JP2019081907A - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒を長期間保存したとしても、得られる重合体の性能変化を抑制できるオレフィン重合体の製造方法を提供する。【解決手段】下記成分[A−1]、[A−2]及び[B]を含むオレフィン重合用触媒を製造した後、該オレフィン重合用触媒を1℃以上20℃以下に制御された温度で保存し、かつ該保存されたオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法など。成分[A−1]:特定の式で表されるメタロセン化合物。成分[A−2]:特定の式で表されるメタロセン化合物。成分[B]:[B−1]担持されたアルミニウムオキシ化合物、[B−2]担持された、前記メタロセン化合物[A−1]及び[A−2]と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、または[B−3]イオン交換性層状珪酸塩。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン重合体の製造方法に関し、詳しくは、オレフィン重合体の製造に用いる触媒を長期間保存したとしても、得られる重合体の性能変化が抑制できるオレフィン重合体の製造方法に関する。
複数の遷移金属化合物を触媒成分とした触媒を用いて、オレフィン重合体を製造すると、分子量分布、組成分布、遷移金属化合物間でのモノマーのやりとりが関与するマクロマー共重合等の観点において、オレフィン重合体の構造を制御でき、特有の性能を与えることができることが知られている。
そのような触媒が工業的に使用されるにしたがい、触媒が変質、劣化することなく、長期に保存することが経済的に必要になってきている。
複数の遷移金属化合物を触媒成分とした触媒には、一方の触媒成分において、モノマーの重合を行うことによりマクロマーを形成させ、他方の触媒成分において、モノマーとマクロマーとの共重合を行うことにより長鎖分岐をもつ重合体を製造できる触媒系があることが分かってきており、様々な触媒系が見出されている。このような長鎖分岐をもつ重合体を製造する方法は、マクロマー法と呼ばれることがある。例えば、長鎖分岐型プロピレン重合体を製造するマクロマー法が以下の特許文献に記載されている(例えば、特許文献1〜7参照。)。
上述したような、マクロマー法によって長鎖分岐をもつ重合体を形成するような触媒系においては、触媒を長期に保存することによって、触媒が変質、劣化することに伴い、活性が低下するという問題以上に、得られた重合体の性能が変化するという問題がある。
マクロマー法によって長鎖分岐をもつ重合体を形成するような触媒系ではないが、例えば、特許文献8には、ビスアミド触媒系及び非ビスアミド触媒系を含む多峰型触媒系を、制御された温度(約21℃未満、好ましくは約1℃未満、さらに好ましくは約−9℃未満)で、特定の期間保存することにより、重合体の多峰性を変化させることなく、保存できる方法が開示されている。当該方法は、複数の触媒成分が異なる速度で劣化することにより、重合体の多峰性が変化することを突き止め、これを抑制する方法が示されている。
しかし、上記の抑制方法は、多峰型触媒系を前提として、単に重合体の分子量分布の変化に着目したものに過ぎず、複数の遷移金属化合物を触媒成分とした触媒系を用いた場合に、マクロマー法によって得られる重合体の性能変化を抑制する方法は、未だ見出されていない。
特開2009−040959号公報 特開2009−057542号公報 特開2009−108247号公報 特開2011−144356号公報 特開2010−196036号公報 特表2001−525463号公報 特表2001−527589号公報 特表2010‐509484号公報
本発明の目的(課題)は、上記従来技術の状況や問題点に鑑み、触媒を長期間保存したとしても、得られる重合体の性能変化を抑制できるオレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、特に、マクロマー法によって長鎖分岐をもつ重合体を形成するような触媒系において、触媒を長期に保存することによって、触媒が変質、劣化することに伴い、得られる重合体の性能が変化するという問題点を解決するために、触媒の長期保存について検討した結果、特定の長期保存方法を採用することにより、長期間(2年以上)保存した触媒を用いても、得られる重合体の性能変化が抑制できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき、完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記成分[A−1]、[A−2]及び[B]を含むオレフィン重合用触媒を製造した後、該オレフィン重合用触媒を1℃以上20℃以下に制御された温度で2年以上保存し、かつ該保存されたオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
成分[A−1]:下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物。
[一般式(1)中、Z11は、−(E12)(R13)m’(R14)p’−、−O−、−S−、−NR15−または−PR16−を表し、E11及びE12は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、R11及びR13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基を表し、R12及びR14は、それぞれ独立して、5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基を表し、該ヘテロ芳香族基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基で置換されていてもよく、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を表し、m及びm’は、0または1〜8の整数を表し、p及びp’は、Z11が(E12)(R13)m’(R14)p’の場合には、一方または両方が1〜8の整数であり、Z11が−O−、−S−、−NR15−または−PR16−の場合には、pが0または1〜8の整数であり、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M11は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X11及びX12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
成分[A−2]:下記一般式(2)で表されるメタロセン化合物。
[一般式(2)中、E21及びE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよく、但し、置換基が5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基であることはなく、Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M21は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X21及びX22は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
成分[B]:下記の化合物群から選ばれる少なくとも一種。
[B−1]担持されたアルミニウムオキシ化合物、
[B−2]担持された、前記メタロセン化合物[A−1]及び[A−2]と反応してカチオンに変換することが可能な、イオン性化合物またはルイス酸、および
[B−3]イオン交換性層状珪酸塩。
また、本発明の第2の発明によれば、下記成分[A−1]、[A−2]及び[B]を含むオレフィン重合用触媒を製造し、該オレフィン重合用触媒とオレフィンとを接触させて予備重合されたオレフィン重合用触媒を製造した後、該予備重合されたオレフィン重合用重合触媒を1℃以上20℃以下に制御された温度で2年以上保存し、かつ該保存されたオレフィン重合用重合触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
成分[A−1]:下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物。
[一般式(1)中、Z11は、−(E12)(R13)m’(R14)p’−、−O−、−S−、−NR15−または−PR16−を表し、E11及びE12は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、R11及びR13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基を表し、R12及びR14は、それぞれ独立して、5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基を表し、該ヘテロ芳香族基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基で置換されていてもよく、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を表し、m及びm’は、0または1〜8の整数を表し、p及びp’は、Z11が(E12)(R13)m’(R14)p’の場合には、一方または両方が1〜8の整数であり、Z11が−O−、−S−、−NR15−または−PR16−の場合には、pが0または1〜8の整数であり、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M11は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X11及びX12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
成分[A−2]:下記一般式(2)で表されるメタロセン化合物。
[一般式(2)中、E21及びE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよく、但し、置換基が5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基であることはなく、Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M21は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X21及びX22は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
成分[B]:下記の化合物群から選ばれる少なくとも一種。
[B−1]担持されたアルミニウムオキシ化合物、
[B−2]担持された、前記メタロセン化合物[A−1]及び[A−2]と反応してカチオンに変換することが可能な、イオン性化合物またはルイス酸、および
[B−3]イオン交換性層状珪酸塩。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、予め、減圧乾燥されたオレフィン重合用触媒を保存することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、減圧乾燥されたオレフィン重合用触媒中の残存溶媒量が0.5wt%以下であることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、オレフィン重合用触媒を、圧力容器にて不活性ガスを用いて、0.01MPaG〜0.05MPaGの範囲で加圧して保存することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記保存は、下記成分[C]が成分[A−1]と成分[A−2]の合計1モルに対して、1〜70モル存在する条件下で保存することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
成分[C]:有機アルミニウム化合物。
本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、成分[A−1]は、オレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物[但し、オレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物とは、70℃でオレフィン単独重合を行った場合に、末端ビニル率(Rv)が0.5以上を満たす重合体を生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物である。]であることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、M11及びM21は、一方または両方がハフニウムであることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、オレフィン重合体は、分子量(M)が100万(logM=6)における分岐指数(g’)が0.95以下であることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1又は2の発明において、成分[A−1]及び[A−2]の少なくとも一方は、下記一般式(3)で表されるメタロセン化合物であることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
[一般式(3)中、R31及びR32は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基、または5員環もしくは6員環中に酸素原子、硫黄原子もしくは窒素原子を含有する単環式もしくは多環式のヘテロ芳香族基であり、R33及びR34は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、またはケイ素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基を表し、Q31は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M31は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X31及びX32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
また、本発明の第11の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、オレフィン重合体は、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと炭素数2〜12(3を除く)のαオレフィンとの共重合体であることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
なお、本発明では、特に限定がない限り、メタロセン化合物には、ハーフメタロセン化合物も含まれる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法によれば、複数の遷移金属化合物を触媒成分とした触媒を用いて、重合体を製造する方法において、長期間保存した触媒を用いても、得られる重合体の性能変化が抑制できる。特に、触媒が、一方の触媒成分において、モノマーの重合を行うことによりマクロマーを形成させ、他方の触媒成分において、モノマーとマクロマーとの共重合を行うことにより、長鎖分岐をもつ重合体を製造できる触媒系である場合には、得られる重合体は、高い溶融張力を安定的に発現することができる。
図1は、実施例(実施例1/参考例1、2/比較例1)において、得られたオレフィン重合体のメルトフローレート(MFR)(g/10分)に対して、溶融張力(MT)(g)をプロットした図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るオレフィン重合用触媒の一つは、下記成分[A−1]、[A−2]及び[B]を含むオレフィン重合用触媒を製造し、そして、製造されたオレフィン重合用触媒を、1℃以上20℃以下で制御された温度で、長期保存したものである。
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒の他の一つは、下記成分[A−1]、[A−2]及び[B]を含むオレフィン重合用触媒を製造し、予備重合し、そして、製造されたオレフィン重合用触媒を、1℃以上20℃以下で制御された温度で、長期保存したものである。
そして、本発明のオレフィン重合体の製造方法は、上記長期保存した触媒を用いて、オレフィンを重合して、重合体の製造を行うものである。
成分[A−1]:下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物。
[一般式(1)中、Z11は、−(E12)(R13)m’(R14)p’−、−O−、−S−、−NR15−または−PR16−を表し、
11及びE12は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、
11及びR13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基を表し、
12及びR14は、それぞれ独立して、5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基を表し、該ヘテロ芳香族基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基で置換されていてもよく、
15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を表し、
m及びm’は、0または1〜8の整数を表し、
p及びp’は、Z11が(E12)(R13)m’(R14)p’の場合には、一方または両方が1〜8の整数であり、Z11が−O−、−S−、−NR15−または−PR16−の場合には、pが0または1〜8の整数であり、
11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、
11は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、
11及びX12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
成分[A−2]:下記一般式(2)で表されるメタロセン化合物。
[一般式(2)中、E21及びE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよく、但し、置換基が5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基であることはなく、
21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、
21は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、
21及びX22は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
成分[B]:下記の化合物群から選ばれる少なくとも一種。
[B−1]担持されたアルミニウムオキシ化合物、
[B−2]担持された、前記メタロセン化合物[A−1]及び[A−2]と反応してカチオンに変換することが可能な、イオン性化合物またはルイス酸、および
[B−3]イオン交換性層状珪酸塩。
そして、この得られたオレフィン重合用触媒を特定条件下で保存した後に、オレフィン重合を行なうことにより、長鎖分岐型のプロピレン重合体を、その性能を劣化させることなく、効率よく製造することができる。
以下、オレフィン重合用触媒、その製造方法などについて、項目毎に詳細に説明する。
1.オレフィン重合用触媒の触媒成分
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、少なくとも成分[A−1]、[A−2]及び[B]を含むことを必須とする。
(1)成分[A−1]
成分[A−1]は、上述した一般式(1)の構造を有するメタロセン化合物であり、好ましくはオレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物である。オレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物については、後述する。
成分[A−1]として、非限定的な好ましい実施形態の一つとして、下記の構造を挙げることができる。すなわち、成分[A−1]は、好ましくは次の一般式(3)で表されるメタロセン化合物である。
[一般式(3)中、R31及びR32は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基、または5員環もしくは6員環中に酸素原子、硫黄原子もしくは窒素原子を含有する単環式もしくは多環式のヘテロ芳香族基を表し、該ヘテロ芳香族基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基で置換されていてもよく、R33及びR34は、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリール基もしくはハロゲン化アリール基、または5員環もしくは6員環中に酸素原子、硫黄原子もしくは窒素原子を含有する単環式もしくは多環式のヘテロ芳香族基を表し、該ヘテロ芳香族基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基で置換されていてもよく、R31及びR32並びにR33及びR34は、同時にヘテロ芳香族基以外の基になることはなく、Q31は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M31は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X31及びX32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
上記のR31及びR32は、それぞれ独立して、ヘテロ芳香族基であることが好ましく、より好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基または置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、トリアルキルシリル基が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R31及びR32として、特に好ましくは2−(5−メチル)−フリル基である。また、R31及びR32は、互いに同一である場合が好ましい。
上記のR33及びR34は、ハロゲン原子、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい、炭素数6〜16のアリール基であり、また、アリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
また、R33及びR34は、窒素、酸素または硫黄を含有する炭素数6〜16の複素環基であってもよい。このような複素環基としては、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは置換された2−フリル基である。これらの置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、トリアルキルシリル基が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
33及びR34としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−i−プロピル基、4−トリメチルシリル基、4−t−ブチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,5−ジt−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピル基、4−トリメチルシリル基、4−t−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R33及びR34は、互いに同一である場合が好ましい。
さらに、X31及びX32は、補助配位子であり、成分[B]と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、X31とX32は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。
ここで、本発明において、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基とは、炭素数1〜20のトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基である。
31は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ31の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;シクロアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
また、上記一般式(3)のインデン環上には、R31、R32、R33、R34以外にも置換基を有してもよい。その場合には、インデン環状の5位または6位に置換基を有することができる。そのような例として、5位メチル基、6位メチル基が挙げられる。また、別の例として、5位と6位の置換基が互いに結合して、環状構造を形成することができる。そのような例としては、インダセン骨格となることが好ましい。
上記一般式(3)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(20)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(21)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(22)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(23)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(24)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(25)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(26)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(27)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(28)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、
(29)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、
(30)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、などである。
これらのうち、更に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−ビフェニリル−インデニル}]ハフニウムである。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウムである。
また、成分[A−1]として、非限定的な好ましい実施形態の他の例として、一般式(4)で表される化合物などを挙げることができる。
成分[A−1]は、好ましくは次の一般式(4)で表さるハーフメタロセン化合物である。
[一般式(4)中、Cpは、シクロペンタジエニル基を表し、M41は、Ti、Zr、又はHfであり、Q41は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又は炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基であり、Z41は、アミド基、ホスフィド基、酸素原子、硫黄原子、フェニレンオキシ基またはアルキリデン基である。
41及びX42は、σ共有結合性補助配位子を示し、同一でも異なってもよく、qとrの和は、0〜2であり、Lは、中性のルイス塩基であり、sは、0〜2であり、qとrとsの和は、0〜4である。なお、q+r+2は、中心金属M41の酸化数を表す。
41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン原子含有アルキル基、炭素数1〜8の珪素含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は炭素数6〜18のハロゲン化アリール基であり、互いに同じでも異なってもよく、隣接するR41、R42双方で5〜10員環を形成してもよく、5〜10員環が不飽和結合を含んでいてもよい。m及びpは、0または1〜8の整数である。]
上記一般式(4)において、M41は、Ti、Zr、又はHfであり、好ましくはTi、又はHfであり、さらに好ましくはTiである。
41は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又は炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基であり、具体例としては、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジ−i−プロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル―i―プロピルシリレン基、ジメチルゲルミレン基、ジエチルゲルミレン基、ジ−i−プロピルゲルミレン基、ジフェニルゲルミレン基、メチルフェニルゲルミレン基、メチル―i―プロピルゲルミレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1−フェニルエチレン基、1,2−ジフェニルエチレン基、シラシクロブタン基、シラシクロペンタン基、2,5−ジメチルシラシクロペンタン基、シラシクロヘキサン基、シラフルオレン基、フェニレン基などを挙げることができる。
これらの中でも好ましいのは、ジメチルシリレン基、ジ−i−プロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、シラシクロブタン基、シラシクロペンタン基、シラシクロヘキサン基、フェニレン基であり、特に好ましくはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、シラシクロヘキサン基である。
41は、アミド基、ホスフィド基、酸素原子、硫黄原子、フェニレンオキシ基またはアルキリデン基であり、好ましくはアミド基、フェニレンオキシ基、酸素原子であり、最も好ましいのはアミド基である。
41及びX42は、σ共有結合性補助配位子を示し、同一でも異なってもよく、特に限定されないが、好ましいX41及びX42は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の置換アミノ基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。X41とX42で架橋構造をとっていてもよい。
具体的には、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリメチルシリルメチル基、メトキシ基、フェノキシ基などを挙げることができる。これらの中でも、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基が好ましく、塩素原子、メチル基、i−ブチル基、ベンジル基が特に好ましい。
Lは、中性のルイス塩基を示し、同一でも異なってもよく、特に限定されないが、エーテル類、アミン類、フォスフィン類、ジエン類、チオエーテル類などを挙げることができ、これらの中でも、好ましいのはエーテル類、アミン類、ジエン類であり、最も好ましいのはエーテル類、ジエン類である。
41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のハロゲン原子含有アルキル基、炭素数1〜8の珪素含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は炭素数6〜18のハロゲン化アリール基であり、互いに同じでも異なってもよく、隣接するR41、R42双方で5〜10員環を形成してもよく、5〜10員環が不飽和結合を含んでいてもよい。
41及びR42における炭素数1〜8のアルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などを挙げることができる。
また、炭素数1〜8のハロゲン原子含有アルキル基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭素数1〜8のハロゲン含有アルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基の骨格上の水素原子にハロゲン原子が置換されたものである。
具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,1,1−テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタクロロエチル基、ペンタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、5−クロロペンチル基、5,5,5−トリクロロペンチル、5−フルオロペンチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、6−クロロヘキシル基、6,6,6−トリクロロヘキシル基、6−フルオロヘキシル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、8−フルオロオクチル基、8,8,8−トリフルオロオクチル基などを挙げることができる。
また、炭素数1〜20の珪素含有アルキル基とは、アルキル基の骨格上の炭素原子に珪素原子が置換されたものである。具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、トリメチルシリルメチル基、2−トリメチルシリルエチル基などを挙げることができる。
また、炭素数6〜18のアリール基の具体例としてフェニル基、メチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、i−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、s−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、トリメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
炭素数6〜18のハロゲン化アリール基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭素数6〜18のハロゲン化アリール基は、炭素数6〜18のアリール基の骨格上の水素原子にハロゲン原子が置換されたものである。
具体例として、ペンタフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ジトリフルオロメチルフェニル基、パーフルオロナフチル基、パーフルオロビフェニル基などを挙げることができる。
また、R41及びR42は、隣接するR41、R42双方で5〜10員環を形成してもよく、5〜10員環が不飽和結合を形成してもよい。R41及びR42が環を形成することによって出来上がるシクロアルカジエニル環の具体例として、インデニル環、ベンゾインデニル環、テトラヒドロインデニル環、アズレニル環などを挙げることができる。
上記一般式(4)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
(1)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(2)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシル−アミド)チタニウムジクロリド、
(3)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、
(4)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(t−ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(5)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(s−ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(6)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−ブチルアミド)チタニウムジクロリド、
(7)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド、
(8)ジエチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシル−アミド)チタニウムジクロリド、
(9)ジエチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド、
(10)ジエチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタニウムジクロリド、
(11)ジエチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、
(12)メチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシル−アミド)チタニウムジクロリド、
(13)メチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド、
(14)メチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタニウムジクロリド、
(15)メチレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、
(16)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシル−アミド)チタニウムジメチル、
(17)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジメチル、
(18)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシル−アミド)チタニウムジメチル、
(19)ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジメチル、
(20)ジメチルシリル(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(21)ジメチルシリル(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド、
(22)ジメチルシリル(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタニウムジクロリド、
(23)ジメチルシリル(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、
(24)ジメチルシリル(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(25)ジメチルシリル(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド、
(26)ジメチルシリル(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタニウムジクロリド、
(27)ジメチルシリル(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、
(28)ジメチルシリル(2−エチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(29)ジメチルシリル(2−エチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド、
(30)ジメチルシリル(2−エチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタニウムジクロリド、
(31)ジメチルシリル(2−エチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、
(32)ジメチルシリル(3−エチル−4−メチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(33)ジメチルシリル(3−エチル−4−メチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド、
(34)ジメチルシリル(3−エチル−4−メチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタニウムジクロリド、
(35)ジメチルシリル(3−エチル−4−メチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、
(36)ジメチルシリル(2−エチル−3−ヘキシル−5−メチル−4−オクチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(37)ジメチルシリル(2−エチル−3−ヘキシル−5−メチル−4−オクチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド、
(38)ジメチルシリル(2−エチル−3−ヘキシル−5−メチル−4−オクチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシルアミド)チタニウムジクロリド、
(39)ジメチルシリル(2−エチル−3−ヘキシル−5−メチル−4−オクチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、
(40)ジメチルシリル(2−テトラヒドロインデニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、
(41)ジメチルシリル(2−テトラヒドロインデニル)(シクロヘキシルアミド)チタニウムジクロリド、
(42)ジメチルシリル(2−テトラヒドロインデニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、
(43)ジメチルシリル(2−テトラヒドロインデニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド等。
最も好ましい化合物は、以下のものである:
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジクロリド、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシル−アミド)チタニウムジクロリド、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジクロリド、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジクロリド、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロドデシルアミド)チタニウムジメチル、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロヘキシル−アミド)チタニウムジメチル、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)チタニウムジメチル、及びジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(エキソ−2−ノルボルニルアミド)チタニウムジメチル。
上記のように、成分[A−1]は、好ましくはオレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物である。但し、オレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物とは、70℃でオレフィン重合体を構成するモノマー単位のうち最もモル含量が多いオレフィンの単独重合を行った場合に、末端ビニル率(Rv)が0.5以上を満たす重合体を生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物である。
ここで、末端ビニル率(Rv)と末端ビニリデン率(Rvd)は、それぞれ下式で定義される。
(Rv)=(Mn/M)×2×[Vi]/1000
(Rvd)=(Mn/M)×2×[Vd]/1000
(但し、Mnは、GPCにより求めた数平均分子量、Mはモノマーの分子量、[Vi]は、13C−NMRより算出する1000C当りの末端ビニル基の数、[Vd]は、13C−NMRより算出する1000C当りの末端ビニリデン基の数である。ここで、1000Cとは、全骨格形成炭素1000個を意味し、全骨格形成炭素とは、モノマーの炭素数−2の分岐長の分岐を構成する炭素以外の全ての炭素原子を意味する。すなわち、[Vi]は、全骨格形成炭素1000個当りの末端ビニル基の数であり、[Vd]は、全骨格形成炭素1000個当り当りの末端ビニリデン基の数である。)
オレフィンの重合においては、一般的にβ水素が脱離して、たとえばオレフィンがプロピレンの場合には、下記構造式(2−b)に示すビニリデン構造の末端が生成する。また、水素を用いた場合には、通常水素へ連鎖移動が優先的に起こり構造式(2−c)に示すような飽和末端(イソブチル構造)が末端に生成する。
しかしながら、特殊な構造の錯体を用いた場合には、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応が起こり、構造式(2−a)に示すプロペニル構造(ビニル構造)を末端にもったポリマーが生成する(参照文献:Macromol.Rapid Commun.2000,21,1103−1107)。また、本発明で例示する非常に特殊な構造の錯体を用いた場合には、水素を用いた場合には、驚くべきことに、活性は増大するものの優先的にβメチル脱離反応がおこり構造式(2−a)のプロペニル構造(ビニル構造)が主に生成することが分かってきた。
構造式(2−a)、構造式(2−b)、構造式(2−c)のうち、メタロセン錯体やチーグラー触媒で共重合可能なものは、構造式(2−a)に示すビニル構造のみである。
したがって、全末端構造の内、共重合可能な末端ビニル率が高いほうがマクロマーとして効率が高いことを意味する。故に、本発明で用いるマクロマー生成錯体である成分[A−1]は、末端ビニル率(Rv)が0.5以上になるような末端ビニル生成能力を有するメタロセン化合物である。さらに、好ましいメタロセン化合物としては、この末端ビニル率は、0.70以上が好ましく、より好ましくは0.75以上である。更に好ましくは0.80以上であり、理想的には1.0(すべての末端がビニル基)である。
ここで、[Vi]及び[Vd]の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料390mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定した。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
このプロピレン重合体の末端ビニル率と末端ビニリデン率は、βメチル脱離反応をβ水素脱離反応に対して選択的におこすような特殊な構造の錯体を選ぶことによって、制御が可能である。そのような錯体構造としては、2位に嵩高い複素環基を有し、4位に置換されてもよいアリール基等を有するビスインデン錯体を挙げることができる。
また、この選択率は、重合温度を変えることによっても、制御することができる。例えば、実施例に示す錯体では、重合温度が高くなる程、末端ビニル率を高くすることができる。
[Vi]は、構造式(2−a)の炭素1と炭素2が115.5ppm、137.6ppmに検出されることを利用し、[Vd]は、構造式(2−b)の炭素3と炭素4が111.2ppm、144.5ppmに検出されることを利用して、それぞれ全骨格形成炭素1000個に対する個数として下式のように算出する。ここで全骨格形成炭素とは、メチル炭素以外の全ての炭素原子を意味する。
[Vi]=[炭素1のピーク強度]/[全骨格形成炭素のピーク強度の総和]×1000
[Vd]=[炭素3のピーク強度]/[全骨格形成炭素のピーク強度の総和]×1000
末端ビニル率について、プロピレン重合体を例に説明したが、オレフィンがプロピレン以外の場合にも、プロピレンの例により求めることができる。
上述の成分[A−1]は、末端ビニル率(Rv)が0.5以上を満たすプロピレン重合体を生成する重合用触媒を形成しうることは、特開2009−299045号公報に示されている。
(2)成分[A−2]
成分[A−2]:下記一般式(2)で表されるメタロセン化合物。
[一般式(2)中、E21及びE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよく、但し、置換基が5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基であることはなく、Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M21は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X21及びX22は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
上記E21及びE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよい。その置換基は、5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基であることはない。
なかでも、置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換アズレニル基が好ましい。
成分[A−2]としては、オレフィンモノマーとオレフィンマクロマーとの共重合が可能な重合用触媒を形成する化合物が好ましい。そのような化合物は、同時にマクロマーの生成が可能な触媒を形成する化合物である場合もありうる。
また、成分[A−2]の非限定的な好ましい例として、E21及びE22が置換インデニル基の場合には、下記の構造を例示できる。
[一般式(5)中、R51及びR53は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、R52及びR54は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30のアリール基である。X51及びX52は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表し、Q51は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M51は、ジルコニウムまたはハフニウムを表す。]
上記のR51及びR53は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルである。
また、上記のR52及びR54は、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30のアリール基であり、また、アリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
52及びR54としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−i−プロピル基、4−トリメチルシリル基、4−t−ブチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、3,5−ジt−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピル基、4−トリメチルシリル基、4−t−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R52及びR54は、互いに同一である場合が好ましい。
さらに、X51及びX52は、補助配位子であり、成分[B]と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。この目的が達成するものとして、X51及びX52は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。
ここで炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基とは、炭素数1〜20のトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基である。
また、Q51は、二つの五員環を結合する、炭素数1又は2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ51の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
これらの一般式(5)で表わされる化合物の中で好ましくは、
(1)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ハフニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}]ハフニウム、
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)インデニル}]ハフニウム、
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)インデニル}]ハフニウム、
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)インデニル}]ハフニウム、
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)インデニル}]ハフニウム、
(20)ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)インデニル}]ハフニウム、である。
また、成分[A−2]の非限定的な好ましい例として、E21及びE22が置換アズレニル基の場合には、下記の構造を例示できる。
[一般式(6)中、R61及びR62は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基である。R63及びR64は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30のアリール基である。Q61は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M61は、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、X61及びY61は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
上記R61及びR62は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記R63及びR64は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい炭素数6〜30の、好ましくは炭素数6〜24のアリール基である。そのようなアリール基としては、置換基を有してもよいフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基である。好ましい例としては、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
上記X61及びY61は、補助配位子であり、成分[B]と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX61及びY61は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基などを示す。
61は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ61の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
さらに、上記M61は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
上記一般式(6)で表されるメタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
但し、煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載した。また、中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、同様のジルコニウム化合物も使用可能であり、種々の配位子や架橋結合基あるいは補助配位子を任意に使用しうることは自明である。
(1)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(20)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(21)ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(22)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(23)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、
(24)ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、などである。
これらの中で好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
成分[A−2]の非限定的な好ましい例として、E21及びE22が置換シクロペンタジエニル基の場合には、下記の構造を例示できる。
[一般式(7)中、R71及びR74は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、R72及びR75は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、R73及びR76は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基である。X71及びY71は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表し、Q71は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、M71は、ジルコニウムまたはハフニウムを表す。]
上記R71及びR74は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルであり、特に好ましくはメチル基である。
上記R72及びR75は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、フェニル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、フェニルである。
上記R73及びR76は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル、フェニル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、フェニルである。
上記中、X71及びY71は、補助配位子であり、成分[B]と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。この目的が達成するものとして、X71及びY71は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。
ここで炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基とは、炭素数1〜20のトリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアリールシリル基である。
上記中、Q71は、二つの五員環を結合する、炭素数1又は2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ71の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
これらの一般式(7)で表わされる化合物の中で、好ましくは、
(1)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(2)ジクロロ{ジフェニルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(3)ジクロロ{ジメチルゲルミレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(4)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(5)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2−エチル−3−フェニル−5−メチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(6)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリエチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(7)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−3−エチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(8)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチル−5−エチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(9)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−3−i−プロピルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、
(10)ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、であり、
さらに好ましくは、ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、ジクロロ{ジフェニルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、ジクロロ{ジメチルゲルミレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチル−3−フェニルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、ジクロロ{ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)}ハフニウム、である。
また、成分[A−2]の非限定的な好ましい例として、E21及びE22が、シクロペンタジエニル基とフルオレニル基の場合には、下記の構造を例示できる。
一般式(8)中、R82は、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基から選ばれ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、トリメチルシリル基である。R81、R83、R84、R85、R86、R87及びR88は、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R85〜R88までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。
また、上記X81及びY81は、補助配位子であり、成分[B]と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。この目的が達成するものとして、X81及びY81は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基などを示す。
また、上記Q81は、二つの五員環を結合する、炭素数1または2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記Q81の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
さらに、上記M81は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
これらの一般式(8)で表わされる化合物の中で、好ましくは、
(1)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(2)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(3)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(4)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)シクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(5)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(6)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(7)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(8)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(9)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピル−5−エチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(10)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−エチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(11)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−エチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(12)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−エチルシクロペンタジエニル)フルオレニル)ジルコニウム、
(13)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(14)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(15)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(16)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(17)ジクロロジメチルメチレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(18)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(19)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(20)ジクロロジメチルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(2,7−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(21)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(ジベンゾ[b,h]フルオレニル)ジルコニウム、
(22)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(ジベンゾ[b,h]フルオレニル)ジルコニウム、
(23)ジクロロジメチルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウム、
(24)ジクロロジメチルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)ジルコニウム、
(25)ジクロロジフェニルメチレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(26)ジクロロジフェニルメチレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(27)ジクロロジフェニルメチレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(28)ジクロロジフェニルメチレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(29)ジクロロジメチルシリレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(30)ジクロロジメチルシリレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(31)ジクロロジメチルシリレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(32)ジクロロジメチルシリレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(33)ジクロロジフェニルシリレン(3−i−プロピル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(34)ジクロロジフェニルシリレン(3−t−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(35)ジクロロジフェニルシリレン(3−トリメチルシリル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、
(36)ジクロロジフェニルシリレン(3−(t−ブチルジメチルシリル)−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジt−ブチルフルオレニル)ジルコニウム、などである。
また、成分[A−2]として、上記の構造のものを選択する場合には、成分[A−1]の構造とは、異なるものを選択する。
(3)成分[B]
成分[B]は、下記の化合物群から選ばれる少なくとも一種である。
[B−1]担持されたアルミニウムオキシ化合物、
[B−2]担持された、前記メタロセン化合物[A−1]及び[A−2]と反応してカチオンに変換することが可能な、イオン性化合物またはルイス酸、および
[B−3]イオン交換性層状珪酸塩。
(3−1)成分[B−1]
成分[B−1]のアルミニウムオキシ化合物としては、具体的には次の一般式(9)、(10)又は(11)で表される化合物が挙げられる。
上記の各一般式中、R91、R101及びR111は、水素原子または炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数の、R91、R101及びR111は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式(9)及び(10)で表される化合物は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、これらの中では、メチルアルモキサン又はメチルイソブチルアルモキサンが好ましい。
上記のアルモキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルモキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
また、一般式(11)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(12)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。
一般式(11)、(12)中、R112及びR121は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
ここで、前記アルミニウムオキシ化合物は、担体に担持して使用する。
担体は、その元素組成、化合物組成については、特に限定されないが、無機または有機の化合物から成る担体が例示できる。無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ塩化マグネシウム、活性炭、無機珪酸塩等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
また、有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
これらの担体は、通常1μm〜5mm、好ましくは5μm〜1mm、より好ましくは10μm〜200μmのレーザー回折/散乱式粒度分布計により粒子径頻度分布を測定した場合の50%累積時の粒子径(メジアン径)を有する微粒子であることが好ましい。
(3−2)成分[B−2]
成分[B−2]のイオン性化合物またはルイス酸は、前記メタロセン化合物[A−1]、[A−2]と反応して、[A−1]、[A−2]をカチオンに変換することが可能な化合物である。
イオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物のカチオンとの錯化物等が挙げられる。
また、ルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム等の金属ハロゲン化合物などが例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、[A−1]、[A−2]と反応して、[A−1]、[A−2]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとする。
ここで、前記イオン性化合物またはルイス酸は、担体に担持して使用する。
担体は、その元素組成、化合物組成については、特に限定されないが、無機または有機の化合物から成る微粒子状担体が例示できる。無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ塩化マグネシウム、活性炭、無機珪酸塩等が挙げられる。あるいは、これらの混合物であってもよい。
また、有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化水素の重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。あるいはこれらの混合物であってもよい。
これらの担体は、通常1μm〜5mm、好ましくは5μm〜1mm、より好ましくは10μm〜200μmのレーザー回折/散乱式粒度分布計により粒子径頻度分布を測定した場合の50%累積時の粒子径(メジアン径)を有する微粒子であることが好ましい。
(3−3)成分[B−3]
成分[B−3]は、イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)である。
本発明において、原料として使用する珪酸塩は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
本発明で原料として使用する珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
本発明で使用する珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。本発明における化学処理としては、具体的には、次に述べる(a)酸処理、(b)塩類処理、(c)アルカリ処理、(d)有機物処理、等が挙げられる。
(a)酸処理
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg、等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。処理に用いる塩類および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
(b)塩類処理
本発明においては、塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群から選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、C及びCから成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
具体的には、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPO、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgC等や、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr等や、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、FeC等や、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等や、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、GeBr、GeI等が挙げられる。
(c)アルカリ処理
アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
(d)有機物処理
また、有機物処理に用いられる有機物は、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、等が挙げられる。
さらに、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えば、ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して、成分[B]として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが望ましい。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の成分[B]の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下、であることが好ましい。
以上のように、本発明において、成分[B]として、特に好ましいものは、塩類処理および/または酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成または触媒として使用する前に、後述する有機アルミニウム化合物で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する有機アルミニウム化合物の使用量に制限は無いが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
また、成分[B]は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば天然物あるいは市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには、0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
上述の成分[B]の中で、特に好ましいものは、[B−3]イオン交換性層状珪酸塩である。
(4)有機アルミニウム化合物
本発明のオレフィン重合用触媒には、必要に応じて、有機アルミニウム化合物が含まれていてもよい。
次の一般式:
AlR131 3−q ・・・・一般式(13)
で示される有機アルミニウム化合物が好適である。
本発明では、この式で表される化合物を単独で、または複数種混合してあるいは併用して使用することができることは言うまでもない。この式(13)中、R131は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは0より大きくかつ3までの数である。R131としては、アルキル基が好ましく、また、Zは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
好ましい有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、q=3のトリアルキルアルミニウム及びジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R131が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
なお、本発明で使用する触媒には、成分[A−1]、[A−2]、[B]及び必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられるポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体等を添加してもよい。
2.触媒の調製(形成)/予備重合
本発明における触媒は、上記の成分[A−1]、[A−2]と成分[B]を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
また、成分[A−1]、[A−2]と成分[B]を接触させる場合に、有機アルミニウム化合物を同時にもしくは連続的に、あるいは一度にもしくは複数回にわたって、接触させてもよい。特に、成分[A−1]または[A−2]において、X11かつX12、またはX21かつX22が炭素数1〜20の炭化水素基以外の、例えばハロゲン基の場合には、有機アルミニウム化合物を用いることが好ましい。
接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば、次の通りである。
有機アルミニウム化合物を使用する場合は、成分[A−1]、[A−2]と成分[B]を接触させる前に、成分[A−1]、[A−2]と、あるいは成分[B]と、または成分[A−1]、[A−2]及び成分[B]の両方に有機アルミニウム化合物を接触させること、または、成分[A−1]、[A−2]と成分[B]を接触させるのと同時に有機アルミニウム化合物を接触させること、または、成分[A−1]、[A−2]と成分[B]を接触させた後に有機アルミニウム化合物を接触させることが可能であるが、好ましくは、成分[A−1]、[A−2]と成分[B]を接触させる前に、有機アルミニウム化合物といずれかに接触させる方法である。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。
各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素あるいは芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
本発明で使用する成分[A−1]、[A−2]、[B]及び有機アルミニウム化合物の使用量は、任意である。例えば、成分[B]に対する成分[A−1]及び[A−2]の合計の使用量は、成分[B]1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。
また、成分[A−1]、[A−2]に対する有機アルミニウム化合物の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×10、特に好ましくは0.1〜1×10、の範囲内が好ましい。
本発明で使用する成分[A−1]と成分[A−2]は、成分[A−1]と[A−2]の合計モル量に対する[A−1]のモル量の割合に関しては、0.20以上、0.99以下であることが好ましい。この割合を変化させることで、重合用触媒の基本性能としての、重合体の溶融張力と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
例えば、より分岐量を増やすことにより、分岐指数(g’)の低下した重合体を製造するためには、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.40以上、さらに好ましくは0.50以上であり、特に好ましくは0.70以上にすることができる。また、高い触媒活性で重合体を得るためには、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.93以下、さらに好ましくは0.90以下、特に好ましくは0.85以下にすることができる。
また、上記範囲で成分[A−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
本発明に係る触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合を実施することが可能であり、好ましい。
予備重合を行うことにより、2つの錯体が本重合前に活性化されて、成分[B]上に固定されるという効果の他に、予備重合したポリマーによって活性点が覆われる、及びポリマーにより活性点周辺の空間が固定される、すなわち化学的、物理的に固定されることにより、触媒の劣化が抑えられるという効果をもつ。
また、予備重合を行うことにより、本重合を行った際に、溶融張力を向上すること、ゲルの発生を抑制することができる。その理由としては、本重合を行った際に、重合体粒子間で分岐成分を均一に分布させることができるためと考えている。
予備重合するポリマー量は、成分[B]に対し重量比で、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上であり、経済性や取り扱いのためには、好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。ここで成分[B]に対するポリマーの重量比のことを、予備重合倍率と表現することもある。
予備重合に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができ、好ましくはプロピレンである。
オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。
また、予備重合終了後に洗浄することが好ましい。
3.触媒の乾燥
本発明において、上記で得られたオレフィン重合用触媒は、保存前に予め、減圧乾燥することができる。乾燥により、溶媒成分を留去できる。この工程により、オレフィン重合用触媒は、いわゆるマッド状の状態から、粉体の状態へと変化する。
また、本発明で使用するオレフィン重合用触媒には、保存時の触媒劣化を抑制するために、成分[C]として、有機アルミニウム化合物を添加、又は追加することが好ましく、その後、減圧乾燥を行う。
成分[C]の有機アルミニウム化合物を加えることにより、活性点の周りに、成分[C]の有機アルミニウム化合物成分が存在することにより、外部からの微量な被毒物質に対して、スカベンジの役割を重合触媒中でおこなうことにより、触媒の劣化を抑制することができる。この時、減圧乾燥を行うことにより、添加した有機アルミニウム化合物が活性点に直接作用して、活性点の分解反応などの副反応を引き起こす前に、活性点の周辺で固定されることにより、活性点保存を効率的におこなうことができる。
保存時に用いる成分[C]の有機アルミニウム化合物としては、前記で列記した有機アルミニウム化合物のうち、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムが特に好ましい。
成分[C]の有機アルミニウム化合物は、成分[A−1]及び[A−2]の合計1モルに対して、1〜70モルの条件になるように、添加又は追加することが好ましい。
尚、成分[C]の有機アルミニウム化合物の上記の触媒の劣化を抑制することのメカニズムは、本発明で使用する予備重合しないオレフィン重合用触媒も、予備重合されたオレフィン重合用触媒も、同様のメカニズムと考えている。
一方、乾燥工程後、残存溶媒の量が多いと、触媒成分中の錯体[A−1]又は[A−2]と有機アルミニウム化合物とが、乾燥工程後も残存溶媒を媒体として接触する確率を増やしてしまい、有機アルミニウム化合物による錯体の劣化反応が進行しやすくなることを見出した。
したがって、添加した有機アルミニウム化合物が活性点に直接作用して、活性点の分解反応などの副反応を過度に促進しないようにするために、本発明のオレフィン重合用触媒の残存溶媒量は、0.50wt%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.45wt%以下、より好ましくは0.40wt%以下である。
残存溶媒成分の定量方法
予めよく乾燥したフラスコに、乾燥工程後のポリオレフィン触媒成分を約20〜50gを正確に秤量して導入し、このフラスコ内を60℃で減圧して4時間乾燥をした後、ポリオレフィン触媒成分の重量を測定する。
残存溶媒量(wt%)を下記式にて算出する。
残存溶媒量(wt%)=([減圧前触媒重量]−[減圧後触媒重量])/[減圧前触媒重量]×100
4.触媒の保存
本発明においては、上記で得られたオレフィン重合用触媒は、1℃以上20℃以下で制御された温度で保存される。
本発明のオレフィン重合体の製造方法では、オレフィン重合用触媒を、1℃以上20℃以下で制御された温度で保存することにより、得られる重合体の性能変化、特に溶融張力の低下が起こることなく、重合体を製造することができる。
また上記で得られたオレフィン重合用触媒は、圧力容器中で不活性ガスを用い、0.01MPaG〜0.05MPaGの加圧下で保存することが好ましい。大気圧より大きい圧力で保存することにより、圧力容器内部に水分、酸素等の不純物が混入しないためである。
また、不活性ガスとしては、窒素ガスを用いるのが好ましく、この時用いる窒素ガスは例えば、純度99.999vol%以上の高純度窒素を用い、さらにはモレキュラーシーブ等を通して水分の除去をしたものを使用することが好ましい。
通常、触媒の劣化とは、重合活性の低下を引き起こすような活性点の分解等を指す。特に遷移金属錯体を担持した固体触媒においては、遷移金属錯体の分解により、活性点数が減少することによって、活性の低下が引き起こされる。
単一の遷移金属錯体を担持した固体触媒では、単に活性点数が減少することによる活性の低下が主な問題であるため、当該遷移金属錯体の分解が遅い範囲であれば、保存条件を任意に設定することができた。
また、前記特許文献8の特表2010−509484号公報にあるような複数の遷移金属錯体を用いた多元触媒においては、それぞれの遷移金属錯体の分解反応の温度依存性が異なるために、均一に分解されることなく、その結果、劣化が進行した場合には、それぞれの遷移金属錯体にもともと期待する活性が変化してしまうという結果を引き起こす。その結果、長期保存した触媒を用いて、製造して間もない触媒と同一条件で重合した場合には、単純に活性の劣化だけではなくて、分子量分布の変化、コモノマーを用いた場合には、組成分布が変化するという現象として、現れる。
こういった劣化現象が現れた場合には、運転を行う場合においては、水素やコモノマーによる活性化を利用して、水素濃度を調整したり、コモノマー量を調整したりすることで、流動性の調整や、品質の低下を抑える対応が可能である。
しかしながら、同じく複数の遷移金属錯体を用いた多元触媒の場合でも、一方の錯体と他方の錯体とが相互作用して、ある特性を発現するような多元触媒の場合、たとえば片方からマクロマーを生成させて、近接するもう一方の錯体で共重合させるような多元触媒系の場合には、各錯体の失活のしかたの違いにより、長鎖分岐量や分岐分布といった一次構造が変化し、溶融張力といった一次物性の低下を引き起こす。
このことは、すなわち、工業的な生産を考えた場合に、生産性ばかりでなく、品質の変化による損失を引き起こすことに、繋がる。
多元触媒のなかでも、特に、その1つにヘテロ原子を含有するようなメタロセン化合物を用いた場合には、ヘテロ原子のもつ非共有電子対が、他方の活性点に配位することにより活性点が変質する機構、および、ヘテロ原子のもつ非共有電子対が有機アルミニウム化合物成分に配位した後、メタロセン化合物の分解を伴って、失活する機構が存在する。
そこで、本発明では、ヘテロ原子を含むような錯体を含む二元触媒を用いた場合には、その保存温度を1℃以上20℃以下の範囲に制御して、保存することにより、工業的にも、活性の低下を引き起こさないだけでなく、品質の低下も、起こさないようにすることができることを見出した。
本発明の保存温度を外れて、夏季に大気の気温で保存するような状態である20℃を超える温度で数日保存した場合には、上記のようなヘテロ原子を含むメタロセン化合物と含まないメタロセン化合物とで、不均一な失活がおこり、特殊なマクロマー共重合の活性点比率へも、影響を及ぼし、長鎖分岐比率が減少してしまうことによる溶融張力の低下を引き起こしてしまう。
したがって、本発明のヘテロ原子を含むようなメタロセン化合物[A−1]を含む2元触媒には、保存温度を、20℃以下の範囲に制御することが必要である。
また、反対に1℃未満とすることは、経済的に不利で、好ましくないだけでなく、長期に保存した場合に、上記のようなヘテロ原子のもつ非共有電子対が有機アルミニウム化合物成分に配位することによる失活を伴う分解反応と、ヘテロ原子の非共有電子対がもう1方の錯体に配位して活性点を変質してしまう反応との、温度依存性が異なることから、両反応の進行比率に差異が生じてしまい、結果的に、長鎖分岐比率が減少してしまうことによる溶融張力の低下を引き起こしてしまうことが考えられる。
したがって、本発明のヘテロ原子を含むようなメタロセン化合物[A−1]を含む2元触媒には、保存温度を、1℃以上の範囲に制御することが必要である。
本実施例で示すように、10℃以上で特定の日数保存した場合には、長期に保存した場合には、性能の劣化がないことが示された。そのような状態で保存された触媒を用いて、重合した場合には、溶融張力といった性能を低下させることなく、重合体を得ることが可能であることがわかった。
そこで、経済性等も考慮した場合には、好ましくは10℃以上20℃以下に、制御することが可能であることがわかった。
また、この範囲の制御された温度で、本発明に示す触媒を保存することにより、触媒を製造した直後より、10日を超えて、2年以上、約800日までの範囲で、性能の低下を引き起こすことなく、特に、長鎖分岐導入した重合体を製造することが可能である。
現時点では、実施例に示すように、800日(2.2年)までの範囲で、溶融張力の低下を引き起こさないことが確認できている。
5.触媒の使用/オレフィン重合
重合様式は、前記成分[A−1]、成分[A−2]、成分[B]及び必要に応じて有機アルミニウム化合物を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用し得る。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずモノマー自身(例えば、プロピレン)を溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は、80℃以下が好ましく、更に好ましくは75℃以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
重合圧力は、1.0MPa以上5.0MPa以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は、4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.0MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.5MPa以上である。また上限は3.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.5MPa以下である。
さらに、分子量調節剤として、また、活性向上効果のために、補助的に水素をモノマーに対して、モル比で1.0×10−6以上、1.0×10−2以下の範囲で用いることができる。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、歪硬化度、溶融張力、溶融延展性といった溶融物性を制御することができる。
本発明で用いることができるモノマーとしてのオレフィンは、炭素数2〜20のα−オレフィン等である。オレフィン重合体は、単一モノマーの単独重合体、二種以上のモノマー間の共重合体が挙げられる。
また、本発明に係るオレフィン重合用触媒の製造方法から得られたオレフィン重合用触媒は、プロピレンの単独重合、プロピレンとプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンとの共重合に、好適に用いることができる。
また、プロピレンモノマー以外に、炭素数2〜20(モノマーとして使用するものを除く)程度のα−オレフィンをコモノマーとして使用する共重合を行ってもよい。プロピレン系重合体中の(総)コモノマー含量は、0モル%以上、20モル%以下の範囲であり、上記コモノマーを複数種使用することも可能である。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンである。
この中では、本発明に係るプロピレン系重合体を、溶融物性と触媒活性をバランスよく得るためには、エチレンを5モル%以下で用いるのが好ましい。特に、剛性の高い重合体を得るためには、重合体中に含まれるエチレンを1モル%以下になるように、エチレンを用いるのがよく、更に好ましくはプロピレン単独重合である。
6.オレフィン重合体の物性
本発明の製造方法から得られたオレフィン重合体では、分岐指数(g’)は、分子量(M)が100万のところで、0.95以下であることを特徴とし、さらには0.90以下であることが好ましい。
[3D−GPCによる分岐構造解析]
本明細書において、3D−GPCとは、3つの検出器が接続されたGPC装置をいう。かかる3つの検出器は、示差屈折計(RI)、粘度検出器(Viscometer)及び多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)である。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。
また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。
検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤のIrganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。
MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
参考文献:
1.Developments in polymer characterization, vol.4. Essex: Applied Science; 1984. Chapter1.
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
[分岐指数(g’)の算出]
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線状ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として、算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線状のポリマー分子と比較して、慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると、極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い、同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。
したがって、分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には、分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い、導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。
[溶融張力(MT)の測定]
本発明に係るオレフィン重合体では、溶融張力(MT)は、5g以上であることが好ましい。
溶融張力(MT)の測定方法について、説明する。
東洋精機社製キャピログラフ1Bを用い、下記の条件で樹脂を紐状に押し出して、ローラーに巻き取っていった時にプーリーに検出される張力を、溶融張力(MT)とする。
キャピラリー:直径2.1mm
シリンダー径:9.6mm
シリンダー押出速度:10mm/分
巻き取り速度:4.0m/分
温度:190℃
ここで、MTの値が大きい方が、溶融張力が高いことを意味する。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
1.触媒(予備重合触媒)の合成
[触媒成分[A−1]の合成例1]:
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−1](錯体1)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウムの合成は、特開2012−149160号公報の合成例1に記載の方法と同様に、実施した。
[触媒成分[A−2]の合成例2]:
(2)rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成:(成分[A−2](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例7に記載の方法と同様に、実施した。
[触媒成分[B]の合成例]
(3)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理:
セパラブルフラスコ中で蒸留水2264gに96%硫酸(668g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)400gを加えた。このスラリーを90℃で210分加熱した。この反応スラリーを蒸留水4000gに加えた後に、ろ過したところケーキ状固体810gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム432g、蒸留水1924gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ状固体を全量投入した。このスラリーを室温で120分反応させた。このスラリーに蒸留水4000g加えた後にろ過して、ケーキ状固体を得た。ケーキ状固体に蒸留水4000g加えろ過する操作を繰り返し、スラリーのpHが5〜6になるまで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体760gを得た。
得られた固体を窒素気流下100℃で一昼夜予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に200℃、2時間、減圧乾燥することにより、化学処理モンモリロナイト220gを得た。
この化学処理モンモリロナイトの組成は、Al:6.45重量%、Si:38.30重量%、Mg:0.98重量%、Fe:1.88重量%、Li:0.16重量%であり、Al/Si=0.175[mol/mol]であった。
(4)触媒調製及び予備重合:
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上記で得られた化学処理モンモリロナイト10gを入れ、ヘプタン(66mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を34.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を50mLとした。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−1]の合成例1で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(105μmol)をトルエン(21mL)に溶解し、溶液1を調製した。
さらに、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分[A−2]の合成例2で作製したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(45μmol)をトルエン(9mL)に溶解し、溶液2を調製した。
先ほどの化学処理モンモリロナイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.42mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.6mL)を加えた後、上記溶液1(21mL)を加えて20分間室温で撹拌した。
その後、更にトリイソブチルアルミニウム(0.18mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.25mL)を加えた後、上記溶液2を加えて、1時間室温で攪拌した。
その後、ヘプタンを170mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを5g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を40℃、1時間減圧乾燥することにより、予備重合触媒;26.1gを得た。予備重合触媒の予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.61、また、元素分析の結果、Al/Hfモル比は62、残存溶媒量は0.35重量%であった。
[参考例1]
上記の予備重合工程終了後、7日室温で経過した予備重合触媒を用いて、以下の重合を行った。
(重合)
3Lオートクレーブを加熱下、窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(143mg/mL)2.86mLを加えた後、水素を24Nml導入した。
次いで、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。
その後、前記の予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で50mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持した後、エタノール5mlを圧入して重合を停止した。そうしたところ、127.5gの重合体が得られた。
[参考例2]
上記参考例1において、水素を36Nml導入する以外は、同様の重合を行った。そうしたところ、175gの重合体が得られた。
[実施例1]
上記で合成した予備重合触媒を、圧力容器内でモレキュラーシーブを通した高純度窒素で0.03MPaGまで加圧した状態で温度が10℃から20℃の範囲で制御された冷蔵倉庫に保存し、800日(約2.2年、2季の夏を経過)保管させた後に、参考例1と同じ重合を行った。
[比較例1]
温調設備のない室内で、実施例1と同じ期間である800日(約2.2年、2季の夏を経過)保管した予備重合触媒を用いて、参考例1と同じ重合を行った。
上記参考例1、2、実施例1と比較例1について、評価結果を表1に示す。また、図1には、得られたプロピレン単独重合体のMFR(単位:g/10分)とMT(単位:g)を、プロットした結果を示す。
評価用サンプルは、得られた重合体に、添加剤として、イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)1250ppmと、イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)1250ppmと、ステアリン酸カルシウム(日油株式会社製)1250ppmを加え、株式会社テクノベル製KZW15TW−45MG同方向噛合型2軸押出機を使用して、溶融混練を行い、ペレット化したものを用いた。
表1と図1から、本発明に係る触媒の保存方法を用いたオレフィン重合体の製造方法(実施例1)では、触媒保存日数が800日を経過したにもかかわらず、参考例1と同等の触媒活性と、得られたオレフィン重合体の性能を有することがわかる。一方、室温で保存した触媒を用いた比較例1では、触媒活性が参考例1より劣り、また、得られたオレフィン重合体の性能も劣ることがわかる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法では、例えば、本発明に係る触媒の保存方法を用いることにより、800日を経過したにもかかわらず、高活性にオレフィン(共)重合体を製造することができ、産業上、利用可能性が高い。

Claims (11)

  1. 下記成分[A−1]、[A−2]及び[B]を含むオレフィン重合用触媒を製造した後、該オレフィン重合用触媒を1℃以上20℃以下に制御された温度で2年以上保存し、かつ
    該保存されたオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
    成分[A−1]:下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物。
    [一般式(1)中、Z11は、−(E12)(R13)m’(R14)p’−、−O−、−S−、−NR15−または−PR16−を表し、
    11及びE12は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、
    11及びR13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基を表し、
    12及びR14は、それぞれ独立して、5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基を表し、該ヘテロ芳香族基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基で置換されていてもよく、
    15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を表し、
    m及びm’は、0または1〜8の整数を表し、
    p及びp’は、Z11が(E12)(R13)m’(R14)p’の場合には、一方または両方が1〜8の整数であり、Z11が−O−、−S−、−NR15−または−PR16−の場合には、pが0または1〜8の整数であり、
    11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、
    11は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、
    11及びX12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
    成分[A−2]:下記一般式(2)で表されるメタロセン化合物。
    [一般式(2)中、E21及びE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよく、但し、置換基が5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基であることはなく、
    21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、
    21は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、
    21及びX22は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
    成分[B]:下記の化合物群から選ばれる少なくとも一種。
    [B−1]担持されたアルミニウムオキシ化合物、
    [B−2]担持された、前記メタロセン化合物[A−1]及び[A−2]と反応してカチオンに変換することが可能な、イオン性化合物またはルイス酸、および
    [B−3]イオン交換性層状珪酸塩。
  2. 下記成分[A−1]、[A−2]及び[B]を含むオレフィン重合用触媒を製造し、該オレフィン重合用触媒とオレフィンとを接触させて予備重合されたオレフィン重合用触媒を製造した後、該予備重合されたオレフィン重合用重合触媒を1℃以上20℃以下に制御された温度で2年以上保存し、かつ
    該保存されたオレフィン重合用重合触媒を用いて、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
    成分[A−1]:下記一般式(1)で表されるメタロセン化合物。
    [一般式(1)中、Z11は、−(E12)(R13)m’(R14)p’−、−O−、−S−、−NR15−または−PR16−を表し、
    11及びE12は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、
    11及びR13は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基を表し、
    12及びR14は、それぞれ独立して、5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基を表し、該ヘテロ芳香族基は、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基で置換されていてもよく、
    15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、または炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を表し、
    m及びm’は、0または1〜8の整数を表し、
    p及びp’は、Z11が(E12)(R13)m’(R14)p’の場合には、一方または両方が1〜8の整数であり、Z11が−O−、−S−、−NR15−または−PR16−の場合には、pが0または1〜8の整数であり、
    11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、
    11は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、
    11及びX12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
    成分[A−2]:下記一般式(2)で表されるメタロセン化合物。
    [一般式(2)中、E21及びE22は、それぞれ独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基であり、それぞれ置換基を有していてもよく、但し、置換基が5員環または6員環中に酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有する単環式または多環式のヘテロ芳香族基であることはなく、
    21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、
    21は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、
    21及びX22は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
    成分[B]:下記の化合物群から選ばれる少なくとも一種。
    [B−1]担持されたアルミニウムオキシ化合物、
    [B−2]担持された、前記メタロセン化合物[A−1]及び[A−2]と反応してカチオンに変換することが可能な、イオン性化合物またはルイス酸、および
    [B−3]イオン交換性層状珪酸塩。
  3. 予め、減圧乾燥されたオレフィン重合用触媒を保存することを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. 減圧乾燥されたオレフィン重合用触媒中の残存溶媒量が0.5wt%以下であることを特徴とする請求項3に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  5. オレフィン重合用触媒を、圧力容器にて不活性ガスを用いて、0.01MPaG〜0.05MPaGの範囲で加圧して保存することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  6. 前記保存は、下記成分[C]が成分[A−1]と成分[A−2]の合計1モルに対して、1〜70モル存在する条件下で保存することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
    成分[C]:有機アルミニウム化合物。
  7. 成分[A−1]は、オレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物[但し、オレフィンマクロマーを生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物とは、70℃でオレフィン単独重合を行った場合に、末端ビニル率(Rv)が0.5以上を満たす重合体を生成する重合用触媒を形成するメタロセン化合物である。]であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  8. 11及びM21は、一方または両方がハフニウムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  9. オレフィン重合体は、分子量(M)が100万(logM=6)における分岐指数(g’)が0.95以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  10. 成分[A−1]及び[A−2]の少なくとも一方は、下記一般式(3)で表されるメタロセン化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
    [一般式(3)中、R31及びR32は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するアミノ基、または5員環もしくは6員環中に酸素原子、硫黄原子もしくは窒素原子を含有する単環式もしくは多環式のヘテロ芳香族基であり、
    33及びR34は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、またはケイ素を含有してもよい炭素数6〜16のアリール基を表し、
    31は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいゲルミレン基を表し、
    31は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムを表し、
    31及びX32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基を有するシリル基、アミノ基または炭素数1〜20のアルキルアミノ基を表す。]
  11. オレフィン重合体は、プロピレン単独重合体、またはプロピレンと炭素数2〜12(3を除く)のαオレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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