JP5019780B2 - 容器包装用エチレン系樹脂 - Google Patents
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Description
レン系樹脂を用いることで、上記の目的に適合することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
[1] メルトフローレートが0.1g/10分以上、50g/10分以下、密度が930kg/m 3 以上、975kg/m3以下、数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表される分子量分布が2以上、10以下、ヘキサン抽出率が0.7%以下であり、抽出された成分に含まれるビニル基濃度が5個/1000個の炭素以下であることを特徴とする容器包装用エチレン系樹脂、
[2]少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物および、シクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基とη結合したチタン化合物から調製されたメタロセン担持触媒[A]と、液体助触媒成分[B]を用いて、不活性溶媒中でスラリー重合することにより得られたものであることを特徴とする[1]記載の容器包装用エチレン系樹脂、
[3]紫外線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満であることを特徴とする[1]または[2]記載の容器包装用エチレン系樹脂、
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる食品・飲料用容器包装材料、
[6][1]〜[4]のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる医薬・医療用容器包装材料、
[7][1]〜[4]のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる電気・電子用容器包装材料、
である。
本発明のエチレン系樹脂は、メルトフローレート(以下、MFRと略す。)については、0.1g/10分以上、50g/10分以下であり、好ましくは0.3g/10分以上、20g/10分以下である。MFRが0.1g/10分未満ではメルトフラクチャーが発生しやすく成膜安定性に劣り好ましくない。一方、50g/分を超えると低温衝撃強度やヒートシール強度、耐熱ブロッキング性の低下度合いが大きい傾向になり好ましくない。密度については、925kg/m3以上、975kg/m3以下、好ましくは930kg/m3以上、970kg/m3以下である。密度が925kg/m3未満では、フィルムの耐熱性、耐熱ブロッキング性が不足する傾向にあり、また樹脂の低分子量成分等がブリードアウトしたりするなどのおそれがあり好ましくない。一方、975kg/m3を超えるとフィルムの低温衝撃強度や突き刺し強度が低下するという欠点があり好ましくない
。数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表される分子量分布については2以上、10以下であり、好ましくは3以上、7以下である。分子量分布が2未満では押出し性の低下やフィルム成膜時にメルトフラクチャーが発生しやすく好ましくない。一方、10を超えるとフィルムの透明性の低下や低分子量成分のブリードアウトなどの欠点があり好ましくない。ヘキサン抽出率については0.7%以下であり、好ましくは0.5%以下である。ヘキサン抽出率が0.7%を超えるエチレン系樹脂であると、フィルムの紫外線照射、放射線照射を含む殺菌、滅菌処理後において分解生成物による揮発性有機化合物や臭気の発生が多くなり好ましくない。また、ヘキサン抽出成分に含まれるビニル基濃度については5個/1000個の炭素以下(詳しくは抽出成分中に含まれるトランスビニル基、末端ビニル基、ビニリデン基の総数を示し、以下ビニル基濃度と略す。また、以後炭素原子1000個に含まれるビニル基濃度を個/1000(C)と表す。)であり、好ましくは4個/1000(C)以下である。ビニル基濃度が5個/1000(C)を超えるとフィルムの紫外線照射、放射線照射を含む殺菌、滅菌処理後において分解生成物による揮発性有機化合物や臭気の発生、変色などの欠点があり好ましくない。紫外線照射は食品・飲料包材等の殺菌などに用いられ、例えば100〜400nmの波長の紫外線を、基材に照射することにより行われる。紫外線照射雰囲気下は大気下であってもよく、また、不活性ガス(例えば窒素)雰囲気下であってもよい。また、紫外線の連続式照射又はバッチ式照射のいずれを用いてもよい。放射線照射は医療・医薬包材等の滅菌などに用いられ、例えばコバルト60やセシウム137等によるγ線や電子線、X線を用いることができ、これらの連続式照射又はバッチ式照射のいずれを用いてもよい。
重合法は公知の各種方法を使用でき、例えば、不活性ガス中での流動床式気相重合或いは拡販式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などがあげられるが、不活性溶媒中でのスラリー重合が好ましい。
該重合法において用いられるメタロセン担持触媒とは、(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該
環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒を用いるのが好ましい。特に(ウ)の環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物中の遷移金属はチタニウムが好ましい。
上記担体物質は必要に応じて(イ)有機アルミニウム化合物で処理される。好ましい有機アルミニウム化合物としては、一般式(−Al(R)O−)nで示される直鎖状、あるいは環状重合体(Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/またはRO基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。)等が挙げられ、具体例としてRがメチル基、エチル基、イソブチルエチル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルエチルアルモキサン等があげられる。
その他の有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキメチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライドなどのセスキアルキルハロゲノアルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドなどをあげることができる。これらの中で最も好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドである。
担持触媒は例えば下記式(1)で示される(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物を含む。
又Lは環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立にシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、またはオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビ基、ヒドロカルビオルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8の置換基を任意に有していてもよく、さらには2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、ジラジイル、ハロシラジイル、アミノシランなどの2価の置換基により結合されていてもよい。
X'は各々独立に炭素数4乃至40からなるフォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び/又は共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。
又、lは1または2の整数である。pは0、1又は2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子又はM及びLに各々1個ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl以上少なく、またはXがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl+1以上少ない。又qは0、1または2である。遷移金属化合物としては上記式(4)でl=1の場合が好ましい。
また、R3は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロ
ゲン、又はこれらの複合機であり、各々20までの非水素原子を有することができる。又近接するR3同士がヒドロカルバジイル、ジラジイル、またはゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
Yは−O−、−S−、−NR*−、−PR*−であり、ZはSiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2、CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2SiR* 2またはGeR* 2であり、ここでR*は各々独立に炭素数1乃至12のアルキル基又はアリール基である。又、nは1乃至3の整数である。
Z、Y、X及びX'の定義は前出のとおりである。pは0,1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXはハロゲン
、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基またはこれらの複合基であり、20までの非水素原子を有している。
またpが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX'は中性の共役或いは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素で置換されていてもよく、又該X'は40までの炭素原子を含み得るものであり、Mとπ型錯体を形成している。
の複合基である。該R*は20までの非水素原子を有することができ、又必要に応じてZ*中の2つのR*同士またはZ*中のR*とY中のR*が環状となっていてもよい。
またpが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、或いはMの酸化数が+4でありかつXが2−ブテン−1,4−ジイルである。
またpが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX'は1,4−ジフェニル−1、3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
また、メタロセン触媒は(エ)遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤を含む。通常メタロセン触媒においては、遷移金属化合物と上記活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。
又mは1乃至7の整数であり、wは0乃至7の整数でありuは0または1の整数であり、rは1乃至3の整数であり、zは1乃至8の整数であり、w+z−m=dである。
活性化剤のさらに好ましい例は下記式(9)で定義される化合物である。
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンの具体例としては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHRで置き換えられたボレートがあげられる。ここでRは好ましくはメチル基、エチル基またはtert−ブチル基である。
(M1)a(Mg)b(R4)c(R5)d (10)
〔式中、M1は周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、R4およびR5は炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、a、b、c、dは次の関係を満たす実数である。0≦a、0<b、0≦c、0≦d、c+d>0、e×a+2b=c+d(ただし、eはM1
の原子価)〕
本発明において、液体助触媒成分[B]は不純物のスカベンジャーとして用いられる。この液体助触媒成分[B]は、高濃度であっても重合活性を低下させることが少なく、したがって広い濃度範囲で高い重合活性を発現させることができる。このため液体助触媒成分[B]を含むオレフィン重合用触媒は、重合活性の制御が容易である。
有機マグネシウム化合物[C1]は上記の(10)式で表される。なお、上記の(10)式中では炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、(R4)2Mgおよびこれらと他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号a、b、c、dの関係式e×a+2b=c+dは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
a>0の場合、金属原子M1としては、周期律表第1〜3族からなる群に属する金属元素が使用でき、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。
、(b)、(c)のいずれか一つであることがさらに好ましい。
(a)R4、R5の少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR4、R5がともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(b)R4、R5が炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR4が炭素原子数2または3のアルキル基であり、R5が炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(c)R4、R5の少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR4、R5が共に炭素原子数6以上のアルキル基であること。
一般にアルキル基の炭素原子数を増やすと炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘性が高くなる傾向であり、必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は炭化水素溶液として用いられるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のコンプレックス化剤がわずかに含有されあるいは残存していても差し支えなく用いることができる。
この化合物はアミン、アルコール、シロキサン化合物からなる群に属する化合物である。
本発明においては、アミン化合物には特に制限はないが、脂肪族、脂環式ないし芳香族アミンが好ましい。具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N、N−ジメチルアニリン、トルイジン、等が挙げられる。
本発明においては、このシロキサン化合物は1種類または2種類以上の構成単位から成る2量体以上の鎖状または環状の化合物の形で用いることができる。
合反応ピーク温度、150〜350MPaの重合圧力にすることが望ましい。
放射線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満である。好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.6未満である。揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0以上であると臭気が発生するといった欠点があるため好ましくない。
シーラント層と積層される層の材質として、セロハン、エチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、PP樹脂、CPP樹脂、PET樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ビニルアルコール樹脂、エバール樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、カーボネート樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン・メチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン・エチルアクリレート樹脂およびこれらのKコートタイプ、アルミニウム蒸着、シリカ蒸着タイプ、アルミナ蒸着タイプ、さらには上質紙、クラフト紙、グラシン紙、パーチメント紙等の各種紙類、アルミ箔等が挙げられるが、それぞれ単独でシーラント層と積層してもよいし、2種以上を併用して積層しても構わない。積層方法はドライラミネーション法、押出しラミネーション法、ウェットラミネーション法、ホットメルトラミネーション法、共押出インフレーション成形法、共押出キャスト成形法などの公知の方法を採用することができる。尚、シーラント層をあらかじめフィルム状にして積層する場合はインフレーション成形法やキャスト成形法によって得られるフィルムを用いることができる。
本発明の包装材料は水、ジュース、牛乳、清酒・焼酎などの酒類等の各種飲料、米飯類、ならびに調理食品、調理中間品、菓子・パン、農産類、畜産類、水産類、練り製品、水物、油物等の各種食品、チルド食品、レトルト食品、冷凍食品、調味料、医薬・医療用品、農薬類等の包装に好適に用いられる。
[エチレン系樹脂の造粒]
エチレン系樹脂は、日本製鋼(株)社製押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、200℃にて押出して造粒する(以後造粒物をペレットと表記する)。
[エチレン系樹脂フィルムの製法]
造粒したエチレン系樹脂を100φ−ギャップ3.0mmのダイスおよびデュアルタイプのエアリングを備えた50mmφ押出機で、温度170℃、ブロー比2で、厚みが0.06mmの単層インフレーション成形フィルムを得る。
物性測定方法、評価方法は以下の通りである。
(1)メルトマスフローレイト(MFR)
JIS K7210:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)
(2)密度
JIS K7112:1999
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を分子量分布とする。GPC測定は、ウォーターズ社製GPCV2000を用い、カラムは昭和電工(株)製UT−807(1本)と東ソー(株)製GMHHR−H(S)HT(2本)を直列に接続して使用し、移動相トリクロロベンゼン(TCB)、カラム温度140℃、流量1.0ml/分、試料濃度20mg/15ml(TCB)、試料溶解温度140℃、試料溶解時間2時間の条件で行う。分子量の校正は、東ソー(株)製標準ポリスチレンのMwが1050〜206万の範囲の12点で行い、それぞれの標準ポリスチレンのMwに係数0.43を乗じてポリエチレン換算分子量とし、溶出時間とポリエチレン換算分子量のプロットから一次校正直線を作成し、分子量を決定する。
上記エチレン系樹脂ペレットを用いて、ヘキサン溶媒中でソックスレー抽出法により行う。50℃の乾燥器にて円筒ろ紙に入れたポリエチレン系樹脂ペレット5gを24時間乾燥させた後、還流回数が25回/1時間になるようにソックスレー抽出を6時間行う。ついで80℃で3時間円筒ろ紙を減圧乾燥した後、下記(12)式によりヘキサン抽出率を求める。
ヘキサン抽出率(%)=(抽出前のエチレン系樹脂の重量−抽出後のエチレン系樹脂
の重量)÷抽出前のエチレン系樹脂の重量×100 (12)
ヘキサン抽出成分のビニル基濃度測定は、上記ヘキサン抽出成分を東立電機(株)製冷却プレス機にて、圧力100kg/cm2で5分冷却プレスを行うことによってプレスシートを作成し、赤外吸収スペクトル(IR)を日本分光(株)社製FT/IR−4200装置を用いて測定する。ビニル基濃度の定量は、トランスビニル基:964cm−1、末端ビニル基:908cm−1、ビニリデン基:888cm−1のピーク吸光度より下記式
(13)〜(15)を用いて算出される値の合計値から求められる。
トランスビニル基{個/1000(C)} =(1.11×A)/L (13)
末端ビニル基{個/1000(C)}=(1.12×A)/L (14)
ビニリデン基{個/1000(C)}
=(1.36×A)/L−0.0069×(メチル基個数) (15)
ここで、Aは吸光度、Lはシート厚(mm)である。
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、ゲルを以下の評価基準で目視評価する(ゲルのサイズは0.2mm以上のサイズをカウントし、単位は個数/gで評価する)。ゲル個数が0個/g以上50個/g未満であればゲルが少ないと評価し、50個/g以上200個/g未満であればゲルが多いと評価する。一方で200個/g以上であればゲルが非常に多いと評価する。
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、100℃から順次10℃ずつ温度を変えて圧力=0.2MPa、時間=1秒の条件でシールし、15mm幅で切り出したものをサンプルとして、引張速度500mm/分で引張試験を行う。シール温度に対してシール強度をプロットし、シール強度が平衡に達した温度より10℃高温のシール強度をヒートシール性とする。ヒートシール強度が20N/15mm以上であれば、ヒートシール性が良好と評価するし、一方でそれ未満であれば不良と評価する。
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、TD方向およびMD方向の引張破断強度を測定し、引張破断強度がそれぞれ30MPaを超える場合は引張破断強度良好と評価し、一方で、引張破断強度が30MPa未満の場合は引張破断強度不良と評価する。
試験方法:JIS Z−1702
サンプル:上記インフレーション成形サンプル、JIS1号ダンベル
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、1mol/Lの濃度の食塩水を2L充填した内寸23cm×30cmの四方シール袋を作製する。ついで−5℃で一昼夜冷却した後、その温度条件下で100cmの高さから該シール袋を10袋落下させ、破袋率を調べる。破袋率が50%未満なら低温衝撃強度が良好とするし、一方でそれ以上なら不良と評価する。
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、サンプル前処理条件でブロッキングフォースを測定し、ブロッキングフォースが1g以下であれば耐熱ブロッキング性良好と評価し、一方で、ブロッキングフォースが1gを超える場合は耐熱ブロッキング性不良と評価する。
試験方法:ASTM D−1893
サンプル:上記インフレーション成形フィルム、サイズ=20cm×25cm
前処理条件:荷重25kgを加えながら、50℃×24hr熱処理、ついで23℃、
50%RHで24hr放冷
上記インフレーションフィルムサンプルを50mmφの大きさで固定し、先端が5Rの圧子を100mm/分の速度で押し付けて突き刺し強度を測定する。
突き刺し強度が100N以上ならば良好とするし、一方でそれ未満なら不良と評価する。
(12)紫外線照射条件
上記インフレーションフィルムを用いて内寸20cm×25cmの四方シール袋を作成する。ついでスペクトロニクス社製紫外線照射装置CC−80内にて、紫外線照射源であるENF−260C/Jを用いて254nmの紫外線をトータル照射量が1000mWになるように照射する。評価は紫外線照射前後における変色性の測定(14)、揮発性有機化合物相対含有量測定(15)、臭気測定(16)により行う。
上記インフレーションフィルムを用いて内寸20cm×25cmの四方シール袋を作成する。ついでNORDION社製滅菌用放射線照射装置JS−9500にて、コバルト60密封線源によるトータル照射線量が15キログレイになるように照射する。評価は放射線照射前後における耐変色性の測定(14)、揮発性有機化合物相対含有量測定(15)、臭気測定(16)により行う。
上記のインフレーション成形で得られるフィルムサンプルおよび、紫外線照射、放射線照射フィルムサンプルを0.96mmになるように重ね合わせ、日本電飾社工業社製Spectro Color Meter SE2000を用いてb値を測定する。紫外線照射及び放射線照射前のフィルムサンプルのb値と紫外線及び放射線照射後のb値との差(以下、Δbと表記する。)が1.0未満であるものを耐変色性良好と評価し、一方で、Δbが1.0以上なら不良と評価する。
上記のインフレーション成形で得られるフィルムサンプルおよび、紫外線照射、放射線照射フィルムサンプルの無極性成分および、極性成分の揮発性有機化合物相対含有量を、ヘッドスペースガスクロマトグラフ法(以下、HS−GCと表記する。)により測定する。サンプルは密閉可能な20ccのバイアル瓶の中に、上記インフレーション成形フィルム、紫外線照射後フィルム、放射線照射後フィルムの片面の表面積が400cm2になるようにカットして調製する。ヘッドスペース(以下、HSと表記する。)サンプラーにパーキンエルマー社製のHS−40、ガスクロマトグラフに島津製作所のGC−9Aを使用し、HSのサンプルを100℃、サイクルタイムを60分、ニードル温度を180℃、無極性カラムとしてメチルシリコンの膜厚が0.5μmで内径が0.32mmである25mのキャピラリーカラム、極性カラムとしてポリエチレングリコールの膜厚が0.5μmで内径が0.32mmである50mのキャピラリーカラムを使用する。無極性カラム温度は70℃で15分間保持した後、10℃/分のスピードで200℃まで昇温し、5分間保温する。極性カラムは45℃で10分間保持し、10℃/分のスピードで160℃まで昇温して1分間保温した後、5℃/分のスピードで220℃まで昇温し、6分間保温する。無極性カラムのキャリアーガスに30ミリリットル/分の流量、100kPaに調整した窒素ガス、極性カラムのキャリアーガスに30ミリリットル/分の流量、80kPaに調整したヘリウムガス、検出器にFIDを使用して行う。
また、紫外線照射後、放射線照射後のサンプルにおいて、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比を算出する。揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満のものを、照射による分解が少ないと評価し、一方で、揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0以上であれば照射による分解が多いと評価する。
上記のインフレーション成形で得られるフィルムサンプルおよび、紫外線照射、放射線照射フィルムサンプルの臭気を10人のパネラーによって官能試験により評価する。官能試験は密閉可能な500ccの臭気瓶の中に、上記のインフレーション成形で得られるフィルムサンプルおよび、紫外線照射、放射線照射フィルムサンプルを片面の表面積が500cm2になるようにカットして調整し、密閉状態で、50℃で30分加熱後、23℃で30分冷却し、臭気瓶の臭いを評価する。処理前後の臭気がほとんど変わらないという判定が8人以上のパネラーから得られれば、低臭性に優れると評価するし、一方でそれ未満なら不良と評価する。
[メタロセン担持触媒[A]の調製]
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiO2であった。容量1.8Lオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800ml中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1M)を60ml加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[D]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800mlを得た。
ボレートを含むこの反応混合物46mlを、上で得られた、成分[D]のスラリー800mlに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した
。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上で得られた成分[E]のうち32mlを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン担持触媒[A]を得た。
有機マグネシウム化合物[C1]として、AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[C2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200mlのフラスコに、ヘキサン40mlとAlMg6(C2H5)3(n−C4H9)12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mlを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[B]を調製した。
上記により得られたメタロセン担持触媒[A]と液体助触媒成分[B]は触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてヘキサン、モノマーとしてエチレン及びブテン−1を用いた。反応温度は70℃としてエチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.36%、水素とエチレン+水素のモル比が0.0025%を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaでエチレン系樹脂を重合した。得られたエチレン系樹脂はMFRが2.5g/10分、密度が941kg/m3、分子量分布が4.8であり、日本製鋼(株)社製押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、200℃にて押出して造粒した。また、得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表1に併せて示した。
混合ガス中のエチレン、ブテン−1および水素の混合ガス組成を変えたこと以外は、実施例1と同様に操作し、表1記載のエチレン系樹脂を得た。得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表1に併せて示した。
(比較例1)
液体助触媒成分[B]を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に操作し、表2記載のエチレン系樹脂を得た。得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表2に併せて示した。
[チーグラー触媒による高密度ポリエチレン系樹脂の製法]
充分に窒素置換された15リットルの反応器に、トリクロルシランを2モル/リットルのn−ヘプタン溶液として3リットル仕込み、攪拌しながら65℃に保ち、組成式AlMg6(C2H5)3(n−C4H9)6.4(On−C4H9)5.6で示される有機マグネシウム成分のn−ヘプタン溶液7リットル(マグネシウム換算で5モル)を1時間かけて加え、更に65℃にて1時間攪拌下反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、n−ヘキサン7リットルで4回洗浄を行い、固体物質スラリーを得た。この固体を分離・乾燥して分析した結果、固体1グラム当たり、Mg 7.45ミリモルを含有していた。
ットルを攪拌下加えて1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで2回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットルおよび四塩化チタン1モル/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットルを加えて、2時間反応した。反応終了後上澄みを除去し、固体触媒を単離し、遊離のハロゲンが検出されなくなるまでヘキサンで洗浄した。この固体触媒は2.3重量%のチタンを有していた。
単段重合プロセスにおいて、容積230Lの重合器で重合した。重合温度は86℃、重合圧力は0.98MPaである。この重合器に合成したチーグラー触媒を0.3g/hrの速度で、トリイソブチルアルミニウムを15ミリモル/hr、ヘキサンは60リットル/hrの速度で導入した。これに、エチレン、水素、ブテン−1の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が5.16%、水素とエチレン+水素のモル比が23.5%を維持できるように調節)を導入して重合した。得られたエチレン系樹脂はMFRが1.9g/10分、密度が943kg/m3、分子量分布が9.2であり、ステアリン酸カルシウムを1000ppm添加して、日本製鋼(株)社製押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、200℃にて押出して造粒した。得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表2に併せて示した。
(比較例3〜5)
混合ガス中のエチレン、ブテン−1および水素の混合ガス組成を変えたこと以外は、比較例2と同様に操作し、表2記載のエチレン系樹脂を得た。得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表2に併せて示した。
Claims (7)
- メルトフローレートが0.1g/10分以上、50g/10分以下、密度が930kg/m 3 以上、975kg/m3以下、数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表される分子量分布が2以上、10以下、ヘキサン抽出率が0.7%以下であり、抽出された成分に含まれるビニル基濃度が5個/1000個の炭素以下であることを特徴とする容器包装用エチレン系樹脂。
- 少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物および、シクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基とη結合したチタン化合物から調製されたメタロセン担持触媒[A]と、液体助触媒成分[B]を用いて、不活性溶媒中でスラリー重合することにより得られたものであることを特徴とする請求項1記載の容器包装用エチレン系樹脂。
- 紫外線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満であることを特徴とする請求項1または2記載の容器包装用エチレン系樹脂。
- 放射線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満であることを特徴とする請求項1または2記載の容器包装用エチレン系樹脂。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる食品・飲料用容器包装材料。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる医薬・医療用容器包装材料。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる電気・電子用容器包装材料。
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