JP5752438B2 - ガスバリアフィルム - Google Patents

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本発明は、ガスバリアフィルムに関するものである。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及び/又はメタクリレートのことであり、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のことである。その他、(メタ)アクリロキシ等の表現も同様である。
酸素や水分等のガスの透過を防止する手段として、ガスバリアフィルムが開発されている。ガスバリアフィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OELD)等のフラットディスプレイパネル(FPD)において、液晶層や発光層が大気中の水分(水蒸気)や酸素成分と触れて劣化するのを防止する手段として使用される。また、電子ペーパーの構成要素や太陽電池の発電要素を保護したり、食品や化学薬品を長期保存したりするための容器・素材としても幅広く利用されている。
ガスバリアフィルムの構成例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂を基材フィルムとし、その少なくともいずれかの表面に、ガスバリア層として、アルミナ、ジルコニア、シリカ等の無機成分を含む無機層や、熱硬化樹脂等の有機成分からなる有機層を一層以上設けることにより構成される。
さらに、ガスバリア層での物理的な傷や溶剤等による剥離を防止するための保護層が、ガスバリア層の上に設けられる場合がある。例えば、有機ELディスプレイ等に使用される場合、ガスバリア層上に設けた保護層の上に透明導電膜を形成し、エッチング等でパターニングして回路が構成される。
このような保護層を設けたガスバリアフィルムとして、下記特許文献1には、樹脂フィルムとガスバリア層であるセラミック膜との間に密着膜を設けるとともに、セラミック膜上に保護膜を設け、これらに同一組成物を含有させることで、密着性に優れ、良好な透明性及びガスバリア耐性が得られることが開示されている。
下記特許文献2には、後工程でのストレスによるガスバリア性の劣化防止のため、メラミン及び芳香族カルボン酸化合物を成分に持つ被膜で保護層を形成したガスバリアフィルムが開示されている。
一方、下記特許文献3には、ガスバリアフィルムの保護層として、熱硬化性材料、紫外線硬化性材料、電子線硬化性材料、樹脂材料、ゾルゲル材料等が用いられる点が開示されており、同様に、下記特許文献4には、ガスバリアフィルムの保護層が、紫外線硬化性あるいは電子線照射性樹脂や、熱硬化性樹脂、酸化珪素などの無機化合物で形成される点が開示されている。
特開2006−305752号公報 特開2006−175784号公報 特許第4414748号公報 特許第4617583号公報
上記保護層として熱硬化性樹脂組成物を用いる場合、一般に、ガスバリア層との密着性に優れたものを得るのが比較的容易であるが、加熱処理に時間を要することから生産性に劣るという問題がある。生産性を向上するためには、紫外線や電子線などのエネルギー線で硬化するエネルギー線硬化型樹脂組成物を用いることが有効であるが、一般に、エネルギー線硬化型樹脂組成物はガスバリア層との密着性に劣り、そのため、生産性と密着性を両立できていなかったのが実情である。
本発明は、上記の点に鑑み、ガスバリア層と保護層との密着性に優れるとともに、生産性の高いガスバリアフィルムを提供することを目的とする。
本発明に係るガスバリアフィルムは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けたガスバリア層と、前記ガスバリア層上に設けた保護層とを有し、前記保護層が、(A)芳香環含有ウレタン(メタ)アクリレート、(B)カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、及び(C)多官能(メタ)アクリレートを含有し、乾燥質量1g当たりの酸価が80mgKOH/g以上130mgKOH/g以下であるエネルギー線硬化型樹脂組成物を用いて形成されたものである。
本発明に係るガスバリアフィルムであると、上記エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いて保護層を形成したことにより、生産性を向上しつつ、保護層とガスバリア層との密着性を向上することができる。
実施形態に係るガスバリアフィルムの断面図である。 耐溶剤性評価方法を示す説明図である。 水蒸気透過度試験方法を示す説明図である。
実施形態に係るガスバリアフィルム(10)は、例として図1に示すように、基材(12)と、該基材(12)の少なくとも一方の面に設けたガスバリア層(14)と、該ガスバリア層(14)上に設けた保護層(16)とを備えてなるものである。以下、各構成要素について説明する。
[基材]
基材としては、各種樹脂フィルムを用いることができ、特に限定されるものではない。具体的には、樹脂フィルムを構成する樹脂として、エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)等の非晶質ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アリレート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体、ポリシロキサン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独であるいは2種以上混合して使用することができ、未延伸フィルムでも、延伸フィルムでもよい。また、複数の樹脂フィルムを積層してなる多層フィルムであってもよい。
基材としては、上記樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、薬品処理などの表面処理を行ったものを用いることもできる。また、基材とガスバリア層との密着性を向上するために、樹脂フィルム表面にアンカーコート層を形成してもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂等が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
基材の厚みは、用途に応じて適宜設定されるので、特に限定されないが、通常は5〜300μm程度である。
基材として用いられる樹脂フィルムは、用途や要求特性に応じて選択することが好ましく、例えば、食品や化学薬品等の包装には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロンなどがコスト的に用いやすく、電子部材や光学部材等には、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂等のそれ自身も高いガスバリア性を有する樹脂フィルムを用いることが好ましい。
特に、上記LCDやOELD等のフラットディスプレイパネル(FPD)用では、透明性やガスバリア性に加えて、透明導電膜等の製膜工程で熱がかかるため耐熱性が良いこと、また、偏向膜内に置かれるために光学的異方性(リタデ−ション)が小さいことも要求される。かかる観点から検討すると、ポリエチレンナフタレートは、ポリエチレンテレフタレートに比べて、それ自身のガスバリア性が高く、またガラス転移点Tgが高くて耐熱性にも優れるが、光学的異方性という点では、ポリエチレンテレフタレートと同様、干渉縞が生じやすい。環状オレフィンポリマー(COP)は、それ自身のガスバリア性が高く、また、干渉縞が生じにくいという利点もあるが、耐熱性に劣る。これに対し、環状オレフィンコポリマー(COC)は、ガスバリア性及び耐熱性に優れ、干渉縞も生じにくい。そのため、FPD用ガスバリアフィルムのための基材としては、環状オレフィンコポリマー(COC)を成分として形成されたものを用いることが好ましい。
そこで、次に、好ましい基材を構成する環状オレフィンコポリマーについて詳述する。
環状オレフィンコポリマーは、環状オレフィンと、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンとの共重合体であって、これには開環重合体と付加重合体があるが、本実施形態では、メタロセン触媒等を用いて共重合した付加共重合体が好ましい。ここで、環状オレフィンとしては、例えばノルボルネン、テトラシクロドデセンや、それらの誘導体(例えばカルボキシル基やエステル基を有するもの)が例示できるが、好ましくはノルボルネンを用いることである。
より好ましい態様として、環状オレフィンコポリマーは、ノルボルネンとエチレンとの共重合比率が質量比で80:20〜90:10であり、MVR(メルトボリュームレート)が0.8〜2.0cm/10分である環状オレフィンの付加共重合体である。かかる環状オレフィンコポリマーからなる樹脂フィルムを基材として用いることにより、耐熱性を改善することができる。
ノルボルネンとエチレンとの付加共重合体である環状オレフィンコポリマーとしては、例えば市販品を使用することができる。市販品としては、TOPAS Advanced Polymers(TAP)社製、商品名「TOPAS」等を挙げることができる。
ノルボルネンとエチレンとの共重合比率は、質量比で80:20〜90:10が好ましい。このような共重合比率とすることで、ガラス転移温度(Tg)が170〜200℃の環状オレフィンの付加共重合体が得られる。ノルボルネンの比率が80質量%以下になると、170℃以上の高いガラス転移温度が得られない。またエチレンの比率が10質量%以下になると、得られるフィルムの強度が弱くなり、必要な後加工(コーティング、薄膜形成等)工程に耐えることが難しくなる。ここで、ガラス転移点Tgは、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定器(株式会社島津製作所製DSC−60)により測定される値である。
MVRは、JIS K7210に準拠して温度260℃、荷重2.16kgの条件で測定される10分当たりの吐出体積(cm/10分)であり、上記のように0.8〜2.0cm/10分であることが好ましい。MVRが0.8cm/10分未満では、流動性が低く、フィルム製造に用いるペレット化の段階や、当該フィルム製造時に、成形機内の圧力が高くなりすぎて、製造が困難となる。また、MVRが2.0cm/10分を超えると、得られるフィルムの強度が弱くなり、必要な後加工(コーティング、薄膜形成等)工程に耐えることが難しくなる。MVRは、例えば共重合時の熱量調整等により調整することができ、1.5〜2.0cm/10分であることがより好ましい。
該環状オレフィンコポリマーは、吸水率(ISO 62準拠、23℃/24時間)が、0.005〜0.1質量%程度であることが好ましい。吸水率が、0.1質量%を超えると、得られる基板の寸法安定性が低下する傾向にある。また、屈折率(JIS K7142準拠)が、1.49〜1.55程度であることが好ましく、更に、光線透過率(JIS K7361−1準拠(日本電色工業株式会社ヘーズメーターNDH5000で測定))が、93.0〜90.8%程度であることが好ましい。
該環状オレフィンコポリマーには、紫外線吸収剤、無機や有機のアンチブロッキング剤、滑剤、静電気防止剤、安定剤等各種公知の添加剤を合目的に添加してもよい。
該環状オレフィンコポリマーから基材としての樹脂フィルムを得る方法は、特に限定されず、例えば溶液流延法、押出し法、カレンダー法等が例示できる。環状オレフィンコポリマーからなる樹脂フィルムの厚みは、20〜300μmが好ましく、さらに好ましくは、40〜200μmである。薄すぎるとフィルム強度が不足する傾向にあり、フィルム強度が十分であれば必要以上に厚くする必要はない。該環状オレフィンコポリマーからなる樹脂フィルムには、表面の濡れ性及び接着性を向上させるために、フレーム処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、イトロ処理、プライマー処理、化学薬品処理などの表面改質処理を行ってもよい。コロナ放電処理及び紫外線照射処理は、空気中、窒素ガス中、希ガス中等で行うことができる。このような表面改質処理によって、環状オレフィンコポリマーフィルム表面の濡れ張力を、450μN/cm(23℃)以上とすることが好ましく、500μN/cm(23℃)以上とすることがより好ましい。該環状オレフィンコポリマーからなる樹脂フィルムは、延伸して用いてもよく、その場合の延伸方法としては、特に限定されず、例えばロール延伸法、テンタークリップ延伸法、圧延法等が例示できる。
[ガスバリア層]
ガスバリア層は、酸素や水蒸気等のガスの透過を阻止する層であれば、その組成等は特に限定されないが、無機化合物からなるガスバリア層が好適である。無機化合物としては、具体的には、珪素系無機酸化物(例えば、酸化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化珪素等)、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化チタン等などの無機酸化物、窒化珪素、炭化珪素等が挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、珪素系無機酸化物がより好ましく用いられる。
ガスバリア層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、イオンアシスト法、スプレー法、スピンコート法等が挙げられ、特に限定されない。ガスバリア層は、透明であることが好ましく、これにより、ガスバリアフィルムを透明なものとすることが可能となり、上記FPD用途に好適である。
ガスバリア層は、上記無機化合物からなる層を1層のみで形成してもよいが、無機化合物からなる層を複数積層してもよく、また、無機化合物からなる層と樹脂からなる有機層を交互に積層して設けてもよい。いずれの場合においても、少なくとも保護層との境界部において、ガスバリア層が酸化珪素を含有していることが好ましい。これにより、後述するエネルギー線硬化型樹脂組成物からなる保護層に対するガスバリア層の接着性をより高めることができる。
ガスバリア層の厚みは、構成する無機化合物の種類等により適宜設定することができ、特に限定されないが、通常5〜500nmであることが好ましく、より好ましくは20〜300nmである。
[保護層]
保護層については、(A)芳香環含有ウレタン(メタ)アクリレートと、(B)カルボキシル基含有(メタ)アクリレートと、(C)多官能(メタ)アクリレートとを含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物を用いて形成される。このように保護層にエネルギー線硬化型樹脂組成物を用いることで、生産性を向上することができるとともに、上記特定の組成からなるものを用いることにより、ガスバリア層に対する密着性を向上することができる。また、従来の熱硬化型樹脂からなる保護層に比べて、干渉縞を抑えることができる。
(A)成分である芳香環含有ウレタン(メタ)アクリレートとしては、分子内に芳香環を含む各種ウレタン(メタ)アクリレートを用いることができる。このような芳香環を含むオリゴマーを用いることにより、耐溶剤性等の保護層としての塗膜性能を向上することができる。ここで、オリゴマーとは、モノマーが2〜数十程度結合した重合体をいう。なお、芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられるが、通常はベンゼン環であることが好ましい。また、芳香環は、ウレタン(メタ)アクリレートの分子内に含む限り、ウレタン化反応物を構成するポリオール成分とポリイソシアネート成分のいずれに含まれてもよいが、芳香環含有量を高めるために、好ましくは双方に芳香環を含むものを用いることである。
該芳香環含有ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノール類と有機イソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレート化合物のウレタン化反応物(a1)、芳香環含有エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物と有機イソシアネートとのウレタン化反応物(a2)等が挙げられる。上記ウレタン化反応物(a1)において、ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及びこれらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられ、これらは単独でも、2種以上組み合わせてもよい。ウレタン化反応物(a1)としては、例えば、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAと有機イソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのウレタン化反応物、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAと有機イソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのウレタン化反応物、ブチレンオキサイド変性ビスフェノールAと有機イソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのウレタン化反応物等が挙げられる。上記ウレタン化反応物(a2)において、芳香環含有エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも、2種以上組み合わせてもよい。かかる芳香環含有エポキシ樹脂のエポキシ基を(メタ)アクリル化することにより得られるエポキシアクリレートの水酸基に対して有機イソシアネートのイソシアネート基を反応させることでウレタン化反応物(a2)が得られる。なお、上記(a1)及び(a2)において、有機イソシアネートとしては、各種ポリイソシアネートを用いることができ、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが挙げられ、これらは単独でも、2種以上組み合わせてもよい。以上の各種芳香環含有ウレタン(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(B)成分であるカルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、分子内にカルボキシル基を含む各種(メタ)アクリレートモノマーを用いることができる。カルボキシル基を含むことにより、ガスバリア層、特に酸化珪素等の無機化合物からなるガスバリア層との密着性を向上することができる。
該カルボキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、多塩基酸又はその無水物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物との反応によって得られるものを用いることができ、即ち、多塩基酸の複数のカルボキシル基を水酸基含有(メタ)アクリレート化合物で部分的にエステル化することによりカルボキシル基を含む(メタ)アクリレートが得られる。多塩基酸(無水物)としては、例えば、(無水)フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、(無水)テトラヒドロフタル酸、(無水)メチルテトラヒドロフタル酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)コハク酸、イタコン酸、フマル酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上組み合わせてもよい。水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブチレンオキサイド変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物などが挙げられ、これらは単独でも、2種類以上組み合わせてもよい。なお、(B)成分のカルボキシル基含有(メタ)アクリレートには、上記(A)成分のウレタン(メタ)アクリレートは含まれない。
(C)成分である多官能(メタ)アクリレートは、架橋作用を発揮するために配合され、2官能以上の各種(メタ)アクリレートモノマーが用いられ、好ましくは3〜6官能のものを用いることである。なお、(C)成分の多官能(メタ)アクリレートには、上記(A)成分のウレタン(メタ)アクリレートや(B)成分のカルボキシル基含有(メタ)アクリレートは含まれない。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ブチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ブチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ブチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ブチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは単独でも、2種類以上組み合わせてもよい。これらの中でも、ガスバリア層に対する密着性を向上できることから、水酸基を有する多官能(メタ)アクリレートを用いること、即ち、(C)成分として、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを含む多官能(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
上記エネルギー線硬化型樹脂組成物中における(A)成分、(B)成分及び(C)成分の配合量は、特に限定されないが、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計量を100質量部として、(A)成分が10〜60質量部(より好ましくは10〜40質量部)、(B)成分が30〜70質量部(より好ましくは40〜70質量部)、(C)成分が10〜40質量部(より好ましくは10〜30質量部)であることが好ましい。
上記エネルギー線硬化型樹脂組成物には、更に、シランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤を配合することにより、酸化珪素等の無機化合物からなるガスバリア層に対する密着性や耐溶剤性を更に向上することができる。シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリルシランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上組み合わせてもよい。
シランカップリング剤の配合量は、特に限定されないが、上記(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。
上記エネルギー線硬化型樹脂組成物には、必要に応じて光重合開始剤を添加することができる。光重合開始剤の種類は特に限定されず、公知のものが使用可能であり、代表的な例としては、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のα−アミノアルキルフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン等が挙げられる。これらを単独で用いても、2種類以上組み合わせてもよい。好ましくはアルキルフェノン系光重合開始剤を用いることである。光重合開始剤を使用する場合のその添加量は、上記(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計量100質量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
上記エネルギー線硬化型樹脂組成物には、また、必要に応じて、溶剤、安定剤、滑剤、充填剤などを配合することができる。
上記エネルギー線硬化型樹脂組成物は、その乾燥質量1g当たりの酸価が80mgKOH/g以上130mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が80mgKOH/g以上であることにより、ガスバリア層に対する密着性を向上することができ、また130mgKOH/g以下であることにより、保護層の耐溶剤性を向上することができる。酸価は、100mgKOH/g以上であることがより好ましく、また、120mgKOH/g以下であることがより好ましい。樹脂組成物の酸価は、上記(B)成分に含まれるカルボキシル基によって調整することができ、(B)成分のカルボキシル基含有(メタ)アクリレートの種類と樹脂組成物中におけるその含有率を調整することにより、上記範囲内に設定することができる。ここで、樹脂組成物の乾燥質量を基準としているのは、該樹脂組成物が溶剤を含む場合に、該溶剤を除く固形分での質量を基準とするためである。
該樹脂組成物の酸価は、JIS K0070に準じ、水酸化カリウム標準液による中和滴定法により測定される。
上記エネルギー線硬化型樹脂組成物は、また、その組成物の乾燥質量1kg当たりの炭素−炭素二重結合含有量と芳香環含有量の合計が5.4mol/kg以上であることが好ましい。炭素−炭素二重結合含有量と芳香環含有量の合計を5.4mol/kg以上とすることにより、保護層の耐溶剤性を向上することができる。詳細には、芳香環含有量を上げることにより、耐溶剤性を向上することができ、あるいはまた、二重結合含有量を上げることにより、塗膜の架橋密度を挙げて塗膜への薬品の浸透を防ぐことができるので、両者の合計量を規定することにより、塗膜性能の向上を図ることができる。炭素−炭素二重結合含有量と芳香環含有量の合計は、より好ましくは5.7mol/kg以上であり、上限は特に限定されないが、通常は10mol/kg以下であり、より好ましくは7mol/kg以下である。
ここで、炭素−炭素二重結合含有量は、該樹脂組成物中に含まれる炭素−炭素二重結合(C=C)の含有量mol/kg(乾燥質量)のことであり、主として(メタ)アクリロイル基のC=Cの含有量である。そのため、上記(A)〜(C)の各成分の種類と配合量を調整することにより、上記範囲内に設定することができる。例えば、一般に、(A)成分のオリゴマーよりも(B)及び(C)成分の(メタ)アクリレートモノマーの方が(更には、(B)成分よりも(C)成分の多官能(メタ)アクリレートの方が)、質量当たりの二重結合含有量が大きいので、これら成分の質量比率を高めることにより、該炭素−炭素二重結合含有量を高めることができる。なお、炭素−炭素二重結合含有量は、芳香環含有量との合計値が上記範囲内にある限り、特に限定されるものではないが、3.5mol/kg以上であることが好ましく、より好ましくは4.0〜7.0mol/kgである。
また、芳香環含有量は、該樹脂組成物中に含まれるベンゼン環やナフタレン環等の芳香環の含有量mol/kg(乾燥質量)のことである。芳香環は、上記(A)成分に含まれるものの他、(B)成分や(C)成分等にも含まれる場合があるので、これら各成分の種類と配合量を調整することにより、上記範囲内に設定することができる。例えば、(B)成分と(C)成分に芳香環が含まれない場合、(A)成分の質量比率を高めることにより、該芳香環含有量を高めることができる。なお、芳香環含有量は、炭素−炭素二重結合含有量との合計値が上記範囲内にある限り、特に限定されるものではないが、1.0mol/kg以上であることが好ましく、より好ましくは1.3〜4.0mol/kgである。
該樹脂組成物中に含まれる炭素−炭素二重結合含有量と芳香環含有量は、樹脂組成物に配合する各原料中に含まれる炭素−炭素二重結合と芳香環のmol数をそれぞれ求め、求めた値を樹脂組成物の質量kg(溶剤を除く乾燥質量)で割ることにより算出することができる。また、得られた樹脂組成物から測定する際には、H−NMR測定により求めることができる。詳細には、内部標準物質として1,4−ビストリメチルシリルベンゼンを用いて、内部標準物質及びエネルギー線による硬化前の樹脂組成物を秤量し、それを重水素化クロロホルムに溶解させてH−NMR測定を行い、得られたスペクトルから炭素−炭素二重結合と芳香環のmol数をそれぞれ求め、その値を樹脂組成物の質量で割ることで、炭素−炭素二重結合含有量と芳香環含有量(mol/kg)が求められる。
保護層の形成方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、ロールコート法等の各種コーティング法が挙げられる。塗布されたエネルギー線硬化型樹脂組成物は、紫外線などの活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。そのためのエネルギー線源は特に限定されないが、例としては、高圧水銀灯、電子線、γ線、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が挙げられる。該エネルギー線硬化型樹脂組成物を紫外線照射により硬化させる場合、硬化に要する紫外線照射量は、特に限定されないが、100〜3000mJ/cmであることが好ましい。
保護層の厚みは、ガスバリアフィルムの用途等により適宜設定することができ、特に限定されないが、通常1〜20μmであることが好ましく、より好ましくは3〜10μmである。
[ガスバリアフィルム]
上記実施形態では、基材(12)の一方面のみにガスバリア層(14)及び保護層(16)を設けたが、基材の両方の面に、同様のガスバリア層と保護層を設けてもよい。
本実施形態に係るガスバリアフィルムの用途としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OELD)等のフラットディスプレイパネル(FPD)に用いられるフィルム基板、電子ペーパー用フィルム基板、太陽電池用フィルム基板、食品や化学薬品の包装用フィルムなど、ガスバリア性が要求される様々な用途のフィルムとして用いることができる。また、用途によっては、保護層上あるいは基材の他方面に、更なる被膜を設けたり、あるいはまたベースとなる材料などに、該ガスバリアフィルムを貼り合わせて用いてもよい。特に、上述した本実施形態のものでは、基材が耐熱性に優れるとともに、干渉縞が生じにくく、また、保護層が耐溶剤性に優れるものであるため、フラットディスプレイパネル用ガスバリアフィルムとして、特に好適である。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断らないかぎり、全て質量基準であるものとする。
[性能評価方法]
(密着性)
ガスバリアフィルムの保護層に対し、JIS K5600−5−6に準じたクロスカット法による付着性試験を実施した。粘着テープ剥離後の残った部分の個数を数え、試験した個数100に対する残った個数xを、x/100と表示した。100/100であれば、密着性に優れている。
(耐溶剤性)
メチルエチルケトン(MEK)を含浸させたウェスを、図2に示すように、保護膜上に置き、室温環境下にて30分間放置後に、保護層の状態を確認して、保護膜にダメージがない場合を「○」、ダメージがある場合を「×」と評価した。
(硬化性)
JIS K5600―5―4に準じて、太佑機材株式会社製鉛筆引っかき試験機を用い、保護層の硬さを鉛筆の濃度記号で表した。鉛筆硬度がF以上であれば良好である。
(色目)
保護層の塗工前後の色目(YI)を、JIS K7373に準じて、日本分光株式会社製紫外可視近赤外線分光光度計「V−670」を用いて測定し、色目変化(ΔYI=塗工後のYI値−塗工前のYI値)を求めた。ΔYIが2.0以下であれば良好である。
(耐熱性)
ガスバリアフィルムをA5サイズ(148mm×210mm)にカットした後、150℃に設定された熱風循環炉の中に30分間放置した後の変形の有無を調べて、変形がない場合を耐熱性良好として「○」、変形がある場合を不良として「×」と示した。なお、フィルムは4隅に立てたピンの上に置き、フィルムの中央部がだれて下がった場合に、フィルムの軟化による変形が発生していると判断した。
(干渉ムラ)
検査照度800〜1000(lx)の三波長蛍光灯を用いて、黒背景下にて、製品から30〜50cm離し、30〜60°の検査角度を保ちながら、反射光で目視確認を行い、干渉ムラがない場合を「○」、干渉ムラがある場合を「×」と評価した。
(水蒸気透過度)
ガスバリアフィルムの水蒸気透過度をMOCON法により測定した。詳細には、乾燥筒で水分を除去された0%RHの空気を、図3に示すように、透過セル上部に流しておき、下部セル内に置いた調湿綿(相対湿度を保持できる飽和水溶液)から透湿してきた水蒸気を赤外センサーで検知し、水蒸気透過度を測定した。試験条件は、40℃、90%RHとした。
[実施例1]
(基材:COCフィルムの作製)
環状オレフィンコポリマーとして、TOPAS Advanced Polymers(TAP)社製の「TOPAS 6017」(ノルボルネンとエチレンの共重合比率=82:18、ガラス転移温度=180℃、MVR=1.5cm/10分、吸水率=0.01%、屈折率=1.53、光線透過率=91.6%)を用い、これを溶融押出法にて樹脂温度300℃、引取りロール温度130℃で、厚みが100μmになるようにフィルム(以下、COCフィルムという。)を作製した。得られたCOCフィルムの水蒸気透過度は0.4g/m/dayであった。
(ガスバリア層の形成)
成膜原料ガスとしてHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)と酸素を用いて、プラズマCVD法にて、上記基材の片面に対して、製膜厚=160nmの酸化珪素(SiO)からなる膜を成膜した。なお、表中のカーボンの含有率の測定は、X線光電子分光測定器(ESCA)で行った。
(保護層の形成)
エネルギー線硬化型樹脂組成物として、(A)芳香環含有ウレタンアクリレート20部、(B)カルボキシル基含有アクリレート60部、(C)多官能アクリレート(ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート、第一工業製薬(株)製「ニューフロンティアPET−3」)20部、(D1)光重合開始剤(α−ヒドロキシアルキルフェノン、BASF社製「Irugacure184」)3部、及び有機溶剤(メチルエチルケトン)20部からなる樹脂組成物を用いた。該樹脂組成物は、乾燥質量を基準とした酸価が120mgKOH/g、炭素二重結合含有量が4.4mol/kg(計算値)、芳香環含有量が1.3mol/kg(計算値)、二重結合含有量と芳香環含有量の合計値が5.7mol/kg(計算値)である。
(A)芳香環含有ウレタンアクリレートは次のようにして合成したものである。すなわち、フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(グリシジルエーテル系、エポキシ当量=2000g/eq)のアクリル酸エステル5944g(2モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル3.07g、キシレリンジイソシアネート188g(1モル)を仕込み、70〜80℃の条件にて、残存イソシアネート濃度が0.1%になるまで反応させることにより得られたものである。得られた芳香環含有ウレタンアクリレートの炭素−炭素二重結合含有量は0.67mol/kg、芳香環含有量は6.5mol/kgであった。
(B)カルボキシル基含有アクリレートは次のようにして合成したものである。すなわち、フラスコに、無水ヘキサヒドロフタル酸154g(1モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート116g(1モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.14g、酢酸ナトリウム0.54gを仕込み、70〜80℃の条件にて、酸価が208mgKOH/gになるまで反応させることにより得られたものである。得られたカルボキシル基含有アクリレートの炭素−炭素二重結合含有量は3.7mol/kg、芳香環含有量は0mol/kg、酸価は200mgKOH/gであった。
上記エネルギー線硬化型樹脂組成物を、上記ガスバリア層の表面に、キスリバースグラビアコート法を用いて、乾燥膜厚が6μmとなるように塗布した。塗布後、80℃×1分間の乾燥処理、および高圧水銀ランプで積算光量400mJ/cmの紫外線を照射することで、ガスバリアフィルムを作製した。
[実施例2]
光重合開始剤として、(D2)α−アミノアルキルフェノン(BASF社製「Irugacure907」)3部を用いた以外は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
[実施例3]
実施例1のエネルギー線硬化型樹脂組成物において、(A)成分の配合量を30部、(B)成分の配合量を50部、(C)及び(D1)成分は変更なし、有機溶剤を酢酸ブチル30部及びメチルエチルケトン30部とし、更に(E)シランカップリング剤(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製「KBM−5103」)を0.2部配合した(該樹脂組成物は、酸価が100mgKOH/g、炭素二重結合含有量が4.1mol/kg、芳香環含有量が2.0mol/kg、二重結合含有量と芳香環含有量の合計値が6.0mol/kg)。その他は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
[実施例4]
基材として、COCフィルムに代えて、PENフィルム(帝人デュポン社製「テオネックス Q65FA」、厚み100μm、ガラス転移温度=155℃、水蒸気透過度=1.1g/m/day)を用い、その他は、実施例3と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
[実施例5]
基材として、COCフィルムに代えて、COPフィルム(日本ゼオン社製「ゼオノア ZF16」、厚み100μm、ガラス転移温度=150℃、水蒸気透過度=0.3g/m/day)を用い、その他は、実施例3と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
[実施例6]
ガスバリア層の形成方法について、酸素の導入量を変更し、製膜厚を300nmとした他は実施例3と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
[実施例7]
基材として、COCフィルムに代えて、PETフィルム(東洋紡績社製「コスモサンシャイン A4300」、厚み100μm、ガラス転移温度=110℃、水蒸気透過度=10g/m/day)を用い、また、ガスバリア層の形成方法はSiターゲットを用いて、スパッタリング法にて成膜し、その他は、実施例3と同様にしてガスバリアフィルムを得た。具体的な成膜条件としては、DCパルス電源のスパッタリング装置を用いて、アルゴンガス流量35(sccm)および酸素ガス流量35(sccm)で導入しながら、電力密度6.4(W/cm)、動作圧力2.6×10−1(Pa)の条件で反応性スパッタリングを行った。
[比較例1]
保護層を形成する材料として、熱硬化性樹脂(日本精化社製「NSC−2451」)を用い、これをガスバリア層の表面に、キスリバースグラビアコート法を用いて、乾燥膜厚が4μmとなるように塗布し、塗布後、140℃×1分間にて熱処理することにより保護層を形成した。その他は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
[比較例2]
エネルギー線硬化型樹脂組成物として、(F)アクリルポリマー(大同化成社製「ダイカラックA−1235」、酸価=183mgKOH/g、Tg=20℃、分子量=10000)80部、(C)多官能アクリレート(ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート、第一工業製薬(株)製「ニューフロンティアPET−3」)20部、(D1)光重合開始剤(α−ヒドロキシアルキルフェノン、BASF社製「Irugacure184」)3部、及び酢酸ブチル100部からなる樹脂組成物を用いた。その他は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
[比較例3]
エネルギー線硬化型樹脂組成物として、(F)アクリルポリマー(大同化成社製「ダイカラックA−1235」)60部、(C)多官能アクリレート(ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート、第一工業製薬(株)製「ニューフロンティアPET−3」)40部、(D1)光重合開始剤(α−ヒドロキシアルキルフェノン、BASF社製「Irugacure184」)3部、及び酢酸ブチル100部からなる樹脂組成物を用いた。その他は、実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
[評価]
上記実施例及び比較例のガスバリアフィルムについて、密着性、耐溶剤性、硬化性、色目、耐熱性、干渉ムラ、ガスバリア性(水蒸気透過度)を評価した。結果を表1に示す。
表1に示されるように、実施例1〜7であると、紫外線硬化型樹脂による生産性に優れた保護層でありながら、ガスバリア層に対する密着性に優れ、また硬化性、耐溶剤性が良好であり、色目変化も抑えられていた。また、特に、基材としてCOCフィルムを用いた実施例1〜3及び6であると、耐熱性に優れ、また干渉ムラも抑えられていた。なお、実施例1については、保護層形成時の紫外線の照射エネルギーを2倍にすることで、耐溶剤性は良好になった。また、実施例2について色目変化が比較的大きかったのは、光重合開始剤によるものであると考えられる。
これに対し、比較例1では、保護層に熱硬化性樹脂を用いたものであるため、生産性に劣っており、また、COCフィルムを用いているにもかかわらず、干渉ムラが発生しており、光学特性に劣っていた。比較例2,3では、保護層に紫外線硬化型樹脂を用いていたものの、上記特定の芳香環含有ウレタンアクリレートとカルボキシル基含有アクリレートと多官能アクリレートを組み合わせたものでなかったため、ガスバリア層に対する密着性に劣り、耐溶剤性にも劣っていた。
Figure 0005752438
[基材COCフィルムの共重合比率の比較データ]
上記実施例3において、基材に用いた環状オレフィンコポリマー(COC)を下記表2の通りに変更し、その他は同様にしてガスバリアフィルムを得た。得られたガスバリアフィルムについて、耐熱性を評価したところ、実施例3に相当するNo.1では耐熱性が良好であったのに対し、ノルボルネンの共重合比率が低いNo.2及び3では、耐熱性に劣っていた。
Figure 0005752438
[基材COCフィルムのMVRの比較データ]
環状オレフィンコポリマー(COC)について、MVRが0.7cm/10分、1.8cm/10分、1.9cm/10分、2.2cm/10分の4種類の樹脂を用い、ペレット化した後、上記実施例1と同様にしてフィルム化して加工性を評価した。その結果、MVR=0.7cm/10分のものでは、ペレット化及びフィルム化ともに加工が困難であった。また、MVR=2.2cm/10分のものでは、得られるフィルムの強度が弱く、フィルム化が困難であった。これに対し、MVR=1.8cm/10分及びMVR=1.9cm/10分のものでは、ペレット化及びフィルム化の双方の加工性に優れていた。
10…ガスバリアフィルム、12…基材、14…ガスバリア層、16…保護層

Claims (5)

  1. 基材と、
    前記基材の少なくとも一方の面に設けたガスバリア層と、
    前記ガスバリア層上に設けた保護層とを有し、
    前記保護層が、(A)芳香環含有ウレタン(メタ)アクリレート、(B)カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、及び(C)多官能(メタ)アクリレートを含有し、乾燥質量1g当たりの酸価が80mgKOH/g以上130mgKOH/g以下であるエネルギー線硬化型樹脂組成物を用いて形成された
    ことを特徴とするガスバリアフィルム。
  2. 前記エネルギー線硬化型樹脂組成物が、さらにシランカップリング剤を含有していることを特徴とする請求項1記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記ガスバリア層が、少なくとも前記保護層との境界部において、酸化珪素を含有していることを特徴とする請求項1又は2記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記基材が、環状オレフィンコポリマーを成分として形成されたことを特徴とする請求項1〜3記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記環状オレフィンコポリマーは、ノルボルネンとエチレンとの共重合比率が質量比で80:20〜90:10であり、MVR(メルトボリュームレート)が0.8〜2.0cm/10分である環状オレフィンの付加共重合体であることを特徴とする請求項4記載のガスバリアフィルム。
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