JP6116236B2 - 銀インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット印刷法への適用に好適な銀インク組成物に関する。
金属銀は、記録材料や印刷刷版の材料として、また、導電性に優れることから高導電性材料として幅広く使用されている。通常、金属銀をこのような用途に適用する場合には、金属銀又はその形成材料となる成分を含む銀インク組成物を調製し、この組成物を各種印刷法によって被印刷物に付着させ、必要に応じて金属銀の被膜を形成するために、付着した組成物を加熱(焼成)する手法が採用される。そして、微細な金属銀のパターンを形成するためには、前記印刷法としてインクジェット印刷法が汎用される。
このようなインクジェット印刷法への適用に好適な銀インク組成物としては、銀ナノ粒子を各種有機溶媒中に分散させて得られたものが開示されている(特許文献1及び2参照)。
特表2010−504409号公報 特開2010−196150号公報
しかし、特許文献1及び2に記載の銀インク組成物では、還元剤を使用して硝酸銀を還元することにより、原料である銀ナノ粒子を調製する操作が必要であり、銀インク組成物の製造には煩雑な工程が伴うという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便な方法で製造でき、インクジェット印刷法への適用に好適であり、実用的な量の金属銀を形成できる銀インク組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明は、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀、炭素数2〜10の脂肪族第一級アミン又は第二級アミン、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類、及び炭素数6〜14の炭化水素が配合されてなり、27℃における動的表面張力が56mN/m以下である銀インク組成物であって、前記銀インク組成物において、前記アセチレンアルコール類の配合量が、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり0.06〜0.3モルであることを特徴とする銀インク組成物を提供する。
Figure 0006116236
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
本発明の銀インク組成物においては、前記炭化水素が、炭素数10〜14の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素、又は炭素数6〜14の環状の飽和炭化水素、アルケン若しくはアルキンであることが好ましい。
本発明の銀インク組成物においては、前記カルボン酸銀が、下記一般式(1)で表されるβ−ケトカルボン酸銀であることが好ましい。
Figure 0006116236
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY−」、「CY−」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY−」で表される基であり;
Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
本発明の銀インク組成物においては、前記Rが直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、フェニル基、又は前記一般式「R−C(=O)−CY−」で表される基であり、前記Xが水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、又はベンジル基であることが好ましい。
本発明の銀インク組成物においては、前記β−ケトカルボン酸銀が、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀及びアセトンジカルボン酸銀からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
本発明の銀インク組成物においては、前記第一級アミン又は第二級アミンの窒素原子に結合している脂肪族炭化水素基が、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。
本発明の銀インク組成物においては、前記第一級アミン又は第二級アミンが、2−エチルヘキシルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、N−メチルヘキシルアミン及びN−エチルヘキシルアミンからなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
本発明の銀インク組成物においては、前記R’及びR’’が、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。
本発明の銀インク組成物においては、前記アセチレンアルコール類が、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール及び3−メチル−1−ペンチン−3−オールからなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
本発明によれば、簡便な方法で製造でき、インクジェット印刷法への適用に好適であり、実用的な量の金属銀を形成できる銀インク組成物が提供される。
<銀インク組成物>
本発明の銀インク組成物は、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀(以下、単に「カルボン酸銀」と略記することがある)、炭素数2〜10の脂肪族第一級アミン又は第二級アミン(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール類」と略記することがある)、及び炭素数6〜14の炭化水素(以下、「炭化水素」と略記することがある)が配合されてなり、27℃における動的表面張力が56mN/m以下であることを特徴とする。
Figure 0006116236
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
[カルボン酸銀]
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
前記カルボン酸銀は、加熱等によって分解し、金属銀を形成するものである。
本発明において、前記カルボン酸銀は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表されるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀」と略記することがある)であることが好ましい。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Figure 0006116236
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY−」、「CY−」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY−」で表される基であり;
Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
(β−ケトカルボン酸銀)
本発明において、前記β−ケトカルボン酸銀は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY−」、「CY−」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY−」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が例示できる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基が例示できる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。
Rにおける前記アルケニル基としては、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基が例示できる。
Rにおける前記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が例示できる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が例示できる。また、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R−CY−」、「CY−」及び「R−C(=O)−CY−」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C−)であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるRは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるRは、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、フェニル基、又は一般式「R−C(=O)−CY−」で表される基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
Xにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Xにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
Xにおけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
XにおけるRは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基の前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このようなものとしては式「=CH−C−NO」で表される基が例示できる。
Xは、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、又はベンジル基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
前記β−ケトカルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。これらβ−ケトカルボン酸銀は、前記一般式(1)で表されるものの中でも、加熱(焼成)処理により形成された金属銀において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
前記β−ケトカルボン酸銀は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物において、カルボン酸銀中の銀の含有量は、17質量%以上であることが好ましく、18質量%以上であることがより好ましい。このような範囲とすることで、後述する方法で形成された金属銀は、導電性が良好となり、品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。
[アミン化合物]
本発明において、前記アミン化合物は、脂肪族第一級アミン又は脂肪族第二級アミンで、炭素原子の総数が2〜10であれば特に限定されないが、好ましいものとして、窒素原子に結合している脂肪族炭化水素基がアルキル基であるもの(アルキルアミン、ジアルキルアミン)が例示できる。そして、前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよい。
前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。
前記環状のアルキル基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘブチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等が例示できる。
なかでも、前記アミン化合物としては、窒素原子に結合しているアルキル基が、直鎖状又は分岐鎖状であるものが好ましい。そして、前記アミンは、炭素数が2〜9であるものが好ましく、炭素数が3〜8であるものがより好ましく、具体的には、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−オクチルアミン、N−メチルヘキシルアミン、N−エチルヘキシルアミン等が例示できる。
前記アミン化合物は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すればよい。
銀インク組成物において、前記アミン化合物の配合量は、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり1〜6モルであることが好ましく、1.5〜5モルであることがより好ましい。下限値以上とすることで、アミン化合物の使用効果がより高くなり、上限値以下とすることで、より良好な品質の金属銀を形成できる。
[アセチレンアルコール類]
本発明において、アセチレンアルコール類は、前記一般式(2)で表される。
一般式(2)において、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合した一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が例示でき、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましい前記アセチレンアルコール類としては、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オールが例示できる。
本発明において、アセチレンアルコール類は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物において、アセチレンアルコール類の配合量は、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり0.03〜0.7モルであることが好ましく、0.06〜0.3モルであることがより好ましい。下限値以上とすることで、アセチレンアルコール類の使用効果がより高くなり、上限値以下とすることで、より良好な品質の金属銀を形成できる。
[炭化水素]
本発明において、前記炭化水素は、炭素数が6〜14であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、飽和炭化水素及び不飽和炭化水素のいずれでもよい。前記炭化水素は、15〜37℃で液状であるものが好ましく、15〜30℃で液状であるものがより好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記飽和炭化水素としては、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、n−オクタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、3−エチル−2−メチルペンタン、3−エチル−3−メチルペンタン、2,2,3,3−テトラメチルブタン、n−ノナン、2−メチルオクタン、3−メチルオクタン、4−メチルオクタン、2,2−ジメチルヘプタン、2,3−ジメチルヘプタン、2,4−ジメチルヘプタン、2,5−ジメチルヘプタン、2,6−ジメチルヘプタン、3,3ジメチルヘプタン、3,4−ジメチルヘプタン、3,5−ジメチルヘプタン、4,4−ジメチルヘプタン、2,2,4,4,−テトラメチルペンタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンが例示できる。
環状の前記飽和炭化水素は、単環状及び多環状のいずれでもよいが、単環状であることが好ましく、炭素数が8以下であることが好ましく、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンが例示できる。
前記不飽和炭化水素としては、前記飽和炭化水素の炭素原子間の1個以上の単結合(C−C)が、不飽和結合(二重結合(C=C)、三重結合(C≡C))に置換されたものが例示できる。
前記不飽和炭化水素は、炭素原子間の不飽和結合として、二重結合及び三重結合のいずれか一方のみを有していてもよいし、両方を有していてもよく、不飽和結合の数及び位置は特に限定されないが、不飽和結合の数は1又は2であることが好ましい。また、前記不飽和結合として二重結合を有する場合、前記不飽和炭化水素は、cis型及びtrans型のいずれでもよい。
前記不飽和炭化水素は、アルケン又はアルキンであることが好ましい。
本発明において、前記炭化水素は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物において、前記炭化水素の配合量は、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり0.05〜2モルであることが好ましく、0.1〜1.5モルであることがより好ましい。下限値以上とすることで、銀インク組成物の粘度をより適した低い値に調節でき、上限値以下とすることで、より良好な品質の金属銀を形成できる。
[その他の成分]
銀インク組成物は、前記カルボン酸銀、アミン化合物、アセチレンアルコール類及び炭化水素以外に、本発明の効果を妨げない範囲内において、これらに該当しないその他の成分がさらに配合されてなるものでもよい。
銀インク組成物は、配合成分の総量に占める、前記カルボン酸銀、アミン化合物、アセチレンアルコール類及び炭化水素の総配合量が、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。
[銀インク組成物の表面張力]
銀インク組成物は、27℃における動的表面張力が56mN/m以下であり、53mN/m以下であることが好ましく、このよう範囲であることで、銀インク組成物はインクジェット印刷法に適した物性を有するものとなる。
前記動的表面張力の下限値は特に限定されないが、銀インク組成物の取り扱い性等を考慮すると、28mN/mであることが好ましい。
本発明において、「動的表面張力」は、例えば、銀インク組成物中に気泡を発生させた場合の、該気泡が銀インク組成物から受ける圧力の最大値を用いて算出する、所謂「最大泡圧法」で求められる。最大泡圧法では、例えば、気泡周波数が9〜11Hzのいずれかの場合において、動的表面張力を求めればよい。
また、銀インク組成物は、27℃における静的表面張力が、30mN/m以下であることが好ましく、28mN/m以下であることがより好ましい。このような範囲であることで、銀インク組成物は、インクジェット印刷法により適した物性を有するものとなる。
前記静的表面張力の下限値は特に限定されないが、銀インク組成物の取り扱い性等を考慮すると、14mN/mであることが好ましい。
本発明においては、例えば、前記最大泡圧法で、気泡周波数が0.05〜0.2Hzのいずれかの場合の表面張力を「静的表面張力」とすればよい。
また、銀インク組成物は、前記最大泡圧法での27℃における、気泡周波数が1Hzでの表面張力が、45mN/m以下であることが好ましく、40mN/m以下であることがより好ましい。このような範囲であることで、銀インク組成物は、インクジェット印刷法により適した物性を有するものとなる。
前記1Hzでの表面張力の下限値は特に限定されないが、銀インク組成物の取り扱い性等を考慮すると、21mN/mであることが好ましい。
銀インク組成物の表面張力(動的表面張力、静的表面張力等)は、例えば、配合成分の種類及び量で調節できるが、特に前記炭化水素の種類で容易に調節できる。
なお、ここでは銀インク組成物の27℃における表面張力について説明したが、銀インク組成物の使用時の温度は、27℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。27℃における表面張力が上記のような範囲であることで、通常の使用条件で、前記銀インク組成物は、優れた効果を奏する。
[銀インク組成物の製造]
銀インク組成物は、前記カルボン酸銀、アミン化合物、アセチレンアルコール類及び炭化水素、並びに必要に応じて前記その他の成分を配合することで得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法、ミキサーを使用して混合する方法、超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
配合成分は、銀インク組成物中ですべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜30℃であることが好ましい。
[金属銀]
本発明の銀インク組成物は、例えば、60〜200℃等の温度で加熱(焼成)処理することにより、カルボン酸銀を熱分解させ、容易に金属銀を形成できる。したがって、銀インク組成物を、その粘度に適したインクジェット印刷法等の各種印刷法に適用し、得られた印刷パターンを加熱処理することで、金属銀のパターンを形成できる。
金属銀形成時の加熱温度は、カルボン酸銀の種類に応じて、適宜調節すればよい。カルボン酸銀は、例えば、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成する。したがって、このような分解温度を反映して、本発明の銀インク組成物は、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、上記のような従来の金属銀形成材料よりも低温で金属銀を形成できる。そして、加熱時間は、加熱温度に応じて適宜調節すればよい。
前記銀インク組成物でインクジェット印刷を行う被印刷物は、公知のものでよく、基材上にインク受理層が設けられたものが例示できるが、これに限定されない。
前記基材の材質は特に限定されず、目的に応じて選択すればよい。具体的には、原紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、レジンコート紙、合成紙等の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルホン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等の合成樹脂等が例示できる。また、二種以上の材質のものが積層されたものでもよい。
前記基材は、形状がシート状又はフィルム状であることが好ましく、厚さが20〜1000μmであることが好ましい。下限値以上とすることで、インク受理層の構造をより安定して保持でき、上限値以下とすることで、被印刷物としての取り扱い性がより良好となる。
インク受理層は、厚さが1〜20μmであることが好ましい。このような範囲とすることで、インク受理層の構造をより安定して保持できると共に、印刷物の品質がより向上する。
本発明の銀インク組成物は、動的表面張力が上記数値範囲であることで、インクジェット印刷法への適用に好適なものである。そして、各成分を所定の温度で配合するだけという、極めて簡便な方法で製造可能であり、しかも、得られた銀インク組成物は、前記還元剤等を使用しなくても、そのまま加熱処理することで、極めて容易に実用的な量の金属銀を形成できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<銀インク組成物の製造及び評価>
[実施例1]
(銀インク組成物の製造)
2−エチルヘキシルアミン(3.1g)、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)(0.17g)及びn−オクタン(0.8g)を、13.5mLバイアル瓶内に添加して撹拌し、さらにここへ、氷冷下2−メチルアセト酢酸銀(3.0g)を添加して、30分間撹拌することで、銀インク組成物を得た。各成分の配合量を表1に示す。
(銀インク組成物の評価)
・表面張力
得られた銀インク組成物(7g)中に、表面張力計(英弘精機社製「ポータブル表面張力計シータt60」)のセンサーを浸漬し、温度27℃の環境下で、気泡周波数を0Hzから10Hzまで変化させ、最大泡圧法により、銀インク組成物の0.1Hzの場合の表面張力(静的表面張力)、1Hzの場合の表面張力、及び10Hzの場合の表面張力(動的表面張力)をそれぞれ測定した。結果を表2に示す。
<金属銀の製造及び評価>
(金属銀の製造)
ポリエチレンテレフタレート(PET)製の基材(東レ社製「ルミラーS10」、厚さ100μm)上に、上記で得られた銀インク組成物を吐出させ、塗布した。このときの銀インク組成物の基材上への塗布量は、15±1g/mとなるように調節した。
次いで、この銀インク組成物に対して、80℃で30分間の熱風吹き付けによる加熱処理、さらに150℃で30分間又は60分間の熱風吹き付けによる加熱処理を順次行い、二通りで金属銀を形成させた。
(金属銀の評価)
得られた金属銀において、電気抵抗測定装置「ロレスタMCP−T610(三菱化学アナリティック社製)」を使用して、JIS K 7194(ASTM D 991)に準じて、表面抵抗値(Ω/□)を測定した。結果を表2に示す。
<銀インク組成物の製造及び評価、並びに金属銀の製造及び評価>
[実施例2〜15、比較例1〜4]
各成分の種類と配合量を表1に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造及び評価した。結果を表2に示す。なお、表1中「−」は、その成分が未配合であることを示す。
さらに、得られた銀インク組成物を使用して、実施例1と同様に金属銀を製造及び評価した。結果を表2に示す。なお、表2中、「OL」は値が大き過ぎて測定できなかった(オーバーロード)ことを示す。
なお、表1に示す各略号は、以下のものを意味する。
(a)カルボン酸銀
(a)−1:2−メチルアセト酢酸銀
(b)アミン化合物
(b)−1:2−エチルヘキシルアミン
(c)アセチレンアルコール類
(c)−1:3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール
(c)−2:3−メチル−1−ペンチン−3−オール(日信化学工業社製「オルフィンP」)
(c)−3:3−メチル−1−ブチン−3−オール(日信化学工業社製「オルフィンB」)
Figure 0006116236
Figure 0006116236
上記結果から明らかなように、本発明の銀インク組成物は、動的表面張力が51.9mN/m以下であり、容易に吐出可能で、インクジェット印刷法への適用に適したものであることを確認できた。また、金属銀は十分な量が形成され、その抵抗値は0.4Ω/□以下と小さく、加熱処理の時間が変化しても安定しており、導電性材料として好適なものであった。
これに対して、比較例1の銀インク組成物は、炭化水素を配合しなかったことにより、動的表面張力が高く、吐出に困難を伴い、インクジェット印刷法への適用に適さないものであった。
また、比較例2及び3の銀インク組成物は、配合した炭化水素の種類が適さなかったことにより、動的表面張力が高く、吐出に困難を伴い、インクジェット印刷法への適用に適さないものであった。さらに、比較例3では、形成された金属銀は抵抗値が著しく高く、その値を測定できなかった。
また、比較例4の銀インク組成物は、炭化水素を配合しなかったのに対し、比較例1よりもカルボン酸銀の配合量を少なくし、アミン化合物の配合量を多くしたものであり、動的表面張力が低かったものの、形成された金属銀は抵抗値が高かった。
<銀インク組成物の製造及び評価、並びに金属銀の製造及び評価>
[実施例16〜21]
各成分の種類と配合量を表3に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様に銀インク組成物を製造及び評価した。結果を表4に示す。
さらに、得られた銀インク組成物を使用して、実施例1と同様に金属銀を製造及び評価した。結果を表4に示す。
なお、表1に示す各略号は、以下のものを意味する。
(a)カルボン酸銀
(a)−2:アセト酢酸銀
(a)−3:ピバロイル酢酸銀
(a)−4:イソブチリル酢酸銀
(a)−5:アセトンジカルボン酸銀
Figure 0006116236
Figure 0006116236
上記結果から明らかなように、本発明の銀インク組成物は、動的表面張力が50.2mN/m以下であり、容易に吐出可能で、インクジェット印刷法への適用に適したものであることを確認できた。また、金属銀は十分な量が形成され、その抵抗値は5.2Ω/□以下と小さく、加熱処理の時間が変化しても安定しており、導電性材料として好適なものであった。
本発明は、インクジェット印刷用のインクとして利用可能であり、微細な金属銀のパターン形成に特に有用である。

Claims (9)

  1. 式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀、炭素数2〜10の脂肪族第一級アミン又は第二級アミン、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類、及び炭素数6〜14の炭化水素が配合されてなり、27℃における動的表面張力が56mN/m以下である銀インク組成物であって、
    前記銀インク組成物において、前記アセチレンアルコール類の配合量が、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり0.06〜0.3モルであることを特徴とする銀インク組成物。
    Figure 0006116236
    (式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
  2. 前記炭化水素が、炭素数10〜14の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素、又は炭素数6〜14の環状の飽和炭化水素、アルケン若しくはアルキンであることを特徴とする請求項1に記載の銀インク組成物。
  3. 前記カルボン酸銀が、下記一般式(1)で表されるβ−ケトカルボン酸銀であることを特徴とする請求項1又は2に記載の銀インク組成物。
    Figure 0006116236
    (式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY−」、「CY−」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY−」で表される基であり;
    Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
    Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
    は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
  4. 前記Rが直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、フェニル基、又は前記一般式「R−C(=O)−CY−」で表される基であり、前記Xが水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、又はベンジル基であることを特徴とする請求項に記載の銀インク組成物。
  5. 前記β−ケトカルボン酸銀が、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀及びアセトンジカルボン酸銀からなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項又はに記載の銀インク組成物。
  6. 前記第一級アミン又は第二級アミンの窒素原子に結合している脂肪族炭化水素基が、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の銀インク組成物。
  7. 前記第一級アミン又は第二級アミンが、2−エチルヘキシルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、N−メチルヘキシルアミン及びN−エチルヘキシルアミンからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の銀インク組成物。
  8. 前記R’及びR’’が、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の銀インク組成物。
  9. 前記アセチレンアルコール類が、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール及び3−メチル−1−ペンチン−3−オールからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の銀インク組成物。
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