JP6259699B2 - 環状オレフィン共重合体組成物およびその架橋体 - Google Patents

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本発明は、環状オレフィン共重合体組成物およびその架橋体に関する。
近年、高周波基板や層間絶縁膜の用途において、高速伝送化のため、当該部分に用いられるコア材料(樹脂)の低誘電率化、および低誘電正接化が望まれている。本分野においては、従来から用いられていたエポキシ樹脂やポリイミド、液晶ポリマーよりもさらに低い誘電率と誘電正接が求められており、その候補材料として、オレフィン系ポリマー、特に環状オレフィンポリマーの開発検討が進められている。
このような高周波基板、層間絶縁膜用途においては、リフローハンダ耐熱が求められる。特許文献1には耐熱性を向上させるために、ガラスフィラーやセラミックス等を環状オレフィンポリマーに配合する技術が開示されている。特許文献2には耐熱性を維持させるために、環状オレフィンモノマーに対し、ルテニウム系触媒を用い、開環メタセシス重合を行うことで架橋体へと変換する技術が開示されている。また、特許文献3には環状オレフィンポリマーをラジカル重合開始剤の存在下で加熱架橋する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に示されるような無機フィラーを添加する方法では、添加量が増えるに従って、誘電特性が損なわれていく傾向があった。また、特許文献2に記載の開環メタセシス重合を行う方法においては、樹脂内にルテニウム触媒が残存してしまうために、所望の誘電特性が損なわれてしまう問題があった。また、特許文献3に記載のラジカル重合開始剤の存在下で加熱架橋する方法においては、ラジカル重合を開始するために200℃まで加熱する必要があり、この加熱が長引くと着色も起こりうる。そのため、加工性の面で改善の余地があった。
特開2013−256596号公報 特開2013−151596号公報 特開2010−100843号公報 特開2013−014738号公報
本発明が解決しようとする課題は、誘電特性に優れた架橋体を低温での重合条件で得られうる環状オレフィン共重合体組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
[1]環状オレフィン共重合体(P)と、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2つ有するヒドロシリル基含有化合物(S)とを含有する環状オレフィン共重合体組成物であって、
前記環状オレフィン共重合体(P)は、
(i)下記一般式(II)、下記一般式(III)および下記一般式(IV)よりなる群から選択される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位と、
(ii)下記一般式(V)で示される環状オレフィン由来の繰り返し単位と、を含む、
環状オレフィン共重合体組成物。
〔一般式(II)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
〔一般式(III)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
〔一般式(IV)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
〔一般式(V)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
[2]前記環状オレフィン共重合体(P)は下記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位を含む、[1]に記載の環状オレフィン共重合体組成物。
〔上記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。〕
[3]前記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位が、エチレン由来の繰り返し単位である、[2]に記載の環状オレフィン共重合体組成物。
[4]前記環状オレフィン共重合体(P)は、少なくとも[2.2.1]−2−ヘプテン又はテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンに由来する構成単位を含む、[1]ないし[3]のいずれか一つに記載の環状オレフィン共重合体組成物。
[5]前記環状オレフィン共重合体(P)に含まれる(i)一般式(II)、一般式(III)および一般式(IV)よりなる群から選択される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含量が1mol%以上40mol%以下である、[1]ないし[4]のいずれか一つに記載の環状オレフィン共重合体組成物。
[6]前記ヒドロシリル基含有化合物(S)が、環状オレフィン共重合体(P)100重量部に対して、0.1重量部以上100重量部以下含まれる、[1]ないし[5]のいずれか一つに記載の環状オレフィン共重合体組成物。
[7][1]ないし[6]のいずれか一つに記載の環状オレフィン共重合体組成物を架橋してなる、架橋体。
[8][7]に記載の架橋体からなる成形体。
[9][8]に記載の成形体であって、当該成形体の最表面から厚み方向の1〜100nmに、前記ヒドロシリル基含有化合物(S)に由来する成分が局在する、成形体。
[10][7]に記載の架橋体を含む樹脂層が、金属箔に積層された回路基板材料。
[11][7]に記載の架橋体からなるフィルム。
[12][11]に記載のフィルムに、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シクロオレフィンポリマー樹脂フィルム、シクロオレフィン共重合体フィルム、ナイロンフィルム、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムから選ばれる1つの樹脂フィルムが積層された、離型フィルム。
本発明の環状オレフィン共重合体組成物は、環状非共役ジエンに由来する単位を有するポリマーを、ヒドロシリル基含有化合物を用いてヒドロシリル化することにより、従来行われていた工程よりも低温での加工を可能とし、かつ、架橋後の低誘電性を維持することを可能とした。また、本発明の環状オレフィン共重合体組成物を架橋し、成形体を得る場合、ケイ素含有成分により当該成形体の表面の改質がなされるという付随効果もある。
実施例1によって得られたフィルムの断面を示すTEM写真である。 実施例1によって得られたフィルムのSi検出ラインプロファイルのチャートである。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。なお、本実施形態において「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
本実施形態の環状オレフィン共重合体組成物は架橋性基を有する環状オレフィン共重合体(P)と、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2つ有するヒドロシリル基含有化合物(S)を含有する。
[環状オレフィン共重合体(P)]
本実施形態の環状オレフィン共重合体(P)は、
(i)下記一般式(II)、下記一般式(III)および下記一般式(IV)よりなる群から選択される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位と、(ii)下記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位と、を含んでなる。
〔一般式(II)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
〔一般式(III)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
〔一般式(IV)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
〔一般式(V)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
環状オレフィン共重合体(P)の原料である環状非共役ジエン単量体は付加共重合して前記式(II)、(III)または(IV)で表される構成単位を形成するものである。具体的には、前記一般式(II)、(III)または(IV)に対応する下記一般式(IIa)、(IIIa)または(IVa)で表される環状非共役ジエン単量体が用いられる。
〔一般式(IIa)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
〔一般式(IIIa)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の正の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
〔一般式(IVa)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
上記一般式(IIa)で表される環状非共役ジエンとしては、具体的には例えば5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−n−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−6−メチル−2−ノルボルネン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン等が挙げられる。このうち5−エチリデン−2−ノルボルネンが好ましい。
上記一般式(IIa)で表される環状非共役ジエンは、具体的には以下の一般式(IIb)で表すこともできる。
〔一般式(IIb)中のRは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。〕
上記一般式(IIIa)で表される環状非共役ジエンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、下記化学式で表される環状非共役ジエンを挙げることができる。これらのうち5−ビニル−2−ノルボルネン、8−ビニル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネンが特に好ましい。
上記一般式(IIIa)で表される環状非共役ジエンは、具体的には以下の一般式(IIIb)で表すこともできる。
〔一般式(IIIb)中のnは0〜10の整数であり、R1は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R2は水素原子または炭素原子数1〜5のアルキル基である。〕
上記一般式(IVa)で表される環状非共役ジエンとしては、具体的には例えばジシクロペンタジエン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,10−ペンタデカジエンなどが挙げられる。このうちジシクロペンタジエンが好ましい。
本実施形態の架橋性基を有する環状オレフィン共重合体(P)には、一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)で表される環状非共役ジエン由来の構成単位が含まれることにより、側鎖部分、すなわち共重合の主鎖以外の部分に二重結合を有することが特徴である。
本実施形態の環状オレフィン共重合体(P)中に含まれる、一般式(II)、一般式(III)および一般式(IV)よりなる群から選択される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含量は、1mol%〜40mol%、好ましくは2mol%〜35mol%、さらに好ましくは3mol%〜30mol%とすることができる。
この範囲にあると、環状オレフィン共重合体(P)の成形性、溶解性が良好で、架橋体の製造が容易となり、製品の歩留まりが向上する。さらに、耐熱性、機械特性、誘電特性、透明性、ガスバリア性および加工性にも優れた架橋体(Q)を得ることができる。
環状オレフィン共重合体(P)の原料の一つである環状オレフィンは付加共重合して前記式(V)で表される構成単位を形成するものである。具体的には、前記一般式(V)に対応する下記一般式(Va)で表される環状オレフィンが用いられる。
〔一般式(Va)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。)
前記一般式(Va)で表される環状オレフィンの具体例については国際公開第2006/118261号パンフレットに記載の化合物を用いることができる。
具体的には、ビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ-1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素数3〜20のシクロアルキレン誘導体が好ましく、特に[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(テトラシクロドデセン)が好ましい。
本実施形態の環状オレフィン共重合体(P)中に含まれる上記の式(V)で表される構成単位は、1mol%〜30mol%、好ましくは3mol%〜25mol%、さらに好ましくは5mol%〜20mol%とすることができる。
この範囲にあると、環状オレフィン共重合体(P)のガラス転移点や柔軟性を適切な範囲に設計することが可能となり、さらには成形性、溶解性が良好で、架橋体の製造が容易となり、製品の歩留まりが向上する。さらに、耐熱性、機械特性、誘電特性、透明性、ガスバリア性および加工性にも優れた架橋体(Q)を得ることができる。
本実施形態の環状オレフィン共重合体(P)は、(i)上記一般式(II)、下記一般式(III)および上記一般式(IV)よりなる群から選択される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位と、(ii)下記一般式(V)で表される1種以上の環状オレフィン由来の繰り返し単位と、を含んでなる。
これらの構成単位の総和は、用いる用途等に応じて適宜設定することができるが、通常は、環状オレフィン共重合体(P)全体の2mol%〜70mol%であり、好ましくは5mol%〜60mol%、さらに好ましくは8mol%〜50mol%、特に好ましくは15mol%〜50mol%である。
上記構成単位を、この範囲に調整することによって、より機械特性と誘電特性に優れた架橋体(Q)が得られやすくなる。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)は、上述した環状非共役ジエンモノマー、式(Va)で表される環状オレフィンに加えて、必要に応じてオレフィンモノマー、式(VIa)または式(VIIa)で表される環状オレフィンモノマー及び式(VIIIa)で表される鎖状ポリエンモノマーを共重合することもできる。
環状オレフィン共重合体(P)の共重合原料として用いることのできるオレフィンモノマーは、付加共重合して前記式(I)で表される骨格を与えるモノマーであり、下記式(Ia)で表されるオレフィンである。
〔上記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。〕
式(Ia)中、R300は水素原子又は炭素原子数1〜29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。優れた耐熱性、機械的特性、誘電特性、透明性、ガスバリア性および加工性を有する架橋体を得る観点から、これらのなかでも、エチレンとプロピレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。前記式(Ia)で表されるオレフィンモノマーは二種類以上を用いてもよい。
環状オレフィン共重合体(P)の共重合原料として前記式(I)で表される骨格を与えるモノマーを含ませる場合、その構成単位は10mol%〜90mol%とすることができ、好ましくは15mol%〜85mol%であり、さらに好ましくは20mol%〜80mol%である。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)は、必要に応じて下記一般式、(VIa)、(VIIa)で表される環状オレフィンモノマー及び下記一般式(VIIIa)で表される鎖状ポリエンモノマーを共重合することもできる。
〔一般式(VIa)中、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81〜R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基もしくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。〕
〔一般式(VIIa)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18の整数である。〕
〔一般式(VIIIa)中、R201からR206は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、Pは炭素原子数1〜20の直鎖または分岐状の炭化水素基で、二重結合及び/または三重結合を含んでいてもよい。〕
[環状オレフィン共重合体(P)の製造方法]
本実施形態の環状オレフィン共重合体(P)を製造するためには、以下のような共重合触媒を用いることができる。
(共重合触媒)
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体(P)を製造する際に用いることのできる、好適な共重合触媒としては、
(K)下記一般式(IX)で表される遷移金属化合物と、
(M)(m-1)有機金属化合物、
(m-2)有機アルミニウムオキシ化合物、
(m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物と、からなる触媒を挙げることができる。
(一般式(IX)中、Mは3族から11族の遷移金属を表す。mは、1〜4の整数を示し、R1〜R6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合には、一つの配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基とが連結されていてもよく(但し、R1同士が結合されることはない)、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよく、nは、Mの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)。
このような共重合触媒を用いることにより、環状オレフィン共重合体(P)における(i)環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含有量を高くすることができる。
(K)遷移金属化合物
本実施形態に係る共重合体を製造する際に好適に用いられる共重合触媒を構成する(K)遷移金属化合物は、上記式(IX)で表される化合物である。
上記式(IX)中、Mは周期律表第3から11族の遷移金属原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ましくは3から6族の金属原子であり、より好ましくは4族または5族の金属原子である。具体的には、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、コバルト、鉄、ルテニウム等が挙げられるが、好ましくはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムであり、特に好ましくは、チタンである。mは1から4の整数を示すが、好ましくは1または2、さらに好ましくは2である。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、たとえば、ベンジル基、クミル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
さらにまた、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を有していてもよい。
これらのうち、特に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基としては、上記例示したものと同様のものが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基など、具体的には、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これらの中では、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などが好ましい。特にトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
次に上記で説明したR1〜R5の例について、より具体的に説明する。
アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などが挙げられる。
アルキルチオ基として具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
アリーロキシ基として具体的には、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基などが挙げられる。
アリールチオ基として具体的には、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
アシル基として具体的には、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などが挙げられる。
エステル基として具体的には、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
チオエステル基として具体的には、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基などが挙げられる。
アミド基として具体的には、アセトアミド基、N−メチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基などが挙げられる。
イミド基として具体的には、アセトイミド基、ベンズイミド基などが挙げられる。
アミノ基として具体的には、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
イミノ基として具体的には、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基、フェニルイミノ基などが挙げられる。
スルホンエステル基として具体的には、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基などが挙げられる。
スルホンアミド基として具体的には、フェニルスルホンアミド基、N−メチルスルホンアミド基、N−メチル−p−トルエンスルホンアミド基などが挙げられる。
1〜R5は、これらのうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
またR6はフェニル基に直接結合した炭素が1級,2級および3級炭素である脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基および芳香族基とすることができ、R6として好ましい脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状(2級)のアルキル基;脂環族炭化水素基としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、2,4,6−トリメチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、2,3,4,5,6−ペンタメチルシクロヘキシル、2,2−ジメチルシクロヘキシル、2,2,6,6−テトラメチルシクロヘキシル、3,5−ジ−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;芳香族基としてはフェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;および、これらの基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基または炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基などの置換基がさらに置換した基などが好ましく挙げられる。
本実施形態では、R6としては特に、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、ネオペンチルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状(2級)のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基から選ばれる基であることが好ましく、あるいはフェニル、ナフチル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基であることも好ましい。
また、mが2以上の場合には、一つの配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基とが連結されていてもよい(但し、R1同士が結合されることはない)。さらに、mが2以上の場合にはR1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は、互いに同一でも異なっていてもよい。
nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、nが2以上の場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基としては、上で例示したものと同様のものが挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜20の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲンに置換した基も含まれる。これらのうちでは、炭素原子数が1〜20のものが好ましい。
ヘテロ環式化合物残基としては、上で例示したものと同様のものが挙げられる。
酸素含有基としては、上で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イオウ含有基としては、上で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p−トルエンスルフォネート基、トリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p−クロルベンゼンスルフォネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p−トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、ペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
窒素含有基として具体的には、上で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ホウ素含有基として具体的には、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
リン含有基として具体的には、トリメチルホスフィン基、トリブチルホスフィン基、トリシクロヘキシルホスフィン基などのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン基、トリトリルホスフィン基などのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト基、エチルホスファイト基、フェニルホスファイト基などのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ケイ素含有基として具体的には、上で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、フェニルシリル基、ジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基などの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基などのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基などのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
ゲルマニウム含有基として具体的には、上で例示したものと同様のものが挙げられ、具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。
スズ含有基として具体的には、上で例示したものと同様のものが挙げられ、より具体的には、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
ハロゲン含有基として具体的には、PF6、BF4などのフッ素含有基、ClO、SbClなどの塩素含有基、IO4などのヨウ素含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルミニウム含有基として具体的には、AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
本実施形態では、このような(K)遷移金属化合物として、上記式(IX)で表される遷移金属化合物のうち、下記一般式(X)で表される遷移金属化合物を用いると、さらに望ましい特性を有する共重合体を製造することが可能となるため好ましい。
(一般式(X)中、mは、1〜4の整数を示し、R1〜R5は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、R6は、フェニル基に結合した炭素が1級、2級、または3級炭素である脂肪族炭化水素基、フェニル基に結合した炭素が1級、2級、または3級炭素である脂環族炭化水素基および芳香族基から選ばれ、これらのうちの2個以上が互いに連結して環を形成していてもよい。また、mが2以上の場合には、一つの配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基と、他の配位子に含まれるR1〜R6のうちの1個の基とが連結されていてもよく(但し、R1同士が結合されることはない)、R1同士、R2同士、R3同士、R4同士、R5同士、R6同士は互いに同一でも異なっていてもよく、nは、Tiの価数を満たす数であり、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。)
以下に、本実施形態で共重合触媒の成分として好適に用いられる(K)遷移金属化合物の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではない。
なお、上記例示中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、n-Prはノルマルプロピル基を、i-Prはイソプロピル基を、n-Buはノルマルブチル基を、i-Buはイソブチル基を、t-Buはターシャリーブチル基を、Phはフェニル基を示す。
このような遷移金属化合物(K)の製造方法は、特に限定されることなく、たとえば以下のようにして製造することができる。
まず、遷移金属化合物(K)を構成する配位子は、サリチルアルデヒド類化合物を、式R1-NH2第1級アミン類化合物(R1は前記と同義である。)、例えばアルキルアミン類化合物と反応させることにより得られる。具体的には、両方の出発化合物を溶媒に溶解する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもメタノール、エタノール等のアルコール溶媒、またはトルエン等の炭化水素溶媒が好ましい。次いで、室温から還流条件で、約1〜48時間攪拌すると、対応する配位子が良好な収率で得られる。配位子化合物を合成する際、触媒として、蟻酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒を用いてもよい。また、脱水剤として、モレキュラーシーブス、無水硫酸マグネシウムまたは無水硫酸ナトリウムを用いたり、ディーンスタークにより脱水しながら行うと、反応進行に効果的である。
次に、こうして得られた配位子を遷移金属M含有化合物と反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することができる。具体的には、合成した配位子を溶媒に溶解し、必要に応じて塩基と接触させてフェノキサイド塩を調製した後、金属ハロゲン化物、金属アルキル化物等の金属化合物と低温で混合し、−78℃から室温、もしくは還流条件下で、約1〜48時間攪拌する。溶媒としては、このような反応に一般的なものを使用できるが、なかでもエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等の極性溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒などが好ましく使用される。また、フェノキサイド塩を調製する際に使用する塩基としては、n-ブチルリチウム等のリチウム塩、水素化ナトリウム等のナトリウム塩等の金属塩や、トリエチルアミン、ピリジン等を例示することができるが、この限りではない。
また、化合物の性質によっては、フェノキサイド塩調製を経由せず、配位子と金属化合物とを直接反応させることで、対応する遷移金属化合物を合成することもできる。さらに、合成した遷移金属化合物中の金属Mを、常法により別の遷移金属と交換することも可能である。また、例えばR1〜R6の一つ以上が水素である場合には、合成の任意の段階において、水素以外の置換基を導入することができる。
また、遷移金属化合物を単離せず、配位子と金属化合物との反応溶液をそのまま重合に用いることもできる。
(触媒成分(M))
上述した(K)遷移金属化合物とともに好適に用いられる触媒成分(M)は、(m-1)有機金属化合物、(m-2)有機アルミニウムオキシ化合物、(m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(m-1)有機金属化合物
本実施形態で好適に用いられる(m-1)有機金属化合物としては、具体的には下記のような周期表第1、2族および第12、13族の有機金属化合物が用いられる。
(m-1a) 一般式 Ra mAl(ORb)npq
(一般式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
(m-1b) 一般式 M2AlRa 4
(一般式中、M2 はLi、NaまたはKを示し、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(m-1c) 一般式 Rab3
(一般式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdである。)で表される周期表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
前記(m-1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、次のような化合物などを例示できる。
一般式 Ra mAl(ORb)3-m
(一般式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlX3-m
(一般式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra m AlH3-m
(一般式中、Ra は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式 Ra mAl(ORbnq
(一般式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)で表される有機アルミニウム化合物。
(m-1a)に属する有機アルミニウム化合物としてより具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;(i−C49)xAly(C510)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
また(m-1a)に類似する化合物も使用することができ、たとえば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2などを挙げることができる。
前記(m-1b)に属する化合物としては、LiAl(C25)4、LiAl(C715)4などを挙げることができる。またその他にも、(m-1) 有機金属化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを使用することもできる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを使用することもできる。
このような(m-1) 有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましい。上記のような(m-1) 有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
(m-2)有機アルミニウムオキシ化合物
本発明で用いられる(m-2) 有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記(1)〜(3)のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(m-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
また本実施形態で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であるもの、すなわち、ベンゼンに対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。
本実施形態で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
(上記式で表されるボロン化合物中、R7は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。R8は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
前記式で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式で表されるアルキルボロン酸と、
7-B(OH)2
(一般式中、R7は前記と同じ基を示す。)
有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
前記一般式で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(m-1a)に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記のような (m-2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
(m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物
本実施形態で用いられる遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物(m-3) (以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、USP-5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
具体的には、ルイス酸としては、BR(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(XI)で表される化合物が挙げられる。
式(XI)中において、R9+はH+またはカチオンであり、R10〜R13は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
前記カルボニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
9+としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
またイオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などを挙げることもできる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素などが挙げられる。
N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−ジエチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
さらにイオン性化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記式(XII)または(XIII)で表されるホウ素化合物などを挙げることもできる。
(一般式(XII)中、Etはエチル基を示す。)
(一般式(XIII)中、Etはエチル基を示す。)
ボラン化合物として具体的には、たとえば
デカボラン;ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
カルボラン化合物として具体的には、たとえば
4−カルバノナボラン、1,3−ジカルバノナボラン、6,9−ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン、2,7−ジカルバウンデカボラン、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫から選ばれる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩、例えば周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等との塩、トリフェニルエチル塩等との有機塩が使用できるが、この限りではない。
上記のような (m-3)遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物(イオン化イオン性化合物)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
本実施形態では、遷移金属化合物(K)を触媒成分とする場合、助触媒成分としてのメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(m-2)とを併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示す。
また、本実施形態に係るオレフィン重合用触媒は、上記遷移金属化合物(K)と、(m-1) 有機金属化合物、(m-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(m-3) 遷移金属化合物(K)と反応してイオン対を形成する化合物(イオン化イオン性化合物)から選ばれる少なくとも1種の化合物(M)とともに、必要に応じて後述するような担体(N)を用いることもできる。
(担体(N))
本実施形態で用いることのできる担体(N)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
多孔質酸化物として、具体的にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、またはこれらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2-V25 、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgOなどを使用することができる。これらのうち、SiO2および/またはAl23を主成分とするものが好ましい。なお、上記無機酸化物は、少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmであって、比表面積が50〜1000m2/g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。
無機塩化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機塩化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
本実施形態で用いられる粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、CdI型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO2・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ―Zr(HPO4)2、γ−Ti(HPO4)2、γ−Ti(NH4PO4)2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜30000Åの範囲について測定される。
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
本実施形態で用いられる粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
本実施形態で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl、ZrClなどの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+などの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基等)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
本実施形態で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のオレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
重合の際における各触媒成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1) 成分(K)を単独で重合器に添加する方法。
(2) 成分(K)および成分(M)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3) 成分(K)を担体(N)に担持した触媒成分、成分(M)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4) 成分(M)を担体(N)に担持した触媒成分、成分(K)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5) 成分(K)と成分(M)とを担体(N)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(2) 〜(5) の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
成分(M)が担体(N)に担持されている上記(4)(5)の各方法においては、必要に応じて担持されていない成分(K)を、任意の順序で添加してもよい。この場合成分(M)は同一でも異なっていてもよい。
また、上記の成分(N)に成分(K)が担持された固体触媒成分、成分(N)に成分(K)および成分(M)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに触媒成分が担持されていてもよい。
本実施形態に係る共重合体の製造方法では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、上述した一般式(IIa)、下記一般式(IIIa)および下記一般式(IVa)よりなる群から選択される少なくとも1種の環状非共役ジエンと、上記一般式(Va)で表される環状オレフィンを付加重合することにより、本発明の環状オレフィン共重合体(P)を得ることができる。さらに、環状オレフィン共重合体(P)の共重合原料として上記一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマー、(VIa)、(VIIa)で表される環状非共役ジエン以外の環状オレフィン、または上記一般式(VIIIa)で表される鎖状ポリエンを用いることもできる。
本実施形態では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができ、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
上記のようなオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(K)は、反応容積1リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
成分(m-1)は、成分(m-1)と、成分(K)中の全遷移金属原子(Metal)とのモル比〔(m-1)/Metal〕が通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられる。成分(m-2)は、成分(m-2)中のアルミニウム原子と、成分(K)中の全遷移金属(Metal)とのモル比〔(m-2)/Metal〕が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。成分(m-3)は、成分(m-3)と、成分(K)中の遷移金属原子(Metal)とのモル比〔(m-3)/Metal〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
また、このようなオレフィン重合触媒を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
得られる共重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによっても調節することができる。さらに、使用する成分(M)の量により調節することもできる。
上記に記載の触媒系を用いて得られる共重合体中の分子量に関しては、上記の触媒系の成分を選択、及び重合条件を選択することにより任意に制御可能である。
上記に記載の触媒系を用いて得られる共重合体の分子量分布に関しては、上記の触媒系の成分を選択及び重合条件を選択することにより、Mw/Mnが3以下、好ましくは2.7以下、さらに好ましくは2.3以下の狭分子量分布ポリマーを合成することができる。
上記に記載の触媒系を用いて得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)関しては、上記の触媒系の成分を選択、および重合条件を選択することにより、Tgが70℃以上、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上の高Tgポリマーを合成することができる。
本実施形態において得られた環状オレフィン共重合体(P)は、有機溶剤に溶解されたワニスの状態で架橋体(Q)の製造に用いられる。なお、ワニスは、環状オレフィン共重合体(P)が得られた際の反応溶液をそのまま用いることができ、また環状オレフィン共重合体(P)を精製した後、別途有機溶剤を添加することにより調製することもできる。
[ヒドロシリル基含有化合物(S)]
本実施形態で用いられるヒドロシリル基含有化合物(S)(本明細書中では、化合物(S)またはSiH基含有化合物と称すこともある)は、環状オレフィン共重合体(P)と反応する、架橋剤として作用する。この化合物(S)は、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子に直結した水素原子、すなわちSiH基を含んでいれば、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている、例えば線状、環状、分岐状構造あるいは三次元網目状構造の樹脂状物などいずれも使用できる。
化合物(S)は、環状オレフィン共重合体(P)100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜75重量部、より好ましくは3〜60重量部、さらに好ましくは5〜50重量部の割合で用いられる。上記範囲内であると、架橋密度が適度で強度特性および誘電率の低い架橋体(Q)が得られる。
化合物(S)としては、通常、下記一般組成式[XV]
4 bcSiO(4-b-c)/2・・・[XV]
で表わされる化合物を使用することができる。
組成式[XV]において、R4 は、脂肪族不飽和結合を除く、炭素原子数1〜10、好ましくは炭素原子数1〜8の置換または非置換の1価炭化水素基であり、たとえば、炭素原子数1〜10のアルキル基や、フェニル基、ハロゲン置換のアルキル基、たとえばトリフロロプロピル基を例示することができる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、特にメチル基、フェニル基が好ましい。
また、bは、0≦b<3、好ましくは0.6<b<2.2、特に好ましくは1.5≦b≦2であり、cは、0<c≦3、好ましくは0.002≦c<2、特に好ましくは0.01≦c≦1であり、かつ、b+cは、0<b+c≦3、好ましくは1.5<b+c≦2.7である。
化合物(S)は、1分子中のケイ素原子数が、好ましくは2〜1000個、特に好ましくは2〜300個、最も好ましくは2〜200個のオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、たとえば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8−ペンタメチルペンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、R4 2(H)SiO1/2 単位とSiO4/2 単位とからなり、任意にR4 3SiO1/2 単位、R4 2SiO2/2 単位、R4(H)SiO2/2単位、(H)SiO3/2またはR4SiO3/2単位を含み得るシリコーンレジンなどを挙げることができる。
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば、下式[XVa]で示される化合物、さらには、式[XVa]においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
(CH3)3SiO-(-SiH(CH3)-O-)d-Si(CH3)3・・・[XVa]
なお、式[XVa]中のdは2以上の整数である。
分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、下式[XVb]で示される化合物、さらには式[XVb]においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
(CH3)3SiO-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH3)3・・・[XVb]
なお、式[XVb]中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。
分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式[XVc]で示される化合物、さらには式[XVc]においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
HOSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)2-Si(CH3)2OH・・・[XVc]
分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば、下式[XVd]で示される化合物、さらには下式[XVd]においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
HOSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)f-Si(CH3)2OH・・・[XVd]
なお、式[XVd]中のeは1以上の整数であり、fは2以上の整数である。
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンとしては、たとえば、下式[XVe]で示される化合物、さらには下式[XVe]においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-Si(CH3)2H・・・[XVe]
なお、式[XVe]中のeは1以上の整数である。
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサンとしては、たとえば下式[XVf]で示される化合物、さらには下式[XVf]においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
HSi(CH3)2O-(-SiH(CH3)-O-)e-Si(CH3)2H・・・[XVf]
なお、式[XVf]中のeは1以上の整数である。
分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体としては、たとえば下式[XVg]で示される化合物、さらには下式[XVg]においてメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換した化合物などが挙げられる。
HSi(CH3)2O-(-Si(CH3)2-O-)e-(-SiH(CH3)-O-)h-Si(CH3)2H・・・[XVg]
なお、式[XVg]中のeおよびhは、それぞれ1以上の整数である。
このような化合物は、公知の方法により製造することができ、たとえば、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよび/またはテトラメチルシクロテトラシロキサンと、末端基となり得るヘキサメチルジシロキサンあるいは1,3−ジハイドロー1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなどの、トリオルガノシリル基あるいはジオルガノハイドロジェンシロキシ基を含む化合物とを、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸等の触媒の存在下に、−10℃〜+40℃程度の温度で平衡化させることによって容易に得ることができる。
これらの化合物(S)は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
〔ヒドロシリル化反応に用いられる触媒〕
本実施形態においては、ヒドロシリル化を行う際に任意の触媒を用いてもよい。
本実施形態において任意成分として用いられる触媒は、付加反応触媒であり、環状オレフィン共重合体(P)中における炭素−炭素二重結合に対して、化合物(S)のSiH基の付加反応(アルケンに対するヒドロシリル化反応)を促進するものであれば特に制限はなく、たとえば、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族元素よりなる付加反応触媒(周期律表8族金属、8族金属錯体、8族金属化合物等の8族金属系触媒)を挙げることができる。本実施形態では、周期律表8族元素金属と、ビニル基および/またはカルボニル基を含む化合物との錯体を用いることが望ましい。周期律表8族元素金属としては、白金が特に好ましい。
白金系触媒は、通常、付加硬化型の硬化に使用される公知のものでよく、たとえば米国特許第2,970,150号明細書に記載の微粉末金属白金触媒、米国特許第2,823,218号明細書に記載の塩化白金酸触媒、米国特許第3,159,601号明細書および米国特許第159,662号明細書に記載の白金と炭化水素との錯化合物、米国特許第3,516,946号明細書に記載の塩化白金酸とオレフィンとの錯化合物、米国特許第3,775,452号明細書および米国特許第3,814,780号明細書に記載の白金とビニルシロキサンとの錯化合物などが挙げられる。より具体的には、白金の単体(白金黒)、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、あるいはアルミナ、シリカ等の担体に白金の担体を担持させたものなどが挙げられる。
錯化合物を構成するオレフィンとしては、ビニル基含有オルガノシロキサンが好ましい。これらと白金との錯体としては、具体的には、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルテトラエチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルテトラプロピルジシロキサン錯体、白金−ジビニルテトラブチルジシロキサン錯体、白金−ジビニルテトラフェニルジシロキサン錯体が挙げられる。
また、白金触媒として、白金−カルボニル錯体、白金−オクタナル錯体、白金−カルボニルブチル環状シロキサン錯体、白金−カルボニルフェニル環状シロキサン錯体なども用いることができる。
ビニル基含有オルガノシロキサンの中でも、ビニル基含有環状オルガノシロキサンが好ましい。これらと白金との錯体としては、白金−ビニルメチル環状シロキサン錯体、白金−ビニルエチル環状シロキサン錯体、白金−ビニルプロピル環状シロキサン錯体が挙げられる。ビニル基含有オルガノシロキサンは、それ自体を金属に対する配位子としてもよいが、他の配位子を配位させる際の溶媒として用いてもよい。ビニル基含有オルガノシロキサンを溶媒として用い、前述のカルボニル基を含む化合物を配位子とする錯体は、本発明のヒドロシリル化反応に用いられる触媒として、特に好ましい。
このような錯体としては、具体的には、白金−カルボニル錯体のビニルメチル環状シロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のビニルエチル環状シロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のビニルプロピル環状シロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラメチルジシロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラエチルジシロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラプロピルジシロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラブチルジシロキサン溶液、白金−カルボニル錯体のジビニルテトラフェニルジシロキサン溶液が挙げられる。
これらの錯体からなる触媒は、ビニル基および/またはカルボニル基を含む化合物以外の成分を更に含んでいてもよい。たとえばビニル基および/またはカルボニル基を含む化合物以外の溶媒を含んでいてもよい。これらの溶媒としては、各種アルコールや、キシレン等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
アルコールとしては、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール等の脂肪族飽和アルコール類;アリルアルコール、クロチルアルコール等の脂肪族不飽和アルコール類;シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の脂環式アルコール類;ベンジルアルコール、シンナミルアルコール等の芳香族アルコール類;フルフリルアルコール等の複素環式アルコール類などが挙げられる。
アルコールを溶媒として用いた例として、白金−オクタナル/オクタノール錯体が挙げられる。これらの溶媒を含むことにより、触媒の取扱いや、ゴム組成物への混合が容易になる等の利点が生ずる。以上に挙げた各種触媒のうちで、白金−カルボニル錯体のビニルメチル環状シロキサン溶液(中でも下記化学式1で示される錯体が好ましい)、白金−ビニルメチル環状シロキサン錯体(中でも化学式2で示される錯体が好ましい)、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(中でも化学式3で示される錯体が好ましい)、白金−オクタナル/オクタノール錯体等が実用上好ましく、その中でも、白金−カルボニルビニルメチル環状シロキサン錯体が特に好ましい。
化学式1: Pt0・CO・(CH2=CH(Me)SiO)4
化学式2: Pt0・(CH2=CH(Me)SiO)4
化学式3: Pt0-1.5[(CH2=CH(Me)2Si)2O]
パラジウム系触媒は、パラジウム、パラジウム化合物、塩化パラジウム酸等からなり、また、ロジウム系触媒は、ロジウム、ロジウム化合物、塩化ロジウム酸等からなる。
上記以外の触媒としては、ルイス酸、コバルトカルボニルなどが挙げられる。これらの触媒は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
また、これらの触媒に含まれる周期律表8族元素金属(好ましくは白金)の割合は、触媒全体に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、さらに好ましくは2〜4重量%ある。
触媒は、環状オレフィン共重合体(P)100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部の割合で用いられる。この範囲内で用いると、架橋密度が適度で強度特性に優れ、誘電率の低い架橋体を形成することができる。
なお、本発明においては、触媒を含まない環状オレフィン組成物に、光、γ線、電子線等を照射して架橋体を得ることもできる。
〔反応抑制剤〕
本実施形態では、任意成分として、本発明の目的を損なわない範囲で公知の反応抑制剤を用いてもよい。
抑制剤としては、特に限定されないが、たとえば、ベンゾトリアゾール、エチニル基含有アルコール(たとえば、1−エチニル−2−エチル−1−ヘキサノール、エチニルシクロヘキサノール)、アクリロニトリル、アミド化合物(たとえば、N,N−ジアリルアセトアミド、N,N−ジアリルベンズアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−o−フタル酸ジアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−m−フタル酸ジアミド、N,N,N',N'−テトラアリル−p−フタル酸ジアミドなど)、イオウ、リン、窒素、アミン化合物、イオウ化合物、リン化合物、スズ、スズ化合物、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン、ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物などが挙げられる。
これらの反応抑制剤は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
反応抑制剤は、特に限定されないが、環状オレフィン共重合体(P)100重量部に対して、通常0〜50重量部、好ましくは0.0001〜50重量部、より好ましくは0.0001〜30重量部、さらに好ましくは0.0001〜20重量部、特に好ましくは0.0001〜10重量部、最も好ましくは0.0001〜5重量部の割合で用いられる。
[環状オレフィン共重合体組成物]
本実施形態の環状オレフィン共重合体組成物は、前述の環状オレフィン共重合体(P)とヒドロシリル基含有化合物(S)を含むものである。
本実施形態の環状オレフィン共重合体組成物を作製する際は、前述の環状オレフィン共重合体(P)とヒドロシリル基含有化合物(S)を含ませ、その他、任意の成分を含ませて混合すればよい。
本実施形態の環状オレフィン共重合体組成物に含ませることのできる成分として、たとえば以下に示すポリマー(A)が挙げられる。
[ポリマー(A)]
ポリマー(A)は、環状オレフィン共重合体(P)以外の樹脂である。具体的には、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、アニリン樹脂、アセトン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、マレイミド樹脂、マレイミド−シアン酸エステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、およびポリカルボジイミド樹脂から選ばれる熱硬化性樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ゴム系樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、汎用エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック、および生分解性プラスチックからなる群から選択される一種または二種以上が挙げられる。本実施形態の環状オレフィン共重合体組成物は、ポリマー(A)を含ませることにより、組成物を架橋して架橋体を得る際に、所望の耐熱性や機械特性、接着性などを発現させることができる。
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、アニリン樹脂、アセトン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、マレイミド樹脂、マレイミド−シアン酸エステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリカルボジイミド樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、および脂環式オレフィン構造又はフルオレン構造を有するエポキシ樹脂等から選択される1種または2種以上が挙げられる。
上記オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ターポリマー等のエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸共重合体等のエチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレン・エチレンアクリレート共重合体、エチレン・メタクリレート共重合体、エチレン・エチレンアクリレート・無水マレイン酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体の金属塩、エチレン・メタアクリル酸共重合体の金属塩等のアイオノマー樹脂等のエチレン系樹脂;イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン等のポリプロピレン、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体等のプロピレン系樹脂;ポリ1−ブテン;ポリ4−メチル−1−ペンテン;ポリイソプレン;ポリイソブチレン;上記環状オレフィン共重合体(P)以外の環状オレフィン共重合体等が挙げられる。これらのオレフィン系樹脂は、変性されていてもよい。
該変性は、オレフィン系樹脂に対して、エポキシ化、ヒドロキシル化、無水カルボン酸化、カルボン酸化、グラフト変性等の公知の手法を用いて行なうことができる。
上記環状オレフィン共重合体(P)以外の環状オレフィン(共)重合体としては、例えば、国際公開第2008/047468号パンフレットの段落0030〜0123に記載の重合体を用いることができる。
例えば、繰り返し構造単位の少なくとも一部に脂環族構造を有する重合体(以下、単に「脂環族構造を有する重合体」ともいう)であり、重合体の繰り返し単位の少なくとも一部に脂環族構造を有するものであればよく、具体的には下記一般式(3)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体を含むことが好ましい。
(式(3)中、x、yは共重合比を示し、0/100≦y/x≦95/5を満たす実数である。x、yはモル基準である。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の実数である。
は、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2+n価の基である。
は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
は、炭素原子数2〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる4価の基である。
Qは、COOR(Rは、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。)である。
、R、RおよびQは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。)
また前記一般式(3)において、Rは、好ましくは、炭素原子数2〜12の炭化水素基から選ばれる1種ないし2種以上の2価の基であり、さらに好ましくはn=0の場合、下記一般式(7)で表される2価の基であり、最も好ましくは、下記一般式(7)において、pが0または1である2価の基である。Rの構造は1種のみ用いても、2種以上を併用しても構わない。
ここで、式(7)中、pは、0〜2の整数である。
また、上記環状オレフィン共重合体(P)以外の環状オレフィン(共)重合体としては、エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体であり、下記一般式(4)で表現される環状オレフィン系共重合体である。例えば、エチレンまたは炭素原子数が3〜30の直鎖状または分岐状のα−オレフィン由来の構成単位(A)と、環状オレフィン由来の構成単位(B)とからなる。
(式(4)中、Rは、炭素原子数2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる2価の基である。
は、水素原子、又は炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1価の基である。
およびRは、それぞれ1種であってもよく、2種以上を任意の割合で有していてもよい。
x、yは共重合比を示し、5/95≦y/x≦95/5を満たす実数である。好ましくは50/50≦y/x≦95/5、さらに好ましくは、55/45≦y/x≦80/20である。x、yはモル基準である。
エチレンまたはα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体は、エチレンおよび環状オレフィンからなる共重合体が好ましく、環状オレフィンがテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、シクロペンタジエン−ベンザイン付加物およびシクロペンタジエン−アセナフチレン付加物からなる群から選ばれるものであるのがより好ましい。
上記環状オレフィン共重合体(P)以外の環状オレフィン(共)重合体としては、前記一般式(3)で表される1種ないし2種以上の構造を有する重合体または一般式(4)で表現される環状オレフィン系共重合体が水素添加処理された重合体であってもよい。
上記アクリル系樹脂としては、例えば、アクリレート、メタクリレートを主体に重合して得られるポリマー等が挙げられる。使用するモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等であり、さらに、酢酸ビニルも用いられる。アクリル系樹脂は上記モノマーの他に内部架橋モノマーを共重合させてあってもよい。
上記内部架橋モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ビニルピリジン、第3ブチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アクリルグリシジルエーテル、無水イタコン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタアクリルアミド、マレインアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、モノ(2−メタクリロイルエチル)アシッドホスフェート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等を挙げることができ、これら単独であるいは組み合わせて用いられる。
上記スチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、α−メチルスチレン・スチレン樹脂、スチレン・共役ジエンブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエンブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)、スチレン・共役ジエン・スチレンのトリブロック樹脂の水素添加物(共役ジエンとしてはブタジエン、イソプレン等)等が挙げられる。
上記ゴム系樹脂としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、二トリルゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、シリコーンゴム、フッ化シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。
上記ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
上記汎用エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンオキシド;ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド等のポリアミド樹脂;シンジオタクチックポリスチレン;超高分子量ポリエチレン等が挙げられる。
上記スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、芳香族ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、アラミド樹脂等が挙げられる。
上記生分解性プラスチックとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリヒドロキシブチレート、ポリブチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、セルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートアジペート変性、ポリブチレンサクシネートカーボネート変性、ポリブチレンアジペート・テレフタレート、でんぷん等が挙げられる。
本実施形態においてポリマー(A)は1種類を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
また、ポリマー(A)は、発明の目的を損なわない限り任意の割合で配合してもよいが、環状オレフィン共重合体(P)100質量部に対して、たとえば1〜200質量部、好ましくは5〜100質量部配合することができる。
このような範囲にすることにより、環状オレフィン共重合体組成物を架橋して得られる架橋体の耐熱性や柔軟性をより良好なものとすることができる。
本実施形態の環状オレフィン共重合体組成物は前述の環状オレフィン共重合体(P)とヒドロシリル基含有化合物(S)の他に架橋助剤を配合することもできる。
架橋助剤としては、特に制限はないが、具体的には例えばp−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシム等のオキシム類;エチレンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アクリル酸/酸化亜鉛混合物、アリルメタクリレート等のアクリレートもしくはメタクリレート類;ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルピリジン等のビニルモノマー類;ヘキサメチレンジアリルナジイミド、ジアリルイタコネート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル化合物類;N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、N,N'−(4,4'−メチレンジフェニレン)ジマレイミド等のマレイミド化合物類等、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等の環状非共役ジエン類が挙げられる。これらの架橋助剤は単独で用いてもよいし、組み合わせて使用することもできる。
その他、必要に応じて、公知の耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填剤などを本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。任意成分として配合される安定剤として、具体的には、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2'−オキザミドビス〔エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどをあげることができる。これらは単独で配合してもよいし、組合せて配合してもよく、たとえばテトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンとステアリン酸亜鉛およびグリセリンモノステアレートとの組合せなどを例示できる。
有機または無機の充填剤としては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などを例示できる。
各種添加剤を混合するには、環状オレフィン共重合体(P)とヒドロシリル基含有化合物(S)との混合物に各種添加剤を押出機などで溶融ブレンドする方法、環状オレフィン共重合体(P)とヒドロシリル基含有化合物(S)との混合物に各種添加剤を適当な溶媒、たとえばヘプタン、ヘキサン、デカン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレンのような飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素などに溶解、分散させて行う溶液ブレンド法などを採用することができる。
[架橋体(Q)の製造方法]
本実施形態の架橋体(Q)は、上述の環状オレフィン共重合体(P)と上述のヒドロシリル基含有化合物(S)との混合体、すなわち、環状オレフィン共重合体組成物を架橋することにより得られる。この架橋方法としては特に制限はないが、加熱を行う方法や、電子線や他の放射線を用いて、任意の形に成形しながら、または成形後に架橋する方法等が挙げられる。
本実施形態における環状オレフィン共重合体組成物を架橋する温度は通常50〜300℃、好ましくは80〜200℃、さらに好ましくは100〜150℃の温度で行い、温度を段階的に変化させて架橋を行っても良い。なお、本実施形態の環状オレフィン共重合体組成物は、ヒドロシリル基を含有する化合物により架橋を行うことができ、たとえば、過酸化物のみにより架橋を行う場合よりも低い温度で架橋を行うことができる。
電子線や他の放射線を用いて架橋する方法は、成型時の温度、流動性の制限を伴わないという利点があり、放射線としては、電子線の他、γ線、UV等を挙げることができる。
架橋反応は、環状オレフィン共重合体(P)と、ヒドロシリル基含有化合物(S)の混合物(すなわち、環状オレフィン共重合体組成物)を溶融状態として行うこともできるし、または該混合物を溶媒に溶解、又は分散させた溶液状態で行うこともできるし、または溶媒に溶解した溶液状態から溶媒を揮発させフィルム、コーティング等任意の形に成形した後にさらに架橋反応を進行させることもできる。
溶融状態で反応を行う場合はミキシングロール、バンバリーミキサー、押出機、ニーダ、連続ミキサーなどの混練装置を用いて、原料の混合物を溶融混練して反応させる。また、任意の手法で成形した後に更に架橋反応を進行させることもできる。
溶液状態で反応を行う場合に使用する溶媒としては前記溶液ブレンド法で用いた溶媒と同様の溶媒が使用できる。
電子線またはその他の放射線、UVを用いて架橋反応を行う場合には、任意の方法で付形した後に、反応を行うことができる。
[架橋体(Q)]
上述の方法により得られる本実施形態の架橋体(Q)は、耐熱性に優れ、高い耐熱性を要求される電子部品等の分野に適している。
また、この架橋体(Q)は、誘電特性に優れるものであり、誘電率として、通常3.0以下、好ましくは、2.7以下、さらに好ましくは、2.5以下となる。なお、誘電率は実施例項に記載される条件にて、JIS K6911に準拠し測定することができる。
[成形体]
また、上述の方法により得られる本実施形態の架橋体(Q)から成形体を得ることができる。
また、本実施形態の成形体は、製造する条件により、成形体の最表面から厚み方向の1〜100nmに、ヒドロシリル基含有化合物(S)に由来する成分を局在させることができる。
こうすることで、当該成形体は、表面自由エネルギーが小さく、表面離型性に優れたものとなる。
[用途]
本実施形態の架橋体(Q)は、耐溶剤性、耐熱性、機械的強度、透明性に優れる成形体を与えることができるので、高周波基板、層間絶縁膜、透明フレキシブルディスプレイ、電子ペーパー、離型フィルム、医療用容器、食品・医療用包装材、ガスバリアフィルム、光学レンズ、透明接着剤、キャパシタ材、電線被覆材、医療用カテーテルのマンドレル、太陽電池用部材、自動車用部材、航空宇宙用部材といった用途で使用することができる。
より具体的には、本実施形態の架橋体を含む樹脂層に金属箔を積層させることで、回路基板材料を作製することができる。特に、本実施形態の架橋体(Q)は、材料として優れた耐熱性、透明性、機械的特性、誘電特性等を付与することができるので、高周波回路基板などの高周波用途に好適に用いることができる。
また、本実施形態の架橋体(Q)は加工性にも優れるため、フィルムとして好適に用いることができる。
さらに、架橋体(Q)は表面自由エネルギーが小さく、表面離型性に優れたフィルムを与えるため、上記フィルムを他の樹脂フィルムに対して積層させて、離型フィルムを作製することができる。
この樹脂フィルムとしては、たとえば、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、シクロオレフィンポリマー樹脂(COP)フィルム、シクロオレフィン共重合体(COC)フィルム、ナイロンフィルム、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム等を用いることができる。
また、これらの樹脂フィルムを構成する樹脂材料は、任意で組み合わせて使用することもできる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で上記以外の構成を採用することもできる。
以下、実施例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、合成例によって得られた環状オレフィン共重合体(P)の組成、極限粘度[η]は、次に述べる方法で測定した。
組成;H−NMR測定を行い、二重結合炭素に直接結合している水素由来のピークとそれ以外の水素のピークの強度により環状非共役ジエン含量を算出した。
極限粘度[η];135℃デカリン中で測定した。
実施例によって得られたフィルムは次に述べる方法で評価を行った。
貯蔵弾性率E';実施例によって得られたフィルムについて、300℃における貯蔵弾性率を測定した。測定装置はTA−Instruments社製のRSA−IIIを用い、引張粘弾性測定により、3℃/minの昇温温度、周波数1Hz、ひずみ0.1%にて測定しており、300℃における貯蔵弾性率E'を測定した。
誘電率評価;実施例によって得られたフィルムについて、誘電率を評価した。評価はJIS K6911に準拠し、試験装置にはprecision LCR meter HP4284A(アジレントテクノロジー(株)製)、試験片の形状は50mm×50mmとし、試験片に主電極(φ18mm)、ガード電極(φ26mm)、対電極(φ28mm)を導電ペーストで形成し、試験環境22℃×60%RH、測定周波数1MHzで測定を行った。誘電率が2.5以上となるものを×、2.5未満となるものを○とした。
表面離型性;実施例によって得られたフィルムについて、表面離型性評価をした。評価は、濡れ試薬(JIS K6768準拠)を使用して実施した。濡れ表面張力(25℃)が35.0mN/mの濡れ試薬で試験したときに、はじくものを○、濡れるものを×とした。
実験には以下の原材料を用いた。
遷移金属化合物(1)
(特開2004−331965号公報に記載の方法により合成。)
メチルアルミノキサン(アルベマーレ社製:20%MAOトルエン溶液)
トルエン(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
キシレン(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
5−ビニル−2−ノルボルネン(東京化成工業株式会社製)
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(三井化学株式会社製)
イソブチルアルコール(同仁化学研究所製)
アセトン(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
メタノール(和光純薬工業株式会社製:和光特級)
デカヒドロナフタレン(和光純薬工業株式会社製:和光一級)
ヒドロシリル基含有化合物(信越化学社製、X93−916)
反応抑制剤(信越化学社製、X93−1036)
白金触媒(信越化学社製、X93−1410)
環状オレフィンコポリマー(三井化学社製、アペル6015T)
沈殿法シリカ(東ソー・シリカ社製、ニップシールSS−95)
過酸化物(日油株式会社製、パークミルD(ジクミルペルオキシド))
架橋剤(日本化成株式会社製、TAIC(トリアリルイソシアヌレート))
[合成例1(環状オレフィン重合体(P1))]
十分に窒素置換した内容積2Lのガラス製オートクレーブにキシレン1500ml、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)36.5g、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(TD)16.3gを装入し、液相および気相を150NL/hの流量のエチレンガスおよび18NL/hの流量の水素ガスで飽和させた。その後、このオートクレーブにメチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で3mmol、引き続き、遷移金属化合物(1)0.010molをトルエン1mlに溶解させて加え、重合を開始した。上記のエチレンガス雰囲気下25℃常圧で25分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することで重合を停止した。重合終了後、反応物を、20mlの濃塩酸を加えたアセトン5600mlとメタノール1900mlの混合溶媒に投入してポリマーを全量析出させ、撹拌後濾紙でろ過した。本操作を反応物がなくなるまで繰り返して得られた全ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TD/VNB共重合体を4.6g得た。極限粘度[η]は0.83(dL/g)、NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は29.2mol%、TD由来構造の組成比は6.2mol%であった。
[合成例2(環状オレフィン重合体(P2))]
十分に窒素置換した内容積2Lのガラス製オートクレーブにキシレン1500ml、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)2.10g、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(TD)13.8gを装入し、液相および気相を150NL/hの流量のエチレンガスおよび18NL/hの流量の水素ガスで飽和させた。その後、このオートクレーブにメチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で0.75mmol、引き続き、遷移金属化合物(1)0.0025mmolをトルエン1mlに溶解させて加え、重合を開始した。上記のエチレンガス雰囲気下25℃常圧で25分間反応させた後、少量のイソブチルアルコールを添加することで重合を停止した。重合終了後、反応物を、20mlの濃塩酸を加えたアセトン5600mlとメタノール1900mlの混合溶媒に投入してポリマーを全量析出させ、撹拌後濾紙でろ過した。本操作を反応物がなくなるまで繰り返して得られた全ポリマーを80℃、10時間で減圧乾燥した後、エチレン/TD/VNB共重合体を4.4g得た。極限粘度[η]は0.67(dL/g)、NMRにより決定したポリマー中のVNB由来構造の組成比は5.3mol%、TD由来構造の組成比は24.4mol%であった。
(実施例1)
(ワニス状環状オレフィン共重合体組成物の調製)
メイン樹脂として合成例1で得られた環状オレフィン共重合体(P1)と、ワニス化溶媒としてキシレン、架橋剤としてヒドロシリル基含有化合物(X93−916、信越化学製)、反応抑制剤(X93−1036、信越化学製)を表1の配合組成に従い秤量した。秤量したサンプルを、1リットルのセパラブルフラスコに装入し、回転数200rpmの撹拌翼で12時間、十分に溶解するまで撹拌した。撹拌後、白金触媒(X93−1410、信越化学製)を表1の配合組成に従い秤量し、フラスコ内に装入したのち、素早く回転数200rpmで1分間撹拌することで、目的とするワニス状の環状オレフィン共重合体組成物を得た。
[フィルム製膜]
得られたワニス状の環状オレフィン共重合体組成物を、離型処理されたPETフィルム上に10mm/秒の速度で塗工した後、150℃で30分間乾燥させて溶媒を除去した。乾燥後に得られたフィルムを、ピンセットでPETフィルムから剥離して、膜厚30μmの環状オレフィンポリマー配合物のフィルムを得た。
[キュア処理]
上述の方法により得られたフィルムを、四隅を金枠に固定した状態で、窒素雰囲気下で200℃×60分の加熱キュア処理を実施した。
上述の方法により作製したフィルムについて、断面TEM観察と元素分析(ラインプロファイル)を実施した。TEM観察、及び元素分析には日本電子製透過型電子顕微鏡JEM−2200FSを使用した。得られた結果を図1、図2に示す。樹脂最表面にシリコンブリード層が形成されていることが分かる。
(実施例2)
ワニス状の環状オレフィン共重合体組成物の配合を表1の実施例2に従い実施した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
(実施例3)
ワニス状の環状オレフィン共重合体組成物の配合を表1の実施例3に従い実施した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
(比較例1)
ワニス状の環状オレフィン共重合体組成物の配合を表1の比較例1に従い実施した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
(比較例2)
ワニス状の環状オレフィン共重合体組成物の配合を表1の比較例2に従い実施した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
(比較例3)
ワニス状の環状オレフィン共重合体組成物の配合を表1の比較例3に従い実施した以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを作製した。
実施例1〜3、比較例1〜3によって得られたフィルムに関し、上述の方法にて貯蔵弾性率E'、誘電率、表面離型性の評価を行っている。結果は表2に示す。
なお、貯蔵弾性率E'に関しては、150℃にて乾燥した段階の後と、200℃にてキュア処理を行った後の二種において評価を行っている。
表2に示された結果からも分かるように、実施例1〜3においては300℃での貯蔵弾性率が高く、誘電率が低く、また表面離型性にも優れるフィルムが得られている。
ここで、このような高い貯蔵弾性率については、150℃という比較的低い架橋条件によっても発現できている。このことは、本発明の環状オレフィン共重合体組成物は、低温における加工が可能であることを裏付けるものである。

Claims (7)

  1. 環状オレフィン共重合体(P)と、ヒドロシリル基を1分子中に少なくとも2つ有するヒドロシリル基含有化合物(S)とを含有する環状オレフィン共重合体組成物であって、
    前記環状オレフィン共重合体(P)は、
    (i)下記一般式(II)、下記一般式(III)および下記一般式(IV)よりなる群から選択される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位と、
    (ii)下記一般式(V)で示される環状オレフィン由来の繰り返し単位と、
    (iii)下記一般式(I)で表される1種以上のオレフィン由来の繰り返し単位とを含み、
    前記ヒドロシリル基含有化合物(S)が、前記環状オレフィン共重合体(P)100重量部に対して、0.1重量部以上100重量部以下含まれる、
    環状オレフィン共重合体組成物。
    〔一般式(II)中、uは0または1であり、vは0またはであり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R102とR103は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
    〔一般式(III)中、uは0または1であり、vは0またはであり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R104は水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、tは0〜10の整数であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
    〔一般式(IV)中、uは0または1であり、vは0またはであり、wは0または1であり、R61〜R76ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75およびR76は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
    〔一般式(V)中、uは0または1であり、vは0またはであり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基であり、R75〜R78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。〕
    〔上記一般式(I)において、R 300 は水素原子を示す。〕
  2. 前記環状オレフィン共重合体(P)は、少なくとも[2.2.1]−2−ヘプテン又はテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンに由来する構成単位を含む、請求項に記載の環状オレフィン共重合体組成物。
  3. 前記環状オレフィン共重合体(P)に含まれる(i)一般式(II)、一般式(III)および一般式(IV)よりなる群から選択される1種以上の環状非共役ジエン由来の繰り返し単位の含量が1mol%以上40mol%以下である、請求項1または2に記載の環状オレフィン共重合体組成物。
  4. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の環状オレフィン共重合体組成物を架橋してなる、架橋体。
  5. 請求項に記載の架橋体からなる成形体であって、当該成形体の最表面から厚み方向の1〜100nmに、前記ヒドロシリル基含有化合物(S)に由来する成分が局在する、成形体。
  6. 請求項に記載の架橋体からなるフィルム。
  7. 請求項に記載のフィルムに、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シクロオレフィンポリマー樹脂フィルム、シクロオレフィン共重合体フィルム、ナイロンフィルム、シリコーン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルムから選ばれる1つの樹脂フィルムが積層された、離型フィルム。
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