JP2017179152A - 銀インク組成物の製造方法 - Google Patents

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久美 廣瀬
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Abstract

【課題】保存時における沈殿物の増加が抑制された、保存安定性が高い銀インク組成物の製造方法の提供。
【解決手段】式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀、含窒素化合物及び水を配合する配合工程において、前記β−ケトカルボン酸銀、又は少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀と前記水以外の成分とが配合された配合物(M1)を、少なくとも前記含窒素化合物と前記水とが配合された配合物(M2)に添加する方法、前記β−ケトカルボン酸銀、又は前記配合物(M1)に、前記配合物(M2)を添加する方法、前記水、又は少なくとも前記水と前記β−ケトカルボン酸銀以外の成分とが配合された配合物(M3)を、少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀と前記含窒素化合物とが配合された配合物(M4)に添加する方法、並びに前記水、又は前記配合物(M3)に、前記配合物(M4)を添加する方法、のいずれかを採用する、銀インク組成物の製造方法。
[化1]
Figure 2017179152

【選択図】なし

Description

本発明は、銀インク組成物の製造方法に関する。
金属銀又は反応によって金属銀を形成する金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物は、目的とする基材上に付着させ、必要に応じて加熱(焼成)する手法により、金属銀層を形成するのに有用である。
このような銀インク組成物としては、金属銀の形成材料として、β−ケトカルボン酸銀を用いたものが開示されている(特許文献1参照)。前記銀インク組成物は、β−ケトカルボン酸銀と、孤立電子対を有する化合物と、が配合されてなり、β−ケトカルボン酸銀以外の金属銀の形成材料や、金属銀自体が配合されてなる他の銀インク組成物よりも、高純度の金属銀を速やかに形成できることから、極めて有用性が高い。
一方で、β−ケトカルボン酸銀が配合されてなる銀インク組成物において、配合成分の種類を調節することで、形成する金属銀の特性を調節できることがある。このような配合成分の一例としては、水が挙げられ、特許文献1にも、β−ケトカルボン酸銀以外に水が配合されてなる銀インク組成物が開示されている。
特開2009−114232号公報
しかし、特許文献1で開示されているような、β−ケトカルボン酸銀以外に水が配合されてなる銀インク組成物は、製造後の保存時に沈殿物が増加するなど、性状が大きく変化してしまうことがあるという問題点があった。銀インク組成物は、製造後から使用されるまでの間に、各種の条件で一定期間保存されることが多いが、例えば、冷蔵保存しても性状の変化を抑制できない場合には、実用性が低くなってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、保存時における沈殿物の増加が抑制された、保存安定性が高い銀インク組成物の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀と、炭素数25以下のアミン化合物、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩、アンモニア、及び前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の含窒素化合物と、水と、を配合する配合工程を有する、銀インク組成物の製造方法であって、前記配合工程において、
前記β−ケトカルボン酸銀、又は少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀と前記水以外の成分とが配合されてなる配合物(M1)を、少なくとも前記含窒素化合物と前記水とが配合されてなる配合物(M2)に添加する方法、
前記β−ケトカルボン酸銀、又は前記配合物(M1)に、前記配合物(M2)を添加する方法、
前記水、又は少なくとも前記水と前記β−ケトカルボン酸銀以外の成分とが配合されてなる配合物(M3)を、少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀と前記含窒素化合物とが配合されてなる配合物(M4)に添加する方法、並びに
前記水、又は前記配合物(M3)に、前記配合物(M4)を添加する方法、
のいずれかを採用する、銀インク組成物の製造方法を提供する。
Figure 2017179152
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
本発明の銀インク組成物の製造方法においては、前記配合工程において、さらにアセチレンアルコール、アセチレンアルコール以外のアルコール及びアルカンからなる群から選択される1種又は2種以上を配合することが好ましい。
本発明によれば、保存時における沈殿物の増加が抑制された、保存安定性が高い銀インク組成物の製造方法が提供される。
<<銀インク組成物の製造方法>>
本発明の銀インク組成物の製造方法は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)と、炭素数25以下のアミン化合物、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩、アンモニア、及び前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の含窒素化合物(以下、単に「含窒素化合物」と略記することがある)と、水と、を配合する配合工程を有する、銀インク組成物の製造方法であって、前記配合工程において、
前記β−ケトカルボン酸銀(1)、又は少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀(1)と前記水以外の成分とが配合されてなる配合物(M1)を、少なくとも前記含窒素化合物と前記水とが配合されてなる配合物(M2)に添加する方法(以下、「配合方法(a)−1」と略記することがある)、
前記β−ケトカルボン酸銀(1)、又は前記配合物(M1)に、前記配合物(M2)を添加する方法(以下、「配合方法(a)−2」と略記することがある)、
前記水、又は少なくとも前記水と前記β−ケトカルボン酸銀(1)以外の成分とが配合されてなる配合物(M3)を、少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀(1)と前記含窒素化合物とが配合されてなる配合物(M4)に添加する方法(以下、「配合方法(b)−1」と略記することがある)、並びに
前記水、又は前記配合物(M3)に、前記配合物(M4)を添加する方法(以下、「配合方法(b)−2」と略記することがある)、
のいずれかを採用するものである。
Figure 2017179152
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
前記製造方法で製造された銀インク組成物は、製造直後から一定期間保存したときに、沈殿物の増加が抑制されるものであり、保存安定性が高い。これは、前記製造方法においては、β−ケトカルボン酸銀(1)と水とが直接接触する機会が低減されていることで、β−ケトカルボン酸銀(1)の目的外の反応の進行が抑制されるためであると推測される。
このような沈殿物の増加が抑制された、本発明の銀インク組成物は、例えば、インクジェット印刷法での使用に好適である。
また、保存中の銀インク組成物で沈殿物が増加した場合には、この沈殿物を除去することで、銀インク組成物を目的とする用途に用いることができる。しかし、沈殿物を除去後の銀インク組成物を、沈殿物の除去が不要な銀インク組成物と同量用いて、金属銀を形成した場合、沈殿物の除去が不要な銀インク組成物を用いた場合よりも、金属銀の収量が低下してしまう。これに対して、本発明の銀インク組成物では、保存後の沈殿物の除去が不要なので、このように金属銀の収量が低下することはない。
前記配合工程における配合方法(a)−1、配合方法(a)−2、配合方法(b)−1、及び配合方法(b)−2は、いずれも、前記含窒素化合物が配合されていない条件下で、β−ケトカルボン酸銀(1)及び水が共存する状態を維持しないようにしたものである。
以下、まず各配合方法について詳細に説明し、ここで用いる各種成分については、後ほど別途、詳細に説明する。
<配合方法(a)−1>
配合方法(a)−1は、β−ケトカルボン酸銀(1)を前記配合物(M2)に添加する方法(以下、「配合方法(a)−1−1」と略記することがある)、及び、前記配合物(M1)を前記配合物(M2)に添加する方法(以下、「配合方法(a)−1−2」と略記することがある)を含む。
配合物(M1)は、β−ケトカルボン酸銀(1)と、水以外の成分と、を必須の配合成分とする。
配合物(M1)における水以外の成分(以下、「他の成分(i)」と略記することがある)は、本発明の効果を損なわない限り、β−ケトカルボン酸銀(1)及び水のいずれにも該当しない成分であれば、特に限定されない。好ましい他の成分(i)としては、例えば、アセチレンアルコール、アセチレンアルコール以外のアルコール、アルカン、前記含窒素化合物等が挙げられる。
配合物(M1)における他の成分(i)の配合量は、他の成分(i)の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、他の成分(i)がアセチレンアルコール、又はアセチレンアルコール以外のアルコールである場合、これらの配合物(M1)における配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、配合方法(a)−1におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量に応じて適宜調節することが好ましい。
一方、他の成分(i)がアセチレンアルコール、及びアセチレンアルコール以外のアルコールのいずれにも該当しない成分である場合、配合物(M1)において、配合成分の総量(β−ケトカルボン酸銀(1)及び他の成分(i)の総配合量)に対する、他の成分(i)の配合量の割合は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、1〜90質量%であることが好ましく、例えば、1〜70質量%、1〜50質量%、1〜30質量%、1〜20質量%、及び1〜10質量%のいずれかであってもよいが、これらは一例である。
配合物(M2)は、含窒素化合物と水とを必須の配合成分とするものであれば、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
配合物(M2)としては、例えば、含窒素化合物及び水のみが配合されてなる配合物、含窒素化合物及び水以外に、これらのいずれにも該当しない任意成分(以下、「任意成分(I)」と略記することがある)が配合されてなる配合物が挙げられる。
前記任意成分(I)は、上述の条件を満たす限り特に限定されないが、β−ケトカルボン酸銀(1)以外の成分であることが好ましい。
好ましい任意成分(I)としては、例えば、アセチレンアルコール、アセチレンアルコール以外のアルコール、アルカン等が挙げられる。
配合物(M2)における含窒素化合物の配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、配合方法(a)−1におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量に応じて適宜調節することが好ましい。
そして、配合方法(a)−1において配合する含窒素化合物は、その総量のうちの好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%、さらに好ましくは95質量%以上を、配合物(M2)とすることができ、100質量%、すなわち全量を配合物(M2)としてもよい。
配合物(M2)における水の配合量も、上述の含窒素化合物の配合量と同様である。
すなわち、配合物(M2)における、水の配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、配合方法(a)−1におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量に応じて適宜調節することが好ましい。
そして、配合方法(a)−1において配合する水は、その総量のうちの好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%、さらに好ましくは95質量%以上を、配合物(M2)とすることができ、100質量%、すなわち全量を配合物(M2)としてもよい。
配合物(M2)における任意成分(I)の配合量は、任意成分(I)の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、任意成分(I)がアセチレンアルコール、又はアセチレンアルコール以外のアルコールである場合、これらの配合物(M2)における配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、配合方法(a)−1におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量に応じて適宜調節することが好ましい。
そして、配合方法(a)−1において配合するアセチレンアルコール、及びアセチレンアルコール以外のアルコールは、それぞれその総量のうちの好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%、さらに好ましくは95質量%以上を、配合物(M2)とすることができ、100質量%、すなわち全量を配合物(M2)としてもよい。
一方、任意成分(I)がアセチレンアルコール、及びアセチレンアルコール以外のアルコールのいずれにも該当しない成分である場合、配合物(M2)において、配合成分の総量(含窒素化合物、水及び任意成分(I)の総配合量)に対する、任意成分(I)の配合量の割合は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、50質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、例えば、5質量%以下、3質量%以下、及び1質量%以下等のいずれであってもよい。また、任意成分(I)(アセチレンアルコール、及びアセチレンアルコール以外のアルコールのいずれにも該当しない成分)の前記配合量の割合の下限値は、0質量%とすることができる。
配合方法(a)−1において、含窒素化合物の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.3〜15モルであることが好ましく、0.5〜10モルであることがより好ましく、1〜7モルであることが特に好ましい。含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、金属銀の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して金属銀を形成できる。
配合方法(a)−1において、水の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.2〜12モルであることが好ましく、0.3〜11モルであることがより好ましく、0.6〜10.5モルであることが特に好ましい。水の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、金属銀の品質がより向上する。
配合方法(a)−1において、アセチレンアルコールを用いる場合、アセチレンアルコールの配合量は、アセチレンアルコールが他の成分(i)及び任意成分(I)のいずれであるかによらず、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.03〜0.7モルであることが好ましく、0.04〜0.5モルであることがより好ましく、0.05〜0.3モルであることが特に好ましい。アセチレンアルコールの前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
配合方法(a)−1において、配合成分の総量(β−ケトカルボン酸銀(1)、含窒素化合物、水、及びこれらのいずれにも該当しない成分の総配合量)に対する、アセチレンアルコール以外のアルコールの配合量の割合は、アセチレンアルコール以外のアルコールが他の成分(i)及び任意成分(I)のいずれであるかによらず、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。また、アセチレンアルコール以外のアルコールの前記配合量の割合の下限値は、0質量%とすることができる。
配合方法(a)−1−1及び配合方法(a)−1−2において、配合物(M2)を調製するときの温度は、特に限定されないが、−20〜50℃であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましい。
また、配合物(M2)を調製するときの時間は、特に限定されないが、1秒〜1時間であることが好ましく、10秒〜30分であることがより好ましい。
なお、配合物(M2)を調製するときの各配合成分の配合順序(添加順序)は、特に限定されない。
配合方法(a)−1−2において、配合物(M1)を調製するときの温度は、特に限定されないが、−20〜40℃であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましく、0〜35℃であることが特に好ましい。
また、配合物(M1)を調製するときの時間は、特に限定されないが、1秒〜1時間であることが好ましく、1秒〜30分であることがより好ましい。
なお、配合物(M1)を調製するときの各配合成分の配合順序(添加順序)は、特に限定されない。
配合方法(a)−1−1及び配合方法(a)−1−2において、配合物(M2)を調製してから、この配合物(M2)に対して、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)の添加を開始するまでの時間は、特に限定されないが、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜60分であることがより好ましい。
また、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)の添加を開始するまでの、配合物(M2)の温度は、特に限定されないが、−20〜30℃であることが好ましく、−20〜20℃であることがより好ましい。
配合方法(a)−1−2において、配合物(M1)を調製してから、配合物(M2)に対して添加するまでの配合物(M1)の温度は、特に限定されないが、−20〜30℃であることが好ましく、−20〜20℃であることがより好ましく、0〜20℃であることが特に好ましい。
また、配合物(M1)を調製してから、配合物(M2)に対する配合物(M1)の添加を開始するまでの時間は、特に限定されないが、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜60分であることがより好ましい。
配合方法(a)−1−1及び配合方法(a)−1−2において、配合物(M2)に対する、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)の添加は、これらの添加により得られた配合物の温度が0〜70℃となるように行うことが好ましく、0〜60℃となるように行うことがより好ましい。
また、配合物(M2)に対して、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)の添加を開始してから終了するまでの時間は、特に限定されないが、1〜60分であることが好ましく、1〜40分であることがより好ましく、1〜20分であることが特に好ましい。
配合方法(a)−1−1及び配合方法(a)−1−2において、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)を、配合物(M2)に添加して得られた最終配合物の撹拌時の温度は、特に限定されないが、0〜35℃であることが好ましく、0〜30℃であることがより好ましい。
また、前記最終配合物の撹拌時間は、特に限定されないが、5〜120分であることが好ましく、10〜60分であることがより好ましい。
そして、前記最終配合物は、二段階で攪拌処理することが好ましく、より具体的には、例えば、0〜19℃で2〜60分撹拌した後、20〜35℃で3〜120分撹拌することが好ましく、0〜16℃で2〜30分撹拌した後、20〜30℃で8〜60分撹拌することがより好ましい。
<配合方法(a)−2>
配合方法(a)−2は、β−ケトカルボン酸銀(1)に前記配合物(M2)を添加する方法(以下、「配合方法(a)−2−1」と略記することがある)、及び、前記配合物(M1)に前記配合物(M2)を添加する方法(以下、「配合方法(a)−2−2」と略記することがある)を含む。
配合方法(a)−2は、添加するものと添加されるものとが、配合方法(a)−1とは逆になったものであり、この点以外は、配合方法(a)−1と同じである。
なお、前記配合工程において、例えば、β−ケトカルボン酸銀(1)、配合物(M1)及び配合物(M2)がいずれも存在しない容器中に、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)と、配合物(M2)と、の添加を同時に開始する場合等、添加するものと添加されるものとを明確に区別できない場合には、このような配合方法は、上述の配合方法(a)−1に分類する。
配合方法(a)−2−1及び配合方法(a)−2−2において、配合物(M2)を調製してから、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)に対して、この配合物(M2)の添加を開始するまでの時間は、上述の配合方法(a)−1−1及び配合方法(a)−1−2において、配合物(M2)を調製してから、この配合物(M2)に対して、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)の添加を開始するまでの時間と同じである。
同様に、配合方法(a)−2−1及び配合方法(a)−2−2において、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)に添加するまでの配合物(M2)の温度は、上述の配合方法(a)−1−1及び配合方法(a)−1−2において、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)の添加を開始するまでの、配合物(M2)の温度と同じである。
配合方法(a)−2−2において、配合物(M1)を調製してから、配合物(M2)を添加するまでの配合物(M1)の温度は、上述の配合方法(a)−1−2において、配合物(M1)を調製してから、配合物(M2)に対して添加するまでの配合物(M1)の温度と同じである。
同様に、配合方法(a)−2−2において、配合物(M1)を調製してから、配合物(M1)に対する配合物(M2)の添加を開始するまでの時間は、上述の配合方法(a)−1−2において、配合物(M1)を調製してから、配合物(M2)に対する配合物(M1)の添加を開始するまでの時間と同じである。
配合方法(a)−2−1及び配合方法(a)−2−2において、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)に対する、配合物(M2)の添加は、その添加により得られた配合物の温度が0〜70℃となるように行うことが好ましく、0〜60℃となるように行うことがより好ましい。
また、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)に対して、配合物(M2)の添加を開始してから終了するまでの時間は、特に限定されないが、1〜60分であることが好ましく、1〜40分であることがより好ましく、1〜20分であることが特に好ましい。
配合方法(a)−2−1及び配合方法(a)−2−2において、配合物(M2)を、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)に添加して得られた最終配合物の撹拌時の温度及び撹拌時間は、上述の配合方法(a)−1−1及び配合方法(a)−1−2において、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)を、配合物(M2)に添加して得られた最終配合物の撹拌時の温度及び撹拌時間と同じである。したがって、配合方法(a)−2−1及び配合方法(a)−2−2における前記最終配合物も、配合方法(a)−1−1及び配合方法(a)−1−2における前記最終配合物と同様に、二段階で攪拌処理することが好ましい。
<配合方法(b)−1>
配合方法(b)−1は、水を前記配合物(M4)に添加する方法(以下、「配合方法(b)−1−1」と略記することがある)、及び、前記配合物(M3)を前記配合物(M4)に添加する方法(以下、「配合方法(b)−1−2」と略記することがある)を含む。
配合物(M3)は、水と、β−ケトカルボン酸銀(1)以外の成分と、を必須の配合成分とする。
配合物(M3)におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)以外の成分(以下、「他の成分(ii)」と略記することがある)は、本発明の効果を損なわない限り、β−ケトカルボン酸銀(1)及び水のいずれにも該当しない成分であれば、特に限定されない。好ましい他の成分(ii)としては、例えば、アセチレンアルコール、アセチレンアルコール以外のアルコール、アルカン、前記含窒素化合物等が挙げられる。
配合物(M3)における他の成分(ii)の配合量は、他の成分(ii)の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、他の成分(ii)がアセチレンアルコール、又はアセチレンアルコール以外のアルコールである場合、その配合物(M3)における配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、配合方法(b)−1におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量に応じて適宜調節することが好ましい。
一方、他の成分(ii)がアセチレンアルコール、及びアセチレンアルコール以外のアルコールのいずれにも該当しない成分である場合、配合物(M3)において、配合成分の総量(水及び他の成分(ii)の総配合量)に対する、他の成分(ii)の配合量の割合は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、1〜90質量%であることが好ましく、例えば、1〜70質量%、1〜50質量%、1〜30質量%、1〜20質量%、及び1〜15質量%のいずれかであってもよいが、これらは一例である。
配合物(M4)は、β−ケトカルボン酸銀(1)と含窒素化合物とを必須の配合成分とするものであれば、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
配合物(M4)としては、例えば、β−ケトカルボン酸銀(1)及び含窒素化合物のみが配合されてなる配合物、β−ケトカルボン酸銀(1)及び含窒素化合物以外に、これらのいずれにも該当しない任意成分(以下、「任意成分(II)」と略記することがある)が配合されてなる配合物が挙げられる。
前記任意成分(II)は、上述の条件を満たす限り特に限定されないが、水以外の成分であることが好ましい。
好ましい任意成分(II)としては、例えば、任意成分(I)におけるものと同様のアセチレンアルコール、アセチレンアルコール以外のアルコール、アルカン等が挙げられる。
配合物(M4)におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、本発明の製造方法で得られた銀インク組成物を用いて作製する金属銀の用途等に応じて、適宜調節すればよい。
そして、配合方法(b)−1において配合するβ−ケトカルボン酸銀(1)は、その総量のうちの好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%、さらに好ましくは95質量%以上を、配合物(M4)とすることができ、100質量%、すなわち全量を配合物(M4)としてもよい。
配合物(M4)における含窒素化合物の配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、配合方法(b)−1におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量に応じて適宜調節することが好ましい。
そして、配合方法(b)−1において配合する含窒素化合物は、その総量のうちの好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%、さらに好ましくは95質量%以上を、配合物(M4)とすることができ、100質量%、すなわち全量を配合物(M4)としてもよい。
配合物(M4)における任意成分(II)の配合量は、任意成分(II)の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、任意成分(II)がアセチレンアルコール、又はアセチレンアルコール以外のアルコールである場合、その配合物(M4)における配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、配合方法(b)−1におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量に応じて適宜調節することが好ましい。
そして、配合方法(b)−1において配合するアセチレンアルコール、及びアセチレンアルコール以外のアルコールは、それぞれその総量のうちの好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%、さらに好ましくは95質量%以上を、配合物(M4)とすることができ、100質量%、すなわち全量を配合物(M4)としてもよい。
一方、任意成分(II)がアセチレンアルコール、及びアセチレンアルコール以外のアルコールのいずれにも該当しない成分である場合、配合物(M4)において、配合成分の総量(β−ケトカルボン酸銀(1)、含窒素化合物及び任意成分(II)の総配合量)に対する、任意成分(II)の配合量の割合は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、50質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、例えば、5質量%以下、3質量%以下、及び1質量%以下等のいずれであってもよい。また、任意成分(II)(アセチレンアルコール、及びアセチレンアルコール以外のアルコールのいずれにも該当しない成分)の前記配合量の割合の下限値は、0質量%とすることができる。
配合方法(b)−1において、含窒素化合物の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.3〜15モルであることが好ましく、0.5〜10モルであることがより好ましく、1〜7モルであることが特に好ましい。含窒素化合物の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、金属銀の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して金属銀を形成できる。
配合方法(b)−1において、水の配合量は、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.2〜12モルであることが好ましく、0.3〜11モルであることがより好ましく、0.6〜10.5モルであることが特に好ましい。水の前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物は安定性がより向上し、金属銀の品質がより向上する。
配合方法(b)−1において、アセチレンアルコールの配合量は、アセチレンアルコールが他の成分(ii)及び任意成分(II)のいずれであるかによらず、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたり0.03〜0.7モルであることが好ましく、0.04〜0.5モルであることがより好ましく、0.05〜0.3モルであることが特に好ましい。アセチレンアルコールの前記配合量がこのような範囲であることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。
配合方法(b)−1において、配合成分の総量(β−ケトカルボン酸銀(1)、含窒素化合物、水、及びこれらのいずれにも該当しない成分の総配合量)に対する、アセチレンアルコール以外のアルコールの配合量の割合は、アセチレンアルコール以外のアルコールが他の成分(ii)及び任意成分(II)のいずれであるかによらず、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。また、アセチレンアルコール以外のアルコールの前記配合量の割合の下限値は、0質量%とすることができる。
配合方法(b)−1−1及び配合方法(b)−1−2において、配合物(M4)を調製するときの温度は、特に限定されないが、0〜70℃であることが好ましく、0〜60℃であることがより好ましい。
また、配合物(M4)を調製するときの時間は、特に限定されないが、30秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜30分であることがより好ましい。
そして、これら条件ですべての成分を配合した後に、さらに得られた配合物を、20〜35℃で3〜120分撹拌することが好ましく、20〜30℃で8〜60分撹拌することが好ましい。
なお、配合物(M4)を調製するときの各配合成分の配合順序(添加順序)は、特に限定されない。
配合方法(b)−1−2において、配合物(M3)を調製するときの温度は、特に限定されないが、0〜35℃であることが好ましく、0〜30℃であることがより好ましい。
また、配合物(M3)を調製するときの時間は、特に限定されないが、1〜20分であることが好ましく、1〜15分であることがより好ましく、1〜10分であることが特に好ましい。
なお、配合物(M3)を調製するときの各配合成分の配合順序(添加順序)は、特に限定されない。
配合方法(b)−1−1及び配合方法(b)−1−2において、配合物(M4)を調製してから、この配合物(M4)に対して、水又は配合物(M3)の添加を開始するまでの時間は、特に限定されない。前記時間は、例えば、1分〜24時間とすることができるが、さらに長時間としてもよく、例えば、特に時間の制限を設けずに、目的とする銀インク組成物の使用直前に、水又は配合物(M3)を配合物(M4)に添加してもよい。
また、水又は配合物(M3)の添加を開始するまでの、配合物(M4)の温度は、特に限定されないが、−20〜15℃であることが好ましく、0〜10℃であることがより好ましい。
配合方法(b)−1−2において、配合物(M3)を調製してから、配合物(M4)に対して添加するまでの配合物(M3)の温度は、特に限定されないが、0〜40℃であることが好ましく、0〜35℃であることがより好ましい。
また、配合物(M3)を調製してから、配合物(M4)に対する配合物(M3)の添加を開始するまでの時間は、特に限定されないが、1〜120分であることが好ましく、1〜15分であることがより好ましく、1〜10分であることが特に好ましい。
配合方法(b)−1−1及び配合方法(b)−1−2において、配合物(M4)に対する、水又は配合物(M3)の添加は、これらの添加により得られた配合物の温度が0〜35℃となるように行うことが好ましく、0〜30℃となるように行うことがより好ましく、10〜30℃となるように行うことが特に好ましい。
また、配合物(M4)に対して、水又は配合物(M3)の添加を開始してから終了するまでの時間は、特に限定されないが、1〜120分であることが好ましく、1〜60分であることがより好ましい。
配合方法(b)−1−1及び配合方法(b)−1−2において、水又は配合物(M3)を、配合物(M4)に添加して得られた最終配合物の撹拌時の温度は、特に限定されないが、0〜35℃であることが好ましく、20〜30℃であることがより好ましい。
また、前記最終配合物の撹拌時間は、特に限定されないが、3〜120分であることが好ましく、8〜60分であることがより好ましい。
<配合方法(b)−2>
配合方法(b)−2は、水に前記配合物(M4)を添加する方法(以下、「配合方法(b)−2−1」と略記することがある)、及び、前記配合物(M3)に前記配合物(M4)を添加する方法(以下、「配合方法(b)−2−1」と略記することがある)を含む。
配合方法(b)−2は、添加するものと添加されるものとが、配合方法(b)−1とは逆になったものである。
配合方法(b)−2は、添加するものと添加されるものとが、配合方法(b)−1とは逆になったものであり、この点以外は、配合方法(b)−1と同じである。
なお、前記配合工程において、例えば、水、配合物(M3)及び配合物(M4)がいずれも存在しない容器中に、水又は配合物(M3)と、配合物(M4)と、の添加を同時に開始する場合等、添加するものと添加されるものとを明確に区別できない場合には、このような配合方法は、上述の配合方法(b)−1に分類する。
配合方法(b)−2−1及び配合方法(b)−2−2において、配合物(M4)を調製してから、水又は配合物(M3)に対して、この配合物(M4)の添加を開始するまでの時間は、上述の配合方法(b)−1−1及び配合方法(b)−1−2において、配合物(M4)を調製してから、この配合物(M4)に対して、水又は配合物(M3)の添加を開始するまでの時間と同じである。
同様に、配合方法(b)−2−1及び配合方法(b)−2−2において、水又は配合物(M3)に添加するまでの配合物(M4)の温度は、上述の配合方法(b)−1−1及び配合方法(b)−1−2において、水又は配合物(M3)の添加を開始するまでの、配合物(M4)の温度と同じである。
配合方法(b)−2−2において、配合物(M3)を調製してから、配合物(M4)を添加するまでの配合物(M3)の温度は、上述の配合方法(b)−1−2において、配合物(M3)を調製してから、配合物(M4)に対して添加するまでの配合物(M3)の温度と同じである。
同様に、配合方法(b)−2−2において、配合物(M3)を調製してから、配合物(M3)に対する配合物(M4)の添加を開始するまでの時間は、上述の配合方法(b)−1−2において、配合物(M3)を調製してから、配合物(M4)に対する配合物(M3)の添加を開始するまでの時間と同じである。
配合方法(b)−2−1及び配合方法(b)−2−2において、水又は配合物(M3)に対する、配合物(M4)の添加は、その添加により得られた配合物の温度が0〜35℃となるように行うことが好ましく、0〜30℃となるように行うことがより好ましく、10〜30℃となるように行うことが特に好ましい。
また、水又は配合物(M3)に対して、配合物(M4)の添加を開始してから終了するまでの時間は、特に限定されないが、1〜60分であることが好ましく、1〜40分であることがより好ましく、1〜20分であることが特に好ましい。
配合方法(b)−2−1及び配合方法(b)−2−2において、配合物(M4)を、水又は配合物(M3)に添加して得られた最終配合物の撹拌時の温度及び撹拌時間は、上述の配合方法(b)−1−1及び配合方法(b)−1−2において、水又は配合物(M3)を、配合物(M4)に添加して得られた最終配合物の撹拌時の温度及び撹拌時間と同じである。
上述の説明のように、前記配合工程において、配合する成分又は組成物を、他の配合する成分又は組成物に添加する場合、その添加時間は比較的長くなることがある。例えば、液状の成分又は組成物をこのように長い時間をかけて添加する場合、その操作は「滴下」と呼ばれることがあるが、本発明においては、配合方法(a)−1及び配合方法(b)−1の区別によらず、このような操作も「添加」と称する。
前記配合工程においては、β−ケトカルボン酸銀(1)又は配合物(M1)、及び配合物(M2)の配合後、あるいは、水又は配合物(M3)、及び配合物(M4)の配合後、すなわち、必須成分(β−ケトカルボン酸銀(1)、含窒素化合物及び水)をすべて配合した後は、得られた配合物に、これら必須成分の1種又は2種以上をさらに配合してもよい。
前記配合工程において、β−ケトカルボン酸銀(1)、含窒素化合物及び水のいずれにも該当しない成分(以下、「必須成分以外の成分」と称することがある)を配合する場合には、このような成分を配合する対象物は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
ここで、「必須成分以外の成分」としては、上述の他の成分(i)、他の成分(ii)、任意成分(I)又は任意成分(II)に包含される成分が挙げられ、好ましいものとしては、アセチレンアルコール、アセチレンアルコール以外のアルコール、アルカン等が挙げられる。
すなわち、本発明の銀インク組成物の製造方法では、前記配合工程において、さらにアセチレンアルコール、アセチレンアルコール以外のアルコール及びアルカンからなる群から選択される1種又は2種以上を配合することが好ましい。
本発明の銀インク組成物の製造方法においては、前記配合工程をはじめとする各工程で、各成分又は各配合物を混合したり、液状物を攪拌したりする際には、公知の方法で混合又は撹拌すればよい。このような公知の方法としては、例えば、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合又は撹拌する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合又は撹拌する方法;超音波を加えて混合又は撹拌する方法等が挙げられる。
銀インク組成物において、溶解していない成分を均一に分散させる場合には、例えば、上記の三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を用いて分散させる方法を適用するのが好ましい。
本発明の銀インク組成物の製造方法においては、前記配合工程を行った後は、得られたものをそのまま銀インク組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の精製操作を行って得られたものを銀インク組成物としてもよい。本発明においては、特に金属銀の形成材料としてβ−ケトカルボン酸銀(1)を用いていることで、他の金属銀の形成材料を用いた場合よりも、前記配合工程以降において、導電性を阻害する不純物が生成しないか、又はこのような不純物の生成量を極めて少量に抑制できる。したがって、本発明の製造方法において精製操作を行わずに得られた銀インク組成物を用いても、十分な導電性を有する金属銀が得られる。なお、金属銀の形成材料とは、加熱等によって分解し、金属銀を形成するものを意味する。
本発明の製造方法で得られた銀インク組成物において、β−ケトカルボン酸銀(1)に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。このような範囲であることで、形成された金属銀は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。
なお、本明細書において、「β−ケトカルボン酸銀(1)に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合されたβ−ケトカルボン酸銀(1)中の銀を意味し、配合後に引き続きβ−ケトカルボン酸銀(1)を構成している銀と、配合後にβ−ケトカルボン酸銀(1)が分解して生じた分解物中の銀及び銀自体(金属銀)と、の両方を含む概念とする。
本発明の製造方法で得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部又は全ての成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。
以上のように、前記配合工程において、配合方法(a)−1、配合方法(a)−2、配合方法(b)−1又は配合方法(b)−2を採用し、水の配合方法を限定した本発明の製造方法によれば、保存時における沈殿物の増加が抑制された、保存安定性が高い銀インク組成物が得られる。
これに対して、例えば、「特開2009−114232号公報」(上述の特許文献1)で開示されている銀インク組成物の製造方法では、本発明における前記配合工程は一切開示されておらず、水の配合方法と、得られる銀インク組成物の保存安定性との関連についても、一切開示されていない。
本発明における上述の配合方法(a)−1、配合方法(a)−2、配合方法(b)−1及び配合方法(b)−2のいずれにも該当しない配合方法の例として、配合方法(z)−1及び配合方法(z)−2が挙げられる。
配合方法(z)−1は、前記含窒素化合物、又は少なくとも前記含窒素化合物と、前記β−ケトカルボン酸銀(1)及び水以外の成分とが配合されてなる配合物を、少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀(1)と水とが配合されてなる配合物に添加する方法を含む。
配合方法(z)−2は、前記含窒素化合物、又は少なくとも前記含窒素化合物と、前記β−ケトカルボン酸銀(1)及び水以外の成分とが配合されてなる配合物に、少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀(1)と水とが配合されてなる配合物を添加する方法を含む。
配合方法(z)−1及び配合方法(z)−2は、いずれも少なくともβ−ケトカルボン酸銀(1)と水とが配合されてなる配合物を用いるものである。この配合物は、上述の他の成分(i)や他の成分(ii)のような、β−ケトカルボン酸銀(1)、水及び含窒素化合物のいずれにも該当しない他の成分が配合されてなるものであってもよい。そして、配合方法(z)−1及び配合方法(z)−2においては、含窒素化合物を単独で用いてもよいし、上述の任意成分(I)や任意成分(II)のような、含窒素化合物に該当しない任意成分の配合物として用いてもよい。
配合方法(z)−1又は配合方法(z)−2を採用した場合には、含窒素化合物が配合されていない条件下で、β−ケトカルボン酸銀(1)及び水が共存する状態が、一定時間維持される。このように、β−ケトカルボン酸銀(1)と水とが直接接触する機会が低減されていないことで、β−ケトカルボン酸銀(1)の目的外の反応が容易に進行すると推測される。その結果、得られる銀インク組成物は、保存時における沈殿物の増加が顕著で、保存安定性が低いものとなってしまう。
次に、上述の各配合方法で用いる各種成分について、詳細に説明する。
[β−ケトカルボン酸銀(1)]
β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基である。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、−CH=CH)、アリル基(2−プロペニル基、−CH−CH=CH)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH)、イソプロペニル基(−C(CH)=CH)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH−CH)、2−ブテニル基(−CH−CH=CH−CH)、3−ブテニル基(−CH−CH−CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R−CY −」、「CY −」及び「R−C(=O)−CY −」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C−)であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、例えば、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、例えば、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R−C(=O)−CY −」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C−CH−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C−O−CH=CH−)、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基である。
における炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C−C−)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基の前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられ、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このようなものとしては、例えば、式「=CH−C−NO」で表される基等が挙げられる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCH)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CHCHCHCH)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH−C(=O)−CH(CH)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CHC−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH−C(=O)−CH−C(=O)−OAg)であることが好ましい。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成することが可能である。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。還元剤については後ほど説明する。
本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、カプロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀及びアセトンジカルボン酸銀からなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
そして、これらカルボン酸銀の中でも、2−メチルアセト酢酸銀及びアセト酢酸銀は、後述する含窒素化合物(なかでもアミン化合物)との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に、特に適したものとして挙げられる。
[含窒素化合物]
前記含窒素化合物は、炭素数25以下のアミン化合物(以下、「アミン化合物」と略記することがある)、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩(以下、「第4級アンモニウム塩」と略記することがある)、アンモニア、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アミン化合物由来のアンモニウム塩」と略記することがある)、及びアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩(以下、「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある)からなる群から選択される1種以上のものである。すなわち、配合される含窒素化合物は、1種のみでよいし、2種以上でもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
(アミン化合物、第4級アンモニウム塩)
前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられ、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン(2−アミノヘプタン)、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、炭素数が6〜10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたもの等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。
前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンであれば、好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2−ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基が好ましく、このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−ヘプチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
そして、これらアミン化合物の中でも、2−エチルヘキシルアミンは、前記カルボン酸銀との相溶性に優れ、銀インク組成物の高濃度化に特に適しており、さらに金属銀からなる層の表面粗さの低減に特に適したものとして挙げられる。
(アミン化合物由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。
前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、例えば、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
(アンモニア由来のアンモニウム塩)
本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、例えば、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが挙げられる。
前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム等が挙げられるが、これに限定されない。
本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
[必須成分以外の成分]
必須成分以外の成分は、上述のように、必須成分であるβ−ケトカルボン酸銀(1)、含窒素化合物及び水のいずれにも該当しない成分である。
必須成分以外の成分は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。
必須成分以外の成分としては、例えば、上述のアセチレンアルコール、アセチレンアルコール以外のアルコール、水酸基(−OH)を有しない化合物等が挙げられ、アセチレンアルコールが好ましい。
必須成分以外の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。2種以上を併用する場合には、例えば、2種以上のアセチレンアルコールのみを併用してもよいし、1種のアセチレンアルコールと、1種のアセチレンアルコール以外のアルコールと、を併用してもよいし、1種のアセチレンアルコールと、1種の水酸基(−OH)を有しない化合物と、を併用してもよいし、1種のアセチレンアルコール以外のアルコールと、1種の水酸基(−OH)を有しない化合物と、を併用してもよいし、1種又は2種以上のアセチレンアルコールと、1種又は2種以上のアセチレンアルコール以外のアルコールと、1種又は2種以上の水酸基を有しない化合物とを、併用してもよい。ただし、ここに示す併用の組み合わせは一例に過ぎない。
(アセチレンアルコール)
アセチレンアルコールは、炭素原子間の三重結合(C≡C)を有するアルコールであれば、特に限定されないが、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。
Figure 2017179152
(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)
・アセチレンアルコール(2)
アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。
式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。
R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。
R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、例えば、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が挙げられ、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
R’及びR’’は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
好ましいアセチレンアルコール(2)としては、例えば、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール等が挙げられる。
(アセチレンアルコール以外のアルコール)
アセチレンアルコール以外のアルコールは、炭素原子間の三重結合(C≡C)を有さず、かつ水酸基(−OH)を有する化合物であれば特に限定されないが、常温で液状であるものが好ましい。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜30℃の温度等が挙げられる。
アセチレンアルコール以外のアルコールは、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
また、アセチレンアルコール以外のアルコールは、一価アルコール及び二価以上の多価アルコールのいずれでもよい。
アセチレンアルコール以外のアルコールで好ましいものとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール等の一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の二価アルコール等が挙げられる。
アセチレンアルコール以外のアルコールは、炭素数が1〜7であることが好ましい。
(水酸基を有しない化合物)
水酸基(−OH)を有しない化合物は、上述のアセチレンアルコール及びアセチレンアルコール以外のアルコールのいずれにも該当しないものであればよいが、常温で液状であるものが好ましい。
水酸基を有しない化合物で好ましいものとしては、例えば、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、デカヒドロナフタレン等のアルカンを含む脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、グルタル酸モノメチル、グルタル酸ジメチル等のエステル;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン;アセトニトリル等のニトリル;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド等が挙げられる。
<<金属銀及びその製造方法>>
金属銀は、例えば、本発明の銀インク組成物を基材等の目的とする箇所に付着させ、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の固化処理を適宜選択して行うことで形成できる。
銀インク組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で基材上に付着させることができる。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が挙げられる。
なかでも、本発明の製造方法で得られた銀インク組成物は、印刷法での適用に好適なものであり、インクジェット式印刷法での適用により好適なものである。
基材上での金属銀の形成量は、付着させる銀インク組成物の量、又は銀インク組成物におけるβ−ケトカルボン酸銀(1)の配合量を調節することで調節できる。
銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、例えば、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法が挙げられる。
銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜370℃であることが好ましく、70〜280℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜24時間であることが好ましく、1分〜12時間であることがより好ましい。β−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の他の金属銀の形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、加熱温度は130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
銀インク組成物の加熱処理の方法は、特に限定されず、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱、高熱ガスの吹き付けによる加熱等で行うことができる。また、銀インク組成物の加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよく、加湿条件下で行ってもよい。そして、常圧下、減圧下及び加圧下のいずれで行ってもよい。
本明細書において「加湿」とは、特に断りのない限り、湿度を人為的に増大させることを意味し、好ましくは相対湿度を5%以上とすることである。加熱処理時には、処理温度が高いことによって、処理環境での湿度が極めて低くなるため、5%という相対湿度は、明らかに人為的に増大されたものであるといえる。
銀インク組成物の加熱処理を加湿条件下で行う場合の相対湿度は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましく、90%以上であってもよいし、100%であってもよい。そして、加湿条件下での加熱処理は、100℃以上に加熱した高圧水蒸気の吹き付けにより行ってもよい。このように加湿条件下で加熱処理することにより、短時間でより高純度の金属銀を形成できる。
銀インク組成物の加熱処理は、二段階で行ってもよい。例えば、一段階目の加熱処理では、金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理で、金属銀の形成を最後まで行う方法が挙げられる。
一段階目の加熱処理において、加熱温度は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜110℃であることが好ましく、70〜90℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、5秒〜12時間であることが好ましく、30秒〜2時間であることがより好ましい。
二段階目の加熱処理において、加熱温度は、金属銀が良好に形成されるように、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよいが、60〜280℃であることが好ましく、70〜260℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、1分〜12時間であることが好ましく、1分〜10時間であることがより好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目及び二段階目の加熱処理における加熱温度は、130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
ここまでで説明した銀インク組成物の加熱処理は、いずれも気相中で行うものであるが、銀インク組成物の加熱処理を二段階で行う場合、二段階目の加熱処理は、気相中ではなく液相中で行ってもよい。一段階目の加熱処理を経て、完全に又はある程度乾燥した銀インク組成物は、加熱した液体と接触させることで、その形状を損なうことなく、二段階目の加熱処理を行うことができる。そして、銀インク組成物の、一段階目の加熱処理を行った後の二段階目の液相中での加熱処理は、加熱した液体に銀インク組成物を浸漬することで行うことが好ましい。この液相中での加熱処理における加熱温度及び加熱時間は、先に説明した二段階目の加熱処理における加熱温度及び加熱時間と同じである。
上記の加熱した液体は湯(加熱した水)であることが好ましく、二段階目の加熱処理は、一段階目の加熱処理を行った銀インク組成物を湯中に浸漬すること、すなわち湯煎によって行うことが好ましい。
二段階目の加熱処理を液相中で行った場合には、この加熱処理によって形成された金属銀を、さらに乾燥させればよい。
銀インク組成物の二段階目の加熱処理を液相中で行う場合、銀インク組成物の一段階目の加熱処理は、非加湿条件下で行うことが好ましい。
なお、本明細書において「非加湿」とは、上述の「加湿」を行わないこと、すなわち、湿度を人為的に増大させないことを意味し、好ましくは相対湿度を5%未満とすることである。
加湿条件下での加熱処理を採用する場合、銀インク組成物の加熱処理は、一段階目の加熱処理において、非加湿条件下で、上述のように金属銀の形成ではなく銀インク組成物の乾燥を主に行い、二段階目の加熱処理において、加湿条件下で、上述のように金属銀の形成を最後まで行う、二段階の方法で行うことが特に好ましい。
二段階目の加熱処理を加湿条件下で行う場合、一段階目の非加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜110℃であることが好ましく、70〜90℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、5秒〜1時間であることが好ましく、30秒〜30分であることがより好ましく、30秒〜10分であることが特に好ましい。
一段階目の非加湿条件下での加熱処理に次いで行う、二段階目の加湿条件下での加熱処理時の加熱温度は、60〜140℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間であることが好ましく、1分〜1時間であることがより好ましく、1分〜30分であることが特に好ましい。
銀インク組成物を耐熱性が低い基材に付着させて加熱(焼成)処理する場合には、一段階目の非加湿条件下での加熱処理及び二段階目の加湿条件下での加熱処理における加熱温度は、いずれも130℃未満であることが好ましく、125℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることが特に好ましい。
本発明の銀インク組成物を用いて、金属銀を形成して得られた処理物は、金属銀を主成分とするものであり、金属銀の比率が、見かけ上金属銀だけからなるとみなし得る程度に十分に高く、前記処理物中の金属銀の比率を、好ましくは97質量%以上、より好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上とすることができる。前記金属銀の比率の上限値は、例えば、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかとすることができるが、これらは一例である。
<<積層体>>
上述のように、本発明の銀インク組成物を用いて、基材上に金属銀の層(銀層)を形成して得られた積層体において、銀層は、膜状とすることが可能であり、パターニングすることも可能である。
本発明の銀インク組成物を用いて得られた積層体は、各種電子機器、透明導電膜等を構成するのに好適である。
[基材]
前記基材の厚さは、10〜5000μmであることが好ましく、10〜3000μmであることがより好ましい。
基材の材質は、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
また、基材の材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックスや、紙が挙げられる。
また、基材は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、2種以上の材質を併用したものでもよい。
基材は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。基材が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。
なお、基材が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材の厚さとなるようにするとよい。
[銀層]
銀層の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、3nm〜40μmであることが好ましく、4nm〜30μmであることがより好ましい。銀層の厚さが前記下限値以上であることで、銀層を備えることの効果をより向上させることができ、また、銀層の構造をより安定して維持できる。また、銀層の厚さが前記上限値以下であることで、積層体をより薄層化できる。
銀層は、単層からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。銀層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、基材の場合と同様に構成できる。例えば、複数層からなる銀層は、各層の合計の厚さが、上記の好ましい銀層の厚さとなるようにするとよい。
<電子機器>
電子機器は、例えば、前記積層体を用い、前記基材を筐体(外装材)として備えるように構成でき、前記積層体中の基材で筐体(外装材)の少なくとも一部を構成した点以外は、公知の電子機器と同様の構成とすることができる。例えば、携帯電話機等の通信機器における外装材の平面又は曲面部分を前記基材とし、この外装材(基材)上に金属銀からなる細線を形成し、この細線を回路とすることで、前記積層体を回路基板として用いることができる。そして、例えば、前記積層体に加え、音声入力部、音声出力部、操作スイッチ、表示部等を組み合わせることにより、携帯電話機を構成できる。また、パターニングされた金属銀をアンテナとすることで、前記積層体をアンテナ構造体とすることができ、前記アンテナ構造体を用いた点以外は、公知のデータ受送信体と同様の構成とすることで、新規のデータ受送信体とすることができる。例えば、前記積層体において、基材上に金属銀のパターンと電気的に接続されたICチップを設けてアンテナ部とすることにより、非接触型データ受送信体を構成できる。
<透明導電膜>
透明導電膜は、例えば、前記積層体を用い、金属銀のパターンを極微細配線又は極薄配線として備えるように構成でき、金属銀のパターンを極微細配線又は極薄配線として備えた点以外は、公知の透明導電膜と同様の構成とすることができる。例えば、前記積層体に加え、透明基材等と組合せることにより、タッチパネルや光学ディスプレイを構成できる。
極微細配線の線幅は、1〜20μmであることが好ましく、1.3〜15μmであることがより好ましく、1.5〜13μmであることが特に好ましい。
また、極微細配線の断面形状は、好ましくは楕円の短軸方向のほぼ半分の領域が切り取られた半楕円形状である。
一方、極薄配線の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、7nm〜5μmであることがより好ましく、10nm〜1μmであることが特に好ましい。
極薄配線の断面形状は、前記極微細配線の断面形状と同様である。
前記透明導電膜は、金属銀のパターンがこのような線幅及び厚さの少なくとも一方を満たしていることが好ましい。金属銀のパターンがこのような線幅又は厚さであれば、目視によってその存在が認識困難となるので、透明導電膜として好ましいものとなる。
また、前記積層体においては、前記銀インク組成物を用いて金属銀を低温で形成することも可能であり、基材等の材質を幅広く選択できるので、設計の自由度が飛躍的に向上し、電子機器、透明導電膜等をより合理的な構造とすることも可能である。
上記のような電子機器、透明導電膜等は、長期に渡って高い性能を維持することが可能である。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
<銀インク組成物の製造>
[実施例1]
配合方法(a)−1−1を適用し、以下に示す方法で銀インク組成物を製造した。
すなわち、容器中の2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して3.0倍モル量)に、室温(25℃)下で3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」、以下、「DMHO」と略記することがある)(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.1倍モル量)を添加し、さらにここへ室温(25℃)下で水(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.8倍モル量)を添加して、5℃に冷却して5分撹拌し、配合物(M2)を得た。
次いで、得られた配合物(M2)をそのまま5℃に冷却しながら、ここへ2−メチルアセト酢酸銀を添加して、得られた最終配合物を同じ温度(5℃)で冷却したまま5分撹拌した。
次いで、冷却を停止し、この最終配合物を25℃の条件下でそのまま10分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
各配合成分の種類及び配合比、並びに配合方法の分類を表1に示す。表1に記載の各配合成分の「モル比」とは、該当する配合成分の、β−ケトカルボン酸銀(1)の配合量1モルあたりの配合量(モル数)を意味する。
[実施例2]
2−エチルヘキシルアミン及び水の配合量を表1に示すように変更した点以外は、実施例1と同じ方法で銀インク組成物を製造した。
[実施例3]
配合方法(b)−1−1を適用し、以下に示す方法で銀インク組成物を製造した。
すなわち、容器中の2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して3.0倍モル量)に、室温(25℃)下でDMHO(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.1倍モル量)を添加して、5℃に冷却し、5分撹拌した。
次いで、得られた配合物をそのまま5℃に冷却しながら、ここへ2−メチルアセト酢酸銀を添加して、同じ温度で冷却したまま5分撹拌し、配合物(M4)を得た。
次いで、冷却を停止し、得られた配合物(M4)を25℃の条件下でそのまま10分撹拌した後、冷蔵(3℃)下で12時間保管した。そして、配合物(M4)の温度を25℃に戻した後、ここへ水(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.8倍モル量)を添加して、得られた最終配合物を25℃の条件下でそのまま10分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
各配合成分の種類及び配合比、並びに配合方法の分類を表1に示す。
[実施例4]
2−エチルヘキシルアミン及び水の配合量を表1に示すように変更した点以外は、実施例3と同じ方法で銀インク組成物を製造した。
[実施例5]
配合方法(a)−1−1を適用し、以下に示す方法で銀インク組成物を製造した。
すなわち、容器中の2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して4.8倍モル量)に、室温(25℃)下でDMHO(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.1倍モル量)を添加し、さらにここへ室温(25℃)下で水(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1.0倍モル量)を添加し、次いでさらにここへ室温(25℃)下で2−プロパノール(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.5倍モル量)を添加して、5℃に冷却し、5分撹拌して、配合物(M2)を得た。
次いで、得られた配合物(M2)をそのまま5℃に冷却しながら、ここへ2−メチルアセト酢酸銀を添加して、得られた最終配合物を同じ温度(5℃)で冷却したまま5分撹拌した。
次いで、冷却を停止し、この最終配合物を25℃の条件下でそのまま10分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
各配合成分の種類及び配合比、並びに配合方法の分類を表1に示す。なお、表1中、「2−PrOH」は2−プロパノールを意味する。
[実施例6〜7]
2−エチルヘキシルアミン、水及び2−プロパノールの配合量を表1に示すように変更した点以外は、実施例5と同じ方法で銀インク組成物を製造した。
[実施例8]
配合方法(a)−1−1を適用し、以下に示す方法で銀インク組成物を製造した。
すなわち、容器中の2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して3.4倍モル量)に、室温(25℃)下で水(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して2.5倍モル量)を添加した後、さらに2−プロパノール(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して3.0倍モル量)を添加して、5℃に冷却し、5分撹拌して、配合物(M2)を得た。
次いで、得られた配合物(M2)をそのまま5℃に冷却しながら、ここへ2−メチルアセト酢酸銀を添加して、得られた最終配合物を同じ温度(5℃)で冷却したまま5分撹拌した。
次いで、冷却を停止し、この最終配合物を25℃の条件下でそのまま10分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
各配合成分の種類及び配合比、並びに配合方法の分類を表1に示す。
[実施例9]
配合方法(b)−1−1を適用し、以下に示す方法で銀インク組成物を製造した。
すなわち、容器中の2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して6.2倍モル量)に、室温(25℃)下でDMHO(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して0.1倍モル量)を添加して、5℃に冷却し、5分撹拌した。
次いで、得られた配合物をそのまま5℃に冷却しながら、ここへ2−メチルアセト酢酸銀を添加して、同じ温度で冷却したまま5分撹拌し、配合物(M4)を得た。
次いで、冷却を停止し、得られた配合物(M4)を25℃の条件下でそのまま10分撹拌した後、冷蔵(3℃)下で12時間保管した。そして、配合物(M4)の温度を25℃に戻した後、ここへ水(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.2倍モル量)を添加し、さらにシクロオクタン(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.2倍モル量)を添加して、得られた最終配合物を25℃の条件下でそのまま10分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
各配合成分の種類及び配合比、並びに配合方法の分類を表1に示す。
[比較例1]
配合方法(z)−1を適用し、以下に示す方法で銀インク組成物を製造した。
すなわち、25℃の条件下で、容器中の2−メチルアセト酢酸銀に水(2−メチルアセト酢酸銀に対して1.8倍モル量)を添加して、25℃の条件下でそのまま5分撹拌した。
次いで、別の容器に入った2−エチルヘキシルアミン(2−メチルアセト酢酸銀に対して3.0倍モル量)に、室温(25℃)下でDMHO(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.1倍モル量)を添加して、5℃に冷却し、5分撹拌した。
次いで、上記で得られた2−エチルヘキシルアミンとDMHOとの配合物を、5℃の条件下で、上記で得られた2−メチルアセト酢酸銀と水との配合物へ添加し、5℃で冷却したまま5分撹拌した。
次いで、冷却を停止し、得られた配合物を25℃の条件下でそのまま10分撹拌することにより、銀インク組成物を得た。
各配合成分の種類及び配合比、並びに製造方法の分類を表1に示す。
[比較例2]
2−エチルヘキシルアミン及び水の配合量を表1に示すように変更した点以外は、比較例1と同じ方法で銀インク組成物を製造した。
<銀インク組成物の評価>
上記で得られた銀インク組成物を、製造直後から3℃で1週間静置保存し、この保存後の銀インク組成物について、目視観察により沈殿の増加の有無を確認した。そして、沈殿の増加が認められなかった銀インク組成物については、その保存安定性を合格(○)と判定し、沈殿の増加が認められた銀インク組成物については、その保存安定性を不合格(×)と判定した。結果を表1に示す。
Figure 2017179152
上記結果から明らかなように、実施例1〜9の銀インク組成物では、保存時における沈殿物の増加が抑制されており、保存安定性が高かった。
これに対して、比較例1〜2の銀インク組成物では、保存時に沈殿物が顕著に増加しており、保存安定性が低かった。
本発明は、例えば、配線基板、電磁波シールド、タッチパネル、無線通信機筐体のアンテナ等の、基材上に金属銀層を備えた各種電子機器や、金属銀のパターンを装飾用又は加飾用として用いる各種製品等に利用可能である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀と、炭素数25以下のアミン化合物、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩、アンモニア、及び前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上の含窒素化合物と、水と、を配合する配合工程を有する、銀インク組成物の製造方法であって、
    前記配合工程において、
    前記β−ケトカルボン酸銀、又は少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀と前記水以外の成分とが配合されてなる配合物(M1)を、少なくとも前記含窒素化合物と前記水とが配合されてなる配合物(M2)に添加する方法、
    前記β−ケトカルボン酸銀、又は前記配合物(M1)に、前記配合物(M2)を添加する方法、
    前記水、又は少なくとも前記水と前記β−ケトカルボン酸銀以外の成分とが配合されてなる配合物(M3)を、少なくとも前記β−ケトカルボン酸銀と前記含窒素化合物とが配合されてなる配合物(M4)に添加する方法、並びに
    前記水、又は前記配合物(M3)に、前記配合物(M4)を添加する方法、
    のいずれかを採用する、銀インク組成物の製造方法。
    Figure 2017179152
    (式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R−CY −」、「CY −」、「R−CHY−」、「RO−」、「RN−」、「(RO)CY−」若しくは「R−C(=O)−CY −」で表される基であり;
    はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり;
    はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「RO−」、「RS−」、「R−C(=O)−」若しくは「R−C(=O)−O−」で表される基であり;
    は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
  2. 前記配合工程において、さらにアセチレンアルコール、アセチレンアルコール以外のアルコール及びアルカンからなる群から選択される1種又は2種以上を配合する、請求項1に記載の銀インク組成物の製造方法。
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