JP6207181B2 - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)重合系内に供給する2種以上の固体触媒(X1)〜(Xn)(nは2以上の整数)の重量分率〔W1〕〜〔Wn〕(nは2以上の整数)が、0.05以上0.95以下である(〔W1〕〜〔Wn〕の合計を1.0とする);
(2)固体触媒(X1)〜(Xn)は、少なくとも2種の遷移金属錯体(A)および(B)を固体状担体に接触させたものであり、かつ、該固体触媒(X1)〜(Xn)をそれぞれ単独で用いた場合、前記(1)の要件における重合条件と同一の重合条件下でオレフィン重合させたときに得られる重合体のメルトフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)の最大値〔MFRα〕と最小値〔MFRβ〕の比が、次の関係式を満たす。
1<〔MFRα〕/〔MFRβ〕<1000
(1’)メルトフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上100g/10分以下である;
(2’)密度が875kg/m3以上945kg/m3以下である;
(3’)13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
(4’)200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の6.8乗(Mw6.8)の比、η0/Mw6.8が、0.03×10-30以上7.5×10-30以下である;
(5’)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、0.90×10-4以上1.65×10-4以下である。
重合系内への供給方法については、重合開始前に全量を添加、重合中に間欠的に添加、重合中に連続的に添加する方法などがあるが、何ら限定されるものではない。
1<〔MFRα〕/〔MFRβ〕<1000
の関係を満たす。
遷移金属錯体(A)
本発明で用いられる遷移金属錯体(A)は、好適な例として、下記一般式(I)もしくは(II)で表される遷移金属錯体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Q1は、二つの配位子を結合する二価の基であって、アルキレン基、置換アルキレン基、およびアルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれる基である。好ましくは、アルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基ならびにケイ素含有基であり、特に好ましくはアルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基などの炭素数1〜10の炭化水素基である。
一般式(II)で表される遷移金属錯体(A)の好ましい化合物の具体例として、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)チタニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−シクロヘキシル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)シリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)シリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−アセナフトシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、などが挙げられ、特に好ましい具体例として、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
本発明で用いられる遷移金属錯体(B)は、好適な例として、下記一般式(III)もしくは(IV)で表される遷移金属錯体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(III)で表される遷移金属錯体(B)の好ましい化合物の具体例として、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられ、より好ましい具体例として、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドおよびジメチルシリレン(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基などが置換した基などが挙げられる。
nはMの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
固体状担体(S)は、無機または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物などの無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が挙げられる。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理等、いずれも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除く他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒の製造方法においては、遷移金属錯体(A),(B)および固体状担体(S)に加え、必要に応じて、下記のその他の成分をさらに用いることができる。
成分(C)は、下記(c−1)〜(c−3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
Rd mAl(ORe)nHpXq・・・(VII)
〔一般式(VII)中、RdおよびReは、炭素数が1〜15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。〕
MaAlRf 4・・・(VIII)
〔一般式(VIII)中、Maはリチウム原子、ナトリウム原子、またはカリウム原子を表し、Rfは炭素数1〜20の置換されていてもよい炭化水素基を示す。〕
MbRa s・・・(IX)
〔一般式(IX)中、Rgは、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜20の置換されていてもよい炭化水素基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。Mbはリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子またはビスマス原子を表し、sはMの原子価に相当する数を表す。〕
(c−3)遷移金属錯体(A)、(B)と反応してイオン対を形成する化合物 一般式(VII)、(VIII)、または(IX)で表される有機金属化合物(c−1)の中では、一般式(VII)で示されるものが好ましく、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウムおよびトリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;ならびにジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドおよびジイソヘキシルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
遷移金属錯体(A)および(B)の使用量比は、オレフィン重合体の分子量および分子量分布から任意に決定できるが、好ましい範囲として、遷移金属錯体(A)から生成する重合体と遷移金属錯体(B)から生成する重合体との比率[=遷移金属錯体(B)由来の重合体量/遷移金属錯体(A)由来の重合体量]が、通常、30/70〜99.5/0.5、好ましくは40/60〜99/1である。比率がこの範囲にあると、重合体の組成を制御でき、重合体の成形加工性や機械的強度に優れる。
後述のGPC測定法により得られる、オレフィン重合体の分子量分布曲線は実質的に2つもしくは3つのピークから構成される。1番低分子量側のピークは遷移金属錯体(B)に由来するピークであり、2番目のピークは遷移金属錯体(A)に由来するピークであり、3番目のピークは、遷移金属錯体(A)と(B)が後述の好ましい例の時に生成するピークであるが、これも遷移金属錯体(A)に由来するピークと見なす。そして、遷移金属錯体(B)に由来するピーク(すなわち、1番低分子量側のピーク)と遷移金属錯体(A)に由来するピーク(すなわち、2番目と3番目のピーク)との比率[=遷移金属錯体(B)に由来するピーク/遷移金属錯体(A)に由来するピーク]を、遷移金属錯体(A)から生成する重合体と遷移金属錯体(B)から生成する重合体との比率[=遷移金属錯体(B)由来の重合体量/遷移金属錯体(A)由来の重合体量]として定義する。
Wa=S(G3)+S(G5)
Wb=S(G2)
ここで、S(G2)、S(G3)はそれぞれ強度を変更した後の(G2)、(G3)の面積であり、S(G5)は(G5)の面積である。
Wa=1−x
Wb=x
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステムEmpower(Waters社)
カラム;TSKgel GMH6− HT×2+TSKgel GMH6−HTL×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o−ジクロロベンゼン(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/分
注入量;500μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正;単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495〜分子量2060万
Z. Crubisic, P. Rempp, H. Benoit, J. Polym. Sci., B5, 753 (1967) に記載された汎用較正の手順に従い、ポリエチレン分子量換算として分子量分布曲線を作成する。
本発明に係るオレフィン重合用触媒の製造方法において、上記遷移金属錯体(A),(B)、および必要により好適に用いられるその他の成分(C)を、固体状担体(S)と接触させる際に、各接触を溶媒中で行うことが好ましい。
i)成分(C)と固体状担体(S)とを接触させ、次いで成分(A)および成分(B)を接触させて調製する方法
ii)成分(A)および成分(B)と固体状担体(S)とを接触させ、次いで成分(C)を接触させて調製する方法
iii)成分(A)、成分(B)、および成分(C)を混合接触させた後に、固体状担体(S)を接触させて調製する方法
などが挙げられ、より好ましいのはi)の方法である。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上述したように、2種の遷移金属錯体(A)、(B)と固体状担体(S)とを接触させることにより固体触媒成分として調製することができる。本発明では、このような固体触媒成分をそのまま重合系に挿入して用いてもよいが、固体触媒成分に事前にオレフィンを予備重合させ、予備重合触媒成分を形成させてから用いることもできる。すなわち、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、遷移金属錯体(A)、(B)と固体状担体(S)とを接触させることにより得られる固体触媒成分それ自体であってもよいし、あるいは、この固体触媒成分にオレフィンを予備重合させることによって得られる予備重合触媒成分であってもよい。
予備重合に使用する固体触媒成分の形態としては、上述したものに限らず利用することができる。また、必要に応じて成分(C)が用いられ、特に(c−1)中の上記式(VII)に示される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。成分(C)が用いられる場合は、該成分(C)中のアルミニウム原子(Al−C)と遷移金属錯体中の遷移金属原子(M)とのモル比(アルミニウム原子(Al−C)/遷移金属原子(M))で、通常、0.1〜10000、好ましくは0.5〜5000である。
また、下記の成分(G)を、上記オレフィン重合用触媒の製造におけるいずれの工程に共存させてもよく、接触順序も任意である。また予備重合によって生成した予備重合触媒成分に接触させてもよい。
本発明で所要により用いることができる成分(G)として、下記(g−1)〜(g−6)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる:
(g−1)ポリアルキレンオキサイドブロック、
(g−2)高級脂肪族アミド、
(g−3)ポリアルキレンオキサイド、
(g−4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、
(g−5)アルキルジエタノールアミン、および
(g−6)ポリオキシアルキレンアルキルアミン。
以下に、本発明のオレフィン重合用触媒は、エチレン系重合体の製造に限定されるものではないが、例えば、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体の製造に、好適に用いることができる。このようなエチレンの単独重合体や共重合体は、エチレンの単独重合、または、エチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合を、本発明のオレフィン重合用触媒の存在下で行うことにより、得ることができる。
本発明に係る製造方法によって得られる好適なエチレン系重合体は、エチレンと炭素数4以上10以下のα−オレフィンとの共重合体、好ましくはエチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数4のα−オレフィンを使用する場合には、炭素数6〜10のα-オレフィンもあわせて使用することが好ましい。エチレンとの共重合に用いられる炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンなどが挙げられる。
密度の測定は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
0.03×10-30≦η0/Mw6.8≦7.5×10-30 --------(Eq-1)
を満たす。ここで、下限値は好ましくは0.05×10-30、より好ましくは0.08×10-30であり、上限値は好ましくは5.0×10-30、より好ましくは3.0×10-30である。
6.8Log(Mw) -31.523≦Log(η0)≦6.8Log(Mw) -29.125 --------(Eq-1')
ゼロせん断粘度〔η0(P)〕と重量平均分子量(Mw)との関係は、エチレン系重合体中の長鎖分岐の含量および長さに依存していると考えられ、長鎖分岐含量が多いほど、また長鎖分岐の長さが短いほどゼロせん断粘度〔η0(P)〕は請求範囲下限に近い値を示し、長鎖分岐含量が少ないほど、また長鎖分岐の長さが長いほどゼロせん断粘度〔η0(P)〕は請求範囲上限に近い値を示すと考えられる。
測定温度200℃におけるせん断粘度(η*)の角速度〔ω(rad/秒)〕分散を0.01≦ω≦100の範囲で測定する。測定にはアントンパール社製粘弾性測定装置Physica MCR301を用いる。サンプルホルダーは25mmφのパラレルプレートを用い、サンプル厚みは約2.0mmとした。測定点はω一桁当たり5点とする。歪み量は、測定範囲でのトルクが検出可能で、かつトルクオーバーにならないよう、3〜10%の範囲で適宜選択する。
η*=η0〔1+(λω)a〕(n-1)/a --- (Eq-2)
0.90×10-4≦[η]/Mw0.776≦1.65×10-4 --------(Eq-4)
を満たす。ここで、下限値は好ましくは0.95×10-4、であり、より好ましくは、1.00×10-4であり、上限値は好ましくは1.55×10-4、より好ましくは1.45×10-4である。
0.776Log(Mw) -4.097≦Log([η])≦0.776Log(Mw) -3.783 --------(Eq-4')
前述のようにオレフィン重合用触媒中の遷移金属錯体(B)の比率([B]/[A+B])を高くすることで長鎖分岐含量は多くなることから、[B]/[A+B]を増減させることで、上記範囲の極限粘度[η]を有するエチレン系重合体を製造することができる。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0) ---------- (Eq-5)
エチレン系重合体は、上記要件(1')〜(5')に加えて、下記要件(6')をさらに満たすことが好ましい。
1.0×10-4≦MT/η*≦7.0×10-4 --------(Eq-6)
を満たすことが好ましい。ここで、上限値は好ましくは5.0×10-4、より好ましくは3.0×10-4である。
[製造例1]
固体状担体の調製
内容積270Lの攪拌機付き反応器を用い、窒素雰囲気下、シリカゲル(富士シリシア株式会社製:レーザー光回折散乱法の体積分布の累積50%粒径70μm、比表面積340m2/g、細孔容積1.3cm3/g、250℃で10時間乾燥)10kgを77Lのトルエンに懸濁させた後、0〜5℃に冷却した。この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mmol/mL)19.4リットルを30分間かけて滴下した。この際、系内温度を0〜5℃に保った。
得られたスラリー成分の一部を採取し濃度を調べたところ、スラリー濃度:122.6g/L、Al濃度:0.62mol/Lであった。
内容積200mLの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30mL、および上記で得られた固体状担体のスラリー8.2mL(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。
上記で得られた固体触媒成分スラリーを10℃まで冷却した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)2.5mmolを添加した。さらに常圧下でエチレンを系内に連続的に数分間供給した。この間系内の温度は10〜15℃に保持し、次いで1−ヘキセン0.36ミリリットルを添加した。1−ヘキセン添加後、系内温度を35℃に昇温し、固体触媒成分に対して重量換算で3等量分のエチレンを重合させた。
得られた予備重合触媒成分は、窒素雰囲気下、ガラス製バイアル瓶に封入し、20〜30℃の室内にて保管した。
重合
製造例1の予備重合触媒成分を調製して2日後に、内容積1リットルのSUS製オートクレーブに、窒素雰囲気下、ヘプタン500ミリリットルを添加した後に、エチレンを流通させ液相および気相部をエチレンで飽和させた。次に、1−ヘキセン10ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.375mmol、および製造例1の予備重合触媒成分158mgを装入した後、80℃、0.8MPaGに昇温、昇圧し、90分間重合反応を行った。得られたポリマーをろ過後、80℃で10時間真空乾燥し、エチレン系重合体60.6gを得た。得られた重合体のMFRは1.1であった。
重合例1により得られたエチレン系重合体パウダーに耐熱安定剤としてIrganox1076(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.1重量%、Irgafos168(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.1重量%を加え、東洋精機製作所製ラボプラストミルを用い、樹脂温度180℃、回転数50rpm.で5分間溶融混練した。さらに、この溶融ポリマーを、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cm2の条件にて冷却した。該試料を測定用試料として物性測定を行った。結果を表1に示す。
重合
製造例1の予備重合触媒成分を調製して4ヶ月後に、製造例1の予備重合触媒成分を165mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体58.2gを得た。得られた重合体のMFRは0.5であった。
固体触媒成分、予備重合触媒成分の調製
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの添加量を、Zr原子換算で0.010mmol、(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの添加量を、Zr原子換算で0.015mmol、に変えた以外は、製造例1と同様の条件にて、予備重合触媒成分4.1gを得た。得られた予備重合触媒の組成を調べたところ、予備重合触媒成分1g当たり、Zr原子が0.51mg含まれていた。
得られた予備重合触媒成分は、窒素雰囲気下、ガラス製バイアル瓶に封入し、20〜30℃の室内にて保管した。
重合
製造例2の予備重合触媒成分を調製して2日後に、製造例2の予備重合触媒成分を83mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体83.5gを得た。得られた重合体のMFRは11.5であった。
重合
製造例1の予備重合触媒成分を調製して4ヶ月後、かつ、製造例2の予備重合触媒成分を調製して2日後に、製造例1の予備重合触媒成分を155mg、製造例2の予備重合触媒成分を40mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体81.0gを得た。得られた重合体のMFRは1.4であった。(〔MFRα〕/〔MFRβ〕=23)
実施例1により得られたエチレン系重合体パウダーを、重合例1と同様の方法で物性測定を行った。結果を表1に示す。重合例1に対し、同等の物性を示した。
重合
製造例1の予備重合触媒成分を調製して4ヶ月後に、製造例1の予備重合触媒成分を197mg装入し、エチレンの代わりにエチレンと水素の混合ガス(水素/エチレン比=0.1%)を用いたこと以外は、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体66.4gを得た。得られた重合体のMFRは1.6であった。
比較例1により得られたエチレン系重合体パウダーを、重合例1と同様の方法で物性測定を行った。結果を表1に示す。重合例1ならびに実施例1に対し、溶融張力の低下が見られた。
固体触媒成分の調製
内容積200mLの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30mL、および上記で得られた固体状担体のスラリー8.2mL(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。
上記で得られた固体触媒成分のヘキサンスラリーを38〜40℃まで昇温した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)1.9mmolを添加した。系内温度を38〜40℃に保持しながら、常圧下でエチレンを系内に連続的に供給し、固体触媒成分に対して重量換算で3等量分のエチレンを重合させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を50ミリリットルとした。
得られた予備重合触媒成分は、窒素雰囲気下、ガラス製バイアル瓶に封入し、20〜30℃の室内にて保管した。
重合
製造例3の予備重合触媒成分を調製して2日後に、製造例3の予備重合触媒成分を118mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体82.9gを得た。得られた重合体のMFRは0.02であった。
重合
製造例2の予備重合触媒成分を調製して4日後、かつ、製造例3の予備重合触媒成分を調製して2日後に、製造例2の予備重合触媒成分を50mg、製造例3の予備重合触媒成分を55mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体75.5gを得た。得られた重合体のMFRは1.8であった。(〔MFRα〕/〔MFRβ〕=575)
固体触媒成分の調製
内容積200mLの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30mL、および上記で得られた固体状担体のスラリー8.2mL(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。
重合
製造例4の固体触媒成分を調製して1日後に、製造例4の固体触媒成分として20mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体87.6gを得た。得られた重合体のMFRは0.02であった。
固体触媒成分の調製
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドの添加量を、Zr原子換算で0.013mmol、上記構造(IV−1)の添加量をZr原子換算で0.013mmol、に変えた以外は、製造例4と同様の条件にて、固体触媒成分のスラリーを調製した。
重合
製造例5の固体触媒成分を調製して2日後に、製造例5の固体触媒成分として20mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体55.2gを得た。得られた重合体のMFRは17.5であった。
重合
製造例4の固体触媒成分を調製して4日後、かつ、製造例5の固体触媒成分を調製して2日後に、製造例4の固体触媒成分として10mg、製造例5の固体触媒成分として10mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体76.7gを得た。得られた重合体のMFRは0.5であった。(〔MFRα〕/〔MFRβ〕=870)
Claims (5)
- 下記要件(1)および(2)を同時に満たすことを特徴とするオレフィン重合体の製造方法:
(1)重合系内に供給する2種以上の固体触媒(X1)〜(Xn)(nは2以上の整数)の重量分率〔W1〕〜〔Wn〕(nは2以上の整数)が、0.05以上0.95以下である(〔W1〕〜〔Wn〕の合計を1.0とする);
(2)固体触媒(X1)〜(Xn)は、少なくとも2種の遷移金属錯体(A)および(B)を固体状担体に接触させたものであり、かつ、該固体触媒(X1)〜(Xn)をそれぞれ単独で用いた場合、前記(1)の要件における重合条件と同一の重合条件下でオレフィン重合させたときに得られる重合体のメルトフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)の最大値〔MFRα〕と最小値〔MFRβ〕の比が、次の関係式を満たす。
1<〔MFRα〕/〔MFRβ〕<1000 - 前記遷移金属錯体(A)が、下記一般式(I)または(II)で表されることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法:
- 前記遷移金属錯体(B)が、下記一般式(III)または(IV)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン重合体の製造方法:
- オレフィン重合が、エチレンの単独重合またはエチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 前記エチレン系重合体が、エチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合体であって、下記要件(1’)〜(5’)を満たすことを特徴とする請求項4に記載のエチレン系重合体の製造方法:
(1’)メルトフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上100g/10分以下である;
(2’)密度が875kg/m3以上945kg/m3以下である;
(3’)13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
(4’)200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の6.8乗(Mw6.8)の比、η0/Mw6.8が、0.03×10−30以上7.5×10−30以下である;
(5’)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、0.90×10-4以上1.65×10-4以下である。
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