JP3780881B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、トナー像を担持する記録媒体を剥離する剥離装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、ファクシミリ等の電子写真式の画像形成装置においては、トナー像を形成し、そのトナー像を用紙上に転写するとともに、内部に熱源を有する一対の定着部材相互を圧接させて形成したニップ部にその用紙上の未定着トナー像を通過させ、トナー像を加熱および加圧して溶融し、その溶融状態のトナー像を用紙に浸透定着させて用紙上に定着トナー像からなる画像を形成する定着装置が広く用いられている。
【0003】
しかし、定着装置によりトナーが溶融されると、その溶融状態のトナー像は定着部材側にも付着し、その付着したトナー像が別な用紙にオフセットされてしまう場合が起こり得る。そこで、定着部材に離型剤を供給してトナー像の付着を防止する離型剤供給装置を用いることによりそのようなオフセットを回避するのが一般的である。
【0004】
しかしながら、離型剤供給装置を用いる定着装置では、定着部材を介して離型剤が過剰に用紙上に転移すると、その用紙は粘着テープを貼り付けたり、ボールペン、水性ペン、鉛筆等で加筆することができなくなってしまうという問題がある。また、OHPシート等にトナー像を定着させる場合には、離型剤の転移によりそのOHPシート等の透過性が低下し、そのシート等をOHPで投影してもカラー画像が発色せず、黒ずんでしまうという問題もある。
【0005】
これらの問題を解決するため、特開平11−184300号公報に、定着部材にフッ素樹脂からなる離型層を設けるとともに、トナーにワックスを含有させ、さらに剥離部材を用いることにより定着部材から用紙を剥離するという構成の定着装置が開示されている。
【0006】
この開示された定着装置によれば、離型剤供給装置は不要となるので、離型剤が用紙等に転移することによる加筆性等の問題が改善される。
【0007】
しかしながら、定着部材にフッ素樹脂からなる離型層を設けると、従来から多用されている接触式剥離爪により、定着部材表面の離型層が傷つけられてしまうこと、接触式剥離爪をたとえ非接触式にしても、剥離爪は定着部材の軸方向に所々に設けられるので、剥離爪によって剥離される用紙は局部的な圧力を受けることになる。その局部的な圧力は、用紙上に形成された定着トナー像からなる画像を傷つける恐れがあるので、開示された定着装置では剥離爪に替わる新たな構成の剥離部材を備えている。
【0008】
この新たな剥離部材は、平面構造をなし、トナー像定着後の用紙に、定着部材の軸方向全体に亘り均一な圧力を加えて剥離するものであり、剥離部材により画像が傷つけられることがなく、さらに非接触式とすることにより定着部材表面に傷をつける機会も少なくなるという利点がある。
【0009】
なお、平面構造をなし、定着部材の軸方向全体に均等な圧力で用紙を剥離する剥離部材を備えた定着装置は、特開平11−133776号公報、特開2000−98791号公報等にも開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−184300号公報等に開示されている定着装置が備える平面構造をなす剥離部材は、その基材としてポリイミド樹脂等の耐熱性プラスチックシートを用いているので、シートとシートを支える支持プレートとの熱膨張率の違いによる歪が発生し、シートが定着部材から受けた熱で波状に変形し、排紙が妨げられてジャムを誘発するという問題がある。
【0011】
これに対して、剥離部材に金属基板を用いたり、その金属基板上に離型剤をコーティングして離型層を形成したり、あるいは金属基板と離型層との間に弾性体層を形成する方法や、さらには、紙種によらず剥離性能を向上させるため、金属基板に弾性体層を形成した剥離部材の、定着部材表面に近接する先端部を斜めにカットし、剥離部材の剥離作用辺と定着部材表面とのギャップを狭める方法等が考えられる。
【0012】
しかしながら、剥離部材は、定着部材に近接して配置されるため定着部材から熱伝導を受けて高温になり、ニップ部から出てくる用紙はその高温の平面構造をなす剥離部材と面接触することになる。そこで、定着直後の画像や用紙裏面に形成された既に定着済みの画像が再溶融し、溶融した画像が平面構造の剥離部材でこすられるため、画像の光沢がむらになる、いわゆるグロスムラが生じたり、溶融した画像によって用紙が剥離部材に貼り付いてしまうという問題がある。
【0013】
さらに、定着装置以外の装置においても用紙上のトナー像が平面構造の剥離部材に面接触することにより、用紙上のトナー像がこすられてダメージを受ける恐れがある。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑み、熱により変形しない構造を持ち、用紙を剥離する際にグロスムラや、画像ダメージを与えることのない剥離部材を開発し、その剥離部材を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は、トナー像を形成し、形成されたトナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより該記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
記録媒体の搬送経路に配備され搬送中の記録媒体に接触して該記録媒体に所定の作用を及ぼす作用部材と、
一辺が前記作用部材に接触あるいは近接して配備され、搬送中の記録媒体を前記作用部材から剥離させる板状の剥離部材とを備え、
上記剥離部材は、搬送中の記録媒体が接する側の面が粗面に形成されてなることを特徴とする。
【0016】
ここで、搬送中の記録媒体を挟んで加熱および加圧することにより該記録媒体上にトナー像を定着させる一対の定着部材を備え、
上記作用部材は、上記一対の定着部材のうちの一方の定着部材であってもよい。
【0017】
また、上記剥離部材は、金属基板と、該金属基板の、少なくともこの剥離部材が記録媒体と接する側の面に被覆された、記録媒体上の溶融トナーの付着を妨げる離型層とを有するものであって、該離型層表面が粗面に形成されてなるものであることが好ましい。
【0018】
また、上記剥離部材は、記録媒体と接する側の面が、Rz値が3μm以上、20μm未満の範囲の粗面に形成されてなるものであることが好ましい。
【0019】
さらに、上記剥離部材は、上記金属基板と上記離型層との間に弾性体層もしくは樹脂層を有するものであることも好ましい。
【0020】
また、上記剥離部材の弾性体層もしくは樹脂層は、上記離型層と接する面に粗面を有するものであることも好ましい。
【0021】
また、上記樹脂層は、耐熱性かつ耐磨耗性の樹脂により形成されたものであることが好ましい。
【0022】
さらに、上記剥離部材は、上記弾性層もしくは樹脂層を、上記金属基板のうちの該剥離部材が前記作用部材に接触あるいは近接する側の領域にのみ有するものであって、上記離型層表面は、該離型層の、上記弾性層もしくは樹脂層の上に形成された領域と該領域を除く領域とでは、表面の粗さが相互に異なるものであることも好ましい態様である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像形成装置の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態が適用されるタンデム型カラープリンタの概略構成図である。
【0024】
本実施形態のカラープリンタは、R、G、Bで表現された画像データを入力する入力部と、入力された画像データの色変換やルックアップテーブルを用いた階調補正等を行う画像処理部と、画像出力部であるイメージアウトプットターミナル(以下、IOTと称する)とを備えている。
入力部は、R、G、Bで表現された画像データを生成し、画像処理部は、その画像データをY、M、C、Kに色変換するとともに所定の階調補正などを行なうが、ここでは入力部および画像処理部は図示せず、画像処理された画像データに基いて画像を形成するIOTを中心に説明する。
【0025】
図1に示すカラープリンタのIOTは、表面にトナー像を担持しながら矢印A方向に循環移動する中間転写ベルト50と、中間転写ベルト50を張架する複数のロール51と、中間転写ベルト50の循環移動方向に沿って直列に配列され、表面にトナー像を形成するイエロー色(Y)、マゼンダ色(M)、シアン色(C)、ブラック色(K)のトナー像が形成される4つの感光体ドラム52と、感光体ドラム52を一様に帯電させる帯電器53と、帯電した各感光体ドラム52の表面にドライバにより駆動された露光光を照射して静電潜像を形成する各露光装置54と、各感光体ドラム52表面の静電潜像をイエロー色(Y)、マゼンダ色(M)、シアン色(C)、ブラック色(K)の各色トナーで現像してトナー像を形成する各現像器55と、現像された各感光体ドラム52表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト50に転写する各一次転写器56と、中間転写ベルト50上のトナー像を給紙トレイ57から給紙される記録媒体58上に転写する2次転写器59と、一対の定着部材60aによりニップ部60bを形成し、そのニップ部60bに記録媒体58を挟んで未定着のトナー像を加熱および加圧する定着装置60とを備えている。また、ニップ部60bの記録媒体58出口側で、一対の定着部材60aにそれぞれ近接する位置には、ニップ部60aから出てきた記録媒体58を、一対の定着部材60aそれぞれから剥離する2つの剥離部材61(ここでは図示せず)を備えている。なお、各感光体ドラム52には、中間転写ベルト50に転写された後になお各感光体ドラム52上に残留するトナーをクリーニングするクリーナ62があり、中間転写ベルト50にも、記録媒体に転写および定着した後になお中間転写ベルト上に残留するトナーをクリーニングするベルトクリーナ63がある。
【0026】
図示しない入力部から入力され、図示しない画像処理部で色変換や階調補正がなされた画像データは、Y、M、C、Kの各色毎にパルス幅変調(PWM)された画像信号となり、ドライバを経由して各露光装置54に入力される。各露光装置54は、帯電器53により一様に帯電された感光体ドラム52にパルス幅変調された画像信号に基く露光光を照射し、各感光体ドラム52上に静電潜像を形成させる。各感光体ドラム52上の静電潜像は、現像器55により現像されて各色トナー像となる。各感光体ドラム52上の各色トナー像は各一次転写器56により中間転写ベルト50上に順次転写される。中間転写ベルト50上の未定着トナー像は、二次転写器59により給紙トレイ57から送られてくる記録媒体58上に転写され、転写された記録媒体上の未定着トナー像は、定着装置60のニップ部60bに挟まれて加熱および加圧され、記録媒体58上には定着トナー像からなる画像が形成される。定着トナー像が形成されニップ部60bから出てきた記録媒体58は剥離部材61(ここでは図示せず)により剥離され、プロセス方向下流に送られる。
【0027】
なお、中間転写ベルト50上に順次転写された後に各感光体ドラム52上に残留するトナーはクリーナ62により、記録媒体58上に転写された後に中間転写ベルト50上に残留するトナーはベルトクリーナ63でクリーニングされる。
なお、ここでは中間転写ベルト50を用いる画像形成装置について示したが、中間転写ベルト50の代わりに、記録媒体を担持して循環移動する搬送ベルトであってもよい。また、現像器55は、ここでは各感光体ドラム52毎に備えられた1サイクル式のものが用いられているが、感光体ドラムが1つで、現像器が4色それぞれのトナーを備えた4サイクルのものであってもよク、定着装置60は、転写と定着を同時に行う転写定着装置であってもよい。
【0028】
さらに、画像形成装置は、必ずしもカラー画像を形成するものである必要はなく白黒画像を形成するものであってもよい。また、剥離部材は、定着部材から記録媒体を剥離するために用いているが、記録媒体の剥離は定着部材に限られるものではなく、記録媒体に作用する定着部材以外の作用部材から記録媒体を剥離するために用いることもできる。
【0029】
次に、本実施形態に用いる定着装置と剥離部材との関係について説明する。
【0030】
図2は、第1の実施形態に用いる定着装置と剥離部材とを示す斜視図である。
【0031】
図2に示すように、定着装置60は、内部に熱源を有しニップ部でトナー像を加熱する加熱ロール65と、加熱ロール65を圧接し、加熱ロール65との間にニップ部60bを形成し、ニップ部60bを通過する記録媒体上のトナー像を加圧する加圧ロール66と、加熱ロール65を支持する左右の上側フレーム67および加圧ロール66を支持する左右の下側フレーム68と加圧ロール66の回転軸支持部材69とにより構成され、左右の上側フレーム67と左右の下側フレーム68とは左右に設けた第1スタッド70により回転自在に接合されている。
【0032】
なお、ここでは図示していないが、加熱ロール65と加圧ロール66は、ともに、内部に熱源を有する金属製の基質ロール、その基質ロールに被覆された内側弾性体層、内側弾性体層に被覆され、離型性のよいフッ素樹脂などで形成された表面層を有している。そして、加熱ロール65と加圧ロール66とは内側弾性体層の弾性作用により、適度の圧力のニップ部を形成し、ニップ部を通過する記録媒体を加熱および加圧する一方、表面層が有する離型作用によって、記録媒体上の未定着トナー像が加熱ロール65にオフセットするのを防止している。
【0033】
剥離部材は、ニップ部から出てきた記録媒体を加熱ロール65から剥離する板状の剥離部材61aとその剥離部材61aを上側フレーム67に支持するU溝部材71と、その剥離部材61aを加熱ロール65側に加圧するスプリング機能を有する押し当て部材72と、加圧ロール66から記録媒体を剥離する板状の剥離部材61bとその剥離部材61bを加圧ロール66の回転軸支持部材69に回転自在に支持する第2スタッド73および剥離部材61bが加圧ロール66に所定以上に食い込むのを防止するストッパ部材74により構成されている。
【0034】
図3は、第1の実施形態に用いる定着装置と剥離部材とを示す側面図である。
【0035】
図3に示すように、上側フレーム67と下側フレーム68は第1スタッド70により回転自在に接続されており、上側フレーム67に支持された加熱ロール65側面と下側フレーム68および回転軸支持部材69に支持された加圧ロール66側面とによりニップ部を形成している。ニップ部の左方近傍にはトナー像を定着する記録媒体をニップ部にガイドするガイド部材75が設けられ、ニップ部の右方近傍には、ニップ部から出てきた記録媒体を加熱ロール65から剥離する剥離部材61aと、その剥離部材61aを上側フレーム67に対して移動可能に支持するU溝部材71と、ニップ部から出てきた記録媒体を加圧ロール68から剥離する剥離部材61bと、その剥離部材61bを回転軸支持部材69に支持する、隠れている第2スタッド73とがある。
【0036】
図4は、図3に示した剥離部材を取り付けた定着装置全体の側面図を透過した図である。
【0037】
図3と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
【0038】
図4に示すように、加圧ロール66側の剥離部材61bは下側フレーム68に取り付けられた引っ張りばね76により図の下方に力を受けているので、剥離部材61bの加圧ロールと接する剥離作用辺61cは加圧ロール66のロール面に食い込むように加圧されている。しかし、剥離作用辺61cが加圧ロール66のロール面にある程度食い込むと剥離部材61bの支持部材の突起部61dが第2スタッド74に当たるので、それ以上剥離作用辺61cが加圧ロール66のロール面に食い込まないように構成されている。また、紙詰まりなどが生じても剥離作用辺61cが加圧ロール66のロール面から離間することがないように、剥離部材61bは、上側フレームの曲げ部分77によってロール面から離間できないように構成されている。
【0039】
図5は、メンテナンス等を行うために上側フレームを回転させて加熱ロールと加圧ロールを離間させたときの側面図であり、図6は、その斜視図である。
【0040】
図2から図4と同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略する。
【0041】
図5および図6に示すように、上側のフレーム67と下側のフレーム68とは第1スタッド70により回転可能に接合されているので、メンテナンス等の際には加熱ロール65を上側フレーム67と共に図の右方に回転させて加圧ロール66との間隔を開けることができる。また、加圧ロール66に取り付ける剥離部材61bは、第2スタッド73により下側フレーム68に回転可能に取り付けられているが、通常は上側フレーム67の曲げ部分77によって回転ができないように抑えられている。しかし、加熱ロール65を上側フレーム67と共に回転させて加圧ロール66との間隔が開くと、その上側フレーム67の曲げ部分77は最早ストッパとして働かなくなるため、加圧ロール66側の剥離部材61bは回転可能となるので、剥離部材61bの剥離作用辺61cと加圧ロール66のロール面との間隔を開けることができる。
【0042】
図7は、加熱ロール側の剥離部材を上側フレームに取りつけた状態の側面図であり、図8はその斜視図である。
【0043】
特開平3−054587号公報、実開平5−4171号公報、特開平11−133776号公報、特開平2000−98791号公報などに開示されている剥離機能を、金属基板に弾性体層を被覆した剥離部材に持たせた場合は、紙詰まり時に剥離部材が定着部材から離間し、その離間した剥離部材の剥離作用辺と定着部材表面との間の空間に紙詰まりの用紙が入り込んで剥離部材先端の弾性体層が破壊されるという問題がある。また、剥離部材と定着部材との相対的位置関係を規制するために剥離部材の一部を定着部材に押し当てて固定する等の手段を用いているが、剥離部材を固定するためにネジ止めするときの回転トルクが薄板状の剥離部材に加わり、剥離部材が変形してしまうという問題もある。さらに、剥離部材が変形すると剥離部材が定着部材に接触して定着部材の表面を傷つけたり、剥離部材先端の剥離作用辺の一部が定着部材表面から離れ、剥離性能を悪化させるという問題もある。これらの問題は、定着装置に限らず、剥離部材を用いる場合には一般的に起こりうる問題である。
【0044】
本実施形態の画像形成装置における上述した定着装置においては、これらの問題を以下の方法により解決している。
【0045】
図8に示すように、加熱ロール65側の剥離部材61aは、スプリング機能を有する押し当て部材72により定荷重で加熱ロール65側に押し当てられる一方、記録媒体を剥離するときに押し当て部材72が記録媒体から圧力を受け、加熱ロール65側とは逆方向に剥離部材61aを動かし、剥離作用辺が加熱ロールのロール面から離間しようとするのをストッパ部材で抑止している。
【0046】
図7に示すように、上側フレーム67に加熱ロール65と剥離部材61aとが取りつけられ、剥離部材61aは、記録媒体を剥離する剥離作用辺61cが加熱ロール65のロール面の接線方向に鋭角で近接するように取り付けられている。剥離部材61aは、2つのU溝で構成されたU溝部材71により上側フレーム67に固定され、U溝部材71は、図示しない突き当て用スプリング72によって一定の荷重で加圧されて加熱ロール側65に移動するが、剥離部材61aの剥離作用辺61aと加熱ロール65のロール面との間にわずかな間隙が開くような位置で剥離作用辺61cが停止するように、第3スタッド80が設けられ、その第3スタッド80は、加熱ロール65側の1方のU溝にはめ込まれている。また、記録媒体がニップ部を通過するときに、U溝部材71が加熱ロール65側とは逆方向の力を受けることにより剥離部材61aの剥離作用辺61cと加熱ロール65のロール面との間隙が開き過ぎないようにスクリュウネジからなるストッパ81が設けられている。このスクリュウネジからなるストッパ81は、上側フレーム67にネジ止めされているが、第3スタッド80によってU溝部材71の加熱ロール65側への移動が停止されているときには、スクリュウネジからなるストッパ81とU溝部材71との間に間隙が開くように構成されている。したがって、スクリュウネジからなるストッパ81は、ネジをまわして上側フレームに取り付け取外しを行っても、剥離部材61aに影響を及ぼすことはない。また、U溝部材71には第4スタッド82がはめ込まれているが、この第4スタッド82は、U溝部材の位置ずれを防止するために設けられたものである。
【0047】
ここでは、押し当て部材72にスプリング機能を持たせているが、剥離部材のロール軸方向両端2箇所に押し当て部材72を設ける場合には、スプリング機能に替えて押し当て部材近傍にスプリングを別に設けることもできる。また、スクリュウネジからなるストッパ81は、剥離部材61aが加熱ロール65側とは逆方向に移動したときに、その移動距離が1mm以下で働くような位置に配置することが好ましい。
【0048】
このように、スプリング機能を用いて定荷重で剥離部材61aを加熱ロール65側に押し当てることにより、ネジ止めするなどの締結固定によるねじり負荷がなくなるため、長尺の剥離部材61aの変形を回避することができる。また、紙詰まり時に剥離部材61aが用紙に押されても、スクリュウネジからなるストッパ81により剥離部材61aの剥離作用辺61cは加熱ロール65のロール面から一定以上離間することがないため、剥離部材61aの先端に形成された弾性体層が破損するのを防ぐことができる。さらに、スクリュウネジからなるストッパ81を設けることにより押し当て荷重は小さくすることが可能となり、押し当て荷重を小さくすれば、剥離部材61aが変形する機会が少なくなる。
【0049】
なお、このスクリュウネジからなるストッパ81は取り外しが可能であり、取り外すことにより剥離部材61aの剥離作用辺61cを加熱ロール65のロール面から離間させることもできる。
【0050】
図9は、加熱ロールの交換や清掃などのメンテナンスを行うときのU溝部材の状態を示す図である。
【0051】
図9において、上側フレーム67と、上側フレーム67に取り付けられた加熱ロール65とを回転自在に接続された第1スタッド70を中心にして回転させ、加熱ロール65を加圧ロール66と離間された状態である。そして、スクリュウネジからなるストッパ81が取り外され、剥離部材61aを上側フレーム67に取りつけるU溝部材71が図の右方にスライドされ、剥離部材61aの剥離作用辺61cと加熱ロール65のロール面との間隙が通常より大きく開いた状態とし、スクリュウネジからなるストッパ81を上側フレーム67に再度ネジ止めした状態となっている。スクリュウネジからなるストッパ81は、今度は第3スタッド80と同じU溝にネジ止めされて、U溝部材71が図の左方にスライドするのを抑止し、剥離部材61aの剥離作用辺61cが加熱ロール65のロール面に当たるのを防いでいる。
【0052】
この状態で、加熱ロール65は、剥離部材61aの剥離作用辺61cに触れることなく上側フレーム67から加熱ロール65を取り外すことができる。
【0053】
ここで、剥離部材61aは、U溝部材71およびスクリュウネジからなるストッパ81を用いる代わりに、例えば剥離部材61aが屈折したスライドレール上を移動することが可能な構成とすることもできる。
【0054】
表1は、剥離部材がスライドしてスクリュウネジからなるストッパが作用するまでの移動距離と紙詰まり時における剥離作用辺の状態を示す試験結果を示す表である。
【0055】
【表1】
Figure 0003780881
【0056】
試験環境としては定着装置を用い、定着装置の加熱ロールには、外径43mm、肉厚7.5mmのアルミ製芯金からなるロール表面に、肉厚3mm、ゴム硬度24度のシリコンゴム層が被覆され、そのシリコンゴム層の表面に30μmのPFA(パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体樹脂)が被覆されたものであり、加圧ロールには、外径46mm、肉厚6mmのアル製芯金からなるロール表面に、肉厚2mm、ゴム硬度24度のシリコンゴム層が被覆され、そのシリコンゴム層の表面に30μmのPFA(パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体樹脂)が被覆されたものである。また、剥離部材は、金属板に弾性体層を形成し、離型層をコーティングしたもので、金属板には0.2mm厚のSUSバネ材、弾性体層には、0.2mm厚の硬度60度フッ素ゴム、離型層には、30μm厚のフッ素樹脂がそれぞれ用いられている。なお、斜めにカットされ剥離作用辺をなす鋭角で交わる面がなす角度は34度、剥離作用辺から金属板までの弾性体層の距離を1mmとした。この剥離部材を、剥離部材先端部が加熱ロールと加圧ロールとのニップ部の出口から4mm、加熱ロール表面から0.5mm離間した位置に配置した。そして加熱ロールと加圧ロールとを9mmのニップ幅が形成されるように加圧し、各ロールの回転速度を220mm/s、加熱ロールの表面温度を170℃とし、加圧ロールの表面温度を140℃とした。
【0057】
評価基準は、◎は、105g/m2以下の秤量を有する用紙の紙詰まり状態において剥離部材先端にダメージが生じない。○は、105g/m2以下の秤量を有する用紙の紙詰まり状態において剥離部材先端に軽微なダメージが生じ、64g/m2以下の秤量を有する用紙の紙詰まり状態において剥離部材先端にダメージが生じない。△は、105g/m2以下の秤量を有する用紙の紙詰まり状態において剥離部材先端が破損するが、64g/m2以下の秤量を有する用紙の紙詰まり状態において剥離部材先端に軽微なダメージが生ずる。×は、64g/m2以下の秤量を有する用紙の紙詰まり状態において剥離部材先端が破損する状態を意味する。
【0058】
表1から明らかなように、剥離部材の移動距離を0.5mm以下とすれば剥離部材先端の剥離作用辺にはダメージが生じることがなく、剥離部材の移動距離を1mm以下とすれば剥離部材先端の剥離作用辺が破損することはないということがわかった。
【0059】
したがって、剥離部材を加熱ロール側に取りつける場合に、スプリング機能を用いて定荷重でロール側方向に剥離部材を押し当てるとともに、それとは逆方向の圧力に対してはストッパで抑止するという構成を用いることにより、加熱ロール表面に対する剥離部材の位置決めを精度良く行うことができるとともに、剥離部材の変形を回避できるので加熱ロール表面に傷が生じるのを防止できる。また定着部材の交換作業などが容易となりメンテナンス性の向上を図ることもできる。
【0060】
図10は、加圧ロール側の剥離部材を下側フレームに取りつけた状態を示す側面図である。
【0061】
特開平11−133776号公報、特開平2000−98791号公報などには、定着装置のロールの軸方向全体に亘って剥離部材を配置する方法が開示されている。また、紙詰まり等の際に剥離部材が定着部材の表面を傷つけないようにするため、剥離部材が定着部材に点接触しないようにする技術(特開平1−277272号公報)、剥離部材が定着部材に所定量食い込んだところにストッパ部材を設ける技術(実開昭61−088165号公報)が開示されている。また、薄板の金属基板と弾性部材とを一体成型した剥離部材も考えられている。
【0062】
本実施形態の加圧ロール側の剥離部材は、剥離作用辺をロール表面に接触させて用いている。加圧ロール側の剥離部材は、加熱ロール側と異なり、溶融したトナーと接触しないため、剥離作用辺を接触させても問題がない。また、加圧ロール表面に剥離作用辺を接触させることができるので、バネを用いることにより剥離部材の剥離作用辺と加圧ロール表面との関係をコントロールすることもできる。
【0063】
しかし、薄板の金属基板と弾性部材とを一体成型した剥離部材を接触させて用いる場合に、紙詰まり等が発生すると、紙詰まりとなった用紙の圧力により剥離部材の弾性部材が変形し、一体成型された金属基板が加圧ロールに接触してしまう場合も起こり得る。その場合、弾性部材の変形量が大きいと剥離部材の先端部分の弾性体層が金属基板からはがれてしまったり、加圧ロール表面に金属基板が接触して加圧ロール表面が傷ついてしまうという問題が生じる。
【0064】
剥離部材は薄い金属基板が弾性部材と一体成型されたものであるため、剥離部材の先端部以外を加圧ロール表面と接触させることはできないし、剥離部材が加圧ロールに食い込んだ位置にストッパ部材を設けると、ストッパの位置によっては金属基板が加圧ロールに食い込んでしまうので問題解決にはならない。これらは、定着装置に限らず、剥離部材を用いて記録媒体を剥離する場合には一般的に起こりうる問題である。本実施形態の画像形成装置では、以下の方法によりこれらの問題を解決している。
【0065】
図10において、図示しない加熱ロールおよび上側フレームは、既に、メンテナンスなどのために第1スタッドを中心に回転させていて、加圧ロールとは離間されている。加圧ロール66は、回転軸支持部材69により回転可能に支持され、加圧ロール66側の剥離部材61bは、第2スタッド73により回転軸支持部材69に回転可能に取りつけられている。
【0066】
加圧ロール66側の剥離部材61bは、図示しない引っ張りばね67で図の下方に引っ張られているので、剥離部材61b先端の剥離作用辺61cは加圧ロール66のロール面に接触しているが、回転軸支持部材69にストッパ部材74が設けられ、剥離作用辺61cがある程度ロール面に食い込むと剥離部材の突起部61dがストッパ部材74に突き当たるので、剥離作用辺61cがロール面に深く食い込まないようになっている。
【0067】
図11は、加圧ロール側の剥離部材とストッパ部材を示す図である。
図11に示すように、加圧ロール66は、回転軸支持部材69により回転可能に支持されている。加圧ロール66側の剥離部材61bは、第2スタッド73により回転可能に回転軸支持部材69に支持され、メンテナンスなどの際には第2スタッド73を中心にして回転させて剥離作用辺61cをロール面から離間させることができる。剥離部材61b先端の剥離作用辺61cは、加圧ロール66のロール面に接触しているが、剥離部材61bには突起部61dが設けてあり、その突起部61dは、通常は、回転軸支持部材69に設けられたストッパ部材74とギャップLを保って近接している。
【0068】
ここで、第2スタッド73とストッパ部材74とは、相互の位置関係を精度良く保つために、回転軸支持部材69の同一平面上に設けることが望ましい。
図12および図13は、剥離部材61b先端の剥離作用辺61cが加圧ロール66のロール面に接触している状態を示す拡大図であり、図12は、突起部61dとストッパ部材74とがギャップLを保って近接している通常状態を示し、図13は、そのギャップLがゼロとなった状態を示している。
【0069】
図12および図13に示すように、剥離部材61bの突起部61dと、ストッパ部材74との間のギャップLは、剥離部材61b先端部分の弾性体層が加圧ロール面と接触し、多少食い込んでもゼロとはならないように設定されている。しかし、紙詰まり等のためロール面への食い込みが大きくなり、剥離部材61b先端部分の弾性体層が撓んでも、突起部61dがストッパ部材74に突き当たるので剥離部材61bの金属基板がロール面と接触する直前にはギャップLがゼロとなり、剥離部材61b先端の弾性体層がそれ以上ロール面に食い込まないように設定されている。
【0070】
このように、剥離部材61bの弾性体層が加圧ロール66面にある程度食い込んでも、剥離部材61bの金属基板までが加圧ロール66面に食い込まない位置にストッパ部材74を設けているので加圧ロール表面が傷つけられることはない。
【0071】
表2は、ストッパ部材74を設けたことによる紙詰まり時の加圧ロール表面の状態と剥離部材先端部分の弾性体層の状態の試験結果を示す表である。
【0072】
【表2】
Figure 0003780881
【0073】
試験環境は、表1の評価環境と同じであることから、ここでは省略する。
【0074】
評価基準は、○は、105g/m2以下の秤量を有する用紙の紙詰まり状態において剥離部材先端にダメージがない。△は、105g/m2以下の秤量を有する用紙の紙詰まり状態において剥離部材先端に軽微なダメージがある。×は、105g/m2以下の秤量を有する用紙の紙詰まり状態において剥離部材先端部分に破損が発生するとともに、加圧ロール表面のPFAに破壊が発生する状態を意味する。
【0075】
表2から明らかなように、ストッパ部材74が設けられていない場合は、剥離部材先端部分が破損し、加圧ロール表面のPFAも破壊が発生する。一方、ストッパ部材を設ければ、金属基板の加圧ロールへの食い込みがあっても剥離部材の先端部分の破損は防止できる。ただし、加圧ロール表面のPFAの破壊は防げない。これに対し、金属基板が加圧ロールへ食い込まない位置にストッパ部材を設ければ、剥離部材先端部分の破損はもちろん、加圧ロール表面に傷が発生するのを防止することができる。
【0076】
上述した定着装置と剥離部材との関係については、加熱ロールと加圧ロールからなる定着装置を用いて説明したが、定着装置はロールを用いるものに限らずベルトを用いるものであっても適用可能であり、ロールの場合と同様の効果が得られる。また、剥離部材を定着装置に限らず、記録媒体を剥離する必要がある記録媒体の作用部材についても適用することにより、定着装置におけるのと同様の効果を得ることができる。
【0077】
次に、本発明の第1実施形態の画像形成装置に用いる剥離部材について説明する。
【0078】
図14は、本発明の第1の実施形態の画像形成装置に用いる剥離部材の断面図である。
【0079】
図14に示す剥離部材は、金属基板100の先端部に弾性体層101が形成され、弾性体層101の表面に離型層102がコーテイングされ、離型層102の表面102aには粗面が形成されている。
【0080】
本実施形態の剥離部材は、金属基板100の一方の端部側領域に弾性体層が形成され、その弾性体層の表面には微小な凸凹が設けられている。またその弾性体層の表面および弾性体層が形成されていない金属基板の表面にトナーの離型性がよいフッ素ゴムからなる離型層がコーティングされ、その離型層の表面にも、微小な凸凹が設けられている。そして、弾性体層の表面に形成された離型層の粗面の方が、金属基板の表面に形成された離型層の粗面よりも粗くなっている。
【0081】
表面が粗面になっていると、表面とは点接触となるので接触面積は減少する。高温の定着部材に最も近接し、ニップ部を出てきたばかりの比較的高温のトナー像と接触することとなる剥離部材の先端部分の粗面の粗さをそれ以外の部分に較べて粗くしているので、記録媒体との点接触面積はより小さくなり、溶融状態のトナー像が剥離部材に貼りついて走行不良を起こしたり、既に形成された画像のところどころのトナーが再溶融することによる光沢のむら、いわゆるグロスムラが発生するのを防いでいる。なお、剥離部材の先端部以外の領域では、先端部よりはトナー像が低温となった記録媒体が円滑に走行できるように粗さを先端部より小さく抑えている。
【0082】
ここで、微小な凸凹の大きさは、Rz値(「JIS B 0601」で規定された十点平均粗さの算術平均値をいう。以下同じ。)が3μm以上20μm未満とすることが好ましく、5μm以上15μm未満とすることがより好ましい。
【0083】
Rz値が3μm未満であると表面が鏡面に近くなるため、用紙と剥離部材との接触面積を小さくすることができず、表面に微小な凸凹を設ける効果が得られない。一方、Rz値が20μm以上になると用紙の先端が剥離部材表面の凸凹に引っ掛かり、用紙先端が折れ曲がるという問題が発生する。
【0084】
また、Rz値が5μm未満であると剥離部材の表面と用紙との接触により、表面の凸凹が短時間で磨耗し光沢のむら、いわゆるグロスムラが発生しやすくなる。一方、Rz値が15μm以上であると、用紙が薄い場合や用紙が含水している場合には用紙の先端が剥離部材に引っ掛かりやすくなる。
【0085】
表3は、剥離部材の粗面の粗さを変化させた場合の剥離性能のテスト結果を示す表である。
【0086】
【表3】
Figure 0003780881
【0087】
テスト環境としては、定着装置は、加熱ロールとして外径43mm、肉厚7.5mmのアルミ製芯金からなるロール表面に、肉厚3mm、ゴム硬度24度のシリコンゴム層を有し、シリコンゴム層の表面に30μmのPFA(パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体樹脂)被覆層を有するものを用い、加圧ロールには、外径46mm、肉厚6mmのアル製芯金からなるロール表面に、肉厚2mm、ゴム硬度24度のシリコンゴム層が被覆され、そのシリコンゴム層の表面に30μmのPFA(パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体樹脂)が被覆されたものを用いた。加熱ロールと加圧ロールを、9mmのニップ幅が形成されるように加圧し、各ロールの回転速度を220mm/s、各ロールの表面温度を170℃とし、加圧ロール表面温度を140℃とした。また、剥離部材は、先端部がニップ部の出口から4mm、加熱ロール表面から0.5mmの距離離間して配置した。
【0088】
表3は、テスト環境下における剥離性能テストの結果を示している。表1における評価基準は、画質に関しては、◎は、目視したときにグロスムラが全くわからない状態。○は、目視したときにグロスムラがわかるが許容できる状態。△は、目視したときにグロスムラがわかるが気にならない状態。×は、目視したときにグロスムラが目立つ状態を意味し、用紙走行性に関しては、◎は、全く問題がない状態。○は、用紙の走行が可能な状態。△は、用紙が薄い場合などの特殊条件下で用紙が引っ掛かる状態。×は、用紙が引っ掛かり走行不良が発生する状態を意味する。
【0089】
表3から明らかなように、画質に関しては、Rzが3未満ではグロスムラが目立つが、3以上ではグロスムラは問題にならない。しかし、用紙走行性に関してはRzが15未満では全く問題がない状態であるが、15以上になると普通紙では走行が可能だが、薄紙では引っ掛かる状態となり、20以上になると普通紙でも引っかかる状態となる。
【0090】
したがって、表3から、剥離部材表面の凸凹の大きさは、一般的にはRz値が3μm以上20μm未満とすればよく、薄紙などを用いる場合には5μm以上15μm未満とすればよいことがわかる。
【0091】
このように剥離部材の一方の面が粗面となっているので剥離される記録媒体と剥離部材とは点接触となり、記録媒体上に形成されたトナー像が剥離部材に接触する面積が小さくなるので、剥離後のトナー像が剥離部材でこすられることによる画像ダメージを防止することができる。また、剥離部材が高温になっていても記録媒体に伝導する熱量が小さくなるので、定着直後の画像にグロスムラを与えたり、記録媒体裏面の既に定着済みの画像などを再度熔融させて、剥離後の記録媒体が剥離部材に貼り付いてしまうことによるトラブルを防止することができる。
【0092】
ここで、金属基板100は、SUS製であり、弾性体層101は、SUS基板上にフッ素ゴムを被覆して成型し、離型層102は、その弾性体層101表面および金属基板に離型性のよいフッ素樹脂を被覆して形成している。なお、離型層102はフッ素樹脂に代えてフッ素ゴムをコーテイングしてもよい。
【0093】
このように、金属基板100を用いているので、プラスチックシート等を剥離部材として用いる場合に生ずる熱により波状の変形が防止できる上、紙から発生する水蒸気が金属近傍で急激かつ連続的に冷却されて生じる結露は、金属基板100に弾性体を成型し、剥離部材の熱伝導率を小さくすることにより防止している。また、弾性体層101や金属基板100の表面には離型性のよいフッ素樹脂がコーテイングしてあるので、剥離の際にトナーが剥離部材にオフセットしたり、堆積したりするのを防止することができる。
【0094】
次に、弾性体層101に用いるフッ素ゴムあるいはフッ素樹脂などの弾性部材のゴム硬度について説明する。
【0095】
ゴム硬度は、低くなると弾性体層101の強度が弱くなるため、加熱ロールから用紙を剥離する際に紙詰まりが発生し、弾性体層101がアコーディオン状態の用紙から圧力を受けると破壊されてしまう。
【0096】
一方ゴム硬度は、高くなると弾性が低くなり弾性体層101が硬くなるため、ジャム発生などにより弾性体層101が加熱ロールに接触すると加熱ロールを傷つける場合がある。
【0097】
したがって、弾性体層101に用いている弾性部材のゴム硬度は、50度以上90度以下の範囲のものを用いることが好ましく、60度ないしは70度のものを用いることがより好ましい。
【0098】
次に本実施形態の剥離部材全体及び各部材の寸法の最適範囲について説明する。
【0099】
図15は、本実施形態の剥離部材の先端部分付近の形状と加熱ロール表面との関係を示す模式図である。
【0100】
図15の示す剥離部材は、金属基板100と弾性体層101とを示し、離型層102は省略してある。
【0101】
本実施形態の剥離部材の先端部は、弾性体層101が斜めにカットされ、定着部材に近接して配置される剥離作用辺101aが鋭角θで交わる二面により形成されている。用紙の先端部分はトナー像が転写されていない余白部であるため、用紙の先端がニップ部から出て剥離部材に達するころには用紙の先端と加熱ロール表面との間隔は、剥離部材と加熱ロール表面との隙間Gよりも大きい状態となっている。そこで用紙の先端部分は、加熱ロールが回転するのに伴って剥離部材の斜めにカットされた面に沿って移動しストレスを受けない。すなわち、剥離部材の先端部分を斜めにカットしたことにより、剥離部材が剥離作用をなす辺を、鋭角で交わる辺に移行させることができることを意味する。この結果、加熱ロール表面から剥離作用辺までの距離Lは、加熱ロール表面と剥離部材との間の隙間Gと等しくなり、剥離部材の厚さを見掛け上ゼロにすることができる。
【0102】
すなわち、金属基板に弾性体を被覆することにより剥離部材の厚さが増しても、剥離作用に関する限り、厚さを見掛け上ゼロとすることができるので、剥離性能の向上を図ることができる。
【0103】
ここで、定着部材に最近接する剥離作用辺101aを形成する、斜めにカットされた二面で交わる鋭角θの角度は、25度以上で、かつ、45度以下とすることが望ましい。
25度未満になると、弾性体層101が破損しやすく、45度を越えると、剥離作用をなす辺が鋭角θに交わる剥離作用辺101aに移行しないので、剥離性能の改善度合いが低くなってしまうからである。
【0104】
図15に示す剥離部材は、金属基板100および弾性体層101があり、金属基板100の厚さがt2、弾性体層101の厚さがt1、剥離部材全体の厚さがt3である。また剥離部材の先端の剥離作用辺101aから金属基板100までの間の弾性体層101の寸法はXであり、斜めにカットされた面101bと金属基板100の端部との間の距離はYである。
【0105】
先ず、金属基板100の厚さt2、弾性体層101の厚さt1、および剥離部材全体の厚さt3の最適範囲について説明する。
【0106】
金属基板100は、薄すぎると剥離部材の強度を満たすことができず、また均一に成形することが難しいので、0.1mm以上にする必要がある。また、弾性体層101も、金属基板100と同様に、薄すぎると剥離時や紙詰まり時に変形して剥離機能を発揮できず、また均一に成型するのが困難であるから、0.1mm以上とする必要がある。
【0107】
一方剥離部材全体の厚さt3は、厚すぎると、例えば定着装置のニップ部の記録媒体出口側に設置したときに、記録媒体の排出路を狭めてしまい、厚手の記録媒体やカールした記録媒体が剥離部材に接触し勝ちとなるので、紙詰まりや画像ダメージを与える場合が多くなる。
【0108】
したがって、金属基板100および弾性体層101の厚さがそれぞれ0.1mm以上となるように、金属基板100および弾性体層101の厚さをそれぞれ変化させた剥離部材を形成し、その剥離部材を用いてテストし、そのときのグロスムラや画像ダメージの発生状況、走行性能等の評価結果に基づいて最適範囲を求める。
【0109】
表4は、金属基板100の厚さt2を、0.1mm以上に変化させるとともに、弾性体層101の厚さt1を、0.1mm以上に変化させて形成した剥離部材の、用紙走行性および画像ダメージに関するテスト結果を示す表である。
【0110】
【表4】
Figure 0003780881
【0111】
テスト環境としては定着ロールと加圧ロールからなる定着装置を用いた。定着ロールには、外径43mm、肉厚7.5mmのアルミ製芯金からなるロール表面に、肉厚3mm、ゴム硬度24度のシリコンゴム層を有し、シリコンゴム層の表面に30μmのPFA(パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体樹脂)被覆層を有するものを用い、加圧ロールには、外径46mm、肉厚6mmのアル製芯金からなるロール表面に、肉厚2mm、ゴム硬度24度のシリコンゴム層が被覆され、そのシリコンゴム層の表面に30μmのPFA(パーフルオロアルキルビニールエーテル共重合体樹脂)が被覆されたものを用いた。定着ロールと加圧ロールを、9mmのニップ幅が形成されるように加圧し、定着ロールの回転速度を220mm/s、各ロールの表面温度を170℃とし、加圧ロールの表面温度を140℃とした。また、剥離部材は、先端部がニップ部の出口から4mm、定着ロール表面から0.5mmの距離離間して配置した。
【0112】
表4から明らかなように、金属基板100と弾性体層101の合計の厚さt3が0.4mm以下の場合は、用紙の走行性、画像ダメージともにトラブルがなく良好であった。金属基板100と弾性体層101の合計の厚さt3が0.6mm以下の場合は、普通紙の走行性については問題が生じなかったが、厚紙等については画像ダメージが発生した。また、金属基板100の厚さt2や弾性体層101の厚さt1が0.6mmを越えると、用紙の排出部が狭くなることによる用紙の走行不良が発生した。
【0113】
この性能テストにより、金属基板100の厚さt2を、0.1mm以上0.5mm以下の範囲とし、弾性体層101の厚さt1を、0.1mm以上0.5mm以下の範囲とするとともに、剥離部材全体の厚さt3を0.6mm以下となるよう組み合わせればおおむね良好な剥離性能が得られることがわかる。
【0114】
次に、剥離部材の先端部の弾性体層の寸法Xの最適範囲について説明する。
剥離部材が、例えば金属基板100の厚さt1が0.2mm、弾性体層101の厚さt2が0.2mm、斜めにカットされた面101bの鋭角をなす角度θが34度のものである場合の寸法Xについて説明する。
【0115】
Xを0.5mm以下にすると34度をなす斜めにカットされた面101bと金属基板100の端部との間の距離Yが小さくなり、弾性体層101のその部分の肉厚が薄くなってしまうので、剥離部材の先端部の強度が不足し、先端部が折損する恐れがある。一方、2mm以上にすると弾性体層101の強度と剥離部材の強度とが同一になってしまい紙詰まり時の用紙の力で剥離部材の先端部が破壊する恐れがある。したがって、Xは、0.5mm以上2mm以下とればよいことがわかる。
【0116】
上述したように、金属基板100の厚さt2は、0.1mm以上0.5mm以下弾性体層101の厚さt2は、0.1mm以上0.5mm以下であればよく、また斜めにカットされた鋭角の角度θは45度以下であればよいので、金属基板100の厚さt1が0.2mm、弾性体層101の厚さt2が0.2mm、斜めにカットされた面101bの鋭角をなす角度θが34度のものについて説明したのと同様の考え方を適用して、各t1、t2および各θに対する最適範囲のXを求めることができる。
【0117】
次に本発明の第2実施形態について説明する。
【0118】
第2の実施形態は、第1の実施形態と較べて画像形成装置に用いる剥離部材が相違するがそれ以外は共通する。したがって相違点について説明する。
【0119】
図16は、本発明の第2実施形態で用いる剥離部材の断面図である。
【0120】
本実施形態で用いる剥離部材は、金属基板100の片面全体に弾性体層101が被覆されている点が相違する。
【0121】
図16に示す剥離部材は、SUS製の金属基板100の片面全体に、フッ素ゴムからなる弾性体層101が形成され、弾性体層101の表面は粗面をなしている。そして、その弾性体層にはさらに離型性を有するフッ素樹脂もしくはフッ素ゴムがコーテイングされ、離型層102を形成している。なお、離型層102の表面は粗面となっている。
【0122】
ここで、離型層102は、独自に微小な凸凹を設けなくても、弾性体層1010の微小な凸凹に沿ってコーテイングすることにより粗面を形成することができる。
【0123】
このように金属基板を基体とすることにより剥離部材の波状の熱変形を防止できる上、金属板の記録媒体と接する側に弾性体層が形成され、剥離部材の記録媒体と接する側の面の熱伝導率が小さくなっているので記録媒体から発生する水蒸気が金属近傍で急激かつ連続的に冷却されて生じる結露を防止することができる。また、剥離部材にトナーが付着したり、付着したトナーが他の記録媒体にオフセットするのを防止することができる。
【0124】
また、剥離部材の記録媒体と接する側全面に微小な凸凹が設けられているので、グロスムラ、画像ダメージを防止することができるとともに、剥離後の記録媒体が剥離部材に貼り付いてしまうことによるトラブルを回避できる。
次に本発明の第3の実施形態について説明する。
【0125】
第3の実施形態は、第1の実施形態と較べて画像形成装置に用いる剥離部材が相違するがそれ以外は共通する。したがって相違点について説明する。
【0126】
図17は、本発明の第3実施形態で用いる剥離部材の断面図である。
【0127】
本実施形態で用いる剥離部材は、金属基板100の片面全体に弾性体層101が被覆されているが、離型層を有しない点が相違する。
【0128】
図17に示すように、剥離部材は金属基板100の片面全体に離型性のよい弾性部材からなる弾性体層101が被覆され、その弾性体層101の表面には粗面が形成されている。
【0129】
本実施形態の剥離部材も、金属基板が用いられているので波状の熱変形を防止することができる。また、金属基板の記録媒体と接する側に弾性体層もしくは樹脂層が形成され剥離部材の、記録媒体と接する側の面の熱伝導率が小さくなっているので記録媒体から発生する水蒸気が金属近傍で急激かつ連続的に冷却されて生じる結露を防止することができる。また、弾性体層には離型性がよい部材が用いられているので、剥離部材にトナーが付着したり、付着したトナーが他の記録媒体にオフセットするのを防止することができる。
【0130】
また、剥離部材の記録媒体と接する側全面に微小な凸凹が設けられているので、グロスムラ、画像ダメージを防止することができるとともに、剥離後の記録媒体が剥離部材に貼り付いてしまうことによるトラブルを回避できる。
上述した第1の実施形態から第3の実施形態では金属基板上に弾性体層が形成されているが、弾性体層に替えて耐熱性かつ耐磨耗性の樹脂により形成された樹脂層とすることもできる。弾性体層に替えて樹脂層を用いると剛性が高くなるので、剛性が高い剥離部材とすることができる。硬度60度ないしは70度の弾性体層を用いた剥離部材は、例えば定着部材などにに接触させて記録媒体を剥離するために用いることができるが、樹脂層を用いた剥離部材は、弾力性に欠け定着部材などを傷付けるためそのような個所で用いることはできないが、強度が要求される個所には好適である。
【0131】
このような樹脂層を用いる剥離部材であっても、樹脂層の表面に微小な凸凹を設けたり、さらに樹脂層にコーティングされる離型層に微小な凸凹を設けるのが好ましい。さらに、樹脂層が剥離部材の作用部材側領域にのみ存在する場合は、その樹脂層に微小な凸凹を設けたり、あるいは剥離部材の記録媒体と接する側の面全体に離型層をコーティングしその離型層に微小な凸凹を設けることにより、作用部材側領域の粗面とそれ以外の領域の粗面とでは相互に異なる粗さとしてもよい。剥離部材は作用部材側、例えば定着部材に最も近い、先端部が熱の影響を最も受けやすい。したがって、先端部表面の粗さが粗いと記録媒体との接触面積を小さくすることができるので、結果的に熱の影響を抑えることができる。
【0132】
次に本発明の第4の実施形態について説明する。
【0133】
図18は、本発明の画像形成装置の第4の実施形態である電子写真方式を用いたレーザプリンタの概略構成図である。
【0134】
本実施形態のレーザプリンタは、画像データが入力される入力部と、入力された画像データについてルックアップテーブルを用いた階調補正等を行う画像処理部と、画像出力部であるイメージアウトプットターミナル(以下、IOTと称する)とを備えているが、ここでは、IOTについて示している。
【0135】
図18に示すレーザプリンタのIOTは、矢印A方向に回転する感光体ドラム110、感光体ドラム110の表面を帯電させるスコロトロン帯電器112、帯電された感光体ドラム110の表面を不図示の画像処理部で処理された画像データに基づいて変調した露光光により露光して感光体ドラム110上に静電潜像を形成するレーザ出力部(以下、ROSと称する)113、感光体110上の静電潜像をトナーで現像して感光体ドラム110上にトナー像を形成する現像器114、感光体ドラム110上のトナー像を用紙Pに転写する転写器115、転写されたトナー像を用紙Pに定着するため加熱ロール116aと加圧ロール116bによりニップ部8を形成する定着器116、用紙Pを収納する用紙トレイ117、感光体ドラム110の表面をクリーニングするクリーナ部材118、感光体ドラム110表面の残留電荷を除去する除電器119、画像が形成された用紙Pが排出される用紙排出台120、用紙排出台120まで用紙を搬送する用紙搬送ベルト121、および定着器116の一方の定着部材に近接して配置し、ニップ部から出てきた用紙をその定着部材から剥離する剥離部材122を備えている。
【0136】
本実施形態のレーザプリンタは、外部のコンピュータ(図示せず)などで作成された画像信号が入力部(図示せず)に入力され、画像処理部(図示せず)が、この画像信号についてルックアップテーブルを用いた階調補正等の適切な画像処理を行い、ROS113に処理した画像信号を出力する。ROS113は、画像処理部から送られてきた画像信号に基づいて露光光であるレーザ光線を変調する。また、感光体ドラム110の表面はスコロトロン帯電器112により一様に帯電される。そして、ROS113は、レーザ光線を感光体ドラム110の表面にラスタ照射する。感光体ドラム110の表面にレーザ光線が照射されると、感光体ドラム110上には画像信号に対応した静電潜像が形成される。次いで、感光体ドラム110上の静電潜像は、現像器114内のトナーによって現像されてトナー像となる。このトナー像は感光体ドラム110の矢印A方向への回転に伴われて、感光体ドラム110に対向して配置された転写器115に向かって搬送される。一方、用紙トレイ117に収容されている用紙Pは、感光体ドラム110と転写器115との間に用紙搬送ベルト121により搬送される。さらに、転写器115は搬送されてきた用紙P上に感光体ドラム110上のトナー像を転写する。さらに、転写されたトナー像は定着装置116の加熱ロール116aおよび加圧ロール116bにより用紙P上に定着され、所望の画像が用紙P上に形成される。この場合、用紙に定着された直後のトナー像は溶融しているため加熱ロール116aに張りついたままニップ部から出てくる場合が多いので、用紙Pは、加熱ロール116aに近接して配置された剥離部材122によりその加熱ロール116aから剥離される。画像形成が行われた用紙Pは、用紙搬送ベルト121により用紙排出台120に排出される。用紙P上へのトナー像の転写が終了した感光体ドラム110は、クリーナ部材118により表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングされ、除電器119により残留電荷が除去されて、一回の画像形成動作が終了する。
【0137】
ここでは剥離部材122を定着装置116に配置しているが、定着装置116以外でも、搬送中の用紙と接触する他の作用部材からその用紙を剥離する場合にこの剥離部材122を用いてもよい。
【0138】
図19は、本実施形態の画像形成装置に用いられている定着装置と剥離部材とを示す図である。
【0139】
図19に示す定着装置は、内部に熱源130を有し、回転方向Aに回転する加熱ロール116aと、この加熱ロール116aに接触することによってニップ部131を形成しながら回転方向Bに回転する、内部に熱源130を有する加圧ロール116bとを備え、そのニップ部131に搬送されてきた未定着トナー像132を担持する用紙Pを挟んで加熱するとともに加圧し、その未定着トナー像132を用紙Pに定着させる。
【0140】
加熱ロール116aと加圧ロール116bは、ともに内部に熱源130を有する金属製の基質ロール133と、この基質ロール133に被覆された内側弾性体層134と、内側弾性体層134に被覆され、離型性のよいフッ素樹脂などで形成された表面層135を有する。加熱ロール116aと加圧ロール116bは、内側弾性体層134の弾性作用により、相互間に適度の圧力のニップ部131を形成するとともに、ニップ部131を通過する用紙Pを加熱とともに加圧する一方、表面層135の有する離型作用によって、用紙Pの未定着トナー像132が加熱ロール116a表面に付着するのを防止している。
【0141】
また、板状の剥離部材122が、加熱ロール116aに先端部が最近接するように配置されており、ニップ部131を通過して出てきた用紙Pは、その剥離部材122により加熱ロール116aから剥離される。
【0142】
ここで、両面プリント機能を有する画像形成装置において、裏面にもプリントする場合は、両面にトナー像6を定着させた用紙Pがニップ部131を再度通過する。このとき、両面にプリントされたようしPが加圧ロール116b側に巻付いてニップ部131からでてくる場合があるので、加圧ロール116bの回転方向Bに関しニップ部131の下流側にも板状の剥離部材122を加圧ロール116bに最近接するように配置してもよい。
【0143】
本実施形態においては、一対の定着部材がともにロールである定着装置について説明したが、ロールに代えて、複数のロールに掛け渡されたベルトからなる定着部材を用いてもよく、あるいは固定された圧接部材にベルトを巻回した定着部材を用いるものであってもよい。また、内部にそれぞれが熱源を有するロールについて説明したが、ロールの一方が熱源を有するものであってもよく、あるいは、圧接部材やベルトが熱源を有するものであってもよい。
【0144】
図20は、本発明の第4の実施形態で用いる剥離部材の断面図である。
【0145】
図20において、剥離部材はSUS製の板状の金属基板100からなり、記録媒体を剥離する一方の面には微小な凸凹が設けられている。
【0146】
このように金属基板を基体とすることにより剥離部材の波状の熱変形を防止できる。また、剥離部材の記録媒体と接する側全面に微小な凸凹が設けられているので、グロスムラ、画像ダメージを防止することができるとともに、剥離後の記録媒体が剥離部材に貼り付いてしまうことによるトラブルを回避できる。
【0147】
なお、本実施形態は、剥離部材が金属基板100であってロール面を傷付けやすいので、定着部材などの記録媒体作用部材から非接触で記録媒体を剥離する場合や、ジャム発生などのトラブルがあっても、例えばロール面に剥離部材の先端が食い込まないように支持部材で支持されている場合などに用いることができる。
【0148】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0149】
第5の実施形態は、第4の実施形態と較べて、剥離部材が相違するがそれ以外は共通する。したがって剥離部材について説明する。
【0150】
図21は、本発明の第5の実施形態に用いる剥離部材の断面図である。
【0151】
図21に示す剥離部材は、板状の金属基板100と、その金属基板100の記録媒体と接する側の面に被覆された離型層102とからなり、その離型層102は、表面が粗面となっている。金属基板100はSUS製であり、そのSUS製基板には、離型性を有するフッ素樹脂もしくはフッ素ゴムがコーテイングされ離型層102を形成している。
【0152】
このように、金属板を基体とすることにより波状の熱変形を防止できる上、金属板には離型性のよい離型剤がコーテイングされているので、トナーが付着したり、他の記録媒体にオフセットするのを防止することができる。また、離型層の表面に微小な凸凹が設けられているので、グロスムラ、画像ダメージを防止することができるとともに、剥離後の記録媒体が剥離部材に貼り付いてしまうことによるトラブルが回避できる。
【0153】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の画像形成装置によれば、板状の剥離部材表面に微小な凸凹が設けてあるので、面接触を回避し、画像ダメージやグロスムラ、画像の再溶融による用紙の走行不良を防止できる。また、金属基板を基材とすることにより波状の熱変形を防止できる上、弾性体層を被覆することにより、ニップ部から出てきたばかりの記録媒体から発生する水蒸気が金属近傍で急激かつ連続的に冷却されて生じる結露を防止することもできる。さらに、離型層をコーティングすることにより剥離部材にトナーが付着したり、付着したトナーが他の記録媒体にオフセットするのを防止することもできる。また、剥離部材先端部を斜めにカットすることにより剥離性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態が適用される画像形成装置を示すタンデム型カラープリンタのIOTの概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に用いる定着装置と剥離部材とを示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態に用いる定着装置と剥離部材とを示す側面図である。
【図4】図3に示した剥離部材を取り付けた定着装置全体の側面図を透過した図である。
【図5】メンテナンス等の際に上側フレームを回転させ、加熱ロールと加圧ロールとを離間させたときの側面図である。
【図6】メンテナンス等の際に上側フレームを回転させ、加熱ロールと加圧ロールとを離間させたときの斜視図である。
【図7】加熱ロール側の剥離部材を上側フレームに取りつけた状態の側面図である。
【図8】加熱ロール側の剥離部材を上側フレームに取りつけた状態の斜視図である。
【図9】加熱ロールの交換や清掃などのメンテナンス時のU溝部材の状態を示す図である。
【図10】加圧ロール側の剥離部材を加圧ロール回転軸支持部材に取りつけた状態を示す側面図である。
【図11】加圧ロール側の剥離部材とストッパ部材を示す図である。
【図12】剥離部材先端の剥離作用辺が加圧ロールのロール面に接触している状態を示す拡大図(通常状態)である。
【図13】剥離部材先端の剥離作用辺が加圧ロールのロール面に接触している状態を示す拡大図(ギャップがゼロとなった状態)である。
【図14】本発明の第1実施形態で用いる剥離部材の断面図である。
【図15】本実施形態の剥離部材の先端部分付近の形状と加熱ロール表面との関係を示す模式図である。
【図16】本発明の第2実施形態で用いる剥離部材の断面図である。
【図17】本発明の第3実施形態で用いる剥離部材の断面図である。
【図18】本発明の画像形成装置の第4の実施形態である電子写真方式を用いたレーザプリンタの概略構成図である。
【図19】本実施形態の画像形成装置に用いられている定着装置と剥離部材とを示す図である。
【図20】本発明の第4の実施形態で用いる剥離部材の断面図である。
【図21】本発明の第5実施形態で用いる剥離部材の断面図である。
【符号の説明】
50 中間転写ベルト
51 ロール
52、110 感光体ドラム
53 帯電器
54 露光装置
55、114 現像器
56 一次転写器
57 給紙トレイ
58 記録媒体
59 二次転写器
60a 一対の定着部材
60b ニップ部
61、61a、61b 剥離部材
61c、101a 剥離作用辺
62 クリーナ
63 ベルトクリーナ
65 加熱ロール
66 加圧ロール
67 上側フレーム
68 下側フレーム
69 回転軸支持部材
70 第1スタッド
71 U溝部材
72 押し当て部材
73 第2スタッド
74 ストッパ部材
75 ガイド部材
76 引っ張りばね
77 曲げ部分
80 第3スタッド
81 ストッパ
82 第4スタッド
100 金属基板
101 弾性体層
101b 斜めにカットされた面
102 離型層
113 ROS
115 転写器
116 定着器
116a 加熱ロール
116b 加圧ロール
117 用紙トレイ
118 クリーナ部材
119 除電器
120 用紙排出台
121 用紙搬送ベルト
122 剥離部材
130 熱源
131 ニップ部
132 未定着トナー像
133 基質ロール
134 内側弾性体層
135 表面層

Claims (5)

  1. トナー像を形成し、形成されたトナー像を最終的に記録媒体上に転写および定着することにより該記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
    記録媒体の搬送経路に配備され搬送中の記録媒体に接触して該記録媒体に所定の作用を及ぼす作用部材と、
    一辺が前記作用部材に接触あるいは近接して配備され、搬送中の記録媒体を前記作用部材から剥離させる板状の剥離部材とを備え、
    前記剥離部材は、金属基板と、該金属基板の、少なくともこの剥離部材が記録媒体と接する側の面に被覆された、記録媒体上の溶融トナーの付着を妨げる離型層と、
    前記金属基板と前記離型層との間に挟まれた、前記金属基板よりも熱伝導率が小さい弾性体層もしくは樹脂層とを有するものであって、
    前記離型層表面が、R z 値が3μm以上、20μm未満の範囲の粗面に形成されてなるものであることを特徴とする画像形成装置。
  2. 搬送中の記録媒体を挟んで加熱および加圧することにより該記録媒体上にトナー像を定着させる一対の定着部材を備え、
    前記作用部材は、前記一対の定着部材のうちの一方の定着部材であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記剥離部材の弾性体層もしくは樹脂層は、前記離型層と接する面に粗面を有するものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 前記樹脂層は、耐熱性かつ耐磨耗性の樹脂により形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  5. 前記剥離部材は、前記弾性層もしくは樹脂層を、前記金属基板のうちの該剥離部材が前記作用部材に接触あるいは近接する側の領域にのみ有するものであって、前記離型層表面は、該離型層の、前記弾性層もしくは樹脂層の上に形成された領域と該領域を除く領域とでは、表面の粗さが相互に異なるものであることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
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