JPH1077373A - ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれより得られるポリプロピレン系フィルム - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれより得られるポリプロピレン系フィルム

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JPH1077373A
JPH1077373A JP22366796A JP22366796A JPH1077373A JP H1077373 A JPH1077373 A JP H1077373A JP 22366796 A JP22366796 A JP 22366796A JP 22366796 A JP22366796 A JP 22366796A JP H1077373 A JPH1077373 A JP H1077373A
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ethylene
propylene
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olefin
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JP22366796A
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Toshio Ohama
俊生 大浜
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリプロピレン系樹脂の長所である剛性を高
度に保持しながら,耐衝撃性を向上させた剛性と耐衝撃
性のバランスに優れ、透明性の良好な従来にないポリプ
ロピレン系樹脂組成物及びシートを提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂(A)50〜99
重量%と(a)〜(d)の要件を満たすエチレン・α−
オレフィン共重合体(B)50〜1重量%からなり、
(e)の要件を満たすポリプロピレン系樹脂組成物を用
いる。(a)α−オレフィンの炭素数が3〜20、
(b)密度が0.910g/cm3以下、(c)α−オ
レフィン含量が10〜65重量%、(d)Mw/Mnが3
以下、(e)圧縮成形シ−トにおいて、(A)の屈折率
(nA)と(B)の屈折率(nB)の差の絶対値(|nA
−nB|)が0.012以下

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性が向上
し、さらに、剛性と耐衝撃性のバランスも良好であり、
加えて、高透明であることを特徴とするポリプロピレン
系樹脂組成物、ならびにその組成物より得られるポリプ
ロピレン系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂(PP)は、耐熱
性、剛性が高く、成形加工性も良好で、しかも低価格で
あることから、自動車の内外装部品、例えば、バンパ
ー、モール、フロントグリル、インパネや、家電機器外
装部品、文具、日用品、容器、フィルムなどの用途に、
近年、その使用が大幅に拡大している。しかしながら、
PPは耐衝撃性および耐寒衝撃性に乏しいことが欠点
で、これらの性能が要求される用途には、エチレン・プ
ロピレン共重合体エラストマー(EPR)に代表される
エラストマーを添加する必要があった。
【0003】また、近年は、この分野においても、環境
問題への対応と相まって、製品の薄肉化への要求が強く
なり、これらの高度な要求に応えるためにも剛性が高
く、耐衝撃性に優れた、すなわち、剛性と耐衝撃性のバ
ランスが良好な材料の開発が望まれていた。このための
一般的な手法が、上記のようにPPにEPRに代表され
るエラストマーを添加するということになるが、PPに
このようなエラストマーを添加すると、一般には、透明
性が著しく悪化し、日用品、容器、フィルムなどの用途
に展開するには限界があった。特に、フィルムに関して
は、耐熱性、透明性といったポリプロピレン系樹脂が有
する特徴を生かして、種々の用途に展開されているが、
これらの中で、輸液袋や血液袋に代表される医療用途や
レトルト袋に代表される食品包装袋用途に対して、耐衝
撃性や耐寒衝撃性を付与するためにエラストマーを添加
すると、重要な要求特性である透明性が損なわれてしま
うという問題があった。ポリプロピレン系樹脂の透明性
を向上させるには、一般に、ソルビトール系化合物に代
表される透明化剤を添加する方法が提案されており、高
透明に関して大きな効果を発揮する。しかし、ソルビト
ール系化合物を添加したポリプロピレン系樹脂の成形体
は、臭気を発生することがあり、これらを添加したポリ
プロピレン系樹脂組成物を医療や食品用途に展開するこ
とには限界がある。以上のことから、特に、ポリプロピ
レン系樹脂のフィルムに関しては、耐熱性、耐衝撃性、
耐寒衝撃性ならびに高透明が同時に満足されるものへの
要求が高かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この分野を
取り巻く上記のような外況に鑑みたもので、発明が解決
しようとする課題は、ポリプロピレン系樹脂の長所であ
る剛性を高度に保持しながら、耐衝撃性を向上させた剛
性と耐衝撃性のバランスに優れ、かつ、透明性の良好な
従来にないポリプロピレン系樹脂組成物、ならびにそれ
より得られるポリプロピレン系フィルムを提供すること
である。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討を行った結果、ポリプロピレ
ン系樹脂に、ある特定の要件を満足するエチレン・α−
オレフィン共重合体を特定の割合で、かつ、プロピレン
系重合体[A]の屈折率(nA)とエチレン・α−オレ
フィン共重合体[B]の屈折率(nB)の差が特定の範
囲にあることを特徴するポリプロピレン系樹脂組成物、
ならびにそれより得られるポリプロピレン系フィルムが
上記の目的を達成できるものであるという知見を得て、
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明のポリプ
ロピレン系樹脂組成物ならびにそれより得られるポリプ
ロピレン系フィルムは、プロピレン系重合体[A]50
〜99重量%と下記(a)〜(d)の要件を満足するエ
チレン・α−オレフィン共重合体[B]50〜1重量%
とからなり、さらに、下記(e)の要件を満足すること
を特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物、ならびに、
プロピレンの単独重合、または、プロピレンと1種類以
上のα−オレフィンとのランダム共重合によって得られ
るプロピレン系重合体[A]と下記(a)〜(d)の要
件を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体[B]
からなり、下記(e)の要件を満足するポリプロピレン
系樹脂組成物より得られるポリプロピレン系フィルムで
ある。 (a)α−オレフィンの炭素数が3〜20 (b)100℃の熱水に1時間浸し、そのままの状態で
室温まで放冷したものの密度が0.855g/cm3
0.910g/cm3 (c)α−オレフィン含量が10重量%〜65重量% (d)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
比(Mw/Mn)が3以下 (e)180℃で12分間保持し、その後30℃で5分
間保持することによって作製された厚さ200μmの圧
縮成形シートで測定されたプロピレン系重合体[A]の
屈折率(nA)とエチレン・α−オレフィン共重合体
[B]の屈折率(nB)の差の絶対値(|nA−nB|)
が0.012以下 以下に、本発明を詳細に説明する。
【0006】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構
成する成分[A]のプロピレン系重合体は、プロピレン
の単独重合体、プロピレンと1種類以上のα−オレフィ
ンとのランダムまたはブロック共重合のいずれでもよ
い。その製造方法については、特に限定されない。一般
的には、いわゆるチタン含有固体状遷移金属成分と有機
金属成分とを組み合わせたチーグラー・ナッタ触媒、特
に、遷移金属成分がチタン、マグネシウムおよびハロゲ
ンを必須成分とし、有機金属成分が有機アルミニウム化
合物である触媒を用いて、スラリー重合、気相重合、バ
ルク重合、溶液重合など、またはこれらを組み合わせた
重合法で重合される。プロピレン単独重合体の場合は、
上記の重合法で、1段または多段で、プロピレンを単独
重合することによって得られ、プロピレンとα−オレフ
ィンとの共重合によって得られるランダムまたはブロッ
ク共重合体は、プロピレンと炭素数2または4〜12の
α−オレフィンを1種類以上、好ましくは炭素数2のエ
チレンとを1段または多段で共重合させることによって
得られる。この中で、プロピレン系重合体がランダム共
重合体の場合は、該共重合体中のα−オレフィンの割合
は、一般に0.5〜10重量%である。α−オレフィン
の割合が0.5〜10重量%の場合は、プロピレン系ラ
ンダム共重合体の特徴である透明性、柔軟性、低温ヒー
トシール性のバランスが良好となるので、この範囲のも
のが好ましい。また、プロピレン系重合体がブロック共
重合体の場合は、該共重合体中のα−オレフィンの割合
は一般に1〜40重量%、好ましくは1〜25重量%で
ある。α−オレフィンの割合が1〜40重量%の場合
は、プロピレン系ブロック共重合体の特徴である剛性と
耐衝撃性のバランスが良好となるので、この範囲のもの
が好ましい。ただし、高剛性であることが必要となる用
途に対しては、α−オレフィンの割合が1〜25重量%
の範囲であるものが好ましい。本発明においては、プロ
ピレン系重合体は、基本的には上記のいずれであっても
よいが、高透明に関する劇的な効果を期待し、その組成
物からポリプロピレン系フィルムを得る場合は、プロピ
レン単独重合体またはプロピレンと1種類以上のα−オ
レフィンとのランダム共重合体が好ましい。また、これ
らのプロピレン系重合体は、2種以上を併用しても構わ
ない。
【0007】本発明における成分[A]のプロピレン系
重合体のMFRについては特に限定されない。ただし、
一般には、230℃,2160gの荷重下で測定したM
FRが、0.5〜200g/10分の範囲にあるもの
が、各種成形用途に用いられており、ここでもこの範囲
にあるものが好ましい。
【0008】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物にお
いて用いられる成分[B]のエチレン・α−オレフィン
共重合体は、前記(a)〜(d)の要件を満足するもの
である。
【0009】本発明における成分[B]のエチレン・α
−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンは炭素数
が3〜20のものであり、例えば、プロピレン、ブテン
−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテ
ン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デ
セン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン
−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデ
セン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナ
デセン−1、エイコセン−1などが挙げられ、これらの
1種もしくは2種以上が用いられる。なかでも、入手が
容易であることから、ブテン−1、ヘプテン−1、ヘキ
セン−1、オクテン−1が好ましい。
【0010】本発明における成分[B]のエチレン・α
−オレフィン共重合体は、100℃の熱水に1時間浸
し、そのままの状態で室温まで放冷したものの密度が
0.855g/cm3〜0.910g/cm3である。密
度が0.855g/cm3より小さい場合は、成分
[A]のプロピレン系重合体との相溶性が良好になりす
ぎ、剛性を低下させる恐れがある。加えて、耐衝撃性の
向上に関しても十分な効果が得られない。すなわち、本
発明の目的の一つである剛性と耐衝撃性の高度なバラン
スが得られず、好ましくない。また、この場合は、エチ
レン・α−オレフィン共重合体が非結晶性となり、室温
でべたつき、自着が起こるようになり、それ自体の取り
扱いに困難が伴なうとともに、特別な混練機を用いない
と、混練物が得られず、汎用性が低く、この意味でも好
ましくない。一方、密度が0.910g/cm3を超え
ると、成分[A]プロピレン系重合体とからなる組成物
において、耐衝撃性の向上に対して十分な効果が得られ
ないとともに、高透明に関する効果も得られないので、
この場合も好ましくない。また、本発明における成分
[B]のエチレン・α−オレフィン共重合体はα−オレ
フィン含量が10重量%〜65重量%である。α−オレ
フィン含量が10重量%未満になると、上記の成分
[B]の密度の項で記したように、成分[B]の密度が
大きくなり、耐衝撃性の向上に対して十分な効果が得ら
れないとともに、高透明に関する効果も得られない。一
方、α−オレフィン含量が65重量%を越えると、やは
り上記の成分[B]の密度の項で記したように、成分
[A]との相溶性が良好になりすぎ、剛性を低下させる
恐れがあるとともに、耐衝撃性の向上効果も小さく、剛
性と耐衝撃性の十分なバランスが得られない。また、こ
の場合もエチレン・α−オレフィン共重合体は非結晶性
となり、室温でべたつき、自着が起こり、それ自体の取
り扱いに困難が伴うとともに、特別な混練機を用いない
と混練物が得られず、汎用性が低く、好ましくない。
【0011】さらに、本発明における成分[B]のエチ
レン・α−オレフィン共重合体は、重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下で
ある。Mw/Mnが3より大きいと、べたつきの原因とな
る低分子量成分が多くなるので好ましくない。特に、本
発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体はα−
オレフィン含量の多い比較的低密度のレジンを請求の対
象としており、それでなくても非結晶成分が多くてべた
つく方向にある。したがって、Mw/Mnを狭くしてべた
つきを抑えることが好ましい。
【0012】以上のような上記(a)〜(d)の要件を
満足する成分[B]のエチレン・α−オレフィン共重合
体は、1個または2個のシクロペンタジエニル骨格を有
する配位子が周期律表4〜6族の遷移金属、好ましく
は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムに配位した
公知のメタロセン化合物とアルモキサンとを組み合わせ
た触媒、または、上記メタロセン化合物とこれと反応し
てイオン性の錯体を形成するイオン性化合物および有機
金属化合物を組み合わせた触媒を用いて、エチレンとα
−オレフィンを共重合させて製造することができる。
【0013】上記触媒を用いたエチレン・α−オレフィ
ン共重合体の製造方法としては、気相法、スラリー法、
溶液法、高圧イオン重合法などを挙げることができる。
中でも生成する共重合体の融点以上の280℃までの温
度で重合する、溶液法、高圧イオン重合法で製造するこ
とが好ましく、特に、本発明に用いるエチレン・α−オ
レフィン共重合体の場合は、高圧イオン重合法で製造す
ることが特に好ましい。なお、高圧イオン重合法とは、
特開昭56−18607号,特開昭58−225106
号各公報により公知の、圧力が200kg/cm2
上、好ましくは300〜2000kg/cm2,温度1
25℃以上、好ましくは130〜250℃、特に好まし
くは150〜200℃の反応条件下で行われるエチレン
系重合体の連続的製造法である。
【0014】また、本発明におけるポリプロピレン系樹
脂組成物は、成分[A]のプロピレン系重合体の屈折率
(nA)と成分[B]のエチレン・α−オレフィン共重
合体の屈折率(nB)の差の絶対値(|nA−nB|)が
0.012以下である。 (|nA−nB|)が0.01
2を越えると、高透明化に関する効果が得られず、この
場合は、成分[A]のプロピレン系重合体に成分[B]
のエチレン・α−オレフィン共重合体を添加すると、成
分[A]そのものより透明性が悪化してしまい、本発明
の目的を満足しない。
【0015】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物にお
ける成分[A]のプロピレン系重合体と成分[B]のエ
チレン・α−オレフィン共重合体の混合組成は、重量比
で、[A]:[B]=99:1〜50:50である。
[B]が重量分率で1%未満の場合は、耐衝撃性の改良
効果が小さく、[B]が50重量%を越える場合は、剛
性が小さくなるので、好ましくない。剛性と耐衝撃性の
バランスを考慮すると、[A]:[B]=95:5〜5
0:50がさらに好ましい。この混合組成は、本発明に
おけるポリプロピレン系樹脂組成物をフィルム用素材と
して用いる場合にも同じである。ただし、フィルムの場
合、現在実用化されている同種の材料では、成分[B]
のエチレン・α−オレフィン共重合体のような成分
[A]の補助成分に対応するものは、一般に30重量%
以下である。したがって、これまでの材料の一般的な混
合組成を踏まえると、本発明におけるポリプロピレン系
樹脂組成物においても、これをフィルム用素材として用
いる場合は、成分[B]のエチレン・α−オレフィン共
重合体は30重量%以下で十分である。
【0016】また、本発明におけるポリプロピレン系樹
脂組成物には、一般にポリオレフィン系樹脂およびその
組成物において用いられる補助添加成分、例えば、酸化
防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、
着色剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤などを
添加しても構わない。また有機酸の金属塩に代表される
結晶核剤やソルビトール系化合物に代表される市販透明
過剤を添加することもできる。さらに、炭酸カルシウ
ム、カオリン、タルク、マイカ、中空ガラス球、酸化チ
タン、シリカ、カーボンブラック、アスベスト、ガラス
繊維、チタン酸カリウム繊維などの充填剤、さらには、
高密度ポリエチレンおよび高圧ラジカル重合法で得られ
る低密度ポリエチレンに代表されるポリオレフィン系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエ
ン・スチレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重
合体樹脂、スチレン・ブタジエン軽ゴム、ポリブタジエ
ンなどの樹脂またはゴム上弾性物質をブレンドしても構
わない。
【0017】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
上記構成成分を上記の混合組成で配合する以外は、通常
の樹脂組成物の製造方法と同様にして製造することがで
きる。例えば、成分[A]と成分[B]を1軸または2
軸押出機、ブラベンダープラストミル、バンバリーミキ
サー、ニーダーブレンダー等を用いて、両成分の融点以
上で溶融混練して、通常行われている方法でペレット状
とするのが普通である。ただし、各種成形を施す前に成
分[A]と成分[B]のペレットどうしを混ぜ合わせ
る、いわゆるドライブレンドでも、得られた成形物は、
本発明の目的を満足するものとなり、この方法でも構わ
ない。
【0018】この様にして得られたポリプロピレン系樹
脂組成物は、周知の射出成形、押出成形、圧縮成形、ブ
ロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーシ
ョン成形およびキャストフィルム成形等の成形法に適用
される樹脂成形用素材として使用される。これらの中
で、成分[A]のポリプロピレン系樹脂としては特に制
限は加わらないが、特に、本発明のポリプロピレン系樹
脂組成物をポリプロピレン系フィルムにする場合は、プ
ロピレン単独重合体またはプロピレンと1種類以上のα
−オレフィンのランダム共重合体が好ましい。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0020】実施例および比較例におけるレジンならび
に組成物の諸特性は、以下の方法で測定し、評価した。
【0021】<密度>100℃の熱水に1時間浸し、そ
のままの状態で室温まで放冷したものについて、JIS
K6760(1981年)に準拠して、23℃に保っ
た密度勾配管で測定した。
【0022】<α−オレフィン含量>o−ジクロロベン
ゼン/ベンゼン−d6(75/25容量%)を溶媒とし
た溶液を用い、100MHz、13C−NMRスペクトル
(装置;日本電子(株)製JNM GX400)測定よ
り算出した。
【0023】<重量平均分子量(Mw),数平均分子量
(Mn)>MwとMnは、ウォーターズ(株)製 150
CALC/GPC(カラム:東ソー(株)製、GMHH
R−H(S)、7.8mmIDX30cmを3本、溶
媒:1,2,4−トリクロロベンゼン、温度140℃、
流量1.0ml/分、注入濃度:30mg/30ml
(注入量300μl)を用いるゲルパーミェーションク
ロマトグラフィー法により測定した。なお、カラム溶出
体積は東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用いて、ユ
ニバーサルキャリブレーション法により校正した。
【0024】<メルトフローレート(MFR)>JIS
K7210(1976年)に準拠して、成分[A]の
ポリプロピレン系樹脂の場合は、230℃,2160g
の荷重下で、成分[B]のエチレン・α−オレフィン共
重合体の場合は、190℃,2160gの荷重下で測定
した。
【0025】<屈折率>JIS K 7105(198
1年)に準拠し、アッベ屈折率計を用いて、23℃で測
定した。測定は、厚さ200μmの圧縮成形で得られた
シートから短冊状の試料を切り出したものを用いて行っ
た。ここで、圧縮成形には、関西ロール(株)製の圧縮
成形機を2台用いた。1台は、ペレットを溶融させるも
の(溶融側)で、もう1台はその溶融体を速やかに冷却
するもの(冷却側)である。具体的には、溶融側におい
て180℃,12分間保持し、その後30℃の冷却側に
すばやく移して、5分間保持した。
【0026】<曲げ弾性率>JIS K7203(19
82年)に準拠し、3点曲げ方式により測定した。測定
は、オリエンテック(株)製の自動曲げ試験機RTM−
100を用いて行った。ここで、曲げ弾性率の測定に
は、射出成形で得られたテストピースを用いた。射出成
形には、東芝機械(株)製の射出成形機IS 100E
を用い,シリンダー温度250℃、金型温度50℃、金
型保持時間15秒で成形した。
【0027】<アイゾット衝撃強度>JIS K711
0(1984年)に準拠し、東洋精機(株)製の全自動
Izod衝撃試験機を用いて行った。測定試料は、アイ
ゾット衝撃強度測定用の試料であること以外は、曲げ弾
性率の測定で用いたものと同じ射出成形で得られたテス
トピースを用いた。なお、ここではノッチ付きのアイゾ
ット衝撃強度を評価しているが、成形されたテストピー
スに既にノッチが導入される金型を用いて成形されたテ
ストピースである。
【0028】<ヘーズ>JIS K7105(1981
年)に準拠し、日本電色工業(株)製のヘーズメーター
を用いて測定した。測定試料は、アイゾット衝撃強度測
定用の試料であること以外は、曲げ弾性率の測定で用い
たものと同じ射出成形で得られたテストピースを用い
た。ここでは、厚さ2mmの平板で評価した。
【0029】実施例1 実施例1では、成分[A]のプロピレン系重合体とし
て、プロピレン単独重合体を用いた。ここでは、これを
[A1]とする。具体的には、東ソー(株)製のポリプ
ロ、グレ−ドJ5200Aである。これは,230℃,
2160gの荷重下で測定したメルトフロ−レ−ト(M
FR)が20g/10minである。屈折率(nA1) は
1.506、曲げ弾性率は15100kg/cm2、ア
イゾット衝撃強度は、23℃,0℃,−20℃いずれに
おいても1.9kg・cm/cm2である。
【0030】実施例1では、成分[B]のエチレン・α
−オレフィン共重合体として、メタロセン系触媒で重合
されたエチレン・ヘキセン−1共重合体[B1]を用い
た。具体的には、メタロセン化合物として、ジフェニル
メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジ
ルコニウムジクロライド、イオン性化合物としてN,N
−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフ
ェニル)ボレ−ト、有機アルミニウム化合物としてトリ
イソブチルアルミニウムとの組合せからなる触媒を用い
て重合した。メタロセン化合物、イオン性化合物および
有機アルミニウムの量は、モル比(メタロセン化合物:
イオン性化合物:有機アルミニウム)で1:1.2:2
50とした。触媒の調整にはトルエンを用いた。重合
は、上記触媒を用い、重合温度165℃,重合圧力90
0kg/cm2で、重合し、得られたものである。重
合、精製、反応および触媒精製は、すべてあらかじめ不
活性ガス雰囲気で行った。また、反応に用いた溶媒など
は予め公知の方法により合成、同定したものを用いた。
表1には、[B1]その特性を示す。
【0031】表2に示す通り、実施例1における[A
1]と[B1]の屈折率の差の絶対値(|nA1−n
B1|)は0.004である。ここでは[A1]と[B
1]を重量比で90:10とし、酸化防止剤として2,
6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BH
T)を1000ppm加えてブレンドし、単軸押出機
(東洋精機(株)製)を用いて、200℃,50rpm
で溶融混練し、ロッド状の溶融混練物を水冷した後に、
ストランドカットして、ペレットとした。曲げ弾性率、
アイゾット衝撃強度およびヘーズは、このペレットから
上記のように成形された射出成形体で測定した。表2に
は、実施例1における曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度
およびヘーズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃と
0℃で測定した。 実施例2 実施例2は、実施例1で[B1]を重合する温度を18
5℃とした他は全て[B1]と同様に重合したエチレン
・ヘキセン−1共重合体[B2]とプロピレン単独重合
体[A1]からなる組成物である。表1には、[B2]
の特性を示す。表2に示す通り、[A1]と[B2]の
屈折率の差の絶対値(|nA1−nB1|)は0.006で
ある。実施例1における[B1]の代わりに[B2]を
用いた他は、全て実施例1と同じである。表2には実施
例2の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘーズを
示す。アイゾット衝撃強度は、23℃と0℃で測定し
た。
【0032】実施例3 実施例3は、実施例1で[B1]を重合するためのα−
オレフィンをプロピレンとした他は全て[B1]と同様
に重合したエチレン・プロピレン共重合体[B3]とプ
ロピレン単独重合体[A1]からなる組成物である。表
1には、[B3]の特性を示す。表2に示す通り、[A
1]と[B3]の屈折率の差の絶対値(|nA1−n
B1|)は0.004である。実施例1における[B1]
の代わりに[B3]を用いた他は、全て実施例1と同じ
である。表2には、実施例3の曲げ弾性率、アイゾット
衝撃強度およびヘーズを示す。アイゾット衝撃強度は、
23℃と0℃で測定した。
【0033】実施例4 実施例4は、実施例1で[B1]を重合するためのα−
オレフィンをブテン−1とした他は全て[B1]と同様
に重合したエチレン・ブテン−1共重合体[B4]とプ
ロピレン単独重合体[A1]からなる組成物である。表
1には、[B4]の特性を示す。表2に示す通り、[A
1と[B4]の屈折率の差の絶対値(|nA1−nB2|)
は0.003である。実施例1における[B1]の代わ
りに[B4]を用いた他は、全て実施例1と同じであ
る。表2には、実施例4の曲げ弾性率、アイゾット衝撃
強度およびヘーズを示す。アイゾット衝撃強度は、23
℃と0℃で測定した。
【0034】実施例5 実施例5は、実施例1で[B1]を重合する温度を17
0℃、α−オレフィンをオクテン−1とした他は全て
[B1]と同様に重合したエチレン・オクテン−1共重
合体[B5]とプロピレン単独重合体[A1]からなる
組成物である。表1には,[B5]の特性を示す。表2
に示す通り、[A1]と[B5]の屈折率の差の絶対値
(|nA1−nB4|)は0.003である。実施例1にお
ける [B1]の代わりに[B5]を用いた他は、全て
実施例1と同じである。表2には、実施例5の曲げ弾性
率、アイゾット衝撃強度およびヘーズを示す。アイゾッ
ト衝撃強度は、23℃と0℃で測定した。
【0035】実施例6 実施例6は、実施例1で[B1]を重合する温度を15
0℃、α−オレフィンをブテン−1とした他は全て[B
1]と同様に重合したエチレン・ブテン−1共重合体
[B6]とプロピレン単独重合体[A1]からなる組成
物である。表1には、[B6]の特性を示す。表2に示
す通り、[A1]と[B6]の屈折率の差の絶対値(|
A1−nB5|)は0.010である。実施例1における
[B1]の代わりに[B6]を用いた他は、全て実施例
1と同じである。表2には、実施例6の曲げ弾性率、ア
イゾット衝撃強度およびヘーズを示す。アイゾット衝撃
強度は、23℃と0℃で測定した。
【0036】比較例1 比較例1は、実施例1で[B1]を重合する温度を13
0℃、α−オレフィンをブテン−1とした他は全て[B
1]と同様に重合したエチレン・ブテン−1共重合体
[B7]とプロピレン単独重合体[A1]からなる組成
物である。表1には、[B7]の特性を示す。表2に示
す通り、[A1]と[B7]の屈折率の差の絶対値(|
A1−nB6|)は0.016となり、これは請求項を満
たさない。実施例1における[B1]の代わりに[B
7]を用いた他は、全て実施例1と同じである。表2に
は、比較例1の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度および
ヘーズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃と0℃で
測定した。
【0037】比較例2 比較例2は、実施例1で[B1]を重合する温度を12
5℃、α−オレフィンをブテン−1とした他は全て[B
1]と同様に重合したエチレン・ブテン−1共重合体
[B8]とプロピレン単独重合体[A1]からなる組成
物である。表1には、[B8]の特性を示す。表2に示
す通り、[A1]と[B8]の屈折率の差の絶対値(|
A1−nB7|)は0.024となり、これも請求項を満
たさない。実施例1における[B1]の代わりに[B
8]を用いた他は、全て実施例1と同じである。表2に
は、比較例2の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度および
ヘーズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃と0℃で
測定した。
【0038】比較例3 比較例3は、バナジウム系触媒を用いて製造された市販
のエチレン・プロピレン共重合体[B9]とプロピレン
単独重合体[A1]からなる組成物である。表1には、
[B9]の特性を示す。表2に示す通り、[A1]と
[B9]の屈折率の差の絶対値(|nA1−nB8|)は
0.020となり、これもここでの請求項を満たさな
い。実施例1における[B1]の代わりに[B9]を用
いた他は、全て実施例1と同じである。表2には、比較
例3の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘーズを
示す。アイゾット衝撃強度は、23℃と0℃で測定し
た。
【0039】比較例4 比較例4も、バナジウム系触媒を用いて製造された市販
のエチレン・ブテン−1共重合体[B10]とプロピレ
ン単独重合体[A1]からなる組成物である。表1に
は、[B10]の特性を示す。表2に示す通り、[A
1]と[B10]の屈折率の差の絶対値(|nA1−nB9
|)は0.016となり、これも請求項を満たさない。
実施例1におけ[B1]の代わりに[B10]を用いた
他は、全て実施例1と同じである。表2には、比較例4
の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘーズを示
す。アイゾット衝撃強度は、23℃と0℃で測定した。
【0040】実施例7 実施例7は、実施例1と同じ[A1]と[B1]からな
る組成物で、[A1]と[B1]を重量比で60:40
とした以外は、全て実施例1と同じである。表3には、
実施例7の曲げ弾性率,アイゾット衝撃強度およびヘー
ズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃および
−20℃で測定した。
【0041】実施例8 実施例8は、実施例2と同じ[A1]と[B2]からな
る組成物で、[A1]と[B2]を重量比で60:40
とした以外は、全て実施例1と同じである。表3には、
実施例8の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘー
ズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃および
−20℃で測定した。
【0042】実施例9 実施例9は、実施例3と同じ[A1]と[B3]からな
る組成物で、[A1]と[B3]を重量比で60:40
とした以外は、全て実施例1と同じである。表3には、
実施例9の曲げ弾性率,アイゾット衝撃強度およびヘー
ズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃および
−20℃で測定した。
【0043】実施例10 実施例10は、実施例4と同じ[A1]と[B4]から
なる組成物で、[A1]と[B4]を重量比で60:4
0とした以外は、全て実施例1と同じである。表3に
は、実施例10の曲げ弾性率,アイゾット衝撃強度およ
びヘーズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃
および−20℃で測定した。
【0044】実施例11 実施例11は、実施例5と同じ[A1]と[B5]から
なる組成物で、[A1]と[B5]を重量比で60:4
0とした以外は、全て実施例1と同じである。表3に
は、実施例11の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およ
びヘーズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃
および−20℃で測定した。
【0045】実施例12 実施例12は、実施例6と同じ[A1]と[B6]から
なる組成物で、[A1]と[B6]を重量比で60:4
0とした以外は、全て実施例1と同じである。表3に
は、実施例12の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およ
びヘーズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃
および−20℃で測定した。
【0046】比較例5 比較例5は、比較例1と同じ[A1]と[B7]からな
る組成物で、[A1]と[B7]を重量比で60:40
とした以外は、全て実施例1と同じである。表3には、
比較例5の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘー
ズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃および
−20℃で測定した。
【0047】比較例6 比較例6は、比較例2と同じ[A1]と[B8]からな
る組成物で、[A1]と[B8]を重量比で60:40
とした以外は、全て実施例1と同じである。表3には、
比較例6の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘー
ズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃および
−20℃で測定した。
【0048】比較例7 比較例7は、比較例3と同じ[A1]と[B9]からな
る組成物で、[A1]と[B9]を重量比で60:40
とした以外は、全て実施例1と同じである。表3には、
比較例9の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘー
ズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃および
−20℃で測定した。
【0049】比較例8 比較例8は、比較例4と同じ[A1]と[B10]から
なる組成物で、[A1]と[B10]を重量比で60:
40とした以外は、全て実施例1と同じである。表3に
は、比較例10の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度およ
びヘーズを示す。アイゾット衝撃強度は、23℃,0℃
および−20℃で測定した。
【0050】以下の実施例および比較例は、請求項2の
内容に対応するもので、本組成物より得られるポリプロ
ピレン系フィルムに関するものである。
【0051】ここで、フィルムの物性値は、以下の方法
で測定したものである。
【0052】<ヤング率>JIS K7113(198
1年)に準拠し、厚さ約50μmのキャストフィルムか
ら2号ダンベル試験片を打ち抜き、オリエンテック
(株)製の引張試験機を用いて、引張速度200mm/
分で測定し、評価した。
【0053】<振子式面衝撃強度>JIS P8134
(1976年)に準拠して、厚さ約50μmのキャスト
フィルムから10cm×10cmの試験片を切り出し、
日本理学工業(株)製の振子式面衝撃強度試験機を用い
て、測定した。
【0054】<ヘーズ>JIS K7105(1981
年)に準拠し、厚さ約40μmのキャストフィルムから
5cm×5cmの試験片を切り出し、日本電色工業
(株)製のヘーズメーターを用いて測定した。 実施例13 実施例13では、成分[A]のプロピレン系重合体とし
て、プロピレンとエチレンとブテン−1のランダム共重
合によって得られたものプロピレン系ランダム共重合体
[A2]を用いた。具体的には、東ソー(株)製のポリ
プロ,グレードF6073Uである。これは、230
℃,2160gの荷重下で測定したメルトフローレート
(MFR)が7g/10minである。圧縮成形シ−ト
での屈折率(nA2)は、1.504である。実施例13
は、[A2]と実施例1,7と同じ[B1]とからなる
組成物より得られたポリプロピレン系フィルムである。
表4に示すように、[A2]と[B1]の屈折率の差の
絶対値(|nA2−nB1|)は0.002である。[A
2]と[B1]は重量比で90:10である。 [A
2]と[B1]の溶融混練物(ペレット)の作製は実施
例1と同じである。ここでは、このペレットを用いて、
キャストフィルムを作製した。成形機は、モダンマシナ
リー(株)製のφ50mmキャストフィルム成形機であ
り、ペレットの溶融温度を250℃、冷却ロ−ルの温度
を30℃、引き取り速度を30mm/分として、厚さ約
50μmのキャストフィルムを作製した。フィルム物性
としては、剛性の指標として引張弾性率を、耐衝撃性の
指標として23℃での振子式面衝撃強度を測定し、剛性
と耐衝撃性のバランスを評価した。また、透明性はヘー
ズで評価した。さらに、耐寒衝撃性は、23℃,10
℃,5℃,0℃,−5℃,−10℃,−15℃,−20
℃で振子式面衝撃強度を測定し、振子式面衝撃強度の測
定環境温度依存性から衝撃強度が1000kg・cm・
cm-2以上となる環境温度を見積り、それを耐寒衝撃性
の指標とした。表4には、実施例13の引張弾性率、2
3℃での振子式面衝撃強度、ならびに耐寒衝撃性の指標
とした振子式面衝撃強度が1000kg・cm・cm-2
となる環境温度を示す。
【0055】実施例14 実施例14は、[A2]と実施例2,8と同じ[B2]
からなる組成物より得られるポリプロピレン系フィルム
である。表4に示すように、[A2]と[B2]の屈折
率の差の絶対値(|nA2−nB2|)は0.004であ
る。実施例13において、[B1]の代わりに[B2]
を用いた以外は全て実施例13と同じである。表4に
は、実施例14の引張弾性率,23℃での振子式面衝撃
強度、ならびに耐寒衝撃性の指標とした振子式面衝撃強
度が1000kg・cm・cm-2となる環境温度を示
す。
【0056】比較例9 比較例9は、[A2]と比較例1,5と同じ[B7]か
らなる組成物より得られるポリプロピレン系フィルムで
ある。表4に示すように、[A2]と[B7]の屈折率
の差の絶対値(|nA2−nB7|)は0.014である。
実施例13において、[B1]の代わりに[B7]を用
いた以外は、全て実施例13と同じである。表4には、
比較例9の引張弾性率、23℃での振子式面衝撃強度、
ならびに耐寒衝撃性の指標とした振子式面衝撃強度が1
000kg・cm・cm-2となる環境温度を示す。
【0057】比較例10 比較例10は、[A2]と比較例3,7と同じ[B9]
からなる組成物より得られるポリプロピレン系フィルム
である。[A2]と[B9]の屈折率の差の絶対値(|
A2−nB9|)は0.018である。実施例13におい
て、[B1]の代わりに[B9]を用いた以外は,全て
実施例13と同じである。表4には、比較例10の引張
弾性率、23℃での振子式面衝撃強度、ならびに耐寒衝
撃性の指標とした振子式面衝撃強度が1000kg・c
m・cm-2となる環境温度を示す。
【0058】比較例11 比較例11は、[A2]と比較例4,8と同じ[B1
0]からなる組成物より得られるポリプロピレン系フィ
ルムである。[A2]と[B10]の屈折率の差の絶対
値(|nA2−nB10|)は0.014である。実施例1
3において、[B1]の代わりに[B10]を用いた以
外は、全て実施例13と同じである。表5には、比較例
11の引張弾性率、23℃での振子式面衝撃強度、なら
びに耐寒衝撃性の指標とした振子式面衝撃強度が100
0kg・cm・cm-2となる環境温度を示す。
【0059】実施例15 実施例15は、実施例13において[A2]:[B1]
=80:20とした以外は、全て実施例13と同じであ
る。表5には、実施例15の引張弾性率、23℃での振
子式面衝撃強度、ならびに耐寒衝撃性の指標とした振子
式面衝撃強度が1000kg・cm・cm-2となる環境
温度を示す。
【0060】実施例16 実施例16は、実施例14において[A2]:[B2]
=80:20とした以外は、全て実施例14と同じであ
る。表5には、実施例16の引張弾性率、23℃での振
子式面衝撃強度、ならびに耐寒衝撃性の指標とした振子
式面衝撃強度が1000kg・cm・cm-2となる環境
温度を示す。
【0061】比較例12 比較例12は、比較例9において[A2]:[B7]=
80:20とした以外は、全て比較例9と同じである。
表5には、比較例12の引張弾性率、23℃での振子式
面衝撃強度、ならびに耐寒衝撃性とした振子式面衝撃強
度が1000kg・cm・cm-2となる環境温度を示
す。
【0062】比較例13 比較例13は、比較例10において[A2]:[B9]
=80:20とした以外は、全て比較例10と同じであ
る。表5には、比較例13の引張弾性率、23℃での振
子式面衝撃強度、ならびに耐寒衝撃性の指標とした振子
式面衝撃強度が1000kg・cm・cm-2となる環境
温度を示す。
【0063】比較例14 比較例14は、比較例11で[A2]:[B10]=8
0:20とした以外は、全て比較例10と同じである。
表5には、比較例14の引張弾性率、23℃での振子式
面衝撃強度、ならびに耐寒衝撃性の指標とした振子式面
衝撃強度が1000kg・cm・cm-2となる環境温度
を示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明におけるポリプ
ロピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性が改良され、さら
に、剛性と耐衝撃性のバランスに優れ、加えて、従来の
類似のポリプロピレン系樹脂組成物に比べて、高透明が
達成されたものとなり、プロピレン系重合体を限定した
場合には、これらの組成物を用いて得られるポリプロピ
レン系フィルムは従来にない物性バランスを有するもの
となる。
【0070】したがって、本組成物は,剛性と耐衝撃性
のバランスが要求される用途、例えば、自動車の内外装
部品や電気機器外装部品、さらには、高透明であること
が要求される日用品、容器、フィルムなどに対して、中
でも、フィルムに対しては、輸液袋や血液袋に代表され
る医療用途、レトルト袋に代表される食品包装袋用途等
に対して、好適な素材ならびに成形体となる。
【0071】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン系重合体[A]50〜99重
    量%と下記(a)〜(d)の要件を満足するエチレン・
    α−オレフィン共重合体[B]50〜1重量%からな
    り、さらに、下記(e)の要件を満足することを特徴と
    するポリプロピレン系樹脂組成物。 (a)α−オレフィンの炭素数が3〜20 (b)100℃の熱水に1時間浸し、そのままの状態で
    室温まで放冷したものの密度が0.855g/cm3
    0.910g/cm3 (c)α−オレフィン含量が10重量%〜65重量% (d)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
    比(Mw/Mn)が3以下 (e)180℃で12分間保持し、その後30℃で5分
    間保持して作製された厚さ200μmの圧縮成形シ−ト
    で測定されたプロピレン系重合体[A]の屈折率
    (nA)とエチレン・α−オレフィン共重合体[B]の
    屈折率(nB)の差の絶対値(|nA−nB|)が0.0
    12以下
  2. 【請求項2】 プロピレンの単独重合、またはプロピレ
    ンと1種類以上のα−オレフィンとのランダム共重合に
    よって得られるプロピレン系重合体[A]と請求項1に
    記載のエチレン・α−オレフィン共重合体[B]からな
    る請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物より得
    られるポリプロピレン系フィルム。
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