JP2008285604A - ポリマーブレンド系ポリエチレン系樹脂組成物およびその成型体 - Google Patents

ポリマーブレンド系ポリエチレン系樹脂組成物およびその成型体 Download PDF

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Abstract

【課題】押出し加工性がよく、また柔軟性、光沢性が良好で、特に耐久安定性に優れた押出し成型向けポリエチレン系樹脂組成物およびその組成物からなる給水用パイプ、ガス輸送用パイプを提供すること。
【解決手段】特定の物性を有する、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である線状系ポリエチレン(A)95〜65重量%と特定の物性を有する分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)5〜35重量%とを配合してなり、190℃、2.16kg荷重における(A)のメルトフローレートに対する(B)のメルトフローレートの比が1〜20であるポリエチレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、シート、パイプ、チューブ、ホースなどの押出し成型体を製造するためのポリエチレン系樹脂組成物に関するものである。
詳しくは、押出し加工性がよく、また柔軟性、光沢性が良好で、特に気圧または水圧下での耐久安定性に優れたガス輸送用パイプ、給水用パイプを提供するポリマーブレンド系ポリエチレン系樹脂組成物に関するものである。
従来よりポリエチレンは各種の成型体の樹脂材料として使われており、その成型方法と用途により要求される物性が異なる。特にポリエチレン樹脂の押出し成型などは溶融時の粘度が適度に高い為、肉厚分布がよく偏肉性も少なく、成型加工が容易である。またこれらの成型方法によって得られた成型体はクリープ特性、衝撃特性、可とう性に優れており、幅広い用途に使用されている。
その中でもポリエチレンパイプ類は軽量で、取り扱いが容易であり、そして、非腐食性である。加えて、剛性が比較的高いため地下に敷設可能であり、また柔軟性も比較的高いため土地の変動に追従可能で地震に強い。これらの優れた特性のため、近年ではガスあるいは水道水配管のライフラインとしてポリエチレンパイプ類の使用量が益々増加している。
上述の望ましい特性に加えてポリエチレンパイプ類は、設置時および設置後に与えられる衝撃に充分耐えられる耐衝撃性、および気圧または水圧下での優れた長期耐久性を必要としている。
水道水配管用には要求耐圧が高いためポリエチレンの中で高密度ポリエチレン(HDPE)材料が剛性の面で使用されている。しかし柔軟性が不足しており可とう性が低いためポリエチレンパイプ類の敷設・施工に際しての取り扱いにさらなる柔軟性に向けた要求が高い。
ポリエチレンパイプの柔軟化には、ベース樹脂となる高密度ポリエチレン(HDPE)の平均密度を下げることで達成できることが一般に知られている。例えば、中低圧法ポリエチレン(HDPE)をベース樹脂として高圧法ポリエチレン(LDPE)をポリマーブレンドした架橋ポリエチレンパイプに関する技術が開示されている(特許文献1)。しかしながら、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド系は非相溶であり、両者の結晶状態が相分離(非特許文献1)することから、長期耐久性能が懸念される。
また高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド系において、包装用フィルム(特許文献2)、シュリンクフィルム(特許文献3、特許文献4)、押出しコーテイング(特許文献5)に適用された例が開示されているが、剛性や長期耐久性能を必要とする構造体、押出し加工成型品に適用された例は見当たらない。
特公昭63−58090号公報 特開平10−53225号公報 特開昭61−3728号公報 特開2004−51831号公報 特表2007−502881号公報 東京化学同人 出版 「ポリマーアロイとポリマーブレンド」 L.A.UTRACKI著、西 敏夫訳より
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであって、押出し加工性がよく、また柔軟性、光沢性が良好で、特に耐久安定性に優れた押出し成型向けポリエチレン系樹脂組成物およびその組成物からなる給水用パイプ、ガス輸送用パイプを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、押出し加工性がよく、また柔軟性、光沢性が良好で、特に耐久安定性に優れた押出し成型向けポリエチレン系樹脂組成物およびその組成物からなる給水用パイプ、ガス輸送用パイプを開発するために鋭意研究を重ねた結果、それぞれ特定の物性を有する線状系ポリエチレンと高圧法低密度系ポリエチレンとを特定の比率で配合することで、上記の目的に適合することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に記載するとおりのポリエチレン系樹脂組成物及びその成型体である。
(1)下記(A−1)〜(A−4)の要件を満たす線状系ポリエチレン(A)95〜65重量%と下記(B−1)〜(B−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)5〜35重量%を含むポリエチレン系樹脂組成物であって、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートについて、(A)のメルトフローレートに対する(B)のメルトフローレートの比が1〜20であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物。
(A−1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。
(A−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定において、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C)が3〜25である。
(A−3)密度が925〜950kg/mである。
(A−4)メルトフローレートが0.1〜10g/10分である。
(B−1)密度が910〜930kg/mである。
(B−2)メルトフローレートが0.1〜50.0g/10分である。
(2)線状系ポリエチレン(A)が、少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物、シクロペンタジエン化合物、および周期律表第IV族の遷移金属化合物から調製されたメタロセン担持触媒[I]と、液体助触媒成分[II]を用いて重合してなるものであることを特徴とする(1)に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
(3)線状系ポリエチレン(A)がエチレンと1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンからなる群より選ばれる少なくとも一種のα−オレフィンとからなる共重合体である(1)、(2)に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
(4)密度920〜940kg/m、メルトフローレート0.1〜10g/10分であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂組成物から得られる押出し成型体。
(6)シート、パイプ、チューブ、またはホースのいずれか1つである(5)に記載の成型体。
(7)給水用パイプ、またはガス輸送用パイプである(5)に記載の成型体
である。
本発明の、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン共重合体であり、ポリエチレン主鎖中にエチレン以外のα−オレフィンが分子量に因らず均一に共重合している構造を有する線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とからなるポリマーブレンド系ポリエチレン系樹脂組成物は、押出し加工性がよく、また柔軟性、光沢性が良好で、特に耐久安定性に優れた押出し成型向けポリエチレン系樹脂組成物およびその組成物からなる給水用パイプ、ガス輸送用パイプを得る事ができる。
以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)とからなるポリマーブレンド系ポリエチレン系樹脂組成物およびその給水用パイプ、ガス輸送用パイプである。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物に用いられる線状系ポリエチレン(A)は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。エチレンと共重合させる炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、6−メチル−ヘプテン−1などが挙げられる。中でも、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1が好ましい。また、これらのα−オレフィンを2種類以上組合せたエチレンとの共重合体であってもよい。さらにまた、エチレンと所定のα−オレフィンの共重合体と別のα−オレフィンとの共重合体を任意の比率でドライブレンド、あるいはメルトブレンドしたものであってもよい。
本発明の線状系ポリエチレン(A)は、ポリエチレン主鎖中にエチレン以外のα−オレフィンが分子量に因らず均一に分布した構造を有している。ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定において、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C:1000個のカーボン単位におけるn個の短鎖分岐数を示す。)が3〜25、好ましくは5〜10の範囲である。短鎖分岐数:nが3未満の場合は、高圧法低密度系ポリエチレン(B)のブレンドにおいて結晶状態が相分離状態となる。
短鎖分岐数:nが25を超える場合は、ベース樹脂である線状系ポリエチレン(A)の密度が低下してパイプの剛性、耐水圧性能が低下し、不足する傾向にある。また、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C)が分子量によらず均等である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフは、Waters社製150−C ALC/GPC装置、カラムとしてはShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、溶媒に10ppmのイルガノックス1010を含むトリクロロベンゼンを用いて、140℃で測定する分子量分布を測定する。
さらにFT−IRは、検出器パーキンエルマー(株)社製FT−IR17600Xを設置してα−オレフィンに帰属されるメチル基の吸光度(吸収波数:2960cm−1)を測定して「高分子分析ハンドブック(朝倉書店発行)」に記載の方法で換算して短鎖分岐数n(n/1000C)を求めた。
一方、従来のチーグラーナツター触媒を用いて重合されたエチレンとα−オレフィンの共重合体の場合は、α−オレフィンが低分子量成分に多く含有されており、この為にパイプのクリープ性能は不良となる。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物の密度は、925〜950kg/m、好ましくは940〜950kg/mである。密度が925kg/m3未満では、パイプの剛性、耐水圧性能が低下し、不足する傾向にあるため好ましくない。一方、950kg/m3 を超えるとパイプの剛性が増大し、柔軟性が低下するのに伴い可とう性が損なわれる傾向にあるため好ましくない。よって、耐水圧性能と柔軟性とを両立させた上記の密度範囲が好ましい。
更に、メルトフローレート(以下、MFRと略す。)は0.1〜10g/10分であり、好ましくは2〜5g/10分である。MFRが0.1g/10分未満ではメルトフラクチャーが発生しやすく押出し成型加工性に劣り好ましくない。一方、10g/10分を超えるとポリエチレン系樹脂組成物の分子量が低下し、本発明における長期耐久性能が達成できない。
本発明の線状系ポリエチレン(A)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、ポリエチレン主鎖中にエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン共重合体が分子量に因らず均一に分布した構造に起因していることから本発明の課題が達成されるものである。
次に、本発明の線状系ポリエチレン(A)であるエチレンとα−オレフィンとの共重合体の製造方法について説明する。線状系ポリエチレン(A)の製造方法は特に限定されるものではないが、メタロセン担持触媒[I]を予め水素と接触させた後、液体助触媒成分[II]と共に重合反応器へ導入し、エチレン単独の重合あるいはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合を行うことによって得ることができる。重合法は公知の各種方法を使用でき、例えば、不活性ガス中での流動床式気相重合或いは攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などが挙げられるが、不活性溶媒中でのスラリー重合が好ましい。
また、線状系ポリエチレン(A)であるエチレンとα−オレフィンとの共重合体を製造するメタロセン担持触媒については、以下に記載するメタロセン担持触媒[I]および液体助触媒成分[II]からなるオレフィン重合用触媒を使用することを特徴とする。
該重合法において用いられるメタロセン担持触媒とは、(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒を用いるのが好ましい。特に(ウ)の環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物中の遷移金属はチタニウムが好ましい。
次に、本発明におけるメタロセン担持触媒[I]の調製方法について説明する。
担体物質(ア)としては、有機担体、無機担体のいずれでもよい。有機担体としては、好ましくは(1)炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体、例えば、エチレン樹脂や、プロピレン樹脂、ブテン−1樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体樹脂、プロピレン−ブテン−1共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体等、(2)芳香族不飽和炭化水素共重合体、例えば、スチレン樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂等、および(3)極性基含有重合体樹脂、例えば、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、カーボネート樹脂等が挙げられる。
無機担体としては、(4)無機酸化物、例えば、SiO、Al、MgO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO,SiO−MgO、SiO−Al、SiO−MgO、SiO−V等、(5)無機ハロゲン化合物、例えば、MgCl、AlCl、MnCl等、(6)無機の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、例えば、NaCO、KCO、CaCO、MgCO、Al(SO、BaSO、KNO、Mg(NO等、(7)水酸化物、例えば、Mg(OH)、Al(OH)、Ca(OH)等が例示される。最も好ましい担体はSiOである。
担体の粒子径は任意であるが、一般的には1〜3000μm、粒子の分散性の見地から、粒子形分布は好ましくは10〜1000μmの範囲内である。
上記担体物質は必要に応じて(イ)有機アルミニウム化合物で処理される。好ましい有機アルミニウム化合物としては、一般式、(−Al(R)O−)n (式中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はRO基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。)で示される直鎖状、あるいは環状重合体等が挙げられ、具体例としては、Rがメチル基、エチル基、イソブチルエチル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルエチルアルモキサン等が挙げられる。
更にその他の有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウム、アルメニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアルミニウム、セスキアルキルハイドロアルミニウムなどが挙げられる。
その他の有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキメチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライドなどのセスキアルキルハロゲノアルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドなどを挙げることができる。これらの中で最も好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドである。
担持触媒は例えば下記式(1)で示される(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有するチタン化合物を含む。
Figure 2008285604
式中、Mは1つ以上の配位子Lとη結合をしている酸化数+2、+3、+4の長周期型周期律表第4族の遷移金属であり、特に遷移金属はチタニウムが好ましい。
又、Lは環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立にシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、またはオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビ基、ヒドロカルビオルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8の置換基を任意に有していてもよく、さらには2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、ジラジイル、ハロシラジイル、アミノシランなどの2価の置換基により結合されていてもよい。
Xは各々独立に、60個までの非水素原子を有する、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、またはM及びLに各々l個ずつの価数で結合する2価のアニオンσ結合型配位子である。
X' は各々独立に、炭素数4乃至40からなるフォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び/又は共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。
又、lは1または2の整数である。pは0、1又は2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子又はM及びLに各々1個ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl以上少なく、またはXがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl+1以上少ない。又、qは0、1または2である。遷移金属化合物としては上記式(1)でl=1の場合が好ましい。
例えば、遷移金属化合物の好適な例は、下記式(2)で表される。
Figure 2008285604
式中、Mは形式酸化数+2、+3又は+4のチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特にチタニウムが好ましい。
また、R3 は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20個までの非水素原子を有することができる。
又、近接するR3 同士がヒドロカルバジイル、ジラジイル、またはゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
X" は各々独立にハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、またはシリル基であり、各々20までの非水素原子を有しており、また2つのX" が炭素数5〜30の中性共役ジエン、もしくは2価の誘導体を形成してもよい。
Yは、−O−、−S−、−NR−、−PR−であり、ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR*、CR=CR、CR SiR またはGeR であり、ここでRは各々独立に炭素数1〜12のアルキル基又はアリール基である。又、nは1乃至3の整数である。
さらに、遷移金属化合物として、より好適な例は、下記式(3)および下記式(4)で表される。
Figure 2008285604
Figure 2008285604
式中R3 は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20までの非水素原子を有することができる。また、遷移金属Mはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、チタニウムが好ましい。
Z、Y、X及びX' の定義は前出のとおりである。pは0,1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXはハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基またはこれらの複合基であり、20個までの非水素原子を有している。
また、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXはアリル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基または2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配位子であるか、もしくはMの酸化数が+4であり、かつXが2価の共役ジエンの誘導体であるか、あるいはMとXがともにメタロシクロペンテン基を形成している。
また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX' は中性の共役或いは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素で置換されていてもよく、又該X' は40までの炭素原子を含み得るものであり、Mとπ型錯体を形成している。
さらに、本発明において、遷移金属化合物として最も好適な例は、下記式(5)及び下記式(6)で表される。
Figure 2008285604
Figure 2008285604
式中、R は各々独立に、水素または炭素数1〜6のアルキル基である。又、Mはチタニウムであり、Yは、−O−、−S−、−NR−、−PR−であり、Zは、SiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiRまたはGeR であり、ここでRは各々独立に水素、或いは炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基またはこれらの複合基である。該R は20個までの非水素原子を有することができ、又必要に応じてZ中の2つのR同士またはZ中のRとY中のRが環状となっていてもよい。
pは0、1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXは各々独立にメチル基またはヒドロベンジル基である。
また、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、或いはMの酸化数が+4であり、かつXが2−ブテン−1,4−ジイルである。
また、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX' は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
また、メタロセン触媒は(エ)遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤を含む。通常メタロセン触媒においては、遷移金属化合物と上記活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。
活性化剤としては例えば、下記式(7)で表される化合物があげられる。
Figure 2008285604
但し式中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また[Mmtd-は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属またはメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。又、mは1乃至7の整数であり、pは2乃至14の整数であり、dは1乃至7の整数であり、t−m=dである。
活性化剤のより好ましい例は下記式(8)で表される化合物である。
Figure 2008285604
但し式中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、[M(G(T−H)d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属またはメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20個までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。又、GはM及びTと結合するr+1の価数を持多価炭化水素基であり、TはO、S、NRまたはPRであり、ここでRはヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、もしくは水素である。
又、mは1乃至7の整数であり、wは0乃至7の整数でありuは0または1の整数であり、rは1乃至3の整数であり、zは1乃至8の整数であり、w+z−m=dである。
活性化剤のさらに好ましい例は下記式(9)で表される化合物である。
Figure 2008285604
但し式中、[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、[BQは相溶性の非配位性アニオンであり、Bはホウ素原子、Qはペンタフルオロフェニル基であり、Qは置換基としてOH基を1つ有する炭素数6〜20の置換アリール基である。
非配位性アニオンの具体例としては、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)フェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオロメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレート等が挙げられ、最も好ましいのは、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートである。
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンの具体例としては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHRで置き換えられたボレートが挙げられる。ここでRは、好ましくはメチル基、エチル基またはtert−ブチル基である。
また、プロトン付与性のブレンステッド酸の具体例としては、例えば、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、およびトリ(n−オクチル)アンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチルアンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイコシルメチルアンモニウム、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム等のような、トリアルキル基置換型アンモニウムカチオンが挙げられ、又、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルベンジルアニリニウムなどのようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンも好適である。
次に、本発明における液体助触媒成分[II]の調製方法について説明する。
本発明においては、液体助触媒成分[II]は下記の式(10)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物[III−1]とアミン、アルコール、シロキサン化合物から選ばれる化合物[III−2]との反応によって合成される、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。
Figure 2008285604

〔式中、Mは周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、a、b、c、dは次の関係を満たす実数である。0≦a、0<b、0≦c、0≦d、c+d>0、e×a+2b=c+d(ただし、eはMの原子価)〕
本発明においては、有機マグネシウム化合物[III−1]と化合物[III−2]との反応には特に制限はないが、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等の不活性反応媒体中、室温−150℃の間で反応させることによって行われることが好ましい。この反応の順序については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物[III−1]中に化合物[III−2]を添加する方法、化合物[III−2]に有機マグネシウム化合物[III−1]を添加する方法、または両者を同時に添加する方法のいずれの方法も好ましい。有機マグネシウム化合物[III−1]と化合物[III−2]との反応比率については特に制限はないが、反応により合成される液体助触媒成分[II]に含まれる全金属原子に対する化合物[III−2]のモル比は0.01〜2であることが好ましく、0.1〜1であることがさらに好ましい。
本発明においては、液体助触媒成分[II]は単独で使用してもよいし二種類以上混合して使用してもよい。
本発明において、液体助触媒成分[II]は不純物のスカベンジャーとして用いられる。この液体助触媒成分[II]は、高濃度であっても重合活性を低下させることが少なく、したがって広い濃度範囲で高い重合活性を発現させることができる。このため液体助触媒成分[II]を含むオレフィン重合用触媒は、重合活性の制御が容易である。
重合に使用する際の液体助触媒成分[II]の濃度については特に制限はないが、液体助触媒成分[II]に含まれる全金属原子のモル濃度が0.001mmol/リットル以上10mmol/リットル以下であることが好ましく、0.01mmol/リットル以上5mmol/リットル以下であることがさらに好ましい。0.001mmol/リットル未満では不純物のスカベンジャーとしての作用が十分ではない恐れがあるために好ましくなく、10mmol/リットルよりも大きい場合には重合活性が低下する恐れがあるために好ましくない。
次に、有機マグネシウム化合物[III−1]について説明する。
有機マグネシウム化合物[III−1]は上記の(10)式で表される。なお、上記の(10)式中では炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、(RMgおよびこれらと他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号a、b、c、dの関係式e×a+2b=c+dは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
上記の(10)式中、RないしRで表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基であることが好ましく、アルキル基であることがさらに好ましく、一級のアルキル基であることがさらに好ましい。
a>0の場合、金属原子M1 としては、周期律表第1〜3族からなる群に属する金属元素が使用でき、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。
金属原子Mに対するマグネシウムのモル比b/aには特に制限はないが、0.1以上50以下の範囲が好ましく、0.5以上10以下の範囲がさらに好ましい。また、a=0の場合には、有機マグネシウム化合物[III−1]が炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物であることが好ましく、上記の式(10)のR、Rが次に示す三つの群(イ)、(ロ)、(ハ)のいずれか一つであることがさらに好ましい。
(イ)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR、Rがともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(ロ)R、Rが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはRが炭素原子数2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(ハ)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR、Rが共に炭素原子数6以上のアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。
(イ)において炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、等が挙げられ、1−メチルプロピル基が特に好ましい。(ロ)において炭素原子数2または3のアルキル基としては、エチル基、プロピル基が挙げられ、エチル基は特に好ましい。また炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、ブチル基、ヘキシル基は特に好ましい。(ハ)において炭素原子数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基等が挙げられ、アルキル基である方が好ましく、ヘキシル基は特に好ましい。
一般にアルキル基の炭素原子数を増やすと炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘性が高くなる傾向であり、必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は炭化水素溶液として用いられるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のコンプレックス化剤がわずかに含有されあるいは残存していても差し支えなく用いることができる。
次に化合物[III−2]について説明する。
この化合物は、アミン、アルコール、シロキサン化合物からなる群に属する化合物である。
本発明においては、アミン化合物には特に制限はないが、脂肪族、脂環式ないし芳香族アミンが好ましい。具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン等が挙げられる。
本発明においては、アルコール化合物には特に制限はないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−メチルペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−エチル−4−メチル−1−ペンタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−エチル−5−メチル−1−オクタノール、1−オクタノール、1−デカノール、シクロヘキサノール、フェノールが好ましく、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノールおよび2−エチル−1−ヘキサノールがさらに好ましい。
本発明においては、シロキサン化合物には特に制限はないが、下記の式(11)で表される構成単位を有するシロキサン化合物が好ましい。
Figure 2008285604

(上記の式(11)中、R6 およびR7 は、水素または炭素原子数1〜30の炭化水素基、および炭素数1〜40の置換された炭化水素基なる群より選ばれる基である。)
本発明においては、この炭化水素基には特に制限はないが、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基、ビニル基が好ましい。また、置換された炭化水素基には特に制限はないが、トリフルオロプロピル基が好ましい。
本発明においては、このシロキサン化合物は1種類または2種類以上の構成単位から成る2量体以上の鎖状または環状の化合物の形で用いることができる。
本発明においては、このシロキサン化合物として、対称ジヒドロテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、ペンタメチルトリヒドロトリシロキサン、環状メチルヒドロテトラシロキサン、環状メチルヒドロペンタシロキサン、環状ジメチルテトラシロキサン、環状メチルトリフルオロプロピルテトラシロキサン、環状メチルフェニルテトラシロキサン、環状ジフェニルテトラシロキサン、(末端メチル封塞)メチルヒドロポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、(末端メチル封塞)フェニルヒドロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが好ましい。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物に用いられる分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)は、エチレン単独重合体またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、公知の高圧ラジカル重合法により得ることができる。密度は910〜930kg/m、好ましくは915〜928kg/m、MFRは0.1〜50g/10分、好ましくは1.0〜20g/10分である。このような特性を有する分岐状高圧法低密度系ポリエチレンとのブレンドは、パイプの柔軟性の改良に大きな効果を発揮する。尚、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)は、本発明の目的を損なわない範囲であれば、他のα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等との共重合体であってもよい。
本発明におけるポリエチレン系樹脂組成物は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン共重合体であり、分子量に因らずポリエチレン主鎖中にエチレン以外のα−オレフィンが均一に分布した構造を有する線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)のポリマーブレンドすることにより柔軟性を改良すると同時に気圧または水圧下での長期耐久安定性能を兼ね備えた本発明のポリエチレン系樹脂組成物ならびにポリエチレンパイプが得られる。
一般的に知られたことではあるが、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)のブレンド系は非相溶であり、両者の結晶状態が相分離することから、長期耐久性能が懸念される。しかしながら、分子量に因らずポリエチレン主鎖中にエチレン以外のα−オレフィンが均一に分布した構造を有する線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)をポリマーブレンドすると、線状系ポリエチレン(A)をベース樹脂として分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)のブレンド量が約20重量%ぐらいまでは、結晶化速度が速くなるとともに結晶サイズが小さくなって結晶状態が均一となる傾向が見られる。また示差走査熱量計(DSC)測定による線状系ポリエチレン(A)の融点が降下することから、線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)が共結晶化していることが示唆される。さらに結晶サイズを小さくすることにより柔軟性も改良される。
本発明におけるポリエチレン系樹脂組成物における(A)と(B)の配合割合は、線状系ポリエチレン(A)95〜65重量%、好ましくは90〜80重量%であり、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)5〜35重量%、好ましくは、10〜20重量%である。分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)のブレンド量が5重量%未満では、パイプの剛性が大きく、柔軟性が不足する。ブレンド量が35重量%を超えると密度の低下と共にパイプの剛性、耐水圧性能が低下し、不足する傾向にある。
また線状系ポリエチレン(A)のMFRに対する分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)のMFRの比は1〜20、好ましくは5〜10である。MFR比が1未満では、ポリエチレンパイプの光沢が悪化し、MFR比が20を超えるとポリエチレンパイプの表面に分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)が相分離した状態になる。
ポリエチレン系樹脂組成物の密度は920〜940kg/m、好ましくは930〜940kg/m、MFRは0.1〜10g/10分、好ましくは2〜5g/10分である。上記範囲のポリエチレン系樹脂組成物より、高密度ポリエチレン(HDPE)をベースとしたポリエチレンパイプの柔軟性を改良すると同時に耐水圧性能と長期耐久安定性能を兼ね備えた本発明のポリエチレン系樹脂組成物ならびにポリエチレンパイプが得られる。
一方で上記範囲外であると、密度が920kg/m3 未満では、柔軟ではあるがパイプの剛性、耐水圧性能が低下し、密度が940kg/m3を超えると剛性、耐水圧性能は十分ではあるが柔軟性が不足するため配管施工性が悪い傾向にあるため好ましくない。また、MFRが0.1g/10分未満ではメルトフラクチャーが発生しやすく押出し成型加工性に劣り、MFRが10g/10分を超えると長期耐久性能が低下する。
本発明におけるポリエチレン系樹脂組成物は、フェノール系安定剤及び/又は有機ホスファイト系安定剤、及び/又は有機チオエーテル系安定剤及び/又は高級脂肪酸の金属などの安定剤、顔料、染料、核剤、潤滑剤、カーボンブラック、タルク、ガラス繊維等の無機充填材あるいは補強材、難燃剤、中性子遮断剤等のポリオレフィンに添加される配合剤を本発明の目的をそこなわない範囲で添加する事ができる。
フェノール系安定剤としては2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−シクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジイソプロピル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−2−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート)メタン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、1,3,5−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)メタン、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニール)プロピオネート)メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルフェノール)プロピオン酸アルキルエステル、2,2−オキザミドビス(エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(2,4−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシル)プロピオネート)、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオノ−1,3,5−トリアジン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、 2,2−メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール)、ビス(3,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシド)グリコールエステル、4,4−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート、1,3,5−トリス((3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニールオキシエチル)イソシアヌレート、2−オクチルチオ−4,6−ジ(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,4−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)等が挙げられる。
有機ホスファイト系安定剤としてはトリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル−ジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ又はジノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイド、ビス(オクチルフェニル)ビス(4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール))1,6−ヘキサンオールジホスファイド、フェニル−4,4−イソプロピリデンジフェノールペンタエリスリトールジホスファイド、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイド、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイド、トリス((4,4、−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール))ホスファイド、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイド、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)ジ(ノニルフェニル)ホスファイド、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンジホスファイド等が挙げられる。
有機チオエーテル系安定剤としてはジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−などのジアルキルチオプロピオネート及びブチル−、オクチル−、ラウリル−、ステアリル−、等のアルキルチオプロピオン酸の多価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート)のエステル、(例えば、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート)が挙げられる。
さらに具体的にはジラウリルチオプロピオネート、ジミリスチルチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート等が挙げられる。
高級脂肪酸の金属塩としての安定剤は、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、カプリル酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、などの高級脂肪酸のマグネシウム、カルシウム、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが用いられる。
具体的な化合物名を挙げると、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸マグネシウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシュウムオレイン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどである。
尚、本発明のポリエチレン系樹脂組成物には、上記の添加剤以外に有機あるいは無機顔料、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を必要に応じて添加することができる。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物は、線状系ポリエチレン(A)と分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)を公知の方法を利用してポリマーブレンドすることが出来る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、加熱ロール練り機等で溶融混合することにより得られる。
上記の各種の添加剤を添加する方法として、線状系ポリエチレン(A)及びあるいは分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)の製造時に予め添加剤を混合する方法を採用することもできる。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物からなる押出し成型品、パイプは、通常180〜250℃の温度で押出機により可塑化され、環状ダイを通して押し出され、その後冷却されることにより、パイプとして成型される。パイプ成型に使用される押出機は単軸の押出機でもあるいは2軸以上の多軸押出機であっても良い。環状のダイを通過したポリエチレン溶融物は真空サイジングにより形状が整えられる。なお、上記押出し機とダイとの間には、ポリエチレン系樹脂組成物の流量の均一性を保持するためにギアポンプなどの昇圧押込装置を設置しても構わない。また、成型体がポリエチレンパイプである場合、ポリエチレンパイプを形成するプロセスライン中にパイプの肉厚を計測し、これをギアポンプや引取機へフィードバックすることも可能である。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例において採用した物性測定方法及び評価方法について述べる。
<物性測定方法、評価方法>
(1)密度
JIS−k−7112:1999に準じて測定した。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS−k−7210:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)に準じて測定した。
(3)短鎖分岐数
ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定を行った。
Waters社製150−C ALC/GPCを用いた。
カラムとしてはShodex製AT−807Sと東ソー製TSK−gelGMH−H6を直列にして用い、溶媒に10ppmのイルガノクス1010を含むトリクロロベンゼンをもちいて、140℃で測定する分子量分布測定装置に検出器パーキンエルマー(株)社製FT−IR17600Xを設置してα−オレフィンに帰属されるメチル基の吸光度(吸収波数:2960cm−1)を測定して「高分子分析ハンドブック(朝倉書店発行)1985年版」に記載の方法で換算して短鎖分岐数n を求めた。
(4)引張弾性率(柔軟性)
JIS−K−7161に準じて行ない、次のように評価した。
○:引張弾性率が50MPa以下の場合。
×:引張弾性率が50MPaを超える場合。
(5)引張クリープ試験
JIS−K−7151法に準拠して5mmの厚みのプレスシートを成型し、そのシートから試験片(110mm*6mm)を切削加工し、この試験片に約0.5mm深さのノッチを全周に入れた。
上記ノッチ入り試験片を、温水中に浸漬し、サンプルに応じて引張応力が5〜8MPaとなるように、荷重を印加した。
○:破壊時間が500時間以上で引張応力が5MPa以上の場合。
×:破壊時間が500時間未満の場合もしくは500時間以上で引張応力が5MPa未満の場合
(6)パイプ押出し成型性
ポリエチレン系樹脂組成物をReifenhauser社製単軸押出し機 RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)と管状ダイを組合せてポリエチレン系樹脂組成物を管状に押し出し真空成型、冷却を経て、外径約32mm、肉厚約3mmのパイプを得た。以下の評価基準で評価した。
○:パイプの肉厚に凹凸がなく、パイプ表面外観が目視にて良好な場合。
×:パイプが柔らかく蛇行した場合、パイプの肉厚に凹凸が生じパイプ表面外観が目視にて不良な場合。
(7)パイプの光沢
蛍光灯がついている部屋で、蛍光灯が上からパイプ表面に写りこむ(反射する)ようにし、表示部分を斜めから見て蛍光灯の像がゆがむ個所で反射光の強さを目視で観察して、以下の評価基準で評価した。
◎(最良好):反射光が明るく像がはっきりしている。
○(良好) :反射光が明るい。
×(不良) :反射光が暗い。
<樹脂サンプル作製>
[メタロセン担持触媒[I]の調製]
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiO2であった。容量1.8リットルのオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800cc中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/リットル)を60cc加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[IV]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800ccを得た。
一方、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」という)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1000ccに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した組成式AlMg6 (C253 (n−C4912の1mol/リットルヘキサン溶液を20cc加え、更にヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/リットルに調整し、成分[V]を得た。
また、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略称する)5.7gをトルエン50ccに添加して溶解し、ボレートの100mmol/リットルトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/リットルヘキサン溶液5ccを室温で加え、さらにヘキサンを加えてトルエン溶液中のボレート濃度が70mmol/リットルとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46ccを、上で得られた、成分[IV]のスラリー800ccに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上で得られた成分[V]のうち32ccを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン担持触媒[I]を得た。
[液体助触媒成分[II]の調製]
有機マグネシウム化合物[III−1]として、AlMg(C(n−C12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[III−2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200ccのフラスコにヘキサン40ccとAlMg(C(n−C12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40ccを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[II]を調製した。
[線状系ポリエチレン(A)であるエチレンとα−オレフィンとの共重合体の調製]
上記により得られたメタロセン担持触媒[I]と液体助触媒成分[II]は触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてヘキサン、モノマーとしてエチレン及びブテン−1を用いた。反応温度は70℃としてエチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.36、水素とエチレン+水素のモル比が0.0025を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaで線状系ポリエチレン(A)であるエチレンとα−オレフィンとの共重合体を重合した。得られた線状系ポリエチレン(A)であるエチレン−ブテン−1共重合体は密度が941kg/m3、MFRが2.5g/10分であった。短鎖分岐数の測定(ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定)により、logMwと分子量分布(%)、短鎖分岐数n:(n/1000C)の関係のグラフを図1に示す。
[分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)であるエチレン重合体またはエチレンとα−オレフィンとの共重合体の調製]
公知の高圧ラジカル重合法より調製し、密度922kg/m、MFR7.0g/10分である分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)を得た。
[実施例1、2]
エチレン−ブテン−1共重合体で密度941kg/m、MFR2.5g/10分の線状系ポリエチレン(A)および密度922kg/m、MFR7.0g/10分の分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)をそれぞれ所定の割合で混合したポリマーブレンド物100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤としてn−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートを0.1重量部、リン系熱安定剤としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイトを0.1重量部、ステアリン酸カルシウムを0.15重量部をそれぞれ配合し、日本製鋼所社製TEX−44(スクリュー径44mm、L/D=35)の二軸押出成型機を利用し、200℃の温度で溶融混錬して造粒した。得られたポリエチレン系樹脂組成物をReifenhauser社製単軸押出し機 RH501(スクリュー径50mm、L/D=30)と管状ダイを組合せてポリエチレン系樹脂組成物を管状に押し出し真空成型、冷却を経て、外径約32mm、肉厚約3mmのパイプを得た。
本実施例に使用した線状系ポリエチレン(A)、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)、ポリエチレン系樹脂組成物およびポリエチレンパイプの評価結果を表1に示した。
[比較例1]
線状系ポリエチレン(A)のみであり、分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)をブレンドしない以外は、実施例1〜実施例2と同様にポリエチレン系樹脂組成物ならびにポリエチレンパイプを得て、それを評価した。評価結果を表1に示した。
Figure 2008285604
本発明のポリマーブレンド系ポリエチレン系樹脂組成物は、押出し加工性がよく、柔軟性、光沢性が良好で、特に気圧または水圧下での耐久安定性に優れているので、ガス輸送用パイプ、給水用パイプの材料として好適である。
分子量分布(%)と短鎖分岐数n:(n/1000C)との関係を示す図である。

Claims (7)

  1. 下記(A−1)〜(A−4)の要件を満たす線状系ポリエチレン(A)95〜65重量%と下記(B−1)〜(B−2)の要件を満たす分岐状高圧法低密度系ポリエチレン(B)5〜35重量%を含むポリエチレン系樹脂組成物であって、190℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートについて、(A)のメルトフローレートに対する(B)のメルトフローレートの比が1〜20であることを特徴とするポリエチレン系樹脂組成物。
    (A−1)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体である。
    (A−2)ゲルパーミエーションクロマトグラフとFT−IRを組合せた測定において、logMwが3.5〜5.5のとき短鎖分岐数:n(n/1000C)が3〜25である。
    (A−3)密度が925〜950kg/mである。
    (A−4)メルトフローレートが0.1〜10g/10分である。
    (B−1)密度が910〜930kg/mである。
    (B−2)メルトフローレートが0.1〜50.0g/10分である。
  2. 線状系ポリエチレン(A)が、少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物、シクロペンタジエン化合物、および周期律表第IV族の遷移金属化合物から調製されたメタロセン担持触媒[I]と、液体助触媒成分[II]を用いて重合してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  3. 線状系ポリエチレン(A)がエチレンと1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンからなる群より選ばれる少なくとも一種のα−オレフィンとからなる共重合体である請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  4. 密度が920〜940kg/m、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂組成物から得られる押出し成型体。
  6. シート、パイプ、チューブ、またはホースのいずれか1つである請求項5に記載の成型体。
  7. 給水用パイプ、またはガス輸送用パイプである請求項5に記載の成型体。
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