JP2008176951A - 銀系微粒子インクペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】取り扱いの容易な、金属ナノ粒子よりも大きな粒子径の微粒子を用いて、150℃より低い焼成温度においても実用上問題の無い良好な電気伝導度が達成可能な銀系微粒子インクペーストを提供する。
【解決手段】脂肪酸銀塩とアミン化合物とを反応させて得られる有機銀化合物と、銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子と、溶媒及び/又は分散媒とを含む銀系微粒子インクペースト。有機銀化合物を併用することにより、フィラー微粒子の低温焼結性が高められる。
【選択図】なし
【解決手段】脂肪酸銀塩とアミン化合物とを反応させて得られる有機銀化合物と、銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子と、溶媒及び/又は分散媒とを含む銀系微粒子インクペースト。有機銀化合物を併用することにより、フィラー微粒子の低温焼結性が高められる。
【選択図】なし
Description
本発明は、低温焼成で実用上問題の無い良好な電気伝導度を示す銀系微粒子インクペースト、このインクペーストを利用した導電性薄膜、導電性細線、電極、プリント配線板及び多層プリント配線板に係り、詳しくは、有機銀化合物と銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子と、溶媒及び/又は分散媒とを含んだ銀系微粒子インクペーストと、このインクペーストを低温焼成して得られる導電性薄膜、導電性細線、電極、プリント配線板及び多層プリント配線板に関する。
一般に、粒子径が数nm〜数10nm程度の金属ナノ粒子と呼ばれる金属超微粒子においては、粒子表面に存在するエネルギー状態の高い活性な金属原子の割合が多くなるために、当該金属ナノ粒子を構成する金属の融点よりもかなり低い温度で焼結させることができることが知られている。例えば、清浄な表面を有する銀ナノ粒子では、200℃以下においても焼結可能である。
このような金属ナノ粒子の性質を利用して、200〜350℃近辺の比較的低い焼成温度で処理された場合に、実用上問題の無い良好な電気伝導度を示す種々の導電性金属インク、導電性金属ペーストが開発されている。
例えば分散剤で被覆された粒子径100nm以下の金属ナノ粒子のみからなる導電性金属ペースト、導電性金属インクを、230℃で焼成することにより形成された配線パターンが3.3×105S/cmの良好な電気伝導度を示すことが報告されている(特許文献1)。
また、より低い処理温度での焼成で良好な電気伝導度を達成することを目的として、粒子状の酸化銀と3級脂肪酸銀塩からなる銀化合物ペーストが提案されている。この銀化合物ペーストでは、粒子径500nm以下の酸化銀微粒子の低温自己還元反応と、3級脂肪酸銀塩の低温分解による銀生成反応が利用されており、150℃の焼成で2.2×105S/cmの良好な電気伝導度を示すことが報告されている(特許文献2)。
特開2004−273205号公報
特開2003−203522号公報
上記従来技術のうち、特許文献1の技術では、次のような問題がある。
粒子径が100nm以下の金属ナノ粒子の低温焼結性は、金属ナノ粒子表面におけるエネルギー状態の高い金属原子の存在割合が多くなり、表面が高活性となることに由来している。従って、このように活性表面が露出した金属ナノ粒子においては凝集体を形成し易く、凝集体形成後は低温焼結性が失われてしまう。特許文献1では、この凝集体の形成を防止するために、金属ナノ粒子表面を分散剤で被覆しているが、分散剤の被覆により安定化するが故に、低温焼成時に被覆分散剤が脱離し難く、この結果、200℃以下の低温焼成においては良好な電気伝導度は達成されていない。このため、特許文献1では、230℃での焼成が必要となる。
粒子径が100nm以下の金属ナノ粒子の低温焼結性は、金属ナノ粒子表面におけるエネルギー状態の高い金属原子の存在割合が多くなり、表面が高活性となることに由来している。従って、このように活性表面が露出した金属ナノ粒子においては凝集体を形成し易く、凝集体形成後は低温焼結性が失われてしまう。特許文献1では、この凝集体の形成を防止するために、金属ナノ粒子表面を分散剤で被覆しているが、分散剤の被覆により安定化するが故に、低温焼成時に被覆分散剤が脱離し難く、この結果、200℃以下の低温焼成においては良好な電気伝導度は達成されていない。このため、特許文献1では、230℃での焼成が必要となる。
一方、特許文献2に記載される酸化銀微粒子と3級脂肪酸銀塩からなる銀化合物ペーストでは、200℃以下の低温焼成において良好な電気伝導度が達成されているが、150℃より低い焼成温度において良好な電気伝導度は達成されていない。
従って、本発明は、取り扱いの容易な、金属ナノ粒子よりも大きな粒子径の微粒子を用いて、150℃より低い焼成温度においても実用上問題の無い良好な電気伝導度が達成可能な銀系微粒子インクペーストを提供することを課題とする。本発明は、また、かかる銀系微粒子インクペーストを150℃より低い焼成温度で焼成してなる導電性薄膜及び導電性細線と、これを利用した電極、プリント配線板及び多層プリント配線板を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、脂肪酸銀塩とアミン化合物とを反応させて得られる有機銀化合物と銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子とを併用することにより、低温焼結性に優れた微粒子インクペーストが得られることを見出した。
本発明はこの知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
本発明はこの知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 脂肪酸銀塩とアミン化合物とを反応させて得られる有機銀化合物と、銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子、溶媒及び/又は分散媒とを含む銀系微粒子インクペースト。
[2] 脂肪酸銀塩が3級脂肪酸銀塩である[1]に記載の銀系微粒子インクペースト。
[3] アミン化合物が1級又は2級アミンである[1]又は[2]に記載の銀系微粒子インクペースト。
[4] 銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子が銀微粒子である[1]ないし[3]のいずれかに記載の銀系微粒子インクペースト。
[5] 前記溶媒及び/又は分散媒がアミン系溶剤である[1]ないし[4]のいずれかに記載の銀系微粒子インクペースト。
[6] 分散工程を含むことを特徴とする[1]ないし[5]のいずれかに記載の銀系微粒子インクペーストの製造方法。
[7] [1]ないし[5]のいずれかに記載の銀系微粒子インクペーストを焼成させてなる導電性薄膜。
[8] [7]の導電性薄膜を備えてなる電極。
[9] [1]ないし[5]のいずれかに記載の銀系微粒子インクペーストを焼成させてなる導電性細線。
[10] [9]に記載の導電性細線を備えてなるプリント配線板。
[11] [1]ないし[5]のいずれかに記載の銀系微粒子インクペーストをビアホールに充填し焼成させてなる導通部を有する多層プリント配線板。
本発明の銀系微粒子インクペーストは、脂肪酸銀塩よりもさらに低温で分解しエネルギー状態の高い銀原子が形成可能な有機銀化合物を含み、しかもこの有機銀化合物は分散剤としても働くため、低温焼成により銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子間を焼結した焼結体層を形成することが可能となる。従って、特許文献2のような脂肪酸銀塩を併用する場合よりもさらなる低温焼成で、実用上問題の無い良好な電気伝導度が達成可能となり、この銀系微粒子インクペーストにより、低温焼成にて導電性に優れた導電性薄膜、及び導電性細線を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
[銀系微粒子インクペースト]
本発明の銀系微粒子インクペーストは、フィラーとしての銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子(以下「フィラー微粒子」と称す場合がある。)と、脂肪酸銀塩とアミン化合物を反応して得られる有機銀化合物と、溶媒及び/又は分散媒を含むものである。この有機銀化合物は、脂肪酸銀塩よりも低温で分解してエネルギー状態の高い活性な銀原子を生成する。本発明に係る有機銀化合物の低温分解で生成する活性な銀原子は、低温で焼結体層を形成するため、フィラーである銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子相互はこの焼結体層を介して低温で焼結される。また、本発明に係る有機銀化合物の低温分解で生成する活性な銀原子はフィラーである銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子間の隙間空間を充填し、焼結体層を形成するため、脂肪酸銀塩の場合よりも、より低温で緻密な焼結体層が形成可能となり、良好な電気伝導度が達成できる。
本発明の銀系微粒子インクペーストは、フィラーとしての銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子(以下「フィラー微粒子」と称す場合がある。)と、脂肪酸銀塩とアミン化合物を反応して得られる有機銀化合物と、溶媒及び/又は分散媒を含むものである。この有機銀化合物は、脂肪酸銀塩よりも低温で分解してエネルギー状態の高い活性な銀原子を生成する。本発明に係る有機銀化合物の低温分解で生成する活性な銀原子は、低温で焼結体層を形成するため、フィラーである銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子相互はこの焼結体層を介して低温で焼結される。また、本発明に係る有機銀化合物の低温分解で生成する活性な銀原子はフィラーである銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子間の隙間空間を充填し、焼結体層を形成するため、脂肪酸銀塩の場合よりも、より低温で緻密な焼結体層が形成可能となり、良好な電気伝導度が達成できる。
<有機銀化合物>
(脂肪酸銀塩)
本発明に係る有機銀化合物を形成する脂肪酸銀塩は、前記有機銀化合物を形成するものであれば特に限定されないが、前述したように前記有機銀化合物が低温で分解し、得られた活性な銀原子が焼結体層形成を担うことから、より低温で分解し、分解後有機物が残存し難い有機銀化合物を形成する脂肪酸銀塩が好ましく、以下に例示した1級脂肪酸、2級脂肪酸、及び3級脂肪酸の銀塩、好ましくは炭素数5〜30、特に7〜20、とりわけ8〜15の脂肪酸、特に好ましくは3級脂肪酸の銀塩が挙げられる。
(脂肪酸銀塩)
本発明に係る有機銀化合物を形成する脂肪酸銀塩は、前記有機銀化合物を形成するものであれば特に限定されないが、前述したように前記有機銀化合物が低温で分解し、得られた活性な銀原子が焼結体層形成を担うことから、より低温で分解し、分解後有機物が残存し難い有機銀化合物を形成する脂肪酸銀塩が好ましく、以下に例示した1級脂肪酸、2級脂肪酸、及び3級脂肪酸の銀塩、好ましくは炭素数5〜30、特に7〜20、とりわけ8〜15の脂肪酸、特に好ましくは3級脂肪酸の銀塩が挙げられる。
(1級脂肪酸)
ヘキサン酸
オクタン酸
デカン酸
ドデカン(ラウリン)酸
テトラデカン(ミリスチン)酸
ヘキサデカン(パルミチン)酸
オクタデカン(ステアリン)酸
ヘキサン酸
オクタン酸
デカン酸
ドデカン(ラウリン)酸
テトラデカン(ミリスチン)酸
ヘキサデカン(パルミチン)酸
オクタデカン(ステアリン)酸
(2級脂肪酸)
2−エチル酪酸
2−メチルヘキサン酸
2−エチルヘキサン酸
2−プロピルペンタン酸
2−エチル酪酸
2−メチルヘキサン酸
2−エチルヘキサン酸
2−プロピルペンタン酸
(3級脂肪酸)
ピバリン酸
ネオヘプタン酸
ネオノナン酸
ネオデカン酸
ピバリン酸
ネオヘプタン酸
ネオノナン酸
ネオデカン酸
この中で、低温で分解し、有機物の残存の影響が少ないことから特にネオデカン酸銀塩を用いることが好ましい。
これらの脂肪酸銀塩は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(アミン化合物)
一方、本発明に係る有機銀化合物を形成するアミン化合物は、前記有機銀化合物を形成しうるものであれば良く、特に限定はされないが、前記脂肪酸銀塩の場合と同様に、分解後に有機物が残存し難いことから、炭素数が3〜20の1、2、3級アミンが好ましく、さらに好ましくは炭素数が5〜10の1、2、3級アミンである。さらにまた、前記有機銀化合物の安定性の面から、炭素数が5〜10の1級又は2級アミンがより好ましい。具体的にはアミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、イソペンチルアミン、2−メチルブチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、N−メチルブチルアミンなどが挙げられる。
一方、本発明に係る有機銀化合物を形成するアミン化合物は、前記有機銀化合物を形成しうるものであれば良く、特に限定はされないが、前記脂肪酸銀塩の場合と同様に、分解後に有機物が残存し難いことから、炭素数が3〜20の1、2、3級アミンが好ましく、さらに好ましくは炭素数が5〜10の1、2、3級アミンである。さらにまた、前記有機銀化合物の安定性の面から、炭素数が5〜10の1級又は2級アミンがより好ましい。具体的にはアミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、イソペンチルアミン、2−メチルブチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、N−メチルブチルアミンなどが挙げられる。
(脂肪酸銀塩とアミン化合物との反応)
本発明に係る有機銀化合物は前記脂肪酸銀塩と上記アミン化合物とをモル比1:2〜1:20、好ましくは1:2〜1:10で仕込み、不活性ガス雰囲気下で加熱して反応させることにより得ることができる。不活性ガス雰囲気下の加熱反応において、反応終了前に未反応のアミン化合物が気化してしまう場合は、アミン化合物の仕込み量を脂肪酸銀塩とアミン化合物のモル比1:2よりも多くなるようにし、反応終了後に未反応のアミン化合物を減圧留去する。加熱温度、加熱時間は生成した有機銀化合物が分解しない範囲に抑えるよう前記脂肪酸銀塩及びアミン化合物の種類によって適宜調節すれば良い。また、前述したようにアミン化合物の仕込み量を脂肪酸銀塩とアミン化合物のモル比1:2よりも多くし、反応終了後に未反応のアミン化合物を減圧留去して有機銀化合物を得る場合の減圧留去においても、生成した有機銀化合物が分解しないように真空度、加熱温度及び加熱時間を適宜調節すれば良い。
また、反応に用いるアミン化合物は、反応前に水酸化カリウムなどの脱水剤と共に加熱還流を行って脱水操作を行っても良い。
本発明に係る有機銀化合物は前記脂肪酸銀塩と上記アミン化合物とをモル比1:2〜1:20、好ましくは1:2〜1:10で仕込み、不活性ガス雰囲気下で加熱して反応させることにより得ることができる。不活性ガス雰囲気下の加熱反応において、反応終了前に未反応のアミン化合物が気化してしまう場合は、アミン化合物の仕込み量を脂肪酸銀塩とアミン化合物のモル比1:2よりも多くなるようにし、反応終了後に未反応のアミン化合物を減圧留去する。加熱温度、加熱時間は生成した有機銀化合物が分解しない範囲に抑えるよう前記脂肪酸銀塩及びアミン化合物の種類によって適宜調節すれば良い。また、前述したようにアミン化合物の仕込み量を脂肪酸銀塩とアミン化合物のモル比1:2よりも多くし、反応終了後に未反応のアミン化合物を減圧留去して有機銀化合物を得る場合の減圧留去においても、生成した有機銀化合物が分解しないように真空度、加熱温度及び加熱時間を適宜調節すれば良い。
また、反応に用いるアミン化合物は、反応前に水酸化カリウムなどの脱水剤と共に加熱還流を行って脱水操作を行っても良い。
通常、脂肪酸銀塩とアミン化合物との反応時の加熱温度は30〜130℃、特に40〜100℃で、加熱時間は5分〜4時間、特に15分〜3時間とすることが好ましい。
上記のように反応して得られる有機銀化合物としては、特に、脂肪酸銀塩にアミン化合物が2配位したものが好ましく、また、このようなアミン化合物2配位の有機銀化合物を主成分とするものが好ましい。
<銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子>
本発明の銀系微粒子インクペーストに含まれるフィラー銀微粒子は、純銀の微粒子に限らず、銀を含む合金の微粒子であっても良い。この場合、銀合金としては、銀と、銅、パラジウム、白金等の貴金属等の1種又は2種以上との合金が挙げられ、この銀合金は、上記有機銀化合物の低温分解で生成する活性な銀原子と焼結体を形成するため、銀含有量が50重量%以上であることが好ましい。また、銀微粒子表面を銅等で被覆したコアシェル型微粒子や銅微粒子を銀で被覆したコアシェル型微粒子であっても良い。
本発明の銀系微粒子インクペーストに含まれるフィラー銀微粒子は、純銀の微粒子に限らず、銀を含む合金の微粒子であっても良い。この場合、銀合金としては、銀と、銅、パラジウム、白金等の貴金属等の1種又は2種以上との合金が挙げられ、この銀合金は、上記有機銀化合物の低温分解で生成する活性な銀原子と焼結体を形成するため、銀含有量が50重量%以上であることが好ましい。また、銀微粒子表面を銅等で被覆したコアシェル型微粒子や銅微粒子を銀で被覆したコアシェル型微粒子であっても良い。
また、本発明の銀系微粒子インクペーストに含まれる銀化合物微粒子としては、酸化銀等の微粒子が挙げられる。
本発明の銀系微粒子インクペーストは、銀微粒子、銀合金微粒子、銀含有コアシェル型微粒子、銀化合物微粒子の1種を含むものであっても良く、2種以上を含むものであっても良い。ただし、本発明の銀系微粒子インクペーストでは、前述したように前記有機銀化合物の低温分解で生成する活性な銀原子からなる焼結体層を介してフィラー微粒子が焼結されることから、フィラー微粒子としては銀微粒子を用いることが好ましく、また2種以上の混合微粒子を用いる場合は銀微粒子を主成分とし、全フィラー微粒子の50重量%以上、特に70重量%以上が銀微粒子であることが好ましい。
本発明に係るフィラー微粒子の粒子径は特に限定されないが、二次粒子を形成し難く、取り扱いが容易な金属ナノ粒子よりも大きな粒子径のフィラー微粒子に対する低温焼結性付与の面から、本発明は粒子径20nm以上、特に粒子径50nm以上のフィラー微粒子に対して有用であり、粒子径100nm以上のフィラー微粒子に対してより有用である。ただし、フィラー微粒子の粒子径が過度に大きいとフィラー微粒子の分散安定性が悪くなり、また前述した焼結体層における、フィラー微粒子間の隙間空間の充填が不十分となり緻密な焼結体層の形成が阻害され良好な電気伝導度が得られなくなるため、フィラー微粒子の粒子径は10μm以下、特に5μm以下、とりわけ1μm以下であることが好ましい。
なお、フィラー微粒子の粒子径とは、粒度分布における累積粒度曲線においてその積算量が50〜90%を占めるときの粒子径D50〜D90における粒子径のことである。
なお、フィラー微粒子の粒子径とは、粒度分布における累積粒度曲線においてその積算量が50〜90%を占めるときの粒子径D50〜D90における粒子径のことである。
<溶媒及び/又は分散媒>
本発明の銀系微粒子インクペーストにおける溶媒及び/又は分散媒は、前記有機銀化合物を溶解、又は前記フィラー微粒子が分散してインクペーストの化学的安定性、分散安定性が保たれるものであれば特に制限されないが、例えば、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、N−メチルブチルアミン等のアミン系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカンなどの炭化水素系溶剤などが例示される。この場合、150℃より低い焼成過程における蒸発が良好でありかつインクペーストのレオロジー特性、支持基材への濡れ性が良好であるものが好ましく、イソホロン、エチルセロソルブ、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、N−メチルブチルアミンなどが好ましい。
特に、インクペースト中での有機銀化合物の化学的安定性のためにはアミン系溶剤が好ましい。
また、アミン系溶剤の場合、インクペースト製造前に水酸化カリウムなどの脱水剤と共に加熱還流を行って脱水操作を行っても良い。
本発明の銀系微粒子インクペーストにおける溶媒及び/又は分散媒は、前記有機銀化合物を溶解、又は前記フィラー微粒子が分散してインクペーストの化学的安定性、分散安定性が保たれるものであれば特に制限されないが、例えば、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、N−メチルブチルアミン等のアミン系溶剤、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカンなどの炭化水素系溶剤などが例示される。この場合、150℃より低い焼成過程における蒸発が良好でありかつインクペーストのレオロジー特性、支持基材への濡れ性が良好であるものが好ましく、イソホロン、エチルセロソルブ、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジプロピルアミン、N−メチルブチルアミンなどが好ましい。
特に、インクペースト中での有機銀化合物の化学的安定性のためにはアミン系溶剤が好ましい。
また、アミン系溶剤の場合、インクペースト製造前に水酸化カリウムなどの脱水剤と共に加熱還流を行って脱水操作を行っても良い。
これらの溶媒及び/又は分散媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
<組成物配合>
本発明の銀系微粒子インクペーストにおけるフィラー微粒子と前記有機銀化合物との含有重量比率(前記フィラー微粒子重量/前記有機銀化合物重量)は1.5/1〜5/1が好ましく、2.5/1〜4/1がより好ましい。この範囲よりも前記有機銀化合物の量が多すぎると、これが分解して生成する活性な銀原子による新たな銀微粒子形成が優先的に起こり隙間空間を充填しきれず、前述したような緻密な焼結体層の形成が阻害され良好な電気伝導度が得られないために好ましくない。この範囲よりも前記有機銀化合物の量が少なすぎると前述したような焼結体層を介してのフィラー微粒子相互の焼結が不充分となりフィラー微粒子相互が焼結されていない部分が形成され、かつまた、フィラー微粒子間の隙間空間の充填も不充分となり前述したような緻密な焼結体層が形成されず良好な電気伝導度が得られないために好ましくない。
本発明の銀系微粒子インクペーストにおけるフィラー微粒子と前記有機銀化合物との含有重量比率(前記フィラー微粒子重量/前記有機銀化合物重量)は1.5/1〜5/1が好ましく、2.5/1〜4/1がより好ましい。この範囲よりも前記有機銀化合物の量が多すぎると、これが分解して生成する活性な銀原子による新たな銀微粒子形成が優先的に起こり隙間空間を充填しきれず、前述したような緻密な焼結体層の形成が阻害され良好な電気伝導度が得られないために好ましくない。この範囲よりも前記有機銀化合物の量が少なすぎると前述したような焼結体層を介してのフィラー微粒子相互の焼結が不充分となりフィラー微粒子相互が焼結されていない部分が形成され、かつまた、フィラー微粒子間の隙間空間の充填も不充分となり前述したような緻密な焼結体層が形成されず良好な電気伝導度が得られないために好ましくない。
また、本発明の銀系微粒子インクペーストにおける溶媒及び/又は分散媒の量は、本発明の銀系微粒子インクペーストを用いて均一な膜厚及び均一な膜質を有する焼結膜を得るために、前記フィラー微粒子と前記有機銀化合物の総量を固形分とした場合の固形分濃度が50〜95重量%、特に60〜90重量%となるように、溶媒及び/又は分散媒を配合することが好ましい。
本発明の銀系微粒子インクペーストの製造方法としては、前記フィラー微粒子と、前記有機銀化合物と、溶媒及び/又は分散媒を混合、分散させて、インクペースト状に加工する方法であれば良く、特に制限されないが、具体的には、ボールミル、ジェットミル、アイガーミル、ペイントシェーカー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ロールミル、ニーダー、混練機等を用いる方法が挙げられる。
[導電性薄膜、導電性細線]
本発明の導電性薄膜及び導電性細線は、上述した本発明の銀系微粒子インクペーストを焼成させてなるものである。
ここで、導電性薄膜とは、通常、膜厚5000Å〜20μmの導電性の薄膜をさし、導電性細線とは、通常、線幅5μm〜300μm、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜100μmの導電性の細線をさす。なお、この導電性細線の厚さは、通常5000Å〜20μm程度である。
本発明の導電性薄膜及び導電性細線は、上述した本発明の銀系微粒子インクペーストを焼成させてなるものである。
ここで、導電性薄膜とは、通常、膜厚5000Å〜20μmの導電性の薄膜をさし、導電性細線とは、通常、線幅5μm〜300μm、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜100μmの導電性の細線をさす。なお、この導電性細線の厚さは、通常5000Å〜20μm程度である。
本発明の導電性薄膜及び導電性細線は、具体的には、本発明の銀系微粒子インクペーストを支持基材に塗布した後、焼成することにより形成される。
導電性薄膜、導電性細線の支持基材としては、ガラス基板、樹脂基板、セラミック基板などが挙げられる。樹脂基板としては、具体的にはポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルホンなどよりなる基板が挙げられる。このような支持基材は、その表面に、シランカップリング剤等の表面処理剤による処理を施してもかまわない。この場合、導電性薄膜または導電性細線前駆体である本発明の銀系微粒子インクペーストに含まれる分散媒等の成分に対する基材との濡れ性が良好になるように表面エネルギーを調整することになる。
このような支持基材上に本発明の銀系微粒子インクペーストを塗布する方法としては、バーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、ロールコート法などが挙げられる。細線パターンを形成させる場合は、インクジェット法、スクリーン印刷法等を用いることができる。
本発明の導電性薄膜又は導電性細線は、支持基材上に本発明の銀系微粒子インクペーストを薄膜状又は細線状に塗布して形成された導電性薄膜前駆体又は導電性細線前駆体を焼成することにより、形成される。
ここで、焼成雰囲気は、空気雰囲気、不活性ガス雰囲気、脱気雰囲気などいずれでも良いが、通常空気雰囲気とされ、焼成温度は150℃より低い温度とされる。焼成温度は150℃以上の温度で焼成することも可能であるが、本発明の有機銀化合物を含む銀系微粒子インクペーストの低温焼結性の利点を有効に活用するために、焼成温度は150℃より低い温度、とりわけ130℃以下とすることが好ましい。ただし、焼成温度が低過ぎると導電性を発現し得ないことから、焼成温度は80℃以上、特に100℃以上とすることが好ましい。
本発明においては、特に、150℃より低温での低温焼成が可能であることから、支持基材として、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の耐熱温度の低い安価な汎用樹脂基板を使用することができるという利点がある。
なお、焼成時間は焼成温度や、形成する導電性薄膜の厚さや導電性細線の線幅等によっても異なるが、通常5〜60分程度である。
このような焼成を行うことにより、前述の如く、焼成過程において、前記有機銀化合物の低温分解で生成する活性な銀原子が低温で焼結体層を形成するため、フィラーである前記銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子相互はこの焼結体層を介して低温で焼結され、また活性な銀原子がフィラーである銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子間の隙間空間を充填し、焼結体層を形成するため、低温で緻密な焼結体層が形成可能となり、良好な電気伝導度が達成できる。
なお、本発明により達成される電気伝導度としては通常5×103〜6×105S/cm、好ましくは7×103〜6×105S/cm、より好ましくは1×104〜6×105S/cm程度である。
本発明の電極は、このようにして形成される導電性薄膜を備えるものであり、本発明のプリント配線板は、このようにして形成される導電性細線を備えるものである。また、前述の本発明の銀系微粒子インクペーストをビアホールに充填して焼成することにより、プリント配線板同士を電気的に導通させた本発明の多層プリント配線板を形成することができる。この場合の焼成条件も上述の導電性薄膜や導電性細線の場合と同様である。
本発明の導電性薄膜を備える本発明の電極の用途としては、太陽電池用途、ディスプレイ用途、TFT用途等が挙げられる。
また、本発明の導電性細線を備える本発明のプリント配線板の用途としては、テレビ用途、ホームビデオ用途、一般電子機器用途、携帯用電子機器用途、アンテナ用途等が挙げられる。
また、本発明の多層プリント配線板の用途としては、高性能電子機器用途、コンピュータ用途、デジカメ用途、ビデオカメラ用途、携帯用電子機器用途等が挙げられる。
また、本発明の導電性細線を備える本発明のプリント配線板の用途としては、テレビ用途、ホームビデオ用途、一般電子機器用途、携帯用電子機器用途、アンテナ用途等が挙げられる。
また、本発明の多層プリント配線板の用途としては、高性能電子機器用途、コンピュータ用途、デジカメ用途、ビデオカメラ用途、携帯用電子機器用途等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制約されるものではない。
<実施例1>
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)2.05g(7.3ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でオクチルアミン(東京化成社製)8.38g(64.8ミリモル)を導入し、撹拌しながら70℃で3.5時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のオクチルアミンを70℃で1時間かけて減圧留去して、オクチルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたオクチルアミン・ネオデカン酸銀塩0.53gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.88g(オクチルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:3.5)を溶媒であるヘキシルアミン(Aldrich社製)に固形分濃度が75重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより30秒分散して、銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物をエポキシシランで表面処理したガラス基板上にバーコーターにより塗布し、空気中、130℃で30分間加熱した。
加熱後の薄膜(膜厚2.3μm)に対し、空気中、室温でvan der Pauw法(ADVANTEST社製R6144電圧/電流発生器及びKeithley Instruments社製2000型デジタルマルチメータ使用)にて電気伝導度を測定したところ7.8×104S/cmであった。
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)2.05g(7.3ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でオクチルアミン(東京化成社製)8.38g(64.8ミリモル)を導入し、撹拌しながら70℃で3.5時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のオクチルアミンを70℃で1時間かけて減圧留去して、オクチルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたオクチルアミン・ネオデカン酸銀塩0.53gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.88g(オクチルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:3.5)を溶媒であるヘキシルアミン(Aldrich社製)に固形分濃度が75重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより30秒分散して、銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物をエポキシシランで表面処理したガラス基板上にバーコーターにより塗布し、空気中、130℃で30分間加熱した。
加熱後の薄膜(膜厚2.3μm)に対し、空気中、室温でvan der Pauw法(ADVANTEST社製R6144電圧/電流発生器及びKeithley Instruments社製2000型デジタルマルチメータ使用)にて電気伝導度を測定したところ7.8×104S/cmであった。
<実施例2>
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)0.51g(1.8ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でヘキシルアミン(Aldrich社製)1.66g(16.4ミリモル)を導入し、撹拌しながら65℃で3時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のヘキシルアミンを65℃で30分かけて減圧留去して、ヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩0.44gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.56g(ヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:3.5)を溶媒であるヘキシルアミン(Aldrich社製)に固形分濃度が75重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより30秒分散して、銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物を実施例1と同様にガラス基板に塗布して焼成し、焼結後の薄膜(膜厚3.5μm)について、実施例1と同様に電気伝導度を測定したところ、9.4×104S/cmであった。
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)0.51g(1.8ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でヘキシルアミン(Aldrich社製)1.66g(16.4ミリモル)を導入し、撹拌しながら65℃で3時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のヘキシルアミンを65℃で30分かけて減圧留去して、ヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩0.44gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.56g(ヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:3.5)を溶媒であるヘキシルアミン(Aldrich社製)に固形分濃度が75重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより30秒分散して、銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物を実施例1と同様にガラス基板に塗布して焼成し、焼結後の薄膜(膜厚3.5μm)について、実施例1と同様に電気伝導度を測定したところ、9.4×104S/cmであった。
<実施例3>
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)1.71g(6.1ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でヘキシルアミン(Aldrich社製)5.46g(54.0ミリモル)を導入し、撹拌しながら55℃で2時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のヘキシルアミンを55℃で20分かけて減圧留去して、ヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩0.55gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.94g(ヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:3.5)を溶媒であるエチルセロソルブ(東京化成社製)に固形分濃度が80重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより90秒分散して、銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物を実施例1と同様にガラス基板に塗布して焼成し、焼結後の薄膜(膜厚5.2μm)について、実施例1と同様に電気伝導度を測定したところ9.5×104S/cmであった。
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)1.71g(6.1ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でヘキシルアミン(Aldrich社製)5.46g(54.0ミリモル)を導入し、撹拌しながら55℃で2時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のヘキシルアミンを55℃で20分かけて減圧留去して、ヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩0.55gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.94g(ヘキシルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:3.5)を溶媒であるエチルセロソルブ(東京化成社製)に固形分濃度が80重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより90秒分散して、銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物を実施例1と同様にガラス基板に塗布して焼成し、焼結後の薄膜(膜厚5.2μm)について、実施例1と同様に電気伝導度を測定したところ9.5×104S/cmであった。
<実施例4>
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)0.57g(2.0ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でオクチルアミン(Aldrich社製)2.32g(17.9ミリモル)を導入し、撹拌しながら70℃で5時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のオクチルアミンを70℃で1時間かけて減圧留去して、オクチルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたオクチルアミン・ネオデカン酸銀塩0.46gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.60g(オクチルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:3.5)を溶媒であるエチルセロソルブ(東京化成社製)に固形分濃度が75重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより30秒分散して、銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物を実施例1と同様にガラス基板に塗布して焼成し、焼結後の薄膜(膜厚2.1μm)について、実施例1と同様に電気伝導度を測定したところ6.5×104S/cmであった。
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)0.57g(2.0ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でオクチルアミン(Aldrich社製)2.32g(17.9ミリモル)を導入し、撹拌しながら70℃で5時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のオクチルアミンを70℃で1時間かけて減圧留去して、オクチルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたオクチルアミン・ネオデカン酸銀塩0.46gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.60g(オクチルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:3.5)を溶媒であるエチルセロソルブ(東京化成社製)に固形分濃度が75重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより30秒分散して、銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物を実施例1と同様にガラス基板に塗布して焼成し、焼結後の薄膜(膜厚2.1μm)について、実施例1と同様に電気伝導度を測定したところ6.5×104S/cmであった。
<実施例5>
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)0.98g(3.5ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でジプロピルアミン(東京化成社製)3.14g(31.0ミリモル)を導入し、撹拌しながら50℃で1.5時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のジプロピルアミンを室温で10分、その後50℃で10分かけて減圧留去して、ジプロピルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたジプロピルアミン・ネオデカン酸銀塩0.44gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.77g(ジプロピルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:4)を溶媒であるジプロピルアミン(東京化成社製)に固形分濃度が68重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより60秒分散して銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物を実施例1と同様にガラス基板に塗布して焼成し、焼結後の薄膜(膜厚2.6μm)について、実施例1と同様に電気伝導度を測定したところ1.3×104S/cmであった。
50mLの三口フラスコにネオデカン酸銀塩(和光純薬社製)0.98g(3.5ミリモル)を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気に置換した。その後、窒素気流下でジプロピルアミン(東京化成社製)3.14g(31.0ミリモル)を導入し、撹拌しながら50℃で1.5時間加熱した。加熱後、反応系から過剰のジプロピルアミンを室温で10分、その後50℃で10分かけて減圧留去して、ジプロピルアミン・ネオデカン酸銀塩を得た。
得られたジプロピルアミン・ネオデカン酸銀塩0.44gと銀微粒子(三井金属社製、粒子径D90=0.5μm)1.77g(ジプロピルアミン・ネオデカン酸銀塩:銀微粒子(重量比)=1:4)を溶媒であるジプロピルアミン(東京化成社製)に固形分濃度が68重量%になるように添加後、超音波ホモジナイザーにより60秒分散して銀微粒子組成物を得た。
得られた銀微粒子組成物を実施例1と同様にガラス基板に塗布して焼成し、焼結後の薄膜(膜厚2.6μm)について、実施例1と同様に電気伝導度を測定したところ1.3×104S/cmであった。
以上の結果から、本発明によれば、150℃以下の低温焼成で、優れた導電性を発現させることができることが分かる。
Claims (11)
- 脂肪酸銀塩とアミン化合物とを反応させて得られる有機銀化合物と、銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子と、溶媒及び/又は分散媒とを含む銀系微粒子インクペースト。
- 脂肪酸銀塩が3級脂肪酸銀塩である請求項1に記載の銀系微粒子インクペースト。
- アミン化合物が1級又は2級アミンである請求項1又は2に記載の銀系微粒子インクペースト。
- 銀微粒子及び/又は銀化合物微粒子が銀微粒子である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の銀系微粒子インクペースト。
- 前記溶媒及び/又は分散媒がアミン系溶剤である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の銀系微粒子インクペースト。
- 分散工程を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の銀系微粒子インクペーストの製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の銀系微粒子インクペーストを焼成させてなる導電性薄膜。
- 請求項7の導電性薄膜を備えてなる電極。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の銀系微粒子インクペーストを焼成させてなる導電性細線。
- 請求項9に記載の導電性細線を備えてなるプリント配線板。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の銀系微粒子インクペーストをビアホールに充填し焼成させてなる導通部を有する多層プリント配線板。
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