JP6021748B2 - オレフィン重合用触媒およびそれを用いたオレフィン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1にはエチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリドとメチルアルミノキサンとからなる触媒の存在下で溶液重合により得られたエチレン系重合体が、特許文献2にはシリカに担持したエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドとメチルアルミノキサンとからなる触媒の存在下で気相重合により得られたエチレン系重合体が、特許文献3には拘束幾何触媒の存在下で溶液重合により得られたエチレン系重合体が、および特許文献4にはシリカに担持したジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリドのラセミおよびメソ異性体とメチルアルミノキサンとからなる触媒の存在下で気相重合により得られたエチレン系重合体が開示されている。
[1]下記成分(A)、(B)および(T)を含むことを特徴とする、オレフィン重合用触媒。
R1〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよく、
Q1は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびに、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、
Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。];
R13〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよく、
Q2は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびに、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、
Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。]。
R25〜R32は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよいが、すべてが同時に水素原子ではなく、隣接する基が互いに結合して環を形成してもよく、
Q3は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびに、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、
Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。];
Mは周期律表第4族遷移金属原子を示し、
mは、1〜4の整数を示し、
R33は、分岐状または直鎖状脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基であり、
R34〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2の場合にはR34〜R38で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく(但し、R33同士が結合されることはない)、同一でも互いに異なっていてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は同一でも互いに異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。]。
R39、R40は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、隣接する基が互いに結合して環を形成してもよいが、R39とR40とが連結されることはなく、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基を示す。]
〔一般式(VI)中、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基を示す。〕
[4]成分(A)、(B)および(T)を同一の固体状担体(S)に接触させることを特徴とする、前記[2]に記載のオレフィン重合用触媒。
[6]オレフィン系重合体が、エチレンの単独重合体、または、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする、前記[5]に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
(1’)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分の範囲である;
(2’)密度が875〜945kg/m3の範囲である;
(3’)13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
(4’)200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の6.8乗(Mw6.8)の比、η0/Mw6.8が、0.03×10-30〜7.5×10-30の範囲である;
(5’)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、0.90×10-4〜1.65×10-4の範囲である。
<成分(A)、(B)、(T)>
成分(A):下記一般式(I)もしくは(II)で表される化合物
Q1は、二つの配位子を結合する二価の基であって、アルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、好ましくは、アルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基ならびにケイ素含有基であり、特に好ましくはアルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基などの炭素数1〜10の炭化水素基である。
上記一般式(II)で表される成分(A)の好ましい化合物の具体例として、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)チタニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−シクロヘキシル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)シリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)シリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−アセナフトシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、などが挙げられ、特に好ましい具体例として、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、などが挙げられる。
上記一般式(III)で表される成分(B)の好ましい化合物の具体例として、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられ、より好ましい具体例として、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドおよびジメチルシリレン(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
成分(T):下記一般式(V)もしくは(VI)で表される化合物
R39、R40は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、隣接する基が互いに結合して環を形成してもよいが、R39とR40とが連結されることはなく、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基を示す。
上記一般式(VI)中、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基を示す。
本発明のオレフィン重合用触媒は、成分(A)、(B)、(T)を含む以外になんら限定されるものではないが、好ましい形態の例を以下に記す。
ii)成分(A)、(B)の混合溶液と成分(T)の溶液を別々に重合系に添加する。
iii)成分(A)、(B)、(T)の混合溶液を重合系に添加する。
iv)成分(A)、(B)をそれぞれ別々に固体状担体(S)と接触させ、成分(T)は溶液として別々に重合系に添加する。
v)成分(A)、(B)、(T)をそれぞれ別々に固体状担体(S)と接触させ、別々に重合系に添加する。
vi)成分(A)、(B)を同一の固体状担体(S)と接触させ、成分(T)は溶液として別々に重合系に添加する。
vii)成分(A)、(B)、(T)を同一の固体状担体(S)と接触させ、重合系に添加する。
成分(A)、(B)および(T)の使用量比は、所望とするオレフィン系重合体の分子量および分子量分布ならびに重合に伴う水素発生量に応じて任意に決定できる。ただしオレフィン系重合体の特性の面から好ましい範囲として、成分(A)から生成するオレフィン系重合体と成分(B)から生成するオレフィン系重合体との比率[=成分(B)由来の重合体量/成分(A)由来の重合体量]が、通常30/70〜99.5/0.5、好ましくは40/60〜99/1である。
後述のGPC測定法により得られる、オレフィン系重合体の分子量分布曲線は実質的に2つもしくは3つのピークから構成される。1番低分子量側のピークは成分(B)に由来するピークであり、2番目のピークは成分(A)に由来するピークであり、3番目のピークは、成分(A)と(B)が後述の好ましい例の時に生成するピークであるが、これも成分(A)に由来するピークと見なす。そして、成分(B)に由来するピーク(すなわち、1番低分子量側のピーク)と成分(A)に由来するピーク(すなわち、2番目と3番目のピーク)との比率[=成分(B)に由来するピーク/成分(A)に由来するピーク]を、成分(A)から生成する重合体と成分(B)から生成する重合体との比率[=成分(B)由来の重合体量/成分(A)由来の重合体量]として定義する。
Wa=S(G3)+S(G5)
Wb=S(G2)
ここで、S(G2)、S(G3)はそれぞれ強度を変更した後の(G2)、(G3)の面積であり、S(G5)は(G5)の面積である。
Wa=1−x
Wb=x
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステムEmpower(Waters社)
カラム;TSKgel GMH6- HT×2+TSKgel GMH6-HTL×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o-ジクロロベンゼン(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/分
注入量;500μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正;単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495〜分子量2060万
Z. Crubisic, P. Rempp, H. Benoit, J. Polym. Sci., B5, 753 (1967) に記載された汎用較正の手順に従い、ポリエチレン分子量換算として分子量分布曲線を作成する。
次に、本発明のオレフィン重合用触媒に含まれてもよい固体状担体(S)について説明する。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が挙げられ、後述のような多孔質酸化物、無機塩化物などの無機ハロゲン化物が挙げられる。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理等、いずれも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記成分(A)、(B)、(T)および上記固体状担体(S)に加え、必要に応じて、下記に記載の成分をさらに用いることができる。
本発明で用いることができる成分(C)は、下記(c−1)〜(c−3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
Rd mAl(ORe)nHpXq・・・(IX)
〔一般式(IX)中、RdおよびReは、炭素数が1〜15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。〕
MaAlRf 4・・・(X)
〔一般式(X)中、Maはリチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子を示し、Rfは炭素数が1〜20の置換されていてもよい炭化水素基を示す。〕
MbRa s・・・(XI)
〔一般式(XI)中、Rgは、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜20の置換されていてもよい炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Mbはリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子またはビスマス原子を示し、sはMの原子価に相当する数を示す。〕
(c−3)成分(A)、(B)と反応してイオン対を形成する化合物、
から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
有機アルミニウムオキシ化合物(c−2)としては、トリアルキルアルミニウムまたはトリシクロアルキルアルミニウムから調製された有機アルミニウムオキシ化合物が好ましく、トリメチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムから調製されたアルミノキサンが特に好ましい。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明で所望により用いることができる成分(G)として、下記(g−1)〜(g−6)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる:
(g−1)ポリアルキレンオキサイドブロック、
(g−2)高級脂肪族アミド、
(g−3)ポリアルキレンオキサイド、
(g−4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、
(g−5)アルキルジエタノールアミン、および
(g−6)ポリオキシアルキレンアルキルアミン。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は上記成分(A)、(B)、(T)および、必要により好適に用いられる上記成分(C)を、上記固体状担体(S)と接触させる際に、各接触を溶媒中で行うことが好ましい。
不活性炭化水素としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよび灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンおよびメチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素、ならびにエチレンクロリド、クロロベンゼンおよびジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などが挙げられる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、上述したように、成分(A)、(B)、(T)を固体状担体(S)と接触させることにより固体触媒成分として調製することができる。本発明では、このような固体触媒成分をそのまま重合系に挿入して用いてもよいが、固体触媒成分に事前にオレフィンを予備重合させ、予備重合触媒成分を形成させてから用いることもできる。すなわち、本発明のオレフィン重合用触媒は、成分(A)、(B)、(T)と固体状担体(S)とを接触させることにより得られる固体触媒成分それ自体であってもよいし、あるいは、この固体触媒成分にオレフィンを予備重合させることによって得られる予備重合触媒成分であってもよい。
予備重合に使用する固体触媒成分の形態としては、既に述べたものを制限無く利用することができる。また、必要に応じて成分(C)が用いられ、特に(c−1)中の上記式(IX)に示される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。成分(C)が用いられる場合は、該成分(C)中のアルミニウム原子(Al−C)と遷移金属錯体中の遷移金属原子(M)とのモル比(アルミニウム原子(Al−C)/遷移金属原子(M))で、通常0.1〜10000、好ましくは0.5〜5000の量で用いられる。
また、上記の成分(G)を、上記オレフィン重合用触媒の製造におけるいずれの工程に共存させてもよく、接触順序も任意である。また予備重合によって生成した予備重合触媒成分に接触させてもよい。
以下、本発明に係るエチレン系重合体の製造方法に関して説明する。
本発明に係る製造方法によって得られる好適なエチレン系重合体は、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体、好ましくはエチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数4のα−オレフィンを使用する場合には、炭素数6〜10のα-オレフィンもあわせて使用することが好ましい。エチレンとの共重合に用いられる炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。
測定はブルカー・バイオスピン(株)製AVANCE III cryo-500型核磁気共鳴装置を用い、以下の条件にて実施した。
測定プローブ:5mmクライオプローブ(DCH型)
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00μ秒)
ポイント数:64k
観測範囲:250ppm(-55〜195ppm)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:256回
測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1 v/v)
試料濃度:60mg/0.6ml
測定温度:120℃
ウィンドウ関数:exponential(BF:1.0 Hz)
ケミカルシフト基準:δδシグナル 29.73ppm
0.03×10-30≦η0/Mw6.8≦7.5×10-30 --------(Eq-1)
を満たす。ここで、η0/Mw6.8の下限値は好ましくは0.05×10-30、より好ましくは0.08×10-30であり、η0/Mw6.8の上限値は好ましくは5.0×10-30、より好ましくは3.0×10-30である。
重量平均分子量(Mw)に対してゼロせん断粘度〔η0(P)〕を両対数プロットしたとき、長鎖分岐がなく直鎖状で、伸長粘度がひずみ硬化性を示さないエチレン系重合体は、傾きが3.4のべき乗則に則る。一方、比較的短い長鎖分岐を数多く有し、伸長粘度がひずみ速度硬化性を示すエチレン系重合体は、べき乗則よりも低いゼロせん断粘度〔η0(P)〕を示し、さらにその傾きは3.4よりも大きな値となることが知られており(C Gabriel, H.Munstedt, J.Rheol., 47(3), 619(2003)、H. Munstedt, D.Auhl, J. Non-Newtonian Fluid Mech. 128, 62-69, (2005) )、傾き6.8は経験的に選択しうる。η0とMw6.8との比をとることについては特開2011-1545号公報にも開示されている。
ゼロせん断粘度〔η0(P)〕と重量平均分子量(Mw)との関係は、エチレン系重合体中の長鎖分岐の含量および長さに依存していると考えられ、長鎖分岐含量が多いほど、また長鎖分岐の長さが短いほどゼロせん断粘度〔η0(P)〕は請求範囲下限に近い値を示し、長鎖分岐含量が少ないほど、また長鎖分岐の長さが長いほどゼロせん断粘度〔η0(P)〕は請求範囲上限に近い値を示すと考えられる。
測定温度200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕は以下のようにして求める。
ここで、λは時間の次元を持つパラメーター、nは材料の冪法則係数(power law index)を表す。なお、非線形最小二乗法によるフィッティングは下記数式(Eq-3)におけるdが最小となるよう行われる。
0.90×10-4≦[η]/Mw0.776≦1.65×10-4 --------(Eq-4)
を満たす。ここで、[η]/Mw0.776の下限値は好ましくは0.95×10-4、であり、より好ましくは、1.00×10-4であり、[η]/Mw0.776の上限値は好ましくは1.55×10-4、より好ましくは1.45×10-4である。
エチレン系重合体中に長鎖分岐が導入されると、長鎖分岐の無い直鎖型エチレン系重合体に比べ、分子量の割に極限粘度[η](dl/g)が小さくなることが知られている(例えばWalther Burchard, ADVANCES IN POLYMER SCIENCE, 143, Branched PolymerII, p.137(1999))。
前述のように本発明のオレフィン重合用触媒中の前記成分(B)の比率([B]/[A+B])を高くすることで長鎖分岐含量は多くなることから、[B]/[A+B]を増減させることで、上記範囲の極限粘度[η]を有するエチレン系重合体を製造することができる。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0) ---------- (Eq-5)
本発明に係るエチレン系重合体は、上記要件(1')〜(5')に加えて、下記要件(6')をさらに満たすことが好ましい。
1.0×10-4≦MT/η*≦7.0×10-4 --------(Eq-6)
を満たすことが好ましい。ここで、MT/η*の上限値は好ましくは5.0×10-4、より好ましくは3.0×10-4である。
<成分(T)の合成>
[合成例1]
ジメチルビス(nーブチルシクロペンタジエニル)チタンの合成
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、ビス(nーブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド0.41g(1.14mmol)、トルエン10mLを仕込み攪拌した。この溶液を−78℃に冷却し、メチルリチウム溶液2.40mL(エーテル溶液、1.06M、2.54mmol)を滴下した。滴下終了後、ゆっくりと室温まで戻しながら5時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン7mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調整し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液の溶媒を留去した後、残渣を減圧乾燥することにより橙色液体のジメチルビス(nーブチルシクロペンタジエニル)チタンを0.29g(収率80%)得た。
FD−質量分析(M−(CH3)2 +): 290
その他の成分(T)化合物は、すべて市販品をそのまま使用した。
[比較例1]
固体状担体の調製
内容積270リットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、シリカゲル(富士シリシア株式会社製:平均粒径70μm、比表面積340m2/g、細孔容積1.3cm3/g、250℃で10時間乾燥)10kgを77リットルのトルエンに懸濁させた後0〜5℃に冷却した。この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mmol/mL)19.4リットルを30分間かけて滴下した。この際、系内温度を0〜5℃に保った。引き続き0〜5℃で30分間接触させた後、約1.5時間かけて系内温度を95℃まで昇温して、引き続き95℃で4時間接触させた。その後常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにトルエンで2回洗浄した後、全量115リットルのトルエンスラリーを調製した。得られたスラリー成分の一部を採取し濃度を調べたところ、スラリー濃度:122.6g/L、Al濃度:0.62mol/Lであった。
内容積200ミリリットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30ミリリットル、および上記で得られた固体状担体8.2ミリリットル(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。次に、成分(A)として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.014mmol、成分(B)として、(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.011mmol滴下し、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘキサンを用いて2回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量100ミリリットルとし、固体触媒成分のスラリーを調製した。
内容積1リットルのSUS製オートクレーブに、窒素雰囲気下、ヘプタン500ミリリットルを添加した後に、エチレンを流通させ液相および気相をエチレンで飽和させた。次に、1−ヘキセン10ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.375mmol、および固体触媒成分を固体分として20mg装入した後、80℃、0.8MPaGに昇温、昇圧し、90分間重合反応を行った。得られたポリマーをろ過後、80℃で10時間真空乾燥し、エチレン系重合体85.5gを得た。重合体パウダーのMFRは13g/10分であり、GPC分析結果(分子量分布)を図1に示す。GPCより求めた成分(B)由来の重合体の数平均分子量は12,400であった。結果を表1に示す。
固体触媒成分の調製
内容積200ミリリットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30ミリリットル、および比較例1で得られた固体状担体8.2ミリリットル(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。次に、成分(A)として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.014mmol、成分(B)として、(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.011mmol滴下し、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、成分(T)として、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロリド(和光純薬工業株式会社製)のトルエン溶液をZr原子換算で0.005mmol滴下し、系内温度20〜25℃でさらに1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘキサンを用いて2回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量100ミリリットルとし、固体触媒成分のスラリーを調製した。
固体触媒成分を固体分として20mg用いて、比較例1と同様の方法で重合を行ない、エチレン系重合体66.0gを得た。重合体パウダーのMFRは0.8g/10分であり、GPC分析結果(分子量分布)を図1に示す。GPCより求めた成分(B)由来の重合体の数平均分子量は17,900であり、比較例1に対して分子量の向上が見られたことから、重合系内の水素濃度が比較例1よりも低下したことが示唆された。結果を表1に示す。
固体触媒成分の調製
成分(T)として、ジメチルビス(nーブチルシクロペンタジエニル)チタン、ビス(2,4−シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロールー1−イル)フェニル]チタン(BASF社IRUGACURE784)、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会社製)を表1に示した量添加した以外は、実施例1と同様の方法で、固体触媒成分のスラリーを調製した。
固体触媒成分を固体分として表1に示した量用いて、比較例1と同様の方法で重合を行ない、エチレン系重合体を得た。重合体パウダーのMFRおよびGPCより求めた成分(B)由来の重合体の数平均分子量は表1に記す。いずれのチタン化合物を用いても、比較例1に対して分子量の向上が見られたことから、重合系内の水素濃度が比較例1よりも低下したことが示唆された。得られたエチレン系重合体のGPC分析結果(分子量分布)を図1に示す。
固体触媒成分の調製
内容積200ミリリットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30ミリリットル、および測定例1−1に記載の固体状担体8.2ミリリットル(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。次に、成分(A)として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.020mmol滴下し、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、系内温度を95℃に昇温し、さらに2時間接触させた。30℃まで降温後、成分(B)として、(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液を、Zr原子換算で0.005mmol滴下し、系内温度20〜30℃で1時間接触させた。上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘキサンを用いて2回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量50ミリリットルとし、固体触媒成分のスラリーを調製した。
上記で得られた固体触媒成分スラリーを10℃まで冷却した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)2.5mmolを添加した。さらに常圧下でエチレンを系内に連続的に数分間供給した。この間系内の温度は10〜15℃に保持し、次いで1−ヘキセン0.36ミリリットルを添加した。1−ヘキセン添加後、系内温度を35℃に昇温し、固体触媒成分に対して重量換算で3等量分のエチレンを重合させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を50ミリリットルとした。次に、系内温度を35℃に昇温した後、成分(G)として、ケミスタット2500(三洋化成工業株式会社製)40mgのヘキサン溶液を添加し、2時間接触させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した。次に、内容積100mLのガラス製シュレンク管に上記ヘキサンスラリーを移し、減圧下25℃にてヘキサンを減圧留去させることで、予備重合触媒成分4.0gを得た。
予備重合触媒成分を固体分として135mg用いて、比較例1と同様の方法で重合を行ない、エチレン系重合体79.4gを得た。重合体パウダーのMFRは0.5g/10分であり、GPC分析結果(分子量分布)を図2に示す。GPCより求めた成分(B)由来の重合体の数平均分子量は12,400であった。結果を表1に示す。
エチレン系重合体の製造
比較例2の予備重合触媒成分を固体分として150mg、ジメチルビス(nーブチルシクロペンタジエニル)チタンを1mg挿入した以外は、比較例1と同様の方法で重合を行ない、エチレン系重合体74.2gを得た。重合体パウダーのMFRは0.03g/10分であり、GPC分析結果(分子量分布)を図2に示す。GPCより求めた成分(B)由来の重合体の数平均分子量は21,500であり、比較例2に対して分子量の向上が見られたことから、重合系内の水素濃度が比較例2よりも低下したことが示唆された。結果を表1に示す。
固体触媒成分の調製
内容積200ミリリットルの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30ミリリットル、および測定例1−1に記載の固体状担体8.2ミリリットル(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。次に、成分(A)として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.020mmol滴下し、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、系内温度を95℃に昇温し、さらに2時間接触させた。30℃まで降温後、成分(B)として、(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液を、Zr原子換算で0.005mmol滴下し、系内温度20〜30℃で1時間接触させた後、成分(T)として、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.003mmol滴下し、系内温度20〜25℃でさらに1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘキサンを用いて2回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量50ミリリットルとし、固体触媒成分のスラリーを調製した。
上記で得られた固体触媒成分スラリーから、比較例2と同様の方法で予備重合触媒成分4.0gを得た。
予備重合触媒成分を固体分として140mg用いて、比較例1と同様の方法で重合を行ない、エチレン系重合体78.0gを得た。重合体パウダーのMFRは0.2g/10分であり、GPC分析結果(分子量分布)を図2に示す。GPCより求めた成分(B)由来の重合体の数平均分子量は14,900であり、比較例2に対して分子量の向上が見られたことから、重合系内の水素濃度が比較例2よりも低下したことが示唆された。結果を表1に示す。
予備重合触媒成分の調製
成分(T)として、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロリド(和光純薬工業株式会社製)、ビス(2,4−シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロールー1−イル)フェニル]チタンを表1に示した量添加した以外は、実施例6と同様の方法で、予備重合触媒成分を調製した。
予備重合触媒成分を固体分として表1に示した量用いて、比較例1と同様の方法で重合を行ない、エチレン系重合体を得た。重合体パウダーのMFRおよびGPCより求めた成分(B)由来の重合体の数平均分子量は表1に記す。いずれのチタン化合物を用いても、比較例2に対して分子量の向上が見られたことから、重合系内の水素濃度が比較例2よりも低下したことが示唆された。
GPC分析結果(分子量分布)を図2に示す。
エチレン系重合体の製造
内容積1.0m3の流動層型気相重合反応器を用いて、表2の重合条件にて反応器内に比較例2の予備重合触媒成分、エチレン、1−ヘキセンなどを連続的に供給し、エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造を行った。
重合系内に水素を供給していないにも関わらず、重合体収量の上昇に伴い重合系内の水素濃度が上昇し、水素/エチレン比が15×10^−4m.r.にて落ち着いた。
エチレン系重合体の製造
実施例8の予備重合触媒成分を用いた以外は、比較例3と同様の条件でエチレン・1−ヘキセン共重合体の製造を行った。
[比較例4]
エチレン系重合体の製造
内容積1.0m3の流動層型気相重合反応器を用いて、表2の重合条件にて反応器内に比較例2の予備重合触媒成分、エチレン、1−ヘキセンなどを連続的に供給し、エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造を行った。比較例3とは異なり、水素を連続的に供給し水素/エチレン比が30×10^−4m.r.に維持させた。
エチレン系重合体の製造
実施例8の予備重合触媒成分を用いた以外は、比較例3と同様の条件でエチレン・1−ヘキセン共重合体の製造を行った。実施例9とは異なり、水素を連続的に供給し水素/エチレン比が30×10^−4m.r.に維持させた。この時、重合系内でエタンの発生が観測されたことから、エチレンの水添反応により水素濃縮が抑制されていることが示された。
成分(T)の存在により、重合時にオレフィン水添反応が観測されていたにも関わらず、比較例4と同等の樹脂特性を示したことから長鎖分岐導入量も同等を維持していることが示された。
Claims (7)
- 下記成分(A)、(B)および(T)を含むことを特徴とする、オレフィン重合用触媒。
成分(A):下記一般式(I)もしくは(II)で表される化合物
R1〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよく、
Q1は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびに、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、
Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。];
R13〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよく、
Q2は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびに、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、
Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。]。
成分(B):下記一般式(III)もしくは(IV)で表される化合物
R25〜R32は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよいが、すべてが同時に水素原子ではなく、隣接する基が互いに結合して環を形成してもよく、
Q3は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ならびに、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、
Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。];
Mは周期律表第4族遷移金属原子を示し、
mは、1〜4の整数を示し、
R33は、分岐状または直鎖状脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基であり、
R34〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2の場合にはR34〜R38で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく(但し、R33同士が結合されることはない)、同一でも互いに異なっていてもよく、
nは、Mの価数を満たす数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は同一でも互いに異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。]。
成分(T):下記一般式(V)もしくは(VI)で表される化合物
R39、R40は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、同一でも互いに異なっていてもよく、隣接する基が互いに結合して環を形成してもよいが、R39とR40とが連結されることはなく、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基を示す。]
TiX4・・・(VI)
〔一般式(VI)中、
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる原子または基を示す。〕 - 固体状担体(S)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオレフィン重合用触媒。
- 成分(A)および(B)を同一の固体状担体(S)に接触させることを特徴とする、請求項2に記載のオレフィン重合用触媒。
- 成分(A)、(B)および(T)を同一の固体状担体(S)に接触させることを特徴とする、請求項2に記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載のオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
- オレフィン重合体が、エチレンの単独重合体、または、エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項5に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- エチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体が、下記要件(1’)〜(5’)を満たすことを特徴とする、請求項6に記載のエチレン系重合体の製造方法:
(1’)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分の範囲である;
(2’)密度が875〜945kg/m3の範囲である;
(3’)13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
(4’)200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の6.8乗(Mw6.8)の比、η0/Mw6.8が、0.03×10-30〜7.5×10-30の範囲である;
(5’)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、0.90×10-4〜1.65×10-4の範囲である。
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