JP2013154584A - ガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにガスバリア性フィルムを用いた装置 - Google Patents

ガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにガスバリア性フィルムを用いた装置 Download PDF

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Abstract

【課題】良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにガスバリア性フィルムを用いた装置を提供する。
【解決手段】基材1と、基材1上に設けられた有機層2と、有機層2上に設けられた無機層3とを有し、有機層2は、電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含有するガスバリア性フィルム10により、上記課題を解決する。ガスバリア性フィルム10は、基材1上に、電子線硬化性化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む有機層形成用塗布液を塗布する工程と、基材1上に塗布された有機層形成用塗布液に電子線を照射して有機層2を形成する工程と、有機層2上に無機層3を形成する工程と、を有する方法で製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにそのガスバリア性フィルムを用いた装置に関する。
ガスバリア性フィルムは、有機EL素子、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、太陽電池、タッチパネル、電子ペーパー等の装置に対し、それらの性能を劣化させる酸素又は水蒸気等の化学成分の透過を防ぐために好ましく適用されている。特に最近の電子デバイスの高性能化と高品質化に伴い、ガスバリア性フィルムにおいても高いガスバリア性が求められている。
近年のガスバリア性フィルムには、プラスチックフィルムと、そのプラスチックフィルム上に設けられた有機層と、その有機層上に設けられた無機層とで構成されているものがある。有機層は、無機層の下に設けられてガスバリア性を高めるという役割を担うとされている。
特許文献1は、プラスチックフィルムの少なくとも一方の面に有機層と無機層を含むバリア層を有するガスバリアフィルムであって、バリア層が有機層、膜密度が1.7以上である第一無機層、および第一無機層よりも膜密度が0.5〜1.5高い第二無機層から構成されているガスバリアフィルムに関する発明が記載されている。
同文献によれば、有機層と無機層を含むバリア層を有するガスバリアフィルムにおいて、有機層とこの無機層との間に無機層とは物性が異なる他の無機下地層を導入することにより、その上層に形成される無機層のバリア性が高まるとのことである。
特開2009−95989号公報
最近の高性能化の要請はガスバリア性フィルムに対しても同様であり、必要十分なガスバリア性を確保した上で、熱や湿度に対する耐久性(耐湿熱性)を高くすることだけでなく、光に対する耐久性(耐光性)を高くすることが望まれている。具体的には、本発明者の検討によれば、上記した特許文献1に記載された技術では、初期及び耐湿熱試験後の透明性及びガスバリア性は良好であっても、外部からの紫外線の照射により有機層が経時的に劣化し、有機層が黄変して透明性が悪化したり、有機層と無機層との密着性が低下してガスバリア性が低下した。
ガスバリア性フィルムは、上記のとおり多種多様な用途に使用されつつ今後もその用途が拡大すると予想され、種々の過酷環境下に保持されることが想定される。したがって、ガスバリア性フィルムの耐湿熱性、耐光性等の耐候性を改善することは、実使用可能なガスバリア性フィルムを得る上で重大な課題となっている。
本発明は、上記課題を解決したものであって、その目的は、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルム及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルムを用いた装置を提供することにある。
本発明者は、上記課題につき鋭意検討し、外部からの紫外線の照射によりガスバリア性フィルムの有機層が経時的に劣化する原因は、外部からの紫外線の照射により有機層に酸化反応が生じるためであると推定した。本発明者は、その有機層に紫外線吸収剤及び光安定剤を含有させたところ、外部からの紫外線の照射による有機層の劣化が防げられたことを見出した。具体的には、ガスバリア性フィルムを外部からの紫外線照射下に保持した場合であっても、この有機層に黄変が生じることがなく、また、有機層と無機層との密着性が低下せずに良好なガスバリア性を維持できることを見出した。
しかしながら、従来一般的な有機層の構成材料である紫外線硬化樹脂で有機層を構成した場合、この有機層の硬化が不十分になる問題が発生した。本発明者は、こうした問題の原因は、この有機層を形成するための有機層形成用塗布液に紫外線吸収剤及び光安定剤が含まれているためであると推定した。すなわち、紫外線吸収剤及び光安定剤を含む有機層形成用塗布液を硬化させて有機層を形成する場合、有機層形成用塗布液が紫外線硬化性化合物で構成されていると、この紫外線吸収剤が紫外線硬化性化合物の硬化のための紫外線を吸収し、また、この光安定剤が紫外線硬化性化合物の硬化のためのラジカルを捕捉してしまうので、紫外線硬化性化合物の硬化反応が進まなくなってしまうと推定した。そのため、本発明者がさらに鋭意検討した結果、有機層を電子線硬化樹脂で構成することにより、こうした有機層を形成する際の問題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するための本発明に係るガスバリア性フィルムは、基材と、該基材上に設けられた有機層と、該有機層上に設けられた無機層とを有し、前記有機層が、電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含有することを特徴とする。
この発明によれば、有機層が紫外線吸収剤及び光安定剤を含有するので、有機層に照射された紫外線が紫外線吸収剤に吸収され、有機層中にフリーラジカルが発生するのを抑制できる。また、例え有機層中にフリーラジカルが発生した場合であっても、光安定剤がこのフリーラジカルを捕捉して安定化させることができる。そのため、有機層に外部からの紫外線が照射された場合であっても、フリーラジカルに基づく有機層の酸化反応を抑制できるので、有機層が酸化して黄変するのを防ぐことができる。また、有機層が酸化して変質するのを防ぐことができるので、有機層と無機層との密着性が低下するのを防止でき、ガスバリア性が低下するのを防止できる。その結果、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルムを提供することができる。また、有機層が電子線硬化樹脂を含むので、有機層に紫外線吸収剤及び光安定剤が含まれていても、有機層を形成する際に樹脂の硬化反応が進まなくなる問題を起こさずに有機層を形成できる。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、前記有機層は0.1質量%以下の重合開始剤を含む、又は、重合開始剤を含まない。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、前記電子線硬化樹脂が、アクリル系樹脂である。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、前記紫外線吸収剤が、トリアジン系紫外線吸収剤である。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、前記光安定剤が、ヒンダードアミン系光安定剤である。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、前記無機層上に前記紫外線吸収剤を含有する保護層が設けられている。
この発明によれば、無機層上に紫外線吸収剤を含有する保護層が設けられているので、こうした保護層が外部からの紫外線を吸収して、有機層に外部からの紫外線が照射するのを防止することができる。その結果、ガスバリア性フィルムの耐候性をさらに向上させることができる。
上記課題を解決するための本発明に係る装置は、上記本発明に係るガスバリア性フィルムを用いる表示装置又は発電装置であることを特徴とする。
この発明によれば、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルムを用いたので、ガスバリア性に優れ耐候性が要求される装置を提供できる。
上記課題を解決するための本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法は、基材上に、電子線硬化性化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む有機層形成用塗布液を塗布する工程と、前記基材上に塗布された前記有機層形成用塗布液に電子線を照射して有機層を形成する工程と、前記有機層上に無機層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、有機層形成用塗布液が電子線硬化性化合物を含み、電子線を照射して有機層を形成するので、有機層形成用塗布液に紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む場合であっても、問題なく有機層を形成することができる。こうして製造されたガスバリア性フィルムは、有機層が紫外線吸収剤及び光安定剤を含有するので、有機層に照射された紫外線が紫外線吸収剤に吸収され、有機層中にフリーラジカルが発生するのを抑制できる。また、例え有機層中にフリーラジカルが発生した場合であっても、光安定剤がこのフリーラジカルを捕捉して安定化させることができる。そのため、有機層に外部からの紫外線が照射された場合であっても、フリーラジカルに基づく有機層の酸化反応を抑制できるので、有機層が酸化して黄変するのを防ぐことができる。また、有機層が酸化して変質するのを防ぐことができるので、有機層と無機層との密着性が低下するのを防止でき、ガスバリア性が低下するのを防止できる。その結果、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明によれば、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルム及びその製造方法を提供することができる。また、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルムを用いた装置を提供することができる。
本発明に係るガスバリア性フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 本発明に係るガスバリア性フィルムの他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明に係るガスバリア性フィルムのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ガスバリア性フィルム及びガスバリア層]
本発明に係るガスバリア性フィルム10は、図1及び図2に示すように、基材1と、基材1上に設けられた有機層2と、有機層2上に設けられた無機層3とを有する。そして、有機層2が、電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含有することに特徴がある。
こうしたガスバリア性フィルム10によれば、有機層2に照射された紫外線が紫外線吸収剤に吸収され、有機層2中にフリーラジカルが発生するのを抑制できる。また、例え有機層2中にフリーラジカルが発生した場合であっても、光安定剤がこのフリーラジカルを捕捉して安定化させることができる。そのため、有機層2に外部からの紫外線が照射された場合であっても、フリーラジカルに基づく有機層2の酸化反応を抑制できるので、有機層2が酸化して黄変するのを防ぐことができる。また、有機層2が酸化して変質するのを防ぐことができるので、有機層2と無機層3との密着性が低下するのを防止でき、ガスバリア性が低下するのを防止できる。その結果、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルム10を提供することができる。また、有機層2が電子線硬化樹脂を含むので、有機層2に紫外線吸収剤及び光安定剤が含まれていても、有機層2を形成する際に樹脂の硬化反応が進まなくなる問題を起こさずに有機層2を形成できる。
なお、有機層2と無機層3(これら2層で「ガスバリア層4」ともいう。)は、図1に示すように基材1の一方の面S1にその順で少なくとも設けられるが、図2に示すように他方の面S2にも有機層2’と無機層3’と(これら2層で「ガスバリア層4’」ともいう。)をその順で設けてもよい。また、他方の面S2には、図1に示すように有機層2’も無機層3’も設けなくてよく、また、有機層2’を設けずに無機層3’を設けてもよい。他方の面S2に無機層3’を設け又はガスバリア層4’(有機層2’と無機層3’)を設けてガスバリア性をさらに高めてもよい。
ガスバリア性フィルム10及びガスバリア層4における良好なガスバリア性及び耐候性の達成は、以下の検討経緯で得られた知見によるものである。
具体的には、本発明者は、ガスバリア性フィルムについて鋭意検討を行う過程で、従来の有機層を有するガスバリア性フィルムは、製造直後(初期)のガスバリア性や有機層と無機層との接着性が良好であっても、外部からの紫外線の照射により経時的に有機層が劣化してしまうことを見出した。具体的には、ガスバリア性フィルムの耐光性を加速的に試験するために、ガスバリア性フィルムを紫外線照射下で保持する耐光試験を行うことにより、有機層に黄変が発生して透明性が悪化し、また、有機層が酸化して変質し、有機層と無機層との密着性が低下してガスバリア性が低下するという問題が顕著に発生することを見出した。
本発明者は、こうした外部からの紫外線の照射により有機層が経時的に劣化する現象を考察し、以下の劣化メカニズムを推定した。すなわち、光の中の紫外線が有機層に照射されると、有機層中の有機化合物は紫外線を吸収して分子鎖中にフリーラジカルを生成させる。このフリーラジカルは、他の分子からの水素引き抜き反応や、ヒドロペルオキシド基(−OOH)の分解反応を誘発しながら、有機層の酸化反応を連続的に進行させる。その結果、有機層が酸化して変質し、有機層が劣化することになる。
こうした問題解決のために、本発明者は、有機層にフリーラジカルが発生するのを防ぐこと及び有機層中に発生したフリーラジカルを安定化させることが、有機層の酸化反応を抑制し、有機層の劣化を防ぐポイントであると考え、有機層に紫外線を吸収する紫外線吸収剤及びフリーラジカルを捕捉して安定化させる光安定剤を配合することを発案した。こうした有機層は、ガスバリア性フィルムを外部からの紫外線照射下に保持した場合であっても、有機層の酸化反応が抑制されるので、有機層に黄変が生じることがなく、また、有機層が酸化して変質するのを防ぐことができるので、有機層と無機層との密着性が低下せずに良好なガスバリア性を維持できることを見出した。
しかしながら、有機層に紫外線吸収剤及び光安定剤を含有させることにより、有機層に耐光性を付与できたものの、従来一般的な有機層の構成材料である紫外線硬化樹脂で有機層を構成した場合、有機層の硬化が不十分になる問題が発生した。これは、紫外線硬化性化合物からなる有機層形成用の塗布液が紫外線吸収剤及び光安定剤を含むと、紫外線吸収剤が紫外線硬化性化合物の硬化のための紫外線を吸収し、また、光安定剤が紫外線硬化性化合物の硬化のためのラジカルを捕捉して安定化させてしまうためであると考えられる。
そこで、本発明者は、さらに鋭意検討を重ねた結果、有機層の構成材料を、紫外線硬化樹脂ではなく、紫外線吸収剤によっては吸収されない電子線で硬化させた電子線硬化樹脂にすることにより、上記した有機層形成時の硬化問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたのである。なお、電子線硬化樹脂とは、電子線硬化性化合物を電子線で硬化させた樹脂であり、紫外線硬化樹脂とは、紫外線硬化性化合物を紫外線で硬化させた樹脂である。
ここで、有機層を構成する樹脂が電子線硬化樹脂であるか、又は、紫外線硬化樹脂であるかの特定は、電子線硬化樹脂及び紫外線硬化樹脂が、どちらも電離放射線硬化性化合物を電離放射線で硬化させた電離放射線硬化樹脂であるため、一般的には困難である。しかし、有機層に含まれる紫外線吸収剤及び光安定剤の含有量を定量することにより、両者を特定することができる。すなわち、紫外線硬化性化合物と紫外線吸収剤とを含む有機層形成用塗布液で有機層を形成する場合、紫外線吸収剤が硬化のための紫外線をも吸収してしまい、紫外線硬化性化合物の硬化反応が進まなくなり、有機層の硬化が不十分になる。また、紫外線硬化性化合物と光安定剤とを含む有機層形成用塗布液で有機層を形成する場合、光安定剤が硬化のためのラジカルをも捕捉して安定化させてしまい、紫外線硬化性化合物の硬化反応が進まなくなり、有機層の硬化が不十分になる。そのため、有機層を分析して、有機層から紫外線吸収剤又は光安定剤が所定量検出された場合、その有機層は紫外線硬化樹脂で構成されているものではなく、電子線硬化樹脂で構成されていると言うことができる。なお、電離放射線とは、電子線及び紫外線の他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、α線等の荷電粒子線のことである。
こうした有機層中の紫外線吸収剤及び光安定剤の定量方法としては、ガスクロマトグラフィー質量分析法が挙げられる。具体的には、ガスバリア性フィルムをバイアル瓶に入れて密閉し、加熱することで有機層成分を揮発させる。バイアル中をその温度での気相−固相の分配比にしたがった平衡状態とした後、ヘッドスペース部(気相部)の一部をガスクロマトグラフィーに導き、ガスクロマトグラフィーで分離した個々の成分についてマススペクトルを測定することにより成分の定性を行うことができ、さらに、検出されたイオン強度により定量を行うことができる。
次に、ガスバリア性フィルム10及びガスバリア層4の構成要素をさらに詳しく説明する。
<基材>
基材1の材質は特に制限はないが、汎用性、工業性の見地から、プラスチック材料で形成された基材(以下、「プラスチック基材」という場合がある。)を用いることが好ましい。プラスチック材料としては、実使用の見地から、ポリエステル系樹脂を好ましく挙げることができる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、これらの共重合体、及びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)等を挙げることができる。ポリエステル系樹脂のうちでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びこれらの共重合体が好ましい。特に好ましくは、プラスチック基材1をポリエチレンナフタレートフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムとすることである。
プラスチック基材1の材質としてポリエステル系樹脂を適用する場合、その全てがポリエステル系樹脂からなるフィルム状基材であってもよいし、有機層2が形成される側(図1における片面S1又は図2における両面S1,S2)に少なくともポリエステル系樹脂層が形成されているフィルム状積層基材であってもよい。このフィルム状積層基材において、有機層2が形成されるポリエステル系樹脂層以外の層は、ポリエステル系樹脂層でなくてもよい。ポリエステル系樹脂層以外の層の種類の選定にあたっては、耐熱性、熱膨張及び光透過性等を考慮して各種の樹脂層が任意に選定される。
プラスチック基材1の厚さは特に限定されないが、10μm以上500μm以下程度であることが好ましい。
プラスチック基材1の表面は、必要に応じて、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、加熱処理、薬品処理、及び易接着処理等の表面処理を行ってもよい。こうした表面処理の具体的な方法は従来公知のものを適宜用いることができる。また、有機層2を直接形成しない側の面には、他の機能層を設けてもよい。機能層の例としては、マット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、及び易接着層等が挙げられる。
<有機層>
有機層2は、基材(プラスチック基材)1上に設けられて後述する無機層3とともにガスバリア層4を構成する。有機層2については、一部の説明はすでに記載したとおりであるが、以下さらに詳しく説明する。なお、ガスバリア性フィルム10は、プラスチック基材1と有機層2とが接している例であるが、本発明において、両者は必ずしも接している必要はなく、必要に応じ、その間に他の層を設けてもよい。
有機層2は、電子線硬化性樹脂で構成される。こうした電子線硬化性樹脂は、電子線硬化性化合物を電子線で硬化させたものである。電子線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物であれば特に制限はないが、アクリル系樹脂であることが好ましい。アクリル系樹脂は、アクリルモノマーを主成分とする樹脂からなり、こうしたアクリルモノマーを主成分とする樹脂の具体例としては、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマー又はプレポリマー、反応性希釈剤等が挙げられる。これらのうち、工業生産等を考慮すると、ポリエステルアクリレートが好ましい。より具体的には、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー及び多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
紫外線吸収剤(UVA)は、電気的又は電子的な装置や自然光等に含まれる紫外線を吸収し、遮蔽するためのものである。紫外線吸収剤としては、こうした目的を達成できれば、公知のものがいずれも使用できるが、例えば、有機系の紫外線吸収剤と、無機系の紫外線吸収剤(「紫外線散乱剤」ともいう。)を挙げることができる。有機層2には、これらはどちらか一方のみが含まれていてもよいし、両方が含まれていてもよい。
有機系の紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤等を挙げることができる。中でも好ましくは、紫外線吸収能力が高く、紫外線等の高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリ[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等を挙げることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等を挙げることができる。
無機系の紫外線吸収剤としては、平均粒径が5nm以上120nm以下程度の金属酸化物粒子を挙げることができる。こうした金属酸化物粒子としては、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、及び硫酸バリウム等を挙げることができる。
紫外線吸収剤は、有機層2を形成する樹脂に対して、0.1質量%以上25質量%以下含有することが好ましく、0.5質量%以上25質量%以下含有することがより好ましく、0.5質量%以上20質量%以下含有することが特に好ましい。
光安定剤は、フリーラジカルを触媒的に捕捉し、安定化させるためのものである。光安定剤としては、こうした目的が達成できれば公知のものがいずれも使用できるが、中でも各種有機溶剤に対する溶解性、紫外線吸収剤との相乗効果等の点からヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を好ましく挙げることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤は、具体的には、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート等を挙げることができる。
光安定剤は、有機層2を形成する樹脂に対して、0.05質量%以上15質量%以下含有することが好ましく、0.5質量%以上15質量%以下含有することがより好ましく、1質量%以上15質量%以下含有することがさらに好ましく、1質量%以上10質量%以下含有することが特に好ましい。
紫外線吸収剤及び光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を有する反応性紫外線吸収、又は、分子内に(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基を有する反応性光安定剤を用いることもできる。なお、本明細書において「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
反応性紫外線吸収剤としては、例えば(2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン)メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。反応性光安定剤としては、例えば、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート等が挙げられる。
なお、電子線硬化性化合物を硬化させるためには、光重合開始剤等の重合開始剤は必要ないので、通常、電子線硬化樹脂で構成された有機層2は重合開始剤を含まない。一方、紫外線硬化性化合物を硬化させるためには、通常、光重合開始剤が必要であるので、紫外線硬化樹脂で構成された有機層2は、光重合開始剤を含む。そのため、有機層2が電子線硬化樹脂や紫外線硬化樹脂等の電離放射線硬化樹脂で構成され、その有機層2が重合開始剤を含まない、又は、実質的に含まない場合は、有機層2は電子線硬化樹脂で構成されていると言うことができる。また、有機層2が電離放射線硬化樹脂で構成され、その有機層2が、例えば、光重合開始剤を0.1質量%より多く含んでいる場合は、その有機層2は紫外線硬化樹脂で構成されていると言うことができる。こうした有機層2中の重合開始剤の定量方法は、上記した紫外線吸収剤及び光安定剤の定量方法と同様の方法で行うことができる。
なお、重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類を挙げることができ、光重合開始剤としては、例えば、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン]を挙げることができる。
有機層2の形成方法は、特に制限はないものの、通常は有機層形成用塗布液を用いて行われる。有機層形成用塗布液は、電子線硬化性化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する。なお、有機層形成用塗布液は、上記以外の重合性化合物を併せて含んでいてもよい。
有機層形成用塗布液には、塗布液の粘度調整の見地から溶剤を含有させてもよい。溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;又はこれらの混合物を挙げることができる。こうした溶媒は、本発明の要旨の範囲内において、任意の割合で混合して用いてもよい。
有機層形成用塗布液には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、熱安定剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料、及び光拡散剤等が挙げられる。
有機層形成用塗布液を用いる場合、有機層2は、プラスチック基材1上に有機層形成用塗布液を塗布し、塗布後の塗膜に電子線を照射して架橋重合等させて形成する。塗布方法は、後述の「製造方法」欄で説明する塗布方法から選択して適用できる。このときの電子線の照射は、従来公知の方法、装置を用いればよい。なお、こうした有機層形成用塗布液は、重合開始剤を実質的に含有しないので、電子線硬化用の有機層形成用塗布液と言うことができる。一方、光重合開始剤を実質的に含有する有機層形成用塗布液は、紫外線硬化用の有機層形成用塗布液と言うことができる。
有機層2は、一回の成膜回数で形成してなる単層でも、2回以上の成膜回数で形成してなる2層以上の層であってもよい。2層以上の場合、本発明の構成要素を満たせば、各層は同じ有機層形成用塗布液を用いてもよいし、異なる有機層形成用塗布液を用いてもよい。有機層2の厚さは、単層又は2層以上に関わらず、基板のたわみの観点から0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、さらに表面性や生産性の観点を加えると0.5μm以上10μm以下であることがより好ましい。
なお、有機層2を電子線で硬化させて形成する場合は、有機層形成用塗布液の温度は上がらないので、この有機層形成用塗布液に含まれる紫外線吸収剤及び光安定剤が熱により揮発又は分解することはない。一方、有機層2を熱で硬化させて形成する場合は、熱硬化の過程で有機層形成用塗布液に含まれる紫外線吸収剤及び光安定剤が揮発又は分解してしまう。そのため、熱硬化用の有機層形成用塗布液を熱硬化させた有機層は、耐候性が劣るものになる。なお、熱硬化用の有機層形成用塗布液とは、熱硬化性化合物からなる有機層形成用塗布液のことである。
<無機層>
無機層3は、水蒸気等のガスを遮断する機能層として有機層2上に形成され、有機層2と併せてガスバリア層4を構成する。無機層3の形成材料としては、例えば、無機酸化物、無機酸化窒化物、無機窒化物、無機酸化炭化物、無機酸化炭化窒化物、及び酸化珪素亜鉛等から選ばれる1又は2以上の無機化合物を挙げることができる。具体的には、珪素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、セリウム、及び亜鉛から選ばれる1種又は2種以上の元素を含有する無機化合物を挙げることができ、より具体的には、珪素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物及びインジウム合金酸化物等の無機酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、及びチタン窒化物等の無機窒化物、酸化窒化珪素等の無機酸化窒化珪素を挙げることができる。特に好ましくは、無機層3が、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、及び酸化珪素亜鉛から選ばれる1種又は2種以上からなる層である。無機層3は上記材料を単独で用いてもよいし、本発明の要旨の範囲内で上記材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
無機層3の厚さは、使用する無機化合物によっても異なるが、ガスバリア性確保の見地から、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、クラック等の発生を抑制する見地から、通常5000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。また、無機層3は1層であってもよいし、合計厚さが上記範囲内となる2層以上の無機層3であってもよい。2層以上の無機層3の場合には、同じ材料同士を組み合わせてもよいし、異なる材料同士を組み合わせてもよい。
<その他の構成>
ガスバリア性フィルム10は、上述のとおり、基材1、有機層2、及び無機層3で構成されているが、例えば、図3に示すように、基材1の一方の面S1にさらにプライマー層5と保護層6をその順で設けていてもよい。また、例えば、図2に示すガスバリア性フィルム10Bの他方の面S2の有機層2’、無機層3’の上にさらにプライマー層5と保護層6をその順で設けていてもよい(図示しない)。
プライマー層5は、必須の構成ではないが、無機層3と保護層6との密着性を向上させるために好ましく設けられる。こうしたプライマー層5は、重合性化合物で構成される。重合性化合物は、特に制限されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ウレタン−アクリル共重合体樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独、又は2種以上の混合物として使用することができる。これらのうち、特にウレタン−アクリル共重合体樹脂が、柔軟性、強靭性及び弾性を兼ね備えており好ましい。なお、環境を考慮した場合には、塩素を含有する樹脂系は使用しないことが好ましい。
プライマー層5に含まれるウレタン−アクリル共重合体樹脂としては、ポリカーボネート系ウレタン−(メタ)アクリル共重合体樹脂、ポリエステル系ウレタン−(メタ)アクリル共重合体樹脂、ポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートとアクリルポリオールとからなる樹脂等が好ましく挙げられ、ポリカーボネート系ウレタン−(メタ)アクリル共重合体樹脂がより好ましく挙げられる。これらの樹脂を含むプライマー層5を形成することで、応力緩和性が付与され、耐候性に優れたものが得られる。
プライマー層5は、紫外線吸収剤又は光安定剤の一方又は両方を含有してもよい。紫外線吸収剤を含有させたプライマー層5は、外部からの紫外線を吸収するので、有機層2に外部からの紫外線が照射するのを防止し、ガスバリア性フィルム10の耐光性をさらに向上させることができる。また、光安定剤を含有するプライマー層5は、プライマー層5自体の耐光性を向上させることができる。なお、含有させる紫外線吸収剤及び光安定剤のそれぞれの種類は1種でもよいし、2種以上でもよい。紫外線吸収剤及び光安定剤の具体的な内容は、上記「有機層」の説明欄で説明したとおりであるので、ここではその説明を省略する。
プライマー層5の厚さは、1μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上6μm以下がより好ましい。この範囲のプライマー層5は、十分な耐候性能を発揮することができ、また、経済性の点で有利である。プライマー層5の厚さが1μmよりも薄いと十分な耐候性能が得られない場合があり、プライマー層5の厚さが10μmよりも厚いと経済性の点で不利になる。こうしたプライマー層5の形成は、上記樹脂組成物をそのまま用いるか、又は、溶媒に溶解又は分散させた状態のものを用いることができる。プライマー層5の形成方法としては、公知の印刷方法や塗布方法が適用される。例えば、ナイフコート、コンマコート、グラビアコート、ロールコート等を挙げることができる。また、無機層3上にプライマー層5を積層する際に、無機層3とプライマー層5の接着性を確保するために、無機層3の表面をいわゆるコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理又は紫外線処理してもよい。これにより、無機層3とプライマー層5の接着性をさらに高めることができる。
保護層6は、必須の成分ではないが、ガスバリア性フィルム10の耐候性を向上させるために好ましく設けられ、また、耐傷性等のハードコート性、耐溶剤性、防汚性等を付与するために好ましく設けられる。保護層6は、図3に示すように、ガスバリア性フィルム10の表面に設けられていてもよいし、さらに、保護層6の上に他の層を設けてもよい(図示しない)。こうした他の層としては、例えば、帯電防止層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、防曇層、防汚層、被印刷層等が挙げられる。
保護層6は、電離放射線硬化性樹脂で構成される。こうした電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線硬化性化合物を電離放射線で硬化させたものである。電離放射線硬化性化合物としては、(メタ)アクリロイル基を有する電離放射線硬化性化合物が好ましく、また、従来から電離放射線硬化性化合物として慣用されている重合性オリゴマー又はプレポリマー、特には、多官能の重合性オリゴマー又はプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
こうした多官能の重合性オリゴマー又はプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ重合性オリゴマー又はプレポリマーが挙げられる。重合性オリゴマー又はプレポリマーとしては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の多官能の重合性オリゴマー又はプレポリマーが好ましく挙げられる。これらのうち、多官能のウレタン(メタ)アクリレートが、耐候性とハードコート性を両立させる点で好ましく、特に、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーがハードコート性を高める観点から好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーとしては、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーが好ましい。ハードコート性を高めることにより、傷つきを防止し、傷による視認性の悪化を抑制することができる。
電離放射線硬化性化合物には、上記の重合性オリゴマーの他、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート等の高分子ウレタン(メタ)アクリレートを併用することができる。こうした高分子ウレタン(メタ)アクリレートを併用することにより、さらに耐候性を向上することができる。こうした高分子ウレタン(メタ)アクリレートのうち、カプロラクトン系のものが、耐候性の向上の点でより好ましい。
保護層6は、紫外線吸収剤及び光安定剤の一方又は両方を含有してもよい。紫外線吸収剤を含有させた保護層6は、外部からの紫外線を吸収して、有機層2に外部からの紫外線が照射するのを防止できるので、ガスバリア性フィルム10の耐候性をさらに向上させることができる。また、光安定剤を含有する保護層6は、保護層6自体の耐光性を向上させることができる。なお、含有させる紫外線吸収剤及び光安定剤それぞれの種類は1種でもよいし、2種以上でもよい。紫外線吸収剤及び光安定剤の具体的な内容は、上記「有機層」の説明欄で説明したとおりであるので、ここではその説明を省略する。紫外線吸収剤を含有する保護層6は、電子線硬化樹脂で構成されることが好ましい。
なお、保護層6には、多官能性のウレタン(メタ)アクリレートとともに、その粘度を調整する等の目的で、メチル(メタ)アクリレート等の単官能性(メタ)アクリレートのような希釈剤を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、低分子量の多官能性(メタ)アクリレートを併用してもよい。また、希釈剤としては、上記のモノマーの他、通常の有機溶媒を用いて、樹脂組成物の塗布性を確保することもできる。
保護層6には、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤等の撥水性添加剤が添加されていてもよい。こうした撥水性添加剤の添加により、ガスバリア性フィルム10の防湿性を向上させることができる。また、ガスバリア性フィルム10の防汚性も向上し、汚染による視認性の低下をも防止することができる。また、保護層6には、ハードコート性をさらに向上させるために、耐傷フィラーを含有させることができる。なお、保護層6には、上記以外の公知の添加剤が添加されていてもよい。
保護層6の厚さは3μm以上15μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましい。この範囲の保護層6は、保護層6としての機能を十分発揮することができ、経済性も有利である。保護層6の厚さが3μmよりも薄いと、保護層6としての機能が十分発揮できない場合があり、保護層6の厚さが15μmよりも厚いと経済性の点で不利になる。
ガスバリア性フィルム10は、上述したプライマー層5と保護層6の構成以外にも、他の層を有機層2と基材1との間に適宜挿入したり、プラスチック基材1の有機層2が形成されていない側の面S2に積層したり、無機層3上又は無機層3’上に積層したりしてもよい。任意の層としては、本発明の特徴を阻害しない範囲で、例えば、従来公知のプライマー層、マット剤層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、及び易接着層等が挙げられる。
こうして構成された本発明に係るガスバリア性フィルム10は、良好なガスバリア性及び耐候性を有するものになる。
[製造方法]
本発明に係るガスバリア性フィルム10の製造方法は、基材1上に電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む有機層形成用塗布液を塗布する工程(塗布工程)と、その基材1上に塗布された有機層形成用塗布液に電子線を照射して有機層2を形成する工程(有機層形成工程)と、その有機層2上に無機層3を形成する工程(無機層形成工程)と、を有することに特徴がある。
こうしたガスバリア性フィルム10の製造方法によれば、有機層形成用塗布液に紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む場合であっても、問題なく有機層2を形成することができる。こうして製造されたガスバリア性フィルム10は、有機層2に照射された紫外線が紫外線吸収剤に吸収され、有機層2中にフリーラジカルが発生するのを抑制できる。また、例え有機層2中にフリーラジカルが発生した場合であっても、光安定剤がこのフリーラジカルを捕捉して安定化させることができる。そのため、有機層2に外部からの紫外線が照射された場合であっても、フリーラジカルに基づく有機層2の酸化反応を抑制できるので、有機層2が酸化して黄変するのを防ぐことができる。また、有機層2が酸化して変質するのを防ぐことができるので、有機層2と無機層3との密着性が低下するのを防止でき、ガスバリア性が低下するのを防止できる。その結果、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルム10の製造方法を提供することができる。以下、各工程について説明する。
(塗布工程)
塗布工程は、電子線硬化性化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む有機層形成用塗布液をプラスチック基材1上に塗布する工程である。有機層形成用塗布液については、上記「有機層」の説明欄で説明したとおりであるので、ここではその説明を省略する。
有機層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスロールコート法、リバースロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法、スピンコート法、及びダイコート法等を挙げることができる。
有機層形成用塗布液を塗布した後は、必要に応じて乾燥を行う。乾燥温度は、常温であってもよいが、有機層形成用塗布液が溶剤を含有する場合には、溶剤の沸点以上の温度として溶剤を除去するための乾燥を行うことが好ましい。
(有機層形成工程)
有機層形成工程は、基材1上に塗布された有機層形成用塗布液に電子線を照射して有機層2を形成する工程である。電子線の電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。電子線の加速電圧は、通常100keV以上1000keV以下であり、好ましくは、100keV以上300keV以下である。電子線の照射量は、通常1Mrad以上30Mrad以下である。
(無機層形成工程)
無機層形成工程は、有機層2上に無機層用材料(無機層の形成材料)を堆積して無機層3を形成する工程である。無機層用材料は、上記「無機層」の説明欄で説明したとおりであるので、ここではその説明を省略する。
無機層3の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法又はプラズマ化学気相成長法等を好ましく挙げることができる。こうした各種の形成方法での成膜条件は、得ようとする無機層の物性及び厚さ等を考慮し、従来公知の成膜条件を適宜調整して行えばよい。
より具体的には、(1)無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物、又は金属等の原料を基材上に加熱蒸着させる真空蒸着法、(2)原料に酸素ガスを導入して酸化させ、基材に蒸着させる酸化反応蒸着法、(3)ターゲット原料にアルゴンガス、酸素ガスを導入してスパッタリングすることにより、基材に堆積させるスパッタリング法、(4)原料をプラズマガンで発生させたプラズマビームで加熱させ、基材に堆積させるイオンプレーティング法、(5)有機珪素化合物等を原料とし、酸化珪素膜を基材に堆積させるプラズマ化学気相成長法、等を利用することができる。
なお、ガスバリア性フィルム10が、上述した他の機能層を有する場合には、それらの層の形成工程が任意に含まれる。
[装置]
本発明に係る装置は、上記本発明のガスバリア性フィルム10を用いる表示装置又は発電装置であることを特徴とする。これにより、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルム10を用いたので、ガスバリア性に優れ耐候性が要求される装置を提供できる。より具体的には、装置の品質特性を低下させる紫外線等の影響を低減できる。
表示装置としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、タッチパネル、電子ペーパー等を挙げることができる。また、これらの表示装置をアクティブマトリックス駆動する薄膜トランジスタも、この表示装置に含まれる。なお、これら各表示装置の構成は特に限定されず、それぞれ従来公知の構成を適宜採用することができ、且つそうした各表示装置に適用するガスバリア性フィルム10による封止手段も特に限定されず、従来公知の手段とすることができる。
具体的には、例えば、有機EL素子としては、本発明に係るガスバリア性フィルム10上に陰極と陽極を有し、両電極の間に、有機発光層(単に「発光層」ともいう。)を含む有機層を有するものを挙げることができる。発光層を含む有機層の積層態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。さらに、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。また、陽極と正孔輸送層との間に正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間に電子注入層を有してもよい。また、発光層は一層だけでもよく、また、第一発光層、第二発光層及び第三発光層等のように発光層を分割してもよい。さらに、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。なお、有機EL素子は発光素子であることから、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
発電装置としては、例えば、太陽電池素子(太陽電池モジュール)を挙げることができる。発電装置の構成は特に限定されず、従来公知の構成を適宜採用することができる。さらに、そうした発電装置に適用するガスバリア性フィルム10による封止手段も特に限定されず、従来公知の手段とすることができる。例えば、ガスバリア性フィルム10を太陽電池素子の裏面保護シートとして用いることができる。
具体的には、例えば、太陽電池モジュールとしては、本発明に係るガスバリア性フィルム10を太陽電池バックシートとして使用した例を挙げることができる。こうした太陽電池モジュールは、太陽光側から厚さ方向に順に、前面基材(ガラス又はフィルム等の高光線透過性を有するもの)、充填材、太陽電池素子、リード線、端子、端子ボックス、太陽電池バックシートの構成で、それらがシール材を介して両端の外装材(アルミ枠等)に固定されている。その太陽電池バックシートとしては、裏面封止用フィルムと、外層側に配置されるフィルムとの間に、本発明に係るガスバリア性フィルム10を挟んで構成される例を挙げることができる。裏面封止用フィルムとしては、太陽電池モジュール側で太陽光を反射して電換効率を高めるべく、高度な反射率を有する例えば白色のポリエステルフィルム等が使用される。また、外層側に配置されるフィルムとしては、耐候性、耐加水分解性フィルム等が使用される。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
プラスチック基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名:コスモシャインA−4300)の片面に、下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Aをダイコートにて塗布し、70℃で1分間乾燥させた後、165keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射し、厚さ5μmの有機層を形成した。なお、有機層形成用塗布液Aは、重合開始剤を含まない。
(有機層形成用塗布液Aの組成)
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
無機層は、上記有機層上に形成した。具体的には、上記有機層が形成されたプラスチック基材の有機層側を成膜する向きにしてホローカソード型イオンプレーティング装置にセットした。そして、蒸発源材料である酸化珪素(高純度化学研究所製)をホローカソード型イオンプレーティング装置内の坩堝に投入した後、真空引きを行った。真空度が5×10−4Paまで到達した後、プラズマガンにアルゴンガスを15sccm導入し、電流110A、電圧90Vのプラズマを発電させた。チャンバー内を1×10−1Paに維持することと磁力によりプラズマを所定方向に曲げ、蒸発源材料に照射させた。坩堝内の蒸発源材料は溶融状態を経て昇華することが確認された。イオンプレーティングを15秒間行って基板に堆積させることにより、膜厚100nmの酸化珪素層を形成した。
以上のようにして得た実施例1のガスバリア性フィルムの層構成は、プラスチック基材/有機層/無機層である。
[実施例2]
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Bは、紫外線吸収剤の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Bは、重合開始剤を含まない。
(有機層形成用塗布液Bの組成)
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン400):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
[実施例3]
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Cは、紫外線吸収剤の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Cは、重合開始剤を含まない。
(有機層形成用塗布液Cの組成)
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン328):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
[実施例4]
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Dは、光安定剤の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Dは、重合開始剤を含まない。
(有機層形成用塗布液Dの組成)
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン328):3質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン123):3質量部
[実施例5]
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Eは、電子線硬化性化合物の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Eは、重合開始剤を含まない。
(有機層形成用塗布液Eの組成)
・ウレタンアクリレートオリゴマー(重合性化合物、日本合成化学株式会社製、商品名:UV−7600B):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
[実施例6]
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Fは、電子線硬化性化合物の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Fは、重合開始剤を含まない。
(有機層形成用塗布液Fの組成)
・2官能カプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー:65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
[比較例1]
下記の組成に調製した紫外線硬化用の有機層形成用塗布液aを用い、電子線の代わりに紫外線を照射したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液aは、光重合開始剤を含有し、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有しないこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。紫外線の照射は、波長が260nm〜400nmの範囲で、積算光量が300mJ/cmの条件で行った。
(有機層形成用塗布液aの組成)
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](光重合開始剤、lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部
[比較例2]
下記の組成に調製した紫外線硬化用の有機層形成用塗布液bを用いたこと以外は、比較例1と同様にして比較例2のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液bは、紫外線吸収剤を含有すること以外は、有機層形成用塗布液aと同様のものである。
(有機層形成用塗布液bの組成)
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](光重合開始剤、lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
比較例2のガスバリア性フィルムは、紫外線照射によって有機層形成用塗布液bの硬化反応が進まず、有機層の硬化が不十分であったので、評価をすることができなかった。
[比較例3]
下記の組成に調製した紫外線硬化用の有機層形成用塗布液cを用いたこと以外は、比較例1と同様にして比較例3のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液cは、光安定剤を含有すること以外は、有機層形成用塗布液aと同様のものである。
(有機層形成用塗布液cの組成)
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](光重合開始剤、lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
[比較例4]
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例4のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液dは、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有しないこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。
(有機層形成用塗布液dの組成)
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
[比較例5]
下記の組成に調製した熱硬化用の有機層形成用塗布液eを用い、電子線照射の代わりに加熱硬化処理をした以外は、実施例1と同様にして比較例5のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液eは、電子線硬化性化合物を熱硬化性化合物に変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。加熱硬化処理は、160℃に1時間保持することにより行った。
(有機層形成用塗布液eの組成)
・カルドポリマー(新日鐵化学株式会社製、商品名:V−259−EH):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
[評価と結果]
実施例1〜6及び比較例1〜5のガスバリア性フィルムについて、(ア)製造直後(初期)の水蒸気透過率の測定、(イ)耐光試験後の水蒸気透過率の測定、(ウ)耐光試験後の色味検査、(エ)耐光試験後の密着性試験を行った。
水蒸気透過率の測定は、温度37.8℃、湿度100%RHの雰囲気下で、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN−W3/31)を用いて行った。この装置の測定限界は、0.05g/m/dayである。
耐光試験は、アイスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)を用いて、ガスバリア性フィルムに下記の(A),(B),(C)を1サイクルとし、これを21サイクル繰り返すことにより行った。
(A)温度:63℃、湿度:50%RHの雰囲気下で、照度:65mW/cm、波長:365nmの紫外線を20時間照射する。
(B)散水処理を30秒間行う。
(C)温度:63℃、湿度:98%RHの雰囲気下で4時間保持する(紫外線の照射は無し)。
色味検査は、ガスバリア性フィルムを目視で観察し、黄変の有無を確認することにより行った。
密着性試験は、クロスカット試験により行った。クロスカット試験は、JIS−K5400の8.5.1の記載に準拠して行った。具体的には、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、無機層を貫通してプラスチック基材に達する切り傷を縦横につけて、100個のマス目状とし、セロハン粘着テープ(ニチバン社製405番 24mm幅)をマス状の切り傷面に張り付け、消しゴムでこすって完全に付着させた後、垂直に引き剥がした。そして、剥離後の面を目視により観察し、剥離の有無を確認した。
結果を表1に示す。
Figure 2013154584
なお、実施例1〜6のガスバリア性フィルムの有機層に含まれる成分の分析を行った。この分析は、ガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、商品名:GC−2025)を用いて行った。実施例1〜6のガスバリア性フィルムをバイアル瓶に入れて密閉し、160℃で30分間保持して有機層成分を揮発させ、平衡状態とした後、ヘッドスペース部の一部をガスクロマトグラフィーに導き、ガスクロマトグラフィーで分離した個々の成分について定性分析及び定量分析を行った。実施例1〜6のガスバリア性フィルムの有機層には、電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤が、配合比と同じ割合で含まれていることが確認できた。また、実施例1〜6のガスバリア性フィルムの有機層は、実質的に重合開始剤を含まなかった。
表1から、実施例1〜6のガスバリア性フィルムは、耐光試験後でも、高い水蒸気透過率を維持できており、有機層に黄変が生じることがなく、また、密着性試験によって有機層と無機層との間に剝離が生じないことがわかった。
1 基材(プラスチック基材)
2,2’ 有機層
3,3’ 無機層
4,4’ ガスバリア層
5 プライマー層
6 保護層
10,10A,10B,10C ガスバリア性フィルム
S1 プラスチック基材の片面
S2 プラスチック基材の他の面


Claims (8)

  1. 基材と、該基材上に設けられた有機層と、該有機層上に設けられた無機層とを有し、
    前記有機層は、電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含有することを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 前記有機層が、0.1質量%以下の重合開始剤を含む、又は、重合開始剤を含まない、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記電子線硬化樹脂が、アクリル系樹脂である、請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記紫外線吸収剤が、トリアジン系紫外線吸収剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記光安定剤が、ヒンダードアミン系光安定剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記無機層上に紫外線吸収剤を含有する保護層が設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムを用いる表示装置又は発電装置であることを特徴とする装置。
  8. 基材上に、電子線硬化性化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む有機層形成用塗布液を塗布する工程と、
    前記基材上に塗布された前記有機層形成用塗布液に電子線を照射して有機層を形成する工程と、
    前記有機層上に無機層を形成する工程と、を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。


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