JP5620123B2 - ポリエチレン積層フィルム - Google Patents
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Description
(1)両表層が、935〜968kg/m3の密度を有するポリエチレン樹脂組成物からなること、
(2)表層と直接接する内層のいずれもが、937〜970kg/m3の密度を有するポリエチレン樹脂組成物からなること、
(3)表層と直接接する内層を構成するポリエチレン樹脂組成物の密度が、その表層を構成するポリエチレン樹脂組成物の密度よりも2kg/m3以上高いこと、
(4)表層と直接接する内層を構成するポリエチレン樹脂組成物のMFRが、その表層を構成するポリエチレン樹脂組成物のMFRよりも0.2g/10分以上1.7g/10分以下低いこと、
(5)ポリエチレン積層フィルムのノルマルヘプタン抽出率が0.9wt%以下であること、及び
(6)両表層を構成するポリエチレン樹脂組成物が、メタロセン型触媒及び液体助触媒を用いて得られるエチレン重合体又はエチレンとα−オレフィンとの共重合体であること。
[2] 両表層のヘイズ改良率が40%以上である[1]に記載のポリエチレン積層フィルム。
[3] 両表層のグロス改良率が40%以上である、[1]または[2]に記載のポリエチレン積層フィルム。
[4] 両表層を構成するポリエチレン樹脂組成物中のブロッキング防止剤、スリップ剤及び酸化防止剤の濃度がそれぞれ10ppm以下であり、かつ表層同士のブロッキングフォースが0.2g/cm以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリエチレン積層フィルム。
[5] 表層と直接接する内層の厚さの合計が、フィルム全体の厚さの60〜80%である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリエチレン積層フィルム。
[6] [1]〜[5]のいずれか1項に記載のポリエチレン積層フィルムから形成された医薬品・医療品包装フィルム。
[7] [1]〜[5]のいずれか1項に記載のポリエチレン積層フィルムから形成された電気・電子材料包装フィルム。
Lは、環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立にシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、またはオクタヒドロフルオレニル基である。これらの基は、20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8の置換基を任意に有していてもよく、さらには2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、シラジイル、ハロシラジイル、アミノシランなどの2価の置換基により結合されていてもよい。
X’は、各々独立に炭素数4乃至40からなるフォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び/又は共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。
R3は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合基であり、各々20までの非水素原子を有することができる。又近接するR3同士がヒドロカルバジイル、シラジイル、またはゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
X"は、各々独立に、ハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、またはシリル基であり、各々20までの非水素原子を有しており、また、2つのX"が炭素数5乃至30の中性共役ジエン、もしくは2価の誘導体を形成してもよい。
Yは、−O−、−S−、−NR*−、−PR*−であり、Zは、−SiR* 2−、−CR* 2−、−SiR* 2SiR* 2−、−CR* 2CR* 2−、−CR*=CR*−、−CR* 2SiR* 2−または−GeR* 2−であり、ここで、R*は、各々独立に炭素数1乃至12のアルキル基又はアリール基である。又、nは1乃至3の整数である。
Z、Y、X及びX’の定義は、前出のとおりである。pは0,1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXはハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基またはこれらの複合基であり、20までの非水素原子を有している。
また、上記式中で、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX’は中性の共役或いは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素で置換されていてもよく、該X’は40までの炭素原子を含み得るものであり、Mとπ型錯体を形成している。
また、上記式中で、pが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、或いはMの酸化数が+4であり、かつXが2−ブテン−1,4−ジイルである。
また、上記式中で、pが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。これらのジエン類は、金属錯体を形成する非対称ジエン類であり、実際には各幾何異性体の混合物である。
mは1乃至7の整数であり、wは0乃至7の整数であり、uは0または1の整数であり、rは1乃至3の整数であり、zは1乃至8の整数であり、w+z−m=dである。
〔式中、M1は周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、R4およびR5は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、a、b、c、dは次の関係を満たす実数である。すなわち、0≦a、0<b、0≦c、0≦d、c+d>0、e×a+2b=c+dである(ただし、eはM1の原子価である)。〕
(ロ)R4、R5が炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR4が炭素原子数2または3のアルキル基であり、R5が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(ハ)R4、R5の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR4、R5が共に炭素原子数6以上のアルキル基であること。
上記のアルコール化合物としては、特に制限はないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−メチルペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−エチル−4−メチル−1−ペンタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−エチル−5−メチル−1−オクタノール、1−オクタノール、1−デカノール、シクロヘキサノール、フェノールが好ましい。これらの中でも、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノールがさらに好ましい。
ポリエチレン積層フィルムにおいて、表層と直接接する内層のいずれもが、その表層との間で、密度差及びMFR差について前記基準を満たすことによって、透明性及び表面光沢の改良効果が得られ、さらにノルマルヘプタン抽出率が低減しクリーン性が良好になる。
ヘイズ改良率(%)=(Ha−Hb)/Hb×100
ここで、両表層が同じ原料からなるポリエチレン積層フィルムを評価する場合、表層及び表層と直接接する内層に同一原料を用いたポリエチレン積層フィルムのヘイズ値を測定し、Haとする。両表層が異なる原料からなるポリエチレン積層フィルムを評価する場合、各表層と同じ原料を、両表層及び表層と直接接する内層に用いたポリエチレン積層フィルムのヘイズ値をそれぞれ測定し、得られるヘイズ値を比較して高い値をHaとする。また、Hbは、表層と異なる原料を表層と直接接する内層に用いたポリエチレン積層フィルムのヘイズ値を示す。なお、本明細書におけるヘイズ値は、ASTM D1003に準じて測定した値を意味する。
グロス改良率(%)=(Gb−Ga)/Gb×100
Gaは、評価する面の表層と同じ原料を、表層及び表層と直接接する内層に用いた積層フィルムの、該表層面側のグロス値を示す。Gbは、評価するフィルムの面の表層と異なる原料を表層と直接接する内層に用いた場合の該表層面側のグロス値を示す。なお、本明細書におけるグロス値は、ASTM D523(2457)に準じて、入射角20°で測定した値を意味する。
<メタロセン担持触媒(a)の調製>
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製](商標)を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。エトキシジエチルアルミニウムを表面水酸基と反応させてエタンガスを発生させ、ガスビュレットを用いて、発生したエタンガスの量を測定した。発生したエタンガスの量に基づいて脱水シリカの表面水酸基の初期量を求めたところ、1.3mmol/g−SiO2であった。容量1.8リットルのオートクレーブにおいて、この脱水シリカ40gをヘキサン800cc中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながら、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/リットル)を60cc加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[D]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800ccを得た。
一方、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」という)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1000ccに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した組成式AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12の1mol/リットルヘキサン溶液を20cc加え、更にヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/リットルに調整し、成分[E]を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46ccを、上で得られた、成分[D]のスラリー800ccに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上で得られた成分[E]のうち32ccを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン担持触媒(a)を得た。
有機マグネシウム化合物[C1]として、AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。これと反応させるシロキサン化合物[C2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200ccのフラスコに、ヘキサン40ccとAlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40ccを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分(b)を調製した。
上記のメタロセン担持触媒(a)及び液体助触媒成分(b)を組み合わせたものをメタロセン触媒として用い、メタロセン触媒系高密度ポリエチレンA1の調製を行った。
上記により得られたメタロセン触媒、溶媒として精製したヘキサン、モノマーとしてエチレン及びブテン−1、分子量調整剤として水素を用いて反応を行った。反応温度は77℃として、エチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.40%、水素とエチレン+水素のモル比が0.25%を維持できるように調節)から、全圧を0.98MPaとしてエチレン・α−オレフィンとの共重合体を重合した。重合により得られたエチレン・α−オレフィンとの共重合体は、日本製鋼(株)社製押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、200℃にて押出して造粒した。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体A1は、分子量分布(Mw/Mn)が4.0、密度が941kg/m3、MFRが2.5g/10分であった。
エチレン、ブテン−1、水素の混合ガス組成(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.27%、水素とエチレン+水素のモル比が0.20%を維持できるように調節)を変えた以外は、メタロセン触媒系高密度ポリエチレンA1の調製と同様に操作し、エチレン・α−オレフィンとの共重合体を得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体A2は、分子量分布(Mw/Mn)が4.1、密度が946kg/m3、MFRが1.3g/10分であった。
反応温度を70℃として、エチレン、ブテン−1、水素の混合ガス組成(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.26%、水素とエチレン+水素のモル比が0.28%を維持できるように調節)を変えた以外は、メタロセン触媒系高密度ポリエチレンA1の調製と同様に操作し、エチレン・α−オレフィンとの共重合体を得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体A3は、分子量分布(Mw/Mn)が4.0、密度が947kg/m3、MFRが5.0g/10分であった。
充分に窒素置換された15リットルの反応器に、トリクロルシランを2mol/リットルのノルマルヘプタン溶液として3リットル仕込み、攪拌しながら65℃に保ち、続いて、組成式AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)6.4(On−C4H9)5.6で示される有機マグネシウム成分のノルマルヘプタン溶液7リットル(マグネシウム換算で5mol)を1時間かけて加え、更に65℃にて1時間攪拌下反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、n−ヘキサン7リットルで4回洗浄を行い、固体物質スラリーを得た。この固体を分離・乾燥して分析した結果、固体1グラム当たり、Mg 7.45mmolを含有していた。
このうち固体500gを含有するスラリーを、n−ブチルアルコール1mol/リットルのn−ヘキサン溶液0.93リットルとともに、攪拌下50℃で1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで1回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1mol/リットルのn−ヘキサン溶液1.3リットルを攪拌下加えて1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで2回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1mol/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットルおよび四塩化チタン1mol/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットルを加えて、2時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、固体触媒を単離し、遊離のハロゲンが検出されなくなるまでヘキサンで洗浄した。この固体触媒は2.3重量%のチタンを有していた。
上記により得られたチーグラー触媒を用い、単段重合プロセスにおいて、容積230リットルの重合器で重合を行った。重合温度は85℃、重合圧力は0.98MPaとした。この重合器に、合成したチーグラー触媒を0.3g/hrの速度で、トリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr、ヘキサンを60リットル/hrの速度で導入した。これに、エチレン、水素、プロピレンの混合ガス(ガス組成はプロピレンとエチレン+プロピレンのモル比が3.30%、水素とエチレン+水素のモル比が26%を維持できるように調節)を導入し、エチレン・α−オレフィンとの共重合体を重合した。重合により得られたエチレン・α−オレフィンとの共重合体は、日本製鋼(株)社製押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、200ppmのフェノール系酸化防止剤と共に、200℃にて押出して造粒した。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体B1は、分子量分布(Mw/Mn)が7.0、密度が952kg/m3、MFRが1.0g/10分であった。
エチレン、プロピレンの混合ガス(ガス組成はプロピレンとエチレン+プロピレンのモル比が0.55%を維持できるように調節)を変えた以外は、チーグラー触媒系高密度ポリエチレンB1の調製と同様に操作し、エチレン・α−オレフィンとの共重合体を得た。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体B2は、分子量分布(Mw/Mn)が9.7、密度が959kg/m3、MFRが0.8g/10分であった。
チューブラーリアクターにて、重合平均温度260℃、重合圧力270MPa、開始剤にt−ブチルパーオキシオクテートを用い、低密度ポリエチレンを重合した。得られた低密度ポリエチレンは、分子量分布(Mw/Mn)が3.6、密度が929kg/m3、MFRが1.3g/10分であった。
旭化成ケミカルズ株式会社製サンテックTM−LL LM2020(登録商標)(分子量分布(Mw/Mn)が4.0、MFR=2.1g/10min 密度=920kg/m3)に2000ppmのフェノール系酸化防止剤を混合したものを使用した。
住友重機械モダン株式会社製の3種3層インフレーションフィルム製造装置(押出機3台:スクリュー径50mm、スクリュー:L(押出しスクリュー長)/D(押出しスクリュー直径)=28、ダイス:3種3層スパイラルダイス、リップ径、125mm、リップ間隙、2.5mm、エアーリング:デュアルリップ、φ125用、固定式)を用いて、シリンダー温度180℃、ダイス温度180℃にて、3層合計押出量を29.5kg/時間とし、ブロー比2.4で、インフレーション成形を行い、ポリエチレン積層フィルムを得た。
ポリエチレン積層フィルム及び各層のポリエチレン樹脂組成物の物性評価方法は、以下の通りである。なお、ポリエチレン積層フィルムの物性評価は、製膜したフィルムを温度23℃、湿度50%の環境中に24時間以上静置した後に行った。
JIS K7210:1999(コードD 温度=190℃、荷重=2.16kg)に準拠して測定した。
(2)密度
JIS K7112:1999に準拠して、密度勾配管法(23℃)で測定した。
株式会社村上色彩技術研究所製 HAZE METER HM−150を使用し、ASTM D1003に準じて測定した。測定したヘイズ値は、フィルムの透明性の評価に用いた。
ヘイズ改良率は、表層及び表層と直接接する内層に同一の原料を用いて製膜したポリエチレン積層フィルムのヘイズ値を基準にして、接している表層と異なる原料を表層と直接接する内層に用いた場合のポリエチレン積層フィルムのヘイズ値を評価する。ヘイズ改良率は次式で定義される。
ヘイズ改良率(%)=(Ha−Hb)/Hb×100
両表層が同じ原料からなるポリエチレン積層フィルムを評価する場合、表層及び表層と直接接する内層に同一原料を用いたポリエチレン積層フィルムのヘイズ値を測定し、Haとする。両表層が異なる原料からなるポリエチレン積層フィルムを評価する場合、各表層と同じ原料を、両表層及び表層と直接接する内層に用いたポリエチレン積層フィルムのヘイズ値をそれぞれ測定し、得られるヘイズ値を比較して高い値をHaとする。また、Hbは、接している表層と異なる原料を表層と直接接する内層に用いたポリエチレン積層フィルムのヘイズ値を示す。
株式会社村上色彩技術研究所製 GLOSS METER GM−26Dを使用し、ASTM D523(2457)に準じて、入射角20°で測定した。測定したグロスは、フィルムの表面光沢性の評価に用いた。
グロス改良率は、表層及び表層と直接接する内層に同一の原料を用いて製膜したポリエチレン積層フィルムのグロス値を基準にして、表層と異なる原料を表層と直接接する内層に用いた場合のポリエチレン積層フィルムのグロス値を評価する。グロス改良率は次式で定義される。グロス値は、それぞれの表層面側から測定する。
グロス改良率(%)=(Gb−Ga)/Gb×100
Gaは、評価する面の表層と同じ原料を、表層及び表層と直接接する内層に用いたポリエチレン積層フィルムの、該表層面側のグロス値を示す。Gbは、評価するフィルムの面の表層と異なる原料を表層と直接接する内層に用いた場合の該表層面側のグロス値を示す。
同じポリエチレン積層フィルムを2つ用意し、ASTM D1893に準拠してフィルムの表層同士のブロッキングフォースを測定した。
ポリエチレン積層フィルムを用いて、オリエンテック(株)製引張試験機RTC−1310AにてJIS K−7127−1989に準拠した引張割線弾性率(規定ひずみ2%)測定を行った。フィルムの引取方向に対して平行方向を縦方向(MD方向)、垂直方向を横方向(TD方向)として、引張割線弾性率の平均値をコシの指標とした。
ポリエチレン積層フィルムを用い、ノルマルヘプタン(広島和光社製、特級)を溶媒として、ソックスレー抽出法により抽出率の評価を行った。評価方法は、ポリエチレン積層フィルム800cm2を円筒ろ紙中に仕込み、50℃の乾燥器中にて24時間乾燥させた後、円筒ろ紙およびポリエチレン積層フィルムをソックスレー抽出装置にセットし、還流回数25回/1時間にてソックスレー抽出を6時間行った。次に円筒ろ紙および積層フィルムを80℃、3時間減圧乾燥した後、以下の式にてノルマルヘプタン抽出率を求めた。
ノルマルヘプタン抽出率(%)=(抽出前の積層フィルム重量−抽出後の積層フィルム重量)/抽出前の積層フィルム重量×100
GPCから求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を分子量分布とした。GPC測定は、ウォーターズ社製GPCV2000を用い、カラムは昭和電工(株)製UT−807(1本)と東ソー(株)製GMHHR−H(S)HT(2本)を直列に接続して使用し、移動相トリクロロベンゼン(TCB)、カラム温度140℃、流量1.0ml/分、試料濃度20mg/15ml(TCB)、試料溶解温度140℃、試料溶解時間2時間の条件で行った。分子量の校正は、東ソー(株)製標準ポリスチレンのMwが1050〜206万の範囲の12点で行い、それぞれの標準ポリスチレンのMwに係数0.43を乗じてポリエチレン換算分子量とし、溶出時間とポリエチレン換算分子量のプロットから一次校正直線を作成し、分子量を決定した。
A1を両表層の共通原料として用い、表層と直接接する内層にB1を使用した。これらの原料を各押出機(表層1用、表層と直接接する内層用、表層2用)にて180℃に溶融させて3層用ダイスに導入し、空冷インフレーション成形を行い、厚さ20μmのポリエチレン積層フィルム(表層1/表層と直接接する内層/表層2=4/12/4μm)を得た。得られたポリエチレン積層フィルムの各種物性の評価結果を表3に示す。
実施例1と同じ原料構成として、原料を各押出機(表層1用、表層と直接接する内層用、表層2用)にて180℃に溶融させて3層用ダイスに導入し、空冷インフレーション成形を行い、厚さ60μmのポリエチレン積層フィルム(表層1/表層と直接接する内層/表層2=12/36/12μm)を得た。得られたポリエチレン積層フィルムの各種物性の評価結果を表3に示す。
表層と直接接する内層の原料をB2もしくはA2に変更した以外は実施例2と同様にしてポリエチレン積層フィルムを得た。得られたポリエチレン積層フィルムの各種物性の評価結果を表3に示す。
A2を両表層の共通原料として用い、表層と直接接する内層にB1を使用した以外は実施例2と同様にしてポリエチレン積層フィルムを得た。得られたポリエチレン積層フィルムの各種物性の評価結果を表3に示す。
A3を両表層の共通原料として用い、表層と直接接する内層にB1を使用した以外は実施例2と同様にしてポリエチレン積層フィルムを得た。得られたポリエチレン積層フィルムの各種物性の評価結果を表3に示す。
A1を表層2の原料、A2を表層1の原料として用い、表層と直接接する内層にB1を使用した以外は実施例2と同様にしてポリエチレン積層フィルムを得た。得られたポリエチレン積層フィルムの各種物性の評価結果を表3に示す。
A1を表層2の原料、A3を表層1の原料として用い、表層と直接接する内層にB1を使用した以外は実施例2と同様にしてポリエチレン積層フィルムを得た。得られたポリエチレン積層フィルムの各種物性の評価結果を表3に示す。
表4に記載の原料および層構成にて、実施例1と同様にして厚さ20μmの積層フィルム(表層1/表層と直接接する内層/表層2=4/12/4μm)を得た。得られたポリエチレン積層フィルムの各種物性の評価結果を表4に示す。
表4に記載の原料および層構成にて、実施例2と同様にして厚さ60μmの積層フィルム(表層1/表層と直接接する内層/表層2=12/36/12μm)を得た。得られたポリエチレン積層フィルムの各種物性の評価結果を表4に示す。
Claims (7)
- 少なくとも3つの層を有し、かつ下記(1)〜(6)の条件を満たすポリエチレン積層フィルム:
(1)両表層が、935〜968kg/m3の密度を有するポリエチレン樹脂組成物からなること、
(2)表層と直接接する内層のいずれもが、937〜970kg/m3の密度を有するポリエチレン樹脂組成物からなること、
(3)表層と直接接する内層を構成するポリエチレン樹脂組成物の密度が、その表層を構成するポリエチレン樹脂組成物の密度よりも2kg/m3以上高いこと、
(4)表層と直接接する内層を構成するポリエチレン樹脂組成物のMFRが、その表層を構成するポリエチレン樹脂組成物のMFRよりも0.2g/10分以上1.7g/10分以下低いこと、
(5)ポリエチレン積層フィルムのノルマルヘプタン抽出率が0.9wt%以下であること、及び
(6)両表層を構成するポリエチレン樹脂組成物が、メタロセン型触媒及び液体助触媒を用いて得られるエチレン重合体又はエチレンとα−オレフィンとの共重合体であること。 - 両表層のヘイズ改良率が40%以上である、請求項1に記載のポリエチレン積層フィルム。
- 両表層のグロス改良率が40%以上である、請求項1または2に記載のポリエチレン積層フィルム。
- 両表層を構成するポリエチレン樹脂組成物中のブロッキング防止剤、スリップ剤及び酸化防止剤の濃度がそれぞれ10ppm以下であり、かつ表層同士のブロッキングフォースが0.2g/cm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン積層フィルム。
- 表層と直接接する内層の厚さの合計が、フィルム全体の厚さの60〜80%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエチレン積層フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエチレン積層フィルムから形成された医薬品・医療品包装フィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエチレン積層フィルムから形成された電気・電子材料包装フィルム。
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