JP5037198B2 - 射出発泡成形用金型および製造方法 - Google Patents

射出発泡成形用金型および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は射出発泡成形用金型および該金型を用いた射出発泡成形体の製造方法に関する。
射出成形分野において、軽量化、コストダウン、成形体の反り・ヒケ防止を目的に発泡を行ういわゆる射出発泡成形が従来から行われてきた。成形体を高発泡化させる技術としては、型開き可能に保持された金型の空間内に発泡剤を含む樹脂を射出成形した後、金型を開くことにより前記空間を拡大して樹脂を発泡させるいわゆるコアバック法(Moving Cavity法)がある。この方法によれば、比較的発泡倍率の高い成形体が得られ易いが、温度による溶融粘度の変化が大きいとされるポリオレフィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂等を用いる場合は高発泡倍率の成形体を得ることは困難であり、また軽量化を狙って射出充填時のキャビティクリアランスを薄くする場合にはより一層高倍率化が困難であった。
この問題を解決すべく、薄肉で高発泡倍率の成形体を得る方法として、本発明者らは発泡剤を含む溶融樹脂の射出充填完了直後に、最終キャビティ寸法未満の位置まで型開し、次いで所定時間型開を停止した後に最終キャビティ寸法まで型開する製法(特許文献1)、および発泡剤を含む溶融樹脂の射出充填完了直後に、最終キャビティ寸法未満の位置まで型開し、次いで所定キャビティクリアランスまで金型を閉じた後に最終キャビティ寸法まで型開する製法(特許文献2)を提案している。
これらの製法によれば、確かに薄肉で高発泡倍率の成形体が得られるが、成形体が周囲に立面部を有する箱形状や内部に仕切りを有する形状の場合には、これら立面部の厚みが薄い場合に立面部の冷却が進行し易く、コアバック時の条件によっては最終キャビティ寸法まで型開した場合に、図6(c)のように立面部が金型に追従できなくなり、周辺部位の外観を損なう場合があった。また、立面部と平面部とが交差するコーナー外周部が角張っている場合には図7のように該部が変形し、外観を損なう場合があった。これらは、発泡倍率が高い(コアバック幅が大きい)成形体において特に顕著となる傾向にあった。
このように局部的に冷却が進行し金型追従性が悪化する場合の対策として、該当する金型部位にヒータ等の熱源を配置する方法があり、確かにこの方法を使用すれば、該部の冷却が阻害され、金型追従性が良化する傾向にはあるが、局部的な効果となるため、例えば一平面部を均等に加熱するのは容易ではなく、またヒータ等による加温効果を強力にしすぎると冷却時間が長くなるなどの弊害が生じ、そのバランスを取ることが難しいという問題があった。
特許文献3には、平面部と立面部を有する筒状キャビティにおいて、筒状周辺部(立面)の厚みを本体部(平面)の厚みの4倍とすることで筒状周辺部の温度を高温に維持し本体部のキャビティを拡大することで厚みの比較的均一なボード状発泡成形体を得る方法が開示されている。この方法によれば、確かに厚みの均一な板状高発泡成形体は得られるが、表面部にスキン層が波打ったような外観不良が発生し易い。また本方法を平面部周囲に立面部を有する箱形状の成形体に適用した場合、箱内部にスキン層の波打ち現象が発生し、外観を阻害するという問題があり、またここに記載されているように、立面部の厚みを本体部の4倍に設定すると、射出充填時の樹脂が極端に立面部に流れ易くなり、立面部を樹脂が充満した後に平面部が充填されるなどして、ガス溜りが発生しやすくなるという問題があり、特に長方型平面を有する箱形状物などの場合はその問題が発生し易い傾向にあった。
特開2006−240051号公報 特開2006−35660号公報 特開2001−341154号公報
本発明の目的は、薄肉で高発泡倍率を有し、かつ外観に優れた、立面部を有する発泡成形体が容易に得られる金型および製造方法を提供することである。
本発明者らは、固定型と前進および後退可能な可動型とから構成されるキャビティに発泡樹脂原料を射出した後、前記可動型を型開き方向に段階的に移動させて、型開き方向と垂直な平面部と型開き方向に平行な立面部を有する発泡成形体を製造するに際し、立面部の初期キャビティクリアランスt0bと平面部の初期キャビティクリアランスt0aが所定の関係にあり、かつ前記平面部と立面部とが交差するコーナー外周部形状が円弧形状である金型を用いること、およびその金型に適した所定の条件にて発泡させることで、高倍率で軽量性に優れ、かつ、外観に優れた発泡成形体を容易に得られることを見出し本発明の完成に至った。
すなわち本発明の第1は、固定型と前進および後退可能な可動型とから構成されるキャビティに発泡樹脂原料を射出した後、前記可動型を型開き方向に段階的に移動させて、型開き方向と垂直な平面部と型開き方向に平行な立面部を有する発泡成形体を製造するための金型であって、前記立面部の初期キャビティクリアランスt0bが前記平面部の初期キャビティクリアランスt0aに対して1.2倍以上2.5倍以下であり、かつ、前記平面部と立面部とが交差するコーナー外周部形状が円弧形状であることを特徴とする射出発泡成形用金型に関する。
好ましい態様としては、
(1)前記立面部の初期キャビティクリアランスt0bが、型開き方向と垂直な平面部の初期キャビティクリアランスt0aに対して、1.2倍以上2.0倍未満であること、
(2)前記前記平面部と立面部とが交差するコーナー外周部の円弧形状の半径が、1mm以上であること、
(3)前記平面部の初期キャビティクリアランスt0aが0.5〜2.0mmであること、
を特徴とする前記記載の射出発泡成形用金型に関する。
本発明の第2は、前記記載の金型を用いて、キャビティに発泡樹脂原料を射出した後、可動型を型開き方向に段階的に移動させて、型開き方向と垂直な平面部と型開き方向に平行な立面部を有する発泡成形体を製造する方法であって、平面部の初期キャビティクリアランスt0aより大きく最終製品の形状位置に相当する平面部のキャビティクリアランスtFaよりも小さい、平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaが、立面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSbの1.2倍以下とすることを特徴とする射出発泡成形体の製造方法に関する。
好ましい態様としては
(1)前記発泡樹脂原料が、熱可塑性樹脂と発泡剤を混練したものからなること、
(2)前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であること、
(3)前記ポリプロピレン系樹脂が、メルトフローレートが10g/10分以上50g/10分以下、メルトテンションが2cN以上で、かつ歪硬化性を示すこと、
(4)前記平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaが、前記平面部の初期キャビティクリアランスt0aの1.2倍以上、3倍未満とすること、
を特徴とする前記記載の射出発泡成形体の製造方法に関する。
本発明の射出発泡成形用金型を使用すれば、立面部を有する成形品形状において、立面部の金型追従性が良好で、立面部付近の形状不良を防止することができ、外観良好な成形体を容易に得ることが可能となる。
本発明の特徴の一つは、射出発泡成形用金型において固定型と前進および後退可能な可動型とから構成されるキャビティに発泡樹脂原料を射出した後、前記可動型を型開き方向に段階的に移動させて、型開き方向と垂直な平面部と型開き方向に平行な立面部を有する発泡成形体を製造する際に、型開き方向と平行な立面部の初期キャビティクリアランスt0bを型開き方向と垂直な平面部の初期キャビティクリアランスt0aに対して1.2倍以上2.5倍以下の金型を使用すること、および平面部と立面部とが交差するコーナー外周部形状が円弧形状であることにある。
本発明の製造方法は、前記金型を使用した際に、型開き方向と垂直な平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaが、平面部の初期キャビティクリアランスt0aの1.2倍以上3倍以下であり、かつ立面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSbの1.2倍以下となるように制御することにある。
ここで、初期キャビティクリアランスとは、型締め状態における金型のクリアランスであり、最終的なコアバック前のキャビティクリアランスとは、最終製品の形状位置に相当するキャビティクリアランスまで可動型を開く、すなわち、コアバックさせる最終の発泡工程の前の金型のクリアランスのことを言う。
本発明において、型開き方向と垂直な平面部とは、必ずしも垂直である必要は無く、型開き方向に対して、60度以上120度以下の角度を有する面であればよく、好ましくは70度以上110度以下である。
型開き方向に平行な立面部とは、型開き方向に対して−30度以上30度以下、好ましくは−20度以上20度以下の角度を有する面のことを意味する。
本発明において、段階的に可動型を移動させる発泡成形体の製造方法として、発泡樹脂原料を射出した後に、最終製品の形状位置に相当するキャビティクリアランスtFaよりも小さく、平面部の初期キャビティクリアランスt0aよりも大きい最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaまで可動型を後退させる工程(第一段発泡工程)、次いで平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaのクリアランスを所定の設定時間保持(保持工程)した後に、さらに最終製品の形状位置に相当するキャビティクリアランスtFaまで可動型を後退させる工程(第二段発泡工程)を含む製造方法や、発泡樹脂原料を射出した後に最終製品の形状位置に相当する平面部のキャビティクリアランスtFaよりも小さく、平面部の初期キャビティクリアランスt0aよりも大きいキャビティクリアランスまで可動型を後退させる工程(第一段発泡工程)、次いで、平面部の初期キャビティクリアランスt0aよりも大きい、最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaまで可動型を閉じる工程(途中型閉工程)、さらに最終製品の形状位置に相当する平面部のキャビティクリアランスtFaまで可動型を後退させる工程(第二段発泡工程)を含む製造方法などが挙げられる。発泡工程が2段階である製造方法を例示したが、各発泡工程は必ずしも2段階である必要は無く、必要に応じて3段階、4段階と段階を増やすことも可能である。
これらの内、2段階の発泡工程を有し、第一段発泡工程後に保持工程を有する製法に関して、図2を用いて本発明を詳細に説明する。
図2(a)は、発泡工程前の金型が閉じられた状態を示し、図2(b)は第一次発泡工程において可動型を開き保持する状態を示し、図2(c)には、保持工程終了後に最終製品寸法まで可動型を開く第二次発泡工程後の型開き状態を示す。
さらに、図3には、図2(a)〜(c)各工程における立面部周辺の断面状態を示す。即ち、図3(a)は、金型が図2(a)の状態で金型内に発泡樹脂原料が充填された状態を示しており、図3(b)は、第一発泡工程を経て金型が図2(b)の状態にあるときの立面部周辺部断面を示しており、この状態において保持時間を制御することで最終的に高発泡部となる平面部51を発泡に適した状態に制御する。図3(c)は、金型が第二次発泡工程後の図2(c)の状態にあるときの立面部周辺断面を示す。
図6は同様に、従来技術の各行程での立面部周辺断面を示すものである。
本発明においては、立面部の初期キャビティクリアランスt0bが、平面部の初期キャビティクリアランスt0aに対して1.2倍以上2.5倍以下の金型を使用することが特徴である。図3から明らかなように、立面部52は型開き方向と平行であることから、立面部52の厚みは平面部51に比べて、発泡工程時のコアバックによる厚みの増加率が極めて小さい。このため図6のように立面部52の初期の厚みが平面部51と同程度あれば、段階的な発泡工程において厚み増加率の少ない立面部52は平面部に比べて冷却が進行しやすく、第一発泡工程後の図6(b)の状態で平面部51の冷却状況を発泡に適した状態まで制御する際に、立面部52は過冷却状態となりそれ以上発泡できない状態となりやすい。
この状態で、最終製品寸法までコアバックさせたとしても図6(c)のように、立面部のスキン層54が金型立面部表面32に追従できなくなってしまい、スキン層56、55と金型表面31、33との間に隙間が生じてしまい、外観の悪い製品となってしまう傾向にある。よって、立面部の初期キャビティクリアランスt0bは、図3(a)のように平面部の初期キャビティクリアランスt0aに対してあらかじめ厚くなるようにする必要があり、前記範囲内にあることで、このような問題が生じ難く、また段階的な発泡工程における条件の設定幅が広くなり、外観も良好で内部にボイドのない良好な成形体が得られ易い傾向にある。立面部の初期キャビティクリアランスt0bは、好ましくは平面部の初期キャビティクリアランスt0aに対して1.2倍以上2.0倍未満であることが望まれ、さらには1.5倍以上2.0倍未満であることが好ましい。
本発明の金型においては、平面部と立面部とが交差するコーナー外周部53形状が円弧形状で有る必要がある。円弧形状でない場合、即ち、角である場合には、図7のように変形し易く、外観が悪化する傾向にあり、円弧形状とすることで図4のように顕著な外観悪化のない成形体が得られ易い。円弧形状の半径は1mm以上であることが好ましく、さらには2mm以上であることが好ましい。
本発明の金型の平面部の初期キャビティクリアランスt0aは、0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。0.5mm未満であると、発泡樹脂原料を金型内に充填することが困難になるばかりか、良好な発泡成形体を得ることが困難となる。2.0mmよりおおきいと、使用する発泡樹脂原料の量が多くなるため軽量化のメリットが出難い。
また本発明の製造方法においては、平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaが、立面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSbの1.2倍以下となるように制御することが好ましい。
平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaは、立面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSbの1.2倍以下とすることで、最終発泡工程において立面部の追従性が悪化し難く、外観良好な成形体が得られ易い傾向にあり、特に1.0倍以下とすることが好ましい。
本発明における発泡樹脂原料とは、樹脂と発泡剤を混練したものからなることが好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を併用してもよい。必要に応じて用いられるこれらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用されるのはもちろんであるが、発泡樹脂原料を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上10重量部以下使用される。
本発明において使用できる樹脂としては、熱可塑性樹脂であることが好ましく、その中でも結晶性樹脂、特にポリプロピレン系樹脂であることが本発明の効果が得られ易いという点で好ましい。
ポリプロピレン系樹脂として、成形性と発泡性を両立したものが好ましく、具体的にはメルトフローレートが、好ましくは10g/10分以上50g/10分以下、更に好ましくは15g/10分以上40g/10分以下であり、メルトテンションが、好ましくは2cN以上、さらに好ましくは3cN以上で、かつ歪硬化性を示すことが好ましい。その具体的な態様しては、上記物性を有する改質ポリプロピレン系樹脂(A)単独使用や、それぞれ特定の物性を有する、線状ポリプロピレン系樹脂(B)と改質ポリプロピレン系樹脂(C)の混合物が好適に用いられる。
ここで、メルトフローレートとは、ASTM D−1238に準拠し、230℃、2.16kg荷重下で測定したものを言い、メルトテンションとは、メルトテンション測定用アタッチメントを付けたキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用して、230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを1m/分で引き取り、安定後に40m/分で引き取り速度を増加させたとき、破断したときのロードセル付きプーリーの引き取り荷重を言う。
ここでいう歪硬化性は、溶融物の延伸歪みの増加に伴い粘度が上昇することとして定義され、通常は特開昭62−121704号公報に記載の方法、すなわち市販のレオメーターにより測定した伸長粘度と時間の関係をプロットすることで判定することができる。また、例えばメルトテンション測定時の溶融ストランドの破断挙動からも歪硬化性を判定できる。すなわち、引き取り速度を増加させたときに急激にメルトテンションが増加し、切断に至るときは歪硬化性を示す場合である。
前記メルトフローレートが10g/10分以上50g/10分以下の範囲であると、射出発泡成形体を製造する際に、金型キャビティのクリアランスが1〜2mm程度の薄肉部分を有する成形においてもショートショットになりにくく、連続して安定した成形が行いやすい傾向がある。
前記メルトテンションが2cN以上で、かつ歪硬化性を示す場合には、発泡倍率2倍以上の均一微細な気泡の発泡成形体が得られ、射出成形時の溶融樹脂流動先端部で破泡しやすくなることによっておこるシルバーストリークあるいはスワールマークが出難くなる傾向があるので表面外観に優れた発泡成形体が得られ易い傾向にあるので好ましい。
前記改質ポリプロピレン系樹脂(A)としては、例えば、線状ポリプロピレン系樹脂に放射線を照射するか、または線状ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合開始剤、共役ジエン化合物を溶融混合する方法などにより得られる、分岐構造あるいは高分子量成分を含有する改質ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。これらの中では、線状ポリプロピレン樹脂、ラジカル重合開始剤および共役ジエン化合物を溶融混合して得られる改質ポリプロピレン系樹脂が、高価な設備を必要とせず安価に製造できる点から好ましい。
前記線状ポリプロピレン系樹脂は、線状の分子構造を有しているポリプロピレン系樹脂であり、通常の重合方法、例えば担体に担持させた遷移金属化合物と有機金属化合物から得られる触媒系(例えば、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒等)の存在下の重合で得られる。具体的には、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体およびランダム共重合体であって、結晶性の重合体があげられる。プロピレンの共重合体としては、プロピレンを75重量%以上含有しているものが、ポリプロピレン系樹脂の特徴である結晶性、剛性、耐薬品性などが保持されている点で好ましい。プロピレンと共重合可能なα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数2または4〜12のα−オレフィン、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられる。これらのうち、エチレン、1−ブテンが耐寒脆性向上、安価等という点で好ましい。
前記共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエンなどがあげられるが、これらを単独または組み合わせ使用してもよい。これらの中では、ブタジエン、イソプレンが安価で取り扱いやすく、反応が均一に進みやすい点からとくに好ましい。
前記共役ジエン化合物の添加量としては、線状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上20重量部以下が好ましく、0.05重量部以上5重量部以下がさらに好ましい。0.01重量部未満では改質の効果が得られにくい場合があり、また20重量部を越える添加量においては効果が飽和してしまい、経済的でない場合がある。
前記共役ジエン化合物と共重合可能な単量体、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸エステルなどを併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物、アゾ化合物などが挙げられるが、ポリプロピレン系樹脂や前記共役ジエン化合物からの水素引き抜き能を有するものが好ましく、一般にケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステルなどの有機過酸化物が挙げられる。これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシンなどのジアルキルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの1種または2種以上が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の添加量としては、線状ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下が好ましく、0.05重量部以上2重量部以下がさらに好ましい。0.01重量部未満では改質の効果が得られにくい場合があり、また10重量部を越える添加量では、改質の効果が飽和してしまい経済的でない場合がある。
線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を反応させるための装置としては、ロール、コニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、単軸押出機、2軸押出機などの混練機、2軸表面更新機、2軸多円板装置などの横型撹拌機、ダブルヘリカルリボン撹拌機などの縦型撹拌機、などが挙げられる。これらのうち、混練機を使用することが好ましく、とくに押出機が生産性の点から好ましい。
線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を混合、混練(撹拌)する順序、方法にはとくに制限はない。線状ポリプロピレン系樹脂、共役ジエン化合物、およびラジカル重合開始剤を混合したのち溶融混練(撹拌)してもよいし、ポリプロピレン系樹脂を溶融混練(撹拌)したのち、共役ジエン化合物あるいはラジカル開始剤を同時にあるいは別々に、一括してあるいは分割して混合してもよい。混練(撹拌)機の温度は130〜300℃が、線状ポリプロピレン系樹脂が溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。またその時間は一般に1〜60分が好ましい。
このようにして得られる改質ポリプロピレン系樹脂の形状、大きさに制限はなく、ペレット状でもよい。
前記線状ポリプロピレン系樹脂(B)としては、メルトフローレートが好ましくは10g/10分以上100g/10分以下、さらに好ましくは15g/10分以上50g/10分以下であり、メルトテンションが好ましくは2cN以下、さらに好ましくは1cN以下である。メルトフローレートが10g/10分以上100g/10分以下の範囲であると、射出発泡成形体を製造する際に、金型キャビティのクリアランスが1〜2mm程度の薄肉部分を有する成形においても比較的低圧力で溶融樹脂を金型内に充填することが可能であり、連続して安定した成形が行える傾向にある。また、発泡時に気泡が破壊されにくいため、表面外観美麗な発泡成形体が得られる傾向にある。また、メルトテンションが2cN以下であれば、金型面への転写性が良好であり、表面外観美麗な発泡成形体が得られる傾向がある。
前記改質ポリプロピレン系樹脂(C)としては、メルトフローレートが好ましくは0.1g/10分以上10g/10分未満、さらに好ましくは0.3g/10分以上8g/10分以下であり、メルトテンションが好ましくは5cN以上、さらに好ましくは8cN以上で、かつ歪硬化性を示すものである。メルトフローレートが0.1g/10分以上10g/10分未満であると、線状ポリプロピレン系樹脂(B)への分散性が良好であり、高発泡倍率であり気泡が均一の、表面性が良い本発明の発泡成形体が得られる傾向がある。また、金型面への転写性が良好で、美麗な表面外観が得られる傾向がある。また、メルトテンションが5cN以上の場合には2倍以上の均一微細な気泡の発泡成形体が得られる傾向がある。
また、改質ポリプロピレン系樹脂(C)が歪硬化性を示すことの効果は、射出成形時の溶融樹脂流動先端部での破泡等に起因するシルバーストリークが出にくくなり表面外観が美麗になり易く、また発泡倍率2倍を越える高倍率の発泡成形体が得られ易くなることである。
ポリプロピレン系樹脂(B)、(C)の形状、大きさに制限はなく、ペレット状でもよい。
本発明においては、線状ポリプロピレン系樹脂(B)と改質ポリプロピレン系樹脂(C)の合計100重量部中、線状ポリプロピレン樹脂(B)は、好ましくは50重量部以上95重量部以下であり、さらに好ましくは60重量部以上90重量部以下である。改質ポリプロピレン系樹脂(C)は、好ましくは5重量部以上50重量部以下であり、さらに好ましくは10重量部以上40重量部以下である。上記配合量であると、均一微細な気泡を有する発泡倍率2倍以上の発泡成形体を安価に提供することが出来る傾向がある。
線状ポリプロピレン系樹脂(B)と改質ポリプロピレン系樹脂(C)の混合方法は特に限定はなく、公知の方法で行うことが出来、例えば、ペレット状の樹脂をブレンダー、ミキサー等を用いてドライブレンドする、溶融混合する、溶剤に溶解して混合する等の方法が挙げられる。本発明においてはドライブレンドした上で射出発泡成形に供する方法が、熱履歴が少なくて済み、メルトテンションの低下が少なくなる為、好ましい。
このような発泡樹脂原料を使用する場合、平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaが平面部の初期キャビティクリアランスt0aの1.2倍以上3倍以下であることが好ましく、この範囲にあることで段階的に発泡を実施する効果が得られ易く高発泡倍率で内部にボイドのない成形体が得られ易い傾向にある。特に平面部の初期キャビティクリアランスt0aが0.5mm以上2.0mm以下の場合には、平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaが、平面部の初期キャビティクリアランスt0aの1.5倍以上2.5倍以下であることが好ましい。
また、本発明で使用する発泡剤は、化学発泡剤、物理発泡剤など射出発泡成形に通常使用できるものであればとくに制限はない。
化学発泡剤としては、前記樹脂組成物と予め混合してから射出成形機に供給され、シリンダ内で分解して炭酸ガス等の気体を発生するもので、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機系化学発泡剤や、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の有機系化学発泡剤があげられる。これらのうち、通常、着色し難い、分解残渣が少ない、気泡が微細化しやすい等の理由から無機系化学発泡剤が好ましい。これらの無機系化学発泡剤には、発泡成形体の気泡を安定的に均一微細にするために必要に応じて、例えばクエン酸のような有機酸等の発泡助剤やタルク、炭酸リチウムのような無機微粒子等の造核剤を添加してもよい。なお上記無機系化学発泡剤を使用する場合は、通常、取扱性、貯蔵安定性、熱可塑性樹脂への分散性の点から、10〜50重量%濃度のポリオレフィン系樹脂のマスターバッチとして使用されるのが好ましい。
物理発泡剤としては、成形機のシリンダ内の溶融樹脂にガス状または超臨界流体として注入され、分散または溶解されるもので、金型内に射出後、圧力開放されることによって発泡剤として機能するものをいう。具体的には、プロパン、ブタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素類、クロロジフルオロメタン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、窒素、炭酸ガス、空気等の無機ガスがあげられる。これらのうち、安価で取り扱いが容易であるという点から、無機ガス、特に窒素、炭酸ガスが好ましい。これら各種発泡剤は単独または2種以上混合して使用してよい。
各成形条件は、使用材料の種類、発泡剤の種類、成形機の種類あるいは金型の形状によって適宜調整すれば良いが、例えばポリプロピレン系樹脂を使用する場合には、通常、樹脂温度170〜250℃、金型温度10〜100℃、成形サイクル1〜120分、コアバック速度2〜100mm/秒、射出速度10〜300mm/秒、射出圧力10〜200MPa等の条件で行われる。
さらに本発明においては、外観美麗な成形体を容易に成形するために、発泡樹脂原料を金型内に射出するに際して、あらかじめ金型内を発泡樹脂原料溶融物のフローフロントで発泡が起きない圧力以上に加圧する、いわゆるカウンタプレッシャ法を採用しても良い。この場合加圧時には金型内部の圧力を保持する必要があり、一般的には金型分割面や摺動部分にO−リング等を挿入する等して、金型からのガス洩れを防止する構造とすることが望ましい。前記金型内を加圧するガス体としては、加圧により溶融樹脂のフローフロントでの発泡を抑止できるものであれば良く特に制限はないが、安価で取り扱いが容易であるという点から、無機ガス、特に窒素、炭酸ガスが好ましい。
以下に実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
実施例および比較例において、各種の評価方法に用いられた試験法および判定基準は次の通りである。
(1)メルトフローレート:ASTM1238に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
(2)メルトテンション:メルトテンション測定用アタッチメントを付けたキャピログラフ(東洋精機製作所製)を使用した。230℃でφ1mm、長さ10mmの孔を有するダイスから、ピストン降下速度10mm/分で降下させたストランドを1m/分で引き取り、安定後に40m/分で引き取り速度を増加させたとき、破断したときのロードセル付きプーリーの引き取り荷重をメルトテンションとした。
(3)歪硬化性:上記メルトテンション測定時、引き取り速度を増加させたときに急激に引き取り荷重が増加し、破断に至った場合を「歪硬化性を示す」、そうでない場合を「歪硬化性を示さない」とした。
(4)発泡倍率:成形体平面部の厚みを平面部の初期キャビティクリアランスt0aで除することで算出する。
(5)射出成形性:ウェルド部の外観により評価した。
外観上問題なし・・・・・・・・・・・・・・・○
変色(ガス焼け)や凹み(排気不良)がある・・×
(6)内部ボイド:発泡成形体を厚み方向に切断した任意の断面長さ50mmを観察し、発泡層中の大きさ1.5mm以上のボイドの有無をしらべた。
内部ボイドがないもの・・・・・○
有るもの・・・・・・・・・・・×
(7)立面周辺部変形:コアバック時の立面部の追従性悪化により図6(c)のような立面周辺部の変形の有無を評価した。
変形が無いもの・・・・○
変形があるもの・・・・×
(8)角部変形:成形体角部の図7のような変形の有無を評価した。
変形が無いもの・・・・○
変形があるもの・・・・×
本実施例、比較例においては、ポリプロピレンホモポリマーとラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートの混合物を、ホッパーから45mmφ二軸押出機(L/D=40)に供給して溶融混練し、途中に設けた圧入部よりイソプレンモノマーを、定量ポンプを用いて供給し、ストランドを水冷、細断することにより得た、改質ポリプロピレン系樹脂(メルトフローレート30g/10分、メルトテンション3cN、歪硬化性を示す)を使用した。
(実施例1)
図1に示すような平面部の周囲に立面部を有する箱形状の成形体を成形することが可能な金型であって、縦350mm×横250mm×深さ100mmの箱形状のキャビティを有する金型(φ2ピンゲート、立面部傾斜10度、平面部と立面部の交差するコーナー外周部は半径3mmの円弧状、平面部および立面部クリアランス変更可能)を使用した。
改質ポリプロピレン系樹脂に、発泡剤として、無機系化学発泡剤マスターバッチ(分解ガス量40ml/g)8重量部をドライブレンドした射出発泡成形用樹脂組成物を、シリンダ先端にシャットオフノズル機構を有した型締め力350tのシリンダ温度を200℃に調整された電動射出成形機に供給し溶融混練した後、温度が40℃に設定され、平面部および立面部の初期キャビティクリアランスt0aおよび平面部の初期キャビティクリアランスt0bの金型内に射出速度100mm/秒で射出充填した。
射出充填完了直後に平面部のキャビティクリアランスをtSaとなるまで速度50mm/秒にて可動型を後退させ、キャビティ内の樹脂を発泡させた。
次に、前記金型平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaの状態でそれぞれ表1に示す所定時間保持した後、さらに最終製品の形状位置に相当する平面部のキャビティクリアランスtFaまで速度5mm/秒にて可動型を後退させて再度発泡を行った。発泡完了後60秒間冷却してから発泡成形体を取り出した。各工程におけるそれぞれの金型平面部および立面部のクリアランスは表1に示す。また、得られた成形体についての結果は表2に示す。
Figure 0005037198
Figure 0005037198
(実施例2〜4)
各工程における金型平面部および立面部のクリアランスを表1記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。
このようにして得られた発泡成形体は発泡倍率が3から4倍と高倍率であるにもかかわらず、成形性が良くてボイドも無く、立面部周辺部および角部の変形のない良好な成形体であった。
(比較例1)
立面部の初期キャビティクリアランスt0bを1.5mmにした以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、立面部周辺部が変形したものであった。
(比較例2)
立面部の初期キャビティクリアランスt0bを2.7mmにした以外は実施例4と同様にして、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、立面部が先に充填されてしまうため平面部にガス溜りのある外観の悪いものであった。
(比較例3)
立面部の初期キャビティクリアランスt0bを1.5mmにし、平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaを1.7mmにし、保持時間を3秒にした以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、内部にボイドのあるものであった。
(比較例4)
使用する金型の平面部と立面部の交差するコーナー外周部が角ばっている(円弧形状が無い)こと以外は実施例1と同様にして、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、図7のように角部が変形したものであった。
本発明に用いられる金型の一実施態様を示す概略構造図である。 本発明におけるコアバック時の金型動作を表す断面図である。 図2の金型動作時の立面部周辺内部の発泡状態を表す断面図である。 本発明における成形品の立面部と平面部の交差する部位のコーナー部の一例を示す拡大図である。 従来の製法に用いられる金型の断面図である。 図5に示す従来の金型を使用した製法による立面部周辺内部の発泡状態を表す断面図である。 従来の製法による成形品の立面部と平面部の交差する部位のコーナー部の拡大図である。
符号の説明
1 射出装置
2 可動型
3 固定型
4 キャビティ
51 平面部
52 立面部
53 コーナー外周部

Claims (9)

  1. 固定型と前進および後退可能な可動型とから構成されるキャビティに発泡樹脂原料を射出した後、前記可動型を型開き方向に段階的に移動させて、型開き方向と垂直な平面部と型開き方向に平行な立面部を有する発泡成形体を製造するための金型であって、前記立面部の初期キャビティクリアランスt0bが前記平面部の初期キャビティクリアランスt0aに対して1.2倍以上2.5倍以下であり、かつ、前記平面部と立面部とが交差するコーナー外周部形状が円弧形状であることを特徴とする射出発泡成形用金型。
  2. 前記立面部の初期キャビティクリアランスt0bが、型開き方向と垂直な平面部の初期キャビティクリアランスt0aに対して、1.2倍以上2.0倍未満であることを特徴とする請求項1記載の射出発泡成形用金型。
  3. 前記前記平面部と立面部とが交差するコーナー外周部の円弧形状の半径が、1mm以上であることを特徴とする、請求項1または2記載の射出発泡成形用金型。
  4. 前記平面部の初期キャビティクリアランスt0aが0.5〜2.0mmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の射出発泡成形用金型。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の金型を用いて、キャビティに発泡樹脂原料を射出した後、可動型を型開き方向に段階的に移動させて、型開き方向と垂直な平面部と型開き方向に平行な立面部を有する発泡成形体を製造する方法であって、平面部の初期キャビティクリアランスt0aより大きく最終製品の形状位置に相当する平面部のキャビティクリアランスtFaよりも小さい、平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaが、立面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSbの1.2倍以下とすることを特徴とする射出発泡成形体の製造方法。
  6. 前記発泡樹脂原料が、熱可塑性樹脂と発泡剤を混練したものからなることを特徴とする請求項5記載の射出発泡成形体の製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項5または6記載の射出発泡成形体の製造方法。
  8. 前記ポリプロピレン系樹脂が、メルトフローレートが10g/10分以上50g/10分以下、メルトテンションが2cN以上で、かつ歪硬化性を示すことを特徴とする請求項5〜7の何れか一項に記載の射出発泡成形体の製造方法。
  9. 前記平面部の最終的なコアバック前のキャビティクリアランスtSaが、前記平面部の初期キャビティクリアランスt0aの1.2倍以上、3倍未満とすることを特徴とする請求項5〜8の何れか一項に記載の射出発泡成形体の製造方法。
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