JP5124262B2 - プロピレン系共重合体組成物 - Google Patents

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本発明は、剛性、耐衝撃性が良好で、ウエルド外観及び面品質に優れた成形体を得ることができるプロピレン系共重合体組成物、それを用いた射出成形体の製造方法及び当該射出成形体に関する。
従来からポリプロピレンは、たとえば射出成形体、押出成形体として、各種用途に広く利用されている。自動車分野では、バンパー、サイドモール等比較的大きな部品を射出成形して用いられることが多い。近年、これらの部品は軽量化のために成形品の厚み低減が求められている。このような大型成形品においては少ないゲート点数で末端部にまで充分に溶融樹脂を射出充填することは難しい。ゲート数を増やすことにより低い射出圧でも射出充填が可能になるが、ゲート数増加に伴いウエルドラインが多く発生することになるため、より一層ウエルド外観が良好な材料が必要となっている。
ウエルド外観の改良の手法として、樹脂の粘弾性挙動をコントロール方法が知られている(特許文献1、2)。特許文献1では、特定の溶融粘弾性測定から得られる緩和時間、分子量分布指数を有する自動車内装部材用プロピレン系ブロック共重合体組成物は、光沢ムラ、低光沢性、ウエルド外観に優れることが報告されている。特許文献2では、特定の溶融粘度、スウエル比を有するプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形体は、ウエルド外観及びフローマーク外観が著しく向上することが報告されている。
また、ウエルド外観改良の別の手法として、樹脂の一次構造をコントロールする方法が知られている(特許文献3、4)。特許文献3、4では、結晶性プロピレンブロック共重合体、エラストマー、無機充填剤を含み、クロスフラクショネーションクロマトグラフィーによる0℃溶出分の重量平均分子量および結晶性プロピレンブロック共重合体のデカン可溶分の極限粘度を特定範囲とした場合に、ウエルド外観及びフローマーク外観において改良効果があると報告されている。
しかしながら、これらの技術においては、プロピレン系ブロック共重合体の特定の組成を選択し、あくまでプロピレン系ブロック共重合体とエラストマーおよびフィラーとの組み合わせであり、ウエルド改良への効果は限定され、満足のいくレベルには至っていない。
さらに、ウエルド外観改良の別の手法として、ウエルド外観改質剤を添加する方法も知られている(特許文献5、6)。特許文献5では、シンジオタクティックポリプロピレンがウエルド改質に効果があることが見出されていて、熱可塑性樹脂に0.1〜20重量部添加することにより、成形品の機械物性を低下させずにウエルドが改善するとの報告がある。特許文献6は、特定のダイスウエルと分子量分布を有するランダムプロピレン共重合体が成形性改質に効果があることが見出されていて、プロピレンエチレンブロック共重合体に2〜30重量部添加することにより、ウエルド外観及びフローマーク外観が改善するとの報告がある。
特開平8−151419号公報 特開2000−838号公報 特開2006−124520号公報 特開2006−316106号公報 特開2001−49058号公報 特開2002−194023号公報
そこで本発明は、機械物性、ウエルド外観に優れ、かつ低射出圧でも面品質が良好なプロピレン系樹脂材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、特定のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体とプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体とを組み合わせることにより、ウエルドラインが成形体表面の何処にあっても目立つことなく、優れた外観を有する射出成形体が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨とするところは、Q値が2〜5、アイソタクチックトリアッド分率が96%以上のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)20〜70重量%、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)30〜80重量%(但し、成分(a1)と(a2)との合計を100重量%とする)に、成分(a1)と(a2)の合計100重量部に対して、熱可塑性エラストマー(a3)1〜40重量部を含有してなる、ゲート点数が2点以上である金型での射出成形用プロピレン系共重合体組成物に存する。
また、本発明の他の要旨は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)の融点(Tm)が、110〜150℃である前記のゲート点数が2点以上である金型での射出成形用プロピレン系共重合体組成物に存する。
また、本発明の他の要旨は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)が、メタロセン触媒により重合されたものである前記のゲート点数が2点以上である金型での射出成形用プロピレン系共重合体組成物に存する。
また、本発明の他の要旨は、前記のゲート点数が2点以上である金型での射出成形用プロピレン系共重合体組成物を用いて、ゲート点数が2点以上である金型で射出成形することを特徴とする射出成形体の製造方法に存する。
また、本発明の他の要旨は、前記の製造方法によって得られるウエルド外観に優れた射出成形体に存する。
プロピレン系樹脂組成物において機械物性に優れ、射出成形時のゲート点数が2点以上であり、またゲート点数が多いことから金型内圧が低減され、かつウエルド外観に優れた成形体を得ることができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
1.構成成分
(1)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)
本発明のプロピレン系共重合体組成物を構成する、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)は、プロピレンから得られる構造単位が100〜90重量%(ただし100重量%を除く)、好ましくは99〜95重量%、より好ましくは98.5〜96重量%、α−オレフィンから得られる構造単位が0〜10重量%(ただし0重量%を除く)、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1.5〜4重量%の割合で含有されていることが好ましい。上記プロピレンと共重合されるコモノマーのα−オレフィンとしては、エチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンなどが挙げられ、具体的には、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等を挙げることができる。α−オレフィンは2種以上を併用することもできる。コモノマーの構造単位が上記範囲内にあると、実用上良好な剛性を保つことができる。好ましくは、エチレン含有量1〜5重量%、特に2〜4重量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体である。
プロピレン系共重合体中のプロピレンから得られる構造単位、及び、α−オレフィンから得られる構造単位は、13C−NMR(核磁気共鳴法)を用いて測定される値である。具体的には、日本電子社製FT−NMRの270MHzの装置により測定される値である。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)は、メルトフローレート(MFR)は1〜200g/10分、特に10〜100g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲を上回ると衝撃強度が不足する傾向があり、MFRが上記範囲を下回るとウエルド外観が不良となる傾向がある。なお、MFRは、JIS−K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定したものである。
また、本発明のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)は、Q値が2〜5であり、好ましくは2.3〜4.8、より好ましくは2.5〜4.5である。Q値が2未満では、面品質が劣り、5を超えるとウエルド外観が悪化する。ここで、Q値とは、GPC測定による重量平均分子量(Mw) と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。なお、GPC測定の詳細は下記の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー社製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリプロピレンの粘度式を用いてポリプロピレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリプロピレンはα=0.707、logK=−3.616である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10ml
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)の融点(Tm)としては、好ましくは110〜150℃、より好ましくは120〜140℃である。融点が低いと剛性が低くなり、一方高すぎるとウエルド外観が劣りやすい。融点はプロピレンと共重合するα−オレフィンの含有量を調節することにより適宜選択することができる。なお、Tmの測定は、セイコー社製DSCを用い、サンプル量は5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させた後に1分間保持し、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときのピーク温度で評価する。
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)は、アイソタクシティー(立体規則性)の高いものが好ましい。アイソタクシティーはアイソタクチックトリアッド分率([mm]分率)として、96%以上、好ましくは97%以上である。
[mm]分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。この[mm]分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値である。
ここで、[mm]分率は、下記の13C−NMRスペクトルの測定方法にしたがって測定した値である。13C−NMRスペクトルは、10mmφNMR用サンプル管の中で、350〜500mgの試料をo−ジクロロベンゼン2mlにロック溶媒である重水素化ベンゼン0.5mlを加えた溶媒中で完全に溶解させた後、130℃でプロトン完全デカップリング法で測定する。測定条件は、フリップアングル90°、パルス間隔5T1以上(T1は、メチル基のスピン格子緩和時間のうち、最長の値)が選択される。プロピレン系共重合体においてメチレン基およびメチン基のT1はメチル基より短いので、この測定条件では全ての炭素の磁化の回復は99%以上となる。さらに微量成分の定量の為、炭素核の共鳴周波数として100MHz以上のNMR装置を使用して20時間以上の積算を行う。ケミカルシフトは頭−尾結合し、メチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位5連鎖の第3単位目のメチル基を21.8ppmとして設定し、他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。この基準では、[mm]で示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは21.2〜22.5ppmの範囲に、[mr]で示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは20.5〜21.2未満ppmの範囲に、[rr]で示されるプロピレン単位3連鎖中の第2単位目のメチル基に基づくピークは19.5〜20.5未満ppmの範囲に現れる。
[mm]分率は、[mm]、[mr]、[rr]各構造の割合から以下の式により算出される。
Figure 0005124262
ただし、PPP[mm]、PPP[mr]及びPPP[rr]はそれぞれ頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖における[mm]、[mr]、[rr]各構造の割合を表し、各ピークに帰属される領域の面積から評価される。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)の製造法は特に限定されず、メタロセン触媒、チーグラー触媒等を用いることができる。中でも、メタロセン触媒の作用により得られたものが成形体の面品質に優れるので好ましい。
メタロセン触媒としては、具体的には、
[A]下記一般式(I)で表される遷移金属化合物
Figure 0005124262
[式中、A1 及びA2 は共役五員環配位子(同一化合物内においてA1 及びA2は同一でも異なっていてもよい)を示し、Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mは周期表第4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。]に、
[B]アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩、からなる群より選ばれる一種以上の物質、及び
[C]有機アルミニウム化合物を接触させて得られる触媒が使用される。
一般式(I)中、A1 及びA2 は、共役五員環配位子(同一化合物内においてA1及びA2 は同一でも異なっていてもよい)を示し、好ましくはそのうち少なくとも一方は、共役五員環配位子上の隣接した置換基が結合し五員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を有する。そして、A1 及びA2 の共役五員環配位子は、結合性基Qに結合していない炭素に置換基を有していてもよい。上記の共役五員環配位子の典型例としては、例えば、シクロペンタジエニル基を挙げることが出来る。このシクロペンタジエニル基は、水素原子を4個有するもの[C54−]であってもよく、また、上記した通り、その水素原子の幾つかが置換基で置換されているものであってもよい。
上記の置換基の1つの具体例は、炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜15の炭化水素基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基、トリフェニルカルビル基などが挙げられる。上記の炭化水素基は、一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していてもよく、その置換基の末端で2種が結合して縮合環を形成してもよい。縮合環を形成したシクロペンタジエニル基の典型例としては、インデン、フルオレン、アズレン等の化合物やその誘導体である。
具体的には、シクロペンタジエニル、n−ブチルシクロペンタジエニル、インデニル、2−メチルインデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、テトラヒドロインデニル、2−メチルテトラヒドロインデニル、2−メチルベンゾインデニル、2,4−ジメチルアズレニル、2−メチル−4−フェニルアズレニル、2−メチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−ナフチルアズレニル、2−エチル−4−フェニルアズレニル、2−メチル−4−(4ークロロフェニル)アズレニル等が挙げられる。
炭化水素基以外の置換基としては、珪素、酸素、窒素、燐、硼素、硫黄などの原子を含有する炭化水素基が挙げられる。その典型例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニル硼素基、ジメトキシ硼素基、チエニル基などが挙げられる。その他の置換基としては、ハロゲン原子又はハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。その典型的例としては、塩素、臭素、沃素、フッ素、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。成分[A]として使用する遷移金属化合物は、A1 及びA2 のうち少なくとも一方が、共役五員環配位子上の隣接した置換基が結合し五員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を有するものが好ましい。すなわち、A1及びA2のどちらか一方は、少なくとも共役五員環の隣接する炭素2原子を含めた7〜10の縮合環を形成しているものが好ましい。
Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示す。すなわち、Qは、2価の結合性基であり、A1とA2とを架橋する。Qの種類は特に制限されないが、その具体例としては、(イ)炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の2価の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基、具体的には、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン等の不飽和炭化水素基、ハロアルキレン基、ハロシクロアルキレン基、(ロ)無置換または炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはオリゴシリレン基、(ハ)無置換または炭素数が通常1〜20の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基や、リン、窒素、ホウ素あるいはアルミニウムを含む炭化水素基などが挙げられる。これらの中では、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基またはゲルミレン基が好ましい。
Mは、周期表第4〜6族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムの4族遷移金属、更に好ましくは、ジルコニウム又はハフニウムである。X及びYは、それぞれ独立して、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示す。上記の各炭化水素基における炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜12である。これらの中では、水素原子、塩素原子、メチル基、イソブチル基、フェニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びトリメチルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基等のケイ素含有炭化水素基が好ましい。
[B]成分としては、アルミニウムオキシ化合物、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物、ルイス酸、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物、無機珪酸塩、からなる群より選ばれる一種以上の物質を用いる。
[C]成分としては、下記一般式で表される有機アルミニウム化合物が好適に使用される。
AlRa3-a
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Pは、水素、ハロゲン、アルコキシ基またはシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示す。)
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシド等のハロゲン又はアルコキシ含有アルキルアルミニウムが挙げられる。これらの中では、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、成分[C]として、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン類なども使用できる。(尚、成分[B]がアルミノキサンの場合は成分[C]の例示としてアルミノキサンは除く。)
メタロセン触媒の作用により得られるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、市販品を使用することもでき、例えば、日本ポリプロ社製WINTECシリーズが好適に使用できる。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)の製造は、チーグラー触媒等を用いて行うこともできる。チーグラー触媒としては、四塩化チタンを有機アルミニウム等で還元して得られた三塩化チタンまたは三塩化チタン組成物を電子供与性化合物で処理し更に活性化したもの(例えば特開昭47−34478号、特開昭58−23806号、特開昭63−146906号)、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と、有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルとからなる触媒(特開昭56―100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体からなる担持型触媒(特開昭57−63310号、特開昭58−157808号、特開昭58−83006号、特開昭58−5310号、特開昭61−218606号、特開昭63−43915号、特開昭63−83116号の各公報参照)等を例示することができる。
本発明のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)の製造は、上記触媒の存在下、プロピレン及び適宜のα−オレフィンを共重合して得ることができる。重合反応は、溶媒を使用する溶液重合の他、バルク重合、気相重合、溶融重合であってもよい。重合方式は、連続重合、回分式重合のいずれであってもよい。
(2)プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)
本発明のプロピレン系共重合体組成物を構成するもう一方の成分は、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)である。
次に、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)の製造方法について説明する。本発明のプロピレン系共重合体組成物を構成する、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)は、結晶性ポリプロピレン成分を重合する工程と、前記結晶性ポリプロピレン成分の存在下でプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体成分を重合する工程とを含む重合工程により得られる共重合体である。結晶性ポリプロピレン成分としては、プロピレン単独重合体や、結晶性を著しく損なわない範囲でエチレン、1−ブテン等のコモノマーが共重合されたランダム共重合体が挙げられる。コモノマーの量は0.5重量%未満程度である。プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体成分を構成する、α−オレフィンとしては、例えばエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1等を挙げることができる。α−オレフィンは一種でも二種以上でもよい。好ましい組み合わせとしては、プロピレンとエチレン、プロピレンとエチレンとブテン−1等が挙げられる。
結晶性ポリプロピレン成分の製造を行う前段の重合工程では、プロピレン及び必要に応じて水素等の連鎖移動剤を供給して、前記触媒の存在下で重合を行い、結晶性ポリプロピレン成分を製造する。この際、本発明のプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)における結晶性ポリプロピレン成分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、10〜550g/10分となるように調整する。また、(a2)の剛性と耐衝撃性を考慮して前段重合工程での重合体の生成量は、(a2)に対して通常60〜97重量%、好ましくは70〜95重量%の範囲となるように調節される。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分の製造を行う後段の重合工程では、プロピレンとα−オレフィンと必要に応じて連鎖移動剤を連続的に供給して、前記触媒(前記前段の重合工程で使用した当該触媒)の存在下にプロピレンとα−オレフィンの共重合を行い、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分を製造し、最終的な生成物として、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)を得る。なお、後段工程でのランダム共重合体成分の生成量は、(a2)に対して通常3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲となるように調節される。
該プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)は、下記(i)〜(iii)の特性のいずれか一つを有する重合体であることが好ましい。
(i)プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)のMFR(230℃、2.16kg荷重)が、10〜200g/10分、好ましくは30〜140g/10分、特に50〜120g/10分が好ましい。MFRが上記範囲を上回ると衝撃強度が不足する傾向があり、MFRが上記範囲を下回るとウエルド外観不良となる傾向がある。なお、MFRは、JIS−K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定したものである。
(ii)プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)は、結晶性ポリプロピレン成分とランダム共重合体成分により構成される。このうち、ランダム共重合体成分の割合が、3〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは8〜25重量%が好ましい。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)のランダム共重合体成分中のα−オレフィン含有量は、30〜70重量%が好ましく、35〜60重量%がより好ましい。該ランダム共重合体成分中のα−オレフィン含有量が30重量%以下では、剛性および衝撃の低下が著しくなり、70重量%以上では衝撃の低下が起こるため不適である。
プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)のランダム共重合体成分は、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)の40℃のオルトジクロロベンゼン可溶分として把握される。プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体から温度上昇溶離分別(TREF)法により、40℃以下の可溶分を分取して測定する。
温度上昇溶離分別(TREF)の測定の詳細については、Journal of Applied Polymer Science、第26巻、第4217〜4231頁(1981年)に記載される装置及び方法にて行なわれる。
具体的には以下の手順に従って行なわれる。試料(プロピレン系共重合体)を140℃ でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを、下記の条件で、140℃ のTREFカラムに導入した後8 ℃/分の降温速度で100℃ まで冷却し、引き続き4℃ /分の降温速度で40℃ まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.2mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製、MIRAN 1A
測定波長:3.42μm
(iii)本発明のプロピレン系共重合体組成物からなる射出成形品のウエルド外観を考慮すると、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)の融点(Tm)は低い方が好ましいが、低すぎると剛性や耐熱性が低下する傾向があるため、融点(Tm)の下限は、155℃が好ましく、160℃がより好ましい。
プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)の製造には、チーグラー触媒、メタロセン触媒等が用いられる。これらの触媒としては、前述のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)の製造用として例示したものを同様に用いることができる。先に述べたように、(a1)の製造にはメタロセン触媒が好ましいが、(a2)の製造にはチーグラー触媒が好ましい。
チーグラー系重合触媒を使用する場合においては、助触媒として有機アルミニウム化合物を使用する。例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどのアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド、メチルアルモキサン、テトラブチルアルモキサンなどのアルモキサン、メチルボロン酸ジブチル、リチウムアルミニウムテトラエチルなどの複合有機アルミニウム化合物などが挙げられる。また、これらを2種類以上混合して使用することも可能である。
また、上述のチーグラー触媒には、立体規則性改良や粒子性状制御、可溶性成分の制御、分子量分布の制御等を目的とする各種重合添加剤を使用することができる。例えば、ジフェニルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、ジブチルフタレートなどのエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルなどのエーテル類、安息香酸、プロピオン酸などの有機酸類、エタノール、ブタノールなどのアルコール類等の電子供与性化合物を挙げることができる。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエン等の不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合、また原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合が可能である。また、これらの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。例えば、結晶性ポリプロピレン成分の製造をバルク重合で行い、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分の製造を気相重合で行う方法や、結晶性ポリプロピレン成分の重合を気相重合で行い、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体成分の製造は気相重合で行う方法などが挙げられる。
本発明のプロピレン系共重合体組成物は、前記(a1)と(a2)から構成される。両者の割合は、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)20〜70重量%、好ましくは25〜50重量%、更に好ましくは30〜40重量%である。20重量%を下回るとウエルド外観が損なわれ、70重量%を超えると機械強度が低下する。一方、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)は、30〜80重量%、好ましくは50〜75重量%、更に好ましくは60〜70重量%である。
(a1)と(a2)とからなるプロピレン系共重合体組成物のMFRは15〜100g/10分が好ましく、20〜80g/10分がより好ましい。この範囲では剛性、耐衝撃性などの機械物性を著しく損なうことなく、ウエルド外観が向上するので好ましい。プロピレン系共重合体組成物が成分(a1)(a2)以外の任意成分を含有する場合には、全成分を含む組成物全体のMFRを意味する。
(3)熱可塑性エラストマー(a3)
本発明のプロピレン系共重合体組成物は、上記の通り、(a1)と(a2)を主たる成分とするが、所望により他の成分、特に熱可塑性エラストマー(a3)を配合することにより更なる衝撃強度の向上が期待できる。
熱可塑性エラストマーとしては、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・1−ブテン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合ゴム、エチレン・プロピレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合ゴム、その他のエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合ゴム等のポリオレフィン系ゴム、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合ゴムの水添物(SEBS:スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合ゴム)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合ゴムの水添物(SEPS:スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合ゴム)等のスチレン系ゴムを挙げることができるが、重合体組成物の透明性を損なわない為に、透明度の高いエラストマーやプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)の屈折率に近いエラストマーを選定するのが好ましい。
熱可塑性エラストマーの密度は、0.85〜0.90g/cm3、好ましくは0.86〜0.88g/cm3である。
熱可塑性エラストマーのMFRは、0.1〜20g/10分 、好ましくは0.5〜10g/10分 である。この範囲内であれば、耐衝撃性、成形性や塗装性が良好である。
熱可塑性エラストマーの添加量はプロピレン系共重合体組成物の衝撃強度、塗装性等に寄与するので、所望とする衝撃強度等に見合わせて添加すればよく、(a1)と(a2)の合計100重量部に対して1〜40重量部が好ましく、5〜30重量部がより好ましい。添加量が1重量部未満では添加の効果が乏しく、添加量が40重量部を上回ると剛性が低下する。
(4)その他の任意成分(a4)
本発明のプロピレン系共重合体組成物はその他の任意成分(a4)として、無機充填材、変性ポリオレフィン、他のポリプロピレン樹脂、各種添加剤成分を含有することができる。
無機充填材としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、ゼオライト、繊維状チタン酸カリウム、繊維状マグネシウムオキサルフェート、繊維状ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムなどのウィスカー類及び炭素繊維、ガラス繊維等が挙げられる。これらの中でもウィスカー、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ガラス繊維を用いるのが好ましい。無機充填材の添加量は、剛性やウエルド外観等を考慮して定めることができ、(a1)と(a2)の合計100重量部に対して0〜30重量部、好ましくは5〜25重量部、さらに好ましくは8〜25重量部である。
変性ポリオレフィンとは、官能性をもつオレフィン系樹脂である。官能性を付与することで、光輝剤、無機充填材、特にガラス繊維とプロピレン系共重合体(a1)(a2)との親和性が改善され機械的物性が向上する。オレフィン系樹脂としては、本発明の主体となるプロピレン系重合体以外のもので、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられ、好ましくはポリプロピレンが挙げられる。かかるオレフィン系樹脂に官能基を有する化合物を反応させて変性することにより、官能性を付与することができる。
官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基等が挙げられる。かかる官能基を有する化合物としては、不飽和カルボン酸又はその誘導体が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、これらの酸無水物が挙げられる。特に無水マレイン酸等が用いられる。これらの不飽和カルボン酸又はその誘導体による変性率としては、好ましくは0.1〜10重量%である。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、或いは、更に性能の向上をはかるために、各種添加剤成分を適宜配合することができる。具体的には、酸化防止剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、核剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、着色剤、発泡剤などを挙げることができる。
2.プロピレン系樹脂組成物の製造
本発明においては、組成物を構成する各成分、即ちプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)およびプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)、必要に応じて用いられる熱可塑性エラストマー(a3)、無機充填材を含む必要に応じて用いられる任意成分(a4)などを、前記配合割合で配合して、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーなどの通常の混練機を用いて混練・造粒することによって、本発明のプロピレン系共重合体組成物が得られる。
この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練・造粒方法を選択することが好ましく、通常は二軸押出機を用いて行われる。この混練・造粒の際には、上記各成分の配合物を同時に混練してもよく、逐次的に混練してもよい。また性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、即ち例えば、先ずプロピレン系ブロック共重合体組成物の一部又は全部を先に混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
3.成形体
本発明のプロピレン系共重合体組成物は、ウエルドが目立たずウエルド外観に優れた成形体を与えることができる。本発明の成形体は、射出成形、ブロー成形、押出成形等各種成形法によって得ることができ、好ましくはゲート点数が2点以上である金型を用いて射出成形する方法、より好ましくはゲート点数が4点以上である金型を用いて射出成形する方法である。
本発明の成形体は、バンパー、フェンダー、サイドモール、バックドアパネル、スポイラー等の自動車外装部品、インストルメントパネル、ドアトリム、スピーカーグリル等の自動車内装部品、家電用品ハウジング、OA機器ハウジング等に好適に用いられる。
次に本発明の実施例について説明するが、本発明はその要旨を超えない限り下記の実施例に限定されるものではない。各例で使用した原材料、各種成形性と得られた成形品の物性および各種物性の測定方法は次の通りである。
1.各種物性の測定方法
(1)MFR(単位:g/10分):JIS K−7210に準拠(230℃ 、2.16kg荷重)して測定した。
(2)融点(単位:℃):前記の方法(DSC法)を用いて測定した。
(3)モノマー構成:前記の方法(NMR法)を用いて測定した。
(4)Q値:前記の方法(GPC法)を用いて測定した。
(5)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS−K7203に準拠して測定した。
(6)アイゾット(IZOD)衝撃強度(単位:kJ/m2):JIS−K7110に準拠して、−30℃で測定した。
(7)外観評価:型締め圧170トンの射出成形機で、長さ350mm、幅105mm、厚さ3mmの平板シートを成形した(図1参照)。成形条件は、射出圧80MPa、射出時間3〜4秒にて実施した。図1に示したゲートA、B、C、Dに対応する位置にある4点の樹脂注入口を用いて成形(実施例1〜3ではA,Cの2点、実施例4ではA,B,C,Dの4点を使用)を行った。
ウエルド発生場所のウエルドラインの目立ちやすさを、下記の基準でウエルド外観の評価とした。
○:ウエルドラインが殆ど目立たない
△:ウエルドラインがやや目立つ
×:ウエルドラインがかなり目立つ
−:ウエルドライン無し
デフォームの評価については、ヒケが観察されるか否かを、目視にて下記の基準で評価した。
○:問題なし、ほとんどヒケは観察されない
×:ヒケ有り、ヒケが目立つ
2 .原材料
(1)プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)
PP−1:プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ社製)
PP−2:プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ社製)
PP−3:プロピレンランダム共重合体(日本ポリプロ社製)
各種樹脂物性を表1に記載した。
(2)プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)
PP−4:プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(日本ポリプロ社製)
各種樹脂物性を表2に記載した。
(3)熱可塑性エラストマー(a3)
E−1:エチレン・ブテンエラストマー(三井化学社製、タフマーA4050S)、MFR6.4g/10分、密度0.860g/cm3
(4)無機充填材(a4)
F−1:微粉タルク(富士タルク社製):平均粒径 5.9μm
F−2:ウィスカー(宇部マテリアルズ社製、モスハイジA):繊維長20μm
<実施例1〜4>
成分(a1)〜(a4)を表3に示す割合で配合し、スーパーミキサーを用いてドライブレンドした後、ホッパーより原料を供給し、高速二軸押出機(神戸製鋼所製、KCM)を用い溶融混練し、押出してペレットを得た。得られたペレットを射出成形機により、樹脂温度210℃および金型温度30℃で射出成形して物性試験片を製造し、評価を行った。ウエルド評価およびデフォーム評価には、上述の方法により成形品を製造し評価を行った。成形条件(ゲート点数、ゲート位置)及び評価結果を表4に示す。表3、表4に示す様に実施例1〜4に示す組成を持ったプロピレン系共重合体組成物は、良好なウエルド外観を実現し、かつ何れも良好な物性バランスを示すことがわかる。
<比較例1〜4>
成分(a1)〜(a4)を表3に示す割合で配合し、実施例1と同様に試験片を製造し、評価を行なった。成形条件(ゲート点数、ゲート位置)及び評価結果を表4に示す。
・比較例1においては、ウエルド外観は良好であるが、プロピレン・α−オレフィンブロック重合体を含まないため、成形時の樹脂圧が高くなり、ヒケが見られかつ剛性および衝撃強度も低い。
・比較例2においては、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を含有しないため、ウエルド外観が著しく悪化する。
・比較例3においては、ゲート点数が1点であるためにウエルドラインは現れないが、末端にまで射出成形時に金型内の圧力が及ばないために、成形品表面にヒケが見られる。
・比較例4においては、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のQ値が5を超えるために、ウエルド外観に劣る。
Figure 0005124262
Figure 0005124262
Figure 0005124262
Figure 0005124262
実施例で使用した平板シートを示す。
符号の説明
A,B,C,Dはゲートに対応する部分を示す。

Claims (5)

  1. Q値が2〜5、アイソタクチックトリアッド分率が96%以上のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)20〜70重量%、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体(a2)30〜80重量%(但し、成分(a1)と(a2)との合計を100重量%とする)に、成分(a1)と(a2)の合計100重量部に対して、熱可塑性エラストマー(a3)1〜40重量部を含有してなる、ゲート点数が2点以上である金型での射出成形用プロピレン系共重合体組成物。
  2. プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)の融点(Tm)が、110〜150℃である請求項1に記載のゲート点数が2点以上である金型での射出成形用プロピレン系共重合体組成物。
  3. プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(a1)が、メタロセン触媒により重合されたものである請求項1又は2に記載のゲート点数が2点以上である金型での射出成形用プロピレン系共重合体組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲート点数が2点以上である金型での射出成形用プロピレン系共重合体組成物を用いて、ゲート点数が2点以上である金型で射出成形することを特徴とする射出成形体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法によって得られるウエルド外観に優れた射出成形体。
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