JP2003316172A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP2003316172A
JP2003316172A JP2002122197A JP2002122197A JP2003316172A JP 2003316172 A JP2003316172 A JP 2003316172A JP 2002122197 A JP2002122197 A JP 2002122197A JP 2002122197 A JP2002122197 A JP 2002122197A JP 2003316172 A JP2003316172 A JP 2003316172A
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JP2002122197A
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English (en)
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Onori Yoshino
大典 吉野
Hiroaki Awano
宏明 粟野
Kazuhiko Arai
和彦 新井
Yuka Nakayama
由香 中山
Hiroyuki Suzuki
浩幸 鈴木
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中間転写ベルトや定着ベルト等を有し、その
中間転写ベルト、定着ベルト等の表面に使用段階で離型
剤を塗布してトナー等に対する離型性を確保する画像形
成装置において、その離型剤の塗布による汚染を発生さ
せることなく、特にその中間転写ベルト、定着ベルト等
の表面の使用初期段階におけるトナーに対する付着力を
抑制できるようにする。 【解決手段】 画像形成装置に使用する中間転写ベルト
や定着ベルト等は、少なくとも未使用段階で、その表面
にジメチルシリコーンオイル等の離型剤を塗布するとと
もにその塗布面に当接部材を当接させる離型前処理が施
されているものとする。その離型前処理は、その離型剤
を塗布する前又は同時に、中間転写ベルト等の表面のト
ナー像に対する付着力を上昇させる付着力上昇処理を併
せて行う処理とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真方式等を
利用してトナー像を形成するプリンタ、複写機、複合機
等の画像形成装置に係り、特にそのトナー像からなる画
像として光沢感に優れた画像を記録用紙に形成し得る画
像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、画像光沢に優れた画像を得るため
の画像形成装置として、画像情報に応じて形成されるト
ナー像をベルト形態の像担持体に担持させ、その像担持
体上のトナー像を当該像担持体の表面に接触するように
供給される記録用紙に少なくとも加熱及び加圧して転写
させるとともに定着させる方式の画像形成装置が提案さ
れている(特開平10−63028号公報など)。
【0003】図31は、上記画像形成装置の一例を示す
要部概念図である。この画像形成装置では、電子写真方
式を利用した作像ユニット100で感光ドラム110に
するトナー像が転写器150により矢印方向に回転する
中間転写ベルト200に転写された後、ベルト加熱体2
10により例えばトナー軟化点まで加熱される。次い
で、この加熱された中間転写ベルト200上のトナー像
が、中間転写ベルト200を挟んだ状態で圧接して配置
された一対の転写ロール310、320の転写ロール3
20側と中間転写ベルト200と間の圧接部に供給され
る記録用紙Pに転写されるとともに定着される。このト
ナー像の転写定着は、その圧接部を通過した後の記録用
紙Pが中間転写ベルト200に密着した状態で搬送され
た後、剥離ロール220に達する頃に中間転写ベルト2
00から剥離されることにより完了する。このような転
写定着が行われることにより、記録用紙Pには中間転写
ベルト200の表面平滑さがそのまま転写されたような
平滑性に富むトナー像が形成され、光沢感に優れた画像
を得ることができる。図中の符号230はベルト支持ロ
ール、240は中間転写ベルト200の表面を清掃する
ためのクリーニングロールである。
【0004】そして、このような画像形成装置における
中間転写ベルト200としては、そのベルト表面と記録
用紙との密着性を良くする観点から、ベルト基材に弾性
を有する材料からなる表面層を形成した2重構造のもの
が適しているとされている。その表面層としては、例え
ば以下のようなゴム材料、樹脂材料等にて形成されるも
のが挙げられる。
【0005】まず、シリコーンゴムにより形成した表面
層が挙げられる。この表面層では、良好な弾性や、常温
でのトナーに対する粘着性や、溶融したトナーとの離型
性などが得られる一方で、シリコーンゴムとトナーとの
相互作用により一部のトナー顔料がシリコーンゴムに沈
着し、これにより光沢の劣化や沈着画像によるゴースト
が発生することがある。また、この表面層では、トナー
としてワックス等の離型剤を含有させたタイプのトナー
を使用した場合、その離型剤のシリコーンゴムとのなじ
みがよい等の理由から、かかる離型剤が表面層に残留し
やすくなり、その離型剤により作像ユニットにおける感
光ドラム表面を汚染してしまうことがある。
【0006】また、フッ素樹脂により形成した表面層が
挙げられる。この表面層では、トナーやそれに含有され
る離型剤をはじきやすい特性が得られるため当該表面層
へのトナー顔料の沈着や離型剤の残留が発生しなくなる
が、弾性がなく比較的硬い物性を示すため転写定着時に
おける記録用紙との密着性が悪いという不具合がある。
このフッ素樹脂層の下にゴム層を設けて二重構造の表面
層として形成することも可能であるが、この場合は、表
層側のフッ素樹脂層がその下層側のゴム層の変形(動
き)に追従できないため表面に割れが発生してしまうこ
とがある。
【0007】また、シリコーン樹脂により形成した表面
層が挙げられる。この表面層では、トナー顔料の沈着や
表面に割れが発生することがある。また、シリコーンゴ
ムにフッ素樹脂を添加物として添加した材料により表面
層を形成することも可能であるが、この場合には、その
表面にフッ素樹脂成分が均一に出ないためトナーや離型
剤をはじきにくいという特性が得られず、フッ素樹脂の
添加物が欠落してしまうことがある。
【0008】さらに、主鎖にパーフルオロポリエーテル
を含む特定のフッ素ゴムにより形成した表面層が挙げら
れる。この特定のフッ素ゴムは、シリコーンゴムとフッ
素ゴムの優れた特性を併せ持つ材料である。この表面層
では、シリコーンゴムと同等の弾性を有するため中間転
写ベルトの記録用紙との良好な密着性が得られ、またそ
の表面に割れが発生することがない。また、フッ素成分
によるトナーやそれに含有される離型剤をはじきやすい
という特性が得られるためトナー顔料の沈着や離型剤の
残留を発生することがない。このようなことから、この
表面層は中間転写ベルトの表面層として最も適したもの
と認められる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
画像形成装置にあっては、その画像形成回数(プリント
枚数など)が増えるにつれて、中間転写ベルト200が
記録用紙の接触や加熱工程によるストレスを受けてトナ
ーとの付着力が上昇するようになり、やがては中間転写
ベルト上に担持されたトナー像を記録用紙に完全に転写
させることができず中間転写ベルトに残ってしまい、画
像オフセット又は白抜けと呼ばれる画像欠陥を引き起こ
すという問題がある。
【0010】この中間転写ベルトのトナーとの付着力の
上昇は、中間転写ベルトとして前記特定のフッ素ゴムか
らなる表面層を形成したものを使用するとともに、トナ
ーとして離型剤含有のトナーを使用した場合であって
も、かかる表面層が離型剤をはじきやすいという特性か
らその離型剤による離型効果が有効に発揮されず、その
表面層に記録用紙の紙粉などが付着するようになるため
発生してしまう。
【0011】そこで、このような中間転写ベルトのトナ
ー付着力の上昇を防止する対策としては、その中間転写
ベルトの表面に離型剤としてシリコーンオイルを塗布す
る手段を採用することが効果的である(例えば特開平5
−107950号公報)。
【0012】しかし、この場合には、特に中間転写ベル
トが未使用(新品)のものであると、その使用を開始し
てから数百枚から数千枚の間の画像形成時におけるトナ
ー付着力の上昇を有効に防止することができず(図30
参照)、エンボス紙、画用紙、賞状用紙等のようなラフ
紙(表面が比較的粗い状態の用紙)を使用した場合には
白抜けが発生してしまうという課題がある。この現象
は、中間転写ベルトとして前記特定のフッ素ゴムからな
る表面層を形成したものを使用した場合にも顕著に発生
する。これは、その特定のフッ素ゴムのフッ素成分によ
る特性からシリコーンオイルをはじきやすい性質があ
り、特に使用初期段階ではシリコーンオイルが表面層に
なじみにくくなっているためと推測される。
【0013】そして、このような中間転写ベルトの使用
初期段階におけるトナー付着力の上昇なども確実に防止
する観点からは、そのシリコーンオイルを多めに塗布す
ることが有効であると考えられるが、この場合には、か
かるシリコーンオイルにより作像ユニットにおける感光
ドラム表面を汚染し、かぶり現象やドラム表面にオイル
筋などが発生して画質の低下を招くという問題がある。
【0014】ちなみに、上記感光ドラム表面のオイル付
着汚染を防止する対策としては、シリコーンオイルを塗
布するロール部材を中間転写ベルト表面に対して接離可
能に設けて塗布タイミングを調整する手段(例えば特開
平11−212379号公報)や、中間転写ベルトの過
剰なオイル付着領域にトナー層を形成してクリーニング
装置によりトナーとともに除去する手段(例えば特開2
000−66533号公報)を適用することが考えられ
る。しかし、これらの対策はいずれも、感光ドラム表面
のオイル付着汚染に対しては有効な手段ではあるが、前
記したような新品の中間転写ベルトの使用初期段階にお
けるトナー付着力の上昇をはじめ、ラフ紙に対する白抜
けの発生を防止することができない。
【0015】また、他の対策として、中間転写ベルトに
撥インク性を有する液体を噴射した後に熱等により硬化
させて膜を形成する手段(特開2000−108334
号公報)を適用することが考えられる。しかし、この対
策の場合は、噴射むら等により均一な膜形成が困難であ
ること、その膜形成装置が複雑になりコスト高になる等
の問題がある。
【0016】この他、本発明者らの研究によれば、以上
のごとき画像オフセット又は白抜けという画像欠陥の問
題は、例えば定着ベルトを用いて少なくとも加熱及び加
圧することにより記録用紙上のトナー像の定着を行う定
着装置を有する画像形成装置においても、その定着ベル
トの使用初期段階におけるトナーとの付着力が上昇する
ことにより同様に発生することが確認されている。ま
た、その付着力上昇を防止するためには定着ベルト表面
にシリコーンオイルを塗布することが有効であるが、そ
の場合には、定着ベルトに塗布された過剰のオイルが記
録用紙に転写されて用紙表面のてかりが発生したり、用
紙への文字の書き込みがしにくくなる等の不具合があ
る。
【0017】さらに、以下のブリスタを主に抑制するた
めに、前記した中間転写ベルトや定着ベルトの所定区間
で接触して回転する定着補助ベルトを設置した画像形成
装置においても、その定着補助ベルトの使用初期段階に
おけるトナーとの付着力が上昇することにより前記した
ような画像オフセット又は白抜けという画像欠陥を引き
起こすことがあることも確認されている。ブリスタと
は、前記した転写定着時や定着ベルトによる定着時にお
いて、記録用紙に含まれる水分が加熱高温下で蒸発して
蒸気となり、その蒸気が記録用紙とトナー像(層)の間
に入り込むことにより、その用紙に定着されるトナー像
が浮いたように見える画質欠陥である。
【0018】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その主な目的とするところは、トナー像
を担持する像担持体やトナー像を記録用紙に定着する定
着ベルト等を有し、その像担持体、定着ベルト等の表面
に使用段階で離型剤を塗布してトナー等に対する離型性
を確保する画像形成装置として、その離型剤の塗布によ
る汚染を発生させることなく、特にその像担持体、定着
ベルト等の表面の使用初期段階(未使用のものを初めて
使い始めた頃の段階)におけるトナーに対する付着力を
抑制することができる画像形成装置を提供することにあ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記した課題を解決し得
る本発明(第1発明)は、表面にトナー像を担持して回
転する像担持体と、この像担持体上のトナー像をその像
担持体の表面に接触するように供給される記録用紙に少
なくとも加熱及び加圧して転写させるとともに定着させ
る転写定着手段と、前記像担持体の表面に第1離型剤を
塗布する離型剤塗布手段とを有する画像形成装置におい
て、前記像担持体は、少なくとも未使用段階で、その表
面に第2離型剤を塗布するとともにその塗布面に当接部
材を当接させる離型前処理が施されていることを特徴と
するものである。
【0020】上記離型前処理は、像担持体を画像形成装
置に装着する前に施す処理か、その装着した後であって
未使用の段階で施す処理のいずれかである。前者の処理
である場合には、像担持体の製造工程の1つとして組み
入れて実施すればよい。また、この場合には離型前処理
を施すために使用する処理装置(設備)を用いて行うこ
とになる。一方、後者の処理である場合には、画像形成
装置内に後述するような離型前処理を施すことが可能な
離型処理手段を設置して実施すればよい。上記未使用段
階とは、像担持体が実際の画像形成動作に1度も使用さ
れていない段階である。また、少なくとも未使用段階と
は、その未使用段階のみに限らず、実際の画像形成動作
に供された以降の段階を含む意味である。
【0021】離型前処理に塗布する第2離型剤として
は、通常、離型剤塗布手段で塗布する第1離型剤と同じ
ものが使用されるが、必要であれば異なるものを使用し
ても構わない。第2離型剤および第1離型剤としては、
少なくとも画像形成に支障がなくトナーに対する離型性
を像担持体に付与できるものであればよく、具体的には
ポリエチレンワックス、カルナバワックス、フッ素オイ
ル、シリコーンオイル等が挙げられるが、その塗布が離
型剤の加熱溶融等の工程が不要であり、しかも取扱いや
すさ等の観点からするとジメチルシリコーンオイルが好
ましい。また、この処理時における離型剤の塗布量につ
いては特に限定されないが、例えばA4版サイズの用紙
1枚当たり0.2μリットル程度とすることが好まし
い。
【0022】上記当接部材は、第2離型剤が塗布された
像担持体の表面に均一に当接してその第2離型剤を像担
持体の表面に広げて接触させることが可能なものであれ
ばよく、好ましくはロール形態からなる部材である。ま
た、この当接部材は、第2離型剤としてジメチルシリコ
ーンオイルを使用する場合には、その離型剤の塗布処理
効率を促進させるとともに離型前処理による後述する作
用効果をより有効に得る観点からすると、その当接部材
の表面をジメチルシリコーンオイルとの接触角が20°
以下である材料にて構成することが好ましい。さらに、
この当接部材に接触する像担持体は、その接触するとき
の温度が好ましくは50℃以上、より好ましくは160
℃以上である。この加熱は専用の加熱手段を設置して行
うように構成してもよいが、転写定着手段の加熱部を利
用するように構成すればよい。
【0023】このような離型前処理を少なくとも未使用
段階で施した像担持体は、かかる離型前処理を施さない
場合に比べて、その使用初期段階(例えば最初の数千枚
分の画像形成を行う段階)における像担持体のトナーに
対する付着力の増加が抑制されるようになる。図1は、
この離型剤処理による離型剤塗布処理を行ったときの上
記付着力の状態と、その処理後で使用初期段階における
上記付着力の状態とを模式的に示したものである。2点
鎖線は、離型前処理を施さない場合の付着力を示す。す
なわち、図示のように使用初期段階における付着力の増
加が抑制される(付着力の傾きが緩やかになる)。これ
により、その使用初期段階における画像オフセットや白
抜け等の画像欠陥の発生を低減できるようになる。ま
た、その使用初期段階における第1離型剤の塗布量を増
やす必要がないため、かかる離型剤の過剰な塗布による
汚染の問題も回避されるようになる。なお、離型前処理
は、最終的に、その処理後における像担持体表面のジメ
チルシリコーンオイルとの接触角が15°以下となるよ
うに行うことが好ましい。
【0024】また、この離型前処理では、像担持体に第
2離型剤を塗布した塗布面に当接部材を当接させている
ため、その離型剤を効率よく短時間で塗布することがで
きるようになる。特に、この当接部材と接触する像担持
体の部分を上記したような温度に加熱した場合には、当
接部材による第2離型剤の像担持体への塗布処理効率が
より一層促進されるようになり、特に160℃以上に加
熱した場合には当接部材の表面の材料に左右されること
なく離型剤の塗布処理効率を促進することが可能にな
る。
【0025】第1発明の画像形成装置においては、前記
像担持体の少なくとも未使用段階の表面に対して第2離
型剤を塗布する塗布手段とその塗布面に当接させる当接
部材とを備えた離型処理手段を設置し、この離型処理手
段により少なくとも前記離型前処理を施すように構成す
ることができる。
【0026】上記離型処理手段は、その塗布する第2離
型剤が前記第1離型剤と同じである場合には、第1離型
剤を塗布する離型剤塗布手段を離型処理手段としても兼
用するように構成することが可能である。
【0027】このような離型処理手段を画像形成装置内
に設置した場合には、未使用の像担持体に対する前記の
離型前処理を画像形成装置内でその離型処理手段によっ
て行うことができる。これにより、像担持体の製造段階
で離型前処理を施すための工程(作業)が要らなくなる
ため、その製造段階において離型前処理を施すために使
用する処理装置(設備)も不要となる。
【0028】前記離型前処理については、第2離型剤を
塗布する前又は同時に、像担持体の表面のトナー像に対
する付着力を上昇させる付着力上昇処理を併せて行う処
理として構成することが望ましい。この付着力上昇処理
は、例えば、白紙の記録用紙を未使用段階の像担持体の
表面に接触させることで実現することができるが、特に
この処理内容に限定されるものではない。
【0029】上記トナー像(トナー)に対する付着力と
は、後述する付着力測定方法及び装置にて測定されるも
のである。また、この付着力の上昇とは、その上昇処理
をする前の付着力よりも増加する場合であればよいが、
この上昇処理による効果をより効果的に得る観点からす
ると、後述の実施形態で説明する測定方法にて得られる
付着力が0.5N以上になるような上昇であることが好
ましい。
【0030】このような付着力上昇処理を離型前処理の
なかで行った場合には、かかる付着力上昇処理を行わな
い離型前処理の場合に比べて、特に使用初期段階におけ
る像担持体のトナーに対する付着力の増加がさらに抑制
されるようになる。この離型剤処理による付着力上昇処
理を行ったときの上記付着力の状態を図1に模式的に併
せて示す。図示するように付着力上昇処理により付着力
が一度上昇した状態となるが、離型剤塗布処理により付
着力が下げられることとなり、最終的には、使用初期段
階における付着力の増加が抑制されるようになる。
【0031】ここで、上記像担持体は、トナー像を担持
して回転し得るものであり、具体的にはベルト形態の中
間転写ベルト、感光ベルト等である。この像担持体(像
担持ベルト)は、トナー像に対する離型性を有する表面
層が形成された構造のものであることが好ましい。その
表面層は、例えばシリコーンゴム、フッ素樹脂、シリコ
ーン樹脂等の材料により形成されるものであるが、好ま
しくは前述した主鎖にパーフルオロポリエーテルを含む
特定のフッ素ゴムにより形成されるものである。上記記
録用紙は、トナー像の転写及び定着が可能で、画像形成
装置において取扱い可能な記録媒体であればよく、その
種類等について特に制約されるものではない。
【0032】上記転写定着手段は、像担持体上のトナー
像を加熱するための加熱部と、トナー像を担持する像担
持体に記録用紙を密着させるように加圧する加圧部とを
備えたものであることが好ましい。この加熱部と加圧部
は、像担持体に対して互いに同じ位置に配置される構成
のものであっても、あるいは異なる(離れた)位置に配
置される構成の(加熱部は加圧部よりも像担持体の回転
方向上流側に配置する)ものであってもよい。また、転
写定着手段は、像担持体がベルト形態のものである場
合、その加圧部と記録用紙を像担持体から剥離する剥離
部との間に、記録用紙およびトナー像を冷却する冷却部
(冷却手段)を設置するように構成してもよい。
【0033】上記離型剤塗布手段は、第1離型剤を像担
持体の表面に均一に塗布できるものであれば、その塗布
方式などの構成については特に制約されるものではな
い。第1離型剤としてジメチルシリコーンオイルを塗布
する場合、その像担持体への塗布量はA4版サイズの記
録用紙1枚当たりで0.15μリットル以下にすること
が好ましい。像担持体は前記したような離型前処理が施
されることにより使用初期段階におけるトナーに対する
付着力の上昇が抑制されるため画像形成時において塗布
する離型オイルの量を多めにする必要がなくなり、この
結果、像担持体への過剰なオイル塗布により作像手段の
感光ドラム等の表面にオイル筋が発生し、画質の低下を
誘発することが解消される。
【0034】また、上記離型剤塗布手段は、像担持体の
第1離型剤を塗布した塗布面に当接させる当接部材を設
置することが好ましい。この当接部材を設置した場合に
は、第1離型剤の塗布処理効率を高め、その塗布量を低
減できるようになる。また、この当接部材は、第1離型
剤としてジメチルシリコーンオイルを使用する場合に
は、その離型剤の塗布処理効率を促進させることができ
る等の観点からすると、その当接部材の表面をジメチル
シリコーンオイルとの接触角が20°以下である材料に
て構成することが好ましい。また、この当接部材に接触
する像担持体は、その接触するときの温度が好ましくは
50℃以上となるように加熱するとよい。この加熱は専
用の加熱手段を設置して行うように構成してもよいが、
転写定着手段の加熱部を利用するように構成すればよ
い。このように加熱することにより、当接部材による第
1離型剤の像担持体への塗布処理効率がより一層促進さ
れるようになる。さらに、当接部材は、第1離型剤の塗
布タイミングに合わせて必要なときにだけ像担持体に当
接し、それ以外のときには像担持体から離間しているよ
うに接離可能に設置するとよく、この接離可能な設置に
ついては特に像担持体のトナー像が担持されている区間
内に当接部材を設置する場合は必須となる。
【0035】次に、前記した課題を解決し得る本発明
(第2発明)は、定着対象のトナー像を担持する記録用
紙が回転する定着ベルトの表面に接触するように供給さ
れ、少なくとも加熱及び加圧してそのトナー像を記録用
紙に定着させる定着手段と、この定着手段の定着ベルト
の表面に第1離型剤を塗布する離型剤塗布手段とを有す
る画像形成装置において、前記定着ベルトは、少なくと
も未使用段階で、その表面に第2離型剤を塗布するとと
もにその塗布面に当接部材を当接させる離型前処理が施
されていることを特徴とするものである。
【0036】上記定着手段は、回転する定着ベルトを有
し、その定着ベルト表面に接触するように供給される記
録用紙上のトナー像を加熱する加熱部と、その定着ベル
トに記録用紙を密着させるように加圧する加圧部とを備
えたものであることが好ましい。この加熱部と加圧部
は、定着ベルトに対して互いに同じ位置に配置される構
成のものであっても、あるいは、異なる(離れた)位置
に配置される構成の(加熱部は加圧部よりも定着ベルト
の回転方向上流側に配置する)ものであってもよい。定
着ベルトは、第1発明におけるベルト形態の像担持体と
ほぼ同じ構成からなるものであり、特に前記したような
材料からなる表面層を形成した構造のものが好ましい。
【0037】第2発明の画像形成装置における上記第1
離型剤、離型剤塗布手段、未使用段階、第2離型剤、離
型前処理等の各要素、及びそれら各要素に関連する構成
内容については、第1発明において使用されている前述
した各要素と基本的に同じ内容のものである。
【0038】このような離型前処理を少なくとも未使用
段階で施した定着ベルトは、かかる離型前処理を施さな
い場合に比べて、その使用初期段階(例えば最初の数千
枚分の画像形成を行う段階)における定着ベルトのトナ
ーに対する付着力の増加が抑制されるようになる(図1
参照)。これにより、その使用初期段階における画像オ
フセットや白抜け等の画像欠陥の発生を低減できるよう
になる。また、その使用初期段階における第1離型剤の
塗布量を増やす必要がないため、かかる過剰な離型剤の
塗布に起因した用紙のてかりの発生や文字書き込み適性
の低下等の問題も回避されるようになる。さらに、この
離型前処理では、定着ベルトに第2離型剤を塗布した塗
布面に当接部材を当接させているため、その離型剤を効
率よく短時間で塗布することができるようになる。
【0039】第2発明の画像形成装置においては、前記
定着ベルトの少なくとも未使用段階の表面に対して第2
離型剤を塗布する塗布手段とその塗布面に当接させる当
接部材とを備えた離型処理手段を設け、この離型処理手
段により少なくとも前記離型前処理を施すように構成す
ることができる。上記離型処理手段は、その塗布する第
2離型剤が前記第1離型剤と同じである場合には、その
第1離型剤を塗布する離型剤塗布手段を離型処理手段と
しても兼用するように構成することが可能である。
【0040】このような離型処理手段を画像形成装置内
に設置した場合には、未使用の定着ベルトに対する前記
の離型前処理を画像形成装置内でその離型処理手段によ
って行うことができる。これにより、定着ベルトの製造
段階で離型前処理を施すための工程(作業)が要らなく
なるため、その製造段階において離型前処理を施すため
に使用する処理装置(設備)も不要となる。
【0041】第2発明における前記離型前処理について
は、第2離型剤を塗布する前又は同時に、定着ベルトの
表面のトナー像に対する付着力を上昇させる付着力上昇
処理を併せて行う処理として構成することが望ましい。
この付着力上昇処理は、例えば、白紙の記録用紙を未使
用段階の定着ベルトの表面に接触させることで実現する
ことができるが、特にこの処理内容に限定されるもので
はない。上記トナー像に対する付着力とは、第1発明の
場合と同様に後述する付着力測定方法及び装置にて測定
されるものである。また、この付着力の上昇とは、その
上昇処理をする前の付着力よりも増加する場合であれば
よいが、この上昇処理による効果をより効果的に得る観
点からすると、上記測定方法にて得られる付着力が0.
5N以上になるような上昇であることが好ましい。
【0042】このような付着力上昇処理を離型前処理の
なかで行った場合には、かかる付着力上昇処理を行わな
い離型前処理の場合に比べて、特に使用初期段階におけ
る定着ベルトのトナーに対する付着力の増加がさらに抑
制されるようになる。
【0043】次に、前記した課題を解決し得る本発明
(第3発明)は、表面にトナー像を担持して回転する像
担持体と、この像担持体上のトナー像をその像担持体の
表面に接触するように供給される記録用紙に少なくとも
加熱及び加圧して転写させるとともに定着させる転写定
着手段と、前記像担持体の転写定着位置と記録用紙剥離
位置との間となる表面部分に接触して回転する定着補助
ベルトと、前記像担持体及び定着補助ベルトの各表面に
第1離型剤を塗布する離型剤塗布手段とを有する画像形
成装置において、前記像担持体及び定着補助ベルトは、
少なくとも未使用段階で、その各表面に第2離型剤を塗
布するとともにその各塗布面に当接部材を当接させる離
型前処理が施されていることを特徴とするものである。
【0044】上記定着補助ベルトは、前述したように主
にブリスタの抑制のために、前記した像担持体や定着ベ
ルトの所定区間で接触して回転するものであり、転写定
着時や定着時における加熱環境におかれた状態で使用さ
れる。この定着補助ベルトは、第2発明における定着ベ
ルトとほぼ同じ構成からなるものであり、特に第1発明
で例示したような材料からなる表面層を形成した構造の
ものが好ましい。
【0045】第3発明の画像形成装置における上記第1
離型剤、離型剤塗布手段、未使用段階、第2離型剤、離
型前処理等の各要素、及びそれら各要素に関連する構成
内容については、第1発明において使用されている前述
した各要素と基本的に同じ内容のものである。離型剤塗
布手段は、通常、像担持体用のものと定着補助ベルト用
のものとで構成されるが、第1離型剤を像担持体と定着
補助ベルトの双方に同時に塗布できる構成のものであっ
ても構わない。
【0046】このような離型前処理を少なくとも未使用
段階で施した像担持体及び定着補助ベルトは、かかる離
型前処理を施さない場合に比べて、その使用初期段階
(例えば最初の数千枚分の画像形成を行う段階)におけ
る像担持体及び定着補助ベルトのトナーに対する付着力
の増加が抑制されるようになる(図1参照)。これによ
り、その使用初期段階における画像オフセットや白抜け
等の画像欠陥の発生を低減できるようになる。また、使
用初期段階における像担持体及び定着補助ベルトへの第
1離型剤の塗布量を増やす必要がないため、かかる過剰
な離型剤の塗布による両面画像形成時の用紙裏面のてか
り発生や文字書き込みの困難化等の問題も回避されるよ
うになる。さらに、この離型前処理では、像担持体及び
定着補助ベルトに第2離型剤を塗布した塗布面に当接部
材を当接させているため、その離型剤を効率よく短時間
で塗布することができるようになる。
【0047】第3発明の画像形成装置においては、前記
像担持体及び定着補助ベルトの少なくとも未使用段階の
各表面に対して第2離型剤を塗布する塗布手段とその各
塗布面に当接させる当接部材とを備えた離型処理手段を
設置し、この離型処理手段により少なくとも前記離型前
処理を施すように構成することができる。上記離型処理
手段は、その塗布する第2離型剤が前記第1離型剤と同
じである場合には、その第1離型剤を塗布する離型剤塗
布手段を離型処理手段としても兼用するように構成する
ことが可能である。
【0048】このような離型処理手段を画像形成装置内
に設置した場合には、未使用の像担持体及び定着補助ベ
ルトに対する前記の離型前処理を画像形成装置内でその
離型処理手段によって行うことができる。これにより、
像担持体及び定着補助ベルトの製造段階で離型前処理を
施すための工程が要らなくなるため、その製造段階にお
いて離型前処理を施すために使用する処理装置も不要と
なる。
【0049】第3発明における前記離型前処理について
は、第2離型剤を塗布する前又は同時に、像担持体及び
定着補助ベルトの表面のトナー像に対する付着力を上昇
させる付着力上昇処理を併せて行う処理として構成する
ことが望ましい。この付着力上昇処理に関する構成内容
は、第1発明の場合と同様である。
【0050】このような付着力上昇処理を離型前処理の
なかで行った場合には、かかる付着力上昇処理を行わな
い離型前処理の場合に比べて、特に使用初期段階におけ
る像担持体及び定着補助ベルトのトナーに対する付着力
の増加がさらに抑制されるようになる(図1参照)。
【0051】次に、前記した課題を解決し得る本発明
(第4発明)は、定着対象のトナー像を担持する記録用
紙が回転する定着ベルトの表面に接触するように供給さ
れ、少なくとも加熱及び加圧してそのトナー像を記録用
紙に定着させる定着手段と、この定着手段の定着ベルト
の定着位置と記録用紙剥離位置との間となる表面部分に
接触して回転する定着補助ベルトと、前記像担持体及び
定着補助ベルトの各表面に第1離型剤を塗布する離型剤
塗布手段とを有する画像形成装置において、前記定着ベ
ルト及び定着補助ベルトは、少なくとも未使用段階で、
その各表面に第2離型剤を塗布するとともにその各塗布
面に当接部材を当接させる離型前処理が施されているこ
とを特徴とするものである。
【0052】上記定着装置及び定着補助ベルトに関する
構成内容については、第2発明における定着装置や第3
発明における定着補助ベルトと同じものである。また、
第4発明の画像形成装置における上記第1離型剤、離型
剤塗布手段、未使用段階、第2離型剤、離型前処理等の
各要素、及びそれら各要素に関連する構成内容について
は、第1発明や第3発明において使用されている前述し
た各要素と基本的に同じ内容のものである。
【0053】このような離型前処理を少なくとも未使用
段階で施した定着ベルト及び定着補助ベルトは、かかる
離型前処理を施さない場合に比べて、その使用初期段階
(例えば最初の数千枚分の画像形成を行う段階)におけ
る定着ベルト及び定着補助ベルトのトナーに対する付着
力の増加が抑制されるようになる(図1参照)。これに
より、その使用初期段階における画像オフセットや白抜
け等の画像欠陥の発生を低減できるようになる。また、
使用初期段階における定着ベルト及び定着補助ベルトへ
の第1離型剤の塗布量を増やす必要がないため、かかる
多めの離型剤の塗布による用紙のてかり発生や文字書き
込みの困難化等の問題も回避されるようになる。さら
に、この離型前処理では、定着ベルト及び定着補助ベル
トに第2離型剤を塗布した塗布面に当接部材を当接させ
ているため、その離型剤を効率よく短時間で塗布するこ
とができるようになる。
【0054】第4発明の画像形成装置においては、前記
定着ベルト及び定着補助ベルトの少なくとも未使用段階
の各表面に対して第2離型剤を塗布する塗布手段とその
各塗布面に当接させる当接部材とを備えた離型処理手段
を設置し、この離型処理手段により少なくとも前記離型
前処理を施すように構成することができる。上記離型処
理手段は、その塗布する第2離型剤が前記第1離型剤と
同じである場合には、その第1離型剤を塗布する離型剤
塗布手段を離型処理手段としても兼用するように構成す
ることが可能である。
【0055】このような離型処理手段を画像形成装置内
に設置した場合には、未使用の定着ベルト及び定着補助
ベルトに対する前記の離型前処理を画像形成装置内でそ
の離型処理手段によって行うことができる。これによ
り、定着ベルト及び定着補助ベルトの製造段階で離型前
処理を施すための工程が要らなくなるため、その製造段
階において離型前処理を施すために使用する処理装置も
不要となる。
【0056】第4発明における前記離型前処理について
は、第2離型剤を塗布する前又は同時に、定着ベルト及
び定着補助ベルトの表面のトナー像に対する付着力を上
昇させる付着力上昇処理を併せて行う処理として構成す
ることが望ましい。この付着力上昇処理に関する構成内
容は、第1発明の場合と同様である。
【0057】このような付着力上昇処理を離型前処理の
なかで行った場合には、かかる付着力上昇処理を行わな
い離型前処理の場合に比べて、特に使用初期段階におけ
る定着ベルト及び定着補助ベルトのトナーに対する付着
力の増加がさらに抑制されるようになる(図1参照)。
【0058】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]図2は、本発明
の実施の形態1に係るカラー画像形成装置1Aの要部を
示すものである。
【0059】<画像形成装置の基本構成>このカラー画
像形成装置1Aは、電子写真方式により画像情報に基づ
くイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブ
ラック(K)の各色成分のトナー像をそれぞれ形成する
4つの作像ユニット10Y,10M,10C,10K
と、この各作像ユニット10Y,10M,10C,10
Kで形成される各トナー像が転写される中間転写ベルト
20と、この中間転写ベルト20上のトナー像を記録用
紙Pに転写するとともに定着させる転写定着装置30
と、中間転写ベルト20の表面にトナー像に対する離型
性を付与するための離型剤を塗布する離型剤塗布装置4
0とで基本的に構成されている。図中の矢付1点鎖線は
記録用紙Pの搬送経路を示す。記録用紙Pは、給紙部
(図示省略)から1枚ずつ供給されるようになってい
る。トナーとしては、ワックス含有タイプのトナーを使
用している。
【0060】上記作像ユニット10Y、10M、10
C、10Kは、水平方向にそって一定の間隔をあけた並
列状態で配設されており、そのいずれも同様の構成から
なるものである。すなわち、各作像ユニット10はいず
れも、図3に示すように、回転駆動源(図示省略)によ
り矢印A方向に所定の速度で回転する感光ドラム11
と、この感光ドラム11の表面を一様に帯電する帯電装
置12と、この帯電装置12にて帯電された感光ドラム
11の表面に原稿読取装置、外部接続機器等から入力さ
れる画像情報に基づいて半導体レーザ、発光ダイオード
等から発光される光Hを露光して静電潜像を形成する潜
像形成装置13と、この潜像形成装置13にて形成され
た感光ドラム11上の静電潜像を所定の色のトナー(現
像剤)を供給して現像する現像装置14と、感光ドラム
1上のトナー像を中間転写ベルト20に静電的作用によ
り転写する一次転写装置15と、感光ドラム1の表面の
付着物を除去して清掃するドラムクリーナ16とでその
主要部が構成されている。
【0061】上記中間転写ベルト20は、図示しない回
転駆動源により回転駆動する駆動ロール23と従動回転
してベルト20を支持する複数の支持ロール24a〜2
4f、25等に張架されるとともに、その駆動ロール2
3と支持ロール24aの間で前記各作像ユニット10に
おける感光ドラム11の転写位置を通過する状態で配設
されている。中間転写ベルト20は駆動ロール23によ
って矢印B方向に回転する。支持ロール24cは、比較
的小径のロールとし、転写定着時に中間転写ベルト20
から記録用紙Pを剥離させるための剥離ロールとして機
能するようになっている。
【0062】中間転写ベルト20としては、図5に示す
ように、ベルト基材21上に表面層22を積層形成した
2層構造のものが使用される。ベルト基材21は、耐熱
性を有する材料にて構成されるものであり、この例では
例えばカーボンブラックを含有させて体積抵抗率を適宜
調整してなる厚さ50〜80μm程度のポリイミドフィ
ルムを使用している。表面層22は、転写定着時におい
てトナー像を介在させた状態での中間転写ベルト20と
記録用紙Pとの良好な密着性を確保する観点から弾性を
有する材料にて構成されるものであり、この例では主鎖
にパーフルオロポリエーテルを含む特定のフッ素ゴム
(信越化学工業製:SIFEL610−10)を塗布形
成してなる厚さ50〜150μm程度の層である。
【0063】転写定着装置30は、支持ロール24bと
支持ロール24cの間における中間転写ベルト20を挟
むような状態で対向配設される転写ロール31、32
と、支持ロール24bと支持ロール24cの間で中間転
写ベルト20を介してトナー像を加熱する加熱板36と
でその主要部が構成されている。
【0064】転写ロール31、32は、そのいずれも円
筒状の金属ロールの表面にシリコーンゴム等の弾性層を
積層形成した構造であるとともに金属ロールの内部に電
熱ヒータを設置してなるものである。この転写ロール3
1、32は、中間転写ベルト20を挟んだ状態で所定幅
の圧接部(ニップ部)が形成されるとともに、その圧接
部での圧力が0.003〜0.005Pa程度になるよ
うな圧接した状態で設置されている。加熱板36は、中
間転写ベルト20(厳密には表面層22)上に担持され
たトナー像のトナーを溶融させる程度まで加熱させるた
めの加熱手段であり、この例では中間転写ベルト20の
内周面に対向配置される金属板の裏面に面状の電熱ヒー
タを取り付けた構造のものを使用している。したがっ
て、この転写定着装置30では、加熱板36の配置部位
がメインの加熱部として機能し、転写ロール31、32
が補助的な加熱部を兼ねた加圧部として機能するように
なっている。
【0065】離型剤塗布装置40は、駆動ロール23と
作像ユニット10(Y)の間で中間転写ベルト20の表
面(表面層22)に接して離型剤を塗布するように設置
された離型剤塗布ロール41と、この離型剤塗布ロール
41により塗布された離型剤の塗布面に当接するように
設置されたベルト支持ロールでもある離型維持ロール2
4eとで構成されている。離型剤塗布ロール41は、金
属ロール表面にシリコーンゴム等からなる弾性層を形成
したものであり、その弾性層に離型剤(第1離型剤)と
してのジメチルシリコーンオイルを含浸させている。ま
た、この塗布ロール41は、所定の時期に離型剤の塗布
を行う等の理由から、中間転写ベルト20に接離可能に
設置されている。離型維持ロール24eは、アルミニウ
ム等からなる金属ロールである。
【0066】この他、この画像形成装置1Aにおいて
は、中間転写ベルト20の表面に付着するトナー等を除
去するためのベルト用クリーニングロール38を、ベル
ト20を介してベルト支持ロール24dと対向した状態
で配置している。
【0067】このクリーニングロール38は、中空の金
属ロールに樹脂層を形成するとともにそのロール内部に
熱源を設置した構造のものであり、中間転写ベルト20
上に残留するトナーを溶融させる程度に加熱して清掃作
業を行うようになっている。また、このクリーニングロ
ール38は、中間転写ベルト20の回転起動直後に加わ
る負荷を低減するため、その回転開始後にベルト20に
圧接し、その回転停止直前にベルト20から離間するよ
うに接離可能に配置されている。さらに、このクリーニ
ングロール38と対向するベルト支持ロール24dに
も、中間転写ベルト20上に残留するトナーを溶融させ
る程度に加熱する加熱源(図示省略)が設置されてい
る。
【0068】また、転写ロール31には、そのロール表
面に付着するトナー等を除去するためのロール用クリー
ニングロール33が設置されている。このクリーニング
ロール31は、中空の金属ロールに樹脂層を形成すると
ともにそのロール内部に熱源を設置した構造のものであ
る。また、このクリーニングロール33も、前記クリー
ニングロール38と同様に、中間転写ベルト20の回転
起動直後に加わる負荷を低減するため、その回転開始後
にベルト20に当接し、その回転停止直前にベルト20
から離間するように接離可能に配置されている。
【0069】そして、この画像形成装置1Aは、後述す
るように、中間転写ベルト20として少なくともその未
使用段階で離型前処理が施されているものを使用する構
成になっている。
【0070】<画像形成時の動作>このような基本構成
からなるカラー画像形成装置1Aでは、次のようにして
カラー画像の形成が行われる。
【0071】まず、各作像ユニット10において、回転
する感光ドラム11が、帯電装置12によって所望の帯
電電位となるように一様に帯電された後、その帯電表面
に潜像形成装置13から色分解された画像データに応じ
た光(例えばレーザビーム)Hが走査露光されることに
よって所望の潜像電位からなる静電潜像が形成され、し
かる後、その潜像が現像装置14から供給される該当色
のトナーにより現像される。このような作像プロセスが
各作像ユニット10で同様に繰り返されることにより、
各感光ドラム11上にはイエロー、マゼンタ、シアン、
ブラックの4色のトナー像が個別に形成される。この各
感光ドラム11に形成される4色のトナー像は、一次転
写部において転写装置15の静電的な転写作用により中
間転写ベルト20の表面に重ね合わせられるようにして
順次一次転写される。この転写後の感光ドラム11の表
面はドラムクリーナ16により清掃される。
【0072】中間転写ベルト20に転写されて担持され
たトナー像は、そのベルトの回転に伴って転写定着装置
30を通過するように搬送されることにより記録用紙P
に転写定着される。すなわち、中間転写体ベルト20上
のトナー像は、加熱板36を通過する際に加熱されて適
度に溶融された後、中間転写ベルト20と転写ロール3
1の間(圧接部)に供給される記録用紙Pに接した状態
でその記録用紙と共に加熱および加圧される。これによ
り、トナー像は記録用紙Pに二次転写されるとともに定
着される。
【0073】トナー像が転写定着される記録用紙Pは、
中間転写ベルト20の外周面に密着した状態で剥離ロー
ルとしての支持ロール24cが存在する剥離位置まで搬
送されるとともに、この過程において冷却される。この
冷却により、加熱溶融されたトナーが十分に凝集固化さ
れて記録用紙Pとの間に強い接着力が発生することによ
って用紙側に強く定着される。このように冷却された記
録用紙Pは、支持ロール24cのある剥離位置で小さな
曲率半径で曲がって走行する中間転写ベルト20から自
力で剥離する。
【0074】この結果、記録用紙Pの片面に対してフル
カラー画像が形成される。この際、記録用紙Pに形成さ
れたトナーからなる画像は、その画像表面が中間転写ベ
ルト20の表面平滑さがそのまま転写されるため、光沢
感に富んだものとなる。
【0075】また、このような画像形成時においては、
中間転写ベルト20の表面に離型剤塗布ロール41から
ジメチルシリコーンオイルが所定の間隔で塗布され、こ
れにより二次転写時等における中間転写ベルト20のト
ナーに対する離型性が付与されている。
【0076】また、記録用紙Pが剥離された後の中間転
写ベルト20は、その表面がクリーニングロール38に
より清掃される。この際、中間転写ベルト20に付着す
るトナーは前述したように冷却されるが、支持ロール2
4dの加熱作用により再度溶融されてベルトとの付着力
が低減されるためクリーニングロール(の樹脂層)38
に転移して除去される。
【0077】さらに、この画像形成装置1Aでは、中間
転写ベルト20として、前記特定のフッ素ゴムからなる
表面層22を形成したものを使用しているため、シリコ
ーンゴムの粘弾性によりトナー像の感光ドラム11から
中間転写ベルト20への移行性が確保されるとともに、
フッ素ゴムの離型性による溶融トナーの記録用紙Pへの
転写性が確保されるようになる。これにより、特にシリ
コーンゴムからなる表面層を形成した中間転写ベルトと
比べた場合、画像の光沢劣化がなく光沢感に富んだ画像
が得られる。
【0078】<中間転写ベルトのトナー付着力などに関
する試験及び考察>以下、この実施の形態1に係る画像
形成装置1Aを利用して行った各種試験及び考察をまじ
えながら本発明の完成に至った過程について説明する。
【0079】図30は、本例の画像形成装置1Aによる
ランニング試験を行い、そのときの白抜け(画像欠陥)
の発生状況について調べた結果を示すものである。この
ランニング試験は、未使用の中間転写ベルト20を使用
し、その中間転写ベルト20の表面に離型剤塗布ロール
38からジメチルシリコーンオイルを塗布しながら行っ
た。このときの試験条件の詳細は以下のとおりである。
【0080】中間転写ベルト20としては、ポリイミド
フィルムからなる厚さ50μm程度のベルト基材21
に、前記特定のフッ素ゴムからなる厚さ80μm程度の
表面層22を形成したもの(ベルト幅320mm,ベル
ト全長2100mm)を使用した。トナーとしては、ポ
リエステル樹脂(ガラス転移点:約65℃、軟化点:約
113℃)に顔料やポリエチレン製のワックス等を含有
したトナーを使用した。転写定着装置30の転写ロール
31、32としては、いずれも外径が約50mmのロー
ルを用い、そのロール間の加圧荷重を765N、加熱温
度を95℃に設定した。このときのジメチルシリコーン
オイルを塗布量は、A4版サイズの用紙に対して0.1
5μリットルとなるように設定した。
【0081】転写ロール31のクリーニングロール33
としては、金属ロールにトナーの基材樹脂とほぼ同じガ
ラス転移点と軟化点を有するポリエステル樹脂からなる
樹脂層を形成したものを使用し、その転写ロール31へ
の当接時における加圧荷重を102N、加熱温度を11
5℃に設定した。中間転写ベルト20のクリーニングロ
ール48としては、金属ロールに上記クリーニングロー
ル33と同じ樹脂層を形成したものを使用し、その中間
転写ベルト20(支持ロール24c)への当接時におけ
る加圧荷重を204N、加熱温度をトナーの軟化点より
も少し高い120℃に設定した。このクリーニングロー
ル48と対向する支持ロール24cは、その加熱温度を
90℃に設定した。
【0082】このような条件に設定された画像形成装置
により、テスト画像としてマゼンタ色のベタトナー像
(濃度2.25g/m2)を記録用紙Pの全面に形成
(プリント)したものを目視観察し、得られた画像にお
ける白抜けの発生の有無及び量について調べるとともに
グレード評価した。白抜けに関するグレード評価は、
「グレード0」を白抜けがまったく発生していない場合
とし、「グレード1〜5」をその数値が増すにつれて白
抜けの発生量が多くなった場合として評価した。そのう
ちグレード1、5については以下の基準で評価してい
る。この場合、許容グレードは「1以下」とした。この
他、記録用紙Pとしては、普通紙(富士ゼロックス製:
J紙)とラフ紙(富士ゼロックス製:ラフ紙4024)
を使用した。また、ランニング試験は、上記した各記録
用紙の約4万枚(40kPV)に対して行った。この
際、中間転写ベルト20の1周につき記録用紙8枚に対
するプリントを行った。 グレード1:直径が約0.1〜0.2mmの抜けが1個
/cm2程度ある。 グレード5:直径が約1mmの抜けが5個/cm2以上
ある。
【0083】図30の結果から、普通紙では白抜けがほ
とんど発生していないことが確認された一方で、ラフ紙
では特に初めの5千枚(5kPV)付近までの間におい
て白抜けが多く発生することが確認された。
【0084】そこで、中間転写ベルト20のトナーに対
する付着力の特性について調べるための下記の付着力測
定試験を行った。
【0085】まず、中間転写ベルト20のトナーに対す
る付着力について説明する。図5は中間転写ベルト20
上の溶融トナーTaが記録用紙Pに転写定着される際の
状態を模式的に示す断面説明図である。このような状態
においては、溶融トナーTaと記録用紙Pの間に発生す
る付着力F1と、中間転写ベルト20と溶融トナーTa
の間に発生する付着力F2と、溶融トナーTa内部の凝
集力F3という三つの力が働いている。そして、トナー
の転写定着は、記録用紙Pを中間転写ベルト20から剥
がしたときに溶融トナーTaが分断されることなく中間
転写ベルト20との境界で剥がされることで行われるも
のであり、このためには付着力F1が付着力F2と溶融
トナー内部の凝集力F3に対して大きい力関係にあるこ
とが必要である。したがって、上記のような状態で記録
用紙Pを中間転写ベルト20から剥がす際に必要となる
力を測定することで、中間転写ベルト20のトナーに対
する付着力に相当する中間転写ベルト20と溶融トナー
Taの間に発生する付着力F2を知ることができる。
【0086】このような観点から、中間転写ベルト20
のトナーに対する付着力は、図6aに示すような付着力
測定装置2を用いて測定した。
【0087】この付着力測定装置2は、前記画像形成装
置において使用する転写ロール32とベルト支持ロール
24b、24cとを図示のような状態に設置し、その各
ロール32、24b、24cに中間転写ベルト20を掛
けまわしたうえで、その中間転写ベルト20を挟んで転
写ロール31を転写ロール32に圧接させた状態で配置
したものである。また、付着力測定装置2は、転写ロー
ル32と支持ロール24cの間における中間転写ベルト
20の内周面に接触する状態で加熱板36を設置してい
る。転写ロール31、32はいずれも、外径が48mm
の金属ロールにシリコーンゴム層(硬度:30度)を2
mm厚で形成し、その金属ロールの内部に電熱ヒータを
設置したものであり、600Nの加圧荷重で圧接してい
る。この測定装置における転写ロール32は、回転駆動
源に接続されており、駆動ロールとしても使用される。
さらに、付着力測定装置2は、この加熱板36上の中間
転写ベルト20の外周面側に、そのベルト20にて搬送
される測定用の記録用紙PXを上方(矢印方向)に引っ
張り上げてベルト20から剥離するとともにそのときの
剥離力を測定し得る引っ張り試験機3を設置している。
【0088】そして、この付着力測定装置2による測定
は、測定対象となる中間転写ベルト20を掛けまわして
装置をセットした後に、駆動兼転写ロール32を152
℃、転写ロール31を157℃、加熱板36を115℃
にそれぞれ加熱したうえで、中間転写ベルト20を矢印
方向に速度30mm/secで回転させる。次に、この
稼動する付着力測定装置1の中間転写ベルト20と転写
ロール32の間に、測定用の記録用紙PXを挿入する。
測定用の記録用紙PXは、図6bに示すようにサイズが
15mm×60mmのコート紙(富士ゼロックス製:J
コート紙)の先端PXaから25mmの先端領域全面に
シアン色のトナー層(濃度3.5g/m 2)を形成した
ものである。このトナー像の形成は、トナー像を感光体
に形成してから記録用紙に転写するまでの機能を装備し
た画像形成装置にて行った。
【0089】中間転写ベルト20と転写ロール32の間
に挿入した測定用の記録用紙PXが加熱板36に達した
ときに中間転写ベルト20の回転を停止させ、その位置
で1分間加熱放置した後、その記録用紙PXの後端部P
bに引っ張り試験機2のフックを取り付けて上方(矢印
方向)に5mm/secの速度で引っ張り上げる。この
際、記録用紙PXが中間転写ベルト20から完全に剥が
れるまでの平均の引っ張り力を測定し、その値を中間転
写ベルト20のトナーに対する付着力とした。
【0090】中間転写ベルト20のトナーに対する付着
力の測定は、以下の2種のものを行った。
【0091】はじめに、前記したように使用初期段階に
おいて白抜けが発生しやすかったラフ紙を記録用紙Pと
して使用し、その一部にテスト用のトナー像を形成しな
がら前記画像形成装置によるランニング試験を繰り返し
て行い、そのとき行った場合、中間転写ベルト20のう
ち記録用紙Pの非画像部が直接接触して通過するベルト
領域(通紙白地部)と記録用紙Pの画像部が直接接触し
て通過するベルト領域(通紙パッチ部)とにおける付着
力について前記付着力測定装置2により測定した。この
ランニング試験では、中間転写ベルト20に離型剤塗布
装置40からの離型剤の塗布を行わないようにした。ま
た、この付着力の測定は、未使用の中間転写ベルト20
において行うとともに、2500枚、5000枚、27
000枚のプリントを行った時点で、それまでに使用し
た中間転写ベルト20を画像形成装置から付着力測定装
置1にその都度一旦移し変えながら行った。そして、中
間転写ベルト20の通紙白地部及び通紙パッチ部につい
ての付着力をそれぞれ測定した。この測定結果を図7に
示す。
【0092】図7に示す結果から、中間転写ベルト20
の通紙白紙部、すなわちトナー像が介在せずに記録用紙
Pが直接触れるベルト領域における付着力が、その通紙
パッチ部に比べて、著しく増加していることがわかる。
これは、白地部では記録用紙との接触により紙粉等がベ
ルト面に付着してトナーとの離型性が低下するのに対
し、パッチ部ではトナーが介在するため紙粉の付着が少
なく離型性の低下がある程度抑えられるためであると推
測される。
【0093】次に、中間転写ベルト20の通紙白地部を
含む全面に離型剤塗布装置40から離型剤であるジメル
シリコーンオイルを塗布しながらランニング試験を行
い、そのときの通紙白地部における付着力を付着力測定
装置1により測定した。この測定結果を図8に示す。
【0094】図8に示す結果から、中間転写ベルト20
の通紙白地部における付着力は、ジメルシリコーンオイ
ルを塗布(Oil供給)することにより、その増加を大
幅に低減できることがわかる。しかし、このジメルシリ
コーンオイルを塗布した場合であっても、初めの5千枚
(5kPV)付近までのプリント動作において付着力が
一度増加することが判明した。これは、中間転写ベルト
20の表面層22を構成する前記特定のフッ素ゴムがジ
メルシリコーンオイルをはじきやすい特性をもってお
り、そのオイルを塗布する初期段階では中間転写ベルト
の表面層22に十分になじんでおらず、このためトナー
に対する良好な離型性が付与されないことに原因がある
ものと推測される。
【0095】続いて、前記ランニング試験を行って白抜
けの発生状況について調べるとともに、その各調べた時
点における中間転写ベルトの通紙白地部の付着力につい
て調べた。この測定結果を図9に示す。
【0096】図9に示す結果から、付着力と白抜けグレ
ードとの間にはある程度の相関関係があり、白抜けの発
生を低減するには付着力を小さくすることが有効であり
そうなことがわかる。そして、この白抜けグレードを許
容レベルの「1以下」とするには、付着力を約0.13
以下に抑えることが必要でありそうなことが予測でき
る。
【0097】本発明者らは、以上のような各測定結果か
ら、特に最初の5千枚(5kPV)付近までのプリント
時における白抜けの発生を低減するためには、未使用の
中間転写ベルト20にトナーに対する良好な離型性を離
型剤(ジメルシリコーンオイル等)の塗布により如何に
早く付与できるかが重要であることに着目し、以下の試
験を引き続き行った。
【0098】まず、図10に示すような未使用の中間転
写ベルト20に離型剤を塗布するための独立した離型剤
塗布専用装置4を用い、離型剤の塗布効果に関する種々
の試験を行った。
【0099】この離型剤塗布専用装置4は、画像形成装
置1Aにおける転写ロール32とベルト支持ロール24
b、24cとを図示のような状態に設置し、その各ロー
ル32、24b、24cに中間転写ベルト20を掛けま
わしたうえで、その中間転写ベルト20を挟んで離型剤
塗布装置40に使用する離型剤塗布ロール41を転写ロ
ール31に圧接させた状態で配置するとともに、同じく
離型剤塗布装置40に使用する離型維持ロール24eを
中間転写ベルト20を挟んで転写ロール32に当接させ
た状態で配置したものである。また、この離型剤塗布専
用装置4は、転写ロール32と支持ロール24b、24
cの間における中間転写ベルト20の各内周面に接触す
る状態で加熱板36をそれぞれ設置している。
【0100】上記転写ロール32は、前記した付着力測
定装置2における転写ロール32と同じものであり、同
じく駆動ロールとして兼用している。離型剤塗布ロール
41は、離型剤塗布装置40におけるものと同じもので
あり、そのシリコーンゴム層にジメチルシリコーンオイ
ルを含浸させている。また、離型維持ロール24eにつ
いても、基本的に離型剤塗布装置40におけるものと同
じもの(アルミニウム製の金属ロール)を使用する。離
型剤塗布ロール41及び離型維持ロール24eは、転写
ロール32に対して100N及び600Nの加圧荷重で
それぞれ圧接している。
【0101】そして、この離型剤塗布専用装置4による
離型剤の塗布は、未使用の中間転写ベルト20を掛けま
わして装置をセットした後に、駆動兼転写ロール32、
離型剤塗布ロール41及び離型維持ロール24eをいず
れも135℃に加熱し、さらに2つの加熱板36をいず
れも135℃に加熱する。この状態で中間転写ベルト2
0を矢印方向に速度260mm/secで回転させる。
これにより、離型剤塗布ロール41からジメチルシリコ
ーンオイルが中間転写ベルト20にA4版サイズの用紙
1枚当たり0.15μリットルの割合で塗布される。こ
のように塗布された離型剤は、離型維持ロール24eを
通過することによりベルト面に一様にならされる。
【0102】ここで、離型維持ロール24eの表面材料
を変えることによる離型剤塗布効果の差異について調べ
た。
【0103】図11は、この表面材料による離型剤塗布
効果の差異を評価するための評価装置5を示している。
この評価装置5は、前記離型剤塗布専用装置4におい
て、ベルト支持ロール24b、24cと2つの加熱板3
6とを割愛し、評価時間短縮のために中間転写ベルト2
0を短く切って転写ロール32に巻きつけるように変更
したものであり、それ以外については同じ構成からなる
ものである。このときの中間転写ベルト20としては、
予め前記付着力を0.2Nとなるまで上昇させたものを
使用した。これは、中間転写ベルトの表面層22を構成
する前記特定のフッ素ゴムのトナーに対する初期段階の
付着力が0.03N程度と小さく、離型維持ロール24
eの表面材料を変えたときの離型剤塗布効果の差異がわ
かりにくくなることを回避するためである。
【0104】そして、この評価装置5による評価は、離
型維持ロール24eとして図12に示すような各種のも
の(表面層を形成しないアルミニウムのみのもの、シリ
コーンゴムの表面層を形成したもの、シリコーン樹脂の
表面層を形成したもの、シリコンゴムベルトを表面層と
して巻きつけたもの、離型維持ロールを設置しないも
の、フッ素樹脂:PFAの表面層を形成したもの)をそ
れぞれ使用し、その各離型維持ロール24eを使用して
離型剤塗布ロール41から中間転写ベルト20にジメチ
ルシリコーンオイルを塗布したときの、中間転写ベルト
20のトナーに対する付着力の低減量について調べてい
る。ジメチルシリコーンオイルを塗布は、上記巻きつけ
た中間転写ベルト20を周速261mm/secで50
0回転させることで行った。付着力の測定は、未使用で
予め上昇させた中間転写ベルト20における付着力と、
オイル塗布後の中間転写ベルト20における付着力とを
測定した。オイル塗布後の中間転写ベルト20における
付着力の測定は、図6に示す付着力測定装置2を用い、
その測定対象の中間転写ベルトを延長用のダミーベルト
にテープにより連結して長さを調整した状態で行った。
【0105】この測定結果を図12に示す。図中の縦軸
の「付着力低減量」とは、オイル塗布前の付着力とオイ
ル塗布後の付着力との差分を、プリント枚数(ここでは
転写ロール31の125回転分を1kPV相当のプリン
ト枚数とみなして換算した数値「5kPV」)で割った
ものである。
【0106】図12に示す結果から、付着力低減量(効
果)は、表面層を形成せずアルミニウムのみの離型維持
ロール24eを使用してオイルを塗布した場合に最も大
きくなることがわかる。特にこの効果は、離型維持ロー
ル24eを使用しないでオイルを塗布した場合に比べる
と、約2倍以上になっている。
【0107】また、上記離型維持ロール24eの各表面
態様(図12に示すもの)におけるジメチルシリコーン
オイルに対する接触角を測定した。接触角の測定は、5
0mmφのロールに中間転写ベルトを巻きつけ、孔径
0.1mmの注射器からジメチルシリコーンオイルを1
滴たらしたときの接触角度を測定した。図13は、この
ときの接触角の測定結果と各表面態様の前記した付着力
低減量(図12に示すもの)との関係を示すものであ
る。
【0108】図13の示す結果から、離型維持ロール2
4eの表面材料としては、その維持ロールを使用しない
場合(付着力低減量が約0.015N/kPV)よりも
付着力低減効果が少しでも上回るという観点で考察した
とき、ジメルシリコーンオイルとの接触角が20°以下
の特性を示すものが好適であることがわかる。
【0109】続いて、離型剤を塗布するときの中間転写
ベルト20の温度条件を変えることによる離型剤塗布効
果の差異について調べた。
【0110】図14は、この温度条件による離型剤塗布
効果の差異を評価するための評価装置6を示している。
この評価装置6は、転写ロール32とベルト支持ロール
24とを間隔をあけて設置するとともに、そのロール間
に転写ロール32側から加熱板36とベルト冷却装置3
7とを間隔をあけて設置し、その各ロール32、24と
加熱板36と冷却装置37に中間転写ベルト20を掛け
まわし、加熱板36とベルト冷却装置37との間におけ
る中間転写ベルト20の外周面に離型剤塗布ロール41
を圧接するようにしたものである。また、離型維持ロー
ル24eを中間転写ベルト20を挟んで転写ロール32
に圧接した状態で設置している。図中の符号38は、離
型剤塗布ロール41のバックアップロールである。
【0111】上記転写ロール32は、前記した付着力測
定装置2における転写ロール32と同じものであり、同
じく駆動ロールとして兼用している。離型剤塗布ロール
41は、離型剤塗布装置40におけるものと同じもので
あり、そのシリコーンゴム層にジメチルシリコーンオイ
ルを含浸させている。また、離型維持ロール24eは、
アルミニウム製の金属ロールを使用している。冷却装置
37としては、ヒートシンクと送風又は吸気ファン等を
組み合わせた構成からなるものである。
【0112】この評価装置6による評価は、加熱板36
による加熱作用と冷却装置37による冷却作用とを連動
させて転写ロール32と離型維持ロール24eとの圧接
部における中間転写ベルト20の温度を図15に示すよ
うに種々変更し、その各温度条件下で離型剤塗布ロール
41から中間転写ベルト20にジメチルシリコーンオイ
ルを塗布したときの、中間転写ベルト20のトナーに対
する付着力の低減量について調べている。上記圧接部に
おける中間転写ベルト20の温度は、その圧接部の直前
位置に配置した非接触式の温度計により当該ベルト20
の温度について測定したものである。ジメチルシリコー
ンオイルを塗布は、前記評価装置5における塗布条件と
同じ条件下で行った。また、付着力の測定は、未使用で
予め付着力を上昇させてなる中間転写ベルト20におけ
る付着力と、オイル塗布後の中間転写ベルト20におけ
る付着力とを測定した。オイル塗布後の中間転写ベルト
20における付着力の測定は、前記付着力測定装置2を
用いて行った。この測定結果を図15に示す。図中の縦
軸の「付着力低減量」は、図12のものと同じ条件で算
出したものである。
【0113】図15に示す結果から、付着力低減量(効
果)は、離型維持ロール24eと接触するときの中間転
写ベルト20の温度が高いほうが大きくなることがわか
る。また、このときの温度は、先の離型維持ロール24
eを使用しない場合の付着力低減量(約0.015N/
kPV)を少しでも上回るという観点で考察したとき、
50℃以上にすることが好ましいことがわかる。
【0114】ちなみに、離型剤塗布ロール41と接する
部分の中間転写ベルト20の温度について、上記評価装
置6により同じ評価を行ったところ、その温度が高いと
きの方が付着力低減量は少し大きくなるが、離型維持ロ
ール24eと接触するときの中間転写ベルト20の温度
を高めたときの効果よりも小さいことが確認されてい
る。
【0115】また、上記評価装置6による評価を、以下
のような離型維持ロール24eを使用した場合について
行った。すなわち、離型維持ロール24eとしては、前
記接触角が約20°のシリコーンゴムからなる表面層を
形成したものと、その接触角が約35°のPFAからな
る表面層を形成したものを使用した。そして、この各離
型維持ロール24eと接するときの中間転写ベルト20
の温度を図16に示すように種々変更し、その各温度条
件下で離型剤塗布ロール41から中間転写ベルト20に
ジメチルシリコーンオイルを塗布したときの、中間転写
ベルト20のトナーに対する付着力の低減量について調
べた。この測定結果を図16に示す。
【0116】図16に示す結果から、付着力低減量(効
果)は、接触角が小さめのシリコーンゴムの表面層を形
成した場合と接触角が大きめのPFAの表面層を形成し
た場合とを対比してみると、離型維持ロール24eと接
触するときの中間転写ベルト20の温度が110℃では
大きな差があるが、その温度が160℃では差が少なく
となることがわかる。
【0117】ちなみに、この評価装置6による評価を他
の表面層(図12に列記したのもの)を形成した離型剤
塗布ロール41を使用した場合についても同様に行った
ところ、その温度を160℃程度の高い温度にした場合
には、付着力低減量については、表面層の材料の違いに
よる差が小さくなることが確認されている。これは、前
記接触角が大きめの表面層を形成した離型維持ロール2
4eであっても、そのロールが接触する中間転写ベルト
20の温度を160℃以上のような高い温度に設定する
ことにより、付着力低減量を高めることが可能であるこ
とを意味している。このような場合には、離型維持ロー
ル24eの表面層を構成する材料の選択幅が広くなるた
め、装置の構成上有利となる。
【0118】以上のごとき未使用の中間転写ベルトに対
する離型剤の塗布効果に関する試験結果から、未使用の
中間転写ベルト20にジメチルシリコーンオイル等の離
型剤を塗布する際に、その塗布面に少なくとも離型維持
ロール24eを当接させつつ行うと、かかる中間転写ベ
ルトのトナーに対する付着力の低減効果が得られて有効
であることが明らかになった。
【0119】次に、未使用の中間転写ベルト20では離
型剤を塗布しても記録用紙Pの通紙白地部に相当するベ
ルト部分におけるトナー付着力が上昇する特性(図6参
照)があることから、その離型剤を塗布する前に未使用
の中間転写ベルト20に白地の記録用紙Pを接触させて
トナー付着力の変化について調べるとともに、その後に
離型剤を塗布したときのトナー付着力の変化について調
べた。
【0120】図17は、未使用の中間転写ベルトのトナ
ーに対する付着力を上昇させるための付着力上昇専用装
置7である。この付着力上昇装置7は、前記した離型剤
塗布専用装置4における離型剤塗布ロール41を除外す
るとともに、その離型維持ロール24eに代えて記録用
紙Pを巻きつけた圧接ロール45を設置した以外は当該
専用装置4と同じ構成からなるものである。圧接ロール
45は、外径が50mmからなる金属ロールであり、そ
のロール周面に画像形成に使用し得る記録用紙Pを巻き
つけたものである。また、この圧接ロール45は、上記
離型維持ロール24eと同様に、転写ロール31に対し
て600Nの加圧荷重で圧接している。
【0121】試験は、上記付着力専用装置7に代えて、
図18に示す簡易型の付着力上昇評価装置8を用いて未
使用の中間転写ベルト20におけるトナー付着力を上昇
させる処理を施し、そのときの付着力を測定した後、そ
の付着力上昇処理を施した後の中間転写ベルト20に前
記した離型剤塗布の評価装置5により離型剤(ジメチル
シリコーンオイル)を塗布し、そのときの付着力を測定
した。そして、最後に、その離型剤を塗布した後の中間
転写ベルト20を再び前記付着力上昇評価装置8に装着
して擬似的なランニング試験(この際、中間転写ベルト
20には離型剤を塗布していない)を行い、そのときの
付着力を測定した。
【0122】付着力上昇評価装置8は、前記上記付着力
専用装置7において、ベルト支持ロール24b、24c
と2つの加熱板36とを割愛し、評価時間短縮のために
未使用の中間転写ベルト20を短く切って転写ロール3
1に巻きつけるように変更したものであり、それ以外に
ついては同じ構成からなるものである。
【0123】また、比較のため、上記付着力上昇処理と
その後の離型剤塗布処理のいずれも行わない中間転写ベ
ルトについて前記した擬似的なランニング試験のみを実
行して付着力の測定を行う比較試験(表中の条件A)
と、上記離型剤塗布処理のみを行った後の中間転写ベル
トについて前記した擬似的なランニング試験を実行して
付着力の測定を行う試験(表中の条件B)を行った。な
お、付着力の測定は、前記した付着力測定装置2を用い
て行うとともに図19に示す各点で示す処理時間ごとに
行っている。
【0124】このときの各試験条件と、その各条件下に
おける付着力上昇処理時間や離型剤塗布時間の内訳につ
いて表1に示す。表中の時間単位として示す「kPV」
は、各処理時間について転写ロール31の125回転分
を1kPVと換算して表記した単位(プリント枚数を示
す単位にほぼ相当するもの)である。
【0125】
【表1】
【0126】上記各条件A〜Dで行った試験の結果を図
19に示す。図中の横軸における時間「0kPV」は、
離型剤塗布処理の終了時点であるとともに擬似的なラン
ニグ試験の開始時点を示している。また、その横軸にお
いてマイナス表示されている数値は、「0kPV」を基
準にして見た場合、それ以前に行った付着力上昇処理や
離型剤塗布処理の各時間をさかのぼって表記したもので
ある。また、この図中のkPVも、転写ロール31の1
25回転分を1kPVと換算して表記した単位である。
【0127】図19に示す結果から、未使用の中間転写
ベルト20に付着力上昇処理と離型剤塗布処理のいずれ
も行わない場合(条件A)には、その中間転写ベルトの
付着力がランニング試験の経過とともに急減に上昇して
しまうことが確認される。
【0128】これに対し、少なくとも離型剤の塗布処理
のみを行った場合(条件B)には、条件Aの場合に比べ
て、その中間転写ベルトのランニング試験経過後におけ
る付着力の上昇分が抑えられる(改善される)ことが確
認できた。また、付着力上昇工程と離型剤塗布処理の双
方を行った場合(条件C,D)には、離型剤の塗布処理
のみを行った場合(条件B)よりも、その中間転写ベル
トのランニング試験経過後における付着力の上昇分がよ
り一層抑えられることが確認できた。しかも、条件C,
Dにおいては、付着力上昇工程を多めに実行した場合
(条件D)には、中間転写ベルトのランニング試験経過
後における付着力の上昇分を最も効果的に抑えられるこ
と(例えば条件Aの約1/20程度の上昇率に抑制でき
ること)が明らかになった。
【0129】この試験結果から、未使用の中間転写ベル
ト20に離型剤を塗布する前に、例えば記録用紙Pの白
地部を接触させてトナーに対する付着力を上昇させる付
着力上昇処理を施した場合には、その中間転写ベルト2
0を用いた実際の画像形成時におけるトナー付着力の上
昇分を効果的に抑えることができることが判明した。
【0130】そこで、上記条件C,Dの離型前処理(付
着力上昇処理+離型剤塗布処理)を施した中間転写ベル
ト20を画像形成装置に装着して前述のランニング試験
を行ってトナー付着力の変化度合いについて調べたとこ
ろ、図20に示すような結果が得られた。
【0131】図20に示す結果から明らかなように、離
型前処理を施した中間転写ベルト20を使用することに
より、その使用初期段階におけるトナー付着力の上昇が
大幅に抑制されることが確認できた。この付着力上昇の
抑制効果は、前記した離型剤を塗布しても使用初期段階
における付着力の上昇現象がみられた試験結果(図8参
照)に照らしてみても、優れているものであることがわ
かる。
【0132】なお、前記した付着力上昇処理を未使用の
中間転写ベルト20に対していくつかの処理時間で施し
た後、12kPV分の離型剤塗布処理を行い、その各処
理後のトナー付着力の上昇分を調べるとともに、その各
上昇分を当該処理時間(kPV)でそれぞれ除算してな
る付着力上昇率とを求め、その両者の関係について調べ
た。図21は、このときの付着力上昇分と付着力上昇率
との関係を示したものである。一方、上記付着力上昇率
のうち任意に選択した3つの実例の付着力上昇処理を施
した後に離型剤塗布処理を施した中間転写ベルトを使用
してランニング試験(なお、この試験では離型剤塗布ロ
ール41による離型剤の塗布を行った)を行い、そのと
きの付着力が最大でどの程度まで上昇するか否かについ
て調べた。この測定結果を図22に示す。
【0133】上記2つの試験結果から、前述したとおり
白抜けグレードを1以下にする観点からランニング試験
後における付着力の最大値を0.13N以下にするため
には、図22に示す相関関係から付着力上昇率を約0.
025(N/kPV)以下にすることが必要であること
がわかる。また、付着力上昇率が約0.025(N/k
PV)以下となる付着力上昇処理は、図21の示す相関
関係から付着力の上昇が「0.5N以上」となる程度の
処理を施せばよいことがわかる。
【0134】また、上記したような離型前処理に関して
離型剤塗布時期をいくつか変えた中間転写ベルト20を
用いてランニング試験を行ったところ、同じ付着力まで
下げた場合でも、ランニング試験後の付着力の上昇度合
いに差があることが確認されている。
【0135】さらに、離型剤塗布処理を施した後の中間
転写ベルト20とジメチルシリコーンオイルとの接触角
と、その中間転写ベルト20のランニング試験による付
着力の上昇率とについて調べたところ、図23に示すよ
うな結果が得られた。この結果から、上記接触角と付着
力上昇率との間に相関関係があることが確認された。ま
た、この場合において、前記したランニング試験後にお
ける付着力の最大値を0.13N以下にするためには付
着力上昇率を約0.025(N/kPV)以下にする必
要性があるという観点で考察すると、付着力上昇率を約
0.025(N/kPV)以下にするためには、上記接
触角を15°以下にする必要がある。
【0136】続いて、前記したような離型前処理(離型
維持ロールの当接工程を含む離型剤塗布処理、または、
その離型剤塗布処理と付着力上昇処理とを併せた処理)
を施した中間転写ベルト20を使用して画像形成を行う
場合、その画像形成時に当該中間転写ベルト20に離型
剤塗布装置40によって塗布する離型剤の量に関する試
験を行った。
【0137】一般に、中間転写ベルト20の表面にトナ
ーに対する離型性を付与するためジメチルシリコーンオ
イルを多量に塗布すると、前述したようにかぶりなどが
発生する。ここで、かぶりとは、ごく低濃度のトナー像
が本来の画像上に重ねられた状態で作像される現象であ
る。このため、かぶりについては、白紙のようなサンプ
ル画像を形成したときの画像の一定面積内に存在するか
ぶりトナーの個数(顕微鏡観察にて計測する)や、その
サンプル画像を形成した記録用紙Pと新品の記録用紙
(白紙)のL*a*b*均等色空間による色差ΔEを用い
て評価することが可能である。実際、このようなかぶり
数と白紙の色差とは、図24に示すように相関がある。
ここでは、色差が1以下となるかぶり数を許容値とす
る。
【0138】そこで、離型剤塗布装置40から中間転写
ベルト20に塗布するジメチルシリコーンオイルの塗布
量(A4版用紙1枚当たりの塗布量)を変えて上記サン
プル画像を形成し、その画像を形成した記録用紙と新品
の白紙との色差について測定した。この測定結果を図2
5に示す。図25に示す結果から、その塗布量を0.1
5μリットル/A4以下にすれば、かぶりの許容値に相
当する色差を1以下にできることがわかる。
【0139】次に、前記した離型前処理(条件D)を施
した未使用の中間転写ベルト20に離型剤塗布装置40
からジメチルシリコーンオイルを0.15μリットル/
A4の塗布量となるように塗布しつつランニング試験を
行い、そのときのかぶりの発生状況を調べ色差として評
価した。また、比較のために、離型前処理を施さない未
使用の中間転写ベルト20を用いて同じ試験を行った。
結果を図26に示す。この結果から、上記離型剤前処理
を施した場合には、その前処理を施さない場合に比べる
と、初期段階からかぶりの発生を許容レベルに抑えるこ
とができるのが確認できる。
【0140】以上の各試験結果や考察結果から、この実
施の形態1では、中間転写ベルト20として、画像形成
装置に装着する前の未使用段階で前記した離型剤塗布専
用装置3により離型前処理としての離型剤塗布処理を施
すか、あるいは、この離型剤塗布処理を施す前に前記し
た付着力上昇専用装置6により付着力上昇処理を離型前
処理の一部処理工程として施したものを使用するように
した。
【0141】これにより、実施の形態1に係る画像形成
装置1Aによれば、離型前処理を施した新品の中間転写
ベルト20を装着して使用することになるため、その使
用初期段階(最先のプリント枚数が5kPV程度になる
までの間)において中間転写ベルトに離型剤を塗布する
とトナーに対する付着力が上昇してしまうという現象を
抑制できるようになり、この結果、かかる使用初期段階
を含め、中間転写ベルトにトナーが残留付着することに
起因した画像オフセットや白抜け等のごとき画像欠陥が
発生することを防止できる。また、このように使用初期
段階における中間転写ベルトのトナー付着力の上昇を抑
えることが可能になるために、かかる付着力の上昇を防
止するために離型剤を多めに塗布する必要がなくなり、
この結果、離型剤の過剰塗布に起因したかぶりや感光ド
ラム11でのオイル筋の発生を防止できる。
【0142】[実施の形態1の変形例]これまでは、中
間転写ベルト20を画像形成装置に装着する前に予め離
型前処理を施す態様について説明したが、未使用の中間
転写ベルト20をそのまま画像形成装置に装着した後、
その離型前処理を画像形成装置内で施すように構成して
もよい。
【0143】具体的には、作像ユニット10によるトナ
ー像の作成を行わない状態で、未使用の中間転写ベルト
20に対して白紙の記録用紙Pを転写定着時と同様に供
給して通過させて離型前処理としての付着力上昇処理を
施し、しかる後に、記録用紙Pの供給を止めた状態で、
付着力上昇処理後の中間転写ベルト20に対して離型剤
供給装置40の離型剤塗布ロール41から離型剤を塗布
し、その塗布面に離型維持ロール24eを当接させて離
型前処理としての離型剤塗布処理を施すようにする。ま
た、必要に応じて、上記記録用紙の通紙による付着力上
昇処理と、離型剤塗布装置40による離型剤塗布処理と
を同時に実行するように設定しても構わない。この際、
離型剤塗布装置40は離型処理装置として兼用すること
になる。このような画像形成装置内で離型前処理を行う
態様の場合、その処理動作については、操作パネルから
の指示操作や初期化モードの1動作として組み込むこと
により、例えば画像形成装置の組み立て完成時に工場内
で行ったり、あるいは、ユーザーの使用設置場所で行う
ように構成すればよい。
【0144】また、このような態様の場合、離型剤塗布
処理に使用される離型維持ロール24eに代えて又はそ
れと併せて、加熱板36と対向する中間転写ベルト20
の外周面に当接するような離型維持ロール24gを配置
してもよい(図2参照)。この場合には、その離型維持
ロール24gが当接する中間転写ベルト20部分を加熱
板36により所定の温度(例えば50℃以上、又は16
0℃以上)に効率よく素早く加熱することができ、離型
剤の塗布効率を高めることなどが可能となる。ただし、
このような転写定着前のトナー像の搬送を行う中間転写
ベルト20の位置に当接する離型維持ロール24gにつ
いては、そのベルト20に対してリトラクト機構により
接離可能に設置して離型前処理実行時にのみ当接させる
ように構成する必要がある。
【0145】さらに、このような態様の場合、使用後の
中間転写ベルト20に対して離型前処理を適宜実行する
ように構成することが可能になる。
【0146】なお、前記した画像形成装置1Aへの装着
前の中間転写ベルト20に離型前処理を施す態様の場
合、離型剤塗布専用装置3の所定の位置に、付着力上昇
専用装置6における記録用紙を巻きつけた圧接ロール4
5を設置し、かかる圧接ロール45による付着力上昇処
理を離型剤塗布処理とほぼ同時に行うように構成しても
構わない。
【0147】[実施の形態2]図27は、実施の形態2
に係るカラー画像形成装置1Bの要部を示すものであ
る。このカラー画像形成装置1Bは、転写定着部に定着
補助ベルト50を増設した以外は実施の形態1に係る画
像形成装置1Aと同じ構成からなるものである。図中に
おいて定着補助ベルト50は便宜上、点線で図示してい
る。
【0148】定着補助ベルト50は、前述したように、
主にブリスタの発生を抑制するために設置されるもので
あり、このため、少なくとも転写ロール32と剥離用の
支持ロール24cとの間において中間転写ベルト20の
外周面に接触するような状態で設置されている。この実
施の形態2では、定着補助ベルト50を、転写ロール3
1と、剥離用支持ロール24cの手前位置に設置する圧
接ロール51とに掛けまわし、その転写ロール31と圧
接ロール51、52との間において中間転写ベルト20
と接触した状態で回転し得るように設置されている。図
中の符号56は定着補助ベルト50の表面を清掃するク
リニーニングロールである。定着補助ベルト50として
は、所定のベルト基材に表面層を形成した2重構造のも
のが使用される。その表面層としては中間転写ベルト2
0の表面層22と同じ材料(特に特定のフッ素ゴム)で
形成したものを適用することができる。
【0149】これにより、転写定着位置(転写ロール3
1と中間転写ベルト20の圧接部)から用紙剥離部(支
持ロール24cの設置位置)に至る間における記録用紙
Pが中間転写ベルト20に押し付けられた状態で搬送さ
れて中間転写ベルト20との密着性が保たれるようにな
る。この結果、記録用紙とトナー像の間への蒸気の入り
込みと残留を回避できるようになるため、ブリスタを抑
制することが可能となる。
【0150】ところが、このような定着補助ベルト50
を使用した場合、例えば両面画像形成(両面プリント)
を行ったときに、記録用紙Pの第2面への転写定着時に
その第1面に形成された定着トナー像が定着補助ベルト
50に接触することとなり、この際、定着ベルト50の
トナーに対する付着力が高い状態にあると、その第1面
のトナー像が定着補助ベルト50にオフセットして付着
することがある。このような定着補助ベルト50へのト
ナー付着が発生した場合には、既述したような画像オフ
セットや白抜けの画像欠陥が引き起こされるようにな
る。しかも、この場合、単に定着補助ベルト50の表面
に対して離型剤塗布装置(離型剤塗布ロール)55によ
り塗布するようにしても、離型剤の過剰塗布による不具
合を誘発してしまう。
【0151】そこで、この定着補助ベルト50について
も、実施の形態1における中間転写ベルト20の場合と
同様に、画像形成装置1Bに装着する前の未使用段階に
ある定着補助ベルト50に離型前処理を施するか、ある
いは、画像形成装置1Bに離型前処理としての離型処理
装置を設置し、かかる離型処理装置により未使用の定着
補助ベルト50に離型前処理を施すようにしている。
【0152】装着前の定着補助ベルト50に離型前処理
を施す場合には、実施の形態1で例示したような離型剤
塗布専用装置4(図10)を用いて離型剤塗布処理を行
い、また、付着力上昇専用装置7(図17)を用いて付
着力上昇処理を行うようにする。この際、離型剤塗布処
理や付着力上昇処理における処理条件等については、実
施の形態1における場合と同様の条件等にすることが可
能である。
【0153】一方、画像形成装置1B内で離型前処理を
施す場合には、離型剤塗布装置55を離型処理装置とし
て兼用するとともに、そのベルト回転方向下流側に離型
維持ロール53を設置する。これにより、未使用の定着
補助ベルト50に対して離型剤の塗布とその塗布面への
離型維持ロール53の当接がなされ、もって離型前処理
としての離型剤塗布処理が施される。また、この離型剤
塗布処理に併せて付着力上昇処理を行う場合には、実施
の形態1の場合と同様に、白紙の記録用紙Pを供給して
中間転写ベルト20と定着補助ベルト50の間に通過さ
せる。
【0154】なお、この画像形成装置1Bにおいても、
その未使用の中間転写ベルト20に対して実施の形態1
の場合と同様の離型前処理を施すことは言うまでもな
い。
【0155】[実施の形態3]図28は、実施の形態3
に係るカラー画像形成装置1Cの要部を示すものであ
る。このカラー画像形成装置1Cは、実施の形態1に係
る画像形成装置1Aにおける転写定着方式に代えて転写
部(二次転写部)と定着部とを独立させた方式を採用
し、その転写部に合わせるために中間転写ベルト20を
含む中間転写ユニット部を一部変更するとともに、その
定着部に合わせるために定着ベルトを用いたベルト定着
装置60を新たに使用するように変更した以外は画像形
成装置1Aとほぼ同じ構成からなるものである。
【0156】中間転写ベルト20は、駆動ロール23と
ベルト支持ロール24a、24bに加え、ベルト支持ロ
ール24bのベルト回転方向下流側の位置に設置した二
次転写バックアップロール34及び二次転写ロール35
と、この2つのロール34、35と駆動ロール23の間
に設置した2つのベルト支持ロール24h,24iとに
掛けまわして矢印B方向に回転するように一部変更して
いる。
【0157】特に、中間転写ベルト20の二次転写部
(二次転写関連のロール34、35が配置された部位)
を通過した後に駆動ロール23に至るまでの区間におい
て、ベルト定着装置60を収容設置するための内側に窪
んだ空間スペースSを確保するように、ベルト支持ロー
ル24hを作像ユニット側に接近させた位置に配置する
とともに、そのベルト支持ロール24hを通過した後の
中間転写ベルト20を駆動ロール23に掛け渡すベルト
支持ロール24iを駆動ロール23の直前位置に配置し
ている。なお、この画像形成装置1Cにおいては、中間
転写ベルト20上に転写されるトナー像を二次転写前に
加熱する必要がないため、中間転写方式を採用した実施
の形態1で使用した加熱板36を設置していない。
【0158】ベルト定着装置60は、定着ベルト61
を、一対の定着ロール62、63のうちのロール62と
複数のベルト支持ロール64a〜64dに掛けまわして
なり、駆動ロールを兼ねる定着ロール63の駆動力によ
り矢印C方向に回転するようになっている。また、この
定着装置60は、ベルト支持ロール64c,64dの間
に設置されたベルト加熱板65により加熱されるように
なっている。定着ロール62、63は、そのロール内部
に電熱ヒータが配置されており、ロール表面がトナーの
溶融温度(軟化点)よりも高い温度に加熱されるように
構成されている。図中の符号66は定着ロール63の表
面を清掃するクリーニングロール、67は定着ベルト6
1の表面を清掃するクリーニングロール、68はクリー
ニングロール67のバックアップロール、69は二次転
写部と定着装置60の間に設置される用紙搬送装置であ
る。
【0159】このカラー画像形成装置1Cによる画像形
成は、概略以下のようにして行われる。まず、実施の形
態1に係る画像形成装置1Aの場合と同様に、作像ユニ
ット10で各色のトナー像が感光ドラム11に形成され
た後、その各トナー像が中間転写ベルト20に一次転写
される。中間転写ベルト20に転写されたトナー像は、
中間転写ベルト20と二次転写ロール35の間に供給さ
れて送り込まれる記録用紙Pに静電的に二次転写され
る。
【0160】次いで、トナー像が転写された記録用紙P
は、用紙搬送装置69によりベルト定着装置60に送り
込まれる。ベルト定着装置60では、ベルト加熱板65
をはじめ定着ロール62、63により定着ベルト61が
加熱されている。これにより、記録用紙P上のトナー像
は、定着ベルトと定着ロール63の間(圧接部)で加熱
および加圧されて用紙に定着される。そして、この圧接
部を通りぬけた記録用紙Pは、定着ベルト61の外周面
に密着した状態で剥離ロールとして機能する支持ロール
64aが存在する剥離位置まで搬送されるとともに、そ
の過程において冷却される。この冷却により、加熱溶融
されたトナーが十分に凝集固化されて用紙側に強く定着
される。このように冷却された記録用紙Pは、上記剥離
位置で定着ベルト61から自力で剥離する。
【0161】この結果、記録用紙Pの片面に対してカラ
ー画像などが形成される。この際、記録用紙Pに形成さ
れたトナーからなる画像は、その画像表面が定着ベルト
61の表面平滑さがそのまま転写されるため、光沢感に
富んだものとなる。
【0162】ところが、このようなベルト定着装置60
においても、その定着ベルト61のトナーに対する付着
力が高い状態にあると、記録用紙P上のトナー像が定着
ベルト61にオフセットして付着することがある。この
ような定着ベルト61へのトナー付着が発生した場合に
は、既述したような画像オフセットや白抜けの画像欠陥
が引き起こされるようになる。しかも、この場合、単に
定着ベルト61の表面に対して離型剤塗布装置(離型剤
塗布ロール)70により塗布するようにしても、離型剤
の過剰塗布による不具合を誘発してしまう。
【0163】そこで、この定着ベルト61についても、
実施の形態1における中間転写ベルト20の場合と同様
に、画像形成装置1Cひいては定着装置60に装着する
前の未使用段階にある定着ベルト61に離型前処理を施
するか、あるいは、その定着装置60に離型前処理とし
ての離型処理装置を設置し、かかる離型処理装置により
未使用の定着ベルト61に離型前処理を施すようにして
いる。
【0164】装着前の定着ベルト61に離型前処理を施
す場合には、実施の形態1で例示したような離型剤塗布
専用装置4(図10)を用いて離型剤塗布処理を行い、
また、付着力上昇専用装置7(図17)を用いて付着力
上昇処理を行うようにする。この際、離型剤塗布処理や
付着力上昇処理における処理条件等については、実施の
形態1における場合と同様の条件等にすることが可能で
ある。
【0165】一方、画像形成装置1Cひいては定着装置
60内で離型前処理を施す場合には、離型剤塗布装置7
0を離型処理装置として兼用するとともに、そのベルト
回転方向下流側に離型維持ロール71を設置する。これ
により、未使用の定着ベルト61に対して離型剤の塗布
とその塗布面への離型維持ロール71の当接がなされ、
もって離型前処理としての離型剤塗布処理が施される。
また、この離型剤塗布処理に併せて付着力上昇処理を行
う場合には、実施の形態1の場合と同様に、白紙の記録
用紙Pを供給して中間転写ベルト20と定着ベルト61
の間に通過させる。
【0166】[実施の形態4]図29は、実施の形態4
に係るカラー画像形成装置1Dの要部を示すものであ
る。このカラー画像形成装置1Dは、定着装置60に定
着補助ベルト80を増設した以外は実施の形態3に係る
画像形成装置1Cと基本的に同じ構成からなるものであ
る。定着補助ベルト80は便宜上点線で図示している。
【0167】定着補助ベルト80は、前述したように、
主にブリスタの発生を抑制するために設置されるもので
あり、このため、少なくとも定着ロール63と剥離用の
支持ロール64aの間において定着ベルト61の外周面
に接触するような状態で設置されている。この実施の形
態4では、定着補助ベルト80を、定着ロール63と、
用紙剥離用の支持ロール64aの手前位置に設置する一
対の圧接ロール82、83の一方とに掛けまわし、その
定着ロール63と圧接ロール83との間において定着ベ
ルト61と接触した状態で回転し得るように設置されて
いる。図中の符号84は定着補助ベルト80の表面を清
掃するクリニーニングロールである。定着補助ベルト8
0としては、所定のベルト基材に表面層を形成した2重
構造のものが使用される。その表面層としては中間転写
ベルト20の表面層22と同じ材料(特に特定のフッ素
ゴム)で形成したものを適用することができる。
【0168】これにより、定着位置(定着ロール63と
定着ベルト61の圧接部)から用紙剥離部(支持ロール
64aの設置位置)に至る間における記録用紙Pが定着
ベルト61に押し付けられた状態で搬送されてそのベル
ト61との密着性が保たれるようになる。この結果、記
録用紙とトナー像の間への蒸気の入り込みと残留を回避
できるようになるためブリスタの発生が抑制される。
【0169】ところが、このような定着補助ベルト80
を使用した場合、実施の形態2における定着補助ベルト
50の場合と同様に、例えば両面画像形成(両面プリン
ト)を行ったときに、その第1面のトナー像が定着補助
ベルト80にオフセットして付着し、既述したような画
像オフセットや白抜けの画像欠陥が引き起こされるよう
になる。しかも、この場合、単に定着補助ベルト80の
表面に対して離型剤塗布装置(離型剤塗布ロール)90
により塗布するようにしても、離型剤の過剰塗布による
不具合を誘発してしまう。
【0170】そこで、この定着補助ベルト80について
も、実施の形態2における定着補助ベルト50の場合と
同様に、画像形成装置1Dひいては定着装置60に装着
する前の未使用段階にある定着補助ベルト80に離型前
処理を施するか、あるいは、定着装置60に離型前処理
としての離型処理装置を設置し、かかる離型処理装置に
より未使用の定着補助ベルト80に離型前処理を施すよ
うにしている。
【0171】装着前の定着補助ベルト80に離型前処理
を施す場合には、実施の形態2で説明した同様の構成を
採用することができる。一方、定着装置60内で離型前
処理を施す場合には、離型剤塗布装置90を離型処理装
置として兼用するとともに、そのベルト回転方向下流側
に離型維持ロール91を設置する。これにより、未使用
の定着補助ベルト80に対して離型剤の塗布とその塗布
面への離型維持ロール91の当接がなされ、もって離型
前処理としての離型剤塗布処理が施される。また、この
離型剤塗布処理に併せて付着力上昇処理を行う場合に
は、実施の形態3の場合と同様に、白紙の記録用紙Pを
供給して定着ベルト61と定着補助ベルト80の間に通
過させる。
【0172】なお、この画像形成装置1Dにおいても、
その定着装置60における未使用の定着ベルト61に対
して実施の形態3の場合と同様の離型前処理を施すこと
は言うまでもない。
【0173】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
トナー像を担持する像担持体やトナー像を記録用紙に定
着する定着ベルト等を有し、その像担持体、定着ベルト
等の表面に使用段階で離型剤を塗布してトナー等に対す
る離型性を確保する画像形成装置においても、その離型
剤の塗布による汚染を発生させることなく、特にその像
担持体、定着ベルト等の表面の使用初期段階におけるト
ナーに対する付着力を抑制することができる。この結
果、像担持体、定着ベルト等のトナー付着力上昇に起因
して使用初期段階に画像オフセット、白抜け等のごとき
画像欠陥が発生することが低減される。また、その使用
初期段階に当該付着力の上昇を抑えるために第1離型剤
の塗布量を増やす必要がないため、かかる離型剤の過剰
な塗布による汚染の問題なども回避される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における離型剤処理を行ったときの中
間転写ベルト等におけるトナー付着力の状態と、その処
理後で使用初期段階における当該付着力の状態とを模式
的に示した説明図。
【図2】 実施の形態1に係る画像形成装置の要部を示
す概要図。
【図3】 作像ユニットの要部を示す概要図。
【図4】 中間転写ベルトを示す断面図。
【図5】 溶融トナーが介在するときの中間転写ベルト
と記録用紙の間における力関係を模式的に示す概念図。
【図6】 (a)はトナーに対する付着力を測定する付
着力測定装置、(b)はその測定時に使用する記録用紙
とトナー像の形成状態を示す平面説明図。
【図7】 通紙白地部及び通紙パッチ部に対する付着力
の測定結果を示すグラフ図。
【図8】 離型剤の塗布及び非塗布時における付着力の
測定結果を示すグラフ図。
【図9】 付着力と白抜けグレードとの関係を示す相関
図。
【図10】 離型剤塗布処理専用装置の要部を示す概要
図。
【図11】 離型剤塗布の評価装置の要部を示す概要
図。
【図12】 離型維持ロールの表面材料等に対する付着
力低減量の測定結果を示すグラフ図。
【図13】 接触角と付着力低減量との測定結果を示す
グラフ図。
【図14】 離型剤塗布条件の評価装置の要部を示す概
要図。
【図15】 中間転写ベルト部分の温度条件に対する付
着力低減量の測定結果を示すグラフ図。
【図16】 異なる表面層を有する中間転写ベルトの離
型維持ロールとの接触部分における温度条件と付着力低
減量との測定結果を示すグラフ図。
【図17】 付着量上昇処理専用装置の要部を示す概要
図。
【図18】 付着量上昇試験用の評価装置の要部を示す
概要図。
【図19】 離型前処理時及びその処理後における各付
着力の測定結果を示すグラフ図。
【図20】 離型前処理を施した後における中間転写ベ
ルトの付着力の測定結果を示すグラフ図。
【図21】 付着上昇分と付着力上昇率との関係を示す
相関図。
【図22】 付着力上昇率と付着力との関係を示す相関
図。
【図23】 離型前処理を施した後における中間転写ベ
ルトの接触角の測定結果を示すグラフ図。
【図24】 かぶり数と色差との測定結果を示すグラフ
図。
【図25】 オイル塗布量と色差との測定結果を示すグ
ラフ図。
【図26】 離型前処理の有無と色差との測定結果を示
すグラフ図。
【図27】 実施の形態2に係る画像形成装置の要部を
示す概要図。
【図28】 実施の形態3に係る画像形成装置の要部を
示す概要図。
【図29】 実施の形態4に係る画像形成装置の要部を
示す概要図。
【図30】 ランニング試験時の付着力の測定結果を示
すグラフ図。
【図31】 従来の中間転写方式を採用した画像形成装
置の要部を示す概要図。
【符号の説明】
1…画像形成装置、20…中間転写ベルト(像担持
体)、24e,56,7191…離型維持ロール(当接
部材)、30…転写定着装置(転写定着手段)、40,
55,70,90…離型剤塗布装置(離型剤塗布手段又
は離型処理手段)、61…定着ベルト、50,80…定
着補助ベルト、60…定着装置、P…記録用紙。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新井 和彦 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい、富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 中山 由香 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい、富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 鈴木 浩幸 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい、富士ゼロックス株式会社内 Fターム(参考) 2H033 AA02 AA09 BA42 BA43 BA46 BB01 BB28 BE09 2H078 AA08 AA10 AA13 BB01 BB12 CC06 DD03 DD51 DD53 DD57 2H200 FA07 FA08 FA17 GA12 GA23 GA33 GA34 GA44 GA47 GB12 GB22 GB23 GB25 GB27 HA03 HA12 HB03 HB12 HB22 JA02 JA07 JA08 JA21 JA25 JA27 JC03 JC09 JC12 JC13 JC15 JC17 LC10 MA01 MA03 MA04 MA08 MA14 MA20 MB04 MC01 4F040 AA20 AB08 AC01 BA07 CB02 CB28

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にトナー像を担持して回転する像担
    持体と、この像担持体上のトナー像をその像担持体の表
    面に接触するように供給される記録用紙に少なくとも加
    熱及び加圧して転写させるとともに定着させる転写定着
    手段と、前記像担持体の表面に第1離型剤を塗布する離
    型剤塗布手段とを有する画像形成装置において、 前記像担持体は、少なくとも未使用段階で、その表面に
    第2離型剤を塗布するとともにその塗布面に当接部材を
    当接させる離型前処理が施されていることを特徴とする
    画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記像担持体の少なくとも未使用段階の
    表面に対して第2離型剤を塗布する塗布手段とその塗布
    面に当接させる当接部材とを備えた離型処理手段を設置
    し、この離型処理手段により少なくとも前記離型前処理
    を施す請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記離型前処理は、第2離型剤を塗布す
    る前又は同時に、像担持体の表面のトナー像に対する付
    着力を上昇させる付着力上昇処理を行う処理である請求
    項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 定着対象のトナー像を担持する記録用紙
    が回転する定着ベルトの表面に接触するように供給さ
    れ、少なくとも加熱及び加圧してそのトナー像を記録用
    紙に定着させる定着手段と、この定着手段の定着ベルト
    の表面に第1離型剤を塗布する離型剤塗布手段とを有す
    る画像形成装置において、 前記定着ベルトは、少なくとも未使用段階で、その表面
    に第2離型剤を塗布するとともにその塗布面に当接部材
    を当接させる離型前処理が施されていることを特徴とす
    る画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記定着ベルトの少なくとも未使用段階
    の表面に対して第2離型剤を塗布する塗布手段とその塗
    布面に当接させる当接部材とを備えた離型処理手段を設
    け、この離型処理手段により少なくとも前記離型前処理
    を施す請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 前記離型前処理は、第2離型剤を塗布す
    る前又は同時に、定着ベルトの表面のトナー像に対する
    付着力を上昇させる付着力上昇処理を併せて行う処理で
    ある請求項4又は5に記載の画像形成装置。
  7. 【請求項7】 表面にトナー像を担持して回転する像担
    持体と、この像担持体上のトナー像をその像担持体の表
    面に接触するように供給される記録用紙に少なくとも加
    熱及び加圧して転写させるとともに定着させる転写定着
    手段と、前記像担持体の転写定着位置と記録用紙剥離位
    置との間となる表面部分に接触して回転する定着補助ベ
    ルトと、前記像担持体及び定着補助ベルトの各表面に第
    1離型剤を塗布する離型剤塗布手段とを有する画像形成
    装置において、 前記像担持体及び定着補助ベルトは、少なくとも未使用
    段階で、その各表面に第2離型剤を塗布するとともにそ
    の各塗布面に当接部材を当接させる離型前処理が施され
    ていることを特徴とする画像形成装置。
  8. 【請求項8】 前記像担持体及び定着補助ベルトの少な
    くとも未使用段階の各表面に対して第2離型剤を塗布す
    る塗布手段とその各塗布面に当接させる当接部材とを備
    えた離型処理手段を設置し、この離型処理手段により少
    なくとも前記離型前処理を施す請求項7に記載の画像形
    成装置。
  9. 【請求項9】 前記離型前処理は、第2離型剤を塗布す
    る前又は同時に、像担持体及び定着補助ベルトの各表面
    のトナー像に対する付着力を上昇させる付着力上昇処理
    を併せて行う処理である請求項7又は8に記載の画像形
    成装置。
  10. 【請求項10】 定着対象のトナー像を担持する記録用
    紙が回転する定着ベルトの表面に接触するように供給さ
    れ、少なくとも加熱及び加圧してそのトナー像を記録用
    紙に定着させる定着手段と、この定着手段の定着ベルト
    の定着位置と記録用紙剥離位置との間となる表面部分に
    接触して回転する定着補助ベルトと、前記像担持体及び
    定着補助ベルトの各表面に第1離型剤を塗布する離型剤
    塗布手段とを有する画像形成装置において、 前記定着ベルト及び定着補助ベルトは、少なくとも未使
    用段階で、その各表面に第2離型剤を塗布するとともに
    その各塗布面に当接部材を当接させる離型前処理が施さ
    れていることを特徴とする画像形成装置。
  11. 【請求項11】 前記定着ベルト及び定着補助ベルトの
    少なくとも未使用段階の各表面に対して第2離型剤を塗
    布する塗布手段とその塗布面に当接させる当接部材とを
    備えた離型処理手段を設け、この離型処理手段により少
    なくとも前記離型前処理を施す請求項10に記載の画像
    形成装置。
  12. 【請求項12】 前記離型前処理は、第2離型剤を塗布
    する前又は同時に、定着ベルト及び定着補助ベルトの各
    表面のトナー像に対する付着力を上昇させる付着力上昇
    処理を併せて行う処理である請求項10又は11に記載
    の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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