JP2016186020A - エチレン系重合体組成物からなるパイプ成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るパイプ成形体は、エチレンと炭素数4以上10以下のα‐オレフィンとの共重合体である特定のエチレン系重合体(α)と、エチレンと炭素数4以上10以下のα‐オレフィンとの共重合体である別のエチレン系重合体(β)とを含むエチレン系共重合体組成物(γ)からなり、前記組成物(γ)において、前記エチレン系重合体(α)の重量分率〔Wα〕が0.1以上0.9以下であり、前記エチレン系重合体(β)の重量分率〔Wβ〕が0.1以上0.9以下である(WαとWβの合計を1.0とする)。
【選択図】なし
Description
一方、高圧法低密度ポリエチレンは溶融張力が大きいため耐ドローダウン性に優れ、伸長粘度がひずみ速度硬化性を示すため均一な製品厚みのパイプ成形体が得られるが、機械的強度及び長期耐久性に劣る。現在、水道用に使用されている給水用パイプにおいては、継手を使用せず曲げて施工を実施する場合があるために高度な柔軟性が必要とされていると同時に、高圧下で使用するために耐圧性を高めることが必要とされている。また、成形時あるいは施工時に、SCG特性に代表される、パイプ表面に傷が発生しても長期耐久性に優れるポリエチレン管が望まれている。そのため、溶融張力が高く、かつ機械的強度及び長期耐久性にも優れたパイプ成形体の成形に適したエチレン重合体が望まれる。
本発明者らは、上記のような状況に鑑み鋭意研究した結果、特定の溶融特性と分子構造をもつ2種のエチレン系重合体の組成物が、パイプ成形における耐ドローダウン性に特に優れ、かつ、機械的強度及び長期耐久性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、従来公知のエチレン系重合体と比較して成形性に特に優れ、かつ長期耐久性に優れたエチレン系重合体組成物から得られるパイプ成形体を提供することを目的としている。
エチレンと炭素数4以上10以下のα‐オレフィンとの共重合体であり、且つ、下記要件(1)〜(5)を同時に満たすエチレン系重合体(α)と、
エチレンと炭素数4以上10以下のα‐オレフィンとの共重合体であり、且つ、下記要件(1')〜(3')を同時に満たすエチレン系重合体(β)とを含むエチレン系共重合体組成物(γ)からなる層を少なくとも1層含むパイプ成形体であって、
前記組成物(γ)において、前記エチレン系重合体(α)の重量分率〔Wα〕が0.1以上0.9以下であり、前記エチレン系重合体(β)の重量分率〔Wβ〕が0.1以上0.9以下であり(WαとWβの合計を1.0とする)、密度が875kg/m3以上935kg/m3以下であることを特徴とする。
(1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.01g/5分以上10g/10分以下である;
(2)密度が875kg/m3以上945kg/m3以下である;
(3)13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル(Me)分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル(Et)分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
(4)200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕と、GPC‐粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量(Mw)の6.8乗(Mw6.8)の比、η0/Mw6.8が、0.03×10-30以上7.5×10-30以下である;
(5)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC‐粘度検出器法(GPC‐VISCO)により測定された重量平均分子量(Mw)の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、0.90×10-4以上1.65×10-4以下である;
エチレン系重合体(β):
(1')190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上10g/10分以下である;
(2')13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル(Me)分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル(Et)分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
(3')135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC‐粘度検出器法(GPC‐VISCO)により測定された重量平均分子量(Mw)の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、1.90×10-4以上2.80×10-4以下である。
1.2<MTγ/(MTα×Wα+MTβ×Wβ)≦3.0 …(Eq-1-1)
本発明のパイプ成形体は、上記エチレン系重合体組成物(γ)を成形して得ることができる。
また、本発明の多層パイプ成形体は、少なくとも1層が、上記エチレン系重合体組成物(γ)からなる層から形成されている。
<構成成分>
エチレン系重合体(α)
本発明に係るエチレン系重合体(α)は、エチレンと炭素数4以上10以下のα‐オレフィン、好ましくはエチレンと炭素数6〜10のα‐オレフィンとの共重合体である。炭素数4のα‐オレフィンを使用する場合には、炭素数6〜10のα‐オレフィンもあわせて使用することが好ましい。エチレンとの共重合に用いられる炭素数4〜10のα‐オレフィンとしては、1‐ブテン、1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐オクテン、1‐デセンなどが挙げられる。
(1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.01g/10分以上10g/10分以下である。下限は好ましくは0.05g/10分、より好ましくは0.1g/10分であり、上限は好ましくは5g/10分、より好ましくは2g/10分である。メルトフローレート(MFR)が上記下限値以上の場合、後述のエチレン系重合体(β)を含むエチレン重合体組成物(γ)においてせん断粘度が高すぎず、成形性が良好である。メルトフローレート(MFR)が上記上限値以下の場合、エチレン重合体組成物(γ)の耐ドローダウン性及び長期耐久性が良好になる。
なお、エチレン系重合体(α)についての上記MFRは、後述するエチレン系重合体(β)についてのMFRとの区別のため、「MFRα」と呼ぶ場合がある。
測定はブルカー・バイオスピン(株)製AVANCE III cryo-500型核磁気共鳴装置を用い、以下の条件にて実施した。
測定プローブ:5mmクライオプローブ(DCH型)
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00μ秒)
ポイント数:64k
観測範囲:250ppm(-55〜195ppm)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:256回
測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1 v/v)
試料濃度:60mg/0.6ml
測定温度:120℃
ウィンドウ関数:exponential(BF:1.0 Hz)
ケミカルシフト基準:δδシグナル 29.73ppm
0.03×10-30≦η0/Mw6.8≦7.5×10-30 --------(Eq-2)
を満たす。ここで、下限値は好ましくは0.05×10‐30、より好ましくは0.08×10-30であり、上限値は好ましくは5.0×10-30、より好ましくは3.0×10-30である。
6.8Log(Mw)-31.523≦Log(η0)≦6.8Log(Mw)-29.125 --------(Eq-2')
重量平均分子量(Mw)に対してゼロせん断粘度〔η0(P)〕を両対数プロットしたとき、長鎖分岐がなく直鎖状で、伸長粘度がひずみ硬化性を示さないエチレン系重合体は、傾きが3.4のべき乗則に則る。一方、比較的短い長鎖分岐を数多く有し、伸長粘度がひずみ速度硬化性を示すエチレン系重合体は、べき乗則よりも低いゼロせん断粘度〔η0(P)〕を示し、さらにその傾きは3.4よりも大きな値となることが知られており(C Gabriel, H.Munstedt, J.Rheol., 47(3), 619(2003)、H. Munstedt, D.Auhl, J. Non-Newtonian Fluid Mech. 128, 62-69, (2005) )、傾き6.8は経験的に選択しうる。η0とMw6.8との比をとることについては特開2011-1545号公報にも開示されている。
これらのほか、長鎖分岐量を制御する重合条件について例えば国際公開第2007/034920号パンフレットに開示されている。
測定温度200℃におけるせん断粘度(η*)の角速度〔ω(rad/秒)〕分散を0.01≦ω≦100の範囲で測定する。測定にはアントンパール社製粘弾性測定装置Physica MCR301を用いる。サンプルホルダーは25mmφのパラレルプレートを用い、サンプル厚みは約2.0mmとした。測定点はω一桁当たり5点とする。歪み量は、測定範囲でのトルクが検出可能で、かつトルクオーバーにならないよう、3〜10%の範囲で適宜選択する。せん断粘度測定に用いたサンプルは、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、予熱温度190℃、予熱時間5分間、加熱温度190℃、加熱時間2分間、加熱圧力100kgf/cm2、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kgf/cm2の条件にて、測定サンプルを厚さ2mmにプレス成形することで調製する。
η*=η0〔1+(λω)a〕(n-1)/a ---(Eq-3)
ここで、λは時間の次元を持つパラメーター、nは材料の冪法則係数(power law index)を表す。なお、非線形最小二乗法によるフィッティングは下記数式(Eq-4)におけるdが最小となるよう行われる。
GPC-VISCO法による重量平均分子量(Mw)は、ウォーターズ社製GC/V2000を用いて、以下のようにして測定する。
0.90×10-4≦[η]/Mw0.776≦1.65×10-4 --------(Eq-5)
を満たす。ここで、下限値は好ましくは0.95×10-4、より好ましくは1.00×10-4であり、上限値は好ましくは1.55×10-4、より好ましくは1.45×10-4である。
0.776Log(Mw)-4.046≦Log([η])≦0.776Log(Mw)-3.783 --------(Eq-5')
エチレン系重合体中に長鎖分岐が導入されると、長鎖分岐の無い直鎖型エチレン系重合体に比べ、分子量の割に極限粘度[η](dl/g)が小さくなることが知られている(例えばWalther Burchard, ADVANCES IN POLYMER SCIENCE, 143, Branched PolymerII, p.137(1999))。
サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/C値を極限粘度[η]とした。(下式(Eq-6)参照)
[η]=lim(ηsp/C) (C→0) ----------(Eq-6)
(6)190℃における溶融張力〔MTα(g)〕と、200℃、角速度1.0rad/秒におけるせん断粘度〔η*(P)〕との比〔MTα/η*(g/P)〕が1.0×10-4以上7.0×10-4以下である。すなわち、本発明で用いられるエチレン系重合体(α)では、MTαとη*が下記式(Eq-7)
1.0×10-4≦MTα/η*≦7.0×10-4 --------(Eq-7)
を満たすことが好ましい。ここで、上限値は好ましくは5.0×10-4、より好ましくは3.0×10-4である。
(7)GPC測定により得られた分子量分布曲線における最大重量分率での分子量(peak top M)が1.0×104.20以上1.0×104.60以下である。下限値は好ましくは1.0×104.30、上限値は好ましくは1.0×104.50である。
解析ソフト:クロマトグラフィデータシステムEmpower(Waters社)
カラム:TSKgel GMH6- HT×2+TSKgel GMH6-HTL×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相:o−ジクロロベンゼン(和光純薬 特級試薬)
検出器:示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度:140℃
流速:1.0mL/分
注入量:500μL
サンプリング時間間隔:1秒
試料濃度:0.15%(w/v)
分子量較正:単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495〜分子量2060万
Z. Crubisic, P. Rempp, H. Benoit, J. Polym. Sci., B5, 753 (1967) に記載された汎用較正の手順に従い、ポリエチレン分子量換算として分子量分布曲線を作成する。この分子量分布曲線から最大重量分率での分子量(peak top M)を算出する。
本発明に係るエチレン系重合体(β)は、エチレンと炭素数4以上10以下のα‐オレフィン、好ましくはエチレンと炭素数6〜10のα‐オレフィンとの共重合体である。炭素数4のα-オレフィンを使用する場合には、炭素数6〜10のα‐オレフィンもあわせて使用することが好ましい。エチレンとの共重合に用いられる炭素数4〜10のα‐オレフィンとしては、1‐ブテン、1‐ヘキセン、4‐メチル‐1‐ペンテン、1‐オクテン、1‐デセンなどが挙げられる。
(1')190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上10g/10分以下である。ここで、下限値は好ましくは0.3g/10分、より好ましくは0.5g/10分であり、上限値は好ましくは8.0g/10分、より好ましくは5.0g/10分である。メルトフローレート(MFR)が上記下限値以上の場合、得られるエチレン重合体組成物(γ)から得られたパイプ成形体のブツ等の外観が良好である。メルトフローレート(MFR)が上記上限値以下の場合、得られるエチレン重合体組成物(γ)の溶融張力が高く耐ドローダウン性等の成形性及び長期耐久性が良好になる。
なお、本発明に係るエチレン系重合体(β)についての上記MFRは、上記エチレン系重合体(α)についてのMFRとの区別のため、「MFRβ」と呼ぶ場合がある。
1.90×10-4≦[η]/Mw0.776≦2.80×10-4 --------(Eq-8)
を満たす。
0.776Log(Mw)-3.721≦Log([η])≦0.776Log(Mw)-3.553 --------(Eq-8')
本発明に係るエチレン系重合体(β)は、上記要件(1')〜(3')に加えて、下記要件(4')をさらに満たすことが好ましい。
本発明に係るエチレン系重合体組成物(γ)は、
上記エチレン系重合体(α)と、上記エチレン系重合体(β)を含み、
前記エチレン系重合体(α)の重量分率〔Wα〕と前記エチレン系重合体(β)の重量分率〔Wβ〕との合計を1.0として、Wαが0.1以上0.9以下であり、Wβが0.1以上0.9以下である。ここで、Wαは、好ましくは0.2以上0.8以下、より好ましくは0.3以上0.7以下である。該範囲内において、エチレン系重合体組成物(γ)の成型加工性とパイプ成形体の長期耐久性のバランスが優れる。
1.2<MTγ/(MTα×Wα+MTβ×Wβ)≦3.0 …(Eq-1-1)
ここで、前記Wα及びWβは、下記式(Eq-1-2)を満たすことが、より好ましく、
1.2<MTγ/(MTα×Wα+MTβ×Wβ)≦2.8 …(Eq-1-2)
下記式(Eq-1-3)を満たすことが、さらに好ましい。
1.2<MTγ/(MTα×Wα+MTβ×Wβ)≦2.5 …(Eq-1-3)
MTは伸張変形における分子鎖の緩和に強く影響を受けることが知られており、分子鎖が緩和しにくいほどMTは大きくなる傾向となる。
(4') 全周ノッチ式引張クリープ試験の破壊時間が200時間以上、好ましくは300時間以上である。全周ノッチ式引張クリープ試験はSCG特性の指標のひとつであり、全周ノッチ式引張クリープ試験の破壊時間が上記範囲を満たさない場合、パイプ成形体における耐久性が劣る恐れがあるので好ましくない。
上記エチレン系重合体組成物(γ)においてブレンドしうる「他の熱可塑性樹脂」としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル及びポリアセタールなどの結晶性熱可塑性樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリアクリレートなどの非結晶性熱可塑性樹脂が用いられる。また、ポリ塩化ビニルも好ましく用いられる。
上記ABSとしては、アクリロニトリルから誘導される構成単位を20〜35モル%の量で含有し、ブタジエンから誘導される構成単位を20〜30モル%の量で含有し、スチレンから誘導される構成単位を40〜60モル%の量で含有するABSが好ましく用いられる。
上記ポリアクリレートとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレートを用いることが好ましい。
本発明に係るエチレン系重合体組成物(γ)において、上記「他の熱可塑性樹脂」に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤やカーボンブラック、酸化チタン、チタンイエロー、フタロシアニン、イソインドリノン、キナクリドン化合物、縮合アゾ化合物、群青、コバルトブルー等の顔料が必要に応じて配合されていてもよい。
次に、本発明におけるエチレン系重合体(α)、エチレン系重合体(β)及びエチレン系重合体組成物(γ)の製造方法に関して説明する。
本発明に係るエチレン系重合体(α)は、後述するエチレン系重合体製造用触媒の存在下、エチレンと炭素数4以上10以下のα−オレフィンとを重合することにより製造することができる。
液相重合法で用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン及び灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン及びメチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ならびにエチレンクロリド、クロロベンゼン及びジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などが挙げられる。また、α−オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
本発明のエチレン系重合体(α)は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む触媒の存在下、エチレンと炭素数4以上10以下のα−オレフィンとを重合することによって効率的に製造することができる。
上記エチレン系重合体(α)製造用触媒で用いられる各成分について説明する。
本発明で用いることができる成分(A)は、下記一般式(I)で表される架橋型メタロセン化合物である。
本発明で用いることができる成分(B)は、下記一般式(II)で表される架橋型メタロセン化合物である。
Xは、上記式(I)中のXと同様のものが挙げられる。
本発明で用いることができる成分(C)は、下記(c−1)〜(c−3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(c−1)下記一般式(III)、(IV)または(V)で表される有機金属化合物、
Ra mAl(ORb)nHpXq・・・(III)
〔一般式(III)中、Ra及びRbは、炭素数が1〜15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。〕
MaAlRa 4・・・(IV)
〔一般式(IV)中、MaはLi、NaまたはKを示し、Raは炭素数が1〜15の炭化水素基を示す。〕
Ra rMbRb sXt・・・(V)
〔一般式(V)中、Ra及びRbは、炭素数が1〜15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、MbはMg、ZnまたはCdを示し、Xはハロゲン原子を示し、rは0<r≦2、sは0≦s≦1、tは0≦t≦1であり、かつr+s+t=2である。〕
(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物、及び、
(c−3)成分(A)及び成分(B)と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
本発明で所要により用いることができる固体状担体(S)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
多孔質酸化物としては、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO及びThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物、具体的には、天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al2O3、SiO2−TiO2、SiO2−V2O5、SiO2−Cr2O3及びSiO2−TiO2−MgOなどが用いられる。これらのうち、SiO2を主成分とするものが好ましい。
本発明で所要により用いることができる成分(G)として、下記(g−1)〜(g−6)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
(g−1)ポリアルキレンオキサイドブロック、
(g−2)高級脂肪族アミド、
(g−3)ポリアルキレンオキサイド、
(g−4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、
(g−5)アルキルジエタノールアミン、及び
(g−6)ポリオキシアルキレンアルキルアミン。
本発明で用いられるエチレン系重合体(α)製造用触媒の調製方法について記載する。
上記エチレン系重合体(α)製造用触媒は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を不活性炭化水素中または、不活性炭化水素を用いた重合系中に添加することにより調製することができる。
i)成分(A)と成分(B)を混合接触させた後に、成分(C)を接触させ、重合系中に添加する方法
ii)成分(A)と成分(C)を混合接触させた接触物及び成分(B)と成分(C)を混合接触させた接触物を重合系内に添加する方法
iii)成分(A)、成分(B)及び成分(C)それぞれを連続的に重合系中に添加する方法、
などが挙げられる。
iv)成分(C)と固体状担体(S)とを接触させ、次いで成分(A)及び成分(B)を接触させて固体触媒成分(X)を調製する方法
v)成分(A)、成分(B)及び成分(C)を混合接触させた後に、固体状担体(S)を接触させて調製する方法
vi)成分(C)と固体状担体(S)とを接触させ、次いで成分(A)と接触させて調製した固体触媒成分(X1)と、成分(C)と固体状担体(S)とを接触させ、次いで成分(B)と接触させて調製した固体触媒成分(X2)とを用いる方法、
などが挙げられ、より好ましいのはiv)である。
GPC測定により得られる、エチレン系重合体(α)の分子量分布曲線は、実質的に3つのピークから構成される。この3つのピークのうち、1番低分子量側のピークは成分(A)由来ポリマーに起因するピークであり、2番目のピークは成分(B)由来ポリマーに起因するピークであり、3番目のピーク、すなわち最も高分子側にあるピークは成分(A)及び成分(B)の両方用いたときのみに生成するピークである。そして、成分(A)由来ポリマーに起因するピーク(すなわち、上記1番低分子量側のピーク)と成分(B)由来ポリマーに起因するピーク(すなわち、上記2番目のピーク)との比率[=成分(A)由来ポリマーに起因するピーク/成分(B)由来ポリマーに起因するピーク]を、成分(A)及び成分(B)由来のポリマー生成比率[=成分(A)の生成ポリマー量/成分(B)の生成ポリマー量]として定義する。
エチレン系重合体(α)の分子量分布曲線(G1)と、
成分(A)、成分(C)、固体状担体(S)からなる触媒(すなわち、成分(B)を含まない触媒)を用いたことを除き、エチレン系重合体(α)を得るときと同様の重合条件にて重合して得られたエチレン系重合体の分子量分布曲線(G2)と、
成分(B)、成分(C)、固体状担体(S)からなる触媒(すなわち、成分(A)を含まない触媒)を用いたことを除き、エチレン系重合体(α)を得るときと同様の重合条件にて重合して得られたエチレン系重合体の分子量分布曲線(G3)と
を用いて、下記の方法により実施した。なお、本明細書において、「分子量分布曲線」というときは、特に別の記載がない限り、微分分子量分布曲線を指していい、また、分子量分布曲線について「面積」というときは、分子量分布曲線とベースラインとの間に形成される領域の面積をいう。
Wa=S(G2)/S(G4)
Wb=S(G3)/S(G4)
ここで、S(G2)、S(G3)はそれぞれ強度を変更した後の(G2)、(G3)の面積であり、S(G4)は(G4)の面積である。
Wa=x/(x+y)
Wb=y/(x+y)
成分(A)由来のポリマーの生成量が多い方が長鎖分岐を生成するのに有利であり、成分(A)及び成分(B)の遷移金属化合物当たりのモル比は、生成ポリマーが上記の比率を満たす範囲内において任意に選ぶことができる。
予備重合に使用する固体触媒成分(X)の形態としては、すでに述べたものを制限無く利用することができる。また、必要に応じて成分(C)が用いられ、特に(c−1)中の上記式(III)に示される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。成分(C)が用いられる場合は、該成分(C)中のアルミニウム原子(Al−C)と遷移金属化合物とのモル比(成分(C)/遷移金属化合物)で、通常0.1〜10000、好ましくは0.5〜5000の量で用いられる。
本発明に係るエチレン系重合体(β)は、エチレンと炭素数4以上10以下のα-オレフィンとを重合することによって得ることができるが、上記要件を満たすものが得られる限りにおいて、用いる重合触媒や重合条件は特に限定されない。本発明に係るエチレン系重合体(β)としては、例えば、直鎖低密度ポリエチレンやエチレン・α‐オレフィン共重合体や高密度ポリエチレン等の市販品を用いることができる。具体的な例としては、プライムポリマー製LLDPEであるエボリュー(登録商標)やウルトゼックス(登録商標)等から要件を満たすものを選択することができる。
本発明に係るエチレン系重合体組成物(γ)は、上記エチレン系重合体(α)と上記エチレン系重合体(β)とから得られ、たとえば上記エチレン系重合体(α)と上記エチレン系重合体(β)とを溶融混練することによって製造することができるし、あるいはエチレン系重合体(α)を造粒したペレットと、エチレン系重合体(β)のペレットとをドライブレンドすることによっても製造することができる。好適には、溶融混練により製造する方法を用いることができ、このとき、連続式押出機や密閉式混練機を用いることができる。例えば、一軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の装置を挙げることができる。これらのうち、経済性、処理効率等の観点から一軸押出機及び/または二軸押出機を用いることが好ましい。
本発明に係るエチレン系重合体組成物(γ)を加工することにより、成形性に優れ、かつ長期耐久性に優れたパイプ成形体、及び多層パイプ成形体が得られる。ここで、この多層パイプ成形体は、少なくとも一層が上記エチレン系重合体組成物(γ)からなる層から形成されている。この多層パイプ成形体において、エチレン系重合体組成物(γ)からなる層は、片面のみに形成されていてもよく、両面に形成されていてもよく、両面に形成されているうちの片面に上記「その他の配合成分」の顔料が配合されていてもよい。この多層パイプ成形体を構成する基材は、エチレン系重合体組成物(γ)からなるものであってもよく、あるいは、エチレン系重合体組成物(γ)以外の材料からなるものであってもよい。
[エチレン系重合体及びエチレン系重合体組成物の測定]
エチレン系重合体及びエチレン系重合体組成物の物性の測定方法を以下に示す。
ASTM D1238‐89に準拠し、190℃、2.16kg荷重及び190℃、21.6kg荷重の条件下で測定した。
JIS K7112(1999)に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
190℃における溶融張力(MT)(単位;g)は、一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定した。測定には東洋精機製作所社製キャピラリーレオメーター:キャピログラフ1Bを用いた。条件は樹脂温度190℃、溶融時間6分、バレル径9.55mmφ、押し出し速度15mm/分、巻取り速度24m/分(溶融フィラメントが切れてしまう場合には、巻取り速度を5m/分ずつ低下させる)、ノズル径2.095mmφ、ノズル長さ8mmとした。この値が大きいほど、パイプ成形時のドローダウンが抑制され、成形性がよいといえる。
200℃、角速度1.0rad/秒におけるせん断粘度〔η*(1.0)〕(P)は以下の方法により測定した。
13C-NMRにより測定されたメチル分岐数及びエチル分岐数は下記のように決定される。
測定はブルカー・バイオスピン(株)製AVANCE III cryo-500型核磁気共鳴装置を用い、以下の条件にて実施した。
測定プローブ:5mmクライオプローブ(DCH型)
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00μ秒)
ポイント数:64k
観測範囲:250ppm(-55〜195ppm)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:256回
測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1 v/v)
試料濃度:60mg/0.6ml
測定温度:120℃
ウィンドウ関数:exponential(BF:1.0 Hz)
ケミカルシフト基準:δδシグナル 29.73ppm
200℃におけるゼロせん断粘度(η0)(P)は以下の方法により求めた。
測定温度200℃にて、せん断粘度(η*)の角速度ω(rad/秒)分散を0.01≦ω≦100の範囲で測定する。測定にはアントンパール社製粘弾性測定装置Physica MCR301を用い、サンプルホルダーとして25mmφのパラレルプレートを用い、サンプル厚みを約2.0mmとした。測定点はω一桁当たり5点とした。歪み量は、測定範囲でのトルクが検出可能で、かつトルクオーバーにならないよう、3〜10%の範囲で適宜選択した。
η*=η0〔1+(λω)a〕(n-1)/a (Eq-3)
ウォーターズ社製GPC−粘度検出器(GPC−VISCO)GPC/V2000を用い、以下のように測定した。
分子量分布曲線は、ウォーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフ alliance GPC2000型(高温サイズ排除クロマトグラフ)を用い、以下のように測定した。
解析ソフト:クロマトグラフィデータシステムEmpower(Waters社)
カラム:TSKgel GMH6− HT×2+TSKgel GMH6−HTL×2(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相:o−ジクロロベンゼン(和光純薬 特級試薬)
検出器:示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度:140℃
流速:1.0mL/分
注入量:500μL
サンプリング時間間隔:1秒
試料濃度:0.15%(w/v)
分子量較正:単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495〜2060万
Z. Crubisic, P. Rempp, H. Benoit, J. Polym. Sci., B5, 753 (1967)に記載された汎用較正の手順に従い、標準ポリエチレン分子量換算として分子量分布曲線を作成した。この分子量分布曲線から成分(A)及び成分(B)から生成するポリマー比率ならびに最大重量分率での分子量(peak top M)を算出した。
測定サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、下記式(Eq-6)に示すように濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η](単位;dl/g)として求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0) --------(Eq-6)
<曲げ弾性率>
JIS K7151(1995)に準拠して成型した厚さ4mmの圧縮シートから試験片を切出し、JIS K7171(2008)に準拠して測定した。
JIS K7151(1995)に準拠して成型した厚さ6mmの圧縮シートからタテ5〜6mm×ヨコ6mm×長さ60mmの角柱を切削し、JIS K6774に準じて試験を行った。(全周ノッチ式、ノッチ深さ1mm)但し、加える応力は5.0MPaであり、測定温度は80℃の条件で行った。
エチレン系重合体組成物のペレットを用いて下記の成形条件でパイプ成形を行い、外径32mmφ、肉厚3mmの単層のパイプを成形した。
・成形機:株式会社池貝社製
・押出機のシリンダー温度:160℃
・ダイ温度:160℃
・引取速度:1m/分
パイプ成形時に、溶融樹脂がサイジングに入るまでの安定性を目視にて確認し、
a)溶融樹脂の垂れ下がりが非常に少なく安定しているものを◎
b)溶融樹脂の垂れ下がりが少なく安定しているものを○
c)溶融樹脂の垂れ下がりが発生するが成形は可能であるものを△
d)溶融樹脂の垂れ下がりが大きく、成形が出来ないものを×
とした。×から◎に近づくほど溶融樹脂の安定性がよく、好ましいことを示す。
パイプの製品肌を目視にて確認し、マット感の有り/無しを判定した。
固体触媒成分(X−1)の調製
内容積270リットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、固体状担体(S)として、富士シリシア株式会社製シリカ(SiO2:平均粒径70μm、比表面積340m2/g、細孔容積1.3cm3/g、250℃焼成)10kgを77リットルのトルエンに懸濁させた後0〜5℃に冷却した。この懸濁液に成分(C)として、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mmol/mL)19.4リットルを30分間かけて滴下した。この際、系内の温度を0〜5℃に保った。引き続き0〜5℃で30分間反応させた後、約1.5時間かけて95〜100℃まで昇温して、引き続き95〜100℃で4時間反応させた。その後常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにトルエンで2回洗浄した後、全量115リットルのトルエンスラリーを調製した。得られたスラリー成分の一部を採取し濃度を調べたところ、スラリー濃度:122.6g/L、Al濃度:0.62mol/Lであった。
引き続き、上記で得られた固体触媒成分(X−1)のヘキサンスラリーを10℃まで冷却した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)3.7molを添加した。さらに常圧下でエチレンを系内に連続的に数分間供給した。この間系内の温度は10〜15℃に保持し、次いで1−ヘキセン0.10リットルを添加した。1−ヘキセン添加後、1.4kg/hでエチレン供給を開始し、系内温度32〜37℃にて予備重合を行った。予備重合を開始してから30分毎に計5回、1−ヘキセン0.06リットルを添加し、予備重合開始から190分後にエチレン供給が4.3kgに到達したところで、エチレン供給を停止した。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を50リットルとした。
内容積1.7m3の流動層型気相重合反応器において、予備重合触媒成分(XP−1)を用いて、エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造を行った。
表1に示す条件に従い、連続的に反応器内に予備重合触媒成分(XP−1)、エチレン、窒素、1−ヘキセンなどを供給した。重合反応物は反応器より連続的に抜き出し、乾燥装置にて乾燥し、エチレン系重合体(α−1)パウダーを得た。
結果を表2に示す。
固体触媒成分(X−2)の調製
固体触媒成分(X−1)の調製において、成分(A)及び成分(B)のモル比を(A)/(B)=20/80に変更し、固体状担体との反応を、内温を73〜76℃で2時間に変更した以外は、固体触媒成分(X−1)の調製と同様にして固体触媒成分(X−2)のヘキサンスラリーを調製した。
予備重合触媒成分(XP−1)の調製において、固体触媒成分(X−1)の代わりに固体触媒成分(X−2)を用いた以外は、予備重合触媒成分(XP−1)の調製と同様の方法にて予備重合触媒成分(XP−2)を得た。得られた予備重合触媒成分(XP−2)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.54mg含まれていた。
エチレン系重合体(α−1)の製造において、予備重合触媒成分及び重合条件を表1に示す条件に変更した以外は、エチレン系重合体(α−1)の場合と同様にしてエチレン系重合体(α−2)パウダーを得た。
得られたエチレン系重合体(α−2)パウダーを用い、エチレン系重合体(α−1)の場合と同様の方法で測定用試料を作製し、物性測定を行った。
結果を表2に示す。
固体触媒成分(X−3)の調製
固体触媒成分(X−1)の調製において、成分(A)及び成分(B)のモル比を(A)/(B)=14/86に変更した以外は、固体触媒成分(X−2)の調製と同様にして固体触媒成分(X−3)のヘキサンスラリーを調製した。
予備重合触媒成分(XP−1)の調製において、固体触媒成分(X−1)の代わりに固体触媒成分(X−3)を用いた以外は、予備重合触媒成分(XP−1)の調製と同様の方法にて予備重合触媒成分(XP−3)を得た。得られた予備重合触媒成分(XP−3)の組成を調べたところ、固体触媒成分1g当たり、Zr原子が0.52mg含まれていた。
エチレン系重合体(α−1)の製造において、反応器の内容積を1.0m3、予備重合触媒成分及び重合条件を表1に示す条件に変更した以外は、エチレン系重合体(α−1)の場合と同様にしてエチレン系重合体(α−3)パウダーを得た。
得られたエチレン系重合体(α−3)パウダーを用い、エチレン系重合体(α−1)の場合と同様の方法で測定用試料を作製し、物性測定を行った。
結果を表2に示す。
エチレン系重合体(α−4)の製造
エチレン系重合体(α−1)の製造において、予備重合触媒成分及び重合条件を表1に示す条件に変更した以外は、エチレン系重合体(α−3)の場合と同様にしてエチレン系重合体(α−4)パウダーを得た。
得られたエチレン系重合体(α−4)のパウダーを用い、エチレン系重合体(α−1)の場合と同様の方法で測定用試料を作製し、物性測定を行った。
結果を表2に示す。
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1−ヘキセン共重合体(商品名:エボリュー SP1510)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表2、表3に示す。
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1−ブテン共重合体(商品名:ネオゼックス 2015M)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表2に示す。
日本ポリエチレン株式会社より市販されているリニア低密度ポリエチレン(商品名:ノバテック UE230)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表2に示す。
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1−ヘキセン共重合体(商品名:エボリュー SP1510)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表3に示す。
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・1−ヘキセン共重合体(商品名:エボリュー SP2540)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表3に示す。
内容積1Lの完全攪拌混合型連続重合反応容器に、乾燥したn−ヘキサンを5.5リットル/時間、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのヘキサン溶液(0.16ミリモル/L)を0.0104ミリモル/時間、メチルアルミノキサン(MMAO−3A:東ソー・ファインケム社製)のトルエン溶液(80ミリモル/L)を5.2ミリモル/時間、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(12ミリモル/L)を1.8ミリモル/時間の割合で導入した。水素は導入しなかった。同時に重合反応容器内にエチレンを480g/時間、1−オクテンを0.87kg/hで連続供給し、重合器内が反応圧力6.9MPaとなるように重合器上部から重合溶液を連続的に抜き出し、重合温度150℃、で重合反応を行った。重合器から連続的に抜き出された重合溶液に失活剤として少量のイソプロピルアルコールを添加し、耐熱安定剤としてIrganox1076(チバスペシャリティケミカルズ社製)を500ppm加えた後、大気圧までフラッシュしてポリマーを析出させた。その後、N2流通下で真空乾燥器にて120℃で8時間乾燥した。この重合のエチレン転化率は87.1%、エチレン系重合体収量は0.546kg/hであった。
株式会社プライムポリマーより市販されているエチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体(商品名:ウルトゼックス 15150J)を用いた。製品ペレットを測定試料とし、物性測定を行った結果を表3に示す。
スミライザー(登録商標)GP(住友化学株式会社製)850ppm、ステアリン酸カルシウム(日東化成工業社製)210ppmを添加したエチレン系重合体(α−1)パウダーとエチレン系重合体(β−1)とを80:20の重量比でブレンドし、株式会社池貝社製の二軸同方向46mmφ押出機を用い、設定温度200℃、スクリュー回転数300rpmの条件で溶融混練した後、ストランド状に押し出し、カットしてエチレン系重合体組成物(γ−1)のペレットを得た。得られたペレットを測定用試料として物性測定を行った結果を表4に示す。さらに、得られたペレットを用いてパイプ成形を実施した。成形時の溶融樹脂の安定性、及び製品肌を表4に示す。
実施例1において、エチレン系重合体(α)とエチレン系重合体(β)の種類、及びブレンド比を第4表に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてエチレン系重合体組成物(γ)のペレット、及びパイプ成形体を得た。得られたペレットの物性、成形時の溶融樹脂の安定性、製品肌を表4に示す。
実施例1において、エチレン系重合体(α)とエチレン系重合体(β)の種類、及びブレンド比を表5に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてエチレン系重合体組成物(γ−9)のペレット、及びパイプ成形体を得た。得られたペレットの物性、成形時の溶融樹脂の安定性、製品肌を表5に示す。比較例1は、エチレン系重合体(β−4)のMFRが要件(1')の上限値より大きい。このため、溶融樹脂の安定性、長期耐久性に劣る。
実施例1において、エチレン系重合体(α)とエチレン系重合体(β)の種類、及びブレンド比を表5に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法にてエチレン系重合体組成物(γ−10)のペレット、及びパイプ成形体を得た。得られたペレットの物性、成形時の溶融樹脂の安定性、製品肌を表5に示す。比較例2は、エチレン系重合体(α−6)のη0/Mw6.8及び[η]/Mw0.776がそれぞれ要件(4)及び要件(5)の上限値よりも大きい。このため、成形性が劣り、パイプ外観も平滑であった。
エチレン系重合体組成物(γ−5)のペレットを用いて、パイプ成形体を得た。ペレットの物性、成形時の溶融樹脂の安定性、製品肌を表5に示す。比較例4は、エチレン系重合体(β)の重量分率〔Wβ〕を満たさず、[η]/Mw0.776が要件(5)の上限値よりも大きい。このため、成形性に劣る。
エチレン系重合体組成物(γ−6)のペレットを用いて、パイプ成形体を得た。ペレットの物性、成形時の溶融樹脂の安定性、製品肌を表5に示す。比較例4は、エチレン系重合体(α−6)のメチル分岐とエチル分岐の和,η0/Mw6.8及び[η]/Mw0.776がそれぞれ要件(3),(4)及び要件(5)の上限値よりも大きい。このため、長期耐久性,成形性が劣り、パイプ外観も平滑であった。
エチレン系重合体組成物(γ−7)のペレットを用いて、パイプ成形体を得た。ペレットの物性、成形時の溶融樹脂の安定性、製品肌を表5に示す。比較例5は、エチレン系重合体(α−7)のη0/Mw6.8及び[η]/Mw0.776がそれぞれ要件(4)及び要件(5)の上限値よりも大きい。このため、成形性が劣り、パイプ外観も平滑であった。
エチレン系重合体組成物(α−2)のペレットを用いて、パイプ成形体を得た。ペレットの物性、成形時の溶融樹脂の安定性、製品肌を表5に示す。比較例6は、エチレン系重合体(β)の重量分率〔Wβ〕を満たさないため、長期耐久性に劣る。
Claims (4)
- エチレンと炭素数4以上10以下のα‐オレフィンとの共重合体であり、且つ、下記要件(1)〜(5)を同時に満たすエチレン系重合体(α)と、
エチレンと炭素数4以上10以下のα‐オレフィンとの共重合体であり、且つ、下記要件(1')〜(3')を同時に満たすエチレン系重合体(β)とを含むエチレン系共重合体組成物(γ)からなる層を少なくとも1層含むパイプ成形体であって、
前記組成物(γ)において、前記エチレン系重合体(α)の重量分率〔Wα〕が0.1以上0.9以下であり、前記エチレン系重合体(β)の重量分率〔Wβ〕が0.1以上0.9以下であり(WαとWβの合計を1.0とする)、密度が875kg/m3以上935kg/m3以下であることを特徴とするパイプ成形体。
エチレン系重合体(α):
(1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.01g/10分以上10g/10分以下である;
(2)密度が875kg/m3以上945kg/m3以下である;
(3)13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル(Me)分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル(Et)分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
(4)200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の6.8乗(Mw6.8)の比、η0/Mw6.8が、0.03×10-30以上7.5×10-30以下である;
(5)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、0.90×10-4以上1.65×10-4以下である;
エチレン系重合体(β):
(1')190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上10g/10分以下である;
(2')13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル(Me)分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル(Et)分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
(3')135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、1.90×10-4以上2.80×10-4以下である。 - 前記エチレン系重合体組成物(γ)の190℃における溶融張力〔MTγ(g)〕と、前記エチレン系重合体(α)の溶融張力〔MTα(g)〕、前記エチレン系重合体(β)の溶融張力〔MTβ(g)〕、前記Wα及びWβとが、下記関係式(Eq-1-1)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載のパイプ成形体。
1.2<MTγ/(MTα×Wα+MTβ×Wβ)≦3.0 …(Eq-1-1) - 前記エチレン系重合体組成物(γ)が、前記エチレン系重合体(α)及び前記エチレン重合体(β)のいずれでもない熱可塑性樹脂を、さらに含む請求項1または2に記載のパイプ成形体。
- 前記エチレン系重合体組成物(γ)からなる層を少なくとも2層含むパイプ成形体であって、外層にカーボンブラックが添加されている請求項1〜3のいずれかに記載のパイプ成形体。
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