JP2016195243A - 配線板 - Google Patents
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Abstract
Description
また、タッチパネル等の配線では、光の反射による視認が抑制され、かつ他の層を積層し易くするために、適度な表面粗さを有することが求められる。
本発明の配線板は、前記銀細線の体積抵抗率が15μΩ・cm以下であることが好ましい。
本発明に係る配線板は、基板上に印刷法によって形成された銀細線を備え、前記銀細線は、その線長方向に対して垂直な方向の断面において、幅が20μm以下であり、アスペクト比が0.013〜0.025であり、頂上が前記基板との接触部よりも幅が小さくなっており、前記銀細線の表面粗さが0.25μm以上0.35μm以下である。
本発明に係る配線板は、銀細線の線幅が小さく、上述の特定の形状を有し、各種電子機器における電磁波シールド、タッチパネル等の部材として好適である。
ここに示す配線板1は、基板11の表面(一方の主面)11a上に、直線状の銀細線12を複数本備えてなるものであり、これら複数本の銀細線12は、直交する2方向に平行して配置され、網目を形成している。
基板11は、フィルム状又はシート状であることが好ましく、厚さが0.5〜5000μmであることが好ましく、0.5〜2500μmであることがより好ましい。
基板11の材質として具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が例示できる。
また、基板11の材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックスが例示できる。
また、基板11は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、二種以上の材質を併用したものでもよい。
なお、基板11が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基板11の厚さとなるようにするとよい。
本発明において、銀細線12は、その線長方向に対して垂直な方向の断面において、幅、即ち、図1(b)に示す幅Wが20μm以下である。本発明においては、図1(b)に示す幅Wが15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、7μm以下であることが特に好ましい。
本発明において、上記範囲の線幅の銀細線を形成するためには、所望の銀細線の幅と同等又は数μm程度狭い幅の溝を有する版を用いて形成すればよい。
例えば、幅Wが18〜20μm程度の銀細線を形成するためには、幅が17μmの溝を有する版が好ましく、幅Wが8〜10μm程度の銀細線を形成するためには、幅が7μmの溝を有する版が好ましく、幅Wが5〜6μm程度の銀細線を形成するためには、幅が4μmの溝を有する版が好ましい。
また、銀細線12の前記断面形状は、図1(b)に示すように、楕円の短軸方向のほぼ半分の領域が切り取られた半楕円形状である。本発明においては、このように銀細線12は、前記断面において、頂上が基板11との接触部よりも幅が小さくなっている。
図2(b)に示すように、前記断面において、銀細線12の頂上が非平面である場合には、当然に、銀細線12の頂上は基板11との接触部よりも幅が小さい(幅がゼロである)。そして、図2(a)及び図2(c)に示すように、前記断面において、銀細線12の頂上が平面である場合には、その平面部の幅は、銀細線12の基板11との接触部の幅よりも小さい。
また、ここでは、銀細線12の前記断面を模式的に示しており、銀細線12の表面は滑らかであるが、本発明においては、これに限定されず、銀細線12の表面が規則的又は非規則的な凹凸面であってもよい。
すなわち、図1(a)、図1(b)、図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示す銀細線12の前記断面形状は、ごく一部の例に過ぎず、本発明の特徴を有している限り、銀細線12の前記断面形状は特に限定されない。
例えば、銀細線12を覆うように基板11の表面11a上に被覆層(図示略)を形成する場合には、銀細線の前記断面形状が図3に示すような形状であると、符号Sで示す銀細線の根元部位(基板との接触部)の近傍領域は、被覆層を形成できずに空隙部を生じ易い。これに対して、銀細線12が図1(a)、図1(b)、図2(a)、図2(b)及び図2(c)に示すような形状であると、上述のような空隙部の発生が高度に抑制される。また、特に銀細線12の表面が図1(b)に示すように尖った形状を有していない場合には、被覆層の構造を安定して保持できるため、被覆層を設けたことによる効果を長期間維持できる。
本発明の配線板が備える銀細線は、上記のように高いアスペクト比を有している。このため、線幅が小さく、より微細な銀細線であっても、良好な導電性を有する銀細線とすることができる。
銀細線12は、このような形状であることにより、各種電子機器における電磁波シールド、タッチパネル等の部材としてより好適なものとなる。
銀細線12のピッチPは、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ異なっていてもよい。例えば、銀細線12のピッチPは、直交する2方向において、互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。
表面粗さは、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)に基づくものであり、算術平均粗さ(Ra)を意味し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さlだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=Z(x)で表したときに、以下の式(II)によって求められた値をマイクロメートル(μm)単位で表示したものである。
本発明の配線板が備える銀細線は、表面粗さが上記下限値以上であると、適度な粗さが実現できるため平滑過ぎず、例えばタッチパネル等に使用した場合に、特定方向から目視した際の光の反射を適度に抑えることができる。このため、光の反射による配線の視認性を抑制できる。
また、表面粗さが上記上限値以下であると、配線に適度な濡れ性を付与でき、例えば、配線上に他の物質を積層する場合に、良好な濡れ性とすることができる。
銀細線12は導電性が高く、銀細線12は、体積抵抗率が15μΩ・cm以下であることが好ましく、12μΩ・cm以下であることがより好ましく、10μΩ・cm以下であることが特に好ましい。
銀細線が形成する他のパターンとしては、複数本の銀細線が交差する(交わる)角度が、上述のような90°ではなく、90°以外の角度であるもの、銀細線の一部又はすべてが直線ではなく曲線であるもの、複数本の銀細線が交差することなく配置されているもの(複数本の銀細線が交差することなく1方向に平行して配置されている場合等、縞模様を形成しているもの)等が例示できる。
配線板が有する銀細線のパターンは、一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせは任意に選択できる。
本発明に係る配線板は、基板上に印刷法によって銀細線を形成する工程を有する製造方法で製造できる。
本発明で用いる印刷装置も、公知のものでよく、例えば、グラビア印刷法に代表される凹版印刷であれば、金属製で表面に銀細線の型となる溝を有する凹版を備えたものを用いることができる。オフセットロールとしては、金属製の筒体の表面がブランケット材で被覆されたものを用いることができ、ブランケット材の材質としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、天然ゴム等の弾性材が例示でき、これらの中でも、耐久性、耐油性が高く、さらに十分な弾性とともに適度にコシを有している点で、特にシリコーン樹脂が好ましく、硬質の基板に対してグラビアオフセット印刷を行うのに特に好適である。
前記金属銀の形成材料は、銀原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属銀を生じるものであればよく、銀塩、銀錯体、有機銀化合物(銀−炭素結合を有する化合物)等が例示できる。前記銀塩及び銀錯体は、有機基を有する銀化合物及び有機基を有しない銀化合物のいずれでもよい。なかでも金属銀の形成材料は、加熱によって分解し、金属銀を形成するものが好ましく、銀塩であることが好ましい。
金属銀の形成材料を用いることで、前記材料から金属銀が生じ、この金属銀を含む銀細線が形成される。この場合の銀細線は、先に説明したように、金属銀を主成分とするものであり、金属銀の比率が十分に高い。
金属銀の形成材料としては、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀が例示できる。
本発明において、カルボン酸銀は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Y1はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
X1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり;
R7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY1 2−」、「CY1 3−」、「R1−CHY1−」、「R2O−」、「R5R4N−」、「(R3O)2CY1−」若しくは「R6−C(=O)−CY1 2−」で表される基である。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。
Rにおける前記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH2−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が例示できる。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR2は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR3は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R4及びR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR6は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、R6における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
X1における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
X1におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO2)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R7がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、X1において隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。
式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
R8における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。ただし、R8における前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された前記金属銀の形成材料中の銀を意味し、配合後に引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料が分解して生じた分解物中の銀及び銀自体と、の両方を含む概念とする。
前記銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合には、前記金属銀の形成材料以外に、さらに含窒素化合物が配合されていることが好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上である。すなわち、配合される含窒素化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH2)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミンが例示できる。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、フラニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、チエニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしてはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンが例示できる。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミンが例示できる。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドが例示できる。
環状アミンであれば、好ましいものとして、ピリジンが例示できる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、2−ブロモベンジルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに銀細線の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が例示できるが、これらに限定されない。
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが例示できる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、塩化アンモニウム等が例示できるが、これに限定されない。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものが好ましい。還元剤を配合することで、前記銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する導電体(金属銀)を形成できる。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(H2N−NH2)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される一種以上である。すなわち、配合される還元性化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなることが好ましい。
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤及びアルコール以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。
銀インク組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましいものとしては、アルコール以外の溶媒が例示でき、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物における前記その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
例えば、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物の粘度等、目的に応じて選択すればよいが、金属銀の形成材料1モルに対して、0.5モル〜5.0モルであることが好ましく、0.5モル〜3.5モルであることがより好ましく、0.5〜2.0モルであることが特に好ましい。
また、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合が0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、及び前記金属銀の形成材料以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に前記金属銀の形成材料としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、上記の各成分の配合時において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する導電体(金属銀)が得られる。
銀インク組成物の製造方法の一態様としては、金属銀の形成材料、並びに含窒素化合物、還元剤、アルコール及びその他の成分からなる群から選択される一種以上を配合することによって得られる。
なかでも、本発明においては、含窒素化合物に、金属銀の形成材料を添加し、次に還元剤を添加し、次にアルコールを添加するという順序で各成分を順次添加し、混合することが好ましい。
第1工程で添加する金属銀の形成材料は、この製造方法で用いる金属銀の形成材料の全量であることが好ましい。
第2工程で添加する還元剤は、この製造方法で用いる還元剤の全量であることが好ましい。
第3工程で添加するアルコール及びその他の成分は、この製造方法で用いるアルコール及びその他の成分の全量であることが好ましい。
上記銀インク組成物の製造方法1以外の、銀インク組成物の製造方法の一態様としては、金属の形成材料を溶媒に溶解又は分散させ、次に含窒素化合物を添加し、次に還元剤を添加し、次にアルコールを添加するという順序で各成分を順次添加し、混合する方法も好適に採用できる。
第1工程で溶媒に溶解又は分散させる金属銀の形成材料は、この製造方法で用いる金属銀の形成材料の全量であることが好ましい。
第2工程で添加する含窒素化合物は、この製造方法で用いる含窒素化合物の全量であることが好ましい。
第3工程で添加する還元剤は、この製造方法で用いる還元剤の全量であることが好ましい。
第4工程で添加するアルコール及びその他の成分は、この製造方法で用いるアルコール及びその他の成分の全量であることが好ましい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜36時間であることが好ましい。
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、インクを厚盛りするのに好適である。
そして、本発明においては、例えば、還元剤を添加する前に二酸化炭素を供給してもよく、目的に応じて任意に選択できる。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、各成分の混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
銀インク組成物を、耐熱性が低い基板上に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜120℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜200℃であることが好ましく、70〜180℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
銀インク組成物を、耐熱性が低い基板上に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された金属銀を、さらに乾燥させればよい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
本発明の金属インク組成物を用いて形成した配線板は、データ受送信体等の各種電子機器、透明導電膜等を構成するのに好適である。
例えば、前記電子機器は、前記配線板を用い、前記基材を筐体(外装材)として備えるように構成でき、前記配線板中の基材で筐体(外装材)の少なくとも一部を構成した点以外は、公知の電子機器と同様の構成とすることができる。例えば、携帯電話機等の電子機器における外装材の平面又は曲面部分を前記基材とし、この外装材(基材)上に直接前記金属細線が形成され、この金属細線を回路とすることで、前記配線板を回路基板として用いることができる。そして、例えば、前記配線板に、音声入力部、音声出力部、操作スイッチ、表示部等を組み合わせることにより、携帯電話機を構成できる。また、パターニングされた前記金属細線をアンテナとすることで、前記配線板をアンテナ構造体とすることができる。
前記データ受送信体は、前記配線板を用い、前記金属細線をアンテナとして備えるように構成でき、前記配線板をアンテナ構造体として用いた点以外は、公知のデータ受送信体と同様の構成とすることができる。例えば、前記配線板において、基材上に前記金属細線と電気的に接続されたICチップを設けてアンテナ部とすることにより、非接触型データ受送信体を構成できる。
極薄配線の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、7nm〜5μmであることがより好ましく、10nm〜1μmであることが特に好ましい。
上記のような電子機器、透明導電膜等は、長期に渡って高い性能を維持することが可能である。
ビーカー中で2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して、1.3倍モル量)と、イソブチルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.2倍モル量)を混合し、メカニカルスターラーを用いて1分間撹拌した。ここに、液温が25℃以下となるように、52.9gの2−メチルアセト酢酸銀、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.4倍モル量)、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」、以下、「DMHO」と略記することがある)(2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.04倍モル量)をこの順で添加して混合し、メカニカルスターラーを用いて2時間撹拌した。これにより、金属インク組成物1を得た。
ビーカー中で2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.7倍モル量)と、イソブチルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.3倍モル量)を混合し、メカニカルスターラーを用いて1分間撹拌した。ここに、液温が25℃以下となるように、52.9gの2−メチルアセト酢酸銀、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.6倍モル量)を添加して混合し、メカニカルスターラーを用いて2時間撹拌した。これにより、第1のインクを得た。
ビーカー中で2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して、2.24倍モル量)と、DMHO(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.1倍モル量)を混合し、メカニカルスターラーを用いて1分間撹拌した。ここに、液温が5℃以下となるように、1モルの2−メチルアセト酢酸銀を添加して混合し、メカニカルスターラーを用いて30分間撹拌した。これにより、第2のインクを得た。
上記第1のインクを55質量部と、上記第2のインクを45質量部混合し、銀インク組成物2を得た。
ビーカー中に52.9gの2−メチルアセト酢酸銀とヘキサン(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.63倍モル量)とを入れ、メカニカルスターラーを用いて1分間撹拌した。ここに、2−エチルヘキシルアミン(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.45倍モル量)を添加し、次いで、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.5倍モル量)を10分かけて滴下したのちに1.5時間撹拌を続け、次いで、DMHO(2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.032倍モル量)と、4−エチル‐1−オクチン‐3−オール(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.004倍モル量)との混合物を添加して混合し、さらに5分間撹拌した。これにより、銀インク組成物3を得た。
ビーカー中に52.9gの2−メチルアセト酢酸銀とヘキサン(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.63倍モル量)とを入れ、メカニカルスターラーを用いて1分間撹拌した。ここに、2−エチルヘキシルアミン(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.45倍モル量)を添加し、次いで、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.5倍モル量)を10分かけて滴下したのちに1.5時間撹拌を続け、次いで、DMHO(2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.024倍モル量)と、4−エチル‐1−オクチン‐3−オール(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.012倍モル量)との混合物を添加して混合し、さらに5分間撹拌した。これにより、銀インク組成物4を得た。
ビーカー中に52.9gの2−メチルアセト酢酸銀とヘキサン(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.63倍モル量)とを入れ、メカニカルスターラーを用いて1分間撹拌した。ここに、2−エチルヘキシルアミン(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.45倍モル量)と、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.5倍モル量)を10分かけて滴下したのちに1.5時間撹拌を続け、次いで、DMHO(2−メチルアセト酢酸銀に対して、0.036倍モル量)を添加して混合し、さらに5分間撹拌した。これにより、銀インク組成物5を得た。
グラビアオフセット印刷法により、上記で得られた銀インク組成物を用いて、ポリカーボネート製基板(厚さ1mm)の一方の主面(表面)上に印刷を行い、図1Aに示すような網目状の印刷パターンを形成した。
実施例1〜2は、上記銀インク組成物1を用い、参考例1として、上記銀インク組成物2を用いた。また、比較例1として、市販の銀ペースト(銀インク「TEC−PA−010」(インクテック社製、銀の含有量55質量%))を用いた。
実施例3〜5は、上記銀インク組成物3〜5を用いた。
より具体的には、以下のとおりである。
印刷装置としては、以下のものを用いた。すなわち、凹版としては、金属製でその表面に銀細線の型となる、溝の線幅4μmかつ溝の深さ10μmであるもの用いた。オフセットロールとしては、金属製の筒体の表面がシリコーン樹脂製のブランケット材で被覆されたものを用いた。
このような印刷装置を用いて、凹版に上記の銀インク組成物を供給して、余分の銀インク組成物をドクターブレードによって除去し、溝に充填された銀インク組成物をオフセットロールのブランケット材の表面に転写した後、ベルトコンベヤユニットで運搬されてきた基板の表面に対して、この銀インク組成物で印刷を行った。
ドクターブレードによる除去速度を「ドクター速度(mm/s)」として表1に記載する。また、ブランケット材の表面転写量を「ブラン押し込み量(μm)」として表1に記載する。
次いで、得られた印刷パターンを、100℃で10分間乾燥させ、さらに、100℃、相対湿度100%の水蒸気雰囲気下にこの基板を10分間置いて加熱(焼成)処理し、配線板とした。
[銀細線の幅及びアスペクト比]
得られた配線板について、形状測定レーザマイクロスコープ(キーエンス社製「VKX−100」)を用いて、銀細線の幅と高さを測定した。測定は、銀配線の9ヶ所で行い、その平均値を算出した。結果を「線幅(μm)」として表1に示す。
また、得られた配線板について、断面において、幅Wに対する高さHの比(H/W)、すなわちアスペクト比を算出した。その結果を「アスペクト比」として表1に記載する。
表面粗さは、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)に基づくものであり、算術平均粗さ(Ra)を意味し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さlだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=Z(x)で表したときに、以下の式(II)によって求められた値をマイクロメートル(μm)単位で表示したものである。その結果を「表面粗さ(Ra)(μm)」として、表1に記載する。
また、得られた配線板について、銀細線の線抵抗値R(Ω)、断面積A(cm2)、及び線長L(cm)を測定し、式「ρ=R×A/L」により、体積抵抗率ρ(Ω・cm)を算出した。なお、線抵抗値Rはデジタルマルチメータ(三和電気計器社製「PC5000a」)を用いて測定し、断面積Aは形状測定レーザマイクロスコープ(キーエンス社製「VK−X100」)を用いて測定した。結果を「体積抵抗率(μΩ・cm)」として表1に示す。
比較例1は、銀細線が断線してしまい、体積抵抗率を測定することができなかった。
11 基板
11a 基板の表面(一方の主面)
12 銀細線
W 銀細線の幅
H 銀細線の高さ
P 銀細線のピッチ
Claims (2)
- 基板上に印刷法によって形成された銀細線を備え、
前記銀細線は、
その線長方向に対して垂直な方向の断面において、幅が20μm以下であり、
アスペクト比が0.013以上0.025以下であり、
頂上が前記基板との接触部よりも幅が小さくなっており、
前記銀細線の表面粗さが0.25μm以上0.35μm以下である配線板。 - 前記銀細線の体積抵抗率が15μΩ・cm以下である、請求項1に記載の配線板。
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