JP2013154584A - ガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにガスバリア性フィルムを用いた装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材1と、基材1上に設けられた有機層2と、有機層2上に設けられた無機層3とを有し、有機層2は、電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含有するガスバリア性フィルム10により、上記課題を解決する。ガスバリア性フィルム10は、基材1上に、電子線硬化性化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む有機層形成用塗布液を塗布する工程と、基材1上に塗布された有機層形成用塗布液に電子線を照射して有機層2を形成する工程と、有機層2上に無機層3を形成する工程と、を有する方法で製造する。
【選択図】図1
Description
本発明に係るガスバリア性フィルム10は、図1及び図2に示すように、基材1と、基材1上に設けられた有機層2と、有機層2上に設けられた無機層3とを有する。そして、有機層2が、電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含有することに特徴がある。
基材1の材質は特に制限はないが、汎用性、工業性の見地から、プラスチック材料で形成された基材(以下、「プラスチック基材」という場合がある。)を用いることが好ましい。プラスチック材料としては、実使用の見地から、ポリエステル系樹脂を好ましく挙げることができる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、これらの共重合体、及びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)等を挙げることができる。ポリエステル系樹脂のうちでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びこれらの共重合体が好ましい。特に好ましくは、プラスチック基材1をポリエチレンナフタレートフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムとすることである。
有機層2は、基材(プラスチック基材)1上に設けられて後述する無機層3とともにガスバリア層4を構成する。有機層2については、一部の説明はすでに記載したとおりであるが、以下さらに詳しく説明する。なお、ガスバリア性フィルム10は、プラスチック基材1と有機層2とが接している例であるが、本発明において、両者は必ずしも接している必要はなく、必要に応じ、その間に他の層を設けてもよい。
無機層3は、水蒸気等のガスを遮断する機能層として有機層2上に形成され、有機層2と併せてガスバリア層4を構成する。無機層3の形成材料としては、例えば、無機酸化物、無機酸化窒化物、無機窒化物、無機酸化炭化物、無機酸化炭化窒化物、及び酸化珪素亜鉛等から選ばれる1又は2以上の無機化合物を挙げることができる。具体的には、珪素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、セリウム、及び亜鉛から選ばれる1種又は2種以上の元素を含有する無機化合物を挙げることができ、より具体的には、珪素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物及びインジウム合金酸化物等の無機酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、及びチタン窒化物等の無機窒化物、酸化窒化珪素等の無機酸化窒化珪素を挙げることができる。特に好ましくは、無機層3が、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、及び酸化珪素亜鉛から選ばれる1種又は2種以上からなる層である。無機層3は上記材料を単独で用いてもよいし、本発明の要旨の範囲内で上記材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
ガスバリア性フィルム10は、上述のとおり、基材1、有機層2、及び無機層3で構成されているが、例えば、図3に示すように、基材1の一方の面S1にさらにプライマー層5と保護層6をその順で設けていてもよい。また、例えば、図2に示すガスバリア性フィルム10Bの他方の面S2の有機層2’、無機層3’の上にさらにプライマー層5と保護層6をその順で設けていてもよい(図示しない)。
本発明に係るガスバリア性フィルム10の製造方法は、基材1上に電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む有機層形成用塗布液を塗布する工程(塗布工程)と、その基材1上に塗布された有機層形成用塗布液に電子線を照射して有機層2を形成する工程(有機層形成工程)と、その有機層2上に無機層3を形成する工程(無機層形成工程)と、を有することに特徴がある。
塗布工程は、電子線硬化性化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む有機層形成用塗布液をプラスチック基材1上に塗布する工程である。有機層形成用塗布液については、上記「有機層」の説明欄で説明したとおりであるので、ここではその説明を省略する。
有機層形成工程は、基材1上に塗布された有機層形成用塗布液に電子線を照射して有機層2を形成する工程である。電子線の電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。電子線の加速電圧は、通常100keV以上1000keV以下であり、好ましくは、100keV以上300keV以下である。電子線の照射量は、通常1Mrad以上30Mrad以下である。
無機層形成工程は、有機層2上に無機層用材料(無機層の形成材料)を堆積して無機層3を形成する工程である。無機層用材料は、上記「無機層」の説明欄で説明したとおりであるので、ここではその説明を省略する。
本発明に係る装置は、上記本発明のガスバリア性フィルム10を用いる表示装置又は発電装置であることを特徴とする。これにより、良好なガスバリア性及び耐候性を示すガスバリア性フィルム10を用いたので、ガスバリア性に優れ耐候性が要求される装置を提供できる。より具体的には、装置の品質特性を低下させる紫外線等の影響を低減できる。
プラスチック基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名:コスモシャインA−4300)の片面に、下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Aをダイコートにて塗布し、70℃で1分間乾燥させた後、165keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射し、厚さ5μmの有機層を形成した。なお、有機層形成用塗布液Aは、重合開始剤を含まない。
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Bは、紫外線吸収剤の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Bは、重合開始剤を含まない。
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン400):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Cは、紫外線吸収剤の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Cは、重合開始剤を含まない。
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン328):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Dは、光安定剤の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Dは、重合開始剤を含まない。
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン328):3質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン123):3質量部
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Eは、電子線硬化性化合物の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Eは、重合開始剤を含まない。
・ウレタンアクリレートオリゴマー(重合性化合物、日本合成化学株式会社製、商品名:UV−7600B):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液Fは、電子線硬化性化合物の種類を変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。なお、有機層形成用塗布液Fは、重合開始剤を含まない。
・2官能カプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー:65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
下記の組成に調製した紫外線硬化用の有機層形成用塗布液aを用い、電子線の代わりに紫外線を照射したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液aは、光重合開始剤を含有し、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有しないこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。紫外線の照射は、波長が260nm〜400nmの範囲で、積算光量が300mJ/cm2の条件で行った。
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](光重合開始剤、lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部
下記の組成に調製した紫外線硬化用の有機層形成用塗布液bを用いたこと以外は、比較例1と同様にして比較例2のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液bは、紫外線吸収剤を含有すること以外は、有機層形成用塗布液aと同様のものである。
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](光重合開始剤、lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
下記の組成に調製した紫外線硬化用の有機層形成用塗布液cを用いたこと以外は、比較例1と同様にして比較例3のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液cは、光安定剤を含有すること以外は、有機層形成用塗布液aと同様のものである。
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−[1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン](光重合開始剤、lamberti社製、商品名:ESACURE ONE):2質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
下記の組成に調製した電子線硬化用の有機層形成用塗布液dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例4のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液dは、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有しないこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。
・ポリエステルアクリレート(重合性化合物、東亞合成株式会社製、商品名:M−8030):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
下記の組成に調製した熱硬化用の有機層形成用塗布液eを用い、電子線照射の代わりに加熱硬化処理をした以外は、実施例1と同様にして比較例5のガスバリア性フィルムを製造した。有機層形成用塗布液eは、電子線硬化性化合物を熱硬化性化合物に変更したこと以外は、有機層形成用塗布液Aと同様のものである。加熱硬化処理は、160℃に1時間保持することにより行った。
・カルドポリマー(新日鐵化学株式会社製、商品名:V−259−EH):65質量部
・メチルエチルケトン:17質量部
・トルエン:18質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン株式会社製、商品名:チヌビン479):3質量部
・反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、日本乳化剤株式会社製、商品名:サノールLS−3410):3質量部
実施例1〜6及び比較例1〜5のガスバリア性フィルムについて、(ア)製造直後(初期)の水蒸気透過率の測定、(イ)耐光試験後の水蒸気透過率の測定、(ウ)耐光試験後の色味検査、(エ)耐光試験後の密着性試験を行った。
(A)温度:63℃、湿度:50%RHの雰囲気下で、照度:65mW/cm2、波長:365nmの紫外線を20時間照射する。
(B)散水処理を30秒間行う。
(C)温度:63℃、湿度:98%RHの雰囲気下で4時間保持する(紫外線の照射は無し)。
2,2’ 有機層
3,3’ 無機層
4,4’ ガスバリア層
5 プライマー層
6 保護層
10,10A,10B,10C ガスバリア性フィルム
S1 プラスチック基材の片面
S2 プラスチック基材の他の面
Claims (8)
- 基材と、該基材上に設けられた有機層と、該有機層上に設けられた無機層とを有し、
前記有機層は、電子線硬化樹脂、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含有することを特徴とするガスバリア性フィルム。 - 前記有機層が、0.1質量%以下の重合開始剤を含む、又は、重合開始剤を含まない、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記電子線硬化樹脂が、アクリル系樹脂である、請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記紫外線吸収剤が、トリアジン系紫外線吸収剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記光安定剤が、ヒンダードアミン系光安定剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記無機層上に紫外線吸収剤を含有する保護層が設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムを用いる表示装置又は発電装置であることを特徴とする装置。
- 基材上に、電子線硬化性化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤をそれぞれ1種又は2種以上含む有機層形成用塗布液を塗布する工程と、
前記基材上に塗布された前記有機層形成用塗布液に電子線を照射して有機層を形成する工程と、
前記有機層上に無機層を形成する工程と、を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
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