JP2019099614A - エチレン重合体、及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、ポリエチレンは表面エネルギーが小さく、濡れ性が低いことで撥水性、耐水性や防汚性が高い物質として知られている(例えば、特許文献3参照)。一方、ポリエチレンをフィルムとして利用する際は印刷の観点から、逆に塗装、インキの濡れ性を改善しインクの乗りを良くするために、機械的、物理化学的、化学的な表面改質技術が鋭意検討されている。例えば表面改質のための塗剤の接着性を向上させるため、ポリエチレン表面が塵、ほこりや吸着ガス等の異物付着で汚染されることを極力抑えるクリーン工程や、被塗布面を洗浄する処理等が実施されている(例えば、特許文献4参照)。
[1]
ステップスキャン式DSCの1stスキャン測定で得られる非可逆発熱成分の熱量ΔHが30J/g以上80J/g以下であり、
下記(1)及び(2)の条件でプレス加工されたディスク状シートのSEM−EDX分析によるMg及びAl元素の合計含有量が1質量%以下である、エチレン重合体。
(1)3gのエチレン重合体を、プレス成形機により最高温度130℃、平均圧力15MPaで10分間プレスする。
(2)前記(1)でプレスしたエチレン重合体を、平均圧力11MPaを維持しながら10分間25℃で冷却する。
[2]
粘度平均分子量が100万以上1000万以下である、[1]に記載のエチレン重合体。
[3]
誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS)によるMg及びAl元素の合計含有量が20質量ppm以下である、[1]又は[2]に記載のエチレン重合体。
[4]
平均粒子径が100μm〜300μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載のエチレン重合体。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載のエチレン重合体の成形体。
[6]
[1]〜[4]のいずれかに記載のエチレン重合体を含み、引張強度が2.0GPa以上である、延伸成形物。
本実施形態のエチレン重合体(以下、単に「パウダー」又は「粒子」ともいう。)は、
ステップスキャン式DSCの1stスキャン測定で得られる非可逆発熱成分の熱量ΔHが35J/g以上80J/g以下であり、下記(1)及び(2)の条件でプレス加工されたディスク状シートのSEM−EDX分析によるMg及びAl元素の合計含有量が1質量%以下である。
(1)3gのエチレン重合体を、プレス成形機により最高温度130℃、平均圧力15MPaで10分間プレスする。
(2)前記(1)でプレスしたエチレン重合体を、平均圧力11MPaを維持しながら10分間25℃で冷却する。
エチレン重合体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン単独重合体、エチレンと他のコモノマーとの共重合体が挙げられる。
エチレン重合体の非可逆発熱成分の熱量ΔHは、30J/g以上であり、好ましくは35J/g以上であり、より好ましく40J/g以上である。また、エチレン重合体の非可逆発熱成分の熱量ΔHは、80J/g以下であり、好ましくは75J/g以下であり、より好ましく70J/g以下である。本実施形態のエチレン重合体の非可逆発熱成分の熱量ΔHは、温度変調型示差走査熱量計(温度変調型DSC)のステップスキャン変調方式により求められる発熱量であり、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。DSC昇温測定中には結晶化と結晶融解は競争して起こるため従来のDSC測定方法では微結晶の形成・成長と融解に由来する熱流が相殺されてしまい、微結晶の熱挙動を検討することは困難である。一方、温度変調型DSCを利用した場合、結晶化等の非可逆成分と結晶融解やガラス転移等の可逆成分の熱流に分離することができ、微結晶の熱挙動を評価することが可能である。
本実施形態のエチレン重合体のプレス加工されたディスク状シートのSEM−EDX分析によるMg及びAl元素の合計含有量は、1質量%以下であり、好ましくは0.85質量%以下であり、より好ましくは0.70質量%以下であり、少ないほど好ましい。当該Mg及びAl元素の合計含有量の下限は、例えば、0質量%である。本実施形態のエチレン重合体のプレス加工されたディスク状シートのSEM−EDX分析によるMg及びAl元素の合計含有量は、後述の実施例に記載の方法により求めることができる。
エチレン重合体のプレス加工されたディスク状シートのSEM−EDX分析によるMg及びAl元素の合計含有量が上記範囲であることにより、各種ポリエチレン成形物の表層に存在する、極性を有する無機化学物質が減少するため、大気微粒子と親和力が低下し、成形体表面への集塵力は抑制される。また表層異物による成形体表面の物理的な凹凸の減少、平滑性の増加が達成されることで、大気微粒子が成形体表面凹部に堆積等、付着物質の表面滞留の起点になる要因を少なくする傾向がある。
エチレン重合体のプレス加工されたディスク状シートのSEM−EDX分析によるMg及びAl元素の合計含有量を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、エチレン重合体を重合する際に用いられる触媒の合成条件を制御することが挙げられる。具体的には、特に限定されないが、例えば、後述する高活性であってAlの少ない助触媒を使用すること、又は遠心分離法工程によって工程内を50℃以上に維持すること、遠心分離工程中での水蒸気ガス添加及び、吐出ガス全流量に対する前記水蒸気ガスの供給流量が10.0ppmV以上100.0ppmV以下にすること等の様々な形態でエチレン重合体表面に存在する極性無機化合物を効率的に分離する方法等が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体の粘度平均分子量(Mv)は、好ましくは100万以上1000万以下であり、より好ましくは200万以上900万以下であり、さらに好ましくは300万以上800万以下である。本実施形態のエチレン重合体の粘度平均分子量(Mv)は、後述の実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態のエチレン重合体の誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS)によるMg及びAl元素の合計含有量は、好ましくは20質量ppm以下であり、より好ましくは15質量ppm以下であり、さらに好ましくは10質量ppm以下であり、少ないほど好ましい。当該Mg及びAl元素の合計含有量の下限は、例えば、0質量ppmである。エチレン重合体の誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS)によるMg及びAl元素の合計含有量が上記範囲であることにより、表面への無機化合物のブリードアウト等が減少し、大気微粒子と親和性が抑えられる成形加工体になる。
エチレン重合体の誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS)によるMg及びAl元素の合計含有量を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する高活性であってAlの少ない助触媒を使用すること、触媒活性点となる有機金属錯体に対して活性化のために過剰量を要しない助触媒を使用すること、巨大な結晶構造を有さない触媒担体を使用すること等が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体の平均粒子径は、好ましくは100μm以上300μm以下であり、より好ましくは120μm以上280μm以下であり、さらに好ましくは150μm以上250μm以下である。本実施形態のエチレン重合体の平均粒子径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のエチレン重合体の製造に使用される触媒成分は特に限定されず、例えば、メタロセン触媒、チーグラー・ナッタ触媒等を使用して製造することが可能である。なかでも、低分子量成分を少なくすることのできるメタロセン触媒が好適に使用される。
メタロセン触媒を用いた例としては、一般的な遷移金属化合物が用いられる。このようなメタロセン触媒は、例えば、担体成分(ア)に、有機アルミニウム化合物(イ)、環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物(ウ)、及び該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤(エ)を担持させることにより得ることができる。
L1jWkM3X2pX3q ・・・(式1)
式1において、L1は、各々独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、及びオクタヒドロフルオレニル基からなる群より選ばれるη結合性環状アニオン配位子を表し、該配位子は場合によっては1〜8個の置換基を有し、該置換基は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜12のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜12のジヒドロカルビルアミノ基、炭素数1〜12のヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシシリル基、及びハロシリル基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基である。
式1において、M3は、形式酸化数が+2、+3又は+4の周期表第4族に属する遷移金属群から選ばれる遷移金属であって、少なくとも1つの配位子L1にη5結合している遷移金属を表す。
式1において、Wは、50個までの非水素原子を有する2価の置換基であって、L1とM3とに各々1価ずつの価数で結合し、これによりL1及びM3と共働してメタロサイクルを形成する2価の置換基を表し、X2は、各々独立して、1価のアニオン性σ結合型配位子、M3と2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、及びL1とM3とに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子からなる群より選ばれる、60個までの非水素原子を有するアニオン性σ結合型配位子を表す。
式1において、X2は、各々独立して、40個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基配位性化合物を表し、X3は、中性ルイス塩基配位性化合物を表す。
jは1又は2であり、但し、jが2であるとき、場合によっては2つの配位子L1が、20個までの非水素原子を有する2価の基を介して互いに結合し、該2価の基は炭素数1〜20のヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のハロヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンオキシ基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンアミノ基、シランジイル基、ハロシランジイル基、及びシリレンアミノ基からなる群より選ばれる基である。
kは0又は1であり、pは0、1又は2であり、但し、X2が1価のアニオン性σ結合型配位子、又はL1とM3とに結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはM3の形式酸化数より1以上小さい整数であり、またX2がM3にのみ結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはM3の形式酸化数より(j+1)以上小さい整数であり、qは0、1又は2である。
上記式1の化合物中の配位子X2の例としては、特に限定されないが、例えば、ハライド、炭素数1〜60の炭化水素基、炭素数1〜60のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜60のヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜60のヒドロカルビルフォスフィド基、炭素数1〜60のヒドロカルビルスルフィド基、シリル基、これらの複合基等が挙げられる。
上記式1の化合物中の中性ルイス塩基配位性化合物X3の例としては、特に限定されないが、例えば、フォスフィン、エーテル、アミン、炭素数2〜40のオレフィン、炭素数1〜40のジエン、これらの化合物から誘導される2価の基等が挙げられる。
式2において、X’’は、各々独立して、ハライド、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミノ基、シリル基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜18のヒドロカルビルフォスフィド基、炭素数1〜18のヒドロカルビルスルフィド基及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基を表し、但し、場合によっては2つの置換基X’’が共働して炭素数4〜30の中性共役ジエン又は2価の基を形成することができる。
式2において、Yは、−O−、−S−、−NR*−又は−PR*−を表し、但し、R*は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜8のヒドロカルビルオキシ基、シリル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、又はこれらの複合基を表す。
式2において、ZはSiR*2、CR*2、SiR*2SiR*2、CR*2CR*2、CR*=CR*、CR*2SiR*2又はGeR*2を表し、但し、R*は上で定義した通りであり、nは1、2又は3である。
[L2−H]d+[M5mQp]d- ・・・式3
(式中、[L2−H]d+はプロトン供与性のブレンステッド酸を表し、但し、L2は中性のルイス塩基を表し、dは1〜7の整数であり;[M5mQp]d−は両立性の非配位性アニオンを表し、ここで、M5は、周期表第5族〜第15族のいずれかに属する金属又はメタロイドを表し、Qは、各々独立して、ヒドリド、ハライド、炭素数2〜20のジヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基、及び炭素数1〜40の置換された炭化水素基からなる群より選ばれ、ここで、ハライドであるQの数は1以下であり、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは上で定義した通りであり、p−m=dである。)
また、プロトン付与性のブレンステッド酸としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム及びトリ(n−オクチル)アンモニウム等のトリアルキル基置換型アンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルベンジルアニリニウム等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム等のジアルキルアンモニウムカチオン;トリフェニルフォスフォニウム、トリ(メチルフェニル)フォスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)フォスフォニウム等のトリアリールフォスフォニウムカチオン;又はジメチルスルフォニウム、ジエチルフルフォニウム、ジフェニルスルフォニウム等が挙げられる。
より好ましい担体物質はSiO2である。担体の粒子径としては、任意の値をとることができるが、一般的には1〜3000μm、好ましくは3〜2000μm、より好ましくは5〜1000μmの範囲である。
AlR16 nX5 3-n (式4)
(ここで、R16は炭素数1〜12までのアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、X5はハロゲン、水素又はアルコキシル基であり、アルキル基は直鎖状、分岐状又は環状であり、nは1〜3の整数である。)
本実施形態のエチレン重合体(例えば、ポリエチレンパウダー)を成形することにより成形体を得ることができる。成形体は、特に限定されないが、例えば、射出成形、押出成形、あるいはプレス成形等の方法により得ることができる、またポリエチレンのみでの溶融成形が困難になる分子量である場合も、溶剤等でゲル化させることで、一般的な各種の成形法により得ることができる。また、成形体としては、特に限定されないが、例えば、フィルム、シート、電池セパレータ用微多孔膜、焼結フィルター等が挙げられる。
本実施形態のエチレン重合体は、固相延伸加工で良好な加工性を有する場合があり、さらに、大気中における浮遊微粒子の付着、沈着を阻害し得る物理的、表面性状を有する成形加工品を提供できる原料である。よって、本実施形態のエチレン重合体は、例えば、高強度が必要とされる繊維の原料や、均一な肉薄の微多孔膜構造が要求される電池セパレータの原料として好適に用いることができる。また、それら成形加工品に対して高い防汚性に由来する従来以上の長期外観の保持、樹脂劣化を抑制した長期物性安定性を提供できる傾向にある。
測定サンプルは、重合後23℃湿度60%の恒温恒湿に保った条件で保管したエチレン重合体粉末を使用した。パーキンエルマー社製のDSC(DSC8500)を使用し、ステップスキャン測定モード(サンプル重量:8mg、サンプルパン材質:アルミ製、測定温度:50〜200℃、昇温速度:10℃/分、昇温ステップ幅:1℃、等温時間:2分)により測定した。空のアルミ製サンプルパンについても前記条件にて測定し、データ解析アプリケーションpyrisを用いて温度−熱流曲線の補正を行った。補正後の温度−熱流曲線の非可逆成分において、再結晶化に起因する発熱成分の熱量ΔHを算出した。
エチレン重合体をプレス加工してなる試験片(ディスク状シート)を試料として、株式会社日立ハイテクノロジー製卓上電子顕微鏡TM3030及びOXFORD INSTRUMENTS製エネルギー分散型X線分析装置(EDX)SwiftED3000を用いて試験片表面のMg及びAl元素量を測定した。具体的には、3グラム(g)のエチレン重合体を、厚み1.5mmの直径52mmの円形金型に充填しプレス成形機により最高温度130℃、平均圧力15MPaで10分間プレスし、その後平均圧力11MPaを維持しながら10分間25℃で冷却することで円形プレス試験片(ディスク状シート)を得た。得られた円形プレス試験片をTM3030通常モード、加速電圧15kV、拡大率300倍で観察し観察画面上が全面試験片になるよう位置調製した。その観察条件Swift3000を用いて画像を取り込み、ポイント&ID観測モード(プロセスタイム高感度、収集時間30秒)の点モードで任意の点30点を観測しMg及びAl元素の合計含有量の質量濃度(質量%)を算出した。
エチレン重合体を試料として、エチレン重合体の粘度平均分子量(Mv)を、ISO1628−3(2010)に従って、以下に示す方法によって求めた。まず、溶融管にエチレン重合体(ポリエチレンパウダー)20mgを秤量し、溶融管を窒素置換した後、20mLのデカヒドロナフタレン(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを1g/L加えたもの)を加え、150℃で2時間攪拌してエチレン重合体(ポリエチレンパウダー)を溶解させた。その溶液を135℃の恒温槽で、キャノン−フェンスケ型粘度計(柴田科学器械工業(株)製:製品番号−100)を用いて、標線間の落下時間(ts)を測定した。同様に、エチレン重合体量を10mg、5mg、2mgに変えたサンプルについても、上記同様に標線間の落下時間(ts)を測定した。また、ブランクとしてエチレン重合体を入れていない、デカヒドロナフタレンのみの落下時間(tb)を測定した。下記式に従って求めた、エチレン重合体の還元粘度(ηsp/C)を、それぞれプロットして濃度(C)(単位:g/dL)とエチレン重合体の還元粘度(ηsp/C)との直線式を導き、濃度0に外挿した極限粘度([η])を求めた。
ηsp/C=(ts/tb−1)/0.1:(単位:dL/g)
次に、下記式に上記極限粘度[η]の値を用い、粘度平均分子量(Mv)を算出した。
Mv=(5.34×104)×[η]1.49
エチレン重合体約0.2gをテフロン(登録商標)製分解容器に秤取り、高純度硝酸を加えてマイルストーンゼネラル社製マイクロウェーブ分解装置ETHOS−TCにて加圧分解後、日本ミリポア社製超純水製造装置で精製した純水で全量を50mLとしたものを検液として使用した。上記検液に対し、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)Xシリーズ2を使用して、内標準法でエチレン重合体中のAl及びMgの定量を行った。
エチレン重合体の平均粒子径は、JIS Z8801で規定された10種類の篩(目開き:710μm、500μm、425μm、355μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μm)を用いて、100gのエチレン重合体(ポリエチレンパウダー)を分級した際に得られる、各種の篩に残ったエチレン重合体(ポリエチレンパウダー)の質量を、目開きの小さい側から積分した積分曲線において、積分値が50%の質量になる粒子径を平均粒子径とした。
3グラム(g)のエチレン重合体を、プレス成形機により最高温度126℃、平均圧力11MPaで10分間プレスした(冷却は11MPaを維持しながら10分間25℃で実施した。)。得られたプレスシートを140℃で前加熱し、130℃、ロール送り出し速度1m/分のロール圧延機で延伸倍率6倍になるように圧延した。圧延工程により得られたシートを切り出して、チャック間15mmとなるように引張試験機(インストロン・コーポレーション、INSTRON5564)にセットし、130℃、延伸速度30mm/分でロール圧延と同じ方向に2回の連続的な延伸工程を付し、プレスシートからの延伸倍率200倍の固相延伸成形物を得た。全延伸倍率は、延伸前及び後のフィルムの単位長さあたりの質量によって決定した。
引張強度(破断強さ)は、上記引張試験機を使用し、試験温度20℃、引張速度50mm/分の条件で延伸した際の破断点における応力と伸びから算出した。
20グラム(g)のエチレン重合体を、東洋精機製プレス成形機により厚み0.5mmの金型で加熱プレス条件を温度140℃、平均圧力5MPaで5分間、続けて15MPaで10分間プレスした後11MPaを維持しながら10分間25℃で冷却プレスした。アンダーセンサンプラーAN200基(全天候型シェルター付)を旭化成株式会社水島製造所C地区設置の百葉箱隣に設置した。2基用意し、1基をリファレンスとし、濾紙プレート上にサイジング下ユアサ製メンブランフィルターMF40Bを、もう1基に上記で用意したプレスシートをサイジングして同じく濾紙プレート上に準備し、黄砂等の大気微粒子捕集のため7日間稼働した。稼働後、それぞれのプレート重量を測定し、設置前の重量差異を測定した。リファレンスのMF40B増加重量(ΔwR)とエチレン重合体プレスシート増加重量(ΔwP)との関係を導出し、その重量比ΔwP/ΔwRを下記評価基準により防汚性能として評価した。
◎:ΔwP/ΔwR<1.1
○:1.1≦ΔwP/ΔwR<1.5
×:1.5≦ΔwP/ΔwR
平均粒子径が10μm、表面積が800m2/g、粒子内細孔容積が1.9mL/gの球状シリカを、窒素雰囲気下、750℃で3時間焼成し、炭化物気化及び脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、SiO21gあたり1.4mmol/gであった。窒素雰囲気下、容量1.8Lのオートクレーブ内で、この脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)を80mL加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[a]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー880mLを得た。
シリカの焼成条件を600℃で5.5時間に変更した以外は調製例1と同様の手法により固体触媒成分[B]を得た。
シリカの焼成条件を600℃で5時間、スラリー[a]に成分[b]、成分[c]を同時に30分かけて添加し3時間撹拌し、その後デカンテーションする以外は調製例1と同様の手法により固体触媒成分[C]を得た。
シリカの焼成条件を600℃で10時間にする以外は調製例3と同様の手法により固体触媒成分[D]を得た。
平均粒子径が30μmの凝集シリカを用いたこと以外は調製例3と同様の手法により固体触媒成分[E]を得た。
シリカの焼成条件を600℃で5時間、スラリー[a]に成分[b]を加え3時間撹拌後、デカントし、その後成分[c]を加え1時間撹拌し、その後デカンテーションにより上澄み液を除去する以外は調製例1と同様の手法により固体触媒成分[F]を得た。
窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブにヘキサン1,600mLを添加した。10℃で攪拌しながら1mol/Lの四塩化チタンヘキサン溶液800mLと1mol/Lの組成式AlMg6(C4H9)12(OSiBu2Et)5で表される有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液800mLとを4時間かけて同時に添加した。添加後、ゆっくりと昇温し、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を1,600mL除去し、ヘキサン1,600mLで10回洗浄することにより、固体触媒成分[G]を調製した。この固体触媒成分1g中に含まれるチタン量は3.11mmolであった。
ヘキサン、エチレン、触媒を、攪拌装置が付いたベッセル型300L重合反応器に連続的に供給した。重合温度はジャケット冷却により75℃に保った。ヘキサンは80L/時間で重合器の底部より供給した。固体触媒成分[A]と、助触媒としてトリイソブチルアルミニウムとを使用した。固体触媒成分[A]は0.22g/時間の速度で重合器の液面と底部の中間から添加し、トリイソブチルアルミニウムは10mmol/時間の速度で重合器の液面と底部の中間から固体触媒成分[A]とは別の導入ラインにより添加した。エチレンは重合器の底部より供給して重合圧力を0.35MPaに保った。ポリエチレンの製造速度は10kg/時間であった。重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に圧力0.05MPa、温度65℃のフラッシュドラムに抜き、未反応のエチレンを分離した。重合スラリーは、フラッシュドラムのレベルが一定に保たれるように連続的に遠心分離機に送り、ポリマーとそれ以外の溶媒等を分離した。遠心分離機内は温度50℃、不活性窒素ガスと水蒸気合わせたフィードガス中の水蒸気量が13ppmVの運転条件を保った。分離されたエチレン重合体は、85℃、4時間で窒素ブローしながら乾燥してエチレン重合体PE1を得た。
触媒として、固体触媒成分[B]を用いたこと以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE2を得た。PE2の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[C]を用いて、遠心分離装置内温度55℃、吐出ガス全量に対する水蒸気流量が20ppmVに設定したこと以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE3を得た。PE3の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[C]を用いたこと以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE4を得た。PE4の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[C]を用いて、さらに固体触媒成分[C]に対して100pmのジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロライドとトリメチルアルミニウムの当量反応物を添加して重合すること以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE5を得た。PE5の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[C]を用いて重合時間3kg/時間とした以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE6を得た。PE6の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[E]を用いたこと以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE7を得た。PE7の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[C]を用いて、重合系に水素ガス気相濃度が1.0mol%となるようなガス組成に変更したこと以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE8を得た。PE8の各物性及び評価の結果を表1に示す。
助触媒トリイソブチルアルミニウムの代替として東ソー・ファインケム株式会社製MMAO−3A/hex(修飾メチルアルモキサン、含Al濃度5.7質量%ヘキサン溶液MMAOを固体触媒成分[C]の200当量になるように添加したこと以外は実施例1と同様の操作により、比較例1のエチレン重合体PE9を得た。エチレン重合体PE9の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[G]を用いたこと以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE10を得た。PE10の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[D]を用いたこと以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE11を得た。PE11の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[F]を用いて、遠心分離装置内温度50℃、吐出ガス全量に対する水蒸気流量が8ppmVに設定したこと以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE12を得た。PE12の各物性及び評価の結果を表1に示す。
触媒として、固体触媒成分[F]を用いて、重合時間3kg/時間として、遠心分離装置内温度45℃としたこと以外は実施例1と同様の操作により、エチレン重合体PE12を得た。PE12の各物性及び評価の結果を表1に示す。
Claims (6)
- ステップスキャン式DSCの1stスキャン測定で得られる非可逆発熱成分の熱量ΔHが30J/g以上80J/g以下であり、
下記(1)及び(2)の条件でプレス加工されたディスク状シートのSEM−EDX分析によるMg及びAl元素の合計含有量が1質量%以下である、エチレン重合体。
(1)3gのエチレン重合体を、プレス成形機により最高温度130℃、平均圧力15MPaで10分間プレスする。
(2)前記(1)でプレスしたエチレン重合体を、平均圧力11MPaを維持しながら10分間25℃で冷却する。 - 粘度平均分子量が100万以上1000万以下である、請求項1に記載のエチレン重合体。
- 誘導結合プラズマ質量分析(ICP/MS)によるMg及びAl元素の合計含有量が20質量ppm以下である、請求項1又は2に記載のエチレン重合体。
- 平均粒子径が100μm〜300μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエチレン重合体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレン重合体の成形体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエチレン重合体を含み、引張強度が2.0GPa以上である、延伸成形物。
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