JP2017226796A - 銀インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続印刷に供した場合でも、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成可能な、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成の提供。【解決手段】β−ケトカルボン酸銀と、含窒素化合物と、還元剤と、アセチレンアルコール類と、が配合されてなり、L*a*b*表色系におけるb*の値が0.00〜0.51である、銀インク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、銀インク組成物に関する。
基材上に導電性の微細パターンが形成された積層体は、例えば、各種電子機器の部材として有用である。このような部材としては、例えば、基板上に導電性細線が形成された配線板等が挙げられ、透明電極、電磁波シールド、タッチパネル等を構成するのに利用可能である。特にタッチパネルは、携帯端末等の情報通信機器をはじめとする各種表示素子において需要が急増しており、上述の配線板等の部材は、重要な位置を占めるようになっている。
このような導電性の微細パターンの構成材料としては、金属銀が有望視されており、例えば、金属銀粒子を含む導電性のインク組成物を用いて印刷法により、微細パターンを形成し、これを加熱処理することにより、配線パターンを形成する方法が開示されている(特許文献1参照)。
特開2012−253172号公報
一方で、印刷法により微細パターンを形成する場合には、インク組成物を連続印刷したときに、微細パターンを安定して形成できることが重要となる。金属銀の微細パターンの場合には、インク組成物を連続印刷して形成した場合でも、抵抗値の変動が小さいことが望まれる。これに対して、特許文献1で開示されているインク組成物は、このような抵抗値の変動の抑制に適したものではない。
さらに近年は、金属銀粒子を含むインク組成物以外に、反応によって金属銀を形成する、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物も報告されている。このような銀インク組成物は、穏やかな条件によって容易に金属銀を形成できる点から、汎用性が高く、上記と同様に連続印刷した場合でも、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成できれば非常に有用である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、連続印刷に供した場合でも、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成可能な、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀と、炭素数25以下のアミン化合物、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩、アンモニア、及び前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の含窒素化合物と、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の還元剤と、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類と、が配合されてなり、L表色系におけるbの値が0.00〜0.51である、銀インク組成物を提供する。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
Figure 2017226796
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 2017226796
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
本発明の銀インク組成物においては、L表色系におけるaの値が1.10〜1.40であることが好ましい。
本発明によれば、連続印刷に供した場合でも、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成可能な、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物が提供される。
銀インク組成物のL表色系におけるLの値、aの値及びbの値の測定方法を説明するための模式図である。 本発明の銀インク組成物を用いて形成した金属銀の微細パターンの一実施形態を模式的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は、(a)のI−I線における断面図である。 本発明の銀インク組成物を用いて形成した金属銀の微細パターンの他の実施形態を模式的に示す図である。 本発明の銀インク組成物の製造時に用いるのに好適な、アンカー形状の撹拌翼の一例を示す模式図である。 本発明の銀インク組成物の製造時に用いるのに好適な、アンカー形状の撹拌翼の他の例を示す模式図である。 試験例において作製した、銀インク組成物の処理温度及び処理時間の関係を示すグラフである。
<<銀インク組成物>>
本発明の銀インク組成物は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)と、炭素数25以下のアミン化合物、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩、アンモニア、及び前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の含窒素化合物(以下、単に「含窒素化合物」と略記することがある)と、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の還元剤と、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)と、が配合されてなり、L表色系におけるbの値が0.00〜0.51となるものである。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
Figure 2017226796
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 2017226796
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
本発明の銀インク組成物は、上述のような特定の成分が配合されてなるものであり、かつL表色系におけるbの値が上述のような特定の範囲内にあるものであって、このような銀インク組成物は、直ちに連続印刷に供した場合には、必ずしも、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成可能ではないが、ある程度の時間が経過した後で連続印刷に供した場合には、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成可能となる。これは、時間経過(経時)によって銀インク組成物の特性が変化することで、当初は連続印刷に適さなかった銀インク組成物が、連続印刷に適したものになるからである。このように、経時によって連続印刷に適したものになるか否かを判定するための、銀インク組成物の物性の指標として、本発明者らは、L表色系におけるbの値を見出した。
このように、本発明の銀インク組成物が、経時によって連続印刷に適したものになる理由は定かではないが、上述のように、特定の成分が配合されていることが必須である点から、経時によって、これら成分が配合後に互いに相互作用して、場合によっては反応することにより、銀インク組成物の状態が安定化するためではないかと推察される。
本発明の銀インク組成物は、上述のような配合成分及びbの条件を満たしていることで、経時処理により、連続印刷に供した場合において、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成可能な、優れた特性の銀インク組成物となる。本明細書においては、本発明の銀インク組成物、すなわち、配合成分及びbが上述の条件を満たす、処理前の銀インク組成物を「銀インク組成物(A1)」と称し、銀インク組成物(A1)を処理して得られた、連続印刷に適した銀インク組成物を「銀インク組成物(B)」と称することがある。
例えば、本発明における処理後の銀インク組成物(銀インク組成物(B))を用いて、印刷法を適用して、微細な印刷パターンを連続して形成した場合、印刷1〜10回目等の印刷開始初期の印刷パターンと、例えば、印刷40〜60回目等の印刷を所定回数行った後の印刷パターンとを比較した場合、形状等の変化が抑制される。例えば、印刷パターンが細線である場合には、細線の線幅の変動が抑制される。その結果、印刷パターンを後述するように固化処理することにより形成した金属銀の微細パターン(例えば、金属銀の細線等)は、銀インク組成物(B)の印刷開始初期の印刷パターンから形成されたものと、銀インク組成物(B)の印刷を所定回数行った後の印刷パターンから形成されたものとでは、形状等の変化が抑制され、抵抗値の変動が抑制される。
銀インク組成物(B)を適用するのに好適な印刷方法は、凹部又は孔部に充填された銀インク組成物(B)を転写する工程を有するものであり、このような印刷方法で好ましいものとしては、例えば、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
銀インク組成物(B)を連続印刷に供した場合に、上述のような効果が得られる理由は定かではないが、銀インク組成物(B)は、凹部又は孔部に充填された状態から転写されるときに、凹部又は孔部に残存し難い(詰まり難い)特性を有しているからではないかと推測される。
銀インク組成物(B)の充填部の幅は、2〜20μmであることが好ましく、3〜18μmであることがより好ましく、3.5〜15μmであることが特に好ましい。なお、本明細書において、「銀インク組成物(B)の充填部」とは、例えば、グラビアオフセット印刷法で用いる凹版の凹部、スクリーン印刷法で用いるスクリーンマスクの孔部、フレキソ印刷法で用いるアニロックスロールの凹部(セル)等を意味する。
一方、銀インク組成物(B)の充填部の深さは、1〜20μmであることが好ましい。
銀インク組成物(A1)を、上述のように、連続印刷に適したものとするためには、例えば、銀インク組成物(A1)を特定の温度で特定の時間だけ経時させればよく、このときの時間は、温度に応じて適宜調節することが好ましい。
銀インク組成物(A1)は、上述のように、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、還元剤及びアセチレンアルコール(2)が配合されてなるものである。以下、各成分について、説明する。
<β−ケトカルボン酸銀(1)>
β−ケトカルボン酸銀(1)は、反応によって金属銀を形成する、金属銀の形成材料であり、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R−CY −」、「CY −」及び「R−C(=O)−CY −」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C−)であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、例えば、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R−C(=O)−CY −」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基の前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このようなものとしては、例えば、式「=CH−C−NO」で表される基等が挙げられる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された金属銀において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成することが可能である。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀及びアセトンジカルボン酸銀からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物(A1)の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
銀インク組成物(A1)において、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量は、特に限定されないが、全成分の合計配合量に対する、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量の割合は、10〜80質量%であることが好ましく、15〜70質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、銀インク組成物(A1)の取り扱い性が向上するともに、高純度の金属銀を容易に形成できる。
<含窒素化合物>
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
[アミン化合物、第4級アンモニウム塩]
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたもの等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2−ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基が好ましく、このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀からなる層の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
[アミン化合物由来のアンモニウム塩]
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
[アンモニア由来のアンモニウム塩]
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、例えば、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物(A1)において、前記含窒素化合物の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.3〜15モルであることが好ましく、0.3〜5モルであることがより好ましい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物(A1)は安定性がより向上し、導電体(金属銀)の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電体を形成できる。
[還元剤]
本発明における還元剤は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(HN−NH)及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上のものである。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
すなわち、配合される還元剤は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、例えば、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のもの等が挙げられる。
21における炭素数20以下のアルコキシ基は、炭素数が1〜20であり、例えば、R21における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基等が挙げられる。
21における炭素数20以下のN,N−ジアルキルアミノ基は、炭素数が2〜20であり、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記アルキル基はそれぞれ炭素数が1〜19である。ただし、これら2個のアルキル基の炭素数の合計値が2〜20である。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のもの等が挙げられる。
前記還元剤として、ヒドラジンは、一水和物(HN−NH・HO)を用いてもよい。
前記還元剤で好ましいものとしては、例えば、ギ酸(H−C(=O)−OH);ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCHCH)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CHCH)等のギ酸エステル;プロパナール(H−C(=O)−CHCH)、ブタナール(H−C(=O)−(CHCH)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CHCH)等のアルデヒド;ホルムアミド(H−C(=O)−NH)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH)等のホルムアミド類(式「H−C(=O)−N(−)−」で表される基を有する化合物);シュウ酸等が挙げられる。
銀インク組成物(A1)において、前記還元剤の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.04〜1.5モルであることが好ましく、0.06〜1.0モルであることがより好ましい。還元剤の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物(A1)は、より容易に、より安定して導電体(金属銀)を形成できる。
<アセチレンアルコール(2)>
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が挙げられ、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、水素原子、又は炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2−プロピン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オール等が挙げられる。
本発明において、アセチレンアルコール(2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物(A1)において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.01〜0.7モルであることが好ましく、0.02〜0.3モルであることがより好ましい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
<他の成分>
また、本発明の銀インク組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記必須成分(すなわち、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤及びアセチレンアルコール(2))以外に、さらに他の成分が配合されてなるものでもよい。
前記他の成分としては、例えば、アセチレンアルコール(2)以外のアルコール(以下、「他のアルコール」と略記することがある)、アセチレンアルコール(2)及び前記他のアルコール以外の溶媒等が挙げられる。
本発明においては、前記他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物(A1)において、前記他のアルコール及び溶媒以外の成分の配合量は、この成分の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
なかでも、銀インク組成物(A1)において、全成分の総配合量に対する、前記他のアルコール及び溶媒以外の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、銀インク組成物(A1)において、全成分の総配合量に対する、前記他のアルコール及び溶媒以外の成分の配合量の割合の下限値は、特に限定されず、例えば、0質量%であってもよい。
[他のアルコール]
前記他のアルコールは、アセチレンアルコール(2)以外のアルコールであれば特に限定されない。
ただし、前記他のアルコールは、常温で液状であるものが好ましい。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜30℃の温度等が挙げられる。
前記他のアルコールとして、より具体的には、例えば、アセチレンアルコール(2)以外のアセチレンアルコール、アセチレンアルコール(2)及びそれ以外のアルコール等が挙げられる。
(アセチレンアルコール(2)以外のアセチレンアルコール)
アセチレンアルコール(2)以外のアセチレンアルコールは、前記一般式(2)で表されない、炭素原子間の三重結合(C≡C)を有するアルコールであれば特に限定されない。
アセチレンアルコール(2)以外のアセチレンアルコールは、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
(アセチレンアルコール(2)及びそれ以外のアルコール)
アセチレンアルコール(2)及びそれ以外のアルコールは、炭素原子間の三重結合(C≡C)を有しないアルコールであれば特に限定されず、例えば、一価アルコール及び二価以上の多価アルコールのいずれでもよく、飽和アルコール及び不飽和アルコールのいずれでもよく、不飽和アルコールである場合には、脂肪族アルコール(芳香族環式基を有しないアルコール)及び芳香族アルコール(芳香族環式基を有するアルコール)のいずれでもよい。
アセチレンアルコール(2)及びそれ以外のアルコールは、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。
アセチレンアルコール(2)及びそれ以外のアルコールとして、より具体的には、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の二価アルコール等が挙げられる。
アセチレンアルコール(2)及びそれ以外のアルコールは、炭素数が1〜7であることが好ましい。
また、アセチレンアルコール(2)及びそれ以外のアルコールは、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
銀インク組成物(A1)が、前記他のアルコールが配合されてなるものである場合、銀インク組成物(A1)において、前記他のアルコールの配合量は、特に限定されない。
なかでも、銀インク組成物(A1)において、アセチレンアルコール(2)の配合量に対する、前記他のアルコールの配合量の割合は、1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記他のアルコールを用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、本発明の効果がより顕著に得られる。
[溶媒]
前記溶媒は、アセチレンアルコール(2)及び前記他のアルコール以外のもの(水酸基を有しないもの)であれば、特に限定されない。
ただし、前記溶媒は、常温で液状であるものが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
銀インク組成物(A1)が、前記溶媒が配合されてなるものである場合、銀インク組成物(A1)において、前記溶媒の配合量は、特に限定されない。
なかでも、銀インク組成物(A1)において、前記溶媒の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.5〜5モルであることが好ましく、0.5〜3.5モルであることがより好ましく、0.5〜2モルであることが特に好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記溶媒を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、本発明の効果がより顕著に得られる。
銀インク組成物(A1)は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
銀インク組成物(A1)は、L表色系におけるbの値が0.00〜0.51である。このような銀インク組成物(A1)を経時処理して連続印刷に用いることで、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果が高くなる。
銀インク組成物(A1)は、L表色系におけるaの値が1.00〜1.39であることが好ましく、1.05〜1.37であることがより好ましく、1.10〜1.35であることが特に好ましい。このような銀インク組成物(A1)を経時処理して用いることで、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより高くなる。
銀インク組成物(A1)は、L表色系におけるLの値が21.0〜28.5であることが好ましく、23.0〜27.5であることがより好ましく、25.0〜26.5であることが特に好ましい。このような銀インク組成物(A1)を経時処理して連続印刷に用いることで、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより高くなる。
銀インク組成物(A1)のL表色系におけるL、a及びbの値は、例えば、銀インク組成物(A1)の配合成分の種類及び量、並びに配合成分の配合方法及び配合順序等を調節することで調製できる。
銀インク組成物(A1)や、後述する銀インク組成物(B)等の、銀インク組成物のL表色系におけるLの値、aの値及びbの値は、例えば、以下の方法で測定できる。図1は、銀インク組成物のL表色系におけるLの値、aの値及びbの値の測定方法を説明するための模式図である。
すなわち、まず、1枚のガラス板9の表面上に銀インク組成物2を付着させる。銀インク組成物2は、例えば、スポイト等を用いてガラス板9の表面上に滴下することで、ガラス板9に付着させることができる。
次いで、銀インク組成物2を付着させた側のガラス板9の表面上に、さらに別のガラス板9を載せて、2枚のガラス板9,9の表面間で銀インク組成物2を挟み込み、ガラス板9,9間で銀インク組成物2を押し広げる。このとき、押し広げられた銀インク組成物2は、円形状又はほぼ円形状となるようにすることが好ましい。このような形状の銀インク組成物2は、ガラス板9,9間で均一に押し広げられており、L、a及びbの測定精度が向上する。図1では、銀インク組成物2が、このように円形状又はほぼ円形状となった場合を示している。
2枚のガラス板9,9は、互いに同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
押し広げられた銀インク組成物2の大きさは特に限定されず、Lの測定装置の種類等に応じて適宜調節すればよい。ただし、通常は、銀インク組成物2の形状が円形状又はほぼ円形状である場合には、直径Dが20〜80mmであることが好ましい。
押し広げられた銀インク組成物2の大きさは、例えば、ガラス板9への銀インク組成物2の付着量で調節できる。
<<銀インク組成物(A1)の製造方法>>
銀インク組成物(A1)は、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤、アセチレンアルコール(2)、及び必要に応じて前記他の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物(A1)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物(A1)としてもよい。上記の各成分の配合時においては、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない銀インク組成物(A1)を用いても、十分な導電性を有する導電体(金属銀)が得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物(A1)において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されない。例えば、銀インク組成物(A1)において、配合時の温度は、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されない。銀インク組成物(A1)において、配合時間は10分〜36時間であることが好ましい。
銀インク組成物(A1)の製造時における、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤、アセチレンアルコール(2)、及び前記他の成分の配合方法並びに配合順序は、特に限定されない。例えば、これらの成分はいずれも、全量を一括添加してもよいし、分割添加してもよい。そして、一括添加及び分割添加のいずれの場合でも、各配合成分の添加順序は、特に限定されない。また、銀インク組成物(A1)の製造時には、2種以上の配合成分を同時に添加してもよい。
ただし、銀インク組成物(A1)の経時処理によって、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより高くなる点から、前記配合成分をすべて一括添加する場合には、配合成分の好ましい添加方法としては、
前記含窒素化合物、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記還元剤、及びアセチレンアルコール(2)をこの順に添加する方法;
β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤、及びアセチレンアルコール(2)をこの順に添加する方法;
等が挙げられる。なお、これらは配合成分の好ましい添加方法の一例である。
前記他の成分の添加順序は、前記他の成分の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
例えば、前記含窒素化合物、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記還元剤、及びアセチレンアルコール(2)をこの順に添加する方法においては、前記他の成分の添加順序は、前記含窒素化合物の前、前記含窒素化合物とβ−ケトカルボン酸銀(1)との間、β−ケトカルボン酸銀(1)と前記還元剤との間、前記還元剤とアセチレンアルコール(2)との間、並びにアセチレンアルコール(2)の後のいずれでもよい。
また、例えば、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤、及びアセチレンアルコール(2)をこの順に添加する方法においては、前記他の成分の添加順序は、β−ケトカルボン酸銀(1)の前、β−ケトカルボン酸銀(1)と前記含窒素化合物との間、前記含窒素化合物と前記還元剤との間、前記還元剤とアセチレンアルコール(2)との間、並びにアセチレンアルコール(2)の後のいずれでもよい。
前記他の成分として前記溶媒を用いる場合には、配合成分の好ましい添加方法としては、
前記含窒素化合物、前記溶媒、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記還元剤、及びアセチレンアルコール(2)をこの順に添加する方法;
前記溶媒、前記含窒素化合物、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記還元剤、及びアセチレンアルコール(2)をこの順に添加する方法;
β−ケトカルボン酸銀(1)、前記溶媒、前記含窒素化合物、前記還元剤、及びアセチレンアルコール(2)をこの順に添加する方法;
前記溶媒、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤、及びアセチレンアルコール(2)をこの順に添加する方法;
等が挙げられる。
また、前記配合成分の1種又は2種以上を分割添加する場合(すべての配合成分を分割添加する場合を含む)には、配合成分の好ましい添加方法としては、例えば、上述の前記配合成分をすべて一括添加する場合において、添加済みの1種又は2種以上のものと同じ配合成分を、いずれかの段階でさらに追加で添加する方法等が挙げられる。
銀インク組成物(A1)は、撹拌槽内で撹拌翼を回転させることにより、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤、アセチレンアルコール(2)、及び必要に応じて前記他の成分を、前記撹拌槽内で撹拌する工程を有する製造方法により、製造されたものが好ましい。このような銀インク組成物(A1)を経時処理して連続印刷に用いることで、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより高くなる。
前記撹拌翼は、アンカー形状のものであることが好ましい。アンカー形状の撹拌翼で撹拌することにより、銀インク組成物(A1)の配合成分の撹拌効率が高くなり、これら配合成分の反応を効率よく行うことができると推測される。
アンカー形状の撹拌翼としては、例えば、駆動軸と、前記撹拌槽の内周面の近傍を回転移動する外側辺を有する強制流動発生翼部と、前記駆動軸と前記強制流動発生翼部とを連結する連結部と、を備えたものが挙げられる。
すなわち、好ましい銀インク組成物(A1)としては、例えば、撹拌槽内で撹拌翼を回転させることにより、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤、アセチレンアルコール(2)、及び必要に応じて前記他の成分を、前記撹拌槽内で撹拌する工程を有する製造方法により、製造されたものであり、前記撹拌翼として、駆動軸と、前記撹拌槽の内周面の近傍を回転移動する外側辺を有する強制流動発生翼部と、前記駆動軸と前記強制流動発生翼部とを連結する連結部と、を備えたものを用いたものが挙げられる。このような銀インク組成物(A1)を経時処理して連続印刷に用いることで、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより一層高くなる。
アンカー形状の撹拌翼としては、例えば、図4に示すものが挙げられる。図4は、銀インク組成物(A1)の製造時に用いるのに好適な、アンカー形状の撹拌翼の一例を示す模式図である。
なお、以下の説明で用いる図は、特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図4に示す撹拌翼800は、駆動軸810と、撹拌槽(例えば、ビーカー等の容器)の内周面の近傍を回転移動する外側辺820aを有する強制流動発生翼部820と、駆動軸810と強制流動発生翼部820とを連結する連結部830とを備えている。
強制流動発生翼部820は、撹拌槽の深さ方向に(駆動軸810と平行な方向に)伸びていることが好ましい。この場合、強制流動発生翼部820は、図4に示すように駆動軸810と平行に直線状に伸びていてもよいし、撹拌槽の深さ方向に、例えば、らせん状にねじれながら伸びていてもよい(図示略)。
撹拌槽の内径(直径)に対する、撹拌翼の直径(図1の一方の外側辺820aから他方の外周辺820aまでの距離)の割合は、85〜95%であることが好ましい。
アンカー形状の撹拌翼としては、例えば、図5に示すものも挙げられる。図5は、銀インク組成物(A1)の製造時に用いるのに好適な、アンカー形状の撹拌翼の他の例を示す模式図である。
図5に示す撹拌翼900は、マックスブレンド型であり、駆動軸910と、撹拌槽(例えば、ビーカー等の容器)の内周面の近傍を回転移動する外側辺920aを有する強制流動発生翼部920と、駆動軸910と強制流動発生翼部920とを、これらの下部において連結する第1連結部930と、駆動軸910と強制流動発生翼部920とを、これらの上部において連結する第2連結部940とを備えている。また、撹拌翼900は、駆動軸910と強制流動発生翼部920との間の位置で、第1連結部930と第2連結部940とを連結する第3連結部950を備えている。
図5に示す撹拌翼900は、駆動軸910と強制流動発生翼部920とを連結するものとして、第1連結部930及び第2連結部940を備え、さらに、これら連結部同士を連結する第3連結部950を備えている点以外は、図4に示す撹拌翼800と同様のものである。
第1連結部930及び第2連結部940の幅は、特に限定されず、例えば、図5に示すように、第1連結部930の方が第2連結部940よりも幅が広くてもよいし、第2連結部940の方が第1連結部930よりも幅が広くてもよいし、第1連結部930と第2連結部940は幅が同じであってもよい。
強制流動発生翼部920及び第3連結部950の幅も同様であり、例えば、図5に示すように、強制流動発生翼部920の方が第3連結部950よりも幅が広くてもよいし、第3連結部950の方が強制流動発生翼部920よりも幅が広くてもよいし、強制流動発生翼部920と第3連結部950は幅が同じであってもよい。
アンカー形状の撹拌翼を回転させて、前記混合物を撹拌する場合の回転速度は、例えば、銀インク組成物(A1)の配合成分(混合に供した成分)の合計量が約30〜300gである場合には、100〜500rpmであることが好ましい。
<<銀インク組成物(B)>>
銀インク組成物(B)は、上述のように、連続印刷に適するように銀インク組成物(A1)を処理して得られたものである。
銀インク組成物(B)の配合成分には、銀インク組成物(A1)の配合成分が含まれる。
なかでも、銀インク組成物(A1)を経時処理する方法で好ましいものとしては、例えば、銀インク組成物(A1)を、その処理温度x(℃)及び処理時間y(h)が、下記式(i)の関係を満たす(ただし、xは0〜42である。)ように処理する工程(以下、「処理(i)工程」と略記することがある)を有する処理方法が挙げられる。
306.47e−0.139x≦y≦2403.2e−0.128x ・・・・(i)
銀インク組成物(A1)を経時処理するときの前記式(i)の関係は、後述する試験例での実験データに基づいて導出されたものである。
処理(i)工程における銀インク組成物(A1)の処理温度x(℃)は、0〜42であることが好ましく、例えば、1.5〜41.5であることがより好ましく、2.5〜41であることがさらに好ましく、3.5〜40.5であることが特に好ましい。処理温度xがこのような範囲であることで、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより高くなる。
処理(i)工程において、処理温度x(℃)は、原則一定とするが、変動したとしても、その変動幅が小さければ、一定とした場合と同様の効果が得られる。このような観点から、処理(i)工程において、処理温度x(℃)が変動する場合、その変動幅(すなわち、処理温度x(℃)の最大値と最小値との差)は、好ましくは2℃以下、より好ましくは1℃以下、特に好ましくは0.5℃以下とする。
処理(i)工程における銀インク組成物(A1)の処理時間y(h)は、前記式(i)の関係を満たす限り特に限定されないが、処理温度x(℃)に応じて調節することが好ましく、1.1〜1000であることが好ましく、1.2〜990であることがより好ましく、1.3〜970であることが特に好ましい。
処理(i)工程において、銀インク組成物(A1)は、空気雰囲気下で処理してもよいし、不活性ガス雰囲気下で処理してもよい。前記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
処理(i)工程において、銀インク組成物(A1)は、静置した状態で処理してもよいし、撹拌した状態で処理してもよい。撹拌した状態で処理する場合、銀インク組成物(A1)は、撹拌子又は撹拌翼を回転させる方法等、公知の方法で攪拌すればよい。
処理(i)工程において、銀インク組成物(A1)は、遮光せずに処理してもよいが、遮光して処理することが好ましい。銀インク組成物(A1)を遮光して処理することで、連続印刷時において、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより高くなる。
前記処理方法において、処理(i)工程は、連続的に一度だけ行うことが好ましいが、一回又は二回以上の中断を挟んで、非連続的に行ってもよい。非連続的に処理(i)工程を行う場合には、処理時間y(h)の合計が前記式(i)の関係を満たすようにすればよい。
前記処理方法は、本発明の効果を損なわない範囲内において、処理(i)工程以外の工程(以下、「その他の工程」と略記することがある)を有していてもよい。
前記その他の工程は、目的に応じて任意に選択でき、その条件も適宜調節すればよい。
ただし、本発明の処理方法は、処理(i)工程のみを有するものであっても、十分に本発明の効果を発揮する。
前記その他の工程は、1工程のみでもよいし、2工程以上でもよく、2工程以上である場合、それらの工程の組み合わせ及び数は、任意に調節できる。
前記その他の工程は、処理(i)工程前、処理(i)工程中、及び処理(i)工程後のいずれの段階で行ってもよく、すべての段階で行ってもよい。
なお、本明細書において、前記その他の工程とは、この工程を行う対象物、すなわち、銀インク組成物(A1)、銀インク組成物(A1)に処理(i)工程を行っている途中の中間組成物、又は銀インク組成物(A1)に処理(i)工程若しくは処理(i)工程以外の工程等、何らかの工程を行って得られた処理済み組成物に対して行うことで、この対象物に検出可能な程度の物性の変化を引き起こす工程を意味する。
銀インク組成物(B)は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
銀インク組成物(B)は、L表色系におけるbの値が−0.60〜−0.10であることが好ましい。このような銀インク組成物(B)を連続印刷に供することで、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより高くなる。
銀インク組成物(B)は、L表色系におけるaの値が1.48〜1.90であることが好ましい。このような銀インク組成物(B)を連続印刷に供することで、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより高くなる。
銀インク組成物(B)は、L表色系におけるLの値が21.0〜28.7であることが好ましく、23.0〜27.7であることがより好ましく、25.0〜26.7であることが特に好ましい。このような銀インク組成物(B)を連続印刷に供することで、抵抗値の変動が小さい金属銀の微細パターンを形成する効果がより高くなる。
銀インク組成物(B)のL表色系におけるL、a及びbの値は、例えば、銀インク組成物(A1)の経時処理の条件等を調節することで調節できる。
◎金属銀及びその製造方法
金属銀は、例えば、銀インク組成物(B)を基材等の目的とする箇所に付着させ、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成できる。
基材上に前記金属銀からなる層(銀層)を形成することで、各種積層体を製造できる。
銀インク組成物(B)は、先に説明した印刷方法により、基材上に付着させることが好ましい。
基材上での金属銀の形成量は、付着させる銀インク組成物(B)の量、又は銀インク組成物(B)におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量を調節することで調節できる。
銀インク組成物(B)を連続印刷に供して、金属銀のパターンを形成した場合、このパターンは、たとえ微細(例えば、金属銀の微細パターン)であっても、先に説明したように、抵抗値の変動が小さくなる。すなわち、銀インク組成物(B)は、金属銀の微細パターンの連続形成に好適なものである。
本発明においては、実施例において後述するように、金属銀の微細パターンを連続形成した場合、10回目の印刷で形成された金属銀の微細パターンのシート抵抗Rst(10)と、50回目の印刷で形成された金属銀の微細パターンのシート抵抗Rst(50)とから、下記式により算出される、50回シート抵抗変動率の絶対値を好ましくは9%以下(シート抵抗変動率を−9%〜9%)、より好ましくは8%以下(シート抵抗変動率を−8%〜8%)、さらに好ましくは7%以下(シート抵抗変動率を−7%〜7%)とすることができる。
50回シート抵抗変動率(%)=(Rst(50)−Rst(10))/Rst(10)×100
銀インク組成物(B)を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、例えば、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法が挙げられる。
銀インク組成物(B)を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物(B)又は銀インク組成物(A1)の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜370℃であることが好ましく、70〜280℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜12時間であることがより好ましい。β−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の他の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、銀インク組成物(B)は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。
銀インク組成物(B)を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物(B)の加熱処理の方法は、特に限定されず、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、銀インク組成物(B)の加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
銀インク組成物(B)の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
銀インク組成物(B)の加熱処理は、二段階で行ってもよい。例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物(B)の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が挙げられる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物(B)又は銀インク組成物(A1)の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜120℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましく、80〜110℃であることが特に好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物(B)又は銀インク組成物(A1)の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜280℃であることが好ましく、70〜260℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
銀インク組成物(B)を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した銀インク組成物(B)の加熱処理は、いずれも気相中で行うものであるが、銀インク組成物(B)の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した銀インク組成物(B)は、加熱した液体と接触させることで、その形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、銀インク組成物(B)の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に銀インク組成物(B)を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物(B)を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された金属銀を、さらに乾燥させればよい。
銀インク組成物(B)の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、銀インク組成物(B)の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物(B)の加熱処理は、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物(B)の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行う、二段階の方法で行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜120℃であることが好ましく、70〜120℃であることがより好ましく、80〜110℃であることが特に好ましい。また、加熱時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜30分であることがより好ましく、30秒〜10分であることが特に好ましい。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
銀インク組成物(B)を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
以上のように、金属銀の製造方法で好ましいものとしては、例えば、銀インク組成物(B)を用いて、前記金属銀を形成する工程を有するものが挙げられ、なかでも好ましい製造方法としては、例えば、前記金属銀を形成する工程において、銀インク組成物(B)を、非加湿条件下で加熱処理した後、さらに加湿条件下で、又は加熱した液体と接触させて、加熱処理することで、前記金属銀を形成するものが挙げられる。
銀インク組成物(B)の前記固化処理により形成された処理物(導電体)(本明細書においては、この処理物(導電体)自体を上述のように「金属銀」と称することがある)は、極めて高純度であり、金属銀の比率が、見かけ上金属銀だけからなるとみなし得る程度に十分に高く、例えば、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上とすることができる。
一方、銀インク組成物(B)の前記固化処理により形成された処理物(導電体)は、金属銀の比率の上限値を、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかとすることができるが、これらは一例である。
銀インク組成物(B)を用いて形成された金属銀は、導電性に優れ、後述する実施例に記載の方法で求められるシート抵抗を、印刷回数によらず、好ましくは40〜56(Ω/□)、より好ましくは41.5〜55(Ω/□)、特に好ましくは43〜54(Ω/□)とすることが可能である。
基材上に前記金属銀からなる層(銀層)を備えた積層体において、前記基材の厚さは、目的に応じて適宜選択すればよいが、10〜5000μmであることが好ましく、10〜3000μmであることがより好ましい。
基材の材質は、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
また、基材の材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックスや、紙が挙げられる。
また、基材は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、2種以上の材質を併用したものでもよい。
基材は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。基材が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、基材の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
なお、基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
銀層の厚さは、目的に応じて任意に設定でき、例えば、3nm〜40μm、4nm〜30μm等とすることができるが、5nm〜10μmであることが好ましく、7nm〜5μmであることがより好ましく、10nm〜1μmであることが特に好ましい。
銀層は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。銀層が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
銀層が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい銀層の厚さとなるようにするとよい。
基材上に銀層を備えた前記積層体は、基材及び銀層以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、一又は二以上のその他の構成を備えていてもよい。前記その他の構成は、目的に応じて任意に選択できる。
銀層は、低温で形成することも可能であり、前記積層体においては、基材等の材質を幅広く選択できる。したがって、前記積層体の設計の自由度が高い。
図2は、銀インク組成物(B)を用いて形成した金属銀の微細パターンの一実施形態を模式的に示す図であり、(a)は正面図、(b)は、(a)のI−I線における断面図(銀細線の線長(長手)方向に対して垂直な方向の断面図)である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す金属銀の微細パターンは、直線状の銀細線12を複数本備えてなり、これら複数本の銀細線12は、直交する2方向に平行して配置され、網目を形成している。これら複数本の銀細線12は、基材11の表面(一方の主面)11a上に形成され、基材11とともに積層体1を構成している。銀細線12は、線幅を狭く、シート抵抗や体積抵抗率を小さくできるため、積層体1は、各種電子機器における電磁波シールド、タッチパネル等の部材として好適であり、例えば、配線板として有用である。
前記断面において、銀細線12の幅Wは、例えば、好ましくは1〜20μm、より好ましくは1.3〜15μm、特に好ましくは1.5〜13μmとすることができる。
また、ここに示す銀細線12の前記断面形状は、楕円の短軸方向のほぼ半分の領域が切り取られた半楕円形状である。銀細線12の前記断面形状としては、このように前記断面において、銀細線12の頂上の幅が、銀細線12の基材11との接触部の幅よりも小さくなっているものが好ましい。
このような銀細線12の好ましい前記断面形状としては、この他にも、例えば、図3(a)に示すような台形状、図3(b)に示すような三角形状、図3(c)に示すような二種以上の形状が組み合わされた複合形状等が挙げられ、図3(a)〜(c)において、角部が丸められた形状も挙げられる。
図3(b)に示すように、前記断面において、銀細線12の頂上が非平面である場合には、当然に、銀細線12の頂上の幅は、銀細線12の基材11との接触部の幅よりも小さい(幅がゼロである)。そして、図3(a)及び(c)に示すように、前記断面において、銀細線12の頂上が平面である場合には、その平面部の幅は、銀細線12の基材11との接触部の幅よりも小さい。
また、ここでは、銀細線12の前記断面形状は、紙面に向かって左右対称であるが、前記断面形状は、これに限定されず、左右非対称であってもよい。
また、ここでは、銀細線12の前記断面を模式的に示しており、銀細線12の表面は平滑面であるが、銀細線12の表面は、これに限定されず、規則的又は非規則的な凹凸面であってもよい。
すなわち、図2及び図3に示す銀細線12の前記断面形状は、ごく一部の例に過ぎず、銀細線12の前記断面形状はこれらに限定されない。
銀細線12の前記断面において、基材11の表面11aからの高さが高くなるにしたがって幅が狭くなっている領域は、例えば、銀細線12の高さ方向において、80%以上を占めることが好ましく、85%以上を占めることがより好ましく、90%以上を占めることがさらに好ましく、95%以上を占めることが特に好ましく、100%を占めていてもよい。
銀細線12の上述のような形状は、特にグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法等によって銀細線12が形成されたときに、典型的なものである。
銀細線12のピッチ(隣り合う銀細線12間の距離)Pは、目的に応じて任意に設定できるが、例えば、積層体1を電磁波シールド、タッチパネル等の部材として利用する場合には、50〜320μmであることが好ましく、70〜260μmであることがより好ましい。
銀細線12のピッチPは、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ異なっていてもよい。例えば、銀細線12のピッチPは、直交する2方向において、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
銀細線12は、その線長(長手)方向において、幅Wの変動率({[Wの最大値]−[Wの最小値]}/[Wの平均値]×100)が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
ここでは、積層体として、複数本の銀細線が直交する2方向に平行して配置され、網目を形成している例を示しているが、本発明における積層体はこれに限定されず、銀細線が他のパターンを形成していてもよい。
銀細線が形成する他のパターンとしては、例えば、複数本の銀細線の交差する(交わる)角度が、上述のような90°ではなく、90°以外の角度であるもの、銀細線の一部又はすべてが直線ではなく曲線であるもの、複数本の銀細線が交差することなく配置されているもの(複数本の銀細線が交差することなく1方向に平行して配置されている場合等、縞模様を形成しているもの)等が挙げられる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<銀インク組成物の製造>
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.45倍モル量)と、n−ヘキサン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.63倍モル量)とを、この順に加えて、図4に示す撹拌翼に相当するメカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、液温が50℃以下となるように、ビーカー中に2−メチルアセト酢酸銀を添加した。
2−メチルアセト酢酸銀の添加終了後、同様の状態を維持したまま、ビーカー中にシリンジポンプを用いて、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.5倍モル量)を10分かけて滴下し、ギ酸の滴下終了後、さらにそのままの状態で1.5時間撹拌した。
次いで、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(以下、「DMHO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.032倍モル量)及び4−エチル−1−オクチン−3−オール(以下、「EOO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.004倍モル量)の混合物をビーカー中に添加し、添加終了後、さらにそのままの状態で5分撹拌することにより、銀インク組成物(A1)を得た。
なお、DMHOとしては、エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」を用い、EOOとしては、東京化成工業社製のものを用いた。
各配合成分の種類と配合比を表1に示す。表1中、「含窒素化合物(モル比)」とは、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[β−ケトカルボン酸銀(1)のモル数])を意味する。「還元剤(モル比)」も同様に、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたりの還元剤の配合量(モル数)([還元剤のモル数]/[β−ケトカルボン酸銀(1)のモル数])を意味する。「アセチレンアルコール(2)(モル比)」も同様に、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたりのアセチレンアルコール(2)の配合量(モル数)([アセチレンアルコール(2)のモル数]/[β−ケトカルボン酸銀(1)のモル数])を意味する。「溶媒(モル比)」も同様に、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたりの溶媒の配合量(モル数)([溶媒のモル数]/[β−ケトカルボン酸銀(1)のモル数])を意味する。
<銀インク組成物の処理(銀インク組成物(B)の製造)>
空気雰囲気下で、上記で得られた銀インク組成物(銀インク組成物(A1))をポリプロピレン製容器に封入した後、この容器を30℃で24時間静置することで、銀インク組成物を処理した(銀インク組成物(B)を得た)。このときの処理条件を表2に示す。
<銀インク組成物の評価>
(銀インク組成物のLの測定)
図1を引用して説明した方法により、上記で得られた銀インク組成物(銀インク組成物(A1))のLを測定した。
すなわち、大きさが50mm×50mmで、厚さが120μmであるガラス板(松浪硝子工業社製「MATSUNAMI MICRO COVER GLASS)」2枚で、銀インク組成物(銀インク組成物(A1))(0.1g)を挟み込み、これら2枚のガラス板間で直径が約50mmのほぼ円形状となるように、銀インク組成物を押し広げた。
次いで、これらガラス板等を平滑面上に載置し、積分球分光測色計「X−Rite model SP60」を用いて、視野10deg、光源D65/2、SCIモードの条件で、銀インク組成物について、波長400〜700nmの光の反射率を測定した。そして、その測定値を用いて、銀インク組成物のLを算出した。結果を表2に示す。
(銀インク組成物の連続印刷安定性の評価)
グラビアオフセット印刷法により、上記で得られた処理後の銀インク組成物(銀インク組成物(B))を用いて、ポリカーボネート製基板(厚さ1mm)の一方の主面(表面)上に印刷を行い、図2に示すような網目状の印刷パターンを形成した。より具体的には、以下のとおりである。
印刷装置としては、以下のものを用いた。すなわち、凹版としては、金属製でその表面に銀細線の型となる、幅4μmでかつ深さが10μmである溝を有するものを用いた。オフセットロールとしては、金属製の筒体の表面がシリコーン樹脂製のブランケット材で被覆されたものを用いた。
このような印刷装置を用いて、凹版に処理後の銀インク組成物(銀インク組成物(B))を供給して、余分の銀インク組成物をドクターブレードによって除去し、溝に充填された銀インク組成物をオフセットロールのブランケット材の表面に転写した後、ベルトコンベヤユニットで運搬されてきた基板の表面に対して、この銀インク組成物で印刷を行った。このような印刷を、基板に対して50回連続して行った。
次いで、10回目の印刷で得られた印刷パターンと、50回目の印刷で得られた印刷パターンを、それぞれ100℃で10分乾燥させ、さらに、これら乾燥後の印刷パターンを備えた基板を、温度100℃、相対湿度100%の水蒸気雰囲気下に10分置いて、乾燥後の印刷パターンを加熱(焼成)処理することで、基板上に図2に示す網目状の銀細線を形成し、配線板とした。
得られた配線板の銀細線について、デジタルマルチメータ(ADC社製「ADCMT 7461A」を用いて、シート抵抗(表面抵抗値)を測定した。そして、10回目の印刷で形成された銀細線のシート抵抗Rst(10)と、50回目の印刷で形成された銀細線のシート抵抗Rst(50)とから、下記式により、50回シート抵抗変動率(%)を算出した。50回シート抵抗変動率の絶対値が10%以下(50回シート抵抗変動率が−10%〜10%)である場合、連続印刷安定性を○(合格)と判定し、50回シート抵抗変動率の絶対値が10%超(50回シート抵抗変動率が−10%>であるか又は10%<)である場合、連続印刷安定性を×(不合格)と判定した。結果を表2に示す。
50回シート抵抗変動率(%)=(Rst(50)−Rst(10))/Rst(10)×100
<銀インク組成物の製造、処理及び評価>
[実施例2〜6、比較例1〜3]
銀インク組成物の製造時における配合成分の配合比を表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で、銀インク組成物を製造し、得られた銀インク組成物を処理して、処理前後の銀インク組成物を評価した。結果を表2に示す。なお、表1中、配合成分の欄の「−」との記載は、その成分が未配合であることを意味する。
<銀インク組成物の評価>
[参考例1]
実施例1で得られた銀インク組成物(A1)を、上述の銀インク組成物(B)の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
Figure 2017226796
Figure 2017226796
上記結果から明らかなように、実施例1〜6の処理前の銀インク組成物(銀インク組成物(A1))は、L表色系におけるbの値が0.00〜0.51であり、処理後の銀インク組成物(銀インク組成物(B))を用いた場合の連続印刷安定性に優れていた。実施例1〜6の処理前の銀インク組成物(銀インク組成物(A1))は、L表色系におけるaの値が1.10〜1.35であった。
これに対して、比較例1〜3の処理前の銀インク組成物は、L表色系におけるbの値が、実施例1〜6の場合よりも大きいか又は小さく、処理後の銀インク組成物を用いた場合の連続印刷安定性に劣っていた。比較例1〜3の処理前の銀インク組成物は、L表色系におけるaの値も、実施例1〜6の場合よりも大きいか又は小さかった。
一方、参考例1の銀インク組成物は、実施例1の処理前の銀インク組成物と同じものであるが、経時処理を行っていないことで、これを用いた場合、連続印刷安定性に劣っていた。
<銀インク組成物の処理及び評価>
[試験例1〜10]
処理条件を表3に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で銀インク組成物(A1)を処理し、連続印刷安定性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2017226796
上記結果から明らかなように、試験例1〜7では、処理後の銀インク組成物(銀インク組成物(B))を用いた場合の連続印刷安定性に優れていた。これに対して、試験例8〜10では、処理後の銀インク組成物を用いた場合の連続印刷安定性に劣っていた。
試験例1〜4について、銀インク組成物(A1)(処理前の銀インク組成物)の処理温度をx軸にとり、銀インク組成物(A1)の処理時間を対数目盛でy軸にとって、プロットすることにより、銀インク組成物(A1)の処理温度及び処理時間の関係を示すグラフ(以下、「グラフ(G1)」と称することがある)を作製した。その結果、グラフ(G1)において、x及びyの関係は回帰計算により、y=388.55e−0.14xの関数に近似された。
また、試験例5〜7について、上記と同様に、銀インク組成物(A1)の処理温度を横軸にとり、銀インク組成物(A1)の処理時間を対数目盛で縦軸にとって、プロットすることにより、銀インク組成物(A1)の処理温度及び処理時間の関係を示すグラフ(以下、「グラフ(G2)」と称することがある)を作製した。その結果、グラフ(G2)において、x及びyの関係は回帰計算により、y=1912.7e−0.128xの関数に近似された。
グラフ(G1)及びグラフ(G2)をまとめて、図6に示す。
これらの結果から、銀インク組成物(A1)の処理温度x(℃)及び処理時間y(h)が、例えば、xが0〜42の範囲内で、少なくとも388.55e−0.14x≦y≦1912.7e−0.128xの関係を満たす場合、本発明の効果を奏するといえる。さらに、試験例1〜7の処理後のすべての銀インク組成物が本発明の効果を奏するのであるから、xが0〜42の範囲内で、yがy=388.55e−0.14xで特定される値よりもやや小さい値である場合と、yがy=1912.7e−0.128xで特定される値よりもやや大きい値である場合も、同様に本発明の効果を奏するといえる。すなわち、x−y平面上の0≦x≦42、388.55e−0.14x≦y≦1912.7e−0.128xで囲まれる領域を、y軸方向のyが減少する方向と増大する方向との両方向にやや拡大した領域に、x及びyが含まれる処理条件の場合、本発明の効果を奏するといえるのであり、前記式(i)の関係を満たす場合、本発明の効果を奏するといえる。図6に、グラフ(G1)及びグラフ(G2)とともに、前記式(i)に関わる関数y=306.47e−0.139xのグラフ(G3)、及び関数y=2403.2e−0.128xのグラフ(G4)をあわせて示す。試験例1〜7の処理条件は、前記式(i)の関係を満たしているが、試験例8〜10の処理条件は、前記式(i)の関係を満たしていない。
本発明は、基材上に金属銀の微細パターンが形成された積層体の製造に利用可能であり、例えば、透明電極、電磁波シールド、タッチパネル等の各種電子機器における部材の製造への適用に好適である。
1・・・積層体、11・・・基材、11a・・・基材の表面、12・・・銀細線
800,900・・・撹拌翼、810,910・・・駆動軸、820,920・・・強制流動発生翼部、820a,920a・・・強制流動発生翼部の外側辺、830・・・連結部、930・・・第1連結部、940・・・第2連結部、950・・・第3連結部

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀と、
    炭素数25以下のアミン化合物、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩、アンモニア、及び前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の含窒素化合物と、
    シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の還元剤と、
    下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類と、が配合されてなり、
    表色系におけるbの値が0.00〜0.51である、銀インク組成物。
    H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
    (式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
    Figure 2017226796
    (式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
    はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
    はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
    は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
    Figure 2017226796
    (式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
  2. 前記銀インク組成物のL表色系におけるaの値が1.10〜1.40である、請求項1に記載の銀インク組成物。
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