JP2015143021A - 積層体及び電子機器 - Google Patents

積層体及び電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP2015143021A
JP2015143021A JP2014262919A JP2014262919A JP2015143021A JP 2015143021 A JP2015143021 A JP 2015143021A JP 2014262919 A JP2014262919 A JP 2014262919A JP 2014262919 A JP2014262919 A JP 2014262919A JP 2015143021 A JP2015143021 A JP 2015143021A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
group
ink composition
layer
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014262919A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6421383B2 (ja
Inventor
有 丹野
Yu Tanno
有 丹野
格 宮本
Kaku Miyamoto
格 宮本
真知子 中山
Machiko Nakayama
真知子 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Edge Inc
Original Assignee
Toppan Forms Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Forms Co Ltd filed Critical Toppan Forms Co Ltd
Priority to JP2014262919A priority Critical patent/JP6421383B2/ja
Publication of JP2015143021A publication Critical patent/JP2015143021A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6421383B2 publication Critical patent/JP6421383B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Parts Printed On Printed Circuit Boards (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Details Of Aerials (AREA)

Abstract

【課題】基材上に受容層を介して銀層が設けられ、高温高湿条件下に置いた後でも銀層の剥離が抑制される積層体、及び該積層体を用いた電子機器の提供。【解決手段】基材2上に受容層3を介して銀層4が設けられた積層体1において、受容層3を、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを用いて形成することで、積層体1を相対湿度85%、温度85℃で24時間保存した後の、JIS K 5600−5−6に準拠した、基材2及び銀層4の密着性試験において、分類0を満たすものとする。また、積層体1を用い、基材2を筐体として備えた電子機器を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、基材上に受容層を介して銀層が設けられた積層体、及び該積層体を用いた電子機器に関する。
基材上に受容層を介して銀層が設けられた積層体は、様々な分野で広く利用されており、例えば、銀層がパターニングされたものであれば、通信機器等の電子機器の分野において回路基板として利用されている。このような積層体において、受容層は銀層を基材上に安定して維持するために設けられる。
銀層は、通常、金属銀又はその形成材料が配合された銀インク組成物を調製し、この組成物を基材(受容層)上に付着させ、必要に応じて付着させた組成物を加熱(焼成)する手法により形成される。そして近年では、特性のよい銀層を形成しやすいことから、金属銀自体ではなく金属銀の形成材料が配合された銀インク組成物を用いて金属銀を形成する手法が汎用されるようになってきている。
金属銀の形成材料としてはこれまでに酸化銀等が汎用されていたが、より良好な特性の金属銀を形成でき、さらに、酸化銀等とは異なって還元剤を用いなくても、比較的低温で速やかに金属銀を形成できるものとして、β−ケトカルボン酸銀が開示されている(特許文献1参照)。
一方で、通常の印刷法で水性インクを基材上に付着させるときに形成する受容層としては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂を含有するものが開示されている(特許文献2参照)。
特開2009−114232号公報 特開平8−118786号公報
しかし、特許文献2等で開示されている従来の受容層上に、特許文献1等で開示されている従来の銀インク組成物を用いて銀層を形成して得られた積層体は、高温高湿条件下に置いた後に、銀層が受容層から又は受容層と共に基材から剥離してしまうという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、基材上に受容層を介して銀層が設けられ、高温高湿条件下に置いた後でも銀層の剥離が抑制される積層体、及び該積層体を用いた電子機器を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、基材上に受容層を介して銀層が設けられた積層体であって、前記受容層が、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを用いて形成されたものであり、前記積層体を相対湿度85%、温度85℃で24時間保存した後の、JIS K 5600−5−6に準拠した、前記基材及び銀層の密着性試験において、分類0を満たすことを特徴とする積層体を提供する。
また、本発明は、前記積層体を用い、前記基材を筐体として備えたことを特徴とする電子機器を提供する。
本発明によれば、基材上に受容層を介して銀層が設けられ、高温高湿条件下に置いた後でも銀層の剥離が抑制される積層体、及び該積層体を用いた電子機器が提供される。
本発明に係る積層体を模式的に例示する断面図である。 本発明に係る積層体の製造方法を模式的に説明するための断面図である。 実施例及び比較例で製造した、アンテナ構造体である積層体におけるアンテナパターン示す正面図である。
<<積層体>>
本発明に係る積層体は、基材上に受容層を介して銀層が設けられた積層体であって、前記受容層が、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(以下、「ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート」と記載することがある)を用いて形成されたものであり、前記積層体を相対湿度85%、温度85℃で24時間保存した後の、JIS K 5600−5−6に準拠した、前記基材及び銀層の密着性試験において、分類0を満たすことを特徴とする。
前記積層体において、受容層は、銀層と基材との密着性を向上させるものである。すなわち、受容層及び銀層、並びに受容層及び基材は、それぞれ密着性が高く、受容層を介して設けられた銀層は、基材からの剥離が顕著に抑制される。そして、受容層は銀層と基材との高い密着性を、積層体を高温高湿条件下に置いた後でも、安定して維持できる。
このように、高温高湿条件下に置いた後でも、基材(受容層)からの銀層の剥離が高度に抑制されるのは、受容層を形成する化合物として、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートという特定のベース樹脂を用いたことによる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を含む概念とする。
図1は、本発明に係る積層体を模式的に例示する断面図である。
ここに示す積層体1は、基材2上に受容層3を介して銀層4を備える。すなわち、積層体1は、基材2上に受容層3及び銀層4がこの順に積層されたものである。
<基材>
基材2は、目的に応じて任意の形状を選択でき、例えば、フィルム状又はシート状であることが好ましく、厚さが0.5〜5000μmであることが好ましく、0.5〜2500μmであることがより好ましい。基材2の厚さが前記下限値以上であることで、受容層の構造をより安定して保持でき、基材2の厚さが前記上限値以下であることで、受容層や銀層形成時の取り扱い性がより良好となる。
基材2の材質は特に限定されず、目的に応じて選択すればよいが、後述する銀インク組成物の加熱処理による銀層形成時に変質しない耐熱性を有するものが好ましい。
基材2の材質として具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が例示できる。
また、基材2の材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックスや、紙が例示できる。
また、基材2は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、二種以上の材質を併用したものでもよい。
基材2は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。基材2が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。
なお、基材2が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材2の厚さとなるようにするとよい。
<受容層>
受容層3は、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートを用いて形成されたものである。
前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、ベース樹脂(プレポリマー)であり、特に限定されないが、重量平均分子量が2000〜20000であるものが好ましく、2300〜17000であるものがより好ましい。重量平均分子量がこのような範囲であることで、高温高湿条件下に置いた後での銀層の剥離抑制効果がより高くなる。なお、本明細書において、樹脂や、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート等のベース樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によりポリスチレン換算基準で求められたものである。
前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、その硬化物である塗膜の、JIS K 5600−5−4に準拠した鉛筆硬度が、2B以下となるものが好ましく、6B以下となるものがより好ましい。
前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、その硬化物である塗膜の下記引張試験での伸度が、70以上となるものが好ましく、80以上となるものがより好ましい。
(引張試験)
15mm幅の短冊形である前記塗膜の試験片を、JIS K 5600に準拠して、相対湿度50%、温度23℃の雰囲気下に置き、チャック間距離25mm、引張速度10mm/分の条件で試験を行い、試験片の厚さが50μmの場合に換算した測定値を伸度とする。
前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、20〜60℃において、粘度が40Pa・s以下であるものが好ましく、10Pa・s以下であるものがより好ましい。前記粘度がこのような範囲であることで、溶媒と混合して後述する受容層用組成物を調製する際に、撹拌し易く、取り扱い性がより良好となる。
前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、その硬化物である塗膜のガラス転移点(Tg)が、−18〜35℃となるものが好ましく、−15〜30℃となるものがより好ましい。
前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、その硬化物である塗膜のヤング率が、1〜300N/mm2となるものが好ましく、3〜250N/mm2となるものがより好ましい。
前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、その硬化物である塗膜の硬化収縮率が、2〜7%となるものが好ましく、3〜6%となるものがより好ましい。
前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、その硬化物である塗膜の機械強度が、2〜50N/mm2となるものが好ましく、3〜45N/mm2となるものがより好ましい。
前記ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリカーボネート骨格を有するウレタンアクリレート(以下、「ポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート」と記載することがある)であることが好ましい。
受容層3は、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートを重合して得られた重合体(硬化樹脂)を主たる構成成分とするものであり、前記重合体の含有量が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。重合体の含有量が前記下限値以上であることで、高温高湿条件下に置いた後での銀層の剥離抑制効果がより高くなる。
基材2の一方の主面(受容層3が形成されている表面)2aを上方から見下ろすように、積層体1を平面視したときの、受容層3の形状は、目的に応じて任意に設定でき、後述する銀層4の形状を考慮して設定すればよい。例えば、基材2の表面全面に受容層3が設けられていてもよいし、基材2の表面のうち、一部のみに受容層3が設けられていてもよく、この場合、受容層3はパターニングされていてもよい。
受容層3の厚さは、0.001〜20μmであることが好ましく、0.002〜5μmであることがより好ましい。受容層3の厚さが前記下限値以上であることで、銀層4の密着性がより向上し、受容層3の厚さが前記上限値以下であることで、受容層の構造をより安定して保持できる。
<銀層>
基材2の一方の主面2aを上方から見下ろすように、積層体1を平面視したときの、銀層4の形状は、目的に応じて任意に設定でき、受容層3の表面3aの全面に銀層4が設けられていてもよいし、受容層3の表面3aのうち、一部のみに銀層4が設けられていてもよく、この場合、銀層4はパターニングされていてもよい。
パターニングされた銀層4は、例えば、配線として有用である。
銀層4の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、0.01〜5μmであることが好ましく、0.03〜4μmであることがより好ましく、0.05〜3μmであってもよい。銀層4の厚さが前記下限値以上であることで、導電性をより向上させることができ、さらに、銀層4の構造をより安定して維持できる。また、銀層4の厚さが前記上限値以下であることで、積層体1をより薄層化できる。
銀層4は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。銀層4が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、基材2の場合と同様に構成できる。例えば、複数層からなる銀層4は、各層の合計の厚さが、上記の好ましい銀層4の厚さとなるようにするとよい。
銀層4は導電性に優れ、例えば、金属銀の形成材料として、後述するβ−ケトカルボン酸銀等を用いて形成した場合には、体積抵抗率を好ましくは30μΩ・cm以下、より好ましくは25μΩ・cm以下、さらに好ましくは20μΩ・cm以下、特に好ましくは15μΩ・cm以下とすることが可能である。銀層4の体積抵抗率は、金属銀の形成材料の種類や、銀層4自体の厚さにより調節できる。
本発明に係る積層体は、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、他の構成が追加されたり、一部構成が適宜変更されたものでもよい。例えば、基材2上に受容層3及び銀層4以外のその他の層が設けられたものでもよく、前記その他の層としては、受容層3及び銀層4を被覆するオーバーコート層(図示略)が例示できる。
また、ここでは、積層体1として基材2の一方の主面2a上に受容層3を介して銀層4を備えたものを示しているが、本発明に係る積層体は、基材2の他方の主面2b上にも同様に(基材2の両方の主面上に)受容層3を介して銀層4を備えたものでもよい。
本発明に係る積層体においては、上述のように受容層及び銀層、並びに受容層及び基材は、積層体を高温高湿条件下に置いた後でも、それぞれ密着性が高く、銀層の基材からの剥離が顕著に抑制される。具体的には、前記積層体を相対湿度85%、温度85℃で24時間保存した後の、JIS K 5600−5−6に準拠した、前記基材及び銀層の密着性試験において、前記積層体は分類0を満たし、同様の相対湿度及び温度で48時間以上保存した後でも、分類0を満たすことが可能なものとすることができる。そして前記積層体は、前記条件だけでなく、例えば、相対湿度99%、温度90℃で、24時間以上保存した後も、同様に、銀層の基材からの剥離が顕著に抑制される。このような、銀層の基材からの剥離が抑制された積層体は、回路基板、アンテナ構造体等の種々の電子機器への適用に極めて有用であり、特にこのような高い剥離耐性を有することが求められるアンテナ構造体への適用に適したものである。ただし、本発明に係る積層体の用途は、これらに限定されない。
<<積層体の製造方法>>
本発明に係る積層体は、例えば、基材上に受容層を形成する工程(以下、「受容層形成工程」と略記することがある)と、前記受容層上に銀層を形成する工程(以下、「銀層形成工程」と略記することがある)と、を有する製造方法で製造できる。
図2は、図1に示す積層体1の製造方法を模式的に説明するための断面図である。
<受容層形成工程>
積層体1を製造するためには、まず、図2(b)に示すように、基材2の表面(一方の主面)2a上に受容層3を形成する。
受容層3は、例えば、その主たる構成成分となる前記重合体(硬化樹脂)を形成するためのベース樹脂であるポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤及び溶媒が配合されてなる組成物(以下、「受容層用組成物」と略記することがある)を調製し、これを基材2上に付着させ、光照射によりポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートを硬化させることにより形成できる。このとき、必要に応じて乾燥処理、加熱処理等のその他の処理を行ってもよく、加熱処理は乾燥処理を兼ねるものであってもよい。
前記光重合開始剤は、特に限定されず、公知のものでもよく、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートの種類に応じて適宜選択すればよい。
前記溶媒は、重合反応を阻害しないものであればよく、シクロヘキサノン、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等、公知のものから適宜選択すればよい。
ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤及び溶媒は、それぞれ一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
受容層用組成物において、配合成分の総量に対するポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートの配合量の割合は、30〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。
受容層用組成物において、配合成分の総量に対する前記光重合開始剤の配合量の割合は、1〜10質量%であることが好ましく、1〜4質量%であることがより好ましい。
受容層用組成物において、配合成分の総量に対する前記溶媒の配合量の割合は、15〜65質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましい。
受容層用組成物は、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤及び溶媒以外に、さらにこれらに該当しないその他の成分が配合されてなるものでもよい。
前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。例えば、前記その他の成分として、本発明の効果を損なわない範囲内において、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート以外のその他のベース樹脂を用いてもよい。
受容層用組成物における前記その他の成分は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合で、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
受容層用組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
そして、前記ベース樹脂として、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート以外のその他のベース樹脂を用いる場合、受容層用組成物における、ベース樹脂の総配合量に対する前記その他のベース樹脂の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
前記その他の成分の配合量の割合が前記上限値以下であることで、高温高湿条件下に置いた後での銀層の剥離抑制効果がより高くなる。
受容層用組成物は、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレート、光重合開始剤、溶媒、及び必要に応じて前記その他の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま受容層用組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを受容層用組成物としてもよい。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
受容層用組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、40〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、5分〜12時間であることが好ましく、1〜6時間であることがより好ましく、2〜4時間であることがさらに好ましい。
受容層用組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で基材2上に付着させることができる。
前記印刷法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が例示できる。
前記塗布法としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が例示できる。
受容層形成工程においては、基材2上に付着させる受容層用組成物の量、又は受容層用組成物におけるポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートの配合量を調節することで、受容層3の厚さを調節できる。
受容層用組成物の乾燥処理及び加熱処理は、いずれも公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、処理温度も特に限定されず、目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、乾燥処理は、加熱乾燥処理及び常温乾燥処理のいずれでもよく、加熱乾燥処理の場合であれば、例えば、好ましくは60〜100℃、2〜10分の条件で行うことができる。
ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートを重合(硬化)させるためには、基材2上に付着させた受容層用組成物に対して、公知の方法で光照射を行う。照射光は、ポリカーボネート骨格含有ウレタン(メタ)アクリレートの種類に応じて適宜選択すればよく、通常は紫外線であることが好ましい。光照射時の光量は、200〜1000mJ/cm2であることが好ましい。
受容層形成工程においては、受容層用組成物を付着させる前に、基材2を加熱処理(アニール処理)してもよい。基材2を加熱処理しておくことで、本工程において受容層用組成物を加熱処理したときや、後述する銀層形成工程において、銀インク組成物を加熱(焼成)処理したときに、基材2の収縮が抑制され、寸法安定性が向上する。
受容層用組成物を付着させる前の、基材2の加熱処理の条件は、基材2の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されないが、60〜200℃で10〜60分加熱処理することが好ましく、例えば、銀層形成工程での銀インク組成物の加熱(焼成)処理の条件と同じでもよい。
また、本発明においては、受容層用組成物を付着させる前に、基材2の受容層3の形成面をプラズマ処理してもよい。基材2をプラズマ処理しておくことで、後述する銀層形成工程において、受容層3上で銀インク組成物の滲みが抑制されることがある。
プラズマ処理は公知の方法で行えばよく、例えば、大気圧プラズマ処理の場合には、電圧290〜300W、気流速度1.0〜5.0m/分等の条件で行うことができる。
<銀層形成工程>
積層体1を製造するためには、次いで、図2(c)に示すように、受容層3の表面(主面)3a上に銀層4を形成する。
銀層4は、これを形成するための組成物(以下、「銀層用組成物」と略記することがある)を調製し、これを受容層3上の所望の箇所に付着させ、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理を適宜選択して行うことで形成できる。加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。
また銀層4は、銀層用組成物を調製し、これを受容層3上の所定の箇所又は全面に付着させ、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理を適宜選択して行うことで銀層(パターニング前の銀層、図示略)を形成した後、エッチング等の公知の手法でこの銀層を所望の形状となるようにパターニングすることでも形成できる。
・銀インク組成物(非混合型銀インク組成物)
本発明においては、前記銀層用組成物として、金属銀又は金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を調製し、これを受容層3上に付着させて、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理を適宜選択して行うことで、銀層4を形成することが好ましい。
配合される金属銀又は金属銀の形成材料は、一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
配合される金属銀は、粒子状又は繊維状(チューブ状、ワイヤー状等)であることが好ましく、ナノ粒子又はナノワイヤーであることがより好ましい。
なお、本明細書において、「ナノ粒子」とは、粒径が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmである粒子を意味し、「ナノワイヤー」とは、幅が1nm以上1000nm未満、好ましくは1〜100nmであるワイヤーを意味する。
前記金属銀の形成材料は、銀原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属銀を生じるものであればよく、銀塩、銀錯体、有機銀化合物(銀−炭素結合を有する化合物)等が例示できる。前記銀塩及び銀錯体は、有機基を有する銀化合物及び有機基を有しない銀化合物のいずれでもよい。なかでも金属銀の形成材料は、銀塩であることが好ましい。
金属銀の形成材料を用いることで、かかる材料から金属銀が生じ、この金属銀を含む銀層4が形成される。この場合の銀層4は、金属銀を主成分とするものであり、金属銀の比率が、見かけ上金属銀だけからなるとみなし得る程度に十分に高く、銀層4中の金属銀の比率は、好ましくは99質量%以上である。
前記銀インク組成物としては、液状のものが好ましく、金属銀の形成材料が均一に分散されたものが好ましい。
以下、銀インク組成物として、金属銀の形成材料が配合されてなるものを用いた場合の、銀層4の形成方法について説明する。
前記金属銀の形成材料は、加熱によって分解し、金属銀を形成するものが好ましい。
[カルボン酸銀]
金属銀の形成材料としては、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀が例示できる。
本発明において、カルボン酸銀は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(以下、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Figure 2015143021
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY1 2−」、「CY1 3−」、「R1−CHY1−」、「R2O−」、「R54N−」、「(R3O)2CY1−」若しくは「R6−C(=O)−CY1 2−」で表される基であり;
1はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり;
7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 2015143021
(式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「−C(=O)−OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の該メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)
(β−ケトカルボン酸銀(1))
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY1 2−」、「CY1 3−」、「R1−CHY1−」、「R2O−」、「R54N−」、「(R3O)2CY1−」若しくは「R6−C(=O)−CY1 2−」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が例示できる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基が例示できる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。
Rにおける前記アルケニル基としては、ビニル基(エテニル基、−CH=CH2)、アリル基(2−プロペニル基、−CH2−CH=CH2)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH3)、イソプロペニル基(−C(CH3)=CH2)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH2−CH3)、2−ブテニル基(−CH2−CH=CH−CH3)、3−ブテニル基(−CH2−CH2−CH=CH2)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基が例示できる。
Rにおける前記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH2−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が例示できる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が例示できる。また、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C65)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるY1は、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R1−CY1 2−」、「CY1 3−」及び「R6−C(=O)−CY1 2−」においては、それぞれ複数個のY1は、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるR1は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C65−)であり、R1における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR2は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR3は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R4及びR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
RにおけるR6は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、R6における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R6−C(=O)−CY1 2−」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、R6は、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、X1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C65−CH2−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C25−O−CH=CH−)、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基である。
1における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。
1におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
1におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO2)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
1におけるR7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(C43S−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C65−C64−)である。R7における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。また、R7におけるフェニル基及びジフェニル基の前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
7がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、X1において隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のX1は、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このようなものとしては式「=CH−C64−NO2」で表される基が例示できる。
1は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R7−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のX1が水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH(CH3)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH(CH2CH3)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CH3CH2−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CH32CH−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CH33C−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH3(CH23CH2−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH(CH2CH2CH2CH3)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH(CH265)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C65−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CH33C−C(=O)−CH2−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CH32CH−C(=O)−CH2−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CH33C−C(=O)−CH(−C(=O)−CH3)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CH32CH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH3)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH2−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成することが可能である。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。還元剤については後ほど説明する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(カルボン酸銀(4))
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。
式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
8における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。ただし、R8における前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
8における前記脂肪族炭化水素基がメチレン基(−CH2−)を有する場合、1個以上の該メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されていてもよいメチレン基の数及び位置は特に限定されず、すべてのメチレン基がカルボニル基で置換されていてもよい。ここで「メチレン基」とは、単独の式「−CH2−」で表される基だけでなく、式「−CH2−」で表される基が複数個連なったアルキレン基中の1個の式「−CH2−」で表される基も含むものとする。
カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH3−C(=O)−C(=O)−OAg)、酢酸銀(CH3−C(=O)−OAg)、酪酸銀(CH3−(CH22−C(=O)−OAg)、イソ酪酸銀((CH32CH−C(=O)−OAg)、2−エチルへキサン酸銀(CH3−(CH23−CH(CH2CH3)−C(=O)−OAg)、ネオデカン酸銀(CH3−(CH25−C(CH32−C(=O)−OAg)、シュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)、又はマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)であることが好ましい。また、上記のシュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)及びマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)の2個の式「−COOAg」で表される基のうち、1個が式「−COOH」で表される基となったもの(HO−C(=O)−C(=O)−OAg、HO−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)も好ましい。
カルボン酸銀(4)も、β−ケトカルボン酸銀(1)と同様に、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本発明において、カルボン酸銀(4)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2−エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
銀インク組成物において、前記金属銀の形成材料に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。このような範囲であることで、形成された導電体(金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された前記金属銀の形成材料中の銀を意味し、配合後に引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料が分解して生じた分解物中の銀及び銀自体と、の両方を含む概念とする。
[含窒素化合物]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、前記金属銀の形成材料以外に、さらに含窒素化合物が配合されてなるものが好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(アミン化合物、第4級アンモニウム塩)
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH2)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が例示できる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示でき、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミンが例示できる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が例示でき、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子が例示できる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、フラニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、チエニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH2)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたものが例示できる。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしてはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンが例示できる。
前記第2級アミンとしては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が例示できる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミンが例示できる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が例示できる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が例示できる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドが例示できる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、ピリジンが例示できる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF3)等が例示できる。ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、かかるアルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、2−ブロモベンジルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、かかるアリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基が好ましく、このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、ブロモフェニルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、かかるアルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミンが例示できる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに銀層4の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
(アミン化合物由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が例示できるが、これらに限定されない。
(アンモニア由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが例示できる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、塩化アンモニウム等が例示できるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
銀インク組成物において、前記含窒素化合物の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.3〜15モルであることが好ましく、0.3〜5モルであることがより好ましい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、導電体(金属銀)の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電体を形成できる。
[還元剤]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものが好ましい。還元剤を配合することで、前記銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する導電体(金属銀)を形成できる。
前記還元剤は、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上の還元性化合物(以下、単に「還元性化合物」と略記することがある)であることが好ましい。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
(還元性化合物)
前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(H2N−NH2)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される一種以上のものである。すなわち、配合される還元性化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
21における炭素数20以下のアルコキシ基は、炭素数が1〜20であり、R21における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が例示できる。
21における炭素数20以下のN,N−ジアルキルアミノ基は、炭素数が2〜20であり、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、該アルキル基はそれぞれ炭素数が1〜19である。ただし、これら2個のアルキル基の炭素数の合計値が2〜20である。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
前記還元性化合物として、ヒドラジンは、一水和物(H2N−NH2・H2O)を用いてもよい。
前記還元性化合物で好ましいものとしては、ギ酸(H−C(=O)−OH);ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH3)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCH2CH3)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CH23CH3)等のギ酸エステル;プロパナール(H−C(=O)−CH2CH3)、ブタナール(H−C(=O)−(CH22CH3)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CH24CH3)等のアルデヒド;ホルムアミド(H−C(=O)−NH2)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH32)等のホルムアミド類(式「H−C(=O)−N(−)−」で表される基を有する化合物);シュウ酸が例示できる。
銀インク組成物において、還元剤の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.04〜3.5モルであることが好ましく、0.06〜2.5モルであることがより好ましい。還元剤の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は、より容易に、より安定して導電体(金属銀)を形成できる。
[アルコール]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなるものでもよい。
前記アルコールで好ましいものとしては、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)、及び飽和アルコールが例示できる。
Figure 2015143021
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
(アセチレンアルコール(2))
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が例示でき、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オールが例示できる。
(飽和アルコール)
前記飽和アルコールは、飽和炭化水素の1個以上の水素原子が水酸基(−OH)で置換されてなるものである。
前記飽和アルコールが有する水酸基の数は1個でもよいし、2個以上でもよく、2個以上である場合、その結合位置は特に限定されない。ただし、水酸基の数は1個であること、すなわち、前記飽和アルコールは、1価アルコールであることが好ましい。
前記飽和アルコールは、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
また、前記飽和アルコールの炭素数は、特に限定されないが、1〜4であることが好ましい。
好ましい前記飽和アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール(sec−ブチルアルコール)、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)が例示できる。
前記アルコールは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
アセチレンアルコール(2)及び前記飽和アルコールの少なくとも一方を用いる場合、銀インク組成物において、アセチレンアルコール(2)及び前記飽和アルコールの総配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.03〜0.7モルであることが好ましく、0.05〜0.3モルであることがより好ましい。アセチレンアルコール(2)及び前記飽和アルコールの前記総配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
[その他の成分]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤及びアルコール以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。
銀インク組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましいものとしては、アルコール以外の溶媒が例示でき、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。
銀インク組成物における前記その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(アルコール以外の溶媒)
前記溶媒は、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。好ましい溶媒としては、常温常圧条件下で液状の飽和炭化水素が例示でき、前記飽和炭化水素は直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が15以下であることが好ましく、より好ましいものとしては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン等が例示できる。
銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
[銀インク組成物の製造方法]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、及び前記金属銀の形成材料以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に前記金属銀の形成材料としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、上記の各成分の配合時において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する導電体(金属銀)が得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。ただし、本発明においては、前記還元剤は滴下により配合することが好ましく、さらに滴下速度の変動を抑制することで、金属銀の表面粗さをより低減できる傾向にある。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜36時間であることが好ましい。
[二酸化炭素]
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
二酸化炭素は、銀インク組成物製造時のいずれの時期に供給してもよい。
そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合されてなる第一の混合物に、二酸化炭素を供給して第二の混合物とし、必要に応じて前記第二の混合物に、さらに、前記還元剤を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第一の混合物及び第二の混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。
前記第一の混合物は、配合成分が異なる点以外は、上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。
第一の混合物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
第一の混合物製造時の配合温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜30℃であることが好ましい。また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
第一の混合物に供給される二酸化炭素(CO2)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。二酸化炭素が供給されることにより、この二酸化炭素が第一の混合物に溶け込み、第一の混合物中の成分に作用することで、得られる第二の混合物の粘度が上昇すると推測される。
二酸化炭素ガスの供給は、液体中にガスを吹き込む公知の各種方法で行えばよく、適した供給方法を適宜選択すればよい。例えば、配管の一端を第一の混合物中に浸漬し、他端を二酸化炭素ガスの供給源に接続して、この配管を通じて二酸化炭素ガスを第一の混合物に供給する方法が例示できる。この時、配管の端部から直接二酸化炭素ガスを供給してもよいが、例えば、多孔質性のものなど、ガスの流路となり得る空隙部が多数設けられ、導入されたガスを拡散させて微小な気泡として放出することが可能なガス拡散部材を配管の端部に接続し、このガス拡散部材を介して二酸化炭素ガスを供給してもよい。また、第一の混合物の製造時と同様の方法で、第一の混合物を撹拌しながら二酸化炭素ガスを供給してもよい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
二酸化炭素ガスの供給量は、供給先の第一の混合物の量や、目的とする銀インク組成物又は第二の混合物の粘度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、20〜25℃における粘度が5Pa・s以上である銀インク組成物を100〜1000g程度得るためには、二酸化炭素ガスを100L以上供給することが好ましく、200L以上供給することがより好ましい。なお、ここでは銀インク組成物の20〜25℃における粘度について説明したが、銀インク組成物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。
二酸化炭素ガスの流量は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量を考慮して適宜調節すればよいが、第一の混合物1gあたり0.5mL/分以上であることが好ましく、1mL/分以上であることがより好ましい。流量の上限値は特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると、混合物1gあたり40mL/分であることが好ましい。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
二酸化炭素ガス供給時の第一の混合物の温度は、5〜70℃であることが好ましく、7〜60℃であることがより好ましく、10〜50℃であることが特に好ましい。前記温度が前記下限値以上であることで、より効率的に二酸化炭素を供給でき、前記温度が前記上限値以下であることで、不純物が少ないより良好な品質の銀インク組成物が得られる。
二酸化炭素ガスの流量及び供給時間、並びに二酸化炭素ガス供給時の前記温度は、それぞれの値を相互に考慮しながら適した範囲に調節すればよい。例えば、前記温度を低めに設定しても、二酸化炭素ガスの流量を多めに設定するか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。また、二酸化炭素ガスの流量を少なめに設定しても、前記温度を高めにするか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。すなわち、二酸化炭素ガスの流量、二酸化炭素ガス供給時の前記温度として例示した上記数値範囲の中の数値を、二酸化炭素ガスの供給時間も考慮しつつ柔軟に組み合わせることで、良好な品質の銀インク組成物が効率的に得られる。
二酸化炭素ガスの供給は、第一の混合物を撹拌しながら行うことが好ましい。このようにすることで、供給した二酸化炭素ガスがより均一に第一の混合物中に拡散し、より効率的に二酸化炭素を供給できる。
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイス(固形状二酸化炭素)の供給は、第一の混合物中にドライアイスを添加することで行えばよい。ドライアイスは、全量を一括して添加してもよいし、分割して段階的に(添加を行わない時間帯を挟んで連続的に)添加してもよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、第一の混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
第二の混合物の粘度は、銀インク組成物又は第二の混合物の取り扱い方法など、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、第二の混合物の20〜25℃における粘度は、3Pa・s以上であることが好ましい。なお、ここでは第二の混合物の20〜25℃における粘度について説明したが、第二の混合物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。
前記第二の混合物には、さらに、必要に応じて前記還元剤、アルコール及びその他の成分からなる群から選択される一種以上を配合して、銀インク組成物とすることができる。
このときの銀インク組成物は、配合成分が異なる点以外は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。そして、得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
前記還元剤配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
前記その他の成分は、先に説明したように、前記第一の混合物及び第二の混合物のいずれかの製造時に配合されてもよく、両方の製造時に配合されてもよい。すなわち、第一の混合物及び第二の混合物を経て銀インク組成物を製造する過程において、二酸化炭素以外の配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合([その他の成分(質量)]/[金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤、アルコール、及びその他の成分(質量)]×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
二酸化炭素が供給されてなる銀インク組成物は、例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、20〜25℃における粘度が、1Pa・s以上であることが好ましい。
例えば、還元剤の配合時には、得られる配合物(銀インク組成物)は比較的発熱し易い。そして、還元剤の配合時の温度が高い場合、この配合物は、後述する銀インク組成物の加熱処理時と同様の状態になるため、還元剤による前記金属銀の形成材料の分解促進作用によって、金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始されることがあると推測される。このような金属銀を含有する銀インク組成物は、導電体形成時において、金属銀を含有しない銀インク組成物よりも温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。また、還元剤の配合量が十分に多い場合にも、同様に温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。このように、金属銀の形成材料の分解を促進する条件を採用することで、後処理として、より低温での加熱処理で、あるいは加熱処理を行わずに常温での乾燥処理のみで、導電体を形成できることがある。また、このような金属銀を含有する銀インク組成物は、金属銀を含有しない銀インク組成物と同様に取り扱うことができ、特に取り扱い性が劣ることもない。
なお、本発明における第二の混合物は、上記のように二酸化炭素の供給によって、粘度が通常よりも高い。一方で、第二の混合物への還元剤の配合時には、第二の混合物又は還元剤の種類によっては、上記のように前記金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始され、金属銀が析出することがある。ここで、第二の混合物の粘度が高い場合には、析出した金属銀の凝集が抑制され、得られた銀インク組成物中での金属銀の分散性が向上する。このような銀インク組成物を用いて、後述する方法で金属銀を形成して得られた導電体は、粘度が低い、すなわち二酸化炭素が供給されていない混合物に還元剤が配合されて得られた銀インク組成物を用いた場合の導電体よりも、導電性が高く(体積抵抗率が低く)、表面粗さも小さくなり、より好ましい特性を有するものとなる。
また、本発明においては、前記金属銀の形成材料、アルコール及び含窒素化合物が配合されてなる混合物に、二酸化炭素を供給して、銀インク組成物を製造することも好ましい。この場合、二酸化炭素の供給方法としては、上記と同様の方法が採用できる。
・混合型銀インク組成物
本発明においては、銀インク組成物として、前記カルボン酸銀、含窒素化合物及び還元剤が配合されてなる第1原料組成物と、前記カルボン酸銀及び含窒素化合物が配合され、前記還元剤が配合されずになる第2原料組成物と、を混合して得られたものも好適である。本明細書においては、前記第1原料組成物及び第2原料組成物を混合して得られた銀インク組成物を「混合型銀インク組成物」と称し、先に製造方法について詳細に説明した銀インク組成物を、この混合型銀インク組成物と区別するために「非混合型銀インク組成物」と称することがある。
非混合型銀インク組成物は、製造方法が異なるものの、その組成は混合型銀インク組成物の組成に包含され得るものである。
前記混合型銀インク組成物は、その製造中又は製造直後において固化等の撹拌不良の発生が抑制される、撹拌性がより良好で、製造適性に特に優れるものである。
前記混合型銀インク組成物は、例えば、粘度が低減された、希釈された銀インク組成物として好適である。
(第1原料組成物)
前記第1原料組成物は、前記カルボン酸銀、含窒素化合物及び還元剤が配合されてなるものであり、これらカルボン酸銀、含窒素化合物及び還元剤は、先に説明した非混合型銀インク組成物におけるカルボン酸銀、含窒素化合物及び還元剤と同じものである。すなわち、第1原料組成物は、非混合型銀インク組成物に包含されるものである。
第1原料組成物における前記カルボン酸銀、含窒素化合物及び還元剤の配合量は、非混合型銀インク組成物における前記カルボン酸銀、含窒素化合物及び還元剤の配合量と同様である。
第1原料組成物は、前記カルボン酸銀、含窒素化合物及び還元剤以外に、これらに該当しないその他の成分(本明細書においては、「その他の成分(S1)」と略記することがある)がさらに配合されてなるものでもよい。
第1原料組成物における前記その他の成分(その他の成分(S1))は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましいものとしては、アルコール、アルコール以外の溶媒が例示でき、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。ここで、アルコール及びアルコール以外の溶媒は、非混合型銀インク組成物におけるアルコール及びアルコール以外の溶媒と同様のものである。
第1原料組成物における前記その他の成分(その他の成分(S1))は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
第1原料組成物における前記その他の成分(S1)の配合量は、前記その他の成分(S1)の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、前記その他の成分(S1)がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、第1原料組成物の粘度等、目的に応じて選択すればよいが、通常は、第1原料組成物において、配合成分の総量に対する前記溶媒の配合量の割合は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。
また、前記その他の成分(S1)がアルコール及び前記溶媒以外の成分である(アルコール及びアルコール以外の溶媒のいずれでもない)場合、第1原料組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分(S1)の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分(S1)の配合量の割合が0質量、すなわちその他の成分(S1)を配合しなくても、第1原料組成物は十分にその効果を発現する。
第1原料組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
第1原料組成物は、非混合型銀インク組成物と同様の方法で製造できる。すなわち、第1原料組成物は、前記カルボン酸銀、含窒素化合物、還元剤、及び必要に応じてその他の成分(S1)を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま第1原料組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを第1原料組成物としてもよい。本発明においては、特に前記金属銀の形成材料として前記カルボン酸銀を用いていることにより、上記の各成分の配合時において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない第1原料組成物を用いても、十分な導電性を有する金属銀(導電体)が得られる。
第1原料組成物の製造時における各成分の配合条件(各成分の添加及び混合方法、配合時の温度、配合時間)は、非混合型銀インク組成物の場合と同様である。
(第2原料組成物)
前記第2原料組成物は、前記カルボン酸銀及び含窒素化合物が配合され、前記還元剤が配合されずになるものであり、これらカルボン酸銀、含窒素化合物及び還元剤は、先に説明した非混合型銀インク組成物におけるカルボン酸銀、含窒素化合物及び還元剤と同じものである。すなわち、第2原料組成物は、非混合型銀インク組成物に包含されるものである。
第2原料組成物は、前記還元剤が配合されていない点で、第1原料組成物と相違する。 すなわち、混合型銀インク組成物は、第1原料組成物に相当する特定の銀インク組成物を、前記還元剤が配合されていない特定の銀インク組成物(第2原料組成物)で希釈すること、又は前記還元剤が配合されていない特定の銀インク組成物(第2原料組成物)を、第1原料組成物に相当する特定の銀インク組成物で希釈することにより、製造中又は製造直後において固化等の撹拌不良を生じることなく、撹拌性が良好な状態で得られるものである。
第2原料組成物としては、前記還元剤が配合されていない点を除いて、第1原料組成物と同様のものを用いることができる。
第2原料組成物におけるカルボン酸銀は、第1原料組成物(非混合型銀インク組成物)におけるカルボン酸銀と同様のものであり、第1原料組成物におけるカルボン酸銀と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第2原料組成物における含窒素化合物は、第1原料組成物(非混合型銀インク組成物)における含窒素化合物と同様のものであり、第1原料組成物における含窒素化合物と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第2原料組成物における前記カルボン酸銀及び含窒素化合物の配合量は、第1原料組成物(非混合型銀インク組成物)における前記カルボン酸銀及び含窒素化合物の配合量と同様である。
第2原料組成物は、前記カルボン酸銀及び含窒素化合物以外に、これらに該当しないその他の成分(本明細書においては、「その他の成分(S2)」と略記することがある)がさらに配合されてなるものでもよい。
第2原料組成物における前記その他の成分(その他の成分(S2))は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、第1原料組成物におけるその他の成分(S1)と同様のものが例示できる。
第2原料組成物における前記その他の成分(その他の成分(S2))の配合量は、第1原料組成物におけるその他の成分(S1)の配合量と同様とすることができる。
第2原料組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
第2原料組成物は、非混合型銀インク組成物と同様の方法で製造できる。すなわち、第2原料組成物は、前記カルボン酸銀、含窒素化合物、及び必要に応じてその他の成分(S2)を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま第2原料組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを第2原料組成物としてもよい。本発明においては、特に前記金属銀の形成材料として前記カルボン酸銀を用いていることにより、上記の各成分の配合時において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない第2原料組成物を用いても、十分な導電性を有する金属銀(導電体)が得られる。
第2原料組成物は、配合成分が異なる点以外は、第1原料組成物と同じ方法で製造できる。
また、第2原料組成物で好ましいものとしては、前記還元剤が配合されていない点を除いて第1原料組成物と同様のものを濃縮したものが例示できる。このような濃縮された第2原料組成物は、濃縮されていない第2原料組成物よりも粘度が高いが、第1原料組成物と混合することで、撹拌性が良好な銀インク組成物をより容易に得られる。また、濃縮した第2原料組成物は、高い粘度であるにも関わらず、保存時の成分の析出や沈降が抑制され、保存安定性に優れる。
このような濃縮された第2原料組成物においては、前記含窒素化合物の配合量は、上記の数値範囲の中でも、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり1〜5モルであることが好ましく、1.5〜4モルであることがより好ましい。
(濃縮)
濃縮された第2原料組成物としては、上述の各成分の配合後に得られた混合物を、20℃における粘度が0.1Pa・s以上となるように濃縮して得られたものが好ましい。濃縮によって、前記混合物中の揮発性成分が気化して除去され、粘度が高くなった第2原料組成物が得られる。なお、本明細書において、後述する「せん断粘度」とは異なり、単なる「粘度」として記載されている数値は、特に断りのない限り、超音波振動式粘度計を用いて測定したものを意味する。
濃縮方法は公知の方法から適宜選択すればよく、好ましい方法としては、常圧下での加熱濃縮、常温下又は加熱条件下での減圧濃縮が例示できる。なかでも、常温下又は加熱条件下での減圧濃縮が好ましい。
温度、時間、圧力等の濃縮条件は、前記混合物の配合成分や量に応じて適宜調節すればよい。例えば、濃縮時の温度の下限値は、18℃であることが好ましく、20℃であることがより好ましく、23℃であることが特に好ましい。このような範囲とすることで、第2原料組成物がより効率的に得られる。また、濃縮時の温度の上限値は、70℃であることが好ましく、60℃であることがより好ましく、50℃であることが特に好ましい。このような範囲とすることで、不純物が少ないより良好な品質の第2原料組成物が得られる。
濃縮時間の下限値は、10分であることが好ましく、15分であることがより好ましく、20分であることが特に好ましい。このような範囲とすることで、より高い粘度の第2原料組成物が得られる。また、濃縮時間の上限値は、180分であることが好ましく、120分であることがより好ましく、90分であることが特に好ましい。このような範囲とすることで、不純物が少ないより良好な品質の第2原料組成物がより効率的に得られる。
濃縮時の圧力の上限値は、500hPa(ヘクトパスカル)であることが好ましく、300hPaであることがより好ましく、150hPaであることがさらに好ましく、100hPaであることが特に好ましい。このような範囲とすることで、不純物が少ないより良好な品質の第2原料組成物がより効率的に得られる。また、濃縮時の圧力の下限値は特に限定されない。
濃縮時の温度、濃縮時間、濃縮時の圧力は、それぞれの値を相互に考慮しながら適した範囲に調節すればよい。例えば、濃縮時の温度を低めに設定しても、濃縮時の圧力を低めに設定するか、濃縮時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に前記混合物を濃縮できる。また、濃縮時の圧力を高めに設定しても、濃縮時の温度を高めにするか、濃縮時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に前記混合物を濃縮できる。すなわち、濃縮時の温度、濃縮時間、濃縮時の圧力として例示した上記数値範囲の中の数値を、相互の値を考慮しつつ柔軟に組み合わせることで、良好な品質の第2原料組成物が効率的に得られる。
前記混合物は、撹拌しながら濃縮することが好ましい。このようにすることで、濃縮時の混合物をより均一にすることができ、例えば、一部の成分が溶解していなくてもより均一に分散させることができるので、濃縮工程をより安定して行うことができる。その結果、最終的な濃縮物(すなわち、第2原料組成物)の品質がより良好となる。
この時の撹拌方法は、非混合型銀インク組成物の製造方法で説明した混合方法と同様の方法でよく、また、混合物を収容した容器が回転等の運動が可能であれば、この容器を運動させて混合物を撹拌してもよい。
濃縮後の第2原料組成物の20℃における粘度は、0.1Pa・s以上であることが好ましく、0.12Pa・s以上であることがより好ましい。また、第2原料組成物の20℃における粘度は、0.5Pa・s以下であることが好ましく、0.45Pa・s以下であることがより好ましい。このような範囲とすることで、銀インク組成物の粘度の調節がより容易となる。なお、ここでは第2原料組成物の20℃における粘度について説明したが、第2原料組成物の使用時の温度は、20℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。
また、第2原料組成物で好ましいものとしては、前記カルボン酸銀、含窒素化合物及びアルコールが配合され、前記還元剤が配合されていない混合物に、二酸化炭素が供給されてなるものも例示できる。このような第2原料組成物は、上述の濃縮された第2原料組成物と同様に粘度が高いが、第1原料組成物と混合することで、撹拌性が良好な銀インク組成物をより容易に得られる。
混合型銀インク組成物は、第1原料組成物及び第2原料組成物を混合する工程(混合工程)を有する製造方法で製造できる。
(混合工程)
混合工程では、第1原料組成物及び第2原料組成物を混合するが、その方法は特に限定されず、目的に応じて条件を適宜調節して、これら組成物を添加し、撹拌すればよい。
例えば、添加時には、第1原料組成物及び第2原料組成物を同じ容器中に同時に添加してもよいし、第1原料組成物中に第2原料組成物を添加してもよいし、第2原料組成物中に第1原料組成物を添加してもよい。第1原料組成物及び第2原料組成物は、いずれも添加対象に全量をまとめて加えてもよいし、滴下して加えてもよい。滴下する場合の滴下時間は、特に限定されない。
撹拌方法は特に限定されず、非混合型銀インク組成物の製造方法で説明した混合方法と同様の方法が例示できる。
第1原料組成物及び第2原料組成物を製造してから、これらを混合に供するまでの時間は、特に限定されないが、より良好な品質の銀インク組成物が得られる点から、24時間以下であることが好ましく、12時間以下であることがより好ましく、6時間以下であることが特に好ましい。そして、混合に供するまでの時間の下限値は、特に限定されない。
第1原料組成物及び第2原料組成物の混合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10〜40℃であることが好ましく、15〜30℃であることがより好ましい。そして、混合時の温度は、第1原料組成物及び第2原料組成物の種類に応じて、混合して得られた目的物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、混合時間(第1原料組成物及び第2原料組成物の添加を開始してから、目的物が得られるまでの時間)も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜12時間であることが好ましい。
混合時の第1原料組成物及び第2原料組成物の使用量は特に限定されないが、第1原料組成物及び第2原料組成物の総使用量に対する第2原料組成物の使用量の割合は、3〜97質量%であることが好ましく、8〜92質量%であることがより好ましい。
混合型銀インク組成物において、前記カルボン酸銀に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。このような範囲であることで、形成された金属銀(導電体)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。
混合型銀インク組成物において、銀の総配合量1モルあたりの含窒素化合物の総配合量(モル)([含窒素化合物の総配合量(モル)]/[銀の総配合量(モル)])は、0.5〜5モルであることが好ましく、0.5〜3モルであることがより好ましい。
ここで、「混合型銀インク組成物における銀の総配合量」とは、混合型銀インク組成物中の、第1原料組成物の製造時に配合されたカルボン酸銀に由来する銀の量と、第2原料組成物の製造時に配合されたカルボン酸銀に由来する銀の量と、の総量を意味する。
また、「混合型銀インク組成物における含窒素化合物の総配合量」とは、第1原料組成物の製造時に配合された含窒素化合物の量と、第2原料組成物の製造時に配合された含窒素化合物の量と、の総量から換算される、混合型銀インク組成物の製造に用いた、含窒素化合物の総量を意味する。
混合型銀インク組成物において、銀の総配合量1モルあたりの還元剤の総配合量(モル)([還元剤の総配合量(モル)]/[銀の総配合量(モル)])は、0.04〜1モルであることが好ましく、0.06〜0.6モルであることがより好ましい。
ここで、「混合型銀インク組成物における銀の総配合量」とは、上述のとおりである。
また、「混合型銀インク組成物における還元剤の総配合量」とは、第1原料組成物の製造時に配合された還元剤の量と、第2原料組成物の製造時に配合された還元剤の量と、の総量から換算される、混合型銀インク組成物の製造に用いた、還元剤の総量を意味する。
前記アルコールを用いる場合、混合型銀インク組成物において、銀の総配合量1モルあたりのアルコールの総配合量(モル)([アルコールの総配合量(モル)]/[銀の総配合量(モル)])は、0.02〜0.8モルであることが好ましく、0.04〜0.5モルであることがより好ましい。
ここで、「混合型銀インク組成物における銀の総配合量」とは、上述のとおりである。
また、「混合型銀インク組成物におけるアルコールの総配合量」とは、第1原料組成物の製造時に配合されたアルコールの量と、第2原料組成物の製造時に配合されたアルコールの量と、の総量から換算される、混合型銀インク組成物の製造に用いた、アルコールの総量を意味する。
本発明においては、混合工程を行った後、得られたものをそのまま混合型銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを混合型銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に金属銀の形成材料として前記カルボン酸銀を用いていることにより、混合工程において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない混合型銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する金属銀(導電体)が得られる。
混合型銀インク組成物は、固化等が見られず、撹拌性が良好である。例えば、銀インク組成物の25℃におけるせん断粘度は、好ましくはせん断速度1000s-1で1.2Pa・s以下であり、より好ましくはせん断速度1000s-1で1.0Pa・s以下である。混合型銀インク組成物としては、含有成分が溶解又は均一に分散された液状のものが得られる。
本発明における銀インク組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で受容層3上に付着させることができる。
前記印刷法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が例示できる。
前記塗布法としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が例示できる。
上記の銀層4を形成する工程においては、受容層3上に付着させる銀インク組成物の量、又は銀インク組成物における前記金属銀の形成材料の配合量を調節することで、銀層4の厚さを調節できる。
受容層3上に付着させた銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法が例示できる。
受容層3上に付着させた銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜200℃であることが好ましく、70〜180℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、0.2〜12時間であることが好ましく、0.4〜10時間であることがより好ましい。前記金属銀の形成材料の中でも前記カルボン酸銀、特にβ−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。
銀インク組成物を、耐熱性が低い基材上の受容層に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されず、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、銀インク組成物の加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
銀インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が例示できる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜110℃であることが好ましく、70〜90℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜200℃であることが好ましく、70〜180℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
銀インク組成物を、耐熱性が低い基材上の受容層に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物の加熱処理は、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行う、二段階の方法で行うことが特に好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
上述の加熱処理を二段階の方法で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜110℃であることが好ましく、70〜90℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、5秒〜3時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましく、30秒〜1時間であることが特に好ましい。
上述の加熱処理を二段階の方法で行う場合、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜180℃であることが好ましく、70〜160℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
銀インク組成物を、耐熱性が低い基材上の受容層に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
本発明に係る積層体として、基材2上に受容層3及び銀層4以外のその他の層が設けられたものを製造する場合には、上記の製造方法において、所定のタイミングでその他の層を形成する工程を適宜追加して行えばよい。
本発明に係る積層体は、上記のように、銀層の基材からの剥離が抑制されるのに加え、銀層の導電性が十分に高いため、後述するように、通信機器等の各種電子機器の構成要素として極めて有用である。
<<電子機器>>
本発明に係る電子機器は、前記積層体を用い、前記基材を筐体として備えたことを特徴とし、例えば、前記積層体中の基材で筐体の少なくとも一部を構成したこと以外は、公知の電子機器と同様の構成とすることができる。例えば、パターニングされた銀層を回路とすることで、前記積層体を回路基板として用いることができ、前記積層体に加え、音声入力部、音声出力部、操作スイッチ、表示部等を組み合わせることにより、携帯電話機を構成できる。また、パターニングされた銀層をアンテナとすることで、前記積層体をアンテナ構造体とすることができ、かかるアンテナ構造体を用いる点以外は、公知のデータ受送信体と同様の構成とすることで、新規のデータ受送信体とすることができる。例えば、図1に示す積層体1において、基材2上に銀層4と電気的に接続されたICチップを設けてアンテナ部とすることにより、非接触型データ受送信体を構成できる。
また、前記積層体においては、銀層を低温で形成することも可能であり、基材等の材質を幅広く選択できるので、設計の自由度が飛躍的に向上し、電子機器をより合理的な構造とすることも可能である。
本発明に係る電子機器は、長期に渡って高い性能を維持することが可能である。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<積層体の製造>
(銀インク組成物の製造)
液温が50℃以下となるように、ビーカー中で2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1倍モル量)に2−メチルアセト酢酸銀を添加して、メカニカルスターラーを用いて15分撹拌することにより、液状物を得た。この液状物に、反応液の温度が50℃以下となるように、シリンジポンプを用いてギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して1倍モル量)を30分かけて滴下した。ギ酸の滴下終了後、25℃にて反応液をさらに1時間撹拌することにより、銀インク組成物を得た。各配合成分の種類と配合比を表1に示す。表1中、「含窒素化合物(モル比)」とは、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「還元剤(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの還元剤の配合量(モル数)([還元剤のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。これは、以降の同様の表においても同様である。
(受容層用組成物の製造)
表2に示す配合量となるように、紫外線硬化性のポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製「UV−3310B」、重量平均分子量13000)に、シクロヘキサノン(和光純薬社製)、及び光重合開始剤(BASFジャパン社製「イルガキュア127」)を添加し、50℃で2時間撹拌して、受容層用組成物を調製した。なお、表2中において質量%単位で表示している配合量は、配合成分の総量に対する各配合成分の割合を意味する。これは、以降の同様の表においても同様である。
(積層体の製造)
バーコーター(バーNo.010)を用いて、上記で得られた受容層用組成物をポリカーボネート/ABS樹脂アロイからなる基材(厚さ2mm)の一方の主面(表面)上に塗布し、オーブン内で80℃、5分の条件で乾燥させた後、オゾンレス高圧水銀ランプを用いて、乾燥させた塗膜に対して、800mJ/cm2の光量で紫外線を照射し、前記ポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレートを硬化させて、基材表面の全面に受容層(厚さ3μm以下)を形成した。
次いで、上記で得られた銀インク組成物を用いて、受容層上にスクリーン印刷を行った。スクリーン版としては、ステンレス製500メッシュのものを用い、乳剤厚30μmの条件で印刷した。
次いで、得られた印刷パターンを、80℃で1時間、オーブン内で加熱(焼成)処理することにより、図3に正面図として示すアンテナパターンの銀層(厚さ1μm)を受容層の表面上に形成して、アンテナ構造体である積層体(以下、「積層体(1)」と略記する)とした。また、積層体(1)とは別途に、30mm×30mmのパターンの銀層(厚さ1μm)を受容層の表面上に同様の条件で形成して、積層体(以下、「積層体(2)」と略記する)とした。
次いで、積層体(1)及び(2)を用いて、相対湿度85%、温度85℃の条件下で24時間保存する、以下に示す高温高湿試験を行い、評価を行った。
<積層体の評価>
(アンテナの通信距離の測定)
積層体(1)にさらにICチップを実装して、データ受送信体を構成した。そして、このデータ受送信体について、相対湿度85%、温度85℃の条件下で24時間保存する高温高湿試験を行い、試験の前後において、出力1Wのリーダライタ(motorola社製)を用いて、中心周波数953MHzにおける前記アンテナの通信距離を測定した。結果を表3に示す。なお、表3中、「試験前」、「試験後」は、それぞれ高温高湿試験前、高温高湿試験後を意味する。これは、以下の「密着性の評価」においても同様である。
(密着性の評価)
積層体(2)について、上記と同様に温度85℃、相対湿度85%の条件下で24時間保存する高温高湿試験を行い、試験の前後において、JIS K5600−5−6に準拠して、銀層と基材(受容層)との密着性を評価した。すなわち、面積が同等の領域が25個形成されるように、銀層において直交する2方向に表面側から切れ込みを入れてクロスカットし、このクロスカット後の銀層表面にテープを貼付した後、このテープを剥がし、25個の領域のうち、銀層の基材からの剥離が見られない領域の数を確認し、その数に基づいて銀層と基材との密着性を評価した。結果を表3に示す。
<積層体の製造及び評価>
[実施例2〜3、比較例1〜3]
受容層用組成物として、配合成分の種類と配合比が表2に示すとおりのものを用いた点以外は、実施例1と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表3に示す。
なお、各実施例及び比較例で用いたベース樹脂を以下にまとめて示す。「ポリウレタン骨格含有ウレタンアクリレート」は、ポリウレタン骨格を有するウレタンアクリレートを意味する。
(ベース樹脂)
ポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート、重量平均分子量5000(日本合成化学工業社製「UV−3310B」)
ポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート、重量平均分子量9000(日本合成化学工業社製「UV−3210EA」)
ポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート、重量平均分子量2800(新中村化学工業社製「UA−512」)
ポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレートに該当しない樹脂A、重量平均分子量3500(日本合成化学工業社製「UV−7510B」)
ポリウレタン骨格含有ウレタンアクリレート、重量平均分子量3000(日本合成化学工業社製「UV−2750B」)
ポリウレタン骨格含有ウレタンアクリレート、重量平均分子量2400(日本合成化学工業社製「UV−7550B」)
Figure 2015143021
Figure 2015143021
Figure 2015143021
上記結果から明らかなように、実施例1〜3及び比較例1〜3の積層体(1)は、いずれもアンテナの通信機能は同等であった。そして、実施例1〜3の積層体(2)は、高温高湿試験前後のいずれにおいても銀層と基材(受容層)との密着性が分類0を満たしていた。しかし、比較例1〜3の積層体(2)は、高温高湿試験前は銀層と基材(受容層)との密着性が分類0を満たしていたものの、高温高湿試験後は銀層と基材との密着性は分類2であり、銀層は受容層との界面において、受容層から剥離していた。
このように、受容層用組成物の製造時におけるポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレートの使用の有無によって、銀層と基材との密着性に明らかな違いが見られた。
さらに、実施例1〜3、比較例1〜3の、それぞれの積層体(1)及び(2)について、試験時間を24時間ではなく48時間(2日)として、同様に高温高湿試験を行った。その結果、実施例1〜3、比較例1〜3のすべての積層体(1)は、試験時間が24時間(1日)の場合と同様に、高温高湿試験後において通信距離は7mであった。また、実施例1〜3の積層体(2)は、高温高湿試験後の銀層と基材(受容層)との密着性が、試験時間が24時間の場合と同様に、分類0を満たしていた。一方、比較例1〜3の積層体(2)は、高温高湿試験後の銀層と基材(受容層)との密着性が、試験時間が24時間の場合よりもさらに悪化し、分類5であった。
なお、実施例1の積層体(2)について、試験時間を96時間(4日)、144時間(6日)、192時間(8日)と、さらに長時間として同様に(温度85℃、相対湿度85%の条件下で)試験を行い、上記と同様に銀層と基材(受容層)との密着性を評価したところ、この高温高湿試験後の積層体(2)も、すべて分類0を満たしていた。
<積層体の製造及び評価>
[実施例4]
銀インク組成物として、配合成分の種類と配合比が表4に示すとおりのものを用い、銀層の厚さを1μmに代えて1.8〜1.9μmとした点以外は、実施例1と同様に積層体(2)を製造した。
そして、高温高湿試験を、相対湿度99%、温度90℃の条件下で24時間保存するという条件で行った点以外は、実施例1と同様にこの積層体(2)の密着性を評価した。
その結果、積層体(2)は、高温高湿試験前後のいずれにおいても銀層と基材(受容層)との密着性が分類0を満たしていた。
また、この積層体(2)について、試験時間を24時間(1日)ではなく、48時間(2日)、60時間(2.5日)と、さらに長時間として同様に(温度90℃、相対湿度99%の条件下で)試験を行い、上記と同様に銀層と基材(受容層)との密着性を評価したところ、この高温高湿試験後の積層体(2)も、すべて分類0を満たしていた。本実施例の積層体(2)は、当然ながら、高温高湿試験での保存条件が相対湿度85%、温度85℃、24時間の場合にも、密着性が分類0を満たすものである。
Figure 2015143021
[実施例5]
<積層体の製造及び評価>
受容層の厚さを3μm以下に代えて3〜4μmとし、銀インク組成物として、配合成分の種類と配合比が表5に示すとおりのものを用い、積層体(2)における銀層のパターンを30mm×30mm(厚さ1μm)のものに代えて、25mm×25mm(厚さ3.7μm)のものとした点以外は、実施例1と同様に積層体を製造した。
そして、積層体(1)及び(2)を相対湿度85%、温度85℃の条件下で保存する高温高湿試験での保存時間を、24時間に代えて65時間とした点以外は、実施例1と同様に積層体を評価した。結果を表10に示す。
なお、銀インク組成物の配合成分の種類と配合比を表5に、受容層用組成物の配合成分の種類と配合比を表9に、それぞれ示す。また、銀層を形成したときの銀インク組成物の加熱処理の条件、及び銀インク組成物を用いて形成した銀層の厚さを、それぞれ表8に示す。表5中、配合成分の欄の「−」は、その成分が未配合であることを意味する。これは、以降の表においても同様である。
[実施例6]
<積層体の製造及び評価>
(銀インク組成物の製造)
表5に示すように、実施例5と同様に銀インク組成物を製造した。
(受容層用組成物の製造)
表9に示すように、実施例5と同様に受容層用組成物を製造した。
(積層体の製造及び評価)
実施例5と同様に、基材表面の全面に受容層を形成し、受容層上に印刷パターンを形成した。
次いで、得られた印刷パターンを、80℃で1時間、オーブン内で加熱(焼成)処理するのに代えて、オーブン内において80℃で1分乾燥させ、さらに、80℃、相対湿度95%の水蒸気雰囲気下に2分置いて加熱(焼成)処理した点以外は、実施例5と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[実施例7]
<積層体の製造及び評価>
(第1原料組成物の製造)
液温が50℃以下となるように、ビーカー中で2−エチルヘキシルアミン(第1原料組成物での後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.7倍モル量)及びイソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール、第1原料組成物での後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.3倍モル量)に2−メチルアセト酢酸銀を添加して、メカニカルスターラーを用いて15分撹拌することにより、液状物を得た。この液状物に、反応液の温度が50℃以下となるように、シリンジポンプを用いてギ酸(第1原料組成物での2−メチルアセト酢酸銀に対して0.6倍モル量)を30分かけて滴下した。ギ酸の滴下終了後、25℃にて反応液をさらに1時間撹拌することにより、第1原料組成物を得た。各配合成分の種類と配合比を表6に示す。
(第2原料組成物の製造)
2−エチルヘキシルアミン(第2原料組成物での後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して2.2倍モル量)、及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」、以下、「SF61」と略記することがある)(第2原料組成物での後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.1倍モル量)をフラスコ内に添加して撹拌し、さらにここへ、氷冷下2−メチルアセト酢酸銀を添加して撹拌することで、混合物を得た。
次いで、得られた混合物全量を、25℃のウオーターバスで温度調節しながら、30hPaの圧力を保ち、60分減圧濃縮することで、第2原料組成物を得た。このときの前記混合物から第2原料組成物を得る過程での質量減少率は、3%であった。また、第2原料組成物の銀の含有量は23.7質量%であった。各配合成分の種類と配合比を表6に示す。
(銀インク組成物(混合型銀インク組成物)の製造)
上記で得られた第1原料組成物及び第2原料組成物を、これらの製造後直ちに、容器中に添加し、25℃で1分撹拌することで、銀インク組成物を得た。このとき、第1原料組成物及び第2原料組成物の総使用量に対する第2原料組成物の使用量の割合を45質量%とした。
なお、表7に、第1原料組成物及び第2原料組成物の製造に用いた各配合成分の総量から算出した、銀の総配合量1モルあたりの含窒素化合物の総配合量(モル)([含窒素化合物の総配合量(モル)]/[銀の総配合量(モル)])、銀の総配合量1モルあたりの還元剤の総配合量(モル)([還元剤の総配合量(モル)]/[銀の総配合量(モル)])、及び銀の総配合量1モルあたりのアルコールの総配合量(モル)([アルコールの総配合量(モル)]/[銀の総配合量(モル)])を、それぞれあわせて示す。
(積層体の製造及び評価)
上記で得られた銀インク組成物を用い、銀層の厚さを3.7μmに代えて1.6μmとした点以外は、実施例5と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[実施例8]
<積層体の製造及び評価>
銀インク組成物を用いて得られた印刷パターンを、80℃で1時間、オーブン内で加熱(焼成)処理するのに代えて、オーブン内において80℃で1分乾燥させ、さらに、80℃、相対湿度95%の水蒸気雰囲気下に2分置いて加熱(焼成)処理した点以外は、実施例7と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[実施例9]
<積層体の製造及び評価>
表6に示すように、銀インク組成物の製造時における、第1原料組成物及び第2原料組成物の総使用量に対する第2原料組成物の使用量の割合を、45質量%に代えて10質量%とし、得られた銀インク組成物を用いて厚さ2.6μmの銀層を形成した点以外は、実施例7と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[実施例10]
<積層体の製造及び評価>
表6に示すように、銀インク組成物の製造時における、第1原料組成物及び第2原料組成物の総使用量に対する第2原料組成物の使用量の割合を、45質量%に代えて10質量%とし、得られた銀インク組成物を用いて厚さ2.6μmの銀層を形成した点以外は、実施例8と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[実施例11]
<積層体の製造及び評価>
表5及び6に示すように、第2原料組成物を銀インク組成物として用い、この銀インク組成物を用いて厚さ0.7μmの銀層を形成した点以外は、実施例7と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[実施例12]
<積層体の製造及び評価>
表5及び6に示すように、第2原料組成物を銀インク組成物として用い、この銀インク組成物を用いて厚さ0.7μmの銀層を形成した点以外は、実施例8と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[実施例13]
<積層体の製造及び評価>
表5に示すように、銀インク組成物としてInktec社製「SI−P1002X」を用い、この銀インク組成物を用いて厚さ3.1μmの銀層を形成した点以外は、実施例8と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[比較例4]
<積層体の製造及び評価>
受容層用組成物として、配合成分の種類と配合比が表9に示すとおりのものを用い、銀層の厚さを3.7μmに代えて4.1μmとした点以外は、実施例5と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[比較例5]
<積層体の製造及び評価>
受容層用組成物として、配合成分の種類と配合比が表9に示すとおりのものを用い、銀層の厚さを3.7μmに代えて4.1μmとした点以外は、実施例6と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[比較例6]
<積層体の製造及び評価>
受容層用組成物として、配合成分の種類と配合比が表9に示すとおりのものを用いた点以外は、実施例9と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
[比較例7]
<積層体の製造及び評価>
受容層用組成物として、配合成分の種類と配合比が表9に示すとおりのものを用いた点以外は、実施例10と同様に積層体を製造及び評価した。結果を表10に示す。
Figure 2015143021
Figure 2015143021
Figure 2015143021
Figure 2015143021
Figure 2015143021
Figure 2015143021
上記結果から明らかなように、実施例5及び6並びに比較例4及び6の積層体(1)は、いずれもアンテナの通信機能は同等であり、高温高湿試験前後で通信機能に差は認められなかった。実施例8、9及び13の積層体(1)は、いずれもアンテナの通信機能は同等であり、高温高湿試験後の方が通信機能は優れていたが、高温高湿試験前の通信機能にも支障はなかった。実施例7及び10〜12の積層体(1)は、いずれも高温高湿試験前後でアンテナの通信機能がその他の実施例よりも劣っていたが、支障はなかった。そして、実施例5〜13の積層体(2)は、高温高湿試験前後のいずれにおいても銀層と基材(受容層)との密着性が分類0を満たしていた。なお、実施例5〜13の積層体(2)は、当然ながら、高温高湿試験での保存時間が24時間の場合にも、密着性が分類0を満たすものである。しかし、比較例4の積層体(2)は、高温高湿試験前は銀層と基材との密着性は分類3であり、銀層は受容層との界面において、受容層から剥離しており、高温高湿試験後はさらに密着性が分類5となっていた。比較例6の積層体(2)は、高温高湿試験前は銀層と基材との密着性は分類2であり、銀層は受容層との界面において、受容層から剥離しており、高温高湿試験後はさらに密着性が分類5となっていた。
一方、比較例5及び7の積層体(2)は、高温高湿試験前の段階で銀層と基材との密着性がすでに分類5であったため、高温高湿試験後の密着性は評価せず、これら比較例の積層体(1)についても、高温高湿試験前のアンテナの通信機能は良好であったが、高温高湿試験後のアンテナの通信機能は評価しなかった。
なお、比較例4〜7の積層体(2)は、高温高湿試験での保存時間が24時間の場合にも、密着性が分類0を満たしていなかった。
このように、受容層用組成物の製造時におけるポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレートの使用の有無によって、銀層と基材との密着性に明らかな違いが見られた。
本発明は、基材上に銀層を備えた各種電子機器に利用可能である。
1・・・積層体、2・・・基材、2a・・・基材の一方の主面、2b・・・基材の他方の主面、3・・・受容層、3a・・・受容層の表面、4・・・銀層

Claims (2)

  1. 基材上に受容層を介して銀層が設けられた積層体であって、
    前記受容層が、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを用いて形成されたものであり、
    前記積層体を相対湿度85%、温度85℃で24時間保存した後の、JIS K 5600−5−6に準拠した、前記基材及び銀層の密着性試験において、分類0を満たすことを特徴とする積層体。
  2. 請求項1に記載の積層体を用い、前記基材を筐体として備えたことを特徴とする電子機器。
JP2014262919A 2013-12-27 2014-12-25 積層体及び電子機器 Active JP6421383B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014262919A JP6421383B2 (ja) 2013-12-27 2014-12-25 積層体及び電子機器

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013272981 2013-12-27
JP2013272981 2013-12-27
JP2014262919A JP6421383B2 (ja) 2013-12-27 2014-12-25 積層体及び電子機器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015143021A true JP2015143021A (ja) 2015-08-06
JP6421383B2 JP6421383B2 (ja) 2018-11-14

Family

ID=53888408

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014262919A Active JP6421383B2 (ja) 2013-12-27 2014-12-25 積層体及び電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6421383B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017082115A (ja) * 2015-10-29 2017-05-18 日本合成化学工業株式会社 光硬化性組成物およびそれを用いた積層体、並びに導光板
JP2017183993A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 トッパン・フォームズ株式会社 アンテナ

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008192200A (ja) * 2007-02-01 2008-08-21 Lintec Corp 光記録媒体製造用シート、ならびに光記録媒体およびその製造方法
JP2009049124A (ja) * 2007-08-17 2009-03-05 Konica Minolta Holdings Inc 導電性パターン及びその作製方法
JP2009114232A (ja) * 2007-11-01 2009-05-28 Osaka Industrial Promotion Organization β−ケトカルボン酸銀を含有するインク
JP2009173863A (ja) * 2007-12-27 2009-08-06 Bridgestone Corp 接着性樹脂組成物
WO2010103581A1 (ja) * 2009-03-11 2010-09-16 Dic株式会社 光ディスク
JP2012203917A (ja) * 2011-03-23 2012-10-22 Dic Corp 光透過層用光硬化性組成物、光ディスク及び光ディスクの製造方法
WO2013031678A1 (ja) * 2011-08-26 2013-03-07 電気化学工業株式会社 硬化性樹脂組成物
JP2013154584A (ja) * 2012-01-31 2013-08-15 Dainippon Printing Co Ltd ガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにガスバリア性フィルムを用いた装置
US20130260114A1 (en) * 2011-09-09 2013-10-03 Dic Corporation Resin composition for forming receiving layer, and receiving substrate; printed matter, conductive pattern, and electric circuit produced by using the resin composition
WO2013172229A1 (ja) * 2012-05-14 2013-11-21 Dic株式会社 導電性パターン、導電回路及び導電性パターンの製造方法

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008192200A (ja) * 2007-02-01 2008-08-21 Lintec Corp 光記録媒体製造用シート、ならびに光記録媒体およびその製造方法
JP2009049124A (ja) * 2007-08-17 2009-03-05 Konica Minolta Holdings Inc 導電性パターン及びその作製方法
JP2009114232A (ja) * 2007-11-01 2009-05-28 Osaka Industrial Promotion Organization β−ケトカルボン酸銀を含有するインク
JP2009173863A (ja) * 2007-12-27 2009-08-06 Bridgestone Corp 接着性樹脂組成物
WO2010103581A1 (ja) * 2009-03-11 2010-09-16 Dic株式会社 光ディスク
JP2012203917A (ja) * 2011-03-23 2012-10-22 Dic Corp 光透過層用光硬化性組成物、光ディスク及び光ディスクの製造方法
WO2013031678A1 (ja) * 2011-08-26 2013-03-07 電気化学工業株式会社 硬化性樹脂組成物
US20130260114A1 (en) * 2011-09-09 2013-10-03 Dic Corporation Resin composition for forming receiving layer, and receiving substrate; printed matter, conductive pattern, and electric circuit produced by using the resin composition
JP2013154584A (ja) * 2012-01-31 2013-08-15 Dainippon Printing Co Ltd ガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにガスバリア性フィルムを用いた装置
WO2013172229A1 (ja) * 2012-05-14 2013-11-21 Dic株式会社 導電性パターン、導電回路及び導電性パターンの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017082115A (ja) * 2015-10-29 2017-05-18 日本合成化学工業株式会社 光硬化性組成物およびそれを用いた積層体、並びに導光板
JP2017183993A (ja) * 2016-03-30 2017-10-05 トッパン・フォームズ株式会社 アンテナ

Also Published As

Publication number Publication date
JP6421383B2 (ja) 2018-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2014157581A1 (ja) 積層体及び回路基板
JP6863715B2 (ja) 積層体及び積層体の製造方法
JP6421383B2 (ja) 積層体及び電子機器
JP6821422B2 (ja) 金属薄膜基材の製造方法
JP6712949B2 (ja) 金属銀、金属銀の製造方法及び積層体
JP6346486B2 (ja) 積層体、データ受送信体、通信機器及び透明導電膜
JP2015181160A (ja) 導電パターンの形成方法及び導電性配線
JP6604468B2 (ja) 金属銀の製造方法
JP6432096B2 (ja) 積層体及び電子機器
JP6802798B2 (ja) 銀インク組成物、その製造方法及び積層体
JP2016005908A (ja) 積層体及び電子機器
JP6322019B2 (ja) 積層体及び電子機器
JP6587092B2 (ja) 積層体及び電子機器
JP6678475B2 (ja) 金属インク組成物、配線板及び配線の形成方法
JP6650295B2 (ja) 配線板
JP6081120B2 (ja) 積層体、データ受送信体及び通信機器
JP6230781B2 (ja) 積層体、データ受送信体、通信機器及び積層体の製造方法
JP2016182740A (ja) 積層体及び電子機器
JP6596783B2 (ja) 積層体、データ受送信体及び電子機器
JP6803723B2 (ja) 積層体
JP2017183993A (ja) アンテナ
JP6289988B2 (ja) 銀インク組成物の製造方法
WO2017110787A1 (ja) 積層体及び積層体の製造方法
JP6393951B2 (ja) 金属銀の製造方法
JP2015221559A (ja) 積層体、データ受送信体、通信機器及び透明導電膜

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180703

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180903

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180918

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180927

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6421383

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350