JP2017179155A - パッケージ、銀インク組成物の保存方法 - Google Patents

パッケージ、銀インク組成物の保存方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パッケージ及び銀インク組成物の保存方法の提供。【解決手段】容器内に金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物と、酸素ガスとを含むパッケージであって、前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積の割合が、5.0体積%以上であることを特徴とするパッケージ。【選択図】なし

Description

本発明はパッケージ及び銀インク組成物の保存方法に関する。
金属銀は、記録材料や印刷刷版の材料として、また、導電性に優れることから高導電性材料として幅広く用いられている。金属銀は、例えば金属銀を形成するための銀インク組成物を用いて形成される。
金属銀を形成するための銀インク組成物には、β‐ケトカルボン酸銀等の有機銀等が金属銀の形成材料として用いられている(例えば特許文献1)。
特許第5394356号公報
β‐ケトカルボン酸銀を溶媒に溶解させて得られる銀インク組成物は、インクの保存安定性が悪いという課題があった。
上記特許文献1には、銀インク組成物の処方を改良したことにより、室温での保存で24時間沈殿物の析出がない、安定した銀インク組成物が得られた旨が開示されている。
しかし、銀インク組成物の種類を問わず、長時間沈殿物の析出がない安定した銀インク組成物を得るためには、更なる改良の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、長時間沈殿物の析出がない安定した銀インク組成物を提供できるパッケージ、及び銀インク組成物の保存方法を提供することを課題とする。
本発明の第1の態様は、容器内に金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物と、酸素ガスとを含むパッケージであって、前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積の割合が、5.0体積%以上であることを特徴とするパッケージである。
本発明の第2の態様は、容器内に金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物と、酸素ガスとを充填する銀インク組成物の保存方法であって、前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積の割合が、5.0体積%以上となるように酸素ガスを充填することを特徴とする、銀インク組成物の保存方法である。
本発明によれば、長時間沈殿物の析出がない安定した銀インク組成物を提供できるパッケージ、及び銀インク組成物の保存方法を提供することができる。
<パッケージ>
本発明のパッケージは、容器内に金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物と、酸素ガスとを含むパッケージであって、前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積の割合が、5.0体積%以上であることを特徴とする。
従来、長期間に渡って内容物を保管する場合は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスや、酸素が十分に除去された不活性ガスで置換された雰囲気で保存する方法が一般的であった。
本発明者らが鋭意検討した結果、容器内に金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物(以下、「銀インク組成物」と記載することがある)を充填したパッケージにおいて、前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積割合を特定の割合にした場合に、充填された銀インク組成物の保存安定性が大きく向上することが見出された。
保存安定性を向上させるために酸素ガスを充填することは、従来の発想とは逆の発想であり、本発明はこれまでにない新規な発想に基づくものである。
また、本発明のパッケージは、容器内のガス中の酸素ガスの含有割合を特定の割合とすることにより保存安定性を向上させることができるので、充填する銀インク組成物の種類によらず、保存安定性を向上させることができる。
より具体的には、本発明によれば、少なくとも2日間から10日以上沈殿物が析出しない、パッケージを提供することができる。
本発明のパッケージは、容器内に銀インク組成物と、酸素ガスとを含む。充填する銀インク組成物については後述する。
さらに本発明のパッケージは、前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積の割合が、5.0体積%以上である。
本発明のパッケージは、銀インク組成物を容器に充填した後、容器内の全ガス中に占める酸素ガスの割合が、前記容器内の収容部の体積に対して、5.0体積%以上である。
パッケージ内の酸素ガス量は、10体積%以上が好ましく、20体積%以上がより好ましく、30体積%以上が特に好ましい。
パッケージ内の酸素ガス量の上限値は特に限定されないが、一例としては、95体積%以下、90体積%以下、80体積%以下が挙げられる。
上述した酸素ガス量の上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
大気中の酸素ガス濃度は約20%であるため、大気を充填した場合であっても、例えば容器内に銀インク組成物を70体積%充填し、容器内大気量が30体積%となるように充填した場合には、前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積の割合が、6.0体積%となり、本発明の特定の酸素ガス量を達成することができる。
また、容器内に銀インク組成物を充填し、ヘッドスペース部分を気相置換して酸素ガスを充填することにより、特定の割合の酸素ガス量とすることが好ましい。
酸素ガスで置換する方法は特に限定されないが、銀インク組成物を入れた容器に酸素ガスを加圧充填し、この容器を密閉する方法が好ましい。
酸素ガスの流量は特に限定されないが、例えば、酸素ガスを充填する空間の体積が4mL以上100mL以下の場合に、例えば5mL/min以上20mL/min以下が挙げられる。
≪容器≫
本発明のパッケージを構成する容器は、銀インク組成物を充填でき、酸素ガスを充填して密閉できる容器であれば、材質や形状は限定されない。
容器としては、例えば、ガラス製、樹脂製又は金属製の容器が挙げられる。
≪銀インク組成物≫
本発明においては、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物がパッケージ内に充填されている。
以下に、本発明のパッケージ内に充填される銀インク組成物について説明する。本発明においては、容器内のガス中の酸素ガスの含有割合を特定の割合とすることにより保存安定性を向上させることができるので、以下のいずれの銀インク組成物を充填した場合であっても、その処方に拠ることなく、保存安定性を向上させることができる。
前記金属銀の形成材料は、銀原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属銀を生じるものであればよく、銀塩、銀錯体、有機銀化合物(銀−炭素結合を有する化合物)等が例示できる。前記銀塩及び銀錯体は、有機基を有する銀化合物及び有機基を有しない銀化合物のいずれでもよい。なかでも金属銀の形成材料は、加熱によって分解し、金属銀を形成するものが好ましく、銀塩であることが好ましい。
金属銀の形成材料を用いることで、前記材料から金属銀が生じ、この金属銀を含む銀細線が形成される。この場合の銀細線は、先に説明したように、金属銀を主成分とするものであり、金属銀の比率が十分に高い。
前記銀インク組成物としては、金属銀の形成材料が均一に分散されたものが好ましい。
[カルボン酸銀]
金属銀の形成材料としては、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀が例示できる。
本発明において、カルボン酸銀は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(以下、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Figure 2017179155
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 2017179155
(式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「−C(=O)−OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)
(β−ケトカルボン酸銀(1))
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が例示できる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基が例示できる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。
Rにおける前記アルケニル基としては、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基が例示できる。
Rにおける前記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が例示できる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が例示できる。また、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R−CY −」、「CY −」及び「R−C(=O)−CY −」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C−)であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるRは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるRは、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R−C(=O)−CY −」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基の前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このようなものとしては式「=CH−C−NO」で表される基が例示できる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成することが可能である。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。還元剤については後ほど説明する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(カルボン酸銀(4))
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。
式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。ただし、Rにおける前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
における前記脂肪族炭化水素基がメチレン基(−CH−)を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されていてもよいメチレン基の数及び位置は特に限定されず、すべてのメチレン基がカルボニル基で置換されていてもよい。ここで「メチレン基」とは、単独の式「−CH−」で表される基だけでなく、式「−CH−」で表される基が複数個連なったアルキレン基中の1個の式「−CH−」で表される基も含むものとする。
カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH−C(=O)−C(=O)−OAg)、酢酸銀(CH−C(=O)−OAg)、酪酸銀(CH−(CH−C(=O)−OAg)、イソ酪酸銀((CHCH−C(=O)−OAg)、2−エチルへキサン酸銀(CH−(CH−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、ネオデカン酸銀(CH−(CH−C(CH−C(=O)−OAg)、シュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)、又はマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。また、上記のシュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)及びマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)の2個の式「−COOAg」で表される基のうち、1個が式「−COOH」で表される基となったもの(HO−C(=O)−C(=O)−OAg、HO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)も好ましい。
カルボン酸銀(4)も、β−ケトカルボン酸銀(1)と同様に、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本発明において、カルボン酸銀(4)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2−エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
銀インク組成物において、前記金属銀の形成材料に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。このような範囲であることで、形成された導電体(金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された前記金属銀の形成材料中の銀を意味し、配合後に引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料が分解して生じた分解物中の銀及び銀自体と、の両方を含む概念とする。
[含窒素化合物]
前記銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合には、前記金属銀の形成材料以外に、さらに含窒素化合物が配合されていることが好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上である。すなわち、配合される含窒素化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(アミン化合物、第4級アンモニウム塩)
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が例示できる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示でき、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミンが例示できる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が例示でき、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子が例示できる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、フラニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、チエニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたものが例示できる。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしてはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンが例示できる。
前記第2級アミンとしては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が例示できる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミンが例示できる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が例示できる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が例示できる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドが例示できる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、ピリジンが例示できる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が例示できる。ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、かかるアルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、2−ブロモベンジルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、かかるアリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基が好ましく、このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、ブロモフェニルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、かかるアルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミンが例示できる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに銀細線の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
(アミン化合物由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が例示できるが、これらに限定されない。
(アンモニア由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが例示できる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、塩化アンモニウム等が例示できるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物において、前記含窒素化合物の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.3〜15モルであることが好ましく、0.3〜5モルであることがより好ましい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、導電体(金属銀)の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電体を形成できる。
[還元剤]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものであってもよい。還元剤を配合することで、前記銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する導電体(金属銀)を形成できる。
前記還元剤は、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上の還元性化合物(以下、単に「還元性化合物」と略記することがある)であることが好ましい。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
(還元性化合物)
前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(HN−NH)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される一種以上である。すなわち、配合される還元性化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
21における炭素数20以下のアルコキシ基は、炭素数が1〜20であり、R21における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が例示できる。
21における炭素数20以下のN,N−ジアルキルアミノ基は、炭素数が2〜20であり、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記アルキル基はそれぞれ炭素数が1〜19である。ただし、これら2個のアルキル基の炭素数の合計値が2〜20である。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
前記還元性化合物として、ヒドラジンは、一水和物(HN−NH・HO)を用いてもよい。
前記還元性化合物で好ましいものとしては、ギ酸(H−C(=O)−OH);ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCHCH)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CHCH)等のギ酸エステル;プロパナール(H−C(=O)−CHCH)、ブタナール(H−C(=O)−(CHCH)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CHCH)等のアルデヒド;ホルムアミド(H−C(=O)−NH)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH)等のホルムアミド類(式「H−C(=O)−N(−)−」で表される基を有する化合物);シュウ酸が例示できる。
銀インク組成物において、還元剤の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.04〜3.5モルであることが好ましく、0.06〜2.5モルであることがより好ましい。還元剤の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は、より容易に、より安定して導電体(金属銀)を形成できる。
[アルコール]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなることが好ましい。
前記アルコールは、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。
Figure 2017179155
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
(アセチレンアルコール(2))
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が例示でき、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2−プロピン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オールが例示できる。
アセチレンアルコール(2)を用いる場合、銀インク組成物において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.03〜0.7モルであることが好ましく、0.03〜0.5モルであることがより好ましく、0.03〜0.3モルであってもよい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
前記アルコールは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[その他の成分]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤、アセチレンアルコール以外のアルコール、アルコール以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。
アセチレンアルコール以外のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の二価アルコール等が挙げられる。
アセチレンアルコール以外のアルコールの添加量は特に限定されないが、一例としては、金属銀の形成材料1モルに対して、0.05モル以上10モル以下であることが好ましく、0.1モル以上8モル以下であることがより好ましい。
銀インク組成物における前記その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記アルコール以外の溶媒は、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。好ましい溶媒としては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、シクロオクタン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素;エタノール、2−プロパノール等の飽和脂肪族アルコール;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド、水等が挙げられるが、これらに限定されない。
銀インク組成物における前記その他の成分の配合量は、前記その他の成分の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物の粘度等、目的に応じて選択すればよいが、金属銀の形成材料1モルに対して、0.5モル〜5.0モルであることが好ましく、0.5モル〜3.5モルであることがより好ましく、0.5〜2.0モルであることが特に好ましい。
また、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合が0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、並びに還元剤及びアルコールのいずれか一方又は両方が配合されてなるものが好ましく、前記カルボン酸銀、含窒素化合物、並びに還元剤及びアルコールのいずれか一方又は両方が配合されてなるものがより好ましい。
銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
[銀インク組成物の製造方法]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、及び前記金属銀の形成材料以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に前記金属銀の形成材料としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、上記の各成分の配合時において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する金属銀が得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、1分〜36時間であることが好ましい。
銀インク組成物の中でも、上述の特に好ましいものとして挙げた、前記金属銀の形成材料、希釈剤、含窒素化合物及びアセチレンアルコールが配合されてなるものは、以下に示す製造方法(i)又は製造方法(ii)で製造することが好ましい。
(製造方法(i))
銀インク組成物の製造方法である製造方法(i)は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物及びアセチレンアルコールを配合して組成物(以下、「中間組成物(i)」と略記することがある)を調製する工程(以下、「中間組成物(i)調製工程」と略記することがある)と、前記組成物及び希釈剤を配合して、銀インク組成物を調製する工程(以下、「銀インク組成物(i)調製工程」と略記することがある)と、を有する。
なお、本明細書において単なる「銀インク組成物」との記載は、特に断りのない限り、以下で説明する銀インク組成物(i)に限定されず、本発明が適用される銀インク組成物全般を意味するものとする。
・中間組成物調製工程(i)
前記中間組成物(i)調製工程においては、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物及びアセチレンアルコールを配合して、中間組成物(i)を調製する。中間組成物(i)は、それ自体が金属銀を容易に形成可能な銀インク組成物に相当するが、後述するように、さらに希釈剤の配合対象である場合には、特に中間組成物(i)と称する。
中間組成物(i)調製工程においては、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物及びアセチレンアルコール以外の成分(以下、「任意成分(S11)」と略記することがある)を配合してもよく、このような任意成分(S11)としては、例えば、前記銀インク組成物におけるその他の成分、前記希釈剤等が挙げられる。
中間組成物(i)調製工程において配合する、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アセチレンアルコール及び任意成分(S11)は、いずれも、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
中間組成物(i)調製工程において、任意成分(S11)を配合する場合には、その配合量は、目的とする銀インク組成物(i)における任意成分(S11)の最終的な配合量を超えないように調節する。
ただし、中間組成物(i)調製工程において、前記希釈剤を配合する場合には、その配合量は少ないほど好ましく、本工程において、配合成分の総量に対する、前記希釈剤の配合量の割合は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。そして、中間組成物(i)調製工程においては、前記希釈剤を配合しないことが特に好ましい。
一方、中間組成物(i)調製工程において、前記希釈剤以外の任意成分(S11)、すなわち、前記その他の成分を配合する場合には、配合成分の総量に対する、前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
本工程での中間組成物(i)の調製方法は、配合成分が上記のものに限定される点以外は、上述の銀インク組成物の製造方法と同じとすることができる。例えば、各成分の添加方法、混合方法、配合時の温度及び配合時間を、上述の銀インク組成物の製造方法の場合と同様として、中間組成物(i)を調製できる。
そして、各成分の配合後は、得られたものをそのまま中間組成物(i)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを中間組成物(i)としてもよい。
前記中間組成物(i)は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
・銀インク組成物(i)調製工程
前記銀インク組成物(i)調製工程においては、前記中間組成物(i)及び希釈剤を配合して、銀インク組成物(i)を調製する。
銀インク組成物(i)調製工程においては、前記中間組成物(i)及び希釈剤以外の成分(以下、「任意成分(S12)」と略記することがある)を配合してもよく、このような任意成分(S12)としては、例えば、前記銀インク組成物におけるその他の成分、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、アセチレンアルコール等が挙げられる。
銀インク組成物(i)調製工程において配合する、前記中間組成物(i)、希釈剤及び任意成分(S12)は、いずれも、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物(i)調製工程において、任意成分(S12)を配合する場合には、その配合量は、目的とする銀インク組成物(i)における任意成分(S12)の最終的な配合量を超えないように調節する。
ただし、銀インク組成物(i)調製工程において、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物又はアセチレンアルコールを配合する場合には、その配合量は少ないほど好ましい。すなわち、本工程において、配合成分の総量に対する、前記金属銀の形成材料の配合量の割合は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。そして、銀インク組成物(i)調製工程においては、前記金属銀の形成材料を配合しないことが特に好ましい。
同様に、本工程において、配合成分の総量に対する、前記含窒素化合物の配合量の割合は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。そして、銀インク組成物(i)調製工程においては、前記含窒素化合物を配合しないことが特に好ましい。
同様に、本工程において、配合成分の総量に対する、前記アセチレンアルコールの配合量の割合は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。そして、銀インク組成物(i)調製工程においては、前記アセチレンアルコールを配合しないことが特に好ましい。
一方、銀インク組成物(i)調製工程において、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物及びアセチレンアルコール以外の任意成分(S12)、すなわち、前記その他の成分を配合する場合には、配合成分の総量に対する、前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
本工程での銀インク組成物(i)の調製方法は、配合成分が異なる点以外は、上述の銀インク組成物の製造方法と同じとすることができる。例えば、各成分の添加方法、混合方法、配合時の温度及び配合時間を、上述の銀インク組成物の製造方法の場合と同様として、銀インク組成物(i)を調製できる。
そして、各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物(i)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物(i)としてもよい。
銀インク組成物(i)が、前記その他の成分が配合されてなるものである場合、上述のように前記その他の成分は、中間組成物(i)調製工程及び銀インク組成物(i)調製工程のいずれで配合してもよいし、両方で配合してもよい。ただし、前記その他の成分は、中間組成物(i)調製工程で配合することが好ましい。
(製造方法(ii))
銀インク組成物の製造方法である製造方法(ii)は、前記含窒素化合物、アセチレンアルコール及び希釈剤を配合して組成物(以下、「中間組成物(ii)」と略記することがある)を調製する工程(以下、「中間組成物(ii)調製工程」と略記することがある)と、前記組成物及び金属銀の形成材料を配合して、銀インク組成物を調製する工程(以下、「銀インク組成物(ii)調製工程」と略記することがある)と、を有する。
・中間組成物調製工程(ii)
前記中間組成物(ii)調製工程においては、前記含窒素化合物、アセチレンアルコール及び希釈剤を配合して、中間組成物(ii)を調製する。
中間組成物(ii)調製工程においては、前記含窒素化合物、アセチレンアルコール及び希釈剤以外の成分(以下、「任意成分(S21)」と略記することがある)を配合してもよく、このような任意成分(S21)としては、例えば、前記銀インク組成物におけるその他の成分、前記金属銀の形成材料等が挙げられる。
中間組成物(ii)調製工程において配合する、前記含窒素化合物、アセチレンアルコール、希釈剤及び任意成分(S21)は、いずれも、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
中間組成物(ii)調製工程において、任意成分(S21)を配合する場合には、その配合量は、目的とする銀インク組成物(ii)における任意成分(S21)の最終的な配合量を超えないように調節する。
ただし、中間組成物(ii)調製工程において、前記金属銀の形成材料を配合する場合には、その配合量は少ないほど好ましく、本工程において、配合成分の総量に対する、前記金属銀の形成材料の配合量の割合は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。そして、中間組成物(ii)調製工程においては、前記金属銀の形成材料を配合しないことが特に好ましい。
一方、中間組成物(ii)調製工程において、前記金属銀の形成材料以外の任意成分(S21)、すなわち、前記その他の成分を配合する場合には、配合成分の総量に対する、前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
本工程での中間組成物(ii)の調製方法は、配合成分が上記のものに限定される点以外は、上述の銀インク組成物の製造方法と同じとすることができる。例えば、各成分の添加方法、混合方法、配合時の温度及び配合時間を、上述の銀インク組成物の製造方法の場合と同様として、中間組成物(ii)を調製できる。
そして、各成分の配合後は、得られたものをそのまま中間組成物(ii)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを中間組成物(ii)としてもよい。
前記中間組成物(ii)は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
・銀インク組成物(ii)調製工程
前記銀インク組成物(ii)調製工程においては、前記中間組成物(ii)及び金属銀の形成材料を配合して、銀インク組成物(ii)を調製する。
銀インク組成物(ii)調製工程においては、前記中間組成物(ii)及び金属銀の形成材料以外の成分(以下、「任意成分(S22)」と略記することがある)を配合してもよく、このような任意成分(S22)としては、例えば、前記銀インク組成物におけるその他の成分、前記希釈剤、含窒素化合物、アセチレンアルコール等が挙げられる。
銀インク組成物(ii)調製工程において配合する、前記中間組成物(ii)、金属銀の形成材料及び任意成分(S22)は、いずれも、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物(ii)調製工程において、任意成分(S22)を配合する場合には、その配合量は、目的とする銀インク組成物(ii)における任意成分(S22)の最終的な配合量を超えないように調節する。
ただし、銀インク組成物(ii)調製工程において、前記希釈剤、含窒素化合物又はアセチレンアルコールを配合する場合には、その配合量は少ないほど好ましい。すなわち、本工程において、配合成分の総量に対する、前記希釈剤の配合量の割合は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。そして、銀インク組成物(ii)調製工程においては、前記希釈剤を配合しないことが特に好ましい。
同様に、本工程において、配合成分の総量に対する、前記含窒素化合物の配合量の割合は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。そして、銀インク組成物(ii)調製工程においては、前記含窒素化合物を配合しないことが特に好ましい。
同様に、本工程において、配合成分の総量に対する、前記アセチレンアルコールの配合量の割合は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。そして、銀インク組成物(ii)調製工程においては、前記アセチレンアルコールを配合しないことが特に好ましい。
一方、銀インク組成物(ii)調製工程において、前記希釈剤、含窒素化合物及びアセチレンアルコール以外の任意成分(S22)、すなわち、前記その他の成分を配合する場合には、配合成分の総量に対する、前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
本工程での銀インク組成物(ii)の調製方法は、配合成分が異なる点以外は、上述の銀インク組成物の製造方法と同じとすることができる。例えば、各成分の添加方法、混合方法、配合時の温度及び配合時間を、上述の銀インク組成物の製造方法の場合と同様として、銀インク組成物(ii)を調製できる。
そして、各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物(ii)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物(ii)としてもよい。
銀インク組成物(ii)が、前記その他の成分が配合されてなるものである場合、上述のように前記その他の成分は、中間組成物(ii)調製工程及び銀インク組成物(ii)調製工程のいずれで配合してもよいし、両方で配合してもよい。ただし、前記その他の成分は、中間組成物(ii)調製工程で配合することが好ましい。
(銀インク組成物のその他の製造方法1)
銀インク組成物の製造方法の一態様としては、金属銀の形成材料、並びに含窒素化合物、還元剤、アルコール及びその他の成分からなる群から選択される一種以上を配合することによって得られる。
なかでも、本発明においては、含窒素化合物に、金属銀の形成材料を添加し、次に還元剤を添加し、次にアルコールを添加するという順序で各成分を順次添加し、混合してもよい。
つまり、銀インク組成物を銀インク組成物のその他の製造方法1により得る場合には、含窒素化合物に金属銀の形成材料を添加する第1工程と、さらに還元剤を添加する第2工程と、さらにアルコール及び必要に応じてその他の成分を添加する第3工程と、を有する製造方法によって製造されることが好ましい。
第1工程で添加する金属銀の形成材料は、この製造方法で用いる金属銀の形成材料の全量であることが好ましい。
第2工程で添加する還元剤は、この製造方法で用いる還元剤の全量であることが好ましい。
第3工程で添加するアルコール及びその他の成分は、この製造方法で用いるアルコール及びその他の成分の全量であることが好ましい。
(銀インク組成物のその他の製造方法2)
上記銀インク組成物の製造方法1以外の、銀インク組成物の製造方法の一態様としては、金属の形成材料を溶媒に溶解又は分散させ、次に含窒素化合物を添加し、次に還元剤を添加し、次にアルコールを添加するという順序で各成分を順次添加し、混合する方法も好適に採用できる。
つまり、銀インク組成物を銀インク組成物のその他の製造方法2により得る場合には、金属銀の形成材料を溶媒に溶解又は分散させる第1工程と、さらに含窒素化合物を添加する第2工程と、さらに還元剤を添加する第3工程と、さらにアルコール及び必要に応じてその他の成分を添加する第4工程と、を有する製造方法によって製造されることが好ましい。
第1工程で溶媒に溶解又は分散させる金属銀の形成材料は、この製造方法で用いる金属銀の形成材料の全量であることが好ましい。
第2工程で添加する含窒素化合物は、この製造方法で用いる含窒素化合物の全量であることが好ましい。
第3工程で添加する還元剤は、この製造方法で用いる還元剤の全量であることが好ましい。
第4工程で添加するアルコール及びその他の成分は、この製造方法で用いるアルコール及びその他の成分の全量であることが好ましい。
[二酸化炭素]
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、インクを厚盛りするのに好適である。
二酸化炭素は、銀インク組成物製造時のいずれの時期に供給してもよい。
そして、本発明においては、例えば、還元剤を添加する前に二酸化炭素を供給してもよく、目的に応じて任意に選択できる。
各成分の混合の際に供給される二酸化炭素(CO)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。二酸化炭素が供給されることにより、この二酸化炭素が第一の混合物に溶け込み、各成分と作用することで、得られる各成分の混合物の粘度が上昇すると推測される。
二酸化炭素ガスの供給は、液体中にガスを吹き込む公知の各種方法で行えばよく、適した供給方法を適宜選択すればよい。例えば、配管の一端を第一の混合物中に浸漬し、他端を二酸化炭素ガスの供給源に接続して、この配管を通じて二酸化炭素ガスを第一の混合物に供給する方法が例示できる。この時、配管の端部から直接二酸化炭素ガスを供給してもよいが、例えば、多孔質性のものなど、ガスの流路となり得る空隙部が多数設けられ、導入されたガスを拡散させて微小な気泡として放出することが可能なガス拡散部材を配管の端部に接続し、このガス拡散部材を介して二酸化炭素ガスを供給してもよい。また、第一の混合物の製造時と同様の方法で、第一の混合物を撹拌しながら二酸化炭素ガスを供給してもよい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
二酸化炭素ガスの供給量は、目的とする銀インク組成物の粘度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、20〜25℃における粘度が5Pa・s以上である銀インク組成物を100〜1000g程度得るためには、二酸化炭素ガスを100L以上供給することが好ましく、200L以上供給することがより好ましい。なお、ここでは銀インク組成物の20〜25℃における粘度について説明したが、銀インク組成物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。
二酸化炭素ガスの流量は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量を考慮して適宜調節すればよいが、各成分の混合物1gあたり0.5mL/分以上であることが好ましく、1mL/分以上であることがより好ましい。流量の上限値は特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると、各成分の混合物1gあたり40mL/分であることが好ましい。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
二酸化炭素ガス供給時の各成分の混合物の温度は、5〜70℃であることが好ましく、7〜60℃であることがより好ましく、10〜50℃であることが特に好ましい。前記温度が前記下限値以上であることで、より効率的に二酸化炭素を供給でき、前記温度が前記上限値以下であることで、不純物が少ないより良好な品質の銀インク組成物が得られる。
二酸化炭素ガスの流量及び供給時間、並びに二酸化炭素ガス供給時の前記温度は、それぞれの値を相互に考慮しながら適した範囲に調節すればよい。例えば、前記温度を低めに設定しても、二酸化炭素ガスの流量を多めに設定するか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。また、二酸化炭素ガスの流量を少なめに設定しても、前記温度を高めにするか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。すなわち、二酸化炭素ガスの流量、二酸化炭素ガス供給時の前記温度として例示した上記数値範囲の中の数値を、二酸化炭素ガスの供給時間も考慮しつつ柔軟に組み合わせることで、良好な品質の銀インク組成物が効率的に得られる。
二酸化炭素ガスの供給は、各成分の混合物を撹拌しながら行うことが好ましい。このようにすることで、供給した二酸化炭素ガスがより均一に各成分の混合物中に拡散し、より効率的に二酸化炭素を供給できる。
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイス(固形状二酸化炭素)の供給は、各成分の混合物中にドライアイスを添加することで行えばよい。ドライアイスは、全量を一括して添加してもよいし、分割して段階的に(添加を行わない時間帯を挟んで連続的に)添加してもよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、各成分の混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
二酸化炭素が供給されてなる銀インク組成物は、20〜25℃における粘度が、1Pa・s以上であることが好ましい。
例えば、還元剤の配合時には、得られる配合物(銀インク組成物)は比較的発熱し易い。そして、還元剤の配合時の温度が高い場合、この配合物は、後述する銀インク組成物の加熱処理時と同様の状態になるため、還元剤による前記金属銀の形成材料の分解促進作用によって、金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始されることがあると推測される。このような金属銀を含有する銀インク組成物は、導電体形成時において、金属銀を含有しない銀インク組成物よりも温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。また、還元剤の配合量が十分に多い場合にも、同様に温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。このように、金属銀の形成材料の分解を促進する条件を採用することで、後処理として、より低温での加熱処理で、あるいは加熱処理を行わずに常温での乾燥処理のみで、導電体を形成できることがある。また、このような金属銀を含有する銀インク組成物は、金属銀を含有しない銀インク組成物と同様に取り扱うことができ、特に取り扱い性が劣ることもない。
基板上に付着させた(印刷した)銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法が例示できる。
基板上に付着させた銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜200℃であることが好ましく、70〜180℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、0.2〜12時間であることが好ましく、0.4〜10時間であることがより好ましい。前記金属銀の形成材料の中でも前記カルボン酸銀、特にβ−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。
銀インク組成物を、耐熱性が低い基板上に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の加熱処理の方法は特に限定されず、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付け等で行うことができる。また、銀インク組成物の加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
銀インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が例示できる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜120℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜200℃であることが好ましく、70〜180℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
銀インク組成物を、耐熱性が低い基板上に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した銀インク組成物の加熱処理は、いずれも気相中で行うものであるが、銀インク組成物の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した銀インク組成物は、加熱した液体と接触させることで、その形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、銀インク組成物の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に銀インク組成物を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された金属銀を、さらに乾燥させればよい。
銀インク組成物の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、銀インク組成物の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物の加熱処理は、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行う、二段階の方法で行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜120℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜30分であることがより好ましく、30秒〜10分であることが特に好ましい。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
<金属銀及びその製造方法>
金属銀は、例えば、前記銀インク組成物を基材等の目的とする箇所に付着させ、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成できる。
銀インク組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で基材上に付着させることができる。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が挙げられる。
なかでも、本発明のパッケージに充填された銀インク組成物は、印刷法での適用に好適なものであり、インクジェット式印刷法での適用により好適なものである。
基材上での金属銀の形成量は、付着させる銀インク組成物の量、又は銀インク組成物における前記金属銀の形成材料の配合量を調節することで調節できる。
銀インク組成物を用いて、金属銀を形成して得られた処理物は、金属銀を主成分とするものであり、金属銀の比率が、見かけ上金属銀だけからなるとみなし得る程度に十分に高く、前記処理物中の金属銀の比率を、好ましくは99質量%以上とすることができる。そして、前記金属銀の比率の上限値は、例えば、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかとすることができる。
本発明のパッケージに充填された銀インク組成物を用いて形成された金属銀は、酸素ガスを充填しないパッケージ内で保存した銀インク組成物を用いて形成された金属銀と同程度の反射率と光沢度を有する。
<銀インク組成物の保存方法>
本発明は、容器内に金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物と、酸素ガスとを充填する銀インク組成物の保存方法であって、前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積の割合が、5.0体積%以上となるように酸素ガスを充填することを特徴とする、銀インク組成物の保存方法を提供する。
本発明の保存方法は、前記容器内の収容部の体積に対する、容器内のガス中の酸素ガスの含有割合を特定の割合とすることにより保存安定性を向上させることができるので、充填する銀インク組成物の種類によらず、保存安定性を向上させることができる。
本発明の保存方法における、銀インク組成物、酸素ガスでの置換方法に関する説明は、前記本発明のパッケージに関する説明と同様である。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
なお、以下に示す容器内の酸素ガス量(体積%)は、いずれも常圧(0.9気圧〜1.1気圧)下での量に換算したものである。
<銀インク組成物の製造>
≪銀インク組成物1≫
[中間組成物(ii)の製造]
容器中で2−エチルヘキシルアミン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」、以下、「SF61」と略記することがある)、2−プロパノールを室温下(25℃)で添加して、15℃の冷媒によって、5分撹拌し,中間組成物(ii)を得た。
各配合成分の配合量を表1に示す。なお、表1に記載の数値は、銀インク組成物の配合成分の総量に対する、各成分の配合量の割合(質量%)を意味する。
[銀インク組成物1の製造]
上記で得られた中間組成物(ii)を15℃の冷媒に冷却したままで、表1に示す量の2−メチルアセト酢酸銀を添加して、同じ温度で冷却したまま45分間撹拌することで銀インク組成物1を得た。
[銀インク組成物2〜9の製造]
下記表1に示す各成分を、下記表1に示す配合比で添加したこと以外は、上記銀インク組成物1と同様の方法により、銀インク組成物2〜9を製造した。
Figure 2017179155
<パッケージの製造>
≪実施例1≫
上記で得られた銀インク組成物1をガラス製のスクリュー管に70体積%、容器内大気量が30体積%となるように充填した。この時の、銀インク組成物1の収容量に対する酸素ガス量は6体積%であった。
[酸素ガス濃度の測定方法]
酸素ガス濃度は、卓上酸素モニターOXY−1(株式会社ジコー)を使用して測定した。
上記測定方法にて空気中の酸素を測定したところ、空気中の酸素濃度は21.4%であった。この結果から、容器内に大気を充填した場合、容器内の酸素は「0.214×30%」として計算し、6%と算出した。
≪実施例2≫
上記で得られた銀インク組成物1をガラス製の容器に70体積%、容器内大気量が30体積%となるように充填した。
次に、銀インク組成物1を充填した容器内の全ガスを気相置換により、酸素ガスに置換した。
[気相置換条件]
銀インク組成物1を瓶に充填し、この瓶を密閉容器内に入れた。その後、この密閉容器内を酸素で2回置換した。その後、酸素で置換された密閉容器内で瓶の蓋を開封し、5〜10L/minの流速で、約5秒間、瓶内のヘッドスペースに酸素を吹き込み、瓶に蓋をした。
≪実施例3〜11、比較例1〜14≫
銀インク組成物の種類と、容器内ガス(ガス種及びガス量)を下記表2に示すこととした以外は、実施例2と同様の方法により、パッケージを製造した。
[評価]
表2に示す保管温度のインキュベーターで各パッケージを保存し、沈殿物の析出を目視で確認した。また、沈殿物析出時間延長割合は、下記の方法により算出した。その結果を表2に記載する。
(ガスを置換品の沈殿物析出時間)/(無置換の沈殿物析出時間)
また、実施例1〜4について、沈殿物析出まで時間を測定した。その結果、沈殿物が析出するまでの時間は、実施例1が10日間、実施例2が22日間、実施例3が51日間、実施例4が55日間であった。
Figure 2017179155
≪実施例12〜17、比較例15〜25≫
表3に示す保管温度のインキュベーターで各パッケージを保存した場合の沈殿物の析出を目視で確認し、上記と同様の方法で沈殿物析出時間延長割合を算出した。その結果を表3に記載する。
Figure 2017179155
≪実施例18〜24、比較例26〜32≫
表4に示す保管温度のインキュベーターで各パッケージを保存した場合の沈殿物の析出を目視で確認し、上記と同様の方法で沈殿物析出時間延長割合を算出した。その結果を表4に記載する。
Figure 2017179155
<金属銀の光反射率測定>
≪金属銀の製造≫
スピンコーター法により、1500rpmで5秒、次いで5000rpmで10秒の回転条件で、銀インク組成物を前記PET製基材(5cm×5cm)上に塗工し、塗膜を形成した。
次いで、この塗膜に100℃の熱風を30分吹き付けることで加熱処理を行い、前記基材上に膜状の金属銀(厚さ50〜200nm)を形成した。
このとき使用した銀インク組成物は、上記銀インク組成物1であって、下記表5に示す条件で気相置換した銀インク組成物である。さらに、この銀インク組成物の保管前と、25℃で7日間保管した後の銀インク組成物をそれぞれ使用した。
≪金属銀の光反射率の測定≫
上記で得られた膜状の金属銀について、積分球分光測色計「X−Rite model
SP60」を用いて、視野10deg、光源D65、SCIモードの条件で、波長400〜700nmの光の反射率を測定した。波長700nmの光の反射率の測定結果を表6に示す。保管前後の銀インク組成物について、光反射率の変化率を算出し、その結果を表5に記載する。
≪金属銀の光沢度の測定≫
上記で得られた膜状の金属銀について、光沢度計「PG−IIM」を用いて、20°角度で光沢度を3回測定した。3回の測定値の平均値を表5に記載する。
保管前後の銀インク組成物について、光沢度の変化率を算出し、その結果を表5に記載する。
Figure 2017179155
表5に記載のとおり、酸素ガス置換をした場合でも、光沢度や反射率に変化はなく、銀インク組成物として、実際上問題なく使用できることがわかった。
本発明は、例えば、配線基板、電磁波シールド、タッチパネル、無線通信機筐体のアンテナ等、基材上に銀層を備えた各種電子機器や金属銀のパターンを装飾用又は加飾用として用いる各種製品等に利用可能である。

Claims (3)

  1. 容器内に金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物と、酸素ガスとを含むパッケージであって、
    前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積の割合が、5.0体積%以上であることを特徴とするパッケージ。
  2. 前記金属銀の形成材料が、
    下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀である、請求項1に記載のパッケージ。
    Figure 2017179155
    (式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
    はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
    はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
    は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
  3. 容器内に金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物と、酸素ガスとを充填する銀インク組成物の保存方法であって、
    前記容器内の収容部の体積に対する、前記容器内の酸素ガスの体積の割合が、5.0体積%以上となるように酸素ガスを充填することを特徴とする、銀インク組成物の保存方法。
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