JP5346047B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は硬化性組成物に関する。更に詳しくは、架橋性シリル基などの架橋性官能基を有するビニル系重合体を含有する硬化性組成物に関する。
イオン重合や縮重合で得られる重合体の一方で、ラジカル重合で得られるビニル系の重合体で官能基、特に末端に官能基を有するものは、まだほとんど実用化されていない。ビニル系重合体の中でも、(メタ)アクリル系重合体は、高い耐候性、透明性等、上記のポリエーテル系重合体や炭化水素系重合体、あるいはポリエステル系重合体では得られない特性を有しており、アルケニル基や架橋性シリル基を側鎖に有するものは高耐候性の塗料等に利用されている。その一方で、アクリル系重合体の重合制御は、その副反応のために容易でなく、末端への官能基の導入などは非常に困難である。
アルケニル基を分子鎖末端に有するビニル系重合体を簡便な方法で得ることができれば、側鎖に架橋性基を有するものに比較して硬化物物性の優れた硬化物を得ることができる。従って、これまで多くの研究者によって、その製造法が検討されてきたが、それらを工業的に製造することは容易ではない。例えば特許文献1、特許文献2には連鎖移動剤としてアルケニル基含有ジスルフィドを用いる、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法が開示されている。
特許文献3には、ヒドロキシル基を有するジスルフィドを用いて、両末端にヒドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、さらにヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法が開示されている。
特許文献4には、ヒドロキシル基を有するポリスルフィドを用いて、両末端にヒドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、さらにヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にシリル基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法が開示されている。
これらの方法では、両末端に確実に官能基を導入することは困難であり、満足な特性を有する硬化物を得ることはできない。両末端に確実に官能基を導入するためには、連鎖移動剤を大量に使用しなければならず、製造工程上問題である。また、これらの方法では通常のラジカル重合が用いられているため、得られる重合体の分子量、分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)のコントロ−ルは困難である。
このような従来の技術に対し、発明者らは、これまでに様々な架橋性シリル基を末端に有するビニル系重合体、その製造法、硬化性組成物、及び用途に関して数々の発明を行ってきた(特許文献5〜16等参照)。
例えば、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基(以下、「架橋性シリル基」とも言う)を有するビニル系重合体、あるいはその組成物から得られる硬化物は、耐熱性あるいは耐候性に優れ、建築用弾性シーラントや複層ガラス用シーリング材、塗料、コーティング材、封止材等種々の用途に用いられる。
特開平1−247403号公報 特開平5−255415号公報 特開平5−262808号公報 特開平5−211922号公報 特開平11−080249号公報 特開平11−080250号公報 特開平11−005815号公報 特開平11−116617号公報 特開平11−116606号公報 特開平11−080571号公報 特開平11−080570号公報 特開平11−130931号公報 特開平11−100433号公報 特開平11−116763号公報 特開平9−272714号公報 特開平9−272715号公報
しかし、これら架橋性シリル基を有するビニル系重合体の硬化物には、硬度と表面の粘着性(べたつき、残留タックともいう)が相反する傾向があり、低硬度すなわち弾性を要求されるものほど表面に粘着性が残り、汚れやすいという問題がある。例えば建築用シーリング材として使用した場合、粘着性が残ると土や埃が表面に付着し、建築物の外観が損なわれることがある。そこで第一の本発明は、架橋性シリル基を有するビニル系重合体の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減することを目的とする。
また、架橋性シリル基などの架橋性官能基を有するビニル系重合体を硬化成分とする硬化物は、良好な耐熱性、耐候性を持ち、また、その上に塗料を塗布する際に良好な塗装性を有する。しかしながら、配合物の粘度を下げるために従来からよく知られているフタル酸エステル等の比較的分子量の低い可塑剤を用いると、その硬化物は、熱や降雨により可塑剤が経時的に流出することにより、初期の物性を長期的に維持するのは困難となる。またアルキド塗料と呼ばれる塗料を塗布した場合には、塗料が乾燥、硬化しにくいという欠点を有している。
そこで第二の本発明は、架橋性シリル基を有するビニル系重合体を硬化成分とする硬化物の良好な機械物性を維持しつつ、硬化物表面のべたつき(残留タック)を低減し、埃付着を抑え、また硬化物へのアルキド塗料の塗装性を改善することを目的とする。また第三の本発明は、架橋性官能基を有するビニル系重合体の硬化物の耐熱性、耐候性を長期にわたり保持し、また硬化物上へのアルキド塗料の塗装性を改善することを目的とする。
一方、これらの硬化物に対して低モジュラス化により柔軟性を付与する場合、一般に重合体を高分子量化する必要があるが、この場合、重合体の粘度が高くなり作業性に問題が出てくる。他の方法として、重合体を高分子量化することなしに架橋性シリル基の導入量を低下させる方法もあるが、この場合は未架橋成分の割合が増加してしまい、硬化速度の低下や硬化物のゲル分率の低下など柔軟性以外の物性に悪影響を与えるなど問題がある。このため柔軟性を保ったまま低粘度化するために、一般的には各種の可塑剤を添加する方法が採られてきた。
そのような可塑剤としては、芳香族カルボン酸エステル類、脂肪族カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、グリコール類、エポキシ可塑剤、塩素化パラフィン等が挙げられる。しかしながらこれらの可塑剤は移行性があるためシーリング材、接着剤等に用いた場合、シーリング部周辺の汚染や、接着性への悪影響あるいは長期養生における可塑剤抽出による柔軟性の低下など問題点が発生することがある。そこで第四の本発明は、配合工程あるいは硬化性組成物施工時の作業性を改善するとともに、硬化物に柔軟性を付与し、なおかつ可塑剤移行による悪影響を抑えることを目的とする。
同じくこれらの硬化物に対して低モジュラス化により柔軟性を付与するため、架橋性シリル基の導入量を低下させることなしに、ビニル系重合体中の架橋性シリル基の含有量を低下させる方法として、分子内に1個のシラノール基を有する化合物及び/又は水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物(以下、これらを「シラノール含有化合物」ともいう)を添加する方法が、特開昭61−34067号公報、特開昭64−9268号公報等に開示されている。
しかし、特開昭61−34067号公報等に開示されている分子内に少なくとも1個の反応性シリコン官能基を有する有機ビニル系重合体は、連鎖移動剤を用いた一般的なフリーラジカル重合法により製造されているので粘度は高く、また、高いゲル分率を維持しつつ柔軟性を付与するには、不飽和有機ケイ素化合物単量体を多量に用い、かつシラノール含有化合物も多量に用いなければならないという問題点がある。そこで第五の本発明は、低粘度でありながら、硬化物とした時のゲル分率が高く、表面のべたつきが少なく、低モジュラス、高伸びで柔軟性を有する硬化性組成物を得ることを目的とする。
すなわち第一の本発明は、以下の2成分;
(A1)一般式(1)で表される架橋性シリル基を平均して少なくとも1個有するビニル系重合体、
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (1)
(式中、RおよびRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。RまたはRがそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
(B)光硬化性物質、を含有する硬化性組成物である。
第二の本発明は、(A2)上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を平均して少なくとも1個有するビニル系重合体、及び(C)空気酸化硬化性物質、を含有する硬化性組成物である。
第三の本発明は、(A3)架橋性官能基を平均して少なくとも1個有するビニル系重合体、及び(D)高分子可塑剤、を含有する硬化性組成物である。
第四の本発明は、(A4)上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を平均して1.1個以上有するビニル系重合体、及び(E)平均して1個以下の上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するビニル系重合体である反応性可塑剤、を含有する硬化性組成物である。
最後に第五の本発明は、(A5)上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を平均して少なくとも1個有する、重合体主鎖がリビング重合法により得られたビニル系重合体(ただし、一般式(1)中、RおよびRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。)、及び(F)分子内に1個のシラノール基を有する化合物、及び/又は、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物、を含有する硬化性組成物である。以下に本発明を詳述する。
第一の本発明である硬化性組成物は上述の構成よりなるので、架橋性シリル基を有するビニル系重合体を硬化成分とする硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減することができる。第二の本発明である硬化性組成物は上述の構成よりなるので、架橋性シリル基を有するビニル系重合体を硬化成分とする硬化物の良好な機械物性を維持しつつ、硬化物表面のべたつき(残留タック)を低減し、埃付着を抑え、また硬化物へのアルキド塗料の塗装を容易にすることができる。第三の本発明である硬化性組成物は上述の構成よりなるので、架橋性官能基を有するビニル系重合体の硬化物の耐熱性、耐候性を長期にわたり保持し、また硬化物上へのアルキド塗料の塗装を容易にすることができる。第四の本発明である硬化性組成物は上述の構成よりなるので、配合工程あるいは硬化性組成物施工時の低粘度化による作業性の改善ができるとともに、硬化物に柔軟性を付与し、なおかつ可塑剤移行による悪影響を抑えることができる。第五の本発明である硬化性組成物は上述の構成よりなるので、低粘度でありながら、ゲル分率が高く、表面のべたつきが少なく、低モジュラス、高伸びで柔軟性を有する硬化物を得ることができる。
〈〈第一の本発明について〉〉
まず、第一の本発明の硬化性組成物について詳述する。第一の本発明の硬化性組成物は、(A1)成分である架橋性シリル基を有するビニル系重合体及び(B)成分である光硬化性物質を含有してなるものである。
[(A1)成分のビニル系重合体について](A1)成分である上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を平均して少なくとも1個有するビニル系重合体は、シロキサン結合を形成することにより架橋するものである。
<主鎖>
ビニル系重合体(A1)の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーであり、特に好ましくはアクリル酸エステルモノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸ブチルである。本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重量比で40%含まれていることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
ビニル系重合体(A1)の分子量分布、すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の比は、特に限定されないが、好ましくは1.8未満であり、好ましくは1.7以下であり、より好ましくは1.6以下であり、さらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。本発明でのGPC測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにておこない、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
ビニル系重合体(A1)の数平均分子量は特に制限はないが、500〜1,000,000の範囲が好ましく、1000〜100,000がさらに好ましい。
<主鎖の合成法>
ビニル系重合体(A1)の合成法は、限定はされないが、制御ラジカル重合が好ましく、リビングラジカル重合がより好ましく、原子移動ラジカル重合が特に好ましい。以下にこれらについて説明する。
制御ラジカル重合
ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル重合法」と、末端などの制御された位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類できる。
「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマーは確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーをかなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなるという問題点がある。またフリーラジカル重合であるため、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうことにより末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応などを起こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類することができる。
「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的なラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるため分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られないという問題点もある。
これらの重合法とは異なり、「リビングラジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロールすることができる。
従って「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
なお、リビング重合とは狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら生長していく擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後者である。
「リビングラジカル重合法」は近年様々なグループで積極的に研究がなされている。その例としては、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、1994年、116巻、7943頁に示されるようなコバルトポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュールズ(Macromolecules)、1994年、27巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラジカル重合」(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)などがあげられる。
「リビングラジカル重合法」の中でも、有機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好ましい。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMatyjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、7901頁,サイエンス(Science)1996年、272巻、866頁、WO96/30421号公報,WO97/18247号公報、WO98/01480号公報,WO98/40415号公報、あるいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(Macromolecules)1995年、28巻、1721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−41117号公報などが挙げられる。
本発明において、これらのリビングラジカル重合のうちどの方法を使用するかは特に制約はないが、原子移動ラジカル重合法が好ましい。
以下にリビングラジカル重合について詳細に説明していくが、その前に、後に説明するビニル系重合体(A1)の製造に用いることができる制御ラジカル重合のうちの一つ、連鎖移動剤を用いた重合について説明する。連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合としては、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を有したビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの方法が例示される。
特開平4−132706号公報に示されているようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用いてハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−271306号公報、特許第2594402号公報、特開昭54−47782号公報に示されているような水酸基含有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法である。
以下に、リビングラジカル重合について説明する。そのうち、まず、ニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)をラジカルキャッピング剤として用いる。このような化合物類としては、限定はされないが、2,2,6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラジカルを用いても構わない。
上記ラジカルキャッピング剤はラジカル発生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モルが適当である。
ラジカル発生剤としては、種々の化合物を使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカルを発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好ましい。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジカル発生剤も使用しうる。
Macromolecules 1995,28,2993で報告されているように、ラジカルキャッピング剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、下図のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用いても構わない。
Figure 0005346047
アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、それが上図で示されているような水酸基等の官能基を有するものを用いると末端に官能基を有する重合体が得られる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基を有する重合体が得られる。
上記のニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わない。
原子移動ラジカル重合
次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好ましい原子移動ラジカル重合法について説明する。
この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられる。
具体的に例示するならば、C−CHX、C−C(H)(X)CH、C−C(X)(CH(ただし、上の化学式中、Cはフェニル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
−C(H)(X)−CO、R−C(CH)(X)−CO、R−C(H)(X)−C(O)R、R−C(CH)(X)−C(O)R、(式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
−C−SOX(上記の各式において、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
原子移動ラジカル重合の開始剤として、重合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもできる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他方の主鎖末端に原子移動ラジカル重合の生長末端構造を有するビニル系重合体が製造される。このような官能基としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としては限定されず、例えば、一般式(2)に示す構造を有するものが例示される。
C(X)−R−R−C(R)=CH (2)
(式中、Rは水素、またはメチル基、R、Rは水素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリール基、またはアラルキル基、または他端において相互に連結したもの、Rは、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレン基、Rは直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)
置換基R、Rの具体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。RとRは他端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
一般式(2)で示される、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物の具体例としては、XCHC(O)O(CHCH=CH、HCC(H)(X)C(O)O(CHCH=CH、(HC)C(X)C(O)O(CHCH=CH、CHCHC(H)(X)C(O)O(CHCH=CH
Figure 0005346047
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
XCHC(O)O(CHO(CHCH=CH、HCC(H)(X)C(O)O(CHO(CHCH=CH、(HC)C(X)C(O)O(CHO(CHCH=CH、CHCHC(H)(X)C(O)O(CHO(CHCH=CH
Figure 0005346047
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−(CH−CH=CH、o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH−CH=CH、o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CH−CH=CH、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−(CH−O−(CH−CH=CH、o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH−O−(CH−CH=CH、o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CH−O−(CHCH=CH、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−O−(CH−CH=CH、o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CH−CH=CH、o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH−CH=CH、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−O−(CH−O−(CH−CH=CH、o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CH−O−(CH−CH=CH、o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH−O−(CH−CH=CH、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに一般式(3)で示される化合物が挙げられる。
C=C(R)−R−C(R)(X)−R10−R (3)
(式中、R、R、R、R、Xは上記に同じ、R10は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニレン基を表す)
は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、R10としてC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接結合であってもよい。Rが直接結合でない場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R10としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
一般式(3)の化合物を具体的に例示するならば、CH=CHCHX、CH=C(CH)CHX、CH=CHC(H)(X)CH、CH=C(CH)C(H)(X)CH、CH=CHC(X)(CH、CH=CHC(H)(X)C、CH=CHC(H)(X)CH(CH、CH=CHC(H)(X)C、CH=CHC(H)(X)CH、CH=CHCHC(H)(X)−COR、CH=CH(CHC(H)(X)−COR、CH=CH(CHC(H)(X)−COR、CH=CH(CHC(H)(X)−COR、CH=CHCHC(H)(X)−C、CH=CH(CHC(H)(X)−C、CH=CH(CHC(H)(X)−C、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)等を挙げることができる。
アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物の具体例を挙げるならば、o−,m−,p−CH=CH−(CH−C−SOX、o−,m−,p−CH=CH−(CH−O−C−SOX、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、nは0〜20の整数)等である。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば一般式(4)に示す構造を有するものが例示される。
C(X)−R−R−C(H)(R)CH− [Si(R112−b(Y)O]−Si(R123−a(Y) (4)
(式中、R、R、R、R、R、Xは上記に同じ、R11、R12は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R11またはR12が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする)
一般式(4)の化合物を具体的に例示するならば、XCHC(O)O(CHSi(OCH、CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(OCH、(CHC(X)C(O)O(CHSi(OCH、XCHC(O)O(CHSi(CH)(OCH、CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(CH)(OCH、(CHC(X)C(O)O(CHSi(CH)(OCH、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは0〜20の整数)
XCHC(O)O(CHO(CHSi(OCH、HCC(H)(X)C(O)O(CHO(CHSi(OCH、(HC)C(X)C(O)O(CHO(CHSi(OCH、CHCHC(H)(X)C(O)O(CHO(CHSi(OCH、XCHC(O)O(CHO(CHSi(CH)(OCH、HCC(H)(X)C(O)O(CHO(CH−Si(CH)(OCH、(HC)C(X)C(O)O(CHO(CH−Si(CH)(OCH、CHCHC(H)(X)C(O)O(CHO(CH−Si(CH)(OCH、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
o,m,p−XCH−C−(CHSi(OCH、o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH、o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH、o,m,p−XCH−C−(CHSi(OCH、o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH、o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CHSi(OCH、o,m,p−XCH−C−(CH−O−(CHSi(OCH、o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH−O−(CHSi(OCH、o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−(CH−O−(CHSi(OCH、o,m,p−XCH−C−O−(CHSi(OCH、o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CHSi(OCH、o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH−Si(OCH、o,m,p−XCH−C−O−(CH−O−(CH−Si(OCH、o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−(CH−O−(CHSi(OCH、o,m,p−CHCHC(H)(X)−C−O−(CH−O−(CHSi(OCH、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに、一般式(5)で示される構造を有するものが例示される。
(R123−a(Y)Si−[OSi(R112−b(Y)− CH−C(H)(R)−R−C(R)(X)−R10−R (5)
(式中、R、R、R、R、R10、R11、R12、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
このような化合物を具体的に例示するならば、(CHO)SiCHCHC(H)(X)C、(CHO)(CH)SiCHCHC(H)(X)C、(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、(CHO)Si(CHC(H)(X)−COR、(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−COR、(CHO)Si(CHC(H)(X)−C、(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−C、(CHO)Si(CHC(H)(X)−C、(CHO)(CH)Si(CHC(H)(X)−C、(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基)等が挙げられる。
上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
HO−(CH−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
N−(CH−OC(O)C(H)(R)(X)
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のようなものが例示される。
Figure 0005346047
(上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
本発明の末端構造を1分子内に2つ以上有する重合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
Figure 0005346047
Figure 0005346047
等があげられる。この重合において用いられるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、既に例示したものをすべて好適に用いることができる。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl(PPh)も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl(PPh)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PBu)も、触媒として好適である。
重合は無溶剤または各種の溶剤中で行うことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ、単独または2種以上を混合して用いることができる。また、限定はされないが、重合は0℃〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは50〜150℃である。
<架橋性シリル基>
架橋性シリル基
ビニル系重合体(A1)が有する架橋性シリル基としては、一般式(1);
−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (1)
{式中、R、Rは、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R’)SiO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、RまたはRが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足するものとする。}で表される基があげられる。
加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性シリル基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。架橋性シリル基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。とくに、一般式(6)
−Si(R123−a(Y) (6)
(式中、R12、Y、aは前記と同じ。)で表される架橋性シリル基が、入手が容易であるので好ましい。
架橋性シリル基の数
一般式(1)で表される架橋性シリル基は、重合体(A1)の一分子中に平均して少なくとも1個存在するものである。この架橋性シリル基が一分子中に平均1個未満であると充分な硬化物を得ることができない。充分な硬化物を得るために必要な一般式(1)で表される架橋性シリル基の数は、通常、一分子中に平均して1.1〜5個であり、平均して1.2〜4個有するものが好ましく、平均して1.3〜3個有するものがより好ましい。
架橋性シリル基の位置
本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性シリル基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性シリル基が分子鎖末端に有するものである。
上記架橋性シリル基を分子末端に少なくとも1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル系重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、架橋性シリル基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mnで表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
<架橋性シリル基導入法>
以下に、ビニル系重合体への官能基導入法について説明するが、これに限定されるものではない。
[A]ヒドロシリル化触媒存在下で、アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付加させる方法。
[B]水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体に、架橋性シリル基およびイソシアネート基等の水酸基と反応し得る官能基を併せ持つ化合物を反応させる方法。
[C]ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、所定のビニル系モノマーとともに、重合性のアルケニル基および架橋性シリル基を併せ持つ化合物をも反応させる方法。
[D]架橋性シリル基を有する連鎖移動剤を用いて、ビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
[E]反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、架橋性シリル基を有する安定なカルバニオンを反応させる方法。
上記合成法[A]において用いられるアルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成方法としては特に限定されず、例えば次に述べる[A−a]〜[A−j]の方法などを挙げることができる。
[A−a]ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、所定のビニル系モノマーとともに、下記一般式(7)等で表される重合性のアルケニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物をも反応させる方法。
C=C(R)−R−R−C(R)=CH (7)
式中、Rは水素またはメチル基を示す。Rは−C(O)O−、またはo−,m−もしくはp−フェニレン基を示す。Rは直接結合、または1個以上のエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。
なお、上記重合性のアルケニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる時期としては特に限定されないが、得られる架橋体にゴム的な性質を期待する場合には、リビングラジカル重合で、重合反応の終期又は所定のビニル系モノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
[A−b]リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のビニル系モノマーの反応終了後に、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどの重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応させる方法。
以下の[A−c]〜[A−f]の方法は、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体から、上記アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体を得る方法である。なお、上記反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有する重合体は、後述する[E−a]および[E−b]の方法により得ることができる。
[A−c]反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、アリルトリブチル錫、アリルトリオクチル錫などの有機錫に代表されるアルケニル基含有有機金属化合物を反応させて、上記ハロゲンをアルケニル基含有置換基に置換する方法。
[A−d]反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式(8)等で表されるアルケニル基を有する安定化カルバニオンを反応させて上記ハロゲンをアルケニル基に置換する方法。
(R)(R)−R−C(R)=CH (8)
式中、Rは上述したものと同様である。RおよびRはともにカルバニオンCを安定化する電子吸引基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を示す。Rは直接結合、または1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜10の2価の有機基を示す。Mはアルカリ金属イオン、または4級アンモニウムイオンを示す。RおよびRの電子吸引基としては、−COR、−C(O)Rおよび−CNが好ましい。ここでRは水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。
[A−e]反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、亜鉛等の金属単体又は有機金属化合物を作用させて調製したエノレートアニオンに、ハロゲンやアセチル基等の脱離基を有するアルケニル基含有化合物、アルケニル基含有カルボニル化合物、アルケニル基含有イソシアネート化合物、アルケニル基含有酸ハロゲン化物等のアルケニル基含有求電子化合物を反応させる方法。
[A−f]反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式(9)等で表されるアルケニル基含有オキシアニオン又は下記一般式(10)等で表されるアルケニル基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンをアルケニル基含有置換基に置換する方法。
C=C(R)−R10−O (9)
式中、RおよびMは上述したものと同様である。R10は、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を示す。
C=C(R)−R11−C(O)O (10)
式中、RおよびMは上述したものと同様である。R11は直接結合、または1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を示す。
更に、上記アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は、水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体から得ることもできるが、具体的な方法としては特に限定されず、例えば下記の[A−g]〜[A−j]の方法等を挙げることができる。なお上記水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体は後述する[B−a]〜[B−i]の方法により得ることができる。
[A−g]水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体に、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基を作用させた後に、塩化アリルのようなアルケニル基含有ハロゲン化物と反応させる方法。
[A−h]水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体をアリルイソシアネート等のアルケニル基含有イソシアネート化合物と反応させる方法。
[A−i]ピリジン等の塩基存在下で、水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体を(メタ)アクリル酸クロリド等のアルケニル基含有酸ハロゲン化物と反応させる方法。
[A−j]酸触媒の存在下で、水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体をアクリル酸等のアルケニル基含有カルボン酸と反応させる方法。
上記アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成方法においては、上述した[A−a]および[A−b]の方法等の、アルケニル基を導入するに際してハロゲン原子が直接関与しない場合、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。この場合制御がより容易である点から[A−b]の方法がより好ましい。リビングラジカル重合法の中でも原子移動ラジカル重合法がより好ましい。
一方、上述した[A−c]〜[A−f]の方法等の、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することによりアルケニル基を導入する場合、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として用いるラジカル重合(原子移動ラジカル重合法)により得られる、末端に反応性の高い炭素―ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易である点から[A−f]の方法がより好ましい。
上記合成方法[A]において用いられる、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物としては特に限定されず、例えば下記一般式(11)で示される化合物等を挙げることができる。
H−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (11)
式中、R、R、a、b、mおよびYは上述したものと同様である。
中でも入手容易な点から、下記一般式(12)で表される化合物が好ましく用いられる。
H−Si(R3−a(Y)(12)
式中、R、Yおよびaは上述したものと同様である。
上記合成法[A]において、上記架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を上記重合体のアルケニル基に付加させる際には、通常、ヒドロシリル化触媒として遷移金属触媒が用いられる。
上記遷移金属触媒としては特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの;塩化白金酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体;白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体;RhCl(PPh、RhCl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・HO、NiCl、TiCl等の白金化合物以外の化合物等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記合成方法[B]において、更には上記方法[A−g]〜[A−j]においても用いられる、水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成方法としては特に限定されず、例えば次に述べる[B−a]〜[B−i]の方法等を挙げることができる。
[B−a]ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、所定のビニル系モノマーとともに下記の一般式(13)等で表される重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物をも反応させる方法。
C=C(R)−R−R−OH (13)
式中、R、RおよびRは上述したものと同様である。
なお、上記重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期としては特に限定されないが、得られる架橋体にゴム的な性質を期待する場合には、リビングラジカル重合で、重合反応の終期又は所定のビニル系モノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
[B−b]リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールを反応させる方法。
[B−c]特開平5−262808号公報等に開示されているような方法で、水酸基含有ポリスルフィド等の水酸基含有連鎖移動剤を多量に用いて上述のビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
[B−d]特開平6−239912号公報、特開平8−283310号公報等に開示されている方法で、過酸化水素あるいは水酸基含有開始剤を用いて上記ビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
[B−e]特開平6−116312号公報等に開示されている方法で、アルコール類を過剰に用いてビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
[B−f]特開平4−132706号公報等に開示されている方法で、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
[B−g]反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式(14)等で表される、水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
(R)(R)−R−OH (14)
式中、R、RおよびRは上述したものと同様である。RおよびRの電子吸引基としては、−COR、−C(O)Rおよび−CNが好ましい。ここでRは上述したものと同様である。
[B−h]反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、亜鉛等の金属単体あるいは有機金属化合物を作用させて調製したエノレートアニオンに、アルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
[B−i]反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式(15)等で表される水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式(16)等で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
HO−R10−O (15)
式中、R10およびMは上述したものと同様である。
HO−R11−C(O)O (16)
式中、R11およびMは上述したものと同様である。
上記水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成方法においては、上述した[B−a]〜[B−e]等の水酸基を導入するに際してハロゲン原子が直接関与しない場合、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。この場合制御がより容易である点から[B−b]の方法がより好ましい。リビングラジカル重合法の中でも原子移動ラジカル重合法がより好ましい。
また、上述した[B−f]〜[B−i]の方法等の、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する場合には、有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として用いるラジカル重合(原子移動ラジカル重合法)により得られる、末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。この場合制御がより容易である点から[B−i]の方法がより好ましい。
上記合成方法[B]において用いられる、架橋性シリル基およびイソシアネート基等の水酸基と反応し得る官能基を併せ持つ化合物としては特に限定されず、例えばγ−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記合成方法[B]における反応の際には、必要により公知のウレタン化反応の触媒を使用することもできる。
上記合成方法[C]において用いられる重合性のアルケニル基および架橋性シリル基を併せ持つ化合物としては特に限定されず、例えばトリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート等の、下記一般式(17)で表される化合物等を挙げることができる。
C=C(R)−R−R12−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (17)
式中、R、R、R、R、Y、a、bおよびmは上述したものと同様である。R12は、直接結合、または1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を示す。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記合成方法[C]において、上記重合性のアルケニル基および架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させる時期は特に限定されないが、得られる架橋体にゴム的な性質を期待する場合には、リビングラジカル重合で、重合反応の終期または所定のビニル系モノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
上記合成方法[D]において用いられる、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報等に開示されているような、架橋性シリル基を有するメルカプタン、架橋性シリル基を有するヒドロシランなどを挙げることができる。
ビニル系モノマーをラジカル重合させる際に、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤および所定のビニル系モノマーとともに、上記一般式(17)で表される重合性のアルケニル基および架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させることにより、架橋性シリル基の導入量が調節できる。更に架橋性シリル基の導入率を高めるため、架橋性シリル基を有するラジカル開始剤を併用することもできる。
上記合成方法[E]において、更には上記方法[A−c]〜[A−f]および[B−f]〜[B−i]においても用いられる、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法としては特に限定されず、例えば次に述べる[E−a]および[E−b]の方法等を挙げることができる。
[E−a]特開平4−132706号公報等に開示されている方法で、四塩化炭素、塩化エチレン、四臭化炭素、臭化メチレン等のハロゲン化物を連鎖移動剤として用いてラジカル重合をおこなう方法(連鎖移動剤法)。
[E−b]有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法。
上記合成方法[E]において用いられる、架橋性シリル基を有する安定化カルバニオンとしては特に限定されず、下記一般式(18)で表される化合物等を挙げることができる。
(R)(R)−R13−C(H)(R14)−CH−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (18)
式中、R、R、R、R、Y、a、bおよびmは上述したものと同様である。R13は、直接結合、または1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を示す。R14は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。RおよびRの電子吸引基としては、−COR、−C(O)Rおよび−CNが好ましい。ここでRは上述したものと同様である。
第一の本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性シリル基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性シリル基が分子鎖末端に有するものである。
上記架橋性シリル基を分子末端に少なくとも1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル系重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、架橋性シリル基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mnで表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。
従って、上記架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体を合成する際に用いる、水酸基、ハロゲンあるいはアルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は、これらの官能基を分子鎖末端に有するものが好ましい。
上記「リビングラジカル重合法」の中でもより好ましい「原子移動ラジカル重合法」を用いて、上記架橋性シリル基を分子鎖末端に少なくとも1個有するビニル系重合体を得るためには、開始剤として、開始点を2個以上有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物等を用いることが好ましい。これにより得られる反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に少なくとも1個有するビニル系重合体は上述の方法により、上記架橋性シリル基を分子鎖末端に少なくとも1個有するビニル系重合体に容易に変更することができる。
上記開始点を2個以上有する有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定されず、例えば下記の化合物を挙げることができる。
o−,m−,p−XCH−C−CHX、o−,m−,p−CHC(H)(X)−C−C(H)(X)CH、o−,m−,p−(CHC(X)−C−C(X)(CH(ただし、上記式中、Cはフェニレン基を示す。Xは塩素、臭素、またはヨウ素を示す)
ROC−C(H)(X)−(CH−C(H)(X)−COR、ROC−C(CH)(X)−(CH−C(CH)(X)−COR、RC(O)−C(H)(X)−(CH−C(H)(X)−C(O)R、RC(O)−C(CH)(X)−(CH−C(CH)(X)−C(O)R(上記式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。nは0〜20の整数を示し、Xは塩素、臭素、ヨウ素を示す)
XCH−C(O)−CHX、HC−C(H)(X)−C(O)−C(H)(X)−CH、(HC)C(X)−C(O)−C(X)(CH、CC(H)(X)−(CH−C(H)(X)C(上記式中、Xは塩素、臭素またはヨウ素を示し、nは0〜20の整数を示す)
XCHCO−(CH−OCOCHX、CHC(H)(X)CO−(CH−OCOC(H)(X)CH、(CHC(X)CO−(CH−OCOC(X)(CH(上記式中、nは1〜20の整数を示す)
XCHC(O)C(O)CHX、CHC(H)(X)C(O)C(O)C(H)(X)CH、(CHC(X)C(O)C(O)C(X)(CH、o−,m−,p−XCHCO−C−OCOCHX、o−,m−,p−CHC(H)(X)CO−C−OCOC(H)(X)CH、o−,m−,p−(CHC(X)CO−C−OCOC(X)(CH、o−,m−,p−XSO−C−SOX(上記式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を示す)
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また架橋性シリル基を両分子鎖末端に有するビニル系重合体を得るためには、上記「原子移動ラジカル重合法」における開始剤として、開始点を2個有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物等を用いる方法の他に、架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物を用いる方法(合成法[F])も好ましい。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物としては特に限定されず、例えば下記一般式(19)または(20)で表される化合物等を挙げることができる。
1516C(X)−R17−R18−C(H)(R19)CH−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y) (19)
式中、R、R、a、b、m、XおよびYは上述したものと同様である。R15およびR16は、同一または異なって水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R15とR16は、他端において相互に連結していてもよい。R17は−C(O)O−、−C(O)−、または、o−,m−,p−フェニレン基を示す。R18は直接結合、または1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜10の2価の有機基を示す。R19は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。
(R3−a(Y)Si−[OSi(R2−b(Y)−CH−C(H)(R19)−R18−C(R15)(X)−R17−R16 (20)
式中、R、R、R15、R16、R17、R18、R19、a、b、m、XおよびYは上述したものと同様である。
上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物を開始剤として用いて上記「原子移動ラジカル重合法」をおこなうと、片末端に架橋性シリル基を有し、他の末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体が得られる。このビニル系重合体の末端ハロゲン原子を上述した方法等を用いて架橋性シリル基含有置換基に変換すれば、架橋性シリル基を両分子鎖末端に有するビニル系重合体を得ることができる。
また上記停止末端のハロゲン原子を置換できる、同一または異なった官能基を合計2個以上有する化合物を用いて、上記ビニル系重合体のハロゲン原子同士をカップリングさせることによっても、上記架橋性シリル基を両分子鎖末端に有するビニル系重合体を得ることができる。
上記停止末端のハロゲン原子を置換できる、同一または異なった官能基を合計2個以上有する化合物としては特に限定されず、例えばポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸、ポリチオール、これらの塩;アルカリ金属硫化物等をあげることができる。
さらに上記「原子移動ラジカル重合法」において、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物を開始剤に用いれば、片末端にアルケニル基を有し、他の末端にハロゲン原子を有するビニル系重合体が得られる。このビニル系重合体の末端のハロゲン原子を上述した方法を用いてアルケニル含有置換基に変換すれば、両分子鎖末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を得ることができる。これらのアルケニル基を上述の方法などで架橋性シリル基に変換すれば、上記架橋性シリル基を両分子鎖末端に有するビニル系重合体を得ることができる。
上記架橋性シリル基を分子鎖末端に少なくとも1個有するビニル系重合体は、上述した方法等を随時組み合わせて得ることができるが、典型的な合成工程として下記合成例AおよびBを挙げることができる。
合成工程A
(1)ビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法により重合することにより、ハロゲン原子を末端に有するビニル系重合体を合成する工程、(2)上記工程(1)で得られるハロゲン原子を末端に有するビニル系重合体とアルケニル基を有するオキシアニオンとを反応させてハロゲンを置換することにより、末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を合成する工程、および、(3)上記工程(2)で得られる末端にアルケニル基を有するビニル系重合体の末端アルケニル基に、一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付加させることにより、架橋性シリル基を含有する置換基に変換する工程からなる合成工程。
合成工程B
(1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することにより、ビニル系重合体を形成させる工程、(2)更に、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応させることにより、末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を合成する工程、および、(3)上記工程(2)で得られる末端にアルケニル基を有するビニル系重合体の末端のアルケニル基に、一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付加させることにより、架橋性シリル基を含有する置換基に変換する工程からなる合成工程。
[(B)成分の光硬化性物質について]第一の本発明で用いる(B)成分の光硬化性物質とは、光の作用によって短時間に、分子構造が化学変化をおこし、硬化などの物性的変化を生ずるものである。第一の本発明における光硬化性物質(B)は、光をあてることにより硬化し得る物質であるが、代表的な光硬化性物質は、例えば室内の日の当たる位置(窓付近)に1日間、室温で静置することにより硬化させることができる物質である。この種の化合物には、有機単量体、オリゴマー、樹脂あるいはそれらを含む組成物など多くのものが知られており、その種類は特に限定されないが、例えば、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あるいはアジド化樹脂等が挙げられる。
不飽和アクリル系化合物は、下記一般式(21)で表される不飽和基を有する単量体、オリゴマーあるいはこれらの混合物である。
CH=CHRCO(O)− (21)
式中、Rは上述したものと同様である。
不飽和アクリル系化合物としては、具体的には、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルアルコール等の低分子量アルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA、イソシアヌル酸等の酸あるいは上記低分子量アルコール等をエチレンオキシドやプロピレンオキシドで変性したアルコール類の(メタ)アクリル酸エステル類;主鎖がポリエーテルで末端に水酸基を有するポリエーテルポリオール、主鎖がポリエーテルであるポリオール中でビニル系モノマーをラジカル重合することにより得られるポリマーポリオール、主鎖がポリエステルで末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、主鎖がビニル系あるいは(メタ)アクリル系重合体であり、主鎖中に水酸基を有するポリオール等の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA型やノボラック型等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られるエポキシアクリレート系オリゴマー類;ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレート等を反応させることにより得られる分子鎖中にウレタン結合および(メタ)アクリル基を有するウレタンアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
ポリケイ皮酸ビニル類とは、シンナモイル基を感光基とする感光性樹脂であり、ポリビニルアルコールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリケイ皮酸ビニル系誘導体が挙げられる。
アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする感光性樹脂として知られており、通常はアジド化合物を感光剤として加えたゴム感光液のほか「感光性樹脂」(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、93頁〜、106頁〜、117頁〜)に詳細な例示があり、これらを単独又は混合し、必要に応じて増感剤を加えて使用することができる。
上記(B)成分の光硬化性物質の中では、取り扱い易いという理由で不飽和アクリル系化合物が好ましい。
(B)成分の光硬化性物質は、(A1)成分の架橋性シリル基を有するビニル系重合体100重量部に対して0.01〜20重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また20重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。なお、ケトン類、ニトロ化合物などの増感剤やアミン類等の促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。
[任意成分について]第一の本発明の硬化性組成物においては、硬化触媒や硬化剤が必要になる場合がある。また、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
<硬化触媒・硬化剤>
架橋性シリル基を有する重合体は、従来公知の各種縮合触媒の存在下、あるいは非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
このような縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等の4価のスズ化合物類;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。この縮合触媒の配合量は、架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体(A1)100部(重量部、以下同じ)に対して0.1〜20部程度が好ましく、1〜10部が更に好ましい。シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる場合がある。一方、シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライフが短くなり過ぎ、作業性の点からも好ましくない。
第一の本発明の硬化性組成物においては、縮合触媒の活性をより高めるために、一般式(22)
49 Si(OR504−a (22)
(式中、R49およびR50は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかである。)で示されるシラノール基をもたないケイ素化合物を添加しても構わない。
前記ケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式(22)中のR49が、炭素数6〜20のアリール基であるものが、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
このケイ素化合物の配合量は、架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体(A1)100部に対して0.01〜20部程度が好ましく、0.1〜10部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
<接着性付与剤>
本発明の組成物には、シランカップリング剤や、シランカップリング剤以外の接着性付与剤を添加することができる。シランカップリング剤の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
本発明に用いるシランカップリング剤は、通常、架橋性シリル基含有重合体(A1)100部に対し、0.1〜20部の範囲で使用される。特に、0.5〜10部の範囲で使用するのが好ましい。本発明の硬化性組成物に添加されるシランカップリング剤の効果は、各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩ビ、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕著である。
シランカップリング剤以外の具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
上記接着性付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。これら接着性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を改善することができる。
<充填剤>
本発明の硬化性組成物には、各種充填材が必要に応じて用いられる。前記充填材の具体例としては、たとえば、木粉、パルブ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、フュームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラックのような補強性充填材;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末およびシラスバルーンなどのような充填材;石綿、ガラス繊維およびフィラメントのような繊維状充填材などがあげられる。これら充填材のうちでは沈降性シリカ、フュームドシリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。特に、これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、クレーおよび活性亜鉛華などから選ばれる充填材を添加できる。また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛およびシラスバルーンなどから選ばれる充填材を添加できる。これらの充填材は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。充填材を用いる場合の使用量は、限定はされないが、ビニル系重合体(A1)100部に対して10〜1000部が好ましく、50〜300部がさらに好ましい。
<可塑剤>
本発明の硬化性組成物には、各種可塑剤が必要に応じて用いられる。可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;ポリエステル系可塑剤類等を単独、または2種以上混合して使用することができるが、必ずしも必要とするものではない。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
<物性調整剤>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用いることにより、本発明の組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出したりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
<チクソ性付与剤(垂れ防止剤)>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。また、垂れ防止剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドワックス類、水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
その他の添加剤
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤が添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、難燃剤、硬化性調整剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、光硬化性樹脂などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号公報、特公平7−108928号公報、特開昭63−254149号公報、特開昭64−22904号公報の各明細書などに記載されている。
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整することもできる。
[用途]
本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シーリング材等のシーリング材、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、注型材料、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材等の様々な用途に利用可能である。
〈〈第二の本発明について〉〉
次に、第二の本発明の硬化性組成物について詳述する。第二の本発明の硬化性組成物は、(A2)成分である架橋性シリル基を有するビニル系重合体及び(C)成分である空気酸化硬化性物質を含有してなるものである。ここで、(A2)成分であるビニル系重合体は上述したビニル系重合体(A1)と同様である。
[(C)成分の空気酸化硬化性物質について]
第二の本発明で用いる(C)成分の空気酸化硬化性物質とは、空気中の酸素により架橋硬化できる不飽和基を有する化合物である。第二の本発明における空気酸化硬化性物質(C)は、空気と接触させることにより硬化し得る物質であり、より具体的には、空気中の酸素と反応して硬化する性質を有するものである。代表的な空気酸化硬化性物質は、例えば空気中で室内に1日間静置することにより硬化させることができる。
空気酸化硬化性物質としては、例えば、桐油、アマニ油等の乾性油;これら乾性油を変性して得られる各種アルキド樹脂;乾性油により変性されたアクリル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂;1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンを、C5〜C8ジエンの重合体や共重合体、更には該重合体や共重合体の各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが具体例として挙げられる。これらのうちでは桐油、ジエン系重合体のうちの液状物(液状ジエン系重合体)やその変性物が特に好ましい。
上記液状ジエン系重合体の具体例としては、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等のジエン系化合物を重合又は共重合させて得られる液状重合体や、これらジエン系化合物と共重合性を有するアクリロニトリル、スチレンなどの単量体とをジエン系化合物が主体となるように共重合させて得られるNBR,SBR等の重合体や更にはそれらの各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら液状ジエン系化合物のうちでは液状ポリブタジエンが好ましい。
空気酸化硬化性物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また空気酸化硬化性物質と同時に酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤーを併用すると効果を高められる場合がある。これらの触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸コバルト、オクチル酸ジルコニウム等の金属塩やアミン化合物等が例示される。
(C)成分の空気酸化硬化性物質は、(A2)成分の架橋性シリル基を有するビニル系重合体100重量部に対して0.01〜20重量部添加するのが好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また20重量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。
第二の本発明の硬化性組成物には、第一の本発明について上述したものと同様の任意成分を加えることができる。
第二の本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整することもできる。
第二の本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シーリング材等のシーリング材、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、注型材料、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材等の様々な用途に利用可能である。
〈〈第三の本発明について〉〉
次に、第三の本発明の硬化性組成物について詳述する。第三の本発明の硬化性組成物は、(A3)成分である架橋性官能基を有するビニル系重合体及び(D)成分である高分子可塑剤を含有してなるものである。
[(A3)成分のビニル系重合体について]
(A3)成分であるビニル系重合体の主鎖及びその製造法は上述したビニル系重合体(A1)のものと同様である。
<架橋性官能基>
ビニル系重合体(A3)の架橋性官能基としては、限定はされないが、架橋性シリル基、アルケニル基、水酸基、アミノ基、重合性の炭素−炭素二重結合、エポキシ基等が好ましい。これら架橋性官能基は全てその用途/目的に応じ、使い分けることができる。
架橋性官能基の数
架橋性官能基は、重合体(A3)の一分子中に平均して少なくとも1個存在するものである。この架橋性官能基が一分子中に平均1個未満であると充分な硬化物を得ることができない。充分な硬化物を得るために必要な架橋性官能基の数は、通常、一分子中に平均して1.1〜5個であり、平均して1.2〜4個有するものが好ましく、平均して1.3〜3個有するものがより好ましい。
架橋性官能基の位置
第三の本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性官能基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性官能基が分子鎖末端に有するものである。
上記架橋性官能基を分子末端に少なくとも1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル系重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公報、特公平4−55444号公報、特開平6−211922号公報等に開示されている。しかしながらこれらの方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重合法であるので、得られる重合体は、架橋性官能基を比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mnで表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有するビニル系重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を用いることが好ましい。以下にこれらの官能基について説明する。なお架橋性シリル基は第一の本発明において上述したものが好ましい。
アルケニル基
本発明におけるアルケニル基は、限定はされないが、一般式(23)で表されるものであることが好ましい。
C=C(R11)− (23)
(式中、R11は水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基である)
一般式(23)において、R11は水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基であり、具体的には以下のような基が例示される。
−(CH−CH、−CH(CH)−(CH−CH、−CH(CHCH)−(CH−CH、−CH(CHCH、−C(CH−(CH−CH、−C(CH)(CHCH)−(CH−CH、−C、−C(CH)、−C(CH、−(CH−C、−(CH−C(CH)、−(CH−C(CH(nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
これらの内では、水素原子が好ましい。
さらに、限定はされないが、重合体(A3)のアルケニル基が、その炭素−炭素二重結合と共役するカルボニル基、アルケニル基、芳香族環により活性化されていないことが好ましい。
アルケニル基と重合体の主鎖の結合形式は、特に限定されないが、炭素−炭素結合、エステル結合、エステル結合、カーボネート結合、アミド結合、ウレタン結合等を介して結合されていることが好ましい。
アミノ基
本発明におけるアミノ基としては、限定はされないが、−NR12 (R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。)が挙げられるが、−(NR12 (R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。Xは対アニオンを表す。)に示されるアンモニウム塩であっても何ら問題はない。
上記式中、R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、例えば、水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等が挙げられる。2個のR12は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。
重合性の炭素−炭素二重結合
重合性の炭素−炭素二重結合を有する基は、好ましくは、一般式(24):−OC(O)C(R13)=CH (24)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の一価の有機基を表す。)で表される基であり、更に好ましくは、R13が、水素、または、メチル基である基である。
一般式(24)において、R13の具体例としては特に限定されず、例えば、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CHOH、−CN等が挙げられるが、好ましくは−H、−CHである。
<架橋性官能基導入法>
以下に、ビニル系重合体への官能基導入法について説明するが、これに限定されるものではない。なお、末端官能基変換により架橋性シリル基、アルケニル基、水酸基を導入するには上述した方法を好ましく用いることができる。
エポキシ基
本発明においてエポキシ基を有するビニル系重合体は、限定はされないが、以下の工程:(1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することによってビニル系重合体を製造し;
(2)続いてエポキシ基とエチレン性不飽和基を併せ持つ化合物を反応させる;ことにより製造される。また、原子移動ラジカル重合において、重合終期にアリルアルコールを反応させ、その後、水酸基とハロゲン基でエポキシ環化させる方法も挙げられる。
アミノ基
アミノ基を少なくとも1つ主鎖末端に有するビニル系重合体を製造する方法としては、以下の工程が挙げられる。
(1)ハロゲン基を少なくとも1つ主鎖末端に有するビニル系重合体を製造し、(2)末端ハロゲンを、アミノ基含有化合物を用いてアミノ基を有する置換基に変換する。
アミノ基を有する置換基としては、特に限定されないが、一般式(25)に示される基が例示される。
−O−R26−NR12 (25)
(式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。)
上記一般式(25)において、R26は1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基であり、例えば炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基などが挙げられるが、−C−R27−(式中、Cはフェニレン基、R27は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜14の2価の有機基を表す。)、または、−C(O)−R28−(式中、R28は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜19の2価の有機基を表す。)が好ましい。
ビニル系重合体の末端ハロゲンを変換することにより、重合体末端にアミノ基を導入することができる。置換方法としては特に限定されないが、反応を制御しやすいという点からアミノ基含有化合物を求核剤とする求核置換反応が好ましい。このような求核剤として例えば、一般式(26)に示される水酸基とアミノ基を併せ持つ化合物が挙げられる。
HO−R26−NR12 (26)
(式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。)
上記一般式(26)において、R26は1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基であり、例えば炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基などが挙げられる。これらの水酸基とアミノ基を併せ持つ化合物の中で、R26が、−C−R27−(式中、Cはフェニレン基、R27は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜14の2価の有機基を表す)で表されるアミノフェノール類;
−C(O)−R28−(式中、R28は、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜19の2価の有機基を表す)で表されるアミノ酸類;が好ましい。
具体的な化合物として、例えばエタノールアミン;o,m,p−アミノフェノール;o,m,p−NH−C−COH;グリシン、アラニン、アミノブタン酸等が挙げられる。
アミノ基とオキシアニオンを併せ持つ化合物を求核剤として用いることもできる。このような化合物としては特に限定されないが、例えば、一般式(27)に示される化合物が挙げられる。
−R26−NR12 (27)
(式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。Mはアルカリ金属イオンまたは4級アンモニウムイオンを表す。)
上記一般式(27)において、Mは、オキシアニオンの対カチオンであり、アルカリ金属イオン又は4級アンモニウムイオンを表す。上記アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられ、好ましくは、ナトリウムイオン又はカリウムイオンである。上記4級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられる。
上記のアミノ基とオキシアニオンを併せ持つ化合物のうち、置換反応のコントロールがし易い、入手が容易であるという点から、一般式(28)に示すアミノフェノール類の塩、または一般式(29)に示すアミノ酸類の塩が好ましい。
−C−R27−NR12 (28)
−C(O)−R28−NR12 (29)
(式中、Cはフェニレン基、Rは、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜14の2価の有機基、Rは、直接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜19の2価の有機基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成していてもよい。Mは上記と同じ。)
一般式(27)〜(29)に示されるオキシアニオンを有する化合物は、一般式(26)に示される化合物を塩基性化合物と作用させることにより容易に得られる。
塩基性化合物としては各種のものを使用できる。例示すると、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられる。上記塩基の使用量は、特に制限はないが、上記前駆体に対して、0.5〜5当量、好ましくは0.8〜1.2当量である。
上記前駆体と上記塩基を反応させる際に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
が4級アンモニウムイオンであるオキシアニオンを有する化合物は、Mがアルカリ金属イオンであるものを調製し、これに4級アンモニウムハライドを作用させることによって得られる。上記4級アンモニウムハライドとしては、テトラメチルアンモニウムハライド、テトラエチルアンモニウムハライド、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルドデシルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド等が例示される。
重合体末端ハロゲンの置換反応に用いられる溶媒は各種のものが使用されてよい。例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
反応温度は0〜150℃で行うことができる。また、アミノ基含有化合物の使用量は、特に制限されないが、重合体末端ハロゲンに対して、1〜5当量であり、好ましくは1〜1.2当量である。
求核置換反応を加速するために、反応混合物中に塩基性化合物を添加してもよい。このような塩基性化合物としては既に例示したもののほかに、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアルキルアミン;テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等のポリアミン;ピリジン、ピコリン等のピリジン系化合物等が挙げられる。
求核置換反応に用いられるアミノ基含有化合物のアミノ基が、求核置換反応に影響を及ぼす場合には、適当な置換基により保護することが好ましい。このような置換基としては、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等が例示される。
また、アジドアニオンによりビニル系重合体のハロゲン末端を置換した後、LAH等により還元する方法が挙げられる。
重合性の炭素−炭素二重結合
ビニル系重合体に重合性の炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、限定はされないが、以下のような方法が挙げられる。
(1)ビニル系重合体のハロゲン基を、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより製造する方法。具体例としては、一般式(30)で表される構造を有するビニル系重合体と、一般式(31)で示される化合物との反応による方法。
−CR2930X (30)
(式中、R29、R30は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基を表す。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
+−OC(O)C(R13)=CH (31)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Mはアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
(2)水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(32)で示される化合物との反応による方法。
XC(O)C(R13)=CH (32)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
(3)水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(33)で示される化合物との反応による方法。
HO−R31 OC(O)C(R13)=CH (33)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R31は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
以下にこれらの各方法について詳細に説明する。上記(1)の方法について説明する。
(1)一般式(30)で表される末端構造を有するビニル系重合体と、一般式(31)で示される化合物との反応による方法。
−CR2930X (30)
(式中、R29、R30は、ビニル系モノマーのエチレン性不飽和基に結合した基を表す。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ素を表す。)
+−OC(O)C(R13)=CH (31)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Mはアルカリ金属、または4級アンモニウムイオンを表す。)
一般式(30)で表される末端構造を有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。
一般式(31)で表される化合物としては特に限定されないが、R13の具体例としては、例えば、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CHOH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CHである。
はオキシアニオンの対カチオンであり、Mの種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオンである。
一般式(31)のオキシアニオンの使用量は、一般式(30)のハロゲン基に対して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては特に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、等が用いられる。反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましくは室温〜100℃で行う。
上記(2)の方法について説明する。
(2)水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(32)で示される化合物との反応による方法。
XC(O)C(R13)=CH (32)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
一般式(32)で表される化合物としては特に限定されないが、R13の具体例としては、例えば、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CHOH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CHである。
水酸基を、好ましくは末端に、有するビニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、水酸基を持つ化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する方法により製造されるが、好ましくは前者である。これらの方法により水酸基を有するビニル系重合体を製造する方法は限定されないが、以下のような方法が例示される。
(a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、下記一般式(34)等で表される一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。
C=C(R32)−R33−R34−OH (34)
(式中、R32は炭素数1〜20の有機基で水素またはメチル基が好ましく、互いに同一であっても異なっていてもよい。R33は−C(O)O−(エステル基)、またはo−,m−もしくはp−フェニレン基を表す。R34は直接結合、または1個以上のエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R33がエステル基のものは(メタ)アクリレート系化合物、R33がフェニレン基のものはスチレン系の化合物である。)
なお、一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
(b)リビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物を反応させる方法。
このような化合物としては特に限定されないが、一般式(35)に示される化合物等が挙げられる。
C=C(R32)−R35−OH (35)
(式中、R32は上述したものと同様である。R35は1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。)
上記一般式(35)に示される化合物としては特に限定されないが、入手が容易であるということから、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
(c)特開平4−132706号公報などに開示されるような方法で、原子移動ラジカル重合により得られる一般式(30)で表されるような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハロゲンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させることにより、末端に水酸基を導入する方法。
(d)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(30)で表されるような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(36)に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。
(R36)(R37)−R35−OH (36)
(式中、R35は上述したものと同様である。R36およびR37はともにカルバニオンCを安定化する電子吸引基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を表す。R36およびR37の電子吸引基としては、−COR(エステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R)(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN(ニトリル基)、−NO(ニトロ基)等が挙げられる。置換基Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基である。R36およびR37としては、−COR、−C(O)Rおよび−CNが特に好ましい。)
(e)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(30)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
(f)重合体末端のハロゲン、好ましくは一般式(30)で表されるハロゲンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般式(37)等で表される水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式(38)等で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
HO−R35−O (37)
(式中、R35およびMは上述したものと同様である。)
HO−R35−C(O)O (38)
(式中、R35およびMは上述したものと同様である。)
本発明では(a)〜(b)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合、制御がより容易である点から(b)の方法がさらに好ましい。また(c)〜(f)のような炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する場合は、制御がより容易である点から(f)の方法がさらに好ましい。
上記(3)の方法について説明する。
(3)水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(39)で示される化合物との反応による方法。
HO−R31−OC(O)C(R13)=CH (39)
(式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基を表す。R31は炭素数2〜20の2価の有機基を表す。)
一般式(39)で表される化合物としては特に限定されないが、R13の具体例としては、例えば、−H、−CH、−CHCH、−(CHCH(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CHOH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CHである。具体的な化合物としては、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
末端に水酸基を有するビニル系重合体は、上記の通り。ジイソシアネート化合物は、特に限定されないが、従来公知のものをいずれも使用することができ、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;等を挙げることができる。これらは、単独で使用しうるほか、2種以上を併用することもできる。またブロックイソシアネートを使用しても構わない。
よりすぐれた耐候性を生かすためには、多官能イソシアネート化合物(b)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香環を有しないジイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
[(D)成分の高分子可塑剤について]
第三の本発明で用いる(D)成分の高分子可塑剤は、数平均分子量500〜15000の重合体であり、この高分子可塑剤の添加により、該硬化性組成物の粘度やスランプ性および該組成物を硬化して得られる硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較して、初期の物性を長期にわたり維持し、該硬化物にアルキド塗料を塗布した場合の乾燥性(塗装性ともいう)を改良できる。なお、第三の本発明による高分子可塑剤は、上記一般式(1)で表される基を有するものではない。
上記高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15000であるが、好ましくは800〜10000であり、より好ましくは1000〜8000である。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、アルキド塗装性が改善できない。また、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。
このような高分子可塑剤の具体例としては、例えば、前述のビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエーテル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン、塩化パラフィン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの高分子可塑剤のうちで、(A3)成分の架橋性官能基含有重合体と相溶するものが好ましい。中でも相溶性および耐候性、耐熱性の点からビニル系重合体が好ましい。ビニル系重合体の中でも(メタ)アクリル系重合体が好ましく、アクリル系重合体がさらに好ましい。上記重合体の合成法は、分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことからリビングラジカル重合法が好ましく、原子移動ラジカル重合法がさらに好ましい。
(D)成分の高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
上記高分子可塑剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また必要によっては物性に悪影響を与えない範囲で低分子可塑剤と併用してもよい。
上記(D)成分の高分子可塑剤の使用量は、(A3)成分の架橋性官能基を少なくとも1個有するビニル系重合体100重量部に対して5〜150重量部、好ましくは10〜120重量部、さらに好ましくは20〜100重量部である。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しなくなり、150重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する。
第三の本発明の硬化性組成物には、各架橋性官能基に応じて、硬化触媒や硬化剤が必要になるものがある。また、目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
<硬化触媒・硬化剤>
架橋性シリル基の場合
架橋性シリル基を有する重合体は、従来公知の各種縮合触媒の存在下、あるいは非存在下にシロキサン結合を形成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成することができる。このような縮合触媒としては上述したものを挙げることができる。
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。この縮合触媒の配合量は、架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体(A3)100部(重量部、以下同じ)に対して0.1〜20部程度が好ましく、1〜10部が更に好ましい。シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる場合がある。一方、シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライフが短くなり過ぎ、作業性の点からも好ましくない。
本発明の硬化性組成物においては、縮合触媒の活性をより高めるために、一般式(40)
49 Si(OR504−a (40)
(式中、R49およびR50は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかである。)で示されるシラノール基をもたないケイ素化合物を添加しても構わない。
前記ケイ素化合物としては、限定はされないが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式(40)中のR49が、炭素数6〜20のアリール基であるものが、組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好ましい。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジエトキシシランは、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
このケイ素化合物の配合量は、架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体(A3)100部に対して0.01〜20部程度が好ましく、0.1〜10部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがある。
アルケニル基の場合
アルケニル基を用いて架橋させる場合は、限定はされないが、ヒドロシリル基含有化合物を硬化剤とし、ヒドロシリル化触媒を用いてヒドロシリル化反応により架橋させることが好ましい。
ヒドロシリル基含有化合物としては、アルケニル基を有する重合体と架橋により硬化できるヒドロシリル基含有化合物であれば特に制限はなく、各種のものを用いることができる。例えば、一般式(41)または(42)で表される鎖状ポリシロキサン;
51 SiO−[Si(R51O]−[Si(H)(R52)O]−[Si(R52)(R53)O]−SiR51 (41)
HR51 SiO−[Si(R51O]−[Si(H)(R52)O]−[Si(R52)(R53)O]−SiR51 H (42)
(式中、R51およびR52は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R53は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす整数を示す。)一般式(43)で表される環状シロキサン;
Figure 0005346047
(式中、R54およびR55は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R56は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。dは0≦d≦8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を表し、かつ3≦d+e+f≦10を満たす。)等の化合物を用いることができる。
これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でも(メタ)アクリル系重合体との相溶性の観点から、フェニル基を有する下記一般式(44)、(45)で表される鎖状シロキサンや、一般式(46)、(47)で表される環状シロキサンが好ましい。
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]−[Si(CO]−Si(CH (44)
(CHSiO−[Si(H)(CH)O]−[Si(CH){CHC(H)(R57)C}O]−Si(CH (45)
(式中、R57は水素またはメチル基を示す。gは2≦g≦100、hは0≦h≦100の整数を示す。Cはフェニル基を示す。)
Figure 0005346047
(式中、R57は水素、またはメチル基を示す。iは2≦i≦10、jは0≦j≦8、かつ3≦i+j≦10を満たす整数を示す。Cはフェニル基を示す。)
ヒドロシリル基含有化合物としてはさらに、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化合物に対し、一般式(41)から(47)に表されるヒドロシリル基含有化合物を、反応後にも一部のヒドロシリル基が残るようにして付加反応させて得られる化合物を用いることもできる。分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物としては、各種のものを用いることができる。例示するならば、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等の炭化水素系化合物、O,O’−ジアリルビスフェノールA、3,3’−ジアリルビスフェノールA等のエーテル系化合物、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテート等のエステル系化合物、ジエチレングリコールジアリルカーボネート等のカーボネート系化合物が挙げられる。
上記一般式(41)から(47)に示した過剰量のヒドロシリル基含有化合物に対し、ヒドロシリル化触媒の存在下、上に挙げたアルケニル基含有化合物をゆっくり滴下することにより該化合物を得ることができる。このような化合物のうち、原料の入手容易性、過剰に用いたシロキサンの除去のしやすさ、さらには(A)成分の重合体への相溶性を考慮して、下記のものが好ましい。
Figure 0005346047
重合体と硬化剤は任意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基のモル比が5〜0.2の範囲にあることが好ましく、さらに、2.5〜0.4であることが特に好ましい。モル比が5以上になると硬化が不十分でべとつきのある強度の小さい硬化物しか得られず、また、0.2より小さいと、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られない。
重合体と硬化剤との硬化反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を添加することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
ラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh、RhCl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・HO、NiCl、TiCl等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。触媒量としては特に制限はないが、ビニル系重合体(A3)のアルケニル基1molに対し、10−1〜10−8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10−3〜10−6 molの範囲で用いるのがよい。10−8molより少ないと硬化が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10−1mol以上用いないのが好ましい。
硬化温度については特に制限はないが、一般に0℃〜200℃、好ましくは30℃〜150℃、さらに好ましくは80℃〜150℃で硬化させるのがよい。
水酸基の場合
水酸基を有する重合体は、水酸基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用いることにより、均一に硬化する。硬化剤の具体例としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミンおよびそのアルキルエーテル化物または低縮合化物等のアミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハロゲン化物等が挙げられる。これらの硬化剤を使用して硬化物を作成する際には、それぞれ適当な硬化触媒を使用することができる。
アミノ基の場合
アミノ基を有する重合体は、アミノ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用いることにより、均一に硬化する。硬化剤の具体例としては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミンおよびそのアルキルエーテル化物または低縮合化物等のアミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハロゲン化物等が挙げられる。これらの硬化剤を使用して硬化物を作成する際には、それぞれ適当な硬化触媒を使用することができる。
エポキシ基の場合
エポキシ基を有する重合体の硬化剤としては特に限定されないが、例えば、脂肪族アミン類、脂環族アミン類、芳香族アミン類;酸無水物;ポリアミド;イミダゾール類;アミンイミド;ユリア;メラミンとその誘導体;ポリアミンの塩;フェノール樹脂;ポリメルカプタン、ポリスルフィド;芳香族ジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、トリアリルセレニウム塩等の光・紫外線硬化剤等が用いられる。
重合性の炭素−炭素二重結合の場合
重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体は、その重合性の炭素−炭素二重結合の重合反応により架橋させることができる。架橋の方法としては、活性エネルギー線で硬化するもの、あるいは、熱で硬化するものが挙げられる。活性エネルギー線硬化性組成物においては、光重合開始剤が光ラジカル開始剤、あるいは、光アニオン開始剤であることが好ましい。熱硬化性組成物においては、熱重合開始剤が、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸物、及びレドックス開始剤からなる群より選択されるものであるが好ましい。以下に詳細にこれらの架橋反応について説明する。
重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体を架橋させる場合には、その目的に応じて、重合性のモノマー及び/又はオリゴマーや各種添加剤を併用しても構わない。重合性のモノマー及び/又はオリゴマーとしては、ラジカル重合性の基を持つモノマー及び/又はオリゴマー、あるいはアニオン重合性の基を持つモノマー及び/又はオリゴマーが好ましい。ラジカル重合性の基としては、(メタ)アクリル基等のアクリル官能性基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル基を持つものが好ましい。アニオン重合性の基としては、(メタ)アクリル基、スチレン基、アクリロニトリル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、ビニルケトン基、等が挙げられる。なかでも、アクリル官能性基を持つものが好ましい。
上記のモノマーの具体例としては、(メタ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマーなどが挙げられる。(メタ)アクリレート系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルや下式の化合物などを挙げることができる。
Figure 0005346047
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スチレン系モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン等が、アクリルアミド系モノマーとしてはアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が、共役ジエン系モノマーとしてはブタジエン、イソプレン等が、ビニルケトン系モノマーとしてはメチルビニルケトン等が挙げられる。
多官能モノマーとしては、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトールポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
オリゴマーとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂等のエポキシアクリレート系樹脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂、ポリオール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を水酸基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等}を反応させて得られたウレタンアクリレート系樹脂、上記ポリオールにエステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等が挙げられる。
これらのモノマー及びオリゴマーは、用いられる開始剤及び硬化条件により選択される。また、アクリル官能性基を有するモノマー及び/又はオリゴマーの数平均分子量は、2000以下であることが好ましく、1000以下であることが、相溶性が良好であるという理由からさらに好ましい。
重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体の架橋の方法としては、UVや電子線などの活性エネルギー線によることが好ましい。
活性エネルギー線により架橋させる場合には、光重合開始剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる光重合開始剤としては特に制限はないが、光ラジカル開始剤と光アニオン開始剤が好ましく、特に光ラジカル開始剤が好ましい。例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセトフェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4‘−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン等が挙げられる。これらの開始剤は単独でも、他の化合物と組み合わせても良い。具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミンとの組み合わせ、更にこれにジフェニルヨードニウムクロリドなどのヨードニウム塩と組み合わせたもの、メチレンブルーなどの色素及びアミンと組み合わせたものが挙げられる。
また、近赤外光重合開始剤として、近赤外光吸収性陽イオン染料を使用しても構わない。近赤外光吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−111402号公報、特開平5−194619号公報等に開示されている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオン錯体などを用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併用することがさらに好ましい。
光重合開始剤の添加量は系をわずかに光官能化するだけでよいので、特に制限はないが、この組成物の重合体100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる方法は特に限定されないが、その光重合開始剤開始剤の性質に応じて、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導体レーザー等による光及び電子線の照射が挙げられる。
また、重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体の架橋の方法としては、熱によることが好ましい。活性エネルギー線により架橋させる場合には、熱重合開始剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる熱重合開始剤としては特に制限はないが、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸酸、及びレドックス開始剤が含まれる。
適切なアゾ系開始剤としては、限定されるわけではないが、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(全てDuPont Chemicalから入手可能)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)(V−601)(和光純薬より入手可能)等が挙げられる。
適切な過酸化物開始剤としては、限定されるわけではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox 16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 11)(Elf Atochemから入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)(Akzo Nobelから入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
適切な過硫酸塩開始剤としては、限定されるわけではないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。
適切なレドックス(酸化還元)開始剤としては、限定されるわけではないが、上記過硫酸塩開始剤のメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤との組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンに基づく系、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系;並びに有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。
他の開始剤としては、限定されるわけではないが、テトラフェニル1,1,2,2−エタンジオールのようなピナコール等が挙げられる。
好ましい熱ラジカル開始剤としては、アゾ系開始剤及び過酸化物系開始剤からなる群から選ばれる。更に好ましいものは、2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、t−ブチルパーオキシピバレート、及びジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、並びにこれらの混合物である。
本発明に用いられる熱開始剤は触媒的に有効な量で存在し、このような量は、限定はされないが、典型的には、本発明の少なくとも一つの末端にアクリル官能性基を有する重合体及び他に添加されるモノマー及びオリゴマー混合物の合計量を100重量部とした場合に約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.025〜2重量部である。開始剤の混合物が使用される場合には、開始剤の混合物の合計量は、あたかもただ1種の開始剤が使用されるかのような量である。
本発明の熱硬化性組成物を硬化させる方法は特に限定されないが、その温度は、使用する熱開始剤、重合体(A3)及び添加される化合物等の種類により異なるが、通常50℃〜250℃の範囲内が好ましく、70℃〜200℃の範囲内がより好ましい。硬化時間は、使用する重合開始剤、単量体、溶媒、反応温度等により異なるが、通常1分〜10時間の範囲内である。
その他、第一の本発明において上述した接着性付与剤、充填剤、物性調整剤、チクソ性付与剤(垂れ防止剤)、その他の添加剤として挙げた添加剤を同様に配合することができる。
第三の本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整することもできる。
第三の本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シーリング材等のシーリング材、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、注型材料、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材等の様々な用途に利用可能である。
〈〈第四の本発明について〉〉
次に、第四の本発明の硬化性組成物について詳述する。第四の本発明の硬化性組成物は、(A4)成分である架橋性シリル基を有するビニル系重合体及び(E)成分である反応性可塑剤(一般的には反応性希釈剤ともいう)を含有してなるものである。
[(A4)成分のビニル系重合体について]
第四の本発明における(A4)成分は、上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を一分子中に平均して1.1個以上有するビニル系重合体であり、シロキサン結合を形成することにより架橋、硬化するものである。なお、(A4)成分における架橋性シリル基を表す一般式(1)は、第一の本発明で用いる(A1)成分中の架橋性シリル基を表す一般式(1)と同様である。
一般式(1)で表される架橋性シリル基が一分子中に平均1.1個未満であると十分な硬化物を得ることができない。十分な硬化物を得るために必要な一般式(1)で表される架橋性シリル基の数は、通常、一分子中に平均して1.1個〜5個であり、平均して1.2個〜4個有するものが好ましく、平均して1.3個〜3個有するものがより好ましい。
またその主鎖を構成するモノマーとしては、ビニル系モノマーであれば特に限定されず、第一の本発明で例示したものを挙げることができる。上記架橋性シリル基を平均して1.1個以上有するビニル系重合体としては、物性面から、上記のモノマーのうち(メタ)アクリル酸系モノマーを40重量%以上用いて合成することにより得られる(メタ)アクリル系重合体が好ましい。更に、上記モノマーのうちアクリル酸系モノマーを30重量%以上用いて合成することにより得られるアクリル系重合体がより好ましい。
上記架橋性シリル基を平均して1.1個以上有するビニル系重合体の数平均分子量としては、特に限定されないが、500〜100000の範囲にあるのが好ましい。分子量が500以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくく、また、100000以上であると、取り扱いが困難になる。
上記架橋性シリル基を平均して1.1個以上有するビニル系重合体の分子量分布、すなわち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)については特に限定されない。しかし、硬化性組成物とした際の粘度を低く抑えて取扱いを容易にし、なおかつ十分な硬化物物性を得るためには、分子量分布は狭いことが好ましい。分子量分布の値としては1.8未満が好ましく、より好ましくは1.7以下、なお好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.4以下、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定するのが最も一般的である。移動相としてはクロロホルムやTHFを、カラムとしてはポリスチレンゲルカラムを用い、数平均分子量等はポリスチレン換算の値などで求めることができる。
上記架橋性シリル基を平均して1.1個以上有するビニル系重合体の合成方法は特に限定されず、第一の本発明において上述したような種々の方法を用いることができる。そのうち、リビングラジカル重合を利用した合成法が好ましく、より好ましくは原子移動ラジカル重合を利用した合成法である。典型的な製造工程としては、上述した(A1)成分の合成工程AおよびBと同様の製造工程を挙げることができる。
第四の本発明の硬化性組成物から得られる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性シリル基の平均して1.1個以上は分子鎖の末端にあることが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性シリル基が分子鎖末端に有するものである。
[(E)成分の反応性可塑剤について]
第四の本発明で用いる(E)成分の平均して1個以下の上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するビニル系重合体である反応性可塑剤は、1個の分子鎖末端にのみ一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するビニル系重合体、すなわち、1個の分子鎖末端にのみ一般式(1)で表される架橋性シリル基を有し、他の末端には架橋性シリル基を有さないビニル系重合体を主成分とするものである。この(E)成分の反応性可塑剤の添加により、配合工程あるいは硬化性組成物施工時の作業性の改善ができるとともに、硬化物に柔軟性を付与し、なおかつ可塑剤移行による悪影響を抑えることができる。
なお、第四の本発明による(E)成分中の架橋性シリル基の数を「平均して1個以下」としているが、これは架橋性シリル基を有さない不純物の混入を考慮した値である。例えば本明細書で以下に示す方法により、架橋性シリル基を1個有するビニル系重合体を製造した場合でも、架橋性シリル基を有さないビニル系重合体の副生は避けることは非常に難しい。しかも、重合体である反応性可塑剤中から架橋性シリル基を有さないものだけを除去することは、(低分子化合物と違って)困難である。したがって、反応性可塑剤中の架橋性シリル基数は、平均して1個以下となる。さらに、第四の本発明による(E)成分を分析により特定する場合、反応性可塑剤中の架橋性シリル基数は、平均値としてしか得られないこともあるため、本発明では架橋性シリル基の平均値を採用している。
第四の本発明による(E)成分の反応性可塑剤は、1個の分子鎖末端にのみ架橋性シリル基を有するため、(A4)成分のビニル系重合体とは異なり、単独で架橋体を形成することは実質上できないものである。しかし(A4)成分とともに硬化させた場合、架橋性シリル基を有する1個の分子鎖末端が(A4)成分の架橋性シリル基と反応することにより、(E)成分の反応性可塑剤は結果として架橋体の中に取り込まれる。しかし、(E)成分には架橋に取り込まれない分子鎖末端が存在するので、これが可塑剤としての働きをする。(E)成分は架橋により硬化物に取り込まれるため、実質上水、油、溶剤、空気等外環境へ抽出されないので、通常の可塑剤を用いた時に起こりがちな可塑剤移行による硬化物物性の低下、周辺環境の汚染などが起こりにくくなる。
上記(E)成分の反応性可塑剤の好ましい架橋性シリル基は、(A4)成分の重合体が有するものと同様である。
上記(E)成分の反応性可塑剤の主鎖を構成するビニル系モノマーとしては、前述の(A1)成分で使用可能なビニル系モノマーが使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。しかし、(E)成分は1個の分子鎖末端にのみ架橋性シリル基を有するビニル系重合体であるため、分子鎖末端に架橋性シリル基を導入する場合を除いては架橋性シリル基を含有するモノマーは使用できない。
上記(E)成分の反応性可塑剤は、上記のモノマーのうち(メタ)アクリル酸系モノマーを40重量%以上用いて合成することにより得られる(メタ)アクリル系重合体が好ましい。また、上記(E)成分の反応性可塑剤は、上記のモノマーのうちアクリル酸系モノマーを30重量%以上用いて合成することにより得られるアクリル系重合体が好ましい。
上記(E)成分の反応性可塑剤は、配合工程あるいは硬化性組成物施工時に液状となるものが好ましく、さらにこの時(A4)成分の架橋性シリル基を有するビニル系重合体よりも低粘度であることが好ましい。また両者を混合した時に相溶状態あるいはミクロ相分離状態をとるものが好ましい。
(E)成分の反応性可塑剤の数平均分子量は、500から15000が好ましく、800〜10000がより好ましい。また1000〜8000がさらに好ましい。分子量が500より低いと反応性可塑剤としての効果が現れなく、15000より高いと低粘度化の効果が現れない。
(E)成分の反応性可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、低粘度化の効果がより大きいことから狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましく、1.3以下が最も好ましい。
上記(E)成分の平均して1個以下の一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するビニル系重合体は、種々の方法で製造可能である。以下に製造法[G]〜[K]について説明するが、これらに限定されるものではない。
[G]1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有するビニル系重合体に架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付加させる方法。上記製造法[G]は、(A1)成分の製造法[A]と同様であり、重合体に1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有するビニル系重合体を用いる点が異なる製造法である。1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有するビニル系重合体は、例えば後述する[G−a]〜[G−j]等の製造方法により得られるが、これらに限定されるものではない。
[H]1個の分子鎖末端にのみ水酸基を有するビニル系重合体に、架橋性シリル基およびイソシアネート基等の水酸基と反応し得る官能基を併せ持つ化合物を反応させる方法。上記製造法[H]は、(A1)成分の製造法[B]と同様の方法であり、重合体に1個の分子鎖末端にのみ水酸基を有するビニル系重合体を用いる点が異なる製造法である。1個の分子鎖末端にのみ水酸基を有するビニル系重合体は、例えば後述する[H−a]〜[H−f]等の製造方法により得られるが、これらに限定されるものではない。
[I]開始点を1個有する開始剤を用いるリビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期または所定のビニル系モノマーの反応終了後に、重合性のアルケニル基および架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させる方法。上記製造法[I]において用いられる重合性のアルケニル基および架橋性シリル基を併せ持つ化合物としては、上記一般式(17)で表される化合物を挙げることができる。リビングラジカル重合に用いられる開始点を1個有する開始剤については後述する。
[J]架橋性シリル基を有する連鎖移動剤を用いて、ビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。上記合成法[J]において用いられる、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤としては1個の分子鎖末端にのみ架橋性シリル基を導入できるものであれば特に限定されず、例えば特公平3−14068号公報等に開示されているような、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の架橋性シリル基を有するメルカプタン、特公平4−55444号公報等に開示されているような架橋性シリル基を有するヒドロシランなどを挙げることができる。また、架橋性シリル基を有するラジカル開始剤を使用することもできる。
[K]1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体に、架橋性シリル基を有する安定化カルバニオンを反応させる方法。上記製造法[K]は、(A1)成分の製造法[E]と同様であり、重合体に1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体を用いる点が異なる製造法である。1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体は、例えば後述する[K−a]等の製造方法により得られるが、これらに限定されるものではない。
上述した製造法[G]で用いられる1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有するビニル系重合体の製造法[G−a]〜[G−j]について以下に説明する。以下の製造法[G−a]〜[G−b]は、開始点を1個有する開始剤を用いるリビングラジカル重合により、1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有するビニル系重合体を直接合成する方法の例である。なお、リビングラジカル重合に用いる開始点を1個有する開始剤については後述する。
[G−a]開始点を1個有する開始剤を用いるリビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期または所定のビニル系モノマーの反応終了後に、重合性のアルケニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる方法。上記製造法[G−a]において用いられる重合性のアルケニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物としては、例えば前述の一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
[G−b]開始点を1個有する開始剤を用いるリビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を、重合反応の終期あるいは所定のビニル系モノマーの反応終了後に反応させる方法。上記重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物としては特に限定されないが、例えば1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等が挙げられる。
以下の製造法[G−c]〜[G−f]は、1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体のこのハロゲンをアルケニル基に変換する方法の例である。
1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体のハロゲンをアルケニル基に変換する方法は、上述の(A1)成分の製造法[A−c]〜[A−f]と同様の方法が可能である。製造法[A−c]〜[A−f]において重合体に1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体を用いる方法をそれぞれ製造法[G−c]〜[G−f]とすると、これら製造法[G−c]〜[G−f]により、1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有するビニル系重合体が得られる。1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を平均して1.1個以上有する重合体は、例えば後述する製造法[K−a]等により得られるがこれらに限定されるものではない。
以下の製造法[G−g]〜[G−j]は、1個の分子鎖末端にのみ水酸基を有するビニル系重合体の水酸基をアルケニル基に変換する方法の例である。
1個の分子鎖末端にのみ水酸基を有するビニル系重合体の水酸基をアルケニル基に変換する方法は、上述の(A1)成分の製造法[A−g]〜[A−j]と同様の方法が可能である。製造法[A−g]〜[A−j]において重合体に1個の分子鎖末端にのみ水酸基を有するビニル系重合体を用いる方法をそれぞれ製造法[G−g]〜[G−j]とすると、これら製造法[G−g]〜[G−j]により、1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有するビニル系重合体が得られる。なお、上記の1個の分子鎖末端にのみ水酸基を有する重合体は、例えば後述する製造法[H−a]〜[H−f]により得られるがこれらに限定されるものではない。
上記の1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有するビニル系重合体の製造法においては、上述した製造法[G−a]および[G−b]等の、アルケニル基を導入するに際してハロゲン原子が直接関与しない製造法の場合、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。この場合制御がより容易である点から[G−b]の方法がより好ましい。リビングラジカル重合法の中でも原子移動ラジカル重合法がより好ましい。
一方、上述した製造法[G−c]〜[G−f]等の、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体のハロゲンを変換することによりアルケニル基を導入する製造法の場合、後述する反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として用いるラジカル重合(原子移動ラジカル重合法)により得られる、1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易である点から[G−f]の方法がより好ましい。
上述した製造法[H]および[G−g]〜[G−j]において用いられる、分子中の1個の分子鎖末端にのみ水酸基を有する重合体の製造法[H−a]〜[H−f]について以下に説明する。以下の製造法[H−a]〜[H−b]は、開始点を1個有する開始剤を用いるリビングラジカル重合により、1個の分子鎖末端にのみ水酸基を有するビニル系重合体を直接合成する方法の例である。なお、リビングラジカル重合に用いる開始点を1個有する開始剤については後述する。
[H−a]開始点を1個有する開始剤を用いるリビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期または所定のビニル系モノマーの反応終了後に、重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物を反応させる方法。上記製造法[H−a]において用いられる重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化合物としては、例えば前述の一般式(13)で表される化合物が挙げられる。
[H−b]開始点を1個有する開始剤を用いるリビングラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、例えば10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのようなアルケニルアルコールを反応させる方法。
以下の製造法[H−c]は、ラジカル重合において水酸基含有連鎖移動剤あるいは開始剤を用いる方法の例である。
[H−c]メルカプトエタノール等の水酸基含有連鎖移動剤や水酸基含有アゾ系開始剤などを用いて上記ビニル系モノマーをラジカル重合する方法。
以下の製造法[H−d]〜[H−f]は、1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体のこのハロゲンを水酸基に変換する方法の例である。なお、1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体は、後述する製造法[K−a]等により得ることができるが、これらに限定されるものではない。
[H−d]1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体に、上述の一般式(14)等で表される、水酸基を有する安定化カルバニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
[H−e]1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体に、亜鉛等の金属単体あるいは有機金属化合物を作用させて調製したエノレートアニオンに、アルデヒド類、又はケトン類を反応させる方法。
[H−f]1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体に、上述の一般式(15)等で表される水酸基含有オキシアニオン又は上述の一般式(16)等で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。
上記の1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体のこのハロゲンを水酸基に変換する方法においては、上述した製造法[H−a]〜[H−c]等の水酸基を導入するに際してハロゲン原子が直接関与しない製造法の場合、リビングラジカル重合法を用いることが好ましい。この場合制御がより容易である点から[H−b]の方法がより好ましい。リビングラジカル重合法の中でも原子移動ラジカル重合法がより好ましい。
また、上述した製造法[H−d]〜[H−f]等の、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を変換することにより水酸基を導入する製造法の場合、後述する有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒として用いるラジカル重合(原子移動ラジカル重合法)により得られる、1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。この場合制御がより容易である点から[H−f]の方法がより好ましい。
上記製造法[K]、[G−c]〜[G−f]および[H−d]〜[H−f]などにおいて用いられる、1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体の製造法[K−a]について以下に説明する。
[K−a]反応性の高い炭素−ハロゲン結合を1個有する開始剤を用いてビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法により重合する方法。
上記製造法[K−a]において用いられる開始剤としては、例えば、下記に示される反応性の高い炭素−ハロゲン結合を1個有する有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
−CHX、C−C(H)(X)CH、C−C(X)(CH(ただし、上記式中、Cはフェニル基を示す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を示す。)
R−C(H)(X)−COR、R−C(CH)(X)−COR、R−C(H)(X)−C(O)R、R−C(CH)(X)−C(O)R(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。複数のRはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは塩素、臭素またはヨウ素を示す。)
R−C−SOX(式中、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。Xは塩素、臭素またはヨウ素を示す。)
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述のリビングラジカル重合に用いられる開始点を1個有する開始剤は、用いる重合法により異なる。原子移動ラジカル重合の場合は、前述の[K−a]に記載された反応性の高い炭素−ハロゲン結合を1個有する有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として挙げられる。ニトロキシド化合物などのラジカル補足剤を用いるリビングラジカル重合あるいは、コバルトポルフィリン錯体などを用いるリビングラジカル重合などの場合は、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリルなどのアゾ化合物等が開始剤として挙げられる。
また、1個の分子鎖末端にのみ架橋性シリル基を有するビニル系重合体は、(A1)成分の製造法[F]である架橋性シリル基を有する有機ハロゲン化物を用いる方法により得られた、片末端に架橋性シリル基を有し、他の末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体を、そのままあるいはこのハロゲンを架橋性シリル基以外の基に変換することにより得ることも可能である。
また同様に、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物を用いる方法により得られた、片末端にアルケニル基を有し、他の末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニル系重合体を得て、このアルケニル基を上述の方法で架橋性シリル基に変換することによっても、1個の分子鎖末端にのみ架橋性シリル基を有するビニル系重合体を得ることが可能である。
上述のように、例えば、製造法[I]あるいは[G−a]、[G−b]、[H−a]、[H−b]などの方法を経由して得られた1個の分子鎖末端にのみ架橋性シリル基を有するビニル系重合体の架橋性シリル基は、厳密な意味での末端に存在するとは限らず、末端近傍にしか存在しない可能性がある。しかしこれらの重合体の添加効果は、本質的には分子鎖末端に存在する重合体のものと変わりがない。従ってこれらの重合体は、第四の本発明による(E)成分である反応性可塑剤の主成分である、1個の分子鎖末端にのみ一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するビニル系重合体に包含される。
上記の(E)成分の反応性可塑剤である、1個の分子鎖末端のみに架橋性シリル基を有するビニル系重合体は、上述した製造法等を随時組み合わせて得ることができるが、典型的な製造工程としては、前述した(A1)成分の合成工程AおよびBと同様の製造工程を挙げることができる。
(E)成分の反応性可塑剤の添加量は、(A4)成分の一般式(1)で表される架橋性シリル基を平均して1.1個以上有するビニル系重合体100重量部に対して5〜150重量部、好ましくは10〜120重量部、さらに好ましくは20〜100重量部である。5重量部未満では可塑剤としての効果が発現しなくなり、150重量部を越えると硬化物の機械強度が不足する。
第四の本発明の硬化性組成物には、第一の本発明について上述したものと同様の任意成分を加えることができる。
第四の本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整することもできる。
第四の本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シーリング材等のシーリング材、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、注型材料、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材等の様々な用途に利用可能である。
〈〈第五の本発明について〉〉
次に、第五の本発明の硬化性組成物について詳述する。第五の本発明の硬化性組成物は、(A5)成分である架橋性シリル基を有するビニル系重合体及び(F)成分であるシラノール含有化合物を含有してなるものである。
[(A5)成分のビニル系重合体について]第五の本発明における(A5)成分は、上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を平均して少なくとも1個有する、重合体主鎖がリビング重合法により得られるビニル系重合体であり、シロキサン結合を形成することにより架橋、硬化するものである。
なお、(A5)成分における架橋性シリル基を表す一般式(1)は、RおよびRが、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数7〜20のアラルキル基を示すこと以外は、第一の本発明で用いる(A1)成分中の架橋性シリル基を表す一般式(1)と同様である。
上記一般式(1)で表される架橋性シリル基は、一分子中に少なくとも1個有するものである。この架橋性シリル基が一分子中に平均1個未満であると充分な硬化物を得ることができない。充分な硬化物を得るために必要な一般式(1)で表される架橋性シリル基の数は、通常、一分子中に平均して1.1〜5個であり、平均して1.2〜4個有するものが好ましく、平均して1.3〜3個有するものがより好ましい。
またその主鎖を構成するモノマーとしては、ビニル系モノマーであれば特に限定されず、第一の本発明で例示したものを挙げることができる。上記架橋性シリル基を平均して1.1個以上有するビニル系重合体としては、物性面から、上記のモノマーのうち(メタ)アクリル酸系モノマーを40重量%以上用いて合成することにより得られる(メタ)アクリル系重合体が好ましい。更に、上記モノマーのうちアクリル酸系モノマーを30重量%以上用いて合成することにより得られるアクリル系重合体がより好ましい。
上記架橋性シリル基を平均して1.1個以上有するビニル系重合体の数平均分子量としては、特に限定されないが、500〜100000の範囲にあるのが好ましい。分子量が500以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現されにくく、また、100000以上であると、取り扱いが困難になる。
上記架橋性シリル基を平均して1.1個以上有するビニル系重合体の分子量分布、すなわち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)については特に限定されない。しかし、硬化性組成物とした際の粘度を低く抑えて取扱いを容易にし、なおかつ十分な硬化物物性を得るためには、分子量分布は狭いことが好ましい。分子量分布の値としては1.8未満が好ましく、より好ましくは1.7以下、なお好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.4以下、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定するのが最も一般的である。移動相としてはクロロホルムやTHFを、カラムとしてはポリスチレンゲルカラムを用い、数平均分子量等はポリスチレン換算の値などで求めることができる。
第五の本発明で用いる(A5)成分のビニル系重合体は、リビング重合法によって製造されるのでフリーラジカル重合等の場合とは異なり、架橋性シリル基の導入に対する精度の高い制御が可能である。すなわち、リビング重合法の特徴により、各分子に対して極めて高い確率で分子鎖末端あるいはその近傍に架橋性シリル基を導入することができるために、低モジュラス化が可能になるとともに、ゲル分率の向上も可能となる。またリビング重合法を用いていることにより、重合体の粘度に大きな影響を与える分子量分布を小さくする事ができ、これにより重合体および硬化性組成物の低粘度化も可能になる。
しかし、主鎖がリビング重合法により製造された架橋性シリル基含有ビニル系重合体(A5)のみでの低モジュラス化には限界がある。第五の本発明は、(A5)成分である主鎖がリビング重合法により製造され架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体と、後述する(F)成分のシラノール含有化合物とを併用することにより、主鎖が従来のフリーラジカル重合法により製造されたビニル系重合体を用いる場合よりも、低モジュラス化の効果がより大きくなるという特徴を有する。
上述のリビング重合法には、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法等が含まれるが、第五の本発明では特に限定されず、いずれの方法も用いることができる。また、上記架橋性シリル基をビニル系重合体中に導入する方法も特に限定されず、種々の方法を用いることができる。
しかし、モノマーの汎用性および制御の容易性の点から、リビングラジカル重合法により、主鎖に架橋性シリル基を直接導入する方法、および、1段階又は数段階の反応で架橋性シリル基に変換できる特定の官能基を有するビニル系重合体を得た後、この特定の官能基を架橋性シリル基に変換する方法が好ましい。なかでも原子移動ラジカル重合法がさらに好ましい。
リビングラジカル重合法は、重合速度が高く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によって分子量を自由にコントロールすることができる。
従ってリビングラジカル重合法は、分子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、上記特定の官能基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
(A5)成分の具体的な製造方法としては第一の本発明において上述したような種々の方法を用いることができるが、そのうちリビング重合法以外の重合法を利用する合成法は除外する。典型的な製造工程としては、上述した(A1)成分の合成工程AおよびBと同様の製造工程を挙げることができる。
第五の本発明の硬化性組成物から得られる硬化物にゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性シリル基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好ましい。2個の分子鎖末端に架橋性シリル基を有するものがより好ましい。全ての架橋性シリル基が分子鎖末端に有するものがさらに好ましい。
[(F)成分のシラノール含有化合物について]第五の本発明で用いる(F)成分のシラノール含有化合物とは、分子内に1個のシラノール基を有する化合物(I)、及び/又は、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物(II)のことをいう。これらは一方のみを用いてもよいし、両化合物を同時に用いてもよい。
本発明で用いる(F)成分の一つである分子内に1個のシラノール基を有する化合物(I)は、特に限定されず、下記に示した化合物、(CHSiOH、(CHCHSiOH、(CHCHCHSiOH、(n−Bu)SiOH、(sec−Bu)SiOH、(t−Bu)SiOH、(t−Bu)Si(CHOH、(C11SiOH、(C13SiOH、(CSiOH、(CSi(CH)OH、(C)Si(CHOH、(CSi(C)OH、CSi(COH、CCHSi(COH、C10Si(CHOH(ただし、上記式中Cはフェニル基を、C10はナフチル基を示す。)等のような(R”)SiOH(ただし式中R”は同一または異種の置換もしくは非置換のアルキル基またはアリール基)で表すことができる化合物、
Figure 0005346047
等のようなシラノール基を含有する環状ポリシロキサン化合物、
Figure 0005346047
等のようなシラノール基を含有する鎖状ポリシロキサン化合物、
Figure 0005346047
等のような主鎖が珪素、炭素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物、
Figure 0005346047
等のようなポリシラン主鎖末端にシラノール基が結合した化合物、
Figure 0005346047
等のような主鎖が珪素、炭素、酸素からなるポリマー末端にシラノール基が結合した化合物等が例示できる。このうち下記一般式(48)で表される化合物が好ましい。
(R26SiOH (48)
(式中、R26は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR26は同一であってもよく又は異なっていてもよい。)
26は、メチル基、エチル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらにメチル基が好ましい。中でも、入手が容易であり、効果の点から分子量の小さい(CHSiOH等が好ましい。
上記、分子内に1個のシラノール基を有する化合物(I)は、ビニル系重合体(A5)の架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
また(F)成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物(II)は、特に限定されないが、水分と反応して生成する分子内に1個のシラノール基を有する化合物(加水分解生成物)が、上記一般式(48)で表される化合物が好ましい。例えば、特に限定されるわけではないが、後述するような一般式(49)で表される化合物以外に下記の化合物を挙げることができる。N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、(CHSiNHSi(CH、(CHSiNSi(CH
Figure 0005346047
等が好適に使用できるが加水分解生成物の含有シラノール基の量からは(CHSiNHSi(CHが特に好ましい。
さらには(F)成分の1つである、水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物(II)は、特に限定されないが、上記化合物以外に下記一般式(49)で表される化合物が好ましい。
((R26SiO)27 (49)
(式中、R26は上述したものと同様である。nは正数を、R27は活性水素含有化合物から一部あるいは全ての活性水素を除いた基を示す。)
26は、メチル基、エチル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらにメチル基が好ましい。(R26Si基は、3個のR26が全てメチル基であるトリメチルシリル基が特に好ましい。また、nは1〜5が好ましい。
上記R27の由来となる活性水素含有化合物としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコール類;フェノール、クレゾール、ビスフェノールA、ヒドロキノン等のフェノール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等のカルボン酸類;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、イミダゾール等のアミン類;アセトアミド、ベンズアミド等の酸アミド類、尿素、N,N’−ジフェニル尿素等の尿素類;アセトン、アセチルアセトン、2,4−ヘプタジオン等のケトン類等が挙げられる。
上記一般式(49)で表される水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物(II)は、例えば上述の活性水素含有化合物等に、トリメチルシリルクロリドやジメチル(t−ブチル)クロリド等のようなシリル化剤とも呼ばれる(R26Si基とともにハロゲン基等の活性水素と反応し得る基を有する化合物を反応させることにより得ることができるが、これらに限定されるものではない(ただし、R26は上述したものと同様である。)。
上記一般式(49)で表される化合物を具体的に例示すると、アリロキシトリメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、一般式(((R28SiO)(R29O)Zで表すことができるような化合物、CHO(CHCH(CH)O)Si(CH、CH=CHCH(CHCH(CH)O)Si(CH、(CHSiO(CHCH(CH)O)Si(CH、(CHSiO(CHCH(CH)O)Si(CH(式中、R28は同一または異種の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基または水素原子、R29は炭素数1〜8の2価の炭化水素基、s、tは正の整数で、sは1〜6、s×tは5以上、Zは1〜6価の有機基)等も好適に使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物(II)の中では、貯蔵安定性、耐候性等に悪影響を及ぼさない点で、加水分解後に生成する活性水素化合物はフェノール類、酸アミド類及びアルコール類が好ましく、活性水素化合物が水酸基であるフェノール類およびアルコール類が更に好ましい。
上記の化合物の中では、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、トリメチルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物等が好ましい。
この水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物(II)は、貯蔵時、硬化時あるいは硬化後に水分と反応することにより、分子内に1個のシラノール基を有する化合物を生成する。この様にして生成した分子内に1個のシラノール基を有する化合物は、上述のようにビニル系重合体(A5)の架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキサン結合と反応することにより、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
(F)成分のシラノール含有化合物の添加量は、硬化物の期待物性に応じて適宜調整可能である。(F)成分のシラノール含有化合物は、ビニル系重合体(A5)100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.3〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部添加できる。0.1重量部未満では(F)成分の添加効果が現れず、50重量部を越えると架橋が不十分になり、硬化物の強度やゲル分率が低下しすぎる。
また(F)成分のシラノール含有化合物をビニル系重合体(A5)に添加する時期は特に限定されず、ビニル系重合体(A5)の製造時に添加してもよく、硬化性組成物の作製時に添加してもよい。
第五の本発明の硬化性組成物には、第一の本発明について上述したものと同様の任意成分を加えることができる。
第五の本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調整することもできる。
第五の本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シーリング材等のシーリング材、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、注型材料、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材等の様々な用途に利用可能である。
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。下記実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。
第一の本発明に関する実施例
(製造例1)還流管および攪拌機付きの10Lのセパラブルフラスコに、CuBr(28.0g、0.195mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(559mL)を加え、オイルバス中70℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(1.00kg)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(117g、0.325mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(1.70mL、1.41g、8.14mmol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(4.00kg)を175分かけて連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(8.50mL、7.06g、40.7mmol)を追加した。反応開始より370分経過後に1,7−オクタジエン(1.57L、1.17kg、7.10mol)、トリアミン(20.4mL、16.9g、97.7mmol)を加え、引き続き70℃で220分加熱攪拌した。反応混合物をヘキサンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによりアルケニル基末端重合体(重合体[1])を得た。重合体[1]の数平均分子量は21300、分子量分布は1.3であった。
還流管付2Lセパラブルフラスコに、重合体[1](0.73kg)、安息香酸カリウム(25g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(0.7L)を仕込み、窒素気流下70℃で12時間加熱攪拌した。加熱減圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体[2]を得た。
還流管付2L丸底フラスコに、重合体[2](0.73kg)、珪酸アルミ(150g、協和化学製、キョーワード700PEL)、トルエン(4.0L)を仕込み、窒素気流下100℃で5時間加熱攪拌した。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去することにより重合体[3]を得た。
1L耐圧反応容器に重合体[3](390g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(36.0mL、0.292mol)、オルトぎ酸メチル(7.10mL、0.065mol)、および0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で10−2当量とした。反応混合物を100℃で400分加熱した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端重合体(重合体[4])を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により246000、分子量分布は1.5であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数をH NMR分析により求めたところ、3.0個であった。
(製造例2)還流管および攪拌機付きの2Lのセパラブルフラスコに、CuBr(22.4g、0.156mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(112mL)を加え、オイルバス中70℃で30分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(0.20kg)、2−ブロモプロピオン酸メチル(86.9g、0.520mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(0.19mL、0.18g、1.04mmol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(0.80kg)を150分かけて連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(1.81mL、1.71g、9.88mmol)を追加した。引き続き70℃で230分加熱攪拌した。反応混合物をトルエンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによりアルケニル基末端重合体(重合体[5])を得た。重合体[5]の数平均分子量は2600、分子量分布は1.18であった。
還流管付2Lセパラブルフラスコに、重合体[5](0.937kg)、酢酸カリウム(73.5g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(0.8L)を仕込み、窒素気流下70℃で5時間加熱攪拌した。加熱減圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体[6]を得た。
(実施例1)製造例1で得られた重合体[4]100部に、ペンタエリスリトールトリアクリレート{(CH=CHCOOCHCCHOH}を3部、可塑剤として重合体[6]を50部、充填材としてカルファイン100(丸尾カルシウム製)を100部混合撹拌し、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2部と4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセトナート)1部を用い撹拌混合した後、脱泡し、約2mm厚のシート状硬化物ならびにガラス板上に最大約5mm厚の山型状硬化物を作製した。硬化養生は室内の日の当たる位置(窓付近)に2日、その後50℃で3日静置した。硬化後のシート状硬化物の表面残留タック(べたつき)を指触により観察し、屋外に静置した。また山型状硬化物は硬化後直ちに、およびガラス面側からキセノンウェザーメーター(スガ試験機製SX120型、放射照度180W、ブラックパネル温度63℃、照射2時間中、降雨時間18分)により500時間照射後、手剥離試験を行なった。結果を表1に示した。
(実施例2)実施例1で用いたペンタエリスリトールトリアクリレートの代わりにトリメチロールプロパントリアクリレート{(CH=CHCOOCHCCHCH}を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化物を作製した。評価も実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
(比較例1)実施例1のペンタエリスリトールトリアクリレートを用いなかった以外は実施例1と同様にして硬化物を作製し、同様に評価した。結果を表1に示した。
Figure 0005346047
表1中、残留タック評価:べたつきなし ← ◎ > 〇 > △ > × → べたつきあり
手剥離試験:凝集破壊(CF) ← 〇 > △ > × → 界面破壊(AF)
第二の本発明に関する実施例
(製造例3)還流管および攪拌機付きの10Lのセパラブルフラスコに、CuBr(42.0g、0.293mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(559mL)を加え、オイルバス中70℃で45分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(1.00kg)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(176g、0.488mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(2.00mL、1.66g、9.58mmol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(4.00kg)を190分かけて連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(6.00mL、4.98g、28.8mmol)を追加した。反応開始より310分経過後に1,7−オクタジエン(1.44L、1.07kg、9.75mol)、トリアミン(20.5mL、17.0g、98.1mmol)を加え、引き続き70℃で210分加熱攪拌した。反応混合物をヘキサンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによりアルケニル基末端重合体(重合体[7])を得た。重合体[7]の数平均分子量は14000、分子量分布は1.3であった。
還流管付10Lセパラブルフラスコに、重合体[7](2.7kg)、安息香酸カリウム(142g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(2.7L)を仕込み、窒素気流下70℃で25時間加熱攪拌した。加熱減圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体[8]を得た。
還流管付2L丸底フラスコに、重合体[8](2.7kg)、珪酸アルミ(540g、協和化学製、キョーワード700PEL)、トルエン(2.7L)を仕込み、窒素気流下100℃で5時間加熱攪拌した。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去することにより重合体[9]を得た。
1L耐圧反応容器に重合体[9](409g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(27.0mL、0.22mol)、オルトぎ酸メチル(8.0mL、0.07mmol)、および0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で10−3当量とした。反応混合物を100℃で1時間加熱した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端重合体(重合体[10])を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により13900、分子量分布は1.4であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数をH NMR分析により求めたところ、1.5個であった。
(実施例3)製造例3で得られた重合体[10]100部に、桐油を3部混合し、4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセトナート)1部を用い撹拌混合した後、減圧脱泡し、2mm厚のシート状硬化物を作製した。翌日の硬化物表面の残留タックを指触により観察。またその硬化物を屋外に静置し1ヶ月後の硬化物表面の汚れ具合を観察した。結果を表2に示した。
(実施例4)実施例3で、桐油を3部用いた代わりに5部用いた以外は実施例3と同様に硬化物を作製し、同様に評価した。結果を表2に示した。
(比較例2)実施例3で、用いた桐油を用いなかった以外は実施例3と同様に硬化物を作製し、同様に評価した。結果を表2に示した。
Figure 0005346047
表2中、残留タック評価:べたつきなし ← ◎ > 〇 > △ > × → べたつきあり
汚れ評価:良好 ← ◎ > 〇 > △ > × → 黒化(付着物多い)
(実施例5)実施例3と同様にして硬化物を作製した。ただし硬化養生は室内で2日、その後50℃で3日静置した。硬化後のシート状硬化物から2(1/3)号形ダンベル試験片を打ち抜き、島津製オートグラフを用いて引張試験を行なった(測定条件:23℃、200mm/min)。結果を表3に示した。
(実施例6)実施例5と同様の硬化養生条件で、実施例4と同様の硬化物を作製し、実施例5と同様に評価した。結果を表3に示した。
(比較例3)実施例5と同様の硬化養生条件で、比較例2と同様の硬化物を作製し、実施例5と同様に評価した。結果を表3に示した。
Figure 0005346047
(実施例7)実施例3で得られたシート状硬化物について、各種アルキド塗料を塗装し室内で静置した。一定期間後に塗装した表面を指触し、硬化具合を判定した。結果を表4に示した。
(実施例8)実施例4で得られたシート状硬化物について、実施例7と同様に評価した。結果を表4に示した。
(比較例4)比較例2で得られたシート状硬化物を用い、実施例7と同様に評価した。結果を表4に示した。
Figure 0005346047
表4中、1日後/7日後の結果を示した。
〇:完全硬化
△:タック(べたつき)有り
×:未硬化
アルキド塗料は、Schakelverf:SIGMA社製 Rubbol AZ:Akzo社製 Sigmasolid semigloss:SIGMA社製
第三の本発明に関する実施例
(製造例4)還流管および攪拌機付きの10Lのセパラブルフラスコに、CuBr(42.0g、0.293mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(559mL)を加え、オイルバス中70℃で45分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(1.00kg)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(176g、0.488mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(4.00mL、3.32g、19.2mmol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(4.00kg)を190分かけて連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(4.00mL、3.32g、0.0192mol)を追加した。反応開始より310分経過後に1,7−オクタジエン(1.44L、1.07kg、9.75mol)、トリアミン(20.5mL、17.0g、98.1mol)を加え、引き続き70℃で210分加熱攪拌した。反応混合物をヘキサンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによりアルケニル基末端重合体(重合体[11])を得た。重合体[11]の数平均分子量は14000、分子量分布は1.3であった。
還流管付10Lセパラブルフラスコに、重合体[11](2.7kg)、安息香酸カリウム(142g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(2.7L)を仕込み、窒素気流下70℃で25時間加熱攪拌した。加熱減圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体[12]を得た。
還流管付2L丸底フラスコに、重合体[12](2.7kg)、珪酸アルミ(540g、協和化学製、キョーワード700PEL)、トルエン(2.7L)を仕込み、窒素気流下100℃で5時間加熱攪拌した。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去することにより重合体[13]を得た。
1L耐圧反応容器に重合体[13](760g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(46.3mL、0.38mol)、オルトぎ酸メチル(13.7mL、0.13mmol)、および0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で10−3当量とした。反応混合物を100℃で1時間加熱した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端重合体(重合体[14])を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により15000、分子量分布は1.4であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数をH NMR分析により求めたところ、2.0個であった。
(製造例5)還流管および攪拌機付きの2Lのセパラブルフラスコに、CuBr(22.4g、0.156mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(112mL)を加え、オイルバス中70℃で30分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(0.20kg)、2−ブロモプロピオン酸メチル(86.9g、0.520mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(0.19mL、0.18g、1.04mmol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(0.80kg)を150分かけて連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(1.81mL、1.71g、9.88mmol)を追加した。引き続き70℃で230分加熱攪拌した。反応混合物をトルエンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによりアルケニル基末端重合体(重合体[15])を得た。重合体[15]の数平均分子量は2600、分子量分布は1.18であった。
還流管付2Lセパラブルフラスコに、重合体[15](0.937kg)、酢酸カリウム(73.5g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(0.8L)を仕込み、窒素気流下70℃で5時間加熱攪拌した。加熱減圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体[16]を得た。
(実施例9)製造例4で得られた重合体[14]100部に、各種高分子可塑剤を50部混合し、4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセトナート)1部を用い撹拌混合した後、減圧脱泡し、2mm厚のシート状硬化物を作製した。硬化養生は室内で2日、その後50℃で3日静置した。硬化後のシート状硬化物から2(1/3)号形ダンベル試験片を打ち抜き、島津製オートグラフを用いて引張試験を行なった(測定条件:23℃、200mm/min)。なお、粘度測定は、E型粘度計(EHD3°コーン28Φ使用)を用いて、23℃にて行った。結果を表5に示した。
(比較例5)実施例9の高分子可塑剤を低分子の各種可塑剤に置き換え、その他については実施例9と同様にして硬化物を作製し、同様に引張試験を行なった。なお、粘度測定は実施例9と同様にして行った。結果を表5に示した。なお、表5中、アジピン酸ポリエステル系可塑剤は旭電化工業社製、ポリブテン系可塑剤は出光石油化学社製、アルキルベンゼン系可塑剤は日本石油化学社製のものである。
Figure 0005346047
(実施例10)実施例9で得られたシート状硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、150℃の乾燥機に静置した。一定期間後に取出して、実施例9と同様に引張試験を行なった。結果を表6に示した。
(比較例6)比較例5で得られたシート状硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、実施例10と同様に150℃の乾燥機に静置した。一定期間後に取出して、実施例10と同様に引張試験を行なった。結果を表6に示した。
Figure 0005346047
(実施例11)実施例9で得られたシート状硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機製WEL−SUN−DC型、ブラックパネル温度63℃、照射2時間中、降雨時間18分)に設置した。一定期間後に取出して、実施例9と同様に引張試験を行なった。結果を表7に示した。
(比較例7)比較例5で得られたシート状硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、サンシャインウェザーメーター(スガ試験機製WEL−SUN−DC型、ブラックパネル温度63℃、照射2時間中、降雨時間18分)に設置した。一定期間後に取出して、実施例11と同様に引張試験を行なった。結果を表7に示した。
Figure 0005346047
(実施例12)実施例9で得られたシート状硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、各種アルキド塗料を塗装し室内で静置した。一定期間後に塗装した表面を指触し、硬化具合を判定した。結果を表8に示した。
(比較例8)比較例5で得られたシート状硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、各種アルキド塗料を塗装し室内で静置した。実施例12と同様に一定期間後に塗装した表面を指触し、硬化具合を判定した。結果を表8に示した。
Figure 0005346047
表8中、1日後/7日後の結果を示した。
〇:完全硬化
△:タック(べたつき)有り
×:未硬化
アルキド塗料は、Schakelverf:SIGMA社製 Rubbol AZ:Akzo社製 Sigmasolid semigloss:SIGMA社製
第四の本発明に関する実施例
(製造例6)還流管および攪拌機付きの10Lのセパラブルフラスコに、CuBr(42.0g、0.293mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(559mL)を加え、オイルバス中70℃で45分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(1.00kg)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(176g、0.488mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(2.00mL、1.66g、9.58mmol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(4.00kg)を190分かけて連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(6.00mL、4.98g、288mmol)を追加した。反応開始より310分経過後に1,7−オクタジエン(1.4.4L、1.07kg、9.75mol)、トリアミン(20.5mL、17.0g、98.1mmol)を加え、引き続き70℃で210分加熱攪拌した。反応混合物をヘキサンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによりアルケニル基末端重合体(重合体[17])を得た。重合体[17]の数平均分子量は14000、分子量分布は1.3であった。
還流管付10Lセパラブルフラスコに、重合体[17](2.7kg)、安息香酸カリウム(142g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(2.7L)を仕込み、窒素気流下70℃で25時間加熱攪拌した。加熱減圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体[18]を得た。
還流管付2L丸底フラスコに、重合体[18](2.7kg)、珪酸アルミ(540g、協和化学製、キョーワード700PEL)、トルエン(2.7L)を仕込み、窒素気流下100℃で5時間加熱攪拌した。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去することにより重合体[19]を得た。
1L耐圧反応容器に重合体[19](409g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(27.0mL、0.22mol)、オルトぎ酸メチル(8.0mL、0.07mmol)、および0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で10−3当量とした。反応混合物を100℃で1時間加熱した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端重合体(重合体[20])を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により13900、分子量分布は1.4であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数をH NMR分析により求めたところ、1.5個であった。
(製造例7)Br基末端ポリ(アクリル酸ブチル)の合成例
還流管および攪拌機付きの2Lのセパラブルフラスコに、CuBr(5.54g、38.6mmol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(73.8mL)を加え、オイルバス中70℃で30分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(132g)、2−ブロモプロピオン酸メチル(14.4mL、0.129mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(4.69mL、0.022mol)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(528g)を90分かけて連続的に滴下し、更に80分間加熱攪拌した。反応混合物をトルエンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することにより片末端にBr基を有するポリ(アクリル酸ブチル)(重合体[21])を得た。重合体[21]の数平均分子量は5800、分子量分布は1.14であった。
(製造例8)片末端アルケニル基ポリ(アクリル酸ブチル)の合成例
還流管付き500mLフラスコに、製造例2で得られた重合体[21](150g)、ペンテン酸カリウム(8.29g)、ジメチルアセトアミド(150mL)を仕込み、70℃で6時間加熱攪拌した。反応混合物よりジメチルアセトアミドを留去し、トルエンに溶解させ、活性アルミナカラムを通した。トルエンを留去することにより重合体を得た。
重合体(20g)、珪酸アルミ(4.0g、協和化学製、キョーワード700PEL)、トルエン(20mL)を仕込み、窒素気流下100℃で1時間加熱攪拌した。珪酸アルミを濾過した後、ろ液を濃縮することにより片末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸ブチル)(重合体[22])を得た。数平均分子量は5800、分子量分布は1.13であった。また、粘度は11Pa・s(E型粘度計:測定23℃)であった。
(製造例9)片末端シリル基ポリ(アクリル酸ブチル)の合成例
30mLの耐圧反応容器に、製造例7で得られた重合体[22](9.4g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(0.58mL、4.7mmol)、オルトぎ酸メチル(0.17mL、1.6mmol)、および0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で10−4当量とした。反応混合物を100℃で1時間加熱した。ジメトキシメチルヒドロシラン(0.58mL、4.7mmol)、0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体(重合体のアルケニル基に対してモル比で2×10−4当量)を追加し、さらに100℃で1時間加熱した。反応溶液を濃縮することにより、片末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸ブチル)(重合体[23])を得た。数平均分子量は6100、分子量分布は1.18、重合体1分子当たりに導入された平均シリル基数は1.0であった。また、粘度は13Pa・s(E型粘度計:測定23℃)であった。
(実施例13)製造例6で得られた重合体[20]100部に、反応性可塑剤として重合体[23]を50部混合し、4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセトナート)1部を用い撹拌混合した後、減圧脱泡し、2mm厚のシート状硬化物を作製した。室内で1日、その後50℃で1日静置後、ゲル分を測定した。なお、重合体[20]100部と、重合体[23]50部を混合したものの粘度も測定(E型粘度計:測定23℃)した。結果を表9に示した。
(比較例9)実施例13の反応性可塑剤(重合体[23])の代わりにシリル基を持たない非反応性可塑剤(重合体[22])に置き換えその他については実施例13と同様にして硬化物を作製し、同様に評価した。なお、重合体[20]100部と、重合体[22]50部を混合したものの粘度も測定(E型粘度計:測定23℃)した。結果を表9に示した。
(参考例1)実施例13の反応性可塑剤(重合体[23])を添加せず、その他については実施例13と同様にして硬化物を作製し、同様に評価した。なお、重合体[20]のみの粘度も測定(E型粘度計:測定23℃)した。結果を表9に示した。
Figure 0005346047
(実施例14)実施例13と同様に硬化物を作製した。ただし硬化養生は室内で2日、その後50℃で3日静置した。硬化後のシート状硬化物から2(1/3)号形ダンベル試験片を打ち抜き、島津製オートグラフを用いて引張試験を行なった(測定条件:23℃、200mm/min)。結果を表10に示した。
(比較例10)比較例9と同様に硬化物を作製した。ただし硬化養生は実施例14と同様にし、実施例14と同様に引張試験を行なった。結果を表10に示した。
Figure 0005346047
第五の本発明に関する実施例
(製造例10)還流管および攪拌機付きの10Lのセパラブルフラスコに、CuBr(28.0g、0.195mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(559mL)を加え、オイルバス中70℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(1.00kg)、2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル(117g、0.325mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(1.70mL、1.41g、8.14mmol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(4.00kg)を175分かけて連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(8.50mL、7.06g、40.7mmol)を追加した。反応開始より370分経過後に1,7−オクタジエン(1.57L、1.17kg、7.10mol)、トリアミン(20.4mL、16.9g、97.7mmol)を加え、引き続き70℃で220分加熱攪拌した。反応混合物をヘキサンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによりアルケニル基末端重合体(重合体[24])を得た。重合体[24]の数平均分子量は21300、分子量分布は1.3であった。
還流管付2Lセパラブルフラスコに、重合体[24](0.73kg)、安息香酸カリウム(25g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(0.7L)を仕込み、窒素気流下70℃で12時間加熱攪拌した。加熱減圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体[25]を得た。
還流管付2L丸底フラスコに、重合体[25](0.73kg)、珪酸アルミ(150g、協和化学製、キョーワード700PEL)、トルエン(4.0L)を仕込み、窒素気流下100℃で5時間加熱攪拌した。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエンを減圧留去することにより重合体[26]を得た。
1L耐圧反応容器に重合体[26](390g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(36.0mL、0.292mol)、オルトぎ酸メチル(7.10mL、0.065mol)、および0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で10−2当量とした。反応混合物を100℃で400分加熱した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端重合体(重合体[27])を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により246000、分子量分布は1.5であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数をH NMR分析により求めたところ、3.0個であった。
(製造例11)1L耐圧反応容器に製造例10で得られた重合体[26](300g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(18.0mL、0.146mol)、オルトぎ酸メチル(4.97mL、0.045mol)、および0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で10−2当量とした。反応混合物を100℃で250分加熱した。混合物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端重合体(重合体[28])を得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により246000、分子量分布は1.5であった。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の数をH NMR分析により求めたところ、1.2個であった。
(実施例15)製造例10で得られた重合体[27]100部に、シラノール含有化合物として(CHSiOCを1部混合し、予め撹拌混合した2価Sn触媒(ジオクチル錫)とラウリルアミン(混合比3:1)4部を用い撹拌混合した後、減圧脱泡し、2mm厚のシート状硬化物を作製した。硬化養生は室内で2日、その後50℃で3日静置した。硬化後のシート状硬化物から2(1/3)号形ダンベル試験片を打ち抜き、島津製オートグラフを用いて引張試験を行なった(測定条件:23℃、200mm/min)。結果を表11に示した。
(実施例16)実施例15で用いたシラノール含有化合物(CHSiOC1部の代わりにMeSiO〔CHCH(CH)O〕SiMe1部を用いた以外は実施例15と同様に硬化物を作製し、同様に引張試験を行なった。結果を表11に示した。
(実施例17)実施例15で用いたシラノール含有化合物(CHSiOC1部の代わりにC1225OSiMeを用いた以外は実施例15と同様に硬化物を作製し、同様に引張試験を行なった。結果を表11に示した。
(実施例18)実施例15で用いたシラノール含有化合物(CHSiOC1部の代わりにCOSiMe1部を用いた以外は実施例15と同様に硬化物を作製し、同様に引張試験を行なった。結果を表11に示した。
(比較例11)実施例15で用いたシラノール含有化合物を添加しなかった以外は実施例15と同様に硬化物を作製し、同様に引張試験を行なった。結果を表11に示した。
(比較例12)製造例11で得られた重合体[28]を用いた以外は比較例11と同様に硬化物を作製し、同様に引張試験を行なった。結果を表11に示した。
なお、何れの実施例、比較例とも硬化物の表面状態を指触により観察し、べたつき具合(残留タック)を評価した。結果を表11に併記した。
Figure 0005346047
表11中、残留タック評価:べたつきなし ← 〇 > △ > × → べたつきあり

Claims (16)

  1. 以下の2成分;
    (A4)一般式(1)で表される架橋性シリル基を平均して1.1個以上有する(メタ)アクリル系重合体、−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R3−a(Y)(1)
    (式中、RおよびRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)SiO−で表されるトリオルガノシロキシ基を示す(式中、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR′は同一であってもよく又は異なっていてもよい)。RまたはRがそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であることを満足する。)
    (E)平均して1個以下の前記一般式(1)で表される架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合体である反応性可塑剤、を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. (A4)成分の(メタ)アクリル系重合体は分子量分布が1.8未満のものである請求項1記載の硬化性組成物。
  3. (A4)成分の(メタ)アクリル系重合体はアクリル系重合体である請求項1または2記載の硬化性組成物。
  4. (A4)成分の(メタ)アクリル系重合体の主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたものである請求項1〜のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. (A4)成分の(メタ)アクリル系重合体の主鎖が原子移動ラジカル重合法により製造されたものである請求項記載の硬化性組成物。
  6. (A4)成分の(メタ)アクリル系重合体は、一般式(1)で表される架橋性シリル基を分子鎖末端に平均して1.1個以上有するものである請求項1〜のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. (A4)成分の(メタ)アクリル系重合体は、(1)ビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法により重合することにより、ハロゲン原子を末端に有する(メタ)アクリル系重合体を合成する工程、(2)前記工程(1)で得られるハロゲン原子を末端に有する(メタ)アクリル系重合体とアルケニル基を有するオキシアニオンとを反応させてハロゲンを置換することにより、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体を合成する工程、および、(3)前記工程(2)で得られる末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の末端アルケニル基に、一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付加させることにより、架橋性シリル基を含有する置換基に変換する工程により得られる重合体である請求項1〜のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. (A4)成分の(メタ)アクリル系重合体は、(1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することにより、(メタ)アクリル系重合体を形成させる工程、(2)更に、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応させることにより、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体を合成する工程、および、(3)前記工程(2)で得られる末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の末端のアルケニル基に、一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付加させることにより、架橋性シリル基を含有する置換基に変換する工程により得られる重合体である請求項1〜のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. (E)成分の反応性可塑剤は分子量分布が1.8未満のものである請求項1〜のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  10. (E)成分の反応性可塑剤の数平均分子量が500から15000である請求項1〜のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  11. (E)成分の反応性可塑剤は粘度が(A4)成分の(メタ)アクリル系重合体よりも低いものである請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  12. (E)成分の反応性可塑剤はアクリル系重合体である請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  13. (E)成分の反応性可塑剤は重合体主鎖がリビングラジカル重合法により製造されたものである請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  14. (E)成分の反応性可塑剤は重合体主鎖が原子移動ラジカル重合法により製造されたものである請求項13記載の硬化性組成物。
  15. (E)成分の反応性可塑剤は、(1)ビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法により重合することにより、1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する(メタ)アクリル系重合体を合成する工程、(2)前記工程(1)で得られる1個の分子鎖末端にのみ反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する(メタ)アクリル系重合体とアルケニル基を有するオキシアニオンとを反応させてハロゲンを置換することにより、1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体を合成する工程、および、(3)前記工程(2)で得られる1個の分子鎖末端にのみアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の末端アルケニル基に、一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付加させることにより、末端を架橋性シリル基に変換する工程、により得られる重合体である請求項1〜14のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  16. (E)成分の反応性可塑剤は、(1)開始点を1個有する開始剤を用いてビニル系モノマーをリビングラジカル重合法により重合することにより、(メタ)アクリル系重合体を形成させる工程、(2)更に、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合物を反応させることにより、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体を合成する工程、および、(3)前記工程(2)で得られる末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系重合体の末端のアルケニル基に、一般式(1)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付加させることにより、架橋性シリル基を含有する置換基に変換する工程により得られる重合体である請求項1〜14のうちいずれか1項に記載の硬化性組成物。
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