JP2014089926A - 銀膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】波長が400nm以上の光の反射率が80%以上である表面を有することを特徴とする銀膜。
【選択図】なし
Description
本発明は、波長が400nm以上の光の反射率が80%以上である表面を有することを特徴とする銀膜を提供する。
本発明の銀膜においては、さらに体積抵抗率が10μΩ・cm以下であることが好ましい。
本発明に係る銀膜は、波長が400nm以上の光の反射率が80%以上である表面を有することを特徴とする。かかる銀膜は、表面の凹凸の大きさが抑制されていることで、光の反射率が高い。
銀インク組成物としては、液状のものが好ましく、金属銀の形成材料、好ましくは金属銀の形成材料及び原料金属銀が、溶解又は均一に分散されたものが好ましい。
前記金属銀の形成材料は、加熱等によって分解し、金属銀を形成するものである。
本発明において、金属銀の形成材料は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
金属銀の形成材料としては、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀が例示できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり;
R7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY2−」、「CY3−」、「R1−CHY−」、「R2O−」、「R5R4N−」、「(R3O)2CY−」若しくは「R6−C(=O)−CY2−」で表される基である。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。
Rにおける前記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH2−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が例示できる。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR2は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR3は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R4及びR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR6は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、R6における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Xにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Xにおけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO2)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R7がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される
式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
R8における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。ただし、R8における前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された金属銀の形成材料中の銀を意味し、配合後に引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料が分解して生じた分解物中の銀及び銀自体と、の両方を含む概念とする。
銀インク組成物は、金属銀の形成材料以外に、さらに前記原料金属銀が配合されてなるものが好ましい。金属銀の形成材料と原料金属銀とを併用することで、空隙部が少ない銀膜が形成され、銀膜の体積抵抗率がより小さくなる。
一方、前記平均粒径の下限値は、特に限定されないが、取り扱い性が向上する点から、0.1μmであることが好ましい。
原料金属銀の平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置を用いる方法等、公知の方法で測定できる。
前記銀インク組成物は、特に金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、金属銀の形成材料以外に、さらに、炭素数25以下のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩、アンモニア、並びに前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される一種以上の含窒素化合物(以下、単に「含窒素化合物」と略記することがある)が配合されてなるものが好ましい。
以下、炭素数25以下のアミン化合物を「アミン化合物」、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩を「第4級アンモニウム塩」、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩を「アミン化合物由来のアンモニウム塩」、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩を「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある。
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH2)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミンが例示できる。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、フラニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、チエニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしてはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンが例示できる。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミンが例示できる。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドが例示できる。
環状アミンであれば、好ましいものとして、ピリジンが例示できる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、2−ブロモベンジルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
また、後述する二酸化炭素供給時において、銀インク組成物(第二の混合物)中の成分がより均一に分散して、品質が安定することから、前記アミン化合物は分岐鎖状のアルキル基を有するものが好ましい。
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が例示できるが、これらに限定されない。
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが例示できる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、塩化アンモニウム等が例示できるが、これに限定されない。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記含窒素化合物の配合量を上記のように規定することで、銀インク組成物は安定性がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して銀膜を形成できる。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものでもよい。還元剤を配合することで、銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する金属銀(導電体)を形成できる。
そして、前記還元剤は、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上の還元性化合物(以下、単に「還元性化合物」と略記することがある)であることが好ましい。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(H2N−NH2)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される一種以上のものである。すなわち、配合される還元性化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
R21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなるものでもよい。
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
前記アルコールとしては、テルピネオールも例示できる。
テルピネオールには、水酸基(ヒドロキシ基)及び二重結合の位置によって、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネオール−I、テルピネオール−IV等の異性体が存在するが、いずれの異性体を用いてもよく、二種以上の異性体を併用してもよい。
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、原料金属銀、含窒素化合物、還元剤及びアルコール以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。
前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましいものとしては、アルコール以外の溶媒が例示でき、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物において、配合成分の総量に占める前記その他の成分の配合量の比率は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
前記その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法、ミキサーを使用して混合する方法、超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10〜120分であることが好ましい。
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合されてなる第一の混合物に、二酸化炭素を供給して第二の混合物とし、前記第二の混合物に、さらに、原料金属銀を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記還元剤、アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第一の混合物及び第二の混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、第一の混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
このときの銀インク組成物は、配合成分が異なる点以外は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。そして、得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
前記印刷法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が例示できる。
前記塗布法としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が例示できる。
そして、銀膜の厚さ(膜厚)は、2μm以下であることが好ましく、1.5μm以下であることがより好ましい。
前記セラミックスとしては、シリコン等が例示できる。
前記金属としては、アルミニウム、銅、鉄等の単体金属;ステンレス鋼等の合金等が例示できる。
前記紙類としては、原紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、レジンコート紙、グラシン紙、光沢紙、合成紙等が例示できる。
また、基材の材質は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、二種以上の材質を併用したものでもよい。
なお、基材が複数層からなるシート状のものである場合、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
なお、以下の実施例において、第二の混合物の粘度、及び原料金属銀である銀粉の平均粒径は、それぞれ下記方法で測定した。
測定対象物(5g)について、温度23℃の環境下で、超音波振動式粘度計(CBC社製「VISCOMATE VM−10A」)のセンサー(振動体)を挿入して、粘度を測定した。
(平均粒径の測定方法)
レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した。
[製造例1]
氷冷下、2−エチルヘキシルアミン(290.3g、下記2−メチルアセト酢酸銀に対して2.4倍モル)に、25℃以下を保つように2−メチルアセト酢酸銀(210.0g)を添加し、添加終了後30分間撹拌することにより、溶液を得た。さらに、このまま1時間撹拌した後、得られた黄色透明の反応液(第一の混合物)に、これを20℃で撹拌しながら、二酸化炭素ガスを900mL/分の流量で7時間供給し、反応液を増粘させた混合物(第二の混合物)を得た。この第二の混合物の粘度を測定したところ、15Pa・sであった。また、示差熱−熱重量同時測定(TG/DTA)における300℃昇温後の測定試料の残量から銀の量を算出した結果、得られた第二の混合物の銀の含有量は22.7質量%であった。
次いで、得られた第二の混合物(100.0g)に、平均粒径が0.3〜0.5μmである鱗片状の銀粉(22.7g、第二の混合物中の銀と等量)を添加し、さらに、テルピネオール(6.135g、第二の混合物及び前記銀粉の総量に対して5質量%)を添加して、自動乳鉢を用いて25〜30℃で30分間撹拌した後、3本ロールを用いて25〜30℃で10分間、170rpmで混合することにより、銀インク組成物を得た。
表1に示すように、平均粒径が0.3〜0.5μmである鱗片状の銀粉(22.7g)に代えて、平均粒径が1〜3μmである鱗片状の銀粉(22.7g)を用いたこと以外は、製造例1と同様に銀インク組成物を製造した。
表1に示すように、平均粒径が0.3〜0.5μmである鱗片状の銀粉(22.7g)に代えて、平均粒径が2〜7μmである鱗片状の銀粉(22.7g)を用いたこと以外は、製造例1と同様に銀インク組成物を製造した。
表1に示すように、平均粒径が0.3〜0.5μmである鱗片状の銀粉(22.7g)に代えて、平均粒径が6〜12μmである鱗片状の銀粉(22.7g)を用いたこと以外は、製造例1と同様に銀インク組成物を製造した。
銀インク「TEC−PA−010」(インクテック社製、銀の含有量55質量%)(100.0g)に、平均粒径が2〜7μmである鱗片状の銀粉(55g、前記銀インク中の銀と等量)を添加して、自動乳鉢を用いて25〜30℃で30分間撹拌した後、3本ロールを用いて25〜30℃で10分間、170rpmで混合することにより、銀インク組成物を得た。
[実施例1]
製造例1で得られた銀インク組成物を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(東レ社製「ルミラーS10」、厚さ100μm)上にスクリーン印刷を行った。スクリーン版としては、ステンレス製500メッシュのものを使用し、乳剤厚10μmの条件で印刷した。そして、得られた印刷パターンを150℃で1時間、熱風吹き付けにより加熱処理することで、基材上に銀膜を形成した。
表1に示すように、製造例1で得られた銀インク組成物に代えて、製造例2〜5で得られた銀インク組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で銀膜を製造した。
上記各実施例及び比較例で得られた銀膜について、下記項目の評価を行った。
積分球分光測色計「SP−60」(エックスライト社製)を用いて、銀膜について、波長が400nm(λ400)以上の光の反射率を測定した。結果を図1に示す。また、特に波長が400nm(λ400)の光の反射率を表1に示す。
デジタルマルチメータ(三和電気計器社製「PC5000a」)を用いて銀膜の表面抵抗値を測定し、形状測定レーザマイクロスコープ(キーエンス社製「VK−X100」)を用いて銀膜の断面積を測定して、これら測定値から銀膜の体積抵抗率(μΩ・cm)を算出した。結果を表1に示す。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、銀膜の表面を観察した。このときの10000倍に拡大して取得した撮像データを図2に示す。図2中、(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は実施例3、(d)は比較例1、(e)は比較例2の撮像データである。
製造直後において、実施例3及び比較例2の銀膜の表面について、分光濃度計「X−rite 530」(エックスライト社製)を用いて、L*、a*、b*を測定した。結果を表2に示す。
次いで、得られたL*、a*、b*の測定値から、下記式(I)にしたがって色差(ΔE)を算出した。結果を表2に示す。
ΔE=[(L1 *−L2 *)2+(a1 *−a2 *)2+(b1 *−b2 *)2]1/2 ・・・(I)
(式中、L1 *は実施例3の銀膜表面のL*の値であり、L2 *は比較例2の銀膜表面のL*の値であり、a1 *は実施例3の銀膜表面のa*の値であり、a2 *は比較例2の銀膜表面のa*の値であり、b1 *は実施例3の銀膜表面のb*の値であり、b2 *は比較例2の銀膜表面のb*の値である。)
これに対して、比較例1の銀膜は、用いた銀粉の平均粒径の上限値が12μmであり、波長が400〜700nmのすべての領域の光の反射率が80%未満となっており、不十分であった。すなわち、銀粉の平均粒径の上限値が僅か5μm変化しただけで、光の反射率が実施例3よりも劇的に低下したことが確認された。
一方、比較例2の銀膜は、用いた銀粉の平均粒径の上限値が7μmであったが、波長が500nm程度よりも短い領域の光の反射率が80%未満となっており、不十分であった。比較例2では、銀濃度が高い製造例5の銀インク組成物を用いたことにより、銀膜の平均膜厚が厚く、そのため膜厚が不均一になり、銀膜表面の凹凸が大きくなって、光の反射率が低くなったと推測された。
これに対して、比較例1では、銀膜表面の全体に渡って実施例1〜3よりも凹凸が大きく、表面が荒れていた。また、比較例2では、銀膜表面の全体に渡って比較例1よりもさらに凹凸が大きく、表面が最も荒れていた。
これら銀膜表面の状態は、実施例1〜3及び比較例1〜2の光の反射率の測定結果と整合していた。
Claims (2)
- 波長が400nm以上の光の反射率が80%以上である表面を有することを特徴とする銀膜。
- さらに体積抵抗率が10μΩ・cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の銀膜。
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