JP5664221B2 - 射出発泡成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出発泡成形体に関するものである。
ポリプロピレン系樹脂は、その分子中に塩素を含んでいないので、焼却時に有害ガス発生の恐れが少なく、また、リサイクルも可能であるなど、環境にやさしい材料として自動車部品や建築材料の用途を中心に使用分野が拡大している。特に自動車分野については、射出成形によって得られる軽量で剛性、耐衝撃性に優れたポリプロピレン樹脂製品の使用比率が高まっている。
また、更なる軽量化、コストダウン、成形体の反り・ヒケ防止を目的に発泡を行う、いわゆる射出発泡成形が提案され、注目を集めている。しかし、ポリプロピレン系樹脂は長鎖分岐構造をもたないことから溶融張力が低く、発泡成形の際の発泡ガスの保持力が小さいため高発泡倍率を有する成形体の成形が困難である。また、発泡の際に気泡が破壊、合一化しやすいため成形品の内部に巨大な気泡(ボイド)が発生したり、成形体表面にシルバーストリークと呼ばれる外観不良が発生したり、成形品の外観等に課題を生じていた。
そこで、ポリプロピレン系樹脂の発泡性を改良する方法として、特定の極限粘度を有するポリエチレンが混合されたメルトフローレートおよび溶融張力がいずれも高いポリプロピレン系樹脂(例えば特許文献1参照。)や、多段重合により特定の極限粘度を有する成分を含有する高溶融張力のポリプロピレン系樹脂と高メルトフローレートのポリプロピレン系樹脂との混合物(例えば特許文献2参照。)を射出発泡成形に使用する方法が提案されている。
さらに、近年地球温暖化等の環境問題が注目を集め、発泡成形体分野においても従来から発泡剤として用いられてきたフロン等の発泡剤が温室効果ガスとの可能性の指摘を受け、その使用を控え、より温室効果の低い発泡剤への転換が模索されている。
特開2003−128854号公報(特許請求の範囲) 特開2003−268145号公報(特許請求の範囲)
しかし、特許文献1に提案のポリプロピレン系樹脂や特許文献2に提案の混合物は、歪硬化性を示さないため、射出発泡体の発泡倍率が1.8倍を越える場合には気泡が破壊、合一し、成形品の内部にボイドが発生しやすい傾向になり高発泡倍率を有する良好な射出発泡成形体を得ることが困難であると伴に、自動車分野における剛性、軽量化のニーズに応えることが難しいものであった。ここでいう歪硬化性は、溶融物の延伸歪みの増加に伴い粘度が上昇することとして定義され、通常は特開昭62−121704号公報に記載の方法、すなわち市販の伸長粘度計により測定した伸長粘度と時間の関係をプロットすることで判定することができる。また、例えば溶融張力測定時の溶融ストランドの破断挙動からも歪硬化性を判定できる。すなわち、引き取り速度を増加させたときに急激に溶融張力が増加し、切断に至るときは歪硬化性を示す場合である。ポリエチレン系樹脂が歪硬化性を示すことの効果は、気泡の成長時に膜が均一な厚みで延伸され、気泡が破壊することなく高倍率の発泡体が得られ易くなることである。
また、フロンより温室効果の低い発泡剤として、二酸化炭素を用いる試みがなされているが、フロンとのガス透過性の違いのためであるのか、その原因は不明であるが、発泡剤として二酸化炭素を用い、ポリプロピレン系樹脂の発泡を行った場合、良好な発泡成形体が得られないのが現状であった。
以上のように、射出発泡成形性が良好で、高発泡倍率で軽量性を有するポリプロピレン系樹脂の射出発泡成形体を得ることは困難であり、高発泡倍率で、セルが均一微細であるがために軽量性に優れるポリプロピレン系樹脂の射出発泡成形体が得られ、発泡剤としてフロンを用いない新たな製造方法が求められてきた。
そこで、本発明の目的は、従来高発泡倍率を有する射出発泡成形体を製造することが困難とされていた二酸化炭素による発泡成形で得られる、発泡倍率が2倍以上の射出発泡成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂と特定のポリエチレン系樹脂を配合したポリプロピレン系樹脂組成物に二酸化炭素を含有させ、射出発泡成形法にて成形することで、高発泡倍率で、かつ、セルが均一微細であるがために軽量性に優れるポリプロピレン系樹脂組成物の射出発泡成形体が得られることを見出し本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、ポリプロピレン系樹脂(A)及び190℃で測定したメルトフローレート(以下、MFRと称する。)が1g/10分以上50g/10分未満、190℃で測定した溶融張力が30mN以上で、かつ歪硬化性を示すポリエチレン系樹脂を射出成形機へ供給し、該射出成形機内の溶融工程で該ポリプロピレン系樹脂(A)及び該ポリエチレン系樹脂(B)よりなる溶融混合物に二酸化炭素を含有させ、次いで金型内に射出して発泡成形を行うことを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂組成物の射出発泡成形体に関するものである。
以下に、本発明に関し詳細に説明する。
本発明の射出発泡成形体は、ポリプロピレン系樹脂と所定のメルトフローレートおよび溶融張力を有するポリエチレン系樹脂(B)および二酸化炭素を溶融状態で配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物を、射出発泡成形すること特徴とするものであり、従来得ることが困難であった高発泡倍率で、かつ、セルが均一微細であるがために軽量性に優れるポリプロピレン系樹脂の射出発泡成形体に関するものである。
本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂(A)としては、ポリプロピレン系樹脂として知られている範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、例えば線状の分子構造を有しているポリプロピレン系樹脂であり、通常の重合方法、例えば担体に担持させた遷移金属化合物と有機金属化合物から得られる触媒系(例えばチーグラー・ナッタ触媒)の存在下でプロピレンの重合を行うことにより得られる。より具体的には、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体およびランダム共重合体であって、結晶性の重合体があげられ、その中でも、特にポリプロピレン系樹脂の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持された射出発泡成形体が得られることから、プロピレンを75重量%以上含有しているプロピレン共重合体が好ましく、その際の共重合単位としては、例えばエチレン単位、1−ブテン単位、イソブテン単位、1−ペンテン単位、3−メチル−1−ブテン単位、1−ヘキセン単位、4−メチル−1−ペンテン単位、3,4−ジメチル−1−ブテン単位、1−ヘプテン単位、3−メチル−1−ヘキセン単位、1−オクテン単位、1−デセン単位などの炭素数2または4〜12のα−オレフィン単位;シクロペンテン、ノルボルネンなどの環状オレフィン単位;5−メチレン−2−ノルボルネン単位、5−エチリデン−2−ノルボルネン単位、1,4−ヘキサジエン単位、メチル−1,4−ヘキサジエン単位、7−メチル−1,6−オクタジエン単位などのジエン単位;塩化ビニル単位、塩化ビニリデン単位、アクリロニトリル単位、酢酸ビニル単位、アクリル酸単位、メタクリル酸単位、マレイン酸単位、アクリル酸エチル単位、アクリル酸ブチル単位、メタクリル酸メチル単位、無水マレイン酸単位、スチレン単位、メチルスチレン単位、ビニルトルエン単位、ジビニルベンゼン単位などのビニル単量体単位、などが挙げられる。これらのうち、特に安価で、耐寒脆性にも優れる射出発泡成形体が得られることからエチレン単位、1−ブテン単位であることが好ましい。また、これらポリプロピレン系樹脂(A)は市販品として入手したものであってもよい。
そして、該ポリプロピレン系樹脂は(A)としては、流動性に優れることから射出発泡成形体を製造する際に、金型のクリアランスが1〜2mm程度の薄肉部分を有する成形においても、連続して安定した成形が行えるとともに、高発泡倍率であり、且つ、発泡時に気泡が破壊されにくいため、軽量性に優れる射出発泡成形体が得られることから、MFRが30g/10分以上100g/10分以下、溶融張力が10mN以下であるポリプロピレン系樹脂であることが好ましく、更にMFRが40g/10分以上80g/10分以下であり、溶融張力が5mN以下であるポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂の溶融張力が10mN以下であると射出成形時の流動性が良好で、大型成形品や薄肉成形品の成形が容易であり、平滑な外観を有する成形品が得られ易い。
ここでいうポリプロピレン系樹脂は(A)のMFRとは、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定したものを言い、溶融張力とは、毛管粘度計(キャピログラフ;東洋精機製作所製)を使用して、長さ(L)が8mm,直径(D)が2.095mmのダイを流入角が90°になるように装着し測定した。溶融張力は、温度を190℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、引き取り速度を10m/分に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)を溶融張力とした。
該ポリプロピレン系樹脂(A)の形状、大きさに制限はなく、ペレット状でもよい。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂(B)は、密度が920〜950kg/m、MFRが1〜50g/10分、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において2つのピークを示し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.0〜7.0の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上である成分の割合がポリマー全体の40%未満でありかつ分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有するポリエチレン系樹脂である。MFRが1g/10分未満であるポリエチレン系樹脂である場合、ポリプロピレンとの混ざりが悪く、射出成形品の表面上体が悪化する。一方、MFRが50g/10分を超えるポリエチレン系樹脂である場合、射出成形品の強度が低下することに加えて溶融張力が30mNに到達せず、発泡成形性が不良となる。また、溶融張力が30mN未満のポリエチレン系樹脂である場合、発泡成形倍率の改善効果が不十分であり、歪硬化性を示さないポリエチレン系樹脂であると気泡が合一してしまい、均一で微細な気泡を得ることが出来ない。なお、従来、フロン等による射出発泡とは異なり、二酸化炭素によるポリプロピレン系樹脂の射出発泡は困難とされており、本願発明においては、ポリプロピレン系樹脂に該ポリエチレン系樹脂(B)を配合することにより従来は困難とされていた二酸化炭素による射出発泡成形が可能となり、新たなポリプロピレン系樹脂樹脂組成物からなる射出発泡成形体としたものである。そして、本発明の射出発泡成形体においては、ポリプロピレン系樹脂(A)への分散性が良好であり、特に高発泡倍率であり気泡が均一微細な射出発泡成形体が得られることから、MFRが5g/10分以上20g/10分以下であり、溶融30mN以上であるポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
ここでいうポリエチレン系樹脂(B)のMFRとは、ASTM 1238に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定したものである。また、溶融張力とは、キャピログラフ(東洋精機製作所製)を用い。190℃で長さ(L)が8mm,直径(D)が2.095mmのダイから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを10m/分で引き取り、引き取り荷重を溶融張力としたものである。歪硬化性は、マイスナー型一軸伸長粘度計を用いて、160℃で、ひずみ速度0.07〜0.1s−1の条件で測定した伸長粘度の最大値を、その時間の線形領域の伸長粘度で除した値を非線形パラメーターλと定義し、λが1を超えること歪硬化性があると確認できる。なお、M. Yamaguchi et al.Polymer Journal 32,164(2000).に記載のように、線形領域の伸長粘度は動的粘弾性より計算できる。λが1の場合、歪硬化性がないと判断できる。
本発明の架橋発泡用エチレン系重合体組成物を構成するエチレン系重合体は、GPCによる分子量測定において2つのピークを示す。ピークトップ分子量(Mp)はGPC測定によって得られた分子量分布曲線を後述の方法で2個のピークに分割し、高分子量側のピークと低分子量側のピークのトップ分子量を評価し、その差が100,000以上である場合を2つのMpを有するとした。100,000未満である場合は、実測された分子量分布曲線のトップ分子量を1つのMpとした。
分子量分布曲線の分割方法は以下のとおりに行った。GPC測定によって得られた、分子量の対数であるLogMに対して重量割合がプロットされた分子量分布曲線のLogMに対して、標準偏差が0.30であり、任意の平均値(ピークトップ位置の分子量)を有する2つの対数分布曲線を任意の割合で足し合わせることによって、合成曲線を作成する。さらに、実測された分子量分布曲線と合成曲線との同一分子量(M)値に対する重量割合の偏差平方和が最小値になるように、平均値と割合を求める。偏差平方和の最小値は、各ピークの割合がすべて0の場合の偏差平方和に対して0.5%以下にした。偏差平方和の最小値を与える平均値と割合が得られた時に、2つの対数正規分布曲線に分割して得られるそれぞれの対数分布曲線のピークトップの分子量をMpとした。
GPCによる分子量測定においてピークが1つのものは、溶融張力が30mNに到達せず、伸長粘度の非線形性も発現しないことから、均一な発泡体が成形出来ない。
重量平均分子量(Mw)とMnの比(Mw/Mn)は2.0〜7.0、好ましくは2.5〜7.0、さらに好ましくは3.0〜6.0である。Mw/Mnがこの範囲であると、PPとブレンドしても均一に分散し、外観の良好な発泡体が成形できることから好ましい。Mw/Mnが2.0未満である場合、射出成形時の流動性が非常に高くなるため外観が悪化し、発泡倍率も低下する。また、Mw/Mnが7.0を超える場合、射出成形体の強度が低下する。Mw/Mnは、有機変性粘土(B)合成時の有機化合物添加量の低減、重合時の温度低下、エチレン以外のオレフィン添加量の増加により増加することができる。
GPCにより測定した数平均分子量(Mn)は15,000以上であることが好ましく、さらに好ましくは15,000〜100,000、特に15,000〜50,000が好ましい。Mnが15,000以上である場合、得られる架橋発泡成形体の強度が高くなる。Mnは、重合時の水素添加量の減少により増加する。また、Mnは遷移金属化合物(A)の配位子の種類により制御が可能である。例えば一般式(5)のみの配位子を用いるよりも、一般式(6)、さらには一般式(8)の配位子を用いた方が、Mnは高くなる。
分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの長鎖分岐数は主鎖1000炭素数あたり0.15個以上である。Mnが10万以上のフラクションの長鎖分岐数が主鎖1000炭素数あたり0.15個未満である場合、発泡成形、フィルム成形に問題が生じる。分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの長鎖分岐数は、有機変性粘土(B)合成時の有機化合物添加量の低減、重合時のエチレン以外のオレフィン添加量の増加により増加することができる。また、遷移金属化合物(A)の配位子の種類によっても制御が可能である。例えば一般式(5)のみの配位子を用いるよりも、一般式(6)、さらには一般式(8)の配位子を用いた方が、分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの長鎖分岐数は高くなる。
また、分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの割合が、ポリマー全体の40%未満であることが好ましい。分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの割合が、ポリマー全体の40%未満である場合、流動性に優れ、発泡倍率が高い射出発泡成形体が得られる。
分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの割合については、有機変性粘土(B)合成時の有機化合物添加量の低減、重合時の水素添加量の減少、重合時のエチレン以外のオレフィン添加量の増加により増加することができる。また、遷移金属化合物(A)の配位子の種類によっても制御が可能である。例えば一般式(5)のみの配位子を用いるよりも、一般式(6)、さらには一般式(8)の配位子を用いた方が、分子量分別で得られたMnが10万以上のフラクションの割合は高くなる。
以上、本発明に使用するエチレン系重合体は特定の構造を有し、射出発泡成形により、外観が良好で、気泡も均一微細な発泡体となる。
さらに、成形品の強度が高いことから、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィーを用い、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒として用い直鎖ポリエチレン換算値として求められる重量平均分子量が60,000以上であることが好ましい。
本発明の射出発泡成形体を構成するエチレン系重合体は、 下記一般式(1)
aQbQcQd (1)
(式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Q、Q、QおよびQは、シクロアルカジエニル基、置換シクロアルカジエニル基、キレート性の配位子、ルイス塩基、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、上記炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものであり、これらは互いに同一のものであってもよく、異なるものであってもよく、Q、Q、QおよびQは、他の原子または、原子団を介して結合していてもよく、a、b、c及びdはそれぞれ0〜4の整数を示す。)
で表される遷移金属化合物(A)、スメクタイト族ヘクトライトに属する粘土化合物を一般式(2)
Figure 0005664221
(式中、R〜Rは各々独立して炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルシリル基、上記炭素数1〜30の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1〜30の炭化水素基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1〜30の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したもの、であり、かつR〜Rのうち少なくともひとつが炭素数21以上であり、Mは周期表第15族の原子であり、[A]はアニオンである。)
で表される有機化合物にて変性した有機変性粘土(B)及び有機アルミニウム化合物(C)からなるエチレン系重合体製造用触媒を用いて、エチレン重合を行うことにより製造することができる。
遷移金属化合物(A)は、下記一般式(1)
aQbQcQd (1)
(式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Q、Q、QおよびQは、シクロアルカジエニル基、置換シクロアルカジエニル基、キレート性の配位子、ルイス塩基、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、上記炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものであり、これらは互いに同一のものであってもよく、異なるものであってもよく、Q、Q、QおよびQは、他の原子または、原子団を介して結合していてもよく、a、b、c及びdはそれぞれ0〜4の整数を示す。)
で表され、好ましくは下記一般式(3)、一般式(4)
Figure 0005664221
Figure 0005664221
[式中、Mはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Xは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、上記炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものであり、R,Rは各々独立して一般式(5)、(6)、(7)または(8)
Figure 0005664221
Figure 0005664221
Figure 0005664221
Figure 0005664221
(式中、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、上記炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものである。)
で表されるMに配位する配位子であり、RとRはMと一緒にサンドイッチ構造を形成し、Rは一般式(9)または(10)
Figure 0005664221
Figure 0005664221
(式中、Rは各々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、上記炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものであり、Mはケイ素原子、ゲルマニウム原子または錫原子である。)
で表され、RとRを架橋するように作用しており、nは1〜5の整数である。]
で表される化合物が用いられる。
また、下記一般式(12)または一般式(13)
Figure 0005664221
[式中、Mは、周期表第4〜5族の遷移金属原子を示し、mは、1〜2の整数を示し、R11〜R16は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、上記炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものであり、R11 〜R16 のうちの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。pは、Mの価数を満たす数であり、Yは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数1〜20のアルキルシリル基、上記炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものを示し、pが2以上の場合は、Yで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またYで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。]
Figure 0005664221
[式中、R17は各々の場合に水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロ、シアノおよびこれらの組み合わせから独立して選択され、かつ任意に2個のR17(ここでR17は水素、ハロまたはシアノではない)は一緒になってシクロペンタジエニル環の隣接位置に連結して結合環構造を形成するその2価誘導体を形成してもよく、Jは、MとΠ−錯体を形成する30個以下の非水素原子を有する中性のη−結合ジエン基であり、Qは−O−、−S−、−NR18−、−PR18−であり、Mは+2形式酸化状態のチタンまたはジルコニウムであり、ZはSiR18 、CR18 、SiR18 SiR18 、CR18 CR18 、CR18=CR18、CR18 SiR18 またはGeR18 であり、ここでR18は各々の場合独立して水素あるいはヒドロカルビル、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリールおよびこれらの組み合わせから選択される一員であり、かつ任意にZからの2個のR18あるいはZからのR18およびQからのR18(ここでR18は水素ではない)が環系を形成してもよい]
で表される化合物を用いることもできる。
、Q、QおよびQのシクロアルカジエニル基としては、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基等を例示することできる。置換シクロアルカジエニル基としては2−メチルシクロペンタジエニル基、2−エチルシクロペンタジエニル基、2,4−ジメチルシクロペンタジエニル基、2−フェニルインデニル基、2,4−ジエチルシクロペンタジエニル基、2−メトキシシクロペンタジエニル基、2−ジメチルアミノシクロペンタジエニル基、2−トリメチルシリルシクロペンタジエニル基、7−メチルインデニル基、7−エチルインデニル基、7−フェニルインデニル基、2,7−ジメチルインデニル基、2−メトキシ−7−メチルインデニル基、2−ジメチルアミノ−7−メチルインデニル基、2−トリメチルシリル−7−メチルインデニル基、4,7−ジメチルインデニル基、4−メトキシ−7−メチルインデニル基、テトラヒドロインデニル基、7−メチルテトラヒドロインデニル基、7−エチルテトラヒドロインデニル基、7−フェニルテトラヒドロインデニル基、2,7−ジメチルテトラヒドロインデニル基、2−ジメチルアミノ−7−メチルテトラヒドロインデニル基、2−トリメチルシリル−7−テトラヒドロインデニル基、4,5,6,7−テトラメチルテトラヒドロインデニル基等を例示することができる。キレート性の配位子としては、エチレンジアミン基、ビピリジン基、フェナントロリン基、アセチルアセトナート基等を例示することができる。ルイス塩基としては、N,N−ジメチルアニリン,トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルアミン,メチルジフェニルアミン,ピリジンなどのアミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、安息香酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル,ベンゾニトリルなどのニトリル類等を例示することができる。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を例示することができる。炭素数1〜20の炭化水素基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−エイコシル基、フェニル基、ベンジル基、o−トルイル基、m−トルイル基、p−トルイル基等を例示することができる。炭素数1〜20のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−オクトキシ基、n−エイコキシ基、n−フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基等を例示することができる。炭素数1〜20のアルキルアミノ基としてはメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基等を例示することができる。炭素数1〜20のアルキルシリル基としてはメチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、n−プロピルシリル基、iso−プロピルシリル基、ジ(n−プロピルシリル基)、ジ(iso−プロピルシリル基)、トリ(n−プロピルシリル基)、トリ(iso−プロピルシリル基)、n−ブチルシリル基、iso−ブチルシリル基、t−ブチルシリル基、ジ(n−ブチルシリル基)等を例示することができる。上記炭素数1〜20の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したものとしては、メトキシメチレン基、エトキシメチレン基等を例示することができる。上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部を炭素数1〜20のアルキルアミノ基に置換したものとしては、ジメチルアミノメチレン基、ジエチルアミノメチレン基等を例示することができる。上記炭素数1〜20の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものとしては、トリメチルシリルメチレン基、tert−ブチルジメチルシリルメチレン基等を例示することができる。
遷移金属化合物(A)の具体的な例として、次に挙げる化合物を例示することができる。遷移金属化合物(A)の具体例として、一般式(3)に該当するものとしてはビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、一般式(4)に該当するものとしては、メチレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、一般式(12)に該当するものとしては、ビス(2−tert−ブチル−5−フェニルイミノ)ジルコニウムジクロリド、一般式(13)に該当するものとしては、(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物、ジルコニウム原子をチタン原子、ハフニウム原子に変えた化合物や上記遷移金属化合物のジクロロ体をジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体に変えた化合物などを例示することができ、好ましい遷移金属化合物(A)としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドおよびイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド等を挙げることができるが、これらに限定するものではない。
有機変性粘土(B)は、以下の一般式(2)
Figure 0005664221
(式中、R〜Rは各々独立して炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数1〜30のアルキルシリル基、上記炭素数1〜30の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したもの、上記炭素数1〜30の炭化水素基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換したもの、上記炭素数1〜30の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものであり、かつR〜Rのうち少なくともひとつが炭素数21以上であり、Mは周期表第15族の原子であり、[A]はアニオンである。)
で表される有機化合物にて変性したものであり、有機化合物の具体的な例としては、次に例示することができる。
一般式(2)において、R、RおよびRの炭素数1〜30の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基等を例示することができる。
炭素数1〜30のアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基等を例示することができる。
炭素数1〜30のアルキルアミノ基は、前記炭素数1〜30の炭化水素基を置換基として有するアミノ基であり、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基等を例示することができる。
炭素数1〜30のアルキルシリル基は、前記炭素数1〜30の炭化水素基を置換基として有するシリル基であり、トリメチルシリル基、トリtert−ブチルシリル基、ジtert−ブチルメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等を例示することができる。
上記炭素数1〜30の炭化水素基の炭素と炭素の結合間に酸素を導入したものとしては、メトキシメチレン基、エトキシメチレン基等を例示することができる。
上記炭素数1〜30の炭化水素基の一部を炭素数1〜30のアルキルアミノ基に置換したものとしては、ジメチルアミノメチレン基、ジエチルアミノメチレン基等を例示することができる。
上記炭素数1〜30の炭化水素基の一部の炭素をケイ素に置換したものとしては、トリメチルシリルメチレン基、tert−ブチルジメチルシリルメチレン基等を例示することができる。
そして、R、RおよびRの少なくとも一つは、ベヘニル基で代表される炭素数21以上の炭化水素基である。
は、周期律表第15族の原子であり窒素原子またはリン原子を例示することができる。Mが窒素原子である場合の一般式(2)で表される有機化合物の具体例としては、N,N−ジメチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−エチル−ベヘニルアミン塩酸塩、N−メチル−N−n−プロピル−ベヘニルアミン塩酸塩等の化合物および上記化合物の塩酸塩をフッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩または硫酸塩に置き換えた化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
がリン原子であるものとしては、P,P−ジメチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジエチル−ベヘニルホスフィン塩酸塩、P,P−ジプロピル−ベヘニルホスフィン塩酸塩等の化合物および上記化合物の塩酸塩をフッ化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩または硫酸塩に置き換えた化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
[A]はアニオンであり、例えばフッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、シュウ酸イオン、クエン酸イオン、コハク酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオンまたはヘキサフルオロリン酸イオンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、有機変性粘土(B)に用いる粘土化合物は、スメクタイト族ヘクトライトに属するものである。
有機化合物にて変性された有機変性粘土は、粘土化合物層間に有機イオンを導入し、イオン複合体を形成する。
有機化合物変性処理においては、粘土化合物の濃度は0.1〜30重量%、処理温度は0〜150℃の条件を選択して処理を行うことが好ましい。また、有機化合物は固体として調製して溶媒に溶解させて使用しても良いし、溶媒中での化学反応により有機化合物の溶液を調製してそのまま使用しても良い。粘土化合物と有機化合物の反応量比については、粘土化合物の交換可能なカチオンに対して当量以上の有機化合物を用いることが好ましい。処理溶媒としては、ペンタン、ヘキサンもしくはヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼンもしくはトルエン等の芳香族炭化水素類、エチルアルコールもしくはメチルアルコール等のアルコール類、エチルエーテルもしくはn−ブチルエーテル等のエーテル類、塩化メチレンもしくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランまたは水等を用いることができるが、好ましくは、アルコール類または水を単独もしくは溶媒の一成分として用いることである。
また、本発明に使用するエチレン系重合体の重合で用いる有機変性粘土(B)の粒径は特に制限されるものではないが、小さすぎると沈降しづらく触媒調製を効率よく行えなくなり、大きすぎると触媒をスラリーで移送する際に途中の配管に詰まったりするため、1〜100μmであることが好ましい。粒径を調節する方法も特に制限されず、大きな粒子を粉砕して適切な粒径にしても、小さな粒子を造粒して適切な粒径にしても良く、あるいは粉砕と造粒を組み合わせても良い。また、粒径の調節は未変性の粘土に行っても、変性後の有機変性粘土に行っても良い。
粉砕や造粒の方法も特に制限されず、粉砕ならばインパクトミル、回転ミル、カスケードミル、カッターミル、ケージミル、衝撃式粉砕機、コニカルミル、コロイドミル、コンパウンドミル、ジェットミル、振動ミル、スタンプミル、チューブミル、ディスクミル、タワーミル、媒体攪拌ミル、ハンマーミル、ピンミル、フレットミル、ペブルミル、ボールミル、摩砕機、遊星ミル、リングボールミル、リングロールミル、ロッドミル、ローラーミル、ロールクラッシャー等を、造粒としては転動造粒、流動層造粒、攪拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒、溶融造粒、噴霧造粒等いずれの方法を用いてもよい。
有機アルミニウム化合物(C)は、本発明に使用されるエチレン系重合体の製造用触媒の構成成分であり、遷移金属化合物(A)、および有機変性粘土(B)と共に用いられる。
有機アルミニウム化合物(C)は、下記一般式(11)
Figure 0005664221
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基であり、R10は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、水素原子または塩素原子である。)
で表され、遷移金属化合物をアルキル化することが可能な化合物が好ましく、具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
本発明に使用するエチレン系重合体の重合で用いる遷移金属化合物(A)((A)成分)と有機変性粘土(B)((B)成分)、および有機アルミニウム化合物(C)((C)成分)の比に制限はないが、次に示す比であることが望ましい。
(A)成分と(C)成分の金属原子当たりのモル比は(A成分):(C成分)=100:1〜1:100000の範囲にあり、特に1:1〜1:10000の範囲であることが好ましく、(A)成分と(B)成分の重量比が(A成分):(B成分)=10:1〜1:10000にあり、特に3:1〜1:1000の範囲であることが好ましい。特に、1種類の(A)成分、(B)成分および(C)成分を組み合わせることにより、GPCによる分子量測定において2ピークが観測されるエチレン系重合体を製造することが可能であり、このエチレン系重合体を使用することにより、本発明の外観が良好で、気泡の均一性に優れた射出発泡成形体が得られる。また、1種類の(A)成分、(B)成分および(C)成分を組み合わせることにより、GPCによる分子量測定において2ピークが観測され、特定範囲の数平均分子量および分子量分布を有し、分子量分別により得られたMnが10万以上の成分が特定の割合でありかつ分子量分別により得られたMnが10万以上の成分中に特定以上の長鎖分岐を有することにより、高発泡倍率を有する射出発泡体が製造可能なエチレン系共重合体が得られる。
本発明に使用するエチレン系重合体の重合で用いる(A)成分、(B)成分および(C)成分からなるエチレン系重合体製造用触媒を調製する方法に関して制限はなく、調製の方法として、各成分に関して不活性な溶媒中あるいは重合を行うモノマーを溶媒として用い、混合する方法などを挙げることができる。また、これらの成分を反応させる順番に関しても制限はなく、この処理を行う温度、処理時間も制限はない。また、(B)成分、(C)成分を2種類以上用いてエチレン系重合体製造用触媒を調製することも可能である。
本発明に使用するエチレン系重合体の重合で用いる触媒は、通常の重合プロセス、すなわちスラリー重合、気相重合、高圧重合、溶液重合、塊状重合のいずれのプロセスにも使用できる。
本発明において重合とはエチレンの単独重合のみならず他のオレフィンとの共重合も意味し、これら重合により得られるエチレン系重合体は、単独重合体のみならず共重合体も含む意味で用いられる。
本発明に使用されるエチレン系重合体におけるエチレンの重合は、気相でも液相でも行うことができ、特に気相で重合を行う場合には、粒子形状の整ったエチレン系重合体を効率よく安定的に生産することができる。また、重合を液相で行う場合、用いる溶媒は、一般に用いられている有機溶媒であればいずれでもよく、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキセンなどのオレフィンを溶媒として用いることもできる。
本発明に使用するエチレン系重合体の重合で用いるエチレン系重合体のエチレンとの共重合に用いる他のオレフィンとして、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン、スチレンおよびスチレン誘導体、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の共役および非共役ジエン、シクロブテン等の環状オレフィン等が挙げられる。さらに、エチレンとプロピレンとスチレン、エチレンと1−ヘキセンとスチレン、エチレンとプロピレンとエチリデンノルボルネンのように、3種以上の成分を混合して重合することもできる。
本発明に使用されるエチレン系重合体を製造する上で、重合温度、重合時間、重合圧力、モノマー濃度などの重合条件について特に制限はないが、重合温度は−100〜300℃、重合時間は10秒〜20時間、重合圧力は常圧〜3000kg/cmGの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて、2段以上に分けて行うことも可能である。また、重合終了後に得られるエチレン系重合体は、従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。 該ポリエチレン系樹脂(B)の形状、大きさに制限はなく、ペレット状でもよい。
本発明の製造方法におけるポリプロピレン系樹脂(A)とポリエチレン系樹脂(B)の使用割合は、目的とする射出発泡成形体の発泡倍率、剛性、軽量性、耐衝撃性等を加味し、任意に選択すればよく、その中でも均一微細な気泡を有す、発泡倍率が2倍以上の射出発泡成形体が得られ、薄肉部分を有する成形でショートショットが起こらず、連続して安定した射出発泡成形体の製造が行えることからポリプロピレン樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)=50〜95:50〜5(重量比)であることが好ましく、特にポリプロピレン系樹脂(A):ポリエチレン系樹脂(B)=60〜90:40〜10(重量比)であることが好ましい。また、該ポリプロピレン系樹脂(A)と該ポリエチレン系樹脂(B)の配合・混合についてはその方法に特に限定はなく、公知の方法で行うことが出来、例えばペレット状の樹脂をブレンダー、ミキサー等を用いてドライブレンドする方法、溶融混合する方法、溶剤に溶解して混合する方法等の方法が挙げられる。そして、本発明においては、特に熱履歴が少なくて済み、発泡倍率、剛性、軽量性、耐衝撃性等に優れる射出成形発泡体が得られることから、該ポリプロピレン系樹脂(A)及び該ポリエチレン系樹脂(B)をドライブレンドした上で射出成形機に供することが好ましい。
そして、本発明の射出発泡成形体の製造方法は、射出成形機内の該ポリプロピレン系樹脂(A)及び該ポリエチレン系樹脂(B)に対して、溶融工程で二酸化炭素を含有させるものである。該二酸化炭素は、射出発泡生体の製造する際の発泡剤として作用するものであり、従来はポリプロピレン系樹脂の発泡には不向きとされていたものである。
ここで、溶融工程で二酸化炭素を供給する方法としては、分解により二酸化炭素を発生する化学発泡剤を配合し、溶融工程の熱により化学発泡剤を分解し、二酸化炭素を供給する方法を挙げることができ、該化学発泡剤としては、分解して二酸化炭素が発生するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えば炭酸水素ナトリウム(重曹と称することもある。NaHCO)を挙げることができる。該炭酸水素ナトリウムは、射出成形機の溶融工程・成形工程の加熱によって分解が始まり、下記に示す反応式に基づいて炭酸ナトリウムに変化する際に、二酸化炭素と水蒸気とを発生することにより射出発泡成形体が得られるものである。
2NaHCO→NaCO+CO+H
そして、該化学発泡剤により、二酸化炭素を含有させる際のその配合量は、得られる射出発泡成形体の発泡倍率により任意に選択すればよく、その中でも特に柔軟性、密度、発泡体の形状保持性に優れる射出発泡成形体が得られることから、ポリプロピレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)の合計量100重量部に対し0.5〜10重量部であることが好ましい。また、該化学発泡剤は、該ポリプロピレン系樹脂(A)及び該ポリエチレン系樹脂(B)と予め混合してから射出成形機に供給し、溶融混合物とする際に分解して二酸化炭素を発生させることが好ましい。
また、二酸化炭素の供給源として該化学発泡剤を使用する際には、発泡成形体の気泡が安定的に均一微細な射出発泡成形体を得るために、例えばクエン酸のような有機酸等の発泡助剤やタルクのような無機微粒子等の造核剤を用いてもよい。
さらに、二酸化炭素の供給については、二酸化炭素を射出成形機内へ直接供給する方法を用いることも可能であり、例えば二酸炭素の貯蔵タンクから貯蔵圧力よりも低い圧力で、貯蔵タンク内と射出成形機内との圧力差により供給する方法を挙げることができ、具体的には、二酸化炭素の供給圧力が0.1〜2.0MPa、好ましくは0.5〜1.5MPa、さらに好ましくは0.6〜1.0MPaである。そして、特に超臨界状態の二酸化炭素として供給し、射出発泡成形を行うことが好ましい
本発明の射出発泡成形体の製造方法において用いられる射出発泡成形機としては、一般に射出発泡成形機として知られているもの用いることが可能であり、その際の射出発泡成形方法としては、公知の方法が適用でき、ポリプロピレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)の特性、発泡剤である二酸化炭素供給源の種類、成形機の種類あるいは金型の形状によって適宜成形条件を調整すればよい。通常、ポリプロピレン系樹脂の場合は樹脂温度170〜250℃、金型温度10〜100℃、成形サイクル1〜60分、射出速度10〜300mm/秒、射出圧10〜200MPa等の条件で射出発泡成形を行うことが好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)及びポリエチレン系樹脂(B)よりなる溶融混合物に二酸化炭素を含有させ、次いで金型内に射出することにより射出発泡成形体を得ることが可能となり、その際、金型内で発泡させる方法としては種々の方法が提案されている。そして、なかでも固定型と任意の位置に前進および後退が可能な可動型とから構成される金型を使用し、射出完了後、可動型を後退させて発泡させる、いわゆるコアバック法が、表面に非発泡層が形成され、内部の発泡層が高発泡倍率で均一微細気泡になりやすく、軽量性、剛性に優れた射出発泡成形体が得られやすいことから好ましい。
本発明により得られる射出発泡成形体は、軽量性と剛性のバランスに優れることから発泡倍率が、1.8倍以上10倍以下であることが好ましく、特に2倍以上4倍以下であることが好ましい。また、発泡層の平均気泡径200μm以下であることが好ましい。さらに剛性に優れた射出発泡成形体となることから、発泡層の表面に非発泡層を有することが好ましく、該非発泡層の厚みは300μm以下であることが好ましく、100μm以下であることが更に好ましい
本発明の射出発泡成形体には、さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤;架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を併用して射出発泡成形体を製造してもよい。
本発明により、二酸化炭素による発泡では従来困難とされていた内部に均一微細なセルを形成し、高発泡倍率で軽量性に優れたポリプロピレン系樹脂製の射出発泡成形体を得ることが可能となる。
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
以下に、実施例および比較例で用いた測定方法を示す。
〜エチレン系重合体の製造と評価〜
以下に、製造例を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、断りのない限り、用いた試薬等は市販品、あるいは既知の方法に従って合成したものを用いた。
有機変性粘土の粉砕にはジェットミル(セイシン企業社製(商品名)CO−JET SYSTEM α MARK III)を用い、粉砕後の粒径はマイクロトラック粒度分布測定装置(日機装株式会社製(商品名)MT3000)を用いてエタノールを分散剤として測定した。
エチレン系重合体製造用触媒の調製、エチレン系重合体の製造および溶媒精製は全て不活性ガス雰囲気下で行った。トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(20wt%)は東ソーファインケム(株)製を用いた。
さらに、実施例におけるエチレン系重合体の諸物性は、以下に示す方法により測定した。重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)およびピークトップ分子量(Mp)は、GPCによって測定した。GPC装置(東ソー(株)製(商品名)HLC−8121GPC/HT)およびカラム(東ソー(株)製(商品名)TSKgel GMHhr−H(20)HT)を用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mlの濃度で調製し、0.3ml注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正した。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
密度は、JIS K6760(1995)に準拠して密度勾配管法で測定した。
MFR(メルトフローレート)は、ASTM D1238条件Eに準ずる方法にて測定を行った。融点は、DSC(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 DSC6200)を用いて、200℃で5分保持したサンプルを−20℃まで冷却させた後、10℃/分で昇温させたときの結晶融解ピークを測定することで算出した。
分子量分別は、カラムとしてガラスビーズ充填カラム(直径:21mm、長さ:60cm)を用い、カラム温度を130℃に設定して、サンプル1gをキシレン30mLに溶解させたものを注入する。次に、キシレン/2−エトキシエタノールの比率が5/5のものを展開溶媒として用い、留出物を除去する。その後、キシレンを展開溶媒として用い、カラム中に残った成分を留出させ、ポリマー溶液を得る。得られたポリマー溶液に5倍量のメタノールを添加しポリマー分を沈殿させ、ろ過および乾燥することにより、Mnが10万以上である成分を回収した。
長鎖分岐数は、日本電子(株)製JNM−GSX400型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによってヘキシル基以上の分岐数を測定した。溶媒はベンゼン−d6/オルトジクロロベンゼン(体積比30/70)である。主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1,000個当たりの個数として、α−炭素(34.6ppm)およびβ−炭素(27.3ppm)のピークの平均値から求めた。
溶融張力の測定用試料は、サンプルに耐熱安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガノックス1010TM;1,500ppm、イルガフォス168TM;1,500ppm)を添加したものを、インターナルミキサー(東洋精機製作所製、商品名ラボプラストミル)を用いて、窒素気流下、190℃、回転数30rpmで30分間混練したものを用いた。
実施例および比較例において、各種の評価方法に用いられた試験法および判定基準は次の通りである。
〜MFRの測定〜
ASTM 1238に準拠し、ポリプロピレン系樹脂は温度230℃、荷重2.16kgで測定した。また、ポリエチレン系樹脂は温度190℃、荷重2.16kgで測定した。
〜溶融張力の測定〜
キャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用した。190℃で、長さ(L)が8mm,直径(D)が2.095mmのダイから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを10m/分で引き取り、引き取り荷重を溶融張力とした。
〜歪硬化性の測定〜
温度160℃に設定したマイスナー型一軸伸長粘度計(東洋精機製作所製、商品名:メルテンレオメーター)を用いて測定した。非線型パラメータ(λ)は、ひずみ速度0.07〜0.1s−1の条件で測定した伸長粘度の最大値を、その時間の線形領域の伸長粘度で除した値として求めた。なお、線形領域における伸長粘度の値は、福田猛著,新高分子実験学1,高分子実験の基礎,分子特性解析,“3−4.分子形状および形態”,295(1994).に記載の方法に従い、動的粘弾性より近似式を用いて計算した。得られたλが1を越える場合は歪硬化性ありと判断した。
〜射出発泡成形〜
前記樹脂混合物を宇部興産機械(株)製「型締め圧力:100t」の射出成形機で、シリンダー設定温度210℃、金型温度40℃の成形条件で、縦200mm×横100mmの厚さ可変の平板形状のキャビティを有する内面鏡面光沢仕上げ、ダイレクトスプルーゲートの金型を用いて発泡成形体を得た。
射出発泡方法はコアバック法を用いた。すなわち、初期キャビティクリアランス1.5mmを有するキャビティ中に溶融状態の前記ポリプロピレン系樹脂混合物を射出開始し、射出完了後、可動型を後退させて成形体肉厚が3.0mmになるように最終型内クリアランスを調整して発泡させた。発泡完了後60秒間冷却してから発泡成形体を取り出した。
上記製造法にて作成したポリプロピレン系樹脂組成物の発泡成形体について、外観、発泡倍率、内部ボイドを評価した。
〜射出発泡成形体外観評価〜
外観を次の3段階で評価した。
平滑であり光沢もある・・・・・・・○
平滑、光沢があるが凹み(アバタ)が若干存在する・・・・・△
光沢がなく、凹み(アバタ)が多数存在する・・・・・×

〜内部ボイドの評価〜
射出発泡成形体を厚み方向に切断した断面を観察し、発泡層中の大きさ1mm以上のボイドの有無をしらべた。
内部ボイドがないもの・・・・・○
有るもの ・・・・・・・・・・×

〜発泡倍率の測定〜
射出発泡成形体から表面の非発泡層も含めた試片と、コアバック前の金型クリアランスとの比を発泡倍率とした。
〜平均気泡径、非発泡層厚みの測定〜
射出発泡成形体を厚み方向に切断した断面の顕微鏡写真より求めた。平均気泡径については任意に選んだ20個の平均値とした。
〜射出発泡成形体の肉厚測定〜
射出発泡成形体を厚み方向に切断した断面について、両端部、中央部の3点について測定し、その平均値とした。
以下に、実施例、比較例で使用したポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂を以下に示す。
〜ポリプロピレン系樹脂(PP)〜
PP(A1):住友化学社製、(商品名)住友ノーブレンAZ564(プロピレン・エチレン・ブロックコポリマー、MFR30g/10分、溶融張力5mN

PP(A2):住友化学社製、(商品名)住友ノーブレンZ101A(プロピレンホモポリマー、MFR25g/10分、溶融張力3mN

〜ポリエチレン系樹脂(PE)〜

製造例1
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸12.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)35.3g(100mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより118gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4266g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.5wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を105mg(固形分13.1mg相当)加え、85℃に昇温後、分圧が0.90MPaになるようにエチレンガスを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで50.2gのポリマー(B1)を得た(活性:3,800g/g触媒)。このポリマーのMFRは9.86g/10分、密度は955.5kg/mであり、融点は134.5℃であった。また、数平均分子量は17、938、重量平均分子量は65、834であり、分子量36,500および297、000の位置にピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.10個であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.20個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの7.7wt%であった。また、溶融張力は30mNであった。また、歪硬化性(λ)は1.5であった。
製造例2
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸12.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)35.3g(100mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより118gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド/0.2923gの代わりに、ジメチルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド/0.5447gを用いた以外は、実施例1と同様に実施した(固形重量分:10.9wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を86mg(固形分9.4mg相当)加え、65℃に昇温後、1−ブテンを17.5g加え、分圧が0.75MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:610ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで17.9gのポリマー(B2)を得た(活性:1,900g/g触媒)。このポリマーのMFRは5.00g/10分、密度は910.3kg/mであり、融点は79.7℃および99.3℃であった。また、数平均分子量は27,967、重量平均分子量は82,325であり、分子量42,500および260,900の位置にピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.25個であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.40個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの39.8wt%であった。また、溶融張力は45mNであった。また、λは1.4であった。
製造例3
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸12.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)35.3g(100mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより118gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。(2)触媒懸濁液の調製
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド/0.2923gの代わりに、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド/0.4406gを用いた以外は、実施例1と同様に実施した(固形重量分:11.5wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を64mg(固形分7.3mg相当)加え、70℃に昇温後、1−ブテンを17.6g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:570ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで61.7gのポリマー(B3)を得た(活性:8,500g/g触媒)。このポリマーのMFRは1.42g/10分、密度は929.0kg/mであり、融点は116.8℃であった。また、数平均分子量は19,505、重量平均分子量は92,677であり、分子量31,200および183,200の位置にピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.16個であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.31個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの21.8wt%であった。また、溶融張力は78mNであった。また、λは1.6であった。
製造例4
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸17.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)49.4g(140mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより132gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4406g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.4wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を52mg(固形分6.4mg相当)加え、70℃に昇温後、1−ブテンを17.6g加え、分圧が0.80MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:590ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで61.8gのポリマー(B4)を得た(活性:9,700g/g触媒)。このポリマーのMFRは1.56g/10分、密度は929.5kg/mであり、融点は118.3℃であった。また、数平均分子量は17,639、重量平均分子量は86,656であり、分子量30,500および155,300の位置にピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.14個であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.27個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの20.1wt%であった。また、溶融張力は75mNであった。また、λは1.5であった。
製造例5
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸17.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)49.4g(140mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより132gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド/0.2923gの代わりに、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド/0.4406gを用いた以外は、実施例1と同様に実施した(固形重量分:11.5wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を125mg(固形分15.0 mg相当)加え、65℃に昇温後、1−ブテンを17.5g加え、分圧が0.75MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:1,000ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで75.0gのポリマー(B5)を得た(活性:5,000g/g触媒)。このポリマーのMFRは1.0g/10分、密度は920.0kg/mであり、融点は107.9℃であった。また、数平均分子量は20,699、重量平均分子量は105,696であり、分子量32,430および250,290の位置にピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.19個であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.34個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの24.6wt%であった。また、溶融張力は81mNであった。また、λは1.8であった。
製造例6
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸17.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)49.4g(140mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより132gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド/0.2923gの代わりに、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド/0.4406gを用いた以外は、実施例1と同様に実施した(固形重量分:11.5wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を58mg(固形分7.0mg相当)加え、80℃に昇温後、1−ブテンを8.3g加え、分圧が0.85MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:850ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで49.0gのポリマー(B6)を得た(活性:7,000g/g触媒)。このポリマーのMFRは3.7g/10分、密度は939.4kg/mであり、融点は125.4℃であった。また、数平均分子量は20,304、重量平均分子量は75,200であり、分子量40,730および216,240の位置にピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.06個であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.17個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの14.3wt%であった。また、溶融張力は50mNであった。λは1.4であった。
製造例7
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸17.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)49.4g(140mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより132gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド/0.2923gの代わりに、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド/0.4406gを用いた以外は、実施例1と同様に実施した(固形重量分:11.5wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を70mg(固形分8.4mg相当)加え、80℃に昇温後、1−ブテンを2.4g加え、分圧が0.90MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:750ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで63.0gのポリマー(B7)を得た(活性:7,500g/g触媒)。このポリマーのMFRは15.5g/10分、密度は953.5kg/mであり、融点は135.2℃であった。また、数平均分子量は15,500、重量平均分子量は52,700であり、分子量27,900および179,000の位置にピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.05個であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.16個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの6.5wt%であった。また、溶融張力は35mNであった。また、λは1.3であった。
製造例8
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸17.5g及びジメチルベヘニルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンDM22D)49.4g(140mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより132gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を15μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド/0.2923gの代わりに、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2,4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド/0.4406gを用いた以外は、実施例1と同様に実施した(固形重量分:11.5wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を70mg(固形分8.4mg相当)加え、80℃に昇温後、分圧が0.90MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:550ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで58.8gのポリマー(B8)を得た(活性:7,000g/g触媒)。このポリマーのMFRは5.9g/10分、密度は958.7kg/mであり、融点は136.7℃であった。また、数平均分子量は16,700、重量平均分子量は58,450であり、分子量30,060および176,620の位置にピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.04個であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.15個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの5.7wt%であった。また、溶融張力は40mNであった。また、λは1.25であった。
製造例9
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸18.8g及びジメチルヘキサコシルアミン(MeN(C2653)、常法によって合成)49.1g(120mmol)を添加し、45℃に加熱して合成ヘクトライト(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRDS)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより140gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を14μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2、4,7−トリメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4406g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.0wt%)
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を75mg(固形分9.0mg相当)加え、80℃に昇温後、1−ブテンを8.3g加え、分圧が0.85MPaになるようにエチレン/水素混合ガスを連続的に供給した(エチレン/水素混合ガス中の水素の濃度:850ppm)。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで58.5gのポリマー(B9)を得た(活性:6,500g/g触媒)。このポリマーのMFRは4.0g/10分、密度は940.5kg/mであり、融点は124.9℃であった。また、数平均分子量は21,150、重量平均分子量は74,025であり、分子量41,500および217,050の位置にピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.07個であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.18個であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの14.8wt%であった。また、溶融張力は49mNであった。また、λは1.3であった。
製造例10
粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸18.8g及びメチルジオレイルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンM2O)53.1g(100mmol)を添加し、45℃に加熱して(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRD)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。
このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより138gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を12μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを0.4266g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.0wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を66mg(固形分7.9mg相当)加え、70℃に昇温後、1−ブテンを23.8g加え、分圧が1.20MPaになるようにエチレンガスを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで43.6gのポリマー(B10)を得た(活性:5,500g/g触媒)。このポリマーのMFRは72.4g/10分、密度は953.5kg/mであり、融点は113.7℃であった。また、数平均分子量は15,600、重量平均分子量は37,284であり、分子量30,300の位置にのみピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.01個未満であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクション中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.01個未満であった。また、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションの割合は、全ポリマーの5.0wt%であった。また、溶融張力は10mN未満であった。また、λは1であった。
製造例11
(1)粘土の変性
1Lのフラスコに工業用アルコール(日本アルコール販売社製(商品名)エキネンF−3)300mL及び蒸留水300mLを入れ、濃塩酸18.8g及びメチルジオレイルアミン(ライオン株式会社製(商品名)アーミンM2O)53.1g(100mmol)を添加し、45℃に加熱して(Rockwood Additives社製(商品名)ラポナイトRD)を100g分散させた後、60℃に昇温させてその温度を保持したまま1時間攪拌した。
このスラリーを濾別後、60℃の水600mLで2回洗浄し、85℃の乾燥機内で12時間乾燥させることにより138gの有機変性粘土を得た。この有機変性粘土はジェットミル粉砕して、メジアン径を12μmとした。
(2)触媒懸濁液の調製
温度計と還流管が装着された300mLのフラスコを窒素置換した後に(1)で得られた有機変性粘土25.0gとヘキサンを108mL入れ、次いでジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.3485g、及び20%トリイソブチルアルミニウム142mLを添加して60℃で3時間攪拌した。45℃まで冷却した後に上澄み液を抜き取り、200mLのヘキサンにて5回洗浄後、ヘキサンを200ml加えて触媒懸濁液を得た(固形重量分:12.0wt%)。
(3)重合
2Lのオートクレーブにヘキサンを1.2L、20%トリイソブチルアルミニウムを1.0mL、(2)で得られた触媒懸濁液を110mg(固形分13.2mg相当)加え、85℃に昇温後、分圧が1.20MPaになるようにエチレンを連続的に供給した。90分経過後に脱圧し、スラリーを濾別後、乾燥することで72.6gのポリマー(B11)を得た(活性:5,500g/g触媒)。このポリマーのMFRは200g/10分以上であり、密度は943.5kg/mであり、融点は132.0℃であった。数平均分子量は9,050、重量平均分子量は 19,910であり、分子量13,600の位置にのみピークが観測された。また、ポリマー中に含まれる長鎖分岐数は、主鎖1000炭素数あたり0.01個未満であり、分子量分別した際のMn10万以上のフラクションは得られなかった。また、溶融張力は10mN未満であった。また、λは1であった。
〜発泡剤〜
化学発泡剤:射出成形時の熱で分解して二酸化炭素を発生することのできる重曹系発泡剤を使用した。(永和化成製ポリスレンEE275、分解ガス量40ml/g)
物理発泡剤:サイフォン式の二酸化炭素ボンベを使用して、液化した二酸化炭素を配管内に充満させた後、二酸化炭素を加圧して送液ポンプを使用して押出機内に一定量を供給した。
参考例1
PP(A1)ペレット70重量%及びPE(B1、製造例1)ペレット30重量%からなる合計量100重量部に対し、化学発泡剤5重量部をドライブレンドし、樹脂混合物を調製した。
前記樹脂混合物をシリンダー設定温度210℃、金型温度60℃に調整し、縦250mm×横200mmの厚さ可変の平板形状のキャビティを有する内面鏡面光沢仕上げ、ダイレクトスプルーゲートの金型を装着した射出成形機(宇部興産機械(株)製、商品名MD450S−IV型(シャットオフノズル仕様)に供給し、射出発泡成形を行い射出発泡成形体を得た。その際の樹脂溶融工程の熱により化学発泡剤が分解し、発泡剤としての二酸化炭素が発生し、発泡成形が行われた。
また、その際の射出発泡成形方法としてはコアバック法を用いた。すなわち、初期キャビティクリアランス1.5mmを有するキャビティ中に溶融状態の二酸化炭素を含有した樹脂混合物の射出を開始し、射出完了後、可動型を後退させて成形体肉厚が3.3mmになるように最終型内クリアランスを調整して発泡させた。発泡完了後60秒間冷却してから射出発泡成形体を取り出した。
上記製造法にて作成したポリプロピレン系樹脂の射出発泡成形体について、発泡倍率、発泡体形状、気泡形状、および加熱収縮率を評価した。評価結果を表1に示す。
参考例2
PP(A1)ペレット70重量%及びPE(B1)ペレット30重量%の代わりに、PP(A1)ペレット85重量%及びPE(B1)ペレット15重量%とした以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例3
PE(B1)の代わりに、PE(B2:製造例2)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
参考例4
PP(A1)の代わりに、PP(A2)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例5
PE(B1)の代わりに、PE(B3:製造例3)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例6
PE(B1)の代わりに、PE(B4:製造例4)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例7
PE(B1)の代わりに、PE(B5:製造例5)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例8
PE(B1)の代わりに、PE(B6:製造例6)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
参考例9
PE(B1)の代わりに、PE(B7:製造例7)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
参考例10
PE(B1)の代わりに、PE(B8:製造例8)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例11
PE(B1)の代わりに、PE(B9:製造例9)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例1
PE(B1)を用いずPP(A1)のみで射出発泡成形を行った以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。その結果、得られた射出発泡成形体は、発泡時に気泡が合一し、内部ボイドが発生すると伴に、平均気泡径も大きいものであり発泡成形体としては適さないものであった。評価結果を表1に示す。
比較例2
PE(B1)の代わりに、市販の高圧法により製造された低密度ポリエチレン(LDPE)(東ソー製、(商品名)ペトロセン203;MFR=8g/10分、密度=919kg/m、溶融張力115mN、非線型パラメータ(λ)は18で、歪硬化性あり、Mw/Mnが8.0であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり7.3個)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。その結果、得られた射出発泡成形体は、成形体の表面の平滑性が劣り、かつ、内部ボイドが発生すると伴に、平均気泡径も大きいものであり発泡成形体としては適さないものであった。評価結果を表1に示す。
比較例3
PE(B1)の代わりに、メタロセン触媒で製造された直鎖状低密度ポリエチレン(宇部興産製、(商品名)ユメリット4540F;MFR=3.9g/10分、密度=944kg/m、溶融張力20mN、非線型パラメータ(λ)は1であり歪硬化性なし、Mw/Mnが2.8であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に長鎖分岐を有さない)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。その結果、得られた射出発泡成形体は、発泡時に気泡が合一し、内部ボイドが発生すると伴に、平均気泡径も大きいものであり発泡成形体としては適さないものであった。評価結果を表1に示す。
比較例4
PE(B1)の代わりに、チーグラー触媒で製造された直鎖状高密度ポリエチレン(東ソー製、(商品名)ニポロンハード2300、;MFR=7.0g/10分、密度=952kg/m、溶融張力10mN、非線型パラメータ(λ)は1であり歪硬化性なし、Mw/Mnが3.5であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に長鎖分岐を有さない)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。その結果、得られた射出発泡成形体は、発泡時に気泡が合一し、内部ボイドが発生すると伴に、平均気泡径も大きいものであり発泡成形体としては適さないものであった。評価結果を表1に示す。
比較例5
PE(B1)の代わりに、PE(B10:製造例10)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例6
PE(B1)の代わりに、PE(B11:製造例11)を用いた以外は、参考例1と同様の方法により射出発泡成形体を得、その評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 0005664221
本発明のポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体は内部セルが均一微細であり、高発泡倍率で軽量性に優れていることから、自動車内装材をはじめ、食品包装用容器や家電、建材用途に広く使用できる。

Claims (7)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A)及び密度が920〜950kg/m、190℃で測定したメルトフローレートが1g/10分以上50g/10分未満、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによる分子量測定において2つのピークを示し、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.0〜7.0の範囲であり、分子量分別した際のMnが10万以上のフラクション中に長鎖分岐を主鎖1000炭素数あたり0.15個以上有する溶融張力が30mN以上、かつ歪硬化性を示すポリエチレン系樹脂(B)を射出成形機へ供給し、該射出成形機内の溶融工程で該ポリプロピレン系樹脂(A)及び該ポリエチレン系樹脂(B)よりなる溶融混合物に二酸化炭素を含有させ、次いで金型内に射出して発泡成形を行うことで得られる射出発泡成形体
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂(A)が、230℃で測定したメルトフローレートが30g/10分以上100g/10分以下、溶融張力が10mN以下のポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の射出発泡成形体。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂(A)及び前記ポリエチレン系樹脂(B)を50〜95:50〜5(重量比)の割合で射出成形機へ供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の射出発泡成形体。
  4. 前記溶融混合物に分解により二酸化炭素を発生する化学発泡剤を添加し、加熱分解により二酸化炭素を含有させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出発泡成形体。
  5. 前記化学発泡剤が炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする請求項4に記載の射出発泡成形体。
  6. 前記溶融混合物に超臨界二酸化炭素を添加し、二酸化炭素を含有させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出発泡成形体。
  7. 発泡倍率が2倍以上4倍以下であり、表面に非発泡層を有し、該非発泡層の厚さが300μm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の射出発泡成形体。
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