JP2014080581A - 銀インク組成物及び加熱処理物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀と、下記一般式(2)で表わされるアセチレンアルコール類と、炭素数2〜25のアミン化合物及び/又はアンモニウム塩と、が配合されてなる混合物に、二酸化炭素ガスを供給して得られ、前記アセチレンアルコール類の配合量が、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり、0モルより多く、0.1モル未満であり、20℃における粘度が0.2Pa・s以上であることを特徴とする銀インク組成物。(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
[化1]
【選択図】なし
Description
金属銀の一般的な製造方法としては、これまで、無機化合物である酸化銀を還元剤の存在下で加熱処理する方法が幅広く適用されている。このような条件下で加熱することにより、酸化銀が還元され、生じた金属銀が相互に融着して、金属銀を含む被膜が形成される。しかし、この方法では、還元剤が必要であり、約300℃程度と極めて高温で加熱する必要がある。さらに、金属銀を導電性材料として使用する場合には、抵抗を低減するために、微細な酸化銀粒子を使用する必要がある。
本発明は、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀と、下記一般式(2)で表わされるアセチレンアルコール類と、炭素数2〜25のアミン化合物及び/又はアンモニウム塩と、が配合されてなる混合物に、二酸化炭素ガスを供給して得られ、前記アセチレンアルコール類の配合量が、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり、0モルより多く、0.1モル未満であり、20℃における粘度が0.2Pa・s以上であることを特徴とする銀インク組成物を提供する。
Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり;
R7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
本発明に係る銀インク組成物は、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀と、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)と、炭素数2〜25のアミン化合物及び/又はアンモニウム塩と、が配合されてなる混合物に、二酸化炭素ガスを供給して得られ、前記アセチレンアルコール類の配合量が、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり、0モルより多く、0.1モル未満であり、20℃における粘度が0.2Pa・s以上であることを特徴とする。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」ではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又は水酸基であり;
Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり;
R7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY2−」、「CY3−」、「R1−CHY−」、「R2O−」、「R5R4N−」、「(R3O)2CY−」若しくは「R6−C(=O)−CY2−」で表される基である。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。
Rにおける前記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH2−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が例示できる。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR2は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR3は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R4及びR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR6は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基、又は式「AgO−」で表される基であり、R6における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Xにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Xにおけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO2)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R7がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される
式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−COOAg」で表される基である。
R8における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。ただし、R8における前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
本発明における炭素数2〜25のアミン化合物は、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、炭素数2〜25のアンモニウム塩とは、かかる炭素数の第4級アンモニウム塩である。前記アミン化合物及びアンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン又はアンモニウム塩を形成している窒素原子の数は一つでもよいし、二つ以上でもよい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミンが例示できる。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環の骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、フラニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、チエニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしてはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンが例示できる。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミンが例示できる。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。
また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の四つのアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、四つのアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラドデシルアンモニウムブロミドが例示できる。
環状アミンであれば、好ましいものとして、ピリジンが例示できる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、2−ブロモベンジルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
また、前記アミン化合物は、銀インク組成物の品質がより安定することから、分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
前記銀インク組成物は、例えば、二酸化炭素を供給することで、粘度をさらに高くすることが可能であるが、この二酸化炭素供給時において、銀インク組成物中の成分がより均一に分散して、品質が安定する点において、前記アミン化合物は分岐鎖状のアルキル基を有するものが好ましい。
本発明において、アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表わされる。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
本発明の銀インク組成物は、被膜の形成を抑制することで、例えば、パッド印刷法において、パッド上において、印刷前における被膜形成も抑制することができる。
前記混合物は、前記カルボン酸銀、アミン化合物及び/又はアンモニウム塩、並びにアセチレンアルコール(2)以外に、本発明の効果を妨げない範囲内において、これらに該当しないその他の成分がさらに配合されていてもよい。
前記その他の成分は特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、好ましいものとして溶媒が例示できる。
前記溶媒としては、アルコール類(ただし、アセチレンアルコール(2)を除く。)、ケトン類、エーテル類、エステル類、一つ以上の水素原子がシアノ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素又は脂肪族炭化水素等の各種有機溶媒や、水が例示できる。ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
前記混合物は、前記カルボン酸銀、アミン化合物及び/又はアンモニウム塩、アセチレンアルコール(2)並びに必要に応じて前記その他の成分を配合することで得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法、ミキサーを使用して混合する方法、超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
本発明の銀インク組成物は、20℃における粘度が0.2Pa・s以上となるように、前記混合物に二酸化炭素(CO2)を供給して得られたものである。供給される二酸化炭素(CO2)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。二酸化炭素が供給されることにより、この二酸化炭素が前記混合物に溶け込み、混合物中の成分に作用することで、得られる銀インクの粘度が上昇すると推測される。
本発明においては、銀インク組成物の粘度を0.2Pa・s以上とするため、例えば、混合物100gあたり4mL/分以上の流量で、5分以上二酸化炭素を供給することが好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上が特に好ましい。また、20℃における粘度が10Pa・s以上である銀インク組成物を5〜15g程度得るためには、二酸化炭素ガスを5L以上供給することが好ましく、7L以上供給することがより好ましい。また、同様の粘度の銀インク組成物を50〜150g程度得るためには、二酸化炭素ガスを50L以上供給することが好ましく、70L以上供給することがより好ましい。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
この時の撹拌方法は、混合物調製時の前記混合方法と同様でよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、混合物を撹拌することが好ましく、例えば、混合物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
これに対して、本発明の銀インク組成物は、カルボン酸銀、アセチレンアルコール(2)、前記アミン化合物及び/又はアンモニウム塩が配合された混合物に二酸化炭素ガスを供給して得ることで、所望の高粘度と安定した品質を有するものとなる。
本発明に係る加熱処理物は、前記銀インク組成物を加熱(焼成)し、金属銀を形成して得られたことを特徴とする。ここで、「加熱」とは、銀インク組成物から金属銀を主成分とする処理物を得るために必要な操作であり、加熱温度はそのような処理物を得るのに必要な温度である。そして、「金属銀を主成分とする」とは、金属銀の比率が、見かけ上金属銀だけからなるとみなし得る程度に十分に高いことを意味し、例えば、加熱処理物中の金属銀の比率は99質量%以上であることが好ましい。
また、加熱時間は、加熱温度に応じて適宜調節すればよく、例えば、0.5〜6時間とすることができる。
[実施例1]
2−エチルヘキシルアミン(55.2g)、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)(0.14g)をフラスコ内に添加して撹拌し、さらにここへ、温度が10℃〜40℃となるように氷冷下2−メチルアセト酢酸銀(42.4g)を添加して、撹拌することで、混合物を得た。なお、撹拌は、SUS製で長さ25mmの撹拌片を3枚供えた撹拌翼を使用して行った。各成分の配合量(モル数)を表1に示す。
次いで、得られた混合物(100g)を15℃において、撹拌速度100rpmで撹拌しながら、ここへ650mL/分の流量で、140分間、二酸化炭素(CO2)ガスを供給(バブリング)し、銀インク組成物を得た。二酸化炭素ガスは、直径10mm、高さ180mmの円柱形エアストーンを介して、微細な気泡状として供給した。
3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)の添加量を0.31gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により、銀インク組成物を製造した。
3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)の添加量を0.60gとしたこと以外は、実施例1と同様の方法により、銀インク組成物を製造した。
二酸化炭素ガスの供給を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、銀インク組成物を製造した。
二酸化炭素ガスの供給を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の方法で、銀インク組成物を製造した。
二酸化炭素ガスの供給を行わなかったこと以外は、実施例3と同様の方法で、銀インク組成物を製造した。
温度20℃の環境下で、測定対象物である5gの前記銀インク組成物中に、超音波振動式粘度計(CBC社製「VISCOMATE VM−10A」)のセンサー(振動体)を挿入して、前記混合物又は銀インク組成物の粘度を測定した。
得られた銀インク組成物を、20℃で1日間保存し、保存後の銀インク組成物について、沈殿物の有無を確認した。その結果を表2に示す。
なお、下記表2中、○は「沈殿物なし」、△は「一部沈殿物あり」、×は[沈殿物あり]を示す。
また、実施例1〜3の銀インク組成物は、保存の前後で粘度の変化が見られず、安定していた。
これに対し、比較例1〜3の銀インク組成物は、保存後、分離していた。
[実施例4〜10]
二酸化炭素の供給時間を変えることで、粘度が表3の値となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造した。そして、得られた銀インク組成物の製造直後と20℃で1日保存後の安定性を評価した。その結果を表3に示す。下記表3中、○は「沈殿物なし」、△は「一部沈殿物あり」、×は「沈殿物あり」を示す。
実施例4〜10の銀インク組成物は、少なくとも製造後しばらくの間は沈殿が生じていなかった。
また、実施例4〜10の銀インク組成物は、保存の前後で粘度の変化が見られず、安定していた。
二酸化炭素ガスの供給時間を変えることで、粘度が表4の値となるようにしたこと以外は、実施例3と同様に銀インク組成物を製造した。そして、得られた銀インク組成物の製造直後と20℃で1日保存後の安定性を評価した。その結果を表4に示す。下記表4中、○は「沈殿物なし」、△は「一部沈殿物あり」、×は「沈殿物あり」を示す。
実施例11〜17の銀インク組成物は、少なくとも製造後しばらくの間は沈殿が生じていなかった。
また、実施例11〜17の銀インク組成物は、保存の前後で粘度の変化が見られず、安定していた。
3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)の添加量を0.93gとし、二酸化炭素ガスの供給時間を変えることで、粘度が表5の値となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造した。そして、得られた銀インク組成物の製造直後と20℃で1日保存後の安定性を評価した。その結果を表5に示す。下記表5中、○は「沈殿物なし」、△は「一部沈殿物あり」、×は「沈殿物あり」を示す。
実施例18〜26の銀インク組成物は、少なくとも製造後しばらくの間は沈殿が生じていなかった。そして、銀インク組成物は、粘度が1Pa・s以上となるようにすることで、保存後も沈殿物が発生しないことを確認できた。
また、実施例18〜26の銀インク組成物は、保存の前後で粘度の変化が見られず、安定していた。
3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)の添加量を1.16gとし、二酸化炭素ガスの供給時間を変えることで、粘度が表6の値となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造した。そして、得られた銀インク組成物の製造直後と20℃で1日保存後の安定性を評価した。その結果を表6に示す。下記表6中、○は「沈殿物なし」、△は「一部沈殿物あり」、×は「沈殿物あり」を示す。
実施例27〜32の銀インク組成物は、保存の前後で沈殿物は認められなかった。
また、実施例27〜32の銀インク組成物は、保存の前後で粘度の変化が見られず、安定していた。
(被膜発生時間の評価)
得られた銀インク組成物をそれぞれ使用して、ポリエチレンナフタレート(PEN)製の基材に対してスクリーン印刷を行った。スクリーン版としては、カレンダー処理を行ったステンレス製のものを使用し、乳剤厚10μm、線径18μmの条件で印刷した。その後、アセチレンアルコール(2)の配合量と被膜発生時間の関係を調べた。その結果を表7に示す。
下記表7中、実施例33は、上記実施例9と同様の方法で製造した、銀インク組成物である。
下記表7中、実施例34は、上記実施例2と同様の方法で製造した、銀インク組成物である。
下記表7中、実施例35は、上記実施例17と同様の方法で製造した、銀インク組成物である。
下記表7中、実施例36は、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)の添加量を0.77gとし、二酸化炭素の供給時間を120分としたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造した、銀インク組成物である。
下記表7中、実施例37は、上記実施例26と同様の方法で製造した、銀インク組成物である。
下記表7中、実施例38は、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)の添加量を1.17gとし、二酸化炭素の供給時間を120分としたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造した、銀インク組成物である。
下記表7中、実施例39は、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)の添加量を1.75gとし、二酸化炭素の供給時間を120分としたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造した、銀インク組成物である。
下記表7中、比較例7は、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)の添加量を2.33gとし、二酸化炭素の供給時間を120分としたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造した、銀インク組成物である。
表8に示すように、2−メチルアセト酢酸銀(0.19モル)に代えて、イソブチリル酢酸銀(0.19モル)を用い、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールの添加量を2−メチルアセト酢酸銀に対して0.006倍モルとするのに代えて、イソブチリル酢酸銀に対して0.025倍モルとし、さらに、二酸化炭素ガスの供給時間を変えることで、粘度が表9の値となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造した。そして、得られた銀インク組成物の製造直後と20℃で1日保存後の安定性を評価した。その結果を表9に示す。表9中、○は「沈殿物なし」、△は「一部沈殿物あり」、×は「沈殿物あり」を示す。
実施例40〜46の銀インク組成物は、保存の前後で沈殿物は認められなかった。
また、実施例40〜46の銀インク組成物は、保存の前後で粘度の変化が見られず、安定していた。
表8に示すように、2−メチルアセト酢酸銀(0.19モル)に代えて、アセト酢酸銀(0.19モル)を用い、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールの添加量を2−メチルアセト酢酸銀に対して0.006倍モルとするのに代えて、アセト酢酸銀に対して0.025倍モルとし、さらに、二酸化炭素ガスの供給時間を変えることで、粘度が表10の値となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造した。そして、得られた銀インク組成物の製造直後と20℃で1日保存後の安定性を評価した。その結果を表10に示す。表10中、○は「沈殿物なし」、△は「一部沈殿物あり」、×は「沈殿物あり」を示す。
実施例47〜54の銀インク組成物は、少なくとも製造後しばらくの間は沈殿が生じていなかった。そして、銀インク組成物は、粘度が1Pa・s以上となるようにすることで、保存後も沈殿物が発生しないことを確認できた。
また、実施例47〜54の銀インク組成物は、保存の前後で粘度の変化が見られず、安定していた。
表8に示すように、2−メチルアセト酢酸銀(0.19モル)に代えて、ピバロイル酢酸銀(0.19モル)を用い、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールの添加量を2−メチルアセト酢酸銀に対して0.006倍モルとするのに代えて、ピバロイル酢酸銀に対して0.025倍モルとし、さらに、二酸化炭素ガスの供給時間を変えることで、粘度が表11の値となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造し、安定性を評価した。その結果を表11に示す。表11中、○は「沈殿物なし」、△は「一部沈殿物あり」、×は「沈殿物あり」を示す。
実施例55〜61の銀インク組成物は、少なくとも製造後しばらくの間は沈殿が生じていなかった。
また、実施例55〜61の銀インク組成物は、保存の前後で粘度の変化が見られず、安定していた。
表8に示すように、2−メチルアセト酢酸銀(0.19モル)に代えて、アセトンジカルボン酸銀(0.048モル)を用い、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールの添加量を2−メチルアセト酢酸銀に対して0.006倍モルとするのに代えて、アセトンジカルボン酸銀に対して0.025倍モルとし、さらに、二酸化炭素ガスの供給時間を変えることで、粘度が表12の値となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造した。そして、得られた銀インク組成物の製造直後と20℃で1日保存後の安定性を評価した。その結果を表12に示す。表12中、○は「沈殿物なし」、△は「一部沈殿物あり」、×は「沈殿物あり」を示す。
実施例62〜67の銀インク組成物は、保存の前後で沈殿物は認められなかった。
また、実施例62〜67の銀インク組成物は、保存の前後で粘度の変化が見られず、安定していた。
Claims (7)
- 前記カルボン酸銀が、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1に記載の銀インク組成物。
Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり;
R7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
- 前記Rが直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はフェニル基であり、前記Xが水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又はベンジル基であることを特徴とする請求項2に記載の銀インク組成物。
- 前記カルボン酸銀が、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2−エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の銀インク組成物。
- 前記アミン化合物として、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、及びN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンからなる群から選択される一種以上が配合されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の銀インク組成物。
- 前記アセチレンアルコール類が、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール及び3−メチル−1−ペンチン−3−オールからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の銀インク組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の銀インク組成物を加熱し、金属銀を形成して得られたことを特徴とする加熱処理物。
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