JP5501047B2 - 無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物を含んでなる発泡成形体 - Google Patents
無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物を含んでなる発泡成形体 Download PDFInfo
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Description
中でもポリエチレン系樹脂の発泡体は、その優れた緩衝性、断熱性、切削加工性、柔軟性、復元性などの特徴を活かして、幅広い用途で使われている。例えば、シート状のものであれば精密機器等の包装材や風呂場の断熱マット、ロッド状のものであれば建築物の隙間を埋める目地材、ボード状のものであればビート板、切削加工したものであれば大型電機機器の緩衝パッド材などに応用されている。
(α−1)エチレン単独重合体又はエチレンから導かれる繰り返し単位と1又は2種以上の炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位とからなる共重合体である。
(α−2)密度が935〜975kg/m3である。
(α−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜20g/10分である。
(α−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求められるMw/Mnが、3〜7である。
(Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量であり、Mw/Mnは分子量分布を表す指標である。)
(α−5)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線の融点ピークが一つである。
(α−6)示差走査型熱量計による降温測定において得られる発熱曲線のピークである結晶化温度が110℃〜130℃である。
(β−1)密度が910〜930kg/m3である。
(β−2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である。
本実施の形態の無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物に用いられる直鎖状ポリエチレン(α)は、エチレン単独重合体又はエチレンから導かれる繰り返し単位と1又は2種以上の炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位とからなる共重合体である。なお、「直鎖状」ポリエチレンとは、従来の分岐状高圧法低密度ポリエチレンを除外する趣旨であり、それ以外のいかなるポリエチレンをも包含する概念である。線状系ポリエチレンと呼ぶ場合もある。
本実施の形態において、密度は、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施の形態において、MFRは、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施の形態で用いる直鎖状ポリエチレン(α)の吸熱曲線の融点ピーク及び発熱曲線のピークである結晶化温度は、それぞれ示差走査型熱量計による昇温測定及び降温測定において求めることができる。
直鎖状ポリエチレン(α)の示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線の融点ピークが一つである。これによって直鎖状ポリエチレン(α)と分岐状高圧法低密度ポリエチレン(β)を相溶状態とすることができ、両者の結晶状態が相分離することを抑制できると推定される。このため、独立気泡率が高く、気泡の均一性、表面の外観性が良好であるなど、発泡状態が良好な無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物を含む発泡成形体を得ることができる。
直鎖状ポリエチレン(α)の示差走査型熱量計による降温測定において得られる発熱曲線のピークである結晶化温度が、110℃〜130℃であり、好ましくは115℃〜125℃である。結晶化温度が110℃以上であり、結晶化温度が130℃以下であれば、柔軟性、機械的特性かつ耐熱安定性に優れた無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物を含む発泡成形体を得ることができる。
本実施の形態において、示差走査型熱量計による測定は、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
(M1)α(Mg)β(R1)a(R2)b(OR3)c −(1)
(式中、M1は周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R1、R2及びR3はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0<c、0<a+b、0<c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(但し、kはM1の原子価))
HdSiCleR4 (4−(d+e)) −(2)
(式中、R4は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす数である。1≦d、1≦e、2≦d+e≦4)
M2R5 fQ(h−f) −(3)
(式中M2は周期律表第I〜III族に属する金属原子、R5は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、QはOR6、OSiR7R8R9、NR10R11、SR12及びハロゲンからなる群に属する基を表し、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12は水素原子又は炭化水素基であり、fは0より大きな実数であり、hはM2の原子価である)
Ti(OR13)iX(4−i) −(4)
(式中、iは0以上4以下の実数であり、R13は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
R14 (3−j)AlQ’j −(5)
(式中、R14は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、Q’は水素原子、ハロゲン原子、及びOR15からなる群に属する基であり、R15は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、jは0以上2以下の実数である)
(M3)γ(Mg)δ(R15)m(R16)n −(6)
(式中、M3は周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R15及びR16はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、m及びnは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦k、0≦m、pγ+2δ=m+n(但し、pはM3の原子価))
(M1)α(Mg)β(R1)a(R2)b(OR3)c −(1)
(式中、M1は周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R1、R2及びR3はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす実数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0<c、0<a+b、0<c/(α+β)≦2、kα+2β=a+b+c(但し、kはM1の原子価))
HdSiCleR4 (4−(d+e)) −(2)
(式中、R4は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす数である。1≦d、1≦e、2≦d+e≦4)
M2R5 fQ(h−f) −(3)
(式中M2は周期律表第I〜III族に属する金属原子、R5は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、QはOR6、OSiR7R8R9、NR10R11、SR12及びハロゲンからなる群に属する基を表し、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12は水素原子又は炭化水素基であり、fは0より大きな実数であり、hはM2の原子価である)
Ti(OR13)iX(4−i) −(4)
(式中、iは0以上4以下の実数であり、R13は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
(2)R1とR2とが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR1が炭素原子数2又は3のアルキル基であり、R1が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(3)R1、R2の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR1、R2に含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
本発明において、(A−1)を合成する際に好ましく使用される塩素化剤が下記の一般式(2)で示される、少なくとも一つはSi−H結合を有する塩化珪素化合物である。
HdSiCleR4 (4−(d+e)) −(2)
(式中、R4は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、dとeは次の関係を満たす数である。1≦d、1≦e、2≦d+e≦4)
上記の式(2)において、R4で表される炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル基等が挙げられ、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル基等の炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。また、d及びeは2≦d+e≦4の関係を満たす1以上の実数であり、eが2以上であることが特に好ましい。
(i)無機酸化物
(ii)無機炭酸塩、珪酸塩、硫酸塩
(iii)無機水酸化物
(iv)無機ハロゲン化物
(v)(i)〜(iv)なる複塩、固溶体ないし混合物
この有機金属化合物(A−3)は下記の一般式(3)で表される。
M2R5 fQ(h−f) −(3)
(式中M2は周期律表第I〜III族に属する金属原子、R5は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、QはOR6、OSiR7R8R9、NR10R11、SR12及びハロゲンからなる群に属する基を表し、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12は水素原子又は炭化水素基であり、fは0より大きな実数であり、hはM2の原子価である)
チタン化合物(A−4)として下記の一般式(4)で表されるチタン化合物が使用される。
Ti(OR13)iX(4−i) −(4)
(式中、iは0以上4以下の実数であり、R13は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子である。)
R13で表される炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、アリル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂環式炭化水素基、フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が好ましい。Xで表されるハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、塩素が好ましい。具体的には、四塩化チタンが好ましい。上記から選ばれたチタン化合物(A−4)を、2種以上混合して使用することが可能である。
M2R5 fQ(h−f) −(3)
R14 (3−j)AlQ’j −(5)
(式中、R14は炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、Q’は水素原子、ハロゲン原子、及びOR15からなる群に属する基であり、R15は炭素数1以上20以下の炭化水素基であり、jは0以上2以下の実数である)
R14の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−メチルプロピル基、ペンチル基、3−メチルブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられ、中でもエチル基、2−メチルプロピル基が特に好ましい。これらの炭化水素基は二種類以上含まれていてもよい。hは0.05以上1.5以下であることが好ましく、0.1以上1.2以下であることが特に好ましい。
(M3)γ(Mg)δ(R15)m(R16)n −(6)
(式中、M3は周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族からなる群に属するマグネシウム以外の金属原子であり、R15及びR216はそれぞれ炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、γ、δ、m及びnは次の関係を満たす実数である。0≦γ、0<δ、0≦k、0≦m、pγ+2δ=m+n(但し、pはM3の原子価))
(2)R15とR16とが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR15が炭素原子数2又は3のアルキル基であり、R16が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(3)R15、R16の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR15、R16に含まれる炭素原子数を加算すると12以上になるアルキル基であること。
メタロセン担持触媒[I]としては、(I−a)担体物質、(I−b)有機アルミニウム、(I−c)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(I−d)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒を用いることが好ましい。
ジアルキルハロゲノアルミニウムとしては、例えば、ジメチルアルミニウムクロライド及びジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルハロゲノアルミニウムなどが挙げられる。
本実施の形態において、液体助触媒成分[II]は下記式(16)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物[III−1](以下、単に「有機マグネシウム化合物[III−1]」と記載する場合がある。)とアミン、アルコール、シロキサン化合物から選ばれる化合物[III−2](以下、単に「化合物[III−2]」と記載する場合がある。)との反応によって合成される、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。
本実施の形態の無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物に用いられる分岐状高圧法低密度ポリエチレン(β)(分岐状高圧法低密度系ポリエチレンと呼ぶ場合もある。)は、エチレン単独重合体又はエチレンと1又は2種以上の炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましく、公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。
ここで、無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物における「無架橋」とは、熱可塑性を示す構造であることを意味し、実質的に無架橋であれば足る。例えば、ゲル分率が10重量%未満であるものは、本発明における無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物の範囲に含まれる。なお、ゲル分率は10gの発泡体試料を切削により取得し、キシレン溶媒を用いてソックスレー抽出器で10時間抽出し、抽出残量を測定し、その値から以下の式により求めることができる。
架橋度=[(10.0−抽出残量(g))/10.0]×100(%)
本実施の形態の無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物を含む、発泡成形体について説明する。
本実施の形態の発泡成形体は、見掛け密度が20g/L以上、70g/L未満であり、好ましくは20g/L以上50g/L以下、20g/L以上30g/L以下である。
見掛け密度が20g/L以上、70g/L未満であれば、柔軟性、機械的特性かつ耐熱安定性に優れると共に独立気泡率が高く、気泡の均一性、表面の外観性が良好なことから、発泡状態が良好な発泡成形体を得ることができる。
本実施の形態において、見掛け密度は、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施の形態の発泡成形体は、独立気泡率が70%以上であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。
独立気泡率が70%以上であれば、気泡の均一性、表面の外観性が良好な発泡成形体に優れる。
本実施の形態において、独立気泡率は、以下の実施例に記載の方法により測定することができる。
JIS−K−7112:1999に準じて測定した。
JIS−K−7210:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準じて測定した。
Waters社製150−C ALC/GPCの装置を用い、カラムとしてShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定を行った。溶媒に10ppmのイルガノックス1010を含むトリクロロベンゼンを用いて、140℃で測定した。なお、標準物質として市販の単分散のポリスチレンを用い、検量線を作成した。
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−7型装置)を用い、以下の条件で測定した。1)ポリマー試料約5mgをアルミパンに詰め200℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した。2)次いで、200℃から10℃/分の降温速度で50℃まで降温し、降温完了後5分間保持した。3)次いで、50℃から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。この2)の過程で観察される発熱曲線より発熱ピーク位置の最高温度を結晶化温度(℃)として求めた。また、この3)の過程で観察される吸熱曲線より融解ピーク位置の最高温度を融点ピーク(℃)として求めた。
(5)溶融張力
溶融張力の測定は、東洋精機製作所製 キャピログラフ 1D型の装置を使用し、ノズル径0.770mm、ノズル長50.8mm、190℃の温度で、押出速度6mm/min、引取り速度2m/minの条件で行なった。
発泡成形体から所定の大きさに切り取り、その体積と重量を測定して見掛け密度を得た。
ASTM D−2856に準じて測定を行い、下記式により求めた。
Vx:ポリエチレン系樹脂発泡成形体の実容積(cm3)
Va:ポリエチレン系樹脂発泡成形体の見掛け容積(cm3)
ρf:ポリエチレン系樹脂発泡成形体の密度(g/cm3)
ρs:ポリエチレン系樹脂組成物の密度(g/cm3)
発泡成形体の断面を肉眼で目視観察した。
◎:気泡が均一になっているもの。
○:わずかに気泡が不均一なものが混ざっている状態のもの。
×:気泡が不均一なもの。
(9)表面外観性
発泡成形体の表面を肉眼で目視観察した。
○:表面に凹凸がなく、外観が良好な状態のもの。
×:表面に凹凸があり、外観が不良な状態のもの。
・直鎖状ポリエチレン(α−1)
(1)固体触媒[A−1]の調製
(1−1)不活性炭化水素溶媒に可溶な錯体の合成
ジブチルマグネシウム175gとトリエチルアルミニウム30gとを、ヘキサン1リットルと共に容量4リットルのステンレス製反応器にいれ、85℃で2時間撹拌しながら反応させることにより、組成AlMg5(C2H5)3(C4H9)10の錯体を合成した。
(1−2)担体の調製
充分に窒素置換された15リットルの反応器に、トリクロルシラン(HSiCl3 )を2モル/リットルのn−ヘプタン溶液として2740ミリリットル仕込み、攪拌しながら50℃に保ち、組成式AlMg6 (C2 H5 )3 (n−C4 H9 )10.8(On−C4 H9 )1.2 で示される有機マグネシウム成分のn−ヘプタン溶液7リットル(マグネシウム換算で5モル)を1時間かけて加え、更に50℃にて1時間攪拌下反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、n−ヘキサン7リットルで4回洗浄を行い、固体物質スラリーを得た。この固体を分離・乾燥して分析した結果、固体1グラム当たり、Mg8.62ミリモル、Cl17.1ミリモル、n−ブトキシ基(On−C4 H9 )0.84ミリモルを含有していた。
(1−3)固体触媒の調製
上記固体500gを含有するスラリーを、n−ブチルアルコール1モル/リットルのn−ヘキサン溶液2160ミリリットルとともに、攪拌下50℃で1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで1回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リットルのn−ヘキサン溶液970ミリリットルを攪拌下加えて1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで2回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リットルのn−ヘキサン溶液270ミリリットル及び四塩化チタン1モル/リットルのn−ヘキサン溶液270ミリリットルを加えて、2時間反応した。反応終了後上澄みを除去し、内温を50℃に保った状態で、7リットルのn−ヘキサンで4回洗浄して、固体触媒成分をヘキサンスラリー溶液として得た。この固体触媒を分離・乾燥して分析した結果、固体触媒1グラムあたりチタン0.52ミリモルを含有していた。
(2)重合
触媒として、固体触媒[A−1]とトリイソブチルアルミニウムを組み合わせて使用した。
重合には反応容積300リットルのステンレス製重合器を用いた。γ線を使用した液面計により測定された重合器内の溶媒の体積とポリエチレンの体積との和は170Lであり、重合器から溶媒とポリエチレンとが定常的に抜き取られる体積あたりの速度は51リットル/hであった。従って、平均滞留時間は1.1時間であった。重合器1からポリマーは10kg/hの速度で抜き取られた。重合温度86℃、重合圧力0.6MPaの条件で、触媒は上記の固体触媒[A−1]を0.5g/h、上記の有機アルミニウム化合物[B−1]をAl原子換算で20ミリモル/h、またヘキサンは40リットル/hの速度で導入した。分子量調整剤としては水素を用い、エチレンと水素とプロピレンを、水素の気相濃度が43モル%、プロピレンの気相濃度が2.4モル%、エチレンの供給量が10kg/hになるように重合器に供給し重合を行った。重合器における触媒活性は20000g/g/hであった。
上記重合により、パウダー状の直鎖状ポリエチレン(α−1)を製造した。得られた直鎖状ポリエチレン(α−1)の密度は951kg/m3、MFRは7.8、Mw/Mnは4.4、融点ピークは131℃でその数は1個、結晶化温度は115℃、発熱曲線のピーク数は1個であった。
・直鎖状ポリエチレン(α−2)
[メタロセン担持触媒[I]の調製]
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiO2であった。容量1.8リットルのオートクレーブにこの脱水シリカ40gを入れ、ヘキサン800ccを加えて分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/リットル)を60cc加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がトリエチルアルミニウムによりキャッピングされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800ccを得た。
有機マグネシウム化合物[III−1]として、AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[III−2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
(α−2)上記により得られたメタロセン担持触媒[I]と液体助触媒成分[II]は、触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてヘキサン、モノマーとしてエチレン及び1−ブテンを用いた。反応温度は78℃としてエチレン、1−ブテン、水素の混合ガス(ガス組成は1−ブテンとエチレン+1−ブテンのモル比が0.30、水素とエチレン+水素のモル比が0.0032を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaで直鎖状ポリエチレン(α)であるエチレンと1−ブテンとの共重合体を重合した。得られた直鎖状ポリエチレン(α−2)であるエチレン−1−ブテン共重合体は密度が947kg/m3、MFRが5.0g/10分、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求められた分子量分布(Mw/Mn)が3.5であった。融点ピーク温度、その数、結晶化温度、及び発熱曲線のピーク数を表1に示す。
(α−4)エチレン、1−ブテン、水素の混合ガス(ガス組成は1−ブテンとエチレン+1−ブテンのモル比が0.36を維持できるように調節)とした以外は(α−2)と同様にして、密度が941kg/m3、MFRが2.5g/10分、分子量分布:Mw/Mnが4.2の直鎖状ポリエチレンであるエチレン単独重合体(α−4)を得た。融点ピーク温度、その数、結晶化温度、及び発熱曲線のピーク数を表1に示す。
(β)公知のオートクレーブタイプリアクターでエチレンとα−オレフィンをラジカル重合して、密度918kg/m3、MFR2.0g/10分である分岐状高圧法低密度ポリエチレン(β)を得た。
直鎖状ポリエチレン(α)及び分岐状高圧法低密度ポリエチレン(β)を表1に記載の実施例1〜6に示す割合で混合した無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物100重量部に発泡核剤としてタルクを0.8重量部加えて日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成形機を利用し、220℃の温度で溶融混錬して造粒した。これに単軸押出機(スクリュー径50mmφ、L/D=36、共伸機械製)の丸棒状発泡成形用押出設備を用い、上記発泡成形用樹脂組成物を15kg/時で供給し、溶融混練を行った後、揮発性液体であるブタンをバレル孔から圧入して、該ブタンの圧入圧力を13MPaとなるよう分散させ、発泡成形体表面に凹凸が発生しない樹脂温度である125℃に調整した丸棒用ダイ(径13mmφ)により棒状の発泡成形体を押出した。該棒状発泡成形体の外側に空気を吹き付け7.0m/分で引き取り、棒状発泡成形体を得た。
密度941kg/m3、MFR2.5g/10分、分子量分布:Mw/Mnが4.2、溶融張力が15mNである直鎖状ポリエチレン(α−4)のみであり、分岐状高圧法低密度ポリエチレン(β)をブレンドしない以外は、実施例1と同様に行なったが、発泡体が得られなかった。
[比較例2〜3]
表1に記載の割合で直鎖状ポリエチレン(α−5)又は(α−2)と分岐状高圧法低密度ポリエチレン(β)をブレンドし、実施例1〜6の無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物及びそれから得られた発泡成形体である棒状発泡成形体の製法に準じて行い、得られた無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物及びそれから得られた発泡成形体である棒状発泡成形体の評価結果を表1に併せて示した。直鎖状ポリエチレン(α−5)は、特開昭60−4506号公報記載の方法でチーグラー触媒を用いて重合された表1記載の物性を有するエチレンと1−ブテンとの共重合体である。比較例2は、発泡体が得られなかった。
Claims (3)
- 無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物を含んでなり、見掛け密度が20g/L以上、70g/L未満、独立気泡率が70%以上のポリエチレン系樹脂発泡成形体であって、該無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物が、下記(α−1)〜(α−6)の要件を満たす直鎖状ポリエチレン(α)90〜40質量%、及び下記(β−1)〜(β−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度ポリエチレン(β)10〜60質量%を含み、かつ該無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物の190℃における溶融張力が10〜40mNであることを特徴とする上記ポリエチレン系樹脂発泡成形体。
(α−1)エチレン単独重合体又はエチレンから導かれる繰り返し単位と1又は2種以上の炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる繰り返し単位とからなる共重合体である。
(α−2)密度が935〜975kg/m3である。
(α−3)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜20g/10分である。
(α−4)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求められるMw/Mnが、3〜7である。
(Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量であり、Mw/Mnは分子量分布を表す指標である。)
(α−5)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線の融点ピークが一つである。
(α−6)示差走査型熱量計による降温測定において得られる発熱曲線のピークである結晶化温度が110℃〜130℃である。
(β−1)密度が910〜930kg/m3である。
(β−2)190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜10g/10分である。 - 前記無架橋発泡用ポリエチレン系樹脂組成物が、密度が930〜960kg/m3、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0.1〜20g/10分、示差走査型熱量計による降温測定において得られる吸熱曲線の融点ピークが一つである、請求項1に記載のポリエチレン系樹脂発泡成形体。
- (I−a)担体物質、(I−b)有機アルミニウム、(I−c)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(I−d)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒[I]と、液体助触媒成分[II]を用いた重合により前記直鎖状ポリエチレン(α)を製造する工程を有する、請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
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