JP6207181B2 - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、オレフィン重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、2種以上の遷移金属錯体を固体状担体に接触させた固体触媒を用いて製造するオレフィン重合体の製造方法に関する。
従来から、オレフィン(共)重合体を製造する際に用いる触媒として、ジルコノセンなどの遷移金属錯体と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)などの助触媒成分とからなるオレフィン重合用触媒が一般的である。中でも、スラリー重合あるいは気相重合を行う場合には、生成する重合体の粉体性状を良化させるため、遷移金属錯体や有機アルミニウムオキシ化合物をシリカゲルなどの固体状担体に担持させた固体触媒が用いられている(非特許文献1)。
近年、長鎖分岐の導入や分子量分布を広げることなどを目的として、複数種の遷移金属錯体を用いたオレフィン重合体の製造方法が開示されている(特許文献1〜3)。複数種の遷移金属錯体を用いて長鎖分岐を導入させたオレフィン重合体の生成機構として、1種以上の遷移金属錯体が末端にビニル基を有する重合体であるマクロモノマーを生成し、同一もしくは別の1種以上の遷移金属錯体が該マクロモノマーを共重合する、という機構が提案されている。ここでいう長鎖分岐とは、重合体中に含まれる絡み合い点間分子量以上の長さの分岐構造と定義され、長鎖分岐の導入により重合体の溶融物性および成形加工性は著しく変化することが知られている(非特許文献2)。
一方、オレフィン重合体は、使用用途に応じて様々な組成(分子量、分子量分布、密度など)が求められており、例えば分子量については、従来公知の制御方法として重合系内における水素濃度を変更する方法が一般的に知られている(非特許文献3)。
特開2009−144148号公報 特開2009−275207号公報 特開2011−006674号公報
Chem. Rev., 105, 4073-4147 (2005) 松浦一雄他編、「ポリエチレン技術読本」、工業調査会、2001年、p.32, 36 曽我和雄他編、「Catalytic Olefin Polymerization」、講談社サイエンティフィク、1990年、p.376
上記の各文献に複数種の遷移金属錯体を1種の固体状担体に担持させた固体触媒の例が開示されているが、これらの固体触媒を用いてオレフィン重合体を製造する場合には、単一の遷移金属錯体を固体状担体に担持させた固体触媒に比べ、重合体組成の制御方法が複雑化する。なぜなら、それぞれの単独の遷移金属錯体に由来する重合体組成(分子量、分子量分布、密度など)に加え、それぞれの遷移金属錯体に由来する重合体生成量比も、得られる重合体組成の変動因子となるためである。
それぞれの遷移金属錯体に由来する重合体生成量比は、固体状担体に接触させる際の各遷移金属錯体の接触量比によって制御することが可能であるが、固体触媒存在下にオレフィンを導入し、スラリー重合あるいは気相重合をバッチあるいは連続的に行なう際、得られる重合体の組成が変動し規格外の製品となる場合があることが新たに判明した。
水素濃度などを利用する従来公知の制御方法は、それぞれ単独の遷移金属錯体に由来する重合体組成を少なからず変化させる。例えば、2種の遷移金属錯体を1種の固体状担体に担持させた固体触媒において、得られる重合体の分子量を低下させることを目的に、重合系内に導入する水素量を増加させると、より低分子量体を製造する遷移金属錯体から得られる重合体の分子量がさらに低下することで、成形体の機械的強度が低下するという問題がある。また重合系内の水素濃度が上昇した場合、水素への連鎖移動が促進されマクロモノマーとなる末端ビニル基含有重合体の生成量が減少することで、得られる重合体における長鎖分岐導入量が減少し、成形加工性が低下するという問題がある。このような状況の下、従来公知の制御方法に代わる新たな重合体の製造方法が望まれている。
このように、従来より提案されているオレフィン重合体の製造方法では、長鎖分岐を導入した重合体の製造における従来公知の重合体組成制御においては、得られる重合体の成形加工性や機械的強度が大幅に低下するという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、重合体組成を制御でき、成形加工性および機械的強度に優れたオレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記状況を鑑み、重合体組成を精度よく制御でき、成形加工性および機械的強度に優れるオレフィン重合体の製造方法について鋭意研究してきた。その過程で、長期保管による劣化速度や重合系内中の水分などの不純物による被毒されやすさなどが、遷移金属錯体の種類によって異なることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するための本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、下記要件(1)および(2)を同時に満たすことを特徴とする:
(1)重合系内に供給する2種以上の固体触媒(X1)〜(Xn)(nは2以上の整数)の重量分率〔W1〕〜〔Wn〕(nは2以上の整数)が、0.05以上0.95以下である(〔W1〕〜〔Wn〕の合計を1.0とする);
(2)固体触媒(X1)〜(Xn)は、少なくとも2種の遷移金属錯体(A)および(B)を固体状担体に接触させたものであり、かつ、該固体触媒(X1)〜(Xn)をそれぞれ単独で用いた場合、前記(1)の要件における重合条件と同一の重合条件下でオレフィン重合させたときに得られる重合体のメルトフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)の最大値〔MFRα〕と最小値〔MFRβ〕の比が、次の関係式を満たす。
1<〔MFRα〕/〔MFRβ〕<1000
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、前記遷移金属錯体(A)が、下記一般式(I)または(II)で表されることが好ましい:
Figure 0006207181
[一般式(I)中、R1〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、互いに同一でも異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよい。Q1は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。];
Figure 0006207181
[一般式(II)中、R13〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、互いに同一でも異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよい。Q2は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。]。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法は、前記遷移金属錯体(B)が、下記一般式(III)または(IV)で表されることが好ましい:
Figure 0006207181
[一般式(III)中、R25〜R32は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、互いに同一でも異なっていてもよいが、すべてが同時に水素原子ではなく、隣接する基が互いに結合して環を形成してもよい。Q3は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。] ;
Figure 0006207181
[一般式(IV)中、 R33は、分岐状または直鎖状脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基であり、R34〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2の場合にはR34〜R38で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく(但し、R33同士が結合されることはない)、互いに同一でも異なっていてもよい。nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基のうち少なくとも一種であり、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は同一でも互いに異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期律表第4族遷移金属原子であり、mは、1〜4の整数を示す。]。
本発明に係るエチレン系重合体の製造方法は、オレフィン重合が、エチレンの単独重合またはエチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合であることが好ましい。
本発明に係るエチレン系重合体の製造方法は、前記エチレン系重合体が、エチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合体であって、下記要件(1’)〜(5’)を満たすことが好ましい:
(1’)メルトフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上100g/10分以下である;
(2’)密度が875kg/m3以上945kg/m3以下である;
(3’)13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
(4’)200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の6.8乗(Mw6.8)の比、η0/Mw6.8が、0.03×10-30以上7.5×10-30以下である;
(5’)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、0.90×10-4以上1.65×10-4以下である。
本発明に係るオレフィン重合体の製造方法によれば、長鎖分岐の導入や分子量分布を広げることを目的とした重合体の工業的製造において、重合体の組成を安定的に制御することが可能となり、それにより、成形加工性や機械的強度に安定的に優れた製品を得ることができる。
以下に、本発明に係るオレフィン重合体の製造方法について詳細に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
以下、本発明に係るオレフィン重合体の製造方法について具体的に説明する。本発明において「重合」という語は、単独重合のみならず共重合を包含した意で用いることがある。「重合体」という語は、単独重合体のみならず共重合体を包含した意で用いることがある。また「重合条件」という語は、具体的には重合系内のオレフィン組成、水素濃度、温度、圧力、反応時間などを示す。
本発明におけるオレフィン重合体の製造方法は、少なくとも2種の遷移金属錯体を1種の固体状担体に接触させた固体触媒において、同一重合条件下にて単独の固体触媒から得られる重合体組成が異なる2種以上の固体触媒(X1)〜(Xn)(nは2以上の整数)の、重合系内への供給量比を変化させることにより、得られる重合体組成を制御することを特徴とする。ここで、触媒形態、重合形態ならびに供給する固体触媒の供給量比は何ら限定されるものではない。
好ましい触媒形態としては、後述する遷移金属錯体(A)および(B)を1種の固体状担体(S)に接触させた固体触媒であり、好ましい重合形態としては、スラリー重合および気相重合が挙げられる。
供給する固体触媒(X1)〜(Xn)(nは2以上の整数)の好ましい重量分率〔W1〕〜〔Wn〕(nは2以上の整数)は、それぞれ0.05以上0.95以下である(〔W1〕〜〔Wn〕の合計を1.0とする)。
重量分率が0.05未満あるいは0.95を超えると、重合体組成の制御効果が十分に得られない場合があるので好ましくない。
重合系内への供給方法については、重合開始前に全量を添加、重合中に間欠的に添加、重合中に連続的に添加する方法などがあるが、何ら限定されるものではない。
同一重合条件下において単独の固体触媒から得られる重合体組成が異なることは、それぞれの遷移金属錯体に由来する重合体生成量比が異なることを意味し、この生成量比を示す指標の1つとして、メルトフローレート(MFR)が挙げられる。
MFRはASTM D1238−89に従い、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定される。MFRは重合体組成、特に分子量に強く依存しており、MFRが小さいほど分子量は大きく、MFRが大きいほど分子量は小さくなる。つまり、MFRが小さいほどより分子量の大きい重合体を生成する遷移金属錯体に由来する重合体の生成量比が高いと言える。
固体触媒の組合せとしては、固体触媒(X1)〜(Xn)をそれぞれ単独で用いて、同一重合条件下でオレフィン重合させたときに得られる重合体の、190℃における2.16kg荷重でのMFRの最大値〔MFRα〕と最小値〔MFRβ〕の比、〔MFRα〕/〔MFRβ〕が、
1<〔MFRα〕/〔MFRβ〕<1000
の関係を満たす。
ここで、〔MFRα〕/〔MFRβ〕が高くなり過ぎると、得られた重合体を成形する際に重合体パウダー同士の混ざりが悪くなり、成形体の外観不良を引き起こすなど、目的とする樹脂特性を発揮できなくなる場合がある。
長鎖分岐導入を目的として複数種の遷移金属錯体を用いる場合、それぞれの遷移金属錯体に由来する重合体の生成量比が増減するということは、マクロモノマー濃度が増減することを意味し、得られる重合体中の長鎖分岐導入量はそれぞれ異なるものと推察される。それにも関わらず、驚くべきことに、それぞれの遷移金属錯体に由来する重合体生成量比が異なる2種以上の固体触媒を用いて得られた重合体が、単独の固体触媒から得られた重合体と同等の組成が認められ、同等の成形加工性ならびに機械的強度を示すことが判明した。
また使用用途に応じて様々な重合体組成が求められる環境において、本発明の製造方法を用いることで、より少ない種類の固体触媒から多くの銘柄が生産可能となり、工業的生産において非常に有利となる。
<遷移金属錯体(A)、(B)>
遷移金属錯体(A)
本発明で用いられる遷移金属錯体(A)は、好適な例として、下記一般式(I)もしくは(II)で表される遷移金属錯体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006207181
上記一般式(I)中、Mは周期表第4族遷移金属原子を示し、具体的には、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムから選ばれる遷移金属原子であり、好ましくはジルコニウムである。
1〜R12は、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよい。
炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアリールアルキル基などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、ノニル基、ドデシル基およびエイコシル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基およびアダマンチル基などが挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基およびシクロヘキセニル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ベンジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニルおよびビフェニリルが挙げられる。アリールアルキル基としては、ベンジル、フェニルエチルおよびフェニルプロピルなどが挙げられる。
1〜R12に好ましい基は、水素原子および炭化水素基であり、より好ましくはR1〜R4が水素原子であり、R5〜R12が水素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。
1は、二つの配位子を結合する二価の基であって、アルキレン基、置換アルキレン基、およびアルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれる基である。好ましくは、アルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基ならびにケイ素含有基であり、特に好ましくはアルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基などの炭素数1〜10の炭化水素基である。
アルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基の具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレンなどのアルキレン基;イソプロピリデン、ジエチルメチレン、ジプロピルメチレン、ジイソプロピルメチレン、ジブチルメチレン、メチルエチルメチレン、メチルブチルメチレン、メチル−t−ブチルメチレン、ジヘキシルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジトリルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレン、1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレンおよび1−エチル−2−メチルエチレンなどの置換アルキレン基;シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデンおよびジヒドロインダニリデンなどのシクロアルキリデン基ならびにエチリデン、プロピリデンおよびブチリデンなどのアルキリデン基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリレン、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、ジブチルシリレン、メチルブチルシリレン、メチル−t−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジトリルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレンおよびシクロヘプタメチレンシリレンなどが挙げられ、特に好ましくは、ジメチルシリレン基およびジブチルシリレン基などのジアルキルシリレン基が挙げられる。
Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、およびリン含有基から選ばれる原子または基であり、好ましくはハロゲン原子または炭化水素基である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられ、特に好ましくは塩素が挙げられる。
一般式(I)で表される遷移金属錯体(A)の好ましい化合物の具体例として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、シクロヘキシリデン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−t−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドおよびジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジーp−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられ、特に好ましい具体例として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジーp−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドリドジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
Figure 0006207181
上記一般式(II)中、Mは周期表第4族遷移金属原子を示し、具体的には、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムから選ばれる遷移金属原子であり、好ましくはジルコニウムである。
13〜R24は、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよい。これらの具体例については、上記一般式(I)と同様である。
2は、二つの配位子を結合する二価の基であって、アルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基ならびにハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる基であり、好ましくは、アルキレン基、置換アルキレン基、およびアルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基ならびにケイ素含有基であり、特に好ましくはアルキレン基、置換アルキレン基、およびアルキリデン基などの炭素数1〜10の炭化水素基である。これらの具体例については、上記一般式(I)と同様である。
Xは、上記一般式(I)中のXと同様である。
一般式(II)で表される遷移金属錯体(A)の好ましい化合物の具体例として、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)チタニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−シクロヘキシル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−トリル)シリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p−クロロフェニル)シリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−アセナフトシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、などが挙げられ、特に好ましい具体例として、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4,5−ベンゾ−1−インデニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
遷移金属錯体(B)
本発明で用いられる遷移金属錯体(B)は、好適な例として、下記一般式(III)もしくは(IV)で表される遷移金属錯体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006207181
上記一般式(III)中、Mは周期表第4族遷移金属原子を示し、具体的には、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムから選ばれる遷移金属原子であり、好ましくはジルコニウムである。
25〜R32は、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよいが、すべてが同時に水素原子ではない。また、R25〜R32は、隣接する基が互いに結合して脂肪族環を形成してもよい。これらの具体例については、上記一般式(I)と同様である。
3は二つの配位子を結合する二価の基であって、アルキレン基、置換アルキレン基およびアルキリデン基などの炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれる基であり、特に好ましくはケイ素含有基である。これらの具体例については、上記一般式(I)と同様である。
Xは、上記一般式(I)中のXと同様である。
上記一般式(III)で表される遷移金属錯体(B)の好ましい化合物の具体例として、ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、トリフルオロメチルブチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−オクチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられ、より好ましい具体例として、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドおよびジメチルシリレン(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
Figure 0006207181
上記一般式(IV)中、Mは周期表第4族遷移金属原子を示し、具体的には、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムから選ばれる遷移金属原子であり、好ましくはジルコニウムである。mは、1〜4の整数を示し、R33は、下記一般式(V)または(VI)で表される炭素数1〜30の炭化水素基であり、R34〜R38は、水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよい。また、隣接する基が互いに結合して環を形成してもよい。また、mが2の場合にはR34〜R38で示される基のうち2個の基が連結されていてもよい(但し、R33同士が結合されることはない)。Xは、上記一般式(I)中のXと同様であり、nはMの価数を満たす数である。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 0006207181
(式中、Raは水素原子、脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基を示し、Rb、Rcは水素原子あるいはメチル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい)
Figure 0006207181
(式中、破線は2つのC'が直接結合するか、炭素数1以上の炭化水素基により、2つのC'と結合していることを示す)
33の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシルなどの直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなどの直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの環状飽和炭化水素基;インデニル、インデニル、フルオレニルなどの環状不飽和炭化水素基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどのアリール基;トリル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ-tert−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
34〜R38の例としては、R33と同様の炭化水素基が挙げられ、炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどのハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル、クミル、2,2−ジフェニルエチル、トリフェニルメチルなどのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基、アルコシキ、アリーロキシ、エステル、エーテル、アシル、カルボキシル、カルボナート、ヒドロキシ、ペルオキシ、カルボン酸無水物などの酸素含有基、アミノ、イミノ、アミド、イミド、ヒドラジノ、ヒドラゾノ、ニトロ、ニトロソ、シアノ、イソシアノ、シアン酸エステル、アミジノ、ジアゾ、アンモニウム塩などの窒素含有基、ボランジイル、ボラントリイル、ジボラニルなどのホウ素含有基、メルカプト、チオエステル、ジチオエステル、アルキルチオ、アリールチオ、チオアシル、チオエーテル、チオシアン酸エステル、イソチアン酸エステル、スルホンエステル、スルホンアミド、チオカルボキシル、ジチオカルボキシル、スルホ、スルホニル、スルフィニル、スルフェニルなどのイオウ含有基、ホスフィド、ホスホリル、チオホスホリル、ホスファトなどのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
これらのうち、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素数6〜30、特に好ましくは炭素数6〜20のアリール基、さらにこれらのアリール基にハロゲン原子、炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素数6〜30、特に好ましくは炭素数6〜20のアリール基またはアリーロキシ基等の置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが挙げられる。
ハロゲン含有基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基などが置換した基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリル、シロキシ、炭化水素置換シリル、炭化水素置換シロキシ基などが挙げられ、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどが好ましく、特にトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが好ましい。
34〜R38は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環、または窒素原子等の異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
nはMの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
<固体状担体(S)>
固体状担体(S)は、無機または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物などの無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が挙げられる。
多孔質酸化物としては、具体的には、SiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2等、またはこれらを含む複合物または混合物、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2を主成分とするものが好ましい。ここで、「主成分」とはSiO2が50重量%以上含まれることをいう。
なお、無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32 、Al(NO33 、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有してもよい。
多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明で用いられる固体状担体としては、粒径が通常0.2〜300μm、好ましくは1〜200μm、比表面積が通常50〜1200m2/g、好ましくは100〜1000m2/gの範囲、細孔容積が通常0.3〜30cm3/gの範囲にあるものが好ましい。このような担体は、必要に応じて、例えば、100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
無機ハロゲン化物としては、具体的には、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
粘土は、通常、粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産に限らず、人工合成物を使用することもできる。
イオン交換性層状化合物としては、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを挙げることができる。
粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩等が挙げられる。
こうした粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が、好ましくは0.1cm3/g以上、より好ましくは0.3〜5cm3/g。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20Å〜3×104Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cm3/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理等、いずれも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除く他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4等の陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基等)、[Al134(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH36+等の金属水酸化物イオン等が挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基等)等を加水分解して得た重合体、SiO2等のコロイド状無機化合物等を共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物等が挙げられる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分け等の処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、有機化合物としては、粒径が1〜300μmの範囲にある顆粒状あるいは微粒子状固体などを挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜14のオレフィンを主成分とする(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレン、ジビニルベンゼンを主成分とする(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
<その他の構成成分>
本発明に係るオレフィン重合用触媒の製造方法においては、遷移金属錯体(A),(B)および固体状担体(S)に加え、必要に応じて、下記のその他の成分をさらに用いることができる。
成分(C)
成分(C)は、下記(c−1)〜(c−3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(c−1)下記一般式(VII)、(VIII)、または(IX)で表される有機金属化合物
d mAl(ORenpq・・・(VII)
〔一般式(VII)中、RdおよびReは、炭素数が1〜15の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。〕
aAlRf 4・・・(VIII)
〔一般式(VIII)中、Maはリチウム原子、ナトリウム原子、またはカリウム原子を表し、Rfは炭素数1〜20の置換されていてもよい炭化水素基を示す。〕
ba s・・・(IX)
〔一般式(IX)中、Rgは、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜20の置換されていてもよい炭化水素基を表し、互いに同一でも異なっていてもよい。Mbはリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子またはビスマス原子を表し、sはMの原子価に相当する数を表す。〕
(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物
(c−3)遷移金属錯体(A)、(B)と反応してイオン対を形成する化合物 一般式(VII)、(VIII)、または(IX)で表される有機金属化合物(c−1)の中では、一般式(VII)で示されるものが好ましく、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウムおよびトリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;ならびにジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドおよびジイソヘキシルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
また、一般式(IX)の例としては、特開2003−171412号公報などに記載されたジアルキル亜鉛化合物などが挙げられ、フェノール化合物などと組合せて用いることもできる。
有機アルミニウムオキシ化合物(c−2)としては、トリアルキルアルミニウムまたはトリシクロアルキルアルミニウムから調製された有機アルミニウムオキシ化合物が好ましく、トリメチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムから調製されたアルミノキサンが特に好ましい。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
遷移金属錯体(A)、(B)と反応してイオン対を形成する化合物(c−3)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、およびUS5321106などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物や、さらにはヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物を制限なく使用することができる。
本発明においては、触媒として用いられる上記遷移金属錯体(A),(B)に加えて、アルミノキサン等の有機アルミニウムオキシ化合物(c−2)を助触媒成分として用いると、非常に高い重合活性を示す。したがって、有機アルミニウムオキシ化合物(c−2)を成分(C)として用いることが好ましい。
成分(C)と固体状担体(S)との接触時間は、通常0.1〜48時間、好ましくは0.1〜20時間であり、接触温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−20〜120℃である。また、成分(C)と固体状担体(S)との接触モル比(成分(C)/固体状担体(S))は、通常0.1〜1000、特に好ましくは0.1〜100である。
なお、特開平11−140113号公報、特開2000−38410号公報、特開2000−95810号公報、およびWO2010/55652A1などに記載された方法で、成分(C)を不溶化させて得られる固体成分を、固体状担体(S)として用いることもできる。
<遷移金属錯体(A)および(B)の使用量比>
遷移金属錯体(A)および(B)の使用量比は、オレフィン重合体の分子量および分子量分布から任意に決定できるが、好ましい範囲として、遷移金属錯体(A)から生成する重合体と遷移金属錯体(B)から生成する重合体との比率[=遷移金属錯体(B)由来の重合体量/遷移金属錯体(A)由来の重合体量]が、通常、30/70〜99.5/0.5、好ましくは40/60〜99/1である。比率がこの範囲にあると、重合体の組成を制御でき、重合体の成形加工性や機械的強度に優れる。
ここで、遷移金属錯体(A)および(B)由来の重合体生成比率の算出方法について説明する。
後述のGPC測定法により得られる、オレフィン重合体の分子量分布曲線は実質的に2つもしくは3つのピークから構成される。1番低分子量側のピークは遷移金属錯体(B)に由来するピークであり、2番目のピークは遷移金属錯体(A)に由来するピークであり、3番目のピークは、遷移金属錯体(A)と(B)が後述の好ましい例の時に生成するピークであるが、これも遷移金属錯体(A)に由来するピークと見なす。そして、遷移金属錯体(B)に由来するピーク(すなわち、1番低分子量側のピーク)と遷移金属錯体(A)に由来するピーク(すなわち、2番目と3番目のピーク)との比率[=遷移金属錯体(B)に由来するピーク/遷移金属錯体(A)に由来するピーク]を、遷移金属錯体(A)から生成する重合体と遷移金属錯体(B)から生成する重合体との比率[=遷移金属錯体(B)由来の重合体量/遷移金属錯体(A)由来の重合体量]として定義する。
各ピークの比率は、オレフィン重合体の分子量分布曲線(G1)と、遷移金属錯体(B)と、固体状担体(S)とからなる固体触媒(すなわち、遷移金属錯体(A)を含まない触媒)を用いたことを除き、オレフィン重合体を得るときと同様の条件にて重合して得られた重合体の分子量分布曲線(G2)と、遷移金属錯体(A)と固体状担体(S)とからなる固体触媒(すなわち、遷移金属錯体(B)を含まない触媒)を用いたことを除き、オレフィン重合体を得るときと同様の条件にて重合して得られた重合体の分子量分布曲線(G3)と、を用いて、下記の方法により実施した。なお、本発明において「分子量分布曲線」という語は、特別の記載がない限り、微分分子量分布曲線を指してよい。また、分子量分布曲線について「面積」というときは、分子量分布曲線とベースラインとの間に形成される領域の面積をいう。
[1](G1)、(G2)、(G3)の各数値データにおいて、Log(分子量)を0.02間隔に分割し、さらに(G1)、(G2)、(G3)のそれぞれについて、面積が1となるように強度[dwt/d(log分子量)]を正規化する。
[2](G2)と(G3)との合成曲線(G4)を作成する。このとき、各分子量における(G1)の強度と(G4)の強度との差の絶対値が概ね0.0005以下となるように、(G2)および(G3)の各分子量における強度を一定の比率で任意に変更する。なお、高分子量側では生成する第3ピークの影響により、(G1)の強度と(G4)の強度との差の絶対値が0.0005より大きくなってしまうことがあるため、より低分子量側で(G1)の強度と(G4)の強度との差の絶対値が0.0005以下となるように、(G2)および(G3)の強度を変更していく。
[3](G1)における最大重量分率での分子量をピークトップとしたときに、当該ピークトップより高分子量側における(G1)と(G4)との重なり合わない部分、すなわち、(G1)と(G4)との差分曲線(G5)を作成したときに、当該差分曲線(G5)において、(G1)における最大重量分率での分子量より高分子量側に現れるピーク部分[(G1)−(G4)]を、上記「3番目のピーク」とする。
[4] 遷移金属錯体(A)に由来するピークの比率Wa、遷移金属錯体(B)に由来するピークの比率Wbを以下の通り算出する。
Wa=S(G3)+S(G5)
Wb=S(G2)
ここで、S(G2)、S(G3)はそれぞれ強度を変更した後の(G2)、(G3)の面積であり、S(G5)は(G5)の面積である。
たとえば、(G4)が、(G2)の強度をx倍したものに、(G3)の強度をy倍したものを加算することにより得られた場合、上記[1]に記載した正規化によって元の(G2)および(G3)の面積は共に1とされていることから、S(G2)、S(G3)、S(G4)、S(G5)は、それぞれx、y、(x+y)、1−(x+y)となる。したがって、WaおよびWbは、xおよびyを用いて、それぞれ以下のように表すことができる。
Wa=1−x
Wb=x
なお、分子量分布曲線は、ウォーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフallianceGPC2000型(高温サイズ排除クロマトグラフ)を用い、以下のようにして算出する。
[使用装置および条件]
解析ソフト;クロマトグラフィデータシステムEmpower(Waters社)
カラム;TSKgel GMH6− HT×2+TSKgel GMH6−HTL×2
(内径7.5mm×長さ30cm,東ソー社)
移動相;o−ジクロロベンゼン(和光純薬 特級試薬)
検出器;示差屈折計(装置内蔵)
カラム温度;140℃
流速;1.0mL/分
注入量;500μL
サンプリング時間間隔;1秒
試料濃度;0.15%(w/v)
分子量較正;単分散ポリスチレン(東ソー社)/分子量495〜分子量2060万
Z. Crubisic, P. Rempp, H. Benoit, J. Polym. Sci., B5, 753 (1967) に記載された汎用較正の手順に従い、ポリエチレン分子量換算として分子量分布曲線を作成する。
<オレフィン重合用触媒の製造方法>
本発明に係るオレフィン重合用触媒の製造方法において、上記遷移金属錯体(A),(B)、および必要により好適に用いられるその他の成分(C)を、固体状担体(S)と接触させる際に、各接触を溶媒中で行うことが好ましい。
溶媒として、不活性炭化水素などが挙げられ、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンおよび灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンおよびメチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロロベンゼンおよびジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などが挙げられる。
各成分の添加順序は任意であるが、好ましい順序としては、例えば、
i)成分(C)と固体状担体(S)とを接触させ、次いで成分(A)および成分(B)を接触させて調製する方法
ii)成分(A)および成分(B)と固体状担体(S)とを接触させ、次いで成分(C)を接触させて調製する方法
iii)成分(A)、成分(B)、および成分(C)を混合接触させた後に、固体状担体(S)を接触させて調製する方法
などが挙げられ、より好ましいのはi)の方法である。
<予備重合触媒成分>
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上述したように、2種の遷移金属錯体(A)、(B)と固体状担体(S)とを接触させることにより固体触媒成分として調製することができる。本発明では、このような固体触媒成分をそのまま重合系に挿入して用いてもよいが、固体触媒成分に事前にオレフィンを予備重合させ、予備重合触媒成分を形成させてから用いることもできる。すなわち、本発明に係るオレフィン重合用触媒は、遷移金属錯体(A)、(B)と固体状担体(S)とを接触させることにより得られる固体触媒成分それ自体であってもよいし、あるいは、この固体触媒成分にオレフィンを予備重合させることによって得られる予備重合触媒成分であってもよい。
予備重合触媒成分は、固体触媒成分の存在下、通常、不活性炭化水素溶媒中、オレフィンを導入させることにより調製することができ、回分式、半連続式、および連続式のいずれの方法でも使用することができ、また減圧、常圧、および加圧下のいずれでも行うことができる。この予備重合によって、固体状触媒成分1g当たり、通常0.01〜1000g、好ましくは0.1〜800g、より好ましくは0.2〜500gの重合体を生成させる。
不活性炭化水素溶媒中で調製した予備重合触媒成分は、懸濁液から分離した後、再び不活性炭化水素中に懸濁させ、得られた懸濁液中にオレフィンを導入してもよく、また、乾燥させた後オレフィンを導入してもよい。
予備重合に際して、予備重合温度は、通常、−20〜80℃、好ましくは0〜60℃であり、予備重合時間は、通常、0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間である。
予備重合に使用する固体触媒成分の形態としては、上述したものに限らず利用することができる。また、必要に応じて成分(C)が用いられ、特に(c−1)中の上記式(VII)に示される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。成分(C)が用いられる場合は、該成分(C)中のアルミニウム原子(Al−C)と遷移金属錯体中の遷移金属原子(M)とのモル比(アルミニウム原子(Al−C)/遷移金属原子(M))で、通常、0.1〜10000、好ましくは0.5〜5000である。
予備重合系における固体触媒成分(X)の濃度は、固体触媒成分/重合容積1リットル比で、通常1〜1000g/L、好ましくは5〜500g/Lである。
また、下記の成分(G)を、上記オレフィン重合用触媒の製造におけるいずれの工程に共存させてもよく、接触順序も任意である。また予備重合によって生成した予備重合触媒成分に接触させてもよい。
成分(G)
本発明で所要により用いることができる成分(G)として、下記(g−1)〜(g−6)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる:
(g−1)ポリアルキレンオキサイドブロック、
(g−2)高級脂肪族アミド、
(g−3)ポリアルキレンオキサイド、
(g−4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、
(g−5)アルキルジエタノールアミン、および
(g−6)ポリオキシアルキレンアルキルアミン。
成分(G)は、触媒もしくは重合体の静電付着による重合器内でのファウリングを抑制する、あるいは生成重合体の粒子性状を改善する目的で、オレフィン重合用触媒中に共存させることができる。成分(G)の中では、(g−1)、(g−2)、(g−3)および(g−4)が好ましく、(g−1)および(g−2)が特に好ましい。(g−2)の具体例としては、高級脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。
<エチレン系重合体の製造方法>
以下に、本発明のオレフィン重合用触媒は、エチレン系重合体の製造に限定されるものではないが、例えば、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体の製造に、好適に用いることができる。このようなエチレンの単独重合体や共重合体は、エチレンの単独重合、または、エチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合を、本発明のオレフィン重合用触媒の存在下で行うことにより、得ることができる。
以下、本発明に係るエチレン系重合体の製造方法に関して説明する。
本発明に係る製造方法によって得られる好適なエチレン系重合体は、エチレンと炭素数4以上10以下のα−オレフィンとの共重合体、好ましくはエチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。炭素数4のα−オレフィンを使用する場合には、炭素数6〜10のα-オレフィンもあわせて使用することが好ましい。エチレンとの共重合に用いられる炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンなどが挙げられる。
重合条件は、遷移金属錯体(A)および(B)が、反応容積1リットル当たり、通常10-12〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルになる量で用いられる。また、重合温度は、通常−50〜200℃、好ましくは0〜170℃、特に好ましくは30〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常、常圧〜100kgf/cm2、好ましくは常圧〜50kgf/cm2の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式および連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに反応条件の異なる2種以上の条件下で多段反応として行うこともできる。
得られるエチレン系重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに重合系には、触媒もしくは重合体の静電付着による重合器内でのファウリング抑制あるいは粒子性状改善を目的として、上記の成分(G)を共存させることができる。
物性値のばらつきを抑制するため、重合反応により得られたエチレン系重合体粒子および所望により添加される他の成分は、任意の方法で溶融され、混練、造粒などを施される。
上記により製造されるエチレン系重合体の中で、遷移金属錯体(A)と(B)として先述の好ましい例を用いた場合に得られるエチレン系重合体は、下記要件(1')〜(5')に示す特性を有している。
(1')190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分以上100g/10分以下である。下限は好ましくは1.0g/10分、より好ましくは4.0g/10分であり、上限は好ましくは50g/10分、より好ましくは30g/10分である。メルトフローレート(MFR)が上記下限値以上の場合、エチレン重合体のせん断粘度が高すぎず、成形性が良好である。メルトフローレート(MFR)が上記上限値以下の場合、エチレン重合体の引張強度やヒートシール強度などの機械的強度が良好になる。
(2')密度が875kg/m3以上945kg/m3以下である。下限は好ましくは885kg/m3、より好ましくは900kg/m3であり、上限は好ましくは935kg/m3、より好ましくは930kg/m3である。密度が上記下限値以上の場合、エチレン重合体から成形されたフィルムの表面べたつきが少なく耐ブロッキング性に優れ、密度が上記上限値以下の場合、フィルムの衝撃強度が良好となり、ヒートシール強度、破袋強度などの機械的強度が良好である。
密度はエチレン系重合体のα-オレフィン含量に依存しており、α-オレフィン含量が少ないほど密度は高く、α-オレフィン含量が多いほど密度は低くなる。また、エチレン系重合体中のα-オレフィン含量は、重合系内におけるα-オレフィンとエチレンとの組成比(α-オレフィン/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、Walter Kaminsky, Makromol.Chem. 193, p.606(1992))。このため、α-オレフィン/エチレンを増減させることで、上記範囲の密度を有するエチレン系重合体を製造することができる。
密度の測定は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
(3')13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下、好ましくは1.30以下、より好ましくは0.80以下、さらにより好ましくは0.50以下である。なお、本発明で定義したメチル分岐数およびエチル分岐数は、後述するように1000カーボン当たりの数で定義される。
エチレン系重合体中にメチル分岐、エチル分岐などの短鎖分岐が存在すると、短鎖分岐が結晶中に取り込まれ、結晶の面間隔が広がってしまうため、樹脂の機械的強度が低下することが知られている(例えば、大澤善次郎他監修、「高分子の寿命予測と長寿命化技術」、(株)エヌ・ティー・エス、2002年、p.481)。そのため、メチル分岐数とエチル分岐数との和(A+B)が1.8以下の場合、の機械的強度が良好である。
エチレン系重合体中のメチル分岐数、エチル分岐数はエチレン系重合体の重合方法に強く依存し、高圧ラジカル重合により得られたエチレン系重合体は、チーグラー型触媒を用いた配位重合により得られたエチレン系重合体に比べ、メチル分岐数、エチル分岐数が多い。配位重合の場合、エチレン系重合体中のメチル分岐数、エチル分岐数は、重合系内におけるプロピレン、1−ブテンとエチレンとの組成比(プロピレン/エチレン、1−ブテン/エチレン)に強く依存する。このため、1−ブテン/エチレンを増減させることで、エチレン系重合体のメチル分岐数とエチル分岐数の和(A+B)を増減させることが可能である。
13C-NMRにより測定されたメチル分岐数およびエチル分岐数は下記のように決定される。測定は日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置(1H:500MHz)を用い、積算回数1万〜3万回にて測定した。なお、化学シフト基準として主鎖メチレンのピーク(29.97ppm)を用いた。直径10mmの市販のNMR測定石英ガラス管中に、サンプル250〜400mgと和光純薬工業(株)製特級o-ジクロロベンゼン:ISOTEC社製ベンゼン-d6=5:1(体積比)の混合液3mlを入れ、120℃にて加熱、均一分散させることにより行った。NMRスペクトルにおける各吸収の帰属は、化学領域増刊141号 NMR−総説と実験ガイド[I]、p.132〜133に準じて行った。1,000カーボン当たりのメチル分岐数、すなわち、エチレン系重合体の重合体鎖を構成する炭素原子1000個当たりのメチル分岐数は、5〜45ppmの範囲に現れる吸収の積分総和に対する、メチル分岐由来のメチル基の吸収(19.9ppm)の積分強度比より算出する。また、エチル分岐数は、5〜45ppmの範囲に現れる吸収の積分総和に対するエチル分岐由来のエチル基の吸収(10.8ppm)の積分強度比より算出する。
(4')200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の6.8乗(Mw6.8)の比、η0/Mw6.8が、0.03×10-30以上7.5×10-30以下である。すなわち、η0とMwが下記式(Eq-1)
0.03×10-30≦η0/Mw6.8≦7.5×10-30 --------(Eq-1)
を満たす。ここで、下限値は好ましくは0.05×10-30、より好ましくは0.08×10-30であり、上限値は好ましくは5.0×10-30、より好ましくは3.0×10-30である。
η0/Mw6.8が、0.03×10-30以上7.5×10-30以下であることは、η0とMwを両対数プロットした際に、log(η0)とlogMwが下記式(Eq-1')で規定される領域に存在することと同義である。
6.8Log(Mw) -31.523≦Log(η0)≦6.8Log(Mw) -29.125 --------(Eq-1')
重量平均分子量(Mw)に対してゼロせん断粘度〔η0(P)〕を両対数プロットしたとき、長鎖分岐がなく直鎖状で、伸長粘度がひずみ硬化性を示さないエチレン系重合体は、傾きが3.4のべき乗則に則る。一方、比較的短い長鎖分岐を数多く有し、伸長粘度がひずみ速度硬化性を示すエチレン系重合体は、べき乗則よりも低いゼロせん断粘度〔η0(P)〕を示し、さらにその傾きは3.4よりも大きな値となることが知られており(C Gabriel, H.Munstedt, J.Rheol., 47(3), 619(2003)、H. Munstedt, D.Auhl, J. Non-Newtonian Fluid Mech. 128, 62-69, (2005) )、傾き6.8は経験的に選択しうる。η0とMw6.8との比をとることについては特開2011-1545号公報にも開示されている。
エチレン系重合体の200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕が20×10-13×Mw6.8以下の場合、引取サージングの発生が抑制される。
ゼロせん断粘度〔η0(P)〕と重量平均分子量(Mw)との関係は、エチレン系重合体中の長鎖分岐の含量および長さに依存していると考えられ、長鎖分岐含量が多いほど、また長鎖分岐の長さが短いほどゼロせん断粘度〔η0(P)〕は請求範囲下限に近い値を示し、長鎖分岐含量が少ないほど、また長鎖分岐の長さが長いほどゼロせん断粘度〔η0(P)〕は請求範囲上限に近い値を示すと考えられる。
ここで、長鎖分岐とはエチレン系重合体中に含まれる絡み合い点間分子量(Me)以上の長さの分岐構造と定義され、長鎖分岐の導入によりエチレン系重合体の溶融物性、及び成形加工性は著しく変化することが知られている(例えば、松浦一雄他編、「ポリエチレン技術読本」、工業調査会、2001年、p.32, 36)。
本発明のエチレン系重合体が生成する機構において、本発明者らは、遷移金属錯体(B)と固体状担体(S)を含むオレフィン重合用触媒成分の存在下で、エチレンと炭素数4以上10以下のα−オレフィンとを共重合させることによって数平均分子量4000以上20000以下、好ましくは4000以上15000以下の末端ビニルを有する重合体であるマクロモノマーを生成させ、次いで、遷移金属錯体(A)と固体状担体(S)を含むオレフィン重合用触媒成分により、エチレンおよび炭素数4以上10以下のα−オレフィンの重合と競争的に該マクロモノマーを共重合させることにより、エチレン系重合体中に長鎖分岐が生成すると推定している。
重合系中のマクロモノマーとエチレンとの組成比([マクロモノマー]/[エチレン])が高いほど長鎖分岐含量が多くなる。オレフィン重合用触媒中の遷移金属錯体(B)の比率、すなわち、遷移金属錯体(A)および遷移金属錯体(B)の合計に対する、遷移金属錯体(B)のモル比([B]/[A+B])を高くすることで[マクロモノマー]/[エチレン]を高くできることから、([B]/[A+B])を高くすることで長鎖分岐含量は多くなる。
これらのほか、長鎖分岐量を制御する重合条件について例えば国際公開第2007/034920号パンフレットに開示されている。
測定温度200℃におけるせん断粘度(η*)の角速度〔ω(rad/秒)〕分散を0.01≦ω≦100の範囲で測定する。測定にはアントンパール社製粘弾性測定装置Physica MCR301を用いる。サンプルホルダーは25mmφのパラレルプレートを用い、サンプル厚みは約2.0mmとした。測定点はω一桁当たり5点とする。歪み量は、測定範囲でのトルクが検出可能で、かつトルクオーバーにならないよう、3〜10%の範囲で適宜選択する。
せん断粘度測定に用いたサンプルは、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、予熱温度190℃、予熱時間5分間、加熱温度190℃、加熱時間2分間、加熱圧力100kgf/cm2、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kgf/cm2の条件にて、測定サンプルを厚さ2mmにプレス成形することで調製する。
ゼロせん断粘度η0は、下記数式(Eq-2)のCarreauモデルを非線形最小二乗法により実測のレオロジー曲線〔せん断粘度(η*)の角速度(ω)分散〕にフィッティングさせることで算出する。
η*=η0〔1+(λω)a(n-1)/a --- (Eq-2)
ここで、λは時間の次元を持つパラメーター、nは材料の冪法則係数(power law index)を表す。なお、非線形最小二乗法によるフィッティングは下記数式(Eq-3)におけるdが最小となるよう行われる。
Figure 0006207181
ここで、ηexp(ω)は実測のせん断粘度、ηcalc(ω)はCarreauモデルより算出したせん断粘度を表す。
GPC-VISCO法による重量平均分子量(Mw)はウォーターズ社製GPC/V2000を用い、以下のようにして測定する。ガードカラムはShodex AT-G、分析カラムはAT-806を2本使用し、カラム温度は145℃とし、移動相にはo-ジクロロベンゼンおよび酸化防止剤としてBHT0.3重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、検出器として示差屈折計、3キャピラリー粘度計を用いる。標準ポリスチレンは、東ソー社製を用いた。分子量計算は、粘度計と屈折計から実測粘度を算出し、実測ユニバーサルキャリブレーションより重量平均分子量(Mw)を算出する。
(5')135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、0.90×10-4以上1.65×10-4以下である。すなわち、[η]とMwが下記式(Eq-4)
0.90×10-4≦[η]/Mw0.776≦1.65×10-4 --------(Eq-4)
を満たす。ここで、下限値は好ましくは0.95×10-4、であり、より好ましくは、1.00×10-4であり、上限値は好ましくは1.55×10-4、より好ましくは1.45×10-4である。
[η]/Mw0.776が、0.80×10-4以上1.65×10-4以下であることは、[η]とMwを両対数プロットした際に、log([η])とlog(Mw)が下記式(Eq-4')で規定される領域に存在することと同義である。
0.776Log(Mw) -4.097≦Log([η])≦0.776Log(Mw) -3.783 --------(Eq-4')
エチレン系重合体中に長鎖分岐が導入されると、長鎖分岐の無い直鎖型エチレン系重合体に比べ、分子量の割に極限粘度[η](dl/g)が小さくなることが知られている(例えばWalther Burchard, ADVANCES IN POLYMER SCIENCE, 143, Branched PolymerII, p.137(1999))。
また、Mark-Houwink-桜田式に基づき、ポリエチレンの[η]はMvの0.7乗、ポリプロピレンの[η]はMwの0.80乗、ポリ−4−メチル−1−ペンテンの[η]はMnの0.81乗に比例することが報告されている(例えばR. Chiang, J. Polym. Sci., 36, 91 (1959): P.94、R. Chiang, J. Polym. Sci., 28, 235 (1958): P.237、A. S. Hoffman, B. A. Fries and P. C. Condit, J. Polym. Sci. Part C, 4, 109 (1963): P.119 Fig. 4)。
そして、エチレンと炭素数4以上10以下のα−オレフィンとの共重合体の代表的な指標としてMwの0.776乗を設定することとし、従来のエチレン系重合体に比べて分子量の割に[η]が小さいことを表したのが前記した要件(5')であり、この考え方は国際公開第2006/080578号パンフレットに開示されている。
よって、エチレン系重合体の[η]/Mw0.776が上記上限値以下、特に1.65×10-4以下の場合は多数の長鎖分岐を有しており、成形性、流動性が優れる。
前述のようにオレフィン重合用触媒中の遷移金属錯体(B)の比率([B]/[A+B])を高くすることで長鎖分岐含量は多くなることから、[B]/[A+B]を増減させることで、上記範囲の極限粘度[η]を有するエチレン系重合体を製造することができる。
なお、極限粘度[η] (dl/g)はデカリン溶媒を用い、以下のように測定した。サンプル約20 mgをデカリン15 mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5 ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/C値を極限粘度[η]とした。(下式(Eq-5)参照)
[η]=lim(ηsp/C) (C→0) ---------- (Eq-5)
エチレン系重合体は、上記要件(1')〜(5')に加えて、下記要件(6')をさらに満たすことが好ましい。
(6')190℃における溶融張力〔MT (g)〕と、200℃、角速度1.0rad/秒におけるせん断粘度〔η*(P)〕との比〔MT/η*(g/P)〕が1.0×10-4以上7.0×10-4以下である。すなわち、MTとη*が下記式(Eq-6)
1.0×10-4≦MT/η*≦7.0×10-4 --------(Eq-6)
を満たすことが好ましい。ここで、上限値は好ましくは5.0×10-4、より好ましくは3.0×10-4である。
〔MT/η*(g/P)〕は単位せん断粘度あたりの溶融張力を示し、この値が大きいと、せん断粘度の割に溶融張力が大きくなる。すなわち〔MT/η*(g/P)〕が下限値以上の場合、押出特性とバブル安定性あるいはネックインとのバランスが良好となる。また、〔MT/η*(g/P)〕が上限値以下の場合、高速成形性が良好となる。
MT/η*はエチレン系重合体の長鎖分岐含量に依存すると考えられており、長鎖分岐含量が多いほどMT/η*は大きく、長鎖分岐含量が少ないほどMT/η*は小さくなる傾向がある。
前述のようにオレフィン重合用触媒中の遷移金属錯体(B)の比率([B]/[A+B])を高くすることで長鎖分岐含量は多くなることから、[B]/[A+B]を増減させることで、上記範囲のMT/η*を有するエチレン系重合体を製造することができる。
溶融張力(MT)は、以下の方法で測定したときの値である。溶融張力(MT)は、溶融されたポリマーを一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定される。測定には東洋精機製作所社製キャピラリーレオメーター:キャピログラフ1Bを用いた。条件としては、樹脂温度190℃、溶融時間6分、バレル径9.55mmφ、押し出し速度15mm/分、巻取り速度24m/分(溶融フィラメントが切れてしまう場合には、巻取り速度を5m/分ずつ低下させる)、ノズル径2.095mmφ、ノズル長さ8mmで行う。
また、200℃、角速度1.0rad/秒におけるせん断粘度(η*)は、測定温度200℃におけるせん断粘度(η*)の角速度〔ω(rad/秒)〕分散を0.01≦ω≦100の範囲で測定する。測定にはアントンパール社製粘弾性測定装置Physica MCR301を用いる。サンプルホルダーは25mmφのパラレルプレートを用い、サンプル厚みは約2.0mmとする。測定点はω一桁当たり5点とする。歪み量は、測定範囲でのトルクが検出可能で、かつトルクオーバーにならないよう、3〜10%の範囲で適宜選択する。せん断粘度測定に用いたサンプルは、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、予熱温度190℃、予熱時間5分間、加熱温度190℃、加熱時間2分間、加熱圧力100kgf/cm2、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kgf/cm2の条件にて、測定サンプルを厚さ2mmにプレス成形することで調製する。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[製造例1]
固体状担体の調製
内容積270Lの攪拌機付き反応器を用い、窒素雰囲気下、シリカゲル(富士シリシア株式会社製:レーザー光回折散乱法の体積分布の累積50%粒径70μm、比表面積340m2/g、細孔容積1.3cm3/g、250℃で10時間乾燥)10kgを77Lのトルエンに懸濁させた後、0〜5℃に冷却した。この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mmol/mL)19.4リットルを30分間かけて滴下した。この際、系内温度を0〜5℃に保った。
次いで、0〜5℃で30分間接触させた後、1.5時間かけて系内温度を95℃まで昇温して、引き続き95℃で4時間接触させた。その後、常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにトルエンで2回洗浄した後、全量115リットルの固体状担体のトルエンスラリーを調製した。
得られたスラリー成分の一部を採取し濃度を調べたところ、スラリー濃度:122.6g/L、Al濃度:0.62mol/Lであった。
固体触媒成分の調製
内容積200mLの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30mL、および上記で得られた固体状担体のスラリー8.2mL(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。
次に、遷移金属錯体(A)として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.020mmol、遷移金属錯体(B)として、(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.005mmol滴下し、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、系内温度を75℃に昇温し、さらに2時間接触させた。30℃まで降温後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘキサンを用いて2回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量100ミリリットルとし、固体触媒成分のスラリーを調製した。
予備重合触媒成分の調製
上記で得られた固体触媒成分スラリーを10℃まで冷却した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)2.5mmolを添加した。さらに常圧下でエチレンを系内に連続的に数分間供給した。この間系内の温度は10〜15℃に保持し、次いで1−ヘキセン0.36ミリリットルを添加した。1−ヘキセン添加後、系内温度を35℃に昇温し、固体触媒成分に対して重量換算で3等量分のエチレンを重合させた。
その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を50mLとした。次に、系内温度を35℃に昇温した後、次に、系内温度を35℃に昇温した後、成分(G)として、ケミスタット2500(三洋化成工業株式会社製)40mgのヘキサン溶液を添加し、2時間接触させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した。
次に、内容積100mLのガラス製シュレンク管に上記ヘキサンスラリーを移し、減圧下25℃にてヘキサンを減圧留去させることで、予備重合触媒成分4.0gを得た。得られた予備重合触媒の組成を調べたところ、予備重合触媒成分1g当たり、Zr原子が0.52mg含まれていた。
得られた予備重合触媒成分は、窒素雰囲気下、ガラス製バイアル瓶に封入し、20〜30℃の室内にて保管した。
重合例1]
重合
製造例1の予備重合触媒成分を調製して2日後に、内容積1リットルのSUS製オートクレーブに、窒素雰囲気下、ヘプタン500ミリリットルを添加した後に、エチレンを流通させ液相および気相部をエチレンで飽和させた。次に、1−ヘキセン10ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.375mmol、および製造例1の予備重合触媒成分158mgを装入した後、80℃、0.8MPaGに昇温、昇圧し、90分間重合反応を行った。得られたポリマーをろ過後、80℃で10時間真空乾燥し、エチレン系重合体60.6gを得た。得られた重合体のMFRは1.1であった。
オレフィン重合体物性
重合例1により得られたエチレン系重合体パウダーに耐熱安定剤としてIrganox1076(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.1重量%、Irgafos168(チバスペシャリティケミカルズ社製)0.1重量%を加え、東洋精機製作所製ラボプラストミルを用い、樹脂温度180℃、回転数50rpm.で5分間溶融混練した。さらに、この溶融ポリマーを、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cm2の条件にて冷却した。該試料を測定用試料として物性測定を行った。結果を表1に示す。
重合例2]
重合
製造例1の予備重合触媒成分を調製して4ヶ月後に、製造例1の予備重合触媒成分を165mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体58.2gを得た。得られた重合体のMFRは0.5であった。
[製造例2]
固体触媒成分、予備重合触媒成分の調製
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドの添加量を、Zr原子換算で0.010mmol、(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの添加量を、Zr原子換算で0.015mmol、に変えた以外は、製造例1と同様の条件にて、予備重合触媒成分4.1gを得た。得られた予備重合触媒の組成を調べたところ、予備重合触媒成分1g当たり、Zr原子が0.51mg含まれていた。
得られた予備重合触媒成分は、窒素雰囲気下、ガラス製バイアル瓶に封入し、20〜30℃の室内にて保管した。
重合例3]
重合
製造例2の予備重合触媒成分を調製して2日後に、製造例2の予備重合触媒成分を83mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体83.5gを得た。得られた重合体のMFRは11.5であった。
[実施例1(重合例
重合
製造例1の予備重合触媒成分を調製して4ヶ月後、かつ、製造例2の予備重合触媒成分を調製して2日後に、製造例1の予備重合触媒成分を155mg、製造例2の予備重合触媒成分を40mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体81.0gを得た。得られた重合体のMFRは1.4であった。(〔MFRα〕/〔MFRβ〕=23)
オレフィン重合体物性
実施例により得られたエチレン系重合体パウダーを、重合例1と同様の方法で物性測定を行った。結果を表1に示す。重合例1に対し、同等の物性を示した。
[比較例1]
重合
製造例1の予備重合触媒成分を調製して4ヶ月後に、製造例1の予備重合触媒成分を197mg装入し、エチレンの代わりにエチレンと水素の混合ガス(水素/エチレン比=0.1%)を用いたこと以外は、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体66.4gを得た。得られた重合体のMFRは1.6であった。
オレフィン重合体物性
比較例1により得られたエチレン系重合体パウダーを、重合例1と同様の方法で物性測定を行った。結果を表1に示す。重合例1ならびに実施例に対し、溶融張力の低下が見られた。
Figure 0006207181
[製造例3]
固体触媒成分の調製
内容積200mLの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30mL、および上記で得られた固体状担体のスラリー8.2mL(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。
次に、遷移金属錯体(A)として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.023mmol、遷移金属錯体(B)として、(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.004mmol滴下し、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘキサンを用いて2回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を100ミリリットルとし、固体触媒成分のスラリーを調製した。
予備重合触媒成分の調製
上記で得られた固体触媒成分のヘキサンスラリーを38〜40℃まで昇温した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)1.9mmolを添加した。系内温度を38〜40℃に保持しながら、常圧下でエチレンを系内に連続的に供給し、固体触媒成分に対して重量換算で3等量分のエチレンを重合させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を50ミリリットルとした。
次に、内容積100mLのガラス製シュレンク管に上記ヘキサンスラリーを移し、減圧下25℃にてヘキサンを減圧留去させることで、予備重合触媒成分3.8gを得た。得られた予備重合触媒の組成を調べたところ、予備重合触媒成分1g当たり、Zr原子が0.53mg含まれていた。
得られた予備重合触媒成分は、窒素雰囲気下、ガラス製バイアル瓶に封入し、20〜30℃の室内にて保管した。
重合例5]
重合
製造例3の予備重合触媒成分を調製して2日後に、製造例3の予備重合触媒成分を118mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体82.9gを得た。得られた重合体のMFRは0.02であった。
[実施例2(重合例
重合
製造例2の予備重合触媒成分を調製して4日後、かつ、製造例3の予備重合触媒成分を調製して2日後に、製造例2の予備重合触媒成分を50mg、製造例3の予備重合触媒成分を55mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体75.5gを得た。得られた重合体のMFRは1.8であった。(〔MFRα〕/〔MFRβ〕=575)
[製造例4]
固体触媒成分の調製
内容積200mLの攪拌機付き反応器に、窒素雰囲気下、トルエンを30mL、および上記で得られた固体状担体のスラリー8.2mL(Al原子換算で5.1mmol)を装入した。
次に、遷移金属錯体(A)として、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液をZr原子換算で0.020mmol、遷移金属錯体(B)として、下記構造(IV−1)のトルエン溶液をZr原子換算で0.005mmol滴下し、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘキサンを用いて2回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を100ミリリットルとし、固体触媒成分のスラリーを調製した。
Figure 0006207181
重合例7]
重合
製造例4の固体触媒成分を調製して1日後に、製造例4の固体触媒成分として20mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体87.6gを得た。得られた重合体のMFRは0.02であった。
[製造例5]
固体触媒成分の調製
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドの添加量を、Zr原子換算で0.013mmol、上記構造(IV−1)の添加量をZr原子換算で0.013mmol、に変えた以外は、製造例4と同様の条件にて、固体触媒成分のスラリーを調製した。
重合例8]
重合
製造例5の固体触媒成分を調製して2日後に、製造例5の固体触媒成分として20mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体55.2gを得た。得られた重合体のMFRは17.5であった。
[実施例3(重合例
重合
製造例4の固体触媒成分を調製して4日後、かつ、製造例5の固体触媒成分を調製して2日後に、製造例4の固体触媒成分として10mg、製造例5の固体触媒成分として10mg装入し、重合例1と同様の条件で重合反応を行ない、エチレン系重合体76.7gを得た。得られた重合体のMFRは0.5であった。(〔MFRα〕/〔MFRβ〕=870)

Claims (5)

  1. 下記要件(1)および(2)を同時に満たすことを特徴とするオレフィン重合体の製造方法:
    (1)重合系内に供給する2種以上の固体触媒(X1)〜(Xn)(nは2以上の整数)の重量分率〔W1〕〜〔Wn〕(nは2以上の整数)が、0.05以上0.95以下である(〔W1〕〜〔Wn〕の合計を1.0とする);
    (2)固体触媒(X1)〜(Xn)は、少なくとも2種の遷移金属錯体(A)および(B)を固体状担体に接触させたものであり、かつ、該固体触媒(X1)〜(Xn)をそれぞれ単独で用いた場合、前記(1)の要件における重合条件と同一の重合条件下でオレフィン重合させたときに得られる重合体のメルトフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)の最大値〔MFRα〕と最小値〔MFRβ〕の比が、次の関係式を満たす。
    1<〔MFRα〕/〔MFRβ〕<1000
  2. 前記遷移金属錯体(A)が、下記一般式(I)または(II)で表されることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法:
    Figure 0006207181
    [一般式(I)中、R1〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、互いに同一でも異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよい。Q1は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。];
    Figure 0006207181
    [一般式(II)中、R13〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、互いに同一でも異なっていてもよく、また隣接する2個の基が互いに連結して環を形成してもよい。Q2は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。]。
  3. 前記遷移金属錯体(B)が、下記一般式(III)または(IV)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン重合体の製造方法:
    Figure 0006207181
    [一般式(III)中、R25〜R32は、それぞれ独立に水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、互いに同一でも異なっていてもよいが、すべてが同時に水素原子ではなく、隣接する基が互いに結合して環を形成してもよい。Q3は、二価の基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基およびリン含有基から選ばれる少なくとも一種であり、Mは周期表第4族遷移金属原子を示す。] ;
    Figure 0006207181
    [一般式(IV)中、 R33は、分岐状または直鎖状脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基であり、R34〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、硫黄含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれる少なくとも一種を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよく、mが2の場合にはR34〜R38で示される基のうち2個の基が連結されていてもよく(但し、R33同士が結合されることはない)、互いに同一でも異なっていてもよい。nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、硫黄含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基のうち少なくとも一種であり、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は同一でも互いに異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期律表第4族遷移金属原子であり、mは、1〜4の整数を示す。]。
  4. オレフィン重合が、エチレンの単独重合またはエチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
  5. 前記エチレン系重合体が、エチレンと炭素数4以上20以下のα−オレフィンとの共重合体であって、下記要件(1’)〜(5’)を満たすことを特徴とする請求項4に記載のエチレン系重合体の製造方法:
    (1’)メルトフローレート(MFR:190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10分以上100g/10分以下である;
    (2’)密度が875kg/m3以上945kg/m3以下である;
    (3’)13C−NMRにより測定された炭素原子1000個当たりのメチル分岐数〔Me(/1000C)〕とエチル分岐数〔Et(/1000C)〕との和〔(Me+Et)(/1000C)〕が1.80以下である;
    (4’)200℃におけるゼロせん断粘度〔η0(P)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の6.8乗(Mw6.8)の比、η0/Mw6.8が、0.03×10−30以上7.5×10−30以下である;
    (5’)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕と、GPC-粘度検出器法(GPC-VISCO)により測定された重量平均分子量の0.776乗(Mw0.776)の比、[η]/Mw0.776が、0.90×10-4以上1.65×10-4以下である。
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JP5769788B2 (ja) エチレン系重合体、該エチレン系重合体を含む熱可塑性樹脂組成物およびこれらから得られる成形体

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