JP5530061B2 - インク、及び配線を形成する方法 - Google Patents

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本発明は、β−ケトカルボン酸銀を含有するインク、そのインクを用いて製造した配線、そのインクを用いて配線を形成する方法に関する。
金属銀は、記録材料や印刷刷版の材料として、また、導電性に優れることから高導電性材料として幅広く用いられている。金属銀の一般的な製造方法としては、例えば、無機物である酸化銀を還元剤の存在下で加熱する方法が挙げられる。具体的には、例えば、粒子状の酸化銀をバインダーに分散させ、これに還元剤を添加してペーストを調製し、前記ペーストを基材等に塗布して加熱すればよい。このように、還元剤の存在下で加熱することによって、酸化銀が還元され、還元により生成された金属銀が相互に融着し、金属銀を含む被膜が形成される。
しかしながら、金属銀の形成材料として酸化銀を使用する場合、還元剤が必要であり、また、その処理温度が約300℃程度と極めて高温であるという問題がある。さらに、金属銀を導電性材料として使用する場合には、形成される被膜の抵抗を低減するために、より微細な酸化銀粒子を使用する必要がある。
一方、近年では、前述のような無機物にかえて有機酸銀を用いた金属銀の形成方法も報告されている。前記有機酸銀としては、例えば、ベヘン酸銀 (例えば、特許文献1参照)、ステアリン酸銀やα−ケトカルボン酸銀(例えば、特許文献2、3参照)、β−ケトカルボン酸銀(例えば、特許文献4参照)が新たな金属銀の形成材料として報告されている。
特開2003−191646号公報 特開平10−183207号公報 特開2004−315374号公報 国際公開第2007/4437号パンフレット
前記β−ケトカルボン酸銀は、約210℃以下の低温で加熱しても速やかに金属銀を形成することができるという優れた特性を有する。このβ−ケトカルボン酸銀を用いて金属銀を含む被膜を形成するには、例えば、まずβ−ケトカルボン酸銀を溶媒に溶解させてインクを形成し、そのインクを基板上に印刷し、その印刷された基板を210℃以下程度の温度で焼成し、金属銀を含む被膜を得る。この際、インクは保存安定性が低く、室温において数分程度で金属塩の分解が始まり、沈殿が生じることを本発明者らは見出した。このような分解が生じたインク中には不溶物が含まれるようになり、この不溶物が集合して沈殿を生じた場合、有効成分が不均一となる。そのようなインクを用いると印刷工程で問題を生じる恐れがある。例えば、インクジェット印刷でインクを用いて印刷する場合、インクはノズルを有するインクジェットプリンタヘッドに収納され、ノズルを通じてそのプリンタヘッドからインクは吐出される。微細な配線を形成するため、前記ノズルは大きさが非常に小さいので、分解により生じた前記不溶物の沈殿は、このノズルに詰まりやすく、目詰まりが発生する恐れがある。さらに、有効成分が不均一であるため、均一な印刷ができないという恐れがある。また、グラビア印刷でインクを用いて印刷する場合、引っかき傷が生じるという恐れがある。さらに、有効成分が不均一であるため、均一な印刷ができないという恐れがある。
そこで、本発明は、β−ケトカルボン酸銀を含むインクであって、印刷時における安定性に優れたインクを提供することを目的とする。
本発明は、式(I)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀と、1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物、4級アミン塩化合物、環状アミン化合物、チオール化合物およびリン化合物からなる群から選択される1以上と、水酸基を1〜5個有する炭素数3〜9の脂肪族炭化水素、水、ケトン、エステル及びエーテルからなる群から選択される1以上とを含むインクである。
Figure 0005530061
前記式(I)において、Rは、直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、R1−CY2−、CY3−、R1−CHY−、R2O−、フェニル基、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基、R54N−、水酸基、アミノ基、または、(R3O)2CY−である。
ただし、Yは、同一であるかまたは異なり、それぞれフッ素原子、塩素原子、臭素原子または水素原子であり、R 1 は直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C 1 〜C 19 脂肪族炭化水素基、または、フェニル基であり、R 2 は直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C 1 〜C 20 脂肪族炭化水素基であり、R 3 は直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C 1 〜C 16 脂肪族炭化水素基であり、R 4 およびR 5 は、同一であるかまたは異なり、それぞれ直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C 1 〜C 18 脂肪族炭化水素基である。
前記式(I)において、Xは、同一であるかまたは異なり、それぞれ水素原子、直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C 1 〜C 20 脂肪族炭化水素基、R 6 O−、R 6 S−、R 6 −CO−、R 6 −CO−O−、ハロゲン、ベンジル基、フェニル基、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基もしくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基である。
ただし、R 6 は直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C 1 〜C 10 脂肪族炭化水素基、チオフェニル基、フェニル基、ジフェニル基、または、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基もしくはジフェニル基である。]
本発明のインクにおいては、前記Rが直鎖もしくは分枝の飽和C 1 〜C 20 脂肪族炭化水素基またはフェニル基であることが好ましい。
本発明のインクにおいては、前記Xが水素原子、直鎖の飽和C 1 〜C 20 脂肪族炭化水素基またはベンジル基であることが好ましい。
本発明のインクにおいては、前記Xが互いに異なり、それぞれが水素原子と、直鎖の飽和C 1 〜C 20 脂肪族炭化水素基またはベンジル基とであることが好ましい。
発明のインクにおいては、前記β−ケトカルボン酸銀:前記1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物、4級アミン塩化合物、環状アミン化合物、チオール化合物およびリン化合物からなる群から選択される1以上のモル比が1:3以上200以下であることが好ましい
また、本発明は、上記本発明のインクを基板上に配置し、前記インクが配置された基板を焼成することにより配線を形成する方法を提供する。
本発明のインクは、印刷時における安定性に優れるという利点がある。従って、室温下、比較的長期にわたって安定した印刷ができるという利点がある。また、本発明のインクには、低温で加熱して金属銀に変換されるβ−ケトカルボン酸銀を含むため、低温で配線を形成することが可能である。
本発明は、前記のように、式(I)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀と、孤立電子対を有する化合物とを含むインクである。
前記インクにおいて、Rが直鎖の飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基またはR1−CY2−(Yは水素原子)であり、Xは互いに異なり、それぞれが水素原子と、直鎖の飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基またはベンジル基とであるのが好ましい。
また、前記インクにおいて、前記孤立電子対を有する化合物が、アミン化合物、チオール化合物およびリン化合物からなる群から選択される1以上であるのが好ましい。
本発明のインクは、さらに溶剤を含むのが好ましい。前記溶剤が、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、シアノ基またはハロゲン原子で置換された脂肪族炭化水素および水からなる群から選択される1以上であるのが好ましい。
また、本発明は配線を形成する方法であって、本発明のインクを基板上に配置し、前記インクが配置された基板を焼成することにより配線を形成する工程を含む。
また、本発明は、式(I)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀と、孤立電子対を有する化合物とを含むインク調製用キットである。
Figure 0005530061
前記式(I)において、Rは、直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、R1−CY2−、CY3−、R1−CHY−、R2O−、フェニル基、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基、R54N−、水酸基、アミノ基、または、(R3O)2CY−である。
ただし、Yは、同一であるかまたは異なり、それぞれフッ素原子、塩素原子、臭素原子または水素原子であり、R1は直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C19脂肪族炭化水素基、または、フェニル基であり、R2は直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基であり、R3は直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C16脂肪族炭化水素基であり、R4およびR5は、同一であるかまたは異なり、それぞれ直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C18脂肪族炭化水素基である。
前記式(I)において、Xは、同一であるかまたは異なり、それぞれ水素原子、直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、R6O−、R6S−、R6−CO−、R6−CO−O−、ハロゲン、ベンジル基、フェニル基、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基もしくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基である。
ただし、R6は直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C10脂肪族炭化水素基、チオフェニル基、フェニル基、ジフェニル基、または、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基もしくはジフェニル基である。
本発明のインクおよびインク調製用キットに含有される式(I)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀は、
Figure 0005530061
前記式(I)において、Rは、直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、R1−CY2−、CY3−、R1−CHY−、R2O−、フェニル基、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基、R54N−、水酸基、アミノ基、または、(R3O)2CY−である。
Rが直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基である場合、Rとしては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、例えば、−Cn2n+1、−Cn2n-1、または−Cn2n-3(nは1〜20の整数)で表される基であってもよい。また、直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基は、1以上の水素基が、フッ素原子、塩素原子または臭素原子に置換されてもよい。
Rが、置換されたフェニル基である場合、その置換基としては、R3−、R3O−、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等があげられ、フェニル基のo、m、pのいずれが置換されてもよい。
前記RにおけるYは、同一であるかまたは異なってもよく、それぞれフッ素原子、塩素原子、臭素原子または水素原子である。
前記RにおけるR1は、直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C19脂肪族炭化水素基、または、フェニル基である。前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、例えば、−Cn2n+1、−Cn2n-1、または−Cn2n-3(nは1〜19の整数)で表される基であってもよい。
2は、直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基である。前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、例えば、−Cn2n+1、−Cn2n-1、または−Cn2n-3(nは1〜20の整数)で表される基であってもよい。
3は、直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C16脂肪族炭化水素基である。前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、例えば、−Cn2n+1、−Cn2n-1、または−Cn2n-3(nは1〜16の整数)で表される基であってもよい。
4およびR5は、同一であるかまたは異ってもよく、それぞれ直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C18脂肪族炭化水素基である。前記炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、例えば、−Cn2n+1、−Cn2n-1、または−Cn2n-3(nは1〜18の整数)で表される基であってもよい。
前記式(I)において、Xは、同一でも異なってもよく、水素原子、直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、R6O−、R6S−、R6-CO−、R6-CO−O−、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ベンジル基、フェニル基、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基もしくはベンジル基、シアノ基、N-フタロイル−3−アミノプロピル基、2-エトキシビニル基(C25-O-CH=CH-)である。ただし、R6は直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C10脂肪族炭化水素基、チオフェニル基、フェニル基、ジフェニル基、または、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基もしくはジフェニル基である。
Xが、置換されたフェニル基、ベンジル基もしくはジフェニル基の場合、その置換基は、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基等があげられ、o、m、pのいずれが置換されてもよい。
前記Xが、直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基である場合、Xとしては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、例えば、−Cn2n+1、−Cn2n-1、または−Cn2n-3(nは1〜20の整数)で表される基であってもよい。
XのR6O−、R6S−、R6-CO−、R6-CO−O−において、R6としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、例えば、−Cn2n+1、−Cn2n-1、または−Cn2n-3(nは1〜10の整数)で表される基であってもよい。また、R6は、前述のように、チオフェニル基、フェニル基、ジフェニル基、または、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基もしくはジフェニル基であってもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等があげられ、o、m、pのいずれが置換されてもよい。
また、前記式(I)において、一方のXには、基が結合しておらず、他方のXのみに、=CH−C64−NO2が結合した構造であってもよい。
なお、式(I)において、「アルキル基」とは、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基等が挙げられ、「アルケニル基」とは、特に限定されないが、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基および2−ブテニル基等が挙げられる。また、「アルキニル基」とは、特に限定されないが、例えば、エチニル基およびプロパルギル基等が挙げられ、「シクロアルキル基」とは、特に限定されないが、例えば、シクロペンチル基およびシクロへキシル基等が挙げられ、「シクロアルケニル基」とは、特に限定されないが、例えば、1,3−シクロヘキサジエニル基、1,4−シクロヘキサジエニル基およびシクロペンタジエニル基等が挙げられる。また、式(I)において、各種炭化水素基は、1以上の水素基が、フッ素原子、塩素原子または臭素原子に置換されてもよい。
前記インクにおいて、前記のように、式(I)において、Rが直鎖の飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基であり、Xは互いに異なり、それぞれが水素原子と、直鎖の飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基またはベンジル基とであるのが好ましく、Rが直鎖の飽和C1〜C6脂肪族炭化水素基であり、Xは互いに異なり、それぞれが水素原子と、直鎖の飽和C1〜C6脂肪族炭化水素基またはベンジル基であるのがより好ましい。
前記インクにおいて、式(I)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、アセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、α−エチルアセト酢酸銀およびα−n−ブチルアセト酢酸銀が好ましい。前記式(I)で表される化合物の中でも、これらのβ−ケトカルボン酸銀は、後記するように焼結により金属銀への分解を行った際に、得られる金属銀に残存する原料や不純物の濃度を十分に低減できることから特に好ましい。相対的に不純物が少ない金属銀である程、例えば、さらに、相対的に析出する銀どうしの接触が良くなり、導通がし易くなり、抵抗率が下がるという効果に優れた性質となる。
本発明のインクに含有される孤立電子対を有する化合物は、前記のように、アミン化合物、チオール化合物およびリン化合物からなる群から選択される1以上であるのが好ましい。
前記孤立電子対を有する化合物のうち、前記アミン化合物としては、1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物、4級アミン塩化合物および環状アミン化合物が挙げられる。
前記1級アミンとしては、モノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(シクロアルキル)アミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、置換されたモノアルキルアミン、置換されたモノアリールアミン、置換されたモノシクロアルキルアミン、置換されたモノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンとしては、例えばモノC1-19アルキルアミンが挙げられる。前記モノアルキルアミンとしては、プロピルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、t−ブチルアミン、オクタデシルアミン(ステアリルアミン)が好ましく、プロピルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、t−ブチルアミンがより好ましい。
前記モノアリールアミンとしては、例えば、モノC6-10アリールアミンが挙げられる。
前記モノ(シクロアルキル)アミンとしては、例えば、モノC3-7シクロアルキルアミンが挙げられる。前記モノ(シクロアルキル)アミンとしては、シクロヘキシルアミンが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンとしては、例えば、窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる群から選択される1種類以上の原子を1以上含む、6〜12員のヘテロアリール基を含むモノ(ヘテロアリール)アミンが挙げられる。
前記置換されたモノアルキルアミンの置換基としては、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。また、前記置換されたモノアリールアミンの置換基としてはアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。前記置換されたモノシクロアルキルアミン、置換されたモノ(ヘテロアリール)アミン等の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記置換されたモノアルキルアミンとしては、例えばアリール基で置換されたモノC1-9アルキルアミンが挙げられる。前記置換されたモノアルキルアミンとしては、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミンが好ましく、2−フェニルエチルアミンがより好ましい。
前記置換されたモノアリールアミンとしては、例えば、臭素原子で置換されたモノC6-10アリールアミンが挙げられる。前記置換されたモノアリールアミンとしては、2−ブロモベンジルアミンが好ましい。
前記置換されたモノ(シクロアルキル)アミンとしては、例えば、C1-5アルキルで置換されたモノC3-7シクロアルキルアミンが挙げられる。前記置換されたモノ(シクロアルキル)アミンとしては、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミンが好ましい。
前記置換されたモノ(ヘテロアリール)アミンとしては、例えば、窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる群から選択される1種類以上の原子を1以上含む、6〜12員のヘテロアリール基を含む置換されたモノ(ヘテロアリール)アミンが挙げられる。
前記ジアミンとしては、例えば、C1-10アルキレンジアミンが挙げられる。前記ジアミンとしては、エチレンジアミンが好ましい。
前記2級アミンとしては、ジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、ジ(ヘテロアリール)アミン、置換されたジアルキルアミン、置換されたジアリールアミン、置換されたジシクロアルキルアミン、置換されたジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよいC1-9アルキルを含むジC1-9アルキルアミンが挙げられる。前記ジアルキルアミンとしては、メチルヘキシルアミンが好ましい。
前記ジアリールアミンとしては、例えば、互いに同一または異なっていてもよいC6-10アリールを含むジC6-10アリールアミンが挙げられる。
前記ジ(シクロアルキル)アミンとしては、例えば、互いに同一または異なっていてもよいC3-7シクロアルキルを含むジC3-7シクロアルキルアミンが挙げられる。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンとしては、例えば、窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる群から選択される1種類以上の原子を1以上含む、6〜12員の、互いに同一または異なっていてもよいヘテロアリール基を含むジ(ヘテロアリール)アミンが挙げられる。
前記置換されたジアルキルアミンの置換基としては、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。また、前記置換されたジアリールアミンの置換基としてはアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。前記置換されたジシクロアルキルアミン、置換されたジ(ヘテロアリール)アミン等の置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記置換されたジアルキルアミンとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよい、水酸基で置換されたC1-9アルキルを含むジC1-9アルキルアミンが挙げられる。前記置換されたジアルキルアミンとしては、ジエタノールアミン、メチルベンジルアミン等が好ましい。
前記置換されたジ(ヘテロアリール)アミンとしては、例えば、窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる群から選択される1種類以上の原子を1以上含む、6〜12員のヘテロアリール基を含む置換されたモノ(ヘテロアリール)アミンが挙げられる。
前記3級アミンとしては、トリアルキルアミン、モノアリールジアルキルアミン、モノ(シクロアルキル)ジアルキルアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンとしては、例えばトリ(C1-19アルキル)アミンが挙げられる。前記トリアルキルアミンとしては、ジメチルオクタデシルアミン等が好ましい。
前記モノアリールジアルキルアミンとしては、例えばモノC6-10アリールジ(C1-6アルキル)アミンが挙げられる。
前記モノ(シクロアルキル)ジアルキルアミンとしては、例えばモノ(C3-7シクロアルキル)ジ(C1-6アルキル)アミンが挙げられる。前記モノ(シクロアルキル)ジアルキルアミンとしては、ジメチルシクロヘキシルアミン等が好ましい。
前記4級アミン塩としては、テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物等が挙げられる。
前記テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物としては、例えばテトラ(C1-19アルキル)アンモニウムハロゲン化物が挙げられる。前記テトラアルキルアンモニウムハロゲン化物としては、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラドデシルアンモニウムブロミド等が好ましい。
前記環状アミン化合物としては、ピリジンが好ましい。
前記孤立電子対を有する化合物のうち、チオール化合物としては、モノアルキルチオール、モノアリールチオール等が挙げられる。
前記モノアルキルチオールとしては、例えばモノ(C1-19アルキル)チオールが挙げられる。前記モノアルキルチオールとしては、トデシルチオール等が好ましい。
前記孤立電子対を有する化合物のうち、リン化合物としては、(アルキル)3P、(アリール)3P、(置換アルキル)3P、(置換アリール)3P、ホスホン酸エステル等が挙げられる。
前記(アルキル)3Pとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよいC1-9アルキルを含む(C1-9アルキル)3Pが挙げられる。前記(C1-9アルキル)3Pとしては、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィンが好ましい。
前記(アリール)3Pとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよいC6-10アリールを含む(C6-10アリール)3Pが挙げられる。
前記(置換アルキル)3Pの「置換アルキル」の置換基としては、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。また、前記(置換アリール)3Pの「置換アリール」の置換基としてはアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記(置換アルキル)3Pとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよい置換C1-9アルキルを含む(置換C1-9アルキル)3Pが挙げられる。前記(置換C1-9アルキル)3Pとしては、亜リン酸トリブチルが好ましい。
前記(置換アリール)3Pとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよい置換C6-10アリールを含む(置換C6-10アリール)3Pが挙げられる。
前記ホスホン酸エステルとしては、例えばアルキルホスホン酸ジアルキルエステル、置換アルキルホスホン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。前記アルキルホスホン酸ジアルキルエステルとしては、C1-6アルキルホスホン酸ジ(C1-6アルキル)エステルが挙げられる。前記置換アルキルホスホン酸ジアルキルエステルとしては、置換C1-6アルキルホスホン酸ジ(C1-6アルキル)エステルが挙げられ、ジエチルホスホノ酢酸エチルが好ましい。
本発明のインクにおいて、式(I)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀は、孤立電子対を有する化合物としては1級アミン化合物、リン化合物、2級アミン化合物およびチオール化合物が好ましく、1級アミン化合物、リン化合物がより好ましく、1級アミン化合物がさらに好ましい。
本発明のインクにおいて、式(I)で表わされるβ−カルボン酸銀と前記孤立電子対を有する化合物との含有率は、β−カルボン酸銀(A)と前記孤立電子対を有する化合物(B)のモル比(A):(B)として、例えば1:1.5以上200以下、好ましくは1:2以上200以下、より好ましくは1:3以上200以下である。
本発明のインクは前記のように、さらに溶剤を含んでもよい。前記溶剤としては、前記のようにアルコール、ケトン、エステル、エーテル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、シアノ基またはハロゲン原子で置換された脂肪族炭化水素および水からなる群から選択される1以上であるのが好ましい。前記アルコールとしては、例えば、水酸基を1〜5個有する炭素数1〜9までの脂肪族炭化水素が挙げられる。前記水酸基を1〜5個有する炭素数1〜9までの脂肪族炭化水素としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナンノール、エチレングリコール、グリセロール等が挙げられる。前記アルコールとしては、例えば、前記水酸基を1〜3個有する炭素数1〜5の脂肪族炭化水素が好ましい。前記水酸基を1〜3個有する炭素数1〜5の脂肪族炭化水素としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、グリセロール等が挙げられる。
前記ケトンとしては、(アルキル)2C=O、(アルキル)(アリール)C=O、(アリール)2C=O、(置換アルキル)2C=O、(置換アルキル)(アリール)C=O、(アルキル)(置換アリール)C=O、(置換アリール)2C=O、環状ケトン等が挙げられる。
前記(アルキル)2C=Oとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよいC1-9アルキルを含む(C1-9アルキル)2C=Oが挙げられる。前記(アルキル)2C=Oとしては、2,2−ジメチル−3−ヘキサノンが好ましい。
前記(アルキル)(アリール)C=Oとしては、(C1-9アルキル)(C6-10アリール)C=Oが挙げられる。
前記(アリール)2C=Oとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよいC6-10アリールを含む(C6-10アリール)2C=Oが挙げられる。
前記(置換アルキル)2C=Oおよび(置換アルキル)(アリール)C=Oの「置換アルキル」の置換基としては、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。また、前記(アルキル)(置換アリール)C=Oおよび(置換アリール)2C=Oの置換基としてはアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記(置換アルキル)2C=Oとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよい置換C1-9アルキルを含む(置換C1-9アルキル)2C=Oが挙げられる。
前記(置換アルキル)(アリール)C=Oとしては、例えば(置換C1-9アルキル)(C6-10アリール)C=Oが挙げられる。
前記(アルキル)(置換アリール)C=Oとしては、例えば(C1-9アルキル)(置換C6-10アリール)C=Oが挙げられる。
前記(置換アリール)2C=Oとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよい置換C6-10アリールを含む(置換C6-10アリール)2C=Oが挙げられる。
前記環状ケトンとしては、例えばC4-10シクロアルカノンが挙げられる。前記環状ケトンとしては、シクロヘキサノンが好ましい。
前記エステルとしては、例えば炭素数2〜20のカルボン酸と、炭素数1〜6の脂肪族アルコールとのエステル等が挙げられる。前記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メチルブチルエステル、ヘキサン酸エチルが好ましい。
前記エーテルとしては、(アルキル)2O等が挙げられる。前記(アルキル)2Oとしては、例えば互いに同一または異なっていてもよいC1-9アルキルを含む(C1-9アルキル)2Oが挙げられる。前記(アルキル)2Oとしては、ジエチルエーテルが好ましい。
前記芳香族炭化水素としては、炭素数6〜24の芳香族炭化水素および置換された炭素数6〜24の芳香族炭化水素が挙げられる。前記方向族炭化水素としては、例えばベンゼン、トルエン等が挙げられ、トルエンが好ましい。
前記脂肪族炭化水素としては、炭素数1〜9の脂肪族炭化水素が挙げられる。前記炭素数1〜9までの脂肪族炭化水素としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等が挙げられる。前記脂肪族炭化水素としては、例えば、ヘキサン、イソオクタン等が挙げられ、イソオクタンが好ましい。
前記シアノ基またはハロゲン原子で置換された脂肪族炭化水素としては、シアノ基またはハロゲン原子で1〜6置換された炭素数1〜9の脂肪族炭化水素が挙げられる。前記シアノ基またはハロゲン原子で置換された脂肪族炭化水素としては、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム等が挙げられ、アセトニトリル、クロロホルムが好ましい。
前記アリール基で置換されたモノC1-9アルキルアミン、ジC1-9アルキルアミン、(C1-9アルキル)3P、(置換C1-9アルキル)3P、(C1-9アルキル)2C=O、(C1-9アルキル)(C6-10アリール)C=O、(置換C1-9アルキル)2C=O、(置換C1-9アルキル)(C6-10アリール)C=O、(C1-9アルキル)(置換C6-10アリール)C=O、(C1-9アルキル)2O等における炭素数1〜9までのアルキル(C1-9アルキル)とはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、t−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、4−エチルペンチル、1,1−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1−プロピルブチル、n−オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、5−エチルヘキシル、1,1−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、1−プロピルペンチル、および2−プロピルペンチルなどの直鎖状または分岐状のアルキルであり、好適には炭素数3〜6のものである。
前記モノC6-10アリールアミン、C6-10アリールアミン、モノC6-10アリールジ(C1-6アルキル)アミン、(C6-10アリール)3P、(置換C6-10アリール)3P、(C1-9アルキル)(C6-10アリール)C=O、(C6-10アリール)2C=O、(置換C1-9アルキル)(C6-10アリール)C=O、(C1-9アルキル)(置換C6-10アリール)C=O、(置換C6-10アリール)2C=O等における炭素数6〜10のアリール(すなわちC6-10アリール)としては、例えばフェニル、ナフチル等が挙げられる。
前記モノC3-7シクロアルキルアミン、ジC3-7シクロアルキルアミン、モノ(C3-7シクロアルキル)ジ(C1-6アルキル)アミン等における炭素数3〜7のシクロアルキル(すなわちC3-7シクロアルキル)としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルなどが挙げられ、より好適には炭素数1〜4のもの、シクロプロピル、シクロブチルが挙げられる。
前記窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる群から選択される1種類以上の原子を1以上含む、3〜12員のヘテロアリールとしては、
窒素原子1〜4個を有する3〜8員、好ましくは5または6員の複素単環基、例えばピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニルなど;
酸素原子1個を有する3〜8員、好ましくは5または6員の複素単環基、例えばフラニルなど;
硫黄原子1個を有する3〜8員、好ましくは5または6員の複素単環基、例えばチエニルなど;
酸素原子1〜2個および窒素原子1〜3個を有する3〜8員、好ましくは5または6員の複素単環基、例えばオキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、モルホリニルなど;
硫黄原子1または2個および窒素原子1〜3個を有する3〜8員、好ましくは5または6員の複素単環基、例えばチアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニルなど;
窒素原子1〜5個を有する7〜12員、好ましくは9または10員の縮合複素環基、例えばインドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリジル、テトラゾロピリダジニル、ジヒドロトリアゾロピリダジニルなど;
硫黄原子1〜3個を有する7〜12員、好ましくは9または10員の縮合複素環基、例えばジチアナフタレニル、ベンゾチオフェニルなど;
酸素原子1〜2個および窒素原子1〜3個を有する7〜12員、好ましくは9または10員の縮合複素環基、例えばベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリルなど;
硫黄原子1または2個および窒素原子1〜3個を有する7〜12員、好ましくは9または10員の縮合複素環基、例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなど;
などを挙げることができる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
本発明のインクは、粘度が例えば0.5mPa・s以上50000mPa・s以下、好ましくは0.5mPa・s以上100mPa・s以下、より好ましくは0.5mPa・s以上20mPa・s以下である。粘度が前記のような0.5mPa・s以上16mPa・s以下の範囲にあれば、前記インクを例えばインクジェット方法において好適に用いることが可能である。また、粘度が前記のような10mPa・s以上50000mPa・s以下の範囲にあれば、前記インクを例えばグラビア印刷方法において好適に用いることが可能である。なお、粘度は、振動式粘度測定方法により、室温下で測定した。
また、本発明のインクは、表面張力が例えば5mN/m以上100mN/m以下、好ましくは10mN/m以上80mN/m以下、より好ましくは20mN/m以上60mN/m以下である。表面張力が前記のような5mN/m以上100mN/m以下の範囲にあれば、前記インクを例えばインクジェット方法において好適に用いることが可能である。なお、表面張力は、気泡発生時の圧力変化測定方法により、室温下、気泡周波数0.1Hzから10Hzの条件下で測定した。
また、本発明のインクにおいて、式(I)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀は、前記孤立電子対を有する化合物が1級アミン化合物、2級アミン化合物である場合、溶剤としては水、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、イソオクタンなどの低級炭化水素、シアノ基またはハロゲン原子で置換された脂肪族炭化水素が好ましく、アルコール、エーテル、エステル、ケトンがさらに好ましい。また、式(I)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀は、前記孤立電子対を有する化合物がリン化合物である場合、溶剤としては水、アルコール、エーテル、エステル、ケトンの様な酸素原子を含む溶媒が好ましく、アルコールがさらに好ましい。
本発明のインクは、前記のように印刷時、すなわち印刷に要する時間において十分に安定である。その結果、本発明のインクを用いて安定した印刷が可能である。また、本発明のインクは、低温〜室温において安定に保存が可能であり、例えば、比較的長期にわたって低温(冷蔵庫等)で保存した後のインクを用い、室温下で安定して印刷することができる。
本発明の配線を形成する方法は、前記のように、本発明のインクを基板上に配置し、前記インクが配置された基板を焼成することにより配線を形成する工程を含む。
前記方法において、基板としてはその表面に本発明のインクを配置することが可能であれば特に限定されないが、例えば、セラミック、ガラス、樹脂、紙、金属、シリコン等から形成されるものが挙げられる。前記方法は、加熱温度が低温であるため、熱可塑性樹脂のような加熱に弱いものも用いることができる。
前記方法において、前記インクを基板上に塗布する工程は、基板表面に本発明のインクを配置することが可能であれば特に限定されないが、例えば、印刷法、コーティング法等により行ってもよい。前記印刷法としては、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサー印刷法、グラビア印刷法等が挙げられ、インクジェット印刷法が好ましい。
前記方法において、前記インクが配置された基板を焼成する工程は、例えば80℃以上200℃以下、好ましくは80℃以上150℃以下、より好ましくは140℃で行うことができる。
[参考例1]
(2−ベンジルアセト酢酸銀の製造)
水酸化ナトリウム(1.92g)を水(8ml)に溶解し、これを室温で撹拌しながら、2−ベンジルアセト酢酸エチル(8.89g:和光純薬社製)を滴下し、さらに30分間撹拌した。その後、ロータリーエバポレーターによってエタノールを除去し、残留した水層をエーテルで洗浄した。これにエーテル(20ml)を添加し、さらに、氷冷下で撹拌しながら、水(8ml)に濃硫酸(2.35g)を溶解させたものを滴下した。エーテル層を分取し、水層を塩析した後にエーテルで抽出した。エーテル層を集め、2−ベンジルアセト酢酸のエーテル溶液を得た。
ジエタノールアミン(4.41g)を水(15ml)に溶解し、この溶液を、氷冷下で2−ベンジルアセト酢酸のエーテル溶液に添加した。続いて、水(15ml)に硝酸銀(6.36g)を溶解させたものを滴下した。そして、析出した白色沈殿物を濾取し、氷水、続いてイソプロパノールで洗浄し、乾燥させることによって、2−ベンジルアセト酢酸銀を[白色 ]沈殿物として得た(収量7g)。
図7にFT−IRを示す。IR(KBr):1700.45、1538.94cm-1
元素分析:C:43.83%、H:3.39%、Ag:35.85%。理論値:C:44.18%、H:3.71%、Ag:36.07%。
1H−NMR:δ1.055(2H t),2.119(3H s),3.010(1H t),7.186(5H m)。
[実施例1]
2−メチルアセト酢酸銀(2.5g)とフェネチルアミン(5g)とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。製造したインクを24時間室温で放置した後、インクの室温における安定性を評価した。この安定性は、24時間室温で放置した後のインクが、「○」は透明かつ沈殿のない溶液を意味し、「△」は透明ではないが白色あるいは黄色の溶液あるいはゲルを意味し、「×」は黒色あるいは灰色、銀色の沈殿を有する溶液を意味する。なお、2−メチルアセト酢酸銀は、国際公開第2007/4437号パンフレットに記載の方法に従い製造した。成分の配合比(重量%)と安定性の評価を表1に示す。
[実施例2〜10]
2−メチルアセト酢酸銀(2.5g)とフェネチルアミン(5g)と、任意に溶剤とを氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。製造したインクの室温における安定性を実施例1と同様にして評価した。成分の配合比(重量%)と安定性の評価を表1に示す。
[比較例1および2]
また、2−メチルアセト酢酸銀と溶剤とを、室温で混合してインクを製造した(比較例1および2)。製造したインクの安定性を実施例1と同様にして評価した。成分の配合比(重量%)と安定性の評価を表1に示す。
Figure 0005530061
前記表1に示すように、実施例1〜10の結果から、2−メチルアセト酢酸とフェネチルアミンとを含むインクは、室温において24時間安定性が高いことが確認できた。また、実施例2〜10の結果から、2−メチルアセト酢酸とフェネチルアミンとさらに溶剤とを含むインクは、室温において24時間安定性が高いことが確認できた。従って、これらのインクは印刷時において安定であることが確認できた。なお、実施例5で製造したインクを冷凍庫で保存した場合、1ヶ月以上安定であることも確認できた。
[実施例11]
2−メチルアセト酢酸銀(2.5g、25重量%)とフェネチルアミン(5g、50重量%)と、エタノール(2.5g、25重量%)とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。
[実施例12]
フェネチルアミンの代わりに2−エチルヘキシルアミンを用いる以外は実施例11と同様にしてインクを製造した。
[実施例13]
フェネチルアミンの代わりにヘキシルアミンを用いる以外は実施例11と同様にしてインクを製造した。
[実施例14]
2−メチルアセト酢酸銀(2.5g、25重量%)と2−エチルヘキシルアミン(5g、50重量%)と、n−ブタノール(2.5g、25重量%)とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。
[実施例15]
n−ブタノールの代わりに2−プロパノールを用いる以外は実施例14と同様にしてインクを製造した。
[実施例16]
フェネチルアミンの代わりにプロピルアミンを用いる以外は実施例11と同様にしてインクを製造した。
(焼成に関する実験1)
実施例11で製造したインクを用いて、インクジェット方法で紙(レーザープリンタ用紙、コクヨ社製、製品名:LBP−FG1310)の上に一面に印刷した。印刷されたインクが配置された紙を、150℃、5分間の条件下で加熱した。得られた紙上の金属銀の被膜をSEMで観察した。その結果を図1に示す。図1(a)は前記被膜の表面をSEM観察し、図1(b)は前記被膜をFIB(Focused Ion beam)加工した後の断面をSEM観察したものである。図1(a)および図1(b)に示すように、本発明のインクを用いて加熱すると金属銀の被膜が隙間なく形成されていることが確認できた。また金属銀の被膜の厚みは約0.3μmであった。
なお、加熱中、一定時間毎にレーザープリンタ用紙上に印刷されたインクの状態を光学顕微鏡で観察した。その結果を図2に示す。図2に示すように、75℃付近での加熱から銀粒子の形成が認められ、90℃付近での加熱から銀粒子の被膜の形成が認められ、120℃付近での加熱から銀粒子の焼成は完了していることが確認できた。
(焼成に関する実験2)
また、実施例11で製造したインクを用いて、ピエゾ方式のインクジェット装置(コニカミノルタIJ社製、製品名KM512LN)を用いてレーザープリンタ用光沢紙(コクヨ社製、製品名[レーザープリンタ用光沢紙厚手(LBP−FG1310)、厚さ:193μm、紙上に白色化あるいは平滑化の炭酸カルシウム等の無機酸化物層、その上にポリビニルアルコール等の樹脂製の吸着層をコートした紙)の上に50mm×1.5mmの大きさの帯の形状に印刷した。印刷されたインクが配置された紙を、80℃、100℃、120℃、または150℃で加熱した。各加熱温度で得られた紙上の金属銀の被膜の電気特性を測定した。
前記電気特性は、体積抵抗で評価し、測定は二端子方式のテスターを用いて測定した。その結果を図3に示す。また、150℃で10分間加熱して得られた金属銀の被膜の表面の光学顕微鏡写真を図4に示す。前記図3に示すように、120℃で15分間の加熱により、10-4Ωcm以下の体積抵抗値が得られることが確認できた。
(焼成に関する実験3)
実施例11、12および13で製造したインクを用いて、インクジェット方法で紙(コクヨ社製、製品名:レーザープリンタ用光沢紙厚手(LBP−FG1310)、厚さ:193μm、紙上に白色化あるいは平滑化の炭酸カルシウム等の無機酸化物層、その上にポリビニルアルコール等の樹脂製の吸着層をコートした紙)の上に一面に印刷した。印刷されたインクが配置された紙を、温度をかけて加熱した。得られた紙上のインクの焼成についてTGA測定を行った。室温から300度まで10℃/分の昇温速度で測定した。その結果を図5(a)に示す。また、硝酸銀(2.5g、25重量%)と、2−エチルヘキシルアミン(5g、50重量%)と、エタノール(2.5g、25重量%)とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。この硝酸銀のインクを前記と同様にして紙の上に一面に印刷した。実施例12とこの硝酸銀のインクの焼成に関する結果を、図5(b)に示す。図5(a)に示すように、実施例12および実施例13のインクを用いて加熱すると140℃で金属銀の被膜が形成されていることが確認できた。また、図5(b)に示すように、実施例12のインクを用いて加熱すると140℃で金属の被膜が形成されている。一方、硝酸銀のインクを用いて加熱すると、210℃で金属の被膜が形成されていることが確認できた。
(粘度に関する実験)
実施例11〜16で製造したインクの粘度を測定した。粘度測定は、振動式粘度測定装置(CBC社製、VM−10A)を用いて測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0005530061
表2に示すように実施例11〜16のインクは粘度が16mPa・s以下であることが確認できた。この程度の粘度のインクは、インクジェット方式のカートリッジを用いて印刷することが可能である。
(表面張力に関する実験)
実施例11〜13、16で製造したインクの表面張力を測定した。表面張力測定は、動的表面張力計(SITA社製)を用いて測定した。得られた結果を図6に示す。
図6に示すように、実施例11〜13、16のインクは表面張力が20〜60mN/mであることが確認できた。この程度の表面張力のインクは、インクジェット方式のカートリッジを用いて印刷することが可能である。
(β−ケトカルボン酸銀に関する実験)
[実施例17]
2−メチルアセト酢酸銀(2.5g、25重量%)と2−エチルヘキシルアミン(5g、50重量%)と、エタノール(2.5g、25重量%)とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。
[実施例18]
エタノールの代わりに1−ブタノールを用いた以外は実施例17と同様にしてインクを製造した。
[実施例19]
2−エチルヘキシルアミンの代わりに2−フェニルエチルアミンを用いる以外は実施例17と同様にしてインクを製造した。
[実施例20]
2−エチルヘキシルアミンの代わりに2−フェニルエチルアミンを、エタノールの代わりに1−ブタノールを用いた以外は実施例17と同様にしてインクを製造した。
[実施例21]
2−ベンジルアセト酢酸銀(2.5g、25重量%)と2−フェニルエチルアミン(5g、50重量%)と、1−ブタノール(2.5g、25重量%)とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。
[実施例22]
2−エチルアセト酢酸銀(2.5g、25重量%)と2−エチルヘキシルアミン(5g、50重量%)と、エタノール(2.5g、25重量%)とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。
実施例17〜22のそれぞれで製造したインクの安定性を実施例1と同様にして評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0005530061
表中、「○」は透明かつ沈殿のない溶液を意味し、「△」は透明ではないが白色あるいは黄色の溶液あるいはゲルを意味し、「×」は黒色あるいは灰色、銀色の沈殿を有する溶液を意味する。
前記表3に示すように、実施例17〜22の結果から、β−ケトカルボン酸銀と孤立電子対を有する化合物と溶剤とを含むインクは、室温において24時間安定性が高いことが確認できた。従って、これらのインクは印刷時において安定であることが確認できた。なお、実施例17、18および19で製造したインクを冷凍庫で保存した場合、1ヶ月以上安定であることも確認できた。
(孤立電子対を有する化合物の種類に関する実験)
2−メチルアセト酢酸銀と孤立電子対を有する化合物と溶剤とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。これらの成分の種類は、表4に示す。製造したインクの安定性を実施例1と同様にして評価した。成分の配合比(重量%)は、2−メチルアセト酢酸銀が25重量%、孤立電子対を有する化合物が50重量%、溶剤が25重量%である。孤立電子対を有する化合物と溶剤の種類と、安定性の評価を表4に示す。なお、2−メチルアセト酢酸銀は、国際公開第2007/4437号パンフレットに記載の方法に従い製造した。
Figure 0005530061
表中、「○」は透明かつ沈殿のない溶液を意味し、「△」は透明ではないが白色あるいは黄色の溶液あるいはゲルを意味し、「×」は黒色あるいは灰色、銀色の沈殿を有する溶液を意味する。
表4に示すように、2−メチルアセト酢酸銀と種々の孤立電子対を有する化合物とを含むインクの室温において24時間安定性が優れていることが確認できた。従って、これらのインクは印刷時において安定であることが確認できた。特に、孤立電子対を有する化合物として1級アミンまたはリン化合物を用いたインクは室温において24時間後も安定であった。孤立電子対を有する化合物として、2級アミン、3級アミン、ジアミンまたはチオールを用いたインクは室温において5時間後も安定であった。なお、実施例25、28、29、31、32および34で製造したインクを冷凍庫で保存した場合、1ヶ月以上安定であることも確認できた。
(溶剤に関する実験)
2−メチルアセト酢酸銀と孤立電子対を有する化合物と溶剤とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。これらの成分の種類は、表5に示す。製造したインクの安定性を実施例1と同様にして評価した。成分の配合比(重量%)は、2−メチルアセト酢酸銀が25重量%、孤立電子対を有する化合物が50重量%、溶剤が25重量%である。孤立電子対を有する化合物と溶剤の種類と、安定性の評価を表5に示す。なお、2−メチルアセト酢酸銀は、国際公開第2007/4437号パンフレットに記載の方法に従い製造した。
Figure 0005530061
表中、「○」は透明かつ沈殿のない溶液を意味し、「△」は透明ではないが白色あるいは黄色の溶液あるいはゲルを意味し、「×」は黒色あるいは灰色、銀色の沈殿を有する溶液を意味する。
表5に示すように、2−メチルアセト酢酸銀と種々の孤立電子対を有する化合物と溶剤とを含むインクの室温において24時間安定性が優れていることが確認できた。従って、これらのインクは印刷時において安定であることが確認できた。特に、溶剤として水またはアルコールを用いたインクは室温において24時間後も安定であった。なお、実施例45、46、47で製造したインクを冷凍庫で保存した場合、1ヶ月以上安定であることも確認できた。
(β−ケトカルボン酸銀と孤立電子対を有する化合物と溶剤との比に関する実験)
2−メチルアセト酢酸銀と孤立電子対を有する化合物と溶剤とを、氷水で冷却しながら混合してインクを製造した。これらの成分の種類と重量比は、表6に示す。製造したインクの安定性を実施例1と同様にして評価した。孤立電子対を有する化合物と溶剤の種類と、安定性の評価を表5に示す。なお、2−メチルアセト酢酸銀は、国際公開第2007/4437号パンフレットに記載の方法に従い製造した。
Figure 0005530061
表中、「○」は透明かつ沈殿のない溶液を意味し、「△」は透明ではないが白色あるいは黄色の溶液あるいはゲルを意味し、「×」は黒色あるいは灰色、銀色の沈殿を有する溶液を意味する。
表6に示すように、2−メチルアセト酢酸銀と種々の孤立電子対を有する化合物と溶剤とを含むインクの室温において24時間安定性が優れていることが確認できた。従って、これらのインクは印刷時において安定であることが確認できた。また、β−ケトカルボン酸銀1モルに対し、孤立電子対を有する化合物は3モル以上含むインクが室温において安定であることが確認できた。
本発明のインクは、高密度な回路形成にも適用できる。
図1は、紙上のインクを加熱したあとのSEM写真である。図1(a)は形成した被膜の表面を、図1(b)は形成した被膜と紙とをFIB加工した後の断面のSEM写真である。 図2は、紙上のインクの状態を示した光学顕微鏡写真である。 図3は、紙上の金属銀の被膜の抵抗値を示すグラフである。 図4は、紙上の金属銀の被膜の表面の光学顕微鏡写真である。 図5(a)は、実施例11〜13のインクの焼成過程を示すTGA測定のグラフである。図5(b)は、実施例12と硝酸銀のインクの焼成過程を示すTGA測定のグラフである。 図6は、実施例11〜13のインクの表面張力を示すグラフである。 図7は、参考例1で製造した2−ベンジルアセト酢酸銀のIRスペクトルである。

Claims (6)

  1. 式(I)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀と、1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物、4級アミン塩化合物、環状アミン化合物、チオール化合物およびリン化合物からなる群から選択される1以上と、水酸基を1〜5個有する炭素数3〜9の脂肪族炭化水素、水、ケトン、エステル及びエーテルからなる群から選択される1以上とを含むインク。
    Figure 0005530061
    [前記式(I)において、Rは、直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、R1−CY2−、CY3−、R1−CHY−、R2O−、フェニル基、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基、R54N−、水酸基、アミノ基、または、(R3O)2CY−である。
    ただし、Yは、同一であるかまたは異なり、それぞれフッ素原子、塩素原子、臭素原子または水素原子であり、R1は直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C19脂肪族炭化水素基、または、フェニル基であり、R2は直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基であり、R3は直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C16脂肪族炭化水素基であり、R4およびR5は、同一であるかまたは異なり、それぞれ直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C18脂肪族炭化水素基である。
    前記式(I)において、Xは、同一であるかまたは異なり、それぞれ水素原子、直鎖、分枝または環状の飽和または不飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基、R6O−、R6S−、R6−CO−、R6−CO−O−、ハロゲン、ベンジル基、フェニル基、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基もしくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基である。
    ただし、R6は直鎖、分枝もしくは環状の飽和もしくは不飽和C1〜C10脂肪族炭化水素基、チオフェニル基、フェニル基、ジフェニル基、または、1個もしくは複数の置換基で置換されたフェニル基もしくはジフェニル基である。]
  2. 前記Rが直鎖もしくは分枝の飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基またはフェニル基である請求項1に記載のインク。
  3. 前記Xが水素原子、直鎖の飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基またはベンジル基である請求項1または2に記載のインク。
  4. 前記Xが互いに異なり、それぞれが水素原子と、直鎖の飽和C1〜C20脂肪族炭化水素基またはベンジル基とである請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク。
  5. 前記β−ケトカルボン酸銀:前記1級アミン化合物、2級アミン化合物、3級アミン化合物、4級アミン塩化合物、環状アミン化合物、チオール化合物およびリン化合物からなる群から選択される1以上のモル比が1:3以上200以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のインク。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載のインクを基板上に配置し、
    前記インクが配置された基板を焼成することにより配線を形成する方法。
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