JP2022132774A - 重合体組成物および成形体 - Google Patents

重合体組成物および成形体 Download PDF

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Yasuhiro Konno
豊明 佐々木
Toyoaki Sasaki
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Abstract

【解決手段】下記要件(A-a)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)15.0~40.0質量%と、下記要件(B-a)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)85.0~60.0質量%(ただし、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の合計を100質量%とする)とを含む重合体組成物(X)。要件(A-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が97.5~100モル%であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U2)が0~2.5モル%である。要件(B-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が90.0モル%以上95.5モル%未満であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が4.5モル%以上、10.0モル%以下である。【効果】本発明の重合体組成物は、従来の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体組成物よりも優れた透明性および耐衝撃性を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体組成物および成形体に関し、詳しくは、4-メチル-1-ペンテン共重合体を含有する重合体組成物、および該重合体組成物を含むブロー成型体等の成形体に関する。
4-メチル-1-ペンテンと1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンなどのα-オレフィンとを共重合してなる4-メチル-1-ペンテン系重合体は医療用器具、医療用包装材、実験用器材、化粧品容器等の用途に広く利用されている。4-メチル-1-ペンテン系重合体については、これまでに種々検討されている。
特許文献1に、2種の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体を含む重合体組成物が開示され、この組成物からなる透明性、耐熱性、靭性、寸法安定性に優れた中空成形体が記載されている。特許文献2には、特定の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体と4-メチル-1-ペンテン重合体(B)とを含む4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物が、透明性および剛性を有しながら高い耐衝撃性を備え、さらに高い耐熱性を有することが記載されている。特許文献3には、特定の4-メチル-1-ペンテン系重合体粒子が、高い立体規則性と優れた耐熱性等の特性を損なうことなく、その剛性を低下させる、すなわち柔軟性を向上させることができることが記載されている。特許文献4には、特定の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体と4-メチル-1-ペンテン重合体(B)とを含む4-メチル-1-ペンテン共重合体組成物が、耐熱性、剛性、透明性および耐衝撃性にバランスよく優れることが記載されている。
国際公開第2013/099876号 特開2018-162408号公報 国際公開第2019/198694号 特開2020-158681号公報
前記の特許文献に記載された組成物に対しては、さらに高い透明性および耐衝撃性が望まれていた。
本発明は、従来の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体組成物よりも優れた透明性および耐衝撃性を有する重合体組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体および4-メチル-1-ペンテン共重合体を特定割合で含む重合体組成物により前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば下記[1]~[5]に関する。
[1] 下記要件(A-a)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)15.0~40.0質量%と、
下記要件(B-a)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)85.0~60.0質量%(ただし、(共)重合体(A)および共重合体(B)の合計を100質量%とする)と、
を含む重合体組成物(X)。
要件(A-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が97.5~100モル%であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U2)が0~2.5モル%である。
要件(B-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が90.0モル%以上95.5モル%未満であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が4.5モル%以上、10.0モル%以下である。
[2] 前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれる全構成単位に対する、前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有比率が、4.0mol%以上8.0mol%未満である、[1]に記載の重合体組成物(X)。
[3] 前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)に含まれるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U2)と、前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が、下記式(1)を満たす、[1]または[2]に記載の重合体組成物(X)。
式(1) (U4)-(U2)≦ 8.5(モル%)
[4] [1]~[3]のいずれかに記載の重合体組成物(X)を含んでなる成形体。
[5] 下記要件(X-1)~(X-4)の少なくとも1つを満たす、[1]~[3]のいずれかに記載の重合体組成物(X)。
要件(X-1):2mm厚の組成物(X)の成形体を用いて、JIS K 7211に準拠して測定した23℃における高速面衝撃強度が5.0~20.0Jである。
要件(X-2):3mm厚の組成物(X)の成形体を用いて、ASTM D4812に準拠して、23℃におけるIzod衝撃試験を行ったときに破壊されない。
要件(X-3):2mm厚の組成物(X)の成形体を用いて、JIS K 7136に準拠して測定したヘイズが5.0%未満である。
要件(X-4):1/4inch厚の組成物(X)の成形体を用いて、ASTM D648(0.45MPa)に準拠して測定した熱変形温度(HDT)が70℃以上である。
本発明の重合体組成物は、従来の4-メチル-1-ペンテン(共)重合体組成物よりも優れた透明性および耐衝撃性を有する。
≪重合体組成物(X)≫
本発明に係る重合体組成物(X)(以下、単に「組成物(X)」ともいう。)は、下記要件(A-a)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)(以下、単に「(共)重合体(A)」ともいう。)15.0~40.0質量%と、下記要件(B-a)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)(以下単に「共重合体(B)」ともいう。)85.0~60.0質量%(ただし、(共)重合体(A)および共重合体(B)の合計を100質量%とする)とを含む。
なお、本発明において、「(共)重合体」とは、単独重合体および共重合体の両方の概念を含む用語である。
要件(A-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が97.5~100モル%であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U2)が0~2.5モル%である。
要件(B-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が90.0モル%以上95.5モル%未満であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が4.5モル%以上、10.0モル%以下である
相対的に、(共)重合体(A)は硬い物性を有し、共重合体(B)は柔らかい物性を有する。重合体の硬さは、それぞれの重合体に含まれるコポリマーであるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の量に起因する。
組成物(X)における(共)重合体(A)の含有量は、(共)重合体(A)および共重合体(B)の合計100質量%に対し、15.0~40.0質量%であり、好ましくは20.0~40.0質量%、より好ましくは25.0~35.0質量%である。組成物(X)における共重合体(B)の含有量は、(共)重合体(A)および共重合体(B)の合計100質量%に対し、85.0~60.0質量%であり、好ましくは80.0~60.0質量%、より好ましくは75.0~65.0質量%である。(共)重合体(A)および共重合体(B)の含有量が前記範囲にあると、組成物(X)は透明性および耐衝撃性に優れる。
また、重合体組成物(X)において、相対的に(共)重合体(A)の含有量が少なく、共重合体(B)の含有量が多いことにより、重合体組成物(X)は延伸性に優れる。
組成物(X)100質量%に対する、(共)重合体(A)および共重合体(B)の含有量の合計は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、上限は、100質量%である。(共)重合体(A)および共重合体(B)の含有量の合計が前記範囲にあると、4-メチル-1-ペンテン系重合体が有する物性が十分発揮される組成物および成形体を容易に得ることができる。
本発明の重合体組成物(X)は、1種または2種以上の(共)重合体(A)を含有することができる。また、本発明の重合体組成物(X)は、1種または2種以上の共重合体(B)を含有することができる。
本発明の重合体組成物(X)は、上述した(共)重合体(A)および共重合体(B)以外のその他の重合体成分をさらに含有することができる。その他の重合体成分として、(共)重合体(A)および共重合体(B)以外の4-メチル-1-ペンテン共重合体などを挙げることができる。
重合体組成物(X)において、(共)重合体(A)および共重合体(B)に含まれる全構成単位に対する、(共)重合体(A)および共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有比率は、好ましくは4.0mol%以上8.0mol%未満、より好ましくは4.5~8.0モル%、特に好ましくは5.0~8.0モル%である。
エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有比率が前記範囲内であると、重合体組成物(X)は延伸性に優れる点で好ましい。
なお、本発明において、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有比率を「トータルのコモノマー含量」ともいう。
重合体組成物(X)において、(共)重合体(A)に含まれるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U2)と、共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が、下記式(1)を満たすことが好ましい。
式(1) (U4)-(U2)≦ 8.5(モル%)
重合体組成物(X)において、式(1)の関係が満たされると、組成物(X)は透明性および耐衝撃性にさらに優れる。
(共)重合体(A)と共重合体(B)とは相溶性が良いので、重合体組成物(X)は海島構造を形成しにくく、一様に相溶する。その結果、重合体組成物(X)内部での乱反射が起こりにくく、透明性に優れる樹脂が得られる。
組成物(X)は、下記要件(X-1)~(X-4)の少なくとも1つを満たすことが好ましく、特にこれら全ての要件を満たすことが好ましい。
要件(X-1):2mm厚の組成物(X)の成形体を用いて、JIS K 7211に準拠して測定した23℃における高速面衝撃強度が5.0~20.0Jである。
該高速面衝撃強度は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
前記高速面衝撃強度は、好ましくは5.5~20.0J、より好ましくは6.0~20.0Jである。
組成物(X)が要件(X-1)を満たす場合、組成物(X)は耐衝撃性に優れるといえる。
要件(X-2):3mm厚の組成物(X)の成形体を用いて、ASTM D4812に準拠して、23℃におけるIzod衝撃試験を行ったときに破壊されない。
該Izod衝撃試験は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
組成物(X)が要件(X-2)を満たす場合、組成物(X)は耐衝撃性に優れるといえる。
要件(X-3):2mm厚の組成物(X)の成形体を用いて、JIS K 7136に準拠して測定したヘイズが5.0%未満である。
該ヘイズは、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
前記ヘイズは、好ましくは4.5%未満、より好ましくは4.0%未満である。
組成物(X)が要件(X-3)を満たす場合、組成物(X)は透明性に優れるといえる。
要件(X-4):1/4inch厚の組成物(X)の成形体を用いて、ASTM D648(0.45MPa)に準拠して測定した熱変形温度(HDT)が70℃以上である。
該熱変形温度は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
前記熱変形温度は、好ましくは73℃以上、より好ましくは75℃以上であり、上限は特に制限されないが、例えば、78℃である。
組成物(X)が要件(X-4)を満たす場合、組成物(X)は、4-メチル-1-ペンテン系重合体の有する耐熱性を損なわず、耐熱性に優れるといえる。
<4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)>
4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)は、下記要件(A-a)を満たす。(共)重合体(A)は、下記要件(A-b)をさらに満たすことが好ましい。
(共)重合体(A)は、1種類の(共)重合体のみを含んでいてもよく、2種類以上の(共)重合体を含んでいてもよい。(共)重合体(A)が2種類以上の(共)重合体を含む場合、それぞれの(共)重合体が前記要件(A-a)~(A-b)を満たすことが好ましい。
要件(A-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が97.5~100モル%であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U2)が0~2.5モル%である。ただし、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量とエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量との合計を100モル%とする。
4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは98.0~100モル%、より好ましくは98.5~100モル%である。エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは0~2.0モル%、より好ましくは0~1.5モル%である。
(共)重合体(A)において、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量、ならびにエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量が前記範囲内であると、組成物(X)は透明性および耐衝撃性に優れる。本発明においては、(共)重合体(A)が4-メチル-1-ペンテンの単独重合体であっても、透明性および耐衝撃性に優れる組成物(X)を得ることができる。
炭素数3~20のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンが挙げられる。エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンの中でも、透明性および耐衝撃性に優れる重合性組成物が得られるという観点から、炭素数10~20のα-オレフィンが好ましく、炭素数10~18のα-オレフィンがより好ましい。具体的には、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンが好ましい。例えば、1-ヘキサデセンと1-オクタデセンとを合わせて用いることが好ましい。
(共)重合体(A)は、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる構成単位を1種のみ有してもよく、2種以上有してもよい。
(共)重合体(A)は、本発明の目的を損なわない範囲で、4-メチル-1-ペンテン、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン以外の他の重合性化合物から導かれる構成単位をさらに有することができる。他の重合性化合物としては、例えば、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数20以下の分岐状α-オレフィン;スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナン等の環状構造を有するビニル化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル;無水マレイン酸等の不飽和有機酸またはその誘導体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン等の共役ジエン;1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペンル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン等の非共役ポリエンが挙げられる。
(共)重合体(A)において、他の重合性化合物から導かれる構成単位の含有割合は、(共)重合体(A)を構成する全構成単位100モル%中、通常は10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。
要件(A-b):(共)重合体(A)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]Aは、1.0~5.0dL/gである。前記[η]Aは、好ましくは1.1~4.5dL/g、より好ましくは1.2~4.0dL/gである。
[η]Aが上記範囲にある(共)重合体(A)は、重合体組成物の調製時や成形時において良好な流動性を示す。また、さらに4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)と組み合わせた場合に耐衝撃性の向上に寄与すると考えられる。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)>
4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)は、下記要件(B-a)を満たす。共重合体(B)は、下記要件(B-b)をさらに満たすことが好ましい。
共重合体(B)は、1種類の共重合体のみを含んでいてもよく、2種類以上の共重合体を含んでいてもよい。共重合体(B)が2種類以上の共重合体を含む場合、それぞれの共重合体が前記要件(B-a)~(B-b)を満たすことが好ましい。
要件(B-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が90.0モル%以上95.5モル%未満であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が4.5モル%以上、10.0モル%以下である 。ただし、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量とエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量との合計を100モル%とする。
4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは90.5~94.0モル%、より好ましくは91.0~93.0モル%である。エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは6.0~9.5モル%、より好ましくは7.0~9.0モル%である。
共重合体(B)において、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量、ならびにエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量が前記範囲内であると、組成物(X)は透明性および耐衝撃性に優れる。
炭素数3~20のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンが挙げられる。エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンの中でも、透明性および耐衝撃性に優れる重合性組成物が得られるという観点から、炭素数10~20のα-オレフィンが好ましく、炭素数10~18のα-オレフィンがより好ましい。具体的には、1-デセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンが好ましい。例えば、1-ヘキサデセンと1-オクタデセンとを合わせて用いることが好ましい。
共重合体(B)は、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる構成単位を1種のみ有してもよく、2種以上有してもよい。
共重合体(B)は、本発明の目的を損なわない範囲で、(共)重合体(A)において述べた他の重合性化合物から導かれる構成単位をさらに有することができる。
共重合体(B)において、他の重合性化合物から導かれる構成単位の含有割合は、共重合体(B)を構成する全構成単位100モル%中、通常は10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下である。
要件(B-b):共重合体(B)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]Bは、2.0~6.0dL/gである。前記[η]Bは、好ましくは2.3~5.5dL/g、より好ましくは2.5~5.0dL/g、さらに好ましくは2.7~4.7dL/gであり、特に好ましくは2.9~4.5dL/gである。
[η]Bが上記範囲にある共重合体(B)は、重合体組成物の調製時や成形時において良好な流動性を示す。また、さらに4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)と組み合わせた場合に耐衝撃性の向上に寄与すると考えられる。特に、[η]Bが上記下限値以上であると、成形物の耐衝撃性により優れ、また剛性により優れる傾向にある。
<(共)重合体(A)および共重合体(B)の製造方法>
(共)重合体(A)および共重合体(B)は、それぞれ、例えば、4-メチル-1-ペンテンと、炭素数2~20の直鎖状α-オレフィンと、必要に応じて前記他の重合性化合物とを重合することにより得ることができる。前記重合をメタロセン触媒の存在下で行うことにより、以上に記載した各要件を満たす(共)重合体(A)および共重合体(B)を好適に得ることができる。
メタロセン触媒としては、例えば、国際公開第01/53369号、国際公開第01/
27124号、特開平3-193796号公報、特開平02-41303号公報、国際公
開第06/025540号または国際公開第2013/099876号中に記載のメタロ
セン触媒が挙げられる。
メタロセン触媒としては、例えば、
メタロセン化合物(a)と、
担体(b)と
から少なくとも構成される触媒が挙げられる。
《メタロセン化合物(a)》
メタロセン化合物(a)は、例えば、一般式(1)または(2)で表される。
Figure 2022132774000001
一般式(1)または(2)中の各記号の意味は以下のとおりである。
1~R14は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、置換炭化水素基またはケイ素含有基である。R1からR4までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。R5からR12までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。
Yは、炭素原子またはケイ素原子である。
Aは、不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素数2~20の2価の炭化水素基である。Aは、Yと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよい。
Mは、周期表第4族から選ばれる金属(遷移金属)であり、例えば、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
Qは、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子である。jが2以上であるときは、各々のQは同一でも異なってもよい。
jは、1~4の整数、好ましくは2である。
1~R14における炭化水素基としては、例えば、炭素数1~20の炭化水素基が挙げられ、具体的には、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、炭素数7~20のアリールアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアルキルアリール基が挙げられる。
1~R14における置換炭化水素基(ただし、ケイ素含有基は除く)は、前記炭化水素基に含まれる水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、水酸基およびアミノ基等の官能基で置換された基である。
1~R14におけるケイ素含有基としては、例えば、ケイ素原子数1~4かつ炭素原子数3~20のアルキルシリル基またはアリールシリル基が挙げられ、その具体例としては、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルが挙げられる。
フルオレン環上のR5からR12までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。そのような置換フルオレニル基として、例えば、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、オクタヒドロジベンゾフルオレニル、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルが挙げられる。
フルオレン環上のR5からR12の置換基は、合成上の容易さから左右対称、すなわちR5=R12、R6=R11、R7=R10、R8=R9であることが好ましい。フルオレン環部分は、無置換フルオレン、3,6-二置換フルオレン、2,7-二置換フルオレンまたは2,3,6,7-四置換フルオレンが好ましい。フルオレン環上の3位、6位、2位、7位は、それぞれR7、R10、R6、R11に対応する。
13およびR14は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基または置換炭化水素基であることが好ましい。
一般式(1)の場合、R13およびR14はYと結合し、架橋部として置換メチレン基または置換シリレン基を構成する。置換メチレン基および置換シリレン基の具体例としては、例えば、ジアルキルメチレン、ジシクロアルキルメチレン、アルキルシクロアルキルメチレン、アルキルアリールメチレン、ジアリールメチレン、ジアルキルシリレン、ジシクロアルキルシリレン、アルキルシクロアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、ジアリールシリレン、これらがハロゲン化された基が挙げられる。
一般式(2)の場合、Yは前記2価の炭化水素基Aと結合し、シクロアルキリデン基まはシクロメチレンシリレン基等を構成する。シクロアルキリデン基およびシクロメチレ
ンシリレン基の具体例としては、例えば、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレンが挙げられる。
Qにおいて、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ;炭素数1~20の炭化水素基としては、R1~R14の炭化水素基と同様の基が挙げられ;アニオン配位子としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、カルボキシレート基、スルホネート基等が挙げられ;孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類等が挙げられる。Qの少なくとも一つは、ハロゲン原子または炭素数1~20のアルキル基であることが好ましい。
メタロセン化合物(a)の具体例として、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開第2006/025540号または国際公開第2007/308607号中に例示される化合物が挙げられる。
メタロセン化合物(a)は、国際公開第2014/050817号などに記載の、一般
式[A2]で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2022132774000002
式[A2]中、R1bは炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2b~R12bは水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、nは1~3の整数であり、Qは前記一般式(1)または(2)中のQと同義であり、jは1~4の整数である。
1bからR12bにおける炭化水素基としては、例えば、直鎖状アルキル基、直鎖状アルケニル基等の直鎖状炭化水素基;分岐状アルキル基等の分岐状炭化水素基;シクロアルキル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の環状飽和炭化水素基;アリール基、シクロアルケニル基等の環状不飽和炭化水素基;アラルキル基等の、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~10である。
1bからR12bにおけるケイ素含有基としては、例えば、式-SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1bからR12bにおけるハロゲン含有炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の、上記炭化水素基が有する1または2以上の水素原子をハロゲン原子に置換してなる基が挙げられる。
2bからR12bにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
式[A2]において2つの置換基が互いに結合して形成された環(スピロ環、付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環、シクロペンテン環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環、ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
1bは、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。R1bとしては、具体的には、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基である。
フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されないが、R4bおよびR5bは、分子量の観点から、好ましくは水素原子である。
2b、R3b、R6bおよびR7bは、好ましくは炭素数1~20の炭化水素基である。また、R2bとR3bが互いに結合して環を形成し、かつR6bとR7bが互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられる。
8bは水素原子であることが好ましい。R9bは炭素数2以上のアルキル基であることが好ましい。また、合成上の観点からは、R10bおよびR11bは水素原子であることも好ましい。
あるいは、n=1である場合、R9bおよびR10bが互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。この場合、R11bは水素原子であることが好ましい。
12bは、アルキル基であることが好ましい。
Mは周期表第4族遷移金属であり、例えばTi、ZrまたはHfであり、好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
nは1~3の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。nが上記値であることにより、生成する重合体を効率的に得る観点から好ましい。
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。
一般式[A2]で表される化合物としては、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドまたは(8-(2,3,6,7-テトラメチルフルオレン)-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドが特に好ましい。ここで、上記オクタメチルフルオレンとは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレンのことである。
《担体(b)》
担体(b)は、好ましくは粒子状であり、その表面および内部にメタロセン化合物(a)を固定化させることで、前記メタロセン触媒が形成される。このような形態の触媒は一般にメタロセン担持触媒と呼ばれる。
担体(b)は、有機アルミニウム化合物(b-1)、有機ホウ素化合物(b-2)、もしくは無機化合物(b-3)、またはこれらから選ばれる2種以上の複合体を主成分とする。
有機アルミニウム化合物(b-1)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリシクロアルキルアルミニウムや、アルミノキサンに代表される有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。また、有機アルミニウム化合物(b-1)としては、例えば、ホウ素原子を含む有機アルミニウムオキシ化合物や、国際公開第2005/066191号、国際公開第2007/131010号に例示されているようなハロゲンを含むアルミノキサン、国際公開第2003/082879号に例示されているようなイオン性アルミノキサンを挙げることもできる。
有機ホウ素化合物(b-2)としては、例えば、トリアルキルアンモニウムテトラアリールボレート、トリアルキルアンモニウムテトラ(ハロゲン化アリール)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラアリールボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラ(ハロゲン化アリール)ボレート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラアリールボレート、N,N-ジアルキルアニリニウムテトラ(ハロゲン化アリール)ボレートが挙げられる。
無機化合物(b-3)としては、例えば、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物、またはイオン交換性層状化合物が挙げられる。多孔質酸化物としては、例えば、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2等の酸化物、またはこれらを含む複合物もしくは混合物が挙げられる。例えば、天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2、SiO2-V2O5、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgOなどを例示することができる。無機ハロゲン化物としては、例えば、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
担体(b)として、高活性かつ溶媒可溶部量をさらに抑制する観点から、アルミニウム原子を含有する担体が好ましい。担体(b)中のアルミニウム原子の含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは20~60質量%、さらに好ましくは30~50質量%、特に好ましくは35~47質量%である。
このような担体(b)としては、固体状アルミノキサンが好適に用いられ、例えば、国際公開第2010/055652号、国際公開第2013/146337号、あるいは、国際公開第2014/123212号で開示される固体状アルミノキサンが特に好適に用いられる。
「固体状」とは、固体状アルミノキサンが用いられる反応環境下において、当該アルミノキサンが実質的に固体状態を維持することを意味する。より具体的には、例えばオレフィン重合触媒を構成する各成分を接触させてオレフィン重合固体触媒成分を調製する際、反応に用いられるヘキサンやトルエン等の不活性炭化水素媒体中、特定の温度・圧力環境下において前記アルミノキサンが固体状態であることを表す。
固体状アルミノキサンは、好ましくは下記式(1)で表される構成単位および下記式(2)で表される構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を有するアルミノキサンを含有し、より好ましくは下記式(1)で表される構成単位を有するアルミノキサンを含有し、さらに好ましくは下記式(1)で表される構成単位のみからなるポリメチルアルミノキサンを含有する。
Figure 2022132774000003
式(1)中、Meはメチル基である。
式(2)中、R1は炭素数2~20の炭化水素基、好ましくは炭素数2~15の炭化水素基、より好ましくは炭素数2~10の炭化水素基である。炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられる。
固体状アルミノキサンの構造は必ずしも明らかにされておらず、通常は、式(1)および/または式(2)で表される構成単位が2~50程度繰り返されている構成を有すると推定されるが、当該構成に限定されない。また、その構成単位の結合態様は、例えば、線状、環状またはクラスター状と種々であり、アルミノキサンは、通常、これらのうちの1種からなるか、または、これらの混合物であると推定される。また、アルミノキサンは、式(1)または式(2)で表される構成単位のみからなってもよい。
固体状アルミノキサンとしては、固体状ポリメチルアルミノキサンが好ましく、式(1)で表される構成単位のみからなる固体状ポリメチルアルミノキサンがより好ましい。 固体状アルミノキサンは、触媒担体として機能する。このため、固体状アルミノキサンの他に、触媒担体として、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、塩化マグネシウム等の固体状無機担体、またはポリスチレンビーズ等の固体状有機担体を用いなくともよい。
固体状アルミノキサンは、例えば、国際公開第2010/055652号および国際公開第2014/123212号に記載された方法により調製することができる。
《有機化合物成分(c)》
メタロセン触媒は、さらに必要に応じて、有機化合物成分(c)を含有することもできる。有機化合物成分(c)は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(c)としては、前述の有機アルミニウム化合物(b-1)を用いうる。その他に例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、アミド、ポリエーテルおよびスルホン酸塩が挙げられる。
《重合条件》
(共)重合体(A)および共重合体(B)を得るための4-メチル-1-ペンテンとエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィンとの重合は、溶解重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法においては、不活性炭化水素溶媒を用いることができ、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;これらから選ばれる2種以上の混合溶媒が挙げられる。また、4-メチル-1-ペンテンを含むオレフィン自身を重合溶媒として用いることができる。
オレフィン重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。以下では、メタロセン化合物(a)、担体(b)および有機化合物成分(c)を、それぞれ「成分(a)~(c)」ともいう。
(i)成分(a)と成分(b)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(ii)成分(a)を成分(b)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(i)~(ii)の各方法においては、任意の段階でさらに成分(c)が添加されてもよい。また、各触媒成分の少なくとも2つは予め接触されていてもよい。
また、成分(b)に成分(a)が担持された固体触媒成分においては、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン等のオレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
メタロセン触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、メタロセン触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。また、メタロセン触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに調節することができる。
成分(a)は、反応容積1リットル当り、通常は10‐10~10-2モル、好ましくは10-8~10-3モルとなるような量で用いられる。成分(b-1)は、成分(b-1)中のアルミニウム原子と成分(a)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が通常は10~10000、好ましくは30~2000、特に好ましくは150~500となるような量で用いることができる。成分(b-2)は、成分(b-2)と成分(a)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b-2)/M〕が通常は10~10000、好ましくは30~2000、さらに好ましくは150~500となるような量で用いることができる。成分(b-3)は、成分(b-3)と成分(a)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b-3)/M〕が通常は10~10000、好ましくは30~2000、さらに好ましくは150~500となるような量で用いることができる。
成分(c)を用いる場合は、成分(b)が成分(b-1)の場合には、成分(b-1)中のアルミニウム原子と成分(c)のモル比〔Al/(c)〕が通常は0.002~500、好ましくは0.01~60となるような量で、成分(b)が成分(b-2)の場合には、成分(b-2)と成分(c)のモル比〔(b-2)/(c)〕が通常は0.002~500、好ましくは0.01~60となるような量で、成分(b)が成分(b-3)の場合は、成分(b-3)と成分(c)のモル比〔(b-3)/(c)〕が通常は0.002~500、好ましくは0.01~60となるような量で用いることができる。
重合温度は、通常は-50~200℃、好ましくは0~100℃、より好ましくは20~100℃である。重合圧力は、通常は常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧の条件下である。重合反応は、回分式、半連続式および連続式のいずれの方法でも行うことができる。生成ポリマーの分子量または重合活性を制御する目的で、重合系に水素を添加することができ、水素の添加量は、オレフィン1kgあたり0.001~100NL程度が適当である。
重合条件としては、反応条件の異なる2段以上の重合を行う多段重合を採用することも可能である。例えば、水素使用量、または4-メチル-1-ペンテンと炭素数2~20の直鎖状α-オレフィンとの比率の異なる2種の条件で段階的に重合を実施することにより、所望の分子量分布または組成分布の重合体を得ることが可能である。
例えば、(共)重合体(A)および共重合体(B)の混合物は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)をスラリー重合により製造する工程(1)と、工程(1)で得られた(共)重合体(A)の存在下で、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)を、(共)重合体(A)および共重合体(B)の合計量を100質量部とした場合に共重合体(B)の量が60.0~85.0質量部となる範囲で、スラリー重合により製造する工程(2)とを有する多段重合法により製造することができる。
前記多段重合法は、重合条件の異なる工程(1)と工程(2)とを有するが、工程(1)および(2)の二段式重合でもよく、工程(1)および(2)に加えて他の工程をさらに含む三段式以上の重合であってもよい。
《工程(1)》
工程(1)では、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)をスラリー重合により製造する。工程(1)において、4-メチル-1-ペンテンおよび炭素数2~20の直鎖状α-オレフィンの供給量比は、それぞれから導かれる構成単位の量が上述した範囲にあるように設定される。
工程(1)では、(共)重合体(A)を含むスラリーが得られる。スラリー濃度、すなわち(共)重合体(A)粒子濃度は、通常は0.015~45質量%、好ましくは0.03~35質量%である。
《工程(2)》
工程(2)では、工程(1)で得られた(共)重合体(A)の存在下で、4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)をスラリー重合により製造する。工程(2)において、4-メチル-1-ペンテンおよび炭素数2~20の直鎖状α-オレフィンの供給量比は、それぞれから導かれる構成単位の量が上述した範囲にあるように設定される。
工程(2)では、工程(1)で得られた(共)重合体(A)および工程(2)で得られる共重合体(B)の合計量を100質量部とした場合に、共重合体(B)の量が5~90質量部となる範囲で、共重合体(B)を製造する。
工程(2)では、一実施態様では、(共)重合体(A)を含むスラリーに、4-メチル-1-ペンテンおよび炭素数2~20の直鎖状α-オレフィンを添加し、これらモノマーのスラリー重合を行うことができる。
工程(2)では、(共)重合体(A)および共重合体(B)を含有する粒子を含むスラリーが得られる。スラリー濃度、すなわち粒子濃度は、通常は3~50質量%、好ましくは5~40質量%である。
上記多段重合法ではスラリー重合を採用するが、「スラリー重合」とは、重合により生じる重合体が、重合時に用いた上記媒体に実質的に溶解することなく、例えば微粒子として上記媒体に分散した形で存在することを特徴とする重合をいう。
《固液分離工程》
工程(2)で得られた、(共)重合体(A)および共重合体(B)を含有する4-メチル-1-ペンテン系重合体粒子を含むスラリーを、固液分離する、例えば濾過することにより、前記粒子を分離回収することができる。
《後処理工程》
上記多段重合法で得られた4-メチル-1-ペンテン系重合体粒子、例えば上記固液分離工程で得られた粒子に対しては、上記方法で製造した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
以上のようにして、(共)重合体(A)および共重合体(B)の混合物を得ることができる。
<添加剤>
本発明の重合体組成物(X)は、従来公知の添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、二次抗酸化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、塩酸吸収剤が挙げられる。添加剤の含有量は特に制限されないが、(共)重合体(A)および共重合体(B)等を含む重合体成分100質量部に対して、それぞれ、通常は0~50質量部、好ましくは0~10質量部である。
本発明の重合体組成物(X)は、1種または2種以上の添加剤を含有することができる。
[重合体組成物(X)の製造方法]
本発明の重合体組成物(X)は、例えば、上述の(共)重合体(A)および共重合体(B)と、必要に応じてその他の重合体成分および添加剤とを混合することにより得ることができる。(共)重合体(A)および共重合体(B)の混合物は、上述した多段重合法により得ることもできる。
各成分の混合方法については、種々公知の方法、例えば、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラー、ブレンダー、ニーダールーダー等の装置を用いて各成分を混合する方法;前記混合後、得られた混合物を一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の装置でさらに溶融混練した後、得られた溶融混練物を造粒または粉砕する方法を採用することができる。
[成形体]
本発明の成形体は、前記重合体組成物(X)を含んでなる。
本発明の成形体は、重合体組成物(X)を用いて、例えば押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー(インジェクションブロー)成形、プレス成形、スタンピング成形、真空成形、カレンダー成形、フィラメント成形、発泡成形、パウダースラッシュ成形などの公知の熱成形を施すことにより得られる。
[製造例1、2、4、7~10]
国際公開第2017/150265号の比較例1に記載の重合方法に準じて、製造例1、2、4については、得られる共重合体の物性が表1に示した値になるように、製造例7~10については、得られる共重合体の物性が表2に示した値になるように、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン、水素の使用割合を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A-1)、(A-2)、(A-4)および(B-1)~(B-4)を得た。
[製造例3]
製造例3については、国際公開第2017/150265号の比較例1に記載の重合方法に準じて、得られる重合体の物性が表1に示した値になるように、水素の使用割合を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン単独重合体(A-3)を得た。
[製造例5]
国際公開第2006/054613号の比較例7において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-デセンから導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるように、モノマーの装入量を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A-5)を得た。
[製造例6]
国際公開第2006/054613号の実施例17において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-ヘキサデセン/ 1-オクタデセン混合物から導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるように、モノマーの装入量を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン共重合体(A-6)を得た。
Figure 2022132774000004
Figure 2022132774000005
[実施例1~3、比較例1~3]
前記製造例で得られた各重合体を、表3に記載の組成物配合となるように、二軸押出機(PCM43、(株)池貝製、スクリュー径:43mm、温度:280℃、回転数:200rpm)を用いて溶融混練することで、重合体組成物を得た。
得られた重合体組成物を、(株)名機製作所製の70トン射出成形機(M70B)を用い、シリンダ温度:280℃、金型温度:60℃の条件で、厚さ0.5mm、2mm、3mmまたは1/4インチの角板状に射出することで、射出試験片を作製した。
この重合体組成物および射出試験片を用いて、下記試験を行った。結果を表3に示す。
<4-メチル-1-ペンテン重合体中の構成単位含量>
4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の量(4-メチル-1-ペンテン含量)および4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンから導かれる構成単位の量(α-オレフィン含量)は、重合体組成物を用いて、以下の装置および条件により、13C-NMRスペクトルより算出した。
日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてo-ジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒,試料濃度55mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。得られた13C-NMRスペクトルにより、4-メチル-1-ペンテン、α-オレフィンの組成を定量化した。
<極限粘度[η]>
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。すなわち重合体組成物約20mgをデカリン15mLに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5mL追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿したときのηsp/Cの値を極限粘度として求めた(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<融点>
セイコーインスツル(株)製のDSC測定装置(DSC220C)により、発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度を融点(Tm)とした。測定は、以下のようにして行った。0.5mm厚の射出試験片から試料約5mgを切り出し、測定用アルミパンにつめ、10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で20℃まで降温し、20℃で5分間保持した後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、再度50℃/分の冷却速度で50℃まで降温した。2回目の昇温時に発現した融解ピークを、融点(Tm)とした。融解ピークが複数ある場合には、ピーク温度の高い方の値を融点とした。
<融解エンタルピー(ΔH)>
セイコーインスツル(株)製のDSC測定装置(DSC220C)により、発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の融解ピーク面積を融解エンタルピー(ΔH)とした。測定は、
以下のようにして行った。0.5mm厚の射出試験片から試料約5mgを切り出し、測定用アルミパンにつめ、10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で20℃まで降温し、20℃で5分間保持した後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、再度50℃/分の冷却速度で50℃まで降温した。2回目の昇温時に発現した融解ピークの面積を、融解エンタルピー(ΔH)とした。
<215℃における半結晶化時間(Tc1/2)>
(株)パーキンエルマー製のDSC測定装置(DSC8500)により、発熱・吸熱曲線を求め、215℃のピーク面積の半分となる時間を半結晶化時間(Tc1/2)とした。測定は、以下のようにして行った。0.5mm厚の射出試験片から試料約5mgを切り出し、測定用アルミパンにつめ、500℃/分の加熱速度で30℃から280℃に昇温し、280℃で10分間保持した後、500℃/分の冷却速度で215℃まで降温し、測定した。
実施例2では、上記試験でピークが現れず、半結晶化時間(Tc1/2)は測定できなかった。
<引張弾性率および引張破断応力>
2mm厚の射出試験片を使用して、ASTM D638に準拠してASTM-4ダンベル形試験片を作製し、インストロン社製の万能引張試験機3380にて、引張速度:50mm/min、測定温度:23℃の条件で引張試験を実施し、引張弾性率および引張破断応力を測定した。
<Izod衝撃試験>
3mm厚の射出試験片を使用して、ASTM D4812に準拠して、(株)東洋精機製作所製のデジタル衝撃試験機 DG-IB型を用い、ハンマー容量3.92J、空振り確度148.9°、試験温度23℃でIzod衝撃試験を実施し、Izod衝撃強度を測定した。
実施例1~3ならびに比較例1および3では前記試験で破壊が生じず、Izod衝撃強度は測定できなかった。
<熱変形温度試験>
1/4インチ厚の射出試験片を使用して、ASTM D648に準拠して、(株)安田精機製作所製のHDT測定装置を用い、昇温速度:50℃毎時間、試験荷重:0.45MPaの条件にて熱変形温度試験を実施し、熱変形温度(HDT)を測定した。
<ヘイズ測定>
2mm厚の射出試験片を使用して、JIS K 7136に準拠して、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率計 HM-150(D65光源)を用い、試験片を通過する透過光のうち、前方散乱によって入射光から2.5°以上それた透過光の割合を測定した。
<全光線透過率>
2mm厚の射出試験片を使用して、JIS K 7361に準拠して、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率計 HM-150(D65光源)を用い、全透過光量を測定し、下記式にて全光線透過率を求めた。
全光線透過率(%)=100×(全透過光量)/(入射光量)
<高速面衝撃>
2mm厚の射出試験片を使用して、JIS K 7211に準拠して、高速パンクチャー衝撃試験機「ハイドロショット HITS-P10形」((株)島津製作所製)を用いて、試験片をクランプで固定し、温度23℃の条件で、直径1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で試験片中央に落として衝撃を与えた。試験片が破壊するときの破壊エネルギーを求めた。
破壊面を目視で確認し、破壊タイプを延性破壊、脆性破壊に分類した。
延性破壊は脆性破壊に比べてもろさが無く、耐衝撃性に優れると評価できる。
Figure 2022132774000006

Claims (5)

  1. 下記要件(A-a)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)15.0~40.0質量%と、
    下記要件(B-a)を満たす4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)85.0~60.0質量%(ただし、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)の合計を100質量%とする)と、
    を含む重合体組成物(X)。
    要件(A-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が97.5~100モル%であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U2)が0~2.5モル%である。
    要件(B-a):4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が90.0モル%以上95.5モル%未満であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が4.5モル%以上、10.0モル%以下である。
  2. 前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれる全構成単位に対する、前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)および4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有比率が、4.0mol%以上8.0mol%未満である、請求項1に記載の重合体組成物(X)。
  3. 前記4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)に含まれるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U2)と、前記4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)に含まれるエチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が、下記式(1)を満たす、請求項1または2に記載の重合体組成物(X)。
    式(1) (U4)-(U2)≦ 8.5(モル%)
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体組成物(X)を含んでなる成形体。
  5. 下記要件(X-1)~(X-4)の少なくとも1つを満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体組成物(X)。
    要件(X-1):2mm厚の組成物(X)の成形体を用いて、JIS K 7211に準拠して測定した23℃における高速面衝撃強度が5.0~20.0Jである。
    要件(X-2):3mm厚の組成物(X)の成形体を用いて、ASTM D4812に準拠して、23℃におけるIzod衝撃試験を行ったときに破壊されない。
    要件(X-3):2mm厚の組成物(X)の成形体を用いて、JIS K 7136に準拠して測定したヘイズが5.0%未満である。
    要件(X-4):1/4inch厚の組成物(X)の成形体を用いて、ASTM D648(0.45MPa)に準拠して測定した熱変形温度(HDT)が70℃以上である。
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