(a)、助触媒(b)欄で例示した(b-1)~(b-3)を、それぞれ成分(a)、成分(b-1)~(b-3)ともいう。
成分(a)は、反応容積1リットル当り、通常は10-10~10-2モル、好ましくは10-9~10-3モルとなるような量で用いることができる。
成分(b-1)は、成分(b-1)と、成分(a)中の遷移金属原子(M;周期表第4族遷移金属)とのモル比[(b-1)/M]が、通常は10~10000、好ましくは30~2000、より好ましくは50~1000となるような量で用いることができる。
成分(b-2)は、成分(b-2)中のアルミニウム原子(Al)と、成分(a)中の遷移金属原子(M)とのモル比[Al/M]が、通常は10~10000、好ましくは30~2000、より好ましくは50~1000となるような量で用いることができる。
成分(b-3)は、成分(b-3)と、成分(a)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(b-3)/M]が、通常は1~10000、好ましくは2~2000、より好ましくは10~500となるような量で用いることができる。
重合温度は、通常は-50~200℃、好ましくは0~100℃、より好ましくは20~100℃である。重合圧力は、通常は常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧の条件下である。重合反応は、回分式、半連続式および連続式のいずれの方法でも行うことができる。生成ポリマーの分子量または重合活性を制御する目的で、重合系に水素を添加することができ、水素の添加量は、オレフィン1kgあたり0.001~100NL程度が適当である。
重合条件としては、反応条件の異なる2段以上の重合を行う多段重合を採用することも可能である。例えば、水素使用量、または4-メチル-1-ペンテンと炭素数2~20のα-オレフィンとの比率の異なる2種の条件で段階的に重合を実施することにより、分子量分布または組成分布の調整をすることが可能である。
<その他の重合体>
フィルム(α)の原料としては、前述のようにその他の重合体をさらに用いることができる。その他の重合体としては、例えば、α-オレフィン重合体(C)や、これら以外のエラストマーが挙げられる。
α-オレフィン重合体(C)は、例えば、炭素数2~20のα-オレフィンの重合体(ただし、上述した、共重合体(A)および共重合体(B)を除く)であり、炭素数2~20のα-オレフィンの単独重合体または共重合体が挙げられる。
炭素数2~20のα-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等の直鎖状α-オレフィン;イソブテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン等の分岐状α-オレフィンが挙げられる。これらの中でも、炭素数15以下のα-オレフィンが好ましく、炭素数10以下のα-オレフィンがより好ましい。
α-オレフィン重合体(C)は、本発明の目的を損なわない範囲で、共重合体(A)において前述した他の重合性化合物から導かれる構成単位をさらに有することができる。
α-オレフィン重合体(C)において、他の重合性化合物から導かれる構成単位の含有割合は、前記(C)を構成する全構成単位100モル%中、通常は10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。
α-オレフィン重合体(C)としては、具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1-ブテンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・1-ブテンランダム共重合体、エチレン・1-ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1-オクテンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネンランダム共重合体、エチレン・プロピレン・1-ブテン・エチリデンノルボルネンランダム共重合体、エチレン・1-ブテン・1-オクテンランダム共重合体等のエチレン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・1-ブテンランダム共重合体、プロピレン・1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・1-オクテンランダム共重合体等のプロピレン共重合体、1-ブテン単独重合体、1-ブテン・1-ヘキセンランダム共重合体、1-ブテン・1-オクテンランダム共重合体等のブテン共重合体、4-メチル-1-ペンテン単独重合体、4-メチル-1-ペンテン・1-ヘキセン共重合体等の4-メチル-1-ペンテン共重合体(ただし、上述した、共重合体(A)および共重合体(B)を除く)が挙げられる。
α-オレフィン重合体(C)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]Cは、通常は0.1~10dL/g、好ましくは0.5~5dL/gである。
フィルム(α)の原料としては、1種または2種以上のα-オレフィン重合体(C)を用いてもよい。
原料(α)としてα-オレフィン重合体(C)を用いる場合には、共重合体(A)および共重合体(B)の合計を100質量部とした際に、α-オレフィン重合体(C)が、通常は40質量部以下、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
<添加剤>
原料(α)としては、共重合体(A)および共重合体(B)以外の成分としては、各種添加剤を用いることができる。各種添加剤としては、従来公知の添加剤を始め、特に制限なく様々な添加剤を用いることが出来る。
添加剤としては、例えば、二次抗酸化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、塩酸吸収剤が挙げられる。添加剤の含有量は特に制限されないが、
添加剤の量は、共重合体(A)および共重合体(B)合計100質量部に対して、通常は0~50質量部、好ましくは0~10質量部である。原料(α)として、添加剤は1種または2種以上用いることができる。
<原料(α)の製造方法>
原料(α)は、例えば、上述の共重合体(A)および共重合体(B)と、必要に応じて、共重合体(A)および共重合体(B)以外の成分(例えば、その他の重合体、各種添加剤)とを混合することにより得ることができる。
各成分の混合方法については、種々公知の方法、例えば、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラー、ブレンダー、ニーダールーダー等の装置を用いて各成分を混合する方法;前記混合後、得られた混合物を一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の装置でさらに溶融混練した後、得られた溶融混練物を造粒または粉砕する方法を採用することができる。
また、共重合体(A)および共重合体(B)の混合物を、以下の多段重合法により得ることもできる。具体的には、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)を好ましくはスラリー重合により製造する工程(1)と、工程(1)で得られた共重合体(B)の存在下で、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)を、共重合体(A)および共重合体(B)の合計量を100質量部とした場合に共重合体(A)の量が通常は5~90質量部となる範囲で、好ましくはスラリー重合により製造する工程(2)とを有する多段重合法により、前記混合物を製造することができる。
前記多段重合法は、重合条件の異なる工程(1)と工程(2)とを有するが、工程(1)および(2)の二段式重合でもよく、工程(1)および(2)に加えて他の工程をさらに含む三段式以上の重合であってもよい。
《工程(1)》
工程(1)では、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)を好ましくはスラリー重合により製造する。工程(1)において、4-メチル-1-ペンテンおよび炭素数2~20のα-オレフィンの供給量比は、それぞれから導かれる構成単位の量が上述した範囲にあるように設定される。
工程(1)では、共重合体(B)を含むスラリーが得られる。スラリー濃度、すなわち共重合体(B)粒子濃度は、通常は0.015~45質量%、好ましくは0.03~35質量%である。
《工程(2)》
工程(2)では、工程(1)で得られた共重合体(B)の存在下で、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)を好ましくはスラリー重合により製造する。工程(2)において、4-メチル-1-ペンテンおよび炭素数5~20のα-オレフィンの供給量比は、それぞれから導かれる構成単位の量が上述した範囲にあるように設定される。
工程(2)では、工程(1)で得られた共重合体(B)および工程(2)で得られる共重合体(A)の合計量を100質量部とした場合に、共重合体(A)の量が通常は5~90質量部となる範囲で、共重合体(A)を製造する。
工程(2)の一実施態様では、共重合体(B)を含むスラリーに、4-メチル-1-ペンテンおよび炭素数5~20のα-オレフィンを添加し、これらモノマーのスラリー重合を行うことができる。
工程(2)では、共重合体(A)および共重合体(B)を含有する粒子を含むスラリーが得られる。スラリー濃度、すなわち粒子濃度は、通常は3~50質量%、好ましくは5~40質量%である。
上記多段重合法では通常はスラリー重合を採用するが、「スラリー重合」とは、重合により生じる重合体が、重合時に用いた上記媒体に実質的に溶解することなく、例えば微粒子として上記媒体に分散した形で存在することを特徴とする重合をいう。
《固液分離工程》
工程(2)で得られた、共重合体(A)および共重合体(B)を含有する4-メチル-1-ペンテン系重合体粒子を含むスラリーを、固液分離する、例えば濾過することにより、前記粒子を分離回収することができる。
《後処理工程》
上記多段重合法で得られた4-メチル-1-ペンテン系重合体粒子、例えば上記固液分離工程で得られた粒子に対しては、上記方法で製造した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
以上のようにして、共重合体(A)および共重合体(B)の混合物を得ることができる。
[フィルム(β)の特性]
本発明のフィルム(β)は、高温環境下で使用されても品質を維持できる高い耐熱性を備え、かつ、フィルム裂けが生じ難い。このため、高温での使用が想定される用途や、フィルムが加工工程を経た後に使用される用途において、フィルム(β)は好適に用いられる。
本発明のフィルム(β)の用途としては、前述のように誘電体用フィルム等のコンデンサ用フィルムであることが好ましい。
フィルム(β)の厚さは、好ましくは1~100μm、より好ましくは1~50μm、さらに好ましくは1~20μmである。
フィルム(β)がコンデンサ用フィルムである場合には、その厚さは、好ましくは1~50μm、より好ましくは1~30μm、さらに好ましくは1.5~10μmである。
本発明のコンデンサ用フィルムは、寸法安定性の観点から、150℃で30分加熱したときのMD(machine direction)の熱収縮率が3%以下であることが好ましい。
ここで、MD(長手方向とも呼ぶ)とはフィルムを製膜する際の流れ方向を指し、TD(transverse direction)(幅方向とも呼ぶ)とはそれに直行する方向を指す。
本発明のフィルム(β)は、MD(machine direction)の引張破断強度とTD(transverse direction)の引張破断強度との比(MDの引張破断強度/TDの引張破断強度)が0.5~3.0の範囲であり、前記比は、0.5~2.5の範囲であることが好ましく、0.5~2.0の範囲であることがより好ましい。
以上の特性の測定条件の詳細は実施例欄に記載する。
[フィルム(β)の製造方法]
本発明のフィルム(β)は、フィルム(α)を二軸延伸させて得られるフィルムである。
前記フィルム(α)は、前記共重合体(A)および共重合体(B)を含むフィルムである。フィルム(α)は、前記原料(α)をフィルム状に加工することにより得ることが可能であり、例えば前記原料(α)を、180~300℃の範囲でTダイ押出成形法などによりフィルム状に成形することによりフィルム(α)を得ることができる。フィルム(β)は、前記フィルム(α)を二軸延伸することにより得ることができる。
フィルム(α)の厚さとしては、フィルム(β)の用途、厚さ等によっても異なるが、好ましくは10~2000μm、より好ましくは10~1000μm、さらに好ましくは20~500μmである。
前記二軸延伸を行う際の延伸倍率は、面積換算で好ましくは1.1~100倍、より好ましくは2~90倍、さらに好ましくは4~80倍である。延伸倍率が前記範囲内であると、フィルムコンデンサとして必要な耐電圧特性が発現しやすくなるため、フィルム(β)がコンデンサ用フィルムである場合に特に好適である。
延伸方法としては、逐次二軸延伸法および同時二軸延伸法のいずれの方法であってもよいが、製膜安定性および厚み均一性の点から、逐次二軸延伸法が好ましい。また、逐次二軸延伸することで、延伸による面方向への分子鎖の配向度合いが強くなり、高温での絶縁特性に優れたフィルム(β)を得られる。
逐次二軸延伸法の場合、例えば、原料(α)をTダイ押出成形法などによって冷却ロール上に押し出すことによって未延伸フィルム(フィルム(α))を得て、次いでこの未延伸フィルムを、所定の延伸温度に設定された予熱ロールを経てフィルム流れ方向(MD)に延伸し(縦延伸)、その後、所定の延伸温度に設定された加熱オーブン内を通過させながらフィルム幅方向(TD)に延伸する(横延伸)。
縦延伸および横延伸ともに延伸温度は、延伸に用いる4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)等の重合体のガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)との間であることが好ましい。延伸温度は通常は60~200℃、好ましくは60~150℃、更に好ましくは70~140℃である。この範囲に設定することで、延伸による面方向への分子鎖の配向度合いが強くなり、耐電圧特性を示すフィルム(β)を得られる。
延伸倍率は、フィルム長手方向とフィルム幅方向にそれぞれ独立に通常は1.01~11.0倍、好ましくは1.4~9.5倍、より好ましくは2.0~9.0倍である。
また、二軸延伸後、フィルムMDまたはフィルムTDに再延伸してもよい。また、二軸延伸後、アニール処理を行ってもよい。アニール温度は、通常は100~230℃、好ましくは130~220℃である。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下の記載において、特に言及しない限り「部」は「質量部」を表す。
[各種物性の測定法]
<4-メチル-1-ペンテン共重合体中の構成単位含量>
4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の量(4-メチル-1-ペンテン含量)および4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(α-オレフィン含量)は、以下の装置および条件により、13C-NMRスペクトルより算出した。
日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、試料濃度55mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。得られた13C-NMRスペクトルにより、4-メチル-1-ペンテン、α-オレフィンの組成を定量化した。
<極限粘度[η]>
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。すなわち重合パウダー、ペレットまたは樹脂塊約20mgをデカリン15mLに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5mL追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値を極限粘度として求めた(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<クロス分別クロマトグラフ(CFC)分析および分子量測定>
CFC分析および分子量測定は以下の条件で行った。
装置 :CFC2型クロス分別クロマトグラフ(Polymer Char)
検出器(内蔵):IR4型赤外分光光度計(Polymer Char)
検出波長:3.42μm(2,920cm-1);固定
試料濃度:30mg/30mL(o-ジクロロベンゼン(ODCB)で希釈)
注入量 :0.5mL
温度条件:40℃/minで145℃まで昇温して30分間保持し、1℃/minで0℃まで冷却して60分間保持した後に、下記溶出区分ごとの溶出量を評価した。区分間の温度変化は40℃/minとした。
溶出区分: 0, 5, 10, 15, 20, 25, 30, 35, 50, 70, 90, 95, 100, 102, 104, 106℃で、また108℃から135℃までは1℃刻みで、140,145℃での溶出量を評価。
GPCカラム :Shodex HT-806M×3本(昭和電工製)
GPCカラム温度:145℃
GPCカラム較正:単分散ポリスチレン(東ソー)
分子量較正法 :標品較正法(ポリスチレン換算)
移動相 :o-ジクロロベンゼン(ODCB)、BHT添加
流量 :1.0mL/min
[メタロセン化合物の合成]
国際公開第2014/050817号の合成例4に従い、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド(メタロセン化合物(a1))を合成した。
[製造例1]
特開2018-162408号公報の製造例1([0182]~[0185]段落)において、リニアレン168(出光興産製)(1-ヘキサデセン、1-オクタデセン混合物)の量を変更し、得られる共重合体中の4-メチル-1-ペンテン含量およびα‐オレフィン(1-ヘキサデセン、1-オクタデセン)含量が表1の値になるように4-メチル-1-ペンテンおよびリニアレン168の使用割合を変更したこと、[η]の値が表1の値となるようにしたこと以外は当該製造例に準拠して、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-1)を得た。
[製造例2]
特開2018-162408号公報の製造例1([0182]~[0185])において、リニアレン168を1-デセンに変更し、得られる共重合体中の4-メチル-1-ペンテン含量およびα‐オレフィン(1-デセン)含量が表1の値になるように4-メチル-1-ペンテンおよび1-デセンの使用割合を変更したこと、[η]の値が表1の値となるようにしたこと以外は当該製造例に準拠して、4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-2)を得た。
[固体触媒成分の調製]
30℃下、充分に窒素置換した100mLの攪拌機を付けた三つ口フラスコ中に、窒素気流下で精製デカン32mLおよび固体状ポリメチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製)をアルミニウム原子換算で14.65mmol装入し、懸濁液とした。
先に合成したメタロセン化合物(a1)50mg(ジルコニウム原子換算で0.059mmol)を4.6mmol/Lのトルエン溶液とした。
前記トルエン溶液12.75mLを、前記懸濁液に撹拌しながら加えた。1.5時間後攪拌を止め、得られた触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄し、デカンに懸濁させてスラリー液(B)50mLを得た。この触媒成分においてZr担持率は100%であった。
[予備重合触媒成分の調製]
上記スラリー液(B)に、窒素気流下、トリエチルアルミニウムのデカン溶液(アルミニウム原子換算で0.2mmol/mL)を0.4mL、さらに3-メチル-1-ペンテンを7.5mL(5.0g)装入した。1.5時間後攪拌を止め、得られた予備重合触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄した。この予備重合触媒成分をデカンに懸濁させて、デカンスラリー(C)50mLを得た。デカンスラリー(C)における予備重合触媒成分の濃度は20g/L、1.05mmol-Zr/Lであり、Zr回収率は90%であった。
[製造例3]
室温、窒素気流下で、内容積1Lの攪拌機付きのSUS製重合器に、精製デカンを425mL、トリエチルアルミニウムのデカン溶液(アルミニウム原子換算で1.0mmol/mL)を0.4mL(0.4mmol)、先に調製した予備重合触媒成分のデカンスラリー(C)をジルコニウム原子換算で0.0005mmol加え、水素を40NmL装入した(1回目の水素装入)。次いで、4-メチル-1-ペンテン106mLとリニアレン168を5.9mLとの混合溶液を2時間かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。この装入開始時点を重合開始とし、重合開始から30分かけて45℃へ昇温し、その後45℃で4時間保持し、重合開始から3時間後に水素を90NmL装入した(2回目の水素装入)。重合開始から4.5時間経過後、室温まで降温し、脱圧した後、ただちに白色固体を含む重合液を濾過して固体状物質を得た。この固体状物質を減圧下、80℃で8時間乾燥し、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B-1)を得た。
[製造例4]
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサンを300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4-メチル-1-ペンテンを450ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.10MPa(ゲージ圧)となるようにエチレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmol含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を100℃、減圧下で12時間乾燥して、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B-2)を得た。
[製造例5]
リニアレン168の代わりに1-デセンを用いて、得られる共重合体中の4-メチル-1-ペンテン含量およびα‐オレフィン(1-デセン)含量および[η]の値が表1の値になるように各使用割合を変更したこと以外は製造例3に準拠して、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B-3)を得た。
[製造例6]
実施例1において、リニアレン168をプロピレンに変更し、得られる共重合体中の4-メチル-1-ペンテン含量およびα‐オレフィン(プロピレン)含量が表1の値になるように4-メチル-1-ペンテンおよびプロピレンの使用割合を変更したこと、[η]の値が表1の値となるようにしたこと以外は製造例1に準拠して、4-メチル-1-ペンテン共重合体(C-1)を得た。
[製品]
α-オレフィン重合体として、ホモポリプロピレン(C-2)(株式会社プライムポリマー製、品番:F123P)を使用した。
[製造例7]
4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキサデセンと1-オクタデセンとの等質量の混合物、水素の割合を変更する以外は、国際公開第2006/054613号の比較例9に記載の重合方法に準じて、4-メチル-1-ペンテン共重合体(C-3)を得た。すなわち、前記共重合体(C-3)は、無水塩化マグネシウム、2-エチルヘキシルアルコール、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパンおよび四塩化チタンを反応させて得られる固体状チタン触媒を重合用触媒として用いて得られたことになる。
各重合体の物性等を表1に示す。
Figure 0007433108000004
[実施例1]
4-メチル-1-ペンテン共重合体(A-1)31.5部と(B-1)68.5部との混合物に対して、耐熱安定剤としてn-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピネートを0.5部配合した。次いで、得られた配合物を、(株)プラスチック工学研究所社製二軸押出機BT-30(スクリュー系30mmφ、L/D=46)を用い、設定温度270℃、樹脂押出量60g/minおよび200rpmの条件で造粒し、ペレットを得た。
得られた前記ペレットを単軸押出機に供給し、270℃で溶融混練して、T型スリットダイよりフィルム状に溶融押出した。次いで、得られたフィルムを80℃に制御した金属冷却ロール上にエアー圧で密着させながら冷却固化して、厚さ200μmの未延伸フィルムを得た。ここで得られた未延伸フィルムを加熱金属ロールにより予熱してフィルム温度を130℃まで昇温し、周速差をつけた1対のロール間で3倍に縦延伸して、一軸延伸フィルムとした。次いで前記一軸延伸フィルムの幅方向の両端をクリップで把持して加熱オーブンへと導き、120℃に予熱したあと、幅方向に5.5倍に横延伸して、二軸延伸フィルムとした。この後、前記二軸延伸フィルムを200℃に加熱してアニール処理した。このようにして得られた二軸延伸フィルムの両端部を、レザー刃を用いたレザーカットで切断したのち、コロナ放電処理を施した後、ロール状に巻き取った。得られた二軸延伸フィルムの特性を下記評価方法により求めた。
[厚さ]
マイクロメーターを用いて、二軸延伸フィルムまたは未延伸フィルムの厚さを幅方向に10点および長さ方向に10点測定し、その平均値を二軸延伸フィルムまたは未延伸フィルムの厚さとした。
[引張破断強度]
延伸後のフィルムを、MD150mmの長さかつ、15mm幅で短冊状に切り出してMDの引張破断強度を評価するための試験片とした。
延伸後のフィルムを、LD150mmの長さかつ、15mm幅で短冊状に切り出してLDの引張破断強度を評価するための試験片とした。
インストロン社製の万能引張試験機3380を用いて、JIS K678に準拠して引張速度200mm/min、掴み間100mmとして引張応力を測定した。引張特性である引張破断強度は、フィルムが破断した時点での応力を評価した。
[引き裂き性]
レザー刃を用いたレザーカットの工程で、30分以上破断せず、連続的にレザーカットが可能な場合をAAとした。連続的なレザーカットを行う際に、30分未満でフィルムが裂けた場合をBBとした。
[絶縁破壊強さ(120℃)]
絶縁破壊強さ(V/μm)測定は、ASTM-D149に準じ、ヤマヨ試験器有限会社製絶縁破壊試験機を用いて測定した。上記二軸延伸フィルムまたは未延伸フィルムについて、120℃において昇圧速度500V/secにて電圧を印加して破壊耐電圧を測定した。120℃における絶縁破壊強さが300V/μm以上の場合をAA、250V/μm以上300V/μm未満をBB、250V/μm未満をCCとした。
[熱収縮率(130℃)]
フィルムをMD(長手方向)に縦260mm、横10mmにサンプリングし、両端から30mmのところにそれぞれマークを入れて、そのマーク間の長さをL0(200mm)とした。それぞれのサンプルの下端に3gの荷重をかけ、130℃のオーブン中に吊るし、30分間熱処理した。その後サンプルを取り出し、マーク間の長さL1を測定し、熱収縮率(%)=[(L0-L1)/L0]×100として算出した。熱収縮率が3%未満の場合をAA、3%以上の場合をBBとした。
[延伸性]
上記方法から延伸倍率を変更した以外は同様に行い、未延伸フィルムを延伸する倍率を段階的に上げて、どの倍率で破断をするかを検証した。より高い倍率まで破断せずに延伸が可能であった水準を延伸性に優れる水準とした。延伸の倍率はMDとTDを等倍延伸とし、2.5、3.0、3.5、4.0となるように順次延伸し、破断した倍率に応じて下記の通り分類した。
AA:4.0倍×4.0倍延伸まで可能
BB:3.5倍×3.5倍延伸まで可能
CC:3.0倍×3.0倍延伸まで可能
DD:2.5倍×2.5倍延伸まで可能、または延伸不可能
[実施例2~5、比較例1~8]
前述の4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)[(A-1)および(A-2)]、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)[(B-1)、(B-2)および(B-3)]並びに、重合体(C-1)、(C-2)および(C-3)を、表2に記載した種類および量で配合して100部とし、表2に示す製膜条件で実施したこと以外は実施例1と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。
なお、比較例7は、130℃での熱収縮が大きく耐熱性に乏しかった。
また、比較例8は、二軸延伸を試みた際に、縦延伸倍率が2倍以上となるとフィルムが破断することや、フィルムの厚みムラが大きくなることがあり、均一な延伸ができなかった。
各実施例、比較例で使用した重合体の物性、延伸条件、延伸フィルムの物性等を表2に示す。
Figure 0007433108000005

Claims (8)

  1. 下記要件(A-a)~(A-d)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)90~5質量部と、下記要件(B-a)~(B-d)および(B-a1)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)10~95質量部(ただし共重合体(A)および共重合体(B)の合計を100質量部とする)とを含むフィルム(α)を二軸延伸させて得られる、MD(machine direction)の引張破断強度とTD(transverse direction)の引張破断強度との比(MDの引張破断強度/TDの引張破断強度)が0.5~3.0の範囲であるフィルム(β)。
    (A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の量(U3)が20.0~98.0モル%であり、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数5~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(U4)が80.0~2.0モル%である。(ただし、前記U3および前記U4の合計を100モル%とする)。
    (A-b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]Aが1.7~8.0dL/gである。
    (A-c)検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で前記共重合体(A)を測定した場合に、0℃以上100℃未満の範囲に溶出成分量のピークが少なくとも1つ存在する。
    (A-d)検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で前記共重合体(A)を測定した場合に、0℃以上100℃未満の範囲の溶出成分における重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、1.0~7.0である。
    (B-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の量(U5)が80.0~99.9モル%であり、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(U6)が20.0~0.1モル%である。(ただし、前記U5および前記U6の合計を100モル%とする)。
    (B-b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]Bが0.5~5.0dL/gである。
    (B-c)検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で前記共重合体(B)を測定した場合に、100℃以上140℃未満の範囲に溶出成分量のピークが少なくとも1つ存在する。
    (B-d)検出部に赤外分光光度計を用いたクロス分別クロマトグラフ(CFC)装置で前記共重合体(B)を測定した場合に、100℃以上140℃未満の範囲の溶出成分における重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、1.0~3.5である。
    (B-a1)前記要件(A-a)に記載のU4(モル%)と、前記要件(B-a)に記載のU6(モル%)との比(U4/U6)が、1.0を超えて50.0未満である。
  2. 前記フィルム(β)が、前記フィルム(α)を逐次二軸延伸させて得られるフィルムである、請求項1に記載のフィルム(β)。
  3. 前記共重合体(B)におけるα-オレフィンが、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数5~20のα-オレフィンである、請求項1または2に記載のフィルム(β)。
  4. 前記共重合体(A)および共重合体(B)におけるα-オレフィンが、それぞれ独立に炭素数10~20のα-オレフィンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム(β)。
  5. 前記二軸延伸における延伸倍率が面積換算で1.1~100倍である、請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルム(β)。
  6. 厚さが1~100μmである、請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルム(β)。
  7. コンデンサ用フィルムである、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルム(β)。
  8. フィルムコンデンサの誘電体用フィルムである、請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルム(β)。
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