JP2019044241A - 積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、このような銀インク組成物は、粘度の調節も容易であり、粒子状の不溶物を低減又は解消できる点から、例えば、インクジェット式印刷法への適用にも好適である。
本発明の積層体の製造方法は、基材上に金属銀層を備えた積層体の製造方法であって、銀インク組成物を基材に付着させて、組成物層を形成する工程(本明細書においては、「組成物層形成工程」と略記することがある)と、70℃以下の温度条件下で、前記組成物層を乾燥させて、固形層を形成する工程(本明細書においては、「固形層形成工程」と略記することがある)と、前記固形層に液状の還元剤を接触させて、前記固形層から金属銀層を形成する工程(本明細書においては、「金属銀層形成工程」と略記することがある)と、を有し、前記銀インク組成物は、有機銀化合物と、含窒素化合物と、が配合されてなるものである。
前記固形層形成工程においては、70℃以下という比較的低温の条件下において、前記組成物層を乾燥させ、前記組成物層を前記固形層とする。
前記金属銀層形成工程においては、前記固形層を液状の還元剤で処理することにより、前記固形層を前記金属銀層とする。
本発明の製造方法は、このような工程を有することにより、露光装置等の特殊な装置を用いることなく、光沢度が高い金属銀層を基材上に備えた積層体の製造を可能としている。
本発明の製造方法においては、まず、前記組成物層形成工程を行う。
前記組成物層形成工程においては、銀インク組成物を基材に付着させて、組成物層を形成する。後の工程において、前記組成物層からは、固形層を経て金属銀層が形成され、この金属銀層と前記基材とで、目的とする積層体が構成される。
本工程について、以下においては、まず、銀インク組成物について詳細に説明する。
前記銀インク組成物は、有機銀化合物と、含窒素化合物と、が配合されてなるものである。
前記有機銀化合物は、一分子中に有機基及び銀原子を有し、分解等の構造変化によって金属銀を生じる化合物である。このような有機銀化合物としては、例えば、有機酸の銀塩、有機銀錯体等が挙げられる。
また、前記含窒素化合物は、分子中に窒素原子を有する化合物である。
銀インク組成物(I)は、前記有機銀化合物として、カルボン酸銀(カルボン酸の銀塩)が配合され、さらに含窒素化合物が配合されてなる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有する。
本発明において、カルボン酸銀は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Y1はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
X1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり;
R7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY1 2−」、「CY1 3−」、「R1−CHY1−」、「R2O−」、「R5R4N−」、「(R3O)2CY1−」若しくは「R6−C(=O)−CY1 2−」で表される基である。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
このような前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、−CH=CH2)、アリル基(2−プロペニル基、−CH2−CH=CH2)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH3)、イソプロペニル基(−C(CH3)=CH2)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH2−CH3)、2−ブテニル基(−CH2−CH=CH−CH3)、3−ブテニル基(−CH2−CH2−CH=CH2)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等が挙げられる。
このような前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH2−C≡CH)等が挙げられる。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR2は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR3は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基である。R3における前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R4及びR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、R4及びR5における前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR6は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基である。R6における前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
X1における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
X1におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO2)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基及びベンジル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R7がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、X1において隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。
式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
R8における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。ただし、R8における前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、イソブチリル酢酸銀及びピバロイル酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物(I)の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
なお、本明細書において、「カルボン酸銀に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物(I)の製造時に配合されたカルボン酸銀中の銀と同義であり、配合後も引き続きカルボン酸銀を構成している銀と、配合後にカルボン酸銀の分解で生じた分解物中の銀と、配合後にカルボン酸銀の分解で生じた銀そのもの(金属銀)と、のすべてを含む概念とする。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH2)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン等が挙げられる。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2−ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物(I)の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。表面粗さが低減されている金属銀は、光沢度も高いため、2−エチルヘキシルアミンの使用は、光沢度が高い金属銀層を備えた積層体の製造時に、特に有利である。
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩である。前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩である。ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記第1含窒素化合物及び第2含窒素化合物を併用する場合、銀インク組成物(I)において、第1含窒素化合物の配合量に対する第2含窒素化合物の配合量の割合は、0モル%より大きく、18モル%未満であることが好ましく、1〜17モル%であることがより好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、例えば、細線状の銀層をより安定して形成できる。
銀インク組成物(I)は、前記カルボン酸銀及び含窒素化合物以外に、炭素数8〜10の分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸(本明細書においては、「分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸」と略記することがある)が配合されていてもよい。
前記分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が配合されている銀インク組成物(I)を用いることで、光沢度が高い金属銀層の形成が容易となることがある。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が1分子中に有するカルボキシ基の数は、1〜3個であることが好ましく、1個又は2個であることがより好ましく、1個であることが特に好ましい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸が多価カルボン酸である場合、すべてのカルボキシ基が、互いに異なる炭素原子に結合していてもよいし、2個又は3個のカルボキシ基が、同一の炭素原子に結合していてもよい。
ここで、「主鎖」とは、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸中の鎖状構造のうち、炭素数が最大であるものを意味する。炭素数が最大である鎖状構造が複数ある場合には、いずれの鎖状構造を主鎖として取り扱ってもよい。主鎖の炭素数は、必ず分岐鎖の炭素数以上となる。
R31−C(=O)−OH ・・・・(6)
(式中、R31は、炭素数7〜9の分岐鎖状のアルキル基である。)
イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1,2,3−トリメチルペンチル基、1,2,4−トリメチルペンチル基、2,3,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1,4,4−トリメチルペンチル基、3,4,4−トリメチルペンチル基、1,1,2−トリメチルペンチル基、1,1,3−トリメチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、1,2,2−トリメチルペンチル基、2,2,3−トリメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、1,3,3−トリメチルペンチル基、2,3,3−トリメチルペンチル基、3,3,4−トリメチルペンチル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基等の炭素数8の分岐鎖状のアルキル基;
1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、3−メチルオクチル基、4−メチルオクチル基、5−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、6,6−ジメチルヘプチル基、5,5−ジメチルヘプチル基、4,4−ジメチルヘプチル基、3,3−ジメチルヘプチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1,2−ジメチルヘプチル基、1,3−ジメチルヘプチル基、1,4−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチルヘプチル基、1,6−ジメチルヘプチル基、2,3−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、3,4−ジメチルヘプチル基、3,5−ジメチルヘプチル基、3,6−ジメチルヘプチル基、4,5−ジメチルヘプチル基、4,6−ジメチルヘプチル基、5,6−ジメチルヘプチル基、1,2,3−トリメチルヘキシル基、1,2,4−トリメチルヘキシル基、1,2,5−トリメチルヘキシル基、2,3,4−トリメチルヘキシル基、2,3,5−トリメチルヘキシル基、3,4,5−トリメチルヘキシル基、1,1,2−トリメチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,4−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、1,2,2−トリメチルヘキシル基、2,2,3−トリメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルヘキシル基、2,2,5−トリメチルヘキシル基、1,3,3−トリメチルヘキシル基、2,3,3−トリメチルヘキシル基、3,3,4−トリメチルヘキシル基、3,3,5−トリメチルヘキシル基、1,4,4−トリメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルヘキシル基、3,4,4−トリメチルヘキシル基、4,4,5−トリメチルヘキシル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、4,5,5−トリメチルヘキシル基、1,2,3,4−テトラメチルペンチル基、1,1,2,3−テトラメチルペンチル基、1,1,2,4−テトラメチルペンチル基、1,1,3,4−テトラメチルペンチル基、1,2,2,3−テトラメチルペンチル基、1,2,2,4−テトラメチルペンチル基、2,2,3,4−テトラメチルペンチル基、1,2,3,3−テトラメチルペンチル基、2,3,3,4−テトラメチルペンチル基、1,3,3,4−テトラメチルペンチル基、1,2,4,4−テトラメチルペンチル基、2,3,4,4−テトラメチルペンチル基、1,3,4,4−テトラメチルペンチル基、1−エチル−1−メチルヘキシル基、1−エチル−2−メチルヘキシル基、1−エチル−3−メチルヘキシル基、1−エチル−4−メチルヘキシル基、1−エチル−5−メチルヘキシル基、2−エチル−1−メチルヘキシル基、2−エチル−2−メチルヘキシル基、2−エチル−3−メチルヘキシル基、2−エチル−4−メチルヘキシル基、2−エチル−5−メチルヘキシル基、3−エチル−1−メチルヘキシル基、3−エチル−2−メチルヘキシル基、3−エチル−3−メチルヘキシル基、3−エチル−4−メチルヘキシル基、3−エチル−5−メチルヘキシル基、4−エチル−1−メチルヘキシル基、4−エチル−2−メチルヘキシル基、4−エチル−3−メチルヘキシル基、4−エチル−4−メチルヘキシル基、4−エチル−5−メチルヘキシル基、1,1−ジエチルペンチル基、1,2−ジエチルペンチル基、1,3−ジエチルペンチル基、2,2−ジエチルペンチル基、2,3−ジエチルペンチル基、3,3−ジエチルペンチル基、1−エチル−1−プロピルブチル基、2−エチル−1−プロピルブチル基等の炭素数9の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の1本の分岐鎖の炭素数は、1〜3であることが好ましい。
モノカルボン酸(6)に限定されず、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸は、これらの条件をともに満たすもの、すなわち、1分子中の分岐鎖の数が1〜3本であり、かつ1本の分岐鎖の炭素数が1〜3個であるものがより好ましい。
例えば、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点は、180〜270℃であることが好ましく、200〜260℃であることがより好ましく、215〜255℃であることが特に好ましい。分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点が前記下限値以上であることで、銀インク組成物(I)中からの分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の揮発が抑制されて、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の沸点が前記上限値以下であることで、銀インク組成物(I)の固化処理によって得られた金属銀中での分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸の残存が抑制され、光沢性、導電性等が高いなど、より好ましい特性の金属銀が得られる。
なお、本明細書において、ネオデカン酸とは、炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の異性体の混合物を意味し、前記混合物には炭素数10の分岐鎖状飽和脂肪族モノカルボン酸が必ず含まれる。このように、ネオデカン酸とは、1種の化合物だけを意味するものではない。
そして、ネオデカン酸中の、2種以上の炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物(I)は、前記カルボン酸銀及び含窒素化合物以外に、さらにアルコールが配合されていてもよい。
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
銀インク組成物(I)は、前記カルボン酸銀、含窒素化合物、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸及びアルコール以外の、その他の成分が配合されていてもよい。
銀インク組成物(I)における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。前記その他の成分で、好ましいものとしては、例えば、アルコール以外の溶媒等が挙げられ、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
前記その他の成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記溶媒は、アルコール以外のもの(水酸基を有しないもの)であれば、特に限定されない。
ただし、前記溶媒は、常温で液状であるものが好ましい。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
例えば、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物(I)の粘度等、目的に応じて選択すればよい。ただし通常は、銀インク組成物(I)において、配合成分の総量に対する前記溶媒の配合量の割合は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。
また、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物(I)において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合が0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物(I)は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物(I)は、前記カルボン酸銀、含窒素化合物、及び必要に応じて、これら以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物(I)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物(I)としてもよい。本発明においては、特に前記カルボン酸銀としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、上記の各成分の配合時において、金属銀の光沢度及び導電性を低下させる不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できる。したがって、精製操作を行っていない銀インク組成物(I)を用いても、十分な光沢度及び導電性を有する金属銀が得られる。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を用いた銀インク組成物(I)の場合、各成分の好ましい配合方法の一例としては、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を最後に配合する方法が挙げられる。すなわち、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を用いた銀インク組成物(I)の好ましい製造方法の一例としては、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸以外の成分をすべて配合した後、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸を最後に配合する製造方法が挙げられる。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物(I)において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用することが好ましい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜36時間であることが好ましい。
銀インク組成物(I)は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物(I)は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
供給される二酸化炭素(CO2)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。供給された二酸化炭素は、供給対象物に溶け込み、いずれかの含有成分に作用することで、得られる銀インク組成物(I)の粘度が上昇すると推測される。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物(I)の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、供給対象物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物(I)の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
銀インク組成物(II)は、前記有機銀化合物として、有機銀錯体が配合され、さらに含窒素化合物が配合されてなる。
このような銀インク組成物(II)としては、例えば、有機銀錯体の前駆体化合物と、これ以外の含窒素化合物と、の反応によって、有機銀錯体が形成され、かつ余剰の前記含窒素化合物が残存している反応液を含むものが挙げられる。このような銀インク組成物(II)として、より具体的には、特許第5243409号公報に記載のものが挙げられる。
すなわち、銀インク組成物(II)としては、例えば、下記一般式(91)で表される銀化合物(本明細書においては、「銀化合物(91)」と略記することがある)と、下記一般式(92)で表される化合物(本明細書においては、「含窒素化合物(92)」と略記することがある)及び下記一般式(93)で表される化合物(本明細書においては、「含窒素化合物(93)」と略記することがある)からなる群から選択される1種又は2種以上の含窒素化合物と、を反応させて得られた有機銀錯体を含有し、さらに、前記含窒素化合物を含有する液状組成物が挙げられる。
銀化合物(91)としては、例えば、酸化銀、チオシアネート化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀等が挙げられる。
含窒素化合物(92)は、アンモニウムカルバメート系化合物である。
含窒素化合物(92)において、R101〜R105は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、シアノエチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、ヘキサメチレンイミニル基、モルホリノ基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジニル基、カルボキシメチル基、トリメトキシシリルプロピル基、トリエトキシシリルプロピル基、フェニル基、メトキシフェニル基、シアノフェニル基、トリル基、ベンジル基、又はこれらの基において一部が置換された基であることが好ましい。ただし、R101〜R105がすべて水素原子になることはない。
そして、これら含窒素化合物(92)の中でも、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカルバメートは、銀化合物(91)との相溶性に優れ、銀インク組成物(II)の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。表面粗さが低減されている金属銀は、光沢度も高いため、2−エチルヘキシルアンモニウム 2−エチルヘキシルカルバメートの使用は、光沢度が高い金属銀層を備えた積層体の製造時に、特に有利である。
含窒素化合物(93)は、アンモニウムカーボネート系化合物である。
含窒素化合物(93)において、R106〜R111は、含窒素化合物(92)におけるR101〜R105と同様のものである。ただし、R106〜R111がすべて水素原子になることはない。
前記反応は、溶媒を用いて行ってもよい。このときの溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール;エチレングリコール、グリセリン等のグリコール;エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテート等のアセテート;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、メチレンクロライド、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
例えば、後述する印刷法で、二酸化炭素が供給されていない銀インク組成物を基材へ付着させる場合であれば、この銀インク組成物のせん断速度10/s、測定温度25℃の条件下での粘度は、1〜50mPa・sであることが好ましく、5〜20mPa・sであることがより好ましい。測定温度25℃の条件下での前記粘度が、前記上限値よりも高い場合には、せん断速度10/sの条件下での粘度が前記数値範囲内となるように、使用時の銀インク組成物を加熱してもよい。
次いで、以下においては、銀インク組成物以外の本工程の条件について説明する。
前記組成物層形成工程においては、上述のとおり、銀インク組成物を基材に付着させて、組成物層を形成する。
前記基材の材質は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
基材の好ましい材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
また、基材の好ましい材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックスや、紙が挙げられる。
また、基材は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、2種以上の材質を併用したものであってもよい。
また、基材は、後述するように、有色のもの及び不透明のものも好適である。すなわち、基材は、透明及び不透明のいずれであってもよいし、無色及び有色のいずれであってもよい。
なお、本明細書においては、基材の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
例えば、基材がシート状又はフィルム状である場合、基材の厚さは、10〜5000μmであることが好ましく、10〜3000μmであることがより好ましい。基材の厚さが前記下限値以上であることで、組成物層、固形層及び金属銀層の構造をより安定して維持できる。基材の厚さが前記上限値以下であることで、目的物である積層体の取り扱い性がより良好となる。
基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が挙げられる。
銀インク組成物を付着させる前の、基材の加熱処理の条件は、基材の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、基材は、60℃以上で10〜60分間加熱処理することが好ましく、組成物層の形成時における、銀インク組成物の加熱乾燥処理の条件と同じ条件で処理してもよい。基材の加熱処理温度の上限値は、特に限定されず、基材の耐熱性を考慮して適宜調節すればよい。例えば、基材の加熱処理温度は、100℃以下であってもよいが、これは一例である。
プラズマ処理は公知の方法で行えばよく、例えば、大気圧プラズマ処理の場合には、電圧290〜300W、気流速度1.0〜5.0m/分等の条件で行うことができる。
本発明の製造方法においては、前記組成物層形成工程後に、前記固形層形成工程を行う。
前記固形層形成工程においては、70℃以下の温度条件下で、前記組成物層を乾燥させて、固形層を形成する。
組成物層の乾燥は、公知の方法で行うことができる。例えば、組成物層の乾燥は、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれで行ってもよく、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれであってもよい。
これに対して、固形層は、乾燥によって組成物層が十分に固形化した状態のものであって、固形層に溶媒を接触させた場合、接触後直ちに、固形層の一部が前記溶媒中に移行してしまうことはなく、固形層は、十分な時間だけ当初の状態を維持できる。
本発明の製造方法においては、前記固形層形成工程後に、前記金属銀層形成工程を行う。
前記金属銀層形成工程においては、固形層に液状の還元剤を接触させて、固形層から金属銀層を形成する。本工程を行うことにより、基材上での、有機銀化合物からの金属銀の形成が完了し、目的とする積層体が得られる。
なお、本明細書においては、液状還元性化合物及び非液状還元性化合物を包括して、「還元性化合物」と称する。
前記還元性化合物としては、例えば、芳香族ヒドロキシ化合物が挙げられる。
前記芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、芳香族環の環骨格を構成している原子(例えば、芳香族環が芳香族炭化水素環である場合には、この環の環骨格を構成している炭素原子)に、水酸基が結合している構造を有する化合物が挙げられる。
前記芳香族ヒドロキシ化合物は、芳香族環の環骨格を構成している原子に結合している水酸基が2個である、芳香族ジヒドロキシ化合物であることが好ましく、ベンジオール、すなわち、ハイドロキノン、カテコール又はレゾルシノールであることがより好ましい。
好ましい還元性組成物としては、例えば、前記還元性化合物及び溶媒が配合されてなるものが挙げられる。
還元性組成物における前記有機溶媒としては、還元されないもの(酸化作用を有しないもの)又は還元されにくいもの(酸化作用が弱いもの)が挙げられる。このような有機溶媒で好ましいものとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコールが挙げられる。
また、還元性組成物において、還元性組成物の固形層との親和性を向上させる溶媒と、この溶媒とは種類が異なり、かつ還元性組成物での還元性化合物の溶解性を向上させる溶媒と、を併用する(すなわち、混合溶媒を使用する)ことでも、還元性組成物の金属銀層の形成適性を向上させることができる。このような好ましい混合溶媒としては、例えば、水及びアルコールの混合溶媒が挙げられる。
例えば、固形層に前記還元剤を接触させる方法としては、前記還元剤を固形層に噴霧する方法、前記還元剤を固形層に塗布する方法、前記還元剤に固形層を浸漬する方法等が挙げられる。
前記還元剤の噴霧は、霧吹き又はスプレーガンを用いて行うことができる。
前記還元剤の塗布は、上述の銀インク組成物の場合と同様に、各種コーターやワイヤーバー等を用いて行うことができる。
本工程においては、固形層の露出面である、基材側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)に、前記還元剤を接触させることで、金属銀層を形成できる。
ここで、金属銀を形成し得る成分とは、有機銀化合物、又は有機銀化合物由来の成分を意味する。
例えば、固形層に前記還元剤を接触させる時間は、5秒〜10分であることが好ましく、20秒〜5分であることがより好ましく、30秒〜3分であることが特に好ましい。前記時間がこのような範囲内であることで、光沢度がより高い金属銀層を形成できる。
本発明の製造方法は、前記組成物層形成工程、固形層形成工程及び金属銀層形成工程以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、これらの工程とは異なる他の工程を有していてもよい。
前記他の工程は、目的に応じて任意に選択できる。
他の工程を行うタイミングは、他の工程の内容に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
好ましい他の工程としては、例えば、形成された前記積層体、特に前記金属銀層を洗浄する洗浄工程が挙げられる。
すなわち、本発明の好ましい製造方法としては、例えば、前記組成物層形成工程、固形層形成工程、金属銀層形成工程及び洗浄工程を、この順に有するものが挙げられる。
洗浄工程における前記溶媒は、前記還元剤の種類に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
前記溶媒としては、例えば、前記還元性組成物における溶媒と同様のものが挙げられる。
前記溶媒の使用量は特に限定されず、前記積層体を十分に洗浄できる量であればよい。
洗浄を行うときの、前記積層体及び溶媒の温度はいずれも、特に限定されないが、10〜35℃であることが好ましく、15〜30℃であることがより好ましい。前記温度がこのような範囲内であることで、洗浄効果がより向上する。
積層体からの溶媒の除去は、公知の方法で行えばよく、例えば、溶媒が付着している積層体を乾燥させるか、又は溶媒が付着している積層体にガスを吹きかけて溶媒を吹き飛ばすことにより、行えばよい。
積層体の乾燥温度及び乾燥時間は、積層体(基材及び金属銀層)が劣化しない限り、特に限定されない。例えば、積層体は、10〜70℃で1分〜24時間乾燥させることができるが、これは一例である。
積層体にガスを吹きかけるときの、積層体及びガスの温度はいずれも、例えば、10〜70℃とすることができるが、これは一例である。
本発明の製造方法を、基材の両方の面上で行う場合、これら両方の面上に、互いに同一の金属銀層を形成してもよいし、互いに異なる金属銀層を形成してもよい。すなわち、本発明の製造方法の適用対象である積層体が、基材の両方の面上に金属銀層を備えている場合、これら両方の面上の金属銀層は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
また、本発明の製造方法を、基材の両方の面上で行う場合には、基材の一方の面上で、本発明の製造方法のいずれかの工程を行いつつ、最終工程を終了する前の段階で、基材の他方の面上で最初の工程(例えば、組成物層形成工程)を開始してもよい。この場合には、基材の一方の面上及び他方の面上のいずれかにおいて、最終工程が先に終了してもよいし、両方の面上で最終工程が同時に終了してもよい。
また、本発明の製造方法を、基材の両方の面上で行う場合には、基材の両方の面上で、同時に最初の工程(例えば、組成物層形成工程)を開始してもよい。この場合にも、基材の一方の面上及び他方の面上のいずれかにおいて、最終工程が先に終了してもよいし、両方の面上で最終工程が同時に終了してもよい。
このように、本発明の製造方法を、基材の両方の面上で行う場合には、前記組成物層形成工程、固形層形成工程、金属銀層形成工程及び他の工程は、基材の一方の面上と他方の面上とでは、それぞれ独立して行ってもよいし、同時に行ってもよい。
一方、基材上に金属銀層を備えた積層体を、従来の方法で製造した場合、通常は、金属銀層の基材側の面(第2面)の光沢度を高くすることは可能であるが、金属銀層の基材側とは反対側の面(第1面)の光沢度を高くすることは困難である。
すなわち、本発明の製造方法は、得られた積層体において、金属銀層の第1面の光沢度を高くできる点で、顕著な効果を奏する。また、金属銀層の第1面の光沢度を高くできることによって、例えば、基材として有色のもの、不透明なもの等、種々の形態のものを用いても、金属銀層の高い光沢度を利用した、目的とする積層体を構成できる点で、有利である。
一方、本発明の製造方法で得られた積層体において、前記20°鏡面光沢度の上限値は特に限定されない。金属銀層の形成がより容易である点では、前記20°鏡面光沢度は、1700以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、「20°鏡面光沢度」とは、光沢度計を用いて、測定角を20°として測定した、測定対象物の表面(鏡面)の光沢度を意味する。
本実施形態の組成物層形成工程においては、図1(a)に示すように、銀インク組成物を基材11に付着させて、基材11上に組成物層120を形成する。ここでは、基材11の一方の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)11a上のみに、組成物層120を形成している。
次いで、本実施形態の固形層形成工程においては、70℃以下の温度条件下で、組成物層120を乾燥させて、図1(b)に示すように、固形層12’を形成する。
次いで、本実施形態の金属銀層形成工程においては、固形層12’に液状の還元剤を接触させて、図1(c)に示すように、固形層12’から金属銀層12を形成する。この段階で、目的とする積層体1が得られる。
金属銀層12の形成後は、必要に応じて、形成された積層体1、特に金属銀層12を洗浄する洗浄工程を行い、洗浄工程以外の他の工程を、適したタイミングで行ってもよい。
<銀インク組成物の製造>
ビーカー中に2−エチルヘキシルアミン(78.18g、後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して6.53倍モル量)と、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(以下、「DMHO」と略記することがある)(1.17g、2−メチルアセト酢酸銀に対して0.10倍モル量)と、を加えて混合し、メカニカルスターラーを回転させて撹拌しながら、さらにここへ、液温が40℃以下となるように2−メチルアセト酢酸銀(20.65g)を添加して、各配合成分を溶解させ、室温でそのまま1日撹拌を続けた。
次いでこの撹拌液に、液温が30℃以下となるように、ネオデカン酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.13倍モル量)を滴下して撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
なお、DMHOとしては、日信化学社製「サーフィノール61」を用い、ネオデカン酸としては、ジャパンケムテック社製「バーサティック10」を用いた。これは、以降の実施例及び比較例でも同様である。
なお、本実施例において「有機銀化合物」とは「β−ケトカルボン酸銀(1)」のことである。
(粘度)
レオメータ(アントンパール社製「MCR301」)を用いて、せん断速度10/s、測定温度25℃の条件下で、銀インク組成物の粘度を測定したところ、7.6mPa・sであった。
(密度)
密度計(京都電子社製「DA−130N」)を用いて、銀インク組成物の密度を測定したところ、0.924g/cm3であった。
(銀含有量)
電気炉を用いて、銀インク組成物を400℃で3時間加熱処理し、この加熱処理前後での質量変化(加熱処理前の銀インク組成物の質量と、銀インク組成物を加熱処理して得られた処理物の質量と、の差)から、銀インク組成物の銀含有量を算出したところ、9.8質量%であった。
ポリカーボネート製シート(三菱ガス化学社製「ユーピロン、品種NF2000,品番552A」、厚さ500μm)を、50mm×50mmの大きさに裁断し、基材とした。
室温下において、この基材の一方の表面上に、上記で得られた銀インク組成物(約0.5mL)を滴下し、スピンコーターを用いて、500rpmで5秒、次いで1000rpmで10秒の回転条件でスピンコートを行い、基材上に組成物層を形成した。組成物層の形成前後の基材の重量から組成物層の重量を算出したところ、約0.025gであった。
次いで、取り出した組成物層付き基材(すなわち固形層付き基材)を、室温下で1分静置して冷却した後、霧吹き(フルプラ社製「ダイヤスプレーエクセレント500」)を用いて、乾燥後の組成物層(すなわち固形層)に液状の還元剤を2回噴霧した。そして、この噴霧後の固形層を備えた基材(固形層付き基材)を1分静置した。前記還元剤は、ハイドロキノン(1質量部、和光純薬工業社製)、99.5%エタノール(60.5質量部、和光純薬工業社製)、及び蒸留水(38.5質量部)が配合されてなる、還元性組成物である。
得られた積層体の金属銀層について、光沢度計(日本電色社製「PG−IIM」)を用いて、JIS Z 8741:1997に準拠して、20°鏡面光沢度を測定した。結果を表2に示す。
さらに、組成物層付き基材の、オーブンによる乾燥時の温度及び時間のいずれか一方又は両方を、表2に示すように変更した点以外は、上記と同じ方法で積層体を製造し、評価した。このとき、乾燥温度が30℃の場合には、乾燥時間を1時間以上とし、乾燥温度が40℃又は50℃の場合には、乾燥時間を0.25時間(15分)以上とし、乾燥温度が60℃の場合には、乾燥時間を0.5時間(30分)以上とした。結果を表2に示す。なお、本実施例においては、表2中の「−」との記載のある乾燥条件では、積層体を製造していない。
<積層体の製造及び評価>
組成物層付き基材の、オーブンによる乾燥時の温度を30℃とし、乾燥時間を0.25時間(15分)又は0.5時間(30分)とした点以外は、実施例1と同じ方法で積層体を製造し、評価した。結果を表2に示す。
さらに、これら積層体の製造時における、組成物層の乾燥時の温度及び時間と、金属銀層の20°鏡面光沢度と、の関係を表すグラフを、実施例1の結果と共に図2に示す。
乾燥温度が40℃の場合には、乾燥時間が0.25時間(15分)以上のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は244以上であり、乾燥時間が1時間以上のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は1045以上であった。
乾燥温度が50℃の場合には、乾燥時間が0.25時間(15分)以上のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は762以上であり、乾燥時間が0.5時間(30分)以上のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は1017以上であった。
乾燥温度が60℃の場合には、乾燥時間が0.25時間(15分)以上のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は863以上であり、乾燥時間が1時間以上のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は1315以上であった。
<銀インク組成物の製造>
実施例1の場合と同じ方法で、銀インク組成物を製造した。
実施例1の場合と同じ方法で、基材上に組成物層を形成した(組成物層付き基材を製造した)。
次いで、熱風ドライヤー(竹綱製作所社製「HAS−42」)を用いて、この組成物層を形成した基材(組成物層付き基材)に直ちに、風速約10m/sで熱風を吹き付けることにより、組成物層を120℃で15分加熱処理して、組成物層から金属銀層を形成し、目的物である積層体を得た。
すなわち、本参考例においては、固形層形成工程及び金属銀層形成工程を行うのに代えて、上記の120℃、15分の加熱処理工程を行った点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、積層体を製造した。
得られた積層体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。
その結果、金属銀層の20°鏡面光沢度は1380であった。
組成物層の加熱処理温度(換言すると、有機銀化合物の加熱処理温度)が120℃と比較的高温であったため、金属銀層の20°鏡面光沢度が高くなったのは、当然であった。
<銀インク組成物の製造>
実施例1の場合と同じ方法で、銀インク組成物を製造した。
A4サイズに裁断した白色のポリ塩化ビニル製シート(ミマキエンジニアリング社製「SPC−0706−137G−50」、厚さ90mm)を基材として用い、インクジェットプリンター(FUJIFILM社製「DMP−2831」)を用いて、前記基材の一方の表面に対して、上記で得られた銀インク組成物で印刷を行い、基材上に組成物層を形成した。印刷時には、銀インク組成物の吐出電圧を25V、ヘッド温度を30℃、インク吐出量を10pLとし、解像度を600dpiとして、大きさが20mm×30mmである長方形パターンを印刷(べた印刷)した。
次いで、室温下において、霧吹き(フルプラ社製「ダイヤスプレーエクセレント500」)を用いて、形成した固形層に液状の還元剤を2回噴霧した。そして、この噴霧後の固形層を備えた基材(固形層付き基材)を1分静置した。前記還元剤としては、実施例1の場合と同じものを用いた。
得られた積層体について、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表3に示す。
さらに、組成物層付き基材の、室温下(23〜25℃)の暗所内での静置時間を、12時間に代えて、18時間及び24時間とした点以外は、上記と同じ方法で積層体を製造し、評価した。結果を表3に示す。
<銀インク組成物の製造>
実施例1の場合と同じ方法で、銀インク組成物を製造した。
実施例1の場合と同じ方法で、基材上に組成物層を形成した。
次いで、熱風ドライヤー(竹綱製作所社製「HAS−42」)を用いて、この組成物層を形成した基材(組成物層付き基材)に直ちに、風速約10m/sで熱風を吹き付けることにより、組成物層を60℃で15分加熱処理して乾燥させた。
以降、この乾燥後の組成物層付き基材(すなわち固形層付き基材)を用いて、実施例1の場合と同じ処理を行い、目的物である積層体を得た。
得られた積層体の金属銀層について、実施例1の場合と同じ方法で、20°鏡面光沢度を測定した。結果を表4に示す。
さらに、抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製「ロレスタ」)を用いて、4端針法により、この金属銀層の表面抵抗率を測定した。結果を表5に示す。
さらに、組成物層付き基材の、熱風ドライヤーによる乾燥時の温度及び時間のいずれか一方又は両方を、表4又は表5に示すように変更した点以外は、上記と同じ方法で積層体を製造し、評価した。このとき、乾燥温度がいずれの場合も、乾燥時間を0.25時間(15分)以上とした。結果を表4及び表5に示す。
乾燥温度が50℃の場合には、乾燥時間が0.25時間(15分)以上のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は1147以上であった。
乾燥温度が60℃の場合には、乾燥時間が0.25時間(15分)以上のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は1046以上であった。
乾燥温度が70℃の場合には、乾燥時間が0.25時間(15分)以上のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は568以上であり、乾燥時間が0.5時間(30分)のとき、金属銀層の20°鏡面光沢度は765であった。
乾燥温度が50℃の場合には、乾燥時間が1時間以下のとき、金属銀層の表面抵抗率は9.7Ω/□以下であった。
乾燥温度が60℃の場合には、乾燥時間が1時間以下のとき、金属銀層の表面抵抗率は9.8Ω/□以下であった。
乾燥温度が70℃の場合には、乾燥時間が1時間以下のとき、金属銀層の表面抵抗率は44.3Ω/□以下であった。
<積層体の製造及び評価>
「特表2011−506775号公報」(特許文献3)に記載の実施例1を参考にして、下記手順により、金属銀層の形成を試みた。
すなわち、ネオデカン酸銀(2質量部)をトルエン(3質量部)に溶解させ、スピンコーターを用いて、4000rpmで30秒の回転条件で、得られたトルエン溶液をホウケイ酸ガラススライド上に塗工(スピンコート)した。次いで、濃度が1質量%であるハイドロキノン水溶液中に、この塗工層を形成した前記スライドを5分浸漬した。このとき、塗工層全体が前記ハイドロキノン水溶液中に浸かるようにした。
しかし、前記ハイドロキノン水溶液中に浸漬した塗工層からは、金属銀を十分に形成できず、金属銀層の形成には至らなかった。この製造過程では、トルエン溶液の塗工層を十分に乾燥させておらず、また、この塗工層を露光させておらず、これらが金属銀層を形成できなかった理由であると推測される。
塗工層から形成された層は、当初無色であり、その後わずかに褐色となったが、終始透明性を有しており、光沢性を呈することは無かった。
Claims (2)
- 基材上に金属銀層を備えた積層体の製造方法であって、
銀インク組成物を基材に付着させて、組成物層を形成する工程と、
70℃以下の温度条件下で、前記組成物層を乾燥させて、固形層を形成する工程と、
前記固形層に液状の還元剤を接触させて、前記固形層から金属銀層を形成する工程と、を有し、
前記銀インク組成物は、有機銀化合物と、含窒素化合物と、が配合されてなる、積層体の製造方法。 - JIS Z 8741:1997に準拠した、前記金属銀層の、前記基材側とは反対側の面の20°鏡面光沢度が、600以上である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
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EP4069885A4 (en) * | 2019-12-03 | 2024-04-17 | Scodix Ltd. | COMPOSITIONS FOR STRUCTURING A METAL ON A SUBSTRATE AND METHODS OF USE THEREOF |
-
2017
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