JP2003313397A - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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JP2003313397A
JP2003313397A JP2002121734A JP2002121734A JP2003313397A JP 2003313397 A JP2003313397 A JP 2003313397A JP 2002121734 A JP2002121734 A JP 2002121734A JP 2002121734 A JP2002121734 A JP 2002121734A JP 2003313397 A JP2003313397 A JP 2003313397A
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vinyl
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JP2002121734A
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Nobuhiro Hasegawa
伸洋 長谷川
Yoshiki Nakagawa
佳樹 中川
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】硬化性組成物を硬化させた硬化物の表面性を改
質し、艶消し状態で残留タックを減少させた組成物を提
供する。 【解決手段】架橋性シリル基を少なくとも1個有する分
子量分布が1.8未満であるビニル系重合体(特に(メ
タ)アクリル系重合体)、及び、平均粒径1μm以上1
000μm以下の粒子からなる硬化性組成物を用いる。
ビニル系重合体の主鎖が、リビングラジカル重合法(特
に原子移動ラジカル重合)により製造されるものである
ことが好ましい。硬化性組成物を硬化させた硬化物の表
面性を改質し、艶消し状態で残留タックを減少させた組
成物を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋性シリル基を
少なくとも1個有するビニル系重合体(I)、及び、平
均粒径1μm以上1000μm以下の粒子(II)を含
有する硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン重合や縮重合で得られる重合体の
一方で、ラジカル重合で得られるビニル系の重合体で官
能基、特に末端に官能基を有するものは、まだほとんど
実用化されていない。ビニル系重合体の中でも、(メ
タ)アクリル系重合体は、高い耐候性、透明性等、ポリ
エーテル系重合体や炭化水素系重合体、あるいはポリエ
ステル系重合体では得られない特性を有しており、アル
ケニル基や架橋性シリル基を側鎖に有するものは高耐候
性の塗料等に利用されている。その一方で、アクリル系
重合体の重合制御は、その副反応のために容易でなく、
末端への官能基の導入などは非常に困難である。
【0003】アルケニル基を分子鎖末端に有するビニル
系重合体を簡便な方法で得ることができれば、側鎖に架
橋性基を有するものに比較して硬化物物性の優れた硬化
物を得ることができる。従って、これまで多くの研究者
によって、その製造法が検討されてきたが、それらを工
業的に製造することは容易ではない。例えば特開平1−
247403号公報、特開平5−255415号公報に
は連鎖移動剤としてアルケニル基含有ジスルフィドを用
いる、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系
重合体の合成法が開示されている。
【0004】特開平5−262808号公報には、ヒド
ロキシル基を有するジスルフィドを用いて、両末端にヒ
ドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、さらに
ヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にアルケニル
基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法が開示さ
れている。
【0005】特開平5−211922号公報には、ヒド
ロキシル基を有するポリスルフィドを用いて、両末端に
ヒドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、さら
にヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にシリル基
を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法が開示され
ている。
【0006】これらの方法では、両末端に確実に官能基
を導入することは困難であり、満足な特性を有する硬化
物を得ることはできない。両末端に確実に官能基を導入
するためには、連鎖移動剤を大量に使用しなければなら
ず、製造工程上問題である。また、これらの方法では通
常のラジカル重合が用いられているため、得られる重合
体の分子量、分子量分布(数平均分子量と数平均分子量
の比)のコントロ−ルは困難である。
【0007】このような従来の技術に対し、発明者ら
は、これまでに様々な架橋性官能基を末端に有するビニ
ル系重合体、その製造法、硬化性組成物、及び用途に関
して数々の発明を行ってきた(特開平11−08024
9、特開平11−080250、特開平11−0058
15、特開平11−116617、特開平11−116
606、特開平11−080571、特開平11−08
0570、特開平11−130931、特開平11−1
00433、特開平11−116763、特開平9−2
72714号、特開平9−272715号等を参照)。
【0008】例えば、ケイ素原子に結合した水酸基また
は加水分解性基を有し、室温においても湿分等によりシ
ロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含
有基(以下、「架橋性シリル基」とも言う)を有するビ
ニル系重合体、あるいはその組成物から得られる硬化物
は、耐熱性あるいは耐候性に優れ、特に限定はされない
が、建築用弾性シーリング材シーラントや複層ガラス用
シーリング材等のシーリング材、太陽電池裏面封止材な
どの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材
などの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗
料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポ
ッティング剤、フィルム、ガスケット、注型材料、各種
成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面
(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車部品や電機部
品、各種機械部品等のシール等の様々な用途に利用可能
である。
【0009】前記の用途の中でもシーリング材、特に一
般建築用シーラント等は、一般的に各種部材間の接合部
や隙間に充填し、水密・気密を付与する目的で使用され
ている。従って、長期にわたる使用部位への追従性が極
めて重要である為、硬化物の物性として、低モジュラ
ス、高伸び、高強度で、かつそれらの物性を長期保持す
ることが求められている。また一方で、これらの施工に
おいて作業性を考慮し、硬化性組成物(配合物)として
低粘度が要求されている。
【0010】ビニル系重合体を高分子量化すると、それ
を原料とした硬化性組成物の硬化物を低モジュラス、高
伸び、高強度化することができるが、該配合物の粘度が
高くなり、施工時の作業性が悪くなる。逆に、ビニル系
重合体を低粘度化すれば、作業性が良好になるが硬化物
の機械物性は低下(高モジュラス、低伸び、低強度化)
する。そこでこの課題を解決するために、通常、官能基
を有しないフタル酸エステル類のようなフタル酸系可塑
剤やポリエーテル系可塑剤等が用いられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのよ
うな可塑剤を多量に配合すると、その配合物を硬化させ
た硬化物において、可塑剤が経時で硬化物表面にブリー
ド(移行、オイルブリードともいう)し、ベタツキ等の
問題を生じる。更にはそのことにより硬化物(シーラン
ト等)の周辺への汚染や、塗装後の表面汚染、接着性の
低下、硬化物の硬さ、伸び等の低下を招くという問題も
生じる。
【0012】また、このような架橋性シリル基を有する
ビニル系重合体は珪素原子1つあたり2つの加水性分解
性基が結合してなる加水分解性珪素基を有する重合体が
用いられることが多かったこともあり、接着剤の用途等
や低温で使用する場合等の、特に非常に速い硬化速度を
必要とする場合、その硬化速度は充分ではなく、また硬
化後の柔軟性を出したい場合には、架橋密度を低下させ
る必要があり、そのため架橋密度が充分でないためにべ
たつき(表面タック)があるという問題があった。
【0013】そこで本発明は、架橋性シリル基を少なく
とも1個有するビニル系重合体、及び、平均して1.2
個以下の架橋性シリル基を有するポリエーテル系重合体
を主成分とする硬化性組成物であって、低粘度で良好な
作業性を有し、その硬化性組成物を硬化させた硬化物の
表面への可塑剤のブリードを抑制することにより硬化物
の(塗料汚染性を含む)汚染を低下させ、また、その硬
化物が低モジュラス、高伸びであり、かつその機械物性
を長期にわたり維持し、更には良好な接着性、良好なア
ルキッド塗装性、高ゲル分率を有する組成物を提供する
ことにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な問題を解決するために鋭意検討した結果、架橋性シリ
ル基を少なくとも1個有するビニル系重合体、及び、平
均粒径1μm以上1000μm以下の粒子を主成分とす
る硬化性組成物を用いることによって、上記課題を解決
することを見出し、本発明を完成させた。
【0015】すなわち、本発明は、架橋性シリル基を少
なくとも1個有するビニル系重合体(I)、及び、平均
粒径1μm以上1000μm以下の粒子(II)を含有
する硬化性組成物に関するものである。
【0016】ビニル系重合体(I)は特に限定されない
が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し
た重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比
(Mw/Mn)の値が、1.8未満であるのが好まし
い。
【0017】更に、ビニル系重合体(I)の主鎖は、特
に限定されないが、(メタ)アクリル系モノマー、アク
リロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、フ
ッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル系モノ
マーからなる群から選ばれるモノマーを主として重合し
て製造されるのが好ましく、より好ましくは(メタ)ア
クリル系モノマー、更に好ましくはアクリル系モノマ
ー、もっと好ましくはアクリル酸エステル系モノマーで
あり、一般建築用等の用途においては配合物の低粘度、
硬化物の低モジュラス、高伸び、耐候、耐熱性等の物性
が要求される点から、アクリル酸ブチル系モノマーを用
いて重合して製造されるのが最も好ましい。また、一方
で耐油性や耐熱性、高強度等を要求される自動車のエン
ジン周りや機械等の用途においては、アクリル酸エチル
系モノマーを用いて重合して製造されるのが好ましく、
更には耐寒性等の兼合いからアクリル酸エチル系モノマ
ーを主としてアクリル酸2−メトキシエチル系モノマ
ー、アクリル酸ブチル系モノマーを用いて共重合して製
造されるのがより好ましい。耐油性や低温特性等の物性
を考慮し、共重合するモノマーの比率を変化させること
が可能である。
【0018】また、このビニル系重合体(I)の主鎖
は、限定はされないが、リビングラジカル重合により製
造されることが好ましく、原子移動ラジカル重合である
ことがより好ましい。さらに、原子移動ラジカル重合
は、限定はされないが、周期律表第7族、8族、9族、
10族、または11族元素を中心金属とする遷移金属錯
体より選ばれる錯体を触媒とすることが好ましく、銅、
ニッケル、ルテニウム、又は鉄の錯体からなる群より選
ばれる錯体がより好ましく、中でも銅の錯体が特に好ま
しい。
【0019】ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基の
位置は、限定はされないが、末端が好ましい。その他に
主鎖内部に同様の官能基を有しても構わないが、架橋さ
せた硬化物にゴム弾性を求める場合等には末端のみに官
能基を有することが好ましい。
【0020】ビニル系重合体(I)の架橋性官能基の数
は、特に限定されないが、より架橋性の高い硬化物を得
るためには、平均して1個以上有することが好ましく、
より好ましくは1.1個以上4.0以下、さらに好まし
くは1.2個以上3.5個以下である。本発明の平均粒
径1μm以上1000μm以下の粒子(II)の平均粒
径は、特に限定はされないが、作業性や硬化物の機械物
性等の点から500μm以下であることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明は、硬化性組成物に関す
る。更に詳しくは、以下の二成分:架橋性官能基を少な
くとも1個有するビニル系重合体(I)、及び、平均粒
径1μm以上1000μm以下の粒子(II)を含有す
る硬化性組成物に関するものである。以下に、本発明の
硬化性組成物について詳述する。 <<ビニル系重合体について>> <主鎖>本発明者らは、これまでに様々な架橋性官能基
を重合体末端に有するビニル系重合体、その製造法、硬
化性組成物、及び用途に関して数々の発明を行ってきた
(特開平11−080249、特開平11−08025
0、特開平11−005815、特開平11−1166
17、特開平11−116606、特開平11−080
571、特開平11−080570、特開平11−13
0931、特開平11−100433、特開平11−1
16763、特開平9−272714号、特開平9−2
72715号等を参照)。本発明のビニル系重合体
(I)としては特に限定されないが、上に例示した発明
で開示される重合体をすべて好適に用いることができ
る。
【0022】本発明のビニル系重合体の主鎖を構成する
ビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のもの
を用いることができる。例示するならば、(メタ)アク
リル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n
−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)ア
クリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n
−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−
n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、
(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)ア
クリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)
アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、
(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸ベンジ
ル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メ
タ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2
−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル
酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロ
ピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチ
レンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオ
ロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロ
メチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル
メチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエ
チル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルパーフル
オロブチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオ
ロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)ア
クリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パー
フルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメ
チルメチル、(メタ)アクリル酸2,2−ジパーフルオ
ロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチ
ルパーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−
パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、
(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルメチル、
(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、
(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルメチル、
(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、
(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルメチ
ル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシル
エチル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、ビ
ニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、
スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族ビニル系モノ
マー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレ
ン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニル系モノマ
ー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン
酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及
びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアル
キルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メ
チルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミ
ド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチル
マレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミ
ド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等
のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等のアクリロニトリル系モノマー;アクリル
アミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モ
ノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸
ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエス
テル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジ
エン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化
ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げら
れる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合
させても構わない。
【0023】ビニル系重合体の主鎖が、(メタ)アクリ
ル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビ
ニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ
素含有ビニル系モノマーからなる群より選ばれる少なく
とも1つのモノマーを主として重合して製造されるもの
であることが好ましい。ここで「主として」とは、ビニ
ル系重合体を構成するモノマー単位のうち50モル%以
上、好ましくは70%以上が、上記モノマーであること
を意味する。
【0024】なかでも、生成物の物性等から、スチレン
系モノマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーが好まし
い。より好ましくは、アクリル酸エステルモノマー及び
メタクリル酸エステルモノマーであり、特に好ましくは
アクリル酸エステルモノマーである。一般建築用等の用
途においては配合物の低粘度、硬化物の低モジュラス、
高伸び、耐候、耐熱性等の物性が要求される点から、ア
クリル酸ブチル系モノマーが更に好ましい。一方、自動
車用途等の耐油性等が要求される用途においては、アク
リル酸エチルを主とした共重合体が更に好ましい。この
アクリル酸エチルを主とした重合体は耐油性に優れるが
低温特性(耐寒性)にやや劣る傾向があるため、その低
温特性を向上させるために、アクリル酸エチルの一部を
アクリル酸ブチルに置き換えることも可能である。ただ
し、アクリル酸ブチルの比率を増やすに伴いその良好な
耐油性が損なわれていくので、耐油性を要求される用途
にはその比率は40%以下にするのが好ましく、更には
30%以下にするのがより好ましい。また、耐油性を損
なわずに低温特性等を改善するために側鎖のアルキル基
に酸素が導入されたアクリル酸2−メトキシエチルやア
クリル酸2−エトキシエチル等を用いるのも好ましい。
ただし、側鎖にエーテル結合を持つアルコキシ基の導入
により耐熱性が劣る傾向にあるので、耐熱性が要求され
るときには、その比率は40%以下にするのが好まし
い。各種用途や要求される目的に応じて、必要とされる
耐油性や耐熱性、低温特性等の物性を考慮し、その比率
を変化させ、適した重合体を得ることが可能である。例
えば、限定はされないが耐油性や耐熱性、低温特性等の
物性バランスに優れている例としては、アクリル酸エチ
ル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2−メトキシエチル
(重量比で40〜50/20〜30/30〜20)の共
重合体が挙げられる。
【0025】本発明においては、これらの好ましいモノ
マーを他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合さ
せても構わなく、その際は、これらの好ましいモノマー
が重量比で40%含まれていることが好ましい。なお上
記表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル
酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
【0026】本発明のビニル系重合体の分子量分布、す
なわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測
定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
との比(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好まし
くは1.8未満であり、より好ましくは1.7以下であ
り、さらに好ましくは1.6以下であり、なお好ましく
は1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であ
り、最も好ましくは1.3以下である。本発明でのGP
C測定においては、通常、移動相としてクロロホルムを
用い、測定はポリスチレンゲルカラムにておこない、数
平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができ
る。
【0027】本発明におけるビニル系重合体の数平均分
子量は特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーで測定した場合、500〜1,000,0
00の範囲が好ましく、1,000〜100,000が
より好ましく、5,000〜50,000がさらに好ま
しい。 <主鎖の合成法>本発明における、ビニル系重合体の合
成法は、限定はされないが、制御ラジカル重合が好まし
く、リビングラジカル重合がより好ましく、原子移動ラ
ジカル重合が特に好ましい。以下にこれらについて説明
する。制御ラジカル重合 ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過
酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーと
ビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジ
カル重合法」と、末端などの制御された位置に特定の官
能基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に
分類できる。
【0028】「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法
であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマー
は確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率
の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーを
かなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特
定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなると
いう問題点がある。またフリーラジカル重合であるた
め、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られない
という問題点もある。
【0029】「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の
官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうこと
により末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる
「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応などを起
こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の
重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類
することができる。
【0030】「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合
体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大
量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処
理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的な
ラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるた
め分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られない
という問題点もある。
【0031】これらの重合法とは異なり、「リビングラ
ジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカ
ップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御
の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応
が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.
1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマー
と開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロー
ルすることができる。
【0032】従って「リビングラジカル重合法」は、分
子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる
上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任
意の位置に導入することができるため、上記特定の官能
基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ま
しいものである。
【0033】なお、リビング重合とは狭義においては、
末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合
のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたもの
と活性化されたものが平衡状態にありながら生長してい
く擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後
者である。
【0034】「リビングラジカル重合法」は近年様々な
グループで積極的に研究がなされている。その例として
は、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル
ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、19
94年、116巻、7943頁に示されるようなコバル
トポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュール
ズ(Macromolecules)、1994年、2
7巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物
などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物
等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラ
ジカル重合」(Atom Transfer Radi
cal Polymerization:ATRP)な
どがあげられる。
【0035】「リビングラジカル重合法」の中でも、有
機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等
を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマー
を重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リ
ビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反
応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触
媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有
するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好まし
い。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMat
yjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカ
ン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.So
c.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレ
キュールズ(Macromolecules)1995
年、28巻、7901頁,サイエンス(Scienc
e)1996年、272巻、866頁、WO96/30
421号公報,WO97/18247号公報、WO98
/01480号公報,WO98/40415号公報、あ
るいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(M
acromolecules)1995年、28巻、1
721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−
41117号公報などが挙げられる。
【0036】本発明において、これらのリビングラジカ
ル重合のうちどの方法を使用するかは特に制約はない
が、原子移動ラジカル重合法が好ましい。
【0037】以下にリビングラジカル重合について詳細
に説明していくが、その前に、後に説明するビニル系重
合体の製造に用いることができる制御ラジカル重合のう
ちの一つ、連鎖移動剤を用いた重合について説明する。
連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合として
は、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を有
したビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの方
法が例示される。
【0038】特開平4−132706号公報に示されて
いるようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用い
てハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−2
71306号公報、特許2594402号公報、特開昭
54−47782号公報に示されているような水酸基含
有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を
連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法
である。
【0039】以下に、リビングラジカル重合について説
明する。
【0040】そのうち、まず、ニトロキシド化合物など
のラジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この
重合では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N
−O・)をラジカルキャッピング剤として用いる。この
ような化合物類としては、限定はされないが、2,2,
6,6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,
2,5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル
等、環状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジ
カルが好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等
の炭素数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニ
トロキシフリーラジカル化合物としては、限定はされな
いが、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニ
ルオキシラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テ
トラエチル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,
2,6,6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジ
ニルオキシラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−
1−ピロリジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テ
トラメチル−2−イソインドリニルオキシラジカル、
N,N−ジ−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げ
られる。ニトロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビ
ノキシル(galvinoxyl)フリーラジカル等の
安定なフリーラジカルを用いても構わない。
【0041】上記ラジカルキャッピング剤はラジカル発
生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル
発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性
モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割
合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピ
ング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モル
が適当である。
【0042】ラジカル発生剤としては、種々の化合物を
使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカル
を発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシ
ドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシ
ド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド
類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシ
ド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパー
オキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘ
キシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカー
ボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−
ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステ
ル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好まし
い。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチ
ロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジ
カル発生剤も使用しうる。
【0043】Macromolecules 199
5,28,P.2993で報告されているように、ラジ
カルキャッピング剤とラジカル発生剤を併用する代わり
に、下図のようなアルコキシアミン化合物を開始剤とし
て用いても構わない。
【0044】
【化1】 アルコキシアミン化合物を開始剤として用いる場合、そ
れが上図で示されているような水酸基等の官能基を有す
るものを用いると、末端に官能基を有する重合体が得ら
れる。これを本発明の方法に利用すると、末端に官能基
を有する重合体が得られる。
【0045】上記のニトロキシド化合物などのラジカル
捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合
温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原
子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わな
い。原子移動ラジカル重合 次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好まし
い原子移動ラジカル重合法について説明する。
【0046】この原子移動ラジカル重合では、有機ハロ
ゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有す
る有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有する
カルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化
合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始
剤として用いられる。具体的に例示するならば、 C65−CH2X、C65−C(H)(X)CH3、C6
5−C(X)(CH32 (ただし、上の化学式中、C65はフェニル基、Xは塩
素、臭素、またはヨウ素) R1−C(H)(X)−CO22、R1−C(CH3
(X)−CO22、R1−C(H)(X)−C(O)
2、R1−C(CH3)(X)−C(O)R2、 (式中、R1、R2は水素原子または炭素数1〜20のア
ルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩
素、臭素、またはヨウ素) R1−C64−SO2X (式中、R1は水素原子または炭素数1〜20のアルキ
ル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩素、臭
素、またはヨウ素)等が挙げられる。
【0047】原子移動ラジカル重合の開始剤として、重
合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン
化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもで
きる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他
方の主鎖末端に原子移動ラジカル重合の生長末端構造を
有するビニル系重合体が製造される。このような官能基
としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシ
ル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ
る。
【0048】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
しては限定されず、例えば、一般式(1)に示す構造を
有するものが例示される。 R45C(X)−R6−R7−C(R3)=CH2 (1) (式中、R3は水素、またはメチル基、R4、R5は水
素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリ
ール基、またはアラルキル基、または他端において相互
に連結したもの、R6は、−C(O)O−(エステル
基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p
−フェニレン基、R7は直接結合、または炭素数1〜2
0の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでい
ても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素) 置換基R4、R5の具体例としては、水素、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。R4とR5は他
端において連結して環状骨格を形成していてもよい。
【0049】一般式(1)で示される、アルケニル基を
有する有機ハロゲン化物の具体例としては、 XCH2C(O)O(CH2nCH=CH2、H3CC
(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH2、(H3
C)2C(X)C(O)O(CH2nCH=CH2、CH
3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nCH=CH
2
【0050】
【化2】 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mCH=C
2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(C
2mCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O
(CH2nO(CH2mCH=CH2、CH3CH2
(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=
CH2
【0051】
【化3】 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−CH=C
2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(C
2n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2
(H)(X)−C64−(CH2n−CH=CH2、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−O−(C
2m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)
(X)−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=
CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6
4−(CH2n−O−(CH2mCH=CH2、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−CH
=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64
O−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH 3CH
2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=C
2、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−O−
(CH2m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)
(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2 m−C
H=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−
64−O−(CH 2n−O−(CH2m−CH=CH
2、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数) アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに
一般式(2)で示される化合物が挙げられる。 H2C=C(R3)−R7−C(R4)(X)−R8−R5 (2) (式中、R3、R4、R5、R7、Xは上記に同じ、R
8は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C
(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニ
レン基を表す) R7は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基
(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)である
が、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭
素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物で
ある。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲ
ン結合が活性化されているので、R8としてC(O)O
基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接
結合であってもよい。R7が直接結合でない場合は、炭
素−ハロゲン結合を活性化するために、R8としてはC
(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
【0052】一般式(2)の化合物を具体的に例示する
ならば、 CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、C
2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C
(H)(X)CH3、CH2=CHC(X)(CH32
CH2=CHC(H)(X)C25、CH2=CHC
(H)(X)CH(CH32、CH2=CHC(H)
(X)C65、CH2=CHC(H)(X)CH2
65、CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、C
2=CH(CH22C(H)(X)−CO2R、CH2
=CH(CH23C(H)(X)−CO2R、CH2=C
H(CH28C(H)(X)−CO2R、CH2=CHC
2C(H)(X)−C65、CH2=CH(CH22
(H)(X)−C65、CH2=CH(CH23
(H)(X)−C65、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基)等を挙げることができる。
【0053】アルケニル基を有するハロゲン化スルホニ
ル化合物の具体例を挙げるならば、 o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−C64
SO2X、o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n
O−C64−SO2X、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数)等である。
【0054】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物としては特に限定されず、例えば一般式(3)に示
す構造を有するものが例示される。 R45C(X)−R6−R7−C(H)(R3)CH2−[Si(R92-b(Y)b O]m−Si(R103-a(Y)a (3) (式中、R3、R4、R5、R6、R7、Xは上記に同じ、
9、R10は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、
アリール基、アラルキル基、または(R’)3SiO−
(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、
3個のR’は同一であってもよく、異なっていてもよ
い)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R9
たはR10が2個以上存在するとき、それらは同一であっ
てもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水
分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同
一であってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,
2,または3を、また、bは0,1,または2を示す。
mは0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であ
ることを満足するものとする) 一般式(3)の化合物を具体的に例示するならば、 XCH2C(O)O(CH2nSi(OCH33、CH3
C(H)(X)C(O)O(CH2nSi(OC
33、(CH32C(X)C(O)O(CH2nSi
(OCH33、XCH2C(O)O(CH2nSi(C
3)(OCH32、CH 3C(H)(X)C(O)O
(CH2nSi(CH3)(OCH32、(CH32
(X)C(O)O(CH2nSi(CH3)(OCH3
2、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは
0〜20の整数、) XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mSi(OC
33、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2n
(CH2mSi(OCH33、(H3C)2C(X)C
(O)O(CH2nO(CH2mSi(OCH33、C
3CH2C(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH
2mSi(OCH33、XCH2C(O)O(CH2n
O(CH2mSi(CH3)(OCH32、H3CC
(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2m−Si
(CH3)(OCH32、(H3C)2C(X)C(O)
O(CH2nO(CH2m−Si(CH3)(OCH3
2、CH3CH 2C(H)(X)C(O)O(CH2n
(CH2m−Si(CH3)(OCH32、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは
1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH2−C64−(CH22Si(OC
33、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64
(CH22Si(OCH33、o,m,p−CH3CH2
C(H)(X)−C64−(CH22Si(OC
33、o,m,p−XCH2−C64−(CH23
i(OCH33、o,m,p−CH3C(H)(X)−
64−(CH23Si(OCH33、o,m,p−C
3CH2C(H)(X)−C64−(CH23Si(O
CH33、o,m,p−XCH2−C64−(CH22
−O−(CH23Si(OCH33、o,m,p−CH
3C(H)(X)−C64−(CH22−O−(CH2
3Si(OCH33、o,m,p−CH3CH2C(H)
(X)−C64−(CH22−O−(CH23Si(O
CH33、o,m,p−XCH2−C64−O−(C
23Si(OCH33、o,m,p−CH3C(H)
(X)−C64−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−
(CH23−Si(OCH33、o,m,p−XCH2
−C64−O−(CH22−O−(CH23−Si(O
CH33、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64
−O−(CH22−O−(CH23Si(OCH33
o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C64−O−
(CH22−O−(CH23Si(OCH33、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素)等が挙げられる。
【0055】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物としてはさらに、一般式(4)で示される構造を有
するものが例示される。 (R103-a(Y)aSi−[OSi(R92-b(Y)bm−CH2−C(H)( R3)−R7−C(R4)(X)−R8−R5 (4) (式中、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、a、
b、m、X、Yは上記に同じ) このような化合物を具体的に例示するならば、 (CH3O)3SiCH2CH2C(H)(X)C65
(CH3O)2(CH3)SiCH2CH2C(H)(X)
65、(CH3O)3Si(CH22C(H)(X)−
CO2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH22
(H)(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH23
C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2(CH3)Si
(CH23C(H)(X)−CO2R、(CH3O)3
i(CH24C(H)(X)−CO2R、(CH3O)2
(CH3)Si(CH24C(H)(X)−CO2R、
(CH3O)3Si(CH29C(H)(X)−CO
2R、(CH3O)2(CH3)Si(CH29C(H)
(X)−CO2R、(CH3O)3Si(CH23
(H)(X)−C65、(CH3O)2(CH3)Si
(CH23C(H)(X)−C65、(CH3O)3Si
(CH24C(H)(X)−C65、(CH3O)2(C
3)Si(CH24C(H)(X)−C65、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基)等が挙げられる。
【0056】上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化
物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限
定されず、下記のようなものが例示される。 HO−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X) (式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子
または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基、nは1〜20の整数) 上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲン
化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記のよ
うなものが例示される。 H2N−(CH2n−OC(O)C(H)(R)(X) (式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子
または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基、nは1〜20の整数) 上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、またはハロゲ
ン化スルホニル化合物としては特に限定されず、下記の
ようなものが例示される。
【0057】
【化4】 (式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素、Rは水素原子
または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラ
ルキル基、nは1〜20の整数) 生長末端構造を1分子内に2つ以上有する重合体を得る
ためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロゲン化物、
またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤として用い
るのが好ましい。具体的に例示するならば、
【0058】
【化5】
【0059】
【化6】 等が挙げられる。
【0060】この重合において用いられるビニル系モノ
マーとしては特に制約はなく、既に例示したものをすべ
て好適に用いることができる。
【0061】重合触媒として用いられる遷移金属錯体と
しては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7
族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属
とする金属錯体である。更に好ましいものとして、0価
の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価
のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が
好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、
塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一
銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を
用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリ
ジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン及び
その誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメ
チルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−
アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加
される。好ましい配位子は、含窒素化合物であり、より
好ましい配位子は、キレート型含窒素化合物であり、さ
らに好ましい配位子は、N,N,N’,N”,N”−ペ
ンタメチルジエチレントリアミンである。また、2価の
塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体
(RuCl2(PPh33)も触媒として好適である。
ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤
としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更
に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(Fe
Cl2(PPh32)、2価のニッケルのビストリフェ
ニルホスフィン錯体(NiCl2(PPh3 2)、及
び、2価のニッケルのビストリブチルホスフィン錯体
(NiBr2(PBu32)も、触媒として好適であ
る。
【0062】重合は無溶剤または各種の溶剤中で行なう
ことができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエ
ン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホ
ルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶
媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロ
ピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢
酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート
系溶媒等が挙げられ、単独または2種以上を混合して用
いることができる。
【0063】また、限定はされないが、重合は0℃〜2
00℃の範囲で行うことができ、好ましくは50〜15
0℃である。
【0064】本発明の原子移動ラジカル重合には、いわ
ゆるリバース原子移動ラジカル重合も含まれる。リバー
ス原子移動ラジカル重合とは、通常の原子移動ラジカル
重合触媒がラジカルを発生させた時の高酸化状態、例え
ば、Cu(I)を触媒として用いた時のCu(II’)
に対し、過酸化物等の一般的なラジカル開始剤を作用さ
せ、その結果として原子移動ラジカル重合と同様の平衡
状態を生み出す方法である(Macromolecul
es 1999,32,2872参照)。 <官能基>架橋性官能基の数 ビニル系重合体(I)の架橋性シリル基の数は、特に限
定されないが、組成物の硬化性、及び硬化物の物性の観
点から、平均して1個以上有することが好ましく、より
好ましくは1.1個以上4.0以下、さらに好ましくは
1.2個以上3.5個以下である。架橋性官能基の位置 本発明の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物にゴム的
な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大きな影
響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、架橋性
官能基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあることが好
ましい。より好ましくは、全ての架橋性官能基を分子鎖
末端に有するものである。
【0065】上記架橋性官能基を分子末端に少なくとも
1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル系
重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公
報、特公平4−55444号公報、特開平6−2119
22号公報等に開示されている。しかしながらこれらの
方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重
合法であるので、得られる重合体は、架橋性官能基を比
較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mn
で表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘
度が高くなるという問題を有している。従って、分子量
分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い
割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有するビニル系重合
体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を
用いることが好ましい。
【0066】以下にこれらの官能基について説明する。架橋性シリル基 本発明の架橋性シリル基としては、一般式(5); −[Si(R92-b(Y)bO]m−Si(R103-a(Y)a (5) {式中、R9、R10は、いずれも炭素数1〜20のアル
キル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20
のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭
素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’
は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示され
るトリオルガノシロキシ基を示し、R9またはR10が2
個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異
なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示
し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であっても
よく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3
を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19
の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足
するものとする。}で表される基があげられる。
【0067】加水分解性基としては、たとえば、水素原
子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート
基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト
基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基
があげられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミ
ド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイ
ルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとく
に好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないもの
の方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポ
キシ基…の順に反応性が低くなり、目的や用途に応じて
選択できる。
【0068】加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原
子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σ
b)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸
基が架橋性シリル基中に2個以上結合する場合には、そ
れらは同じであってもよいし、異なってもよい。架橋性
シリル基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シ
ロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合に
は、20個以下であることが好ましい。とくに、一般式
(6); −Si(R103-a(Y)a (6) (式中、R10、Y、aは前記と同じ。)で表される架橋
性シリル基が、入手が容易であるので好ましい。
【0069】なお、特に限定はされないが、硬化性を考
慮するとaは2個以上が好ましい。
【0070】このような架橋性シリル基を有するビニル
系重合体は珪素原子1つあたり2つの加水分解性基が結
合してなる加水分解性珪素基を有する重合体が用いられ
ることが多いが、接着剤の用途等や低温で使用する場合
等、特に非常に速い硬化速度を必要とする場合、その硬
化速度は充分ではなく、また硬化後の柔軟性を出したい
場合には、架橋密度を低下させる必要があり、そのため
架橋密度が充分でないためにべたつき(表面タック)が
あることもあった。その際には、aが3個のもの(例え
ばトリメトキシ官能基)であるのが好ましい。
【0071】また、aが3個のもの(例えばトリメトキ
シ官能基)は2個のもの(例えばジメトキシ官能基)よ
りも硬化性が速いが、貯蔵安定性や力学物性(伸び等)
に関しては2個のものの方が優れている場合がある。硬
化性と物性バランスをとるために、2個のもの(例えば
ジメトキシ官能基)と3個のもの(例えばトリメトキシ
官能基)を併用してもよい。
【0072】例えば、Yが同一の場合、aが多いほどY
の反応性が高くなるため、Yとaを種々選択することに
より硬化性や硬化物の機械物性等を制御することが可能
であり、目的や用途に応じて選択できる。アルケニル基 本発明におけるアルケニル基は、限定はされないが、一
般式(7)で表されるものであることが好ましい。 H2C=C(R11)− (7) (式中、R11は水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化
水素基である) 一般式(7)において、R11は水素原子あるいは炭素数
1〜20の炭化水素基であり、具体的には以下のような
基が例示される。 −(CH2n−CH3、−CH(CH3)−(CH2n
CH3、−CH(CH2CH3)−(CH2n−CH3、−
CH(CH2CH32、−C(CH32−(CH2n
CH3、−C(CH3)(CH2CH3)−(CH2n−C
3、−C65、−C65(CH3)、−C65(C
32、−(CH2n−C65、−(CH2n−C65
(CH3)、−(CH2n−C65(CH32 (nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下)
これらの内では、水素原子が好ましい。
【0073】さらに、限定はされないが、重合体(I)
のアルケニル基が、その炭素−炭素二重結合と共役する
カルボニル基、アルケニル基、芳香族環により活性化さ
れていないことが好ましい。
【0074】アルケニル基と重合体の主鎖の結合形式
は、特に限定されないが、炭素−炭素結合、エステル結
合、エステル結合、カーボネート結合、アミド結合、ウ
レタン結合等を介して結合されていることが好ましい。アミノ基 本発明におけるアミノ基としては、限定はされないが、 −NR12 2 (R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基であ
り、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていてもよ
く、また、他端において相互に連結し、環状構造を形成
していてもよい。) が挙げられるが、 −(NR12 3+- (R12は上記と同じ。X-は対アニオン。)に示される
アンモニウム塩であっても何ら問題はない。
【0075】上記式中、R12は水素または炭素数1〜2
0の1価の有機基であり、例えば、水素、炭素数1〜2
0のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数
7〜20のアラルキル基等が挙げられる。2個のR12
互いに同一でもよく、異なっていてもよい。また、他端
において相互に連結し、環状構造を形成していてもよ
い。重合性の炭素−炭素二重結合を有する基 重合性の炭素−炭素二重結合を有する基は、好ましく
は、一般式(8); −OC(O)C(R13)=CH2 (8) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の一価の
有機基を表す。)で表される基であり、更に好ましく
は、R13が、水素、または、メチル基である基である。
【0076】一般式(8)において、R13の具体例とし
ては特に限定されず、例えば、−H、−CH3、−CH2
CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の整数を表
す)、−C65、−CH2OH、−CN等が挙げられる
が、好ましくは−H、−CH3である。架橋性官能基の導入法 以下に、本発明のビニル系重合体(I)への架橋性官能
基の導入法について説明するが、これに限定されるもの
ではない。
【0077】まず、末端官能基変換により架橋性シリル
基、アルケニル基、水酸基を導入する方法について記述
する。これらの官能基はお互いに前駆体となりうるの
で、架橋性シリル基から溯る順序で記述していく。
【0078】架橋性シリル基を少なくとも1個有するビ
ニル系重合体の合成方法としては、 (A)アルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重
合体に架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を、
ヒドロシリル化触媒存在下に付加させる方法 (B)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体に
一分子中に架橋性シリル基とイソシアネート基を有する
化合物のような、水酸基と反応し得る基を有する化合物
を反応させる方法 (C)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際
に、1分子中に重合性のアルケニル基と架橋性シリル基
を併せ持つ化合物を反応させる方法 (D)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際
に、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤を用いる方法 (E)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1
個有するビニル系重合体に1分子中に架橋性シリル基と
安定なカルバニオンを有する化合物を反応させる方法;
などが挙げられる。
【0079】(A)の方法で用いるアルケニル基を少な
くとも1個有するビニル系重合体は種々の方法で得られ
る。以下に合成方法を例示するが、これらに限定される
わけではない。
【0080】(A−a)ラジカル重合によりビニル系重
合体を合成する際に、例えば下記の一般式(9)に挙げ
られるような一分子中に重合性のアルケニル基と重合性
の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を第2のモノマー
として反応させる方法。 H2C=C(R14)−R15−R16−C(R17)=CH2 (9) (式中、R14は水素またはメチル基を示し、R15は−C
(O)O−、またはo−,m−,p−フェニレン基を示
し、R16は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有
機基を示し、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよ
い。R17は水素、または炭素数1〜20のアルキル基、
炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のア
ラルキル基を示す) なお、一分子中に重合性のアルケニル基と重合性の低い
アルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限
はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質
を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノ
マーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させる
のが好ましい。
【0081】(A−b)リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、例えば1,5−ヘキサ
ジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンな
どのような重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個
有する化合物を反応させる方法。
【0082】(A−c)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えばア
リルトリブチル錫、アリルトリオクチル錫などの有機錫
のようなアルケニル基を有する各種の有機金属化合物を
反応させてハロゲンを置換する方法。
【0083】(A−d)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式
(10)に挙げられるようなアルケニル基を有する安定
化カルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。 M+-(R18)(R19)−R20−C(R17)=CH2 (10) (式中、R17は上記に同じ、R18、R19はともにカルバ
ニオンC-を安定化する電子吸引基であるか、または一
方が前記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜10
のアルキル基、またはフェニル基を示す。R20は直接結
合、または炭素数1〜10の2価の有機基を示し、1個
以上のエーテル結合を含んでいてもよい。M+はアルカ
リ金属イオン、または4級アンモニウムイオンを示す) R18、R19の電子吸引基としては、−CO2R、−C
(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好まし
い。
【0084】(A−e)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜
鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させ
てエノレートアニオンを調製し、しかる後にハロゲンや
アセチル基のような脱離基を有するアルケニル基含有化
合物、アルケニル基を有するカルボニル化合物、アルケ
ニル基を有するイソシアネート化合物、アルケニル基を
有する酸ハロゲン化物等の、アルケニル基を有する求電
子化合物と反応させる方法。
【0085】(A−f)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば一
般式(11)あるいは(12)に示されるようなアルケ
ニル基を有するオキシアニオンあるいはカルボキシレー
トアニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。 H2C=C(R17)−R21−O-+ (11) (式中、R17、M+は上記に同じ。R21は炭素数1〜2
0の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでい
てもよい) H2C=C(R17)−R22−C(O)O-+ (12) (式中、R17、M+は上記に同じ。R22は直接結合、ま
たは炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上のエーテ
ル結合を含んでいてもよい)などが挙げられる。
【0086】上述の反応性の高い炭素−ハロゲン結合を
少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法は、前述
のような有機ハロゲン化物等を開始剤とし、遷移金属錯
体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が挙げられるが
これらに限定されるわけではない。
【0087】またアルケニル基を少なくとも1個有する
ビニル系重合体は、水酸基を少なくとも1個有するビニ
ル系重合体から得ることも可能であり、以下に例示する
方法が利用できるがこれらに限定されるわけではない。
水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の水酸基
に、 (A−g)ナトリウムメトキシドのような塩基を作用さ
せ、塩化アリルのようなアルケニル基含有ハロゲン化物
と反応させる方法。
【0088】(A−h)アリルイソシアネート等のアル
ケニル基含有イソシアネート化合物を反応させる方法。
【0089】(A−i)(メタ)アクリル酸クロリドの
ようなアルケニル基含有酸ハロゲン化物をピリジン等の
塩基存在下に反応させる方法。
【0090】(A−j)アクリル酸等のアルケニル基含
有カルボン酸を酸触媒の存在下に反応させる方法;等が
挙げられる。
【0091】本発明では(A−a)(A−b)のような
アルケニル基を導入する方法にハロゲンが直接関与しな
い場合には、リビングラジカル重合法を用いてビニル系
重合体を合成することが好ましい。制御がより容易であ
る点から(A−b)の方法がさらに好ましい。
【0092】反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なく
とも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換するこ
とによりアルケニル基を導入する場合は、反応性の高い
炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有する有機ハロゲ
ン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、
遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル
重合すること(原子移動ラジカル重合法)により得る、
末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1
個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御が
より容易である点から(A−f)の方法がさらに好まし
い。
【0093】また、架橋性シリル基を有するヒドロシラ
ン化合物としては特に制限はないが、代表的なものを示
すと、一般式(13)で示される化合物が例示される。 H−[Si(R92-b(Y)bO]m−Si(R103-a(Y)a (13) {式中、R9、R10は、いずれも炭素数1〜20のアル
キル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20
のアラルキル基、または(R’)3SiO−(R’は炭
素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR’
は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示され
るトリオルガノシロキシ基を示し、R9またはR10が2
個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異
なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示
し、Yが2個以上存在するときそれらは同一であっても
よく、異なっていてもよい。aは0,1,2,または3
を、また、bは0,1,または2を示す。mは0〜19
の整数である。ただし、a+mb≧1であることを満足
するものとする。} これらヒドロシラン化合物の中でも、特に一般式(1
4) H−Si(R103-a(Y)a (14) (式中、R10、Y、aは前記に同じ)で示される架橋性
基を有する化合物が入手容易な点から好ましい。
【0094】上記の架橋性シリル基を有するヒドロシラ
ン化合物をアルケニル基に付加させる際には、遷移金属
触媒が通常用いられる。遷移金属触媒としては、例え
ば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等
の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化
白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、
白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメ
チルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の
触媒の例としては、RhCl(PPh33,RhC
3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3
PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられ
る。
【0095】(B)および(A−g)〜(A−j)の方
法で用いる水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合
体の製造方法は以下のような方法が例示されるが、これ
らの方法に限定されるものではない。
【0096】(B−a)ラジカル重合によりビニル系重
合体を合成する際に、例えば下記の一般式(15)に挙
げられるような一分子中に重合性のアルケニル基と水酸
基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる
方法。 H2C=C(R14)−R15−R16−OH (15) (式中、R14、R15、R16は上記に同じ) なお、一分子中に重合性のアルケニル基と水酸基を併せ
持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特にリビ
ングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する場合には
重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後
に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
【0097】(B−b)リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、例えば10−ウンデセ
ノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのような
アルケニルアルコールを反応させる方法。
【0098】(B−c)例えば特開平5−262808
に示される水酸基含有ポリスルフィドのような水酸基含
有連鎖移動剤を多量に用いてビニル系モノマーをラジカ
ル重合させる方法。
【0099】(B−d)例えば特開平6−23991
2、特開平8−283310に示されるような過酸化水
素あるいは水酸基含有開始剤を用いてビニル系モノマー
をラジカル重合させる方法。
【0100】(B−e)例えば特開平6−116312
に示されるようなアルコール類を過剰に用いてビニル系
モノマーをラジカル重合させる方法。
【0101】(B−f)例えば特開平4−132706
などに示されるような方法で、反応性の高い炭素−ハロ
ゲン結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハ
ロゲンを加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させ
ることにより、末端に水酸基を導入する方法。
【0102】(B−g)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式
(16)に挙げられるような水酸基を有する安定化カル
バニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。 M+-(R18)(R19)−R20−OH (16) (式中、R18、R19、R20、は上記に同じ) R18、R19の電子吸引基としては、−CO2R、−C
(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好まし
い。
【0103】(B−h)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜
鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させ
てエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド
類、又はケトン類を反応させる方法。
【0104】(B−i)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば一
般式(17)あるいは(18)に示されるような水酸基
を有するオキシアニオンあるいはカルボキシレートアニ
オンを反応させてハロゲンを置換する方法。 HO−R21−O-+ (17) (式中、R21およびM+は前記に同じ) HO−R22−C(O)O-+ (18) (式中、R22およびM+は前記に同じ) (B−j)リビングラジカル重合によりビニル系重合体
を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマ
ーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一分子中に
重合性の低いアルケニル基および水酸基を有する化合物
を反応させる方法。
【0105】このような化合物としては特に限定されな
いが、一般式(19)に示される化合物等が挙げられ
る。 H2C=C(R14)−R21−OH (19) (式中、R14およびR21は上述したものと同様であ
る。) 上記一般式(19)に示される化合物としては特に限定
されないが、入手が容易であるということから、10−
ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコール
のようなアルケニルアルコールが好ましい。等が挙げら
れる。
【0106】本発明では(B−a)〜(B−e)及び
(B−j)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが
直接関与しない場合には、リビングラジカル重合法を用
いてビニル系重合体を合成することが好ましい。制御が
より容易である点から(B−b)の方法がさらに好まし
い。
【0107】反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なく
とも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換するこ
とにより水酸基を導入する場合は、有機ハロゲン化物、
またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属
錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル重合する
こと(原子移動ラジカル重合法)により得る、末端に反
応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有する
ビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易
である点から(B−i)の方法がさらに好ましい。
【0108】また、一分子中に架橋性シリル基とイソシ
アネート基のような水酸基と反応し得る基を有する化合
物としては、例えばγ−イソシアナートプロピルトリメ
トキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキ
シシラン等が挙げられ、必要により一般に知られている
ウレタン化反応の触媒を使用できる。
【0109】(C)の方法で用いる一分子中に重合性の
アルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物として
は、例えばトリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリ
レート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アク
リレートなどのような、下記一般式(20)で示すもの
が挙げられる。 H2C=C(R14)−R15−R23−[Si(R92-b(Y)bO]m−Si(R103-a(Y)a (20) (式中、R9、R10、R14、R15、Y、a、b、mは上
記に同じ。R23は、直接結合、または炭素数1〜20の
2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても
よい。) 一分子中に重合性のアルケニル基と架橋性シリル基を併
せ持つ化合物を反応させる時期に特に制限はないが、特
にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待する場
合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終
了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好まし
い。
【0110】(D)の連鎖移動剤法で用いられる、架橋
性シリル基を有する連鎖移動剤としては例えば特公平3
−14068、特公平4−55444に示される、架橋
性シリル基を有するメルカプタン、架橋性シリル基を有
するヒドロシランなどが挙げられる。
【0111】(E)の方法で用いられる、上述の反応性
の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニ
ル系重合体の合成法は、前述のような有機ハロゲン化物
等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラ
ジカル重合法が挙げられるがこれらに限定されるわけで
はない。一分子中に架橋性シリル基と安定化カルバニオ
ンを併せ持つ化合物としては一般式(21)で示すもの
が挙げられる。 M+-(R18)(R19)−R24−C(H)(R25)−CH2−[Si(R92-b (Y)bO]m−Si(R103-a(Y)a (21) (式中、R9、R10、R18、R19、Y、a、b、m、は
前記に同じ。R24は直接結合、または炭素数1〜10の
2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでいても
よい、R25は水素、または炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10
のアラルキル基を示す。) R18、R19の電子吸引基としては、−CO2R、−C
(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好まし
い。エポキシ基 本発明において反応性官能基を末端に有するビニル系重
合体は、限定はされないが、以下の工程: (1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法によ
り重合することによってビニル系重合体を製造し; (2)続いて反応性官能基とエチレン性不飽和基を併せ
持つ化合物を反応させる;ことにより製造される。
【0112】また、原子移動ラジカル重合において、重
合終期にアリルアルコールを反応させ、その後、水酸基
とハロゲン基でエポキシ環化させる方法も挙げられる。アミノ基 アミノ基を少なくとも1つ主鎖末端に有するビニル系重
合体を製造する方法としては、以下の工程が挙げられ
る。 (1)ハロゲン基を少なくとも1つ主鎖末端に有するビ
ニル系重合体を製造し、(2)末端ハロゲンを、アミノ
基含有化合物を用いてアミノ基を有する置換基に変換す
る。
【0113】アミノ基を有する置換基としては、特に限
定されないが、一般式(22)に示される基が例示され
る。 −O−R26−NR12 2 (22) (式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステル
結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基
を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機
基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なってい
てもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造
を形成していてもよい。) 上記一般式(22)において、R26は1個以上のエーテ
ル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜
20の2価の有機基であり、例えば炭素数1〜20のア
ルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7
〜20のアラルキレン基などが挙げられるが、 −C64−R27− (式中、C64はフェニレン基、R27は、直接結合また
は1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでい
てもよい炭素数1〜14の2価の有機基を表す。)また
は、 −C(O)−R28− (式中、R28は、直接結合または1個以上のエーテル結
合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜19
の2価の有機基を表す。)が好ましい。
【0114】ビニル系重合体の末端ハロゲンを変換する
ことにより、重合体末端にアミノ基を導入することがで
きる。置換方法としては特に限定されないが、反応を制
御しやすいという点からアミノ基含有化合物を求核剤と
する求核置換反応が好ましい。このような求核剤として
例えば、一般式(23)に示される水酸基とアミノ基を
併せ持つ化合物が挙げられる。 HO−R26−NR12 2 (23) (式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステル
結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基
を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機
基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なってい
てもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造
を形成していてもよい。) 上記一般式(23)において、R26は1個以上のエーテ
ル結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜
20の2価の有機基であり、例えば炭素数1〜20のア
ルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7
〜20のアラルキレン基などが挙げられる。これらの水
酸基とアミノ基を併せ持つ化合物の中で、R26が、 −C64−R27− (式中、C64はフェニレン基、R27は、直接結合また
は1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでい
てもよい炭素数1〜14の2価の有機基を表す)で表さ
れるアミノフェノール類; −C(O)−R28− (式中、R28は、直接結合または1個以上のエーテル結
合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜19
の2価の有機基を表す)で表されるアミノ酸類;が好ま
しい。
【0115】具体的な化合物として、例えばエタノール
アミン;o,m,p−アミノフェノール;o,m,p−
NH2−C64−CO2H;グリシン、アラニン、アミノ
ブタン酸等が挙げられる。
【0116】アミノ基とオキシアニオンを併せ持つ化合
物を求核剤として用いることもできる。このような化合
物としては特に限定されないが、例えば、一般式(2
4)に示される化合物が挙げられる。 M+-−R26−NR12 2 (24) (式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステル
結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基
を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機
基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なってい
てもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造
を形成していてもよい。M+はアルカリ金属イオンまた
は4級アンモニウムイオンを表す。) 上記一般式(24)において、M+は、オキシアニオン
の対カチオンであり、アルカリ金属イオン又は4級アン
モニウムイオンを表す。上記アルカリ金属イオンとして
は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン等が挙げられ、好ましくは、ナトリウムイオン又はカ
リウムイオンである。上記4級アンモニウムイオンとし
ては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチル
アンモニウムイオン、トリメチルベンジルアンモニウム
イオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テト
ラブチルアンモニウムイオン、ジメチルピペリジニウム
イオン等が挙げられる。
【0117】上記のアミノ基とオキシアニオンを併せ持
つ化合物のうち、置換反応のコントロールがし易い、入
手が容易であるという点から、一般式(25)に示すア
ミノフェノール類の塩、または一般式(26)に示すア
ミノ酸類の塩が好ましい。 M+-−C64−R27−NR12 2 (25) M+-−C(O)−R28−NR12 2 (26) (式中、C64はフェニレン基、R27は、直接結合また
は1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んでい
てもよい炭素数1〜14の2価の有機基、R28は、直接
結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を
含んでいてもよい炭素数1〜19の2価の有機基を表
す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基で
あり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていても
よく、また、他端において相互に連結し、環状構造を形
成していてもよい。M+は上記と同じ。) 一般式(24)〜(26)に示されるオキシアニオンを
有する化合物は、一般式(23)に示される化合物を塩
基性化合物と作用させることにより容易に得られる。
【0118】塩基性化合物としては各種のものを使用で
きる。例示すると、ナトリウムメトキシド、カリウムメ
トキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリ
ウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブ
トキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウ
ム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリ
チウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、ter
t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、
リチウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられる。上記
塩基の使用量は、特に制限はないが、上記前駆体に対し
て、0.5〜5当量、好ましくは0.8〜1.2当量で
ある。
【0119】上記前駆体と上記塩基を反応させる際に用
いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等
の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム
等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコ
ール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオ
ニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶
媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の
アミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド
系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を
混合して用いることができる。
【0120】M+が4級アンモニウムイオンであるオキ
シアニオンを有する化合物は、M+がアルカリ金属イオ
ンであるものを調製し、これに4級アンモニウムハライ
ドを作用させることによって得られる。上記4級アンモ
ニウムハライドとしては、テトラメチルアンモニウムハ
ライド、テトラエチルアンモニウムハライド、トリメチ
ルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルドデシル
アンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハラ
イド等が例示される。
【0121】重合体末端ハロゲンの置換反応に用いられ
る溶媒は各種のものが使用されてよい。例えば、ベンゼ
ン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレ
ン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、ter
t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニ
トリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリ
ル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶
媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等
のカーボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシ
ド等のスルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらは、
単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0122】反応温度は0〜150℃で行うことができ
る。また、アミノ基含有化合物の使用量は、特に制限さ
れないが、重合体末端ハロゲンに対して、1〜5当量で
あり、好ましくは1〜1.2当量である。
【0123】求核置換反応を加速するために、反応混合
物中に塩基性化合物を添加してもよい。このような塩基
性化合物としては既に例示したもののほかに、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のア
ルキルアミン;テトラメチルエチレンジアミン、ペンタ
メチルジエチレントリアミン等のポリアミン;ピリジ
ン、ピコリン等のピリジン系化合物等が挙げられる。
【0124】求核置換反応に用いられるアミノ基含有化
合物のアミノ基が、求核置換反応に影響を及ぼす場合に
は、適当な置換基により保護することが好ましい。この
ような置換基としては、ベンジルオキシカルボニル基、
tert−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメ
トキシカルボニル基等が例示される。
【0125】また、アジドアニオンによりビニル系重合
体のハロゲン末端を置換した後、LAH等により還元す
る方法が挙げられる。重合性の炭素−炭素二重結合を有する基 本発明の重合体(I)に重合性の炭素−炭素二重結合を
有する基を導入する方法としては、限定はされないが、
以下のような方法が挙げられる。 ビニル系重合体のハロゲン基を、ラジカル重合性の炭
素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより
製造する方法。具体例としては、一般式(27)で表さ
れる構造を有するビニル系重合体と、一般式(28)で
示される化合物との反応による方法。 −CR2930X (27) (式中、R29、R30は、ビニル系モノマーのエチレン性
不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ
素を表す。) M+−OC(O)C(R13)=CH2 (28) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基
を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウム
イオンを表す。) 水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(29)で
示される化合物との反応による方法。 XC(O)C(R13)=CH2 (29) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基
を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。) 水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート
化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(3
0)で示される化合物との反応による方法。 HO−R31−OC(O)C(R13)=CH2 (30) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基
を表す。R31は炭素数2〜20の2価の有機基を表
す。) 以下にこれらの各方法について詳細に説明する。
【0126】上記の方法について説明する。 一般式(27)で表される末端構造を有するビニル系
重合体と、一般式(28)で示される化合物との反応に
よる方法。 −CR2930X (27) (式中、R29、R30は、ビニル系モノマーのエチレン性
不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、ヨウ
素を表す。) M+−OC(O)C(R13)=CH2 (28) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基
を表す。M+はアルカリ金属、または4級アンモニウム
イオンを表す。) 一般式(27)で表される末端構造を有するビニル系重
合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロゲン化
スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒として
ビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、ハロゲン
化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを重合する
方法により製造されるが、好ましくは前者である。
【0127】一般式(28)で表される化合物としては
特に限定されないが、R13の具体例としては、例えば、
−H、−CH3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(n
は2〜19の整数を表す)、−C65、−CH2OH、
−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH3であ
る。M+はオキシアニオンの対カチオンであり、M+の種
類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリチウムイ
オン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、および4級
アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモニウムイ
オンとしてはテトラメチルアンモニウムイオン、テトラ
エチルアンモニウムイオン、テトラベンジルアンモニウ
ムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオン、テ
トラブチルアンモニウムイオンおよびジメチルピペリジ
ニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナトリウムイオ
ン、カリウムイオンである。一般式(28)のオキシア
ニオンの使用量は、一般式(27)のハロゲン基に対し
て、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜
1.2当量である。この反応を実施する溶媒としては特
に限定はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒
が好ましく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ジエチルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘ
キサメチルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、
等が用いられる。反応を行う温度は限定されないが、一
般に0〜150℃で、重合性の末端基を保持するために
好ましくは室温〜100℃で行う。
【0128】上記の方法について説明する。 水酸基を有するビニル系重合体と、一般式(29)で
示される化合物との反応による方法。 XC(O)C(R13)=CH2 (29) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基
を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。) 一般式(29)で表される化合物としては特に限定され
ないが、R13の具体例としては、例えば、−H、−CH
3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の
整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN、等が
挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。
【0129】水酸基を、好ましくは末端に、有するビニ
ル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロ
ゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒
としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、水
酸基を持つ化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマー
を重合する方法により製造されるが、好ましくは前者で
ある。これらの方法により水酸基を有するビニル系重合
体を製造する方法は限定されないが、以下のような方法
が例示される。
【0130】(a)リビングラジカル重合によりビニル
系重合体を合成する際に、下記一般式(31)等で表さ
れる一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併
せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。 H2C=C(R32)−R33−R34−OH (31) (式中、R32は炭素数1〜20の有機基で水素またはメ
チル基が好ましく、互いに同一であっても異なっていて
もよい。R33は−C(O)O−(エステル基)、または
o−,m−もしくはp−フェニレン基を表す。R34は直
接結合、または1個以上のエーテル結合を有していても
よい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R33がエス
テル基のものは(メタ)アクリレート系化合物、R33
フェニレン基のものはスチレン系の化合物である。) なお、一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を
併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特に
ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるい
は所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとし
て反応させるのが好ましい。
【0131】(b)リビングラジカル重合によりビニル
系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定
のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一
分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有す
る化合物を反応させる方法。
【0132】このような化合物としては特に限定されな
いが、一般式(32)に示される化合物等が挙げられ
る。 H2C=C(R32)−R35−OH (32) (式中、R32は上述したものと同様である。R35は1個
以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20
の2価の有機基を表す。) 上記一般式(32)に示される化合物としては特に限定
されないが、入手が容易であるということから、10−
ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコール
のようなアルケニルアルコールが好ましい。
【0133】(c)特開平4−132706号公報など
に開示されるような方法で、原子移動ラジカル重合によ
り得られる一般式(27)で表されるような炭素−ハロ
ゲン結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハ
ロゲンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応さ
せることにより、末端に水酸基を導入する方法。
【0134】(d)原子移動ラジカル重合により得られ
る一般式(27)で表されるような炭素−ハロゲン結合
を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(3
3)に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニ
オンを反応させてハロゲンを置換する方法。 M+-(R36)(R37)−R35−OH (33) (式中、R35は上述したものと同様である。R36および
37はともにカルバニオンC-を安定化する電子吸引
基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭
素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を表す。
36およびR37の電子吸引基としては、−CO2R(エ
ステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON
(R2)(アミド基)、−COSR(チオエステル
基)、−CN(ニトリル基)、−NO2(ニトロ基)等
が挙げられる。置換基Rは炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20
のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10のア
ルキル基もしくはフェニル基である。R36およびR37
しては、−CO2R、−C(O)Rおよび−CNが特に
好ましい。) (e)原子移動ラジカル重合により得られる一般式(2
7)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有
するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体あ
るいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオン
を調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を反
応させる方法。
【0135】(f)重合体末端のハロゲン、好ましくは
一般式(27)で表されるハロゲンを少なくとも1個有
するビニル系重合体に、下記一般式(34)等で表され
る水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式(35)等
で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反応
させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方
法。 HO−R35−O-+ (34) (式中、R35およびM+は上述したものと同様であ
る。) HO−R35−C(O)O-+ (35) (式中、R35およびM+は上述したものと同様であ
る。) 本発明では(a)〜(b)のような水酸基を導入する方
法にハロゲンが直接関与しない場合、制御がより容易で
ある点から(b)の方法がさらに好ましい。
【0136】また(c)〜(f)のような炭素−ハロゲ
ン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲ
ンを変換することにより水酸基を導入する場合は、制御
がより容易である点から(f)の方法がさらに好まし
い。
【0137】上記の方法について説明する。 水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート
化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式(3
6)で示される化合物との反応による方法。 HO−R31−OC(O)C(R13)=CH2 (36) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機基
を表す。R31は炭素数2〜20の2価の有機基を表
す。) 一般式(36)で表される化合物としては特に限定され
ないが、R13の具体例としては、例えば、−H、−CH
3、−CH2CH3、−(CH2nCH3(nは2〜19の
整数を表す)、−C65、−CH2OH、−CN、等が
挙げられ、好ましくは−H、−CH3である。具体的な
化合物としては、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル
が挙げられる。
【0138】末端に水酸基を有するビニル系重合体は、
上記の通り。
【0139】ジイソシアネート化合物は、特に限定され
ないが、従来公知のものをいずれも使用することがで
き、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチルジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシ
リレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシ
アネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、
水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイ
ソシアネート化合物;等を挙げることができる。これら
は、単独で使用しうるほか、2種以上を併用することも
できる。またブロックイソシアネートを使用しても構わ
ない。
【0140】よりすぐれた耐候性を生かすためには、例
えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等の芳香環を有しないジイ
ソシアネート化合物を用いるのが好ましい。 <<平均粒径1μm以上1000μm以下の粒子(I
I)について>> <定義>本発明の、平均粒径1μm以上1000μm以
下の粒子(II)とは、篩い分け法により測定される平
均粒径が1μm以上1000μm以下の粒子をいう。篩
い分け法とは、具体的には、粉体を各種の目開きの篩
(マイクロシーブ等)で分級し、測定に供した粉体の全
重量の50重量%が通過した篩の目開きに相当する値
(重量平均粒径)で定義されるものである。 <主鎖>本発明の硬化性組成物において、平均粒径1μ
m以上1000μm以下の粒子(II)の平均粒径は、
1μm以上1000μm以下であれば特に限定はされな
いが、5μm以上500μm以下であることが好まし
く、10μm以上400μm以下であることがさらに好
ましい。あまりに粒径が大き過ぎると作業性や機械物
性、耐久性等に悪影響を及ぼすことがある。平均粒径1
μm以上1000μm以下の粒子(II)としてはビー
ズやバルーン等が挙げられる。具体的には、例えばシリ
カやシラス、ガラス、アルミナ等の無機系ビーズやバル
ーン、尿素樹脂やポリスチレン樹脂、サラン樹脂、フェ
ノール樹脂、アクリル樹脂、カーボン等の有機系ビーズ
やバルーン等が挙げられる。特に限定はされないが、硬
化性組成物の多色性を考慮すると無色のものが好まし
い。 <平均粒径1μm以上1000μm以下の粒子(II)
の使用量>平均粒径1μm以上1000μm以下の粒子
(II)の使用量としては、ビニル系重合体(I)10
0重量部に対し、0.1重量部以上200部以下が好ま
しく、1重量部以上100重量部以下がより好ましく、
3重量部以上80重量部以下が更に好ましい。 <<ポリエーテル系重合体について>> <主鎖>本発明の硬化性組成物において、ポリエーテル
系重合体を必要に応じて配合しても良い。ポリエーテル
系重合体の主鎖構造としては、一般式 −(−R−O−)n− (式中、Rは炭素数1〜4の2価のアルキレン基)で表
わされるポリオキシアルキレンが好ましい。具体的に例
示すると、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレ
ン、ポリオキシブチレン、ポリオキシヘキシレン、ポリ
オキシテトラメチレン、およびこれらの共重合物等が挙
げられる。中でも入手容易の点からポリオキシプロピレ
ンが好ましい。このポリオキシプロピレンは、直鎖状で
あっても分枝状であってもよく、あるいは、これらの混
合物であってもよい。その中でも特に好ましいのはポリ
オキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリ
オールやそれらの混合物である。また、他の単量体単位
等が含まれていてもよいが、上記式に表わされる単量体
単位が、重合体中に50重量%以上、好ましくは80重
量%以上存在することが好ましい。
【0141】なお、主鎖中にウレタン結合、ないしはウ
レア結合を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0142】ポリエーテル系重合体の分子構造は、使用
用途や目的とする特性により相違し、特開昭63−11
2642記載の方法等が使用できる。硬化性組成物の低
粘度化(作業性)とそれを硬化させた硬化物の低モジュ
ラス、高伸び化を両立させる観点から、高分子量でかつ
分子量分布(Mw/Mn)が小さく、官能基を有するオ
キシアルキレン重合体であることが好ましい。具体的に
は数平均分子量は300以上12,000以下が好まし
く、300以上8,000以下がより好ましい。また、
Mw/Mnは、1.6以下が好ましく、1.5以下が更
に好ましい。このようなポリオキシアルキレンは通常の
重合方法(苛性アルカリを用いるアニオン重合法)やこ
の重合体の鎖延長反応方法によって得ることは困難であ
るが、例えばセシウム金属触媒、特開昭61−1976
31号、特開昭61−215622号、特開昭61−2
15623号および特開昭61−218632号等に例
示されるポルフィリン/アルミ錯体触媒、特公昭46−
27250号及び特公昭59−15336号等に例示さ
れる複合金属シアン化錯体触媒、特開平10−2735
12に例示されるポリフォスファゼン塩からなる触媒を
用いた方法等により得ることができる。実用上、複合金
属シアン化錯体触媒を用いる方法が好ましい。架橋性官能基 ポリエーテル系重合体は、硬化性組成物を硬化させた時
に硬化物から流出せず、長期に亘り物性が変化し難い等
の理由から架橋性官能基を持つことが好ましい。なかで
も本発明のビニル系重合体の架橋性官能基と同一である
ことが好ましい。
【0143】架橋性シリル基とポリエーテル部分の間の
結合部は、耐加水分解性を有することから、シリル基の
ケイ素原子とポリエーテル部分のエーテル酸素原子の間
に少なくとも3個の炭素原子が存在するように、トリメ
チレン、テトラメチレンのようなアルキレン基であるこ
とが好ましい。架橋性官能基の数と位置 ポリエーテル系重合体の架橋性シリル基の数は、シリル
基が余りにも少ないと前述のように硬化物から流出し物
性が変化し易い等の恐れがあるため、少なくとも0.1
個以上であることが好ましく、0.3個以上であること
がより好ましく、0.5個以上であることが更に好まし
く、平均して1個以上であることが最も好ましい。ま
た、その官能基は分子鎖の末端にあることが好ましい。
【0144】ポリエーテル系重合体の使用量としては、
ビニル系重合体(I)100重量部に対し、1重量部以
上1000部以下が好ましく、3重量部以上250重量
部以下がより好ましく、5重量部以上100重量部以下
が更に好ましい。 <<硬化性組成物>>本発明の硬化性組成物において
は、硬化触媒や硬化剤が必要になるものがある。また、
目的とする物性に応じて、各種の配合剤を添加しても構
わない。 <硬化触媒・硬化剤>架橋性シリル基の場合 架橋性シリル基を有する重合体は、従来公知の各種縮合
触媒の存在下、あるいは非存在下にシロキサン結合を形
成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状として
は、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のもの
から樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
【0145】このような縮合触媒としては、例えば、ジ
ブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブ
チル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテー
ト、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチル
マレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジ
イソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレー
ト、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエ
ート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステ
アレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジ
エチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート
等の4価のスズ化合物類;オクチル酸錫、ナフテン酸
錫、ステアリン酸錫等の2価のスズ化合物類;モノブチ
ル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポ
キシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物
等のモノアルキル錫類;テトラブチルチタネート、テト
ラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミ
ニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリ
スエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニ
ウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合
物類;カルボン酸ビスマス、カルボン酸鉄、カルボン酸
チタニウム、カルボン酸鉛、カルボン酸バナジウム、カ
ルボン酸ジルコニウム、カルボン酸カルシウム、カルボ
ン酸カリウム、カルボン酸バリウム、カルボン酸マンガ
ン、カルボン酸セリウム、カルボン酸ニッケル、カルボ
ン酸コバルト、カルボン酸亜鉛、カルボン酸アルミニウ
ム等のカルボン酸(2−エチルヘキサン酸、ネオデカン
酸、バーサチック酸、オレイン酸、ナフテン酸等)金属
塩、あるいはこれらと後述のラウリルアミン等のアミン
系化合物との反応物および混合物;ジルコニウムテトラ
アセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナ
ート等のキレート化合物類;メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミ
ン、アミルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、
2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミ
ン、ラウリルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミ
ン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪
族第一アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ
プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミ
ン、ジアミルアミン、ジオクチルアミン、ジ(2−エチ
ルヘキシル)アミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミ
ン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、メチルステ
アリルアミン、エチルステアリルアミン、ブチルステア
リルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリアミルアミ
ン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン等の脂肪
族第三アミン類;トリアリルアミン、オレイルアミン、
などの脂肪族不飽和アミン類;ラウリルアニリン、ステ
アリルアニリン、トリフェニルアミン等の芳香族アミン
類;および、その他のアミン類として、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレ
イルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、
ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、
エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチ
レンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、
2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノー
ル、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−
4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系
化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸
等との塩;ラウリルアミンとオクチル酸錫の反応物ある
いは混合物のようなアミン系化合物と有機錫化合物との
反応物および混合物;過剰のポリアミンと多塩基酸とか
ら得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミン
とエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−ア
ミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリ
エトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロ
ピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウ
レイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベ
ンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を挙
げることができる。また、これらを変性した誘導体であ
る、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマ
ー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アル
キルシラン、アミノシリル化シリコーン等のアミノ基を
有するシランカップリング剤;等のシラノール縮合触
媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラ
ノール縮合触媒等が例示できる。
【0146】これらの触媒は、単独で使用してもよく、
2種以上併用してもよい。この縮合触媒の配合量は、架
橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体1
00部(重量部、以下同じ)に対して0.1〜20部程
度が好ましく、1〜10部が更に好ましい。シラノール
縮合触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅く
なることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる
場合がある。一方、シラノール縮合触媒の配合量がこの
範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良
好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライフが短く
なり過ぎ、作業性の点からも好ましくない。なお、特に
限定はされないが、硬化性を制御するために錫系硬化触
媒を用いるのが好ましい。
【0147】また、本発明の硬化性組成物においては、
縮合触媒の活性をより高めるために、アミン系化合物と
同様に、上記のアミノ基を有するシランカップリング剤
を助触媒として使用することも可能である。このアミノ
基含有シランカップリング剤は、加水分解性基が結合し
たケイ素原子を含む基(以下加水分解性ケイ素基とい
う)及びアミノ基を有する化合物であり、この加水分解
性基として既に例示した基を挙げることができるが、メ
トキシ基、エトキシ基等が加水分解速度の点から好まし
い。加水分解性基の個数は、2個以上、特に3個以上が
好ましい。
【0148】これらのアミン化合物の配合量は、ビニル
系重合体(I)の有機重合体100重量部に対して0.
01〜50重量部程度が好ましく、更に0.1〜20重
量部がより好ましい。アミン化合物の配合量が0.01
重量部未満であると硬化速度が遅くなる場合があり、ま
た硬化反応が充分に進行し難くなる場合がある。一方、
アミン化合物の配合量が30重量部を越えると、ポット
ライフが短くなり過ぎる場合があり、作業性の点から好
ましくない。
【0149】これらのアミン化合物は、1種類のみで使
用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0150】更に、下記一般式(37) R49 aSi(OR504-a (37) (式中、R49およびR50は、それぞれ独立に、炭素数1
〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。さら
に、aは0、1、2、3のいずれかである。)で示され
るアミノ基やシラノール基をもたないケイ素化合物を助
触媒として添加しても構わない。
【0151】前記ケイ素化合物としては、限定はされな
いが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジ
メトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式(37)中
のR49が、炭素数6〜20のアリール基であるものが、
組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好まし
い。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジ
エトキシシランは、低コストであり、入手が容易である
ために最も好ましい。
【0152】このケイ素化合物の配合量は、ビニル系重
合体100部に対して0.01〜20部程度が好まし
く、0.1〜10部が更に好ましい。ケイ素化合物の配
合量がこの範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小
さくなる場合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこ
の範囲を上回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下する
ことがある。
【0153】なお、硬化触媒・硬化剤の種類や添加量
は、本発明の一般式(1)や(6)で表されるビニル系
重合体のYの種類やaの数によって選択することが可能
であり、目的や用途に応じて本発明の硬化性や機械物性
等を制御することが可能である。Yがアルコキシ基であ
る場合、炭素数の少ない方が反応性が高く、またaが多
い方が反応性が高いため少量で充分硬化させることが可
能である。アルケニル基の場合 アルケニル基を用いて架橋させる場合は、限定はされな
いが、ヒドロシリル基含有化合物を硬化剤とし、ヒドロ
シリル化触媒を用いてヒドロシリル化反応により架橋さ
せることが好ましい。
【0154】ヒドロシリル基含有化合物としては、アル
ケニル基を有する重合体と架橋により硬化できるヒドロ
シリル基含有化合物であれば特に制限はなく、各種のも
のを用いることができる。例えば、一般式(38)また
は(39)で表される鎖状ポリシロキサン; R51 3SiO−[Si(R512O]a−[Si(H)(R52)O]b−[Si(R 52 )(R53)O]c−SiR51 3 (38) HR51 2SiO−[Si(R512O]a−[Si(H)(R52)O]b−[Si( R52)(R53)O]c−SiR51 2H (39) (式中、R51およびR52は炭素数1〜6のアルキル基、
または、フェニル基、R 53は炭素数1〜10のアルキル
基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦100、b
は2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす整数を
示す。) 一般式(40)で表される環状シロキサン;
【0155】
【化7】 (式中、R54およびR55は炭素数1〜6のアルキル基、
または、フェニル基、R 56は炭素数1〜10のアルキル
基またはアラルキル基を示す。dは0≦d≦8、eは2
≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を表し、かつ3≦d
+e+f≦10を満たす。)等の化合物を用いることが
できる。
【0156】これらは単独で用いても2種以上を混合し
て用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でも
(メタ)アクリル系重合体との相溶性の観点から、フェ
ニル基を有する下記一般式(41)、(42)で表され
る鎖状シロキサンや、一般式(43)、(44)で表さ
れる環状シロキサンが好ましい。 (CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(C652O]h−S i(CH33 (41) (CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(CH3){CH2C( H)(R57)C65}O]h−Si(CH33 (42) (式中、R57は水素またはメチル基を示す。gは2≦g
≦100、hは0≦h≦100の整数を示す。C65
フェニル基を示す。)
【0157】
【化8】 (式中、R57は水素、またはメチル基を示す。iは2≦
i≦10、jは0≦j≦8、かつ3≦i+j≦10を満
たす整数を示す。C65はフェニル基を示す。) ヒドロシリル基含有化合物としてはさらに、分子中に2
個以上のアルケニル基を有する低分子化合物に対し、一
般式(38)から(44)に表されるヒドロシリル基含
有化合物を、反応後にも一部のヒドロシリル基が残るよ
うにして付加反応させて得られる化合物を用いることも
できる。分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合
物としては、各種のものを用いることができる。例示す
るならば、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエ
ン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、
1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等の炭化水素
系化合物、O,O’−ジアリルビスフェノールA、3,
3’−ジアリルビスフェノールA等のエーテル系化合
物、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ト
リアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテート
等のエステル系化合物、ジエチレングリコールジアリル
カーボネート等のカーボネート系化合物が挙げられる。
【0158】上記一般式(38)から(44)に示した
過剰量のヒドロシリル基含有化合物に対し、ヒドロシリ
ル化触媒の存在下、上に挙げたアルケニル基含有化合物
をゆっくり滴下することにより該化合物を得ることがで
きる。このような化合物のうち、原料の入手容易性、過
剰に用いたシロキサンの除去のしやすさ、さらには
(A)成分の重合体への相溶性を考慮して、下記のもの
が好ましい。
【0159】
【化9】 重合体と硬化剤は任意の割合で混合することができる
が、硬化性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基の
モル比が5〜0.2の範囲にあることが好ましく、さら
に、2.5〜0.4であることが特に好ましい。モル比
が5以上になると硬化が不十分でべとつきのある強度の
小さい硬化物しか得られず、また、0.2より小さい
と、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に
残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のあ
る硬化物が得られない。
【0160】重合体と硬化剤との硬化反応は、2成分を
混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅
速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を添加すること
ができる。このようなヒドロシリル化触媒としては特に
限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラ
ジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
【0161】ラジカル開始剤としては特に限定されず、
例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチ
ルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペ
ルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペ
ルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベン
ゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロ
イルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安
息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジ
イソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのよう
なペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
のようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0162】また、遷移金属触媒としても特に限定され
ず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブ
ラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金
酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等と
の錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニル
テトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合
物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33,R
hCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl
3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げ
られる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以
上を併用してもかまわない。触媒量としては特に制限は
ないが、ビニル系重合体(I)のアルケニル基1mol
に対し、10-1〜10-8molの範囲で用いるのが良
く、好ましくは10-3〜10-6molの範囲で用いるの
がよい。10-8molより少ないと硬化が十分に進行し
ない。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10-1
mol以上用いないのが好ましい。
【0163】硬化温度については特に制限はないが、一
般に0℃〜200℃、好ましくは30℃〜150℃、さ
らに好ましくは80℃〜150℃で硬化させるのがよ
い。水酸基の場合 本発明の水酸基を有する重合体は、水酸基と反応し得る
官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用いるこ
とにより、均一に硬化する。硬化剤の具体例としては、
例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有す
る多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミンお
よびそのアルキルエーテル化物または低縮合化物等のア
ミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハロゲ
ン化物等が挙げられる。これらの硬化剤を使用して硬化
物を作成する際には、それぞれ適当な硬化触媒を使用す
ることができる。アミノ基の場合 本発明のアミノ基を有する重合体は、アミノ基と反応し
得る官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用い
ることにより、均一に硬化する。硬化剤の具体例として
は、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を
有する多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミ
ンおよびそのアルキルエーテル化物または低縮合化物等
のアミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハ
ロゲン化物等が挙げられる。これらの硬化剤を使用して
硬化物を作成する際には、それぞれ適当な硬化触媒を使
用することができる。エポキシ基の場合 本発明のエポキシ基を有する重合体の硬化剤としては特
に限定されないが、例えば、脂肪族アミン類、脂環族ア
ミン類、芳香族アミン類;酸無水物;ポリアミド;イミ
ダゾール類;アミンイミド;ユリア;メラミンとその誘
導体;ポリアミンの塩;フェノール樹脂;ポリメルカプ
タン、ポリスルフィド;芳香族ジアゾニウム塩、ジアリ
ルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、トリア
リルセレニウム塩等の光・紫外線硬化剤等が用いられ
る。重合性の炭素−炭素二重結合の場合 重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体は、その重
合性の炭素−炭素二重結合の重合反応により架橋させる
ことができる。
【0164】架橋の方法としては、活性エネルギー線で
硬化するもの、あるいは、熱で硬化するものが挙げられ
る。活性エネルギー線硬化性組成物においては、光重合
開始剤が光ラジカル開始剤、あるいは、光アニオン開始
剤であることが好ましい。熱硬化性組成物においては、
熱重合開始剤が、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸物、
及びレドックス開始剤からなる群より選択されるもので
あるが好ましい。
【0165】以下に詳細にこれらの架橋反応について説
明する。
【0166】重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合
体を架橋させる場合には、その目的に応じて、重合性の
モノマー及び/又はオリゴマーや各種添加剤を併用して
も構わない。重合性のモノマー及び/又はオリゴマーと
しては、ラジカル重合性の基を持つモノマー及び/又は
オリゴマー、あるいはアニオン重合性の基を持つモノマ
ー及び/又はオリゴマーが好ましい。ラジカル重合性の
基としては、(メタ)アクリル基等のアクリル官能性
基、スチレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル
基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役
ジエン基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられ
る。なかでも、本発明の重合体と類似する(メタ)アク
リル基を持つものが好ましい。アニオン重合性の基とし
ては、(メタ)アクリル基、スチレン基、アクリロニト
リル基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、
共役ジエン基、ビニルケトン基、等が挙げられる。なか
でも、アクリル官能性基を持つものが好ましい。
【0167】上記のモノマーの具体例としては、(メ
タ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、N−
ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、アクリロニト
リル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマ
ー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマーな
どが挙げられる。(メタ)アクリレート系モノマーとし
ては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオク
チル、(メタ)アクリル酸イソノニルや下式の化合物な
どを挙げることができる。
【0168】
【化10】
【0169】
【化11】
【0170】
【化12】
【0171】
【化13】
【0172】
【化14】 スチレン系モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチ
レン等が、アクリルアミド系モノマーとしてはアクリル
アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が、共役ジ
エン系モノマーとしてはブタジエン、イソプレン等が、
ビニルケトン系モノマーとしてはメチルビニルケトン等
が挙げられる。
【0173】多官能モノマーとしては、ネオペンチルグ
リコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロー
ルプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノ
ールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールA
ポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトール
ポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキ
シエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアク
リレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレー
ト2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)
−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3
−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキ
シジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサ
ルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリ
コールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアク
リレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト等が挙げられる。
【0174】オリゴマーとしては、ビスフェノールA型
エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エ
ポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポ
キシアクリレート樹脂等のエポキシアクリレート系樹
脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂、ポリ
オール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリ
コールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプ
ロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネー
トジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末
端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と
有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を水酸
基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート等}を反応させて得
られたウレタンアクリレート系樹脂、上記ポリオールに
エステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹
脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等が挙げられる。
【0175】これらのモノマー及びオリゴマーは、用い
られる開始剤及び硬化条件により選択される。
【0176】また、アクリル官能性基を有するモノマー
及び/又はオリゴマーの数平均分子量は、2000以下
であることが好ましく、1000以下であることが、相
溶性が良好であるという理由からさらに好ましい。
【0177】重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合
体の架橋の方法としては、UVや電子線などの活性エネ
ルギー線によることが好ましい。
【0178】活性エネルギー線により架橋させる場合に
は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
【0179】本発明に用いられる光重合開始剤としては
特に制限はないが、光ラジカル開始剤と光アニオン開始
剤が好ましく、特に光ラジカル開始剤が好ましい。例え
ば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノ
ン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、
アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、
3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノ
ン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセト
フェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセト
フェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベン
ゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベ
ンゾフェノン、4,4‘−ジメトキシベンゾフェノン、
4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロ
ロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−
クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス
(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメト
キシケタール、2−クロロチオキサントーン等が挙げら
れる。これらの開始剤は単独でも、他の化合物と組み合
わせても良い。具体的には、ジエタノールメチルアミ
ン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン
などのアミンとの組み合わせ、更にこれにジフェニルヨ
ードニウムクロリドなどのヨードニウム塩と組み合わせ
たもの、メチレンブルーなどの色素及びアミンと組み合
わせたものが挙げられる。
【0180】また、近赤外光重合開始剤として、近赤外
光吸収性陽イオン染料を使用しても構わない。近赤外光
吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの
領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−11
1402号、特開平5−194619号公報等に開示さ
れている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオ
ン錯体などを用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併
用することがさらに好ましい。
【0181】光重合開始剤の添加量は系をわずかに光官
能化するだけでよいので、特に制限はないが、この組成
物の重合体100部に対して、0.001〜10重量部
が好ましい。
【0182】本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を
硬化させる方法は特に限定されないが、その光重合開始
剤開始剤の性質に応じて、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電
子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導
体レーザー等による光及び電子線の照射が挙げられる。
【0183】また、重合性の炭素−炭素二重結合を有す
る重合体の架橋の方法としては、熱によることが好まし
い。
【0184】活性エネルギー線により架橋させる場合に
は、熱重合開始剤を含有することが好ましい。
【0185】本発明に用いられる熱重合開始剤としては
特に制限はないが、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸
酸、及びレドックス開始剤が含まれる。
【0186】適切なアゾ系開始剤としては、限定される
わけではないが、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−
2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 3
3)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二
塩酸塩(VAZO 50)、2,2′−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、
2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO
64)、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニト
リル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シク
ロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(全て
DuPont Chemicalから入手可能)、2,
2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリ
ル)、及び2,2′−アゾビス(メチルイソブチレ−
ト)(V−601)(和光純薬より入手可能)等が挙げ
られる。
【0187】適切な過酸化物開始剤としては、限定され
るわけではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチ
ル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパ
ーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘ
キシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox
16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ
(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t
−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 1
1)(Elf Atochemから入手可能)、t−ブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trig
onox 21−C50)(Akzo Nobelから
入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
【0188】適切な過硫酸塩開始剤としては、限定され
るわけではないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0189】適切なレドックス(酸化還元)開始剤とし
ては、限定されるわけではないが、上記過硫酸塩開始剤
のメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム
のような還元剤との組み合わせ;有機過酸化物と第3級
アミンに基づく系、例えば過酸化ベンゾイルとジメチル
アニリンに基づく系;並びに有機ヒドロパーオキシドと
遷移金属に基づく系、例えばクメンヒドロパーオキシド
とコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。
【0190】他の開始剤としては、限定されるわけでは
ないが、テトラフェニル1,1,2,2−エタンジオー
ルのようなピナコール等が挙げられる。
【0191】好ましい熱ラジカル開始剤としては、アゾ
系開始剤及び過酸化物系開始剤からなる群から選ばれ
る。更に好ましいものは、2,2′−アゾビス(メチル
イソブチレ−ト)、t−ブチルパーオキシピバレート、
及びジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジ
カーボネート、並びにこれらの混合物である。
【0192】本発明に用いられる熱開始剤は触媒的に有
効な量で存在し、このような量は、限定はされないが、
典型的には、本発明の少なくとも一つの末端にアクリル
官能性基を有する重合体及び他に添加されるモノマー及
びオリゴマー混合物の合計量を100重量部とした場合
に約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.025
〜2重量部である。開始剤の混合物が使用される場合に
は、開始剤の混合物の合計量は、あたかもただ1種の開
始剤が使用されるかのような量である。
【0193】本発明の熱硬化性組成物を硬化させる方法
は特に限定されないが、その温度は、使用する熱開始
剤、重合体(I)及び添加される化合物等の種類により
異なるが、通常50℃〜250℃の範囲内が好ましく、
70℃〜200℃の範囲内がより好ましい。硬化時間
は、使用する重合開始剤、単量体、溶媒、反応温度等に
より異なるが、通常1分〜10時間の範囲内である。 <接着性付与剤>本発明の組成物には、シランカップリ
ング剤や、シランカップリング剤以外の接着性付与剤を
添加することができる。接着付与剤を添加すると、外力
により目地幅等が変動することによって、シーリング材
がサイディングボード等の被着体から剥離する危険性を
より低減することができる。また、場合によっては接着
性向上の為に用いるプライマーの使用の必要性がなくな
り、施工作業の簡略化が期待される。シランカップリン
グ剤の具体例としてはアミノ基や、メルカプト基、エポ
キシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート
基、イソシアヌレート、ハロゲン等の官能基をもったシ
ランカップリング剤が例示でき、その具体例としては、
γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−
イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソ
シアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソ
シアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシ
アネート基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ア
ミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシ
シラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチ
ルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノ
プロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロ
ピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有
シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト
基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シ
ラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β
−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチ
ル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボ
キシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピル
メチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シ
ラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハ
ロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イ
ソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げ
ることができる。また、これらを変性した誘導体であ
る、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマ
ー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アル
キルシラン、アミノシリル化シリコーン、ブロックイソ
シアネートシラン、シリル化ポリエステル等もシランカ
ップリング剤として用いることができる。
【0194】本発明に用いるシランカップリング剤は、
通常、架橋性シリル基含有ビニル系重合体100部に対
し、0.1〜20部の範囲で使用される。特に、0.5
〜10部の範囲で使用するのが好ましい。本発明の硬化
性組成物に添加されるシランカップリング剤の効果は、
各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステン
レス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩ビ、ア
クリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノ
ンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著し
い接着性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用
した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効
果が特に顕著である。
【0195】シランカップリング剤以外の具体例として
は、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリ
イソシアネート等が挙げられる。
【0196】上記接着性付与剤は1種類のみで使用して
も良いし、2種類以上混合使用しても良い。これら接着
性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を
改善することができる。特に限定はされないが、接着
性、特にオイルパンなどの金属被着面に対する接着性を
向上させるために、上記接着性付与剤の中でもシランカ
ップリング剤を0.1〜20重量部、併用することが好
ましい。
【0197】接着性付与剤の種類や添加量は、本発明の
一般式(1)や(6)で表されるビニル系重合体のYの
種類やaの数によって選択することが可能であり、目的
や用途に応じて本発明の硬化性や機械物性等を制御する
ことが可能である。特に硬化性や伸びに影響するためそ
の選択には注意が必要である。 <可塑剤>本発明の硬化性組成物には、各種可塑剤を必
要に応じて用いても良い。可塑剤を後述する充填材と併
用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量
の充填材を混合できたりするためより有利となるが、必
ずしも添加しなければならないものではない。可塑剤と
しては特に限定されないが、物性の調整、性状の調節等
の目的により、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチ
ルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、
ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジ
オクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチル
セバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸
エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール
酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコール
ジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエー
ト、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレン
グリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、
トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメ
リット酸エステル類;ポリスチレンやポリ−α−メチル
スチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブ
テン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリ
ル、ポリクロロプレン;塩素化パラフィン類;アルキル
ジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化水素系
油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール
等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリ
オールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換し
た誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポ
キシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバ
シン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩
基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリ
エステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビ
ニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル
系重合体類等が挙げられる。
【0198】なかでも数平均分子量500〜15000
の重合体である高分子可塑剤は、添加することにより、
該硬化性組成物の粘度やスランプ性および該組成物を硬
化して得られる硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特
性が調整できるとともに、重合体成分を分子中に含まな
い可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合に比較し
て、初期の物性を長期にわたり維持し、該硬化物にアル
キッド塗料を塗布した場合の乾燥性(塗装性ともいう)
を改良できる。なお、限定はされないがこの高分子可塑
剤は、官能基を有しても有しなくても構わない。
【0199】上記で高分子可塑剤の数平均分子量は、5
00〜15000と記載したが、好ましくは800〜1
0000であり、より好ましくは1000〜8000で
ある。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経時
的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、ま
た、アルキッド塗装性が改善できないことがある。ま
た、分子量が高すぎると粘度が高くなり、作業性が悪く
なる。
【0200】これらの高分子可塑剤のうちで、ビニル系
重合体と相溶するものが好ましい。中でも相溶性および
耐候性、耐熱性の点からビニル系重合体が好ましい。ビ
ニル系重合体の中でも(メタ)アクリル系重合体が好ま
しく、アクリル系重合体がさらに好ましい。このアクリ
ル系重合体の合成法は、従来からの溶液重合で得られる
ものや、無溶剤型アクリルポリマー等を挙げることがで
きる。後者のアクリル系可塑剤は溶剤や連鎖移動剤を使
用せず高温連続重合法(USP4414370、特開昭
59−6207、特公平5−58005、特開平1−3
13522、USP5010166)にて作製されるた
め本発明の目的にはより好ましい。その例としては特に
限定されないが東亞合成品UPシリーズ等が挙げられる
(工業材料1999年10月号参照)。勿論、他の合成
法としてリビングラジカル重合法をも挙げることができ
る。この方法によれば、その重合体の分子量分布が狭
く、低粘度化が可能なことから好ましく、更には原子移
動ラジカル重合法がより好ましいが、これに限定される
ものではない。
【0201】高分子可塑剤の分子量分布は特に限定され
ないが、狭いことが好ましく、1.8未満が好ましい。
1.7以下がより好ましく、1.6以下がなお好まし
く、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好
ましく、1.3以下が最も好ましい。
【0202】上記高分子可塑剤を含む可塑剤は、単独で
使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、必ずし
も必要とするものではない。また必要によっては高分子
可塑剤を用い、物性に悪影響を与えない範囲で低分子可
塑剤を更に併用しても良い。
【0203】なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合
することも可能である。
【0204】可塑剤を用いる場合の使用量は、限定され
ないが、ビニル系重合体100重量部に対して5〜15
0重量部、好ましくは10〜120重量部、さらに好ま
しくは20〜100重量部である。5重量部未満では可
塑剤としての効果が発現しなくなり、150重量部を越
えると硬化物の機械強度が不足する。 <充填材>本発明の硬化性組成物には、本発明の粒径1
μm以上1000μm以下の粒子(II)の効果を妨げ
ない程度に、各種充填材を必要に応じて用いても良い。
充填材としては、特に限定されないが、木粉、パルプ、
木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイ
カ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ
土、白土、シリカ(フュームドシリカ、沈降性シリカ、
結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、
含水ケイ酸等)、カーボンブラックのような補強性充填
材;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タル
ク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸
化第二鉄、べんがら、アルミニウム微粉末、フリント粉
末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、亜鉛末、炭酸亜鉛およびシ
ラスバルーンなどのような充填材;石綿、ガラス繊維お
よびガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポ
リエチレンファイバー等のような繊維状充填材等が挙げ
られる。
【0205】これら充填材のうちでは沈降性シリカ、フ
ュームドシリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイ
ト、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、
タルクなどが好ましい。
【0206】特に、これら充填材で強度の高い硬化物を
得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シリ
カ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面
処理微細炭酸カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、
焼成クレー、クレーおよび活性亜鉛華などから選ばれる
充填材を添加できる。なかでも、比表面積(BET吸着
法による)が50m2/g以上、通常50〜400m2
g、好ましくは100〜300m2/g程度の超微粉末
状のシリカが好ましい。またその表面が、オルガノシラ
ンやオルガノシラザン、ジオルガノシクロポリシロキサ
ン等の有機ケイ素化合物で予め疎水処理されたシリカが
更に好ましい。
【0207】補強性の高いシリカ系充填材のより具体的
な例としては、特に限定されないが、フュームドシリカ
の1つである日本アエロジル社のアエロジルや、沈降法
シリカの1つである日本シリカ社工業のNipsil等
が挙げられる。
【0208】また、低強度で伸びが大である硬化物を得
たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タル
ク、酸化第二鉄、酸化亜鉛およびシラスバルーンなどか
ら選ばれる充填材を添加できる。なお、一般的に、炭酸
カルシウムは、比表面積が小さいと、硬化物の破断強
度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果が充分で
ないことがある。比表面積の値が大きいほど、硬化物の
破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果は
より大きくなる。
【0209】更に、炭酸カルシウムは、表面処理剤を用
いて表面処理を施してある方がより好ましい。表面処理
炭酸カルシウムを用いた場合、表面処理していない炭酸
カルシウムを用いた場合に比較して、本発明の組成物の
作業性を改善し、該硬化性組成物の接着性と耐候接着性
の改善効果がより向上すると考えられる。前記の表面処
理剤としては脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル等の
有機物や各種界面活性剤、および、シランカップリング
剤やチタネートカップリング剤等の各種カップリング剤
が用いられている。具体例としては、以下に限定される
ものではないが、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン
酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイ
ン酸等の脂肪酸と、それら脂肪酸のナトリウム、カリウ
ム等の塩、そして、それら脂肪酸のアルキルエステルが
挙げられる。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル硫酸エステルや長鎖アルコー
ル硫酸エステル等と、それらのナトリウム塩、カリウム
塩等の硫酸エステル型陰イオン界面活性剤、またアルキ
ルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン
酸、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン
酸、アルキルスルホコハク酸等と、それらのナトリウム
塩、カリウム塩等のスルホン酸型陰イオン界面活性剤等
が挙げられる。この表面処理剤の処理量は、炭酸カルシ
ウムに対して、0.1〜20重量%の範囲で処理するの
が好ましく、1〜5重量%の範囲で処理するのがより好
ましい。処理量が0.1重量%未満の場合には、作業
性、接着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことが
あり、20重量%を越えると、該硬化性組成物の貯蔵安
定性が低下することがある。
【0210】特に限定はされないが、炭酸カルシウムを
用いる場合、配合物のチクソ性や硬化物の破断強度、破
断伸び、接着性と耐候接着性等の改善効果を特に期待す
る場合には膠質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。
【0211】一方、重質炭酸カルシウムは配合物の低粘
度化や増量、コストダウン等を目的として添加すること
があるが、この重質炭酸カルシウムを用いる場合は必要
に応じて下記のようなものを使用することができる。
【0212】重質炭酸カルシウムとは、天然のチョーク
(白亜)、大理石、石灰石などを機械的に粉砕・加工し
たものである。粉砕方法については乾式法と湿式法があ
るが、湿式粉砕品は本発明の硬化性組成物の貯蔵安定性
を悪化させることが多いために好ましくないことが多
い。重質炭酸カルシウムは、分級により、様々な平均粒
子径を有する製品となる。特に限定されないが、硬化物
の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接着性の改善効果
を期待する場合には、比表面積の値が1.5m2/g以
上50m2/g以下のものが好ましく、2m2/g以上5
0m2/g以下が更に好ましく、2.4m2/g以上50
2/g以下がより好ましく、3m2/g以上50m2
g以下が特に好ましい。比表面積が1.5m2/g未満
の場合には、その改善効果が充分でないことがある。も
ちろん、単に粘度を低下させる場合や増量のみを目的と
する場合などはこの限りではない。
【0213】なお、比表面積の値とは、測定方法として
JIS K 5101に準じて行なった空気透過法(粉
体充填層に対する空気の透過性から比表面積を求める方
法。)による測定値をいう。測定機器としては、島津製
作所製の比表面積測定器SS−100型を用いるのが好
ましい。
【0214】これらの充填材は目的や必要に応じて単独
で併用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に限
定はされないが、例えば、必要に応じて比表面積の値が
1.5m2/g以上の重質炭酸カルシウムと膠質炭酸カ
ルシウムを組み合わせると、配合物の粘度の上昇を程々
に抑え、硬化物の破断強度、破断伸び、接着性と耐候接
着性の改善効果が大いに期待できる。
【0215】充填材を用いる場合の添加量は、ビニル系
重合体100重量部に対して、充填材を5〜1000重
量部の範囲で使用するのが好ましく、20〜500重量
部の範囲で使用するのがより好ましく、40〜300重
量部の範囲で使用するのが特に好ましい。配合量が5重
量部未満の場合には、硬化物の破断強度、破断伸び、接
着性と耐候接着性の改善効果が充分でないことがあり、
1000重量部を越えると該硬化性組成物の作業性が低
下することがある。充填材は単独で使用しても良いし、
2種以上併用しても良い。 <微小中空粒子>また、更に、物性の大きな低下を起こ
すことなく軽量化、低コスト化を図ることを目的とし
て、微小中空粒子をこれら補強性充填材に併用しても良
い。
【0216】このような微少中空粒子(以下バルーンと
いう)は、特に限定はされないが、「機能性フィラーの
最新技術」(CMC)に記載されているように、直径が
1mm以下、好ましくは500μm以下、更に好ましく
は200μm以下の無機質あるいは有機質の材料で構成
された中空体が挙げられる。特に、真比重が1.0g/
cm3以下である微少中空体を用いることが好ましく、
更には0.5g/cm3以下である微少中空体を用いる
ことが好ましい。
【0217】前記無機系バルーンとして、珪酸系バルー
ンと非珪酸系バルーンとが例示でき、珪酸系バルーンに
は、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シ
リカバルーン、フライアッシュバルーン等が、非珪酸系
バルーンには、アルミナバルーン、ジルコニアバルー
ン、カーボンバルーン等が例示できる。これらの無機系
バルーンの具体例として、シラスバルーンとしてイヂチ
化成製のウインライト、三機工業製のサンキライト、ガ
ラスバルーンとして日本板硝子製のカルーン、住友スリ
ーエム製のセルスターZ−28、EMERSON&CU
MING製のMICRO BALLOON、PITTS
BURGE CORNING製のCELAMIC GL
ASSMODULES、3M製のGLASS BUBB
LES、シリカバルーンとして旭硝子製のQ−CEL、
太平洋セメント製のE−SPHERES、フライアッシ
ュバルーンとして、PFAMARKETING製のCE
ROSPHERES、FILLITE U.S.A製の
FILLITE、アルミナバルーンとして昭和電工製の
BW、ジルコニアバルーンとしてZIRCOA製のHO
LLOW ZIRCONIUM SPHEES、カーボ
ンバルーンとして呉羽化学製クレカスフェア、GENE
RAL TECHNOLOGIES製カーボスフェアが
市販されている。
【0218】前記有機系バルーンとして、熱硬化性樹脂
のバルーンと熱可塑性樹脂のバルーンが例示でき、熱硬
化性のバルーンにはフェノールバルーン、エポキシバル
ーン、尿素バルーンが、熱可塑性バルーンにはサランバ
ルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートバ
ルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−ア
クリル系バルーンが例示できる。また、架橋した熱可塑
性樹脂のバルーンも使用できる。ここでいうバルーン
は、発泡後のバルーンでも良く、発泡剤を含むものを配
合後に発泡させてバルーンとしても良い。
【0219】これらの有機系バルーンの具体例として、
フェノールバルーンとしてユニオンカーバイド製のUC
AR及びPHENOLIC MICROBALLOON
S、エポキシバルーンとしてEMERSON&CUMI
NG製のECCOSPHERES、尿素バルーンとして
EMERSON&CUMING製のECCOSPHER
ES VF−O、サランバルーンとしてDOW CHE
MICAL製のSARAN MICROSPHERE
S、日本フィラメント製のエクスパンセル、松本油脂製
薬製のマツモトマイクロスフェア、ポリスチレンバルー
ンとしてARCOPOLYMERS製のDYLITE
EXPANDABLE POLYSTYRENE、BA
SF WYANDOTE製の EXPANDABLE
POLYSTYRENE BEADS、架橋型スチレン
−アクリル酸バルーンには日本合成ゴム製のSX863
(P)が、市販されている。
【0220】上記バルーンは単独で使用しても良く、2
種類以上混合して用いても良い。さらに、これらバルー
ンの表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸
リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング
剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコール
等で分散性および配合物の作業性を改良するために処理
したものも使用することができる。これらの、バルーン
は配合物を硬化させた場合の物性のうち、柔軟性および
伸び・強度を損なうことなく、軽量化させコストダウン
するために使用される。
【0221】バルーンの含有量は、特に限定されないが
ビニル系重合体100重量部に対して、好ましくは0.
1〜50部、更に好ましくは0.1〜30部の範囲で使
用できる。この量が0.1部未満では軽量化の効果が小
さく50部以上ではこの配合物を硬化させた場合の機械
特性のうち、引張強度の低下が認められることがある。
またバルーンの比重が0.1以上の場合は3〜50部、
更に好ましくは5〜30部が好ましい。 <物性調整剤>本発明の硬化性組成物には、必要に応じ
て生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添
加しても良い。
【0222】物性調整剤としては特に限定されないが、
例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキ
シシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルト
リメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジ
メチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロ
ペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイ
ソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β
−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基
を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポ
リシロキサン類等が挙げられる。前記物性調整剤を用い
ることにより、本発明の組成物を硬化させた時の硬度を
上げたり、硬度を下げ、伸びを出したりし得る。上記物
性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよ
い。 <シラノール含有化合物>本発明の硬化性組成物には、
硬化物の物性を変える等の必要に応じてシラノール含有
化合物を添加しても良い。シラノール含有化合物とは、
分子内に1個のシラノール基を有する化合物、及び/又
は、水分と反応することにより分子内に1個のシラノー
ル基を有する化合物を生成し得る化合物のことをいう。
これらは一方のみを用いてもよいし、両化合物を同時に
用いてもよい。
【0223】シラノール含有化合物の一つである分子内
に1個のシラノール基を有する化合物は、特に限定され
ず、下記に示した化合物、 (CH33SiOH、(CH3CH23SiOH、(C
3CH2CH23SiOH、(n−Bu)3SiOH、
(sec−Bu)3SiOH、(t−Bu)3SiOH、
(t−Bu)Si(CH32OH、(C5113SiO
H、(C6133SiOH、(C653SiOH、
(C65)2Si(CH3)OH、(C65)Si(CH
32OH、(C652Si(C25)OH、C65
i(C252OH、C65CH2Si(C252
H、C107Si(CH32OH (ただし、上記式中C65はフェニル基を、C107
ナフチル基を示す。)等のような(R”)3SiOH
(ただし式中R”は同一または異種の置換もしくは非置
換のアルキル基またはアリール基)で表わすことができ
る化合物、
【0224】
【化15】 等のようなシラノール基を含有する環状ポリシロキサン
化合物、
【0225】
【化16】 等のようなシラノール基を含有する鎖状ポリシロキサン
化合物、
【0226】
【化17】 等のような主鎖が珪素、炭素からなるポリマー末端にシ
ラノール基が結合した化合物、
【0227】
【化18】 等のようなポリシラン主鎖末端にシラノール基が結合し
た化合物、
【0228】
【化19】 等のような主鎖が珪素、炭素、酸素からなるポリマー末
端にシラノール基が結合した化合物等が例示できる。こ
のうち下記一般式(45)で表される化合物が好まし
い。 (R583SiOH (45) (式中、R58は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示
す。複数のR58は同一であってもよく又は異なっていて
もよい。)R27は、メチル基、エチル基、ビニル基、t
−ブチル基、フェニル基が好ましく、さらにメチル基が
好ましい。
【0229】中でも、入手が容易であり、効果の点から
分子量の小さい(CH33SiOH等が好ましい。
【0230】上記、分子内に1個のシラノール基を有す
る化合物は、ビニル系重合体の架橋性シリル基あるいは
架橋により生成したシロキサン結合と反応することによ
り、架橋点の数を減少させ、硬化物に柔軟性を与えてい
るものと推定される。また本発明の成分の1つである、
水分と反応することにより分子内に1個のシラノール基
を有する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されな
いが、水分と反応して生成する分子内に1個のシラノー
ル基を有する化合物(加水分解生成物)が、上記一般式
(45)で表される化合物が好ましい。例えば、特に限
定されるわけではないが、後述するような一般式(4
6)で表される化合物以外に下記の化合物を挙げること
ができる。
【0231】N,O−ビス(トリメチルシリル)アセト
アミド、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス
(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N−
メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミ
ド、ビストリメチルシリル尿素、N−(t−ブチルジメ
チルシリル)N−メチルトリフルオロアセトアミド、
(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシラン、(N,
N−ジエチルアミノ)トリメチルシラン、ヘキサメチル
ジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザ
ン、N−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチ
ルシリルトリフルオロメタンスルフォネート、トリメチ
ルシリルフェノキシド、n−オクタノールのトリメチル
シリル化物、2―エチルヘキサノールのトリメチルシリ
ル化物、グリセリンのトリス(トリメチルシリル)化
物、トリメチロールプロパンのトリス(トリメチルシリ
ル)化物、ペンタエリスリトールのトリス(トリメチル
シリル)化物、ペンタエリスリトールのテトラ(トリメ
チルシリル)化物、(CH33SiNHSi(C
33、(CH33SiNSi(CH32
【0232】
【化20】 等が好適に使用できるが加水分解生成物の含有シラノー
ル基の量からは(CH33SiNHSi(CH33が特
に好ましい。
【0233】さらには本発明の成分の1つである、水分
と反応することにより分子内に1個のシラノール基を有
する化合物を生成し得る化合物は、特に限定されない
が、上記化合物以外に下記一般式(46)で表される化
合物が好ましい。 ((R583SiO)n59 (46) (式中、R58は上述したものと同様である。nは正数
を、R59は活性水素含有化合物から一部あるいは全ての
活性水素を除いた基を示す。)R58は、メチル基、エチ
ル基、ビニル基、t−ブチル基、フェニル基が好まし
く、さらにメチル基が好ましい。(R583Si基は、
3個のR58が全てメチル基であるトリメチルシリル基が
特に好ましい。また、nは1〜5が好ましい。
【0234】上記R59の由来となる活性水素含有化合物
としては特に限定されないが、例えば、メタノール、エ
タノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタ
ノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、
ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、プロパンジオール、テトラメチレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のアルコ
ール類;フェノール、クレゾール、ビスフェノールA、
ヒドロキノン等のフェノール類;ギ酸、酢酸、プロピオ
ン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘ
ン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リノレン酸、ソルビン酸、シュウ酸、マロン酸、
コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル
酸、テレフタル酸、トリメリット酸等のカルボン酸類;
アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルア
ミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、イミダゾー
ル等のアミン類;アセトアミド、ベンズアミド等の酸ア
ミド類、尿素、N,N’−ジフェニル尿素等の尿素類;
アセトン、アセチルアセトン、2,4−ヘプタジオン等
のケトン類等が挙げられる。
【0235】上記一般式(46)で表される水分と反応
することにより分子内に1個のシラノール基を有する化
合物を生成し得る化合物は、例えば上述の活性水素含有
化合物等に、トリメチルシリルクロリドやジメチル(t
−ブチル)クロリド等のようなシリル化剤とも呼ばれる
(R583Si基とともにハロゲン基等の活性水素と反
応し得る基を有する化合物を反応させることにより得る
ことができるが、これらに限定されるものではない(た
だし、R58は上述したものと同様である。)。
【0236】上記一般式(46)で表される化合物を具
体的に例示すると、アリロキシトリメチルシラン、N,
O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(ト
リメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリ
ル)トリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリ
メチルシリルトリフルオロアセトアミド、ビストリメチ
ルシリル尿素、N−(t−ブチルジメチルシリル)N−
メチルトリフルオロアセトアミド、(N,N−ジメチル
アミノ)トリメチルシラン、(N,N−ジエチルアミ
ノ)トリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,
1,3,3−テトラメチルジシラザン、N−(トリメチ
ルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルトリフルオ
ロメタンスルフォネート、トリメチルシリルフェノキシ
ド、n−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エ
チルヘキサノールのトリメチルシリル化物、グリセリン
のトリス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプ
ロパンのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリ
スリトールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタ
エリスリトールのテトラ(トリメチルシリル)化物、等
が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0237】また、一般式(((R603SiO)(R
61O)stZで表わすことができるような化合物、CH
3O(CH2CH(CH3)O)5Si(CH33、CH2
=CHCH2(CH2CH(CH3)O)5Si(C
33、(CH33SiO(CH2CH(CH3)O)5
Si(CH33、(CH33SiO(CH2CH(C
3)O)7Si(CH33(式中、R60は同一または異
種の置換もしくは非置換の1価の炭化水素基または水素
原子、R61は炭素数1〜8の2価の炭化水素基、s、t
は正の整数で、sは1〜6、s×tは5以上、Zは1〜
6価の有機基)等も好適に使用できる。これらは単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0238】水分と反応することにより分子内に1個の
シラノール基を有する化合物を生成し得る化合物の中で
は、貯蔵安定性、耐候性等に悪影響を及ぼさない点で、
加水分解後に生成する活性水素含有化合物はフェノール
類、酸アミド類及びアルコール類が好ましく、活性水素
含有化合物が水酸基であるフェノール類およびアルコー
ル類が更に好ましい。
【0239】上記の化合物の中では、N,O−ビス(ト
リメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリ
ル)アセトアミド、トリメチルシリルフェノキシド、n
−オクタノールのトリメチルシリル化物、2―エチルヘ
キサノールのトリメチルシリル化物、グリセリンのトリ
ス(トリメチルシリル)化物、トリメチロールプロパン
のトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリスリト
ールのトリス(トリメチルシリル)化物、ペンタエリス
リトールのテトラ(トリメチルシリル)化物等が好まし
い。
【0240】この水分と反応することにより分子内に1
個のシラノール基を有する化合物を生成し得る化合物
は、貯蔵時、硬化時あるいは硬化後に水分と反応するこ
とにより、分子内に1個のシラノール基を有する化合物
を生成する。この様にして生成した分子内に1個のシラ
ノール基を有する化合物は、上述のようにビニル系重合
体の架橋性シリル基あるいは架橋により生成したシロキ
サン結合と反応することにより、架橋点の数を減少さ
せ、硬化物に柔軟性を与えているものと推定される。
【0241】シラノール含有化合物の添加量は、硬化物
の期待物性に応じて適宜調整可能である。シラノール含
有化合物は、ビニル系重合体100重量部に対して0.
1〜50重量部、好ましくは0.3〜20重量部、さら
に好ましくは0.5〜10重量部添加できる。0.1重
量部未満では添加効果が現れず、50重量部を越えると
架橋が不十分になり、硬化物の強度やゲル分率が低下し
すぎる。
【0242】また、シラノール含有化合物をビニル系重
合体に添加する時期は特に限定されず、ビニル系重合体
の製造時に添加してもよく、硬化性組成物の作製時に添
加してもよい。 <チクソ性付与剤(垂れ防止剤)>本発明の硬化性組成
物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くする
ためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良
い。
【0243】また、垂れ防止剤としては特に限定されな
いが、例えば、ポリアミドワックス類、水添ヒマシ油誘
導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミ
ニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げ
られる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で
用いてもよく、2種以上併用してもよい。 <光硬化性物質>本発明の硬化性組成物には、必要に応
じて光硬化性物質を添加しても良い。光硬化性物質と
は、光の作用によって短時間に、分子構造が化学変化を
おこし、硬化などの物性的変化を生ずるものである。こ
の光硬化性物質を添加することにより、硬化性組成物を
硬化させた際の硬化物表面の粘着性(残留タックともい
う)を低減できる。この光硬化性物質は、光をあてるこ
とにより硬化し得る物質であるが、代表的な光硬化性物
質は、例えば室内の日の当たる位置(窓付近)に1日
間、室温で静置することにより硬化させることができる
物質である。この種の化合物には、有機単量体、オリゴ
マー、樹脂あるいはそれらを含む組成物など多くのもの
が知られており、その種類は特に限定されないが、例え
ば、不飽和アクリル系化合物、ポリケイ皮酸ビニル類あ
るいはアジド化樹脂等が挙げられる。
【0244】不飽和アクリル系化合物は、下記一般式
(47)で表される不飽和基を有する単量体、オリゴマ
ーあるいはこれらの混合物である。 CH2=CHR62CO(O)− (47) 式中、R62は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラル
キル基を示す。
【0245】不飽和アクリル系化合物としては、具体的
には、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルアル
コール等の低分子量アルコール類の(メタ)アクリル酸
エステル類;ビスフェノールA、イソシアヌル酸等の酸
あるいは上記低分子量アルコール等をエチレンオキシド
やプロピレンオキシドで変性したアルコール類の(メ
タ)アクリル酸エステル類;主鎖がポリエーテルで末端
に水酸基を有するポリエーテルポリオール、主鎖がポリ
エーテルであるポリオール中でビニル系モノマーをラジ
カル重合することにより得られるポリマーポリオール、
主鎖がポリエステルで末端に水酸基を有するポリエステ
ルポリオール、主鎖がビニル系あるいは(メタ)アクリ
ル系重合体であり、主鎖中に水酸基を有するポリオール
等の(メタ)アクリル酸エステル類;ビスフェノールA
型やノボラック型等のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル
酸を反応させることにより得られるエポキシアクリレー
ト系オリゴマー類;ポリオール、ポリイソシアネートお
よび水酸基含有(メタ)アクリレート等を反応させるこ
とにより得られる分子鎖中にウレタン結合および(メ
タ)アクリル基を有するウレタンアクリレート系オリゴ
マー等が挙げられる。
【0246】ポリケイ皮酸ビニル類とは、シンナモイル
基を感光基とする感光性樹脂であり、ポリビニルアルコ
ールをケイ皮酸でエステル化したものの他、多くのポリ
ケイ皮酸ビニル系誘導体が挙げられる。
【0247】アジド化樹脂は、アジド基を感光基とする
感光性樹脂として知られており、通常はアジド化合物を
感光剤として加えたゴム感光液のほか「感光性樹脂」
(昭和47年3月17日出版、印刷学会出版部発行、9
3頁〜、106頁から、117頁〜)に詳細な例示があ
り、これらを単独又は混合し、必要に応じて増感剤を加
えて使用することができる。
【0248】上記の光硬化性物質の中では、取り扱い易
いという理由で不飽和アクリル系化合物が好ましい。
【0249】光硬化性物質は、ビニル系重合体100重
量部に対して0.01〜20重量部添加するのが好まし
い。0.01重量部未満では効果が小さく、また20重
量部を越えると物性への悪影響が出ることがある。な
お、ケトン類、ニトロ化合物などの増感剤やアミン類等
の促進剤を添加すると、効果が高められる場合がある。 <空気酸化硬化性物質>本発明の硬化性組成物には、必
要に応じて空気酸化硬化性物質を添加しても良い。空気
酸化硬化性物質とは、空気中の酸素により架橋硬化でき
る不飽和基を有する化合物である。この空気酸化硬化性
物質を添加することにより、硬化性組成物を硬化させた
際の硬化物表面の粘着性(残留タックともいう)を低減
できる。本発明における空気酸化硬化性物質は、空気と
接触させることにより硬化し得る物質であり、より具体
的には、空気中の酸素と反応して硬化する性質を有する
ものである。代表的な空気酸化硬化性物質は、例えば空
気中で室内に1日間静置することにより硬化させること
ができる。
【0250】空気酸化硬化性物質としては、例えば、桐
油、アマニ油等の乾性油;これら乾性油を変性して得ら
れる各種アルキッド樹脂;乾性油により変性されたアク
リル系重合体、エポキシ系樹脂、シリコーン樹脂;1,
2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンを、C5
〜C8ジエンの重合体や共重合体、更には該重合体や共
重合体の各種変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性
物など)などが具体例として挙げられる。これらのうち
では桐油、ジエン系重合体のうちの液状物(液状ジエン
系重合体)やその変性物が特に好ましい。
【0251】上記液状ジエン系重合体の具体例として
は、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、1,3−
ペンタジエン等のジエン系化合物を重合又は共重合させ
て得られる液状重合体や、これらジエン系化合物と共重
合性を有するアクリロニトリル、スチレンなどの単量体
とをジエン系化合物が主体となるように共重合させて得
られるNBR,SBR等の重合体や更にはそれらの各種
変性物(マレイン化変性物、ボイル油変性物など)など
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。これら液状ジエン系化合物のうちで
は液状ポリブタジエンが好ましい。
【0252】空気酸化硬化性物質は、単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。また空気酸化硬化性物
質と同時に酸化硬化反応を促進する触媒や金属ドライヤ
ーを併用すると効果を高められる場合がある。これらの
触媒や金属ドライヤーとしては、ナフテン酸コバルト、
ナフテン酸鉛、ナフテン酸ジルコニウム、オクチル酸コ
バルト、オクチル酸ジルコニウム等の金属塩やアミン化
合物等が例示される。
【0253】空気酸化硬化性物質は、ビニル系重合体1
00重量部に対して0.01〜20重量部添加するのが
好ましい。0.01重量部未満では効果が小さく、また
20重量部を越えると物性への悪影響が出ることがあ
る。 <酸化防止剤>本発明の硬化性組成物には、必要に応じ
て酸化防止剤を添加しても良い。酸化防止剤は各種のも
のが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハ
ンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の
劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々
のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではな
い。
【0254】例えば、MARK PEP−36、MAR
K AO−23等のチオエーテル系(以上いずれもアデ
カア−ガス化学製)、Irgafos38、Irgaf
os168、IrgafosP−EPQ(以上いずれも
日本チバガイギー製)等のようなリン系酸化防止剤等が
挙げられる。なかでも、以下に示したようなヒンダード
フェノール系化合物が好ましい。
【0255】ヒンダードフェノール系化合物としては、
具体的には以下のものが例示できる。2,6−ジ−te
rt−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t
ert−ブチル−4−エチルフェノール、モノ(又はジ
又はトリ)(αメチルベンジル)フェノール、2,2’
−メチレンビス(4エチル−6−tert−ブチルフェ
ノール)、2,2’−メチレンビス(4メチル−6−t
ert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビ
ス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチ
ルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイド
ロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノ
ン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチ
オ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル
アニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリ
チル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チ
オ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデ
シル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレン
ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒド
ロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステ
ル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
イソシアヌレート、2,4−2,4−ビス[(オクチル
チオ)メチル]o−クレゾール、N,N’−ビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)フォスファイト、2−(5−メチル−
2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベ
ンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロ
キシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、メチル
−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾ
ール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオ
ネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)と
の縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導
体、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ
−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0256】商品名で言えば、ノクラック200、ノク
ラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−
N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラ
ックNS−30、ノクラック300、ノクラックNS−
7、ノクラックDAH(以上いずれも大内新興化学工業
製)、MARK AO−30、MARK AO−40、
MARK AO−50、MARK AO−60、MAR
K AO−616、MARK AO−635、MARK
AO−658、MARK AO−80、MARK A
O−15、MARK AO−18、MARK 328、
MARK AO−37(以上いずれもアデカアーガス化
学製)、IRGANOX−245、IRGANOX−2
59、IRGANOX−565、IRGANOX−10
10、IRGANOX−1024、IRGANOX−1
035、IRGANOX−1076、IRGANOX−
1081、IRGANOX−1098、IRGANOX
−1222、IRGANOX−1330、IRGANO
X−1425WL(以上いずれも日本チバガイギー
製)、SumilizerGM、SumilizerG
A−80(以上いずれも住友化学製)等が例示できるが
これらに限定されるものではない。
【0257】酸化防止剤は後述する光安定剤と併用して
もよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特
に耐熱性が向上することがあるため特に好ましい。予め
酸化防止剤と光安定剤を混合してあるチヌビンC35
3、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー
製)などを使用しても良い。
【0258】酸化防止剤の使用量は、ビニル系重合体1
00重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であるこ
とが好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効
果が少なく、5重量部超では効果に大差がなく経済的に
不利である。 <光安定剤>本発明の硬化性組成物には、必要に応じて
光安定剤を添加しても良い。光安定剤は各種のものが知
られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブ
ック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と
安定化」(235〜242)等に記載された種々のもの
が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0259】特に限定はされないが、光安定剤の中で
も、紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、チヌビン
P、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン32
6、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213
(以上いずれも日本チバガイギー製)等のようなベンゾ
トリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなト
リアジン系、CHIMASSORB81等のようなベン
ゾフェノン系、チヌビン120(日本チバガイギー製)
等のようなベンゾエート系化合物等が例示できる。
【0260】また、ヒンダードアミン系化合物も好まし
く、そのような化合物を以下に記載する。コハク酸ジメ
チル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)
アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}
{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
イミノ}]、N,N’−ビス(3アミノプロピル)エチ
レンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミ
ノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビ
ス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
セバケート、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリディニル)エステル等が挙げられ
る。
【0261】商品名で言えば、チヌビン622LD、チ
ヌビン144、CHIMASSORB944LD、CH
IMASSORB119FL、Irgafos168、
(以上いずれも日本チバガイギー製)、MARK LA
−52、MARK LA−57、MARK LA−6
2、MARK LA−67、MARK LA−63、M
ARK LA−68、MARK LA−82、MARK
LA−87、(以上いずれもアデカア−ガス化学
製)、サノールLS−770、サノールLS−765、
サノールLS−292、サノールLS−2626、サノ
ールLS−1114、サノールLS−744、サノール
LS−440(以上いずれも三共製)などが例示できる
がこれらに限定されるものではない。
【0262】更には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系
化合物の組合せはより効果を発揮することがあるため、
特に限定はされないが併用しても良く、併用することが
好ましいことがある。
【0263】光安定剤は前述した酸化防止剤と併用して
もよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特
に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。予め
光安定剤と酸化防止剤を混合してあるチヌビンC35
3、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー
製)などを使用しても良い。
【0264】光安定剤の使用量は、ビニル系重合体10
0重量部に対して0.1〜10重量部の範囲であること
が好ましい。0.1重量部未満では耐候性を改善の効果
が少なく、5重量部超では効果に大差がなく経済的に不
利である。その他の添加剤 本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の
諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を
添加してもよい。このような添加物の例としては、たと
えば、難燃剤、硬化性調整剤、老化防止剤、ラジカル禁
止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止
剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、光硬
化性樹脂などがあげられる。これらの各種添加剤は単独
で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0265】このような添加物の具体例は、たとえば、
特公平4−69659号、特公平7−108928号、
特開昭63−254149号、特開昭64−22904
号の各明細書などに記載されている。
【0266】本発明の硬化性組成物は、すべての配合成
分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬
化する1成分型として調製しても良く、硬化剤として別
途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合してお
き、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分
型として調整しても良い。2成分型にすると、2成分の
混合時に着色剤を添加することができ、例えば、サイデ
ィングボードの色に合わせたシーリング材を提供する際
に、限られた在庫で豊富な色揃えをすることが可能とな
るなど、市場から要望されている多色化対応が容易とな
り、低層建物用等により好ましい。着色剤は、例えば顔
料と可塑剤、場合によっては充填材を混合しペースト化
したものを用いると作業し易い。また、更に2成分の混
合時に遅延剤を添加することにより硬化速度を作業現場
にて微調整することができる。 <<硬化物>> <用途>本発明の硬化性組成物は、限定はされないが、
建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シーリング材等
のシーリング材、太陽電池裏面封止材などの電気・電子
部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁
材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗料、粉体塗料、
コーティング材、発泡体、電気電子用ポッティング剤、
フィルム、ガスケット、注型材料、各種成形材料、およ
び、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆
・防水用封止材、自動車部品、電機部品、各種機械部品
などにおいて使用される液状シール剤、等の様々な用途
に利用可能である。
【0267】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と
併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定される
ものではない。
【0268】下記実施例および比較例中「部」および
「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表
す。また、本実施例において「トリアミン」とは、ペンタ
メチルジエチレントリアミンをいう。
【0269】下記実施例中、「数平均分子量」および
「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。
ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充
填したもの(shodex GPC K−804;昭和
電工製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用いた。 (製造例1) (アルケニル基を有するカルボン酸塩の合成)メタノー
ル(250mL)に10−ウンデセン酸(150g、
0.814mol)、カリウム−tert−ブトキシド
(91.3g、0.814mol)を加え、0℃で攪拌
した。減圧加熱下で揮発分を留去することにより、下式
に示すウンデセン酸カリウムを得た。 CH2=CH−(CH28−CO2 -+K (BAセミバッチ重合−1kg) 2Lのガラス反応容器に窒素雰囲気下、臭化第一銅
(8.39g、0.0585mol)、アセトニトリル
(112mL)を投入し、70℃で60分間加熱した。
これにアクリル酸ブチル(224mL、1.56mo
l)、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル(17.6
g、0.0488mol)を加えてさらに30分攪拌し
た。これにトリアミン(0.41mL、1.95mmo
l)を加えて重合を開始した。この後反応溶液のサンプ
リングを行なって反応を追跡しながらトリアミン(5.
66mL、27.1mmol)を加え、また反応開始か
ら55分後からアクリル酸ブチル(895mL、6.2
4mol)を140分かけて加えた。アクリル酸ブチル
の添加後さらに170分加熱を続けた。この時GC測定
よりアクリル酸ブチルの消費率は92.9%であった。
混合物をトルエンで希釈して活性アルミナで処理した
後、揮発分を減圧下加熱して留去することで無色透明重
合体[1]を得た。得られた重合体[1]の数平均分子
量は21000、分子量分布は1.1であった。
【0270】上記重合体[1](0.35kg)、上記
ウンデセン酸カリウム(8.85g)及びジメチルアセ
トアミド350mLをガラス容器に加え、窒素雰囲気下
70℃で3時間加熱攪拌した。反応溶液の揮発分を減圧
加熱下で除去した後、トルエンで希釈してろ過した。ろ
液から減圧加熱下で揮発分を留去して溶液を濃縮した。
これに珪酸アルミ(協和化学製、キョーワード700P
EL)をポリマーに対して20wt%加え、100℃で
3時間加熱攪拌した。反応溶液をトルエンで希釈してろ
過し、ろ液から減圧加熱下で揮発分を留去することによ
り、アルケニル基末端重合体(重合体[2])を得た。
1H−NMR測定により、ポリマー1分子あたりに導入
されたアルケニル基は1.9個であった。
【0271】1L耐圧反応容器に重合体[2](350
g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(12.3m
L)、オルトぎ酸メチル(3.6mL)、および0価白
金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニル
ジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用
量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で5×10
-4当量とした。反応混合物を加熱反応させた後、混合物
の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端ビニ
ル系重合体(重合体[P1])を得た。得られた重合体
の数平均分子量は26000、分子量分布は1.2であ
った。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基
の数を1H NMR分析により求めたところ、1.4個
であった。 (製造例2)還流管および攪拌機付きの2Lのセパラブ
ルフラスコに、CuBr(8.39g、0.0585m
ol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニ
トリル(112mL)を加え、オイルバス中70℃で3
0分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(224m
L)、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル(23.4
g、0.0650mol)、トリアミン(0.500m
L、0.244mmol)を加え、反応を開始した。7
0℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(895m
L)を150分かけて連続的に滴下した。アクリル酸ブ
チルの滴下途中にトリアミン(2.50mL、12.0
mmol)を追加した。反応開始より310分経過後に
1,7−オクタジエン(288mL、1.95mo
l)、トリアミン(4.0mL、0.0195mol)
を加え、引き続き70℃で240分加熱攪拌した。反応
混合物をヘキサンで希釈し、活性アルミナカラムを通し
た後、揮発分を減圧留去することによりアルケニル基末
端重合体(重合体[3])を得た。重合体[3]の数平
均分子量は20000、分子量分布は1.3であった。
還流管付2Lセパラブルフラスコに、重合体[3]
(1.0kg)、安息香酸カリウム(34.8g)、
N,N−ジメチル酢酸アミド(1L)を仕込み、窒素気
流下70℃で15時間加熱攪拌した。加熱減圧下でN,
N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエンで希釈
した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび余剰な安
息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過した。ろ液
の揮発分を減圧留去することにより重合体[4]を得
た。
【0272】還流管付2L丸底フラスコに、重合体
[4](1kg)、珪酸アルミ(200g、協和化学
製、キョーワード700PEL)、トルエン(1L)を
仕込み、窒素気流下100℃で5.5時間加熱攪拌し
た。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエ
ンを減圧留去することにより重合体[5]を得た。
【0273】1L耐圧反応容器に重合体[5](720
g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(27.6m
L)、オルトぎ酸メチル(8.1mL)、および0価白
金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニル
ジシロキサン錯体を仕込んだ。ただし、白金触媒の使用
量は、重合体のアルケニル基に対してモル比で5×10
-4当量とした。反応混合物を加熱反応させた後、混合物
の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端ビニ
ル系重合体(重合体[P2])を得た。得られた重合体
の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)によ
り23000、分子量分布は1.4であった。重合体1
分子当たりに導入された平均のシリル基の数を1H N
MR分析により求めたところ、1.7個であった。 (製造例3)還流塔および攪拌機付きの50L重合機
に、CuBr(251.82g、1.76mol)を仕
込み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(3
360mL)を加え、68℃で20分間攪拌した。これ
にアクリル酸ブチル(6.80L)、2、5−ジブロモ
アジピン酸ジエチル(526.70g、1.46mo
l)、トリアミン(12.0mL、0.0585mo
l)を加え、反応を開始した。70℃で加熱攪拌しなが
ら、アクリル酸ブチル(26.80L)を204分かけ
て連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中にト
リアミン(36.0mL、0.176mol)を追加し
た。反応開始より397分経過後に1,7−オクタジエ
ン(8640mL、58.5mol)、トリアミン(1
20mL、0.585mol)を加え、80℃で240
分加熱攪拌した。その後トリアミン(80mL、0.3
90mol)を追加し、90℃で240分加熱攪拌し
た。
【0274】反応混合物をトルエンで希釈し、分離板型
遠心沈降機を用いて不溶の銅錯体を除去し、活性アルミ
ナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することにより
アルケニル基末端重合体(重合体[6])を得た。重合
体[6]の数平均分子量は24000、分子量分布は
1.21であった。還流管付10Lセパラブルフラスコ
に、重合体[6](3.0kg)、酢酸カリウム(2
4.5g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(3L)を仕
込み、窒素気流下100℃で10時間加熱攪拌した。加
熱減圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、
トルエンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBr
および余剰な酢酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過
した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体
[7]を得た。
【0275】還流管付10L丸底フラスコに、重合体
[7](3kg)、ハイドロタルサイト(450g、協
和化学製、キョーワード500SH、キョーワード70
0SL)、キシレン(0.6L)を仕込み、窒素気流下
130℃で5.0時間加熱攪拌した。珪酸アルミを濾過
により除去した後、ろ液を減圧留去することにより重合
体[8]を得た。
【0276】2L反応容器に重合体[8](1300
g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(58.5m
L)、オルトぎ酸メチル(17.3mL)、および0価
白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニ
ルジシロキサン錯体を仕込んだ。なお、白金触媒とトリ
メトキシシランを反応途中で追加した。白金触媒の使用
量は合計で、重合体のアルケニル基に対してモル比で1
×10-3当量であった。加熱反応させた後、混合物の揮
発分を減圧留去することにより、シリル基末端ビニル系
重合体(重合体[P3])を得た。得られた重合体の数
平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により2
8500、分子量分布は1.4であった。重合体1分子
当たりに導入された平均のシリル基の数を1H NMR
分析により求めたところ、2.5個であった。 (製造例4)特開平11−080249号に記載の実施
例2に記載された方法に基づき、ヒドロキシエチル−2
−ブロモプロピオネートを開始剤とし、臭化第一銅と
2,2−ビピリジルを重合触媒として,アクリル酸−n
−ブチルを重合し、重合末期にメタクリル酸−2−ヒド
ロキシエチルを添加して末端に水酸基を有するポリアク
リル酸−n−ブチル(重合体[P4])を得た。得られ
た重合体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換
算)により6100、分子量分布は1.3であった。
【0277】これにイソシアネートプロピルトリメトキ
シシランを加えてウレタン化反応を行ない、末端の水酸
基をトリメトキシシリル基に変換して、トリメトキシシ
リル基を有するビニル系重合体(重合体[P5])を得
た。重合体1分子当たりに導入された平均のシリル基の
数を1H NMR分析により求めたところ、3.3個で
あった。 (製造例5)攪拌機付きの250Lの反応釜に、CuB
r(923.3g、6.44mol)を仕込み、反応釜
内を窒素シールした後、アセトニトリル(6671g)
を加え、65℃で15分間攪拌した。これにアクリル酸
ブチル(22.0kg)、2,5−ジブロモアジピン酸
ジエチル(1931.2g、5.36mol)、アセト
ニトリル(3000g)、トリアミン(44.8mL、
214.6mmol)を加え、反応を開始した。80℃
で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチル(88.0k
g)を連続的に滴下した。アクリル酸ブチルの滴下途中
にトリアミン(179.2mL、859.5mmol)
を追加した。引き続き80℃で加熱攪拌後、1,7−オ
クタジエン(15.847kg)、トリアミン(67
2.0mL、3.21mol)を添加し、さらに80℃
で10時間加熱攪拌を続けることにより、重合体[9]
を含有する反応混合物(重合反応混合物[9’])を得
た。反応混合物[9’]の揮発分を減圧留去することに
よりアルケニル基末端重合体(重合体[9])を得た。
【0278】攪拌機付きの250Lの反応釜に重合体
[9](100kg)、メチルシクロヘキサン(100
kg)、吸着剤(各2kg、協和化学製、キョーワード
500SH、キョーワード700SL)を仕込み、酸素
/窒素混合ガス雰囲気下で150℃、2時間加熱撹拌し
固体分を分離して重合体[10]を得た。
【0279】還流管付10Lセパラブルフラスコに、重
合体[10](3.2kg)、酢酸カリウム(74.1
g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(3.2L)を仕込
み、窒素気流下100℃で8時間加熱攪拌した。加熱減
圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トル
エンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよ
び余剰な酢酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過し
た。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体[1
1]を得た。
【0280】還流管付10Lセパラブルフラスコに、重
合体[11](3kg)、吸着剤(1800g、協和化
学製、キョーワード500SH、キョーワード700S
L)、キシレン(1.5L)を仕込み、窒素気流下13
0℃で5.0時間加熱攪拌した。吸着剤を濾過により除
去した後、ろ液を減圧留去することにより重合体[P
6]を得た。
【0281】2L反応容器に製造例1で得られた重合体
[P6](1300g)、ジメトキシメチルヒドロシラ
ン(58.5mL)、オルトぎ酸メチル(17.3m
L)、および0価白金の1,1,3,3−テトラメチル
−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を仕込んだ。な
お、白金触媒の使用量は重合体1kgに対し白金換算で
30mg。100℃、3.5h加熱反応させた後、混合
物の揮発分を減圧留去することにより、シリル基末端ビ
ニル系重合体(重合体[P7])を得た。得られた重合
体の数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)に
より27000、分子量分布は1.4であった。重合体
1分子当たりに導入された平均のシリル基の数を1
NMR分析により求めたところ、1.8個であった。 (製造例6)還流塔および攪拌機付きの50L重合機を
用いて、製造例3と同様にしてCuBr(188.02
g、1.3107mol)、アセトニトリル(3226
mL)、アクリル酸ブチル(9396mL)、アクリル
酸エチル(13060mL)、アクリル酸2−メトキシ
エチル(9778mL)、2、5−ジブロモアジピン酸
ジエチル(786.55g)、トリアミン(187.7
6mL)、1,7−オクタジエン(6452mL)を原
料とし、反応させた反応混合物をトルエンで希釈し、活
性アルミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去するこ
とによりアルケニル基末端共重合体{アルケニル末端ポ
リ(アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
メトキシエチル)の共重合体:共重合体[12]}を得
た。
【0282】還流管付10Lセパラブルフラスコに、共
重合体[12](3.0kg)、酢酸カリウム(24.
5g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(3L)を仕込
み、窒素気流下100℃で10時間加熱攪拌した。加熱
減圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、ト
ルエンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrお
よび余剰な酢酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過し
た。ろ液の揮発分を減圧留去することによりアルケニル
基末端共重合体{アルケニル末端ポリ(アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸メトキシエチル)の
共重合体:共重合体[13]}を得た。
【0283】還流管付10L丸底フラスコに、共重合体
[13](3kg)、ハイドロタルサイト(450g、
協和化学製、キョーワード500SH、キョーワード7
00SL)、キシレン(0.6L)を仕込み、窒素気流
下130℃で5.0時間加熱攪拌した。珪酸アルミを濾
過により除去した後、ろ液を減圧留去することにより共
重合体[P8]を得た。
【0284】2L反応容器に共重合体[P8](100
0g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(29.8m
L)、オルトぎ酸メチル(11.7mL)、および0価
白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニ
ルジシロキサン錯体を仕込んだ。なお、白金触媒とジメ
トキシメチルシランを反応途中で追加した。充分加熱反
応させた後、混合物の揮発分を減圧留去することによ
り、シリル基末端ビニル系共重合体(共重合体[P
9])を得た。得られた共重合体の数平均分子量はGP
C測定(ポリスチレン換算)により21500、分子量
分布は1.3であった。共重合体1分子当たりに導入さ
れた平均のシリル基の数を1H NMR分析により求め
たところ、2.3個であった。 (製造例7)両末端に水酸基を有する分子量3000の
ポリプロピレングリコールを開始剤として、特開平3−
72527号に記載の方法で、複合金属シアン化物錯体
触媒の存在下にプロピレンオキシドを反応させてポリオ
キシポリプロピレンモノオールとし、末端水酸基に塩化
アリルを反応させて不飽和基を導入した後、更に、不飽
和基に対して当量のメチルジメトキシシランを反応させ
て、分子末端に架橋性シリル基を有するポリエーテル系
重合体(重合体[P10])を得た。数平均分子量は1
6000、重合体1分子当たりに導入された平均のシリ
ル基の数を1HNMR分析により求めたところ、1.6
個であった。 (実施例1〜13)製造例1〜6で得られた重合体[P
1〜P3、P5、P7、P9]100部に粒径1μm以
上1000μm以下の粒子としてカネビニールPS−3
00K(粒径25〜30μm、鐘淵化学製)ないしはカ
ネビニールS−1001(粒径100〜130μm、鐘
淵化学製)を10部、膠質炭酸カルシウム(白艶華CC
R:白石カルシウム製)150部、重質炭酸カルシウム
(ナノックス25A:丸尾カルシウム製)10部、酸化
チタン(タイペークR−820(ルチル型):石原産業
製)10部、可塑剤50部(種類は表1に記載)、チキ
ソ性付与剤(ディスパロン6500楠本化成製)2部、
老化防止剤(サノールLS−765(HALS):三共
製、チヌビン213:チバ・スペシャルティ・ケミカル
ズ製)各1部を配合し、更に3本ペイントロールを用い
て充分混合した後、その他の各種添加剤(空気酸化硬化
性物質、光硬化性物質、シラノール化合物:種類と添加
部数は表1に記載)を配合し、各種硬化触媒(種類と添
加部数は表1に記載)を用いて約2mm厚のシート状に
塗工し、23℃、55%R.H.にて3日間硬化養生さ
せた後、硬化物の表面状態ならびに残留タックを観測し
た。各種配合剤と硬化剤の添加部数と各結果を表1に示
した。本発明の表面性の評価では、§は艶のない状態
を、○は艶のある状態を表している。また残留タックに
ついては、◎は残留タックが無いかあるいはほとんどな
い良好な状態を表し、○、△、×となるにつれて順にタ
ックが増加し、×では表面がベタツイている状態(不
良)を表す。 (実施例14〜16)製造例1〜6で得られた重合体
[P7〜P10]100部に粒径1μm以上1000μ
m以下の粒子としてカネビニールS−1001(粒径1
00〜130μm、鐘淵化学製)を10部、膠質炭酸カ
ルシウム(白艶華CCR:白石カルシウム製)150
部、重質炭酸カルシウム(ナノックス25A:丸尾カル
シウム製)10部、酸化チタン(タイペークR−820
(ルチル型):石原産業製)10部、可塑剤50部(種
類は表1に記載)、チキソ性付与剤(ディスパロン65
00楠本化成製)2部、老化防止剤(サノールLS−7
65(HALS):三共製、チヌビン213:チバ・ス
ペシャルティ・ケミカルズ製)各1部を配合し、プラネ
タリーミキサーを用いて充分混合した後、その他の各種
添加剤(空気酸化硬化性物質、光硬化性物質、シラノー
ル化合物:種類と添加部数は表1に記載)を更に添加
し、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン2部、硬化
触媒としてジブチル錫ジアセチルアセトナート2部を添
加して1液配合物を作製した。この配合物を約2mm厚
のシート状に塗工し、23℃、55%R.H.にて3日
間硬化養生させた後、硬化物の表面状態ならびに残留タ
ックを観測した。各種配合剤と硬化剤の添加部数と各結
果を表1に示した。 (実施例17)製造例4で得られた重合体[P4]10
0部に粒径1μm以上1000μm以下の粒子としてカ
ネビニールPS−300K(粒径25〜30μm、鐘淵
化学製)10部、膠質炭酸カルシウム(白艶華CCR:
白石カルシウム製)150部、重質炭酸カルシウム(ナ
ノックス25A:丸尾カルシウム製)10部、可塑剤5
0部(種類は表1に記載)、老化防止剤(チヌビンB−
75:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)2部を配
合し、更に3本ペイントロールを用いて充分混合した、
その配合物に対し、硬化剤として3官能イソシアネート
化合物(B−45:一方社油脂製)を配合(重合体P4
の水酸基と等モルのイソシアネート量になるよう添加)
し、各種硬化触媒(種類は表1に記載、重合体P4に対
し0.1重量部)を用いて約2mm厚のシート状に塗工
し、23℃、55%R.H.にて3日間硬化養生させた
後、硬化物の表面状態ならびに残留タックを観測した。
結果を表1に示した。 (実施例18〜19)製造例1〜6で得られた重合体
[P6、P8]100部に粒径1μm以上1000μm
以下の粒子としてカネビニールPS−300K(粒径2
5〜30μm、鐘淵化学製)10部、シリカ系充填材
(アエロジルR974:日本アエロジル製)20部、可
塑剤30部(種類は表1に記載)、酸化防止剤(イルガ
ノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ
製)1部を配合し、更に3本ペイントロールを用いて充
分混合した後、硬化剤として鎖状シロキサン(分子中に
平均5個のヒドロシリル基と平均5個のα−メチルスチ
レン基を含有する)と、白金触媒(0価白金の1,1,
3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン
錯体)、及び硬化遅延剤(3,5−ジメチル−1−ヘキ
シン−3−オール)を添加し、充分撹拌混練した後、約
2mm厚のシート状に塗工し、150℃にて100分間
硬化養生させた後、硬化物の表面状態ならびに残留タッ
クを観測した。ただし鎖状シロキサンはSiH基が共重
合体のアルケニル基の1.80倍(モル比)に、白金触
媒は白金原子が共重合体のアルケニル基の3×10-4
(モル比)に、硬化遅延剤は白金触媒の150倍(モル
比)になるように添加した。各結果を表1に示した。 (比較例1)製造例3で得られた重合体[P3]に対
し、粒径1μm以上1000μm以下の粒子を用いなか
った以外は実施例4と同様の方法で硬化物を作製し、同
様に硬化物の表面状態ならびに残留タックを観測した。
各種配合剤と硬化剤の添加部数と各結果を表1に示し
た。 (比較例2)製造例5で得られた重合体[P7]に対
し、粒径1μm以上1000μm以下の粒子を用いなか
った以外は実施例8と同様の方法で硬化物を作製し、同
様に硬化物の表面状態ならびに残留タックを観測した。
各種配合剤と硬化剤の添加部数と各結果を表1に示し
た。 (比較例3)製造例6で得られた重合体[P9]に対
し、粒径1μm以上1000μm以下の粒子を用いなか
った以外は実施例11と同様の方法で硬化物を作製し、
同様に硬化物の表面状態ならびに残留タックを観測し
た。各種配合剤と硬化剤の添加部数と各結果を表1に示
した。
【0285】
【表1】 表面性:§…艶なし、○…艶あり 残留タック:良好 ← ◎ > ○ > △ > × → 不良(ヘ゛タツ
ク) 粒径10μm以上の粒子:A…カネヒ゛ニールPS-300K、B…カネヒ゛ニ
ールS-1001 可塑剤:C…DOP(シ゛オクチルフタレート:協和醗酵製)、D…DIDP
(シ゛イソテ゛シルフタレート:協和醗酵製)、E…UP-1020(アクリル系可塑
剤、東亞合成製) 硬化触媒:F…U-220(シ゛フ゛チル錫シ゛アセチルアセトナート、2部)、G
…(オクチル酸錫/ラウリルアミン=3部/1部)、H…白金触媒 空気酸化硬化性物質(4部):I…桐油、J…亜麻仁油、K
…1,2-ホ゜リフ゛タシ゛エン 光硬化性物質(3部):L…ヘ゜ンタエリスリトールトリアクリレート、M…トリ
メチロールフ゜ロハ゜ントリアクリレートシラノール 化合物:N…ヘキサメチルシ゛シラサ゛ン、O…トリメチルフェノキシシラン、
P…トリメチロールフ゜ロハ゜ンのトリス(トリメチルシリル)化物 架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体
と平均粒径1μm以上1000μm以下の粒子を用いた
硬化性組成物は、何れも良好な表面性を示した。また残
留タックも良好であった。
【0286】
【発明の効果】本発明は、架橋性シリル基を少なくとも
1個有するビニル系重合体、及び、平均粒径1μm以上
1000μm以下の粒子からなる硬化性組成物からな
り、その硬化性組成物を硬化させた硬化物の表面性を改
質し、艶消し状態で残留タックを減少させた組成物を実
現できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB201 BC021 BC022 BC081 BC091 BC111 BC121 BD171 BE011 BF021 BG011 BG022 BG041 BG051 BG061 BG071 BG081 BG101 BH021 BJ001 BL011 BL021 BQ001 CC032 CK012 DA016 DE146 DJ046 DL006 FA086 FA106 FD010 FD012 FD016 FD020 FD040 FD070 FD200 GH00 GJ00 GL00 GN00 GQ00

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の二成分: (A)架橋性官能基を少なくとも1個有するビニル系重
    合体(I)、及び、(B)平均粒径1μm以上1000
    μm以下の粒子(II)、を含有する硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 分子量分布が1.8未満であるビニル
    系重合体(I)を含有することを特徴とする請求項1に
    記載の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 主鎖が、(メタ)アクリル系モノマ
    ー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノ
    マー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニ
    ル系モノマーからなる群から選ばれるモノマーを主とし
    て重合して製造されるものであるビニル系重合体(I)
    を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の
    硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 主鎖が、(メタ)アクリル系重合体で
    あるビニル系重合体(I)を含有することを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 主鎖が、アクリル系重合体であるビニ
    ル系重合体(I)を含有することを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 【請求項6】 主鎖が、アクリル酸エステル系重合体
    であるビニル系重合体(I)を含有することを特徴とす
    る請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. 【請求項7】 架橋性官能基が、主鎖末端にあるビニ
    ル系重合体(I)を含有することを特徴とする請求項1
    〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  8. 【請求項8】 架橋性官能基が、架橋性シリル基であ
    るビニル系重合体(I)を含有することを特徴とする請
    求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  9. 【請求項9】 架橋性官能基が、アルケニル基である
    ビニル系重合体(I)を含有することを特徴とする請求
    項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  10. 【請求項10】 架橋性官能基が、水酸基であるビニ
    ル系重合体(I)を含有することを特徴とする請求項1
    〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  11. 【請求項11】 架橋性官能基が、アミノ基であるビ
    ニル系重合体(I)を含有することを特徴とする請求項
    1〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  12. 【請求項12】 架橋性官能基が、重合性の炭素−炭
    素二重結合を有する基であるビニル系重合体(I)を含
    有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に
    記載の硬化性組成物。
  13. 【請求項13】 架橋性官能基が、エポキシ基である
    ビニル系重合体(I)を含有することを特徴とする請求
    項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  14. 【請求項14】 ビニル系重合体(I)の主鎖が、リ
    ビングラジカル重合法により製造されるものであるビニ
    ル系重合体を含有することを特徴とする請求項1〜13
    のうちいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  15. 【請求項15】 リビングラジカル重合が、原子移動
    ラジカル重合であるビニル系重合体を含有することを特
    徴とする請求項14記載の硬化性組成物。
  16. 【請求項16】 原子移動ラジカル重合が、周期律表
    第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心
    金属とする遷移金属錯体より選ばれる錯体を触媒とする
    ビニル系重合体を含有することを特徴とする請求項15
    記載の硬化性組成物。
  17. 【請求項17】 触媒とする金属錯体が銅、ニッケ
    ル、ルテニウム、又は鉄の錯体からなる群より選ばれる
    錯体であるビニル系重合体を含有することを特徴とする
    請求項16記載の硬化性組成物。
  18. 【請求項18】 触媒とする金属錯体が銅の錯体であ
    るビニル系重合体を含有することを特徴とする請求項1
    7記載の硬化性組成物。
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