JP5332310B2 - シート分離部材、定着装置および画像形成装置 - Google Patents
シート分離部材、定着装置および画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
さらには、分離爪を備えたシート分離機構を定着ローラや定着ベルトに付設して、溶融したトナーによって定着ローラや定着ベルトに巻き付こうとしている用紙を強制的に分離している。
近年、定着装置の離型剤は取り扱い性が悪い等の理由でトナーにワックス成分を付加し、定着部材である回転体表面にシリコンオイル等の離型剤を塗布することを無くす傾向にある為、上記課題は益々顕著になってきている。
上記課題を鑑み、分離手段として分離爪を使用しなければならない場合でも、その材質には定着部材に傷を付けないような非攻撃性や、トナーが分離爪上に固着しないような非粘着性が求められている。
例えば、フッ素系樹脂を用いた分離爪の発明では特許文献1がある。この発明では分離爪全てをフッ素系樹脂で一体成形し分離爪が回動するための支軸もフッ素系樹脂で成形されている。フッ素系樹脂は非攻撃性および非粘着性には優れているが、剛性は乏しく、紙詰まりが発生した等で外圧が加わると変形してしまい定着部材に傷を付けてしまう不具合や、紙詰まり後分離爪が変形してしまい分離性能低下が起きる等の不具合がある。
また、フッ素系樹脂は熱膨張や熱による変形もPPS系樹脂やポリイミド等の耐熱性樹脂と比較すると大きい為に、分離板等の分離部先端の位置精度に厳しい分離手段には使用できない課題がある。
また一方、分離板先端と回転体との間にギャップ(隙間)を設ける構成を突き当て部材によって行っている例がある(例えば、特許文献2 参照。)。
確かに、分離手段と定着部材との間にギャップ(隙間)を確保した分離手段なら定着部材に傷を付けたり、トナー等が分離手段に多少固着しても、分離手段と定着部材が接触していないので、再び固着トナーが定着部材に再転写して画像を汚す等の不具合を防止することができる。
近年では小スペースでも定着性を確保する為に定着ローラの弾性部材として発泡シリコン材質等のスポンジ部材を用いて、加圧ローラとの食い込み量を増やしニップ幅を広げたものが多くなってきている。更に発泡シリコン材質の定着ローラを用いると立ち上がり時間も短くなり、消費電力も少なくなる。このような定着ユニットにおいて、紙詰まり発生時の外圧によって突き当て部材が弾性に富んだ定着ローラに食い込んでしまうので上記課題は特に顕著である。
更に、定着ニップ後の分離手段として、剥離部の構成をポリイミドの基材にプライマ層を介してフッ素系コートを施し、さらにそれをより硬質な樹脂でインサート成型により支持部を構成した分離爪が開示されている(例えば、特許文献3 参照。)。
剥離部は支持部より硬度が比較的低いとしているが、剥離部の基材はポリイミド樹脂の為、定着部材上に摺動跡を発生させる不具合がある。
特に近年、ベルト定着において内部に弾性に富んだ発泡シリコンのローラを使用し、離型剤としてシリコーンオイル等を殆ど使用しない定着装置においては顕著である。
上記位置に分離板先端を配置するには、分離板先端を配置するニップ直後の回転体表面の位置や駆動時の微小な変動、さらにはニップ直後であるために、非常に狭い空間が課題となる。
分離ガイド先端と回転体とのギャップ(隙間)の管理を最大画像領域外の位置決め部材によって行っている例がある(例えば、特許文献4 参照。)。
しかしながら、この構成では分離ガイドが耐熱樹脂で一体成型された構成であるが、この分離ガイドは少なからずソリが発生し、軸方向全域に渡って0.1〜0.6mmのギャップ(隙間)を維持するのは困難である。特に近年は定着性向上や断熱性向上を目的に、定着ローラに発泡性の弾性層を用いることが多くなってきており、分離ガイドのみならず、定着ローラにも高精度にブレや撓みを抑えることが難しくなってきている。
この構成だと、分離板先端と近接する定着部材である回転体表面の変動に感度良く分離板先端位置が反応することが難しく、分離板先端が回転体表面を傷つけたり、ある一定値よりも分離板先端と回転体表面とのギャップ(隙間)を狭くできないという課題がある。
近年では小スペースでも定着性を確保する為に定着ローラの弾性部材として発泡シリコン材質等のスポンジ部材を用いて、加圧ローラとの食い込み量を増やしニップ幅を広げたものが多くなってきている。更に発泡シリコン材質の定着ローラを用いると立ち上がり時間も短くなり、消費電力も少なくなる。このような定着ユニットにおいて、上記課題は顕著である。
さらに上記分離手段を用いることによって画質に優れた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のシート分離部材において、前記樹脂はフッ素系樹脂であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、定着ローラまたは定着ベルトを含む定着部材と、加圧ローラまたは加圧ベルトを含む加圧部材とを有し、該定着部材と加圧部材間に形成されるニップ部に未定着トナー像を担持したシート状の記録媒体を導入して、前記未定着トナーを記録媒体に定着する定着装置であって、前記ニップ部の前記記録媒体移動方向下流に、記録媒体を前記定着部材または加圧部材から剥離するため、回動支点を中心に回動可能な分離手段が設けられており、該分離手段は前記定着部材とほぼ同等の長さを有する基体と、該基体に保持され、最大画像領域より外側両端に、前記定着部材の長さ方向に延び、断面が曲率形状をなし、且つ前記定着部材もしくは加圧部材のいずれかの表面に接触可能な先端部を有する位置決め部材を有し、両位置決め部材の間には、前記最大画像領域内において、先端部の断面が曲率形状を有し、前記位置決め部材の先端部が接触する表面(以下先端部接触面という)に対し微小ギャップを有する非接触状態に保持されたシート分離部材が少なくとも1個前記基体に保持され、該シート分離部材は付勢手段により前記先端部が前記先端部接触面側に付勢され、前記位置決め部材先端部が前記先端部接触面に接触する接触点から、前記定着部材の長手方向に垂直な断面内で前記先端部接触面から記録媒体搬送方向下流側に引いた接線Hと、該接線Hに対し、前記先端部接触面と反対側の面の方向に角度30°の直線Kを記録媒体搬送方向下流側に引いたとき、前記回動支点は前記接線Hと前記直線Kとに挟まれた角度30°の領域にある定着装置において、前記シート分離部材は、請求項1ないし3の何れか一つに記載のシート分離部材であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の定着装置において、前記凹凸形状は高さ5〜30μm、勾配1〜30°の凸形状が1mm 2 あたりに5〜20個存在することを特徴とする。
同図において符号1は分離部材、1aは基材、1bは支軸、1cは分離部材頭部をそれぞれ示す。
支軸1bを有した基材1aの先端(支軸から一方側に最も離れた部分)に分離部材先端部1cとして基材1aより柔らかい樹脂がインサート成形によって一体的に成形された構成である。
同図に示す分離部材1を用いることによって、紙詰まり等の外圧によっても変形することが無く、非攻撃性に優れた樹脂を分離部材先端部1cに使用しているので、相手部材に傷を付ける等の不具合を防ぐことができる。
また、基材1aと分離部材先端部1cとはインサート成形により一体的に成形されているので、基材1aが有する支軸と分離部材先端部1cとの位置精度は精度良く成形することができる。そのため同一材料で成形された分離部材同様に分離性能にも優れている。
同図(b)に太線で外形を示した分離部材頭部1cは、基材先端部を囲むようにインサート成形によって一体化した樹脂製の爪形状をなしている。分離部材頭部1cの側断面で見た先端(分離部材先端部と呼ぶ)はR0.05mmからR0.2mmの範囲の形状になっている。
板金性の分離板等と違い、頭部1cが樹脂性の為、同図に示すように尖らすことができる。頭部1c側断面の半径Rが小径であればあるほど分離性には優れている。非攻撃性に富んだ樹脂性ではあるが先端があまりに小径であると相手部材に傷を付けてしまうのでR0.05mm以上は確保している。先端RをR0.05mm〜R0.2mmとすることによって分離性能と非攻撃性とを両立することができる。
同図(b)は同図(a)に示した範囲Bを部分拡大した図である。同図に示すように分離部材頭部1cに使用されている柔かい樹脂の最長部(基材1a先端からの飛び出し量)は同図に示すように、5mm以下に設定されている。
この構成によって、熱膨張や熱による変形が比較的大きいフッ素系樹脂等を使用していても、熱膨張や熱による変形の絶対量が小さくなり、分離板等の先端位置精度が0.1mmオーダで必要な分離手段においても充分に使用可能となる。
フッ素系樹脂は摺動性に優れているため、接触しても相手に傷を付けることも無く、トナーに対する離型性にも優れている為にトナー固着を起こすことも無い。
以上から、分離手段頭部1cの材質をフッ素系樹脂にすることによって、相手部材に対する非攻撃性に優れ、さらにトナーに対する非粘着性にも優れた分離部材1を提供できる。
支軸1bは、軸部を固定部材の側に形成して、基材1aの側は単に孔、若しくは軸受けであっても良い。ここでは両者を含めて支軸と呼ぶことにする。
同図において符号2は定着ローラ、3は定着ベルト、4は加熱ローラ、5は加圧ローラ、6はハロゲンヒータ、7は分離ユニット、8はギャップをそれぞれ示す。
同図(a)において、定着ベルト3内に定着ローラ2と加熱ローラ4を備え、定着ベルト3を介して定着ローラ2に対して加圧ローラ5が加圧しニップ部を形成している。加熱ローラ4と加圧ローラ5の内部には熱源であるハロゲンヒータ6を内蔵していて、図の右側から搬送されてきた未定着トナー像を担持した記録媒体を、ニップ部で挟持・加熱し、定着する構成である。
定着ベルト3内に外形52mmの定着ローラ2と外形35mmで厚み0.6mmのアルミ製中空円筒からなる加熱ローラ4によって巻き掛けられている。定着ローラ2の構成は外形52mmで厚み14mmの発泡シリコンゴムからなる耐熱・弾性層を有した構成である。
加圧ローラ5の構成は鋼製で厚み1mmの中空芯金に厚み1.5mmのシリコンゴムが覆っており、最外層にはPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを備えた外形50mmのローラである。
上記ニップ部下流には転写紙を定着ベルト3から分離するための分離部材1を備えている。同図の実施例では分離部材1を定着ベルト3の軸方向に複数個備えた構成である。ただし、分離部材頭部1cは分離すべきシートの幅方向最大幅に一様な爪状に形成しても良い。このような形状を分離板と呼ぶこともあるが、ここでは一般化して分離爪と呼ぶことにする。
分離部材1の働きで分離された記録媒体は、その後、定着側ガイド板と加圧側ガイド板の案内によって排紙部へ搬送される。
同図(b)は分離部材1の構成を更に詳しく示した詳細図である。
分離部材1は支軸1bを中心に回動自在な構成となっている。更に、分離部材1は圧縮スプリング7bと調整ネジ7aによってその分離部材頭部1cの位置を定着ベルト3に対して調整可能な構成となっている。調整ネジ7aは固定部材としての分離ユニット7に設けられたねじ穴に対して進退可能に構成されていて、調整ネジ7aの回動により、分離部材1が支軸1bを中心として揺動できる。
定着ベルト3と分離部材1とが非接触状態を確保できるので確実に定着ベルト3に傷をつけることを防止でき、更に分離部材1に固着トナーが溜まることもなく、仮に溜まったとしても定着ベルト3に再転写するような不具合も防止できる。
さらに紙詰まり等が発生しても分離部材1が変形することも無い。
以上の説明では、本分離部材1を定着装置に適用する場合で説明してきたが、ベルトやローラ類からシート状の媒体を剥離する場面というのは定着装置に限らず種々存在する。本発明の分離部材1、および分離ユニット7は定着装置以外にも、例えば転写装置などにも用いることができる。
給紙ユニット31によって、用紙が転写部へ搬送される。
一方、書き込みユニット32によってスキャナによる信号もしくはプリンタによる信号によって、作像ユニット33内の感光体上に露光される。感光体上に露光された潜像は作像ユニット33によって転写ベルトに作像され、転写ユニット34によって、搬送されてきた転写紙に未定着トナー像が転写される。そして未定着トナー像は定着ユニット35で定着される。また、両面時には両面ユニット36で記録媒体が反転され、再び転写部へ搬送される。トナー像が定着された転写紙は、分離ユニット7によって定着ベルトから剥離され、排紙される。
本発明によれば、定着部材に傷を付ける不具合を防止でき、さらに分離手段に固着トナーが発生することも無く、例え固着トナーが発生しても再び定着部材を汚すような不具合も防止でき、また、紙詰まり等が発生しても分離部材は変形したりする等の不具合も防止できる定着ユニットを備えているために、画質および搬送性に優れた画像形成装置を提供できる。
同図において符号7cは分離板ユニットの回動支点、7dは位置決め部材、7gは位置決め部材先端部、9は記録媒体、10は未定着トナー、11はレバー、12は引っ張りスプリング13は加圧側分離爪をそれぞれ示す。
同図は定着ローラおよび加圧ローラの回転軸に対して垂直な断面を示しているが、以下の説明で単に断面と呼ぶときはこの断面を意味する。
定着ローラ2の表面に巻き付けられた定着ベルト3(以下定着ローラおよび定着ベルトを総称して定着部材と呼ぶ)側には記録媒体である転写紙9を定着ベルト3から剥離するための分離手段として分離板ユニット7を備えている。分離板ユニット7は、長手方向両端部に位置決め部材7dを有し(図6参照)、同図に示すように回動支点7cを中心に断面内で回動自在な構成であり、位置決め部材先端部7gが、定着ベルト3方向へ引張スプリング12の付勢力によって、分離手段回転レバー11の働きで付勢される構成である。
上記定着側分離手段7と加圧側分離爪13の働きで分離された記録媒体5は、その後、図示省略の定着側ガイド板と加圧側ガイド板の案内によって排紙部へ搬送される。
同図においては、便宜上、定着部材として定着ローラに定着ベルトを巻き付けた例で示しているが、どちらか一方を単独で用いる場合もある。
逆に、同図においては、便宜上、加圧ローラを単独のローラで示しているが、ベルトを介した加圧ローラの構成にする場合もある。このような構成を含めて、一般に加圧部材と呼ぶことにする。
同図においては、便宜上、位置決め部材先端部7gが定着ベルト3に接触する図で示してあるが、加圧部材の側に接触する構成にすることもできる。位置決め部材先端部7gが接触する方の面を先端部接触面と呼ぶ。
同図において符号1c’は分離部材先端部の曲率形状部、7eは基体、7fは板バネ部材をそれぞれ示す。
同図では、分離部材1を7個に分割して示しているが、全体をつないだような1個の分離板であってもかまわない。一般的には複数に分割しておいた方がきめ細かな調整ができる。
分離板ユニット7の分離部材先端部1cは最大画像領域外に配置された位置決め部材7dの働きによって、ニップ直後極近傍に配置することができる。
ただし、回動中心7cは理解しやすくするため近づけて示してある。
同図において符号Gは位置決め部材7dの先端部7gと定着ベルト3との接触点、Hは接触点Gにおいて前記加圧ローラ回転軸に垂直な断面内で前記定着部材表面から記録媒体搬送方向下流側に引いた接線、Kは接線Hから加圧ローラのある側に角度30°回した仮想直線、Qはその角度、Vtはニップ出口部の接線ベクトルをそれぞれ示す。
図5に示す非接触式の分離板ユニット7で分離性能を確保するためには、分離部材先端部1cを極力定着ベルト3に近づけ、且つニップ下流部近傍に近づけなければならない。
具体的には図7に示すように、ニップ下流点と位置決め部材先端部7gとの距離は、機械仕様で定められた転写紙先端余白よりも同等以下でなければならない。且つニップ出口部の接線ベクトルVtより、位置決め部材先端部7gは定着ベルト3側に位置していなければならない。
通常、転写紙9先端余白の最小値は画像形成装置の仕様から2〜5mmであり、最大画像領域外両端部の位置決め部材7dの曲率半径と各々の分離部材1の調整によって定められる分離部材1の先端部1cと定着ベルト3とのギャップは0.1〜0.6mmで管理しないと分離品質を確保できない。上記構成を満足する為に、位置決め部材7dの断面内における曲率形状の半径は0.8mm以下に設定していて、軸方向において位置決め部材7dの先端部7gの曲率中心と分離部材先端部1cの曲率形状部1c’の曲率中心は略一致した位置に配置されている。
上記構成によって、分離部材先端部1cと定着ベルト3とのギャップ(隙間)は0.1〜0.6mmの隙間を確保でき、非接触式の分離板ユニット7によって分離爪13と同等以上の分離性能を確保できるようになる。
上記構成により、位置決め部材先端部を有する分離板ユニットは最大画像領域外両端の位置決め部材を有する基体に対して軸方向に分離部材が複数個備えてあり、各々基体に対して調整可能な為、分離手段の基体に多少の撓みやソリが発生したり、定着部材である回転体にブレや撓みが生じてもそれに応じて調整でき、高精度に最大画像領域内の分離部材先端部と定着部材である回転体とのギャップ(隙間)を管理することができる。
同図において符号Fpは記録媒体によって生ずる摩擦力、Mpは同摩擦力によって生ずるモーメントをそれぞれ示す。
図9は定着ベルトに対する摩擦力とモーメントの関係を示す図である。
同図において符号Fbは定着ベルトによって生ずる摩擦力、Mbは同摩擦力によって生ずるモーメントをそれぞれ示す。
また、図7に示すように、位置決め部材7dの先端部7gの曲率形状部と定着ベルト3との接触点Gにおいて定着ベルト3表層曲面に対して引いた接線Hと、同じ接触点Gにおいて接線Hに対してなす角Q=30°で引いた直線Kとの挟まれた領域(角度の狭い側)に分離板ユニット7の回動中心7cが位置している。分離部材1と記録媒体9との最近接点G’は上記の接触点Gに対して前記ギャップ分だけの違いで、実質同じと見て良いので、以下、最近接点G’を接触点Gで代用する。
逆に分離板ユニット7の回転中心7cが上記直線Kより定着部材である定着ベルト3と反対側(加圧ローラ側)にあると、図9に示すように、分離部材1と定着ベルト3との接触点Gで発生する摩擦力Fbによって発生するモーメントMbが大きくなり、分離部材1が記録媒体を介して定着ベルト3に食い込む方向へ働く力によって、定着部材が傷ついてしまう不具合が発生する可能性が高くなる。
上記、分離板ユニット7の回動中心7cが接線Hと直線Kとに挟まれた領域に位置することによって(図7参照)上記不具合の発生を防ぐことができる。
また、上記最大画像領域外両端に設けた位置決め部材の曲率形状と上記定着部材である回転体表層との接触点を始点として、該回転体表層曲面に対する接線Hを搬送方向下流へ引き、更に該接触点Gを始点として該接線Hに対してなす角30度の直線Kを該回転体とは反対側且つ搬送方向下流に引いたとき、上記分離手段の回動中心である回動支点は、該接線Hと直線Kとに挟まれた領域にあるため、記録媒体と分離板との摺動による摩擦力によって発生するモーメントによって、回転体表層との隙間が広がる方向に分離部材が回転してしまい、その隙間に記録媒体が巻き込まれることによって発生する用紙詰まりや、逆に位置決め部材と回転体との接触点で発生する摩擦力によって発生するモーメントによって、位置決め部材が回転体に食い込む方向へ働く力によって、回転体が傷ついてしまう不具合が共に発生する可能性が最も少ない領域である。
上記構成によって、図3に示すように定着ベルト3に対して分離部材先端部1cが付勢されていても、先に最大画像領域外両端の位置決め部材先端部7gが接触し、分離部材先端部1cと定着ベルト3とは非接触状態を保つことができる。
以上の構成によって、定着ベルト3と分離板ユニット7は最大画像領域内では摺動していないので、摺動跡が発生することも無く、それが画像に与える不具合も起こらない。
同様に、分離爪13のように摺動していないので分離部材先端部1cと定着ベルト3との間には固着トナーが溜まることも無い。
加圧側は非画像面の為に上記課題は殆ど発生しないので、本実施例では分離爪13を採用している。
また、上記構成によって、分離部材先端部1c近傍の定着ベルト3表面の変動に分離部材先端部1cがギャップを保った状態で追従できるようになる。
図示しない支軸1bを有した基材1aの先端に分離部材先端部1cとして基材1aより柔らかいフッ素樹脂がインサート成形によって一体的に成形された構成である。
同図に示す分離板1を用いることによって、紙詰まり等の外圧によっても変形することが無く、非攻撃性に優れた樹脂を分離部材先端部1cに使用しているので、相手部材に傷を付ける等の不具合を防ぐことができる。
また、基材1aと分離部材先端部1cとはインサート成形により一体的に成形されているので、基材1aが有する支軸1bと分離部材先端部1cとの位置精度は精度良く成形することができる。そのため同一材料で成形された分離手段同様に分離性能にも優れている。
しかしながら、フッ素系樹脂は非常に柔らかく外圧によって変形したり、熱によっても変形するために狙いの隙間に調整するのが非常に困難であるが、全体の剛性は基材1aが確保している為にシート材9の詰まり等の外圧が加わっても変形することがない。また分離部材先端部1c近傍まで基材1aがいきわたっているため、熱による変形によって分離部材1と定着ベルト3との隙間が狂うことも無い。
上記、紙詰まりを防ぐには、分離部材1と記録媒体9との接触によって発生する摩擦力Fpを小さくすることも有効である。摩擦力Fpを小さくする手段として、分離部材1表層、特に記録媒体9が通紙する面を微小な凹凸形状にして、記録媒体9との接触面積を小さくすることが効果的である。
同図に示した構成によって、摩擦力Fpが小さくなって、紙詰まりの発生を防げると共に、特にベタ画像等の高トナー付着量の画像において、分離部材1と記録媒体9との接触跡が発生する不具合を防ぐことができる。
同図に示すように、分離部材1の通紙面側表層のフッ素樹脂の凹凸形状は高さ5〜30μm、勾配1〜30°の凸形状が1mm2あたりに5〜20個存在する形状である。
上記構成によって、分離部材1と記録媒体9との接触面積を小さくすることができ、記録媒体9による摩擦力Fpを小さくし、また分離板1表層の凹凸形状が粗すぎることによる用紙9の引っ掛かりを防ぐことができる。
図6に示す構成より、分離手段回動中心7cが同図に示す接線Hより定着部材である定着ベルト3と反対側(加圧ローラ側)にあると、少なからず分離部材1は、定着ベルト3との接触点Gで発生する摩擦力Fbによって、定着ベルト3に食い込む方向へモーメントMbが発生する。このモーメントMbを小さくするために、接線Hに対してなす角Q=30°の直線Kと接線Hとに挟まれた領域に分離板ユニット7の回動支点7cを配置する構成も重要であるが、接触点Gで発生する摩擦力Fbを小さくすることも効果的である。該摩擦力Fbを小さくする方法として、位置決め部材先端部7gの曲率形状の半径Rを大きくするのが効果的である。しかしながら、あまり大きくしすぎると、非常に狭いニップ部極近傍に配置することができなくなる。そこで、位置決め部材先端部7gの曲率半径は0.2〜0.8mmの範囲にすることによって、摩擦力Fbも小さくすることができ、ニップ部極近傍に配置することもできるようになる。分離部材先端部1cの曲率形状部1c’の曲率半径を0.05〜0.2mmとしており、分離部材先端部1cと先端部接触面とのギャップ(隙間)を0.1〜0.6mmとするために、上記先端部7cと上記曲率形状部1c’曲率中心をほぼ一致させておくので、両者の曲率半径差を少なくともこの範囲になるように設定する必要がある。
分離部材先端部と位置決め部材先端部を型を異ならせて、同じ工程による樹脂部材で形成することにより、両者の曲率半径も所定の曲率半径の差に形成することができる。
動作その他は基本的に図4で説明した通りであるので、ここでの説明は省略する。
本実施例によれば、定着部材に傷を付ける不具合を防止でき、さらに分離手段に固着トナーが発生することも無く、例え固着トナーが発生しても再び定着部材を汚すような不具合も防止でき、また、紙詰まり等が発生しても分離部材は変形したりする等の不具合も防止できる定着ユニットを備えているために、画質および搬送性に優れた画像形成装置を提供できる。
また、上記最大画像領域外両端に設けた位置決め部材の曲率形状と上記定着部材である回転体表層との接触点を始点として、該定着部材である回転体表層曲面に対する接線Hを搬送方向下流へ引き、更に該接触点を始点として該接線Hに対してなす角30度の直線Kを該定着部材である回転体とは反対側且つ搬送方向下流に引いたとき、上記分離手段の回動中心である支点は、該接線Hと直線Kとに挟まれた領域にあるため、記録媒体と分離板との摺動による摩擦力によって発生するモーメントによって、分離手段が回動中心に分離手段先端部が定着部材である回転体表層との隙間が広がる方向に回動してしまい、その隙間に記録媒体が巻き込まれることによって発生する用紙詰まりや、逆に位置決め部材と定着部材である回転体との接触点で発生する摩擦力によって発生するモーメントによって、位置決め部材が定着部材である回転体に食い込む方向へ働く力によって、定着部材である回転体が傷ついてしまう不具合が共に発生する可能性が最も少ない領域である。
しかしながら、フッ素系樹脂は非常に柔らかく外圧によって変形したり、熱によっても変形するために狙いの隙間に調整するのが非常に困難である。
本発明により、全体の剛性は基材が確保している為にシート材の詰まり等の外圧が加わっても変形することがない。また分離部材先端部近傍まで基材がいきわたっているため、熱による変形によって分離部材と定着部材との隙間が狂うことも無い。
上記、紙詰まりを防ぐには、上記に示した構成も重要であるが、本発明の構成により、分離部材と記録媒体との接触によって発生する摩擦力を小さくすることも有効である。摩擦力を小さくする手段として、分離部材表層特に記録媒体が通紙する面を微小な凹凸形状にして、記録媒体との接触面積を小さくすることが効果的である。上記構成によって、摩擦力が小さくなって、紙詰まりの発生を防げると共に、特にベタ画像等の高トナー付着量の画像において、分離部材と記録媒体との接触跡が発生する不具合を防ぐことができる。
1a 基材
1b 支軸
1c 分離部材先端部
2 定着ローラ
3 定着ベルト
4 加熱ローラ
5 加圧ローラ
7 分離ユニット
Claims (8)
- 定着ローラまたは定着ベルトを含む定着部材と、加圧ローラまたは加圧ベルトを含む加圧部材との間に形成されるニップ部にシート状の記録媒体を導入して、記録媒体上の未定着トナー像を定着する定着装置に用いられるシート分離部材であって、
前記ニップ部の記録媒体移動方向下流に支軸を有し、該支軸から前記ニップ部側に延びた先端部が圧延加工により薄く形成された、厚さ1mm程度の金属板基材と、
前記先端部を覆うようにインサート成形により形成された樹脂製の分離爪と、からなり、
前記分離爪の前記金属板基材の先端からの長さは、5mm以下であり、
前記分離爪の先端部の側断面形状は、R0.05mm〜0.2mmであることを特徴とするシート分離部材。 - 請求項1に記載のシート分離部材において、前記樹脂はフッ素系樹脂であることを特徴とするシート分離部材。
- 請求項1または2に記載のシート分離部材において、前記定着部材または加圧部材と前記分離爪の先端とのギャップが調整可能であることを特徴とするシート分離部材。
- 定着ローラまたは定着ベルトを含む定着部材と、加圧ローラまたは加圧ベルトを含む加圧部材とを有し、該定着部材と加圧部材間に形成されるニップ部に未定着トナー像を担持したシート状の記録媒体を導入して、前記未定着トナーを記録媒体に定着する定着装置であって、
前記ニップ部の前記記録媒体移動方向下流に、記録媒体を前記定着部材または加圧部材から剥離するため、回動支点を中心に回動可能な分離手段が設けられており、該分離手段は前記定着部材とほぼ同等の長さを有する基体と、該基体に保持され、最大画像領域より外側両端に、前記定着部材の長さ方向に延び、断面が曲率形状をなし、且つ前記定着部材もしくは加圧部材のいずれかの表面に接触可能な先端部を有する位置決め部材を有し、両位置決め部材の間には、前記最大画像領域内において、先端部の断面が曲率形状を有し、前記位置決め部材の先端部が接触する表面(以下先端部接触面という)に対し微小ギャップを有する非接触状態に保持されたシート分離部材が少なくとも1個前記基体に保持され、該シート分離部材は付勢手段により前記先端部が前記先端部接触面側に付勢され、前記位置決め部材先端部が前記先端部接触面に接触する接触点から、前記定着部材の長手方向に垂直な断面内で前記先端部接触面から記録媒体搬送方向下流側に引いた接線Hと、該接線Hに対し、前記先端部接触面と反対側の面の方向に角度30°の直線Kを記録媒体搬送方向下流側に引いたとき、前記回動支点は前記接線Hと前記直線Kとに挟まれた角度30°の領域にある定着装置において、
前記シート分離部材は、請求項1ないし3の何れか一つに記載のシート分離部材であることを特徴とする定着装置。 - 請求項4に記載の定着装置において、請求項2に記載の前記フッ素系樹脂の表層は微小な凹凸形状をしていることを特徴とする定着装置。
- 請求項5に記載の定着装置において、前記凹凸形状は高さ5〜30μm、勾配1〜30°の凸形状が1mm 2 あたりに5〜20個存在することを特徴とする定着装置。
- 請求項4ないし6のいずれか1つに記載の定着装置において、前記位置決め部材の先端部の曲率形状は、曲率半径0.2〜0.8mmの範囲であることを特徴とする定着装置。
- 潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、を有する画像形成装置において、前記定着手段は、請求項4ないし7のいずれか1つに記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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