JPH1030037A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物

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JPH1030037A
JPH1030037A JP18594896A JP18594896A JPH1030037A JP H1030037 A JPH1030037 A JP H1030037A JP 18594896 A JP18594896 A JP 18594896A JP 18594896 A JP18594896 A JP 18594896A JP H1030037 A JPH1030037 A JP H1030037A
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temperature
mfr
polypropylene resin
component
olefin
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JP18594896A
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English (en)
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Toshio Ohama
俊生 大浜
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性を高度に保持しながら、耐衝撃性、特に
低温環境下での耐衝撃性を向上させたポリプロピレン系
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂(A)50〜99
重量%と(a)〜(d)の要件を満たすエチレン・α−
オレフィン共重合体(B)50〜1重量%からなり、
(e),(f)の要件を満たすポリプロピレン系樹脂組
成物を用いる。 (a)α−オレフィンの炭素数が4〜20、(b)密度
が0.855〜0.910g/cm3、(c)α−オレ
フィン含量が10〜65重量%、(d)Mw/Mnが3以
下、(e)(A),(B)のMFRの積が120以上、
(f)固体の動的粘弾性測定で得られる損失弾性率の温
度依存性曲線において、−80〜80℃に2つのピ−ク
が現れ、さらにその高温側に位置する樹脂(A)に起因
するピ−クが、(A)単独の場合の同ピ−クより低温に
位置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性、特に低
温環境下での耐衝撃性が向上し、さらに、剛性と耐衝撃
性のバランスも良好であることを特徴とするポリプロピ
レン系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂(PP)は、優れ
た耐熱性、剛性、成形加工性およびそれらを総合したコ
ストパフォーマンスを背景に、自動車部品、家電製品、
文具、日用品、容器、フィルムなどの用途に幅広く用い
られている。しかし、PPは耐衝撃性、耐寒性に乏しい
ことが欠点で、これらの性能が要求される用途には、エ
チレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)に
代表されるエラストマーを添加する必要があった。
【0003】また、近年は、この分野においても、環境
問題への対応とも相俟って、製品の薄肉化への要求が強
くなり、これらの高度な要求に応えるために、剛性が高
く、耐衝撃性に優れた、すなわち、剛性と耐衝撃性のバ
ランスに優れた材料の開発が望まれている。特に、PP
は、低温環境下での耐衝撃性が著しく乏しくなるので、
そのような低温環境下では、PP系材料の使用そのもの
が制限される。
【0004】以上のことから、PP系材料の材料として
の安定性、ならびにその使用範囲をさらに拡大するため
には、耐衝撃性、特に低温環境下での耐衝撃性の改良が
不可欠である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この分野を
取り巻く上記のような外況に鑑みたもので、発明が解決
しようとする課題は、ポリプロピレン系樹脂の長所であ
る剛性を高度に保持しながら、耐衝撃性、特に低温環境
下での耐衝撃性を向上させた剛性と耐衝撃性のバランス
に優れたポリプロピレン系樹脂組成物を提案することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討を行った結果、ポリプロピレ
ン系樹脂に、ある特定の要件を満たすエチレン・α−オ
レフィン共重合体を特定の割合で、かつ、ポリプロピレ
ン系樹脂(A)のMFR(MFR−A)とエチレン・α
−オレフィン共重合体(B)のMFR(MFR−B)の
積が特定の範囲にあり、加えて、組成物中の成分(A)
のガラス状態からゴム状態への転移温度(いわゆるガラ
ス転移温度)が成分(A)単独のそれより低温に位置す
ることを特徴するポリプロピレン系樹脂組成物が上記の
目的を達成できるものであるという知見を得て、本発明
を完成するに至った。すなわち、本発明のポリプロピレ
ン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)50〜
99重量%と下記(a)〜(d)の要件を満たすエチレ
ン・α−オレフィン共重合体(B)50〜1重量%とか
らなり、さらに、下記(e),(f)の要件を満たすこ
とを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物である。
【0007】(a)α−オレフィンの炭素数が4〜20 (b)100℃の熱水に1時間浸し、そのままの状態で
室温まで放冷したものの密度が0.855〜0.910
g/cm3 (c)α−オレフィン含量が10〜65重量% (d)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
比(Mw/Mn)が3以下 (e)230℃,2160gの荷重下で測定したポリプ
ロピレン系樹脂(A)のMFR(MFR−A)と190
℃,2160gの荷重下で測定したエチレン・α−オレ
フィン共重合体(B)のMFR(MFR−B)の積が1
20以上 (f)固体の動的粘弾性測定で得られる損失弾性率
(E”)の温度依存性曲線において、−80〜80℃の
温度範囲に2つのピークが現れ、さらにその高温側に位
置するポリプロピレン系樹脂(A)に起因するピ−クの
ピーク温度が、(A)単独の場合の同ピークのピ−ク温
度より低温に位置する。
【0008】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する成分(A)の
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、プ
ロピレンと少量のα−オレフィンとのランダムまたはブ
ロック共重合体のいずれでもよい。その製造方法につい
ては、特別に限定されるものではない。一般的には、い
わゆるチタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分と
を組み合わせたチ−グラ−・ナッタ触媒、特に、遷移金
属成分がチタンであり、マグネシウムおよびハロゲンを
必須成分とし、有機金属成分が有機アルミニウム化合物
である触媒を用いて、スラリ−重合、気相重合、バルク
重合、溶液重合など、またはこれらを組み合わせた重合
法で重合される。プロピレン単独重合体の場合は、上記
の重合法で、1段または多段で、プロピレンを単独重合
することによって得られ、プロピレンと少量のα−オレ
フィンとの共重合によって得られるランダムまたはブロ
ック共重合体は、プロピレンと炭素数2または4〜12
のα−オレフィン、好ましくは炭素数2のエチレンとを
1段または多段で共重合させることによって得られる。
この中で、プロピレン系重合体がランダム共重合体の場
合は、該共重合体中のα−オレフィンの割合は、一般に
0.5〜10重量%である。α−オレフィンの割合が
0.5重量%より少ない場合は、プロピレン系ランダム
共重合体の特徴である透明性、柔軟性、低温シール性に
関する十分な特徴が得られないので好ましくない。一
方、α−オレフィンの割合が10重量%を越えると、剛
性や耐熱性が低下し、プロピレン系重合体であることの
特徴が失われてしまうので、この場合も好ましくない。
また、プロピレン系重合体がブロック共重合体の場合
は、該共重合体中のα−オレフィンの割合は一般に1〜
40重量%以下、好ましくは1〜25重量%である。α
−オレフィンの割合が1重量%より少ない場合は、プロ
ピレン系ブロック共重合体の特徴である耐衝撃性に関す
る十分な特徴が得られないので、ブロック共重合体であ
ることの意味合いが薄くなる。一方、α−オレフィンの
割合が40重量%を越えると、剛性が低下してしまい、
プロピレン系重合体であることの特徴が失われてしま
い、この場合も好ましくない。さらに、高剛性であるこ
とが必要となる用途によっては、α−オレフィンの割合
が25重量%を越えると、好ましくない場合もある。
【0009】本発明においては、ポリプロピレン系樹脂
は、基本的には上記のいずれであってもよいが、これら
のプロピレン系重合体は、2種以上を併用しても構わな
い。本発明における成分(A)のポリプロピレン系樹脂
のMFRについては、請求項に記したように、成分
(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体とのMFR
の積に関しては制限があるものの、成分(A)のMFR
の値そのものは特に限定されない。ただし、一般には、
230℃,2160gの荷重下で測定したMFRが、
0.5〜200g/10minの範囲にあるものが、各
種成形用途には用いられており、ここでもこの範囲にあ
るものが好ましい。MFRが小さくなる、具体的には
0.5g/10min未満となると、各種成形(特に、
射出成形)が困難となる。また、MFRが200g/1
0minより大きくなると、ポリプロピレン系樹脂その
ものの耐衝撃性が小さくなり、成分(B)のエチレン・
α−オレフィン共重合体とからなる組成物においても、
劇的に大きな耐衝撃性は得られず、本発明の目的を満足
することはできない。
【0010】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物にお
いて用いられる(B)のエチレン・α−オレフィン共重
合体は、前記(a)〜(d)の要件を満たすものであ
る。
【0011】本発明における成分(B)のエチレン・α
−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンは炭素数
が4〜20であり、炭素数3のプロピレンとエチレンと
の共重合からなるエチレン・プロピレン共重合体では、
比較例で詳述するように、低温環境下での耐衝撃性の向
上に関する効果が十分でない。これらのα−オレフィン
としては、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセ
ン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘプテン−1、オ
クテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−
1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−
1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセ
ン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセ
ン−1などが挙げられ、これらの1種もしくは2種以上
が用いられる。なかでも、入手が容易であることからブ
テン−1、ヘプテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1
が好ましい。
【0012】本発明における成分(B)のエチレン・α
−オレフィン共重合体は、100℃の熱水に1時間浸
し、そのままの状態で室温まで放冷したものの密度が
0.855〜0.910g/cm3である。密度が0.
855g/cm3より小さい場合はエチレン・α−オレ
フィン共重合体は非結晶性となり、室温でべたつき、自
着が起こるようになり、それ自体の取扱いに困難が伴い
好ましくない。また、成分(A)ポリプロピレン系樹脂
とからなる組成物を用いた成形品においても、表面にべ
とつきが現れ好ましくない。一方、密度が0.910g
/cm3を超えると、成分(A)ポリプロピレン系樹脂
とからなる組成物において、耐衝撃性の向上に対して十
分な効果が得られないので好ましくない。
【0013】また、本発明における成分(B)のエチレ
ン・α−オレフィン共重合体はα−オレフィン含量が1
0〜65重量%である。α−オレフィン含量が10重量
%未満になると、上記の成分(B)の密度の項で記した
ように、成分(B)の密度が大きくなり、耐衝撃性の向
上に対して十分な効果が得られない。一方、α−オレフ
ィン含量が65重量%を越えると、やはり上記の成分
(B)の密度の項で記したようにエチレン・α−オレフ
ィン共重合体が非結晶性となり、室温でべたつき、自着
が起こるようになり、それ自体の取り扱いに困難が伴い
好ましくない。また、成分(A)のポリプロピレン系樹
脂とからなる組成物を用いた成形品においても、表面に
べたつきが現れ好ましくない。
【0014】さらに、本発明における成分(B)のエチ
レン・α−オレフィン共重合体は、重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下で
ある。Mw/Mnが3より大きいと、べたつきの原因とな
る低分子量成分が多くなるので好ましくない。特に、本
発明におけるエチレン・α−オレフィン共重合体はα−
オレフィン含量の多い比較的低密度のレジンを請求の対
象としており、それでなくても非結晶成分が多くてべた
つく方向にある。したがって、Mw/Mnを狭くしてべた
つきを抑えることが好ましい。
【0015】以上のような上記(a)〜(d)の要件を
満たす成分(A)のエチレン・α−オレフィン共重合体
は、例えば、1個または2個のシクロペンタジエニル骨
格を有する配位子が周期律表4〜6族の遷移金属、好ま
しくは、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムに配位
した公知のメタロセン化合物とアルモキサンとを組み合
わせた触媒、または、上記メタロセン化合物とこれと反
応してイオン性の錯体を形成するイオン性化合物および
有機金属化合物を組み合わせた触媒を用いて、エチレン
とα−オレフィンを共重合させて製造することができ
る。
【0016】上記触媒を用いたエチレン・α−オレフィ
ン共重合体の製造方法としては、気相法、スラリ−法、
溶液法、高圧イオン重合法などを挙げることができる。
中でも生成する共重合体の融点以上の280℃までの温
度で重合する、溶液法、高圧イオン重合法で製造するこ
とが好ましく、特に、本発明に用いるエチレン・α−オ
レフィン共重合体の場合は、高圧イオン重合法で製造す
ることが特に好ましい。なお、高圧イオン重合法とは、
特開昭56−18607号、特開昭58−225106
号各公報により公知の、圧力が200kg/cm2
上、好ましくは300〜2000kg/cm2、温度1
25℃以上、好ましくは130〜250℃、特に好まし
くは150〜200℃の反応条件下で行われるエチレン
系重合体の連続的製造法である。
【0017】また、本発明におけるポリプロピレン系樹
脂組成物は、成分(A)のポリプロピレン系樹脂のMF
R(MFR−A)と成分(B)のエチレン・α−オレフ
ィン共重合体のMFR(MFR−B)の積が120以上
である。この積が120より小さくなると、耐衝撃性、
特に低温環境下での耐衝撃性に関する効果が得られなく
なる。また、このMFRの積の上限については特に制限
はないが、20000よりは小さいものが好ましい。2
0000を越える場合は、成分(A)のポリプロピレン
系樹脂ならびに成分(B)のエチレン・α−オレフィン
共重合体の少なくとも一つは、かなり高MFRになる。
成分(A)が高MFRになる場合は、成分(A)のポリ
プロピレン系樹脂そのものの耐衝撃性が小さくなり、好
ましくない。また、成分(B)が高MFRになる場合
は、成分(B)のペレット化が困難になるなど、その取
り扱いが困難になり、この場合も好ましくない。
【0018】さらに、本発明におけるポリプロピレン系
樹脂組成物は、固体の動的粘弾性測定で得られる損失弾
性率(E”)の温度依存性曲線において、−80〜80
℃の温度範囲に2つのピ−クが現れ、さらにその高温側
に位置するポリプロピレン系樹脂(A)に起因するピ−
クのピ−ク温度が、(A)単独の場合の同ピ−クのピ−
ク温度より低温に位置するものである。組成物における
該ピ−クのピ−ク温度が成分(A)単独の同ピ−クより
低温に位置しない場合は、低温環境下での耐衝撃性に関
する効果が十分でない。
【0019】本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成
物における成分(A)のポリプロピレン系樹脂と成分
(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体の混合組成
は、重量比で、(A):(B)=99:1〜50:50
である。(B)が重量分率で1%未満の場合は、耐衝撃
性の改良効果が小さく、(B)が50重量%を越える場
合は、剛性が小さくなるので、好ましくない。剛性と耐
衝撃性のバランスを考慮すると、(A):(B)=9
5:5〜50:50がさらに好ましい。
【0020】また、本発明におけるポリプロピレン系樹
脂組成物には、一般にポリオレフィン系樹脂およびその
組成物において用いられる補助添加成分、例えば、酸化
防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、
着色剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤などを
添加しても構わない。また有機酸の金属塩に代表される
結晶核剤やソルビト−ル系化合物に代表される市販透明
化剤を添加することもできる。さらに、炭酸カルシウ
ム、カオリン、タルク、マイカ、中空ガラス球、酸化チ
タン、シリカ、カ−ボンブラック、アスベスト、ガラス
繊維、チタン酸カリウム繊維などの充填剤、さらには、
高密度ポリエチレンおよび高圧ラジカル重合法で得られ
る低密度ポリエチレンに代表されるポリオレフィン系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエ
ン・スチレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重
合体樹脂、スチレン・ブタジエン軽ゴム、ポリブタジエ
ンなどの樹脂またはゴム状弾性物質をブレンドしても構
わない。
【0021】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、
上記構成成分を上記の混合組成で配合する以外は、通常
の樹脂組成物の製造方法と同様にして製造することがで
きる。例えば、成分(A)と成分(B)を1軸または2
軸押出機、ブラベンダ−プラストミル、バンバリ−ミキ
サ−、ニ−ダ−ブレンダ−等を用いて、両成分の融点以
上で溶融混練して、通常行われている方法でペレット状
とするのが普通である。ただし、各種成形を施す前に成
分(A)と成分(B)のペレットどうしを混ぜ合わせ
る、いわゆるドライブレンドでも、得られた成形物は本
発明の目的を満足するものとなり、この方法でも構わな
い。
【0022】この様にして得られたポリプロピレン系樹
脂組成物は、周知の射出成形、押出成形、圧縮成形、ブ
ロ−成形、インジェクションブロ−成形、インフレ−シ
ョン成形およびキャストフィルム成形等の成形法に適用
される樹脂成形用素材として使用される。これらの中で
も、射出成形用素材もしくは押出成形用素材として用い
る場合は、一方これらをフィルム成形用素材として用い
る場合にも、成分(A)のポリプロピレン系樹脂に制限
は加わらないが、フィルム成形用素材の場合は、プロピ
レン単独重合体またはプロピレンとα−オレフィンのラ
ンダム共重合体が好ましい。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0024】実施例および比較例におけるレジンならび
に組成物の諸特性は、以下の方法で測定し、評価した。
【0025】<密度>100℃の熱水に1時間浸し、そ
のままの状態で室温まで放冷したものについて、JIS
K6760(1981年)に準拠して,23℃に保っ
た密度勾配管で測定した。
【0026】<α−オレフィン含量>o−ジクロロベン
ゼン/ベンゼン−d6(75/25容量%)を溶媒とし
た溶液を用い、100MHz,13C−NMRスペクトル
(装置;日本電子(株)製JNM GX400)測定よ
り、算出した。
【0027】<重量平均分子量(Mw),数平均分子量
(Mn)>MwとMnは、ウォーターズ(株)製 150
CALC/GPC(カラム:東ソ−(株)製,GMHH
R−H(S),7.8mmIDX30cmを3本,溶
媒:1,2,4−トリクロロベンゼン,温度140℃,
流量1.0ml/分,注入濃度:30mg/30ml
(注入量300μl)を用いるゲルパーミェーションク
ロマトグラフィ−法により測定した。なお、カラム溶出
体積は東ソ−(株)製の標準ポリスチレンを用いて、ユ
ニバ−サルキャリブレ−ション法により校正した。<メ
ルトフロ−レ−ト(MFR)>JIS K7210(1
976年)に準拠して、成分(A)のポリプロピレン系
樹脂の場合は、230℃,2160gの荷重下で、成分
(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体の場合は、
190℃,2160gの荷重下で測定した。
【0028】<損失弾性率(E”)の温度依存性>測定
には、レオロジ(株)製の動的粘弾性測定装置DVE−
V4 FTレオスペクトラ−を用いた。厚さ約0.5m
mの圧縮成形シ−トから切り出した短冊状試料(幅約5
mm)を測定用試料とした。測定は、試料のチャック間
距離を約10mm,周波数を10Hz,変位振幅を2μ
m,昇温速度を2℃/minとし、2℃/minごとに
試料の損失弾性率(E”)を測定して、E”の温度依存
性曲線を得た。測定用試料を作製するための圧縮成形に
は、関西ロ−ル(株)製の圧縮成形機を2台用いた。1
台は、ペレットを溶融させるもの(溶融側)で、もう1
台はその溶融体を速やかに冷却するもの(冷却側)であ
る。具体的には、溶融側において180℃で6分間保持
し、その後30℃の冷却側にすばやく移して、3分間保
持した。
【0029】<曲げ弾性率>JIS K7203(19
82年)に準拠し、3点曲げ方式により測定した。測定
は、オリエンテック(株)製の自動曲げ試験機RTM−
100を用いて行った。曲げ弾性率の測定には、射出成
形で得られたテストピ−スを用いた。射出成形には、東
芝機械(株)製の射出成形機IS 100Eを用い、シ
リンダ−温度250℃,金型温度50℃,金型保持時間
15秒で成形した。 <アイゾット衝撃強度>JIS K7110(1984
年)に準拠し、東洋精機(株)製の全自動Izod衝撃
試験機を用いて行った。測定試料は、Izod衝撃強度
測定用の試料であること以外は、曲げ弾性率の測定で用
いたものと同じ射出成形で得られたテストピ−スを用い
た。
【0030】実施例1 実施例1では、成分(A)のポリプロピレン系樹脂とし
て、プロピレン単独重合体を用いた。ここでは、これを
(A1)とする。具体的には、東ソ−(株)製のポリプ
ロ,グレ−ドJ5200Aである。これは、230℃,
2160gの荷重下で測定したメルトフロ−レ−ト(M
FR)が20g/10minである。また、損失弾性率
(E”)のピ−ク温度は6.0℃である。
【0031】実施例1では、成分(B)のエチレン・α
−オレフィン共重合体として、メタロセン系触媒で重合
されたエチレン・ヘキセン−1共重合体を用いた。具体
的には、メタロセン化合物として、ジフェニルメチレン
(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウ
ムジクロライド、イオン性化合物としてN,N−ジメチ
ルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレ−ト、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチ
ルアルミニウムとの組合せからなる触媒を用いて重合し
た。メタロセン化合物、イオン性化合物および有機アル
ミニウムの量は、モル比(メタロセン化合物:イオン性
化合物,有機アルミニウム)で1:1.2:250とし
た。触媒の調整にはトルエンを用いた。重合は、上記触
媒を用い、重合温度190℃、重合圧力900kg/c
2で重合し、得られたものである。重合、精製、反応
および触媒精製は、すべてあらかじめ不活性ガス雰囲気
で行った。また、反応に用いた溶媒などは予め公知の方
法により合成、同定したものを用いた。ここでは、この
エチレン・ヘキセン−1共重合体を(B1)とする。表
1には、(B1)の特性を示す。
【0032】表2に示す通り、実施例1における(A
1)と(B1)のMFRの積は440である。ここでは
(A1)と(B1)を重量比で60:40とし、酸化防
止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシト
ルエン(BHT)を1000ppm加えてブレンドし、
単軸押出機(東洋精機(株)製)を用いて、200℃,
50rpmで溶融混練し、ロッド状の溶融混練物を水冷
した後に、ストランドカットして、ペレットとした。固
体の動的粘弾性測定および曲げ弾性率、アイゾット衝撃
強度は、このペレットから上記のように成形した圧縮成
形体および射出成形体で測定した。表2には、損失弾性
率(E”)のピ−ク温度を示すが、(A1)単独の同ピ
−ク温度に比べて低温に位置する。表2には、実施例1
の曲げ弾性率、アイゾット衝撃強度を示す。
【0033】比較例1 比較例1は、実施例1で(B1)を重合する温度を16
0℃とした他は全て(B1)と同様に重合したエチレン
・ヘキセン−1共重合体(B2)と上記プロピレン単独
重合(A1)からなる組成物である。表1には、(B
2)の特性を示す。(B2)は実施例1で用いた(B
1)と同じエチレン・ヘキセン−1共重合体であり、ヘ
キセン−1含量および密度もほぼ同じである。(B1)
と(B2)で異なるのは、表2に示す通り、(A1)と
のMFRの積であり、ここでの(B2)と(A1)のM
FRの積は46で、これは請求項を満たさない。(B
1)の代わりに(B2)を用いた他は、全て実施例1と
同じである。表2には、損失弾性率(E”)のピ−ク温
度を示すが、この場合は(A1)単独の同ピ−クのピ−
ク温度と同じ位置で、請求項を満たさない。表2には、
比較例2の曲げ弾性率とアイゾット衝撃強度を示す。
【0034】比較例2 比較例2は、実施例1で(B1)を重合する温度を16
0℃とした他は全て(B1)と同様に重合したエチレン
/ブテン−1共重合体(B3)と上記プロピレン単独重
合体(A1)からなる組成物である。表1には、(B
3)の特性を示す。表2に示す通り、(A1)と(B
3)のMFRの積は68である。(B1)の代わりに
(B3)を用いた他は,全て実施例1と同じである。表
2には、損失弾性率(E”)のピ−ク温度を示すが、こ
の場合も(A1)単独の同ピ−クのピ−ク温度と同じ位
置で、請求項を満たさない。表2には、比較例2の曲げ
弾性率とアイゾット衝撃強度を示す。
【0035】比較例3 比較例3は、実施例1で(B1)を重合する温度を15
0℃とした他は全て(B1)と同様に重合したエチレン
・ブテン−1共重合体(B4)と上記プロピレン単独重
合体(A1)からなる組成物である。表1には、(B
4)の特性を示す。表2に示す通り、(A1)と(B
4)のMFRの積は78である。比較例2との違いは、
比較例2で用いた(B3)より、ここで用いた(B4)
の方が低密度である点である。(B1)の代わりに(B
4)を用いた他は、全て実施例1と同じである。表2に
は、損失弾性率(E”)のピ−ク温度を示すが、この場
合も(A1)単独の同ピ−クのピ−ク温度と同じ位置
で、請求項を満たさない。表2には、比較例3の曲げ弾
性率とアイゾット衝撃強度を示す。
【0036】比較例4 比較例4は、上記プロピレン単独重合体(A1)とエチ
レン・プロピレン共重合体(B5)からなる組成物であ
る。成分(B)のエチレン・α−オレフィン共重合体の
α−オレフィンとして、炭素数3のプロピレンを用いる
ことは請求項を満たさない。ここで、(B5)は、実施
例1で(B1)を重合する温度を130℃とした他は、
全て実施例1と同じである。表1には、(B5)の特性
を示す。表2に示す通り、(A1)と(B5)のMFR
の積は240で、これは請求項の範囲内にある。(B
1)の代わりに(B5)を用いた他は、全て実施例1と
同じである。表2には、損失弾性率(E”)のピ−ク温
度を示すが、この場合のピ−ク温度は、(A1)単独の
同ピ−クのピ−ク温度よりむしろ高温に位置し、請求項
を満たさない。表2には、比較例4の曲げ弾性率とアイ
ゾット衝撃強度を示す。
【0037】実施例2 実施例2では、成分(A)のポリプロピレン系樹脂とし
て、プロピレンとエチレンのブロック共重合体を用い
た。ここでは、これを(A2)とする。具体的には、東
ソ−(株)製のポリプロ,グレ−ドJ7250Bであ
る。これは、230℃,2160gの荷重下で測定した
メルトフロ−レ−トが25g/10minである。ま
た、損失弾性率(E”)のピ−ク温度は6.0℃であ
る。実施例2は、この(A2)と実施例1で用いた(B
1)とからなる組成物で、(A2):(B1)を重量比
で85:15とした。表2に示す通り、(A2)と(B
1)のMFRの積は、550である。(A1)の代わり
に(A2)を用い、(A1)と(B1)を重量比で8
5:15とした他は、全て実施例1と同じである。表2
には、損失弾性率(E”)のピ−ク温度を示す。表2に
は、実施例2の曲げ弾性率とアイゾット衝撃強度を示
す。
【0038】比較例5 比較例5は、実施例2で用いたプロピレン・エチレンブ
ロック共重合体(A2)と比較例2で用いた(B2)か
らなる組成物である。表2に示す通り、(A2)と(B
2)のMFRの積は57.5であり、これは請求項を満
たさない。(B1)の代わりに(B2)を用いた他は、
全て実施例2と同じである。表2には、損失弾性率
(E”)のピ−ク温度を示すが、この場合も(A2)単
独の同ピ−クとピ−ク温度と同じ位置で、請求項を満た
さない。表2には、比較例5の曲げ弾性率とアイゾット
衝撃強度を示す。
【0039】比較例6 比較例6は、実施例2で用いたプロピレン・エチレンブ
ロック共重合体(A2)と比較例3で用いた(B3)か
らなる組成物である。表2に示す通り、(A2)と(B
3)のMFRの積は、85であり、これも請求項を満た
さない。(B1)の代わりに(B3)を用いた他は、全
て実施例2と同じである。表2には、損失弾性率
(E”)のピ−ク温度を示すが、ここでも(A2)単独
の同ピ−クとピ−ク温度と同じ位置で、請求項を満たさ
ない。表2には、比較例5の曲げ弾性率とアイゾット衝
撃強度を示す。
【0040】比較例7 比較例7は、実施例2で用いたプロピレン・エチレンブ
ロック共重合体(A2)と比較例4で用いた(B4)か
らなる組成物である。表2に示す通り、(A2)と(B
4)のMFRの積は、97.5であり,これも請求項を
満たさない。(B1)の代わりに(B4)を用いた他
は、全て実施例2と同じである。表3には、損失弾性率
(E”)のピ−ク温度を示すが、ここでも(A2)単独
の同ピ−クのピ−ク温度と同じ位置で、請求項を満たさ
ない。表2には、比較例7の曲げ弾性率とアイゾット衝
撃強度を示す。
【0041】比較例8 比較例8は、実施例2で用いたプロピレン・エチレンブ
ロック共重合体(A2)と比較例5で用いた(B5)か
らなる組成物である。表2に示す通り、(A2)と(B
5)のMFRの積は、300であり、これは請求項の範
囲内にある。(B1)の代わりに(B5)を用いた他
は、全て実施例2と同じである。表2には、損失弾性率
(E”)のピ−ク温度を示すが、この場合のピ−ク温度
は(A2)単独の同ピ−クのピ−ク温度よりむしろ高温
に位置し、請求項を満たさない。表2には、比較例8の
曲げ弾性率とアイゾット衝撃強度を示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明におけるポリプ
ロピレン系樹脂組成物は、耐衝撃性、特に低温環境下で
の耐衝撃性が向上し、加えて、剛性と耐衝撃性のバラン
スが優れたポリプロピレン系材料となる。
【0045】したがって、本組成物は、剛性と耐衝撃性
のバランスが要求される用途、例えば、自動車の内外装
部品や電気機器外装部品などに対して、好適な素材とな
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂(A)50〜99
    重量%と下記(a)〜(d)の要件を満たすエチレン・
    α−オレフィン共重合体(B)50〜1重量%からな
    り、さらに、下記(e),(f)の要件を満たすことを
    特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。 (a)α−オレフィンの炭素数が4〜20 (b)100℃の熱水に1時間浸し、そのままの状態で
    室温まで放冷したものの密度が0.855〜0.910
    g/cm3 (c)α−オレフィン含量が10〜65重量% (d)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の
    比(Mw/Mn)が3以下 (e)230℃,2160gの荷重下で測定したポリプ
    ロピレン系樹脂(A)のMFR(MFR−A)と190
    ℃,2160gの荷重下で測定したエチレン・α−オレ
    フィン共重合体(B)のMFR(MFR−B)の積が1
    20以上 (f)固体の動的粘弾性測定で得られる損失弾性率
    (E”)の温度依存性曲線において、−80〜80℃の
    温度範囲に2つのピ−クが現れ、さらにその高温側に位
    置するポリプロピレン系樹脂(A)に起因するピ−クの
    ピ−ク温度が、(A)単独の場合の同ピ−クのピ−ク温
    度より低温に位置する。
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