JP6644998B2 - アンテナ構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、アンテナに関する。
基材上にパターニングされた金属銀の層(銀層)が設けられた積層体は、通信機器等の電子機器において、配線、電極、アンテナ等を構成するのに利用される。
銀層は、例えば、金属銀又はその形成材料が配合されてなる銀インク組成物を調製し、この組成物を基材上に付着させ、付着させた組成物を加熱(焼成)処理する手法により形成される。
金属銀の形成材料としては、これまで、無機化合物である酸化銀が幅広く用いられてきた。酸化銀を用いる場合には、粒子状の酸化銀をバインダーに分散させ、これに還元剤を添加して銀インク組成物を調製し、この組成物を基材に塗工して加熱する。このようにすることで、酸化銀が還元され、生成した金属銀が相互に融着し、金属銀を含む層が形成される。
これに対して、銀インク組成物としては、銀錯体及び金属銀粒子を含むものも開示されている(特許文献1参照)。このような銀インク組成物は、上記の酸化銀を用いたものとは異なり、バインダーを含有していないため、形成された金属銀はこのバインダー由来成分を含有しない分だけ高純度となる。また、このような銀インク組成物は、印刷技術をはじめ、幅広い塗工方法が適用可能であり、アンテナの製造原料としても有望である。
特表2008−531810号公報
しかし、特許文献1で開示されている、比較的高純度の金属銀を形成可能な銀インク組成物を用いても、製造されたアンテナの通信性能にはまだ改良の余地があるという問題点があった。特にUHF帯以上の高周波帯域における通信性能の向上が望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を用いて得られた、通信性能に優れたアンテナを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、基材上にアンテナが直接接して設けられたアンテナ構造体であって、前記アンテナは、金属銀で構成され前記アンテナの共振周波数における最大利得が、前記アンテナの絶対利得の0.9倍以上であり、前記最大利得が、下記式(III)
利得(dB)=10Log[利得’] ・・・(III)
における「利得’」の最大値であり、前記金属銀が、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀を用いて形成されたものであり、前記アンテナの厚さが、4.7〜20μmである、アンテナ構造体を提供する
Figure 0006644998
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
本発明によれば、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を用いて得られた、通信性能に優れたアンテナが提供される。
本発明のアンテナの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のアンテナについて、透過特性S21の測定方法を説明するための概略図である。 実施例及び比較例のアンテナについて、透過特性S21の測定結果を示すグラフである。 実施例及び比較例のアンテナについて、反射損失S11の測定結果を示すグラフである。 実施例及び比較例のアンテナについて、利得の算出結果を示すグラフである。
以下、本発明について、詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示すものに限定されず、例えば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、いずれかの構成の追加、省略若しくは置換、又はその他の構成の変更(例えば、量、数、位置、大きさ等)が可能である。
<<アンテナ>>
本発明のアンテナは、金属銀で構成されたアンテナであって、前記アンテナの共振周波数における最大利得が、前記アンテナの絶対利得の0.9倍以上となるものである。
本発明のアンテナは、このような特性を有し、通信性能、特にUHF帯以上の高周波帯域における通信性能に優れる。
図1は、本発明のアンテナの一実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示すアンテナ1は、プレート状であり、基材9の一方の表面(主面)9a上に設けられている。
本発明においては、このように、基材上にアンテナが設けられたものを「アンテナ構造体」と称することがある。図1では、アンテナ構造体を符号10で示している。
図1(a)に示すアンテナ1は、基材9の一方の表面9aの一部の領域に設けられている。これに対して、図1(b)に示すアンテナ1は、基材9の一方の表面9a全面に設けられている。このように、本発明のアンテナの大きさは、目的に応じて任意に選択できる。
本発明のアンテナ及びアンテナ構造体は、図1に示すものに限定されず、例えば、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1に示すものにおいて一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図1(a)に示すように、基材の表面の一部の領域に設けられているアンテナは、パターニングされていてもよい。
また、例えば、図1に示すアンテナ構造体は、基材上にアンテナを備えたものであるが、基材及びアンテナ以外に、その他の層を備えたものであってもよい。前記その他の層としては、例えば、基材とアンテナとの間に設けられる受容層(図示略)、及びアンテナを被覆するオーバーコート層(図示略)等が挙げられる。前記受容層は、基材とアンテナとの密着性を向上させるものである。
次に、各層の構成について、より詳細に説明する。
前記基材は、目的に応じて任意の形状を選択でき、例えば、フィルム状又はシート状であることが好ましい。
前記基材の厚さは、アンテナを安定して形成できれば、特に限定されないが、10〜5000μmであることが好ましい。
基材の材質は、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
また、基材の材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックスや、紙が挙げられる。
また、基材は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、2種以上の材質を併用したものでもよい。
基材は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。基材が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、基材の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
本発明のアンテナは、金属銀で構成される。
前記金属銀は、これを形成するための組成物(銀インク組成物)を調製し、これを前記基材の所望の箇所に付着させ、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成されたものが好ましい。加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。前記銀インク組成物については、後ほど詳細に説明する。
本発明のアンテナは、ダイポール型であることが好ましい。
本発明のアンテナの厚さは、特に限定されないが、0.01〜20μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましい。アンテナの厚さが前記下限値以上であることで、アンテナの通信性能がより向上する。また、アンテナの厚さが前記上限値以下であることで、アンテナの厚さが過剰となることを避けられる。
本発明のアンテナ、すなわち、金属銀の層は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。アンテナが複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
アンテナが複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましいアンテナの厚さとなるようにするとよい。
ただし、本発明のアンテナは、単層からなるものでも十分にその機能を発現する。
本発明のアンテナの共振周波数(以下、「f」と称することがある)における最大利得は、本発明のアンテナの絶対利得の0.9倍以上である。
アンテナの共振周波数(f)における利得は、以下のように算出できる。
まず、測定対象の2個のアンテナを、これらの通信部同士の間の距離が、前記共振周波数f(GHz)から算出される波長λ(mm)と同じとなるように平行に配置する。ここで、共振周波数f(GHz)及び波長λ(mm)には、下記式(I)の関係が成立する。
λ(mm)=[2.998×10(m/s)]/[f(GHz)] ・・・(I)
このときのアンテナの配置状態の概略図を図2に示す。図2に示す2個のアンテナ1(アンテナ構造体10)は、これらの通信部同士の間の距離がDとなるように、平行に配置されている。すなわち、D=λ(mm)である。測定を行う2個のアンテナ1は、互いに同一のものである。
平行に配置した2個のアンテナはそれぞれ、その特性を測定できるネットワークアナライザ等の測定機器に接続する。図2では、2個のアンテナ1のうち、一方は接続ケーブル7aを介して、他方は接続ケーブル7bを介して、それぞれ測定機器8に接続した場合を示している。
このように配置されたアンテナにおいて、利得(ゲイン)は、下記式(II)で算出される。
利得(dB)=[S21(dB)−[線路損失1(dB)+線路損失2(dB)−空間損失(dB)]]/2 ・・・(II)
ここで、「S21」とは、上記のように平行に配置した2個のアンテナ間を、介在物が存在しない様に空隙部とし、この状態を維持して空気中において測定した透過特性(dB)である。すなわち、S21の測定時には、2個のアンテナ間には空気のみが存在するようにする。S21の測定時には、外部電波の影響を遮断するために、2個のアンテナを電波暗箱(シールドボックス)の内部に配置することが好ましい。図2では、測定を行う2個のアンテナ1を、このように電波暗箱6の内部に配置した場合を示している。
「線路損失1」とは、2個のアンテナのうち、一方の測定機器への接続に使用されている接続ケーブル(例えば、図2中の接続ケーブル7a)の損失である。
「線路損失2」とは、2個のアンテナのうち、他方の測定機器への接続に使用されている接続ケーブル(例えば、図2中の接続ケーブル7b)の損失である。
「空間損失」とは、下記式で算出される値である。式中、λは波長である。
空間損失=20Log(4πD/λ)
前記式(II)から算出された利得(dB)の値から、下記式(III)により、目的とする利得が算出される。ここで、目的とする最大利得、すなわち、アンテナの絶対利得の0.9倍以上となる最大利得とは、下記式(III)における「利得’」の最大値を意味する。
アンテナの絶対利得は、ここに示す半波長ダイポール型アンテナの場合には、1.63となる。
利得(dB)=10Log[利得’] ・・・(III)
本発明のアンテナの共振周波数(f)における最大利得は、本発明のアンテナの絶対利得の0.92倍以上であることが好ましく、0.94倍以上であることがより好ましく、例えば、0.96倍以上とすることも可能である。このような特性を有するアンテナは、通信性能により優れており、特にUHF帯以上の高周波帯域における通信性能により優れている。
本発明のアンテナにおいて、その共振周波数をfGHzとすると、S21は、0.10×fGHz以上の周波数帯域において、−20dB以上であることが好ましい。このような特性を有するアンテナは、通信性能に優れており、特にUHF帯以上の高周波帯域における通信性能に優れている。
本発明のアンテナにおいて、S21が−20dB以上となる周波数帯域は、0.12×fGHz以上であることが好ましく、0.13×fGHz以上であることがより好ましい。前記周波数帯域が前記下限値以上であるアンテナは、通信性能により優れている。
本発明のアンテナのS21の最大値は、特に限定されないが、−19.0dB以上であることが好ましく、−18.7dB以上であることがより好ましく、−18.4dB以上であることが特に好ましい。S21の最大値が前記下限値以上であるアンテナは、通信性能により優れている。
本発明のアンテナにおいて、反射損失S11(以下、単に「S11」と略記することがある)の最小値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、−21.0dB以下であることが好ましく、−22.0dB以下であることがより好ましく、−23.0dB以下であることが特に好ましい。S11の最小値が前記上限値以下であるアンテナは、通信性能により優れている。
S11は、S21の測定時に、あわせて測定できる。
<銀インク組成物>
本発明においては、前記金属銀の形成時に、前記銀インク組成物として、金属銀粒子は配合されず、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を用いることが好ましい。
配合される金属銀の形成材料は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記金属銀の形成材料は、銀原子(元素)を有し、分解等の構造変化によって金属銀を生じるものであればよく、例えば、銀塩、銀錯体、有機銀化合物(銀−炭素結合を有する化合物)等が挙げられる。前記銀塩及び銀錯体は、有機基を有する銀化合物及び有機基を有しない銀化合物のいずれでもよい。なかでも金属銀の形成材料は、銀塩であることが好ましい。
金属銀の形成材料を用いることで、前記材料から金属銀が生じる。この場合の金属銀は高純度であり、金属銀の比率が、見かけ上金属銀だけからなるとみなし得る程度に十分に高く、金属銀の比率は、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。金属銀の比率の上限値は、例えば、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかとすることができるが、これらに限定されない。
前記銀インク組成物としては、液状のものが好ましく、金属銀の形成材料が溶解又は均一に分散されたものが好ましい。
[カルボン酸銀]
金属銀の形成材料としては、例えば、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀等が挙げられる。
本発明において、カルボン酸銀は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(以下、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。
Figure 0006644998
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
Figure 0006644998
(式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「−C(=O)−OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)
(β−ケトカルボン酸銀(1))
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基等が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R−CY −」、「CY −」及び「R−C(=O)−CY −」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C−)であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R−C(=O)−CY −」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基の前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このようなものとしては、例えば、式「=CH−C−NO」で表される基等が挙げられる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成することが可能である。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。還元剤については後ほど説明する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
(カルボン酸銀(4))
カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。
式中、Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。
における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。ただし、Rにおける前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
における前記脂肪族炭化水素基がメチレン基(−CH−)を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されていてもよいメチレン基の数及び位置は特に限定されず、すべてのメチレン基がカルボニル基で置換されていてもよい。ここで「メチレン基」とは、単独の式「−CH−」で表される基だけでなく、式「−CH−」で表される基が複数個連なったアルキレン基中の1個の式「−CH−」で表される基も含むものとする。
カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH−C(=O)−C(=O)−OAg)、酢酸銀(CH−C(=O)−OAg)、酪酸銀(CH−(CH−C(=O)−OAg)、イソ酪酸銀((CHCH−C(=O)−OAg)、2−エチルへキサン酸銀(CH−(CH−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、ネオデカン酸銀(CH−(CH−C(CH−C(=O)−OAg)、シュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)、又はマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。また、上記のシュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)及びマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)の2個の式「−COOAg」で表される基のうち、1個が式「−COOH」で表される基となったもの(HO−C(=O)−C(=O)−OAg、HO−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)も好ましい。
カルボン酸銀(4)も、β−ケトカルボン酸銀(1)と同様に、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。
本発明において、カルボン酸銀(4)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記カルボン酸銀は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、アセトンジカルボン酸銀、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、2−エチルへキサン酸銀、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀及びマロン酸銀からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
銀インク組成物において、前記金属銀の形成材料に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。このような範囲であることで、形成された導電体(金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された前記金属銀の形成材料中の銀を意味し、配合後に引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料が分解して生じた分解物中の銀及び銀自体と、の両方を含む概念とする。
[含窒素化合物]
銀インク組成物は、特に前記金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、前記金属銀の形成材料以外に、さらに含窒素化合物が配合されてなるものが好ましい。
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
(アミン化合物、第4級アンモニウム塩)
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたもの等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2−ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基が好ましく、このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、例えば、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀の層(銀層)の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
(アミン化合物由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられが、これらに限定されない。
(アンモニア由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物において、前記含窒素化合物の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.3〜15モルであることが好ましく、0.3〜5モルであることがより好ましい。前記含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、導電体(金属銀)の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電体を形成できる。
[還元剤]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものが好ましい。還元剤を配合することで、銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する導電体(金属銀)を形成できる。
前記還元剤は、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上の還元性化合物(以下、単に「還元性化合物」と略記することがある)であることが好ましい。
H−C(=O)−R21 ・・・・(5)
(式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)
(還元性化合物)
前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(HN−NH)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される1種以上のものである。すなわち、配合される還元性化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
21における炭素数20以下のアルコキシ基は、炭素数が1〜20であり、例えば、R21における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基等が挙げられる。
21における炭素数20以下のN,N−ジアルキルアミノ基は、炭素数が2〜20であり、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記アルキル基はそれぞれ炭素数が1〜19である。ただし、これら2個のアルキル基の炭素数の合計値が2〜20である。
窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
前記還元性化合物として、ヒドラジンは、一水和物(HN−NH・HO)を用いてもよい。
前記還元性化合物で好ましいものとしては、例えば、ギ酸(H−C(=O)−OH);ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCHCH)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CHCH)等のギ酸エステル;プロパナール(H−C(=O)−CHCH)、ブタナール(H−C(=O)−(CHCH)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CHCH)等のアルデヒド;ホルムアミド(H−C(=O)−NH)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH)等のホルムアミド類(式「H−C(=O)−N(−)−」で表される基を有する化合物);シュウ酸等が挙げられる。
銀インク組成物において、還元剤の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.04〜3.5モルであることが好ましく、0.06〜2.5モルであることがより好ましい。還元剤の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は、より容易に、より安定して導電体(金属銀)を形成できる。
[アルコール]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなるものでもよい。
前記アルコールは、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。
Figure 0006644998
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
(アセチレンアルコール(2))
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が挙げられ、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、2−プロピン−1−オール、4−エチル−1−オクチン−3−オール、3−エチル−1−ヘプチン−3−オール等が挙げられる。
アセチレンアルコール(2)を用いる場合、銀インク組成物において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.03〜0.7モルであることが好ましく、0.05〜0.3モルであることがより好ましい。アセチレンアルコール(2)の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
本発明において、前記アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
[その他の成分]
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤及びアルコール以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。
銀インク組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましいものとしては、例えば、アルコール以外の溶媒が挙げられる。
前記溶媒は、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。好ましい溶媒としては、例えば、常温常圧条件下で液状のアルカンが挙げられ、前記アルカンは直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が15以下であることが好ましい。より好ましい前記アルカンとしては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン等が挙げられる。
本発明において、前記その他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
銀インク組成物における前記その他の成分の配合量は、前記その他の成分の種類に応じて、適宜選択すればよい。
例えば、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、前記溶媒の配合量は、銀インク組成物の粘度等、目的に応じて選択すればよいが、通常は、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記溶媒の配合量の割合は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。
また、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合が0質量%、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
<銀インク組成物の製造方法>
銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、及び前記金属銀の形成材料以外の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に前記金属銀の形成材料としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いた場合、上記の各成分の配合時において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できるため、精製操作を行っていない銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する導電体(金属銀)が得られる。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。ただし、本発明においては、前記還元剤は滴下により配合することが好ましく、さらに滴下速度の変動を抑制することで、銀層の表面粗さをより低減できる傾向にある。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
銀インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分〜36時間であることが好ましい。
[二酸化炭素]
銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。
二酸化炭素は、銀インク組成物製造時のいずれの時期に供給してもよい。
そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合されてなる第1混合物に、二酸化炭素を供給して第2混合物とし、必要に応じて前記第2混合物に、さらに、前記還元剤を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第1混合物及び第2混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。
前記第1混合物は、配合成分が異なる点以外は、上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。
第1混合物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
第1混合物製造時の配合温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜30℃であることが好ましい。また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
第1混合物に供給される二酸化炭素(CO)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。二酸化炭素が供給されることにより、この二酸化炭素が第1混合物に溶け込み、第1混合物中の成分に作用することで、得られる第2混合物の粘度が上昇すると推測される。
二酸化炭素ガスの供給は、液体中にガスを吹き込む公知の各種方法で行えばよく、適した供給方法を適宜選択すればよい。例えば、配管の一端を第1混合物中に浸漬し、他端を二酸化炭素ガスの供給源に接続して、この配管を通じて二酸化炭素ガスを第1混合物に供給する方法が挙げられる。この時、配管の端部から直接二酸化炭素ガスを供給してもよいが、例えば、多孔質性のものなど、ガスの流路となり得る空隙部が多数設けられ、導入されたガスを拡散させて微小な気泡として放出することが可能なガス拡散部材を配管の端部に接続し、このガス拡散部材を介して二酸化炭素ガスを供給してもよい。また、第1混合物の製造時と同様の方法で、第1混合物を撹拌しながら二酸化炭素ガスを供給してもよい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
二酸化炭素ガスの供給量は、供給先の第1混合物の量や、目的とする銀インク組成物又は第2混合物の粘度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、20〜25℃における粘度が5Pa・s以上である銀インク組成物を100〜1000g程度得るためには、二酸化炭素ガスを100L以上供給することが好ましく、200L以上供給することがより好ましい。なお、ここでは銀インク組成物の20〜25℃における粘度について説明したが、銀インク組成物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。また、本明細書において「粘度」とは、特に断りのない限り、超音波振動式粘度計を用いて測定したものを意味する。
二酸化炭素ガスの流量は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量を考慮して適宜調節すればよいが、第1混合物1gあたり0.5mL/min以上であることが好ましく、1mL/min以上であることがより好ましい。流量の上限値は特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると、混合物1gあたり40mL/minであることが好ましい。
そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。
二酸化炭素ガス供給時の第1混合物の温度は、5〜70℃であることが好ましく、7〜60℃であることがより好ましく、10〜50℃であることが特に好ましい。前記温度が前記下限値以上であることで、より効率的に二酸化炭素を供給でき、前記温度が前記上限値以下であることで、不純物が少ないより良好な品質の銀インク組成物が得られる。
二酸化炭素ガスの流量及び供給時間、並びに二酸化炭素ガス供給時の前記温度は、それぞれの値を相互に考慮しながら適した範囲に調節すればよい。例えば、前記温度を低めに設定しても、二酸化炭素ガスの流量を多めに設定するか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。また、二酸化炭素ガスの流量を少なめに設定しても、前記温度を高めにするか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。すなわち、二酸化炭素ガスの流量、二酸化炭素ガス供給時の前記温度として例示した上記数値範囲の中の数値を、二酸化炭素ガスの供給時間も考慮しつつ柔軟に組み合わせることで、良好な品質の銀インク組成物が効率的に得られる。
二酸化炭素ガスの供給は、第1混合物を撹拌しながら行うことが好ましい。このようにすることで、供給した二酸化炭素ガスがより均一に第1混合物中に拡散し、より効率的に二酸化炭素を供給できる。
この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。
ドライアイス(固形状二酸化炭素)の供給は、第1混合物中にドライアイスを添加することで行えばよい。ドライアイスは、全量を一括して添加してもよいし、分割して段階的に(添加を行わない時間帯を挟んで連続的に)添加してもよい。
ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。
ドライアイスの添加中及び添加後は、第1混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。
撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。
第2混合物の粘度は、銀インク組成物又は第2混合物の取り扱い方法など、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、第2混合物の20〜25℃における粘度は、3Pa・s以上であることが好ましい。なお、ここでは第2混合物の20〜25℃における粘度について説明したが、第2混合物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。
前記第2混合物には、さらに、必要に応じて前記還元剤、アルコール及びその他の成分からなる群から選択される1種以上を配合して、銀インク組成物とすることができる。
このときの銀インク組成物は、配合成分が異なる点以外は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。そして、得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
前記還元剤配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。
前記その他の成分は、先に説明したように、前記第1混合物及び第2混合物のいずれかの製造時に配合されてもよく、両方の製造時に配合されてもよい。すなわち、第1混合物及び第2混合物を経て銀インク組成物を製造する過程において、二酸化炭素以外の配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合([その他の成分(質量)]/[金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤、アルコール、及びその他の成分(質量)]×100)は、前記その他の成分がアルコール以外の溶媒である場合、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが特に好ましい。一方、前記その他の成分が前記溶媒以外の成分である場合、前記配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。そして、前記配合量の割合が0質量%、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。
二酸化炭素が供給されてなる銀インク組成物は、例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、20〜25℃における粘度が、1Pa・s以上であることが好ましい。
例えば、還元剤の配合時には、得られる配合物(銀インク組成物)は比較的発熱し易い。そして、還元剤の配合時の温度が高い場合、この配合物は、後述する銀インク組成物の加熱処理時と同様の状態になるため、還元剤による前記金属銀の形成材料の分解促進作用によって、金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始されることがあると推測される。このような金属銀を含有する銀インク組成物は、導電体形成時において、金属銀を含有しない銀インク組成物よりも温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。また、還元剤の配合量が十分に多い場合にも、同様に温和な条件で後処理を行うことにより、導電体を形成できることがある。このように、金属銀の形成材料の分解を促進する条件を採用することで、後処理として、より低温での加熱処理で、あるいは加熱処理を行わずに常温での乾燥処理のみで、導電体を形成できることがある。また、このような金属銀を含有する銀インク組成物は、金属銀を含有しない銀インク組成物と同様に取り扱うことができ、特に取り扱い性が劣ることもない。
なお、本発明における第2混合物は、上記のように二酸化炭素の供給によって、粘度が通常よりも高い。一方で、第2混合物への還元剤の配合時には、第2混合物又は還元剤の種類によっては、上記のように前記金属銀の形成材料の少なくとも一部において金属銀の形成が開始され、金属銀が析出することがある。ここで、第2混合物の粘度が高い場合には、析出した金属銀の凝集が抑制され、得られた銀インク組成物中での金属銀の分散性が向上する。このような銀インク組成物を用いて、後述する方法で金属銀を形成して得られた導電体は、粘度が低い、すなわち二酸化炭素が供給されていない混合物に還元剤が配合されて得られた銀インク組成物を用いた場合の導電体よりも、導電性が高く(体積抵抗率が低く)、表面粗さも小さくなり、より好ましい特性を有するものとなる。
また、本発明においては、前記金属銀の形成材料、アルコール及び含窒素化合物が配合されてなる混合物に、二酸化炭素を供給して、銀インク組成物を製造することも好ましい。この場合、二酸化炭素の供給方法としては、上記と同様の方法が採用できる。
<<アンテナの製造方法>>
本発明のアンテナは、上述のように、基材上に所望の大きさ及び形状の銀層を形成することで製造でき、基材上に前記銀インク組成物を付着させ、次いで付着させた銀インク組成物に対して、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで製造することが好ましい。前記加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。
銀インク組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で基材に付着させることができる。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が挙げられる。
アンテナの製造時においては、基材上に付着させる銀インク組成物の量、又は銀インク組成物における前記金属銀の形成材料等の配合量を調節することで、アンテナの厚さを調節できる。
アンテナの製造時においては、銀インク組成物を付着させる前に、基材を加熱処理(アニール処理)してもよい。基材を加熱処理しておくことで、例えば、銀インク組成物を加熱(焼成)処理したときに、基材の収縮が抑制され、寸法安定性が向上する。
銀インク組成物を付着させる前の、基材の加熱処理の条件は、基材の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されないが、60〜200℃で10〜60分間加熱処理することが好ましく、例えば、アンテナの製造時における、銀インク組成物の加熱(焼成)処理の条件と同じでもよい。
また、アンテナの製造時においては、銀インク組成物を付着させる前に、基材の表面をプラズマ処理してもよい。基材をプラズマ処理しておくことで、銀インク組成物の滲みが抑制されることがある。
プラズマ処理は公知の方法で行えばよく、例えば、大気圧プラズマ処理の場合には、電圧290〜300W、気流速度1.0〜5.0m/分等の条件で行うことができる。
本発明のアンテナ構造体として、基材上にアンテナ以外のその他の層が設けられたものを製造する場合には、上記の製造方法において、所定のタイミングでその他の層を形成する工程を適宜追加して行えばよい。
例えば、基材とアンテナとの間に受容層を備えたアンテナ構造体を製造する場合には、基材上にアンテナを形成する前に、基材の表面上に受容層を形成し、この受容層上にアンテナを形成すればよい。受容層は、各種樹脂等の受容層を形成するための成分が配合されてなる組成物(受容層用組成物)を調製し、これを基材上に付着させ、例えば、乾燥処理、加熱処理等の、受容層を形成するための操作を行うことにより形成できる。受容層用組成物は、銀インク組成物の場合と同じ方法で、基材上に付着させることができる。
銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれで行ってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、例えば、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法が挙げられる。
銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜370℃であることが好ましく、70〜280℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜12時間であることがより好ましい。前記金属銀の形成材料の中でも前記カルボン酸銀、特にβ−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されず、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、銀インク組成物の加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
銀インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が挙げられる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜110℃であることが好ましく、70〜90℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜280℃であることが好ましく、70〜260℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した銀インク組成物の加熱処理は、いずれも気相中で行うものであるが、銀インク組成物の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した銀インク組成物は、加熱した液体と接触させることで、その形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、銀インク組成物の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に銀インク組成物を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された金属銀を、さらに乾燥させればよい。
銀インク組成物の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、銀インク組成物の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物の加熱処理は、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行う、二段階の方法で行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜110℃であることが好ましく、70〜90℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜30分であることがより好ましく、30秒〜10分であることが特に好ましい。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
以上のように、前記金属銀の形成方法で好ましいものとしては、例えば、β−ケトカルボン酸銀(1)を用いて、前記金属銀を形成する工程を有するものが挙げられ、中でも好ましい製造方法としては、例えば、前記金属銀を形成する工程において、β−ケトカルボン酸銀(1)が配合されてなる銀インク組成物を、非加湿条件下で加熱処理した後、さらに加湿条件下で、又は加熱した液体と接触させて、加熱処理することで、前記金属銀を形成するものが挙げられる。
本発明のアンテナは、金属銀で構成され、上述のとおり、金属銀粒子は配合されず、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を用いて好適に製造できる。このような銀インク組成物を用いた場合、通常は、特に対策を施さない限り、形成された金属銀の層(銀層)の表面は粗くなりがちである。そして、銀層、すなわち、アンテナの表面が粗い場合、通常であれば、アンテナの通信性能に悪影響が及ぶと容易に推測される。ところが、全く意外にも、前記銀インク組成物を用いて製造された本発明のアンテナは、上述のとおり通信性能に優れている。
本発明のアンテナは、上述のとおり、低温で形成することが可能であり、基材等の材質を幅広く選択できるので、設計の自由度が高く、アンテナ構造体をより合理的な構造とすることも可能である。
本発明のアンテナは、長期に渡って高い性能を維持することが可能である。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<アンテナの製造>
(銀インク組成物の製造)
液温が50℃以下となるように、ビーカー中で2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.4倍モル量)に2−メチルアセト酢酸銀を添加して、メカニカルスターラーを用いて15分撹拌することにより、液状物を得た。この液状物に、反応液の温度が50℃以下となるように、シリンジポンプを用いてギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.7倍モル量)を30分かけて滴下した。ギ酸の滴下終了後、25℃にて反応液をさらに1時間撹拌することにより、銀インク組成物を得た。各配合成分の種類と配合比を表1に示す。表1中、「含窒素化合物(モル比)」とは、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。「還元剤(モル比)」も同様に、金属銀の形成材料の配合量1モルあたりの還元剤の配合量(モル数)([還元剤のモル数]/[金属銀の形成材料のモル数])を意味する。
(アンテナ(アンテナ構造体)の製造)
ポリカーボネート/ABS樹脂アロイからなる基材(縦10cm、横10cm、厚さ2mm)の一方の主面(表面)全面に、スクリーン印刷法により、上記で得られた銀インク組成物を塗布した。
次いで、熱風の吹き付け(風速:15m/sec)により、この塗布済みの前記基材を80℃で1分乾燥させ、さらに、80℃、相対湿度99%の条件下でこの基材を2分加熱(焼成)処理することで、金属銀を形成した。
以上により、前記基材の一方の表面全面に、厚さ4.7μmの銀層で構成されたアンテナ(ダイポールアンテナ)を形成し、アンテナ構造体を得た。
<アンテナの評価>
上記で製造したアンテナの共振周波数fを測定したところ、表2に示すように、2.370GHzであった。この共振周波数fから算出される波長λは126.5mmである。
このようなアンテナ(アンテナ構造体)を2個用意し、それぞれにケーブル付きのコネクタを取り付け、このケーブルを測定機器であるネットワークアナライザ(Keysight社製「E5071C」)に接続した。そして、これら2個のアンテナをアンテナ構造体ごと電波暗箱内において、図2に示すように、通信部同士の間の距離がλmmとなるように平行に配置した。電波暗箱は空気中におき、2個の前記アンテナ間には介在物が存在しない様に空隙部として、空気のみが存在するようにした。そして、この状態でアンテナの透過特性S21を測定した。このときの測定結果を図3に示す。また、測定されたS21の最大値を表2に示す。
上記のS21の値と、さらに、線路損失1、線路損失2及び空間損失の値とから、アンテナの利得(dB)を求めた。結果を図5に示す。また、最大利得(dB)を表2に示す。
次いで、前記式(III)から、目的とする利得の最大値を算出し、絶対利得の何倍かを求めた。結果を表2に示す。
<アンテナの製造及び評価>
[比較例1]
表1に示すように、上述の2−メチルアセト酢酸銀(β−ケトカルボン酸銀(1))が配合されてなる銀インク組成物に代えて、銀錯体及び金属銀粒子を含む銀インク組成物(INK TEC社製「TEC−PA−010」)を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、アンテナを製造及び評価した。結果を表2、図3及び図5に示す。
Figure 0006644998
Figure 0006644998
表2に示すように、実施例1のアンテナは、最大利得が2.01dBであった。そして、このアンテナにおいて、共振周波数(f)における最大利得は、絶対利得(1.63)の0.97倍であった。
これに対して、比較例1のアンテナは、最大利得が1.51dBであった。そして、このアンテナにおいて、共振周波数(f)における最大利得は、絶対利得(1.63)の0.86倍であった。
このように、実施例1のアンテナは比較例1のアンテナよりも、顕著に通信性能に優れていた。
また、実施例1と比較例1のアンテナを、例えば、利得が0dB以上となる周波数帯域で比較すると、実施例1のアンテナの方が比較例1のアンテナの方よりも顕著に広く、この点においても、実施例1のアンテナは通信性能に優れていた。
なお、図3及び表2から明らかなように、実施例1のアンテナは、(周波数(GHz),S21(dB))が、(2.265,−20.08)、(2.270,−19.97)、(2.590,−19.95)、(2.595,−20.03)の関係を満たしており、S21が−20dB以上となる周波数帯域は、0.320GHz以上、0.330GHz未満であり、この周波数帯域は、0.10×fGHzより大きかった。また、S21の最大値は−18.26dBであった。
これに対して、比較例1のアンテナは、(周波数(GHz),S21(dB))が、(2.315,−20.02)、(2.320,−19.94)、(2.545,−19.95)、(2.550,−20.02)の関係を満たしており、S21が−20dB以上となる周波数帯域は、0.225GHz以上、0.235GHz未満であり、この周波数帯域は、0.10×fGHz未満であった。また、S21の最大値は−19.35dBであった。
このように、実施例1のアンテナは、S21が−20dB以上となる周波数帯域が0.10×fGHzより大きく、比較例1のアンテナよりも、顕著に通信性能に優れていた。
なお、それぞれのアンテナについて、透過特性S21の測定時に、あわせて反射損失S11を測定した。このときの測定結果を図4に示す。
図4から明らかなように、実施例1のアンテナは、S11の最小値として、周波数2.370GHzにおいて−23.47dBを示したのに対し、比較例1のアンテナは、S11の最小値として、周波数2.365GHzにおいて−20.41dBを示し、実施例1のアンテナの方が、S11の最小値が明らかに小さかった。
本発明は、各種アンテナに利用可能であり、特にUHF帯以上の高周波帯域に対応したアンテナへの利用に好適である。
1・・・アンテナ、9・・・基材、9a・・・基材の一方の表面(主面)、10・・・アンテナ構造体、6・・・電波暗箱、7a,7b・・・接続ケーブル、8・・・測定機器、D・・・アンテナの通信部同士の間の距離

Claims (1)

  1. 基材上にアンテナが直接接して設けられたアンテナ構造体であって、
    前記アンテナは、金属銀で構成され
    前記アンテナの共振周波数における最大利得が、前記アンテナの絶対利得の0.9倍以上であり、
    前記最大利得が、下記式(III)
    利得(dB)=10Log[利得’] ・・・(III)
    における「利得’」の最大値であり、
    前記金属銀が、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀を用いて形成されたものであり、
    前記アンテナの厚さが、4.7〜20μmである、アンテナ構造体。
    Figure 0006644998
    (式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R −CY −」、「CY −」、「R −CHY −」、「R O−」、「R N−」、「(R O) CY −」若しくは「R −C(=O)−CY −」で表される基であり;
    はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R 及びR はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
    はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R O−」、「R S−」、「R −C(=O)−」若しくは「R −C(=O)−O−」で表される基であり;
    は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
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