JP2014110514A - アンテナ構造体、通信機器及びアンテナ構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材11上に形成された第一の導電層12上に、金属を含む第二の導電層13を形成するに際し、前記金属を、有機基を有する金属化合物から生じさせて、第二の導電層13を、表面粗さが300nm以下の表面13aを有するものとして、アンテナ構造体1を構成する。また、アンテナ構造体1を用い、基材11を筐体として通信機器を構成する。
【選択図】図1
Description
一方、導電層表面の凹凸を低減する方法としては、導電層表面を常温下又は加熱条件下で加圧する方法(特許文献3参照)が開示されている。
このように従来は、表面粗さが小さい導電層をアンテナとして備え、簡略化された工程で製造可能なアンテナ構造体は無いのが実情であった。
本発明は、高周波帯域において通信可能であり、基材、第一の導電層及び第二の導電層がこの順に設けられ、前記第二の導電層は、表面粗さが300nm以下の表面を有することを特徴とするアンテナ構造体を提供する。
また、本発明は、前記アンテナ構造体を用い、前記基材を筐体として備えたことを特徴とする通信機器を提供する。
また、本発明は、前記アンテナ構造体の製造方法であって、基材上に形成された第一の導電層上に、金属を含む第二の導電層を形成する工程を有し、前記金属を、有機基を有する金属化合物から生じさせることを特徴とするアンテナ構造体の製造方法を提供する。
本発明に係るアンテナ構造体は、高周波帯域において通信可能であり、基材、第一の導電層及び第二の導電層がこの順に設けられ、前記第二の導電層は、表面粗さが300nm以下の表面を有することを特徴とする。
かかるアンテナ構造体は、アンテナである第二の導電層において、少なくとも通信を行う部位の表面粗さRaが300nm以下であるため、例えば、S11等で定義される反射損失(伝送損失)が小さく、高周波帯域での通信性能に優れる。
ここに示すアンテナ構造体1は、基材11上に第一の導電層12及び第二の導電層13がこの順に積層されてなるものである。
基材11は、目的に応じて任意の形状を選択でき、例えば、フィルム状又はシート状であることが好ましく、厚さが0.5〜5000μmであることが好ましく、0.5〜2000μmであることがより好ましい。
基材11の材質として具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリシクロオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリアクリル酸メチル(PMA)、ポリアクリル酸エチル(PEA)、ポリアクリル酸ブチル(PBA)、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が例示できる。
また、基材11の材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックス;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙類が例示できる。
また、基材11は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、二種以上の材質を併用したものでもよい。
なお、基材11が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材2の厚さとなるようにするとよい。
第一の導電層12は、第二の導電層13の下地層となるものであり、第二の導電層13の形状に応じてパターニングされたものである。すなわち、基材11の主面(第一の導電層12が形成されている表面)11aを上方から見下ろすように、アンテナ構造体1を平面視したときの、第一の導電層12の形状は、第二の導電層13の形状に応じて任意に設定できる。
第二の導電層13は、目的に応じてパターニングされたものであり、基材11の主面11aを上方から見下ろすように、アンテナ構造体1を平面視したときの形状は、任意に設定できる。
そして、第二の導電層13の前記表面粗さは、250nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。また、第二の導電層13の表面粗さの下限値は、特に限定されない。
アンテナ構造体1を製造するためには、図1(b)に示すような、主面11a上に第一の導電層12が形成された基材11を用いる。
第二の導電層13は、例えば、前記金属の形成材料として有機基を有する金属化合物を用いて形成でき、前記金属の形成材料が配合されてなる金属インク組成物を調製し、これを第一の導電層12上に付着させて、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理を適宜選択して行うことで形成することが好ましい。加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。
以下、金属インク組成物として、有機基を有する銀化合物、すなわち、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を用いた場合の、第二の導電層13の形成方法について説明するが、金属種が銀以外の場合にも同様の方法で、第二の導電層13を形成できる。
本発明において、金属銀の形成材料は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
金属銀の形成材料としては、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀が例示できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり;
R7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY2−」、「CY3−」、「R1−CHY−」、「R2O−」、「R5R4N−」、「(R3O)2CY−」若しくは「R6−C(=O)−CY2−」で表される基である。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。
Rにおける前記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH2−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が例示できる。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR2は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR3は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R4及びR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR6は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、R6における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Xにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Xにおけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO2)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R7がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される
式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
R8における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。ただし、R8における前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された金属銀の形成材料中の銀を意味し、配合後に引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料が分解して生じた分解物中の銀及び銀自体と、の両方を含む概念とする。
前記銀インク組成物は、特に金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、金属銀の形成材料以外に、さらに、炭素数25以下のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩、アンモニア、並びに前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される一種以上の含窒素化合物(以下、単に「含窒素化合物」と略記することがある)が配合されてなるものが好ましい。
以下、炭素数25以下のアミン化合物を「アミン化合物」、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩を「第4級アンモニウム塩」、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩を「アミン化合物由来のアンモニウム塩」、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩を「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある。
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH2)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミンが例示できる。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、フラニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、チエニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしてはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンが例示できる。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミンが例示できる。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドが例示できる。
環状アミンであれば、好ましいものとして、ピリジンが例示できる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、2−ブロモベンジルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
また、後述するように、二酸化炭素を供給して銀インク組成物を調製する場合には、二酸化炭素供給時において、銀インク組成物(第二の混合物)中の成分がより均一に分散して、品質が安定することから、前記アミン化合物は分岐鎖状のアルキル基を有するものが好ましい。
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が例示できるが、これらに限定されない。
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが例示できる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、塩化アンモニウム等が例示できるが、これに限定されない。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記含窒素化合物の配合量を上記のように規定することで、銀インク組成物は安定性がより向上し、導電層の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電層を形成できる。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものでもよい。還元剤を配合することで、前記銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する金属銀(導電体)を形成できる。
そして、前記還元剤は、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上の還元性化合物(以下、単に「還元性化合物」と略記することがある)であることが好ましい。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(H2N−NH2)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される一種以上のものである。すなわち、配合される還元性化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
R21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなるものでもよい。
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましいものとしては、アルコール以外の溶媒が例示でき、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物において、配合成分の総量に占める前記その他の成分の配合量の比率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
前記その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法、ミキサーを使用して混合する方法、超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
また、配合時間(混合時間)も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、5〜120分であることが好ましい。
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合されてなる第一の混合物に、二酸化炭素を供給して第二の混合物とし、必要に応じて前記第二の混合物に、さらに、前記還元剤を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第一の混合物及び第二の混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、第一の混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
このときの銀インク組成物は、配合成分が異なる点以外は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。そして、得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
前記印刷法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が例示できる。
前記塗布法としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が例示できる。
本発明に係る通信機器は、前記アンテナ構造体を用い、前記基材を筐体として備えたことを特徴とし、例えば、前記アンテナ構造体中の基材で筐体の少なくとも一部を構成したこと以外は、公知の通信機器と同様の構成とすることができる。例えば、前記アンテナ構造体に加え、音声入力部、音声出力部、操作スイッチ、表示部等を組み合わせることにより、携帯電話機を構成できる。
本発明に係る通信機器は、従来よりもさらに、高周波帯域における通信性能を向上させることが可能である。
測定対象物(5g)について、温度23℃の環境下で、超音波式粘度計(CBC社製「VISCOMATE VM−10A−MH」)のセンサー(振動体)を挿入して、粘度を測定した。
[実施例1]
(銀インク組成物の製造)
氷冷下、2−エチルヘキシルアミン(290.3g、下記2−メチルアセト酢酸銀に対して2.4倍モル)に、25℃以下を保つように2−メチルアセト酢酸銀(210.0g)を添加し、添加終了後30分間撹拌することにより、溶液を得た。さらに、このまま1時間撹拌した後、得られた黄色透明の反応液に、これを20℃で撹拌しながら、二酸化炭素ガスを900mL/分の流量で7時間供給し、反応液を増粘させて銀インク組成物を得た。この銀インク組成物の粘度は10Pa・sであった。
ポリエチレンテレフタレート製の基材(厚さ50μm)上にポリエステル系接着剤を用いて銅箔(厚さ18μm)を設け、化学薬品によるエッチングでこの銅箔を所定の形状にパターニングすることにより、第一の導電層を形成した。
次いで、第一の導電層上にスクリーン印刷法により、上記で得られた銀インク組成物を付着させた後、これを120℃で1時間、オーブン内で加熱(焼成)処理することにより、第二の導電層として銀層(厚さ1μm)を第一の導電層上に形成し、アンテナ構造体を得た。このとき、第一の導電層及び第二の導電層の二層構造からなる導電層を、全長36mm、幅3mmのダイポールアンテナとした。第二の導電層の厚さは、ハイブリッド顕微鏡(キーエンス社製「VN−8010」)を用いて測定し、その平均値(平均膜厚)を算出して、その値を厚さとして採用した。これは、以降の実施例及び比較例でも同様である。
(銀インク組成物の製造)
氷冷下、2−エチルヘキシルアミン(下記2−メチルアセト酢酸銀に対して2.4倍モル)に、2−メチルアセト酢酸銀を添加して、15分間撹拌することにより、液状物を得た。この液状物に、反応液の温度が50℃以下となるように、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.0倍モル)を滴下した。ギ酸の滴下終了後、室温(25℃)にて反応液をさらに1時間撹拌することにより、銀インク組成物を得た。この銀インク組成物の粘度は1.5Pa・sであった。
上記の粘度が1.5Pa・sの銀インク組成物を用い、オーブン内での加熱(焼成)処理条件を80℃で1時間として、厚さ1μmの第二の導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じ方法でアンテナ構造体を得た。
実施例1と同じ方法で、ポリエチレンテレフタレート製の基材(厚さ50μm)上に銅箔(厚さ18μm)を設け、これをパターニングすることにより、第一の導電層と同じものを形成し、これをそのままダイポールアンテナとして、比較用のアンテナ構造体を得た。
(銀インク組成物の製造)
氷冷下、2−エチルヘキシルアミン(290.3g、下記2−メチルアセト酢酸銀に対して2.4倍モル)に、25℃以下を保つように2−メチルアセト酢酸銀(210.0g)を添加し、添加終了後30分間撹拌することにより、溶液を得た。さらに、このまま1時間撹拌した後、得られた黄色透明の反応液(第一の混合物)に、これを20℃で撹拌しながら、二酸化炭素ガスを900mL/分の流量で7時間供給し、反応液を増粘させた混合物(第二の混合物)を得た。この第二の混合物の粘度を測定したところ、10Pa・sであった。
次いで、得られた第二の混合物に、上記で添加した2−メチルアセト酢酸銀に対して3倍モル量の鱗片状の銀粉(D10:1.0μm以上、D50(メジアン径):4.5±1.2μm、D90:10μm以下)を添加し、自動乳鉢を用いて25〜30℃で30分間撹拌した後、3本ロールを用いて25〜30℃で10分間、170rpmで混合することにより、比較用の銀インク組成物を得た。
なお、上記の銀粉について、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置を用いて横幅(最大粒径)を測定したところ、全体の60%が、横幅2〜7μmの範囲に含まれることを確認した。
実施例1と同じ方法で、ポリエチレンテレフタレート製の基材(厚さ50μm)上に銅箔(厚さ18μm)を設け、これをパターニングすることにより、第一の導電層と同じものを形成した。
次いで、このパターニングされた銅箔上にスクリーン印刷法により、上記で得られた比較用の銀インク組成物を付着させた後、これを150℃で1時間、オーブン内で加熱(焼成)処理することにより、パターニングされた銅箔上に銀層(厚さ1μm)を形成し、ダイポールアンテナとして、比較用のアンテナ構造体を得た。
上記の各実施例及び比較例で得られたアンテナ構造体について、以下の測定を行い、通信性能を評価した。
アンテナ構造体の上層の導電層(実施例1〜2では第二の導電層、比較例1では銅箔、比較例2では銀層、以下、「上層導電層」ということがある)について、ハイブリッド顕微鏡(キーエンス社製「VN−8010」)を用いて、その露出面の表面粗さRaをJIS B0601:2001(ISO4287:1997)に準拠して測定した。結果を表1に示す。なお、比較例1のアンテナ構造体における銅箔は、実施例1〜2のアンテナ構造体における第二の導電層と同様に、露出面の比率が大きいことから、便宜上、上層導電層に分類している。また、実施例1〜2のアンテナ構造体における第一の導電層、比較例1のアンテナ構造体における銅箔は、それぞれ上層導電層よりも下層に位置するため、以下、下層導電層ということがある。
上記各実施例及び比較例で得られたアンテナ構造体について、一部の導電層を、その厚さ方向全体を覆うように、すなわち、実施例1〜2では第一の導電層及び第二の導電層を共に覆うように、比較例1では銅箔を覆うように、比較例2では銅箔及び銀層を共に覆うように、それぞれはんだ付けしてケーブル付きのコネクタ(SMAコネクタ)を接続し、このケーブルに測定機器であるネットワークアナライザ(Agilent Technologies社製「E5071B」)を接続して、このアンテナ構造体の反射損失(S11)を測定した。このときの測定結果を図3に示す。また、測定された最小値を表1に示す。なお、図3に示すような反射損失と周波数との関係は、アンテナの長さや太さ等で調節可能なものである。
これに対して、比較例1のアンテナ構造体は、導電層が二層構造ではなく、銅箔のみから構成され、その表面粗さRaが大きいため、反射損失(S11)が大きく、高周波帯域での通信性能に劣っていた。このような銅箔のエッチングにより形成した導電層は、経時的に酸化によって劣化し易く、さらに表面粗さRaが増大することによって、通信性能の低下が進行し易い。また、比較例2のアンテナ構造体は、上層導電層である第二の導電層が、銀として2−メチルアセト酢酸銀から生じたものと銀粉(金属銀)とから構成され、その表面粗さRaが著しく大きいため、反射損失(S11)が大きく、高周波帯域での通信性能に劣っていた。
Claims (3)
- 高周波帯域において通信可能であり、基材、第一の導電層及び第二の導電層がこの順に設けられ、前記第二の導電層は、表面粗さが300nm以下の表面を有することを特徴とするアンテナ構造体。
- 請求項1に記載のアンテナ構造体を用い、前記基材を筐体として備えたことを特徴とする通信機器。
- 請求項1に記載のアンテナ構造体の製造方法であって、
基材上に形成された第一の導電層上に、金属を含む第二の導電層を形成する工程を有し、
前記金属を、有機基を有する金属化合物から生じさせることを特徴とするアンテナ構造体の製造方法。
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