JP2018169929A - 透明導電性基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】透過率を低下することなく、電極パターンの骨見え性を改善することができる透明導電性基板を提供する。
【解決手段】本発明の透明導電性基板10は、基材20と、基材20の一方の主面20aに並列に形成された複数の微細配線30と、を備え、微細配線30の線幅の最大値と最小値の差が1.3μm以下、微細配線30の線幅の平均値をWavμmとした場合、線幅がWavμm+0.64μm以上の微細配線30が隣り合う数が2本以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性基板に関する。
静電容量方式タッチパネル等の表示機器において、透明導電性基板の表面電極には、透明性に優れるITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウムスズ)からなるスパッタ膜が使用されている。
しかし、ITOからなるスパッタ膜は、抵抗が高く、機械的強度が低いため、近年、これに代わって、銀ペーストの印刷ライン、銅箔のエッチングライン、銅めっきライン等の微細配線(線幅10μm以下)による電極パターンを表面電極とする透明導電性基板が提案されている。微細配線を構成する銀ペースト、銅箔、銅めっき等は、静電容量制御の感度を高められる低抵抗導電体であり、機械的強度にも優れている。
このような透明導電性基板は、表示機器に用いられるため、透過率が高い(85%以上)ことが求められる。また、微細配線自体は光を透過しないため、この微細配線をユーザに視認され難くすることが求められる。
微細配線パターンに形成された、電極パターンの骨見え性を改善するために、ベース基板と、そのベース基板に形成され、少なくとも1つの微細配線が交差して形成される微細配線パターンの電極パターンとを含み、微細配線の間の領域上にドットパターンを形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、骨見え性とは、微細配線パターンがユーザに視認される程度のことを指す。
特開2015−130145号公報
特許文献1では、実施例に記載されているように、微細配線の線幅が5μmの場合、1mm×1mmの範囲に450個のドットが存在するため、ドット径が10μmの場合、1mm×1mmの範囲の3.5%をドットが占めることになる。ドット自体は光を透過しないため、ドットが3.5%も占めると、透明導電性基板の透過率が低下する。電極パターンの骨見え性を改善するために、透明導電性基板の透過率を低下させることは好ましくない。
また、特許文献1では、電極パターンの骨見え性と微細配線の線幅のばらつきとの関係については何ら検討されていない。本発明者等が鋭意検討を繰り返したところ、微細配線の線幅にばらつきがあると、電極パターンの骨見え性が悪くなることを見出した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、透過率を低下することなく、電極パターンの骨見え性を改善することができる透明導電性基板を提供することを目的とする。
本発明の透明導電性基板は、基材と、該基材の少なくとも一方の主面に並列に形成された複数の微細配線と、を備え、前記微細配線の線幅の最大値と最小値の差が1.3μm以下、前記微細配線の線幅の平均値をWavμmとした場合、線幅がWavμm+0.64μm以上の微細配線が隣り合う数が2本以下であることを特徴とする。
本発明によれば、透過率を低下することなく、電極パターンの骨見え性を改善することが可能な透明導電性基板を提供することができる。
実施形態における透明導電性基板を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。 実施形態における透明導電性基板の一部を示す平面図である。 中央線の第1の変形例を示す図である。 中央線の第2の変形例を示す図である。
本発明の透明導電性基板の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[透明導電性基板]
本実施形態の透明導電性基板は、基材と、該基材の少なくとも一方の主面に並列に形成された複数の微細配線と、を備え、前記微細配線の線幅の最大値と最小値の差が1.3μm以下、前記微細配線の線幅の平均値をWavμmとした場合、線幅がWavμm+0.64μm以上の微細配線が隣り合う数が2本以下である。
以下、図面を参照して、本実施形態の透明導電性基板を具体的に説明する。
図1は、本実施形態の透明導電性基板を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態の透明導電性基板10は、基材20と、基材20の一方の主面20aに並列に形成された複数の微細配線30とから概略構成されている。
図1では、基材20の一方の主面20aにおいて、複数の微細配線30A,30B,30C,30D,30E,30Fが並列に形成された状態を示している。
本実施形態の透明導電性基板10において、複数の微細配線30の線幅の最大値と最小値の差が1.3μm以下であり、1.2μm以下であることが好ましい。例えば、複数の微細配線30のうち、隣り合う微細配線30Aと微細配線30Bにおいて、微細配線30Aの線幅が最大であり、微細配線30Bの線幅が最小である場合、微細配線30Aの線幅Wと微細配線30Bの線幅Wとの差が1.3μm以下であり、1.2μm以下であることが好ましい。
微細配線30の線幅は、微細配線30の延在する方向と直交する方向の長さである。
なお、それぞれの微細配線30は、その長手方向において、線幅に1μm以下のばらつきがある。そのため、それぞれの微細配線30の線幅の最大値は、その微細配線30の線幅が最大となる部分の長さである。また、それぞれの微細配線30の線幅の最小値は、その微細配線30の線幅が最小となる部分の長さである。
微細配線30の線幅の最大値と最小値の差が1.3μmを超えると、隣り合う複数の微細配線30が1本の線のように視認され易くなり、微細配線30の骨見え性が悪くなる。
また、本実施形態の透明導電性基板10では、隣り合う微細配線30Aの線幅と微細配線30Bのとの差が1.3μm以下、隣り合う微細配線30Bの線幅と微細配線30Cのとの差が1.3μm以下、隣り合う微細配線30Cの線幅と微細配線30Dの線幅との差が1.3μm以下、隣り合う微細配線30Dの線幅と微細配線30Eの線幅との差が1.3μm以下、隣り合う微細配線30Eの線幅と微細配線30Fの線幅との差が1.3μm以下であることが好ましい。
また、本実施形態の透明導電性基板10において、複数の微細配線30の線幅の平均値をWavμmとした場合、線幅がWavμm+0.64μm以上の微細配線30が隣り合う数が2本以下であり、0本であることが好ましい。
図1に示す透明導電性基板10において、複数の微細配線30の線幅の平均値とは、微細配線30Aの線幅、微細配線30Bの線幅、微細配線30Cの線幅、微細配線30Dの線幅、微細配線30Eの線幅および微細配線30Fの線幅の平均値である。
線幅がWavμm+0.64μm以上の微細配線30が隣り合う数が3本以上であると、隣り合う微細配線30が1本の線のように視認され易くなり、微細配線30の骨見え性が悪くなる。
本実施形態の透明導電性基板10の厚さ方向の可視光(波長380nm〜750nm)の透過率は、可視光の全波長範囲において、85%以上であることが好ましく、86%以上であることがより好ましい。
基材20は、フィルム状またはシート状であることが好ましい。基材20は、光透過性を有する透明基材である。基材20の厚さ方向の可視光(波長380nm〜750nm)の透過率は、可視光の全波長範囲において、85%以上であることが好ましく、86%以上であることがより好ましい。
基材20の材質としては、例えば、ポリチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルフォン(PES)、環状オレフィンコポリマー(COC)、トリアセチルセルロース(Triacetylcellulose;TAC)、ポリビニルアルコール(Polyvinyl alcohol;PVA)、ポリイミド(Polyimide;PI)、ポリスチレン(Polystyrene;PS)、二軸延伸ポリスチレン(K樹脂含有biaxially oriented PS;BOPS)、ガラスまたは強化ガラス等が挙げられる。
また、基材20に対する微細配線30の接着性を高めるために、基材20の一方の主面20aに高周波処理またはプライマー(Primer)処理を施してもよい。
基材20の構成材料に合成樹脂が含まれる場合、基材20は合成樹脂の成形体であることが好ましい。
基材20の厚さは、0.5μm〜5000μmであることが好ましく、1μm〜3000μmであることがより好ましい。基材20の厚さが前記下限値以上であることで、微細配線30の構造をより安定して維持できる。一方、基材20の厚さが前記上限値以下であることで、微細配線30形成時の基材20の取り扱い性がより良好となる。
基材20は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。基材20が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、基材20の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「全ての層が同一であってもよいし、全ての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料および厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
基材20が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材20の厚さとなるようにするとよい。
基材20が例えば、厚さ100μm〜500μm程度のフィルム状である場合には、透明導電性基板10は、この基材20の他方の主面20b、すなわち、微細配線30の形成面とは反対側の面に、粘着剤層を備えていてもよい。
前記粘着剤層には、例えば、ガラス、プラスチック等からなる透明基材(図示略)を貼り合わせてもよい。
透明導電性基板10は、基材20上の積層物を全てコートする、樹脂からなるオーバーコート層を、微細配線30上に備えていてもよい。透明導電性基板10は、前記オーバーコート層上に、さらに粘着剤層(本明細書においては、この場合の粘着剤層を、基材20の他方の主面20bに備える上述の粘着剤層と区別するために、「第2粘着剤層」と称し、基材20の他方の主面20bに備える上述の粘着剤層を「第1粘着剤層」と称することがある。)を備えていてもよい。
前記オーバーコート層上の粘着剤層(第2粘着剤層)には、例えば、ガラス、プラスチック等からなる透明基材(図示略)を貼り合わせてもよい。
基材20は、公知の方法で製造できる。例えば、合成樹脂を含有する基材20は、合成樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。また、市販品の基材20を用いてもよい。
図1に示すように、微細配線30は、基材20の一方の主面20aに線状に形成されている。
微細配線30の長さ方向は、微細配線30の延在方向であって、図1に示すY方向である。微細配線30は、例えば、直線的に延在している。微細配線30の幅方向は、基材20の一方の主面20aに沿う面内において微細配線30の長さ方向に対して直交する方向であって、図1に示すX方向である。
微細配線30の中央線αは、例えば、微細配線30の長さ方向にわたって、微細配線30の幅方向の中央を通る線である。微細配線30の中央線αから一方の側縁30a(第一側縁)までの幅方向の距離と、中央線αから他方の側縁30b(第二側縁)までの幅方向の距離とは等しい。本実施形態では、中央線αは直線である。
隣り合う微細配線30の間隔(例えば、微細配線30Aと微細配線30Bの間隔(ピッチ))Pは、目的に応じて任意に設定できるが、例えば、透明導電性基板10を電磁波シールド、タッチパネル等の部材として利用する場合には、複数の微細配線30の線幅の平均値の24倍以上であり、25倍以上であることが好ましい。具体的には、91.2μm〜320μmであることが好ましく、91.2μm〜260μmであることがより好ましい。ピッチPは、全て同じでもよいし、全て異なっていてもよく、一部のみ異なっていてもよい。
微細配線30の線幅は、3.8μm〜5.2μmであることが好ましく、3.8μm〜5.0μmであることがより好ましい。
微細配線30の厚さは、0.03μm〜2.0μmであることが好ましく、0.05μm〜1.0μmであることがより好ましい。
図1に示すように、透明導電性基板10は、基材20の一方の主面20aに並列に形成された複数の微細配線30を有する。
また、図2に示すように、複数の微細配線30は、互いに平行な複数の直線状の第1の微細配線33と、互いに平行な複数の直線状の第2の微細配線34とを含んでいてもよい。
第1の微細配線33と第2の微細配線34とは互いに交差しており、全体として格子状(または網目状)に形成されている。第1の微細配線33と第2の微細配線34とが交差する角度は、例えば、90°である。微細配線30は、メッシュ(Mesh)構造(網目構造)をなす電極を構成する。なお、第1の微細配線33と第2の微細配線34とが交差する角度は、90°に限定されない。
隣り合う微細配線30の間隔(ピッチ)Pは、上記の隣り合う微細配線30の間隔Pと同様である。
微細配線30の形成には、例えば、導電性のインクが用いられる。導電性のインクとしては、例えば、金属インク組成物、ポリマー型導電インク、市販の金属ペースト、金属ナノインク、金属錯体インク等が用いられる。特に、金属インク組成物が好ましい。
金属インク組成物としては、例えば、金属の形成材料が配合されてなる組成物が挙げられる。
前記金属の形成材料は、該当する金属原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属を生じるものであればよい。このような金属の形成材料としては、例えば、金属塩、金属錯体、有機金属化合物(金属−炭素結合を有する化合物)等が挙げられる。前記金属塩および金属錯体は、有機基を有する金属化合物および有機基を有しない金属化合物のいずれであってもよい。なかでも金属の形成材料は、金属塩であることが好ましく、銀塩または銅塩であることがより好ましく、銀塩であることが特に好ましい。
金属の形成材料は、有機銀化合物であることが好ましい。
前記有機銀化合物は、1分子中に有機基および銀原子を有し、分解等の構造変化によって金属銀を生じる化合物である。このような有機銀化合物としては、例えば、有機酸の銀塩、有機銀錯体等が挙げられる。これらのなかでも、有機酸の銀塩が好ましく、カルボン酸銀(カルボン酸の銀塩)がより好ましい。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
金属インク組成物における金属の形成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせおよび比率は、任意に調節できる。
金属インク組成物は、金属の形成材料以外に、金属(単体金属または合金)が配合されてなる組成物であってもよい。配合される前記金属は、銀または銅であることが好ましく、銀であることがより好ましい。
配合される前記金属(単体金属または合金)は、粒子状または繊維状(チューブ状、ワイヤー状等)であることが好ましく、ナノ粒子またはナノワイヤーであることがより好ましく、銀ナノ粒子、銀ナノワイヤー、銅ナノ粒子または銅ナノワイヤーであることがさらに好ましく、銀ナノ粒子または銀ナノワイヤーであることが特に好ましい。
なお、本明細書において、「ナノ粒子」とは、粒径が1nm以上1000nm未満、好ましくは1nm〜100nmである粒子を意味し、「ナノワイヤー」とは、幅が1nm以上1000nm未満、好ましくは1nm〜100nmであるワイヤーを意味する。
金属インク組成物は、例えば、印刷法等の公知の方法で基材に付着させることができる。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。これらのなかでも、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法が好ましい。
金属インク組成物は、例えば、金属の形成材料として、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)が配合されてなるものが好ましい。このような金属インク組成物としては、例えば、β−ケトカルボン酸銀(1)、含窒素化合物、還元剤およびアセチレンアルコール(2)が配合されてなる銀インク組成物(A1)が挙げられる。以下、各成分について、説明する。
<β−ケトカルボン酸銀(1)>
β−ケトカルボン酸銀(1)は、反応によって金属銀を形成する、金属銀の形成材料であり、一般式(1)で表される。
Figure 2018169929
式(1)中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、または一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基である。
Rにおける炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状および環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状および多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基および不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状または分枝鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が挙げられる。
Rにおける炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、置換基の数および位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、全ての置換基が同一であってもよいし、全ての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、炭素原子数が1〜16の飽和または不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が挙げられ、置換基の数および位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子または水素原子である。そして、一般式「R−CY −」、「CY −」および「R−C(=O)−CY −」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素原子数1〜19の脂肪族炭化水素基またはフェニル基(C−)であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素原子数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、例えば、炭素原子数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRおよびRは、それぞれ独立に炭素原子数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよく、例えば、炭素原子数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素原子数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基または式「AgO−」で表される基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R−C(=O)−CY −」で表される基、水酸基またはフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基または式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、または一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
における炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基およびベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が挙げられ、置換基の数および位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素原子数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、または1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素原子数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rにおけるフェニル基およびジフェニル基の前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられ、置換基の数および位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基またはジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基または原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基および3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このようなものとしては、例えば、式「=CH−C−NO」で表される基等が挙げられる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、または一般式「R−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、またはアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された金属銀において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60℃〜210℃、より好ましくは60℃〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成することが可能である。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせおよび比率は、任意に選択できる。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀およびアセトンジカルボン酸銀からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀およびアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物(A1)の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
銀インク組成物(A1)において、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量は、特に限定されないが、全成分の合計配合量に対する、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量の割合は、10質量%〜80質量%であることが好ましく、15質量%〜70質量%であることがより好ましく、20質量%〜60質量%であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、銀インク組成物(A1)の取り扱い性が向上するとともに、高純度の金属銀を容易に形成できる。
<含窒素化合物>
前記含窒素化合物は、炭素原子数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素原子数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素原子数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、およびアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせおよび比率は、任意に選択できる。
[アミン化合物、第4級アンモニウム塩]
前記アミン化合物は、炭素原子数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミンおよび第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素原子数が4〜25である。前記アミン化合物および第4級アンモニウム塩は、鎖状および環状のいずれでもよい。また、アミン部位またはアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれでもよく、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられ、炭素原子数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素原子数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、炭素原子数が6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、全て同じでもよいし、全て異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状および多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個および窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個および窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個および窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個および窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミンまたはモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたもの等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素原子数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素原子数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素原子数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン1分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素原子数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン1分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン1分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素原子数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素原子数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン1分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、全てが同じでもよいし、全てが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素原子数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素原子数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン1分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素原子数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素原子数が1〜19であることが好ましい。
また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム1分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、全てが同じでもよいし、全てが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物および第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物および第4級アンモニウム塩は、アミン部位またはアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位またはアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状および多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環および芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンおよび第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位またはアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子の全てが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基は全て同じでもよいし、全て異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物および第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素原子数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、または置換基として好ましくは炭素原子数が1〜5のアルキル基を有する、炭素原子数が3〜7の環状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基およびアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2−ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素原子数が6〜10のアリール基が好ましく、このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基またはアリール基を有する、炭素原子数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミンまたはN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀からなる層の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
[アミン化合物由来のアンモニウム塩]
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
[アンモニア由来のアンモニウム塩]
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、例えば、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩およびアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせおよび比率は、任意に選択できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩およびアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせおよび比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物(A1)において、前記含窒素化合物の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.3モル〜15モルであることが好ましく、0.3モル〜5モルであることがより好ましい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物(A1)は安定性がより向上し、導電体(金属銀)の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電体を形成できる。
<還元剤>
本発明における還元剤は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(HN−NH)および下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上のものである。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素原子数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基またはアミノ基である。)
すなわち、配合される還元剤は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせおよび比率は、任意に選択できる。
21における炭素原子数20以下のアルキル基は、炭素原子数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれでもよく、例えば、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のもの等が挙げられる。
21における炭素原子数20以下のアルコキシ基は、炭素原子数が1〜20であり、例えば、R21における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基等が挙げられる。
21における炭素原子数20以下のN,N−ジアルキルアミノ基は、炭素原子数が2〜20であり、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記アルキル基はそれぞれ炭素原子数が1〜19である。ただし、これら2個のアルキル基の炭素原子数の合計値が2〜20である。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれでもよく、例えば、炭素原子数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のもの等が挙げられる。
前記還元剤として、ヒドラジンは、一水和物(HN−NH・HO)を用いてもよい。
前記還元剤で好ましいものとしては、例えば、ギ酸(H−C(=O)−OH);ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCHCH)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CHCH)等のギ酸エステル;プロパナール(H−C(=O)−CHCH)、ブタナール(H−C(=O)−(CHCH)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CHCH)等のアルデヒド;ホルムアミド(H−C(=O)−NH)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH)等のホルムアミド類(式「H−C(=O)−N(−)−」で表される基を有する化合物);シュウ酸等が挙げられる。
銀インク組成物(A1)において、前記還元剤の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.04モル〜1.5モルであることが好ましく、0.06モル〜1.0モルであることがより好ましい。還元剤の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物(A1)は、より容易に、より安定して導電体(金属銀)を形成できる。
<アセチレンアルコール(2)>
アセチレンアルコール(2)は、一般式(2)で表される。
Figure 2018169929
式(2)中、R’およびR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、または1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’およびR’’における炭素原子数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状および多環状のいずれでもよい。R’およびR’’における前記アルキル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
R’およびR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、例えば、炭素原子数が1〜16の飽和または不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が挙げられ、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数および位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’およびR’’は、水素原子、または炭素原子数1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子、または炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2−プロピン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オール等が挙げられる。
本発明において、アセチレンアルコール(2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせおよび比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物(A1)において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.01モル〜0.7モルであることが好ましく、0.02モル〜0.3モルであることがより好ましい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
<他の成分>
また、銀インク組成物(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤およびアセチレンアルコール(2)以外に、さらに他の成分が配合されてなるものでもよい。
前記他の成分としては、例えば、アセチレンアルコール(2)以外のアルコール(以下、「他のアルコール」と略記することがある)、アセチレンアルコール(2)および前記他のアルコール以外の溶媒等が挙げられる。
本発明においては、前記他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせおよび比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物(A1)において、前記他のアルコールおよび溶媒以外の成分の配合量は、この成分の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
なかでも、銀インク組成物(A1)において、全成分の総配合量に対する、前記他のアルコールおよび溶媒以外の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、銀インク組成物(A1)において、全成分の総配合量に対する、前記他のアルコールおよび溶媒以外の成分の配合量の割合の下限値は、特に限定されず、例えば、0質量%であってもよい。
[他のアルコール]
前記他のアルコールは、アセチレンアルコール(2)以外のアルコールであれば特に限定されない。
ただし、前記他のアルコールは、常温で液状であるものが好ましい。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15℃〜30℃の温度等が挙げられる。
前記他のアルコールとして、より具体的には、例えば、アセチレンアルコール(2)以外のアセチレンアルコール、アセチレンアルコール(2)およびそれ以外のアルコール等が挙げられる。
(アセチレンアルコール(2)以外のアセチレンアルコール)
アセチレンアルコール(2)以外のアセチレンアルコールは、前記一般式(2)で表されない、炭素原子間の三重結合(C≡C)を有するアルコールであれば特に限定されない。
アセチレンアルコール(2)以外のアセチレンアルコールは、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状および多環状のいずれでもよいが、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
(アセチレンアルコール(2)およびそれ以外のアルコール)
アセチレンアルコール(2)およびそれ以外のアルコールは、炭素原子間の三重結合(C≡C)を有しないアルコールであれば特に限定されず、例えば、一価アルコールおよび二価以上の多価アルコールのいずれでもよく、飽和アルコールおよび不飽和アルコールのいずれでもよく、不飽和アルコールである場合には、脂肪族アルコール(芳香族環式基を有しないアルコール)および芳香族アルコール(芳香族環式基を有するアルコール)のいずれでもよい。
アセチレンアルコール(2)およびそれ以外のアルコールは、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状および多環状のいずれでもよい。
アセチレンアルコール(2)およびそれ以外のアルコールとして、より具体的には、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の二価アルコール等が挙げられる。
アセチレンアルコール(2)およびそれ以外のアルコールは、炭素原子数が1〜7であることが好ましい。
また、アセチレンアルコール(2)およびそれ以外のアルコールは、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
銀インク組成物(A1)が、前記他のアルコールが配合されてなるものである場合、銀インク組成物(A1)において、前記他のアルコールの配合量は、特に限定されない。
なかでも、銀インク組成物(A1)において、アセチレンアルコール(2)の配合量に対する、前記他のアルコールの配合量の割合は、1質量%〜10質量%であることが好ましく、1質量%〜5質量%であることがより好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記他のアルコールを用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、前記割合が前記上限値以下であることで、本発明の効果がより顕著に得られる。
[溶媒]
前記溶媒は、アセチレンアルコール(2)および前記他のアルコール以外のもの(水酸基を有しないもの)であれば、特に限定されない。
ただし、前記溶媒は、常温で液状であるものが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
銀インク組成物(A1)が、前記溶媒が配合されてなるものである場合、銀インク組成物(A1)において、前記溶媒の配合量は、特に限定されない。
なかでも、銀インク組成物(A1)において、前記溶媒の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.5モル〜5モルであることが好ましく、0.5モル〜3.5モルであることがより好ましく、0.5モル〜2モルであることが特に好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、前記溶媒を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
また、前記割合が前記上限値以下であることで、本発明の効果がより顕著に得られる。
銀インク組成物(A1)は、配合成分が全て溶解していてもよいし、一部または全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分が全て溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
銀インク組成物(A1)は、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤、アセチレンアルコール(2)、および必要に応じて前記他の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物(A1)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物(A1)としてもよい。上記の各成分の配合時においては、導電性を阻害する不純物が生成しないか、またはこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない銀インク組成物(A1)を用いても、十分な導電性を有する導電体(金属銀)が得られる。
各成分の配合時には、全ての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、全ての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子または撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダーまたはビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物(A1)において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダーまたはビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されない。例えば、銀インク組成物(A1)において、配合時の温度は、−5℃〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類および量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されない。銀インク組成物(A1)において、配合時間は10分〜36時間であることが好ましい。
銀インク組成物(A1)の製造時における、β−ケトカルボン酸銀(1)、前記含窒素化合物、前記還元剤、アセチレンアルコール(2)、および前記他の成分の配合方法並びに配合順序は、特に限定されない。例えば、これらの成分はいずれも、全量を一括添加してもよいし、分割添加してもよい。そして、一括添加および分割添加のいずれの場合でも、各配合成分の添加順序は、特に限定されない。また、銀インク組成物(A1)の製造時には、2種以上の配合成分を同時に添加してもよい。
図1に示すように、実施形態の透明導電性基板10では、中央線αは直線であるが、中央線αは直線でなくてもよい。例えば、中央線αは、図3に示すように曲線であってもよいし、図4に示すように複数の屈曲部を有する折れ線状(ジグザグ状)であってもよい。
また、図1に示す透明導電性基板10では、微細配線30は中央線αを対称軸とする線対称形であるが、微細配線30は、非線対称形であってもよい。
本実施形態の透明導電性基板10によれば、複数の微細配線30の線幅の最大値と最小値の差が1.3μm以下、複数の微細配線30の線幅の平均値をWavμmとした場合、線幅がWavμm+0.64μm以上の微細配線30が隣り合う数が2本以下であるため、透過率を低下することなく、微細配線30の骨見え性を改善することができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例]
(銀インク組成物の製造)
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.45倍モル量)と、n−ヘキサン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.63倍モル量)と、をこの順に加えて、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、液温が50℃以下となるように、ビーカー中に2−メチルアセト酢酸銀を添加した。
2−メチルアセト酢酸銀の添加終了後、同様の状態を維持したまま、ビーカー中にシリンジポンプを用いて、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.5倍モル量)を10分かけて滴下し、ギ酸の滴下終了後、さらにそのままの状態で1.5時間撹拌した。
次いで、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(以下、「DMHO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.032倍モル量)および4−エチル−1−オクチン−3−オール(以下、「EOO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.004倍モル量)の混合物をビーカー中に添加し、添加終了後、さらにそのままの状態で5分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
なお、DMHOとしては、エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」を用い、EOOとしては、東京化成工業社製のものを用いた。
(透明導電性基板の製造)
図1に示すように、ポリカーボネート製の基材20(厚さ0.4mm)の一方の主面20aに、グラビアオフセット印刷法により、上記で得られた銀インク組成物を塗工して、微細配線30の印刷パターンを形成し、実施例の透明導電性基板10を得た。
印刷方法の詳細は以下のとおりである。
印刷に用いた凹版は、金属製でその表面に導電性薄膜の型となる溝(開口幅は11.3μm、深さは2.3μm)を有する。溝のピッチ(隣り合う溝同士の距離)は190μmである。オフセットロールとしては、金属製の筒体の表面がシリコーン樹脂製のブランケット材で被覆されたものを用いた。
この版に銀インク組成物を供給し、ドクターブレードを用いてドクタリングを行うことによって版の溝に銀インク組成物を充填させた。余剰の金属インク組成物は除去した。
前記版から転写材(ブランケット)へ前記銀インク組成物を転写し、転写材を乾燥し、導電性の被膜を形成した。
転写した銀インク組成物の乾燥方法は二段階で行った。一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う。一段階目の加熱処理においては、熱風を用い、加熱温度は120℃、加熱時間は10分間とした。二段階目の加熱処理においては、加熱水蒸気にて加湿処理した。加熱温度は120℃、加熱時間は10分間とした。加湿条件下での加熱処理における相対湿度は30%〜90%とした。
なお、「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
(評価)
(1) 微細配線の線幅の測定
得られた透明導電性基板10について、キーエンス社製のレーザ顕微鏡(商品名:VK−X100)を用いて、微細配線30の線幅を測定した。
微細配線30の線幅の測定値に基づいて、複数の微細配線30の線幅の最大値と最小値の差を算出した。
微細配線30の線幅の測定値に基づいて、微細配線30の線幅の平均値を算出した。
結果を表1に示す。
(2)透過率の測定
得られた透明導電性基板10について、JIS K7361−1に準拠して、ヘーズメーター(商品名:NDH7000SP、日本電色工業社製)を用いて、全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
(3)微細配線の骨見え性の評価
得られた透明導電性基板10について、目視により、微細配線の骨見え性を評価した。微細配線が視認できない場合は骨見え性が「○」、微細配線が視認できる場合は骨見え性が「×」と評価した。結果を表1に示す。
[比較例]
表面に導電性薄膜の型となる溝(開口幅は約11.3μm〜12.6μm、深さは2.3μm)を有する凹版を用いたこと以外は実施例と同様にして、比較例の透明導電性基板を得た。
得られた透明導電性基板について、実施例と同様にして、微細配線の線幅の測定、透過率の測定および微細配線の骨見え性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2018169929
表1の結果から、実施例の透明導電性基板は、透過率を低下することなく、微細配線の骨見え性に優れることが分かった。
本発明は、タッチパネル等の各種電子機器等に利用可能である。
10・・・透明導電性基板、20・・・基材、30・・・微細配線。

Claims (1)

  1. 基材と、該基材の少なくとも一方の主面に並列に形成された複数の微細配線と、を備え、
    前記微細配線の線幅の最大値と最小値の差が1.3μm以下、
    前記微細配線の線幅の平均値をWavμmとした場合、線幅がWavμm+0.64μm以上の微細配線が隣り合う数が2本以下であることを特徴とする透明導電性基板。
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