JP6343250B2 - ガスバリアフィルム、有機電子装置、有機電界発光装置用基板、有機電界発光装置 - Google Patents

ガスバリアフィルム、有機電子装置、有機電界発光装置用基板、有機電界発光装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガスバリアフィルムに関する。本発明はまた、ガスバリアフィルムを用いた有機電子装置、有機電界発光装置用基板、および有機電界発光装置に関する。
水蒸気や酸素などを遮断する機能を有するガスバリアフィルムとして、基材となるプラスチックフィルム上に無機層が設けられたガスバリアフィルムは、高いバリア性を有するフィルムとして、様々な観点から開発が進められている。ガスバリアフィルムは、軽量で耐衝撃性があるため、有機電子装置の基板や封止部材として用いフレキシブルな有機電子装置を提供することができる(例えば、特許文献1および特許文献2)。
特開2005−251500号公報 特開2009−172991号公報
特許文献1に記載の有機電子素子用基板においては、ガスバリアフィルムを有機電子素子側に対して無機層が最表面となるように設け、無機層と有機電子素子中の電極層とが隣接するように有機電子素子が形成されている。このような構成で、有機電子素子に対する水分の影響を低く抑えることができる。しかし、無機層は損傷しやすく、無機層を最表面としてガスバリアフィルムを用いると、バリア性が低下する場合がある。損傷の防止のためには、保護層を設けることが考えられるが、保護層が含む水分が有機電子素子を劣化させる原因になるという問題がある。また、無機層の表面に保護層などの有機層を形成する際には、有機層にシランカップリング剤を添加して両者の密着性を向上させることが通例であるが、シランカップリング剤を含む有機層は含水しやすく、有機電子装置の基板や封止部材として用いることは好ましくない。
一方、特許文献2には、有機層の吸水率が1.0%未満であるガスバリアフィルムが開示されている。しかし、特許文献2には、有機層をガスバリアフィルムの最表面に形成することについての具体的な開示はない。特許文献2に記載の技術において、有機層の吸水率の調整はガスバリアフィルムの有機層の体積変化による無機層でのクラック発生を抑えるために行われているものであり、特許文献2は、有機層を保護層として用いる場合の課題を示すものではない。有機層を最表面に配して有機電子装置の基板や封止部材として用いる場合には、さらに高度な含水率等の調整とともに、その表面に設けられる電極、接着層などの機能層との密着性を検討する必要があるため、特許文献2には、有機層を最表面としたガスバリアフィルムを有機電子装置に用いた構成が、開示されているとはいえない。
本発明の課題は、耐傷性が高いとともに水分の放出が少ない表面を有し、その表面に機能層を設けた場合の密着性も良好であるガスバリアフィルムを提供することである。本発明はまた、有機電子素子が劣化しにくい有機電子装置、特に有機電界発光装置を提供することを課題とする。
本発明者は上記課題の解決のため鋭意検討し、特に保護層の組成について検討を重ね本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[14]を提供するものである。
[1]フィルム基材および無機層を含むガスバリアフィルムであって、
少なくとも一方の表面に保護層を有し、
上記無機層および上記保護層は互いに直接接しており、
上記保護層は含水率が1.0%未満であり、
上記保護層は、式Iで表される部分構造を有する化合物および3つ以上の官能基を含む多官能重合性化合物を含む組成物を硬化して得られる層である、ガスバリアフィルム。
[2]式Iで表される部分構造を有する化合物が、ポリスチレンまたはスチレンアクリル樹脂である[1]に記載のガスバリアフィルム。
[3]上記多官能重合性化合物が、一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する[1]または[2]に記載のガスバリアフィルム。
[4]上記多官能重合性化合物が、式IIで表される部分構造を有する[1]〜[3]のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
[5]上記保護層の元素の質量比がC:O=70〜99:30〜1であり、
上記保護層のCおよびOの総質量を100質量部としたときに、Nが0〜3質量部であり、かつFが0〜3質量部である[1]〜[4]のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
[6]上記保護層の膜厚が0.1〜2.0μmである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
[7]上記無機層が酸化窒化珪素または窒化珪素からなる[1]〜[6]のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
[8]上記フィルム基材と上記無機層との間に少なくとも一層の有機層を含む[1]〜[7]のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
[9]上記フィルム基材、有機層、無機層、有機層、上記保護層に直接接する無機層、上記保護層をこの順に含む[1]〜[7]のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
[10][1]〜[9]のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムを含む有機電子装置。
[11][1]〜[9]のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムおよび有機電界発光素子を含み、
上記保護層と上記有機電界発光素子とが直接接している有機電界発光装置用基板。
[12]上記有機電界発光素子が陽極、発光層、および陰極をこの順に含み、上記陽極が塗布により形成されている[11]に記載の有機電界発光装置用基板。
[13][11]または[12]に記載の有機電界発光装置用基板を含む有機電界発光装置。
[14]基板表面に有機電界発光素子が設けられた有機電界発光装置であって、
上記基板、上記有機電界発光素子、および[1]〜[9]のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムをこの順に含み、
上記ガスバリアフィルムの上記有機電界発光素子側の表面が上記保護層である有機電界発光装置。
本発明により、耐傷性が高いとともに水分の放出が少ない表面を有し、その表面に機能層を設けた場合の密着性も良好であるガスバリアフィルムが提供される。本発明のガスバリアフィルムを用いて有機電子素子が劣化しにくい有機電子素子基板および有機電子装置を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味を表す。「(メタ)アクリロイル基」等も同様である。
<ガスバリアフィルム>
本発明のガスバリアフィルムは、フィルム基材、無機層、および保護層をこの順に含む。本発明のガスバリアフィルムは、他の層を含んでいてもよい。例えば、保護層以外の有機層をさらに含むことも好ましい。本発明のガスバリアフィルムは、2層以上の無機層を含むものであってもよく、2層以上の有機層と2層以上の無機層とが交互に積層しているものであってもよい。
ガスバリアフィルムの層構成の好ましい例としては、以下が挙げられる。なお、記載順に積層されているものとする。
フィルム基材、無機層、保護層;
フィルム基材、有機層、無機層、保護層;
フィルム基材、無機層、有機層、無機層、保護層;
フィルム基材、有機層、無機層、有機層、無機層、保護層;
フィルム基材、無機層、有機層、無機層、有機層、無機層、保護層。
ガスバリアフィルムを構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には3層〜20層が好ましく、3〜10層がより好ましい。本発明のガスバリアフィルムは、フィルム基材、有機層、無機層、および保護層以外の機能層を有していてもよい。機能層については、特開2006−289627号公報の段落番号0036〜0038に詳しく記載されている。これら以外の機能層の例としてはマット剤層、耐溶媒層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層等が挙げられる。
ガスバリアフィルムの膜厚は10μm〜200μmであることが好ましく、20μm〜150μmであることがより好ましい。
[フィルム基材]
フィルム基材はプラスチックフィルムであればよい。用いられるプラスチックフィルムは、その上に設けられる無機層および保護層を含む積層体を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。フィルム基材としては特にポリエステル樹脂を好ましく用いることができる。
フィルム基材の膜厚は8μm〜200μmであることが好ましく、18μm〜150μmであることがより好ましい。
[無機層]
無機層は、通常、金属化合物からなる薄膜の層である。無機層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でも用いることができる。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。無機層は化学的気相成長法で形成することが好ましい。化学的気相成長法で形成した無機層は、表面が平滑であり、その表面に設けられる有機層との密着性が低くなることがある。本発明のガスバリアフィルムにおいては、化学的気相成長法で形成した無機層を保護層を設ける表面に用いても、保護層と無機層との十分な密着を得ることができる。
無機層に含まれる成分は、ガスバリア性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物または金属酸化炭化物であり、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、またはTaから選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物などを好ましく用いることができる。これらの中でも、Si、Al、In、Sn、Zn、Tiから選ばれる金属の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物が好ましく、特にSiの酸化物、Siの窒化物もしくはSiの酸化窒化物、またはAlの酸化物、Alの窒化物もしくはAlの酸化窒化物が好ましい。これらは、副次的な成分として他の元素を含有していてもよい。
無機層としては、特に、Si(珪素)を含む無機層が好ましい。より透明性が高く、かつ、より優れたガスバリア性を有しているからである。その中でも特に、酸化窒化珪素または窒化珪素からなる無機層が好ましい。
無機層は、例えば、金属の酸化物、窒化物もしくは酸窒化物が水素を含むことにより、水素を含んでいてもよいが、前方ラザフォード散乱における水素濃度が30%以下であることが好ましい。
無機層の平滑性は、1μm角(1辺が1μmの正方形)の平均粗さ(Ra値)として3nm未満であることが好ましく、1nm以下がより好ましい。
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層につき、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは15〜50nmである。1層の無機層は複数のサブレイヤーから成る積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
本発明のガスバリアフィルムが、2層以上の無機層を含むとき、2層以上の無機層はその組成、形成方法、膜厚等において、同一であっても異なっていてもよい。2層以上の無機層はその組成において同一であることが好ましく、組成および形成方法において、同一であることがより好ましい。
[保護層]
本発明のガスバリアフィルムは少なくとも一方の表面に保護層を有する。表面に保護層を有することによって、本発明のガスバリアフィルムにおいては高い耐傷性が得られ、特にバリア性に関わる無機層を保護することができる。本発明のガスバリアフィルムにおいて、保護層は、ガスバリアフィルム中の少なくとも1層の無機層と直接接している。
保護層は後述する有機層の一種であるが、本明細書においては、ガスバリアフィルムの少なくとも一方の表面に無機層と直接接して設けられている有機層を保護層という。さらに保護層は、以下で説明する性質や組成を有する。本明細書においては、有機層と保護層とは区別して用いられる。
保護層は含水率が1.0%未満である。このような保護層によりガスバリアフィルムに水分の放出が少ない表面を与えることができる。含水率は0.7%以下であることが好ましく、0.6%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、含水率は、JIS K0113の記載に従ってカールフィッシャー法で求めた値である。また、含水率は、保護層を0.133Pa(1×10-3torr)の真空オーブンにおいて110℃で一晩乾燥させた後、25℃、50%RH(相対湿度)の環境下に3日間放置した後測定したものとする。
保護層は、C(炭素原子)およびO(酸素原子)元素の質量の比が、C:O=70〜99:30〜1であることが好ましく、C:O=80〜99:20〜1であることがより好ましい。
また、保護層は、C(炭素原子)およびO(酸素原子)の総質量を100質量部としたときに、N(窒素原子)が0〜3質量部であることが好ましく、0〜1質量部であることがより好ましく、0質量部であることがさらに好ましい。
さらに、保護層は、C(炭素原子)およびO(酸素原子)の総質量を100質量部としたときに、F(フッ素原子)が0〜3質量部であることが好ましく、0〜1質量部であることがより好ましく、0質量部であることがさらに好ましい。
上記のC(炭素原子)およびO(酸素原子)の質量比、N(窒素原子)の含量、およびF(フッ素原子)の含量を同時に満たすことが特に好ましい。
上記のように、保護層の組成を調整することにより、含水率が低く、接着剤との密着性の高い層が得られやすい。C、O、N、およびFの元素の質量の比は用いた保護層形成用組成物の組成から求めることができるが、形成された保護層から直接CおよびOの元素の質量の比を確認する場合には、ESCA (electron spectroscopy for chemical analysis:化学分析用電子分光法)での測定値から求めるものとする。ESCAの具体的な測定条件の一例としては、以下の測定条件を挙げることができる。
装置:Ulvac−PHI社Quantera SXM型ESCA
X線源: Al−Ka線100μm×25W×15kV
測定範囲:300μm×300μm
(保護層形成用組成物)
保護層は、式Iで表される部分構造を有する化合物および3つ以上の官能基を含む多官能重合性化合物を含む組成物を硬化して得られる層である。以下、この組成物を「保護層形成用組成物」ということがある。
式I中、波線は化合物の構造の他の部分との結合を示す。このとき結合は単結合であればよい。本発明者は、ガスバリアフィルムの表面に設ける保護層を形成するための化合物として上記の部分構造を有する化合物を用いることにより、含水率が低く、かつ十分な硬度を有する保護層が得られることを見出した。
式Iで示される部分構造は、多官能重合性化合物に含まれていてもよく、多官能重合性化合物以外の保護層形成用組成物中の化合物に含まれていてもよい。例えば、式Iで示される部分構造を含むポリマーが保護層形成用組成物に含まれていてもよい。式Iで示される部分構造を含むポリマーの例としては、ポリスチレン、スチレンアクリル樹脂等が挙げられるが、ポリスチレンが最も好ましい。ポリスチレン、スチレンアクリル樹脂の分子量は重量平均分子量で5000以上であればよく、5000〜1000000であることが好ましく、10000〜500000であることがより好ましい。
本明細書において、重量平均分子量(以下Mwと略記)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値とする。GPCの具体的な測定条件の一例としては、以下の測定条件を挙げることができる。
GPC装置:HLC−8320(東ソー製):
カラム:TSK gel SuperHZM−H、TSK gel SuperHZ4000、TSK gel SuperHZ2000併用、(東ソー製、4.6mmID(内径)×15.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
保護層形成用組成物に含まれる多官能重合性化合物は3つ以上の官能基を有する。多官能重合性化合物は3つの官能基を有することがより好ましい。
多官能重合性化合物が有する官能基の例としては、エチレン性不飽和結合を有する基、エポキシ基、およびオキセタニル基などが挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基の例としては、(メタ)アクリロイル基、スチリル基が挙げられる。官能基としては、(メタ)アクリロイル基が最も好ましい。多官能重合性化合物の例としては、特開2013−43382号公報の段落0025〜0027に記載の化合物などを例示できる。保護層形成用組成物にはスチリル基を有する重合性化合物が含まれ、硬化により、上記の部分構造を形成していてもよい。
多官能重合性化合物は、一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有することも好ましい。また、多官能重合性化合物は、以下式IIで示される部分構造を有することも好ましい。
式II中、波線は化合物の構造の他の部分との結合を示す。このとき結合は単結合であればよい。また、多官能重合性化合物中の酸素原子は炭素原子または水素原子と結合することが好ましく、炭素原子のみと結合していることがより好ましい。(例えば、多官能重合性化合物は構造中にOH基を含んでいないことが好ましい。)保護層の含水率を下げることができるからである。
式IIで示される部分構造を有する多官能重合性化合物の例を以下に例示する。
保護層形成用組成物として、具体的には、式Iで示される部分構造を含むポリマーと一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能重合性化合物とを含む組成物、式Iで示される部分構造および3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能重合性化合物を含む組成物が挙げられる。式Iで示される部分構造を含むポリマーと一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能重合性化合物の含有量との質量比は、2:8〜8:2であることが好ましく、3:7〜7:3であることがより好ましく、4:6〜6:4であることがさらに好ましい。
保護層形成用組成物は、保護層形成用組成物の全固形分(揮発分が揮発した後の残分)に対し、フッ素系アクリレートを1質量%以下含むことが好ましく、0.5質量%以下含むことがより好ましく、0.1質量%以下含むことがさらに好ましい。フッ素系アクリレートの含量を上記のように低く抑えることにより、保護層の表面に設けられる機能層との密着不良を生じにくくすることができる。また、保護層形成用組成物は、保護層形成用組成物の全固形分に対し、シランカップリング剤を10質量%以下含むことが好ましく、5質量%以下含むことがより好ましく、1質量%以下含むことがさらに好ましい。シランカップリング剤の含量を上記のように低く抑えることにより、保護層を含水しにくくすることができる。
保護層形成用組成物はさらに、重合開始剤、溶媒などを含んでいてもよい。重合開始剤、溶媒などは、それぞれ、以下で説明する有機層形成用組成物で用いられるものと同様のものを用いることができる。また、保護層形成用組成物からの保護層の形成は、無機層表面に保護層形成用組成物を塗布し、その塗布膜を硬化することにより行えばよい。具体的には以下で説明する有機層形成用組成物からの有機層の形成と同様に行えばよい。
保護層の膜厚は0.1〜2.0μmであることが好ましく、0.1〜1.0μmであることがより好ましい。
[有機層]
本発明のガスバリアフィルムは、有機層を含んでいてもよい。有機層は、保護層に直接接している無機層とフィルム基材との間に含まれていればよい。本発明のガスバリアフィルムは、2層以上の有機層を含んでいてもよく、2層以上の有機層の組成は同一であっても、異なっていてもよい。
有機層は、有機層形成用組成物の硬化により形成することができる。有機層形成用組成物は重合性化合物を含み、その他、重合開始剤、シランカップリング剤等を含んでいてもよい。
有機層形成用組成物は保護層形成用組成物と同じであっても、異なっていてもよいが、異なっていることが好ましい。特に、有機層形成用組成物は式Iで示される部分構造を有する化合物を実質的に含んでいないことが好ましく、保護層形成用組成物中の式Iで示される部分構造を有する化合物の含量(質量%)の10質量%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。また、有機層形成用組成物はポリマーを実質的に含んでいないことが好ましく、有機層形成用組成物の全固形分に対し、ポリマーの含量が10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
また、有機層の含水率は1.0%未満であっても、1.0%以上であってもよい。例えば、1.0%〜3.0%であってもよい。
(重合性化合物)
上記重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物、および/または、エポキシまたはオキセタンを末端または側鎖に有する化合物であることが好ましい。重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物が特に好ましい。エチレン性不飽和結合を末端または側鎖に有する化合物の例としては、(メタ)アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物、無水マレイン酸等が挙げられ、(メタ)アクリレート系化合物が好ましく、特にアクリレート系化合物が好ましい。
(メタ)アクリレート系化合物としては、(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートやポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が好ましい。
(メタ)アクリレート系化合物として具体的には、例えば特開2013−43382号公報の段落0024〜0036または特開2013−43384号公報の段落0036〜0048に記載の化合物を用いることができる。また、WO2013/047524に記載のフルオレン骨格を有する多官能アクリルモノマーを用いることもできる。
重合性化合物は、重合性組成物の固形分に対し、90質量%以上含まれていることが好ましく、99質量%以上含まれていることがより好ましい。
有機層を形成するための組成物において重合性化合物は2種類以上含まれていてもよい。
(重合開始剤)
有機層形成用組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤を用いる場合、その含量は、重合に関与する化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜5モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。光重合開始剤の例としてはBASF社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が挙げられる。
有機層形成用組成物中の重合開始剤の含量は、重合性化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜2.0モル%であることがより好ましい。
(シランカップリング剤)
有機層形成用組成物は、シランカップリング剤を含んでいてもよい。シランカップリング剤としては、ケイ素に結合するメトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基等の加水分解可能な反応性基とともに、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、ハロゲン基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基から選択される1つ以上の反応性基を有する置換基を同じケイ素に結合する置換基として有するものが好ましい。シランカップリング剤は、(メタ)アクリロイル基を有していること特に好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、WO2013/146069に記載の一般式(1)で表されるシランカップリング剤およびWO2013/027786に記載の一般式(I)で表されるシランカップリング剤などが挙げられる。
シランカップリング剤の、有機層形成用組成物の全固形分(揮発分が揮発した後の残分)中に占める割合は、0.1〜30質量%が好ましく、1.0〜20質量%がより好ましい。
(溶媒)
有機層形成用組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒の例としては、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン、エステル系の溶媒:2−ブタノン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン、またはこれら溶媒のいずれか2つ以上の混合溶媒が挙げられる。これらのうち、メチルエチルケトンが好ましい。
有機層形成用組成物の上記溶媒の含量は、有機層形成用組成物全量に対し、60〜97質量%が好ましく、70〜95質量%がより好ましい。
[有機層の作製方法]
有機層の作製のため、有機層形成用組成物はまず、層状とされる。層状にするためには、フィルム基材上に、有機層形成用組成物を塗布すればよい。塗布は、フィルム基材表面や無機層表面に行えばよい。塗布方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法(ダイコート法とも呼ばれる)が例示され、この中でもエクストル−ジョンコート法が好ましく採用できる。
有機層形成用組成物は上記の塗布後、塗布膜として乾燥されてもよい。
有機層形成用組成物は、光(例えば、紫外線)、電子線、または熱線にて、硬化させればよく、光によって硬化させることが好ましい。特に、有機層形成用組成物を25℃以上の温度(例えば、30〜130℃)をかけて加熱しながら、硬化させることが好ましい。加熱により、有機層形成用組成物の自由運動を促進させることで効果的に硬化させ、かつ、フィルム基材等にダメージを与えずに成膜することができる。
照射する光は、高圧水銀灯もしくは低圧水銀灯による紫外線であればよい。照射エネルギーは0.1J/cm2以上が好ましく、0.5J/cm2以上がより好ましい。
重合性化合物は空気中の酸素によって重合阻害を受けるため、重合時の酸素濃度もしくは酸素分圧を低くすることが好ましい。窒素置換法によって重合時の酸素濃度を低下させる場合、酸素濃度は2%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましい。減圧法により重合時の酸素分圧を低下させる場合、全圧が1000Pa以下であることが好ましく、100Pa以下であることがより好ましい。
硬化後の有機層形成用組成物における重合性化合物の重合率は20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。ここでいう重合率とはモノマー混合物中の全ての重合性基(例えば、アクリロイル基およびメタクリロイル基)のうち、反応した重合性基の比率を意味する。重合率は赤外線吸収法によって定量することができる。
有機層は、平滑で、膜硬度が高いことが好ましい。有機層の平滑性は1μm角の平均粗さ(Ra値)として3nm未満であることが好ましく、1nm未満であることがより好ましい。
有機層の膜厚は特に制限はないが、脆性や光透過率の観点から、50nm〜5000nmが好ましく、200nm〜3500nmがより好ましい。
有機層の表面にはパーティクル等の異物、突起が無いことが要求される。このため、有機層の成膜はクリーンルーム内で行われることが好ましい。クリーン度はクラス10000以下が好ましく、クラス1000以下がより好ましい。
有機層の硬度は高いことが好ましい。有機層の硬度が高いと、無機層が平滑に成膜されその結果としてバリア能が向上することがわかっている。有機層の硬度はナノインデンテーション法に基づく微小硬度として表すことができる。有機層の微小硬度は100N/mm以上であることが好ましく、150N/mm以上であることがより好ましい。
(有機層と無機層の積層)
有機層と無機層の積層は、所望の層構成に応じて有機層と無機層を順次繰り返し製膜することにより行うことができる。
<有機電子装置>
本発明のガスバリアフィルムは空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化する有機電子装置に好ましく用いることができる。有機電子装置の例としては、例えば、有機電界発光装置、液晶表示素子装置、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池等を挙げることができる。
[有機電界発光装置]
有機電界発光装置は、基板、有機電界発光素子、および封止部材を基板の厚み方向でこの順に含む部位を含む構造を有する。なお、「有機電界発光装置」は、本明細書において、「有機ELデバイス」ということもある。本発明のガスバリアフィルムは有機電界発光装置においては、有機電界発光素子を設けるための基板、または有機電界発光素子の封止のための封止部材に好ましく用いることができる。
本発明のガスバリアフィルムを基板として用いた有機電界発光装置用基板においては、ガスバリアフィルムと有機電界発光素子との密着性が良い。特に、本発明のガスバリアフィルムの保護層の表面に、例えば電極形成用材料を形成した際にも形成された層との密着性が良い。
有機電界発光素子の封止形態の1つに固体封止法が挙げられるが、その態様は、基板上の有機電界発光素子の上に保護層を形成した後、接着層、ガスバリアフィルムを重ねて硬化する方法である。本発明のガスバリアフィルムの保護層は、接着層との密着性も良好である。接着層形成のための接着剤は特に制限はないが、熱硬化性エポキシ樹脂、光硬化性エポキシ樹脂、光硬化性アクリレート樹脂等が挙げられる。中でも、水蒸気を透過しにくいという観点から、光硬化性エポキシ樹脂が好ましい。
ガスバリアフィルムを用いた有機ELデバイスの例は、特開2007−30387号公報に詳しく記載されている。また、有機TFTデバイスでは、λ/4板の機能を併せ持つガスバリアフィルムとして、デバイスに組み込むことが可能である。
(有機電界発光素子)
有機電界発光素子は、陰極となる電極と陽極となる電極とを含み、さらに2つの電極の間に有機電界発光層とを含む構成を有する。
電極は、有機電界発光装置において、基板側となる一方の電極または封止部材側となる電極のいずれか一方が反射電極であって、他方の電極が透明電極であればよい。基板側となる一方の電極が反射電極であって、封止部材側となる電極が透明電極であることも好ましい。
有機電界発光層は、少なくとも発光層を有し、さらに発光層以外の機能層として、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層を含んでいてもよい層を意味する。
有機電界発光層、有機電界発光層中各層、各電極の作製材料や構成、積層順、および有機電界発光装置の構成については、特開2012−155177号公報の段落0081〜0122の記載を参照することができる。
有機電界発光素子における上記陽極は、塗布により形成することが好ましい。陽極は印刷により形成されたものであってもよい。陽極は、銀、アルミニウム、金、銅などの金属を含む導電性インクや、有機導電性高分子を含む組成物を塗布することで形成することができる。その中でも、有機導電性高分子を含む組成物を塗布することで形成されていることが好ましい。有機導電性高分子の例としては、特開2014−197500号公報の段落0015〜0020に記載の有機導電性高分子を挙げることができる。陽極は、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸、またはポリビニルスルホン酸等を含んでいてもよい。陽極の形成方法としては、特開2014−197500号公報の段落0035〜0043の導電膜の形成方法に関する記載を参照することができる。
また、陽極と基板との間には、特開2014−197500号公報の段落0055に記載の配線を有することも好ましい。配線は、陽極よりも抵抗が低い配線であればよい。配線は、銀、アルミニウム、金、銅などの金属を含んでいればよい。配線は、上記金属を真空蒸着してフォトリソグラフィーやマスクを用いたエッチングなどにより形成することができる。また、上記金属を含む導電性インクの印刷、塗布等によって形成することもできる。
(基板、封止部材)
基板および封止部材それぞれの形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。形状としては、例えば平板状などが挙げられる。構造としては、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。大きさは、機能性積層材料の大きさ等に応じて適宜選択することができる。基板および封止部材から選択されるいずれか一つ以上には本発明のガスバリアフィルムが用いられる。有機電界発光素子側の最表面を保護層とすればよい。基板および封止部材から選択されるいずれか一つには、ガラス(無アルカリガラス、ソーダライムガラス等)等の無機材料を用いてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[実施例1]
(保護層形成用組成物の作製)
下記の配合で保護層形成用組成物を調製した。固形分濃度は15質量%とした。

P1:ポリスチレン
(シグマアルドリッチ社製、重量平均分子量35000) 11.5質量部
A1:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
(新中村化学工業社製、AD−TMP) 17.0質量部
紫外線重合開始剤:ESACURE KTO46(ランベルティ社製) 1.5質量部
酢酸エチル 15質量部
2−ブタノン 155質量部
(保護層の含水率の測定)
保護層形成用組成物をシャーレ上に10g加え、80℃で5分乾燥させた後、窒素置換法により酸素濃度を0.1%としたチャンバー内で高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)することで硬化させた。得られた硬化物を、0.133Pa(1×10-3torr)の真空オーブン内で、110℃で一晩乾燥させた。25℃50%RHの環境下に3日間放置したときの含水率をカールフィッシャー法にて測定し、保護層の含水率を算出した。カールフィッシャー法については、JIS K0113の記載に従った。
(バリアフィルムの作製)
基材、第一有機層、第一無機層、第二有機層、第二無機層、保護層を有するガスバリアフィルムを作製した。
基材として厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡社製、A4300)を用意した。
TMPTA(ダイセル・オルネクス社製)28.5g、紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)1.5g、2−ブタノン(和光純薬工業社製)170gを混合し、第一有機層を成膜するための塗料を調製した。塗料は、固形分濃度15質量%であった。
調製した塗料を、用意した上記基材(PETフィルム)の表面に塗布した。塗布は、ダイコーターを用い、第一有機層の膜厚が1μmとなるように行った。塗布後、80℃のオーブンで3分間乾燥させた。
次いで、窒素置換法により酸素濃度を0.1%としたチャンバー内で高圧水銀ランプの紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)することで塗料を硬化させ、第一有機層を得た。
この第一有機層の上に、第一無機層として、膜厚が40nmの窒化ケイ素膜を形成した。
無機層の形成は、CCP(容量結合プラズマ方式)−CVD装置(サムコ株式会社製)を用いて行った。原料ガスは、シランガス(流量160sccm:0℃、1気圧の標準状態、以下同様)、アンモニアガス(流量370sccm)、水素ガス(流量590sccm)、および窒素ガス(流量240sccm)を用いた。成膜圧力は40Paとした。電源は周波数13.56MHzの高周波電源を用い、プラズマ励起電力を2.5kWとし、第一無機層を得た。
この第一無機層の上に、第二有機層を形成した。
TMPTA(ダイセル・オルネクス社製)21.5g、KBM−5103(信越化学工業社製)5.5g、KAYAMER PM−21(日本化薬社製)1.0g、紫外線重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)1.5g、2−ブタノン(和光純薬工業社製)170gを混合し、第二有機層を成膜するための塗料を調製した。塗料は、固形分濃度15質量%であった。
第一無機層の上に、調製した塗料を用いて、第一有機層と同様にして、膜厚が1μmの第二有機層を形成した。
さらに、第二有機膜の上に、第一無機層と同様にして、膜厚が40nmの窒化ケイ素膜を第二無機層として形成した。
さらに、第二無機層の上に、保護層形成用組成物を用いて、第一有機層と同様にして、膜厚が0.2μmの保護層を形成した。
これにより、基材の表面に、第一有機層、第一無機層、第二有機層、第二無機層、保護層を有するガスバリアフィルムを得た。
得られたガスバリアフィルムのガスバリア性(水蒸気透過率)を、カルシウム腐食法(特開2005−283561号公報に記載される方法)によって測定したところ、1×10-5(g/(m2・day))であった。
(無機層との密着性)
JIS K5400に準拠したクロスカット剥離試験により、保護層の第二無機層に対する密着性を評価した。
得られたガスバリアフィルムに、カッターナイフを用いて、膜面に対して90°の角度の切り込みを1mm間隔で入れ、100膜片からなる1mm間隔の格子パターンを作製した。この上に2cm幅のマイラーテープ(日東電工社製、ポリエステルテープ、No.31B)を貼り付け、膜面に対して90°の方向にテープを剥がすという行為を3回行った。保護層が残存した膜片の数を数え、以下の基準で評価した。
A:残存膜片数が100個
B:残存膜片数が91〜99個
C:残存膜片数が81〜90個
D:残存膜片数が80個以下
(耐傷性)
JIS K5600−5−5に準拠したサファイア針による引っ掻き試験を行った後、上記の方法でバリアフィルムの水蒸気透過率を測定し、引っ掻き試験による水蒸気透過率の低下の有無を評価した。
連続加重式引掻強度試験機(HEIDON社製、TYPE:18/18L)にて、直径0.5mmのサファイア針を用いて、重り10g、10mm/sec.の速度で引っ掻いた。引っ掻いたバリアフィルムの水蒸気透過率により以下の基準で評価した。
A:1×10-5g/(m2・day)未満
B:1×10-5g/(m2・day)以上、1×10-4g/(m2・day)未満
C:1×10-4g/(m2・day)以上
(接着剤との密着性)
JIS Z 0237に準拠した剥離試験により、バリアフィルムと接着剤との密着性を評価した。
大型スライドグラス(松浪ガラス社製、S9213)上に、25mm×50mmの領域で接着剤(ナガセケムテックス社製、XNR5516Z)を塗布した。その上に20mm×150mmに裁断したバリアフィルムを、保護層が接着剤と接するように貼りあわせた。メタルハライドランプの紫外線を照射(積算照射量約6J/cm2)し、接着剤を硬化させ、密着性試験用サンプルを作製した。接着剤の厚さは約10μmであった。
サンプルを25℃50%環境下で2日間調湿した後、剥離試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS−100NX)を用いて、180℃方向に、300mm/分の速度でバリアフィルムを剥離した。
(有機電界発光素子の作製)
40mm角に裁断したガスバリアフィルムを基板として用意した。
ガスバリアフィルムの保護層の表面に、引き出し電極(配線)として、Alを200nm蒸着した。その上に、PEDOT・PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸、シグマアルドリッチ社製、Orgacon S305)を100nmの膜厚になるように、スピンコーターを用いて塗布した。130℃のオーブンで30分乾燥させて、陽極を形成した。形成された陽極表面に、正孔輸送層としてα−NPD:Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidineを29nm、CBP(4,4’−Bis(carbazol−9−yl)biphenyl)をホスト材料として5%のIr(ppy)3(Tris(2−phenylpyridinato)iridium)をドープした発光層を20nm、正孔ブロック層としてBAlq(Bis−(2−methyl−8− quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))層を10nm、電子輸送層としてAlq3(Tris(8−hydroxy−quinolinato)aluminium)層を20nmの膜厚で、この順にそれぞれ蒸着して有機電界発光層を形成した。
続けて、得られた有機発光層の表面にLiFを0.5nm、Alを100nmの膜厚で、この順に蒸着して陰極を成膜し、バリアフィルムの表面に有機電界発光素子を形成した。
(有機ELデバイスの作製)
33mm角の封止用キャップガラスに接着剤(ナガセケムテックス社製、XNR−5516Z)をディスペンサーを用いて塗布した。窒素雰囲気中で、有機電界発光素子を、接着剤を塗布したキャップガラスで封止した。メタルハライドランプの紫外線を照射(積算照射量約6J/cm2)し、接着剤を硬化させ、有機ELデバイスを形成した。
(耐久性評価)
有機ELデバイスを60℃のオーブンに500時間放置した。保護層の含水(アウトガス)の影響を評価するために、有機ELデバイス外部からの水分侵入をできるだけ抑えられるような環境で評価を行った。
放置後の有機ELデバイスを、ソースメジャーユニット(Keithley社製、SMU2400型)を用いて7Vの電圧を印加して発光させた。顕微鏡を用いて発光面を観察して、発光面に対するダークスポットの総面積を以下の基準で評価した。
AA:ダークスポットの総面積が5%未満
A:ダークスポットの総面積が5〜10%
B:ダークスポットの総面積が10〜40%
C:ダークスポットの総面積が40%を超える
[実施例2〜3、比較例1〜7]
表1,2に示した化合物(いずれもポリマー11.5質量部、アクリレート17.0質量部)で保護層を作製した以外は実施例1と同様にして、バリアフィルムの作製、有機ELデバイスの作製、評価を実施した。
使用した化合物
A2:イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)(新中村化学工業社製、A−9300)
A3:1,6-ビス(アクリロイルオキシ)-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロヘキサン(東京化成工業社製)
A4:アクリルオリゴマー(ダイセルオルネクス社製、KRM8912)
A5:トリメチロールプロパントリアクリレート(ダイセルオルネクス社製)
A6:ネオペンチルグリコールジアクリレート(共栄社化学社製)
P2:ウレタンアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8BR500MB)
[実施例4〜5、比較例8〜9]
実施例1と同様の保護層形成用組成物を使用し、表3に示した膜厚で保護層を作製した以外は、実施例1と同様にして、バリアフィルムの作製、有機ELデバイスの作製、評価を実施した。
以上の結果を表1〜表3に示す。

Claims (14)

  1. フィルム基材および無機層を含むガスバリアフィルムであって、
    少なくとも一方の表面に保護層を有し、
    前記無機層および前記保護層は互いに直接接しており、
    前記保護層は含水率が1.0%未満であり、
    前記保護層は、式Iで表される部分構造を有する化合物および3つ以上の官能基を含む多官能重合性化合物を含む組成物を硬化して得られる層である、ガスバリアフィルム。
  2. 式Iで表される部分構造を有する化合物が、ポリスチレンまたはスチレンアクリル樹脂である請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記多官能重合性化合物が、一分子中に(メタ)アクリロイル基を3個以上有する請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記多官能重合性化合物が、式IIで表される部分構造を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記保護層の元素の質量比がC:O=70〜99:30〜1であり、
    前記保護層のCおよびOの総質量を100質量部としたときに、Nが0〜3質量部であり、かつFが0〜3質量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  6. 前記保護層の膜厚が0.1〜2.0μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  7. 前記無機層が酸化窒化珪素または窒化珪素からなる請求項1〜6のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  8. 前記フィルム基材と前記無機層との間に少なくとも一層の有機層を含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  9. 前記フィルム基材、有機層、無機層、有機層、前記保護層に直接接する無機層、前記保護層をこの順に含む請求項1〜7のいずれか一項に記載のガスバリアフィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムを含む有機電子装置。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムおよび有機電界発光素子を含み、
    前記保護層と前記有機電界発光素子とが直接接している有機電界発光装置用基板。
  12. 前記有機電界発光素子が陽極、発光層、および陰極をこの順に含み、
    前記陽極が塗布により形成されている請求項11に記載の有機電界発光装置用基板。
  13. 請求項11または12に記載の有機電界発光装置用基板を含む有機電界発光装置。
  14. 基板表面に有機電界発光素子が設けられた有機電界発光装置であって、
    前記基板、前記有機電界発光素子、および請求項1〜9のいずれか一項に記載のガスバリアフィルムをこの順に含み、
    前記ガスバリアフィルムの前記有機電界発光素子側の表面が前記保護層である有機電界発光装置。
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