JP4519477B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡成形体およびその製法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂からなる射出発泡成形体およびその製法に関する。
ポリプロピレン系樹脂の射出成形において、軽量化、コストダウン、成形体の反り・ヒケ防止を目的に発泡を行ういわゆる射出発泡成形が従来から行われてきた。しかし、ポリプロピレン系樹脂は結晶性でメルトテンション(溶融張力)が低く、気泡が破壊しやすい。その結果、成形体表面にシルバーストリーク(またはスワールマーク)と呼ばれる外観不良が発生しやすかったり、さらには内部にボイドが発生しやすく、発泡倍率を高くすることが困難であった。また、気泡が不均一で大きいために得られた成形体の剛性も十分でなかった。
発泡性を改良する方法として、架橋剤やシラングラフト熱可塑性樹脂を添加してポリプロピレン系樹脂のメルトテンションを高める方法が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。しかし、この方法では高発泡倍率の発泡成形体が得られるものの溶融時の粘度が上がりすぎ、射出成形が困難となるとともに、得られた成形体の表面性も悪いものであった。
放射線照射により長鎖分岐を導入することで、通常の線状ポリプロピレン系樹脂に比べてメルトテンションが高く、さらに溶融物の延伸歪みの増加に伴い粘度が上昇する、いわゆる歪硬化性を示すポリプロピレン系樹脂がサンアロマー社よりHMS−PP(ハイ・メルトストレングス・ポリプロピレン)として市販されている(特許文献3)。このようなHMS−PPを基材樹脂として射出発泡成形に使用することで発泡成形体が得られることは知られている(特許文献4)。しかし、ここで使用されているHMS−PPはメルトフローレートが4g/10分程度しかなく、溶融時の流動性が低く、金型キャビティのクリアランスが1〜2mm程度の薄肉部分を有する成形においてはショートショットになりやすい問題があった。一方、メルトフローレートが高いHMS−PP(30g/10分)も知られているが、歪硬化性は示すものの、メルトテンションが0.3cN程度しかなく、高発泡倍率の発泡成形体を得ることは困難であった。しかも、これらのHMS−PPの製造は高価な放射線設備を使用しているため、製造されるHMS−PPも高価となり、それから得られる製品を安価に提供することは困難である。
また、特定の極限粘度を有するポリエチレンが混合されたメルトフローレートおよびメルトテンションがいずれも高いポリプロピレン系樹脂(特許文献5)や、多段重合により特定の極限粘度を有する成分を含有する高メルトテンションのポリプロピレン系樹脂と高メルトフローレートのポリプロピレン系樹脂との混合物(特許文献6)を射出発泡成形に使用する方法も提案されている。しかし、このようなポリプロピレン系樹脂は、前記長鎖分岐を有するHMS−PPのような顕著な歪硬化性を示さないため、発泡倍率が2倍越えるような高発泡倍率の場合には気泡が破壊され、内部ボイドが発生しやすい傾向になり、高度な剛性、軽量化のニーズに応えることができなかった。
一方、表面外観が良好な発泡成形体を得る方法としては従来より種々の方法が提案されている。例えば、予め金型キャビティ内部を発泡圧以上の圧力で加圧しておく方法(例えば、特許文献7)、非発泡性樹脂と発泡性樹脂とを順次別々に金型キャビティ内に射出充填する方法(例えば、特許文献8)、金型を予め高温に加熱しておく方法(例えば、特許文献9)などが知られている。しかし、これらの方法は、いずれも金型、成形機等装置の複雑化・大型化、付属装置の必要性、成形サイクルの長期化など、経済性、生産性に問題があった。
これに対し、狭くした金型キャビティ内にポリプロピレン系樹脂を発泡圧力以上の圧力で可動型を後退させながら射出充填してスキン層を形成させた後、充填完了後さらに可動型を後退させてコア層を発泡させる方法(例えば、特許文献10、特許文献11)は、特別な装置なしにシルバーストリークがほとんどない表面外観良好な発泡成形体が得られる。しかし、これらの方法で得られる発泡成形体はいずれも2倍未満の低発泡倍率のもので、高発泡倍率のものは例示されていない。また、前述のような発泡性が改良されたポリプロピレン系樹脂に上記方法を組み合わせたとしても、高発泡倍率の成形体を得ようとするとシルバーストリークが発生しやすく、表面外観に優れた高発泡成形体を得ることは困難である。
なお、表面性を改良する方法として従来より成形体表面を塗装したり、表面に表皮材を貼り合わせる等の方法があるが、これらは環境汚染やリサイクルの問題があり、またコスト低減の観点からも、とくに自動車メーカーから、これらの工程を省略する要請がある。
以上のように、これまでは射出発泡成形性が良好で、高発泡倍率で高度な軽量性を有し、表面外観が美麗で剛性に優れた射出発泡成形体を安価に得ることは困難であった。
特開昭61−152754号公報 特開平7−109372号公報 特開昭62−121704号公報 特開2001−26032号公報 特開2003−128854号公報 特開2003−268145号公報 特開昭59−227425号公報 特開昭58−197029号公報 特開2002−307473号公報 特開平4−144721号公報 特開2003−11190号公報
本発明の目的は、高発泡倍率であるがために軽量性、剛性に優れるだけでなく、とくに表面外観に極めて優れた発泡成形体を容易に、安価に得られる製法を提供することである。
本発明者らは、所定のポリプロピレン系樹脂を2段階で射出充填する射出発泡成形法にて成形することで、高発泡倍率、かつ、表面外観に極めて優れた発泡成形体が得られることを見出し本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、ポリプロピレン系樹脂と発泡剤を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物の溶融物を金型内に射出して発泡成形体を製造する方法において、前記ポリプロピレン系樹脂が(A)ASTM1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが10g/10分以上100g/10分以下、230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを1m/分で引き取り、安定後に40m/分 2 で引き取り速度を増加させたとき、破断したときのロードセル付きプーリーの引き取り荷重であるメルトテンションが2cN以下である線状ポリプロピレン系樹脂50〜95重量部と、(B)前記メルトフローレートが0.1g/10分以上10g/10分未満、前記メルトテンションが5cN以上で、かつ歪硬化性を示す改質ポリプロピレン系樹脂5〜50重量部(ただし、線状ポリプロピレン系樹脂(A)と改質ポリプロピレン系樹脂(B)の合計は100重量部)とからなり、金型が固定型と前進および後退が可能な可動型とから構成され、発泡前の成形体厚み(t1)よりも小さいクリアランス(t0)を有するキャビティ中に前記溶融混合物を射出充填する工程、次いで可動型を後退させて発泡前の成形体厚み(t1)に相当するクリアランスまで射出充填を完了する工程、さらに可動型を後退させて前記ポリプロピレン系樹脂を発泡させる工程とからなることを特徴とする射出発泡成形体の製造方法に関する。
前記改質ポリプロピレン系樹脂(B)は、線状ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合して得られたものであることが望ましい。
また、前記発泡前の成形体厚み(t1)よりも小さいクリアランス(t0)は、0.1mm以上1.5mm以下であり、かつt0/t1が0.05以上1未満であることが望ましい。
さらに本発明は、前記方法により製造される発泡成形体に関し、この発泡成形体は平均気泡径が500μm以下の発泡層と、該発泡層の少なくとも片側の表面に形成される厚み10μm以上1000μm以下の非発泡層とを有する、発泡倍率が2倍以上10倍以下であることが望ましい。
本発明の射出発泡成形体の製法に使用されるポリプロピレン系樹脂は、溶融時の流動性が高く、且つ、メルトテンションも高いことにより、射出発泡成形性が良好である。また、このようなポリプロピレン系樹脂を使用することにより、発泡前の成形体厚みよりも小さいクリアランスを有するキャビティ中に溶融状態の前記ポリプロピレン系樹脂を射出充填し、次いで可動型を後退させて発泡前の成形体厚みに相当するクリアランスまで射出充填を完了後、さらに可動型を後退させて前記ポリプロピレン系樹脂を発泡させることによって、得られた発泡成形体は、表面にシルバーストリークや表面凹凸等のほとんどないスキン層を有し、内部の発泡層いわゆるコア層が高発泡倍率で均一微細気泡を有するため、極めて外観美麗で軽量性、剛性に優れている。また、比較的高価な改質ポリプロピレン系樹脂を安価な線状ポリプロピレン系樹脂で希釈しているために、このような優れた品質の発泡成形体を容易に、安価に提供できる。
本発明のポリプロピレン系樹脂射出発泡成形体の製造方法の特徴は、メルトフローレートおよびメルトテンションがそれぞれ異なる二種類のポリプロピレン系樹脂(A)、(B)を使用し、発泡前の成形体厚みよりも小さいクリアランスを有するキャビティ中に溶融状態の前記ポリプロピレン系樹脂を射出充填し、次いで可動型を後退させて発泡前の成形体厚みに相当するクリアランスまで射出充填を完了後、さらに可動型を後退させて前記ポリプロピレン系樹脂を発泡させることである。
本発明で使用するポリプロピレン系樹脂は、線状ポリプロピレン系樹脂(A)と改質ポリプロピレン系樹脂とからなる。
線状ポリプロピレン系樹脂(A)は、メルトフローレートが10g/10分以上100g/10分以下、好ましくは15g/10分以上50g/10分以下であり、メルトテンションが2cN以下、好ましくは1cN以下である。メルトフローレートが10g/10分以上100g/10分以下の範囲であると、射出発泡成形体を製造する際に、金型キャビティのクリアランスが1〜2mm程度の薄肉部分を有する成形においてもショートショットになりにくく、連続して安定した成形が行える。また、高発泡倍率であり、且つ、発泡時に気泡が破壊されにくいため、表面外観美麗な発泡成形体が得られる。また、メルトテンションが2cN以下であれば、金型面への転写性が良好であり、表面外観美麗な発泡成形体が得られる。
メルトフローレートとは、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定したものを言い、メルトテンションとは、メルトテンション測定用アタッチメントを付けたキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを1m/分で引き取り、安定後に40m/分2で引き取り速度を増加させたとき、破断したときのロードセル付きプーリーの引き取り荷重を言う。
ここでいう線状ポリプロピレン系樹脂(A)とは、線状の分子構造を有しているポリプロピレン系樹脂であり、通常の重合方法、例えば担体に担持させた遷移金属化合物と有機金属化合物から得られる触媒系(例えばチーグラー・ナッタ触媒)の存在下の重合で得られる。具体的には、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体およびランダム共重合体であって、結晶性の重合体があげられる。プロピレンの共重合体としては、プロピレンを75重量%以上含有しているものが、ポリプロピレン系樹脂の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。共重合可能なα−オレフィンは、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられる。これらのうち、エチレン、1−ブテンが耐寒脆性向上、安価等という点で好ましい。
本発明で使用する改質ポリプロピレン系樹脂(B)は、メルトフローレートが0.1g/10分以上10g/10分未満、好ましくは0.3g/10分以上5g/10分以下であり、メルトテンションが5cN以上、好ましくは8cN以上で、かつ歪硬化性を示すものである。メルトフローレートが0.1g/10分以上10g/10分未満であると、線状ポリプロピレン系樹脂(A)への分散性が良好であり、高発泡倍率であり気泡が均一の、表面性が良い本発明の発泡成形体が得られる。また、金型面への転写性が良好で、美麗な表面外観が得られる。また、メルトテンションが5cN以上の場合には2倍以上の均一微細な気泡の発泡成形体が得られる。
ここでいう歪硬化性は、溶融物の延伸歪みの増加に伴い粘度が上昇することとして定義され、通常は特開昭62−121704号公報に記載の方法、すなわち市販のレオメーターにより測定した伸長粘度と時間の関係をプロットすることで判定することができる。また、例えばメルトテンション測定時の溶融ストランドの破断挙動からも歪硬化性を判定できる。すなわち、引き取り速度を増加させたときに急激にメルトテンションが増加し、切断に至るときは歪硬化性を示す場合である。改質ポリプロピレン系樹脂(B)が歪硬化性を示し、メルトテンションが高い場合に発泡倍率が2倍を越える高発泡倍率の発泡成形体が得られ、射出成形時の溶融樹脂流動先端部で破泡しやすくなることによっておこるシルバーストリークが出にくくなるので表面外観美麗な発泡成形体が得られる。
このような改質ポリプロピレン系樹脂(B)としては、例えば線状ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射するか、または線状ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合するなどの方法により得られる分岐構造あるいは高分子量成分を含有する改質ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。これらの中で、本発明においては、線状ポリプロピレン樹脂、ラジカル重合開始剤および共役ジエン化合物を溶融混合して得られる改質ポリプロピレン系樹脂が、高価な設備を必要としない点から安価に製造できる点から好ましい。この改質ポリプロピレン系樹脂(B)の製造に用いられる原料ポリプロピレン系樹脂としては、前記線状ポリプロピレン系樹脂(A)と同じものが例示できる。
前記共役ジエン化合物としては例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンなどがあげられるが、これらを単独または組み合わせ使用してもよい。これらの中では、ブタジエン、イソプレンが安価で取り扱いやすく、反応が均一に進みやすい点からとくに好ましい。
前記共役ジエン化合物の添加量としては、線状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、0.05〜5重量部がさらに好ましい。0.01重量部未満では改質の効果が得られにくい場合があり、また20重量部を越える添加量においては効果が飽和してしまい、経済的でない場合がある。
前記共役ジエン化合物と共重合可能な単量体、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステルなどを併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物、アゾ化合物などが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂や前記共役ジエン化合物からの水素引き抜き能を有するものが好ましく、一般にケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシンなどのジアルキルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの1種または2種以上が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の添加量としては、線状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下が好ましく、0.05重量部以上2重量部以下がさらに好ましい。0.01重量部未満では改質の効果が得られにくい場合があり、また10重量部を越える添加量では、改質の効果が飽和してしまい経済的でない場合がある。
線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を反応させるための装置としては、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機、などが挙げられる。これらのうち、混練機を使用することが好ましく、とくに押出機が生産性の点から好ましい。
線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を混合、混練(撹拌)する順序、方法にはとくに制限はない。線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を混合したのち溶融混練(撹拌)してもよいし、ポリプロピレン系樹脂を溶融混練(撹拌)したのち、共役ジエン化合物あるいはラジカル開始剤を同時にあるいは別々に、一括してあるいは分割して混合してもよい。混練(撹拌)機の温度は130〜300℃が、線状ポリプロピレン系樹脂が溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。またその時間は一般に1〜60分が好ましい。
このようにして、本発明に用いる改質ポリプロピレン系樹脂(B)を製造することができる。
ポリプロピレン系樹脂(A)、(B)の形状、大きさに制限はなく、ペレット状でもよい。
本発明で使用する線状ポリプロピレン系樹脂(A)と改質ポリプロピレン系樹脂(B)の合計100重量部中、線状ポリプロピレン樹脂(A)は、50重量部以上95重量部以下であり、好ましくは60重量部以上90重量部以下である。改質ポリプロピレン系樹脂(B)は5〜50重量部であり、好ましくは10〜40重量部である。前記配合量であれば、均一微細な気泡を有す、発泡倍率が2倍以上の発泡成形体が得られる。また、薄肉部分を有する成形でショートショットが起こらず、連続して安定した生産が行えるほか、表面外観美麗な発泡成形体をに安価に提供することが出来る。
本発明で使用する射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂は、線状ポリプロピレン系樹脂(A)と改質ポリプロピレン系樹脂(B)を混合することで得ることが出来る。混合方法は特に限定はなく、公知の方法で行うことが出来、例えば、ペレット状の樹脂をブレンダー、ミキサー等を用いてドライブレンドする、溶融混合する、溶剤に熔解して混合する等の方法が挙げられる。本発明においてはドライブレンドした上で射出発泡成形に供する方法が、熱履歴が少なくて済み、メルトテンションの低下が少なくなる為、好ましい。
本発明における発泡成形体の製造方法の特徴は、前記射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂と発泡剤を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形機へ供給し、発泡前の成形体厚み(t1)よりも小さいクリアランス(t0)を有するキャビティ中に溶融状態の前記ポリプロピレン系樹脂を射出充填し(一段目)、次いで可動型を後退させて発泡前の成形体厚みに相当するクリアランスまで射出充填を完了後(二段目)、さらに可動型を後退させて前記ポリプロピレン系樹脂を発泡させることである。このように二段階で射出充填する方法を、以下、二段射出と略称する。
ここで、一段目の射出充填において型締圧を調整することによって、可動型が後退しないようにキャビティクリアランスをt0に固定した状態で実施してもいいし、キャビティクリアランスがt0からt1に連続的に増加するように可動型を連続的に後退させてもよい。
前記t0は0.1mm以上1.5mm以下であり、好ましくは0.2mm以上1mm以下である。t0が0.1mm未満ではショートショットになりやすく、1.5mmを越えるとシルバーストリークが多くなり、本発明の効果である表面外観美麗な発泡成形体が得られにくい。さらにt0/t1は0.05以上1未満であり、好ましくは0.1以上0.5未満である。t0/t1が上記範囲外であると本発明の高発泡倍率で表面外観美麗な発泡成形体が得られにくい。
その他の成形条件は、各ポリプロピレン系樹脂のMFR、発泡剤の種類、成形機の種類あるいは金型の形状によって適宜調整すればよい。通常、樹脂温度170〜250℃、金型温度10〜100℃、成形サイクル1〜60分、射出速度10〜300mm/秒、射出圧力10〜100MPa等の条件で行われる。
本発明で使用できる発泡剤は、化学発泡剤、物理発泡剤など射出発泡成形に通常使用できるものであればとくに制限はない。化学発泡剤は、前記樹脂組成物と予め混合してから射出成形機に供給され、シリンダー内で分解して炭酸ガス等の気体を発生するものである。化学発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系化学発泡剤や、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタテトラミン等の有機系化学発泡剤があげられる。物理発泡剤は、成形機のシリンダー内の溶融樹脂にガス状または超臨界流体として注入され、分散または溶解されるもので、金型内に射出後、圧力開放されることによって発泡剤として機能する物である。物理発泡剤としては、プロパン、ブタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、窒素、炭酸ガス、空気等の無機ガスがあげられる。これらは単独または2種以上混合して使用してよい。
これらの発泡剤の中では、通常の射出成形機が安全に使用でき、均一微細な気泡が得られやすいものとして、化学発泡剤としては無機系化学発泡剤、物理発泡剤としては窒素、炭酸ガス、空気等の無機ガスが好ましい。これらの発泡剤には、発泡成形体の気泡を安定的に均一微細にするために必要に応じて、例えばクエン酸のような有機酸等の発泡助剤やタルク、炭酸リチウムのような無機微粒子等の造核剤を添加してもよい。通常、上記無機系化学発泡剤は取扱性、貯蔵安定性、ポリプロピレン系樹脂への分散性の点から、10〜50重量%濃度のポリオレフィン系樹脂のマスターバッチとして使用されるのが好ましい。
上記発泡剤の使用量は、最終製品の発泡倍率と発泡剤の種類や成形時の樹脂温度によって適宜設定すればよい。例えば、通常無機系化学発泡剤の場合は、本発明のポリプロピレン系樹脂100重量部に対して好ましくは、0.1重量部以上20重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以上10重量部以下の範囲で使用される。この範囲で使用することにより、経済的に発泡倍率が2倍以上、且つ均一微細気泡の発泡成形体が得られやすい。
さらに必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を併用してもよい。必要に応じて用いられるこれらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用されるのはもちろんであるが、一般に本発明のポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上10重量部以下使用される。
このようにして得られる本発明の発泡成形体は、平均気泡径が好ましくは500μm以下、更に好ましくは200μm以下の発泡層と、該発泡層の少なくとも片側の表面に形成される厚みが好ましくは10μm以上1000μm以下、更に好ましくは100μm以上500μm以下の非発泡層とを有する。発泡層の平均気泡径が500μmを越える場合は優れた剛性が得られない場合がある。非発泡層の厚みが10μm未満では外観美麗な表面にならず、剛性も低下する傾向があり、1000μmを越える場合は軽量性が得られにくい恐れがある。
また、本発明の発泡成形体の発泡倍率は、好ましくは2倍以上10倍以下、更に好ましくは3倍以上6倍以下、肉厚は好ましくは30mm以下、更に好ましくは20mm以下である。発泡倍率が2倍未満では軽量性が得られにくい場合があり、10倍を越える場合には剛性の低下が著しくなる傾向がある。発泡倍率は、射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を発泡剤を添加しない以外は発泡成形体と同条件で射出成形した非発泡成形体との比重の比から得られた値である。
以下に実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
実施例および比較例において、各種の評価方法に用いられた試験法および判定基準は次の通りである。
(1)発泡倍率:発泡成形体から表面の非発泡層も含めた試片を切り出し、別途作製した肉厚3mmの非発泡成形体(参考例1)との比重の比から求めた。
(2)平均気泡径、非発泡層厚み:発泡成形体を厚み方向に切断した断面の顕微鏡写真より求めた。平均気泡径については任意に選んだ20個の平均値とした。非発泡層は可動型側と固定型側の平均値とした。
(3)成形体肉厚:厚み方向に切断した断面について、両端部、中央部の3点の平均値とした。
(4)メルトフローレート:ASTM1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
(5)メルトテンション:メルトテンション測定用アタッチメントを付けたキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用した。230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを1m/分で引き取り、安定後に40m/分2で引き取り速度を増加させたとき、破断したときのロードセル付きプーリーの引き取り荷重をメルトテンションとした。
(6)歪硬化性:上記メルトテンション測定時、引き取り速度を増加させたときに急激に引き取り荷重が増加し、破断に至った場合を「歪硬化性を示す」、そうでない場合を「歪硬化性を示さない」とした。
(7)射出発泡成形性:連続して20ショット成形したときにショートショットになった個数(不良個数)を求めて、次の3段階で評価した。
不良個数が0個・・・・・・・○
不良個数が1〜2個・・・・・△
不良個数が3個以上・・・・・×
(8)表面外観:発泡成形体の表面外観(シルバーストリーク、表面凹凸等の程度)を次の3段階で評価した。
シルバーストリーク、表面凹凸等のほとんどないもの・・・・・・○
部分的にシルバーストリーク、表面凹凸等が若干あるもの・・・・△
成形体全面にシルバーストリーク、表面凹凸等が多いもの・・・・×
(9)内部ボイド:発泡成形体を厚み方向に切断した断面を観察し、発泡層中の大きさ1mm以上のボイドの有無をしらべた。
内部ボイドがほとんどないもの・・・・・○
有るもの・・・・・・・・・・・・・・・×
(10)剛性:JIS−K6911に準拠し、試片の長手方向が射出樹脂流れ方向に直角になるように切り出した試片について測定した曲げ弾性率(E)と断面二次モーメント(I)から次式を用いて曲げ剛性(G)を求めた。
Figure 0004519477
ここで断面二次モーメント(I)は試片の巾(b)および厚み(h)から次式で表される。
Figure 0004519477
別途作製した肉厚3mmの非発泡成形体(参考例1)から切り出した試片から求めた曲げ剛性との比較から次の2段階で剛性を評価した。
非発泡成形品と同等以上のもの・・・・○
非発泡成形品より劣るもの・・・・・・×
次に、実施例、比較例で使用したポリプロピレン系樹脂、無機系化学発泡剤を以下に示す。
(A)線状ポリプロピレン系樹脂
PP−1:グランドポリマー社製J707(プロピレン・エチレン・ブロックコポリマー、メルトフローレート23g/10分、メルトテンション1cN以下)
PP−2:サンアロマー社製PM600A(ホモポリマー、メルトフローレート7.5g/10分、メルトテンション1cN以下)
(B)改質ポリプロピレン系樹脂
MP−1:線状ポリプロピレン系樹脂としてメルトフローレート3g/10分のポリプロピレンホモポリマー100重量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.3重量部の混合物を、44mmφ二軸押出機(L/D=38)のホッパーから50kg/時で供給し、途中に設けた導入部よりイソプレンモノマーを定量ポンプを用いて0.25kg/時の速度で供給し、ストランドを水冷、細断することにより得た改質ポリプロピレン系樹脂(メルトフローレート0.5g/10分、メルトテンション12cN、歪硬化性を示す)
MP−2:サンアロマー社製PF814(ホモポリマー、メルトフローレート3g/10分、メルトテンション10cN、歪硬化性を示す)
MP−3:サンアロマー社製PF611(ホモポリマー、メルトフローレート30g/10分、メルトテンション1cN以下、歪硬化性を示す)
MP−4:チッソ社製FH6000(ホモポリマー、メルトフローレート0.5g/10分、メルトテンション7cN、歪硬化性を示さない)
(C)発泡剤
B−1:化学発泡剤マスターバッチ(永和化成社製ポリスレンEE275、分解ガス量40ml/g)
B−2:炭酸ガス(純度99%以上)
(実施例1〜4)
線状ポリプロピレン系樹脂(A)改質ポリプロピレン系樹脂、無機系化学発泡剤を表1に示す組成比でドライブレンドし、射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
前記樹脂混合物を宇部興産機械(株)製「MD350S−IIIDP型」(シャットオフノズル仕様)の射出成形機で、樹脂温度200℃、金型温度50℃、射出速度100mm/秒、背圧5MPa、冷却時間60秒、型開速度10mm/秒の成形条件で、縦250mm×横200mmの厚さ可変の平板形状のキャビティを有する内面鏡面光沢仕上げ、ダイレクトスプルーゲートの金型を用いて発泡成形体を得た。
射出充填方法は前記二段射出を用いた。すなわち、表1に示すクリアランス(t0)を有するキャビティ中に溶融状態の前記ポリプロピレン系樹脂混合物を射出開始し、連続的に可動型を後退させてキャビティクリアランスが2mmになるまで射出充填を継続させた。射出充填を完了後、さらに可動型を後退させて所定の成形体肉厚になるように最終型内クリアランスを調整して発泡させた。発泡完了後60秒間冷却してから発泡成形体を取り出した。
このときの成形性、得られた発泡成形体の形状および物性を表2に示す。本発明のポリプロピレン系樹脂は流動性に優れていることから連続成形時のショートショットが起こりにくく、射出発泡成形性が良好である。また、このような成形方法によって得られた発泡成形体はシルバーストリークや表面凹凸がほとんどなく表面外観美麗であり、肉厚4.9〜7.8mm、発泡倍率2.4〜3.8倍の範囲内にあり、高発泡倍率で軽量性に優れている。発泡層の平均気泡径は120μm以下で300〜400μmの非発泡層(スキン層)を有しており、成形体内部のボイドもほとんどみられなかった。この結果、別途射出成形により作製した肉厚3mmの非発泡成形体(参考例1)と同等以上の剛性を有しているにもかかわらず、33%の軽量化を達成している。
(参考例1)
実施例において、改質ポリプロピレン系樹脂、発泡剤を使用せず、初期のキャビティクリアランスを3mmとし、射出充填完了後に60秒間冷却して非発泡成形体を取り出した。結果を表2に示す。
(比較例1)
改質ポリプロピレン系樹脂を使用しなかった以外は、実施例3と同様にして実施した。結果を表2に示す。発泡倍率が2倍になると成形体発泡層内部にボイドが発生し、剛性が低下した。
(比較例2)
初期のキャビティクリアランスを2mmとし、そのクリアランスのままでポリプロピレン系樹脂混合物を全量射出充填し、充填完了後直ちに可動型を後退させて発泡した。すなわち二段射出を行わなかった。それ以外は、実施例3と同様にして実施した。結果を表2に示す。得られた発泡成形体表面にはシルバーストリークが大量に発生しており、表面外観に劣るものであった。
(比較例3)
線状ポリプロピレン系樹脂がPP−2を使用した以外は、実施例3と同様にして実施した。結果を表2に示す。連続成形において20ショット中、4ショットにショートショットが発生し、射出発泡成形性に劣ることが判明した。
(比較例4)
改質ポリプロピレン系樹脂がMP−3(メルトテンションが本発明の範囲外)を使用した以外は、実施例3と同様にして実施した。結果を表2に示す。発泡倍率が2倍を越えると成形体発泡層内部にボイドが発生し、剛性が低下した。また、二段射出を用いているにもかかわらず、成形体表面にはシルバーが若干発生し、実施例3に比べて表面外観に劣るものであった。
(比較例5)
改質ポリプロピレン系樹脂がMP−4(本発明の歪硬化性を示めさない)を使用した以外は、実施例3と同様にして実施した。結果を表2に示す。発泡倍率が2倍になると成形体発泡層内部にボイドが発生し、剛性が低下した。また、二段射出を用いているにもかかわらず、成形体表面にはシルバーが若干発生し、実施例3に比べて表面外観に劣るものであった。
(比較例6)
線状ポリプロピレン系樹脂を使用しなかった以外は、実施例3と同様にして実施した。結果を表2に示す。連続成形において20ショット中、5ショットにショートショットが発生し、射出発泡成形性に劣ることが判明した。また、得られた発泡成形体の表面には若干の凹凸がみられ、実施例3に比べて表面外観に劣るものであった。
(実施例5〜7)
線状ポリプロピレン系樹脂(A)、改質ポリプロピレン系樹脂(B)に発泡造核剤として前記化学発泡剤マスターバッチB−1を表2に示す組成比でドライブレンドし、射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂混合物を得た。
実施例1〜4で使用した射出成形機をベントタイプ仕様に変えてベント部分を炭酸ガスで加圧できるようにし、さらに旭エンジニアリング(株)製「炭酸ガス供給装置MAC−100」を用いて炭酸ガスを圧力一定で供給することで、溶融樹脂に対する炭酸ガス溶解量を制御した。
成形条件は、成形機ベント部分の炭酸ガス供給圧力を表3のようにした以外は実施例1〜4と同様にした。
このときの成形性、得られた発泡成形体の形状および物性を表4に示す。本発明のポリプロピレン系樹脂は流動性に優れていることから連続成形時のショートショットが起こりにくく、射出発泡成形性が良好である。また、このような成形方法によって得られた発泡成形体はシルバーストリークがほとんどない表面外観美麗であり、肉厚5.7〜6.5mm、発泡倍率2.8〜3.2倍の範囲内にあり、高発泡倍率で軽量性に優れている。発泡層の平均気泡径は180μm以下で300μmの非発泡層(スキン層)を有しており、成形体内部のボイドもほとんどみられなかった。この結果、別途射出成形により作製した肉厚3mmの非発泡成形体(参考例1)と同等以上の剛性を有していることがわかる。
(比較例7)
改質ポリプロピレン系樹脂を使用しなかった以外は、実施例5と同様にして実施した。結果を表4に示す。発泡倍率が2倍になると成形体発泡層内部にボイドが発生し、剛性が低下した。
(比較例8)
初期のキャビティクリアランスを2mmとし、そのクリアランスのままでポリプロピレン系樹脂混合物を全量射出充填し、充填完了後直ちに可動型を後退させて発泡した。すなわち二段射出を行わなかった。それ以外は、実施例6と同様にして実施した。結果を表4に示す。得られた発泡成形体表面にはシルバーストリークが大量に発生しており、表面外観に劣るものであった。
Figure 0004519477
Figure 0004519477
Figure 0004519477
Figure 0004519477
本発明の射出発泡成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は射出発泡成形性が良好で、これにより得られた発泡成形体は表面外観美麗で軽量性、剛性に優れていることから、自動車内装材をはじめ、食品包装用容器や家電、建材用途に広く使用できる。

Claims (5)

  1. ポリプロピレン系樹脂と発泡剤を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物の溶融物を金型内に射出して発泡成形体を製造する方法において、
    前記ポリプロピレン系樹脂が、(A)ASTM1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが10g/10分以上100g/10分以下、230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを1m/分で引き取り、安定後に40m/分 2 で引き取り速度を増加させたとき、破断したときのロードセル付きプーリーの引き取り荷重であるメルトテンションが2cN以下である線状ポリプロピレン系樹脂50〜95重量部と、(B)前記メルトフローレートが0.1g/10分以上10g/10分未満、前記メルトテンションが5cN以上で、かつ歪硬化性を示す改質ポリプロピレン系樹脂5〜50重量部(ただし、線状ポリプロピレン系樹脂(A)と改質ポリプロピレン系樹脂(B)の合計は100重量部)とからなり、
    金型が固定型と前進および後退が可能な可動型とから構成され、発泡前の成形体厚み(t1)よりも小さいクリアランス(t0)を有するキャビティ中に前記溶融混合物を射出充填する工程、次いで可動型を後退させて発泡前の成形体厚み(t1)に相当するクリアランスまで射出充填を完了する工程、さらに可動型を後退させて前記ポリプロピレン系樹脂を発泡させる工程とからなることを特徴とする射出発泡成形体の製造方法。
  2. 前記改質ポリプロピレン系樹脂(B)が、線状ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合して得られたものであることを特徴とする請求項1記載の射出発泡成形体の製造方法。
  3. 発泡前の成形体厚み(t1)よりも小さいクリアランス(t0)が0.1mm以上1.5mm以下であり、かつt0/t1が0.05以上1未満であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の射出発泡成形体の製造方法。
  4. 請求項1〜3記載のいずれかに記載の方法により製造される発泡成形体。
  5. 平均気泡径が500μm以下の発泡層と、該発泡層の少なくとも片側の表面に形成される厚み10μm以上1000μm以下の非発泡層とを有する、発泡倍率が2倍以上10倍以下であることを特徴とする請求項4記載の発泡成形体。
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