JP3547534B2 - エチレン・α−オレフィン共重合体組成物 - Google Patents

エチレン・α−オレフィン共重合体組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエチレン・α−オレフィン共重合体組成物に関し、詳しくは、分子量分布が狭いにもかかわらず、比較的広い組成分布を有し、かつ低分子量成分および非晶質成分の含有量が少なく透明性、強度、低温ヒートシール性を保持しながら抗ブロッキング性を改良した組成物、さらには色相の安定性、耐熱安定性、耐腐食性、帯電防止性、防曇性などの改善されたエチレン・α−オレフィン共重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のチーグラー系高活性触媒で製造される直鎖状低密度ポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンより強度に優れており、薄肉化が可能であるため、各種包装用としてその用途範囲が広がっている。しかし直鎖状低密度ポリエチレンは成形加工時の粘度が高いため、より高温で成形しなければならない。またチーグラー触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体は組成分布や分子量分布が広く、フィルム表面のべたつきの発生や透明性が悪くなる原因となっている。
また近年メタロセン触媒により分子量分布および組成分布が非常に狭いエチレン・α−オレフィン共重合体が開発された。しかし、該エチレン・α−オレフィン共重合体は従来のものに比べ、強度がさらに強く、低温ヒートシール性、透明性が優れ、フィルム表面のべたつきが少ないが、同時に狭い分子量分布を有する、溶融粘度が従来の直鎖状低密度ポリエチレンよりさらに高くなり、加工時の発熱が激しく、熱劣化によるフィッシュアイの発生や金型等の腐食をおこしたり、十分に冷却されないうちに巻き取られるため、ブロッキングをおこしやすくなるなどの問題がある。また、組成分布が非常に狭いため、温度に対する粘度の変化が非常に急激であるため、成形加工時の温度や押出条件の適用範囲が狭く、外観のよいフィルムの得られる成形条件の許容範囲が狭いという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的はチーグラー触媒によるエチレン・α一オレフィン共重合体より優れた強度、透明性を有し、しかもいわゆる市販のメタロセン系触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体と同等の透明性、強度、ヒートシール特性を有し、ブロッキングしにくく開口性に優れ、しかもそれ以上のフィルム外観の優れた樹脂組成物を提供することにある。
第2の目的はこれら透明性、強度、ヒートシール特性、抗ブロッキング性、外観を保持しつつ、樹脂による金型、押し出し機等の金属腐食性を低減する樹脂組成物を提供することにある。
第3の目的は、前記の諸特性を維持しつつ、滑性、帯電防止性、防曇性などを有するエチレン・α−オレフィン共重合体組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の触媒で重合されたエチレン・α−オレフィン重合体の透明性、強度、ヒートシール特性を阻害せずにブロッキングが少なく、しかも外観の優れた組成物が得られることを見いだした。さらに特定の酸吸収剤、滑剤、界面活性剤を添加することによって、先の特性を保持し、かつ金属腐食性を低減し、帯電防止性、防曇性などを付与したエチレン・α−オレフィン重合体組成物が得られることを見いだした。
すなわち、本発明は第1に、(A)下記(F1)〜(F5)の触媒形成用成分を相互に接触させて得られる触媒の存在下で気相法によってエチレンと炭素数3ないし12のα−オレフィンとを共重合することにより得られる下記(a)〜(f)の性状を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体100〜20重量%、
[触媒形成用成分]
(F1):一般式Me (OR 4−p−q で表される化合物(式中Me はZr、Ti、Hfを示し、R およひR は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X はハロゲン原子を示し、p、qおよびrは各々0≦p<4、0≦p+q≦4の範囲を満たすを整数である)、
(F2):一般式Me (OR z−m−n で表される化合物(式中Me は周期律表第I〜III族元素、R およびR は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X はハロゲン原子または水素原子(ただし、X が水素原子の場合はMe は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)、
(F3):共役二重結合を持つ有機環状化合物、
(F4):有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物、
(F5):無機担体および/または粒子状ポリマー担体
[性状]
(a)密度 0.86〜0.96g/cm
(b)メルトフローレート(MFR) 0.01〜50g/10min、
(c)分子量分布(Mw/Mn) 1.5〜4.5、
(d)組成分布パラメーターCb 1.08〜2.00、
(e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(重量%)と
密度dおよびMFRが次の関係式1)を満足する
イ)d−0.008×logMFR≧0.93の場合
X<2.0
ロ)d−0.008×logMFR<0.93の場合
X<9.8×10×(0.9300−d+0.008
×logMFR)+2.0 式1)
(f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個
(B)他のエチレン系重合体0〜80重量%
からなる樹脂成分
および
(C)該樹脂成分100重量部に対し
(C1)非晶質アルミノシリケート化合物0.05〜2.0重量部(C2)酸化珪素0.05〜2.0重量部、(C3)タルク0.05〜3.0重量部、(C4)炭酸カルシウム0.05〜3.0重量部、(C5)アルキレンビス高級脂肪酸アミド0.01〜0.5重量部の中から選択される1種の(C)の中から選択される1種のブロッキング防止剤からなることを特徴とするエチレン・α−オレフィン共重合体組成物である。
【0005】
本発明は第2に、さらに(D)高級脂肪酸金属塩およびハイドロタルサイト類から選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする上記のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物である。
【0006】
本発明の第3は、さらに(E)滑剤および界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上の化合物からなることを特徴とする上記のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物である。
【0007】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンより選ばれた一種以上との共重合体である。この炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、好ましくは3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。また、これらのα−オレフィンの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0008】
本発明の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の(a)密度は、0.86〜0.96g/cm、好ましくは0.88〜0.945g/cm、より好ましくは0.90〜0.93g/cmの範囲である。密度が0.86g/cm未満では抗ブロッキング性が劣り、0.96g/cmを超えると低温ヒートシール性、透明性、耐衝撃性が十分でない。
【0009】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の(b)MFRは0.01〜50g/10min、好ましくは0.1〜20g/10min、さらに好ましくは0.5〜10g/10minの範囲にあることが望ましい。MFRが0.01g/10min未満では成形加工性が劣り、50g/10minを超えると耐衝撃性などの機械的強度が低下する。
【0010】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の分子量分布(c)Mw/Mnの算出方法は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、この比Mw/Mnを求めるものである。
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体のMw/Mnは1.5〜4.5であり、好ましくは1.6〜4.0、さらに好ましくは1.8〜3.5の範囲にあることが望ましい。Mw/Mnが1.5未満では成形加工性が劣り、4.5を超えると耐衝撃性が劣る。
【0011】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の(d)組成分布パラメーターCbは1.08〜2.00であり、好ましくは1.10〜1.80、さらに好ましくは1.12〜1.70の範囲にあることが望ましい。1.08未満では外観の優れたフィルムを成形できる条件範囲が狭く、2.00を超えると、透明性が低下し、また成形品に高分子ゲルを生じる等の慮がある。
【0012】
なお本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布パラメーターCbの測定法は下記の通りである。
【0013】
試料に耐熱安定剤を加え、オルソジクロルベンゼン(ODCB)に試料濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解する。この加熱溶液を、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送し充満後0.1℃/minで25℃まで冷却し、試料をセライト表面に析出沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温しながら、各温度において、試料を溶解した溶液を採取する。この溶液を冷却後メタノールで試料を再沈後、ろ過、乾燥し、各溶出温度における試料を得る。この分別された試料の重量分率および分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を測定する。分岐度の測定は13C−NMRにより求める。
【0014】
このような方法で30℃から90℃で採取した各フラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関係数を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関関係は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクションについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わない。
【0015】
次にそれぞれのフラクションの重量分率wを、溶出温度5℃当たりの分岐度bの変化量(b−bi−1)で割って相対濃度Cを求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
Figure 0003547534
ここでcとbはそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0016】
なお、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布を記述する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60−88016号では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関計数Rはかなり低く、値の精度は充分でない。このCw/Cnと本発明のCbとは、定義および測定方法が異なる。
【0017】
本発明の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体は、(e)25℃におけるODCB可溶分の量Xは、エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分の割合を示すものであり、耐熱性の低下や成形品表面のベタツキの原因となるため少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、共重合体全体のα−オレフィンの含有量および平均分子量、すなわち密度とMFRに影響される。このようなことから、前記ODCB可溶分の量X(重量%)は密度dとMFRの関係が、d−0.008×logMFR≧0.93を満たす場合は2重量%未満、好ましくは1重量%未満、さらに好ましくは0.5重量%未満である。
また、dとMFRの関係が、d−0.008×10gMFR<0.93を満たす場合はX<9.8×10×(0.9300−d+0.008×logMFR)+2.0の関係を満足し、好ましくはX<7.4×10×(0.9300−d+0.008×logMFR)+1.0、さらに好ましくはX<5.6×10×(0.9300−d+0.008×logMFR)+0.5の範囲である。
密度、MFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれているα−オレフィンが遍在していないこと、すなわち適度な組成分布を有していることを示している。
【0018】
なお、前記の25℃におけるODCB可溶分量Xは、下記の方法により測定する。
すなわち試料0.5gを20mlのODCBに加え135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採取する。試料溶液であるろ液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm−1付近の吸収ピーク強度を測定し、あらかじめ作成した検量線によりろ液中の試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分量(X)を求める。
【0019】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体は、連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度−溶出量曲線において、ピークが複数個ある(f)ことが好ましく、さらにその高温側のピークが85℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、融点が高くなりまた結晶化度が上昇し成形体の耐熱性および剛性が向上する。図1に本発明の共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示す。図2は一般のメタロセン溶媒による共重合体の溶出温度−溶出量曲線であり両者は明瞭に相違する。
【0020】
本発明にかかわるTREFの測定方法は下記の通りである。試料に耐熱安定剤を加え、ODCBに試料濃度0.05重量%となるように135℃で加熱溶解する。この加熱溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入した後、0.1℃/minの冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温し、各温度において溶液に溶解可能な試料を順次溶出させる。この際、溶剤中の試料濃度はメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm−1に対する吸収を赤外検出器で連続的に検出される。この濃度から、溶出温度−溶出量曲線を得ることができる。
TREF分析は極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析できるため、分別法では検出できない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0021】
本発明の特定の(A)エチレン・α−オレフィン共重合体の製造は、以下のF1〜F5からなる触媒で重合することによって行なわれる。
すなわち、F1:一般式Me11 p(OR2 )q X1 4−p−qで表される化合物(式中Me1 はジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、R1 およびR2 は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X1はハロゲン原子を示し、pおよびqは各々0≦p<4、0≦p+q≦4の範囲を満たす整数である)、F2:一般式Me23 m(OR4 )nX2 z−m−nで表される化合物(式中Me2 は周期律表第I〜III族元素、R3 およびR4 は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X2 はハロゲン原子または水素原子(ただし、X2 が水素原子の場合はMe2 は周期律表第III 族元素の場合に限る)を示し、zはMe2 の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)、F3:共役二重結合を持つ有機環状化合物、およびF4:有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物、F5:無機担体および/または粒子状ポリマー担体を相互に接触させて得られる触媒である。
【0022】
上記触媒成分(F1)の一般式Mep(OR)qX4−p−qで表される化合物の式中Meはジルコニウム、チタン、ハフニウムを示す。これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ましい。RおよびRは各々炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフィル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。Xはフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示し、pおよびqはそれぞれ0≦p<4、0≦q<4、0≦p+q≦4の範囲を満たし、好ましくは0≦p+q≦4の範囲である。
【0023】
上記触媒成分(F1)の一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、ジプロポキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシモノクロロジルコニウム、ジブトキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
【0024】
上記触媒成分(F2)の一般式Mem(OR)nXz−m−nで表される化合物の式中Meは周期律表第I〜III族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。RおよびRは各々炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフィル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。Xはフっ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、Xが水素原子の場合はMeはホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III族元素の場合に限るものである。また、zはMeの価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0025】
上記触媒成分(F2)の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等の誘導体が挙げられる。
【0026】
上記触媒成分(F3)の共役二重結合を持つ有機環状化合物とは、環状で共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0027】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0028】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
SiR4−L
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0029】
上記成分(F3)の有機環状炭化水素化合物の具体例は、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、インデン、4−メチル−1−インデン、4,7−ジメチルインデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数7〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシラン等が挙げられる。
【0030】
触媒成分(F4)の有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物とは、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより、通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムが得られ、分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−O−Al結合を含有する。また、変性有機アルミニウム化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0031】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0032】
触媒成分(F5)の無機物担体および/または粒子状ポリマー担体とは、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物あるいは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
具体的にはSiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO−Al、SiO−V、SiO−TiO、SiO−V、SiO−MgO、SiO−Cr等が挙げられる。これらの中でもSiOおよびAlからなる群から選択された少なくとも1種の成分を主成分とするものが好ましい。
また、粒子状ポリマー担体としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、具体的には、粒子状のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0033】
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物などに接触処理させた後に成分(F5)として用いることもできる。
【0034】
本発明のエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、気相法、スラリー法、溶液法等で製造され、一段重合法、多段重合法など特に限定されるものではないが、物性と経済性等のバランスの点から気相法で製造されることが望ましい。
【0035】
本発明の樹脂成分は前記(A)成分を必須成分として少なくとも20重量%含むものであるが他のエチレン系重合体も好ましく併用される。好ましく併用される(B)他のエチレン系重合体の第1(B1)は、従来のイオン重合法によるチーグラー型触媒またはフィリップス触媒によるイオン重合法(総称してチーグラー型触媒という)で得られる密度が0.86〜0.96g/cmのエチレン・α−オレフィン共重合体であって、具体的には中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等が挙げられる。
【0036】
本発明のチーグラー型触媒による中・低密度ポリエチレン(MDPE、LLDPE)とは、密度が0.91〜0.96g/cm、好ましくは0.91〜0.94g/cm(LLDPE)の範囲であり、MFRが0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜15g/10分、さらに好ましくは0.7〜10g/10分の範囲で選択される。溶融張力は0.3〜10.0g、好ましくは0.4〜9.0g、さらに好ましくは0.5〜8.5gである。
【0037】
本発明のチーグラー型触媒による超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜0.91g/cm未満、好ましくは0.88〜0.905g/cm、MFRは0.1〜20g/10分、好ましくは0.5〜10g/10分の範囲で選択される。
該超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)との中間の性状を示すポリエチレンを有しており、好ましくは密度0.86〜0.91g/cm、示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(T)が60℃以上、かつ、好ましくは沸騰n−ヘキサン不溶分10重量%以上の性状を有する特定のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、少なくともチタンおよび/またはバナジウムを含有する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて重合され、直鎖状低密度ポリエチレンが示す高結晶部分とエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂であって、前者の特徴である機械的強度、耐熱性などと、後者の特徴であるゴム状弾性、耐低温衝撃性などがバランスよく共存している。
【0038】
上記チーグラー型触媒によるエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、炭素数3〜12、好ましくは3〜10の範囲であって、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等を挙げることができる。
これらα−オレフィンの含有量は40モル%以下の範囲で選択されることが好ましい。
【0039】
本発明の他のエチレン系重合体の第2(B2)は、高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体である。
【0040】
上記低密度ポリエチレン(LDPE)は、MFRは0.1〜20g/10分、好ましくは0.2〜15g/10分、さらに好ましくは0.2〜10g/10分である。この範囲内であれば組成物の溶融張力が適切な範囲となりフィルム成形がし易い。また密度は0.91〜0.94g/cm、好ましくは0.912〜0.935g/cm、さらに好ましくは0.912〜0.930g/cmであり、溶融張力は1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gである。溶融張力は樹脂の弾性項目であり、上記の範囲であればフィルム成形がし易い。
また、Mw/Mnは3.0〜10、好ましくは4.0〜8.0である。
【0041】
本発明のエチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。これらの中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニル(EVA)を挙げることができる。すなわち、エチレン50〜99.5重量%、ビニルエステル0.5〜50重量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5重量%からなる共重合体が好ましい。特にビニルエステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分であり、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20gである。
【0042】
本発明のエチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体の代表的な共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸のメチル、エチル(EEA)等のアルキルエステルを挙げることができる。特に(メタ)アクリル酸エステル含有量は3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲である。
これら共重合体のMFRは、0.1〜20g/10分、好ましくは0.3〜10g/10分であり、溶融張力は2.0〜25g、好ましくは3〜20gである。
【0043】
前記(A)成分と(B)成分の配合割合は(A)成分が100〜20重量%、(B)成分は80重量%までを配合するものであり、フィルム強度、ヒートシール特性を重視する場合は、(A)成分を主成分とすることが望ましいが、強度、低温ヒートシール特性をある程度保有し、かつ加工性、経済性を考慮した場合には(B)成分を適度に配合することが望ましい。インフレーションフィルム成形によってフィルムを成形する場合には、(A)成分の溶融張力が小さいため、バブルが不安定となる傾向にあり、またT−ダイ成形ではネックインによるフィルム両端耳部の肉厚不均一の発生やドローレゾナンス現象をおこすため、特に(B2)成分を5〜10重量%添加するのが望ましい。
【0044】
特に高速成形されたフィルムやシートで発生しやすいブロッキングを防ぐための(C)ブロッキング防止剤としては酸化珪素、タルク、炭酸カルシウム、アルキレンビス脂肪酸アミド、非晶質アルミノシリケート化合物が用いられる。これらの中でも最も好ましいものは非晶質アルミノシリケート化合物である。
【0045】
前記の酸化珪素は、原料珪藻土を粉砕、分級した後、焼成されたもの、あるいは珪酸ソーダを酸で中和することによって製造される合成シリカ、酸性白土を酸で処理することによって製造される非晶質シリカ、ハロゲン化珪素の燃焼加水分解法によって製造されるヒュームドシリカなどが用いられる。これらは粒子の形状及び粒子径によってブロッキング防止効果及ひフィルムの透明性が異なる。粒子を粉砕する時に生ずる表面のギザギザが残っている珪藻土シリカは、ブロッキング防止効果は大きいが逆に透明性を悪化させる。球状に近い合成シリカは、透明性は維持できるがブロッキング防止効果は少ない。また粒径は大きいほどブロッキング防止効果は大きいが、透明性は悪くなる。この透明性とブロッキングとのバランスから、形状が球形に近く、粒径が10μm以下のシリカ、望ましくは2〜6μmのものが好ましく使用される。配合される量はポリオレフィン100重量部に対して、0.05〜2.0重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部添加されるが特にTダイ成形によるものに好ましく使用される。
【0046】
(C)成分として用いられるものの一つであるタルクは、天然のタルクを粉砕、分級されたものが用いられる。タルクは軟らかく、滑性も有しているため、配合量を増やしてもフィルムに微細な傷がつきにくく透明性を維持しつつブロッキング防止効果か大きい。その粒径が10μm以下、望ましくは2〜5μmのものか好ましく使用される。配合される量はポリオレフィンに対して、0.05〜3.0重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部で使用される。
【0047】
さらに他の(C)成分として用いられるものの一つである炭酸カルシウムは、石灰石を粉砕、分級した、いわゆる重質炭酸カルシウムや、石灰石を粗砕、焼成して生石灰を製造した後、水和して石灰乳を作成、さらに焼成炉から発生した炭酸ガスと反応させて得られる軽質炭酸カルシウムである。またポリオレフィンとの相溶性をよくするために、脂肪酸、金属石鹸、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等で表面処理したものでもよい。炭酸カルシウムは、透明性を若干悪くするが、ブロッキング防止効果か大きいため配合量を少なくでき、従って透明性の悪化を少なく抑えられる。粒径は細かいほうが好ましく、5μm以下、望ましくは0.05〜3μmのものが用いられる。配合される量は、0.05〜3.0重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部である。
【0048】
(C)成分の一つのアルキレンビス高級脂肪酸アミドとしては、メチレンビス(ステアリン酸アミド)、メチレンビス(オレイン酸アミド)、メチレンビス(パルミチン酸アミド)、メチレンビス(エルカ酸アミド)、エチレンビス(ステアリン酸アミド)、エチレンビス(オレイン酸アミド)、エチレンビス(パルミチン酸アミド)、エチレンビス(エルカ酸アミド)、イソプロピリデンビス(ステアリン酸アミド)等が例示される。これらは無機化合物のブロッキング防止剤と異なり、エチレン・α−オレフィン共重合体との屈折率の差が少なく、表面硬度も小さいため、透明性を妨げたり、フィルム表面の傷つきによる白班を生じないでブロッキングを防止できる特徴がある。添加量は0.01〜0.5重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部が望ましい。この範囲を超えて添加すると印刷性に悪影響を与え、この範囲未満の場合はブロッキング効果が不十分となる。
【0049】
本発明においては(C)成分である抗ブロッキング剤として最も好ましく用いられるのは非晶質アルミノシリケート化合物である。該化合物は結晶性ゼオライトを酸処理した後、加熱脱水して得られるもの、あるいはイオン交換した後焼成したものが透明性を損なわずにブロッキング防止効果を示すものである。
結晶性ゼオライトの酸処理を行っていないものである結晶性アルミノシリケート塩は、ゼオライト構造を有し、平衡状態において約24%の水分を含むため、押出成形時に発泡したり、目ヤニがダイスに付着する欠点がある。これら非晶質アルミノシリケート化合物は、X線回折によって結晶ピークを有しない実質的に非晶質であるが、寸法、形態の一定した粒子として存在するものである。この原料の結晶性ゼオライトは、A型、X型、P型、Y型のいずれでもが用いられ、これらの粒径は、10μm以下、望ましくは1〜5μmのものであり、特にインフレーション成形の場合に好ましく用いられる。
【0050】
イオン交換処理ゼオライトはP型結晶ゼオライトを周期律表第II族で表される2価の金属イオンで交換した後、焼成して得られたものである。これは、ゼオライト中に含まれるNa原子をCa、Mg、Ba、Zn原子等とイオン交換することによって、容易に非晶質化されやすくなり、吸湿性もより少なくなるため、押し出し時の目ヤニや発泡の発生が少なくなる。また弱アルカリ性に改質されるため、樹脂の色相が安定する。さらに、2価金属で置換された効果として屈折率がポリオレフィンに近づくため、フィルムの透明性を悪化させない。イオン交換処理後は固−液分離後、水洗、乾燥の後、焼成を行ったものか用いられる。なお配合される量はポリオレフィン100重量部に対して、0.05〜2.0重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部で使用される。
【0051】
前記各種のブロッキング防止剤は単独で使用しても、また併用してもいずれでも差し支えない。
【0052】
本発明の第2の組成物は抗ブロッキング性に優れ、押出機や金型を腐食しない組成物である。添加される(D)成分は樹脂が押出機により加熱溶融された際、触媒残渣中に含まれる塩素が押出機や金型を腐食することを防止するものである。これらの添加は特に分子量分布が狭くて押出機による混練による発熱の著しい場合に有効である。
【0053】
該(D)成分である脂肪酸金属塩としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪酸とリチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等金属との塩が挙げられるが、特にステアリン酸カルシウムが望ましい。これらの脂肪酸金属塩は前述した防錆効果を有するのみでなく、溶融樹脂と金属との摩擦を低減し、成形機内での樹脂の滞留を少なくして熱劣化によりフィッシュアイの生成を防ぐ効果も有する。またこれらは同時に樹脂の加熱時の色相の悪化を防止するために、脂肪酸金属塩と脂肪酸との混合物としても用いられる。これらの脂肪酸としては上記脂肪酸などが例示され、これらの中ではステアリン酸とステアリン酸カルシウムの1:1混合物が最も好ましく使用される。本発明に使用する上記(D)成分の配合量は、ポリオレフィン100重量部に対して、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0054】
さらに、他の(D)成分であるハイドロタルサイト類は次式で示される複塩化合物である。
(M2+1−XAl(OH)(An−x/n・mH
(ここで 0<X≦0.5、 m:実数
2+:Mg、CaまたはZn、
n−:n価の陰イオン)
これらの化合物としては天然品及び合成品のいずれも用いられるが、特にM2+がMg、An−がCO 2−である合成品が望ましい。本発明に使用する上記成分の配合組成は、ポリオレフィン100重量部に対して0.01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.8重量部である。この化合物中の炭酸塩は容易に塩素と置換され、触媒成分として残っている塩素を吸収して塩素による金属腐食を低減させる作用がある。なお塩素を含まない触媒を用いて重合した場合、この成分の添加を省くことができる。塩素吸収効果はハイドロタルサイトが大きく、脂肪酸金属塩より少量で効果があり、一方脂肪酸金属塩は樹脂の滞留を防ぐ効果も有するため、両者の併用が最も好ましい。
【0055】
本発明の第3の組成物は、透明性、耐衝撃性、低温ヒートシール特性、抗ブロッキング性を保持しつつ、押出機や金型を腐食せず、フィルムやシート表面の滑性や帯電防止性あるいは防曇性を付与した組成物である。配合される(E)成分の1つである滑剤は、フィルムやシート表面に滑性を付与するために配合されるもので、例えば製袋や印刷を行う際にフィルムやシートの機械での繰り出しをスムーズに行えるようにするものである。用いられる化合物としては脂肪酸アマイドが挙げられる。脂肪酸アマイドとしては、炭素数が8〜22の高級脂肪酸のアマイド、例えばオレイン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ステアリルエルカマイド、オレイルパルミトアマイドなどが挙げられる。これらの滑剤の選択は、エチレン・α−オレフィン共重合体組成物の成形温度によって選ばれ、成形温度の低いものは低融点のアマイド、高いものは融色の高い飽和脂肪酸アマイドが使用される。例えばインフレーション成形では、オレイン酸アマイド、T−ダイ成形ではエルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドなどが好ましく使用される。またベヘニン酸アマイドは、ブロッキング防止効果を併せ持っているため、ブロッキング防止剤と併用する場合、ブロッキング防止剤の添加量を減らすことが可能であり、従ってブロッキング防止剤の添加による透明性の低下を減少させることが可能となる。脂肪酸アマイドの配合量は樹脂組成物100重量部に対して0.02〜1.0重量部、好ましくは0.03〜0.5重量部配合される。0.02重量部未満の場合は、滑性効果が不足して、フィルム製袋時や内容物の充填時に不具合を生ずる原因となり、1.0重量部を超えると、フィルム表面へのブリードアウトによってかえってブロッキングしやすくなる。
【0056】
他の(E)成分である界面活性剤は、フィルムに帯電防止性や防曇性を付加するために配合される。使用されるものとしては、非イオン界面活性剤が食品衛生性に優れ最も好ましく使用され、その具体例としてはステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル、ラウリン酸ソルビタンエステル等のソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノステアレートなどのプロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖ステアリン酸エステルなどの蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(5)グリセリンモノステアレートなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートなどのポリオキシエチレンソルビタミン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールステアレートなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、N,Nビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミンなどのN,Nビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、N,Nビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアマイドなどのN,Nビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアマイドなどが例示される。
【0057】
また(E)成分として用いられる他の界面活性剤としては陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等があり、陰イオン性界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩、ソジウムジシクロヘキシルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンデシルリン酸エステルなどのポリオキシエチレンアルキルホスフェートなどが挙げられる。また陽イオン性界面活性剤としてはジメチルステアリンアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウムクロライドが、両イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリン、アルキルアラニンなどが例示される。これらの界面活性剤は、ポリオレフィン樹脂に対し0.03〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部配合される。0.03重量部未満の場合は、効果が不十分であり、1重量部を超えて配合すると表面への過度のブリードアウトによりフィルムの開口性が悪くなったり、表面での白化により透明性低下の原因となる。
【0058】
本発明の組成物はフィルムやシートとして用いられる際に特に有効なものである。
これらフィルムあるいはシートは従来公知のすべての方法で成形できるものであるが、ごみ袋、ショッピングバッグ、規格袋、クリーニング袋等に使用される厚さ約5〜200μmのフィルムは空冷式あるいは水冷式のインフレーション成形法が好ましく用いられる。本発明の組成物の成形は、成形加工時に高粘度となりやすく通常使用されているフルフライト型スクリューではなく、発熱を抑えたLLDPE専用スクリューを用いることが望ましい。また成形温度が200℃前後と高くなるため、冷却が充分に行えるエアーリングを取り付け成形することが望ましい。
またラミネート用の原反フィルムや、広幅の厚さ50〜500μm程度のフィルムあるいはシート成形の場合にはT−ダイによるキャストフィルム成形法が好ましく用いられる。
【0059】
本発明の組成物には、さらにフェノール系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、チオエーテル系の酸化防止剤を添加することによって、高温、高速成形時の熱劣化によるフィッシュアイ生成、着色等を防止できる。また紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物などの光安定剤を添加することによって、その耐候性を改善することができる。
【0060】
本発明の組成物には、その他必要に応じて、重金属不活性剤、造核剤、金属石鹸、顔料、充填剤、可塑剤、エポキシ化合物、発泡剤、難燃剤、加工助剤、極性基含有ポリオレフィン等を包含させることができる。
【0061】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお行った試験法を以下に示す。
【0062】
(物性試験方法)
密度 :JIS K6760に準拠した。
メルトフローレート:JIS K6760に準拠した。
【0063】
(フィルム成形)
(インフレーションフィルム成形条件)
装置 :モダンマシナリー(株)製
押出機スクリュー径:50mmφ
ダイ :直径100mmφ
ブローアップ比 :1.9
押出量 :20kg/hr
ダイリップギャップ:3mm
引取速度 :20m/min
成形樹脂温度 :200℃
フィルム厚み :30μm
スクリーンメッシュ:80メッシュ/120メッシュ/80メッシュ
【0064】
(Tダイフィルム成形条件)
装置 :ユニオンプラスチック(株)製
押出機スクリュー径:30mmφ
Tダイ :面長300mm
スクリュー回転数 :50r.p.m
押出量 :4.8kg/hr
ダイリップギャップ:1mm
引取速度 :6.1〜6.3m/min
成形樹脂温度 :210〜240℃
フィルム厚み :50μm
チルロール温度 :40℃
スクリーンメッシュ:80メッシュ/120メッシュ/80メッシュ
【0065】
(フィルム評価法)
曇り度 :ASTM D1003に準拠した。
ダート強度 :JIS K7124に準拠した。
抗ブロッキング性:幅20mmの短冊にカットしたフィルムを長さ5cmだけ2枚重ね、5kgの重りをのせ60℃に保たれたエアーオーブン中に5時間放置後、室温23℃、湿度50%で24時間状態調節し、引張試験機で500mm/minの速度で引っ張り、
その荷重を測定した。
滑性 :滑り度(tanθ)試験器を用い傾斜板法で200gのスレッドにフィルムを巻き付けてフィルム面同士の静摩擦角を測定し
た。
帯電防止性能:横河ヒューレットパッカード(株)製表面固有抵抗試験器を用い50V、1分間荷電後、23℃、湿度50%における表面固
有抵抗を測定した。
低温ヒートシール性:ヒートシール試験器(テスター産業(株)製)を用いシールバー幅1mm、圧力2kg/cmでシール温度を5℃刻みで1秒間シール後放冷。シール部を15mm幅に短冊状に切り出し、引張試験機にて300mm/分でシール部を剥離し、
その際の荷重が500gとなる温度を内挿により求める。
引張衝撃試験:ASTM D1822に準拠した。ただしMD(押出方向)の強度を測定した。
錆試験 :配合物のペレットを、230℃のオイルバス中で窒素気流下3時間で溶融後、溶融樹脂に軟鉄板を2時間浸漬した後、軟鉄板をとりだし、鉄板に付着した樹脂を引き剥した後、温度80℃、湿度90%の恒温恒湿槽に20時間放置し、錆を促進させる。さらにシリカゲル入りのデシケーター中で1日間乾燥させて
、軟鉄板の重量増加量(mg)をもって錆発生量とした。
フィルム外観試験:前記の成形条件にて成形したフィルムの外観を目視により
判定した。
○:外観はきれいであった。
×:フィルム表面にダイラインおよび曇りムラが発生した。
【0066】
(エチレン・α−オレフィン共重合体Aの重合)
固体触媒の調製
窒素下で電磁誘導撹拌機付き触媒調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)Cl)28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウム45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間撹拌した。この溶液をA液とする。次に窒素下で別の撹拌器付き触媒調製器(No.2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とする。
次に窒素下で撹拌器付き調製器(No.1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m/g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で撹拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとする。
【0067】
(試料A1、A2の重合)
連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cmGでエチレンと1−ブテンの共重合を行った。前記触媒Cを連続的に供給して重合を行い、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。
なお、生成した共重合体の物性は以下に示した。
Figure 0003547534
【0068】
(エチレン・α−オレフィン共重合体M1、M2の重合)
撹拌機を付したステンレス製オートクレーブを窒素置換し、精製トルエンを入れた。次いで、ブテン−1を添加し、更にビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド(Zrとして0.33mモル)メチルアルモキサン[MAO](MAO/Zr=500[モル比])の混合溶液を加えた後、80℃に昇温した。次にエチレンを張り込み重合を開始した。エチレンを連続的に重合しつつ全圧を維持しながら1時間重合を行った。なお、後述の実施例に必要な量はこれらの重合を繰り返し製造した。得られたエチレン・ブテン−1共重合体の物性は以下の通りであった。
【0069】
Figure 0003547534
Figure 0003547534
【0070】
実施例及び比較例で使用した試料および添加剤を次に示す。
成分(A):前記A1、A2
成分(B)
B1:チーグラー触媒による直鎖状低密度ポリエチレン
(密度=0.921g/cm、MFR=2.0g/10分、
商品名:日石リニレックスBF3340 日本石油化学(株)製)
B2:高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン
(密度=0.924g/cm、MFR=0.25g/10分、
商品名:日石レクスロンF102、日本石油化学(株)製)
M1、M2:前記M1、M2
成分(C)
C1:非晶質アルミノシリケート
(水沢化学(株)製 シルトンJC−30)
C2:珪藻土(ジョンマンビル(株)製 スーパーフロス)
C3:タルク(林化成(株)製 ミクロンホワイト5000S)
C4:炭酸カルシウム
C5:エチレンビスオレイン酸アミド
(商品名:スリパックスO、日本化成(株)製)
Z1:結晶性ゼオライト((株)耕正製 CS−100)
成分(D)
D1:ステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製)
D2:ハイドロタルサイト(協和化学(株)製 DHT−4A)
成分(E)
E1:エルカ酸アマイド(日本精化(株)製 ニュートロンS)
E2:ベヘニン酸アマイド(日本精化(株)製 BNT−22H)
E3:ステアリン酸モノグリセライド
(理研ビタミン(株)製 リケマール S−100A)
E4:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン
(ライオン(株)製 アーモスタット310)
【0071】
(実験例1〜13)
本願第1の発明の効果を調べたもので、第1の発明の所定成分を加えペレット化し前記の条件でインフレーション成形を行いフィルムを得た。得られたフィルムについて前記の方法で各種試験を行った。
実験例8、9は(C)成分を添加しないもので抗ブロッキング性が劣る。
実験例10は(A)成分を用いずB2を用いたもので曇り度、ダート衝撃強度が劣る。
実験例11は(A)成分を用いずB1を用いたもので抗ブロッキング性、曇り度、ダート衝撃強度が劣る。
実験例12は(A)成分および(C)成分を用いないものである。抗ブロッキング性、ダート衝撃強度が劣る。
実験例13は(A)成分を用いず一般のメタロセン品と同じように製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体(M1)を用いた参考例で、上記の成形条件では流れが悪くフィルム表面にダイラインおよび曇りムラが発生し外観が不良であった。
【0072】
(実験例14〜20)
本願第2の発明の効果を調べたもので、第2の発明の所定成分を用い前述の実験例と同様にフィルム成形し抗ブロッキング性、曇り度、ダート衝撃強度を、また前述の方法で錆試験を行った。
(D)成分を添加していない実験例17、19は錆試験が不良である。また(A)成分および(D)成分を用いない実験例20はダート強度が劣り、錆も多い。
【0073】
(実験例21〜25)
本願第3の発明の効果を調べたもので、第3の発明の所定成分を用い前述の実験例と同様にフィルム成形し抗ブロッキング性、曇り度、滑性、ダート衝撃強度、錆試験、表面固有抵抗試験を行った。
(E)成分および(A)成分を用いない実験例25はダート強度と滑性が劣る。
【0074】
(実験例26〜29)
本願発明の効果を調べたもので、前述の実験例と同様にして得たペレットを用い、前記のTダイ成形にてフィルムを成形し抗ブロッキング性、引張衝撃強度、錆試験、滑性、低温ヒートシール特性試験、フィルム外観試験を行った。
(C)成分を用いない実験例27は抗ブロッキング性が劣る。
(A)成分を用いずB1を用いた実験例28は低温ヒートシール特性、引張衝撃強度が劣る。
(A)成分を用いず一般のメタロセン品と同じように製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体(M2)を用いた実験例29は参考例で、前記成形条件では流れが悪くフィルム表面にダイラインおよび曇りムラが発生しフィルム外観が不良である。
【0079】
【発明の効果】
特定の触媒で重合された分子量分布か狭く、組成分布が適度に広いエチレン・α−オレフィン共重合体に、特定のブロッキング防止剤を配合することによって、ブロッキング防止性能に優れ、透明性、強度、ヒートシール特性、外観に優れたフィルムを得るのに適した組成物が得られる。更に酸吸収剤、滑剤または界面活性剤の併用によってさらに加工時の押出機の錆の発生がなく、滑り性または帯電防止性能を有する組成物が得られる。ブロッキング防止剤と滑剤の併用では、ブロッキング防止効果が相乗的に改良される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示す。
【図2】代表的なメタロセン触媒による共重合体の溶出温度−溶出量曲線を示す。

Claims (8)

  1. (A)下記(F1)〜(F5)の触媒形成用成分を相互に接触させて得られる触媒の存在下で気相法によってエチレンと炭素数3ないし12のα−オレフィンとを共重合することにより得られる下記(a)〜(f)の性状を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体100〜20重量%、
    [触媒形成用成分]
    (F1):一般式Me (OR 4−p−q で表される化合物(式中Me はZr、Ti、Hfを示し、R およひR は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X はハロゲン原子を示し、p、qおよびrは各々0≦p<4、0≦p+q≦4の範囲を満たすを整数である)、
    (F2):一般式Me (OR z−m−n で表される化合物(式中Me は周期律表第I〜III族元素、R およびR は各々炭素数1〜24の炭化水素基、X はハロゲン原子または水素原子(ただし、X が水素原子の場合はMe は周期律表第III族元素の場合に限る)を示し、zはMe の価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである)、
    (F3):共役二重結合を持つ有機環状化合物、
    (F4):有機アルミニウム化合物と水との反応によって得られるAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物、
    (F5):無機担体および/または粒子状ポリマー担体
    [性状]
    (a)密度 0.86〜0.96g/cm
    (b)メルトフローレート(MFR) 0.01〜50g/10min、
    (c)分子量分布(Mw/Mn) 1.5〜4.5、
    (d)組成分布パラメーターCb 1.08〜2.00、
    (e)25℃におけるオルソジクロロベンゼン(ODCB)可溶分の量X(重量%)と
    密度dおよびMFRが次の関係式1)を満足する
    イ)d−0.008×logMFR≧0.93の場合
    X<2.0
    ロ)d−0.008×logMFR<0.93の場合
    X<9.8×10×(0.9300−d+0.008
    ×logMFR)+2.0 式1)
    (f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークが複数個
    (B)他のエチレン系重合体0〜80重量%
    からなる樹脂成分
    および
    (C)該樹脂成分100重量部に対し
    (C1)非晶質アルミノシリケート化合物0.05〜2.0重量部(C2)酸化珪素0.05〜2.0重量部、(C3)タルク0.05〜3.0重量部、(C4)炭酸カルシウム0.05〜3.0重量部、(C5)アルキレンビス高級脂肪酸アミド0.01〜0.5重量部の中から選択される1種の(C)の中から選択される1種のブロッキング防止剤からなることを特徴とするエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
  2. 前記エチレンと炭素数3ないし12のα・オレフィン共重合体が、密度0.88〜0.945g /cm3 、MFR0.01〜50g/10分、分子量分布1.6〜4.0であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
  3. 前記(f)連続昇温溶出分別法(TREF)による溶出温度−溶出量曲線のピークの高温側のピークが85〜100℃の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のエチレン - α・オレフィン共重合体組成物。
  4. さらに(D)高級脂肪酸金属塩およびハイドロタルサイト類から選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエ チレン・α−オレフィン共重合体組成物。
  5. さらに(E)滑剤および界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
  6. 前記(B)他のエチレン系重合体が、下記のエチレン系重合体から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
    [エチレン系重合体]
    (Bl)密度0.86〜0.96g/cm3のエチレン・α−オレフィン共重合体(B2)高圧ラジカル重合による低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体
  7. 前記(E)滑剤が高級脂肪酸アマイドである請求項5に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
  8. 前記(E)界面活性剤が、非イオン系界面活性剤である請求項5に記載のエチレン・α−オレフィン共重合体組成物。
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