JP5019780B2 - 容器包装用エチレン系樹脂 - Google Patents

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本発明は、エチレン系樹脂に関するものである。詳しくは、ヒートシール性、引張破断強度、低温衝撃強度などが良好で、耐熱ブロッキング性、突き刺し強度に優れ、しかも紫外線照射、放射線照射を含む殺菌、滅菌処理後において、分解生成物による揮発性有機化合物の発生、臭気の発生が極めて少なく、処理前後の耐変色性、低臭性に優れた食品・飲料、医薬・医療、電気・電子等の各種包装材料に好適に用いられるエチレン系樹脂に関するものである。
エチレン系樹脂は適度な柔軟性をもち、強度、透明性、ヒートシール性、防湿性、耐薬品性、低温衝撃強度等に優れているため、食品・飲料、医薬・医療、電気・電子等の各種包装材料に広く使用されている。そのような中で、近年は耐熱ブロッキング性や低臭・低味といった特性がシーラント層に使用されるエチレン系樹脂に要求されるようになってきている。また、安全面、衛生面においても、紫外線や放射線などの活性エネルギーを照射してポリエチレンフィルムの殺菌、滅菌を行えるフィルムが望まれている。
しかし、通常のポリエチレンフィルムでは紫外線や放射線などの活性エネルギー照射によって不飽和結合部などが分解されたり、ポリエチレンそのものが分解されることによって揮発性有機化合物の発生や異臭の発生、劣化によるフィルムの着色などが問題となるケースがほとんどである。このような照射臭、照射劣化を防止する方法としては、例えば特許文献1のように包装袋内にガス吸着剤を封入する方法。また、特許文献2のように水酸化カルシウムのような無機酸化物をポリエチレン系樹脂に配合する方法。また、特許文献3のように酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色防止剤などの照射劣化防止剤をポリエチレン系樹脂に配合する方法などが開示されている。しかし、これらの方法はいずれも照射臭の抑制が十分ではなく、ガス吸着剤が高価で、取扱の煩雑さなどのため、工業的にも商業的にも実用性に欠けるという問題や、食品用途、医療用途では、用いた添加物が人体に悪影響を及ぼすという問題が残されたままである。
特開昭60−176659号公報 特開昭60−181147号公報 特開平8−337692号公報
本発明は、上記のような状況を鑑みてなされたものであって、ヒートシール性、引張破断強度、低温衝撃強度などが良好で、耐熱ブロッキング性、突き刺し強度に優れ、しかも紫外線照射、放射線照射を含む殺菌、滅菌処理後において、分解生成物による揮発性有機化合物の発生、臭気の発生が極めて少なく、処理前後の耐変色性、低臭性に優れた食品・飲料、医薬・医療、電気・電子等の各種包装材料に好適に用いられるエチレン系樹脂を提供することを目的とするものである。
本発明者は、ヒートシール性、引張破断強度、低温衝撃強度などが良好で、耐熱ブロッキング性、突き刺し強度に優れ、しかも紫外線照射、放射線照射を含む殺菌、滅菌処理後において、分解生成物による揮発性有機化合物の発生、臭気の発生が極めて少なく、処理前後の耐変色性、低臭性に優れた食品・飲料、医薬・医療、電気・電子等の各種包装材料に好適に用いられるエチレン系樹脂を開発するために鋭意研究を重ねた結果、特定のエチ
レン系樹脂を用いることで、上記の目的に適合することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] メルトフローレートが0.1g/10分以上、50g/10分以下、密度が930kg/m 3 以上、975kg/m3以下、数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表される分子量分布が2以上、10以下、ヘキサン抽出率が0.7%以下であり、抽出された成分に含まれるビニル基濃度が5個/1000個の炭素以下であることを特徴とする容器包装用エチレン系樹脂、
[2]少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物および、シクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基とη結合したチタン化合物から調製されたメタロセン担持触媒[A]と、液体助触媒成分[B]を用いて、不活性溶媒中でスラリー重合することにより得られたものであることを特徴とする[1]記載の容器包装用エチレン系樹脂、
[3]紫外線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満であることを特徴とする[1]または[2]記載の容器包装用エチレン系樹脂
[4]放射線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満であることを特徴とする[1]または[2]記載の容器包装用エチレン系樹脂
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる食品・飲料用容器包装材料、
[6][1]〜[4]のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる医薬・医療用容器包装材料、
[7][1]〜[4]のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる電気・電子用容器包装材料、
である。
本発明によれば、ヒートシール性、引張破断強度、低温衝撃強度などが良好で、耐熱ブロッキング性、突き刺し強度に優れ、しかも紫外線照射、放射線照射を含む殺菌、滅菌処理後において、分解生成物による揮発性有機化合物の発生、臭気の発生が極めて少なく、処理前後の耐変色性、低臭性に優れた食品・飲料、医薬・医療、電気・電子等の各種包装材料に好適に用いられるエチレン系樹脂を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のエチレン系樹脂は、メルトフローレート(以下、MFRと略す。)については、0.1g/10分以上、50g/10分以下であり、好ましくは0.3g/10分以上、20g/10分以下である。MFRが0.1g/10分未満ではメルトフラクチャーが発生しやすく成膜安定性に劣り好ましくない。一方、50g/分を超えると低温衝撃強度やヒートシール強度、耐熱ブロッキング性の低下度合いが大きい傾向になり好ましくない。密度については、925kg/m以上、975kg/m以下、好ましくは930kg/m以上、970kg/m以下である。密度が925kg/m未満では、フィルムの耐熱性、耐熱ブロッキング性が不足する傾向にあり、また樹脂の低分子量成分等がブリードアウトしたりするなどのおそれがあり好ましくない。一方、975kg/mを超えるとフィルムの低温衝撃強度や突き刺し強度が低下するという欠点があり好ましくない
。数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表される分子量分布については2以上、10以下であり、好ましくは3以上、7以下である。分子量分布が2未満では押出し性の低下やフィルム成膜時にメルトフラクチャーが発生しやすく好ましくない。一方、10を超えるとフィルムの透明性の低下や低分子量成分のブリードアウトなどの欠点があり好ましくない。ヘキサン抽出率については0.7%以下であり、好ましくは0.5%以下である。ヘキサン抽出率が0.7%を超えるエチレン系樹脂であると、フィルムの紫外線照射、放射線照射を含む殺菌、滅菌処理後において分解生成物による揮発性有機化合物や臭気の発生が多くなり好ましくない。また、ヘキサン抽出成分に含まれるビニル基濃度については5個/1000個の炭素以下(詳しくは抽出成分中に含まれるトランスビニル基、末端ビニル基、ビニリデン基の総数を示し、以下ビニル基濃度と略す。また、以後炭素原子1000個に含まれるビニル基濃度を個/1000(C)と表す。)であり、好ましくは4個/1000(C)以下である。ビニル基濃度が5個/1000(C)を超えるとフィルムの紫外線照射、放射線照射を含む殺菌、滅菌処理後において分解生成物による揮発性有機化合物や臭気の発生、変色などの欠点があり好ましくない。紫外線照射は食品・飲料包材等の殺菌などに用いられ、例えば100〜400nmの波長の紫外線を、基材に照射することにより行われる。紫外線照射雰囲気下は大気下であってもよく、また、不活性ガス(例えば窒素)雰囲気下であってもよい。また、紫外線の連続式照射又はバッチ式照射のいずれを用いてもよい。放射線照射は医療・医薬包材等の滅菌などに用いられ、例えばコバルト60やセシウム137等によるγ線や電子線、X線を用いることができ、これらの連続式照射又はバッチ式照射のいずれを用いてもよい。
本発明のエチレン系樹脂は、揮発性有機化合物や臭気の発生、変色性改良効果の観点、および耐熱ブロッキング性、突き刺し強度、ヒートシール性、引張破断強度、低温衝撃強度の観点からMFR、密度、分子量分布、ヘキサン抽出率、ヘキサン抽出成分のビニル基濃度は、上記範囲であることが必要である。特にヘキサン抽出率、ヘキサン抽出成分のビニル基濃度は紫外線照射、放射線照射を含む殺菌、滅菌処理時の分解による揮発性有機化合物や臭気の発生、変色を抑制するといった観点から上記範囲であることが必要である。
本発明のエチレン系樹脂は、メタロセン担持触媒[A]を予め水素と接触させた後、液体助触媒成分[B]と共に重合反応器へ導入し、エチレン単独の重合あるいはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合を行うことによって得ることができる。
重合法は公知の各種方法を使用でき、例えば、不活性ガス中での流動床式気相重合或いは拡販式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などがあげられるが、不活性溶媒中でのスラリー重合が好ましい。
本発明のエチレン系樹脂はエチレン単独からなる重合体であってもエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなる共重合体であってもよく、エチレンと共重合させる炭素数3〜20のα−オレフィンとしてはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1、3−メチル−ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、6−メチル−ヘプテン−1などが挙げられ、その共重合割合は、α−オレフィンとエチレンとのモル比が0.001%以上、1.0%以下、好ましくは0.2%以上、0.7%以下である。また、これらを2種類以上、任意の比率でドライブレンド、あるいはメルトブレンドしたものであってもよい。
次に、本発明のエチレン系樹脂の製造方法について説明する。また、本発明のエチレン系樹脂は、以下に記載するメタロセン担持触媒[A]および液体助触媒成分[B]からなるオレフィン重合用触媒を使用することが好ましい。
該重合法において用いられるメタロセン担持触媒とは、(ア)担体物質、(イ)有機アルミニウム、(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物、及び(エ)該
環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤から調製されたメタロセン担持触媒を用いるのが好ましい。特に(ウ)の環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物中の遷移金属はチタニウムが好ましい。
次に、本発明におけるメタロセン担持触媒[A]の調製方法について説明する。担体物質(ア)としては、有機担体、無機担体のいずれでもよい。有機担体としては、好ましくは(1)炭素数2〜20のα−オレフィンの重合体例えばエチレン樹脂や、プロピレン樹脂、ブテン−1樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体樹脂、プロピレン−ブテン−1共重合体樹脂、エチレン−ヘキセン−1共重合体等、(2)芳香族不飽和炭化水素共重合体、例えばスチレン樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂等、および(3)極性基含有重合体樹脂、例えばアクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、カーボネート樹脂等である。無機担体としては(4)無機酸化物例えば、SiO、Al、MgO,TiO 、B、CaO、ZnO、BaO、ThO,SiO−MgO、SiO−Al、SiO−MgO、SiO−Vなど、(5)無機ハロゲン化合物、例えばMgCl、AlCl,MnCl等、(6)無機の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、例えば、NaCO,KCO、CaCO、MgCO、Al(SO、BaSO、KNO、Mg(NO等、(7)水酸化物、例えばMg(OH)、Al(OH)、Ca(OH)等が例示される。最も好ましい担体はSiOである。
担体の粒子径は任意であるが、一般的には1μm〜3000μm、粒子の分散性の見地から、粒子形分布は好ましくは10〜1000μmの範囲内である。
上記担体物質は必要に応じて(イ)有機アルミニウム化合物で処理される。好ましい有機アルミニウム化合物としては、一般式(−Al(R)O−)nで示される直鎖状、あるいは環状重合体(Rは炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/またはRO基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。)等が挙げられ、具体例としてRがメチル基、エチル基、イソブチルエチル基である、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルエチルアルモキサン等があげられる。
更にその他の有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキアルキルハロゲノアルミニウム、アルメニルアルミニウム、ジアルキルハイドロアルミニウム、セスキアルキルハイドロアルミニウムなどがあげられる。
その他の有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライドなどのジアルキルハロゲノアルミニウム、セスキメチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライドなどのセスキアルキルハロゲノアルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドなどをあげることができる。これらの中で最も好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドである。
担持触媒は例えば下記式(1)で示される(ウ)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物を含む。
Figure 0005019780
式中Mは1つ以上の配位子Lとη結合をしている酸化数+2、+3、+4の長周期型周期律表第4族遷移金属であり、特に遷移金属はチタニウムが好ましい。
又Lは環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立にシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、またはオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビ基、ヒドロカルビオルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1〜8の置換基を任意に有していてもよく、さらには2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、ジラジイル、ハロシラジイル、アミノシランなどの2価の置換基により結合されていてもよい。
Xは各々独立に、60までの非水素原子を有する、l価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、またはM及びLに各々l個ずつの価数で結合する2価のアニオンσ結合型配位子である。
X'は各々独立に炭素数4乃至40からなるフォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び/又は共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。
又、lは1または2の整数である。pは0、1又は2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子又はM及びLに各々1個ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl以上少なく、またはXがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子であるときpはMの形式酸化数よりもl+1以上少ない。又qは0、1または2である。遷移金属化合物としては上記式(4)でl=1の場合が好ましい。
例えば、遷移金属化合物の好適な例は、下記式(2)で表される。
Figure 0005019780
式中Mは形式酸化数+2、+3又は+4のチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムであり、特にチタニウムが好ましい。
また、Rは各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロ
ゲン、又はこれらの複合機であり、各々20までの非水素原子を有することができる。又近接するR同士がヒドロカルバジイル、ジラジイル、またはゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
X"は各々独立にハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、またはシリル基であり、各々20までの非水素原子を有しており、また2つのX"が炭素数5乃至30の中性共役ジエン、もしくは2価の誘導体を形成してもよい。
Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−であり、ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR またはGeR であり、ここでRは各々独立に炭素数1乃至12のアルキル基又はアリール基である。又、nは1乃至3の整数である。
さらに、遷移金属化合物として、より好適な例は、下記式(3)および下記式(4)で表される。
Figure 0005019780
Figure 0005019780
式中Rは各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、又はこれらの複合機であり、各々20までの非水素原子を有することができる。また、遷移金属Mはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、チタニウムが好ましい。
Z、Y、X及びX'の定義は前出のとおりである。pは0,1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXはハロゲン
、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基またはこれらの複合基であり、20までの非水素原子を有している。
またpが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXはアリル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基または2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配位子であるか、もしくはMの酸化数が+4であり、かつXが2価の共役ジエンの誘導体であるか、あるいはMとXがともにメタロシクロペンテン基を形成している。
またpが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX'は中性の共役或いは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素で置換されていてもよく、又該X'は40までの炭素原子を含み得るものであり、Mとπ型錯体を形成している。
さらに、本発明において、遷移金属化合物として最も好適な例は、下記式(5)及び下記式(6)で表される。
Figure 0005019780
Figure 0005019780
式中Rは各々独立に、水素または炭素数1乃至6のアルキル基である。又Mはチタニウムであり、Yは−O−、−S−、−NR−、−PR−であり、ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiRまたはGeR であり、ここでRは各々独立に水素、或いは炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基またはこれら
の複合基である。該R*は20までの非水素原子を有することができ、又必要に応じてZ中の2つのR同士またはZ中のRとY中のRが環状となっていてもよい。
pは0,1又は2であり、qは0又は1である。但し、pが2でqが0のとき、Mの酸化数は+4であり、且つXは各々独立にメチル基またはヒドロベンジル基である。
またpが1でqが0のとき、Mの酸化数は+3であり、且つXが2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基であるか、或いはMの酸化数が+4でありかつXが2−ブテン−1,4−ジイルである。
またpが0でqが1のとき、Mの酸化数は+2であり、且つX'は1,4−ジフェニル−1、3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
また、メタロセン触媒は(エ)遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤を含む。通常メタロセン触媒においては、遷移金属化合物と上記活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。
活性化剤としては例えば、下記式(7)で定義される化合物があげられる。
Figure 0005019780
但し式中[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また[Mtd−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属またはメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。又mは1乃至7の整数であり、pは2乃至14の整数であり、dは1乃至7の整数であり、t−m=dである。
活性化剤のより好ましい例は下記式(8)で定義される化合物である。
Figure 0005019780
但し式中[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また[M(Gu(T−H)d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属またはメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。又GはM及びTと結合するr+1の価数を持多価炭化水素基であり、TはO、S、NRまたはPRであり、ここでRはヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、もしくは水素である。
又mは1乃至7の整数であり、wは0乃至7の整数でありuは0または1の整数であり、rは1乃至3の整数であり、zは1乃至8の整数であり、w+z−m=dである。
活性化剤のさらに好ましい例は下記式(9)で定義される化合物である。
Figure 0005019780
但し式中[L−H]d+はプロトン付与のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また[BQは相溶性の非配位性アニオンであり、Bはホウ素原子、Qはペンタフルオロフェニル基であり、Qは置換基としてOH基を1つ有する炭素数6乃至20の置換アリール基である。
非配位性アニオンの具体例としては、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)フェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジ-トリフルオロメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル、)(4−(4‘−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレート等があげられ、最も好ましいのは、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートである。
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンの具体例としては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHRで置き換えられたボレートがあげられる。ここでRは好ましくはメチル基、エチル基またはtert−ブチル基である。
また、プロトン付与性のブレンステッド酸の具体例としては、例えば、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、およびトリ(n−オクチル)アンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチルアンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイコシルメチルアンモニウム、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム等のような、トリアルキル基置換型アンモニウムカチオンがあげられ、又N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルベンジルアニリニウムなどのようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンも好適である。
次に、本発明における液体助触媒成分[B]の調製方法について説明する。本発明においては、液体助触媒成分[B]は下記の式(10)で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物[C1]とアミン、アルコール、シロキサン化合物から選ばれる化合物[C2]との反応によって合成される、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物である。
(M(Mg)(R(R (10)
〔式中、Mは周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、RおよびRは炭素数2以上20以下の炭化水素基であり、a、b、c、dは次の関係を満たす実数である。0≦a、0<b、0≦c、0≦d、c+d>0、e×a+2b=c+d(ただし、eはM
の原子価)〕
本発明においては、有機マグネシウム化合物[C1]と化合物[C2]との反応には特に制限はないが、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等の不活性反応媒体中、室温〜150℃の間で反応させることによって行われることが好ましい。この反応の順序については特に制限はなく、有機マグネシウム化合物[C1]中に化合物[C2]を添加する方法、化合物[C2]に有機マグネシウム化合物[C1]を添加する方法、または両者を同時に添加する方法のいずれの方法も好ましい。有機マグネシウム化合物[C1]と化合物[C2]との反応比率については特に制限はないが、反応により合成される液体助触媒成分[B]に含まれる全金属原子に対する化合物[C2]のモル比は0.01〜2であることが好ましく、0.1〜1であることがさらに好ましい。
本発明においては、液体助触媒成分[B]は単独で使用してもよいし二種類以上混合して使用してもよい。
本発明において、液体助触媒成分[B]は不純物のスカベンジャーとして用いられる。この液体助触媒成分[B]は、高濃度であっても重合活性を低下させることが少なく、したがって広い濃度範囲で高い重合活性を発現させることができる。このため液体助触媒成分[B]を含むオレフィン重合用触媒は、重合活性の制御が容易である。
重合に使用する際の液体助触媒成分[B]の濃度については特に制限はないが、液体助触媒成分[B]に含まれる全金属原子のモル濃度が0.001mmol/リットル以上10mmol/リットル以下であることが好ましく、0.01mmol/リットル以上5mmol/リットル以下であることがさらに好ましい。0.001mmol/リットル未満では不純物のスカベンジャーとしての作用が十分ではない恐れがあるために好ましくなく、10mmol/リットルよりも大きい場合には重合活性が低下する恐れがあるために好ましくない。
次に、有機マグネシウム化合物[C1]について説明する。
有機マグネシウム化合物[C1]は上記の(10)式で表される。なお、上記の(10)式中では炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、(RMgおよびこれらと他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号a、b、c、dの関係式e×a+2b=c+dは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
上記式中RないしRで表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基であることが好ましく、アルキル基であることがさらに好ましく、一級のアルキル基であることがさらに好ましい。
a>0の場合、金属原子Mとしては、周期律表第1〜3族からなる群に属する金属元素が使用でき、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。
金属原子Mに対するマグネシウムのモル比b/aには特に制限はないが、0.1以上50以下の範囲が好ましく、0.5以上10以下の範囲がさらに好ましい。また、a=0の場合には、有機マグネシウム化合物[C1]が炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物であることが好ましく、上記の式(10)のR、Rが次に示す三つの群(a)
、(b)、(c)のいずれか一つであることがさらに好ましい。
(a)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR、Rがともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
(b)R、Rが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはRが炭素原子数2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(c)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR、Rが共に炭素原子数6以上のアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。(a)において炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基としては、1−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、等が挙げられ、1−メチルプロピル基が特に好ましい。(b)において、炭素原子数2または3のアルキル基としてはエチル基、プロピル基が挙げられ、エチル基は特に好ましい。また炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、ブチル基、ヘキシル基は特に好ましい。(c)において、炭素原子数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基等が挙げられ、アルキル基である方が好ましく、ヘキシル基は特に好ましい。
一般にアルキル基の炭素原子数を増やすと炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘性が高くなる傾向であり、必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は炭化水素溶液として用いられるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のコンプレックス化剤がわずかに含有されあるいは残存していても差し支えなく用いることができる。
次に化合物[C2]について説明する。
この化合物はアミン、アルコール、シロキサン化合物からなる群に属する化合物である。
本発明においては、アミン化合物には特に制限はないが、脂肪族、脂環式ないし芳香族アミンが好ましい。具体的には、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N、N−ジメチルアニリン、トルイジン、等が挙げられる。
本発明においては、アルコール化合物には特に制限はないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−メチルペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−エチル−4−メチル−1−ペンタノール、2−プロピル−1−ヘプタノール、2−エチル−5−メチル−1−オクタノール、1−オクタノール、1−デカノール、シクロヘキサノール、フェノールが好ましく、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノールおよび2−エチル−1−ヘキサノールがさらに好ましい。
本発明においては、シロキサン化合物には特に制限はないが、下記の式(11)で表される構成単位を有するシロキサン化合物が好ましい。
Figure 0005019780
(上記の式(11)中、RおよびRは、水素または炭素原子数1〜30の炭化水素基、および炭素数1〜40の置換された炭化水素基なる群より選ばれる基である。)
本発明においては、この炭化水素基には特に制限はないが、メチル基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基、ビニル基が好ましい。また、置換された炭化水素基には特に制限はないが、トリフルオロプロピル基が好ましい。
本発明においては、このシロキサン化合物は1種類または2種類以上の構成単位から成る2量体以上の鎖状または環状の化合物の形で用いることができる。
本発明においては、このシロキサン化合物として、対称ジヒドロテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサン、ペンタメチルトリヒドロトリシロキサン、環状メチルヒドロテトラシロキサン、環状メチルヒドロペンタシロキサン、環状ジメチルテトラシロキサン、環状メチルトリフルオロプロピルテトラシロキサン、環状メチルフェニルテトラシロキサン、環状ジフェニルテトラシロキサン、(末端メチル封塞)メチルヒドロポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、(末端メチル封塞)フェニルヒドロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが好ましい。
次に、メタロセン触媒と水素を接触させる方法について説明する。メタロセン触媒は重合反応器に導入される前に予め、該触媒に含まれる遷移金属化合物の0.5倍モル以上、かつ、50000倍モル以下の水素と接触させる。接触させる方法は、媒体を用いてメタロセン触媒を重合反応器に移送する際に該移送媒体に水素を含有させて移送中に接触させる方法、重合反応器内部の触媒供給口近傍に水素を直接供給しながらメタロセン触媒と接触させて該触媒を重合反応器に導入する方法、メタロセン触媒貯槽等に水素を導入して接触させる方法等があるが、メタロセン触媒移送中に水素と接触させる方法が好ましい。なお、メタロセン触媒移送中に水素と接触させる方法や触媒供給口近傍に水素を直接供給する方法は同時に重合反応器に水素が導入されることにもなるので、導入された水素は連鎖移動剤として作用する。使用する水素の純度は99.99モル%以上であることが望ましい。
本発明のエチレン系樹脂には、高圧法低密度エチレン樹脂、中低圧のスラリー重合法、溶液重合法あるいは気相重合法で得られる高密度エチレン樹脂をドライブレンド、あるいはメルトブレンドしてもよい。高圧法低密度ポリエチレンは、本発明の目的を損なわない範囲であれば、炭素数3〜20のα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等との共重合体であってもよい。高圧法低密度ポリエチレンはチューブラータイプ、あるいはオートクレーブタイプのリアクターでエチレンをラジカル重合して得ることができ、どちらのタイプであっても構わない。チューブラータイプのリアクターを採用する場合には、重合条件はラジカル発生触媒および連鎖移動剤の存在下で180〜400℃の重合反応ピーク温度、100〜400MPaの重合圧力に設定すればよいが、200〜350℃の重
合反応ピーク温度、150〜350MPaの重合圧力にすることが望ましい。
さらに、本発明のエチレン系樹脂には、アルミノケイ酸塩、タルク、珪藻土、カオリン、クレー等の充填剤や、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、アルコールの脂肪酸エステル、ワックス、高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン等のスリップ剤あるいは、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、帯電防止剤、中和剤などの公知の添加剤を添加してもよい。フェノール酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート))メタン等、リン系酸化防止剤としてはテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−t−ブチルフェニルフォスファイト)等が挙げられ、それぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても構わない。帯電防止剤としては非イオン性活性剤、イオン性活性剤、両性活性剤やその混合物が挙げられ、それぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても構わない。中和剤としては各種のステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト等が挙げられ、それぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても構わない。さらには、上記の添加剤以外に、耐候剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、有機あるいは無機顔料などの添加剤を必要に応じて添加することができる。
紫外線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満である。好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.6未満である。揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0以上であると臭気が発生するといった欠点があるため好ましくない。
放射線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満である。好ましくは1.8未満であり、より好ましくは1.6未満である。揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0以上であると臭気が発生するといった欠点があるため好ましくない。
本発明の包装材料は、エチレン系樹脂単層もしくは、エチレン系樹脂からなる層をシーラント層として有する積層体であってもよい。シーラント層とはヒートシールが可能で内容物と直接接触する層を指し、その厚みは特に限定されるものではないが、一般には、エチレン系樹脂からなる層の厚みは3〜300μmの範囲にある。
シーラント層と積層される層の材質として、セロハン、エチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、PP樹脂、CPP樹脂、PET樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ビニルアルコール樹脂、エバール樹脂、スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、カーボネート樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン・メチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン・エチルアクリレート樹脂およびこれらのKコートタイプ、アルミニウム蒸着、シリカ蒸着タイプ、アルミナ蒸着タイプ、さらには上質紙、クラフト紙、グラシン紙、パーチメント紙等の各種紙類、アルミ箔等が挙げられるが、それぞれ単独でシーラント層と積層してもよいし、2種以上を併用して積層しても構わない。積層方法はドライラミネーション法、押出しラミネーション法、ウェットラミネーション法、ホットメルトラミネーション法、共押出インフレーション成形法、共押出キャスト成形法などの公知の方法を採用することができる。尚、シーラント層をあらかじめフィルム状にして積層する場合はインフレーション成形法やキャスト成形法によって得られるフィルムを用いることができる。
本発明の包装材料は水、ジュース、牛乳、清酒・焼酎などの酒類等の各種飲料、米飯類、ならびに調理食品、調理中間品、菓子・パン、農産類、畜産類、水産類、練り製品、水物、油物等の各種食品、チルド食品、レトルト食品、冷凍食品、調味料、医薬・医療用品、農薬類等の包装に好適に用いられる。
本発明について、以下具体的に説明する。尚、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[エチレン系樹脂の造粒]
エチレン系樹脂は、日本製鋼(株)社製押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、200℃にて押出して造粒する(以後造粒物をペレットと表記する)。
[エチレン系樹脂フィルムの製法]
造粒したエチレン系樹脂を100φ−ギャップ3.0mmのダイスおよびデュアルタイプのエアリングを備えた50mmφ押出機で、温度170℃、ブロー比2で、厚みが0.06mmの単層インフレーション成形フィルムを得る。
[評価方法]
物性測定方法、評価方法は以下の通りである。
(1)メルトマスフローレイト(MFR)
JIS K7210:1999(温度=190℃、荷重=2.16kg)
(2)密度
JIS K7112:1999
(3)分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を分子量分布とする。GPC測定は、ウォーターズ社製GPCV2000を用い、カラムは昭和電工(株)製UT−807(1本)と東ソー(株)製GMHHR−H(S)HT(2本)を直列に接続して使用し、移動相トリクロロベンゼン(TCB)、カラム温度140℃、流量1.0ml/分、試料濃度20mg/15ml(TCB)、試料溶解温度140℃、試料溶解時間2時間の条件で行う。分子量の校正は、東ソー(株)製標準ポリスチレンのMwが1050〜206万の範囲の12点で行い、それぞれの標準ポリスチレンのMwに係数0.43を乗じてポリエチレン換算分子量とし、溶出時間とポリエチレン換算分子量のプロットから一次校正直線を作成し、分子量を決定する。
(4)ヘキサン抽出率(%)
上記エチレン系樹脂ペレットを用いて、ヘキサン溶媒中でソックスレー抽出法により行う。50℃の乾燥器にて円筒ろ紙に入れたポリエチレン系樹脂ペレット5gを24時間乾燥させた後、還流回数が25回/1時間になるようにソックスレー抽出を6時間行う。ついで80℃で3時間円筒ろ紙を減圧乾燥した後、下記(12)式によりヘキサン抽出率を求める。
ヘキサン抽出率(%)=(抽出前のエチレン系樹脂の重量−抽出後のエチレン系樹脂
の重量)÷抽出前のエチレン系樹脂の重量×100 (12)
(5)ヘキサン抽出成分のビニル基濃度測定
ヘキサン抽出成分のビニル基濃度測定は、上記ヘキサン抽出成分を東立電機(株)製冷却プレス機にて、圧力100kg/cmで5分冷却プレスを行うことによってプレスシートを作成し、赤外吸収スペクトル(IR)を日本分光(株)社製FT/IR−4200装置を用いて測定する。ビニル基濃度の定量は、トランスビニル基:964cm−1、末端ビニル基:908cm−1、ビニリデン基:888cm−1のピーク吸光度より下記式
(13)〜(15)を用いて算出される値の合計値から求められる。
トランスビニル基{個/1000(C)} =(1.11×A)/L (13)
末端ビニル基{個/1000(C)}=(1.12×A)/L (14)
ビニリデン基{個/1000(C)}
=(1.36×A)/L−0.0069×(メチル基個数) (15)
ここで、Aは吸光度、Lはシート厚(mm)である。
(6)ゲルの測定
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、ゲルを以下の評価基準で目視評価する(ゲルのサイズは0.2mm以上のサイズをカウントし、単位は個数/gで評価する)。ゲル個数が0個/g以上50個/g未満であればゲルが少ないと評価し、50個/g以上200個/g未満であればゲルが多いと評価する。一方で200個/g以上であればゲルが非常に多いと評価する。
(7)ヒートシール性
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、100℃から順次10℃ずつ温度を変えて圧力=0.2MPa、時間=1秒の条件でシールし、15mm幅で切り出したものをサンプルとして、引張速度500mm/分で引張試験を行う。シール温度に対してシール強度をプロットし、シール強度が平衡に達した温度より10℃高温のシール強度をヒートシール性とする。ヒートシール強度が20N/15mm以上であれば、ヒートシール性が良好と評価するし、一方でそれ未満であれば不良と評価する。
(8)引張破断強度
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、TD方向およびMD方向の引張破断強度を測定し、引張破断強度がそれぞれ30MPaを超える場合は引張破断強度良好と評価し、一方で、引張破断強度が30MPa未満の場合は引張破断強度不良と評価する。
試験方法:JIS Z−1702
サンプル:上記インフレーション成形サンプル、JIS1号ダンベル
(9)低温衝撃強度
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、1mol/Lの濃度の食塩水を2L充填した内寸23cm×30cmの四方シール袋を作製する。ついで−5℃で一昼夜冷却した後、その温度条件下で100cmの高さから該シール袋を10袋落下させ、破袋率を調べる。破袋率が50%未満なら低温衝撃強度が良好とするし、一方でそれ以上なら不良と評価する。
(10)耐熱ブロッキング性
上記インフレーションフィルムサンプルを用いて、サンプル前処理条件でブロッキングフォースを測定し、ブロッキングフォースが1g以下であれば耐熱ブロッキング性良好と評価し、一方で、ブロッキングフォースが1gを超える場合は耐熱ブロッキング性不良と評価する。
試験方法:ASTM D−1893
サンプル:上記インフレーション成形フィルム、サイズ=20cm×25cm
前処理条件:荷重25kgを加えながら、50℃×24hr熱処理、ついで23℃、
50%RHで24hr放冷
(11)突き刺し強度
上記インフレーションフィルムサンプルを50mmφの大きさで固定し、先端が5Rの圧子を100mm/分の速度で押し付けて突き刺し強度を測定する。
突き刺し強度が100N以上ならば良好とするし、一方でそれ未満なら不良と評価する。
(12)紫外線照射条件
上記インフレーションフィルムを用いて内寸20cm×25cmの四方シール袋を作成する。ついでスペクトロニクス社製紫外線照射装置CC−80内にて、紫外線照射源であるENF−260C/Jを用いて254nmの紫外線をトータル照射量が1000mWになるように照射する。評価は紫外線照射前後における変色性の測定(14)、揮発性有機化合物相対含有量測定(15)、臭気測定(16)により行う。
(13)放射線照射条件
上記インフレーションフィルムを用いて内寸20cm×25cmの四方シール袋を作成する。ついでNORDION社製滅菌用放射線照射装置JS−9500にて、コバルト60密封線源によるトータル照射線量が15キログレイになるように照射する。評価は放射線照射前後における耐変色性の測定(14)、揮発性有機化合物相対含有量測定(15)、臭気測定(16)により行う。
(14)耐変色性の測定
上記のインフレーション成形で得られるフィルムサンプルおよび、紫外線照射、放射線照射フィルムサンプルを0.96mmになるように重ね合わせ、日本電飾社工業社製Spectro Color Meter SE2000を用いてb値を測定する。紫外線照射及び放射線照射前のフィルムサンプルのb値と紫外線及び放射線照射後のb値との差(以下、Δbと表記する。)が1.0未満であるものを耐変色性良好と評価し、一方で、Δbが1.0以上なら不良と評価する。
(15)ヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定
上記のインフレーション成形で得られるフィルムサンプルおよび、紫外線照射、放射線照射フィルムサンプルの無極性成分および、極性成分の揮発性有機化合物相対含有量を、ヘッドスペースガスクロマトグラフ法(以下、HS−GCと表記する。)により測定する。サンプルは密閉可能な20ccのバイアル瓶の中に、上記インフレーション成形フィルム、紫外線照射後フィルム、放射線照射後フィルムの片面の表面積が400cmになるようにカットして調製する。ヘッドスペース(以下、HSと表記する。)サンプラーにパーキンエルマー社製のHS−40、ガスクロマトグラフに島津製作所のGC−9Aを使用し、HSのサンプルを100℃、サイクルタイムを60分、ニードル温度を180℃、無極性カラムとしてメチルシリコンの膜厚が0.5μmで内径が0.32mmである25mのキャピラリーカラム、極性カラムとしてポリエチレングリコールの膜厚が0.5μmで内径が0.32mmである50mのキャピラリーカラムを使用する。無極性カラム温度は70℃で15分間保持した後、10℃/分のスピードで200℃まで昇温し、5分間保温する。極性カラムは45℃で10分間保持し、10℃/分のスピードで160℃まで昇温して1分間保温した後、5℃/分のスピードで220℃まで昇温し、6分間保温する。無極性カラムのキャリアーガスに30ミリリットル/分の流量、100kPaに調整した窒素ガス、極性カラムのキャリアーガスに30ミリリットル/分の流量、80kPaに調整したヘリウムガス、検出器にFIDを使用して行う。
各成分の定量については、無極性成分は予め、ノルマルヘキサン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、ノルマルウンデカン、ノルマルテトラデカンなどを標準物質とした検量線によって、各炭素数に相当する無極性成分量をピークエリアから算出し、極性成分は予め酢酸、プロピオン酸、酪酸、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、酪酸アルデヒドなどを標準物質とした検量線によって、各炭素数に相当する極性成分量をピークエリアから算出する。ピークエリアは、検出されたピークの高さ方向の電圧(μV)と横方向の検出時間(秒)の積によって求められる。また、ピークエリアの合計値をそれぞれの成分における揮発性有機化合物相対含有量とする。
紫外線照射前、放射線照射前のサンプルにおいて、無極性成分における揮発性有機化合物相対含有量が30,000未満のものを少ないと評価し、一方で、揮発性有機化合物相対含有量が30,000以上であれば多いと評価する。極性成分における揮発性有機化合物相対含有量が20,000未満のものを少ないと評価し、一方で、揮発性有機化合物相対含有量が20,000以上であれば多いと評価する。
また、紫外線照射後、放射線照射後のサンプルにおいて、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比を算出する。揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満のものを、照射による分解が少ないと評価し、一方で、揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0以上であれば照射による分解が多いと評価する。
(16)臭気測定
上記のインフレーション成形で得られるフィルムサンプルおよび、紫外線照射、放射線照射フィルムサンプルの臭気を10人のパネラーによって官能試験により評価する。官能試験は密閉可能な500ccの臭気瓶の中に、上記のインフレーション成形で得られるフィルムサンプルおよび、紫外線照射、放射線照射フィルムサンプルを片面の表面積が500cm2になるようにカットして調整し、密閉状態で、50℃で30分加熱後、23℃で30分冷却し、臭気瓶の臭いを評価する。処理前後の臭気がほとんど変わらないという判定が8人以上のパネラーから得られれば、低臭性に優れると評価するし、一方でそれ未満なら不良と評価する。
(実施例1)
[メタロセン担持触媒[A]の調製]
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiOであった。容量1.8Lオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800ml中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1M)を60ml加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[D]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800mlを得た。
一方、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」という)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の体炭化水素混合物の商品名]1000mlに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した組成式AlMg(C(n−C12の1Mヘキサン溶液を20ml加え、更にヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1Mに調整し、成分[E]を得た。
また、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略称する)5.7gをトルエン50mlに添加して溶解し、ボレートの100mMトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1Mヘキサン溶液5mlを室温で加え、さらにヘキサンを加えてトルエン溶液中のボレート濃度が70mMとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
ボレートを含むこの反応混合物46mlを、上で得られた、成分[D]のスラリー800mlに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した
。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上で得られた成分[E]のうち32mlを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されているメタロセン担持触媒[A]を得た。
[液体助触媒成分[B]の調製]
有機マグネシウム化合物[C1]として、AlMg(C(n−C12で示される有機マグネシウム化合物を使用した。化合物[C2]として、メチルヒドロポリシロキサン(25℃における粘度20センチストークス)を使用した。
200mlのフラスコに、ヘキサン40mlとAlMg(C(n−C12を、MgとAlの総量として37.8mmolを攪拌しながら添加し、25℃でメチルヒドロポリシロキサン2.27g(37.8mmol)を含有するヘキサン40mlを攪拌しながら添加し、その後80℃に温度を上げて3時間、攪拌下に反応させることにより、液体助触媒成分[B]を調製した。
[エチレン系樹脂の製法]
上記により得られたメタロセン担持触媒[A]と液体助触媒成分[B]は触媒移送ラインに連鎖移動剤として必要量の水素を供給することで水素を接触させて重合反応器に導入し、溶媒としてヘキサン、モノマーとしてエチレン及びブテン−1を用いた。反応温度は70℃としてエチレン、ブテン−1、水素の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が0.36%、水素とエチレン+水素のモル比が0.0025%を維持できるように調節)を全圧が0.8MPaでエチレン系樹脂を重合した。得られたエチレン系樹脂はMFRが2.5g/10分、密度が941kg/m、分子量分布が4.8であり、日本製鋼(株)社製押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、200℃にて押出して造粒した。また、得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表1に併せて示した。
(実施例2〜5)
混合ガス中のエチレン、ブテン−1および水素の混合ガス組成を変えたこと以外は、実施例1と同様に操作し、表1記載のエチレン系樹脂を得た。得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表1に併せて示した。
(比較例1)
液体助触媒成分[B]を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に操作し、表2記載のエチレン系樹脂を得た。得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表2に併せて示した。
(比較例2)
[チーグラー触媒による高密度ポリエチレン系樹脂の製法]
充分に窒素置換された15リットルの反応器に、トリクロルシランを2モル/リットルのn−ヘプタン溶液として3リットル仕込み、攪拌しながら65℃に保ち、組成式AlMg(C(n−C6.4(O−C5.6で示される有機マグネシウム成分のn−ヘプタン溶液7リットル(マグネシウム換算で5モル)を1時間かけて加え、更に65℃にて1時間攪拌下反応させた。反応終了後、上澄み液を除去し、n−ヘキサン7リットルで4回洗浄を行い、固体物質スラリーを得た。この固体を分離・乾燥して分析した結果、固体1グラム当たり、Mg 7.45ミリモルを含有していた。
このうち固体500gを含有するスラリーを、n−ブチルアルコール1モル/リットルのn−ヘキサン溶液0.93リットルとともに、攪拌下50℃で1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで1回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リットルのn−ヘキサン溶液1.3リ
ットルを攪拌下加えて1時間反応させた。反応終了後上澄みを除去し、7リットルのn−ヘキサンで2回洗浄した。このスラリーを50℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロリド1モル/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットルおよび四塩化チタン1モル/リットルのn−ヘキサン溶液0.2リットルを加えて、2時間反応した。反応終了後上澄みを除去し、固体触媒を単離し、遊離のハロゲンが検出されなくなるまでヘキサンで洗浄した。この固体触媒は2.3重量%のチタンを有していた。
上記で得られた触媒を用い、下記の要領でエチレン系樹脂を製造した。
単段重合プロセスにおいて、容積230Lの重合器で重合した。重合温度は86℃、重合圧力は0.98MPaである。この重合器に合成したチーグラー触媒を0.3g/hrの速度で、トリイソブチルアルミニウムを15ミリモル/hr、ヘキサンは60リットル/hrの速度で導入した。これに、エチレン、水素、ブテン−1の混合ガス(ガス組成はブテン−1とエチレン+ブテン−1のモル比が5.16%、水素とエチレン+水素のモル比が23.5%を維持できるように調節)を導入して重合した。得られたエチレン系樹脂はMFRが1.9g/10分、密度が943kg/m、分子量分布が9.2であり、ステアリン酸カルシウムを1000ppm添加して、日本製鋼(株)社製押出機(スクリュー径65mm、L/D=28)を用い、200℃にて押出して造粒した。得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表2に併せて示した。
(比較例3〜5)
混合ガス中のエチレン、ブテン−1および水素の混合ガス組成を変えたこと以外は、比較例2と同様に操作し、表2記載のエチレン系樹脂を得た。得られたエチレン系樹脂のインフレーション成形フィルムの評価結果を表2に併せて示した。
Figure 0005019780
Figure 0005019780
本発明のエチレン系樹脂は上述の効果を発現するため、水、ジュース、牛乳、清酒・焼酎などの酒類等の各種飲料、米飯類、ならびに調理食品、調理中間品、菓子・パン、農産類、畜産類、水産類、練り製品、水物、油物等の各種食品、チルド食品、レトルト食品、冷凍食品、調味料、医薬・医療用品、電気・電子用品等の包装に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. メルトフローレートが0.1g/10分以上、50g/10分以下、密度が930kg/m 3 以上、975kg/m3以下、数平均分子量に対する重量平均分子量の比で表される分子量分布が2以上、10以下、ヘキサン抽出率が0.7%以下であり、抽出された成分に含まれるビニル基濃度が5個/1000個の炭素以下であることを特徴とする容器包装用エチレン系樹脂。
  2. 少なくとも担体物質、有機アルミニウム化合物、活性水素を有するボレート化合物および、シクロペンタジエニルまたは置換シクロペンタジエニル基とη結合したチタン化合物から調製されたメタロセン担持触媒[A]と、液体助触媒成分[B]を用いて、不活性溶媒中でスラリー重合することにより得られたものであることを特徴とする請求項1記載の容器包装用エチレン系樹脂。
  3. 紫外線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満であることを特徴とする請求項1または2記載の容器包装用エチレン系樹脂
  4. 放射線照射前後のヘッドスペースガスクロマトグラフ法による揮発性有機化合物相対含有量測定において、照射前の揮発性有機化合物相対含有量に対する照射後の揮発性有機化合物相対含有量の比が2.0未満であることを特徴とする請求項1または2記載の容器包装用エチレン系樹脂
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる食品・飲料用容器包装材料。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる医薬・医療用容器包装材料。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の容器包装用エチレン系樹脂からなる電気・電子用容器包装材料。
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